JP2011070234A - 累進屈折力レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】眼球側の屈折面に累進屈折面を有する内面累進屈折力レンズにおけるレンズの薄さや外観等の面での欠点を解決できる内面累進屈折力レンズを提供する。
【解決手段】遠用部の眼球側の屈折面11が凹形状を有し、近用部の眼球側の屈折面3の少なくとも一部において、面の主経線の一方又は両方が凸形状である凸面領域31を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として老視を補正するための眼鏡に使用される累進屈折力レンズに関する。
累進屈折力レンズは、屈折力の異なる2つの視野部分と、これらの間で屈折力が累進的に変わる視野部分とを備えたレンズであり、これらの視野部分に境目がなく外観的に優れ、さらに、1つのレンズで異なる屈折力の視野を得ることができる。このため、老視などの視力の補正機能を備えた眼鏡レンズとして多く用いられている。
図3に、累進屈折力レンズの一般的な構造を示す。図3(a)は正面図、図3(b)は縦方向の断面図である。累進屈折力レンズ100は、相対的に遠方を見るための視野部分である遠用部2が上方に設けられ、相対的に近方を見るために遠用部2と異なる屈折力を備えた視野部分が近用部3として遠用部2の下方に設けられている。そして、これら遠用部2と近用部3が、遠方と近方の中間距離の物を見るために連続的に変化する屈折力を備えた視野部分である中間部(累進部)4によって滑らかに連絡されている。
眼鏡用に用いられる単板のレンズにおいては、眼球側の屈折面11と、物体側の屈折面12の2つの面によって眼鏡レンズに要求される全ての性能、例えば、ユーザーの度数に合った頂点屈折力、乱視を矯正するための円柱屈折力、老視を補正するための加入屈折力、さらには斜位を矯正するためのプリズム屈折力などを付与する必要がある。このため、従来の累進屈折力レンズにおいては、これら遠用部2、近用部3および中間部4を構成するために連続的に変化する屈折力を与える累進屈折面が物体側の屈折面12に形成され、眼球側の屈折面11は乱視矯正用の屈折面などとして用いられている。
このような物体側の屈折面12に累進屈折面を有する外面累進屈折力レンズでは、像のゆがみが大きくなる。そのため、初めて累進屈折力レンズを使用する人や、別の設計の累進屈折力レンズから掛け替える人の中には、違和感を感じる場合がある。
外面累進屈折力レンズのこのような像の倍率の変化によるゆがみの発生を押さえるために、最近では特許文献1に示されているように、累進屈折面を眼球側の屈折面11に配置した内面累進屈折力レンズと呼ばれるものも製品化されるようになった。内面累進屈折力レンズ100では、図3(b)に示すように、物体側屈折面12は球面又は回転軸対称の非球面である。眼球側屈折面11には、遠用部2、近用部3、中間部4を有する累進屈折面が設けられ、累進屈折面にトーリック面、さらにはレンズの軸外収差を補正するための補正非球面要素を合成した複雑な曲面が使われている。更に、この内面累進屈折力レンズ100を薄くするための技術が特許文献2に記載されている。
国際公開第97/19382号パンフレット 特開2000−227579号公報
しかしながら、内面累進屈折力レンズは、内面側で加入屈折力を得るような曲面にするために、遠用部の面屈折力は近用部の面屈折力より加入屈折力分大きな値に設定しなければならない。更に、内面累進屈折力レンズは、遠用部に必要な遠用屈折力を確保する必要がある。例えば、遠用部がプラス処方を有する場合には、プラス処方に応じ、物体側屈折面の面屈折力を大きくする必要がある。そのため、遠用部にプラス処方を有する内面累進屈折力レンズは、外面累進屈折力レンズより物体側の屈折面の凸面の出っ張りが大きくなる。このように、内面累進屈折力レンズは、像のゆがみといった光学性能面では有利であるが、レンズの薄さや外観等の面では欠点を有している。前述した特許文献2で示されているような薄型化技術が提案されているが、不十分である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、眼球側の屈折面に累進屈折面を有する内面累進屈折力レンズにおけるレンズの薄さや外観等の面での欠点を解決できる内面累進屈折力レンズを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、第1に、物体側と眼球側の2つの屈折面を有し、前記眼球側の屈折面が、相対的に遠方を見るための屈折力をもつ遠用部と、相対的に近方を見るための屈折力をもつ近用部と、これらの中間の距離を連続的に見るための屈折力をもつ中間部とを有する累進屈折力レンズにおいて、前記遠用部の眼球側の屈折面が凹形状を有し、前記近用部の眼球側の屈折面の少なくとも一部において、面の主経線の一方又は両方が凸形状である凸面領域を有することを特徴とする累進屈折力レンズを提供する。
この内面累進屈折力レンズは、眼球側の屈折面における近用部の領域に眼球側に凸となっている凸面領域を設けた構造を有する。近用部に凸面領域を設けたことにより、眼球側の遠用部を、所定の加入屈折力を得る際に、小さな曲率の凹面とすることができる。更に遠用部に必要な屈折力を確保するための物体側の屈折面の曲率を、眼球側の小さな曲率に合わせて小さくすることができる。従って、近用部に凸面領域を設けたことにより、浅いベースカーブとなり、その結果、外観が良好で薄くすることが可能となる。
本発明は、第2に、上記第1の累進屈折力レンズにおいて、前記凸面領域の主経線の最大面屈折力が絶対値で2ディオプトリーを超えないことを特徴とする累進屈折力レンズを提供する。
近用部に凸面領域を設けたことにより、外観が良好で薄い内面累進屈折力レンズを実現することができる。その反面、ベースカーブが浅くなることにより、非点収差が増加し、その結果、光学性能が劣化してしまう、という問題点が生じる。この問題点は設計技術の進歩により克服することが可能になった。そして、本願は、更に凸面領域の凸の程度を制限することにより、このような光学性能の劣化を最小限とすることができる。
本発明は、第3に、上記第1又は第2の累進屈折力レンズにおいて、前記累進屈折力レンズの幾何学中心から半径25mmの内側における前記凸面領域の占める面積割合は、30%以下であることを特徴とする累進屈折力レンズを提供する。
凸面領域の占める面積割合を制限することにより、浅いベースカーブとしたことによる光学性能の劣化を最小限とすることができる。
本発明の累進屈折力レンズの概念を示し、(a)は正面図、(b)は断面図。 (a)は本発明の、(b)は従来の累進屈折力レンズの各面の屈折力を示す図。 従来の累進屈折力レンズの概念を示し、(a)は正面図、(b)は断面図。 眼球側の屈折面に小玉を設けた二重焦点レンズの一例を示し、(a)は正面図、(b)は断面図。 実施例1の累進屈折力レンズの眼球側屈折面の面屈折力分布図。 実施例1の累進屈折力レンズの眼球側屈折面の非点収差分布図。 実施例1の累進屈折力レンズの目視収差図。 実施例1の累進屈折力レンズの眼球側屈折面の座標図。 実施例2の累進屈折力レンズの眼球側屈折面の面屈折力分布図。 実施例2の累進屈折力レンズの眼球側屈折面の非点収差分布図。 実施例2の累進屈折力レンズの目視収差図。 実施例2の累進屈折力レンズの眼球側屈折面の座標図。 比較例の累進屈折力レンズの眼球側屈折面の面屈折力分布図。 比較例の累進屈折力レンズの眼球側屈折面の非点収差分布図。 比較例の累進屈折力レンズの目視収差図。 比較例の累進屈折力レンズの眼球側屈折面の座標図。
以下、本発明の累進屈折力レンズの実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の累進屈折力レンズの概念を示すもので、(a)は正面図、(b)は縦方向の断面図である。この累進屈折力レンズ1は、メニスカスレンズであり、その凹面形状である眼球側の屈折面11に累進屈折面が設けられ、凸面形状である物体側の屈折面12は例えば球面又は回転軸対称の非球面に形成されている内面累進屈折力レンズである。眼球側の屈折面11に設けられている累進屈折面は、相対的に遠方を見るための屈折力をもつ遠用部2と、相対的に近方を見るための屈折力をもつ近用部3と、これらの中間の距離を連続的に見るための屈折力をもつ中間部4とを有する。眼球側の屈折面11には、累進屈折面の他に、乱視を矯正するための屈折力として例えば円柱屈折力、斜位を矯正するためのプリズム屈折力、収差を補正するための非球面などが付与される。
本発明の累進屈折力レンズ1は、このような内面累進屈折力レンズにおいて、遠用部2の屈折面が眼球側に凹形状を有する。言い換えれば、遠用部2の屈折面が有する曲率半径の中心が、その屈折面よりも眼球側に存在する。また、近用部3の屈折面の少なくとも一部において、面の主経線の一方又は両方が眼球側に凸である、言い換えれば近用部3の屈折面のある一点の面の主経線の一方又は両方の曲率半径の中心がその屈折面よりも物体側に存在する凸面領域31を有する。この凸面領域31は、面屈折力の符号を物体側に凸の形状をプラス、眼球側に凸の形状をマイナスとした場合、平均面屈折力がマイナスである領域である。
この凸面領域31は、図1(b)に示すように、遠用部2を含んでメニスカスレンズの凹面形状となっている眼球側の屈折面11にあって、近用部3の領域で眼球側へ凸形状となっている。凸面領域31を面の主経線の一方又は両方が眼球側へ凸形状であると定義したのは、内面累進屈折力レンズでは累進屈折面と乱視矯正のためのトーリック面とが合成された屈折面となる場合があり、この合成屈折面における凸面領域では、面の主経線の一方がトーリック面により眼球側に向かって凹になり、面の主経線の他方が眼球側に向かって凸になる場合があるからである。眼球側に凸になっているというためには、面の主経線の少なくとも一方が眼球側に凸になっている必要がある。なお、面の主経線とは、JIS規格(JIS/T7330:2000年10月18日刊行:日本工業標準調査会)に規定される通り、面上の一点での最大曲率と最小曲率の存在する経線をいう。
近用部に眼球側に凸の凸面領域31を設けたことにより、眼球側11の屈折面の遠用部2において所定の加入屈折力を得るために小さな曲率の凹面とすることができ、更に遠用部2に必要な遠用屈折力を確保するための物体側の屈折面12の曲率を眼球側の遠用部2の小さな曲率に合わせて小さくすることができる。近用部3に凸面領域31を設けたことにより、ベースカーブとよばれる物体側の屈折面12を浅くすることができ、そのために外観が良好で薄くすることが可能となる内面累進屈折力レンズ1を実現することができる。
近用部に凸面領域を設けることにより浅いベースカーブとすることができることを具体的に説明する。内面累進屈折力レンズでは、物体側(外面)の面屈折力(ベースカーブ)D1と眼球側(内面)の遠用部面屈折力D2fと近用部面屈折力D2n、レンズの処方度数を構成する遠用度数S、加入度数Adの間にはつぎの関係がある。
S=D1−D2f
Ad=D2f−D2n
ここで、これらの屈折力を表す単位はディオプトリー(D)であり、面屈折力D1,D2f,D2nのそれぞれの符号は、物体側に凸(眼球側に凹)の場合を+、物体側に凹(眼球側に凸)の場合を−とする。
従来の内面累進屈折力レンズでは、近用部面屈折力D2nは
D2n≧0 (D)
であった。即ち、近用部全体が凹面か一部が平面である。
このため遠用度数が+で高加入度の場合、次の式で示されるように、ベースカーブは遠用度数Sと加入度数Adと近用部面屈折力D2nの和となるため、内面累進屈折力レンズの場合、ベースカーブが外面に累進面をもつレンズ(外面累進レンズ)にくらべ、深くならざるを得なかった。
D1=S+D2f=S+Ad+D2n
その結果、外観上出っ張った感じになり見た目が悪いという問題があった。また中心厚も厚くなるという問題もあった。
これに対して、近用部に凸面領域を設けると、近用部面屈折力D2nはマイナスとなり、その結果、物体側(外面)の面屈折力(ベースカーブ)D1を浅くすることができる。
図2を参照して実際に数字で説明する。図2(a)に本発明の内面累進屈折力レンズ、図2(b)に従来の眼球側の屈折面が全面的に凹面である内面累進屈折力レンズを示す。両レンズは、処方度数の遠用度数Sは3.50D、加入度数Adは2.00Dと共通である。図2(b)に示す従来の内面累進屈折力レンズでは、近用部面屈折力D2nを例えば平面に近い+0.50D(凹面)と設定する。これにより、遠用部面屈折力D2fは加入度数Ad2.00Dを加算して2.50Dとなり、物体側面屈折力(ベースカーブ)D1は、遠用部面屈折力D2fに遠用度数S3.50Dを加算して6.00Dとなり、深いベースカーブとなる。
図2(a)に示す本発明の内面累進屈折力レンズにおいては、近用部の凸面領域の近用部面屈折力D2nは、物体側に凹となっているため、例えば−1.50D(眼球側に凸)と設定できる。遠用部面屈折力D2fは加入度数Ad2.00Dを加算して0.50Dとなり、物体側面屈折力(ベースカーブ)D1は、遠用部面屈折力D2fに遠用度数S3.50Dを加算して4.00Dとなり、浅いベースカーブとなる。
このように、本発明の内面累進屈折力レンズは、近用部に凸面領域を設け、ベースカーブを浅くすることができるため、レンズ外観の向上、薄型化が可能となった。ところが、その反面、ベースカーブを浅くすると、非点収差が増加し、眼球側の屈折面全体が凹面の従来の内面累進屈折力レンズと比較して光学性能が劣ることが認められる。また、凹面で構成される眼球側の屈折面に眼球側に凸の凸面領域を設けると、遠用部では加入度分だけ凹になるため、眼球側の屈折面が凹凸の入り交じった複雑な面となり、面形状創成加工、鏡面研磨加工が困難になるという問題点が発生する。
加工が困難になるという問題点に関しては、近年の著しい製造技術の進歩により克服された。また、非点収差が増大するという問題点に関しては、近年のコンピュータの発達により設計技術が向上し、非点収差を補正する非球面の付加が適切にできるようになり、克服されている。
また、光学性能を向上させるために凸面領域の凸の程度について検討した結果、凸面領域における眼球側に凸形状の主経線の最大面屈折力が絶対値で2ディオプトリーを超えないこと、特に、1.5ディオプトリーを超えないことが望ましいことが判明した。凸面領域の凸の程度が大きすぎると、光学性能が劣化し、非球面の付加による非点収差の補正が困難になるおそれがある。また、凸になっている凸面領域での光の反射が強くなり、反射光が煩わしくなる。更に、凸の程度が大きくなると、凸面領域の屈折面が眼球に接近し、睫毛と接触してしまうおそれが生じる。
更に、凸面領域の面積も光学性能に影響があることが判明した。具体的には、玉型加工前の円形のレンズの幾何学中心から半径25mmの内側における凸面領域の占める面積割合は、30%以下、特に20%以下、とりわけ15%以下とすることが望ましい。凸面領域の占める面積割合がこの範囲より広くなると、光学性能が劣化し、非球面の付加による非点収差の補正が困難になるおそれがあると共に、凸面領域での反射が増加し、煩わしくなるおそれがある。
本発明の内面累進屈折力レンズには、種々の設計のタイプが含まれる。例えば、用途別の設計では、遠用視野と近用視野の両方をバランスよく配置し、累進帯長を10〜16mm程度にして近方視時の目の回旋がし易いように設計されたいわゆる遠近タイプがある。また、1m前後の中間領域から手元までの視野を重視したいわゆる中近タイプ、特に手元での視野を重視したいわゆる近近タイプとがあり、これらの中近タイプや近近タイプでは中間視での広い視野を実現するために累進帯長が19〜25mm程度と長く設計されている。前述した凸面領域の面積割合は、このような中近タイプや近近タイプのように主要部が近用部の場合にも当てはまる。また、歪曲収差と非点収差の分布の設計では、遠用部と近用部を広くし、狭い累進部に収差を集中させた収差集中型と、遠用部と近用部を狭くし、累進部を広くして中間部における収差を拡散させた収差分散型とに大別することができる。本発明はそのようなタイプが異なる設計にも対応可能である。
なお、従来より、二重焦点レンズとして眼球側の屈折面に小玉を設けたものが知られている。図4に眼球側の屈折面に小玉を設けた二重焦点レンズの一例を示す。図4(a)は正面図、図4(b)は縦方向の断面図である。二重焦点レンズ200は遠用部210と近用部220に区分けされている。一般的に、遠用部210を台玉、近用部220を小玉と呼ぶ。図4に示した二重焦点レンズ200は、小玉220を眼球側屈折面230に貼り付けにより形成したもので、物体側屈折面240は凸面、台玉210の眼球側屈折面230は凹面、小玉220の眼球側屈折面221は眼球側に凸面である。
眼球側の屈折面230に小玉220を設けた二重焦点レンズ200は、本発明の眼球側の屈折面に凸面領域を設けた内面累進屈折力レンズ1と、凹面の眼球側の屈折面の下方に突出面が存在する共通点があるため、外観的に近似している。
しかし、二重焦点レンズ200は、台玉210の眼球側の屈折面230と小玉の屈折面221に境界線が形成される。二重焦点レンズ200は、いわゆる境目のある多焦点レンズであり、その境界線で像が不連続となる欠点がある。また、外観的に老眼であることが分かってしまうという問題もある。境目の境界線を滑らかにして分からなくしたシームレスタイプと呼ばれるものもある。しかし、このシームレスタイプは、滑らかにした幅に沿ってぼやけてしまい光学的に使用できなくなってしまう問題を有する。いずれにしても、小玉を有する二重焦点レンズは、遠方と近方の中間距離の物を見るために連続的に変化する屈折力を備えた視野部分である中間部(累進部)を有さず、累進屈折力レンズと全く異なる眼鏡レンズである。
(実施例1)
遠用部面屈折力D2fが1.00D、近用部面屈折力D2nが−1.00D、加入度数Adが2.00D、遠用度数Sが3.50D、物体側の屈折面の屈折力(ベースカーブ)D1が4.50Dで、眼球側の屈折面の近用部に眼球側に凸の凸面領域を有する内面累進屈折力レンズを設計した。レンズ素材の屈折率は1.66であり、以下の実施例及び比較例は全て同じ屈折率のレンズ素材を用いた。この設計では、従来の全面凹面の内面累進屈折力レンズの近用部に単に凸面領域を設け、ベースカーブが浅くなったことによる非点収差の増加を補正することは行わなかった。
このような設計では、レンズが直径70mmの円形であり、物体側屈折面の幾何学中心と眼球側屈折面の幾何学中心とを結ぶ線を中心線とすると、物体側屈折面の幾何学中心と物体側屈折面の外縁との中心線方向の距離である出っ張りh(図1(b)参照)は4.2mm、中心線間の距離である中心厚t(図1(b)参照)は4.4mmとなった。
この設計の右目用(近用部が輻輳を加味して鼻側へ変位している)の内面累進屈折力レンズの眼球側の屈折面の面屈折力分布を図5に示す。図5には、一点鎖線で示す水平垂直線の交点の幾何学中心から半径25mmの円が示されている。この円の内側における凸面領域の占める面積割合は、21%である。
また、眼球側の屈折面の非点収差分布を図6に示す。さらにこのレンズを装用し遠用部、中間部、近用部のそれぞれの目的距離のものを見たときの眼に作用する実際の非点収差分布(以下、目視収差分布と称す)を図7に、レンズの幾何学中心点を原点とした眼球側の屈折面の座標値を図8にそれぞれ示す。
(実施例2)
遠用部面屈折力D2fが1.00D、近用部面屈折力D2nが−1.00D、加入度数Adが2.00D、遠用度数Sが3.50D、物体側の屈折面の屈折力(ベースカーブ)D1が4.50Dで、眼球側の屈折面の近用部に眼球側に凸の凸面領域を有する内面累進屈折力レンズを設計した。この設計では、ベースカーブが浅くなったことによる非点収差の増加を補正する非球面を付加する設計を行った。
このような設計では、レンズが直径70mmの円形であるとすると、物体側屈折面の幾何学中心と物体側屈折面の外縁との中心線方向の距離の出っ張りhは4.2mm、中心厚tは4.1mmとなった。非球面を付加したことにより、中心厚tが実施例1より0.3mm薄くなった。
この設計の右目用の内面累進屈折力レンズの眼球側の屈折面の面屈折力分布を図9に示す。図9には、一点鎖線で示す水平垂直線の交点の幾何学中心から半径25mmの円が示されている。この円の内側における凸面領域の占める面積割合は、17%である。また、眼球側の屈折面の非点収差分布を図10に、目視収差分布を図11に、レンズの幾何学中心点を原点とした眼球側の屈折面の座標値を図12にそれぞれ示す。
実施例1の眼球側の屈折面の非点収差分布を示す図6と、実施例2の眼球側の屈折面の非点収差分布を示す図10とを比較すると、実施例2では眼球側の屈折面にベースカーブが浅くなったことによる非点収差の増加を補正する非球面を付加しているため、実施例2の方が非点収差が増加している。しかし、実施例1の目視収差を示す図7と実施例2の目視収差を示す図11とを比較すると、実施例2の方が全体の非点収差が良く補正されていることが認められる。
(比較例)
近用部に凸面領域を設けない眼球側の屈折面が全て凹の従来の内面累進屈折力レンズを設計した。遠用部面屈折力D2fが3.00D、近用部面屈折力D2nが1.00D、加入度数Adが2.00D、遠用度数Sが3.50D、物体側の屈折面の屈折力(ベースカーブ)D1が6.50Dである。
このような設計では、レンズが直径70mmの円形であるとすると、物体側屈折面の幾何学中心と物体側屈折面の外縁との中心線方向の距離の出っ張りhは6.2mm、中心厚tは4.4mmとなった。この比較例の設計では、物体側屈折面の出っ張りhが本発明の実施例1及び2に対し2.0mmも大きい。中心厚tは実施例1のように非点収差を補正するために非球面を付加しない場合とほぼ同じであるが、実施例2のように非球面を付加したものと比較すると0.3mm厚くなった。
この設計の右目用の内面累進屈折力レンズの眼球側の屈折面の面屈折力分布を図13に、眼球側の屈折面の非点収差分布を図14に、目視収差分布を図15に、レンズの幾何学中心点を原点とした眼球側の屈折面の座標値を図16にそれぞれ示す。
実施例1、実施例2、比較例の処方度数は同一であり、遠用度数Sが3.50D、加入度数Adが2.00Dである。実施例1の目視収差を示す図7と、実施例2の目視収差を示す図11と、比較例の目視収差を示す図15とを比較して説明する。単に凸面領域を設けてベースカーブを浅くしただけの実施例1の図7では、従来の内面累進屈折力レンズの図15と比較して目視収差が大きく劣化している。これに対して、眼球側の屈折面にベースカーブが浅くなったことによる非点収差の増加を補正する非球面を付加している実施例2の図11では、従来の内面累進屈折力レンズの図15と同程度の目視収差を有し、光学性能が大幅に向上していることが認められる。
本発明の累進屈折力レンズは、主として老視を補正するための眼鏡に利用することができる。
1:累進屈折力レンズ、2:遠用部、3:近用部、4:中間部、31:凸面領域、11:眼球側屈折面、12:物体側屈折面。

Claims (3)

  1. 物体側と眼球側の2つの屈折面を有し、前記眼球側の屈折面が、相対的に遠方を見るための屈折力をもつ遠用部と、相対的に近方を見るための屈折力をもつ近用部と、これらの中間の距離を連続的に見るための屈折力をもつ中間部とを有する累進屈折力レンズにおいて、
    前記遠用部の眼球側の屈折面が凹形状を有し、前記近用部の眼球側の屈折面の少なくとも一部において、面の主経線の一方又は両方が凸形状である凸面領域を有することを特徴とする累進屈折力レンズ。
  2. 請求項1に記載の累進屈折力レンズにおいて、
    前記凸面領域の主経線の最大面屈折力が絶対値で2ディオプトリーを超えないことを特徴とする累進屈折力レンズ。
  3. 請求項1又は2記載の累進屈折力レンズにおいて、
    前記累進屈折力レンズの幾何学中心から半径25mmの内側における前記凸面領域の占める面積割合は、30%以下であることを特徴とする累進屈折力レンズ。
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