JP4195663B2 - 乱視矯正用レンズの製造方法 - Google Patents

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本発明は乱視矯正用の眼鏡に使用される乱視矯正用レンズの製造方法に関するものである。
角膜が歪んでいることによって生ずる視覚障害の一つとして乱視がある。乱視とは点光源が、円、楕円あるいは線となって点として結像しないため明視できない状態である。乱視が生じている場合物体が見づらくなったり眼精疲労や頭痛の原因ともなるためごく軽度でない限りこれを矯正することが好ましい。乱視を矯正するためには光軸周りの角度によって度数の異なるレンズ(乱視レンズ)を装用する必要がある。このような乱視を矯正した乱視矯正用レンズでは初期の段階ではレンズの裏面(眼球側)に乱視矯正面を形成するのが一般であった。しかし、近年特に老視矯正のための累進屈折力レンズにおいて、累進屈折面を裏面に設定することに伴って乱視矯正面をレンズの表面(物体側)に設定するようなレンズが提案されている。このような乱視矯正用レンズでありかつ累進屈折力レンズであるレンズの一例として特許文献1を示す。
特許文献1には乱視を補正するための乱視屈折面としてのトーリック面をレンズの被観察体側の面(外面)に形成し、レンズの眼球側の面(内面)に累進屈折面を形成するという技術が開示されている。トーリック面とは円を中心を通らない直線を軸として回転させたときに描かれる曲面であって、「タル型」と「ドーナツ型」の二種類がある。トーリック面では縦方向と横(周)方向の曲率が異なるため、所定の縦横の曲率とされたトーリック面を設定して乱視の矯正とするものである。
特開平2002−311397号公報
しかし、特許文献1では次のような課題が生じている。
(1)乱視を矯正する面がトーリック面で構成されているが、トーリック面によって生ずる現状の収差を更に抑制することが望ましい。
(2)レンズの眼球側の面(内側)に累進屈折面を形成しているが、このようにレンズの眼球側の面を累進屈折面とすることは特に非点収差の点で不利であり、遠用度数・近用度数ともマイナス度数のときを除いて、歪曲に関しても不利となる。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、従来のレンズに比べて収差の点で有利な乱視矯正用レンズ及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1の発明では、レンズの眼球側となる面を球面形状に形成した第1のレンズ前駆体と、レンズの物体側となる面を球面形状に形成した第2のレンズ前駆体を前もって用意し、装用者の具体的な乱視度数に基づいて形成される乱視矯正面としての非トーリック面を両レンズの物体側の面に形成するとともに、
いずれかのレンズ前駆体に上方に配置された比較的遠方を見るための第1の領域と、第1の領域よりも下方に配置され同第1の領域よりも大きな屈折力を有する第2の領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進領域とからなる累進屈折面を同累進屈折面の第1の領域でのフィッティングポイントにおける等価球面度数が少なくともプラスである場合には前記非トーリック面と合成して前記第1のレンズ前駆体のレンズの物体側の面に形成するようにし、等価球面度数がマイナスの場合には前記累進屈折面第2のレンズ前駆体のレンズの眼球側の面に形成するようにしたことをその要旨とする。
上記のような構成の乱視矯正レンズではレンズの物体側の面には乱視矯正面としての非トーリック面が形成され、レンズの眼球側の面は球面形状に形成されることとなる。ここでの利点の1つは乱視矯正面が非トーリック面であることと、それがレンズの物体側の面に形成されることである。非トーリック面とは非点収差または歪曲収差を軽減したり、レンズの厚さを薄くするための非球面レンズの概念を組み合わせたものである。トーリック面では少なくとも軸方向での断面は円形形状となっているが、非トーリック面では軸方向断面も円形形状とはならない。
レンズの物体側の面に乱視矯正面を形成することは、内面側に乱視矯正面を形成する場合に比べて非点収差の点で有利である。また、歪曲収差の点でも特にプラスレンズ(つまり遠視用又は老視者の近見用レンズ、以下同)ではレンズの物体側の面に乱視矯正面を形成するほうが有利である。以下、レンズの物体側の面に乱視矯正面を形成したレンズを外面乱視矯正レンズとし、レンズの眼球側の面に乱視矯正面を形成したレンズを内面乱視矯正レンズとして両者の非点収差及び歪曲収差における差異を説明する。
図6はプラスレンズにおいて外面乱視矯正レンズPと内面乱視矯正レンズQとの形状を比較したものである。また、図7はマイナスレンズ(近視用レンズ、以下同)において外面乱視矯正レンズpと内面乱視矯正レンズqとの形状を比較したものである。また、各レンズにおいてはそれぞれ90度ずれたプラス側の度数とマイナス側の度数の2方向におけるレンズ断面を+記号と−記号を付して示す。外面乱視矯正レンズP,pは内面側が球面とされ、内面乱視矯正レンズQ,qは外面側が球面とされている。これらはレンズの表裏の屈折力の平均値がほぼ同等となるように設定された仮想レンズである。尚、説明の簡略化のために乱視矯正面は単なるトーリック面で構成した。
これらレンズではプラスレンズもマイナスレンズも常にプラス側の軸方向のカーブでは外面乱視矯正レンズP,pがより深く設定されることとなる。一方、マイナス側の軸方向のカーブは逆に内面乱視矯正レンズQ,qがより深く設定されることとなる。非点収差はレンズの表面カーブをプラス度数側で深くすることで抑制することができる収差であるため、この点で外面乱視矯正レンズP,pのほうが有利である。
一方、歪曲収差については、プラスレンズでは外面乱視矯正レンズPのほうが有利であるがマイナスレンズでは逆に内面乱視矯正レンズqのほうが有利となる。プラスレンズにおける外面乱視矯正レンズPではプラス側のカーブが深いためトータルとして歪曲収差(この場合は凸レンズであるため膨張方向への収差)が内面乱視矯正レンズQよりも抑制されることとなる。これに対し、マイナスレンズである外面乱視矯正レンズpでは特にマイナス側のカーブが浅いためマイナス方向の歪曲収差(この場合は凹レンズであるため縮小方向への収差)がかなり大きく、一方プラス側の歪曲収差はそれほどではないため縦横の変形比率が大きくなってしまう。結果としてこれら外面乱視矯正レンズpでは縦横の変形比率に差の少ない内面乱視矯正レンズqよりも収差による変形度が大きくなってしまう。
非点収差及び歪曲収差を抑制させる場合にはトータルとしては外面乱視矯正レンズのほうが有利であるといるといえるが、プラスレンズ又はマイナスレンズへの適用を考えれば特にプラスレンズに対して最適であるといえる。
このような乱視矯正レンズに併せて累進屈折面を形成させる場合にはレンズの物体側の面、つまり上記非トーリック面に合成させることが好ましい。累進屈折面は老視に対する矯正用レンズに設定されるものである、累進屈折面は上方に配置された比較的遠方を見るための第1の領域と、第1の領域よりも下方に配置され同第1の領域よりも大きな屈折力を有する第2の領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進領域とから構成されている。
このような累進屈折面の第1の領域の遠用フィッティングポイントから第2の領域の近用フィッティングポイントへと視線を移動させる際に視線が通過する主注視線では同主注視線に沿う方向における同累進面の断面の曲率P1と同主注視線の任意の点に関して、その点を通る平面であって、かつその点における主注視線の接線が垂直に交わる平面と累進面が交わってできる断面曲線の曲率P2との曲率差ΔPを0としないようにすることが好ましい。上記曲率P1とP2との曲率差ΔPが0ではないということは要は主注視線上に面アスを発生させることである。これによって主注視線を透過する透過光の非点収差が効率的に抑制されることとなる。
また、レンズの物体側の面に累進屈折面を形成することは、上記乱視矯正面と同様内面側に累進屈折面を形成する場合に比べて非点収差と歪曲収差の点で有利である。以下、レンズの物体側の面に累進屈折面を形成したレンズを外面累進レンズとし、レンズの眼球側の面に累進屈折面を形成したレンズを内面累進レンズとして両者の非点収差と歪曲収差における差異を説明する。尚、レンズの外面を加工する場合と内面を加工する場合では基本的な形状自体が異なるため厳密な意味で同じ条件で比較できるものではないが、同程度の加入度が得られるレンズを想定したものである。
まず、非点収差について説明する。基本的に累進屈折力レンズでは上方域で遠くを見、下方域で近くを見るという構成となっている。このため、レンズの度数配置は上方でマイナス側、下方でプラス側となっている。一方、非点収差はレンズの表面カーブをプラス度数側で深くすることで抑制することができる収差であり外面累進レンズは元来非点収差を抑制するための効率的な形状を有しているものといえる。従って、外面累進レンズは内面累進レンズよりも非点収差の点で有利である。
次に、歪曲収差について説明する。この場合にはプラスレンズとマイナスレンズとでは特性が異なる。
図8(a)に示すように、プラスレンズでは外面累進レンズRのベースカーブBCはレンズ上方位置では浅くレンズ下方位置では深く形成されている。これは累進面が基本的に上方位置にある遠用部領域に対して下方位置にある近用部領域は相対的にプラス度数となるため光学的には理にかなった構成とされている。一方、図8(b)に示すような内面累進レンズrのベースカーブBCでは光学的にこれとは逆にレンズ上方位置では深くレンズ下方位置では浅く形成される必要がある。
ところが、このような構成とした場合では、例えば図9のように外面累進レンズRのある近用領域のa点について内面累進レンズrと比較した場合、外面累進レンズRにおいては累進レンズとしてこのa点と同じのパワーが発揮される位置はb点、すなわちa点よりも高さだけ遠用部領域に近い位置とされる。すなわち、内面累進レンズrでは外面累進レンズRと同じパワーを得ようとする場合ではより短い距離で外面累進レンズRと同等の加入をしなければならないこととなる。
更に、図9に示すように眼球から各レンズまでの距離L1,L2を比較するとは内面累進レンズrの距離L2では外面累進レンズRの距離L1に比べてカーブが浅い分だけ遠くなってしまうこととなっている。これらのような内面累進レンズrの特徴が歪曲収差として顕著に現れてしまうこととなるわけである。
このようなことから歪曲収差についても外面累進レンズのほうが有利であるといえる。
上記のような点から、非トーリック面と累進屈折面とをレンズの物体側の面に合成させることは非点収差及び歪曲収差を抑制させる場合にはトータルとしては外面乱視矯正レンズのほうが有利であるといえ、プラスレンズ又はマイナスレンズへの適用を考えれば特にプラスレンズに対して最適であるといえる。プラスレンズとは少なくとも第1のフィッティングポイントにおける等価球面度数(乱視強度方向と弱度方向の平均値)がプラスであるレンズをいう。
このような外面乱視矯正レンズはレンズの眼球側となる面を球面形状に形成した第1のレンズ前駆体を前もって用意し、装用者の具体的な乱視度数に基づいてレンズ前駆体のレンズの物体側の面に乱視矯正面としての非トーリック面又は非トーリック面と累進屈折面を合成した合成面を形成するようにすることが好ましい。この場合に前記累進屈折面は第1の領域でのフィッティングポイントにおける等価球面度数がプラスである場合には前記非トーリック面と合成させて第1のレンズ前駆体のレンズの物体側の面に形成するようにし、等価球面度数がマイナスの場合には選択によってレンズの物体側となる面を球面形状に形成した第2のレンズ前駆体のレンズの眼球側の面に形成するようにすることが好ましい。つまり、非点収差の点では外面側を加工するほうが必然的に有利となるのであるが、マイナスレンズであれば内面側を加工するほうが歪曲収差の点で有利であるため、非点収差と歪曲収差のどちらの成分を重視するかで使い分けをすることが可能である。
上記各請求項の発明では、従来に比べて収差が抑えられた乱視矯正用レンズを提供することが可能となる。
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明においてレンズの物体側の面を外面又は表面といい、レンズの眼球側の面を内面又は裏面という。
図1〜図3に示すように、本実施の形態の乱視矯正レンズ1(以下、単にレンズ1とする)の表面1aには乱視矯正面2と累進屈折面3を合成した合成面5が形成されている。乱視矯正レンズ1の表面1aは所定の加入度で仮想設定した球面をベースとし、この球面上に合成面に基づいた加工が施されている。また、レンズ1はプラスレンズである。乱視矯正レンズ1の裏面1bは所定の曲率の球面形状とされている。乱視矯正レンズ1は後述するレンズ前駆体の外面側のみを加工して構成されており、内面側はレンズ前駆体での形状そのままの状態とされ加工されることはない。尚、図1は合成前の乱視矯正面2と累進屈折面3を単純化したイメージを示したものである。
乱視矯正面2は眼鏡着用者の測定乱視度数に基づいて予め仮想設定される。本実施の形態では最大曲率半径の主経面がx軸方向に、最小曲率半径の主経面がy軸方向に指向し、更にレンズ周辺部分の曲率が異なる非トーリック面とされている。
図2に示すように、本実施の形態1のレンズ1は外面に累進屈折面3が設定された累進屈折力レンズでもあるためレンズ1の上方位置には遠距離の物体を目視するための遠用部領域11が設定されている。レンズ1の下方位置には近距離の物体を目視するための近用部領域12が設定されており、遠用部領域11と近用部領域12の間には両領域11,12を滑らかかつ連続的に連結する累進帯13が設定されている。累進面15側の主注視線S1は遠用アイポイントO1を通って下方に向かうに従って鼻側に偏倚し、近用アイポイントO2付近から再び下方に向かう屈曲したラインとされる。主注視線S1は非へそ線となっている。ここに、へそ線とは局所的に球面に形成された面アスのない点(つまりへそ点)の連続した線であり、非へそ線とはへそ線となっていないことを意味する。へそ点では正対する方向から装用者の眼に入射する光線の非点収差は抑制できるものの、実際の装用の点では斜めから入射する光線の補正を重視すべきであるためかえって主注視線S1を非へそ線としてトータルに非点収差を抑制するものである。
次に上記実施の形態1のレンズ1の製造工程について説明する。
図4に示すように、製造工程は第1の加工工程とそれに続く第2の加工工程からなる2つの工程から成り立っている。第1の加工工程では主としてレンズ内外面に所定の球面を形成することが目的であり、第2の加工工程では主としてレンズ外面に乱視矯正面2と累進屈折面3を合成した合成面を形成することが目的である。
まず第1の加工工程について説明する。
第1の加工工程では図5に示すようないわゆる「セミフィニッシュ」と呼ばれる十分な厚みを有するレンズ前駆体としての材料ブロック10を製造する。材料ブロック10の表裏とも同じ曲率の単純な球面(ベースカーブ)に形成されている。
本実施の形態では材料ブロック10は図5に示すように上下に分割されたモールド21,22中に調整された液状の熱硬化性プラスチック樹脂Rを充填し、モールド21,22を加熱炉にて加熱し、固化させて得られる。本実施の形態1では上モールド21のキャビティ内上面部23はレンズ外面の球面に対応した凹形状とされている。下モールド22のキャビティ内下面部24はレンズ内面に対応した凸形状の球面とされている。本実施の形態1ではベースカーブの違いに応じて多種類(例えば5種類)の材料ブロック10を製造こととするため上下モールド21,22はこのベースカーブの違いに応じた数だけ用意される。
次に第2の加工工程について説明する。
上記第1の加工工程において得られたベースカーブのそれぞれ異なる材料ブロック10からユーザーに好適のベースカーブの材料ブロック10を選ぶ。上記のように本実施の形態のレンズ1はプラスレンズであるため、非点収差も歪曲収差も有利な外面側に加工を施すものとする。従って、材料ブロック10の外面に乱視矯正面2と累進屈折面3を合成した合成面5を形成してレンズ1を得る。本実施の形態1ではこの段階で図示しないCAM(computer aided manufacturing)装置を使用して切削加工及び研削加工を施す。尚、レンズ1がマイナスレンズである場合には所望により歪曲収差の点で有利な内面側に加工を施すようにすることも可能である。
このように構成することによって、本実施の形態では次のような効果を奏する。
(1)上記実施の形態のレンズ1はプラスの外面乱視矯正レンズであるため従来の内面乱視矯正レンズと比較して非点収差の点でも歪曲収差の点でも有利である。
(2)上記実施の形態のレンズ1の乱視矯正面2はレンズ1の表面1a側に形成されていることから従来の内面乱視矯正レンズと比較して非点収差の点で有利であることに加え、非トーリック面であるため更に非点収差の抑制の点で有利である。
(3)上記実施の形態のレンズ1ではレンズ1の表面1a側に累進屈折面3を乱視矯正面2と併せて形成されているため、累進屈折面3を形成することによる非点収差や歪曲収差が裏面1b側に累進屈折面を形成する場合よりも抑制されることとなる。また、主注視線S1が非へそ線となっているため更に非点収差が抑制されることとなる。
(4)マイナスレンズを加工する場合には装用者の所望によって歪曲収差の点で有利な内面乱視矯正レンズを選択することが可能である。その際に別途内面加工用の材料ブロックを用意しなくとも上記材料ブロック10の表裏のカーブは同じであるため、同材料ブロック10をそのまま内面加工用に使用することが可能である。
・上記各実施の形態では工程2はCAM装置によって実行されたが、他の装置によってデータを作成し、そのデータをCAM装置に入力することで材料ブロック10を加工するようにしてもよい。
・上記レンズ1はプラスチックレンズであったが、ガラス等の他の材料で構成しても構わない。
その他本発明の趣旨を逸脱しない態様で実施することは自由である。
次に、実施例として具体的なレンズに関して特に非点収差について考察する。物体側の面に乱視矯正面を形成した本発明のレンズ(以下外面乱視矯正レンズとする)と眼球側の面に乱視矯正面を形成した従来レンズ(以下内面乱視矯正レンズとする)との比較を行った。
但し、レンズの外面を加工する場合と内面を加工する場合では形状自体が異なるため条件はまったく同じにはなり得ない。実際には形状の異なるレンズ同士を精密に比較することは困難であるが、レンズ表面における乱視のプラス軸側方向とマイナス軸側方向の屈折力及びレンズ裏面における乱視のプラス軸側方向とマイナス軸側方向の屈折力を測定し、これらの4つの屈折力の値の平均値を揃えることで両レンズがほぼ同一の乱視矯正力を有しているものとして判定した。尚、以下の両レンズの比較においては敢えて累進屈折面を合成させずに乱視矯正面だけで設計したレンズ同士で行っている。累進屈折面成分が合成されていると以下の非点収差で得られる数値が複雑化してかえって正確さに欠けるためである。
尚、歪曲収差については上記図6に示すように外面乱視矯正レンズは内面乱視矯正レンズと比較してプラス側のカーブが深くなることからトータルとしてやはり外面乱視矯正レンズのほうが有利となる。
a)片側球面+片側トーリックのレンズにおける比較
外面乱視矯正レンズではレンズの物体側の面をトーリック面とし、レンズの眼球側の面を球面とした。一方、比較対象としての内面乱視矯正レンズではレンズの物体側の面を球面とし、レンズの眼球側の面をトーリック面とした。
両レンズの基本条件は以下の通りである。
・S+1.00D、C+2.00D(S:遠用度数、C:乱視度数)
(プラス軸側方向+3.00D、マイナス軸側方向+1.00D)
・レンズ径70mm
・レンズ屈折率1.60
・レンズ中心部厚み3.905mm
また、基本条件以外の条件については表1の通りである。
Figure 0004195663
そしてそれぞれのレンズに対して幾何中心から5mmごとにプロットし、25mm位置を幾何中心からの最大離間距離とした計5つの位置において透過して眼に入る光線についての非点収差を算出した。併せて平均度数誤差を算出した。その結果を表2と表3に示す。
これらの結果に基づけば平均度数誤差はすべてプラスの値を示し、トーリック面を用いたレンズではレンズ中心から離間するにつれて度数が強くなる傾向にあることが理解できる。
また、非点収差はレンズ中心から離間するにつれて度数が大きくなる傾向にある。非点収差はプラス軸側方向で大きく差が出ており、外面乱視矯正レンズでは1.16Dであるのに対し内面乱視矯正レンズでは1.65Dであった(その差0.49D)。マイナス軸側方向では内面乱視矯正レンズのほうが非点収差が少なかったが、レンズのトータルな非点収差についてはプラス軸側方向の差が影響し外面乱視矯正レンズのほうが有利である。
尚、このレンズの中心での乱視度数は2.00Dであるため本来レンズ中心での非点収差は2.00Dとすることも可能であるが、装用者にとっては自身の所定の乱視度数において収差を0.00Dと認識するためここではレンズ中心を装用者の立場を基準として0.00Dとした。
Figure 0004195663
Figure 0004195663
b)片側球面+片側非トーリックのレンズにおける比較
外面乱視矯正レンズではレンズの物体側の面を非トーリック面とし、レンズの眼球側の面を球面とした。一方、比較対象としての内面乱視矯正レンズではレンズの物体側の面を球面とし、レンズの眼球側の面を非トーリック面とした。レンズの基本条件において遠用度数(S)、乱視度数(C)、レンズ径及びレンズ屈折率は上記a)と同じであるが、表2及び表3に示した両レンズの平均度数誤差が0となるように非トーリック面を設計したため中心厚は3.699mmという薄さに抑えることができた。
また、基本条件以外の条件については表4の通りである。
Figure 0004195663
そしてa)と同様に計5つの位置において透過して眼に入る光線についての平均度数誤差及び非点収差を算出した。その結果を表5と表6に示す。表から分かるように例えば外面乱視矯正レンズの非点収差はプラス軸側方向では1.16Dから0.65Dとなり約44%もの減少となった。また、内面乱視矯正レンズの非点収差はプラス軸側方向では1.65Dから0.95Dとなり約32.5%の減少となった。
これらの結果から上記トーリック面を用いたレンズに比べて非トーリック面を用いたレンズでは非点収差が格段に減少していることが理解できる。更に、非トーリック面を用いて乱視矯正をする場合に特に外面乱視矯正レンズに用いることが非点収差抑制の観点から好適であることが理解できる。
Figure 0004195663
Figure 0004195663
本発明の実施の形態における乱視矯正用レンズの外面に形成される合成面のイメージを分解して示す斜視図。 同じ実施の形態の左右一対の乱視矯正用レンズの正面図。 同じ実施の形態の乱視矯正用レンズであって(a)はy軸方向で切断した断面図、(b)はx軸方向で切断した断面図。 実施の形態1の及び2における累進屈折力レンズの加工工程を説明するフローチャート。 第1の加工工程における材料ブロックの製造の流れを説明する説明図。 プラスレンズにおける外面乱視矯正レンズと内面乱視矯正レンズとの形状を比較した説明図。 マイナスレンズにおける外面乱視矯正レンズと内面乱視矯正レンズとの形状を比較した説明図。 (a)は外面累進屈折力レンズの外面を説明する側面図、(b)は内面累進屈折力レンズの外面を説明する側面図。 外面累進屈折力レンズと内面累進屈折力レンズの光学的性質の違いを説明する説明図。
符号の説明
1…外面乱視矯正レンズ、2…乱視矯正面、3…累進屈折面、10…レンズ前駆体としての材料ブロック、11…第1の領域としての遠用部領域、12…第2の領域としての遠用部領域、13…累進領域としての累進帯。

Claims (1)

  1. レンズの眼球側となる面を球面形状に形成した第1のレンズ前駆体と、レンズの物体側となる面を球面形状に形成した第2のレンズ前駆体を前もって用意し、装用者の具体的な乱視度数に基づく乱視矯正面としての非トーリック面を両レンズの物体側の面に形成するとともに、
    いずれかのレンズ前駆体に上方に配置された比較的遠方を見るための第1の領域と、第1の領域よりも下方に配置され同第1の領域よりも大きな屈折力を有する第2の領域と、これら領域の間に配置され屈折力が累進的に変化する累進領域とからなる累進屈折面を同累進屈折面の第1の領域でのフィッティングポイントにおける等価球面度数が少なくともプラスである場合には前記非トーリック面と合成して前記第1のレンズ前駆体のレンズの物体側の面に形成するようにし、等価球面度数がマイナスの場合には前記累進屈折面第2のレンズ前駆体のレンズの眼球側の面に形成するようにしたことを特徴とする乱視矯正用レンズの製造方法
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