JP2011057720A - ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、耐衝撃性、延性の全てに優れ、低誘電率であるポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルに、エチレン単位/エチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位/酢酸ビニル単位又はアクリル酸メチル単位からなるエチレン系三元共重合体を配合して成るポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物に関する。
スーパーエンジニアリングプラスチックの一種である、ポリフェニレンスルフィドは耐熱性、剛性、難燃性、耐薬品性などに優れた樹脂であり、電気・電子部品、自動車部品などに幅広く用いられている。しかしながら、ポリフェニレンスルフィドは成形加工性、耐衝撃性などが不十分とされ、また誘電率が高い、高価であるなどの問題点が市場から指摘されていた。特に高速通信の分野においては、低誘電率の材料が強く望まれているため、この分野へのポリフェニレンスルフィドの適用には限界があった。
一方、ポリフェニレンエーテルは、成形加工性が悪く、単独では成形加工不可であるが、低誘電率で耐熱性に優れることが知られている。
従来、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルを組み合わせて樹脂の特性を改良する試みがなされてきた。例えば、特許文献1には、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルとからなる樹脂組成物が記載されている。特許文献2には、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィドの如き結晶性熱可塑性樹脂及び変性ゴム様物質の如き相溶化剤からなる樹脂組成物が記載されている。特許文献3には、酸変性ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、及び結合剤からなる耐熱耐溶剤性樹脂組成物が記載されている。特許文献4及び5にはポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、及びエポキシ基又はオキサゾリニル基を有する不飽和モノマー又はポリマーを含む樹脂組成物が記載されている。特許文献6には、ポリフェニレンスルフィド、架橋型ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、及びエポキシ基又はオキサゾリニル基を有するスチレン系共重合体又はエチレン系共重合体を含む樹脂組成物が記載されている。特許文献7には、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、エポキシ基又はオキサゾリニル基を有する不飽和モノマーとスチレンの共重合体、及び耐衝撃剤からなる樹脂組成物に関して記載されている。
しかしながら、これら従来の樹脂組成物は、耐熱性は優れていても誘電率が高い、耐衝撃性が不十分である、延性が不十分である、高価であるなどの問題点がある。すなわち、耐熱性、耐衝撃性、延性の全てに優れ、安価であり、低誘電率である樹脂組成物は知られていない。
特開昭50−156561号公報 特開昭63−183954号公報 特開平02−75656号公報 特開平03−20356号公報 特開平10−95926号公報 特開2006−316245号公報 特開2007−23078号公報
本発明は、耐熱性、耐衝撃性、延性の全てに優れ、低誘電率であり、しかも安価な樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは樹脂組成物の組成について鋭意検討をした結果、ポリフェニレンスルフィドとポリフェニレンエーテルを含む樹脂組成物に、エチレン単位/エチレン系不飽和カル
ボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位/酢酸ビニル単位又はアクリル酸メチル単位からなるエチレン系三元共重合体を配合することにより、耐熱性、耐衝撃性及び延性などに優れ、低誘電率でありながら、安価なものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)成分(A)ポリフェニレンスルフィド、成分(B)ポリフェニレンエーテル、及び成分(C)エチレン単位/エチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位/酢酸ビニル単位又はアクリル酸メチル単位からなるエチレン系三元共重合体を配合してなる樹脂組成物。
(2)成分(C)は、JIS K6760、190℃、2.16kg荷重にて測定したメルトインデックスが2〜50g/10分であり、示差走査熱量測定における融点が45〜100℃である、(1)に記載の樹脂組成物。
(3)成分(A)は、成分(C)のエチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位と反応しうる官能基を有する、(1)又は(2)に記載の樹脂組成物。
(4)成分(B)は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を90モル%以上含む(1)〜(3)の何れかに記載の樹脂組成物。
Figure 2011057720
(ここで、R1,R2,R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜7の第一級又は第二級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものである。)
(5)成分(B)は、クロロホルム中、30℃の固有粘度が0.2〜0.8dl/gであるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であることを特徴とする、(4)に記載の樹脂組成物。
(6)成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量を100質量%としたとき、成分(C)が1〜45質量%であり、かつ、成分(A)と成分(B)の質量比が、10:90〜90:10の範囲であることを特徴とする、(1)〜(5)の何れかに記載の樹脂組成物。
(7)成分(A)、成分(B)及び成分(C)を溶融混練することを含む、(1)〜(6)の何れかに記載の樹脂組成物の製造方法。
(8)周波数1kHzにおける誘電率が3.2以下であることを特徴とする、(1)〜(7)の何れかに記載の樹脂組成物。
(9)シャルピー衝撃強度が60kJ/m2であることを特徴とする、(1)〜(8)の何れかに記載の樹脂組成物。
(10)(1)〜(9)の何れかに記載の樹脂組成物からなる射出成形体、押出し成形体、シート・フィルム成形体。
(11)チューブ状又はシート・フィルム状である、(10)に記載の成形体。
(12)(10)又は(11)に記載の成形体を用いた電気・電子部品、通信機器部品又は自動車部品。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、延性の全てに優れ、低誘電率である。また、本発明の樹脂組成物は、安価である。
本発明の樹脂組成物は、成分(A)ポリフェニレンスルフィドを含む。本発明において、ポリフェニレンスルフィドとは、下記化学式(2)で示される単位を、70モル%以上、好ましくは80モル%以上含む重合体をさす。
Figure 2011057720
また、ポリフェニレンスルフィドは、下記の化学式で示される単位を30モル%未満含んでいてもよい。
Figure 2011057720
ポリフェニレンスルフィドは、常法、例えば特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される方法により合成することもできるし、市販されているものを用いることもできる。
また、上記の様にして得られたポリフェニレンスルフィドを、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、熱水などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化など種々の処理を施した上で使用することも可能である。
ポリフェニレンスルフィドは、後述する成分(C)エチレン系三元共重合体のエチレン
系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位と反応しうる原子、官能基を有することが好ましい。このような官能基としては、スルファニル基、エポキシ基、カルボキシル基などが挙げられる。中でも、スルファニル基が好ましい。
また、ポリフェニレンスルフィドは、ASTM D648に基づく熱変形温度(1.82MPa荷重)が90〜130℃の範囲にあることが好ましい。また、ポリフェニレンスルフィドは、比重が1.2〜1.4の範囲にあることが好ましい。また、ポリフェニレンスルフィドは、示差走査熱量測定による融点が、好ましくは265〜295℃の範囲、さらに好ましくは270〜290℃の範囲である。また、ポリフェニレンスルフィドの分子量は特に制限されないが、重量平均分子量 で好ましくは10,000以上、さらに好ましくは15,000以上、より好ましくは18,000以上である。
本発明の樹脂組成物は、成分(B)ポリフェニレンエーテルを含む。本発明において、ポリフェニレンエーテルとは、フェニレンエーテル構造を有する単位を主成分とする重合体をさす。ポリフェニレンエーテルは、下記一般式(1)で示される単位を好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上含む。
Figure 2011057720
ここで、R1,R2,R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜7の第一級又は第二級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものである。
ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基の炭素数は、好ましくは1〜7、ハロ炭化水素オキシ基の炭素数は、好ましくは2〜7である。
R1及びR2は、それぞれ独立して炭素数1〜3の第一級アルキル基であることが好ましく、R3およびR4は、水素であることが好ましい。
上記一般式(1)で示される単位以外の単位としては、ビニル芳香族化合物が挙げられる。例えば、上記一般式(1)で示される単位からなる重合体に、ビニル芳香族化合物をグラフト重合したものを用いることができる。
ポリフェニレンエーテルとして、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体が挙げられる。
また、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト
重合した共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合した共重合体が挙げられる。
中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
ポリフェニレンエーテルは、好ましくは、クロロホルム中、30℃の固有粘度が、好ましくは0.2〜0.8dl/g程度、さらに好ましくは0.3〜0.6dl/g程度となるような分子量を有する。
また、ポリフェニレンエーテルは、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、スチレン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−[4−2,3−エポキシプロポキシ)−2,5−ジメチルフェニルメチル]アクリルアミド、トリメトキシビニルシラン等で変性されていてもよい。
ポリフェニレンエーテルは、通常、構成単位(モノマー)の酸化カップリングにより製造される。ポリフェニレンエーテルの酸化カップリング重合に関しては、数多くの触媒系が知られている。触媒の選択に関しては特に制限はなく、公知の触媒のいずれも用いることができる。例えば、銅、マンガン、コバルト等の重金属化合物の少なくとも一種を、通常は種々の他の物質との組み合わせて用いる。
本発明の樹脂組成物は、成分(C)エチレン系三元共重合体を含む。エチレン系三元共重合体は、エチレン単位/エチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位/酢酸ビニル単位又はアクリル酸メチル単位からなる。かかる共重合体は、(a)エチレン単位が40〜94質量%、好ましくは50〜90質量%、(b)エチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%、(c)酢酸ビニル単位又はアクリル酸メチル単位が5〜40質量%、好ましくは8〜35質量%からなる三元系のランダム共重合体である。エチレン系三元共重合体において(b)エチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位を与える化合物は、それぞれ下記一般式(3)、(4)で表される。
Figure 2011057720
一般式(3)において、Rは、一つのエチレン結合を有する炭素数2〜13の炭化水素基である。Rの炭素数は、好ましくは2〜10である。
一般式(3)で表されるエチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位としては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル等のα,β−不飽和カルボン酸グリシジルが挙げられる。
Figure 2011057720
一般式(4)において、Rは、一つのエチレン結合を有する炭素数2〜13の炭化水素基である。また、Xは、−CH2 −O−又は下記化学式(5)で表される基である。Rの炭素数は、好ましくは2〜10である。
一般式(4)で表されるエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位としては
、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等のα−不飽和炭化水素基グリシジルエーテルが例示される。
Figure 2011057720
エチレン系三元共重合体のJIS K6760、190℃、2.16kg荷重にて測定したメルトインデックス(MI、(MFRと同義))は、好ましくは、2〜50g/10分である。さらに好ましくは3〜20g/10分である。また。エチレン系三元共重合体は、得られる成形品の機械的性質を向上させる観点から、示差走査熱量測定による融点が45〜100℃の範囲のものが好ましく、50〜97℃のものがさらに好ましい。また、エチレン系三元共重合体の表面硬度(ASTM D2240に基づく。Shore D)は10〜40のものが好ましく用いられる。
エチレン系三元共重合体は、例えば、(a)エチレン、(b)エチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル、(c)酢酸ビニル又はアクリル酸メチルをラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃で適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下又は不存在下にランダム共重合させる方法により製造することが好ましい。
本発明の樹脂組成物における成分(C)の含有量は、成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量を100質量%としたとき、好ましくは1〜45質量%、さらに好ましくは1〜38質量%、さらに好ましくは3〜37質量%、特に好ましくは5〜35質量%である。
また、成分(A)と成分(B)の質量比は、好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは25:75〜75:25である。
これら範囲とすることにより、耐熱性、延性、シャルピー衝撃強度の如き耐衝撃性、低誘電率など、全てを満足させることができる。
本発明の樹脂組成物においては、さらに、任意成分である成分(D)ガラス繊維を配合することができる。ガラス繊維を配合することにより、該樹脂組成物の耐熱性、曲げ弾性率などをさらに向上させることが可能となる。ガラス繊維は、成分のガラスは公知のガラスを使用することが出来る。例えば、Aガラス、Cガラス、Eガラス、Sガラスなどを使用することが出来る。本発明においては、表面処理をしないガラス繊維も、表面処理をしたガラス繊維も使用することができるが、好ましくはシランで表面処理したガラス繊維が用いられる。また、ガラス繊維の数平均ガラス繊維長は、好ましくは10〜1000μmである。このようなガラス繊維としては、チョップドストランド、ミルドガラス、長繊維などが挙げられるが、径が3〜30μm、繊維長が1〜3mmのチョップドストランドのガラス繊維が好ましく用いられる。
樹脂成分である成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量を100質量部としたとき、ガラス繊維の含有量は、好ましくは5〜90質量部、さらに好ましくは10〜70質量部である。
本発明の樹脂組成物は、スーパーエンジニアリングプラスチックである成分(A)、及びエンジアリニングプラスチックである成分(B)を配合するため、耐熱性に優れる。本発明の樹脂組成物において、優れた耐熱性を発現する上で、成分(A)または成分(B)のいずれかが連続相であり、他の成分が分散相である形態が好ましい。
また、本発明における樹脂組成物が、従来の検討例とは異なり、耐熱性、低誘電率を実現しながらに、耐衝撃性、及び延性などにも優れる機構は必ずしも明らかではないが、成分(C)が成分(A)と反応するとともに、成分(B)が成分(C)と反応し、その結果、これらの反応により得られた反応生成物が相溶化剤として作用するためであると考えられる。
上記の成分(A)と成分(C)との反応生成物、あるいは、成分(B)と成分(C)との反応生成物は、数平均粒子径が0.5μm以下のサイズの微粒子として本発明における組成物中に分散するのが好ましい形態である。このような微粒子は、透過型電子顕微鏡像から知ることが可能である。
すなわち、樹脂組成物の形態は、該組成物を酸化ルテニウムなどで染色処理したのち、ミクロトームなどを使用してその超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡で観察できる。その際、酸化ルテニウムで染色した場合、成分(C)は最も染色され易く、成分(B)が次に染色され易く、成分(A)は最も染色され難いことから、本発明における樹脂組成物の透過型電子顕微鏡像から、樹脂組成物各成分の形態を知ることが可能である。
樹脂組成物に微粒子が認められる場合には、上述した力学特性を、より良好に得ることができる。
また、本発明の樹脂組成物は、高価な成分(A)に、比較的安価な成分(B)及び成分(C)を配合するものであり、そのため得られた樹脂組成物は、成分(A)の如きスーパーエンジニアリングプラスチックと比較すると、大幅に安価なものとなる。
本発明の樹脂組成物は、上記各成分を溶融混練して得ることができる。溶融混練には、一軸押し出し機、あるいは二軸押し出し機などを用いることができるが、なかでも強混練が可能な二軸押し出し機を好ましく用いることができる。溶融混練温度は、260〜330℃が好ましく、280〜320℃がさらに好ましい。
本発明における樹脂組成物を溶融混練で得るには、押し出し機内で、樹脂組成物の各成分を上記の温度で十分な時間をかけて溶融混練する必要がある。溶融混練に要する時間は押し出し機の構造にもよるが、溶融混練の際の、スクリューのトルク値、あるいは系内の溶融粘度が、が当初の値から上昇して、平衡な値を示すまでの時間、溶融混練することが好ましい。
本発明の樹脂組成物を溶融混練する方法は、特に限定されないが、成分(A)、成分(B)及び成分(C)を一括して溶融混練する方法、成分(A)及び成分(C)をあらかじめ溶融混練した後に成分(B)を加えて溶融混練する方法、成分(B)及び成分(C)をあらかじめ溶融混練した後に成分(A)を加えて溶融混練する方法、あるいは成分(A)及び成分(C)を押出し機の上流側から押出し機に配合し、成分(B)を押出し機の下流側から押出し機に配合して溶融混練する方法、成分(B)及び成分(C)を押出し機の上流側から押出し機に配合し、成分(A)を押出し機の下流側から押出し機に配合して溶融混練する方法などが好ましく用いられる。
成分(D)を配合する系においては、成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を一括して溶融混練する方法、成分(A)及び成分(C)をあらかじめ溶融混練した後に、成分(B)及び成分(D)を加えて溶融混練する方法、成分(A)、成分(B)及び成分(C)をあらかじめ溶融混練した後に、成分(D)を加えて溶融混練する方法などが好ましく用いられる。
本発明における樹脂組成物中には本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の成分、例えば、難燃剤、ガラス繊維以外の無機繊維、酸化防止剤や耐熱安定剤、耐候剤、離型剤及び滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤などを添加することができる。このような成分の含有量は、樹脂組成物の全質量に対して、難燃剤、無機繊維などに関しては、40質量%以下、その他の酸化防止剤などに関しては10質量%以下であるのが好ましい。
本発明における樹脂組成物を高速通信分野に適用するという観点からは、本発明における樹脂組成物は、周波数1kHzにおける誘電率が3.2以下であることが好ましい。また、ポータブル機器など強度が求められる分野に適用するという観点からは、本発明の樹脂組成物は、シャルピー衝撃強度が60kJ/m2以上であることが好ましい。
以上の観点から、本発明における樹脂組成物は、周波数1kHzにおける誘電率が3.2以下であり、かつ、シャルピー衝撃強度が60kJ/m2以上であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂成形品に用いられている加工方法、例えば射出成形、押出成形、フィルム・シート成形、チューブ成形、繊維成形、真空成形、ブロー成形、プレス成形、カレンダー成形、発泡成形等により、容易に成形品に加工される。中でも、射出成形、押出成形により加工するのに適している。
本発明の樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、延性に優れ、低誘電率であることから、種々の形状に成形することができる。例えば、上記の成形加工により、シート状、チューブ状に成形するのに適している。
本発明の樹脂組成物を加工して得られた成形品は、電気・電子部品、通信機器部品、自動車部品、家電部品、OA機器部品などに利用するのに適しており、例えば、ケーブル、チューブ、繊維、ブロー成形品、フィルム・シートなどに幅広く利用する事ができる。
以下に本発明を実施例により説明するが、これは単なる例示であり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)物性試験
〔1〕引張試験: (株)東洋精機製作所製、ストログラフ VES 50型を使用し、ロードセル1kN, チャック間距離40mm、延伸速度10mm/minで引張試験を行なった。
〔2〕シャルピー衝撃試験: (株)東洋精機製作所製、DG digital impact testerを使用し、ハンマーの質量による負荷 4J、ハンマーの回転軸中心から重心までの距離 0.23mm、ハンマー持ち上げ角度 150°、周期 0.962sec、温度 20℃で、JIS 7160に準拠して測定を行った。
〔3〕誘電率: アジレント(株)製、4284AプレシジョンLCRメーターを使用して、周波数1kHzにおける誘電率を測定した。
(2)樹脂組成物の成分
・成分(A):ポリフェニレンスルフィド
A−1: 東レ(株)製 トレリナ A900
熱変形温度(ATSM D648に基づく。1.82MPa荷重)105℃ 比重 1.34 融点(DSC測定)278℃
・成分(B):ポリフェニレンエーテル
B−1: 三菱エンプラ(株)製 ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル) ユーピレックス PX−100F (クロロホルム中、30℃の固有粘度 0.4dl/g)
・成分(C):エチレン系三元共重合体
C−1: 住友化学(株)製 ボンドファースト7L
MI(JIS K6760、190℃、2.16kg荷重)=7g/10min, 融点 60℃、表面硬度(ASTM D2240に基づく。Shore D)18、組成:エチレン/グリシジルメタクリレート/アクリル酸メチル=70/3/27(質量比))
・成分(E): エチレン系二元共重合体
E−1: 住友化学(株)製 ボンドファースト2C
MFR(JIS K6760、190℃、2.16kg荷重)=3g/10min、融点 105℃、表面硬度(ASTM D2240に基づく。Shore D) 46、組成:エチレン/グリシジルメタクリレート=94/6(重量比)
E−2: 三井化学(株)製 ポリエチレン、ハイゼックス 2100J
MFR(JIS K6760、190℃、2.16kg荷重)=6g/10min、融点 127℃、表面硬度(ASTM D2240に基づく。Shore D)63
<実施例1〜6及び比較例1〜3>
原料成分は、表1に示す配合で、良く混ぜ合わせた後、押出し機として、(株)東洋精機製作所製ラボプラストミル4M150型を使用し、混練温度300℃、スクリュー回転数100rpm、混練時間10分として、各成分の溶融混練を行なった。
得られた混練品は、温度310℃で予熱3分、圧力20MPaでプレス5分、その後20℃に急冷してプレス成型を行い、厚さ約0.5mmのシートを得て、各物性試験に供した。
引張試験用には、プレスシートを、平行部直線部の長さ16mmのミニダンベル形状に打ち抜いたものを使用した。シャルピー衝撃試験用には、プレスシートをダンベル形状で、全長80mm、厚さ0.5mm、平行部の幅10mm、平行部の長さ10mm、つかみ部の幅15mmに打ち抜いたものを使用した。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2011057720
成分(A)ポリフェニレンスルフィド及び成分(B)ポリフェニレンエーテルを含有し、さらに成分(C)エチレン系三元共重合体を含有する実施例1〜6の樹脂組成物は、成分(C)を含有せずにエチレン系二元共重合体を含有する比較例1の樹脂組成物に比して、延性に優れていた。また、実施例1〜6の樹脂組成物は、成分(C)の代わりにエチレンを含有する比較例2の樹脂組成物に比して延性及び耐衝撃性に優れていた。また、実施例1〜6の樹脂組成物は、成分(A)のみを含有する比較例3の樹脂組成物に比して、延性、耐衝撃性に優れ、しかも低誘電率であった。また、ポリフェニレンスルフィド及びポリフェニレンエーテルは、それぞれ耐熱性に優れることから、これらの成分を主成分とす
る実施例1〜6の樹脂組成物は、耐熱性に優れるものである。
以上より、耐熱性、耐衝撃性、延性、耐衝撃性の全てを具備するためには、(A)ポリフェニレンスルフィド及び(B)ポリフェニレンエーテルを含有し、さらに成分(C)エチレン系三元共重合体を含有することが重要であることが分かった。

Claims (12)

  1. 成分(A)ポリフェニレンスルフィド、成分(B)ポリフェニレンエーテル、及び成分(C)エチレン単位/エチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位/酢酸ビニル単位又はアクリル酸メチル単位からなるエチレン系三元共重合体を配合してなる樹脂組成物。
  2. 成分(C)は、JIS K6760、190℃、2.16kg荷重にて測定したメルトインデックスが2〜50g/10分であり、示差走査熱量測定における融点が45〜100℃である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 成分(A)は、成分(C)のエチレン系不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位又はエチレン系不飽和炭化水素基グリシジルエーテル単位と反応しうる官能基を有する、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 成分(B)は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を90モル%以上含む請求項1〜3の何れか一項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2011057720
    (ここで、R1,R2,R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜7の第一級又は第二級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものである。)
  5. 成分(B)は、クロロホルム中、30℃の固有粘度が0.2〜0.8dl/gであるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であることを特徴とする、請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計量を100質量%としたとき、成分(C)が1〜45質量%であり、かつ、成分(A)と成分(B)の質量比が、10:90〜90:10の範囲であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 成分(A)、成分(B)及び成分(C)を溶融混練することを含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  8. 周波数1kHzにおける誘電率が3.2以下であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  9. シャルピー衝撃強度が60kJ/m2であることを特徴とする、請求項1〜8の何れか一項に記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の樹脂組成物からなる射出成形体、押出し成形体、シート・フィルム成形体。
  11. チューブ状又はシート・フィルム状である、請求項10に記載の成形体。
  12. 請求項10又は11に記載の成形体を用いた電気・電子部品、通信機器部品又は自動車部品。
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