JP2011046272A - 車両走行制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
車両が惰性走行の間の一定時間毎あるいは一定距離走行毎に周期的に惰性走行減速度の計測を行い、前記計測によって得られた最新の惰性走行減速度を用いて、現地点・現時点から減速走行終了点までの等減速度走行による到達可否判定および等減速度走行制御、あるいは前方車両への追従走行移行可否判定および追従走行制御、を行う。
【選択図】 図1
Description
本願発明は上記考え方をより進化させて、ハイブリッド車両、電気自動車の如きエネルギー回生機能を有する車両のみならず、単一駆動源の車両、すなわちエネルギー回生機能を有していないガソリンエンジン車等の車両、においても、車両減速時においてその時点で車両が有している運動エネルギーを最大限効率的に車両の走行エネルギーとして活用するとともに、エネルギー回生機能を有する車両においては前記車両運動エネルギー中の車両走行に供するエネルギーに余るエネルギーを有効に回収エネルギーとすることによって、総合的に車両のエネルギー消費量、排出ガス量の削減を図ろうとするものである。
ここで、惰性走行とは、車両の安全走行上あるいは車両動作の信頼性上の支障をきたさない範囲内で、エンジン、モータ等の車両駆動体の駆動力発生動作を停止する、あるいはエンジン、モータ等の駆動力の駆動輪への伝達を停止・提言する、ことによってその時点で車両の有している運動エネルギーを有効利用して車両を走行させるとともに、走行安全上制動動作が必要な状態が発生した場合は直ちに正常な制動動作に移行できる走行状態をいう。
即ち、車両の減速に際し、走行の安全性あるいは車両動作の信頼性が確保できる範囲内で、車両の有している運動エネルギー利用効率順に、即ち惰性走行、回生ブレーキ、摩擦ブレーキ、の順に、減速方法の優先順位を設定し、制御する。
例えば、車両現在位置から車両停止位置までの間、惰性走行で到達可能か否かの判定あるいは到達するための車両制御を行う場合においては正確な惰性走行減速度が必要になる。
標準的な道路での標準的な走行状態での前記惰性走行減速度はあらかじめ準備して設定しておき、これを上記判定あるいは制御に用いることも可能であるが、実際の惰性走行減速度は車両走行中の道路状態(道路勾配、道路表面状況等)、車両走行状態(車両走行速度、車両負荷等)によって大きく変化する。したがって正しい惰性走行可否の判定および惰性走行制御を行おうとした場合、車両が現在走行中の道路での走行状態に対応した惰性走行減速度が必要になる。
本願発明は上記実走行状態に即した惰性走行減速度算出方法およびその利用方法に関する。
即ち、速度v1から緩加速度αa で速度v2 まで加速度走行を、また速度v2から速度v1まで惰性走行を、各々繰り返すことによって平均走行速度vsa =(v1 +v2 )/2の定速度走行(巡航走行)を行う。そして速度v2から速度v1までの惰性走行中の速度v2’〜v1’の間、すなわち時刻t2’〜t3’の間、において惰性走行減速度の計測を行う。ここで惰性走行減速度計測を惰性走行開始時t2と同時に開始しない理由は、時刻t2ではまだ緩加速度走行から惰性走行への移行の過渡状態にあるため、即ち車両走行状態が安定しないため、である。
惰性走行減速度αi の算出は、時刻t2’時の速度v2’ と時刻t3’時の速度v1’ から(数1)を用いて、あるいは時刻がt2’からt3’に経過する間の車両走行距離d23 から(数2)を用いて行う。
αi=(v1’−v2’)/(t3’−t2’)
αi={(v1’)2−(v2’)2 }/(2・d23)
αi:時刻t2’から時刻t3’までの惰性走行の間の惰性走行減速度
t2’:惰性走行開始時刻、惰性走行減速度計測開始時刻
t3’:惰性走行減速度計測終了時刻
v2’:時刻t2’時点の車両速度
v1’:時刻t3’時点の車両速度
d23:時刻t2’−時刻t3’間の車両走行距離
である。
ここで、αi >0:惰性走行加速度、αi <0:惰性走行減速度である。
地点Pから車両停止点Cまでの車両走行距離Dを知って、地点Pからの惰性走行減速度以下の減速度による等減速度走行によって車両停止点Cに到達可能か否かを判定する場合、
時刻tpの地点Pから惰性走行減速度以下の減速度による等減速度走行によって交差点Aに時刻ta に到達可能か否かを判定する場合、
あるいは、単独で巡航走行している車両が前方車両を認め、前方車両への追従走行領域までに惰性走行減速度以下の減速度による等減速度走行で到達(移行)可能か否かを判定する場合、等がある。
ここで前方車両への追従走行領域とは、前方車両走行速度vaと自車−前方車両間許容相対速度vr0 で定まる、自車が前方車両に等減速度走行および等緩加速度走行の繰り返しで安全かつ効率的に追従走行可能な領域をいう(特許文献5参照)。
惰性走行減速度αi 、等減速走行減速度αir 、制動走行減速度αbの関係は(数3)であらわされる。即ち、等減速走行減速度αirは、惰性走行減速度αiに制動減速度αbを加えたものとなる。したがって、車両の有する運動エネルギーを最大限活用した減速を行うためには、等減速度走行減速度αirは、惰性走行減速度αi に極力近い値であることが望ましい。しかし車両減速時、車両が惰性走行によるエネルギー消費に余る運動エネルギーを有する場合はそれを制動減速度αbによって吸収する必要がある。
ここで制動減速度αbは回生ブレーキあるいは摩擦ブレーキによって車両を制動する際の減速度であり、減速時のエネルギー効率を考えると回生ブレーキを可能な限り使ってエネルギー回生を行い、摩擦ブレーキによるエネルギー廃棄は極力少なくすることが望ましい。
以上より、等減速走行減速度αirによる等減速度走行は、惰性走行減速度αi による惰性走行を回生ブレーキあるいは摩擦ブレーキの制動減速度αb(<0)によって調整しつつ走行することによって、可能となることが分かる。但しそのためにはαir <αiでなければならない。
αir =αi +αb
地点Pを速度vsで通過した車両が一定減速度で走行し、地点B(但し地点Bは地点P−地点C間にあり、地点B−地点C間は摩擦ブレーキによる減速区間とする)に速度vminで到達するための減速度αirを(数4)を用いて算出する。
αir =(vmin2−vs2)/{2・(D−D’)}
但し、
D:地点P−車両停止点C間距離、
D’:地点B−車両停止点C間距離、摩擦制動での走行距離、
vs:車両の地点P通過速度、
vmin:地点B到達速度、
である。
この場合、地点Pから地点Bまでの間の減速度αir での等減速度走行は、惰性走行によって走行するにあまる車両の運動エネルギーを回生ブレーキ(制動減速度αb)によって回生する走行となる。
一方、(数5)が成立しない場合は、惰性走行減速度αiをもってしても、地点Cへの等減速度走行は不可能であるとして、車両は一定時間あるいは一定距離巡航走行を継続したのち改めて地点Cへの等減速度走行のための減速度αir を算出し、その時点で最新の惰性走行減速度αiとの比較を行う。前記等減速度走行のための減速度算出および惰性走行減速度との比較は、(数5)が成立するまで繰り返し、(数5)が成立した後はその時点で算出された減速度αir,での等減速走行で地点Cに向けて走行する。
αi >αir
時刻tp での特定地点P通過から等減速度走行によって交差点Aへ時刻taでの到達可否、即ち交差点Aを青信号無停止で通過するための特定地点Pから交差点Aまでの等減速度走行可否および走行制御も同様な考え方で判定・実行できる。
(数5)を満足しない場合は前記等減速度走行のための減速度算出および惰性走行減速度との比較を、(数5)が成立するまで繰り返し行い、(数5)が成立した時点で算出された減速度αir,での等減速度走行で交差点Aに向かい交差点Aに時刻ta に到着し、交差点Aを青信号・無停止で通過する。
αir =2{(D−ΔD)−vs(ta−tp’)}/(ta−tp’)2
ここで、
D:地点P−交差点A間車両走行距離
ΔD:地点P通過後現時点までの車両走行距離、
vs:現時点の車両速度、
ta:車両の交差点A到着時刻
tp’:現時刻(=tp+Δt)
tp:車両の地点P通過時刻
Δt:車両の地点P通過後の現時点までの経過時間、
である。
自車両31は速度va で走行する前方車両32に対し安全車間距離L1(va)、(数7)で示される惰性走行距離最大値L2(va)、(数8)で示される緩加速度走行距離L3(va) 最大値、および(数9)で示される相対速度許容範囲、で定まる追従走行領域33(但し、追従走行領域33は、(数9)の相対速度範囲と(数10)の車間距離範囲で設定される惰性追従走行領域34と、(数9)の相対速度範囲と(数11)の車間距離範囲で設定される緩加速度追従走行領域35で構成される。)を設定する。
惰性走行距離L2(va)は、速度vaで走行する前方車両との相対速度vr=+vr0で走行中の自車両が、減速度αiの惰性走行に移行して後相対速度vr=0 になるまでの間に前方車両に接近する相対走行距離、
緩加速度走行距離L3(va)は、速度vaで走行する前方車両との相対速度vr=−vr0で走行中の自車両が、緩加速度αaの加速走行に移行して後相対速度vr=0 になるまでの間に前方車両から離遠する相対走行距離、
である。
L2(va)=−vr02 /(2・αi)
L3(va)=vr02 /(2・αa)
−vr0 ≦ vr ≦ vr0
L1(va)≦L<L1(va)+L2(va)
L1(va)+L2(va)<L ≦L1(va)+L2(va) +L3(va)
L=L1(va)+L2(va)
αir =(va2−vs2)
/{2・(L−L1(va)−L2(va))}
L1(va)≦L ≦L1(va)+L2(va)+L3(va))
また追従走行への移行を終了した時点での自車と前方車両の車間距離Lが(数11)を満足する場合は緩加速度αaの緩加速度走行をおこなう。
また、緩加速度追従走行領域35で緩加速度走行中相対速度vrがvr=0なる状態を経由した後車間距離Lが(数11)の状態から(数12)に示す距離(境界車間距離)に短縮あるいは相対速度vrが(数16)に示す速度に増加した場合は緩加速度走行から減速度αi の惰性走行に、
各々移行する。
vr=−vr0
vr=+vr0
L <L1(va)
L>L1(va)+L2(va)+L3(va)
また、前方走行車に追従走行する場合は前方走行車との車間距離および相対速度検知のための前方レーダが必要となる。
さらに、惰性走行あるいは等減速度走行開始に際しての駆動体動作停止、駆動力の駆動輪への伝達遮断等に関連する惰性走行移行操作、および惰性走行状態からブレーキによる減速状態への移行に際しての操作、を個々に手動で行うのでなく、車両の安全走行に支障をきたさないようにかつ自動的に一括して行うことが可能な、また車両の走行制御のための速度制御目標値として等減速度走行減速度αirを設定することによって自動的に制動減速度αbが適切に制御される改良された惰性走行/等減速走行制御機能を有する速度制御装置の開発・導入が望まれる。
図2において、
201は、惰性走行減速度計測手順開始点、
202は、惰性走行が開始されているか否かを判定する惰性走行開始判定処理、
203は、惰性走行開始時点からの経過時間計測のためのタイマーイニシャライズ処理、
204は、惰性走行開始後の一定時間Ti1経過を判定する一定時間Ti1経過判定処理であり、一定時間Ti1経過の後惰性走行減速度αiの計測が可能となる。
205は、処理204で惰性走行開始後一定時間Ti1経過と判定した時点の車両走行速度v2’を取り込むv2'取り込み処理、
207は、処理206において惰性走行開始後一定時間(Ti1+Ti2)は未だ経過していないと判定した場合、惰性走行がすでに終了しているか否かを判定する惰性走行終了判定処理、
208は、処理206において惰性走行開始後一定時間(Ti1+Ti2)経過したと判定した場合、その時点の車両速度v1’を取り込むv1’取り込み処理、
209は、取り込み済みの車両速度v2’およびv1’から(数1)によって惰性走行減速度αiを算出・記憶する惰性走行減速度算出・記憶処理、但し(数1)においてt2’ =Ti1、t3’= Ti1+Ti2である。
211は、処理210と同様引き続き惰性走行減速度を計測するために、惰性走行開始後の経過時間Δti を時間Ti1に設定する経過時間置き換え処理、
である。
以上の如く処理することにより、惰性走行、緩加速走行繰り返し時だけでなく惰性走行が継続する場合も惰性走行減速度は継続して計測・更新が可能となる。
また上記処理の経過時間の計測、車両速度の取り込み、および惰性走行減速度の演算は、図4に示す車載装置例において、可能である。
図4において、
401は、カーナビゲーション機能に本願発明による惰性走行減速度演算・記憶機能、減速度走行可否判定および走行制御機能を付加した車載装置の演算制御部、
402は、車両の現在位置特定部であり、GPS受信機、方位計、あるいはジャイロ等で構成される、
403は、惰性走行開始後の車両走行距離、および特定地点(本例の場合は、地点P)通過後の車両走行距離、を計測する走行距離計測部であり、後述の速度較正部404で較正された自車走行速度(自車速)を時間積分することによって走行距離計測を行う、
405は、惰性走行開始後の経過時間、および特定地点(本例の場合は、地点P)通過時からの経過時間、を計測する経過時間計側部、
406は、通常走行中から等減速度走行移行時等において、自車前方の走行車両あるいは障害物の有無を検知して惰性走行移行に危険がないか否かを判定する前方レーダ部、
408は、通常の走行速度制御機能に加えて、惰性走行あるいは等減速度走行開始に際しての車両駆動体動作停止、駆動力の駆動輪への伝達遮断等に関連する惰性走行移行操作、および惰性走行状態からブレーキによる減速状態への移行に際しての操作を、車両の安全走行に支障をきたさないようかつ自動的に一括して行うことが可能な、また車両の走行制御のための速度制御目標値として等減速度走行減速度αirを設定することによって自動的に制動減速度αbが適切に制御される惰性走行/等減速走行制御機能を有する速度制御装置
410は、カーナビゲーションおよび本願発明による車両の惰性走行減速度計測および等減速度制御に必要な音声入出力を行う音声入出力部、
411は、カーナビゲーションおよび本願発明による車両の惰性走行減速度計測および等による減速度制御に必要な表示入出力を行う表示入出力部、
412は、あらかじめ本願発明による惰性走行減速度計測および等減速度制御の基準となる惰性走行減速度標準値(αi0 )を設定する標準減速度設定部、
である。
図5において、
501は、地点Pから停止地点Cまでの等減速度走行による到達制御手順開始点、
502は、車両が等減速度走行制御開始点である地点Pを通過したか否かを位置特定部402で特定した位置データから判定する地点P通過判定処理、
503は、処理502において車両が地点Pを通過したと判定した場合、地点P通過後の経過時間Δt、地点Pからの走行距離ΔDの計数を開始するΔt、ΔD計数開始処理、
504は、地点P−地点C間車両走行距離D
情報を地図データベースから取り込むD取り込み処理、
505は、現時点の車両走行速度vs および車両走行速度vsに対応した走行速度下限値vmin を取り込むvs/vmin取り込み処理、
506は、現時点から車両停止点までの等減速度走行のための等減速度αirを、前記(数4)を用いて算出するαir 算出処理
508は、処理507での比較結果(数5)を満足した場合、即ちαi >αirと判定した場合、車両は減速度αir の等減速走行で地点Bに(地点B到達速度vminで)到達可能として、減速度αirでの等減速度走行開始のためのレーダによる前方安全確認を行う前方安全確認処理、
509は、処理508で前方安全が確認された場合減速度αir での等減速度走行を開始する等減速度走行開始処理、
510は、処理507でαi >αirを満足しないと判定された場合あるいは処理508で車両前方に障害物等があって減速度αirでの等減速走行が開始できないとき、一定時間の巡航走行を行って(この間には新たな惰性走行減速度αiの計測もなされる)後処理505に戻る一定時間巡航処理、
512は、処理511で、車両速度vsが下限値vminに到達したと判定した場合は、等減速度走行から摩擦ブレーキ主体の減速に切り替えて地点Cに向けて走行する等減速度走行終了処理、
513は、車両が目的地点Cに到達したか否かを、地点Pからの走行距離計数結果ΔD、位置特定機能、あるいはドライバーの目視、で判定する地点C到達判定処理、
514は、地点Pから停止地点Cまでの等減速度走行による到達制御手順終了点、
である。
上記路車間通信によって路側から車側に、地点P−交差点A間車両走行距離、車両の地点P通過時刻ta 、交差点Aを青信号無停止で通過するための走行条件(本例の場合は交差点A到達予定時刻ta )が通報されるものとする。
601〜603は、図5における501〜503に同じ、
604は、地点P−交差点A間車両走行距離D情報、車両の地点P通過時刻tp、および交差点A到着予定時刻ta を路車間通信によって路車間通信路側装置から取り込むデータ取り込み処理、
606は、現時点から車両停止点までの等減速度走行のための等減速度αirを、前記(数6)を用いて算出するαir 算出処理
607〜610は図5における507〜510に同じ、
612は、処理611で時刻がta’ に達したと判定した場合、その時の自車速度vsおよび地点Pからの走行距離ΔDを取り込んで現時点から交差点Aまでの等減速度走行のための修正減速度αir’ を算出するαir’ 算出処理、
但しαir’はαir’ =2{(D−ΔD)−vs(ta−ta’)}/(ta−ta’)2 より算出する。
613は、いままでの等減速度走行のための減速度αirに代えて、処理612で算出した等減速度走行のための修正減速度αir’で交差点Aに向けて走行する修正減速度αir’での等減速度走行処理、
614は、交差点Aに到達したか否かを判定する交差点A到達判定処理、
615は、処理614で、車両が交差点Aに到達したと判定した場合は本等減速度走行による交差点A通過制御手順を終了させる終了点、
である。
本実施例の車載装置構成は、基本的には前記図4の実施例2構成に同一である。ただし、前方レーダは単に前方の障害物あるいは走行車両の検知だけではなく、自車−前方走行車間の車間距離の計測および相対速度の検知が可能なものとする。
701は、本願発明による前方走行車への追従走行制御処理手順開始点、
702は、自車前方に追従走行すべき走行車があるか否かを前方レーダ406出力で判定する前方走行車判定処理、
703は、巡航走行を行う巡航走行処理、この間の惰性走行中に惰性走行減速度αiの計測・更新を行う。
704は、前方レーダ406から自車−前方走行車車間距離L、自車−前方走行車間相対速度vr (ただし、自車が前方走行車に接近しつつある場合をvr >0とする)を、また自車速度計から自車速vs を、前記相対速度vrと自車速vs から前方車両速度va (=vs−vr)を、検知するとともに、データベース中から前方車両速度vaに対応した制動距離(安全車間距離)L1(va)、自車−前方走行車間許容相対速度vr0 、および緩加速度αa を取り込んで追従走行領域を設定する追従走行領域設定処理、
706は、惰性走行減速度αi と処理705で算出した等減速度走行減速度αir を比較する減速度比較処理、
707は、処理706の結果(数5)を満足した場合、減速度αirでの等減速度走行を開始する等減速度走行開始処理、
709は、自車−前方走行車間距離LとL1(va)の比較をする車間距離比較処理、
710は、処理709において自車−前方走行車間距離LがL1(va) 以下であると判定した場合、前方走行車への追突回避のための制動を行う減速・制動処理、
711は、前方車両との相対速度vrがvr=0、即ち等減速度走行での追従走行領域への移行が終了したか否かを判定する、追従領域移行終了判定処理、
713は、車両が追従領域中の緩加速走行領域(図3中の35)にいるか否かを自車−前方走行車間距離LがL1(va)+L2(va)を超えているか否かから判定する緩加速走行領域判定処理、
715は、処理704に同じ、
716は、自車−前方走行車間距離LがL<L1(va)+L2(va)の状態からL=L1(va)+L2(va)に達したか否か、即ち惰性走行から緩加速走行に移行すべき状態に達したか否かを判定する緩加速走行移行判定処理、
718は、処理715に同じ、
719は、自車−前方走行車間距離LがL<L1(va)+L2(va)の状態からL=L1(va)+L2(va)に達したか否か、即ち緩加速走行から惰性走行に移行すべき状態に達したか否かを判定する惰性走行移行判定処理、
である。
地点通過時に、加速走行開始、惰性走行開始、の切り替え操作を行うことによって、車間距離変動幅の少なく従って走行速度変動幅の少ない、即ち運動エネルギー利用効率の良い、追従走行が可能となる。
L:自車−前方車両車間距離
L1:安全車間距離、安全車間距離(=L1(va))は、速度vaで走行する前方車両に相対速度vr=0で追従走行する自車両が緊急時安全に停止できる最小車間距離、
L2:惰性走行距離、惰性走行距離(=L2(va))は、速度vaで走行する前方車両との相対速度vr=+vr0で走行中の自車両が、減速度αiの惰性走行に移行して後相対速度vr=0 になるまでの間に前方車両に接近する相対走行距離、
L3:緩加速度走行距離、緩加速度走行距離(=L3(va))は、速度vaで走行する前方車両との相対速度vr=−vr0走行中の自車両が、緩加速度αaの加速走行に移行して後相対速度vr=0 になるまでの間に前方車両から離遠する相対走行距離、
L1+L2:境界車間距離、
vr0:前方車両速度vaによって定まる追従走行時の相対速度許容上下限値の絶対値、
31:自車両、走行速度vs 、
32:前方車両、走行速度va 、
33:追従走行領域、
34:追従走行領域中の惰性追従走行領域、
35:追従走行領域中の緩加速度追従走行領域、
36:境界車間距離(=L1(va)+L2(va))
である。
本願発明は上記考え方をより進化させて、ハイブリッド車両、電気自動車の如きエネルギー回生機能を有する車両のみならず、エネルギー回生機能を有していないガソリンエンジン車等の車両、においても、車両減速時においてその時点で車両が有している運動エネルギーを最大限効率的に車両の走行エネルギーとして活用するとともに、エネルギー回生機能を有する車両においては前記車両減速時に車両の有している運動エネルギー中の車両走行に供するエネルギーに余るエネルギーを有効に回収エネルギーとすることによって、総合的に車両のエネルギー消費量、排出ガス量の削減を図ろうとするものである。
ここで、惰性走行とは、車両の安全走行上あるいは車両動作の信頼性上の支障をきたさない範囲内で、エンジン、モータ等の車両駆動体の駆動力発生動作を停止する、あるいはエンジン、モータ等の駆動力の駆動輪への伝達を停止・低減する、ことによってその時点で車両の有している運動エネルギーを有効利用して車両を走行させるとともに、走行安全上制動動作が必要な状態が発生した場合は直ちに正常な制動動作に移行できる走行状態をいう。
例えば、車両現在位置から車両停止位置までの間、惰性走行で到達可能か否かの判定あるいは到達するための車両制御を行う場合においては正確な惰性走行減速度が必要になる。
標準的な道路での標準的な走行状態での前記惰性走行減速度はあらかじめ準備して設定しておき、これを上記惰性走行可否の判定あるいは制御に用いることも可能であるが、実際の惰性走行減速度は車両走行中の道路状態(道路勾配、道路表面状況等)、車両走行状態(車両走行速度、車両負荷等)によって大きく変化する。したがって正しい惰性走行可否の判定および惰性走行制御を行おうとした場合、車両が現在走行中の道路での走行状態に対応した惰性走行減速度が必要になる。
本願発明は上記実走行状態に即した惰性走行減速度算出方法およびその利用方法に関する。
地点Pから車両停止点Cまでの車両走行距離Dを知って、地点Pからの惰性走行減速度以下の減速度による等減速度走行によって車両停止点Cに到達可能か否かを判定する場合、
時刻tpの地点Pから惰性走行減速度以下の減速度による等減速度走行によって交差点Aに時刻ta に到達可能か否かを判定する場合、
あるいは、単独で巡航走行している車両が前方車両を認め、前方車両への追従走行領域までに惰性走行減速度以下の減速度による等減速度走行で到達(移行)可能か否かを判定する場合、等がある。
ここで、時刻taとは交差点Aが青信号の間の特定時刻である。また前方車両への追従走行領域とは、前方車両走行速度vaと自車−前方車両間許容相対速度vr0 で定まる、自車が前方車両に等減速度走行および等緩加速度走行の繰り返しで安全かつ効率的に追従走行可能な領域をいう(特許文献5参照)。
惰性走行減速度αi(αi <0) 、等減速度走行減速度αir(αir <0)、制動走行減速度αb(αb <0)の関係は(数3)であらわされる。即ち、等減速度走行減速度αirは、惰性走行減速度αiと制動減速度αbの和となる。したがって、車両の有する運動エネルギーを最大限活用した減速を行うためには、等減速度走行減速度αirは、惰性走行減速度αi に等しい値であることが望ましい。しかし車両減速時、車両が惰性走行によるエネルギー消費に余る運動エネルギーを有する、即ちαi>αirの、場合もあり、この場合には、回生ブレーキあるいは摩擦ブレーキによる制動(制動減速度αb)によって(αi−αir)分を吸収する必要がある。
ここで制動減速度αbは回生ブレーキあるいは摩擦ブレーキによる車両制動の減速度であり、減速時のエネルギー効率を考えると、回生ブレーキを可能な限り使ってエネルギー回生を行い、摩擦ブレーキによるエネルギー廃棄は極力少なくすることが望ましい。
以上より、等減速走行減速度αirによる等減速度走行は、惰性走行減速度αi による惰性走行を回生ブレーキあるいは摩擦ブレーキによる制動減速度αb調整による走行によって、可能となることが分かる。
αir =(vmin2−vs2)/{2・(D−D’)}
但し、
D:地点P−車両停止点C間距離、
D’:地点B−車両停止点C間距離、摩擦制動での走行距離、
vs:車両の地点P通過速度、
vmin:地点B到達速度、
である。
速度vminで到達後摩擦ブレーキで地点Cで停止するように走行し、)地点Cで停止する。この場合、地点Pから地点Bまでの間の減速度αir での等減速度走行は、惰性走行によって走行するに余る車両の運動エネルギーを回生ブレーキ(制動減速度αb)によって回生する走行となる。
一方、(数5)が成立しない場合は、惰性走行減速度αiでの惰性走行では地点Cへの等減速度走行は不可能であるとして、車両は一定時間あるいは一定距離巡航走行を継続したのち改めて地点Cへの等減速度走行のための減速度αir を算出し、その時点で最新の惰性走行減速度αiとの比較を行う。前記等減速度走行のための減速度算出および惰性走行減速度との比較は、(数5)が成立するまで繰り返し、(数5)が成立した後はその時点で算出された減速度αir,での等減速走行で地点Cに向けて走行する。
αi≧αir
時刻tp での特定地点P通過から等減速度走行によって交差点Aへ時刻taでの到達可否、即ち交差点Aを青信号無停止で通過するための特定地点Pから交差点Aまでの等減速度走行可否および走行制御も同様な考え方で判定・実行できる。
(数5)を満足しない場合は前記等減速度走行のための減速度算出および惰性走行減速度との比較を、(数5)が成立するまで繰り返し行い、(数5)が成立した時点で算出された減速度αirでの等減速度走行で交差点Aに向かい交差点Aに時刻ta に到着し、交差点Aを青信号・無停止で通過する。
αir =2{(D−ΔD)−vs(ta−tp’)}/(ta−tp’)2
ここで、
D:地点P−交差点A間車両走行距離
ΔD:地点P通過後現時点までの車両走行距離、
vs:現時点の車両速度、
ta:車両の交差点A到着時刻
tp’:現時刻(=tp+Δt)
tp:車両の地点P通過時刻
Δt:車両の地点P通過後の現時点までの経過時間、
である。
自車両31は速度va で走行する前方車両32に対し、安全車間距離L1(va)、(数7)で示される惰性走行距離最大値L2(va)、(数8)で示される緩加速度走行距離L3(va) 最大値、および(数9)で示される相対速度許容範囲、で定まる追従走行領域33(但し、追従走行領域33は、(数9)の相対速度範囲と(数10)の車間距離範囲で設定される惰性追従走行領域34と、(数9)の相対速度範囲と(数11)の車間距離範囲で設定される緩加速度追従走行領域35で構成される。)を設定する。
惰性走行距離L2(va)は、速度vaで走行する前方車両との相対速度vr=+vr0で走行中の自車両が、減速度αiの惰性走行に移行して後相対速度vr=0 になるまでの間に前方車両に接近する相対走行距離、
緩加速度走行距離L3(va)は、速度vaで走行する前方車両との相対速度vr=−vr0で走行中の自車両が、緩加速度αaの加速走行に移行して後相対速度vr=0 になるまでの間に前方車両から離遠する相対走行距離、
である。
L2(va)=−vr02 /(2・αi)
L3(va)=vr02 /(2・αa)
L1(va)≦L<L1(va)+L2(va)
L1(va)+L2(va)<L≦L1(va)+L2(va) +L3(va)
L=L1(va)+L2(va)
αir =(va2−vs2)/{2・(L−L1(va)−L2(va))}
の等減速走行を開始した後、前方車両との相対速度vrがvr=0となった時点の前方車両との車間距離Lを計測し、車間距離Lが(数14)に示す範囲内にある場合は、自車両は前方車両に対して、追従走行領域への移行が終了したとして以下の操作による追従走行に入る。
L1(va)≦L≦L1(va)+L2(va)+L3(va)
また追従走行への移行を終了した時点での自車と前方車両の車間距離Lが(数11)を満足する場合は緩加速度αaの緩加速度走行をおこなう。
L<L1(va)
211は、処理210と同様引き続き惰性走行減速度を計測するために、惰性走行開始後の経過時間Δti を時間Ti1に設定する経過時間置き換え処理、
である。
以上の如く処理することにより、惰性走行、緩加速走行繰り返し時だけでなく惰性走行が継続する場合も惰性走行減速度は継続して計測・更新が可能となる。
また上記処理の経過時間の計測、車両速度の取り込み、および惰性走行減速度の演算は、図4に示す車載装置例において、可能である。
410は、カーナビゲーションおよび本願発明による車両の惰性走行減速度計測および等減速度制御に必要な音声入出力を行う音声入出力部、
411は、カーナビゲーションおよび本願発明による車両の惰性走行減速度計測および等減速度制御に必要な表示入出力を行う表示入出力部、
412は、あらかじめ本願発明による惰性走行減速度計測および等減速度制御の基準となる惰性走行減速度標準値(αi0 )を設定する標準減速度設定部、
である。
上記路車間通信によって路側から車側に、地点P−交差点A間車両走行距離、車両の地点P通過時刻tp 、交差点Aを青信号無停止で通過するための走行条件(本例の場合は交差点A到達予定時刻ta )が通報されるものとする。
612は、処理611で時刻がta’ に達したと判定した場合、その時の自車速度vsおよび地点Pからの走行距離ΔDを取り込んで現時点から交差点Aまでの等減速度走行のための修正減速度αir’ を算出するαir’ 算出処理、
但しαir’はαir’ =2{(D−ΔD)−vs(ta−ta’)}/(ta−ta’)2 より算出する。
613は、いままでの等減速度走行のための減速度αirに代えて、処理612で算出した等減速度走行のための修正減速度αir’で交差点Aに向けて走行する修正減速度αir’での等減速度走行処理、
614は、交差点Aに到達したか否かを判定する交差点A到達判定処理、
615は、処理614で、車両が交差点Aに到達したと判定した場合は本等減速度走行による交差点A通過制御手順を終了させる終了点、
である。
701は、本願発明による前方走行車への追従走行制御処理手順開始点、
702は、自車前方に追従走行すべき走行車があるか否かを前方レーダ406出力で判定する前方走行車判定処理、
703は、巡航走行を行う巡航走行処理、この間の惰性走行中に惰性走行減速度αiの計測・更新を行う。
704は、前方レーダ406から自車−前方走行車車間距離L、自車−前方走行車間相対速度vr (ただし、自車が前方走行車に接近しつつある場合をvr >0とする)を、また自車速度計から自車速vs を、前記相対速度vrと自車速vs から前方車両速度va (=vs−vr)を、検知するとともに、データベース中から前方車両速度vaに対応した制動距離(安全車間距離)L1(va)、自車−前方走行車間許容相対速度vr0 、および緩加速度αa を取り込んで追従走行領域を設定する追従走行領域設定処理、
709は、自車−前方走行車間距離LとL1(va)の比較をする車間距離比較処理、
710は、処理709において自車−前方走行車間距離LがL1(va) 以下であると判定した場合、前方走行車への追突回避のための制動を行う減速・制動処理、
711は、前方車両との相対速度vrがvr=0、即ち等減速度走行での追従走行領域への移行が終了したか否かを判定する、追従領域移行終了判定処理、
713は、車両が追従領域中の緩加速走行領域(図3中の35)にいるか否かを自車−前方走行車間距離LがL1(va)+L2(va)を超えているか否かから判定する緩加速走行領域判定処理、
715は、処理704に同じ、
716は、自車−前方走行車間距離LがL<L1(va)+L2(va)の状態からL=L1(va)
+L2(va)に達したか否か、即ち惰性走行から緩加速走行に移行すべき状態に達したか否か
を判定する緩加速走行移行判定処理、
718は、処理715に同じ、
719は、自車−前方走行車間距離LがL<L1(va)+L2(va)の状態からL=L1(va)
+L2(va)に達したか否か、即ち緩加速走行から惰性走行に移行すべき状態に達したか否かを判定する惰性走行移行判定処理、
である。
L:自車−前方車両車間距離
L1:安全車間距離、安全車間距離(=L1(va))は、速度vaで走行する前方車両に相対速度vr=0で追従走行する自車両が緊急時安全に停止できる最小車間距離、
L2:惰性走行距離、惰性走行距離(=L2(va))は、速度vaで走行する前方車両との相対速度vr=+vr0で走行中の自車両が、減速度αiの惰性走行に移行して後相対速度vr=0 になるまでの間に前方車両に接近する相対走行距離、
L3:緩加速度走行距離、緩加速度走行距離(=L3(va))は、速度vaで走行する前方車両との相対速度vr=−vr0走行中の自車両が、緩加速度αaの加速走行に移行して後相対速度vr=0 になるまでの間に前方車両から離遠する相対走行距離、
L1+L2:境界車間距離、
vr0:前方車両速度vaによって定まる追従走行時の相対速度許容上下限値の絶対値、
31:自車両、走行速度vs 、
32:前方車両、走行速度va 、
33:追従走行領域、
34:追従走行領域中の惰性追従走行領域、
35:追従走行領域中の緩加速度追従走行領域、
36:境界車間距離(=L1(va)+L2(va))
である。
本願発明は上記考え方をより進化させて、ハイブリッド車両、電気自動車の如きエネルギー回生機能を有する車両のみならず、単一駆動源の車両、すなわちエネルギー回生機能を有していないガソリンエンジン車等の車両、においても、車両減速時においてその時点で車両が有している運動エネルギーを最大限効率的に車両の走行エネルギーとして活用するとともに、エネルギー回生機能を有する車両においては前記車両減速時に車両の有している運動エネルギー中の車両走行に供するエネルギーに余るエネルギーを有効に回収エネルギーとすることによって、総合的に車両のエネルギー消費量、排出ガス量の削減を図ろうとするものである。
ここで、惰性走行とは、車両の安全走行上あるいは車両動作の信頼性上の支障をきたさない範囲内で、エンジン、モータ等の車両駆動体の駆動力発生動作を停止する、あるいはエンジン、モータ等の駆動力の駆動輪への伝達を停止・低減する、ことによってその時点で車両の有している運動エネルギーを有効利用して車両を走行させるとともに、走行安全上制動動作あるいは加速動作等が必要な状態が発生した場合は直ちに正常な制動動作あるいは加速動作等に移行できる走行状態をいう。
即ち、車両の減速に際し、走行の安全性あるいは車両動作の信頼性が確保できる範囲内で、車両の有している運動エネルギー利用効率順に、即ち惰性走行、回生ブレーキ、摩擦ブレーキ、の順に、減速方法の優先順位を設定し、制御する。
例えば、車両現在位置から車両停止位置までの間、惰性走行で到達可能か否かの判定あるいは到達するための車両制御を行う場合においては正確な惰性走行減速度が必要になる。
標準的な道路での標準的な走行状態での前記惰性走行減速度はあらかじめ準備して設定しておき、これを上記惰性走行可否の判定あるいは制御に用いることも可能であるが、実際の惰性走行減速度は車両走行中の道路状態(道路勾配、道路表面状況等)、車両走行状態(車両走行速度、車両負荷等)によって大きく変化する。したがって正しい惰性走行可否の判定および惰性走行制御を行おうとした場合、現在走行中の道路状態、車両状態等に対応した惰性走行減速度が必要になる。
本願発明は上記実走行状態に即した惰性走行減速度算出方法およびその利用方法に関する。
αi:時刻t2’から時刻t3’までの惰性走行の間の惰性走行減速度
t2’:惰性走行減速度計測開始時刻
t3’:惰性走行減速度計測終了時刻
v2’:時刻t2’時点の車両速度
v1’:時刻t3’時点の車両速度
d23:時刻t2’−時刻t3’間の車両走行距離
である。
ここで、αi >0:惰性走行加速度、αi <0:惰性走行減速度、である。
地点Pから車両停止点Cまでの車両走行距離Dを知って、地点Pからの惰性走行減速度以下の減速度による等減速度走行によって車両停止点Cに到達可能か否かを判定する場合、
時刻tpの地点Pから惰性走行減速度以下の減速度による等減速度走行によって交差点Aに青信号期間中の時刻ta に到達可能か否かを判定する場合、
あるいは、単独で巡航走行している車両が前方車両を認め、前方車両への追従走行領域までに惰性走行減速度以下の減速度による等減速度走行で到達(移行)可能か否かを判定する場合、等がある。
ここで前方車両への追従走行領域とは、前方車両走行速度vaと自車−前方車両間許容相対速度vr0 で定まる、自車が前方車両に等減速度走行および等緩加速度走行の繰り返しで安全かつ効率的に追従走行可能な領域をいう(特許文献5参照)。
惰性走行減速度αi(αi<0)
、等減速走行減速度αir(αir<0) 、制動走行減速度αb(αb<0)の関係は(数3)であらわされる。即ち、等減速度走行減速度αirは、惰性走行減速度αiと制動減速度αbの和となる。したがって、車両の有する運動エネルギーを最大限活用した減速を行うためには、等減速度走行減速度αirは、惰性走行減速度αi に等しい値であることが望ましい。しかし車両減速時、車両が惰性走行によるエネルギー消費に余る運動エネルギーを有する、即ちαi>αirの場合もあり、この場合には制動減速度αbによって(αir−αi)分を吸収する必要がある。
ここで制動減速度αbは回生ブレーキあるいは摩擦ブレーキによって車両を制動する際の減速度であり、減速時のエネルギー効率を考えると回生ブレーキを可能な限り使ってエネルギー回生を行い、摩擦ブレーキによるエネルギー廃棄は極力少なくすることが望ましい。
以上より、αi>αirの場合の等減速走行減速度αirによる等減速度走行は、惰性走行減速度αi
による惰性走行に回生ブレーキあるいは摩擦ブレーキによる制動減速度αb(<0)を付加しつつ走行することによって、可能となることが分かる。
この場合、地点Pから地点Bまでの間の減速度αir での等減速度走行は、惰性走行によって走行するに余る車両の運動エネルギーを回生ブレーキ(制動減速度αb)によって回生する走行となる。
一方、(数5)が成立しない場合は、惰性走行減速度αiでの惰性走行では地点Cへの等減速度走行は不可能であるとして、車両は一定時間あるいは一定距離巡航走行を継続したのち改めて地点Cへの等減速度走行のための減速度αir を算出し、その時点で最新の惰性走行減速度αiとの比較を行う。前記等減速度走行のための減速度算出および惰性走行減速度との比較は、(数5)が成立するまで繰り返し、(数5)が成立した後はその時点で算出された減速度αirでの等減速度走行で地点Cに向けて走行する。
に保って交差点Aに向かい、交差点Aに時刻taに到達する。
(数5)を満足しない場合は前記等減速度走行のための減速度算出および惰性走行減速度との比較を、(数5)が成立するまで繰り返し行い、(数5)が成立した時点で算出された減速度αirでの等減速度走行で交差点Aに向かい交差点Aに時刻ta に到着し、交差点Aを青信号・無停止で通過する。
図2において、
201は、惰性走行減速度計測手順開始点、
202は、惰性走行が開始されているか否かを判定する惰性走行開始判定処理、
203は、惰性走行開始時点からの経過時間計測のためのタイマーイニシャライズ処理、
204は、惰性走行開始後の一定時間Ti1経過を判定する一定時間Ti1経過判定処理であり、一定時間Ti1経過の後惰性走行減速度αiの計測が可能となる。
205は、処理204で惰性走行開始後一定時間Ti1経過と判定した時点の車両走行速度v2’を取り込むv2’取り込み処理、
207は、処理206において惰性走行開始後一定時間(Ti1+Ti2)は未だ経過していないと判定した場合、惰性走行がすでに終了しているか否かを判定する惰性走行終了判定処理、
208は、処理206において惰性走行開始後一定時間(Ti1+Ti2)経過したと判定した場合、その時点の車両速度v1’を取り込むv1’取り込み処理、
209は、取り込み済みの車両速度v2’およびv1’から(数1)によって惰性走行減速度αiを算出・記憶する惰性走行減速度算出・記憶処理、但し(数1)においてt2’ =Ti1、t3’= Ti1+Ti2である。
211は、処理210と同様引き続き惰性走行減速度を計測するために、惰性走行開始後の経過時間Δti を時間Ti1に設定する経過時間置き換え処理、
である。
以上の如く処理することにより、惰性走行、緩加速走行繰り返し時だけでなく惰性走行が継続する場合も惰性走行減速度は継続して計測・更新が可能となる。
また上記処理の経過時間の計測、車両速度の取り込み、および惰性走行減速度の演算は、図4に示す車載装置例において、可能である。
図5において、
501は、地点Pから停止地点Cまでの等減速度走行による到達制御手順開始点、
502は、車両が等減速度走行制御開始点である地点Pを通過したか否かを位置特定部402で特定した位置データから判定する地点P通過判定処理、
503は、処理502において車両が地点Pを通過したと判定した場合、地点P通過後の経過時間Δt、地点Pからの走行距離ΔDの計数を開始するΔt、ΔD計数開始処理、
504は、地点P−地点C間車両走行距離D
情報をデータベース409から取り込むD取り込み処理、
505は、現時点の車両走行速度vs および車両走行速度vsに対応した走行速度下限値vmin を取り込むvs/vmin取り込み処理、
506は、現時点から車両停止点までの等減速度走行のための等減速度αirを、前記(数4)を用いて算出するαir 算出処理
508は、処理507での比較結果(数5)を満足した場合、即ちαi >αirと判定した場合、車両は減速度αir の等減速度走行で(ただし、αi=αirの場合は減速度αiの惰性走行で)地点Bに(地点B到達速度vminで)到達可能として、減速度αirでの等減速度走行開始のためのレーダによる前方安全確認を行う前方安全確認処理、
509は、処理508で前方安全が確認された場合減速度αir での等減速度走行を開始する等減速度走行開始処理、
510は、処理507で(数5)の関係を満足しないと判定された場合あるいは処理508で車両前方に障害物等があって減速度αirでの等減速度走行が開始できないとき、一定時間の巡航走行を行って(この間には新たな惰性走行減速度αiの計測もなされる)後処理505に戻る一定時間巡航走行処理、
512は、処理511で、車両速度vsが下限値vminに到達したと判定した場合は、等減速度走行から摩擦ブレーキ主体の減速に切り替えて地点Cに向けて走行する等減速度走行終了処理、
513は、車両が目的地点Cに到達したか否かを、地点Pからの走行距離計数結果ΔD、位置特定機能、あるいはドライバーの目視、で判定する地点C到達判定処理、
514は、地点Pから停止地点Cまでの等減速度走行による到達制御手順終了点、
である。
612は、処理611で時刻がta’ に達したと判定した場合、その時の自車速度vsおよび地点Pからの走行距離ΔDを取り込んで現時点から交差点Aまでの等減速度走行のための修正減速度αir’ を算出するαir’ 算出処理、
但しαir’はαir’ =2{(D−ΔD)−vs(ta−ta’)}/(ta−ta’)2 より算出する。
613は、いままでの等減速度走行のための減速度αirに代えて、処理612で算出した等減速度走行のための修正減速度αir’で交差点Aに向けて走行する修正減速度αir’での等減速度走行処理、
614は、交差点Aに到達したか否かを判定する交差点A到達判定処理、
615は、処理614で、車両が交差点Aに到達したと判定した場合は本等減速度走行による交差点A通過制御手順を終了させる終了点、
である。
718は、処理715に同じ、
719は、自車−前方走行車間距離LがL>L1(va)+L2(va)の状態からL=L1(va)+L2(va)に達したか否か、即ち緩加速走行から惰性走行に移行すべき状態に達したか否かを判定する惰性走行移行判定処理、
である。
va:前方車両速度、
vr (=vs−va):自車−前方車両間相対速度(但し、自車が前方車両に接近していくときvr >0)、
vr0:前方車両速度vaによって定まる追従走行時の相対速度許容上下限値の絶対値、
31:自車両、
32:前方車両、
33:追従走行領域、
34:追従走行領域中の惰性追従走行領域、
35:追従走行領域中の緩加速度追従走行領域、
36:境界車間距離(=L1(va)+L2(va))
である。
Claims (7)
- 車両の巡航走行あるいは前方車両への追従走行を、緩加速度走行および惰性走行交互の繰り返しによって行うことを特徴とする車両走行制御方法。
- 惰性走行中の一定時間内あるいは一定走行距離の間の速度変化をもって惰性走行加減速度αi(αi >0:加速度、αi <0:減速度)の計測を、計測が可能な範囲で、継続的に行い、前記計測した最新の惰性走行加減速度αiをもって以降の車両走行制御のため惰性走行加減速度とすることを特徴とする車両走行制御方法。
- 走行距離Dの地点P1から地点P2に減速走行するに際し、地点P1での走行速度vp1、通過時刻tp1等の減速走行開始条件、地点P2での走行速度vp2、通過時刻tp2等の減速走行終了条件、に対応して、地点P1から地点P2へ等減速度走行減速度αirを算出し、前記等減速度走行減速度αirが惰性走行減速度αiに対してαi>αirの関係を満足する場合、地点P1から等減速走行減速度が前記算出された等減速度走行減速度αirとなるように、制動減速度αbを調節しつつ走行し、減速走行終了条件を満足して地点P2に到着すること、を特徴とする車両走行制御方法。
ここで、
αir:等減速度走行減速度(=αi+αb)
αi:惰性走行減速度
αb:制動減速度(回生ブレーキあるいは摩擦ブレーキによる減速度)
である。 - 現時点での速度および車両現在位置から車両停止点までの間の車両走行距離から、車両現在位置から車両停止点までの間を等減速度走行する場合の減速度αirを算出し、前記αirと惰性走行減速度αi の比較によって、減速度αirの等減速度走行による車両停止点到達可否の判定を行い、可の場合前記減速度αirでの等減速度走行で車両停止点に向けて走行し、否の場合は一定時間あるいは一定走行距離の巡航走行後に前記と同様な等減速度走行の減速度αir算出および惰性走行減速度αiとの比較を等減速度走行で車両停止点到達可となるまで繰り返し行い、到達可となった地点からその時点で得られている等減速度αir での車両停止点に向けての等減速度走行を行うことを特徴とする車両走行制御方法。
- 車両現在位置、現時刻tpに対応して次に通過すべき交差点を青信号・無停止で通過するための最適な交差点到達時刻taが提示され、現地点、現時刻から等減速度走行によって前記提示された到達時刻に交差点に到達するための減速度αirを算出し、前記減速度αirと惰性走行減速度αi の比較によって、減速度αirでの等減速度走行による交差点に到達時刻ta での到達可否を判定し、可能な場合は前記減速度αir の等減速度走行によって交差点に向けて走行し、否の場合は一定時間あるいは一定走行距離の巡航走行後に前記と同様な等減速度走行の減速度αir算出および惰性走行減速度αiとの比較を等減速度走行で交差点到達可となるまで繰り返し行い、到達可となった地点からその時点で得られている等減速度αir での交差点に向けての等減速度走行を行うことを特徴とする車両走行制御方法。
- 自車−前方走行車両の間に、前方車両速度vaに対応した自車−前方車両間相対速度許容範囲(−vr0 ≦vr ≦vr0)、自車−前方車両間追従走行車間距離範囲(L1≦L≦L1+L2+L3)、で設定される追従走行領域を設け、自車が現走行速度vsからの等減速走行によって前記追従走行領域内に到達可能か否かの判定を行い、可の場合等減速度走行を開始し、自車−前方車両間相対速度vrがvr=0となった時点で自車の前方車両への追従走行移行が終了したとすることを特徴とする車両走行制御方法。
- 追従走行領域内の境界車間距離において惰性走行から緩加速走行、緩加速走行から惰性走行への切り替えを行うことによって前方車両への追従走行を行うことを特徴とする車両走行制御方法。
ここで、請求項6および請求項7において、
vs:自車速度、
va:前方車両速度、
vr:自車−前方車両相対速度、
vr0:追従走行領域における前方車両速度va
に対応する自車−前方車両相対速度許容値、
L:自車両−前方車両車間距離
L1:前方車両速度va に対応する自車−前方車両間安全車間距離
L2:前方車両速度va に対応する、(数1)で示される、惰性走行距離最大値、
L3:前方車両速度va に対応する、(数2)で示される、緩加速度走行距離最大値、
L1+L2:境界車間距離、
である。
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