JP2011038114A - ジシアンジアミド付加リン変性エポキシ樹脂含有樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ジシアンジアミド付加リン変性エポキシ樹脂含有樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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宏典 鈴木
Yasuyuki Hirai
康之 平井
Yoshiyuki Takeda
良幸 武田
Kenichi Ohori
健一 大堀
Shinichi Kamoshita
真一 鴨志田
Minoru Kakiya
稔 垣谷
Norihiro Abe
紀大 阿部
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Abstract

【課題】 ハロゲン系難燃剤を含まずに十分な難燃性を示すとともに優れた硬化性を有し、生産性よく耐熱性が良好な積層板を得ることができる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 エポキシ樹脂と有機リン化合物とを反応させて得られるリン変性エポキシ樹脂に、部分的にジシアンジアミドを付加させたジシアンジアミド付加リン変性エポキシ樹脂含有樹脂組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ジシアンジアミド付加リン変性エポキシ樹脂含有樹脂組成物およびその製造方法に関し、特にハロゲン系難燃剤を含まずに十分な難燃性を示すとともに優れた硬化性を有し、生産性よく耐熱性が良好な積層板を得ることができる樹脂組成物に関する。また、本発明は、その樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、プリント配線板に関する。
近年、環境問題の高まりにより、電気・電子機器等に使用されるプリプレグ、積層板およびプリント配線板は、廃棄あるいは焼却の際に、有害物質を環境中に排出しないことが求められている。そのため、燃焼時にダイオキシン類等の有害物質が発生することのないよう、ハロゲン系難燃剤を含有しないことを特徴とした製品が増加している。ハロゲン系難燃剤の代替となる難燃剤としては、金属水酸化物系、リン系、メラミン変性樹脂系等が用いられるが、特にリン系難燃剤は、少量で高い難燃効果が得られ有用である。しかし、リン系難燃剤として実用化されている赤リン、リン酸塩、リン酸エステル等は、燃焼時に有毒なホスフィンガスを放出したり、加水分解により積層板、プリント配線板の耐熱性や耐薬品性を低下させたりするという欠点がある。
これに対し、特開平4−11662号公報および特開2000−80251号公報には、リン酸エステルとは異なる構造を有し、エポキシ樹脂と容易に反応し得るフェノール性水酸基を分子内に有する有機リン化合物とエポキシ樹脂との反応物が例示されており、この反応物を用いることにより、耐熱性や耐薬品性を低下させることなく、ハロゲン系難燃剤を含まない難燃性の樹脂組成物が製造できることが開示されている。しかし、一般的に、エポキシ樹脂と有機リン化合物を単に反応させた場合、この反応によりエポキシ基が減少し、それに伴いエポキシ樹脂の架橋密度が低下し、硬化性が悪くなるため、積層板等の生産に際して生産性が低下する。これを補うために硬化促進剤等を増量すると、得られる積層板等の吸湿性、耐熱性が低下するという問題があった。
本発明は、特にハロゲン系難燃剤を含まずに十分な難燃性を示すとともに優れた硬化性を有し、生産性よく耐熱性が良好な積層板を得ることができるジシアンジアミド付加リン変性エポキシ樹脂含有樹脂組成物、およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、その樹脂組成物を用いたプリプレグ、積層板、プリント配線板を提供することを目的とする。
本発明は、エポキシ樹脂と一般式(1):
Figure 2011038114
(式中、Rは、2個以上のフェノール性水酸基を含む基である)で示される有機リン化合物とを反応させて得られるリン変性エポキシ樹脂に、ジシアンジアミドを付加させたジシアンジアミド付加リン変性エポキシ樹脂含有樹脂組成物において、リン変性工程における(エポキシ樹脂当量/式(1)の有機リン化合物当量)が2〜5の範囲であり、ジシアンジアミド当量が、
Figure 2011038114
(式中、エポキシ樹脂当量には、リン変性工程後に追加添加したエポキシ樹脂の当量を含む)の範囲であり、かつジシアンジアミドの付加反応率が0.5〜15%であることを特徴とする樹脂組成物である。ここで、エポキシ樹脂の1当量は、エポキシ基1モル当たりのエポキシ樹脂の重量とし、式(1)の有機リン化合物の1当量は、フェノール性水酸基1モル当たりの有機リン化合物の重量とする。ジシアンジアミドの1当量は、ジシアンジアミド1/4モルの重量に該当するとみなして、当量比を算出する。本発明はまた、この樹脂組成物において、式(1)の有機リン化合物が、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドであり、エポキシ樹脂のうち50〜90重量%がビスフェノールF型エポキシ樹脂であるものである。
さらに、本発明は、エポキシ樹脂への式(1)の有機リン化合物の反応と、エポキシ樹脂へのジシアンジアミドの付加反応と、を一段階法で行う、上記の樹脂組成物の製造方法、およびエポキシ樹脂と式(1)の有機リン化合物とを反応させ、次いで反応生成物へジシアンジアミドを付加反応させる、上記の樹脂組成物の製造方法である。さらにまた、本発明は、これらの製造方法において、上記の反応および付加反応を、有機溶媒中、100〜160℃の温度で行うものであり、上記の反応および付加反応を、反応触媒としてトリフェニルホスフィンをエポキシ樹脂100部に対して0.05〜2.00重量部添加して行うものである。
また、本発明は、上記の樹脂組成物を、基材に含浸し、乾燥したプリプレグ、このプリプレグの少なくとも片面に金属箔を積層した積層板、およびこの積層板の金属箔を回路加工したプリント配線板である。
本発明における樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤を含まずに十分な難燃性を有し、硬化性も優れている。この樹脂組成物を用いることによって、難燃性、耐熱性の特性が良好な、さらには環境対応の要求に応えることのできるプリプレグ、積層板およびプリント配線板を、生産性よく作製することができる。
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂、グリシジルアミン樹脂、複素環式エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート、ジグリシジルヒダントイン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等)、およびこれらを種々の反応性モノマーで変性した変性エポキシ樹脂等があげられる。また、これらのエポキシ樹脂を2種類以上、組み合せて使用することもできる。エポキシ樹脂は、官能性が高いほど、高架橋密度の硬化物を作製することができるが、ジシアンジアミドおよび式(1)の有機リン化合物が、共に二官能または三官能以上であることから、エポキシ樹脂の官能性が高いほど、本発明の樹脂組成物の製造中に増粘しあるいはゲル化し、取り扱いが困難になる。そのため、エポキシ樹脂としては、二官能性エポキシ樹脂を含むことが好ましく、ビスフェノールF型樹脂を、エポキシ樹脂のうち50〜90重量%用いることが特に好ましい。
本発明に用いる式(1)の有機リン化合物としては、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシ−3−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフチル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等があげられる。特に優れた難燃性が得られることから、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、エポキシ樹脂と式(1)の有機リン化合物の配合量は、リン変性工程における(エポキシ樹脂当量/式(1)の有機リン化合物当量)が2〜5の範囲である。エポキシ樹脂と有機リン化合物の配合量が、当量比でこの範囲にあると、十分な難燃性が発揮され、また粘度の点から取り扱いに問題が生じることもない。
なお、リン含有率等を調整するため、エポキシ樹脂と式(1)の有機リン化合物とを反応させるリン変性工程後に、さらにエポキシ樹脂を追加添加することができる。この場合には、追加添加したエポキシ樹脂と式(1)の有機リン化合物の間にはもはや直接反応は生じないため、その配合比には制約はない。
本発明の樹脂組成物において、ジシアンジアミドの配合量は、当量が、
Figure 2011038114
(式中、エポキシ樹脂当量には、リン変性工程後に追加添加したエポキシ樹脂の当量を含む)の範囲である。ジシアンジアミドの当量がこの範囲にあると、硬化物の架橋密度が低下することもなく、硬化物の吸湿率が増加しこの樹脂組成物を用いるプリント配線板製造工程で回路形成金属箔のふくれや層間剥離等の問題を生じることもない。
本発明の樹脂組成物において、エポキシ樹脂に付加反応をしたジシアンジアミドの反応率は、0.5〜15%の範囲である。ジシアンジアミドの付加反応率がこの範囲にあると、本発明の樹脂組成物が製造中にゲル化しないので、取り扱い上の問題が生じることもなく、硬化性がよいため積層板等の製造段階において生産性を確保することもできる。
また、この樹脂組成物には、難燃性をより高める目的や、高剛性化、低熱膨張化の目的で、シリカ、タルク、マイカ、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどのハロゲン化合物以外の無機充填剤を用いることができる。難燃性の向上の点から、特に水酸化アルミニウムが好ましく、これを樹脂組成物の固形分全量に対して、10〜50重量%添加することが好ましい。また、本発明の樹脂組成物には、これら以外に他の難燃剤や、顔料、接着助剤、酸化防止剤、硬化促進剤等を添加することができる。これらは、それぞれ公知の物質を使用することができ、ハロゲン化合物以外で、積層板、プリント配線板特性を低下させない物質であれば、特に限定されない。
本発明の樹脂組成物は、以下の方法で製造することができる。すなわち、エポキシ樹脂のエポキシ基と式(1)に示す有機リン化合物のフェノール性水酸基とを反応させるとともに、エポキシ樹脂にジシアンジアミドを付加させる方法により製造することができる。これらの反応は、エポキシ樹脂と有機リン化合物とジシアンジアミドとを混合して行ってもよく(一段階法という)、また二段階法で、すなわちエポキシ樹脂と有機リン化合物とを反応させ、次いで反応生成物にジシアンジアミドを付加反応させる逐次反応で行ってもよい。
上記の反応に使用するエポキシ樹脂と式(1)の有機リン化合物の配合量は、リン変性工程における(エポキシ樹脂当量/式(1)の有機リン化合物当量)が2〜5の範囲である。なお、リン含有率等を調整するため、追加のエポキシ樹脂を添加することができるが、追加添加したエポキシ樹脂と有機リン化合物の配合比には制約はない。一方、上記の付加反応に使用するジシアンジアミド当量は、
Figure 2011038114
(式中、エポキシ樹脂当量には、リン変性工程後に追加添加したエポキシ樹脂の当量を含む)の範囲である。
本発明の製造方法において、難燃性を確保するために、式(1)の有機リン化合物のフェノール性水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基の反応を完結させる一方で、ジシアンジアミドのエポキシ樹脂への付加反応は、過度に付加反応が進行し、増粘またはゲル化により取り扱いが困難になることを避けるため、硬化性を高めるのに必要な範囲に留める必要がある。本発明の製造方法では、前者の反応と後者の付加反応との、反応速度の大きな違いを利用して、溶媒、反応温度等の条件を設定することにより、ジシアンジアミドの付加反応率を0.5〜15%の範囲に留める。
すなわち、本発明の製造方法において、上記の反応および付加反応は、有機溶媒中で行うことが好ましい。有機溶媒の種類と量については、エポキシ樹脂、ジシアンジアミド、式(1)の有機リン化合物、およびこれらの反応生成物を均一に溶解し、プリプレグを作製するのに適した粘度と揮発性を有していれば、特に限定されない。価格や取扱い性、安全性の点から、2−メトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール等を、樹脂組成物の総量に対して10〜50重量%使用することが好ましい。
また、本発明の製造方法において、上記の反応および付加反応は、エポキシ樹脂と式(1)の有機リン化合物との反応を完結させ、ジシアンジアミドの適当な付加反応率を確保する点から、通常、70〜200℃の温度で行われ、好ましくは100〜160℃であり、特に好ましくは120〜150℃である。また、触媒としてトリフェニルホスフィンを、エポキシ樹脂100部に対して0.05〜2.00重量部、添加することにより、反応時間を短くすることができる。
さらに、本発明における樹脂組成物を、ガラスクロス、ガラス不織布または紙の基材に含浸・乾燥することにより、プリプレグとすることができる。また、このプリプレグの少なくとも片面に金属箔を重ね、加熱・加圧して積層一体化することにより、積層板とすることができる。さらに、この積層板の金属箔を回路加工することにより、プリント配線板とすることができる。これらプリプレグ、積層板、プリント配線板の製造においては、当該業界における通常の塗工、積層、回路加工工程を適用することができる。
以下、本発明の実施例に基づいて、詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例および比較例において、エポキシ樹脂、式(1)の有機リン化合物およびその他の特殊材料は下記のものを用いた。その他の有機溶媒、添加剤、汎用無機質充填剤および積層板・プリプレグを構成するガラスクロス、銅箔等については、特に記載したものを除き化学工業および電子工業分野において一般的に用いられる原材料類を用いた。
エポキシ樹脂A:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパン・エポキシ・レジン(株)製、エピコート806)(エポキシ当量167)
エポキシ樹脂B:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、N−673)(エポキシ当量210)
有機リン化合物A:10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(三光(株)製)
有機リン化合物B:トリフェニルホスフェート(大八化学工業(株)製)
2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、2E4MZ)
実施例1
1,000mlフラスコに、エポキシ樹脂A 334.0g(2.00当量)、ジシアンジアミド12.6g(0.60当量)、有機リン化合物A 108.1g(0.67当量)、トリフェニルホスフィン1.00g、2E4MZ 0.018g、2−メトキシエタノール224.4gを配合し、攪拌しながら30分で120℃に昇温し、30分保持した後、室温まで冷却した。昇温時には白色、不均一であった反応溶液は、徐々に粘調な均一溶液となった。その後、高速液体クロマトグラフィーで生成物を分析したところ、有機リン化合物Aの反応率は98.6%、ジシアンジアミドの反応率は7.3%であった。この溶液の160℃におけるゲル化時間は210秒であった。こうして得られた樹脂組成物をガラスクロス(公称厚み0.2mm、坪量210g/m2)に含浸させ、160℃で4分間乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグを4枚重ねたものの両面に、18μmの銅箔を重ね、185℃、圧力4MPa、80分間の条件で加熱加圧し成形して、厚さ0.8mmの両面銅張積層板を作製した。この積層板の特性を表1に示す。
実施例2
1,000mlフラスコに、エポキシ樹脂A 334.0g(2.00当量)、有機リン化合物A 108.1g(0.67当量)、トリフェニルホスフィン1.00g、2−メトキシエタノール224.4gを配合し、攪拌しながら30分で140℃に昇温し60分保持した後、100℃まで冷却し、その温度に保持した。そこに、ジシアンジアミド12.6g(0.60当量)、2E4MZ 0.018gを加え、さらに120分、100℃に保持した後、室温まで冷却した。その後、高速液体クロマトグラフィーで生成物を分析したところ、有機リン化合物Aの反応率は99.5%、ジシアンジアミドの反応率は11.8%であった。この溶液の160℃におけるゲル化時間は202秒であった。こうして得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にプリプレグおよび両面銅張積層板を作成した。この積層板の特性を表1に示す。
実施例3
2,000mlフラスコに、エポキシ樹脂A 334.0g(2.00当量)、有機リン化合物A 108.1g(0.67当量)、トリフェニルホスフィン1.00g、2−メトキシエタノール224.4gを配合し、攪拌しながら30分で140℃に昇温し60分保持した後、100℃まで冷却し、その温度に保持した。そこに、エポキシ樹脂B 219.9g(1.05当量)、ジシアンジアミド28.8g(1.37当量)、2E4MZ 0.040gを加え、さらに120分、100℃に保持後、室温まで冷却した。その後、高速液体クロマトグラフィーで生成物を分析したところ、有機リン化合物Aの反応率は99.4%、ジシアンジアミドの反応率は12.5%であった。この溶液の160℃におけるゲル化時間は196秒であった。この溶液に、さらに水酸化アルミニウム粉末296.5gおよびメチルエチルケトン262.4gを添加し、室温で攪拌して均一に分散させた。こうして得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にプリプレグおよび両面銅張積層板を作成した。この積層板の特性を表1に示す。
比較例1
1,000mlフラスコにエポキシ樹脂A 334.0g(2.00当量)、有機リン化合物A 108.1g(0.67当量)、トリフェニルホスフィン1.00g、2−メトキシエタノール224.4gを配合し、攪拌しながら30分で140℃に昇温し60分保持した後、室温まで冷却した。昇温時には白色、不均一であった反応溶液は、徐々に粘調な均一溶液となった。冷却後、ジシアンジアミド12.6g(0.60当量)、2E4MZ 0.018gを加え、高速液体クロマトグラフィーで生成物を分析したところ、有機リン化合物Aの反応率は99.6%、ジシアンジアミドの反応率は0.1%であった。この溶液の160℃におけるゲル化時間は703秒であった。こうして得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にプリプレグを作製した。ただし、実施例1と同じ成形性(流れ)を有するプリプレグを得るためには、160℃で11分間乾燥する必要があった。さらにこのプリプレグを用い、実施例1と同様に両面銅張積層板を作製した。この積層板の特性を表1に示す。
比較例2
比較例1の樹脂組成物について、適当な硬化性を得るために、2E4MZ 3.08gを追加した。追加後のゲル化時間は231秒であった。こうして得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様に160℃で4分間乾燥してプリプレグを作製した。さらに、このプリプレグを用い、実施例1と同様に両面銅張積層板を作製した。この積層板の特性を表1に示す。
比較例3
実施例1の有機リン化合物Aの代わりに有機リン化合物Bを用いた。1000mlフラスコにエポキシ樹脂A 334.0g(2.00当量)、ジシアンジアミド18.9g(0.90当量)、有機リン化合物B 111.3g、2E4MZ 0.018g、2−メトキシエタノール228.6gを配合し、攪拌しながら30分で120℃に昇温し30分保持した後、室温まで冷却した。冷却後、高速液体クロマトグラフィーで生成物を分析したところ、有機リン化合物Bの反応率は0.1%、ジシアンジアミドの反応率は5.4%であった。この溶液の160℃におけるゲル化時間は460秒であった。こうして得られた樹脂組成物をガラスクロス(公称厚み0.2mm、坪量210g/m2)に含浸させ、160℃で7分間乾燥してプリプレグを作製した。このプリプレグを用い、実施例1と同様に両面銅張積層板を作製した。この積層板の特性を表1に示す。
比較例4
実施例2と同様に反応を行い、樹脂組成物を得た。ただし、ジシアンジアミドおよび2E4MZ添加時の温度を80℃とし、これらの添加後は、6時間、80℃に保持した後、室温まで冷却した。その後、高速液体クロマトグラフィーで生成物を分析したところ、ジシアンジアミドの反応率は0.3%であった。この溶液の160℃におけるゲル化時間は602秒であった。こうして得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にプリプレグを作製したが、実施例1と同じ成形性(流れ)を有するプリプレグを得るためには、160℃で11分間乾燥する必要があった。
Figure 2011038114
積層板およびプリント配線板の特性評価は、以下の方法で行った。難燃性についてはUL−94垂直法による燃焼時間により評価し、平均燃焼時間5秒以下かつ最大燃焼時間10秒以下をV−0、平均燃焼時間10秒以下かつ最大燃焼時間30秒以下をV−1、それ以上燃焼した場合をHBで分類した。その他の積層板特性(銅箔引き剥がし強さ、ガラス転移温度、絶縁抵抗、吸湿はんだ耐熱性)についてはJIS C6481に基づき評価した。ガラス転移温度は熱機械特性評価装置(TMA)の熱膨張線変曲点により、また吸湿はんだ耐熱性の評価は、○:変化なし、△:ミーズリングまたは目浮き発生、×:ふくれ発生 で判定した。ワニスの硬化性は160℃のホットプレート上に0.5mlのワニスを滴下し、直径1mmの棒で攪拌しゲル化するまでの時間(ゲル化時間)で評価した。また、ワニス中の有機リン化合物およびジシアンジアミドの反応度を、高速液体クロマトグラフィーを用い、カラム:ジーエルサイエンス製ODS−2型逆相カラム、展開液:水/テトラヒドロフラン(70/30)混合液、検出器:紫外吸光光度計280nmの条件で、内部標準法により反応前に対するピーク面積の減少率を求め、これを反応率として評価した。
表1より、例示した全ての実施例において、十分な難燃性を保持しつつ、吸湿はんだ耐熱性、銅箔引き剥がし強さ、ガラス転移温度、絶縁抵抗等の特性が良好な積層板を得られることが確認された。一方、比較例1は、ジシアンジアミドの反応率が0.1%であり、エポキシ樹脂Aと有機リン化合物Aを反応させたことによるエポキシ基の減少により硬化性が低下しており、実施例と同様の成形性(流れ)を得るためには、追加の乾燥時間がかかるため、生産性が低下する。また、比較例2は、硬化促進剤の増量により、見掛けのゲル化時間は短縮されているが、増量した硬化促進剤の影響で吸水率が増大し、十分な特性の積層板が得られていない。さらに、比較例3は、エポキシ樹脂と反応しない有機リン化合物Bが用いられており、その可塑剤効果によって、硬化性の低下と積層板特性の低下が見られる。比較例4は、ジシアンジアミドの反応率が0.3%であるが、実施例と同様の成形性(流れ)を得るためには、追加の乾燥時間がかかり、やはり生産性が低下する。これらの結果から本発明の優位性は明らかである。
実施例1〜3で作製した両面銅張積層板各2枚の表裏面に、サブトラクティブ法により回路形成(テストパターン)を行った。さらに、表面を接着性向上のため、酸化粗化処理し、同じく実施例1〜3で得た樹脂組成物を用いて作製したプリプレグ2枚を挟んで重ね合せ、さらに外側にプリプレグ2枚と18μm銅箔を重ねて、実施例1〜3と同様に積層プレスし、内層回路付き6層プリント配線板を作製した。このプリント配線板に当該業界で用いられる通常の方法により外層回路加工、スルーホール形成、レジストインク印刷、部品実装を行ったが、通常のプリント配線板製造工程において問題は生じないことが確認された。

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂と一般式(1):
    Figure 2011038114

    (式中、Rは、2個以上のフェノール性水酸基を含む基である)で示される有機リン化合物とを反応させて得られるリン変性エポキシ樹脂に、ジシアンジアミドを付加させたジシアンジアミド付加リン変性エポキシ樹脂含有樹脂組成物において、リン変性工程における(エポキシ樹脂当量/式(1)の有機リン化合物当量)が2〜5の範囲であり、ジシアンジアミド当量が、
    Figure 2011038114

    (式中、エポキシ樹脂当量には、リン変性工程後に追加添加したエポキシ樹脂の当量を含む)の範囲であり、かつジシアンジアミドの付加反応率が0.5〜15%であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 式(1)の有機リン化合物が、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドである、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. エポキシ樹脂のうち50〜90重量%がビスフェノールF型エポキシ樹脂である、請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. エポキシ樹脂への式(1)の有機リン化合物の反応と、エポキシ樹脂へのジシアンジアミドの付加反応と、を一段階法で行う、請求項1〜3のいずれか1項記載のジシアンジアミド付加リン変性エポキシ樹脂含有樹脂組成物の製造方法。
  5. エポキシ樹脂と式(1)の有機リン化合物とを反応させ、次いで反応生成物へジシアンジアミドを付加反応させる、請求項1〜3のいずれか1項記載のジシアンジアミド付加リン変性エポキシ樹脂含有樹脂組成物の製造方法。
  6. エポキシ樹脂と式(1)の有機リン化合物との反応、およびジシアンジアミドの付加反応を、有機溶媒中、100〜160℃の温度で行う、請求項4または5記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. エポキシ樹脂と式(1)の有機リン化合物との反応、およびジシアンジアミドの付加反応を、反応触媒としてトリフェニルホスフィンをエポキシ樹脂100部に対して0.05〜2.00重量部添加して行う、請求項4または5記載の樹脂組成物の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂組成物を、基材に含浸し、乾燥したプリプレグ。
  9. 請求項8記載のプリプレグの少なくとも片面に金属箔を積層した積層板。
  10. 請求項9記載の積層板の金属箔を回路加工したプリント配線板。
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