以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる部品圧着装置及び部品圧着方法を説明するにあたって、まず、これらの部品圧着装置及び方法において取り扱われるパネル基板1の形態と、このパネル基板1に対して施される圧着処理(あるいは実装処理)の概要について、パネル基板1の外観を示す図1を用いて説明する。
まず、図1に示すように、本第1実施形態において取り扱われる基板は、液晶ディスプレイ(LCD)パネル基板やプラズマディスプレイパネル(PDP)基板等に代表される基板(以降、「パネル基板」という。)1であり、方形状における互いに隣接する2辺の縁部に、部品が実装される部品実装領域R1が配置された端子部2を有している。なお、このようなパネル基板1は、一般的に長方形状を有しており、それぞれの端子部2は、長辺側端子部(図1における図示奥側の端子部であり、第1縁部の一例である)と短辺側端子部(図1における図示手前側の端子部であり、第2縁部の一例である)として形成されている。また、それぞれの端子部2には複数の端子電極2aが形成されており、これらの端子電極2aにそれぞれの部品が圧着されて実装されることで電気的に接続されることになる。また、パネル基板1における縁部の内側の領域は、画像や文字情報などの映像が表示される表示領域となっている。なお、パネル基板1は、主にガラス材料により形成されており、その厚さが例えば0.5mm以下となるような薄型化が図られて来ている。
このような構造のパネル基板1に対して、本第1実施形態の部品圧着方法を含む部品実装工程の手順を示す説明図を図2に示す。図2に示すように、部品実装工程を行う装置に搬入されたパネル基板1に対して、まず、接合部材配置工程の一例であるACF貼り付け工程S100にて、それぞれの端子部2の端子電極2aに接合部材としてACFシート3の貼り付けを行い、その後、部品圧着工程の一例である部品仮圧着工程S200にて、ACFシート3を介して部品として例えばTCP4をそれぞれの端子電極2aに仮圧着し、さらにその後、本圧着工程S300にて、仮圧着された状態のそれぞれのTCP4をさらに圧着して実装する。なお、この本圧着工程S300は、パネル基板1の長辺側端子部に対する本圧着工程S310と、パネル基板1の短辺側端子部に対する本圧着工程S320とに分けて行われる。このようなパネル基板1に対するTCP4の実装工程は、アウターリードボンディング工程と呼ばれている。
次に、このようなアウターリードボンディング工程の本圧着工程を行う部品圧着装置の一例である本圧着装置100の構成を示す模式図を図3に示す。
本圧着装置100は、パネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧しながら加熱することで、ACFシート3を介してそれぞれの端子電極2aにTCP4を本圧着、すなわち熱圧着(実装)する複数の圧着ユニット10(例えば4台の圧着ユニット10)と、移載(搬入)されるパネル基板1を保持するステージ11と、ステージ11に保持されたパネル基板1の端子部2に仮圧着されたそれぞれのTCP4とそれぞれの圧着ユニット10との位置合わせを行うパネル基板保持装置12を備えている。なお、パネル基板保持装置12は、パネル基板1を図示X軸方向又はY軸方向に移動させる機能(XY移動機能)と、X軸方向及びY軸方向を含む平面(水平平面)内においてパネル基板1を回転させる機能(θ回転機能)と、Z軸方向にパネル基板1を昇降させる機能(昇降機能)とを有しており、このような機能によりパネル基板1の長辺側及び短辺側の端子部2をそれぞれの圧着ユニット10と位置合わせすることが可能となっている。また、本圧着装置100には、このような位置合わせを行うために、パネル基板1の端子部2の位置を認識する認識カメラ(図示しない)が備えられている。なお、図3において、X軸方向とY軸方向はパネル基板1の大略表面沿いの方向となっており、パネル基板1の搬送方向がX軸方向であり、X軸方向に直交する方向がY軸方向であり、図示鉛直方向がZ軸方向となっている。
また、本圧着装置100(あるいは部品実装ライン)には、それぞれの工程を行う装置間にてパネル基板1の搬入および搬出を行う基板搬送装置20が備えられている。基板搬送装置20は、パネル基板1の下面を真空吸着手段(図示しない)により解除可能に吸着保持するパネル保持部21と、パネル保持部21の昇降動作を行う昇降部22と、パネル保持部21及び昇降部22を図示X軸方向に沿って移動させることで、パネル基板1の各装置間の搬送を行う移動装置23とを備えている。なお、本第1実施形態においては、パネル保持部21が真空吸着手段によりパネル基板1の保持を行うような場合を例として説明するが、このような場合に代えて、機械的なチャック手段を有するパネル保持部によりパネル基板1が保持されるような場合であってもよい。
また、本圧着装置100には、それぞれの圧着ユニット10等の構成部の動作制御を互いの動作と関連付けながら統括的に行う制御装置19が備えられている。この制御装置19により、各々の圧着ユニット10等の個別的あるいは統括的な動作制御が行われながら、本圧着装置100に搬入されるパネル基板1に対する本圧着工程が行われる。
ここで、本圧着装置100が備える圧着ユニット10の模式側面図を図4に示し、図3及び図4を参照しながら、本圧着装置100および圧着ユニット10の構成について、さらに詳細に説明する。
図3に示すように、本圧着装置100は、複数の圧着ユニット10として、例えば合計4台の圧着ユニット10をX軸方向に一列に配列して備えている。各圧着ユニット10は、パネル基板1の端子部2にACFシート3を介して仮圧着された状態のTCP4を押圧して圧着する押圧体の一例である圧着ヘッド31と、この圧着ヘッド31による圧着動作の際に、パネル基板1の端子部2をその下面側から支持する縁部支持部材の一例であるバックアップステージ32を備えている。
図3および図4に示すように、各圧着ユニット10において、バックアップステージ32は、剛体にて形成された大略L字状の断面を有する柱状体であるユニットフレーム33の下部に固定されており、圧着ヘッド31がZ軸方向に配置されたLMガイド34(押圧体案内部材の一例)を介してその昇降動作を案内可能にユニットフレーム33(ユニット支持部材の一例)の上部に取り付けられている。なお、本第1実施形態では、バックアップステージ32はユニットフレーム33の下部に固定されるような構成について説明するが、このような場合に代えて、例えば、バックアップステージ32が上下方向に可動式として昇降可能にユニットフレーム33に支持され、バックアップステージ昇降部によりバックアップステージ32の昇降動作が行われるような場合であっても良い。
図3及び図4に示すように、本圧着装置100の基台フレーム13上には、2本のLMガイド35がX軸方向に沿って延在して配置されており、それぞれのLMガイド(案内支持部材の一例)35を介して、4台の圧着ユニット10におけるユニットフレーム33がX軸方向の進退移動可能に基台フレーム13に支持されている。また、図4に示すように、各圧着ユニット10のユニットフレーム33の下部には、圧着ユニット10のX軸方向沿いの進退移動を駆動するユニット移動用モータ(ユニット移動装置の一例である)36が備えられている。すなわち、4台の圧着ユニット10は、個別に圧着ヘッド31とバックアップステージ32とを備えるとともに、個別に備えられたユニット移動用モータ36が駆動されることにより、2本のLMガイド35に沿ってX軸方向沿いに案内されながら、それぞれ独立して進退移動することが可能に構成されている。ここで、「それぞれ独立した移動」とは、1台の圧着ユニット10の移動が、自身が備えるユニット移動用モータ36の駆動により行われ、他の1台の圧着ユニット10の移動が、それ自身が備えるユニット移動用モータ36の駆動により行われ、両者の移動速度や移動のタイミングを個別に設定することが可能な移動のことである。なお、それぞれの圧着ユニット10が互いに接触することを防止する等、安全制御の実施のために、両者の移動制御が関連付けられるような場合であってもよい。
また、図4に示すように、各圧着ユニット10は、ほぼ水平に配置されるパネル基板1に対して垂直な方向(Z軸方向)である押圧方向Dに沿って、圧着ヘッド31を進退移動、すなわち昇降動作させるための力を圧着ヘッド31に付与するとともに、TCP4に当接された状態の圧着ヘッド31に対して本圧着のための力を付与する押圧駆動部である流体圧シリンダの一例の加圧ユニット(例えば、エアシリンダ)37が備えられている。この加圧ユニット37は、Y軸方向にてユニットフレーム33を間に挟んで圧着ヘッド31と対向して配置され、ユニットフレーム33に固定されている。すなわち、図4において、ユニットフレーム33の図示左側に圧着ヘッド31が配置され、ユニットフレーム33の図示右側に加圧ユニット37が配置されている。
また、図4に示すように、それぞれの圧着ユニット10において、加圧ユニット37にて発生された力を、圧着ヘッド31に機械的に伝達するための手段として、リンク機構が採用されている。具体的には、リンク機構は、ユニットフレーム33の上部先端に回動可能にそのほぼ中央付近にて支持されたレバー38(レバー部材の一例)が、その図示左端にて、圧着ヘッド31の上部と回動可能に接続され、その図示右端にて、加圧ユニット37の内部のピストンに連結されたロッド37aの端部と回動可能に接続されることにより構成されている。なお、レバー38は、大略Y軸方向に沿って配置されており、その支持位置や接続位置における回動は、YZ平面内にて行うことが可能とされている。リンク機構がこのように構成されていることにより、加圧ユニット37のロッド37aとレバー38との接続位置C1を「力点」とし、圧着ヘッド31とレバー38との接続位置C2を「作用点」とし、ユニットフレーム33によるレバー38の支持位置C3を「支点」として、加圧ユニット37にて発生された力を、レバー38を介して、圧着ヘッド31に伝達することが可能となっている。すなわち、加圧ユニット37にて発生されたZ軸方向沿いに作用する力の方向を、レバー38にて反転させながら、レバー38を通して圧着ヘッド31にこの力を伝達し、圧着ヘッド31を押圧方向Dに沿って動作させることが可能に構成されている。このようにユニットフレーム33の上部に支持されたレバー38を用いて、ユニットフレーム33の一方の側に配置されかつ支持位置C3より低い位置に配置された加圧ユニット37にて発生された力を、ユニットフレーム33の他方の側に配置されかつ支持位置C3より低い位置に配置された圧着ヘッド31に伝達可能な構成が採用されていることにより、圧着ユニット10全体を低くコンパクトな構造とすることができるとともに、圧着ユニット10における荷重バランスを良好なものにすることができる。したがって、圧着ユニット10の小型化かつ低重心化を図ることができ、X軸方向における圧着ユニット10の移動の迅速化あるいは効率化を図ることができる。
また、図4に示すように、それぞれの圧着ユニット10が備える加圧ユニット37は、圧力発生源39に導圧管等を介して接続されており、圧力制御部40により制御されながら所望の力(圧力)を生成することができるように、圧縮空気の供給量が制御される。
また、図3および図4に示すように、基台フレーム13上には、剛体部材により形成された大略門型形状を有する門型フレーム41がX軸方向に沿って固定されており、この門型フレーム41の内側に4台の圧着ユニット10が配列されている。さらに、この門型フレーム41には、支持位置C3回りのレバー38の回動動作を、レバー38と当接して規制することで、圧着ヘッド31の押圧方向D沿いの動作を規制可能なヘッド動作規制装置42(動作速度規制装置の一例)が設けられている。ヘッド動作規制装置42は、門型フレーム41の内側にてX軸方向に延在して配置され、4台の圧着ユニット10のレバー38の接続位置C1における端部38aの上部と当接可能な棒状部材である1本の規制部材43と、この規制部材43を昇降動作(押圧方向D沿いに進退移動)させる規制部材昇降装置44とを備えている。なお、規制部材43は1本としたが、圧着ユニット10との当接による動作規制に悪影響がなければ、規制部材43を複数本の分割構造としても良い。
このような構成のヘッド動作規制装置42を用いて、規制部材昇降装置44により下降された規制部材43にて、レバー38の端部38aの上部と規制部材43の下部とを当接させ、この当接状態にて、加圧ユニット37により加圧力をレバー38に伝達するとともに、規制部材昇降装置42により規制部材43を所望の速度にて上昇させることで、レバー38の端部38aの上昇速度を、上記所望の速度に規制することができる。特に、加圧ユニット37のように流体の圧力にてレバー38を動作させるような構成では、レバー38の動作速度を迅速に制御することが困難である。そのため、本第1実施形態では、レバー38の動作速度を確実に制御するために、ヘッド動作規制装置42を採用している。このようにレバー38の動作速度を規制することで、レバー38の支持位置C3回りの回動速度を規制することが可能となり、その結果、圧着ヘッド31がバックアップツール32へと向かう方向の動作速度(下降速度)を高速から低速への切り替え等を含む所定の速度に規制することができる。なお、規制部材43はその下部においてレバー38の端部38aと当接される構成となっているため、圧着ヘッド31がバックアップツール32へと向かう動作が行われる場合に動作速度の規制が行われることになる。また、規制部材昇降装置42により規制部材43を上昇させて、レバー38の端部38aから離間させることにより、レバー38の動作規制を解除することができる。すなわち、規制部材昇降装置42により規制部材43を、レバー38との当接位置と、レバー38から離間された退避位置との間で進退移動させることが可能となっている。これにより、レバー38を通して圧着ヘッド31に加圧ユニット37の加圧力が直接伝達可能となり、パネル基板1にACF3を介して実装される部品であるTCP4への圧着ヘッド31の当接の直後に、TCP4の圧着の為の所望の加圧力の伝達を確実に行うことができる。また、図3に示すように、このようなヘッド動作規制装置42は、それぞれの圧着ユニット10に個別に備えられているのではなく、4台の圧着ユニット10に共通して1台のヘッド動作規制装置42が備えられている。このように共通した1台のヘッド動作規制装置42を備えさせることにより、個々の圧着ユニット10の構成の簡素化および小型化を図ることができるとともに、圧着ヘッド31の動作速度を規制する規制部材昇降装置42の規制部材43と圧着ユニット10とを離間可能な構成とすることで、圧着ユニット10のX軸方向沿いの移動の迅速化等を図ることができる。
また、それぞれのユニット移動用モータ36による圧着ユニット10のX軸方向の移動位置の情報は制御装置19に取得され、制御装置19にて互いに圧着ユニット10同士が干渉することがないように、移動制御が行われる。また、ヘッド動作規制装置42によりそれぞれの圧着ヘッド31の一体的あるいは個々に独立した動作速度の規制、および圧力制御部40による加圧力の制御は、制御装置19により統括的に行われる。
次に、このような構成の圧着ユニット10における圧着動作について、図5A〜図5Dに示す模式説明図と、図6(A)〜(C)に示すグラフを用いて説明する。なお、図6(A)は圧着ヘッドの押圧力の変化を示すグラフであり、図6(B)は規制部材43とレバー38との接触関係の変化を示すグラフであり、図6(C)は圧着ヘッド31の高さ位置の変化を示すグラフである。
まず、図5Aに示す状態(時間T1−T2)では、レバー38と規制部材43とが互いに離間された状態(すなわち、規制部材43が退避位置に位置された状態)にあり、さらに圧着ヘッド31は高さ位置H1に位置されて、バックアップツール32上に配置されたパネル基板1およびTCP4から離間された状態にある(図6(A)参照)。このような状態においては、それぞれの圧着ユニット10のX軸方向の移動、すなわちそれぞれの圧着ユニット10の配置ピッチ等の変更を行うことが可能となっている。
次に、図5Bおよび図6(C)に示すように時間T2において、規制部材昇降装置44により下降された規制部材43と、レバー38の端部38aとを当接させる(すなわち、規制部材43を当接位置に位置させる。図6(B)参照)。この当接とともに、加圧ユニット37にて加圧力を発生させる。このように加圧力が発生されてレバー38に加圧力が伝達されても、規制部材43がレバー38と当接することによりレバー38の動作が規制されているため、圧着ヘッド31が急激に下降されることが確実に防止されている。
その後、時間T2から時間T3に向けて、規制部材昇降装置44により規制部材43が所定の速度にて上昇されることにより、圧着ヘッド31がパネル基板1へTCP4を圧着する方向に下降される。なお、このような所定の速度は、一定の速度である場合のみに限られるものではなく、例えば図6(C)から明らかなように高速から低速への速度切り替えがなされるような場合であってもよい。このように規制部材43が徐々に上昇されることにより、規制部材43に倣ってレバー38が回動され、その結果、圧着ヘッド31が高さ位置H1からパネル基板1のTCP4に向かう方向である押圧方向Dに沿って規制された速度にて下降される(図6(C)参照)。
やがて時間T3に達すると、図5Cに示すように、圧着ヘッド31が高さ位置H2にまで下降され、バックアップツール32上に配置されているパネル基板1の端子部2に仮圧着されているTCP4に圧着ヘッド31の下部先端(当接面または押圧面)が当接する。この当接により圧着ヘッド31の下降動作が実質的に制限される(ただし、押圧により僅かな下降は生じる)ため、加圧ユニット37により付加されている力がTCP4に対する押圧力となって生じる(図6(A)参照)。また、それとともに、図5Dに示すように、所定の速度(例えば、TCP4に圧着ヘッド31の下部先端が当接する前に高速から低速への速度切り替えされた後の速度)にて上昇が継続されている規制部材43が、圧着ヘッド31の下降位置の制限によりその回動動作が制限されているレバー38の端部38aから離間される(図6(B)参照)。
時間T4に向けて、圧着ヘッド31のTCP4をパネル基板1に押圧する押圧力が上昇し、やがて所定の押圧力Fに達し、押圧力FにてTCP4がパネル基板1に押圧されて本圧着動作が行われる。なお、この本圧着動作の際には、図示しないヒータ(圧着ヘッド31に内蔵)により加熱が行われる。
時間T4に達すると、本圧着動作が完了し、加圧ユニット37により逆向きに圧着ヘッド31が動作(すなわち上昇)されて、圧着ヘッド31がTCP4より離間され、時間T5にて図5Aに示す状態に戻される。このような一連の動作が行われることにより、パネル基板1へのTCP4の本圧着動作が行われる。
次に、本圧着装置100において、パネル基板1に対するTCP4の本圧着動作が行われる手順の詳細について説明する。この説明にあたって、本圧着動作の手順を示すフローチャートを図7に示し、パネル基板1の長辺側端子部2Aに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図8(A)、(B)に示し、短辺側端子部2Bに対して本圧着動作が行われている状態を示す模式説明図を図9(A)、(B)に示す。
図7のフローチャートのステップS1において、本圧着装置100のパネル基板保持装置12に1枚のパネル基板1が搬入されて、ステージ11により保持される。このパネル基板1は、図8(A)に示すように、X軸方向沿いの端子部を長辺側端子部2Aとして、Y軸方向沿いの端子部を短辺側端子部2Bとした姿勢にてステージ11に保持される。また、長辺側端子部2Aには間隔ピッチP1にて3個のTCP4が仮圧着されており、短辺側端子部2Bには間隔ピッチP2にて2個のTCP4が仮圧着されている。なお、間隔ピッチP1とP2は互いに異なっている。
次に、この搬入されたパネル基板1の識別情報と関連付けられて、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける部品圧着位置情報(第1圧着位置情報)が制御装置19にて取得される(ステップS2)。部品圧着位置情報には、長辺側端子部2AにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP1、さらに圧着されるTCP4の個数の情報などが含まれている。さらにこのような情報の中には、TCP4の種類及び熱圧着の加熱温度や加圧力の情報が含まれるような場合であってもよい。また、部品圧着位置情報の取得は、制御装置19の外部より入力されるような場合であってもよく、あるいは制御装置19の記憶部等に予め記憶されており、パネル基板1の識別情報あるいは予め選択されているパネル基板1の生産情報に基づいて記憶部等から読み出されるような場合であってもよい。
制御装置19において、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報が取得されると、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、それぞれの圧着ユニット10の配置が調整される(ステップS3)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(3個)の情報に基づいて、4台の圧着ユニット10の中から本圧着動作のために使用される3台の圧着ユニット10が選択される。このとき、4台の圧着ユニット10の中央側に位置される圧着ユニット10から順次選択される。選択された3台の圧着ユニット10は、その配列における略中央付近の領域である圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった1台の圧着ユニット41は、圧着動作実施領域Q1の両側において隣接する領域であるいずれかの退避領域Q2に位置されるように、それぞれの圧着ユニット10が備えるユニット移動用モータ36の駆動により、それぞれの圧着ユニット10がLMガイド35により案内されながら、それぞれ独立してX軸方向沿いに移動される。このように本圧着動作を実施する3台の圧着ユニット10を圧着動作実施領域Q1に位置させ、本圧着動作を実施しない1台の圧着ユニット10を退避領域Q2に位置させることにより、本圧着動作を実施しない1台の圧着ユニット10とパネル基板1との干渉を防止して、確実に本圧着動作を実施することができる。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP1及びその位置の情報に基づいて、選択された3台の圧着ユニット10の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ36の駆動により個別に調整される。なお、このようなそれぞれの圧着ユニット10の移動は、規制部材43がレバー38より離間された状態(すなわち規制部材43が退避位置に位置された状態)にて行われる(図5A参照)。
このようにそれぞれの圧着ユニット10の配置調整、すなわち位置および配置間隔の調整が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1の移動が行われて、選択された3台の圧着ユニット10におけるそれぞれのバックアップステージ32上に、パネル基板1の3箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の長辺側端子部2Aが配置される(図5A、図8(A)及び(B)参照)。図8(A)および(B)に示すように、退避領域Q2に位置された1台の圧着ユニット10とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、図5Bに示すように、加圧ユニット37およびヘッド動作規制装置42によりレバー38の規制しながらのレバー38の回動動作が行われてそれぞれの圧着ヘッド31が下降され、図5Cに示すように、圧着ヘッド31の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに図5D及び図6に示すように、加圧ユニット37により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の長辺側端子部2Aにおける3箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して3個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS4)。その後、それぞれの加圧ユニット37によりそれぞれの圧着ヘッド31が上昇され、図5Aに示すような状態となる。
なお、上述の説明では、バックアップステージ32が固定式である場合についての本圧着動作について説明したが、図22Aおよび図22Bに示すように、バックアップステージ32が可動式であって昇降可能な構成が採用される場合であってもよい。このような構成が採用される場合には、バックアップステージ32の上方にパネル基板1の長辺側端子部2Aを配置した後、このパネル1基板の長辺側端子部2Aに近づく方向に圧着ヘッド31を動作させるとともに、バックアップステージ昇降部73によりバックアップステージ32をパネル1基板の長辺側端子部2Aに近づく方向に動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット10については、パネル基板1の支持高さ位置である圧着高さ位置よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置)にバックアップステージ32を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット10とTCP4およびパネル基板1との干渉を防止することができる。そのため、例えば、圧着動作を行わない圧着ユニット10を退避領域Q2ではなく圧着動作実施領域Q1に位置させるような場合であっても、この圧着ユニット10とパネル基板1との干渉を防止することが可能となる。
次に、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ32から離間されるように移動され、保持されているパネル基板1がXY平面内においてθ回転移動されて、パネル基板1の短辺側端子部2BがX軸方向沿いとなるような姿勢とされる(ステップS5)。
次に、制御装置19において、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける部品圧着位置情報(第2圧着位置情報)が取得される(ステップS6)。この部品圧着位置情報には、短辺側端子部2BにおけるそれぞれのTCP4の圧着位置、その間隔ピッチP2、さらに圧着されるTCP4の個数(2個)の情報などが含まれている。なお、本第1実施形態の手順の例としては、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報と、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報とが別々に取得されるような場合について説明するが、このような場合に代えて、両情報が同時に取得されるような場合であってもよい。
次に、この取得された部品圧着位置情報に基づいて、図9(A)および(B)に示すように、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に対応して、それぞれの圧着ユニット10の配置が調整される(ステップS7)。具体的には、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の個数(2個)の情報に基づいて、4台の圧着ユニット10の中から本圧着動作のために使用される2台の圧着ユニット10として、4台の圧着ユニット41の中央に位置される2台の圧着ユニット10が選択される。選択された2台の圧着ユニット10は、圧着動作実施領域Q1に位置され、一方選択されなかった両側の2台の圧着ユニット10は、それぞれの退避領域Q2に1台ずつ位置されるように、それぞれのユニット移動用モータ36の駆動により、それぞれの圧着ユニット10がLMガイド35により案内されながら、X軸方向沿いに移動される。さらに、部品圧着位置情報に含まれるTCP4の圧着位置の間隔ピッチP2及びその位置の情報に基づいて、選択された2台の圧着ユニット10の位置及び配置間隔が、それぞれのユニット移動用モータ36の駆動により調整される。なお、このようなそれぞれの圧着ユニット10の移動は、規制部材43がレバー38より離間された状態にて行われる(図5A参照)。
それぞれの圧着ユニット10の配置調整が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1の移動が行われて、選択された2台の圧着ユニット10におけるそれぞれのバックアップステージ32上に、2箇所の部品圧着位置が位置決めされるようにパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置される。ここで、図9(A)及び(B)は、バックアップステージ32上にパネル基板1の短辺側端子部2Bが配置されている状態を示す。図9(A)及び(B)に示すように、退避領域Q2に位置された42の圧着ユニット10とパネル基板1との干渉は防止されている。その後、加圧ユニット37およびヘッド動作規制装置42によりレバー38を介してそれぞれの圧着ヘッド31が、規制された動作速度にて下降され、圧着ヘッド31の下面である圧着面がTCP4に当接される。さらに加圧ユニット37により所定の加圧力がTCP4に対して付加されることで、パネル基板1の短辺側端子部2Bにおける2箇所の部品圧着位置において、ACFシート3を介して2個のTCP4が本圧着されて実装される(ステップS8)。その後、加圧ユニット37によりそれぞれの圧着ヘッド31が上昇される。
なお、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作と同様に、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作についても、図22Aおよび図22Bに示すように、バックアップステージ32が可動式として昇降可能な構成が採用される場合であってもよい。この場合には、バックアップステージ32の上方にパネル基板1の短辺側端子部2Bを配置した後、このパネル1基板の短辺側端子部2Bに近づく方向に、圧着ヘッド31及びバックアップステージ32を動作させて、TCP4をパネル基板1に圧着することができる。この時、圧着動作を行わない圧着ユニット10については、圧着位置(支持高さ位置)よりも下方の位置である昇降の下降位置(支持解除高さ位置あるいは退避高さ位置)にバックアップステージ32を位置させることで、圧着動作を行わない圧着ユニット10とTCP4及びパネル基板1との干渉を防止することができる。
短辺側端子部2Bに対する本圧着動作が完了すると、パネル基板保持装置12によりパネル基板1がそれぞれのバックアップステージ32から離間されるように移動されて、本圧着装置100からパネル基板1が搬出される(ステップS9)。
次に、本第1実施形態の本圧着装置100おいて、加圧流体を駆動力として駆動される加圧ユニット37、および加圧ユニット37を駆動する加圧流体を制御する圧力制御部40の詳細な構成および圧着ヘッド31を動作させるための力の付与動作について、図面を用いて説明する。
まず、本第1実施形態の加圧ユニット37と圧力制御部40との構成および動作を示す模式説明図を図23に示し、本第1実施形態の加圧ユニット37と圧力制御部40とに対する比較例の加圧ユニット537と圧力制御部540の構成についての模式説明図を、図24に示し、また他の比較例として加圧ユニット637と圧力制御部640の構成についての模式説明図を、図25に示す。
まず、上述のような本第1実施形態の本圧着装置100の構成を考えた場合、加圧ユニット37の構成としては、上述したように加圧流体として例えば圧縮エア等の加圧エアを用いたエアシリンダを採用することができる。なお、加圧流体は、加圧状態にある流体であればよく、加圧エア等の気体の他、オイル(油圧)などの液体が用いられる場合であってもよい。
例えば、図24に示すような比較例の加圧ユニット537および圧力制御部540が、仮に、本圧着装置100に適用された場合について考えてみる。比較例の加圧ユニット537は、シリンダ581と、シリンダ581内にて進退動作されるピストン582と、ピストン582に固定され、図4に示すような、リンク機構におけるレバー38の端部38aに対して、接続される加圧ユニット37のロット37aと同様な構成で、リンク機構におけるレバー38の端部38a(図24には図示せず)に接続されたロッド537aとを備えている。シリンダ581の内部は、ピストン582により2つの室に分けられており、図示上方側(ロッド側)が第2のシリンダ室584、図示下方側が第1のシリンダ室583となっている。第1のシリンダ室583には、圧着ヘッド31に対して動作させるための力(本圧着および移動)を付与する圧着圧力を有する第1の加圧エアPA1が供給可能とされている。また、第2のシリンダ室584には、圧着ヘッド31等の自重をキャンセルするために必要な自重キャンセル圧力を有する第2の加圧エアPA2が供給可能とされている。なお、加圧ユニット537を駆動する加圧エアを制御する圧力制御部540において、第1の加圧エアPA1は、圧着圧力設定レギュレータ585によりその圧力が調整され、加圧ユニット537の第1のシリンダ室583に導圧管586を通して供給される。また、第2の加圧エアPA2は、自重キャンセル圧力設定レギュレータ587によりその圧力が調整され、加圧ユニット537の第2のシリンダ室584に導圧管588を通して供給される。なお、導圧管586の途中には、第1のシリンダ室583への加圧エアPA1の供給と、第1のシリンダ室583からの加圧エアPA1の排出とを選択的に切り替える切替バルブ589が設けられている。なお、第1の加圧エアPA1の圧着圧力は、第2の加圧エアPA2の自重キャンセル圧力よりも高い圧力に設定されている。
このような比較例にかかる加圧ユニット537および加圧ユニット537を駆動する加圧エアを制御する圧力制御部540では、加圧ユニット537の第2のシリンダ室584には、第2の加圧エアPA2が常時供給されて、圧着ヘッド31の自重がキャンセルされた状態にあり、圧着ヘッド31を圧着動作のために動作させる場合に、加圧ユニット537の第1のシリンダ室583に第1の加圧エアPA1が供給されることになる。
具体的には、図5Aに示す状態(図6の時間T1−T2)、すなわち、レバー38と規制部材43とが互いに離間された状態において、加圧ユニット537の第1のシリンダ室583に第1の加圧エアPA1が供給されると、加圧ユニット537の第1のシリンダ室583と第2のシリンダ室584との圧力差(圧着圧力と自重キャンセル圧力の差)により、ピストン582が図示上方に向かって動作され、このピストン582の動きが、ロッド537aを介してレバー38に伝達されて、圧着ヘッド31が下降される。
その後、図5Bに示す状態(図6の時間T2)において、規制部材43と、レバー38の端部38aとが当接される。このとき、加圧ユニット537のピストン582はシリンダ581内において、第1のシリンダ室583と第2のシリンダ室584との圧力差、すなわち、圧着圧力と自重キャンセル圧力の差により動作されているため、当接時における加圧ユニット537のピストン582の速度は比較的高くなる。そのため、レバー38の端部38aは、規制部材43に対して当接するエネルギは大きくなり、その際に大きな衝撃音が発生するとともに、この衝撃により各構成部材(特に、ベアリング等)に対して大きな衝撃応力が付加されることになる。複数の圧着ユニット10において、同様な衝撃音が発生するため、装置全体の動作音としては大きな音となり、騒音や装置寿命、さらにメンテナンスなどへの影響が大きくなることが懸念される。
例えば、このような問題を解決するために図25に示すような他の比較例にかかる加圧ユニット637および圧力制御部640の構成を考えることもできる。なお、他の比較例の加圧ユニット637において、加圧ユニット537と同じ構成の構成部材には、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
具体的には、図25に示すように、加圧ユニット637を駆動する加圧エアを制御する圧力制御部640において、第1の加圧エアPA1の供給系統に、圧着圧力よりも低圧の第3の加圧エアPA3を供給する低圧設定レギュレータ690と導圧管691とを備えさせて、さらに追加した切替バルブ692により、第1の加圧エアPA1と第3の加圧エアPA3とを選択的に加圧ユニット637の第1のシリンダ室583に供給するという構成を考えることができる。
このような比較例の加圧ユニット637と圧力制御部640の構成では、図5Aに示す状態(図6の時間T1−T2)、すなわち、レバー38と規制部材43とが互いに離間された状態において、加圧ユニット637の第1のシリンダ室583に比較的低圧の第3の加圧エアPA3を供給することで、加圧ユニット637の第1のシリンダ室583と第2のシリンダ室584との圧力差を、比較的小さく設定することができる。そのため、加圧ユニット637のピストン582は比較的低速で動作され、図5Bに示す状態(図6の時間T2)において、規制部材43とレバー38の端部38aとが当接され際に発生する衝撃を比較的緩和することが可能となる。なお、この当接が行われた後は、切替バルブ692により第3の加圧エアPA3から第1の加圧エアPA1に切り替えて、第1のシリンダ室583に供給し、圧着動作に必要な圧着力を発生することができる。
しかしながら、図25に示す比較例の加圧ユニット637と圧力制御部640の構成では、自重キャンセル圧力設定レギュレータ587の設定圧力と、低圧設定レギュレータ690の設定圧力との調整(バランス)作業が必要となり、メンテナンス性の点で作業者にかかる負荷が増大する。また、新たに低圧設定レギュレータ690が必要となることから、装置コストや装置構成の簡素化の点でも課題がある。
本第1実施形態における加圧ユニット37と圧力制御部40との構成は、上述のような課題を解決することを目的としたものである。具体的には、図23に示すように、加圧ユニット37では、図24に示す比較例の加圧ユニット537と同様に、第1の加圧エアPA1と第2の加圧エアPA2との2種類の圧力の加圧エアを用いて、加圧ユニット37の第1のシリンダ室83と第2のシリンダ室84との圧力差を制御して、規制部材43とレバー38の端部38aとの当接時における衝撃を緩和することを可能とするとともに、その装置構成の簡素化を図っている。
ここで、本第1実施形態の加圧ユニット37と圧力制御部40との構成図を図26に示し、加圧ユニット37の構成と、加圧ユニット37を駆動する加圧エアを制御する圧力制御部40の空気回路図を図27に示す。
図26および図27に示すように、加圧ユニット37は、シリンダ81と、シリンダ81内にて進退動作されるピストン82と、ピストン82に固定され、リンク機構におけるレバー38の端部38aに接続されたロッド37aとを備えている。シリンダ81の内部は、ピストン82により2つの室に分けられており、図示上方側(ロッド側、すなわち加圧エアが導入されることにより、ロッド37aをシリンダ81内に引き込む側の室)が第2のシリンダ室84、図示下方側(すなわち加圧エアが導入されることにより、ロッド37aをシリンダ81外に押し出す側の室)が第1のシリンダ室83となっている。
第1のシリンダ室83には、圧着ヘッド31に対して動作させるための力(本圧着および移動)を付与する圧着圧力を有する第1の加圧エアPA1が供給可能とされている。また、第2のシリンダ室84には、圧着ヘッド31等の自重をキャンセルするために必要な自重キャンセル圧力を有する第2の加圧エアPA2が供給可能とされている。
なお、加圧ユニット37を駆動する加圧エアを制御する圧力制御部40は以下の様に構成され、加圧ユニット37に導圧管(91、92)により接続される。
第1の加圧エアPA1は、圧着圧力設定レギュレータ85によりその圧力が調整され、第2の加圧エアPA2は、自重キャンセル圧力設定レギュレータ87によりその圧力が調整される。
また、加圧ユニット37の第1のシリンダ室83への加圧エアの導圧管91上には、第1のシリンダ室83への加圧エアの供給と、第1のシリンダ室83からの加圧エアの排出とを選択的に切り替える切替バルブ89が設けられている。さらに、切替バルブ89への加圧エアを供給エアする供給導圧管91には、圧着圧力設定レギュレータ85より供給される第1の加圧エアPA1と、自重キャンセル圧力設定レギュレータ87より供給される第2の加圧エアPA2とを選択的に切り替えて、導圧管91を通して第1のシリンダ室83へ切替バルブ89を介して供給する切替バルブ88が設けられている。また、加圧ユニット37の第2のシリンダ室84への加圧エアの導圧管92は、第2の加圧エアPA2を供給可能に、自重キャンセル圧力設定レギュレータ87に接続されている。なお、切替バルブ89の排気系統は、排気管93に接続されている。また、圧着圧力設定レギュレータ85および自重キャンセル圧力設定レギュレータ87は、例えば、共通の圧力発生源39に導圧管を介して接続されている。
また、本第1実施形態の加圧ユニット37と加圧ユニット37を駆動する加圧エアを制御する圧力制御部40では、この加圧ユニット37に接続される圧力制御部40(供給圧力調整装置の一例)の構成として、圧着圧力設定レギュレータ85、自重キャンセル圧力設定レギュレータ87、切替バルブ88、89、およびそれぞれの導圧管、排気管93を備えている。この圧力制御部40は、制御装置19により他の構成部材の動作等と関連付けられて統括的に制御される。
また、第1の加圧エアPA1の圧着圧力は、第2の加圧エアPA2の自重キャンセル圧力よりも高い圧力に設定されている。本第1実施形態の圧力制御部40では、圧着圧力設定レギュレータ85の設定による第1の加圧エアPA1の圧着圧力は、例えば、0.1〜0.5MPaの範囲にて設定され、自重キャンセル圧力設定レギュレータ87の設定による第2の加圧エアPA2の自重キャンセル圧力は、例えば0.1MPa程度として、圧着圧力よりも低い圧力に設定される
このような構成の本第1実施形態の加圧ユニット37および圧力制御部40における動作について、図28A〜Dの模式説明図を用いて、先に用いた図5A〜Dおよび図6と関連づけて以下に説明する。
まず、図28A(図5A)に示す状態は、圧着ヘッド31がパネル基板1に部品4を圧着する方向の押圧方向Dとは逆向きに移動されて、レバー38の端部38aと規制部材43との当接を解除させて、両者の間に隙間が確保された状態である。この場合、加圧ユニット37と接続する圧力制御部40においては、切替バルブ89が排気管93に連通された状態にあり、加圧ユニット37の第2のシリンダ室84内に第2の加圧エアPA2が供給されるとともに、加圧ユニット37の第1のシリンダ室83内の加圧エアが、導圧管91、切替バルブ89、および排気管93を通して排気される。これにより、シリンダ81内において、ロッド37aが引き込まれる方向にピストン82が動作され、圧着ユニット31が押圧方向Dとは逆向きに上昇される。また、このようにレバー38の端部38aと規制部材43との間に隙間が確保された状態において、上述したように、それぞれの圧着ユニット10のX軸方向沿いの移動が可能となる。
次に、図28Bに示すように、図6の時間区分T1において、圧着ヘッド31のパネル基板1に部品4を圧着する方向の押圧方向Dへの移動を開始する。具体的には、切替バルブ89を排気側から圧力供給側に切り替えるとともに、切替バルブ88において、第2の加圧エアPA2が供給されるように切り替えを行う。これにより、加圧ユニット37の第2のシリンダ室84においては、第2の加圧エアPA2が供給され、また、加圧ユニット37の第1のシリンダ室83においては、第2の加圧エアPA2が供給された状態となる。第1のシリンダ室83におけるピストン82の受圧部(受圧面)の面積は、第2のシリンダ室84におけるピストン82の受圧部(受圧面)の面積よりも、少なくともロッド37aの相当する面積だけ大きくなる。そのため、第1のシリンダ室83および第2のシリンダ室84に同じ圧力の第2の加圧エアPA2が供給される場合であっても、受圧面積の差により、ピストン82は、ロッド37aを押し出す方向、すなわち図示上方に移動されることとなる。また、このピストン82の移動は、受圧面積の差によって行われることとなるため、その移動速度(動作速度)は比較的低速・低圧にて行われる。また、このピストン82の上昇とともに、圧着ヘッド31は、低速にて押圧方向Dに下降移動が開始されることになる。
その後、時間T2において、規制部材43と、レバー38の端部38aとが当接される。このとき、加圧ユニット37のピストン82はシリンダ81内において、受圧面積の差によって低速・低圧にて移動されている状態にあるため、規制部材43とレバー38の端部38aとの当接における衝突エネルギは著しく低減される。その結果、この当接による衝撃音、振動、応力負荷も大きく低減されることになる。
時間T2において、規制部材43とレバー38の端部38aとが当接された後、図28Cに示すように、切替バルブ88の切り替え動作が行われる。具体的には、切替バルブ88において、第2の加圧エアPA2から第1の加圧エアPA1へと切り替えが行われ、圧着圧力設定レギュレータ85から切替バルブ88、89、および導圧管91を通して、第1の加圧エアPA1が、加圧ユニット37の第1のシリンダ室83内に供給される。なお、この切替動作指令は、時間T1−T2等の設定時間に基づいて制御装置19により行うことができ、その他、レバー38の動作位置を検出すること、あるいは規制部材43とレバー38の端部38aとの当接を検出することにより行う場合であってもよい。
このように加圧ユニット37の第1のシリンダ室83内に第1の加圧エアPA1が供給されると、第1のシリンダ83と第2のシリンダ84との圧力差が大きくなり、その結果、ピストン82が時間区間T1−T2の状態と比して、高速・高圧にて上昇されることになる。一方、レバー38の端部38aは規制部材43に当接された状態にあるため、規制部材43の上昇速度により規制されながら、圧着ヘッド31の押圧方向Dへの下降動作が、時間区分T2−T3において行われる。
その後、時間T3に達すると、図28D(図5C)に示すように、バックアップツール32上に配置されているパネル基板1の端子部2に仮圧着されているTCP4に圧着ヘッド31の下部先端が当接する。それとともに、加圧ユニット37により付加されている力(第1のシリンダ室83と第2のシリンダ室84との圧力差により生じる力)がTCP4に対する押圧力となって、圧着動作が行われる。
このように、加圧ユニット37および圧力制御部40において、圧力発生源39より供給される加圧エアを、圧着圧力設定レギュレータ85により圧着圧力に設定された第1の加圧エアPA1と、自重キャンセル圧力設定レギュレータ87により自重キャンセル圧力に設定された第2の加圧エアPA2との2種類の加圧エアを供給可能とし、加圧ユニット37の第2のシリンダ室84には、第2の加圧エアPA2を供給し、加圧ユニット37の第1のシリンダ室83には、第1の加圧エアPA1と第2の加圧エアPA2とを選択的に切り替えて供給可能とする構成が採用されている。そのため、規制部材43とレバー38の端部38aとの当接の際(当接の直前および当接時)に、加圧ユニット37の第1および第2のシリンダ室83、84に共に第2の加圧エアPA2を供給して、受圧面積の差による力でもってピストン82を低速・低圧にて動作させることで、当接時に生じる衝撃音および付加される応力を低減させることができる。また、当接の後、加圧ユニット37の第1のシリンダ室83への供給される加圧エアを、第2の加圧エアPA2から第1の加圧エアPA1に切り替えることで、当接前に比して高速・高圧にてピストン82を動作させることができ、必要な圧着力を発生させることができる。
また、このような加圧ユニット37と加圧ユニット37を駆動する加圧エアを制御する圧力制御部40の構成では、圧着圧力設定レギュレータ85と自重キャンセル圧力設定レギュレータ87との間の微小調整の作業など作業負荷を、例えば、上述した比較例の加圧ユニット637と加圧ユニット637を駆動する加圧エアを制御する圧力制御部640に比して、軽くすることができるとともに、第3のレギュレータも必要とせず、装置構成の簡素化を図ることができる。
なお、上述の説明では、ピストン82の動作を開始させる際に、加圧ユニット37の第1のシリンダ室83内に第2の加圧エアPA2を供給する場合について説明したが、本第1実施形態の構成はこのような場合についてのみ限定されるものではない。例えば、規制部材43とレバー38の端部38aとの間の隙間(距離)が大きい場合には、両者が当接する直前に、加圧ユニット37の第1のシリンダ室83内に第1の加圧エアPA1から第2の加圧エアPA2に切換えた加圧エアとして第2の加圧エアPA2を供給することもできる。これにより、規制部材43とレバー38の端部38aとの間の隙間(距離)が大きい場合であっても、当接までの時間を短縮するとともに両者が当接する速度を直前で減速でき、当接衝撃を低減できる。ただし、規制部材43とレバー38の端部38aとの間の隙間は比較的小さく設定される場合が多く、このような場合には、ピストン82の動作開始時点から、第1のシリンダ室83内に第2の加圧エアPA2を供給しておくことが望ましい。
また、この加圧ユニット37における構成は、本第1実施形態の本圧着装置100を例として説明するが、この加圧ユニット37並びに加圧ユニット37を駆動する加圧エアを制御する圧力制御部40の構成は、後述する第2実施形態などその他の実施形態および変形例の装置に適用することができる。
本第1実施形態によれば、本圧着装置100において、パネル基板1の端子部2にTCP4を本圧着する圧着ヘッド31と、その本圧着の際にパネル基板1の端子部2を支持するバックアップステージ32とを備える一列に配置された複数の圧着ユニット10と、複数の圧着ユニット10に個別に備えられ、X軸方向沿いに圧着ユニット10を平行移動させて圧着ユニット10の配置を変更させる複数のユニット移動用モータ36とが備えられていることにより、パネル基板1の部品圧着位置情報、すなわち端子部2における複数の部品圧着位置の配置又は個数に応じて、それぞれのユニット移動用モータ36によりそれぞれの圧着ユニット10を個別に平行移動させて、圧着ユニット10の配置を部品圧着位置の配置と合致させることができる。したがって、パネル基板1の仕様に応じて異なる部品圧着位置に対応した本圧着動作を効率的に実施することができる。
また、パネル基板1において、長辺側端子部2Aと短辺側端子部2Bとで、TCP4の圧着位置、間隔ピッチ、及び圧着されるTCP4の個数が異なるような場合であっても、長辺側端子部2Aの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット10の配置調整を行った後、長辺側端子部2Aに対する本圧着動作を実施し、その後、短辺側端子部2Bの部品圧着位置情報に基づいてそれぞれの圧着ユニット10の配置調整を行った後、短辺側端子部2Bに対する本圧着動作を実施することで、それぞれの端子部2A、2Bの仕様に応じた部品圧着を確実かつ効率的に実施することができる。そのため、長辺側用の圧着ユニット及び短辺側用の圧着ユニットとしてそれぞれ専用の圧着ユニットを備えなくても、1台の本圧着装置100により長辺側端子部2A及び短辺側端子部2Bのそれぞれの圧着位置に応じた圧着ピッチに合わせるようにそれぞれの圧着ユニットの位置に迅速に切り替えを行い、パネル基板への部品圧着を効率的に行うことができる。
また、それぞれの圧着ユニット10において、ユニット移動用モータ36が個別に備えられていることにより、このようなそれぞれの圧着ユニット10の配置調整を迅速かつ効率的に行うことができる。
また、それぞれの圧着ユニット10において、押圧方向D沿いの圧着ヘッド31の進退移動および押圧動作は、加圧ユニット37にて発生された力を、リンク機構を介して圧着ヘッド31に伝達することにより行われる。このようなリンク機構としては、ユニットフレーム33に回動可能に支持されたレバー38を用いて、加圧ユニット37からレバー38の一端に付加された力を、テコの原理を用いてレバー38の他端に接続された圧着ヘッド31に伝達することにより行われる。さらに、加圧ユニット37にて発生された力により、圧着ヘッド31の急激な移動を防止するために、レバー38の端部38aと規制部材43とを当接させて、規制部材昇降装置44による規制部材43の移動速度に圧着ヘッド31の動作速度を倣わすような構成が採用されている。そのため、圧着ヘッド31の動作(下降動作)を確実に制御しながらTCP4に当接させることができ、適切な押圧力にて本圧着動作を行うことができる。
さらに、このようなヘッド動作規制装置42を複数の圧着ユニット10にて共通の装置として備えさせていることにより、それぞれの圧着ユニット10の小型化および構造の簡素化を図ることができ、圧着ユニット10の配置変更を容易かつ迅速に行うことができる。特に、圧着ヘッド31を動作させる力を発生する手段として、電動モータ等ではなく、流体圧シリンダ(加圧ユニット37)を採用することにより、個々の圧着ユニット10をコンパクトな構造とすることができる。さらに、このような流体圧シリンダの動作を制御(規制)する装置をそれぞれの圧着ユニットに個別に備えさせるのではなく、共通の1台の装置と備えさせることにより、それぞれの圧着ユニット10をさらにコンパクトな構造として、その軽量化を図ることができる。したがって、ユニット移動用モータ36による移動性を良好なものとすることができる。
また、4台の圧着ヘッド31のうちの複数の圧着ヘッド31が選択される場合には、中央側に位置される圧着ヘッド31から順次選択されるようにすることで、このような共通のヘッド動作規制装置42による動作速度の規制が行われながら、TCP4の圧着動作が行われる際に、ヘッド動作規制装置42の構造に対する荷重バランスを良好なものとすることができ、パネル基板1に対するTCP4の圧着品質をより安定させることができる。
また、各圧着ユニット10において、圧着ヘッド31とバックアップステージ32とが一対とされ、互いの配置関係が保たれた状態にてそれぞれの圧着ユニット10の配置調整のための移動が行われるような構成が採用されていることにより、どのような位置に移動されても圧着ヘッド31の圧着面(あるいは押圧面)とバックアップステージ32のパネル基板1の支持面との平行度(平行関係)を一定に保つことができる。したがって、本圧着工程における圧着精度(実装精度)を向上させることができる。
また、パネル基板1に対する本圧着動作が行われる選択された圧着ユニット10を圧着動作実施領域Q1に位置させて、本圧着動作を行わない選択されなかった圧着ユニット10を退避領域Q2に位置させるようにして、本圧着動作を実施する際に、圧着動作実施領域Q1に位置されているバックアップステージ32のみにより端子部2の支持を行わせることができる。例えば、図10に示すように、パネル基板1の両端部においてたわみWが生じているような場合にあっては、このようなたわみが生じている両端部近傍をバックアップステージ32により支持してしまうと、中央付近の端子部においてバックアップステージ32よりの浮き上がりが生じる恐れがある。このような浮き上がりを確実に防止するために、図10に示すように部品圧着位置が位置されている中央部付近のみを支持させることで、本圧着動作をより確実に実施することができる。なお、バックアップステージ32が可動式として昇降可能な構成であるような場合には、バックアップステージ32をパネル基板1から離間する方向、すなわち下方に位置(下降位置あるいは支持解除高さ位置)に移動させるようにして、本圧着動作を実施する際に、圧着動作を行う圧着ユニット10のバックアップステージ32のみにより端子部2の支持を行わせて、同様の効果を得ることができる。
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる本圧着装置及び方法について以下に説明する。
上記第1実施形態の本圧着装置100では、パネル基板1がほぼ水平方向沿いの姿勢にてその搬送や本圧着動作が行われている。ここで、このような上記第1実施形態のパネル基板1の搬送方法を「水平搬送」と呼ぶものとする。この水平搬送が行われる場合、図11の模式図に示すように、仮圧着工程にてパネル基板1の端子部2に仮圧着された状態のTCP4の端部が、そのフレキシブル性により下方に向けて垂れ下がることになる。このようなTCP4の垂れ下がりを防止して確実な本圧着動作を行うためには、例えば、ステージ11やバックアップステージ32等に、TCP4の外方端部を支持するための支持部材を補助的に装備させるなどの対応が必要となる。また、近年、益々パネル基板の大型化の傾向が顕著となりつつあり、このようなアウターリードボンディング工程が行われる各装置において、パネル基板1のθ回転領域を確保するために、平面的な装置サイズの大型化を避けることは難しいという実情が存在する。
このような水平搬送の課題を改良すべく、本第2実施形態では、パネル基板1を垂直方向、すなわちXZ平面沿いに配置して、その搬送や本圧着動作などを行う構成(以降、「縦型搬送」とする。)が採用されている。図12に示すように、縦型搬送を採用することにより、パネル基板1に仮圧着されたTCP4に垂れ下がり等の現象が生じないようにすることができる。
このような本第2実施形態の縦型搬送が採用されたアウターリードボンディング工程の手順を示す説明図を図13に示す。図13に示すように、部品実装工程を行う装置に搬入されたパネル基板1に対して、まず、ACF貼り付け工程S500にて、それぞれの端子部2の端子電極2aに接合部材としてACFシート3の貼り付けを行い、その後、部品仮圧着工程S600にて、ACFシート3を介してTCP4をそれぞれの端子電極2aに仮圧着し、さらにその後、本圧着工程S700にて、仮圧着された状態のそれぞれのTCP4をさらに圧着して実装する。なお、この本圧着工程S700は、パネル基板1の長辺側端子部に対する本圧着工程S710と、パネル基板1の短辺側端子部に対する本圧着工程S720とに分けて行われる。各工程において、パネル基板1が縦型の姿勢にてその搬送および所定の動作が施される点を除いては、基本的に上記第1実施形態の水平搬送のアウターリードボンディング工程と同様である。
次に、本第2実施形態の縦型搬送のアウターリードボンディング工程の本圧着工程を行う本圧着装置200の構成について、圧着ユニット210および関連する構成を中心として説明する。図14A〜図14Dは、本圧着動作を説明するための圧着ユニット210の模式図であり、ぞれぞれの図は、上記第1実施形態の図5A〜図5Dに対応する状態の図である。また、以降の説明においては、その機能および構成が上記第1実施形態の圧着ユニット10と実質的に同じ構成部材には、同じ参照符号を付すことでその説明を省略するものとする。
本圧着装置200においては、複数の圧着ユニット210として、例えば4台の圧着ユニット210がX軸方向に沿って一列に配列して備えられている。図14Aに示すように、圧着ユニット210は、その押圧方向DがY軸方向となるように圧着ユニット210の配置が、上記第1実施形態と比してパネル基板1の搬送方向に対して直交する方向に90度回転されて実質的に水平面上に配置されている点を除いては、実質的に上記第1実施形態の圧着ユニット10と同じ構成を有している。
具体的には、図14Aに示すように、各圧着ユニット210は、圧着ヘッド31と、バックアップステージ32を備えており、バックアップステージ32は、剛体にて形成された大略L字状の断面を有する柱状体であるユニットフレーム33の上部側面に固定されており、圧着ヘッド31がY軸方向に配置されたLMガイド34を介してその移動動作を案内可能にユニットフレーム33の上面に取り付けられている。また、本圧着装置200の基台フレーム13上には、大略L字状の断面を有する支持フレーム221が固定されている。この支持フレーム221の内側上面および側面のそれぞれの2本ずつのLMガイド35がX軸方向に沿って延在して配置されており、それぞれのLMガイド35を介して、4台の圧着ユニット210のユニットフレーム33がX軸方向の進退移動可能に基台フレーム13に支持されている。また、図14Aに示すように、各圧着ユニット210のユニットフレーム33の図示右側下部には、圧着ユニット210のX軸方向沿いの進退移動を駆動するユニット移動用モータ36が備えられている。すなわち、4台の圧着ユニット210は、個別に圧着ヘッド31とバックアップステージ32とを備えるとともに、個別に備えられたユニット移動用モータ36が駆動されることにより、4本のLMガイド35に沿ってX軸方向沿いに案内されながら、それぞれ独立して進退移動することが可能に構成されている。
また、図14Aに示すように、各圧着ヘッド31は、ほぼ垂直に配置されるパネル基板1に対して垂直な方向(Y軸方向)である押圧方向Dに沿って、圧着ヘッド31を進退移動、すなわち水平移動動作させるための力を圧着ヘッド31に付与するとともに、TCP4に当接された状態の圧着ヘッド31に対して本圧着のための力を付与する加圧ユニット37が備えられている。図14Aにおいて、ユニットフレーム33の図示上方側に圧着ヘッド31が配置され、ユニットフレーム33の図示下方側に加圧ユニット37が配置されている。
また、図14Aに示すように、それぞれの圧着ユニット210において、加圧ユニット37にて発生された力を、圧着ヘッド31に機械的に伝達するための手段として、リンク機構が採用されている。リンク機構は、上記第1実施形態と同様にユニットフレーム33の図示左側端部に回動可能にそのほぼ中央付近にて支持されたレバー38が、その図示上端にて、圧着ヘッド31の左側端部と回動可能に接続され、その図示下端にて、加圧ユニット37の内部のピストンに連結されたロッド37aの端部と回動可能に接続されることにより構成されている。なお、レバー38は、大略Z軸方向に沿って配置されており、その支持位置や接続位置における回動は、YZ平面内にて行うことが可能とされている。
また、図14Aに示すように、支持フレーム221には、剛体部材により形成された大略門型形状を有する門型フレーム41がXY平面に沿って配置された状態で固定されており、この門型フレーム41の内側に4台の圧着ユニット210が配列されている。さらに、この門型フレーム41には、門型フレーム41の内側にてX軸方向に延在して配置され、4台の圧着ユニット210のレバー38の端部38aの図示左側端部と当接可能な規制部材43と、この規制部材43をY軸方向に沿って移動させる規制部材昇降装置44とを備えるヘッド動作規制装置42が設けられている。
このような構成の本第2実施形態の本圧着装置200において、図14Aに示すように、バックアップステージ32に接するようにパネル基板を配置し、その後、図14Bに示すように、規制部材43によりレバー38の回動を規制しながら、加圧ユニット37にて加圧力を生じさせて、レバー38を介して圧着ヘッド31を押圧方向D、すなわちパネル基板1に部品であるTCP4を圧着する方向であるY軸方向沿いにバックアップステージ32に向かうように動作させる。やがて、図14Cに示すように、圧着ヘッド31がパネル基板1に仮圧着されたTCP4に当接し、圧着ヘッド31がTCP4を押圧してパネル基板1への本圧着動作が行われる。それとともに、図14Dに示すように、規制部材43はレバー38から離間されて、動作速度の規制が解除され、加圧ユニット37の加圧力がレバー38を介して圧着ヘッド31を所定の押圧力にてパネル基板1へTCP4を押圧する。その後、本圧着動作が完了すると、加圧ユニット37により圧着ヘッド31がTCP4から離間する方向に動作される。また、それぞれの圧着ユニット210のX軸方向沿いの移動、すなわち配置ピッチの変更は、図14Aに示すように、規制部材43が、それぞれのレバー38から離間された状態にて行われる。
上記第2実施形態のように、パネル基板1の縦型搬送が行われるような構成が採用される場合であっても、それぞれの圧着ユニット210をY軸方向に寝かした状態、すなわち、それぞれの圧着ヘッド31の押圧方向DがY軸方向に配置されるように、それぞれの圧着ユニット210を配置させることにより、縦型搬送の利点を得ながら上記第1実施形態と同様な効果を得ることができる本圧着装置200を実現することができる。特に、このような縦型搬送が採用される場合には、Y軸方向における装置幅は装置構成部材の大きさ(幅)により決定されることになるが、パネル基板1の縦型搬送に伴い、特に大型のパネル基板の搬送方向に直交する水平方向の装置幅が小さくなり、またそれぞれの圧着ユニット210の小型化および構成の簡素化を図ることにより、パネル基板の搬送方向に直交する水平方向の装置幅の小型化を実現することができる。
(変形例)
次に、上記第1及び第2実施形態の本圧着装置の様々な変形例について図面を用いて説明する。なお、以降の説明において、上記第1及び第2実施形態の本圧着装置が有する構成要素と実質的に同一の構成要素には、同じ参照符号を付してその説明を省略する。
上記第1実施形態では、ヘッド動作規制装置42を支持するための構造として、門型フレーム41を採用したが、このような門型フレーム41に代えて、図15および図16の本圧着装置300の模式図に示すように、それぞれの圧着ユニット10のY軸方向後方側に配置された支持フレーム351を用いることもできる。
このような支持フレーム351を用いた構成を採用することにより、それぞれの圧着ユニット10の配列方向に支持フレーム351が配置されない構成とすることができる。したがって、それぞれの圧着ユニット10の移動範囲に制約を無くすことができ、配置ピッチ変更のための移動の自由度を高めることができる。また、支持フレーム351を支持する基台フレーム13を、支持フレーム351をX軸方向に進退移動させる移載軸(すなわち移動装置)とするような場合(図示せず)には、支持フレーム351とともにそれぞれの圧着ユニット10を一体的にX軸方向に移動させることで、X軸方向におけるそれぞれの圧着ユニット10の実質的な移動範囲の拡大を行い、パネル基板1の搬送方向であるX軸方向に、特に支持フレーム351のX軸方向の幅を超えて大型化されたパネル基板1に対する部品の圧着作業に、支持フレーム351の大型化対応をすることなく、対応することが可能となる。また、このような支持フレームと基台フレームとの相対的な進退移動の構成は、水平搬送の本圧着装置だけでなく、縦型搬送の本圧着装置にも適用することができる。
これに対して、門型フレーム41を用いた構成では、規制部材43を通じて門型フレーム41に外力(レバー38の動作速度規制により生じる力)が付与されても、比較的フレームに反り等が発生し難く、より精確にレバー38の動作速度を規制することができる。
また、このように、門型フレームではなく、支持フレームにヘッド動作規制装置を固定するような構成は、上記第2実施形態のように縦型搬送を採用する本圧着装置にも適用することができる。
具体的には、図17の本圧着装置400の模式図に示すように、支持フレーム441をY軸方向に延在させて、ヘッド動作規制装置42を支持させるような構成を採用することができる。
また、図18の本圧着装置500の模式図に示すように、支持フレーム541上に配置された2本のLMガイド35のみにより、それぞれの圧着ユニット210のX軸方向の移動が案内されるような構成を採用することもできる。特に、圧着ユニット210が小型であり軽量化が図られているような場合には、このような構成に対応することが可能である。
また、上記第1および第2実施形態の本圧着装置では、加圧ユニットにて生じた加圧力を、レバー38を用いたリンク機構を用いて、ユニットフレームを挟んで反対側に配置されている圧着ヘッドに伝達するような構成について説明したが、本発明はこのような構成のみに限定されるものではない。このような構成に代えて、例えば、図19の本圧着装置600の模式図に示すような構成を採用することができる。
具体的には、図19に示すように、本圧着装置600において、圧着ヘッド631の押圧方向D沿いの動作軸(昇降軸)と同軸上に加圧ユニット627を配置し、加圧ユニット627のピストン627bに連結された下方側ロッド627aを直接的に圧着ヘッド631に接続する。さらに、ピストン627bに連結された上方側ロッド627cの上端部に形成された係合部627dの下部を、規制部材643の上部に係合可能とすることで、ヘッド動作規制装置642の規制部材昇降装置644により圧着ヘッド631の動作速度を規制可能としている。
このような同軸上における圧着ヘッド631の動作速度の規制を行う構成では、同軸上にて規制のための力が作用することとなり、力学上のバランスを良好なものとすることができる。一方、上記第1実施形態のように、レバー38を用いたような構成を採用すれば、圧着ユニットの高さを低く抑えることができ、装置の小型化や低重心化を図ることができ、それぞれの圧着ユニットの移動を迅速かつ容易に行うことができるという利点がある。なお、図19の本圧着装置600では、門型フレーム641が採用されており、図20に示す本圧着装置700では、支持フレーム741が採用されている。
また、図19に示す規制部材643と上方側ロッド627cの係合部627dとの係合関係は、その他様々な構成を適用することができ、例えば、図21の本圧着装置800の模式図に示すように、上方側ロッド827cの端部が貫通さるように形成され、その内部にて係合部827dと同軸上にて係合されるような規制部材843を有するヘッド動作規制装置842を採用することもできる。このような構成では、規制部材843の規制位置も含めて門型フレーム641の上部梁の面内で圧着ヘッド631の動作速度および位置による反力を受けることができ、ほぼ完全に同軸上のみにおいて力を作用させることができるため、力学なバランスをさらに良好にすることができる。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。