定義
本発明およびそれに添付される特許請求の範囲に関して:
触媒系は、1つ以上の触媒前駆体化合物と1つ以上の活性剤の組み合わせとして定義される。それら自体は触媒活性をもたない(活性となるためには活性剤と組み合わせる必要がある)ものの、触媒前駆体化合物は多くの場合、重合技術において触媒として言及されている。触媒系のいずれの部分でも固体粒子上に任意に担持され得、この場合、この担体もまた触媒系の一部を成す。
高密度流体は、300kg/m3超の密度を有するその液体または超臨界状態にある流体媒質として定義される。気相流体が高密度流体の群から除外されていることに留意されたい。
固体−流体相転移温度は、固体ポリマー相が所与の圧力でポリマー含有高密度流体媒質から分離する温度として定義される。固体−流体相転移温度はポリマーが高密度流体反応媒質中で完全に溶解する温度から出発した温度低下によって判定され得る。固体ポリマー相の形成の開始時点で、均一な流体媒体は混濁状態となり、これは眼で観察することもできるし、或いはまた非特許文献1に記述されているように媒質を通してレーザーを照射して光散乱の急増を検出することによって検出することもできる。
固体−流体相転移圧力は、固体ポリマー相が所与の温度でポリマー含有流体媒体から分離する圧力として定義される。固体−流体相転移圧力はポリマーが流体反応媒質中で完全に溶解させられる圧力から出発して一定温度での圧力低下によって判定され得る。固体ポリマー相の形成の開始時点で、均一な流体媒体は混濁状態となり、これは眼で観察することもできるし、或いはまた非特許文献1に記述されているように媒質を通してレーザーを照射して光散乱の急増を検出することによって検出することもできる。
曇り点は、非特許文献1に記述されている通り、それより低くなると、所与の温度で、ポリマー含有均一流体媒質が一定温度での圧力減少時点で混濁状態になる圧力として定義される。本発明およびそれに添付される特許請求の範囲においては、曇り点は、曇り点セル内の選択された重合系を通してフォトセル上にヘリウムレーザーを照射し、所与の温度についての光散乱の急速な増加の開始時点における圧力を記録することによって測定される。
高級α−オレフィンは、4個以上の炭素原子を有するα−オレフィンとして定義される。
重合とは、単独重合および共重合などの任意の重合反応を包含する。
共重合とは、2つ以上のモノマーの任意の重合反応を包含する。
周期表の族についての新しい付番スキームは、非特許文献2で公開されている通りに使用される。
ポリマーがオレフィンを含むものとしてみなされる場合、ポリマー内に存在するオレフィンはオレフィンの重合形態である。
オリゴマーは、2〜75個のモノマー単位を有する組成物として定義される。
ポリマーは、76個以上のモノマー単位を有する組成物として定義される。
直列反応装置カスケード(直列反応装置構成または直列反応装置とも呼ばれる)には、直列に連結された2つ以上の反応装置が含まれ、ここで上流側反応装置の流出物は反応装置カスケード内の次の下流側の反応装置に補給される。1つまたは複数の上流側反応装置の流出物以外に、あらゆる反応装置の原料を、付加的なモノマー、触媒、スカベンジャまたは溶媒の新鮮なまたは再循環された原料流のあらゆる組み合わせを用いて増加させることができる。
反応装置列または反応装置分岐(branch)または反応装置レグ(leg)とは、単一のポリマー配合物成分を生産する、本明細書中で開示されたインライン配合プロセスの単一の重合反応装置または重合反応装置群を意味する。反応装置列が2つ以上の反応装置を含有する場合、反応装置は列の内部で直列構成で配置される。反応装置列内に2つ以上の反応装置を有する必要性は、例えば、単一の反応装置内で経済的に所望の速度でインライン配合物成分を生産できない場合に発生し得るが、分子量または組成分布などといった配合物成分品質に関連する理由も存在し得ると思われる。反応装置列は、直列で多数の反応装置および/または反応装置ゾーンを含むことができることから、反応装置列内で生産された単一配合物成分はそれ自体、さまざまな分子量および/または組成をもつポリマー成分のポリマー配合物であってよい。しかしながら、本明細書で開示されたインライン配合プロセスの異なる実施形態の記述を単純化するため、反応装置列のポリマー生成物は、その分子量および/または組成上のばらつきとは無関係に、単に配合物成分またはポリマー配合物成分と呼ばれる。本発明のプロセスを定義する上で、並列反応装置は、それらが基本的に同じインライン配合物成分を生産するとしてもつねに分離した反応装置列とみなされる。同様に、例えばポンプアラウンドループまたはその他の再循環方法により反応混合物を交換または混合しない空間的に分離した並列反応ゾーンは、これらの並列ゾーンが共通のシェル内に存在する場合でも分離した並列反応装置列とみなされ、本明細書中で開示されているインライン配合プロセスの中に入る。
反応装置バンクとは、本明細書中で開示されているインラインポリマー配合プロセスの重合セクション内の全ての重合反応装置の組み合わせを意味する。反応装置バンクは1つ以上の反応装置列を含んでいてよい。
並列反応装置構成には、並列に連結(流体連通とも呼ぶ)された2つ以上の反応装置または反応装置列が含まれる。反応装置列、分岐またはレグには1つの反応装置が含まれていてもよいし、或いは直列に構成された2つ以上の反応装置が含まれていてもよい。例えば、1つの反応装置列は2つ、または3つ、または4つまたはそれ以上の反応装置を直列に含んでいてよい。本明細書で開示されている重合プロセスの並列の反応装置構成全体、即ち全ての並列重合反応装置列の組み合わせは、反応装置バンクを形成する。
モノマー再循環比は、反応装置に補給されたモノマーの合計(新鮮なものと再循環されたものの合計)量で反応装置に補給された再循環されたモノマーの量を除した比を意味する。
重合系は、1つまたは複数のモノマーと1つまたは複数のコモノマーと1つまたは複数のポリマーと1つまたは複数の任意の不活性溶媒/希釈剤と1つまたは複数の任意のスカベンジャの合計として定義される。便宜上そして明瞭さを期して、本明細書中ではつねに、触媒系が重合反応装置内に存在するその他の成分とは別に扱かわれているという点に留意されたい。この点において、重合系はここでは、典型的に触媒系を重合系の一部としてみなす重合技術において慣習的である定義よりも狭く定義されている。現行の定義においては、重合反応装置内およびその流出物中に存在する混合物は重合系と触媒系から成る。
均一な重合系は、分子規模で分散され混合された状態でその成分全てを含む。我々の論述の中では、均一な重合系はその高密度流体(液体または超臨界)状態にあるように意図されている。重合系についての我々の定義には触媒系が含まれず、従って触媒系は、重合系の中に均一に溶解していてもいなくてもよいという点に留意されたい。均一な系は、濃度勾配を伴う領域を有していてよいが、系の内部には、マイクロメートル規模での急激かつ不連続な組成変化は全く存在しないと考えられる。実際問題として、均一な重合系は、その成分全てを単一の高密度流体相で有している。外見上、2つ以上の流体相または流体と固体相に分割されている場合重合系は均一ではない。重合系の均一な流体状態は、その相図内で単一の流体領域により表現される。
全てのタイプの炭化水素を含む純粋な物質は、その温度および圧力に応じて亜臨界または超臨界状態のいずれかで存在し得る。超臨界状態にあるためには、物質はその臨界温度(Tc)より高い温度そしてその臨界圧力(Pc)よりも高い圧力を有していなければならない。モノマー、ポリマーおよび任意に不活性溶媒の混合物を含む炭化水素混合物は、数多くの系について混合物の成分の対応する臨界特性(TcまたはPc)のモル分率加重平均によって近似可能な疑似臨界温度(Tc)および疑似臨界圧力(Pc)を有する。自らの疑似臨界温度より高い温度および自らの疑似臨界圧力より高い圧力を有する混合物は、超臨界状態または相にあると言われ、超臨界混合物の熱力学挙動は超臨界純粋物質と類似するものである。本発明においては、本発明に関係する一部の純粋物質の臨界温度(Tc)および臨界圧力(Pc)は、非特許文献3に見出されるものである。特に、選択された物質のTcおよびPcは、以下の通りである。
以下の略語が使用される:Meはメチル、Phはフェニル、Etはエチル、Prはプロピル、iPrはイソプロピル、n−Prはノルマルプロピル、Buはブチル、iBuはイソブチル、tBuは第3ブチル、p−tBuはパラ第3ブチル、TMSはトリメチルシリル、TIBAはトリイソブチルアルミニウム、MAOはメチルアルミノキサン、pMeはパラメチル、fluはフルオレニル、cpはシクロペンタジエニルである。
「連続〜」という用語は、中断せずにまたは停止せずに作動する(または作動するように意図されている)系を意味する。例えば、ポリマーを生産するための連続プロセスは、反応物質が1つ以上の反応装置内に連続して導入され、ポリマー生成物が連続して回収されるプロセスである。
スラリー重合とは、微粒子、固体ポリマー(例えば粒状)が高密度流体または液体/蒸気重合媒質の中で形成する重合プロセスを意味する。高密度流体重合媒質は、液体、超臨界流体または液体/液体または超臨界流体/超臨界流体、重合媒質などの単一または2つの流体相を形成できる。液体/蒸気重合媒質においては、ポリマーは液体(高密度)相の中に存在する。スラリー重合プロセスは典型的に、不均一触媒粒子、例えばチーグラー・ナッタ触媒または担持メタロセン触媒などを利用する。固体ポリマー生成物は典型的に、不均一固体触媒粒子に付着してスラリー相を形成する。スラリー重合プロセスは、重合系の固体−流体相転移温度より低い温度で作動する。
溶液重合とは、ポリマーが不活性溶媒または1つまたは複数のモノマーまたはそれらの配合物などの液体重合系の中に溶解させられる重合プロセスを意味する。溶液重合は、反応装置内に均一な液体重合系を含む。液体重合系の温度はその超臨界または疑似超臨界温度より低く、かくして、溶液重合は超臨界より低い温度および/または圧力で実施される。
超臨界重合とは、重合系がその高密度超臨界または疑似超臨界状態にある重合プロセス、即ち重合系の密度が300g/L超であり、その温度および圧力が対応する臨界値より高い場合を意味する。
バルク重合とは、高密度流体重合系が40wt%未満、または30wt%未満、または20wt%未満、または10wt%未満、または5wt%未満、または1wt%未満の不活性溶媒を含有する重合プロセスを意味する。不活性溶媒は、生成物ポリマー鎖内のその取込みが欠如していることを特徴とする。ポリオレフィン生産においては、溶媒は典型的に4〜20個の炭素原子、有利には5〜10または5〜8個の炭素原子を含む炭化水素である。重合系は同様に、生成物ポリマー鎖の中に取込まれない不活性希釈剤も含んでいてよいという点に留意されたい。これらは典型的に、モノマー原料の中に存在する不純物として導入される。本開示においては、不活性希釈剤は、不活性溶媒とは別に考えられており、この不活性溶媒はポリマー生成物を溶解状態に保つその能力のために意図的に添加されている。
均一重合系は、その成分全てを分子レベルで分散、混合された状態で含有している。本発明者らの論述の中では、均一重合系はその高密度流体(液体または超臨界)状態にあることが意図されている。重合系についての我々の定義には触媒系は含まれず、従って触媒系は重合系の中に均一に溶解してもしていなくてもよい、という点に留意されたい。均一系は、濃度勾配をもつ領域を有していてよいが、例えば固体ポリマー含有粒子が高密度流体中に懸濁させられている場合にそうであるように、系の内部にはマイクロメートル規模の突然の不連続な組成変化は存在しないと考えられる。実際面では、均一な重合系は、その全ての成分を単一の高密度流体相中に有している。外見上、重合系は、それが2つ以上の流体相または流体および固体相に分割されている場合に、均一ではない。重合系の均一流体状態は、その相図内で単一の流体(液体または超臨界流体)領域により表わされる。
均一超臨界重合とは、その超臨界状態での不活性溶媒またはモノマーまたはそれらの配合物などの高密度超臨界流体重合媒質中にポリマーを溶解させる重合プロセスを意味する。上述の通り、超臨界流体重合系が40wt%未満、または30wt%未満、または20wt%未満、または10wt%未満、または5wt%未満、または1wt%未満の不活性溶媒を含有し、ポリマーが高密度超臨界流体中に溶解させられる場合、そのプロセスはバルク均一超臨界重合プロセスと呼ばれる。均一超臨界重合と、例えば超臨界スラリープロセスなどの不均一超臨界重合とは区別すべきであり、このうち後者は超臨界流体中で実施されるものの、重合反応装置内で固体ポリマー微粒子を形成する。同様にして、バルク均一超臨界重合とバルク溶液重合とは区別すべきであり、このうち後者は、超臨界重合系中ではなく液体中で実施される。
本明細書で開示されるインライン配合方法とは、重合とポリマー配合プロセスが単一のプロセス内に統合され、重合列の少なくとも1つが溶液または均一超臨界条件下で作動するプロセスを意味する。インライン配合プロセスは典型的に溶液または均一超臨界重合系を用いる重合列を利用するものの、重合列のうちの1つ以上はスラリー重合系、特にバルクスラリー重合系を利用してもよい。重合バンクに1つ以上のスラリー重合列が含まれる場合、これらのスラリー列の流出物はつねに上記の固体−流体転移点より高い温度に加熱され、任意には、流体相の混合を可能にするべくその他の列の流出物とそれらを混合する前に加圧される。
本明細書中で開示されているインラインポリマー配合物またはインライン配合物は、2つ以上のポリマー成分の混合物を意味し、そのうちの少なくとも1つは、均一超臨界重合条件または均一溶液重合条件下で生産される。ポリマー成分は、インライン配合プロセス内で内部的に生産され、それらを固体状態で回収することなく同じプロセス内で混合される。任意には、インライン配合物は同様に、可塑化剤、UV安定化剤、酸化防止剤などといった本発明のプロセスの外部で生産された添加剤およびオフラインポリマー添加剤/重合改質剤も少量、即ち50重量%未満、40重量%未満、または30重量%未満、または20重量%未満、または10重量%未満、または5重量%未満、または1重量%未満の量で含有していてよい。
反応装置列j内のモノマーiのワンパス転化率は、以下の公式により定義づけされる:
反応装置列j中のモノマーiのワンパス転化率(%)=100×[(一時間あたりの重量で表わした反応装置列jの流出物流速)×(重量分率で表わした反応装置列jの流出物中のポリマー生成物の濃度)×(重量分率で表わした反応装置列j内で製造されたポリマー生成物中のモノマーiの濃度)]/[一時間あたりの重量で表わした新鮮なものと再循環されたものを含む反応装置列jの原料流速)×(重量分率で表わされた新鮮なものと再循環されたものを含む反応装置列jの原料中のモノマーiの濃度)]。
反応装置列j中のモノマーiの全体転化率は、以下の公式によって定義づけされる:
反応装置列j中のモノマーiの全体転化率(%)=100×[(一時間あたりの重量で表わした反応装置列jの流出物流速)×(重量分率で表わした反応装置列jの流出物中のポリマー生成物の濃度)×(重量分率で表わした反応装置列j中で製造されたポリマー生成物中のモノマーiの濃度]/[一時間あたりの重量で表わした、再循環されたものを除いた反応装置列jの新鮮原料の流速)×(重量分率で表わした再循環されたものを除いた反応装置列jの新鮮原料中のモノマーiの濃度)]。
所与の列の合計モノマー原料速度は、一時間あたりの重量で表わした新鮮な(補給)モノマー原料速度に再循環されたモノマー原料速度を加えた和に等しい。
一時間あたりの重量で表わしたモノマー成分iの流速(原料、流出物、再循環、パージなどの流速)は、モノマー成分iの重量分率を一時間あたりの重量で表わした合計流速(原料、流出物、再循環、パージなどの流速)に乗じたものに等しい。
一時間あたりの重量で表わした反応装置列j内のモノマーiの転化速度は、[(一時間あたりの重量で表わした反応装置列jの流出物流速)×(重量分率で表わした反応装置列jの流出物中のポリマー生成物の濃度)×(重量分率で表わした反応装置列j内にてワンパスで製造されたポリマー生成物中のモノマーiの濃度)]に等しい。
モノマープールは、プロセス内でまたはプロセスの一部の原料または流出物または再循環流または容器または生成物中に1.0重量%以上または0.5重量%以上または0.1重量%以上または0.05重量%以上または0.01重量%以上または0.001重量%以上存在するモノマーの数および性質を記述するものである。一般に、反応装置rのモノマープール、または反応装置列jのモノマープール、または原料中または反応装置rまたは反応装置列jの流出物中のモノマープール、またはプロセス全体のモノマープール、または反応装置列または反応装置群またはプロセスの生成物のモノマープールなどに言及することができる。モノマープールは、それが表わすモノマーの数および性質に関係するが、(それ未満になるとモノマーがモノマープールの一部であるとみなされない最低/閾値レベルを設定するため以外には)ポリマープールのモノマーの量または濃度に言及することはない。同じモノマーしかも同じモノマーだけを含む2つ以上のモノマープールは、それらのプール内のモノマーの(最低/閾値よりも高い)濃度または比率が同じでない場合でも、同一または同じとみなされる。当然のことながら、モノマーは、その濃度が定義された閾値よりも低い場合プール内に存在せず、かくしてその濃度が定義された閾値より高い場合にのみ、モノマープール中に存在するとみなされるかまたはモノマープールの一部を成すとみなされる。モノマープールの2つの例は以下の通りである:(1)エチレン、プロピレンおよび1,5−ヘキサジエンを含有する流れのモノマープールは、エチレン、プロピレンおよび1,5−ヘキサジエンという3つの構成要素を有する。(2)エチレンおよびプロピレンを含む反応装置列1、プロピレンおよびブテン−1を含む反応装置列2そしてプロピレンを含む反応装置列3の組み合わせ型モノマープールも同様に、エチレン、プロピレンおよびブテン−1という3つの構成要素を有する。列1のモノマープールがエチレンとプロピレンという2つの構成要素を有し、列2のモノマープールもプロピレンとブテン−1という2つの構成要素を有し、列3のモノマープールがプロピレンという1つの構成要素を有するという点に留意されたい。同様に、この例においては、プロピレンが個々の全モノマープール(列1、2および3のプール)中に存在し、従ってプロピレンは3つのモノマープール全ての共通構成要素と呼ばれる、という点に留意されたい。
未還元反応装置流出物とは、1つ以上の高圧分離器内で更に相分離を受ける必要のある反応装置列、レグまたは分岐から出現する全流出物流を意味し、即ちこれは、反応装置列、レグまたは分岐から出現する時に未還元重合系全体を含有している。未還元反応装置流出物とは異なり、還元済み反応装置流出物は、未還元反応装置流出物から誘導されるポリマー含有流である。還元済み反応装置流出物は、反応装置列、レグまたは分岐から出現する時に未還元重合系を100%未満で含有する。実際上、還元済み流出物は、モノマーの一部および任意の不活性溶媒/希釈剤含有量をモノマー富有流の形で分離し除去することによって形成される。本開示の実践においては、前記モノマー富有流出物の分離ひいては未還元反応装置流出物の還元は、前記モノマー富有流および前記還元済み反応装置流出物を生成する相分離によって実施され、後者の流出物はポリマー富化流の形をしている。換言すると、未還元の反応装置流出物は、その流出物の何らかの分割が発生する前の全反応装置流出物であり、一方還元済み流出物は、軽質成分(モノマーおよび任意の不活性溶媒/希釈剤)の一部が全未還元反応装置流出物から除去される少なくとも1回の分割後に形成される。
詳細な説明
本書で開示されているモノマー再循環プロセスは、その全体が本明細書に参照により援用されている2006年12月20日付けの特許文献1の中で詳細に記述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する。
特許文献1で開示されているポリマーを配合するための改良型インラインプロセスの一形態は、(a)並列に構成された2つ以上の反応装置列とこれらの並列に構成された2つ以上の反応装置列に流体連通された2つ以上の高圧分離器を提供する工程と;(b)2つ以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーを、1)1つ以上の触媒系、2)任意の1つ以上のコモノマー、3)任意の1つ以上のスカベンジャ、および4)任意の1つ以上の希釈剤または溶媒と、並列に構成された2つ以上の反応装置列の中で接触させる工程であって、並列に構成された反応装置列のうちの少なくとも1つが、重合系の固体−流体相転移温度より高い温度および重合系の曇り点圧力より10MPa以上低くなく1500MPa未満の圧力にあり、反応装置列のうちの少なくとも1つが3つ以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーを含み、各々の反応装置列のための重合系がその高密度流体状態にあり、オレフィンモノマー、存在する任意のコモノマー、存在する任意の希釈剤または溶媒、存在する任意のスカベンジャおよびポリマー生成物を含み、各々の反応装置列のための触媒系が、1つ以上の触媒前駆体、1つ以上の活性剤、そして任意には1つ以上の触媒担体を含む工程と;(c)各々の並列反応装置列の中で均一な流体相ポリマー/モノマー混合物を含む未還元反応装置流出物を形成させる工程と;(d)1つ以上の並列高圧分離器の中に並列反応装置列のうちの全てではないものの1つ以上からの未還元反応装置流出物を通過させ、1つ以上の高圧分離器内の温度および圧力を固体−流体相転移点より高くただし曇り点圧力および温度より低く維持して、各々ポリマー富有相とモノマー富化相を含む1つ以上の流体−流体2相系を形成させ、1つ以上の高圧分離器の各々の中でポリマー富有相からモノマー富有相を分離して1つ以上の分離したモノマー富有相と1つ以上のポリマー富化相を形成させる工程と;e)(d)の1つ以上の高圧分離器からの1つ以上のポリマー富化相を、1つ以上の並列反応装置列からの1つ以上の未還元反応装置流出物と組み合わせて1つ以上のポリマー富化相と1つ以上の並列反応装置列からの1つ以上の未還元反応装置流出物の混合物を形成させて、全ての並列反応装置列からのポリマー配合物成分を含む組み合わせ流出物流を形成させる工程と;(f)生成物の配合および生成物−原料の分離のための別の高圧分離器の中に、(e)の組み合わせ流出物流を通過させる工程と;(g)(f)の別の高圧分離器内の温度および圧力を固体−固体相転移点より高くしかも曇り点圧力および温度より低く維持して、ポリマー富有配合物相およびモノマー富有相を含む流体−流体2相系を形成させる工程と;(h)ポリマー富有配合物相からモノマー富有相を分離してポリマー配合物および分離したモノマー富有相を形成させる工程を含んでいる。ポリマー富有配合物相は、ポリマー生成物配合物を形成させるべく更なるモノマーストリッピング、乾燥および/またはペレット化のための下流側仕上げ段まで送られる。流体相インライン配合プロセスは、配合工程において粘度を低減させることにより配合を助ける溶媒としてのモノマーの存在下でポリマーを配合することにより結果として得られるポリマー配合物を改善する。
特許文献1の中で開示されているポリマーを配合するための改良型インラインプロセスの別の形態は、(a)並列に構成された2つ以上の反応装置列とこれらの並列に構成された2つ以上の反応装置列の下流側に流体連通された高圧分離器を提供する工程と;(b)2つ以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーを、1)1つ以上の触媒系、2)任意の1つ以上のコモノマー、3)任意の1つ以上のスカベンジャ、および4)任意の1つ以上の希釈剤または溶媒と、並列に構成された2つ以上の反応装置列の中で接触させる工程であって、並列に構成された反応装置列のうちの少なくとも1つが、重合系の固体−流体相転移温度より高い温度および重合系の曇り点圧力より10MPa以上低くなく1500MPa未満の圧力にあり、反応装置列のうちの少なくとも1つが3つ以上の炭素原子を有するオレフィンモノマーを含み、各々の反応装置列のための重合系がその高密度流体状態にあり、オレフィンモノマー、存在する任意のコモノマー、存在する任意の希釈剤または溶媒、存在する任意のスカベンジャおよびポリマー生成物を含み、各々の反応装置列のための触媒系が、1つ以上の触媒前駆体、1つ以上の活性剤、そして任意には1つ以上の触媒担体を含む工程と;(c)各々の並列反応装置列の中で均一な流体相ポリマー/モノマー混合物を含む反応装置流出物を形成させる工程と;(d)各々の並列反応装置列からの均一な流体相ポリマー/モノマー混合物を含む反応装置流出物を組み合わせて、組み合わせ反応装置流出物を形成させる工程と;(e)生成物の配合および生成物−原料の分離のための高圧分離器の中に、組み合わせ反応装置流出物を通過させる工程と;(f)高圧分離器内の温度および圧力を固体−流体相転移点より高くしかも曇り点圧力および温度より低く維持して、ポリマー富有配合物相およびモノマー富有相を含む流体−流体2相系を形成させる工程と;(g)ポリマー富有配合物相からモノマー富有相を分離してポリマー配合物および分離したモノマー富有相を形成させる工程を含んでいる。ポリマー富有配合物相は、ポリマー生成物配合物を形成させるべく更なるモノマーストリッピング、乾燥および/またはペレット化のための下流側仕上げ段まで送られる。流体相インライン配合プロセスは、配合工程において粘度を低減させることにより配合を助ける溶媒としてのモノマーの存在下でポリマーを配合することにより結果として得られるポリマー配合物を改善する。
本明細書で開示されている新規の再循環方法は、特許文献1の中で記述されたインライン流体相ポリマー配合プロセス(これを本明細書中インライン流体相ポリマー配合プロセスまたはインラインポリマー配合プロセスと呼ぶ)の並列反応装置列から未転化状態で出現するモノマーのための単純化された再循環方法を提供する。詳細には、この新規のモノマー再循環方法は、前記インライン配合プロセスの第1の1つ以上の反応装置列の群(G1)に補給される各々のモノマー成分が、前記インライン配合プロセスの第2の1つ以上の列の群(G2)の原料の中にも同様に存在し、かくして、前記第1の列群(G1)のモノマープールが第2の列群(G2)と組み合わされた時点で前記組み合わされたモノマープールと第2の列群(G2)のモノマープールが同じものとなっている前記流体相インラインポリマー配合プロセスと共に使用するために応用できる。換言すると、前記第1の反応装置列群(G1)の流出物(またはこの流出物から誘導された還元済み流出物流)が、前記第2の反応装置列群(G2)の流出物と組み合わされた場合、組み合わされた流出物流は基本的に、前記第2の反応装置列(G2)の原料中に存在するモノマーのみを含有する。更に換言すると、前記第1の反応装置列群(G1)の流出物(またはこの流出物から誘導された還元済み流出物流)は、G1とG2の流出物流が組み合わされた場合、前記第2の反応装置列群(G2)の再循環済み流出物内に新しいモノマー成分を導入しない。数学的形態では、これらの条件を、以下のように記述することができる:即ち
N(G1+G2)=N(G2)およびN(G1)≦N(G2)
なお式中、N(G1+G2)は、N(G1+G2)は、インライン流体相ポリマー配合プロセスの第1および第2の反応装置列群の組み合わせモノマープール中のモノマーの数であり;N(G1)およびN(G2)はそれぞれ、インライン流体相ポリマー配合プロセスの第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群のモノマープール中のモノマーの数である。G1の個々の反応装置列内に存在するモノマープールは、同じものでも異なるものでもあり得る。しかしながらG2の個々の反応装置列内に存在するモノマープールは、モノマー濃度またはモノマー比が異なるものであり得る(ただし同じであってもよい)にも関わらず、つねに同じである。第1および第2の両方の反応装置列群(G1およびG2)内の反応装置列の数は、1つまたは2つ以上であり得る。実際には、インライン流体相ポリマー配合プロセスの第1の反応装置列群(G1)に属する反応装置列の数は1、2、3、4、5またはそれ以上であり得る。同様にして、インライン流体相ポリマー配合プロセスの第2の反応装置列群(G2)に属する反応装置列の数も1、2、3、4、5またはそれ以上であり得る。本明細書で開示されているインライン流体相ポリマー配合プロセスの全ての反応装置列と同様に、G1の1つ以上の反応装置列はG2の1つ以上の反応装置列に対して並列に構成されているということを理解すべきである。G1およびG2の反応装置列はまた、互いに流体連通されている。並列反応装置バンク内の反応装置の合計数は、任意の数であってよいが、経済的理由から、反応装置の数は、所望の製品グレードの範囲およびプラントの能力が許容するかぎり低いものに維持されるべきである。並列反応装置列(反応装置バンクのレグとも呼ばれる)の最適な数は、当該技術分野において周知の標準的な化学工学最適化方法によって決定され得る。最も典型的には、特許文献1の中で記述されたプロセスの重合−配合プラントは、第1(G1)および第2(G2)の両方の反応装置列群の中に最高3つの重合反応装置列またはレグを有する。しかしながら、標的生成物配合物の生産に必要である場合には、1反応装置群あたり4つ以上の反応装置列/レグを利用してもよい。
モノマープールについての上述の条件が、2006年12月20日付けの特許文献1の中で記述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスにおいて満たされている場合、開示された新規のモノマー再循環方法は、モノマー再循環流のための単純化された、ひいては利点に恵まれたモノマー再循環方法を提供する。本明細書で開示されている新規の再循環プロセスの全ての実施形態において、G2のいずれかの流出物との混合前にG1の生成物流から回収されたモノマー再循環流は、G1まで再循環され、一方G1およびG2の混合ポリマー含有流から回収されたモノマー再循環流はG2に再循環される。G1およびG2の両方に由来するモノマーを含む混合流はG2に再循環されることから、開示された新規のモノマー再循環方法は同様に、組み合わせG1およびG2生成物含有流に由来しG2に送られた再循環流の中のモノマー成分再循環速度がG2の複合原料中の所望のモノマー成分流速を超えないようにする。かかる平衡化されたモノマー再循環を達成するために利用可能な方法がいくつか存在しており、これらは、新規再循環プロセスの詳細な実施形態において以下で開示される。G1およびG2のモノマープールについて先に定義づけした要件と組み合わせてこの質量平衡要件を満たすことにより、未分離の状態でかつG2中に過剰のモノマー残留物を蓄積することなくG2に前記モノマー富有流を再循環することが可能となる、という点に留意されたい。
特許文献1内で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規の再循環プロセスの一部の実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ流出物は、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)内の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものを超えない速度で、モノマーを送出する。これらの実施形態においては、本発明のプロセスは、第1の反応装置列群(G1)の未還元流出物(即ち再循環のためにモノマーを回収していない)と第2の反応装置列群(G2)の流出物とを混合する。G1およびG2のポリマー含有流出物流の混合点からおよびその下流側で出現するモノマー富有再循環流は、第2の反応装置列群(G2)まで再循環される。任意には、モノマー再循環流の一部が、軽質不活性成分例えば軽質アルカン(メタン、エタン、プロパンなど)、窒素などの蓄積を制御するために系からパージされる。これらのパージ流は、典型的にモノマーをも含有することから、G2に再循環される速度は典型的に、これらのモノマーの組み合わせ反応装置流出物流速よりも幾分か低速である。G1由来の流出物が持ち込むのと少なくとも同等量の第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群に共通のモノマーがG2中で消費されるかまたは任意のパージ流内で除去されることから、反応装置流出物からまたはこの反応装置流出物から誘導された流れからのモノマーの一部または全てをG2への再循環の前に分離し回収することがなくても、G2内で余剰のモノマー残留物の蓄積が存在することは全くないという点に留意されたい。これらの実施形態は、それらが、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合しながらモノマー富有およびポリマー富有相を分離し回収するべく単一の高圧分離器を応用するという点において、本明細書中で開示されている新規の再循環プロセスの中でも比較的単純なものである。この高圧分離器は分離器および配合機の両方として役立つことから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流はG2に再循環され、一方分離器−配合機から出現するポリマー富有流は、更なるモノマーおよび軽質分の除去のため、仕上げセクションに送られる。分離器−配合機からおよび分離器−配合機の下流側で出現するモノマー再循環流は、第2の反応装置列に補給するべく、戻される前に、溶媒、不活性アルカン、N2、余剰の触媒キラーなどの望ましくない重質および軽質成分を制御するためにパージされてよい。かかる実施形態においては、モノマーは、G1およびG2の生成物流が混合される前または後に個別にそれらを回収することなく再循環され、かくして再循環流から個々のモノマーを分離し回収する方法と比べて実質的に資本および操業コストを節約する、という点に留意されたい。しかしながら、これらの実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ未還元流が、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)内の対応するモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものを超えない速度でモノマーを送出することが求められる。
別の実施形態においては、前述のインライン流体相ポリマー配合プロセスの第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ流出物は、プロセス全体のための対応するモノマーの組み合わせパージ速度にインライン流体相ポリマー配合プロセスの第2の反応装置列群(G2)の中の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものよりも高い速度で1つ以上のモノマーを搬送する。換言すると、G1の流出物中に1つ以上のモノマーが余剰に存在する。本明細書中に記述されている新規再循環プロセスの全ての実施形態においてそうであるように、G1とG2に由来する全ての生成物流を混合した後で回収されたモノマー再循環流は、ただ1つの選択された反応装置列群G2へと再循環される。かかる再循環方法はこれらの実施形態においてG2の余剰のモノマーの蓄積を導くと考えられることから、余剰のモノマー流量は、G1およびG2に由来する生成物流を混合する前ひいてはそれらをG2に再循環させる前に、相分離により除去する必要がある。従って、G1の組み合わせ流出物が1つ以上のモノマーを余剰に搬送する実施形態においては、開示されたプロセスは、G2の生成物流と流出物を混合する前にG1の流出物から余剰のモノマー流を除去する。除去された余剰のモノマー流は、その基本的に純粋な形態で存在する個々のモノマーを分離回収することなく、その対応するG1反応装置列まで再循環される。前記余剰モノマーの回収は、特許文献1に記述されているような高圧分離器内で実施される相分離によって達成される。それには、還元の後、G1に由来する組み合わせポリマー含有流が、G2に送られる再循環流中にいかなる余剰モノマー流量も持ち込まないようにするのに十分なモノマーを第1の反応装置列群(G1)の1つ以上の流出物から除去することが含まれている。このことは即ち、モノマー余剰分を除去した後、G1に由来する組み合わせポリマー含有生成物流は、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)内の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものを超えない速度で、G2の流出物流との配合点までモノマーを送出するということを意味している。G1およびG2の生成物流の混合点からまたはその下流側で出現するモノマー富有再循環流は、G2に再循環される。その結果、G1からの生成物流のモノマー含有量の少なくとも一部がG2に送出される。G2の流出物と混合された流によっていかなる余剰モノマーも持ち込まれないことから、G1とG2の生成物流の間の前記混合点においてまたはその下流側で回収されたモノマー富有再循環流から前記モノマーの一部または全てを回収しなくても、G2中でこれらのモノマーの余剰残留物が蓄積することは全くない、という点に留意されたい。G1に再循環するためのG1からの余剰モノマー流量の分離および回収は、個々の反応装置列流出物を使用することによってかまたは、同じモノマープールを有する2つ以上の反応装置列の組み合わせ流出物配合物を使用することによって実施可能である。G1への再循環のための余剰モノマー回収の前にG1反応装置流出物を組み合わせる場合、再循環されたモノマー流を、それが由来した反応装置列のうちの1つ以上に向かって導くことができる。前述の通り、本明細書で開示されている分離プロセスは、G1に属する1つ以上の反応装置列の流出物からモノマー富有相と還元済みポリマー含有(ポリマー富化)相を回収する相分離を実施することによって、G1の反応装置流出物からの余剰のモノマーの除去を達成する。これらの相分離は、G1の反応装置列に専ら由来する流れについて実施されることから、本開示全体を通してこれらをG1相分離器またはG1分離器と呼ぶ。このように分離された1つ以上のモノマー富有流をG1に再循環することにより、G2に向かって余剰のモノマー流は一切導かれなくなる。当然のことながら、これらのモノマー富有G1再循環流の中にはいかなる外来性モノマーも存在しないことから、G1の適切な反応装置列に向かう再循環の前にモノマーを分離する必要は全くない。還元済みポリマー富化流はその他のG1の(未還元)生成物流と共に、今度はG2の(未還元)生成物流と混合され、最終的にインラインポリマー配合物生成物を生成する。第1の反応装置列群(G1)に由来する流出物の還元、即ちG1に属するその対応する反応装置列に再循環された余剰のモノマー流の回収は、G1から誘導されG2の生成物流と配合された各々のモノマー成分の組み合わせ流速が、プロセス全体についての各々の前記モノマー成分の組み合わせパージ速度にG2中の各々の前記モノマー成分の組み合わせ転化速度を加えた速度を超えないような形で相分離器の温度および圧力を調整することによって制御される。G1モノマー再循環流を回収するための相分離器の条件の調整は、当該技術分野において周知の相挙動測定を含めた標準的な化学工学技術を使用することによって容易に実施可能である。G1およびG2の生成物含有流は、特許文献1で記述されているように最後のG1相分離器の上流側でかまたはその下流側の高圧分離器の中で組み合わされる。この高圧分離器は、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合する一方でポリマー富有流からモノマー富有流を分離する2重の機能を有することから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流は、G2に再循環される。プロセスのこのモノマー再循環流およびその他のモノマー再循環流の一部をパージして余剰の溶媒、触媒キラー、軽質アルカンなどの望ましくない重質および軽質成分の蓄積を制御してもよい。分離器−配合機から出現するポリマー富有流は、特許文献1の中で開示されているインライン配合プロセスの仕上げセクションに送られる。分離器−配合機の下流側に出現するモノマー富有流を、G2への再循環のため分離器−配合機から出現するモノマー富有流と組み合わせてもよい。これらを系から部分的にまたは完全にパージして、望ましくない成分の蓄積を制御してもよい。開示されたプロセス内のモノマー回収は、G1およびG2の生成物流が混合される点の下流側で出現するモノマー再循環流の分離に必要とされる従来の低温蒸留とは異なり、相分離によって達成される、という点に留意されたい。個々のモノマーの高コストな蒸留分離と回収を必要とする従来の回収に比べ、相分離はより単純で、より低い投資しか必要とせず、かつより少ないエネルギーで作動するため本明細書で開示されているプロセスは有利になる。
特許文献1の中で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規再循環プロセスの一部の実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)に向かう原料のモノマープールのいずれかの中のモノマー成分の数は、1つ以上であってよく、G1の反応装置列のモノマープールは、先に定義した第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群のモノマープールについての対する先に設定したN(G1+G2)=N(G2)およびN(G1)≦N(G2)という条件が満たされているかぎりにおいて同じであっても異なるものであってもよい。例えば、G1中の反応装置列は全て、同じホモポリマー(例えばポリプロピレンまたはポリエチレン、またはポリヘキセン−1など)または同じコポリマー(例えばエチレン−プロピレンまたはエチレン−ブテン−1などのコポリマー)を製造してもよいし、或いはまた、2つ以上のホモポリマー(例えばポリエチレンおよびポリプロピレン)または2つ以上のコポリマー、(例えばエチレン−プロピレンおよびエチレン−ブテン−1などのコポリマー)を製造してもよく、そうでなければ、G2内の反応装置列に向かう原料のモノマープールがG1内の反応装置列に向かう原料の組み合わせモノマープールの全ての構成要素を含んでいるかぎりにおいて、一部はホモポリマーを製造しその他が任意の組み合わせでコポリマーを製造してもよい。本明細書で開示されている新規再循環プロセスの全ての実施形態におけるように、G1およびG2に由来する生成物流を混合した後に回収されるモノマー再循環流は、G2に再循環される。G1で製造されたポリマーは、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、溶融および結晶化挙動、溶融粘度、組成、組成分布またはその組み合わせを有していてよい。第2の反応装置列群(G2)は、全て同一のモノマープールを有する2つ以上のモノマーを含有するコポリマーを製造し、前記第2の反応装置列群(G2)の原料モノマープールは、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ原料モノマープールの中に存在する各モノマーを含む。第2の反応装置列群(G2)の中で製造されたポリマーは、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、溶融および結晶化挙動、平均モノマー濃度、組成分布またはそれらの組み合わせを有していてよい。各モノマーについての流速は、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ流出物の中で、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)中の対応するモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものより低速である。G1およびG2のポリマー含有流出物流の混合点の下流側に出現するモノマー富有再循環流は、第2の反応装置列群(G2)に再循環される。任意には、モノマー再循環流の一部が、軽質不活性成分例えば軽質アルカン(メタン、エタン、プロパンなど)、窒素などの蓄積を制御するために系からパージされる。これらのパージ流は典型的にはモノマーをも含有することから、モノマーをG2に再循環させる速度は典型的には、これらのモノマーの組み合わせ反応装置流出物流速より幾分か低速である。G1由来の流出物が持ち込むのと少なくとも同等量の第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群に共通のモノマーがG2内で消費されるかまたは任意のパージ流内で除去されることから、反応装置流出物からまたはこの反応装置流出物から誘導された流れからのモノマーの一部または全部をG2への再循環前に分離および回収することがなくても、G2の中に余剰のモノマー残留物の蓄積は全くない、という点に留意されたい。これらの実施形態は、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合しながらモノマー富有相およびポリマー富有相を分離し回収するために単一の高圧分離器を応用するという点で、本明細書に開示されている新規の再循環の中で比較的単純なものである。この高圧分離器は分離器および配合機の両方として役立つことから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流はG2に再循環され、一方分離器−配合機から出現するポリマー富有流は、更なるモノマーおよび軽質分の除去のため、仕上げセクションに送られる。分離器−配合機からおよび分離器−配合機の下流側で出現するモノマー再循環流は、第2の反応装置列に補給するべく、戻される前に、溶媒、不活性アルカン、N2、余剰の触媒キラーなどの望ましくない重質および軽質成分を制御するためにパージされてよい。かかる実施形態においては、モノマーは、G1およびG2の生成物流が混合される前または後に個別にそれらを回収することなく再循環され、かくして再循環流から個々のモノマーを分離し回収する方法と比べて実質的に資本および操業コストを節約する、という点に留意されたい。しかしながら、これらの実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ未還元流が、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)内の対応するモノマーの組み合わせ速度を加えたものを超えない速度でモノマーを送出することが求められる。
特許文献1の中で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規再循環プロセスの一部の実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)に向かう原料のモノマープールのいずれかの中のモノマー成分の数は、1つ以上であってよく、G1の列への原料のモノマープールは、先に定義した第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群のモノマープールについての先に設定したN(G1+G2)=N(G2)およびN(G1)≦N(G2)という条件が満たされているかぎりにおいて同じであっても異なるものであってもよい。例えば、G1中の反応装置列は全て、同じホモポリマー(例えばポリプロピレンまたはポリエチレン、またはポリヘキセン−1など)または同じコポリマー(例えばエチレン−プロピレンまたはエチレン−ブテン−1などのコポリマー)を製造してもよいし、或いはまた、2つ以上のホモポリマー(例えばポリエチレンおよびポリプロピレン)または2つ以上のコポリマー、(例えばエチレン−プロピレンおよびエチレン−ブテン−1などのコポリマー)を製造してもよく、そうでなければ、G2内の反応装置列に向かう原料のモノマープールがG1内の反応装置列に向かう原料の組み合わせモノマープールの全ての構成要素を含んでいるかぎりにおいて、一部はホモポリマーを製造しその他が任意の組み合わせでコポリマーを製造してもよい。本明細書で開示されている新規再循環プロセスの全ての実施形態におけるように、G1およびG2に由来する生成物流を混合した後に回収されるモノマー再循環流は、G2に再循環される。G1で製造されたポリマーは、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、溶融および結晶化挙動、溶融粘度、組成、組成分布またはその組み合わせを有していてよい。第2の反応装置列群(G2)は、全て同一のモノマープールを有する2つ以上のモノマーを含有するコポリマーを製造し、前記第2の反応装置列群(G2)の原料モノマープールは、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ原料モノマープールの中に存在する各モノマーを含む。第2の反応装置列群(G2)の中で製造されたポリマーは、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、溶融および結晶化挙動、平均モノマー濃度、組成分布またはそれらの組み合わせを有していてよい。前述の第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ流出物は、プロセス全体のための対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)の中の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものよりも高い速度で1つ以上のモノマーを搬送する。換言すると、G1の流出物中に1つ以上のモノマーが余剰に存在する。本明細書中に記述されている新規再循環プロセスの全ての実施形態においてそうであるように、G1とG2に由来する全ての生成物流を混合した後で回収されたモノマー再循環流は、ただ1つの選択された反応装置列群G2へと再循環される。かかる再循環方法はこれらの実施形態においてG2の余剰のモノマーの蓄積を導くと考えられることから、余剰のモノマー流量は、G1およびG2に由来する生成物流を混合する前ひいてはそれらをG2に再循環させる前に、相分離により除去する必要がある。従って、G1の組み合わせ流出物が1つ以上のモノマーを余剰に搬送する実施形態においては、開示されたプロセスは、G2の生成物流と流出物を混合する前にG1の流出物から余剰のモノマー流を除去する。除去された余剰のモノマー流は、その基本的に純粋な形態で存在する個々のモノマーを分離回収することなく、その対応するG1反応装置列まで再循環される。前記余剰モノマーの回収は、特許文献1に記述されているような高圧分離器内で実施される相分離によって達成される。それには、還元の後、G1に由来する組み合わせポリマー含有流が、G2に送られる再循環流中にいかなる余剰モノマー流量も持ち込まないようにするのに十分なモノマーを第1の反応装置列群(G1)の1つ以上の流出物から除去することが含まれている。このことは即ち、モノマー余剰分を除去した後、G1に由来する組み合わせポリマー含有生成物流は、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)内の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものを超えない速度で、G2の流出物流との配合点までモノマーを送出するということを意味している。G1およびG2の生成物流の混合点の下流側で出現するモノマー富有再循環流は、G2に再循環される。その結果、G1からの生成物流のモノマー含有量の少なくとも一部がG2に送出される。G2の流出物と混合された流れによっていかなる余剰モノマーも持ち込まれないことから、G1とG2の生成物流の間の前記混合点の下流側で回収されたモノマー富有再循環流から前記モノマーの一部または全てを回収しなくても、G2中でこれらのモノマーの余剰残留物が蓄積することは全くない、という点に留意されたい。典型的には、G1の反応装置列の1つ以上の流出物流を還元するために応用される高圧相分離器は、G1の個々の反応装置列の流出物を処理するために使用される。しかしながら、G1が同じモノマープールを伴う列を2つ以上有する場合には、それらの流出物流を任意には、余剰のモノマー流を除去するべく相分離の前に組み合わせてもよい。ただしいかなる場合でも、関与する反応装置流出物のモノマープールが同一でなかった場合には、G1内の反応装置列への再循環のため余剰のモノマー流の除去を実施するために、G1の2つ以上の反応装置列流出物流を組み合わせてもよい。G1の2つ以上の反応装置列の流出物が余剰のモノマー流の除去の前に組み合わされる場合、回収されたモノマー流をG1の原反応装置列のうちのいずれか1つに再循環させるかまたはそれらの間で分割することができる。適正な選択肢は、化学工学の技術分野において周知の質量平衡計算により判定可能である。前述の通り、本明細書で開示されている分離プロセスは、G1に属する1つ以上の反応装置列の流出物からモノマー富有相と還元済みポリマー含有(ポリマー富化)相を回収する相分離を実施することによって、G1の反応装置流出物からの余剰のモノマーの除去を達成する。これらの相分離は、G1の反応装置列に専ら由来する流れについて実施されることから、本開示全体を通してこれらをG1相分離器またはG1分離器と呼ぶ。このように分離された1つ以上のモノマー富有流をG1に再循環することにより、G2に向かって余剰のモノマー流は一切導かれなくなる。当然のことながら、これらのモノマー富有G1再循環流の中にはいかなる外来性モノマーも存在しないことから、G1の適切な反応装置列に向かう再循環の前にモノマーを分離する必要は全くない。還元済みポリマー富化流はその他のG1の(未還元)生成物流と共に、今度はG2の(未還元)生成物流と混合され、最終的にインラインポリマー配合物生成物を生成する。第1の反応装置列群(G1)に由来する流出物の還元、即ちG1に属するその対応する反応装置列に再循環された余剰のモノマー流の回収は、G1から誘導されG2の生成物流と配合された各々のモノマー成分の組み合わせ流速が、プロセス全体についての各々の前記モノマー成分の組み合わせパージ速度にG2中の各々の前記モノマー成分の組み合わせ転化速度を加えた速度を超えないような形で相分離器の温度および圧力を調整することによって制御される。G1モノマー再循環流を回収するための相分離器の条件の調整は、当該技術分野において周知の相挙動測定を含めた標準的な化学工学技術を使用することによって容易に実施可能である。G1およびG2の生成物含有流は、特許文献1で記述されているように最後のG1相分離器の上流側でかまたはその下流側の高圧分離器の中で組み合わされる。この高圧分離器は、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合する一方でポリマー富有流からモノマー富有流を分離する2重の機能を有することから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流は、G2に再循環される。プロセスのこのモノマー再循環流およびその他のモノマー再循環流の一部をパージして余剰の溶媒、触媒キラー、軽質アルカンなどの望ましくない重質および軽質成分の蓄積を制御してもよい。分離器−配合機から出現するポリマー富有流は、特許文献1の中で開示されているインライン配合プロセスの仕上げセクションに送られる。分離器−配合機の下流側に出現するモノマー富有流を、G2への再循環のため分離器−配合機から出現するモノマー富有流と組み合わせてもよい。これらを系から部分的にまたは完全にパージして、望ましくない成分の蓄積を制御してもよい。この実施形態が、特許文献1の中で記述されている分離器−配合機の中でG1およびG2のポリマー含有生成物流を配合する前に相分離により余剰のモノマーを部分的に回収することによってG1およびG2の組み合わせ流出物流の中に存在するモノマー余剰を補正している、という点に留意されたい。同様に、特許文献1の中で記述されているプロセスの前記分離器−配合機が、G1およびG2のポリマー含有流出物全てを組み合わせる直列連結された分離器の中で最初の高圧分離器であるという点にも留意されたい。同様に、前記分離器−配合機からおよびその下流側に由来するモノマー富有流出物が第1の反応装置列群(G1)にではなく第2の列群(G2)まで再循環されるという点を強調しておくことも重要である。他方では、前記分離器−配合機の上流側で単一ラインのG1分離器によって回収されたモノマー富有流はつねに、(同じくモノマー分離なしで)G1に属する独自の反応装置列に直接再循環される。従って、高圧分離器内で回収された再循環済みモノマー流の行き先によって、この高圧分離器は2つの群に分割される。即ち一方は回収済みモノマー富有流をG1に送り戻し、他方はG2に送り戻す。本明細書中で記述されている新規モノマー再循環プロセスの直列連結された分離器の中にあってそのモノマー富有再循環流をG2に最初に送る分離器は、全てのポリマー含有生成物流を最初に組み合わせるものでもある。それは、ポリマー−モノマー分離およびポリマー−ポリマー配合の機能を組み合わせることから、分離器−配合機とも呼ばれる。我々の記述において、分離器−配合機という呼称がこの唯一の容易に識別可能な高圧分離器に専用のものであるということを指摘しておく必要がある。従って、G1内の反応装置列にモノマー富化流を送る前述の任意の分離器は、たとえそれらの機能が2つ以上の反応装置列流出物を組み合わせることにあるとしても、本明細書の記述中で分離器−配合機と呼ばれることは決してない。その代り、それらはG1相分離器またはG1分離器と呼ばれる。開示されたプロセス内のモノマー回収は、G1およびG2の生成物流が混合される点の下流側で出現するモノマー再循環流の分離に必要とされる従来の低温蒸留とは異なり、相分離によって達成される、という点を指摘することが重要である。個々のモノマーの高コストな蒸留分離と回収を必要とする従来の回収に比べ、相分離はより単純で、より低い投資しか必要とせず、かつより少ないエネルギーで作動するため本明細書で開示されているプロセスは有利になる。
特許文献1で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規の再循環プロセスのその他の実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の各反応装置列の原料モノマープールは、わずか1つのモノマー構成要素しか有していない。第1の反応装置列群(G1)の異なる列に補給されるモノマーは同じであっても異なるものであってもよい。これらの実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の構成要素は、ホモポリマー反応装置列またはホモポリマー列またはホモ重合反応装置列またはホモ重合列とも呼ばれる。ホモポリマー列の中で製造されたホモポリマーは、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、溶融および結晶化挙動、溶融粘度、組成またはその組み合わせを有し得る。その構成要素がコポリマー反応装置列またはコポリマー列または共重合反応装置列または共重合列とも呼ばれている第2の反応装置列群(G2)は、全て同一のモノマープールを含む(即ち全く同じモノマーで構成される)コポリマーを製造し、前記共重合列(G2)のモノマープールは、ホモポリマー列(G1)の組み合わせモノマープール内に存在する各々のモノマーを含む。コポリマー列の中で製造されるポリマーは、同じモノマー単位で構成され、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、溶融および結晶化挙動、溶融粘度、平均モノマー濃度、組成分布、またはその組み合わせを有していてよい。例えば、ホモポリマーはポリプロピレンであり得、コポリマーはエチレン−プロピレンまたはプロピレン−ブテン−1またはプロピレン−ヘキセン−1またはプロピレン−オクテン−1、またはプロピレン−デセン−1コポリマーなどであり得る。各モノマーについての流速は、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ流出物の中で、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)中の対応するモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものより低速である。G1およびG2のポリマー含有流出物流の混合点の下流側に出現するモノマー富有再循環流は、第2の反応装置列群(G2)に再循環される。任意には、モノマー再循環流の一部は、軽質不活性成分例えば軽質アルカン(メタン、エタン、プロパンなど)、窒素などの蓄積を制御するために系からパージされる。これらのパージ流は典型的にはモノマーをも含有することから、モノマーをG2に再循環させる速度は、典型的には、これらのモノマーの組み合わせ反応装置流出物流速より幾分か低速である。G1由来の流出物が持ち込むのと少なくとも同等量の第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群に共通のモノマーがG2内で消費されるかまたは任意のパージ流内で除去されることから、反応装置流出物からまたはこの反応装置流出物から誘導された流れからのモノマーの一部または全部をG2への再循環前に分離および回収することがなくても、G2の中に余剰のモノマー残留物の蓄積は全くない、という点に留意されたい。これらの実施形態は、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合しながらモノマー富有相およびポリマー富有相を分離し回収するために単一の高圧分離器を応用するという点で、本明細書に開示されている新規の再循環の中で比較的単純なものである。この高圧分離器は分離器および配合機の両方として役立つことから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流はG2に再循環され、一方分離器−配合機から出現するポリマー富有流は、更なるモノマーおよび軽質分の除去のため、仕上げセクションに送られる。分離器−配合機からおよび分離器−配合機の下流側で出現するモノマー再循環流は、第2の反応装置列に補給するべく、戻される前に、溶媒、不活性アルカン、N2、余剰の触媒キラーなどの望ましくない重質および軽質成分を制御するためにパージされてよい。かかる実施形態においては、モノマーは、G1およびG2の生成物流が混合される前または後に個別にそれらを回収することなく再循環され、かくして再循環流から個々のモノマーを分離し回収する方法と比べて実質的に資本および操業コストを節約する、という点に留意されたい。しかしながら、これらの実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ未還元流が、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)内の対応するモノマーの組み合わせ速度を加えたものを超えない速度でモノマーを送出することが求められる。
特許文献1で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規の再循環プロセスのその他の実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の各反応装置列の原料モノマープールは、わずか1つのモノマー構成要素しか有していない。第1の反応装置列群(G1)の異なる列に補給されるモノマーは同じであっても異なるものであってもよい。これらの実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の構成要素は、ホモポリマー反応装置列またはホモポリマー列またはホモ重合反応装置列またはホモ重合列とも呼ばれる。ホモポリマー列の中で製造されたホモポリマーは、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、溶融および結晶化挙動、溶融粘度、組成またはその組み合わせを有し得る。その構成要素がコポリマー反応装置列またはコポリマー列または共重合反応装置列または共重合列とも呼ばれている第2の反応装置列群(G2)は、全て同一のモノマープールを含む(即ち全く同じモノマーで構成される)コポリマーを製造し、前記共重合列(G2)のモノマープールは、ホモポリマー列(G1)の組み合わせモノマープール内に存在する各々のモノマーを含む。コポリマー列の中で製造されるポリマーは、同じモノマー単位で構成され、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、溶融および結晶化挙動、溶融粘度、平均モノマー濃度、組成分布、またはその組み合わせを有していてよい。例えば、ホモポリマーはポリプロピレンであり得、コポリマーはエチレン−プロピレンまたはプロピレン−ブテン−1またはプロピレン−ヘキセン−1またはプロピレン−オクテン−1、またはプロピレン−デセン−1コポリマーなどであり得る。前述の第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ流出物は、プロセス全体のための対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)の中の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものよりも高い速度で1つ以上のモノマーを搬送する。換言すると、G1の流出物中に1つ以上のモノマーが余剰に存在する。本明細書中に記述されている新規再循環プロセスの全ての実施形態においてそうであるように、G1とG2に由来する全ての生成物流を混合した後で回収されたモノマー再循環流は、ただ1つの選択された反応装置列群G2へと再循環される。かかる再循環方法はこれらの実施形態においてG2の余剰のモノマーの蓄積を導くと考えられることから、余剰のモノマー流量は、G1およびG2に由来する生成物流を混合する前ひいてはそれらをG2に再循環させる前に、相分離により除去する必要がある。従って、G1の組み合わせ流出物が1つ以上のモノマーを余剰に搬送する実施形態においては、開示されたプロセスは、G2の生成物流と流出物を混合する前にG1の流出物から余剰のモノマー流を除去する。除去された余剰のモノマー流は、その基本的に純粋な形態で存在する個々のモノマーを分離回収することなく、その対応するG1反応装置列まで再循環される。前記余剰モノマーの回収は、特許文献1に記述されているような高圧分離器内で実施される相分離によって達成される。それには、還元の後、G1に由来する組み合わせポリマー含有流が、G2に送られる再循環流中にいかなる余剰モノマー流量も持ち込まないようにするのに十分なモノマーを第1の反応装置列群(G1)の1つ以上の流出物から除去することが含まれている。このことは即ち、モノマー余剰分を除去した後、G1に由来する組み合わせポリマー含有生成物流は、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)内の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものを超えない速度で、G2の流出物流との配合点までモノマーを送出するということを意味している。G1およびG2の生成物流の混合点の下流側で出現するモノマー富有再循環流は、G2に再循環される。その結果、G1からの生成物流のモノマー含有量の少なくとも一部がG2に送出される。G2の流出物と混合された流れによっていかなる余剰モノマーも持ち込まれないことから、G1とG2の生成物流の間の前記混合点の下流側で回収されたモノマー富有再循環流から前記モノマーの一部または全てを回収しなくても、G2中でこれらのモノマーの余剰残留物が蓄積することは全くない、という点に留意されたい。典型的には、G1の反応装置列の1つ以上の流出物流を還元するために応用される高圧相分離器は、G1の個々の反応装置列の流出物を処理するために使用される。しかしながら、G1が同じモノマープールを伴う列を2つ以上有する場合には、それらの流出物流を任意には、余剰のモノマー流を除去するべく相分離の前に組み合わせてもよい。ただしいかなる場合でも、関与する反応装置流出物のモノマープールが同一でなかった場合には、G1内の反応装置列への再循環のため余剰のモノマー流の除去を実施するために、G1の2つ以上の反応装置列流出物流を組み合わせてもよい。G1の2つ以上の反応装置列の流出物を余剰のモノマー流の除去の前に組み合わせる場合、回収されたモノマー流をG1の原反応装置列のうちのいずれか1つに再循環させるかまたはそれらの間で分割することができる。適正な選択肢は、化学工学の技術分野において周知の質量平衡計算により判定可能である。前述の通り、本明細書で開示されている分離プロセスは、G1に属する1つ以上の反応装置列の流出物からモノマー富有相と還元済みポリマー含有(ポリマー富化)相を回収する相分離を実施することによって、G1の反応装置流出物からの余剰のモノマーの除去を達成する。これらの相分離は、G1の反応装置列に専ら由来する流れについて実施されることから、本開示全体を通してこれらをG1相分離器またはG1分離器と呼ぶ。このように分離された1つ以上のモノマー富有流をG1に再循環することにより、G2に向かって余剰のモノマー流は一切導かれなくなる。当然のことながら、これらのモノマー富有G1再循環流の中にはいかなる外来性モノマーも存在しないことから、G1の適切な反応装置列に向かう再循環の前にモノマーを分離する必要は全くない。還元済みポリマー富化流はその他のG1の(未還元)生成物流と共に、今度はG2の(未還元)生成物流と混合され、最終的にインラインポリマー配合物生成物を生成する。第1の反応装置列群(G1)に由来する流出物の還元、即ちG1に属するその対応する反応装置列に再循環された余剰のモノマー流の回収は、G1から誘導されG2の生成物流と配合された各々のモノマー成分の組み合わせ流速が、プロセス全体についての各々の前記モノマー成分の組み合わせパージ速度にG2中の各々の前記モノマー成分の組み合わせ転化速度を加えた速度を超えないような形で相分離器の温度および圧力を調整することによって制御される。G1モノマー再循環流を回収するための相分離器の条件の調整は、当該技術分野において周知の相挙動測定を含めた標準的な化学工学技術を使用することによって容易に実施可能である。G1およびG2の生成物含有流は、特許文献1で記述されているように最後のG1相分離器の上流側でかまたはその下流側の高圧分離器の中で組み合わされる。この高圧分離器は、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合する一方でポリマー富有流からモノマー富有流を分離する2重の機能を有することから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流は、G2に再循環される。プロセスのこのモノマー再循環流およびその他のモノマー再循環流の一部をパージして余剰の溶媒、触媒キラー、軽質アルカンなどの望ましくない重質および軽質成分の蓄積を制御してもよい。分離器−配合機から出現するポリマー富有流を、特許文献1の中で開示されているインライン配合プロセスの仕上げセクションに送られる。分離器−配合機の下流側に出現するモノマー富有流は、G2への再循環のため分離器−配合機から出現するモノマー富有流と組み合わせてもよい。これらを系から部分的にまたは完全にパージして、望ましくない成分の蓄積を制御してもよい。この実施形態が、特許文献1の中で記述されている分離器−配合機の中でG1およびG2のポリマー含有生成物流を配合する前に相分離により余剰のモノマーを部分的に回収することによってG1およびG2の組み合わせ流出物流の中に存在するモノマー余剰を補正している、という点に留意されたい。同様に、特許文献1の中で記述されているプロセスの前記分離器−配合機が、G1およびG2のポリマー含有流出物全てを組み合わせる直列連結された分離器の中で最初の高圧分離器であるという点にも留意されたい。同様に、前記分離器−配合機からおよびその下流側に由来するモノマー富有流出物が第1の反応装置列群(G1)にではなく第2の列群(G2)まで再循環されるという点を強調しておくことも重要である。他方では、前記分離器−配合機の上流側で単一ラインのG1分離器によって回収されたモノマー富有流はつねに、(同じくモノマー分離なしで)G1に属する独自の反応装置列に直接再循環される。従って、高圧分離器内で回収された再循環済みモノマー流の行き先によって、この高圧分離器は2つの群に分割される。即ち一方は回収済みモノマー富有流をG1に送り戻し、他方はG2に送り戻す。本明細書中で記述されている新規モノマー再循環プロセスの直列連結された分離器の中にあってそのモノマー富有再循環流をG2に最初に送る分離器は、全てのポリマー含有生成物流を最初に組み合わせるものでもある。それは、ポリマー−モノマー分離およびポリマー−ポリマー配合の機能を組み合わせることから、分離器−配合機とも呼ばれる。我々の記述において、分離器−配合機という呼称がこの唯一の容易に識別可能な高圧分離器に専用のものであるということを指摘しておく必要がある。従って、G1内の反応装置列にモノマー富化流を送る前述の任意の分離器は、たとえそれらの機能が2つ以上の反応装置列流出物を組み合わせることにあるとしても、本明細書の記述中で分離器−配合機と呼ばれることは決してない。その代り、それらはG1相分離器またはG1分離器と呼ばれる。開示されたプロセス内のモノマー回収は、G1およびG2の生成物流が混合される点の下流側で出現するモノマー再循環流の分離に必要とされる従来の低温蒸留とは異なり、相分離によって達成される、という点を指摘することが重要である。個々のモノマーの高コストな蒸留分離と回収を必要とする従来の回収に比べ、相分離はより単純で、より低い投資しか必要とせず、かつより少ないエネルギーで作動するため本明細書で開示されているプロセスは有利になる。
特許文献1で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規の再循環プロセスのその他のいくつかの実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の原料モノマープールは、1つの構成要素を有し、これらは各モノマープール内で同じである。第1の反応装置列群の構成要素は、ホモポリマー反応装置列またはホモポリマー列またはホモ重合反応装置列またはホモ重合列とも呼ばれる。ホモポリマー列の中で製造されるホモポリマーは、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、またはその組み合わせを有し得る。その構成要素がコポリマー反応装置列またはコポリマー列または共重合反応装置列または共重合列とも呼ばれている第2の反応装置列群(G2)は、全て同一のモノマープールを含む(即ち全く同じモノマーで構成される)コポリマーを製造し、前記共重合列(G2)のモノマープールは、ホモポリマー列(G1)内に存在するモノマーを含む。共重合列の中で製造されるポリマーは、同じモノマーで構成され、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、平均モノマー濃度、組成分布、またはその組み合わせを有していてよい。例えば、ホモポリマーはポリプロピレンであり得、コポリマーはエチレン−プロピレンまたはプロピレン−ブテン−1またはプロピレン−ヘキセン−1またはプロピレン−オクテン−1、またはプロピレン−デセン−1コポリマーなどであり得る。モノマーについての流速は、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ流出物の中で、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)中の対応するモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものより低速である。本明細書で開示されている新規の再循環プロセスの各実施形態においてそうであるように、G1およびG2のポリマー含有流出物流の混合点の下流側に出現するモノマー富有再循環流は、第2の反応装置列群(G2)に再循環される。任意には、モノマー再循環流の一部は、軽質不活性成分例えば軽質アルカン(メタン、エタン、プロパンなど)、窒素などの蓄積を制御するために系からパージされる。これらのパージ流は典型的にはモノマーをも含有することから、モノマーをG2に再循環させる速度は、典型的には、これらのモノマーの組み合わせ反応装置流出物流速より幾分か低速である。G1由来の流出物が持ち込むのと少なくとも同等量の第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群に共通のモノマーがG2内で消費されるかまたは任意のパージ流内で除去されることから、反応装置流出物からまたはこの反応装置流出物から誘導された流れからのモノマーの一部または全部をG2への再循環前に分離および回収することがなくても、G2の中に余剰のモノマー残留物の蓄積は全くない、という点に留意されたい。これらの実施形態は、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合しながらモノマー富有相およびポリマー富有相を分離し回収するために単一の高圧分離器を応用するという点で、本明細書に開示されている新規の再循環の中で比較的単純なものである。この高圧分離器は分離器および配合機の両方として役立つことから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流はG2に再循環され、一方分離器−配合機から出現するポリマー富有流は、更なるモノマーおよび軽質分の除去のため、仕上げセクションに送られる。分離器−配合機からおよび分離器−配合機の下流側で出現するモノマー再循環流は、第2の反応装置列に補給するべく、戻される前に、溶媒、不活性アルカン、N2、余剰の触媒キラーなどの望ましくない重質および軽質成分を制御するためにパージされてよい。かかる実施形態においては、モノマーは、G1およびG2の生成物流が混合される前または後に個別にそれらを回収することなく再循環され、かくして再循環流から個々のモノマーを分離し回収する方法と比べて実質的に資本および操業コストを節約する、という点に留意されたい。しかしながら、これらの実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ未還元流が、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)内の対応するモノマーの組み合わせ速度を加えたものを超えない速度でモノマーを送出することが求められる。
特許文献1で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規の再循環プロセスのその他のいくつかの実施形態においては、第1の反応装置列群(G1)の原料モノマープールは、1つのモノマー構成要素を有し、これらは各モノマープール内で同じである。第1の反応装置列群の構成要素は、ホモポリマー反応装置列またはホモポリマー列またはホモ重合反応装置列またはホモ重合列とも呼ばれる。ホモポリマー列の中で製造されたホモポリマーは、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布またはその組み合わせを有し得る。その構成要素がコポリマー反応装置列またはコポリマー列または共重合反応装置列または共重合列とも呼ばれている第2の反応装置列群(G2)は、全て同一のモノマープールを含む(即ち全く同じモノマーで構成される)コポリマーを製造し、前記共重合列(G2)のモノマープールは、ホモポリマー列(G1)内に存在するモノマーを含む。共重合列の中で製造されるポリマーは、同じモノマーで構成され、同じまたは異なる平均分子量、分子量分布、平均モノマー濃度、組成分布、またはその組み合わせを有していてよい。例えば、ホモポリマーはポリプロピレンであり得、コポリマーはエチレン−プロピレンまたはプロピレン−ブテン−1またはプロピレン−ヘキセン−1またはプロピレン−オクテン−1、またはプロピレン−デセン−1コポリマーなどであり得る。前述の第1の反応装置列群(G1)の組み合わせ流出物は、プロセス全体のための対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)の中の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものよりも高い速度でモノマーを搬送する。換言すると、G1の流出物中にモノマーが余剰に存在する。本明細書中に記述されている新規再循環プロセスの全ての実施形態においてそうであるように、G1とG2に由来する全ての生成物流を混合した後で回収されたモノマー再循環流は、ただ1つの選択された反応装置列群G2へと再循環される。かかる再循環方法はこれらの実施形態においてG2の余剰のモノマーの蓄積を導くと考えられることから、余剰のモノマー流量は、G1およびG2に由来する生成物流を混合する前ひいてはそれらをG2に再循環させる前に、相分離により除去する必要がある。従って、G1の組み合わせ流出物がモノマーを余剰に搬送する実施形態においては、開示されたプロセスは、G2の生成物流と流出物を混合する前にG1の流出物から余剰のモノマー流を除去する。除去された余剰のモノマー流は、その基本的に純粋な形態で存在する個々のモノマーを分離回収することなく、その対応するG1反応装置列まで再循環される。前記余剰モノマーの回収は、特許文献1に記述されているような高圧分離器内で実施される相分離によって達成される。それには、還元の後、G1に由来する組み合わせポリマー含有流が、G2に送られる再循環流中にいかなる余剰モノマー流量も持ち込まないようにするのに十分なモノマーを第1の反応装置列群(G1)の1つ以上の流出物から除去することが含まれている。このことは即ち、モノマー余剰分を除去した後、G1に由来する組み合わせポリマー含有生成物流は、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列群(G2)内の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものを超えない速度で、G2の流出物流との配合点までモノマーを送出するということを意味している。G1およびG2の生成物流の混合点の下流側で出現するモノマー富有再循環流は、G2に再循環される。その結果、G1からの生成物流のモノマー含有量の少なくとも一部がG2に送出される。G2の流出物と混合された流れによっていかなる余剰モノマーも持ち込まれないことから、G1とG2の生成物流の間の前記混合点の下流側で回収されたモノマー富有再循環流から前記モノマーの一部または全てを回収しなくても、G2中でこれらのモノマーの余剰残留物が蓄積することは全くない、という点に留意されたい。典型的には、G1の反応装置列の1つ以上の流出物流を還元するために応用される高圧相分離器は、G1の個々の反応装置列の流出物を処理するために使用される。しかしながら、G1が列を2つ以上有する場合には、それらの流出物流を任意には、余剰のモノマー流を除去するべく相分離の前に組み合わせてもよい。G1の2つ以上の反応装置列の流出物が余剰のモノマー流の除去の前に組み合わされる場合、回収されたモノマー流をG1の反応装置列のうちのいずれか1つに再循環させるかまたはそれらの間で分割することができる。適正な選択肢は、化学工学の技術分野において周知の質量平衡計算により判定可能である。前述の通り、本明細書で開示されている分離プロセスは、G1に属する1つ以上の反応装置列の流出物からモノマー富有相と還元済みポリマー含有(ポリマー富化)相を回収する相分離を実施することによって、G1の反応装置流出物からの余剰のモノマーの除去を達成する。これらの相分離は、G1の反応装置列に専ら由来する流れについて実施されることから、本開示全体を通してこれらをG1相分離器またはG1分離器と呼ぶ。このように分離された1つ以上のモノマー富有流をG1に再循環することにより、G2に向かって余剰のモノマー流は一切導かれなくなる。当然のことながら、これらのモノマー富有G1再循環流の中にはいかなる外来性モノマーも存在しないことから、G1の適切な反応装置列に向かう再循環の前にモノマーを分離する必要は全くない。還元済みポリマー富化流はその他のG1の(未還元)生成物流と共に、今度はG2の(未還元)生成物流と混合され、最終的にインラインポリマー配合物生成物を生成する。第1の反応装置列群(G1)に由来する流出物の還元、即ちG1に属するその対応する反応装置列に再循環された余剰のモノマー流の回収は、G1から誘導されG2の生成物流と配合されたモノマー成分の組み合わせ流速が、プロセス全体についての各々の前記モノマー成分の組み合わせパージ速度にG2中の前記モノマー成分の組み合わせ転化速度を加えた速度を超えないような形で相分離器の温度および圧力を調整することによって制御される。G1モノマー再循環流を回収するための相分離器の条件の調整は、当該技術分野において周知の相挙動測定を含めた標準的な化学工学技術を使用することによって容易に実施可能である。G1およびG2の生成物含有流は、特許文献1で記述されているように最後のG1相分離器の上流側でかまたはその下流側の高圧分離器の中で組み合わされる。この高圧分離器は、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合する一方でポリマー富有流からモノマー富有流を分離する2重の機能を有することから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流は、G2に再循環される。プロセスのこのモノマー再循環流およびその他のモノマー再循環流の一部をパージして余剰の溶媒、触媒キラー、軽質アルカンなどの望ましくない重質および軽質成分の蓄積を制御してもよい。分離器−配合機から出現するポリマー富有流は、特許文献1の中で開示されているインライン配合プロセスの仕上げセクションに送られる。分離器−配合機の下流側に出現するモノマー富有流を、G2への再循環のため分離器−配合機から出現するモノマー富有流と組み合わせてもよい。これらを系から部分的にまたは完全にパージして、望ましくない成分の蓄積を制御してもよい。この実施形態が、特許文献1の中で記述されている分離器−配合機の中でG1およびG2のポリマー含有生成物流を配合する前に相分離により余剰のモノマーを部分的に回収することによってG1およびG2の組み合わせ流出物流の中に存在するモノマー余剰を補正している、という点に留意されたい。同様に、特許文献1の中で記述されているプロセスの前記分離器−配合機が、G1およびG2のポリマー含有流出物全てを組み合わせる直列連結された分離器の中で最初の高圧分離器であるという点にも留意されたい。同様に、前記分離器−配合機からおよびその下流側に由来するモノマー富有流出物が第1の反応装置列群(G1)にではなく第2の列群(G2)まで再循環されるという点を強調しておくことも重要である。他方では、前記分離器−配合機の上流側で単一ラインのG1分離器によって回収されたモノマー富有流はつねに、(同じくモノマー分離なしで)G1に属する独自の反応装置列に直接再循環される。従って、高圧分離器内で回収された再循環済みモノマー流の行き先によって、この高圧分離器は2つの群に分割される。即ち一方は回収済みモノマー富有流をG1に送り戻し、他方はG2に送り戻す。本明細書中で記述されている新規モノマー再循環プロセスの直列連結された分離器の中にあってそのモノマー富有再循環流をG2に最初に送る分離器は、全てのポリマー含有生成物流を最初に組み合わせるものでもある。それは、ポリマー−モノマー分離およびポリマー−ポリマー配合の機能を組み合わせることから、分離器−配合機とも呼ばれる。我々の記述において、分離器−配合機という呼称がこの唯一の容易に識別可能な高圧分離器に専用のものであるということを指摘しておく必要がある。従って、G1内の反応装置列にモノマー富化流を送る前述の任意の分離器は、たとえそれらの機能が2つ以上の反応装置列流出物を組み合わせることにあるとしても、本明細書の記述中で分離器−配合機と呼ばれることは決してない。その代り、それらはG1相分離器またはG1分離器と呼ばれる。開示されたプロセス内のモノマー回収は、G1およびG2の生成物流が混合される点の下流側で出現するモノマー再循環流の分離に必要とされる従来の低温蒸留とは異なり、相分離によって達成される、という点を指摘することが重要である。個々のモノマーの高コストな蒸留分離と回収を必要とする従来の回収に比べ、相分離はより単純で、より低い投資しか必要とせず、かつより少ないエネルギーで作動するため本明細書で開示されているプロセスは有利になる。
特許文献1で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規再循環プロセスの別の実施形態においては、1つのホモポリマー列(G1)と1つのコポリマー列(G2)が存在し、即ち、G1およびG2は共に各々1つの反応装置列を有し、G1の原料モノマープールは1つのモノマーを有する。コポリマーのモノマープールは、ホモポリマーのモノマーを含む。前述した通り、ポリマー配合物を生成する組み合わせプロセスのための異なるモノマーの数は、インライン生成物配合物のコポリマー成分を製造するのに用いられるモノマー成分の数に等しい。例えば、ホモポリマーはポリプロピレンであり得、コポリマーはエチレン−プロピレンまたはプロピレン−ブテン1またはプロピレン−ヘキセン−1またはプロピレン−オクチン−1またはプロピレン−デセン−1コポリマーなどであると考えられる。本開示は、ホモポリマーとコポリマーに共通の単一のモノマーが存在しないホモポリマーとコポリマーの配合物(即ちポリプロピレンおよびエチレン−ブテン−1コポリマーまたはポリエチレンおよびプロピレン−ヘキセン−1コポリマーの配合物)を製造すると思われる重合プロセスを包含しない。従って、本明細書中で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセスと共に使用するためのモノマー再循環プロセス、プロセス全体の中の異なるモノマーの数は、共重合反応装置列内のモノマーの数に等しい。モノマーについての流速は、第1の反応装置列(G1)の中で、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に第2の反応装置列(G2)中の対応するモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものより低速である。本明細書中で開示されている新規の再循環プロセスの各実施形態におけるように、G1およびG2のポリマー含有流出物流の混合点の下流側に出現するモノマー富有再循環流は、第2の反応装置列群(G2)に再循環される。任意には、モノマー再循環流の一部が、軽質不活性成分例えば軽質アルカン(メタン、エタン、プロパンなど)、窒素などの蓄積を制御するために系からパージされる。これらのパージ流は典型的にはモノマーをも含有することから、モノマーをG2に再循環させる速度は、典型的には、これらのモノマーの組み合わせ反応装置流出物流速より幾分か低速である。G1由来の流出物が持ち込むのと少なくとも同等量の第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群に共通のモノマーがG2内で消費されるかまたは任意のパージ流内で除去されることから、反応装置流出物からまたはこの反応装置流出物から誘導された流れからのモノマーの一部または全部をG2への再循環前に分離および回収することがなくても、G2の中に余剰のモノマー残留物の蓄積は全くない、という点に留意されたい。これらの実施形態は、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合しながらモノマー富有相およびポリマー富有相を分離し回収するために単一の高圧分離器を応用するという点で、本明細書に開示されている新規の再循環の中で比較的単純なものである。この高圧分離器は分離器および配合機の両方として役立つことから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流はG2に再循環され、一方分離器−配合機から出現するポリマー富有流は、更なるモノマーおよび軽質分の除去のため、仕上げセクションに送られる。分離器−配合機からおよび分離器−配合機の下流側で出現するモノマー再循環流は、第2の反応装置列に補給するべく、戻される前に、溶媒、不活性アルカン、N2、余剰の触媒キラーなどの望ましくない重質および軽質成分を制御するためにパージされてよい。かかる実施形態においては、モノマーは、G1およびG2の生成物流が混合される前または後に個別にそれらを回収することなく再循環され、かくして再循環流から個々のモノマーを分離し回収する方法と比べて実質的に資本および操業コストを節約する、という点に留意されたい。しかしながら、これらの実施形態においては、ホモ重合列(G1)の未還元流が、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度に共重合反応装置列(G2)内の対応するモノマーの組み合わせ速度を加えたものを超えない速度でモノマーを送出することが求められる。
特許文献1で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規再循環プロセスの別の実施形態においては、1つのホモポリマー列(G1)と1つのコポリマー列(G2)が存在し、即ち、G1およびG2は共に各々1つの反応装置列を有し、G1の原料モノマープールは1つのモノマーを有する。コポリマーのモノマープールは、ホモポリマーのモノマーを含む。前述した通り、ポリマー配合物を生成する組み合わせプロセスのための異なるモノマーの数は、インライン生成物配合物のコポリマー成分を製造するのに用いられるモノマー成分の数に等しい。例えば、ホモポリマーはポリプロピレンであり得、コポリマーはエチレン−プロピレンまたはプロピレン−ブテン1またはプロピレン−ヘキセン−1またはプロピレン−オクチン−1またはプロピレン−デセン−1コポリマーなどであると考えられる。本開示は、ホモポリマーとコポリマーに共通の単一のモノマーが存在しないホモポリマーとコポリマーの配合物(即ちポリプロピレンおよびエチレン−ブテン−1コポリマーまたはポリエチレンおよびプロピレン−ヘキセン−1コポリマーの配合物)を製造すると思われる重合プロセスを包含しない。従って、本明細書中で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセスと共に使用するためのモノマー再循環プロセス、プロセス全体の中の異なるモノマーの数は、共重合反応装置列内のモノマーの数に等しい。ホモ重合反応装置列群(G1)の流出物は、プロセス全体のための対応するモノマーの組み合わせパージ速度に共重合列(G2)の中の同じモノマーの組み合わせ転化速度を加えたものよりも高い速度でモノマーを搬送する。換言すると、これらのモノマーは、G1の流出物中に余剰に存在する。本明細書中に記述されている新規再循環プロセスの全ての実施形態においてそうであるように、G1とG2に由来する生成物流を混合した後で回収されたモノマー再循環流は、ただ1つの選択された反応装置列群G2へと再循環される。かかる再循環方法はこれらの実施形態においてG2の余剰のモノマーの蓄積を導くと考えられることから、余剰のモノマー流量は、G1およびG2に由来する生成物流を混合する前ひいてはそれらをG2に再循環させる前に、相分離により除去する必要がある。従って、G1の組み合わせ流出物がモノマーを余剰に搬送する実施形態においては、開示されたプロセスは、G2の生成物流と流出物を混合する前にG1の流出物から余剰のモノマー流を除去する。除去された余剰のモノマー流は、その基本的に純粋な形態で存在する個々のモノマーを分離回収することなく、その対応するG1反応装置列まで再循環される。前記余剰モノマーの回収は、特許文献1に記述されているような高圧分離器内で実施される相分離によって達成される。それには、還元の後、G1に由来するポリマー含有流が、G2に送られる再循環流中にいかなる余剰モノマー流量も持ち込まないようにするのに十分なモノマーをG1の流出物からのモノマーを除去することが含まれている。このことは即ち、モノマー余剰分を除去した後、G1に由来するポリマー含有生成物流は、プロセス全体についての対応するモノマーの組み合わせパージ速度にG2内の同じモノマーの転化速度を加えたものを超えない速度で、G2の流出物流との配合点までモノマーを送出するということを意味している。G1およびG2の生成物流の混合点の下流側で出現するモノマー富有再循環流は、G2に再循環される。その結果、G1からの生成物流のモノマー含有量の少なくとも一部がG2に送出される。G2の流出物と混合された流によっていかなる余剰モノマーも持ち込まれないことから、G1とG2の生成物流の間の前記混合点においてまたはその下流側で回収されたモノマー富有再循環流から前記モノマーの一部または全てを回収しなくても、G2中でこのモノマーの余剰残留物が蓄積することは全くない、という点に留意されたい。前述の通り、本明細書で開示されている分離プロセスは、G1の流出物からモノマー富有相と還元済みポリマー含有(ポリマー富化)相を回収する相分離を実施することによって、G1の反応装置流出物からの余剰のモノマーの除去を達成する。この相分離は、G1に専ら由来する流れについて実施されることから、本開示全体を通してこれをG1相分離器またはG1分離器と呼ぶ。このように分離されたモノマー富有流をG1に再循環することにより、G2に向かって余剰のモノマー流は一切導かれなくなる。当然のことながら、このモノマー富有G1再循環流の中にはいかなる外来性モノマーも存在しないことから、G1に対する再循環の前にモノマーを分離する必要は全くない。還元済みポリマー富化流はG2の(未還元)生成物流と混合され、最終的にインラインポリマー配合物生成物を生成する。G1に由来する流出物の還元、即ちG1に再循環された余剰のモノマー流の回収は、G1から誘導されG2の生成物流と配合されたモノマー成分の組み合わせ流速が、プロセス全体についての前記モノマー成分の組み合わせパージ速度にG2中の前記モノマー成分の組み合わせ転化速度を加えた速度を超えないような形で相分離器の温度および圧力を調整することによって制御される。G1モノマー再循環流を回収するための相分離器の条件の調整は、当該技術分野において周知の相挙動測定を含めた標準的な化学工学技術を使用することによって容易に実施可能である。G1およびG2の生成物含有流は、特許文献1で記述されているようにG1相分離器の上流側でかまたはその下流側の高圧分離器の中で組み合わされる。この高圧分離器は、G1およびG2に由来するモノマーおよびポリマー成分を配合する一方でポリマー富有流からモノマー富有流を分離する2重の機能を有することから、分離器−配合機とも呼ばれる。分離器−配合機から出現するモノマー富有流は、G2に再循環される。プロセスのこのモノマー再循環流およびその他のモノマー再循環流の一部をパージして余剰の溶媒、触媒キラー、軽質アルカンなどの望ましくない重質および軽質成分の蓄積を制御してもよい。分離器−配合機から出現するポリマー富有流は、特許文献1の中で開示されているインライン配合プロセスの仕上げセクションに送られる。分離器−配合機の下流側に出現するモノマー富有流を、G2への再循環のため分離器−配合機から出現するモノマー富有流と組み合わせてもよい。これらを系から部分的にまたは完全にパージして、望ましくない成分の蓄積を制御してもよい。この実施形態が、特許文献1の中で記述されている分離器−配合機の中でG1およびG2のポリマー含有生成物流を配合する前に相分離により余剰のモノマーを部分的に回収することによってG1およびG2の組み合わせ流出物流の中に存在するモノマー余剰を補正している、という点に留意されたい。同様に、特許文献1の中で記述されているプロセスの前記分離器−配合機が、G1およびG2のポリマー含有流出物全てを組み合わせる直列連結された分離器の中で最初の高圧分離器であるという点にも留意されたい。同様に、前記分離器−配合機からおよびその下流側に由来するモノマー富有流出物がG1にではなくG2まで再循環されるという点を強調しておくことも重要である。他方では、前記分離器−配合機の上流側で単一ラインのG1分離器によって回収されたモノマー富有流はつねに、(同じくモノマー分離なしで)G1に属する独自の反応装置列に直接再循環される。従って、高圧分離器内で回収された再循環済みモノマー流の行き先によって、この高圧分離器は2つの群に分割される。即ち一方は回収済みモノマー富有流をG1に送り戻し、他方はG2に送り戻す。本明細書中で記述されている新規モノマー再循環プロセスの直列連結された分離器の中にあってそのモノマー富有再循環流をG2に最初に送る分離器は、全てのポリマー含有生成物流を最初に組み合わせるものでもある。それは、ポリマー−モノマー分離およびポリマー−ポリマー配合の機能を組み合わせることから、分離器−配合機とも呼ばれる。我々の記述において、分離器−配合機という呼称がこの唯一の容易に識別可能な高圧分離器に専用のものであるということを指摘しておく必要がある。従って、G1内の反応装置列にモノマー富化流を送る前述の分離器は、本明細書の記述中で分離器−配合機と呼ばれることは決してない。その代り、それはG1相分離器またはG1分離器と呼ばれる。開示されたプロセス内のモノマー回収は、G1およびG2の生成物流が混合される点の下流側で出現するモノマー再循環流の分離に必要とされる従来の低温蒸留とは異なり、相分離によって達成される、という点を指摘することが重要である。個々のモノマーの高コストな蒸留分離と回収を必要とする従来の回収に比べ、相分離はより単純で、より低い投資しか必要とせず、かつより少ないエネルギーで作動するため本明細書で開示されているプロセスは有利になる。
特許文献1中で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規のモノマー再循環プロセスの全ての実施形態において、上述の分離器−配合機の底部から出現するポリマー富有流は、仕上げセクション内で更に加工され、ここで軽質分の残りの部分が除去されてインラインで生産されたポリマー配合物生成物を最終的に生成する。前記仕上げセクションの第1段は、典型的に、多くの場合低圧分離器と呼ばれる1つ以上の相分離器を含み、ここから、モノマーおよび溶媒などの揮発性物質が上部でモノマー富有流として出現し、一方ポリマー含有流は底部において更に富化されたポリマー配合物として出現する。生成物仕上げセクションから、即ち分離器−配合機の下流側で出現するモノマー富有流の一部または全部を、G2への再循環のため分離器−配合機のモノマー富有相と組み合わせてよく、これらのモノマー富有流の一部または全部を、G2内で軽質アルカン、N2、溶媒などといった揮発性不活性物質の蓄積を制御するためにプロセスからパージしてもよい。仕上げセクション内の分離器は、分離器−配合機よりも低い圧力で作動することから、仕上げセクション内で回収されたモノマー富有再循環流は、分離器−配合機のモノマー富有再循環流と統合させる前に、より高い圧力へと圧縮/加圧される。仕上げ段の最終分離器には、典型的には生成物ポリマー配合物を生成するため最後の微量の揮発性残渣を除去するべく液化装置が後続する。液化装置は、典型的に減圧下で作動し、時として押出機としての役割も果たす。
任意には、特許文献1の中で詳述されているインライン流体相ポリマー配合プロセスと共に作動する新規の再循環プロセスの任意の実施形態においては、モノマー再循環流の中に存在し典型的に余剰の溶媒、触媒キラー(例えば水、メタノール、エタノールなど)、低分子量オリゴマー副産物などを含む望ましくない重質成分を1つ以上のモノマー再循環流から分離して、不活性成分(例えば溶媒、低分子量ポリマーなど)または有害成分(例えば余剰の触媒キラーなど)がモノマー再循環流を受け取る反応装置列内に蓄積するのを防止することが可能である。重質成分の分離は、典型的には、エチレン、エチレン、プロピレンおよびブテンなどの軽質モノマーの沸点と、重質成分の沸点との間の差が大きいことに起因して容易であり、かくして単にノックアウトポットまたは単純な分離塔しか必要としないかもしれない。
同様にして、望ましくない成分、例えば新鮮なオレフィン原料に由来する不活性物質などの蓄積を防止するためには、いずれかのまたは全ての再循環流から任意の軽質パージ流を除去してよい。有利には、前述の高圧分離器−配合機の下流側にある容器から、即ち特許文献1のインライン配合プロセスの仕上げセクションから来る最低圧力のモノマー回収物から、1つ以上の軽質パージ流を取ってよい。かかるパージ方法により、これらの低圧モノマー含有回収流の再圧縮コストが節約される。本明細書中で開示されている再循環プロセスの全ての実施形態に同じく共通しているのは、分離器−配合機からおよび分離器−配合機の下流側で(即ちG1およびG2に由来するポリマー含有流出物が混合される点の下流側で)出現する配合されたモノマー流が組み合わされ、前記組み合わせモノマー再循環流からの個々のモノマーを分離し回収することなく特許文献1のインライン配合プロセスの反応装置列のうちの1つだけ(即ちG2)に再循環されるということである、という点に留意されたい。
G1内の反応装置列のためのモノマー再循環流を回収するのに相分離器を応用する全ての実施形態において、前記G1高圧分離器は同様にポリマー配合物成分比の制御を改善するためのバッファ容器としての役割を果たしてもよい。バッファ容器としての分離器の使用および作動は、その全体が本明細書に参照により援用されている特許文献1の中で詳述されている。
本明細書中で開示されている新規のモノマー回収および再循環プロセスの全ての実施形態において、相分離器は、流体−流体2相レジームで作動する必要があるが、ポリマー固体が分離すると考えられる条件は避ける必要がある。相分離工程に先立ち、分離されるべき流れはその単一流体相状態にあることから、固体ポリマー相の形成を導くと考えられる条件を回避しながらこれらの流れをその流体−流体2相状態までもってくるようにそのプロセス条件を変更する必要がある。特許文献1は、単一流体状態から流体−流体2相状態への所望の転移が有利には、減圧により達成可能であるということを教示している。しかしながら、一部の実施形態においては、相分離器にもたらされた流れの温度が十分に高くない場合、かかる減圧は、流体流の相図の中で流体−固体相転移ラインを横断し、ポリマー固体の形成を導き最終的には汚染をひき起こすかもしれない。これらの実施形態においては、分離すべき流体流の熱含量は、減圧に先立ち熱交換器の中に通すことで増大する。
プロセスの2つ以上のポリマー含有生成物流は、分離器の上流側またはその中で配合されてよい。配合のため生成物流を直接分離器まで運ぶ場合、分離器は有利には、配合された流れのポリマー成分の配合を特に増強させるために混合ゾーンまたは混合チャンバを有する。分離器の上流側で2つ以上の生成物流が配合される場合、配合された流れの成分の配合を容易にするため混合点と下流側分離器の間で任意に静的ミキサーを利用してよい。同様に、分離器の上流側で2つ以上の生成物流が配合される場合、混合点の下流側、即ち組み合わせ流を搬送するライン内に減圧バルブを配備することもできる。混合点の下流側に減圧弁を配備することは、(a)異なる流れを曇り点より高い共通圧力にもっていき、かくして流体−流体相分離が始まる前に相の混合を提供するため、または(b)混合点ですでに流体−流体2相ゾーン内にある流れの高せん断混合を提供するために有利であるかもしれない。混合点が減圧バルブの上流側にある場合、混合点に向かう一部のまたは全ての流れラインの中に付加的な減圧バルブを置いてもまた置かなくてもよい。これらの付加的な減圧バルブは、減圧プロセスをステージングし、かつ/または混合すべき流れを、対応する上流側(例えば反応装置)圧力より低く下流側分離器よりは高い共通の中間圧力にするために配備されてよい。かかる圧力ステージングは、熱交換(例えばより低い圧力ひいてはより低いコストでの熱交換を可能にすることにより)または混合効率(上述参照)における利点を提供する可能性がある。
本開示のモノマー再循環プロセスは、インライン流体相ポリマー配合プロセスの第1の反応装置列群(G1)の1つ以上の流出物からのモノマーがオレフィン富有流の形での相分離により部分的に回収される改良型のより低コストの分離−再循環方法を提供する。前記部分的に回収されたモノマーは、前記第1の反応装置列群(G1)に直接再循環される。第1の反応装置列群(G1)に由来する1つ以上のポリマー富化された還元済み流出物流はこのとき、インライン流体相ポリマー配合プロセスの第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群のその他のG1の(未還元)流出物流と配合される。G1およびG2の流出物を混合した後に回収されたモノマー配合物流の体積および組成は、第1の反応装置列群(G1)の流出物からの(部分的)モノマー回収度によって調整され得、第1(G1)および第2(G2)の両方の反応装置列群に共通のモノマーの余剰残留物を構築することなく第2の反応装置列群(G2)に再循環され得るような形で設定される。かくして、本開示のプロセスは、重合反応装置への再循環の前に個々の純粋なモノマー流の高コストな分離と回収無しに樹脂成分の溶液配合の利点を組み合わせる。本明細書で開示されている新規の再循環プロセスの主な利点は、それらが、インラインポリマー配合プロセスのモノマー流量を平衡化し、かくしてコストのかかる低温モノマー分離を応用することなくモノマーの再循環を可能にするという点にある。個々のモノマー流の費用のかかる分離の代りに、本明細書で開示されたプロセスは、設置、維持および操業コストが比較的低い相分離器を利用する。
基本的に、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセスと共に使用するためのモノマー再循環方法は、重合セクションと1つ以上のモノマー−ポリマー分離器容器を含み、そのうち1つは、G1とG2の全てのポリマー含有流出物流を組み合わせ、ポリマー−ポリマー配合器およびポリマー−モノマー分離器の両方として役立ち、分離器−配合容器または分離器−配合機と呼ばれる。分離容器は高圧分離器と呼ばれることもある。上述の通り、分離器−配合機は、G1およびG2を含む反応装置バンク内の2つ以上の並列反応装置列の反応装置流出物のための分離器および配合機の両方として役立つ。本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセスと共に使用するためのモノマー再循環方法の中には反応装置作動モードの任意のおよび全ての組み合わせを含み入れてよいが、反応装置列の少なくとも1つが均一な流体相で作動する場合が有利であり、経済性およびプロセスの単純性を理由として全ての反応装置が均一の流体相で作動する場合に更に有利である。バルク均一超臨界またはバルク溶液重合などのバルク均一流体相重合が、特に有利である。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環方法は、先行技術のモノマー再循環方法に比べて有意な利点を提供する。本開示のモノマー再循環プロセスの利点のうちの1つ以上としては、非限定的に、冷凍モノマー分離塔に対するニーズを回避することによる資本投資コストの削減、冷凍モノマー分離塔の操業に付随する実用性要件に対するニーズを回避することによる操業コストの削減、そしてプロセスが単純であることに起因するメンテナンスコストの削減が含まれる。更に、流体相インラインポリマー配合プロセスは、配合物成分の分子レベルでの混合を理由としたポリマー配合物の均一性の改善;別々に生産される固体でペレット化されたポリマー配合物成分から出発する従来のオフライン配合プロセスに付随する再加工コストを回避することによる節約;並びに配合工程内に実質的な量のモノマーそして任意には溶媒が存在することに起因して実質的に低減された粘度でポリマーを容易かつ単純に配合できることを理由とした、製造コストの改善;配合物比ひいては配合物特性をインラインで調整する柔軟性;配合物成分の生産速度を調整する上での柔軟性;各反応装置について独立して、滞留時間、モノマーの組成および転化率、触媒の選択、触媒濃度、温度および圧力を制御する上での柔軟性;配合物の品質の改善;同じプラント内でより広範囲の配合生成物を製造する上での柔軟性;生成物の配合のためそして一部の実施形態では配合物比をより良く制御できるようにするための生成物バッファリングのために1つまたは複数のモノマー−ポリマー分離器を利用することによるプロセスコストの削減、を含むが、これらに限定されるわけではない1つ以上の利点を提供する。
モノマー再循環プロセスと共に使用するためのインライン配合プロセスの概観
ポリオレフィン類は、多数の異なる利用分野においてが使用されている。これらの利用分野は各々、ポリマーの剛性、弾性および靭性の間の異なる平衡を必要とする。理想的には、ポリマーは、各顧客の異なるニーズに合わせて調整される。生成物の調整を可能にする方法の1つには、個々のポリマー成分の配合が関与する。ポリオレフィン類の剛性−弾性−靭性平衡を調整する能力は、広範囲の利用分野のニーズを満たしひいては低コストで所望の性能を送出する上でのポリオレフィン類の潜在力を拡張する能力を提供する。剛性−弾性−靭性平衡は、それらの組成(即ちコポリマーの製造)、立体規則性、分子量などを変更することによってポリマーの分子構造を変化させることで改変可能である。剛性−弾性−靭性は、同様に、ポリマー配合物を製造するかまたは複合材を生産することによっても容易に切り替え可能である。本明細書で開示されているインライン配合プロセスは、ポリマー配合物の製造に関係する。
本明細書で開示されているのは、分離器−配合容器(高圧分離器とも呼ばれる)の中で反応装置の下流側で配合工程が達成される一貫型多重反応装置式重合における直接的インラインポリマー配合物生産と共に使用するための有利なモノマー再循環プロセスである。重合プラント内でのポリマー配合物の生産は、重合系の1つまたは複数の小分子例えば1つまたは複数のモノマーおよび任意の1つまたは複数の溶媒/希釈剤が粘度を低下させ、かくして低せん断プロセスにおける分子レベルの配合を可能にすることから、ポリマー配合物成分が重合系中に溶解している場合に容易になる。従って、ポリマー配合成分が溶解した流体状態で存在する反応装置流出物を使用することが、下流側の配合作業にとって有利であり得る。重合反応装置は有利には、インライン配合プロセスに適した直接的反応装置流出物中で流体状態で配合するための前駆体ポリマーを提供する目的で、均一な超臨界プロセス、溶液プロセスタイプまたはその組み合わせのものであってよい。以下の論述から明らかとなるように、モノマー再循環プロセスループの単純さのためおよび反応装置の生産性そして分子量および溶融挙動などの生成物の特性の増強に起因して、バルク均一超臨界およびバルク溶液重合プロセスが配合物成分の生産のために特に有用である。本明細書で開示されているインライン配合プロセスは、ポリマーが高密度流体重合系の中で固体ペレットを形成する、例えばスラリーの形でインライン配合物成分を製造するいくつかのその他の重合反応装置をも利用できる。インラインポリマー配合成分の一部がスラリー反応装置列内で製造される場合、重合反応装置列と分離器−配合容器の間には溶解段が加えられる。この溶解段は、典型的にはポンプとそれに続く加熱器で構成されて、反応装置流出物を固体−流体相転移条件より高くし、高密度重合系中に均一に溶解したポリマー配合成分を含有する流れを提供する。ポリマーペレットの溶解を容易にするため、典型的には撹拌または加圧によって提供される高いせん断を適用してもよい。余剰のモノマーをスラリー反応装置流出物から取り出すことが必要な実施形態のためには、モノマーの所望の画分の回収は、単にポリマー溶解工程の前にモノマーおよびポリマー富化画分をろ過するかまたは重力分離することによって実施可能である。しかしながら、一般的には、かかるスラリー反応装置の作動にかかる付加的な加工および投資コストのため、均一超臨界または溶液重合などの均一な重合プロセスが典型的にコスト上有利であり、かくしてインラインポリマー配合成分を生産するために有利である。
上述の通り、本明細書で開示されているモノマー再循環プロセスと共に使用するためのインライン配合プロセスのいくつかの実施形態においては、溶解済みポリマー配合物成分を含有する1つ以上の反応装置流出物流が、前記流れの中のモノマーおよび任意の溶媒/希釈剤含有量の一部の画分からポリマー富化流を分離するため、分離器−配合容器の上流側で、独立した分離器または分離容器(単一流高圧分離器、または1群分離器または1群高圧分離器またはG1分離器、またはG1高圧分離器とも呼ばれる)に補給される。分離器−配合容器の上流側に配備されたこのような単一流(G1)高圧分離器は、基本的に第1の反応装置列群(G1)の流出物中に存在する1つ以上のモノマーおよび任意の溶媒の部分的回収を提供し、かくして、第2の反応装置列群(G2)の反応装置列内で使用されるモノマーおよび任意の溶媒と混合される前にそれらを回収し再循環できるようにする。かかるプロセスは、G2の適切な反応装置列への再循環の前に混合済みモノマーおよび任意の溶媒流を低温分離する必要性を無くすることによって、有利であり得る。これらの単一流(G1)分離器の各々からのポリマー富化流は、ポリマー−モノマー分離器およびポリマー−ポリマー配合機の両方として役立つ(分離器−配合容器)高圧分離器容器の1つの中で配合される。この実施形態においては、分離器−配合容器の上流側の1つまたは複数の単一流(G1)分離器の作動条件は、流れの粘度を基本的に純粋な1つまたは複数の溶融済みポリマーのものよりもはるかに低く保って分離器−配合機内の配合用ポリマー成分の混合を容易にするために十分低い1つまたは複数の低分子量成分例えば1つまたは複数のモノマーおよび1つまたは複数の任意の不活性溶媒をなおも含有する1つまたは複数のポリマー富化流を生成するように調整可能である。任意には、1つまたは複数の分離器−配合容器に補給する1つまたは複数の(G1)分離器は同様に、1つまたは複数のバッファ容器としても役立ち、個々のインライン配合物成分の生産におけるわずかではあるが不可避的な変動を補償することにより、配合物比の制御の改善を提供し得る。これらの容器のバッファリング能力は、分離されたポリマー富化下位相の作動上許容される最大および最小レベルの間の体積によって定義される。
ポリマーのインライン配合のための直列反応装置カスケードの使用と異なり、本明細書中で開示されている配合プロセスは、並列反応装置バンク内で製造するべきポリマー配合物の個々の成分を提供する。かかる直接的配合物生産は、均一な高密度流体相内で即ち流体−固体相転移限界より上で作動する重合プロセスにおいて有利に達成され得る。本発明のプロセスは、均一高密度流体相内で作動する少なくとも1つの反応装置列を有する。均一高密度流体相で作動する重合プロセスは、液体または超臨界状態で溶媒/希釈剤として1つまたは複数の不活性溶媒またはモノマーまたはそれらの混合物のいずれかを使用する。従って、かかる並列反応装置は、均一高密度超臨界状態または液体状態にある重合系を用いて作動する。超臨界および液体の両方の作動モードで、プロセスは、反応装置に対する原料の中に40重量%未満、または30重量%未満または20重量%未満または10重量%未満または5重量%未満の不活性溶媒が存在する状態で、そして一部の実施形態においては、不活性溶媒を基本的に含まない状態(1重量%未満)で作動するバルク重合プロセスであってよい。開示されたプロセスの一実施形態においては、反応装置は、全体が本明細書に参照により援用されている特許文献2および特許文献3の中で開示されている通りにバルク均一超臨界条件で作動する。
本明細書で開示されているモノマー再循環プロセスと共に使用するためのインライン配合プロセスの別の実施形態においては、全体が本明細書に参照により援用されているPCT公報(特許文献4)の中で開示されているように、任意には1つ以上の反応装置列は、ポリマー溶解が不活性溶媒によって実質的に補助される条件下(重合媒質が40重量%超、典型的には60重量%超の溶媒を含有する溶液プロセス)で作動する。更に別の実施形態においては、反応装置バンク内に含まれている反応装置のうちの1つ以上は、均一超臨界状態で作動し、反応装置バンク内に含まれる反応装置のうちの1つ以上は、溶液状態で作動する(溶液プロセスおよび均一超臨界プロセスの反応装置の組み合わせ)。溶液および均一超臨界重合プロセスの両方とも、下流側ポリマーインライン配合に必要とされる流体状態で溶解したポリマーを提供する。均一流体状態でポリマーを提供する溶液および均一超臨界重合プロセスの両方とも、溶媒として基本的に純粋な1つまたは複数のモノマーを用いてバルクモノマー相内で実施されてもよいし、または実質的濃度(即ち60重量%以上)で不活性溶媒を利用することによりポリマーを均一流体状態に保ってもよい。溶液プロセスは、不活性溶媒中または基本的にニートなモノマー中または液体状態にあるそれらの混合物中のいずれかのポリマー含有液体相を提供する。均一超臨界プロセスは、不活性溶媒中または基本的にニートなモノマー中または超臨界状態にあるそれらの混合物中のいずれかにポリマー生成物を溶解させることによってポリマー流体状態を提供する。
本明細書で開示されている並列反応装置構成は、ポリマーの配合のための直列反応装置構成内では入手できない、各反応装置についての滞留時間、モノマー組成および転化、触媒選択および触媒濃度の独立した制御の面での柔軟性を可能にする。それは同様に、反応温度および圧力の独立した制御をより容易にし、かくして、インラインポリマー配合物成分を生成する重合プロセスの制御を増強させる。
特許文献2および特許文献3は、(本明細書では「超臨界プロセス」とも呼ばれている)均一超臨界プロピレン重合プロセスのための柔軟な均一重合プラットフォームを開示する。言及されている超臨界プロピレン重合プロセスにおいては、重合は、実質的に超臨界のモノマー媒質の中で行われ、従ってこれはバルク均一超臨界重合プロセスである。ポリマーは反応装置内でそして反応装置流出物中で均一に溶解した状態にあり、従ってポリマー生成物をその固体ペレット化またはベール梱包形態で回収する前に反応装置流出物を直接的な下流側配合作業に適したものにする。特許文献2および特許文献3は同様に、超臨界重合プロセスが、高度に結晶質で高分子量(即ち低溶融流量)でアイソタクチックはプロピレンホモポリマーを生産するその能力において有利な手段をいわゆる溶液プロセスに提供する、ということも教示している。気相およびスラリー重合プロセスとは異なり、超臨界プロセスはまた、低い立体規則性ひいては低いポリマー融点をもつエチレン−プロピレンコポリマーおよびプロピレンホモポリマーを、汚染(fouling)無く生産することもできる。先に参照指示されているように、特許文献2および特許文献3は、それ全体が本明細書に参照により援用される。
有利なポリマー配合物は多くの場合、(a)高度に結晶質の1つまたは複数の成分と(a)低結晶化度の1つまたは複数の成分で構成されている。特に、溶液重合プロセスは、ポリマーが反応装置内で溶解状態で存在することから、低結晶度の生成物を提供することができ、従って汚染の可能性はない。しかしながら、溶液プロセスには、より高い融点をもつ高度に結晶質で高分子量の生成物を生産する場合に制限がある。溶液プロセスに特に関連性ある1つの制限は、それが典型的に、同じく高い融点をもつ高MWの生成物を生産できないこと、そして生産できたとしてもかかる生成物は反応装置内で結晶化し汚染をひき起こす傾向をもつということにある。これとは対照的に、均一超臨界プロセスは、汚染なく高結晶化度/高融点のポリマーと低結晶化度/低融点のポリマーの両方を提供し得る。それはまた、溶解工程の必要なく直接的配合を可能にする重合系中の溶解状態のポリマー配合物成分も生成する。これらの属性により、それは、本明細書に開示されているインライン配合プロセスのための特に有利な重合プロセスとなっている。それでも、反応装置列の少なくとも1つが均一な重合系で作動するかぎり、本明細書で開示されているインライン配合プロセスにおいては、高密度重合系を用いて作動する重合プロセスのあらゆる組み合わせを配備することができる。均一な作業は、固体−流体相転移点より上、有利には、重合系の曇り点を10MPa以上、1MPa以上、または0.1MPa以上または0.01MPa以上下回らない圧力で作動させることによって確保される。
本明細書中で開示されている並列反応装置バンクにおいて使用するためのモノマーは、少なくとも1つの脂肪族2重結合を含むあらゆるオレフィン化合物であってよい。オレフィン基は、未置換であっても1つ以上の脂肪族または芳香族基により置換されていてもよく、開鎖または非芳香環の一部であってもよい。非限定的な例示的オレフィン類としては、α−オレフィンおよび内部直鎖または分枝オレフィン類およびそれらの配合物例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、スチレン、非共役ジエン、シクロヘキセン、ノルボルネンなどが含まれる。希釈剤/溶媒として役立つ非限定的な例示的非重合用(不活性)流体成分としては、軽質パラフィンおよび芳香族炭化水素およびそれらの配合物例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、シクロペンタン、シクロヘキサン、フルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボンが含まれる。
上述のオレフィン重合プロセスの重合反応装置内の条件は、1つまたは複数のモノマー、任意の非重合化流体、1つまたは複数の触媒系、1つまたは複数の任意のスカベンジャおよびポリマー生成物を含む反応装置の内容物全体が均一流体状態そして有利には単一均一流体状態となるような形で確立されてよい。一部の実施形態においては、上述のプロセスの反応装置内の条件は、反応装置の内容物がその超臨界流体状態そして有利には単一超臨界流体状態となるような形で設定されていてよい。
温度の上限は、反応温度による影響を強く受ける生成物特性により判定される(一例としては図2を参照のこと)。多くの場合、より高い分子量および/またはより高い融点をもつポリマーが望まれることから、高い重合温度(>250℃)は一般に有利ではない。温度の上昇は、公知の触媒系の大半を分解させる可能性もあり、かくして過度の重合温度を回避する別の理由を提供している。重合の技術的現状においては、350℃超の重合温度は推奨されない。スラリー重合プロセスについては、固体−流体相転移ライン近傍での実施が汚染を導くことから、重合温度上限は固体−流体相転移条件によっても同様に影響される。このような理由から、固体−流体相転移より5℃以上低くない温度でのスラリー作業が有利であるが、固体−流体相転移より10℃以上低くない温度でのスラリー作業が特に有利である。
反応温度の下限は、所望のポリマー特性によって決定される。温度が低くなると一般に、より高い結晶化度およびより高い分子量に有利に作用する(例えば図2を参照)。均一重合プロセスについては、反応温度の下限は同様に、固体−流体相転移温度によっても判定される。反応混合物の固体−流体相転移温度より低い温度で反応装置を作動させることにより、汚染に起因する作業上の問題が導かれる可能性がある。バルク均一超臨界重合プロセスにおける高結晶化度のポリプロピレン(ピーク溶融温度>150℃)の生産のためには、最低作動温度は約95〜100℃である。より低温溶融のコポリマー例えばエチレン−プロピレンおよびエチレン−ヘキセン−1コポリマーの生産においては、例えば90℃またはそれよりも低い(80または70℃、または60℃または50℃または40℃)といった著しく低い反応装置温度を、汚染なく容易に使用できる。一部の不活性溶媒を応用すると、汚染のない作動レジームの最低作動温度を更に低下できるかもしれないが、上述の通り、不活性溶媒の実質的な存在は、同様に生成物分子量そして多くの場合溶融ピーク温度を制限する傾向にある。これが更に、溶媒を取扱う必要性のため生産コストを増大させる。
重合系の臨界温度および圧力は、純粋成分の臨界値と異なり、かくして純粋プロピレンおよびC4プラスモノマーの臨界温度(例えばプロピレンについては92℃)よりも低い温度での超臨界作業が可能であり、これが本明細書中で開示されている。更に、反応装置配合物の臨界温度即ち反応装置内の重合系の縮合液体状態に対応する温度よりも低い温度でも、汚染なく、低融点をもつ近非結晶質および非結晶質材料を生産することができる。これらの場合には、作動温度は、反応混合物の泡立ち点より低温であってよく、かくして反応装置は、多くの場合液体充填済み条件と呼ばれる条件下で作動する。場合によっては、かかる作動モードは、特にプロピレン−エチレンまたはエチレン高級オレフィンまたはプロピレン高級オレフィンコポリマーなどのコポリマーの製造において、高い分子量(MW)ひいては低い溶融流量(MFR)を達成するために望ましいものと考えられる。かくして、バルク溶液重合としても知られている、液体状態で存在するモノマーまたはモノマー配合物中にポリマー生成物を溶解させる条件下での反応装置の作動も、本明細書中で開示される。
均一流体相重合用の重合温度:
重合プロセス温度は、反応装置圧力でのポリマー含有流体重合系の固体−流体相転移温度より高いか、または反応装置圧力でのポリマー含有流体重合系の固体−流体相転移温度よりも少なくとも2℃高いか、または反応装置圧力でのポリマー含有流体重合の固体−流体相転移温度よりも少なくとも5℃高いか、或いは反応装置圧力でのポリマー含有重合系の固体−流体相転移温度よりも少なくとも10℃高くなければならない。別の実施形態においては、重合プロセス温度は、反応装置圧力での単一相流体重合系の曇り点よりも高いか、または反応装置圧力での流体重合系の曇り点よりも2℃以上高くなければならない。更に別の実施形態においては、重合プロセス温度は、40〜350℃の間、または50〜250℃の間、または60〜250℃の間、または70〜250℃の間、または80〜250℃の間にあるべきである。例示的な重合温度下限は、40または50、または60、または70、または80、または90、または95または100、または110または120℃である。例示的重合温度上限は、350、または250、または240、または230、または220、または210、または200、または190、または180、または170または160℃である。
一部の実施形態においては、重合は、超臨界重合系内で実施される。かかる実施形態においては、反応温度は、重合系の臨界温度より高い。一部の実施形態においては、一部のまたは全ての反応装置が、均一の超臨界重合条件で作動する。本明細書で開示されているインライン配合プロセスの前記均一超臨界重合は、以下の温度で実施されてよい。一実施形態においては、温度は、反応装置圧力でのポリマー含有流体反応媒質の固体−流体相転移温度より高いか、または反応装置圧力でのポリマー含有流体反応媒質の固体−流体相転移温度より少なくとも5℃高いか、または反応装置圧力でのポリマー含有流体反応媒質の固体−流体相変態点よりも少なくとも10℃高い。別の実施形態においては、温度は、反応装置圧力での単一相流体反応媒質の曇り点温度より高いか、または反応装置圧力での流体反応媒質の曇り点温度よりも2℃以上高い。更に別の実施形態においては、温度は、50〜350℃の間、60〜250℃の間、70〜250℃の間または80〜250℃の間にある。一形態においては、温度は50、60、70、80、90、95、100、110または120℃超である。別の態様では、温度は350、250、240、230、220、210または200℃未満である。更に別の形態では、温度は350、250、240、230、220、210または200℃未満である。別の形態では、曇り点温度は、重合系の超臨界温度よりも高いか、50〜350℃の間、60〜250℃の間、70〜250℃の間、または80〜250℃の間である。更に別の形態においては、曇り点温度は、50、60、70、80、90、95、100、110または120℃超である。更に別の形態では、曇り点温度は、350、250、240、230、220、210または200℃未満である。
均一流体相重合用の重合圧力:
圧力の増加に伴って、投資および操業費用の両方が増大することから、最大反応装置圧力をプロセスの経済性により決定してもよい。本明細書で開示されている個々の配合物成分の生産のための最低圧力限界は、分子量(MW)および溶融流量(MFR)などの所望の生成物特性によって設定される(例えば図3を参照のこと)。
均一重合においてプロセス圧力を削減すると相分離が導かれ、ポリマー富有およびポリマー希薄流体相が生成される可能性がある。十分に撹拌された反応装置の中では、2相の効果的な混合のため物質移行が十分に高く、生成物の品質がこのような流体−流体相分離による影響を受けない可能性がある。従って、本明細書においては、ポリマー富有およびポリマー希薄相の両方が固体−流体相分離限界より高く、かくして汚染が防止され十分に混合されて、分子量増加および/または組成分布の制御を不良にする実質的な物質移行が妨げられているかぎりにおいて、ここではこれらの相が存在する重合プロセス条件が提供される。
非限定的な例示的プロセス圧力は、1MPa(0.15kpsi)〜1500MPa(217kpsi)の間、より詳細には1〜500MPa(0.15〜72.5kpsi)の間である。有利には、プロセス圧力は、5〜100MPa(725〜14,500psi)の間である。一実施形態においては、重合プロセス圧力は、反応装置温度でのポリマー含有流体重合系の固体−流体相転移圧力以上であるべきである。別の実施形態においては、重合プロセス圧力は、反応装置温度での流体重合系の曇り点よりも10MPa低い圧力以上(または1MPa低い圧力以上、または0.1MPa低い圧力以上または0.01MPa低い圧力以上で、かつ1500MPa未満であるべきである。更に別の実施形態においては、重合プロセス圧力は、5〜500MPaの間、または10〜500MPaの間、または10〜300MPaの間、または20〜250MPaの間、または10〜100MPaの間にあるべきである。例示的圧力下限は、1、5、10、20および30MPa(それぞれ0.15、0.75、1.45、2.9、4.35kpsi)である。例示的圧力上限は1500、1000、500、300、250、200および100MPa(それぞれ217、145、72.5、43.5、36.3、29および14.5kpsi)である。
一部の実施形態においては、重合は、超臨界重合系の中で実施される。かかる実施形態においては、反応圧力は、重合系の臨界圧力より高い。一部の実施形態においては、一部のまたは全ての反応装置が均一超臨界重合条件で作動する。本明細書で開示されているインライン配合プロセスの前記均一超臨界重合は、以下の圧力で実施してよい。本明細書内で開示されているインライン配合プロセスの超臨界重合プロセスは、以下の圧力で実施してよい。一実施形態においては、圧力は、反応装置温度でのポリマー含有流体反応媒質の結晶化相転移圧力以上、または反応装置温度での流体反応媒質の曇り点よりも10MPa低い圧力以上である。別の実施形態においては、圧力は、10〜500MPaの間、または10〜300MPaの間、または10〜200MPaの間、または10〜100MPaの間、または20〜250MPaの間である。一形態においては、圧力は10、20または30MPaよりも高い。別の形態では、圧力は、1500、500、300、250、200または100MPa未満である。別の形態では、曇り点圧力は1〜500MPaの間、1〜300MPaの間、または1〜200の間、または1〜100の間、または5〜250MPaの間である。更に別の形態においては、曇り点圧力は1、5、10、20または30MPaより高い。更に別の形態においては、曇り点圧力は、1500、500、300、250、200または100MPa未満である。
均一流体相重合のための全モノマー転化
並列反応装置バンクの個々の反応装置列内のワンパスでの全モノマー原料の転化率を増大させることでモノマー再循環比を低下させ、ひいてはモノマー再循環コストを削減することができる。モノマー再循環比(即ち反応装置列に向かう再循環済みモノマー原料に対する全モノマー原料の比)を増大させるには、単位ポリマー生産あたりの更に大きなモノマー体積の処理と再循環が必要であり、これが生産コストを増加させる。従って、より高いモノマー転化率(より低い再循環比)は、多くの場合プロセスの経済性を改善する。しかしながら、重合系特に均一重合系中のポリマー含有率が高いと高い粘度が発生し、これに付随して反応装置の混合、熱伝達および下流側生成物の取扱いが困難になることから、ワンパスでのモノマー転化には実用的な作業に限界がある。モノマー−ポリマー配合物の粘度ひいては実用的転化限界は、当該技術分野において公知の標準的な工学方法(非特許文献4)により容易に設定可能である。ワンパス転化は同様に、作動条件および生成物の特性によっても左右される。例えば、図4は、転化率の増加によってポリマー分子量がいかに削減されるかを示している。従って、モノマー転化は、同様に、所定の反応装置列内で製造される配合物成分の分子量を増大させたいという要望によっても制約を受ける可能性がある。非限定的な例示的全モノマーワンパス転化率は、90%未満、より詳細には80%未満、そして更に一層詳細には60%未満である。全モノモー転化は、反応装置または反応装置列内で製造されたポリマーの重量を反応装置または反応装置列への原料中のモノマーとコモノマーの組み合わせ重量で除したものとして定義される。高い全モノマー転化率は多くの場合生成物の粘度または生成物の特性目標によって制限されるものの、一部のモノマー原料配合物の中に存在する一部の反応性の高いモノマー成分の転化率は90%を上回ってよいということを理解すべきである。例えば、エチレン−プロピレン中またはエチレン−高級オレフィン原料配合物中のエチレンのワンパス転化は、ほぼ完全(100%に近い)であり得、これは本明細書中で開示されている。
上述の通り、全モノマー転化を制限する別の要因は、転化のMW減少効果である(図4参照)。従って、高いMWをもつポリマー配合物成分の生産には、粘度およびその他の実際的な作業上の考慮事項により要求される以上にワンパスにおけるモノマー転化率を抑えることが必要である。従って、高い分子量をもつ配合物成分(詳細には200kg/mol超の重量平均分子量−Mwを有するもの)の生産のためには、全モノマー転化率は30%未満である必要があるかもしれない。ここでもまた、モノマー原料配合物中の一部の高反応性成分の転化率が、より高いものであり、100%近くにさえなり得る。
本明細書中で開示された重合反応装置内でのワンパス転化率は、触媒濃度と全原料流速の組み合わせによって調整されてよい。全原料流速は平均滞留時間(逆混合された反応装置内では、反応装置容積を流出物の全体積流速で除したものに等しい)を決定する。同じ転化率は、原料中の触媒濃度を増大させることによってより短い滞留時間で達成可能であり、その逆も成り立つ。触媒濃度が低くなると、触媒コストは減少するが、体積生産性も減少し、より高い滞留時間、そして最終的には同じポリマー生産能力に対しより大きな反応装置ひいてはより高い投資コストが必要となるかもしれない。滞留時間/反応装置体積と触媒濃度の間の最適な平衡は、当該技術分野において公知の標準的な工学方法により判定してよい。本明細書で開示されている反応装置内では、1秒〜120分、詳細には1秒〜60分、より詳細には5秒〜30分、更に一層詳細には30秒〜30分、そしてなお更に一層詳細には1分〜30分の範囲内の反応装置滞留時間で、広範なポリマー配合物成分を生産することができる。本明細書で開示されているインライン配合プロセスの実施形態の更に別の形態においては、本明細書で開示されている反応装置内の滞留時間は、120分未満、または60分未満、または30分未満、または20分未満、または10分未満、または5分未満、または1分未満であってよい。
一部の実施形態においては、本発明のプロセスの一部または全ての反応装置列が、超臨界条件、有利には均一超臨界条件、またはバルク均一超臨界条件下で作動する。本明細書で開示されている超臨界重合反応装置内、特にバルク均一超臨界反応装置内の滞留時間は、一般に、超臨界重合プロセスの条件で達成される高い反応速度に起因して、溶液、気相およびスラリープロセスにおける滞留時間よりも短い。バルク均一超臨界重合を応用する本明細書中で開示されているインライン配合プロセスは、多くの場合、1分〜60分の間、より詳細には1〜30分の間の滞留時間を選択する。
流体相インラインポリマー配合のためのモノマー再循環プロセスの重合反応装置は、反応装置列と呼ばれる単一の配合用成分を製造する1つまたは複数の反応装置にグループ化されてよい。ポリマー配合物成分全てを生産する並列反応装置列の反応装置は、反応装置バンクと呼ばれる。個々の列内およびバンク全体の中の反応装置は、ポリマーを製造するのに有用なあらゆるタイプのものであり得(異なる重合反応装置の精査のためには非特許文献5および非特許文献6を参照のこと)、これを同じように構築することもでき、または異なるものでもあり得る。反応装置の最適なタイプおよび構成は、ポリマー反応装置工学の技術分野において周知の標準的技術により決定可能である。
個々の反応装置内の触媒活性ひいては体積生産性は異なるものであってよいということを認識すべきである。インライン配合用の反応装置流出物が直接配合される場合、個々のポリマー配合物成分の生産に必要とされる反応装置サイズは触媒活性および体積生産性により決定されてよい。コストを削減するためには、単一のプラントで、一定の配合物比範囲にわたって配合された、異なるポリマー成分を用いて複数のポリマー配合物を生産する必要があるかもしれない。その結果、並列反応装置バンクは多くの場合、異なるグレードのポリマー配合物の生産のための柔軟でひいてはより費用効果が高い構成を可能にする、異なるサイズの反応装置を有することになる。最適な反応装置体積は、標的ポリマー配合物の組成および体積反応装置生産性データの組み合わせから、化学工学の技術分野において公知の最適化方法を用いて決定され得る。
商業的実践においては、反応装置の生産性は或る程度まで変動する傾向にあり、このことはそれ自体、対応するレベルのポリマー配合物比の変動を導き得る。一実施形態においては、並列反応装置バンクを含む反応装置の下流側で、ただしポリマーの混合または配合点の前にプロセスにバッファタンクを付加して、個々の配合物成分を生産する各々の反応装置列内の体積生産性の変動を補償してもよい。バッファタンクは、個々の反応装置流出物を均一化しポリマー配合物成分のより独立した計量を可能にすることにより、最終生成物配合物の組成制御を改善し得る。個々の反応装置列流出物がバッファタンク内でその泡立ち点より低い圧力でその液体状態で保管されている場合、基本的にバッファタンクの全容積を、配合および生産速度の差を補償するために利用することができる。しかしながら、個々の反応装置流出物がその超臨界状態またはその液体状態でただしその泡立ち点より高い圧力でバッファタンク内に保管される場合、高密度の液体または超臨界流体がタンク全体を満たす。このような作動モードでは、バッファリング能力即ち瞬間的反応装置流速から逸脱する能力は更に制限され、バッファタンク内に許容される圧力/密度の変化およびバッファタンクのサイズと結びつけられる。後者の場合、プロセス流は、増圧ポンプを設置し作動させるコストを回避するため反応装置の下流側で漸進的圧力降下により駆動されてよい。しかしながら、圧力範囲ひいてはシステムのバッファリング能力を増大させるためにプロセス内に代替的に増圧ポンプを設置し作動させてもよい。増圧ポンプが全く配備されない場合、バッファタンクの圧力は、反応装置の圧力よりも低いものの配合点の下流側のラインの圧力よりも高くなくてはならない。
実現可能ではあるものの、この種のバッファシステムを制御することが困難であることは明らかであり、その効率は非常に良いとは言えない。従って別の実施形態においては、個々の反応装置流出物がその超臨界状態でまたはその液体状態で、ただしその泡立ち点よりも高い圧力で保管される場合、バッファタンク内の条件は流体−流体相分離(分離器−バッファタンク作業)を達成するように設定されてよい。このモードでのバッファリングは、圧力制御弁を介して分離器バッファからモノマー富有上部相を取り出す一方で所望の分離レベルのために許容された最小レベルと最大レベルの間でより高密度のポリマー富有相の流体レベルを上下させることによって達成可能である。当業者であれば、この作動モードが、ポリマー生成物を含む液相および1つまたは複数のモノマーおよび1つまたは複数の溶媒などのより揮発性の高い成分を含む蒸気相が充填されたバッファタンクの作業と類似していることがわかる。超臨界レジームでは、上部相はポリマー希薄流体であり、一方下部相はポリマー富有超臨界流体であり、後者は個々の配合物成分の生産比率の短期変動とは無関係に、恒常な配合物比を生成するのに必要とされる制御された速度での配合のために引き出され得る。液体充填作業のためにも同様の類推が可能である。ポリマー含有量ひいてはポリマー富有相の粘度は、1つまたは複数の分離器−バッファタンクにおいて恒常な圧力で温度を適切に調整することによってか、または恒常な温度で圧力を調整することによって制御可能である。この実施形態においては、1つまたは複数の分離器−バッファタンクの1つまたは複数のポリマー富有流出物は、直接的反応装置流出物のモノマーを上清として、そしてインラインポリマー配合物を底部層として回収する分離器−配合容器の上流側の反応装置列のうちの1つの反応装置列の直接的未分離流出物と組み合わされる。この特定の実施形態においては、1つの分離器は分離器−配合機として役立ち、一方残りの分離器は分離器−バッファとして役立つ。有利には、分離器−配合機は、コポリマー配合成分を製造する反応装置列に連結され、一方分離器−バッファ容器は、ホモポリマー列に連結される。この構成により、対応する重合列とは無関係なモノマーから分離を行う必要なく、1つまたは複数の未混合モノマーの有意な部分を回収し再循環させることが可能となる。改善されたモノマー再循環のための流体相インライン配合プロセスのこの形態は、副見出し「流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセス構成」の下で以下でより詳細に記述される。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、生成物の品質および生成物の特性を更に改善させるため最高40重量%または最高30重量%、または最高20重量%、または最高10重量%または最高5重量%の比率でポリマー配合物にポリマー添加剤を加えてよい。非限定的な例示的ポリマー添加剤としては、極性ポリマーを含む特殊ポリマー、ろう、ポリαオレフィン、酸化防止剤、可塑化剤、清澄剤、スリップ剤、難燃剤、熱および紫外線安定剤、粘着防止剤、充填剤、強化繊維、帯電防止剤、潤滑剤、着色剤、起泡剤、粘着付与剤、サザンクレイ(Southern Clay)から入手可能なもののような有機修飾粘土、および上述の成分を含むマスターバッチがある。従って、本明細書で開示されているプロセスに対して、液体、溶融または溶液ポリマー成分およびポリマー添加剤の入った1つ以上のポリマー添加剤保管タンクを追加してよい。これらのポリマー添加剤保管タンク内で1つまたは複数の溶媒が使用される場合には、それは、プロセスの溶媒回収および再循環セクション内で分離コストの増大を回避するため、前述の重合反応装置内で使用されるものと同じであるべきである。例えば、再循環プロピレン中でポリマー合成プロセスが実施される場合、有利にはオフラインで生産されたポリマー添加剤を超臨界プロピレンの中に溶解させてもよい。添加剤成分がその溶融状態にされる場合、または添加材成分が周囲温度で液体である場合、ポリマー添加剤成分の無溶媒導入を用いてよい。
均一超臨界重合および溶液重合プロセスは、溶解した流体状態で生成物ポリマーを提供するために特に適している。特定の一実施形態においては、超臨界重合プロセスは、不活性溶媒/希釈剤が実質的不在下で実施され(バルク均一超臨界重合)、下流側インライン分離−配合プロセスのため溶解した超臨界状態で生成物を提供する。より詳細には、プロピレンの超臨界重合は、不活性溶媒/希釈剤の実質的不在下で実施され(バルク均一超臨界プロピレン重合)、下流側インライン分離−配合プロセスのため、溶解した超臨界状態で生成物を提供する。
不活性溶媒の合計量は、一般に本発明のプロセスの反応装置原料中で80重量%以下である。原料が基本的に、例えばバルクスラリーまたはバルク超臨界またはバルク溶液重合などのモノマーまたはモノマー配合物を含んでいる一部の実施形態においては、モノマー再循環コストを削減するため、溶媒の使用を最小限に抑えることが望ましい。これらの場合には、反応装置原料中の典型的な溶媒濃度は多くの場合40重量%未満、または30重量%未満、また20重量%未満、または10重量%未満、または5重量%未満また更には1重量%である。本明細書で開示されている一形態においては、重合系は40重量%未満の芳香族炭化水素そして有利には40重量%未満のトルエンを含む。本書で開示されている更に別の形態においては、重合系は40重量%未満の飽和脂肪族炭化水素そして有利には40重量%未満のヘキサン、またはペンタン、またはブタンおよびプロパンまたはそれらの混合物を含む。
流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセス構成
詳細な説明の中で前述したように、流体相インラインポリマー配合と共に使用するための改良型モノマー再循環プロセスは、異なる詳述されたプロセス構成を有していてよい。例えば、並列反応装置バンク内の並列反応装置列の数およびその構成は変動してよい。典型的には、各々の反応装置列は、単一のインライン配合物成分を生産するのに役立つ。並列反応装置バンクの所与の列は、単一の反応装置または2つ以上の直列の反応装置であってよい。しかしながら実用的商業用プラント設計の観点から見ると、所与のポリマー配合物成分を製造するために並列反応装置バンクの所与の列について最小限の数の反応装置が存在していなければならない。一般的には所与の1反応装置列の中で、10基以下の直列反応装置が利用され、より詳細には、3基以下の直列反応装置が一般に利用される。先に定義づけした第1(G1)および第2(G2)の反応装置列群を含む列の数は、各群の中で2、3、4または5以上であってよい。G1およびG2を含む並列反応装置バンク内の反応装置の数は任意の数であってよいが、経済的な理由から、反応装置の数は、所望範囲の生成物グレードおよびプラント容量が許容するだけ少ないものに維持されるべきである。(反応装置バンクのレグ若しくは分岐とも呼ばれる)並列反応装置列の最適数は、当該技術分野において周知の標準的な化学工学最適化方法によって判定してよい。最も典型的には、重合−配合プラントは、対応する数のインラインポリマー配合物成分を用いて生成物配合物を生産する反応装置バンク内の2つまたは3つの並列重合反応装置列またはレグ若しくは分岐を有する。本明細書で開示されている改良型再循環方法の実施形態においては、インライン配合プロセスの反応装置列は、先に定義づけした第1の反応装置列群(G1)と先に定義づけした第2の反応装置列群(G2)の間で分割される。本明細書で開示されている改良型再循環方法を利用するインライン配合プロセスの反応装置列の少なくとも1つは、前記第1の反応装置列群(G1)に属し、少なくとも1つのその他の反応装置列は前記第2の反応装置列群(G2)に属する。例えば、前述の通り、例示的な一実施形態においては、反応装置バンク内の並列な列の数は2個であり、並列な1つの列がオレフィンホモポリマーを製造し、並列な第2の列がオレフィンコポリマーを製造し、ここでオレフィンコポリマーは並列なオレフィンホモポリマー列内のモノマーと共通の1つのコモノマーを有する。目標生成物配合物の生産に必要である場合には、3つ以上の並列反応装置/レグを利用してよい。インラインポリマー配合成分以外に、最終的ポリマー配合物は、同じ重合プロセス内で生産されない添加剤および重合改質剤を含有することが多い。従って、最終生成物ポリマー配合物内の成分の数は典型的に、反応装置列の数またはインラインポリマー配合物成分の数よりも多いということを理解すべきである。
上記のように、本明細書で開示されているモノマー再循環プロセスと共に使用するための流体相インライン配合プロセスは同様に任意には、本明細書で開示されているプロセスの反応装置バンクの外部で生産されたその他のポリマーおよびポリマー添加剤を取込んでいてもよい。任意のその他のポリマーおよびポリマー添加剤成分は、インラインで生産されたポリマー配合物成分と配合される前に最初に溶液または溶融流体状態へと移行されてよい。これらの他のポリマーおよびポリマー添加剤成分は、分離−配合容器(ホモ重合および共重合列に共通のモノマー溶媒中に溶解している場合)または分離−配合容器の上流側(ここでもまたホモ重合および共重合列に共通のモノマー溶媒中に溶解している場合)または下流側の混合点に移送され計量される前に、液体、溶融または溶解ポリマー成分およびポリマー添加剤の入ったポリマー添加剤保管タンク内に保管されてよい。ポリマーおよびポリマー添加剤成分は、配合容器または別の混合点まで1つ以上のポンプによってかまたは下流側圧力の方が低い場合には1つ以上の減圧バルブの使用を通して正確に計量されてよい。任意の添加剤および重合改質剤を、本明細書で開示されているプロセスの分離器−配合容器の上流側かまたはその中に直接かまたはこの分離器−配合容器の下流側で生成物内に混合することができる。モノマー再循環列におけるモノマーの処理を単純化しかくしてモノマー再循環のコストを低減させるためには、分離器−配合容器の下流側で添加剤および重合改質剤を添加することが有利であることが多い。このような実施形態においては、添加剤および重合改質剤を、例えば液化装置押出し機内などの、本明細書で開示されているプロセスの生成物仕上げセクションのハードウェア内または専用機器部品内で、インライン生産されたポリマー配合物と混合することができる。
図5は、2つの反応装置列の流出物が2つの反応装置列の組み合わせ流出物の中に存在するモノマーのバルクを回収するための分離器−配合機まで運ばれる2つの反応装置列(1および2)を用いた先行技術の再循環プロセスを例示している。インラインポリマー配合物成分を含む分離器−配合機のポリマー富有流出物は、出荷および販売に適した形態でインラインポリマー配合物を回収する前に残留モノマーおよびその他の揮発性物質を除去するべく、仕上げ段に送られる。分離器−配合機のモノマー富有流出物は、反応装置列1および2への再循環の前に個々のモノマー成分を回収するため低温分離セクションに送られる。蒸留列は同様に、溶媒、オリゴマー副産物、余剰の触媒キラーなどを含む重質パージ流を分離するため、塔またはノックアウト容器をも利用する。この先行技術の形態の独特の特長は、モノマー原料の再平衡化を可能にしかくして反応装置列1および2への原料の組成を所望のインラインポリマー配合成分を製造するのに適したものにするべく1つ以上の低温蒸留塔を利用するという点にある。この分離工程は、沸点温度差に基づいて組み合わせモノマー再循環流中の2つ以上のモノマーを分画するのに1つ以上の冷凍(または冷却)塔を必要とすることから、費用のかかるものである(図5は、分離塔(2)内で分離された2つのモノマーについてのケースを例示している)。図5中に示されている例示的プロセススキームが、先行技術のプロセス間の差異を浮き彫りにするためのみに役立ち、かくして先行技術の再循環方法を包含するプロセスの簡略化された概念的バージョンであるということを理解すべきである。
図6は、反応装置(1)の流出物中のモノマー成分が全て反応装置流出物(2)にも存在し、反応装置流出物(1)中のモノマー流量が、反応装置(2)中の対応するモノマーの転化速度をパージ流速に加えたものを超えない実施形態を例示している。先に詳述した通り、かかる実施形態は、反応装置(1)および(2)の中に存在するいずれかのモノマーの余剰残留物を構築することなく、反応装置(2)に対する反応装置流出物(1)および(2)の組み合わせモノマー流量の再循環を可能にしている。ポリマー含有未還元反応装置流出物(1)および(2)は、条件が反応装置中のものと同じでなくかくして異なるポリマー特性をもつポリマー画分を生成することになる、反応装置の下流側の重合を停止させるために、任意には触媒キラーで処理される(図2、3および4参照)。かかるポリマー画分は、最終的ポリマー配合物生成物の性能の望まれない変化を導き、かくして触媒キラーの適用は有利であるかもしれない。図6においては、減圧バルブの後に反応装置流出物に任意の触媒キラーが添加されるが、反応装置の下流側のプロセスの任意の点においてこれらを反応装置流出物に添加することができる。従って、一部の実施形態では、反応装置の出口またはプロセスのその他のいくつかの部分で触媒キラーを添加することが考えられる。同様に、触媒キラーは、それらの効率を改善するためまたは望まれる場合にはその化学量論を制御するために、多数の注入ポートで導入されてよい。反応装置流出物(1)および(2)は、ポリマー−モノマー分離およびポリマー−ポリマー配合のため、任意には1つ以上の静的ミキサーを介して、分離器−配合機と呼ばれる高圧分離器まで運ばれる。任意には(図6には示されていない)、より高密度のポリマー富有流体相およびより軽質のモノマー富有流体相の形成を可能にするため、分離器−配合機を含めた分離器に入る流れの曇り点未満でかつポリマー富有相の固体−流体相転移温度より高い所望の値に下流側ラインおよび分離器−配合機内の温度を維持する目的で、減圧前に反応装置列流出物の1つまたは両方を加熱してよい。分離器−配合機は、反応装置(2)に再循環されるモノマー富有相を回収する。図6に示されている通り、このモノマー再循環流を、生成物仕上げ段の中で分離器−配合機の下流側で回収されたその他のモノマー富有流と組み合わせてもよい。分離器−配合機の下流側の低圧分離器は分離器−配合機よりも低い圧力で作動することから、これらの分離器からおよび仕上げセクション内で回収された流れは、分離器−配合機から出現するモノマー富有流と組合される前に加圧される。モノマー再循環流(または図6に示されている通り、単一の組み合わせモノマー再循環流)は任意には、オリゴマー重質分、余剰の溶媒および/または触媒キラーなどといった回収済みモノマー再循環流の中に存在する、望ましくない重質成分を含む重質パージ流を除去する分離塔またはノックアウトポットの中に通されてよい。図6に示されていないが、典型的には不純物としてモノマー原料と共に導入されるメタン、エタン、プロパン、窒素などといった軽質不活性成分の蓄積を制御するため、反応装置(2)に向かうモノマー再循環流から任意に軽質パージ流も除去してよい。有利には仕上げセクション内で低圧モノマー回収分から任意の軽質パージ流を取り出し、かくしてより低圧の流れをモノマー配合物再循環流の圧力にすることに付随する圧縮コストを節約してもよい。任意に精製されたモノマー配合物再循環流を反応装置(2)に補給する前に、それを新鮮な反応装置原料の圧力まで加圧する。反応装置(1)が新鮮な原料のみを受取り、一方反応装置(2)は新鮮な補給用モノマー原料およびモノマー配合物再循環流を受け取るという点に留意されたい。両方の反応装置とも、同じく触媒原料を受け取る。
図7は、生成物流に任意のポリマーおよびその他の添加剤を補給するための設備が具備されているという点を除いて、図6に示されたプロセスについて上述したものと同じプロセスシナリオを例示している。図7は、任意の静的ミキサーの上流側の1点で添加剤が全て導入されている1例を示す。しかしながら、本明細書で開示されているプロセスでは、多数の点で添加剤を導入してよく、重合反応装置の後第1の減圧バルブの下流側のどこかの1つ以上の点でそれらを導入してもよい、ということを理解すべきである。添加剤の導入点は、モノマーなどの粘度削減用軽質成分の存在下でのより容易な混合と、添加剤を最終仕上げ工程により近いところで導入しかくしてモノマー再循環流内へのそのキャリーオーバーを削減するかまたは最後のモノマー再循環流の回収の下流側でそれらを導入することでキャリーオーバーをことごとく回避さえする場合に達成されるより単純でより頑強なモノマー再循環との間の最良の工学上の妥協に基づいて選択される。当然のことながら、最適な点は、添加剤の性質によっても左右される。ポリマーのような一部のものは、ポリマー富有画分と共に搬送され、触媒を損なわずに、従って有利にはより上流で導入される。一部のもの、特に阻害物質は触媒を損なう可能性があり、従って、触媒活性および全体的プロセス安定性に対するマイナスの影響を回避するべくそれらを導入する際には注意を払わなくてはならない。
図8は、2つの並列反応装置列(1および2)が存在する本明細書中に開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの別の例示的実施形態を示している。G1を表わす反応装置列1は、専用分離器容器(分離器(1))を有し、例えばオレフィンホモポリマー(例えばポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリブテン)を生産するために使用可能である。それは同様に、例えばエチレン−プロピレンまたはエチレン−ヘキセン−1などのコポリマーを生産してもよい。しかしながら、後者の場合、反応装置(2)は少なくとも3つのモノマーを有する必要があり、そのうちの2つは反応装置(1)の中で使用される2つと共通である必要がある。G2を表わす反応装置(2)には、2つの並列反応装置列からのポリマー富有相が組み合わされる分離器−配合機が付随する。この実施形態においては、反応装置流出物(1)は、プロセスからパージされるものに反応装置列(2)内で消費されるものを加えた同じモノマーよりも多くのモノマーを送出する。かくして、反応装置流出物(1)からのモノマー富有流として余剰モノマー流量を回収しかくしてモノマー再循環流を平衡化して反応装置(2)内の余剰のモノマーの蓄積を回避するために、(G1)単一流高圧分離器(分離器(1))が利用される。分離器(1)の中で回収されたモノマー富有相は、反応装置(1)に再循環される。分離器(1)内でのモノマーの回収速度を制御するために、それは典型的には、分離器および配合機の両方として役立つ高圧分離器(分離器−配合機)の下流側のよりも幾分か高い圧力で作動する。従って、分離器(1)と分離器−配合機の間には任意の減圧バルブが存在する。重合反応装置の外部での更なる重合を最小限に抑えるため、任意には、分離器1および/または分離器−配合機の前またはその中に触媒奪活剤を導入してよい。任意には、分離器−配合機容器の前ただし混合点の下流側に位置づけされた1つ以上の静的ミキサーを利用して、分離器−配合機に付随する反応装置列(1)および(2)のポリマー富有相間の混合を増強させてもよい。任意には(図8には示されていない)、ポリマー富有またはより高密度のポリマー富有流体相およびより軽質のモノマー富有流体相の形成を可能にするため、分離器−配合機を含めた分離器に入る流れの曇り点未満でかつポリマー富有相の固体−流体相転移温度より高い所望の値に、分離−配合容器を含めた分離器内および下流側ライン内の温度を維持する目的で、最初の減圧前に反応装置列流出物の1つまたは両方を加熱してよい。この実施形態のプロセスは、G1専用の分離器内で回収された1つまたは複数のモノマーを、図5において先に示された単一の分離−配合容器に付随していたようなその他のモノマーからの複雑な分離をせずに1つまたは複数の対応するG1反応装置列まで再循環してよいことから、ポリマー配合物の生産において有利であるかもしれない。従って、この実施形態の1つの利点は、モノマー再循環が単純化され、かくしてモノマー再循環ループ内でより低いコストを提供するということにある。多分離容器作業は分離器セクションにおけるコストを増大させるものの、それはモノマー再循環ループ内で柔軟性を加えコストを削減する。前述のように、本明細書で開示されているG1分離器の新規の応用では、モノマープールがひとたび併合された時点で低温分離が必要な先行技術とは異なり、再循環ループ内でモノマー流を平衡化するためモノマープールが併合される前に相分離を実施するより低コストのモノマー回収が適用されるために有利である。本明細書で提供される例に無用の複雑さを回避するために、図8に示されているプロセスは、反応装置列の両方の群(G1およびG2)内に1つの列しか有していない。しかしながら、いずれか一方または両方の反応装置列群内の多数の並列な列についての作動は、図8に示されているスキームから容易に導出可能である。
ここで再び図8を参照すると、分離器(1)は、反応装置列(1)のためのポリマー富有相からモノマー富有相を分離している。典型的には反応装置列(1)が1つ以上のオレフィンベースのホモポリマーを製造するが、一般的には、G1の1つ以上の列が、2つ以上のモノマーをもつコポリマーを生産してもよい。図8中に示されている具体的な場合では、分離器(1)由来のモノマー富有相は、1つ以上の分離塔を必要とすることなく、かつ付随するコストや複雑性無く、反応装置列(1)に直接再循環される。分離器(1)からのポリマー富化相は反応装置列(2)から出現する反応装置流出物(2)と組み合わされ、その後分離器−配合機に補給される。反応装置列(2)は典型的に、オレフィンベースのコポリマーを生産し、そのモノマープールは少なくとも反応装置列(1)の全モノマーを含む(ただしG1のモノマープールよりも広範なモノマープールを有していてもよい)。図8に示される詳細な実施形態においては、分離器−配合機は、オレフィンベースのホモポリマーおよびオレフィンベースのコポリマーの配合物を含むポリマー富有配合物相から、反応装置列(1)由来の残留モノマーと反応装置列(2)からのコモノマーを含むモノマー富有相を分離する。反応装置列(1)が2つ以上の反応装置列(図8中に示さず)を含み、そのうちの2つ以上が同じモノマープールを使用する場合、同じモノマープールをもつ列の流出物は任意には、部分的モノマー回収およびG1内の対応する列のうちの1つ以上への再循環のためG1相分離器まで送られる前に組み合わされてよい。G1内のその他の列と同様、同じモノマープールと前記並列反応装置列のモノマープールが1つの構成要素だけでなく2つ以上の構成要素も有していてよい、という点に留意すべきである。上述の構成の特殊なケースは、G1の全ての反応装置列が同じモノマープールを有する場合である。これらの実施形態においては、全てのG1反応装置列の流出物は任意には、G1に再循環のための部分的モノマー回収を目的としてそれらを運ぶ前に組み合わされてよい。
図8に示されているように、分離器−配合機から出現するモノマー富有相は、単一分離塔またはノックアウトポットに補給されて、前記塔またはノックアウトポットの底部でモノマー再循環流から余剰の溶媒および触媒キラー、オリゴマー副産物などの望まれない重質成分が除去される。塔の上部から出現するモノマー流は、このとき共重合反応装置列(2)に再循環し戻される。任意には(図8には示されず)、軽質パージ流を、反応装置(2)へ補給する前に再循環流から除去することもできる。有利には、軽質パージ流を、分離器−配合機の下流側に出現する流れから取り出してもよい。このようなパージ構成は、仕上げセクション中で回収されたモノマー再循環流を、任意の重質分分離塔/モノマー配合物再循環流の圧力にすることに付随する圧縮コストを削減することができる。全体として、図8に示されている実施形態は、図5に比べて分離器セクション内ではより複雑でコストが高いものであるかもしれないが、分離塔のニーズが減るためモノマー再循環ループ内ではより単純で低コストになり得る。
図9は、反応装置列(1)にサービス提供している分離器がバッファ容器としても役立つという点を除いて、図8で示されているプロセスと同様に構成され作動する1実施形態を示す。バッファ容器としての分離器の使用および作動は、全体が本明細書に参照により援用されている特許文献1の中で詳述されている。
図10および図11は、プロセスが製造するポリマー配合物生成物と配合するため溶液または溶融形状でポリマーおよびその他の添加剤を保管し補給するための設備を除いて、それぞれ図8または図9で実証されているプロセスと同様に作動する具体的実施形態を示す。図10および11内のプロセスは、任意の静的ミキサーの上流側に添加剤をもたらす。実際には、添加剤を反応装置列の下流側の異なる点で配合してよく、また1つ以上の場所で混合してもよい。一般には、より早期、即ち更に上流側で、これらの添加剤はプロセス流と混合され、混合は、それをひき起こすプロセス流の粘度が低くなればなるほど容易なものとなる。しかしながら、添加剤の多くは触媒にとって有毒であるかまたはインライン配合プロセスの作業においてその他の複雑性をひき起こすかもしれない。この理由から、かかるプロセス上の悪影響の可能性を最小限におさえるか更には無くするために、これらの添加剤を後で、即ち更に下流側で取り込むことが可能である。重合技術分野の当業者であればわかるように、添加剤の最適な混合点は、添加剤−プロセスの組み合わせに特定的なものであり、標準的な化学およびポリマー工学方法を適用することによって決定できる。
化学工学の当業者であればわかるように、反応装置構成、分離器構成、弁開閉、熱管理などに関する本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの設計に関するプロセススキーム詳細は、本明細書で開示されているモノマー再循環およびインライン配合プロセスの趣旨から逸脱することなく、異なる形で設定されてよい。本明細書で開示されているプロセスの異なる実施形態の間での選択は、標準的な工学技術により容易に判定可能である生成物の性能要件およびプロセス経済によって推進される。しかしながら、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは、先行技術と比べて、インラインポリマー配合に付随する全てのメリット(投資および作業コストの節約に起因する配合コストの削減および十分に制御された費用効果のある分子レベルの配合を可能にしてポリマー配合物の性能の増強をもたらすこと)をなおも維持しながら、モノマー分離塔のための資本コストの削減、ユーティリティ支出の削減に起因する操業コストの削減、およびプロセスの単純化に起因するメンテナンスコストの削減を実現することから有利である。
本明細書で開示されているプロセスは、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−ブテン−1またはプロピレン−ヘキセン−1またはプロピレン−オクテン−1などの共重合と組み合わせたバルク均一超臨界プロピレン重合を一例とする、特にバルク超臨界およびバルク溶液オレフィン重合などのバルク均一重合プロセスのための均一オレフィン重合によって製造されるインラインポリマー配合物を製造するための有効な再循環経路を提供する。更に詳細に後述されるように、モノマーおよびポリマーの効率の良い分離は、関連する(ポリマー/オレフィンモノマー)または(コポリマー/オレフィンモノマー配合物);例えば(ポリプロピレン/プロピレンモノマー)、(エチレン−プロピレンコポリマー/エチレン−プロピレンモノマー配合物)などの混合物についての曇り点圧力および温度の関係を有利に利用することによって達成される。
例示を目的として、(18wt%で)プロピレン中に溶解させた、異なる分子量および結晶度をもつ3つの異なるポリプロピレン試料について、図12〜21に曇り点曲線が示されている。Achieve1635PPは、テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)から入手可能な、32dg/分(dg=デシグラム=0.1g)という溶融流量、MFR、(I10/I2−ASTM1238、230℃、2.16kg)を有する市販のメタロセン触媒アイソタクチックポリプロピレンである。ESCORENEPP4062は、テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)から入手可能な、3.7dg/分のMFRを有する市販のアイソタクチックポリプロピレンである。PP45379は、スラリー重合プロセスにおいて担持メタロセンを用いて生産される300dg/分のMFRを有するアイソタクチックポリプロピレンである。
ポリマー配合物の処方および生成物
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスによって、数多くの異なるタイプのポリマー配合物を製造することができる。配合物の主要画分とは、その配合物の50重量%以上と定義される。配合物の副画分とは、配合物の50重量%未満と定義される。本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは、
N(P1+P2)=N(P2)およびN(P2)≧N(P1)
[式中、N(P1+P2)はP1およびP2のポリマー群の組み合わせモノマープール内のモノマーの数であり、N(P1)およびN(P2)はそれぞれ第1(P1)および第2(P2)のポリマー群の中のモノマーの数である]という条件が満たされているP1およびP2という2つの群にポリマーを分割できるオレフィンベースのポリマー配合物を生産するために有用である。
特に、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは、ホモポリマーとコポリマーのオレフィンベースのポリマー配合物またはホモポリマーとタ−ポリマーの配合物またはコポリマーとタ−ポリマーの配合物などを生産するために有利である。更に一層詳細には、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは、ホモポリマーとコポリマーが共通のモノマーを有しているホモポリマーとコポリマーのオレフィンベースのポリマー配合物を生産するために有利である。即ち、共重合反応装置列の原料モノマーの数は、組み合わせホモおよび共重合反応装置列の原料モノマーの数に等しい。非限定的な例示的ホモポリマー−コポリマー配合物としては、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー−エチレン−プロピレン(EP)コポリマー、PPホモポリマー−プロピレン−ブテン−1(PB)コポリマー、ポリエチレン(PE)−EPコポリマー、ポリブテン−PBコポリマー、ポリブテン−エチレン−ブテン−1コポリマーなどが含まれる。
特に、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは、ホモポリマーまたはコポリマーおよびターポリマーのオレフィンベースのポリマー配合物を生産するためにも有利である。更に一層詳細には、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは、ホモポリマーまたはコポリマーおよびターポリマーが1つまたは2つの共通のモノマーをそれぞれに有しているホモポリマーまたはコポリマーおよびターポリマーのオレフィンベースのポリマー配合物を生産するために有利である。即ち、三元共重合反応装置列の原料モノマーの数は、組み合わせホモまたは共重合および三元共重合反応装置列の原料モノマーの数に等しい。非限定的な例示的ホモポリマー−ターポリマー配合物としては、PPホモポリマー−エチレン−プロピレン−ブテン−1(EPB)タ−ポリマー、PE−EPBタ−ポリマー、ポリブテン−EPBタ−ポリマーなどが含まれる。非限定的な例示的コポリマー−タ−ポリマー配合物としては、EPコポリマー−エチレン−プロピレン−ブテン−1(EPB)タ−ポリマー、PBコポリマー−EPBタ−ポリマー、エチレン−ブテン−1(EB)−EPBタ−ポリマーなどが含まれる。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスによって製造された配合物内の個々のポリマー成分の重量分率は、類似のものまたは異なるものであってよい。本明細書で開示されているポリマー配合物は、同様に、類似のまたは異なる割合で異なる材料を組み合わせることで類似の改善を導出することもできる。本明細書で開示されている流体相インライン配合プロセスによって製造された有用なポリマー配合物の1つの非限定的な例は、大分率の非常に結晶度の高い中程度の分子量のポリマーおよび小分率の固有結晶度の低いまたは固有結晶度のない非常に高い分子量のエラストマーポリマーを含む。本明細書で開示されているモノマー再循環プロセスによって製造された有用なポリマー配合物の別の非限定的な例は、大分率の軟質で靭性の高い低融点ポリマーと小分率の非常に結晶度が高く高融点のポリマーを含む。本明細書で開示されている流体相インライン配合プロセスによって製造された有用なポリマー配合物の更に別の非限定的な例には、大分率の高結晶度のポリマーと小分率の低結晶度または非結晶性のポリマーとが含まれ、ここでこの低結晶度または非結晶性のポリマーはエラストマーではない。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスにより製造されたポリマー配合物は、改善された特性、ひいては広範囲の利用分野での使用を提供し得る。このような1つの例示的な、ただし非限定的な利用分野は、殺菌線量の高エネルギー放射線に対する耐性の改善を必要としている医療の利用分野である。この特定の利用分野に有用なポリマー配合物には、75〜99wt%の中程度の分子量のプロピレンホモポリマーと1〜25wt%のエチレンプラストマー(EPコポリマー)とが含まれ得る。或いは、エチレンプラストマーは、8〜16wt%のエチレンを含有するプロピレン−エチレンコポリマーによって置換されてよい。配合物のプラストマーまたは高プロピレンコポリマー成分は、ホモポリマー成分が配合物に対して高温での優れた強度、剛性および耐変形性を付与する一方で、配合物に対し滅菌放射線耐性および延性の保持と共により優れた初期延性を提供する。プロピレンホモポリマーおよびエチレンプラストマーまたはプロピレン−エチレンコポリマーのポリマー配合物は、一般に、未配合のプロピレンホモポリマー成分よりも透明度が高いかまたはほぼ同じ位透明である。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスによって製造されたポリマー配合物をどこで応用できるかの更に別の例示的な、ただし非限定的な利用分野は、優れた耐衝撃性を必要とするデバイスおよびパッケージング材料、そして特に低温環境におけるものである。この特定の利用分野に有用なポリマー配合物は、60〜99wt%の剛性プロピレンホモポリマーおよび/または比較的剛性の高い低コモノマー含有量のプロピレンコポリマーおよび1〜40wt%のエチレンプラストマー、コモノマー5〜20%を含有するプロピレンコポリマー、またはコモノマープロピレンエラストマー(例えばエチレン−プロピンゴム)を含んでいてよい。透明度を必要とする利用分野においては、ポリプロピレンを伴う配合物の透明度に対し最小限の有害効果しかもたない、更にはプラスの効果を有するものとして知られているきわめて相溶性の高いエチレンプラストマーまたはプロピレンコポリマーを小分率でポリマー配合物中に取込むことによって、それが得られるかもしれない。このようなプラストマーには、それらと配合されるべきポリプロピレンに類似した屈折率および粘度をもつものが含まれる。相溶性あるプロピレンコポリマーは、16wt%未満、11wt%未満、または6wt%未満のエチレン単位を含むプロピレン−エチレンコポリマーによって例示される。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスによって製造されたポリマー配合物を応用できる更に別の例示的な、ただし非限定的な利用分野は、剛性と耐衝撃性の組み合わせおよび/または耐熱性および耐衝撃性の組み合わせを必要とする材料の分野である。これらの利用分野に有用なポリマー配合物は、耐衝撃性デバイスおよびパッケージ用として特定されている配合物に組成が類似している。より詳細には、この特定の利用分野にとって有用なポリマー配合物は、60〜99wt%の剛性プロピレンホモポリマーおよび/または比較的剛性で低コモノマー含有量のプロピレンコポリマーそして1〜40wt%のエチレンプラストマー、コモノマーを5〜20wt%含有するプロピレンコポリマーまたはコモノマープロピレンエラストマー(例えばエチレン−プロピレンゴム)を含み得る。剛性および耐熱性は、ポリマー配合物のホモポリマーまたは剛性コポリマー部分を増加させることによって増大し得る。これに対応して、配合物のプラストマー、プロピレンコポリマーまたはエチレン−プロピレンゴム部分を増加させることにより改善可能である。生成物属性の所望の平衡は、2つの成分を入念に平衡化させることにより保つことができる。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスによって製造されたポリマー配合物を応用できる更に別の例示的な、ただし非限定的な利用分野は、デバイスおよび/またはパッケージが高温滅菌されなくてはならず、また軟質でかつ低温においてさえ衝撃乱用に耐えることができなくてはならない利用分野である。この特定の利用分野に有用なポリマー配合物は、75〜99wt%の1つ以上の剛性ホモポリマーおよび/またはコポリマー成分および1〜25wt%の1つ以上のプラストマー、低結晶度乃至は無結晶度のプロピレンコポリマーおよびエチレンプロピレンゴムを含む。パッケージおよびデバイスの軟質度の増加が望まれる場合には、配合物内で1つ以上の軟質成分をより大きな分率で、そして配合物内で1つ以上の剛性成分をより小さい分率で使用してもよい。この特定の利用分野にとって有用なポリマー配合物には、大分率の軟質成分および小分率の剛性成分も含まれていてよい。従って、ポリマー配合物の範囲には、5〜90wt%の剛性ポリマー成分および10〜95wt%の軟質ポリマー成分が含まれていてよい。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスによって製造されたポリマー配合物を応用できる更に別の例示的な、ただし非限定的な利用分野は、比較的低い上昇した温度で溶融してシールを形成し、それでもなお、はるかに高温で無欠性を維持することが要求されているフィルムである。軟質で高温耐性のあるデバイスおよび/またはパッケージについて先に規定した配合物組成範囲は、この特定のタイプのフィルム利用分野についてもあてはまると考えられる。相対的成分の相対的用途と競合する特性の間の類似の関係もまた、この利用分野にあてはまると考えられる。より詳細には、剛性ポリマー成分のより大きな分率はより高温でのシールの無欠性を増大させることができ、一方軟質ポリマー成分のより大きな分率は、より低温でのシール形成および標準温度でのシール強度を改善し得る。
その他のポリマー材料を、先に記述された利用分野のための軟質成分として利用してもよい。例えば、ステレオ−および/またはレジオ欠陥などの連鎖欠陥を比較的大量に含む低コモノマーコポリマーおよびプロピレンホモポリマーを、プラストマー、エチレン−プロピレンコポリマーおよびその他の重合改質剤の代りにまたはそれらと共に使用してもよい。しかしながら、高欠陥プロピレンホモポリマーおよび低コモノマーコポリマーおよび先に記述したプラストマー、エチレン−プロピレンコポリマーおよびその他の重合改質剤の間の1つの差異は、高欠陥プロピレンホモポリマーおよびコポリマーのガラス転移温度が、それらの連鎖内に取込まれた大量のエチレンコモノマーの不在状態でのプロピレンポリマーについての規格より低く落ち込まないことから、それらが配合物内の低温延性の改善を比較的わずかしか提供しない、という点にある。
高分子工学の当業者であればわかるように、本明細書で開示されている流体相インライン配合プロセスによって提供されるポリマー配合物の趣旨から逸脱することなく、上述のポリマー配合物およびそれらの有利な利用分野に対して変更を加えてもよい。
触媒系の概要:
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスでは、プロセスの重合反応装置セクションのいずれの反応装置においても任意の数の触媒系(触媒とも呼ばれる)を利用してよい。本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは同様に、本発明の反応装置バンクの異なる個々の反応装置において同じまたは異なる触媒または触媒混合物を利用してもよい。異なる触媒系を使用するというのは、触媒系のいずれかの部分が変わる可能性があり、あらゆる組み合わせが許容されるということを意味していると理解すべきである。例えば、開示されているプロセスは、他の列では担持触媒系を用いながら、一部の列で未担持触媒系を使用し得る。その他の実施形態では、一部のその他の列には非配位性アニオン活性剤を含みながら、一部の反応装置列内の触媒系はアルミノキサン(例えばMAO)活性剤を含んでいてよい。別の実施形態では、一部の反応装置列内の触媒系はチーグラー・ナッタ触媒を含み、一方本発明のプロセスのその他の反応装置列内の触媒系は、アルミノキサンまたは非配位性アニオン活性剤によって活性化されたメタロセンまたは非メタロセン金属を中心とするヘテロアリールリガンド触媒化合物(ここで金属は、元素同期表の4、5、6族、ランタニド系列またはアクチニド系列から選択される)触媒またはその任意の組み合わせを含み得る。
本明細書で開示されているように、チーグラー・ナッタ触媒は、非特許文献7の中で第1、第2、第3、第4および第5世代の触媒として言及されているものである。同じ参考文献中のメタロセン触媒は、第6世代の触媒として記述されている。
本明細書で開示されているように、非メタロセン金属中心ヘテロアリールリガンド触媒化合物(ここで金属は元素周期表の第4、5、6族、ランタニド系列またはアクチニド系列から選択される)は、金属が元素周期表の第4、5、6族、ランタニド系列またはアクチニド系列から選択される非メタロセン金属中心ヘテロアリールリガンド触媒化合物の部類として定義づけされる。メタロセン触媒の場合と全く同じように、非メタロセン金属中心ヘテロアリールリガンド触媒化合物(ここで金属は、元素周期表の第4、5、6族、ランタニド系列またはアクチニド系列から選択される)触媒は、典型的に、1つ以上の活性化因子を伴う触媒前駆体化合物を混合することによって新鮮になっている。非メタロセン金属中心ヘテロアリールリガンド触媒化合物(ここで金属は、元素周期表の第4、5、6族、ランタニド系列またはアクチニド系列から選択される)触媒は、各々本明細書に参照により援用されている特許文献5、特許文献6(21〜51頁)、特許文献7(31〜65頁)、特許文献8(23〜52頁)および特許文献9(21〜54頁)などのPCT特許公報の中で詳述されている。
開示されているプロセスにおいて配備される、異なる触媒系の数は、任意の数であり得るものの、任意の所与の反応装置内で5つ以下の異なる触媒そしてより詳細には3つ以下の異なる触媒の使用が、経済的な理由から有利である。10個以下または6個以下の触媒を重合プロセスの反応装置バンク内で配備することが、経済的理由で有利である。反応装置内に配備された1つ以上の触媒は、流体反応媒質内に均一に溶解されてもよく、または反応装置内で不均一固相を形成してもよい。特定の一実施形態においては、1つまたは複数の触媒は流体反応媒質中に均一に溶解させられる。触媒が重合反応装置内に固相として存在する場合、それは担持または未担持であってよい。
本明細書で開示されているプロセスは、重合反応装置セクションの個々の反応装置のうちの1つ以上の中に同時に存在する均一なおよび不均一な触媒系のあらゆる組み合わせを使用してよい。即ち、本発明の重合セクションのいずれの反応装置も1つ以上の均一な触媒系および触媒系の不均一な触媒系を同時に収容していてよい。本明細書で開示されているプロセスは同様に、重合反応装置セクションの中に配備された均一および不均一な触媒系の任意の組み合わせを使用してもよい。これらの組み合わせには、一部のまたは全ての反応装置が単一の触媒を使用するシナリオと一部のまたは全ての反応装置が2つ以上の触媒を使用するシナリオが含まれる。本明細書で開示されているプロセス内に配備される1つ以上の触媒は、粒子上に担持されていてよく、これらの粒子は、流体重合媒質内に分散できまたは静止触媒床内に収容されていてよい。担持触媒粒子が流体反応媒質内に分散させられる場合、これらは、ポリマー生成物の中に残されてもよいし、或いはまた、重合反応装置セクションの下流側にある分離工程内で流体反応装置流出物からのその結晶化に先立ち生成物から分離されてもよい。触媒粒子が回収される場合、これらは廃棄されてもよいし、或いはまた再生した後または再生無しで再循環させてもよい。
触媒は同様に、例えば、まっすぐなまたは曲りくねった流路、反応装置壁および内部チューブを含むモノリスなどの組織された担体の上に担持されていてもよい。触媒が担持されている場合、作動は分散した粒子上で行うことができる。触媒が分散した粒子上に担持されている場合、作動は触媒を回収せずに行われる、即ち触媒はポリマー生成物中に残留する。別の実施形態においては、未担持の触媒を流体反応媒質中に溶解させてよい。
触媒系は、任意の数の方法により、反応装置内に導入されてよい。例えば、モノマー含有原料と共にまたは別々に導入してよい。同様に1つまたは複数の触媒を1つまたは多数のポートを通して反応装置に導入してよい。触媒を導入するために多数のポートが使用される場合には、これらのポートを、反応装置の長さに沿って基本的に同じまたは異なる位置に設置してよい。触媒を導入するために多数のポートが使用される場合、個々のポートを通る触媒原料の組成および量は、同じであっても異なっていてもよい。異なるポートを通る触媒の量およびタイプを調整することにより、例えば分子量分布、組成、組成分布および結晶度などのポリマー特性を調節させることが可能である。
触媒化合物および混合物
本明細書に記述されているプロセスでは、本明細書で開示されている重合条件下で充分活性であるならば本明細書で開示されているモノマーを重合できるいかなる重合触媒でも使用し得る。従って、第3〜10族の遷移金属が適切な重合触媒を形成する。適切なオレフィン重合触媒は、アルケニル不飽和に配位する、またはその他の形でこれと会合することができるはずである。非限定的な例示的重合触媒としては、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒、非メタロセン金属中心ヘテロアリールリガンド触媒化合物(ここで金属は、元素周期表の第4、5、6族、ランタニド系列またはアクチニド系列から選択される)触媒および後期遷移金属触媒が含まれる。
本明細書において触媒系とも呼ばれている活性触媒と触媒前駆体化合物を区別する必要がある。触媒系は、1つ以上の触媒前駆体化合物、1つ以上の触媒活性剤および任意には1つ以上の担体を含む活性触媒である。触媒活性は、触媒前駆体化合物の濃度に基づいて表現されることが多いが、活性触媒が前駆体化合物単独であることを意味するものではない。触媒前駆体は、適切な量の活性剤と接触させらない、またはそれにより処理されない場合は、不活性であるということを理解すべきである。同様にして、触媒活性剤は、それを適切な量の前駆体化合物と組み合わせられない場合は不活性である。以下の記述から明白になるように、一部の活性剤は非常に効果的であり、化学量論的に使用可能であるが、一方その他の一部の活性剤は、触媒前駆体化合物の濃度に基づいて表現される高い触媒活性を達成するべく過剰に、そして時として大幅に過剰に使用される。これらの活性剤の一部、例えばメチルアルミノキサン(MAO)は、触媒前駆体化合物の濃度に基づいて表現される触媒活性を増大させることから、時として重合の専門文献中で「共触媒」と呼ばれている。
インライン配合用成分の1つ以上を製造するために均一超臨界重合条件が用いられる場合、メタロセンベースの触媒およびその他の単一部位均一触媒系などの均一重合触媒が有利であり得る。例えば、超臨界条件下でプロピレンを重合する場合、特に有用なメタロセン触媒および非メタロセン触媒は、本明細書に参照により援用されている特許文献10の段落[0081]〜[0111]および特許文献11の段落[0173]〜[0293]の中で開示されている触媒である。
本明細書で開示されているプロセスは、ポリマーに望まれる特性の調整のために触媒化合物の混合物を利用することができる。所望の物理的または分子特性を改変または選択するため、インライン配合プロセス内で、2つ以上の触媒前駆体化合物から調製した混合型触媒系を利用することができる。例えば、混合型触媒系は、本発明のプロセスと共にまたは本発明のポリマーのために使用された場合、アイソタクチックポリプロピレンの分子量分布を制御することができる。本明細書で開示されているプロセスの一実施形態においては、同時にまたは順次に2つ以上の触媒前駆体化合物を用いて、1つまたは複数の重合反応を実施してもよい。特に、2つの異なる触媒前駆体化合物を同じまたは異なる活性剤を用いて活性化し、同時にまたは異なる時点で重合系の中に導入することができる。これらの系は同様に、任意には混合型触媒系および高レベルのビニル終端ポリマーを用いた長鎖分岐を容易にするためジエン取込みと共に使用することもできる。
本明細書で開示されているように、上述の触媒前駆体化合物のうちの2つ以上を合わせて用いることが可能である。
触媒化合物のための活性剤と活性化方法
本明細書で開示されている触媒前駆体化合物は、本明細書で活性触媒として使用するために活性剤と組み合わされる。
活性剤は、オレフィンなどの不飽和モノマーを金属錯体が重合する速度を増大させる試薬の任意の組み合わせとして定義される。活性剤は、ポリマーの分子量、分岐度、コモノマー含有量またはその他の特性にも影響を及ぼし得る。
A.アルミノキサンおよびアルミニウムアルキル活性剤:
一形態においては、本明細書で開示されているインライン配合プロセス中で活性剤として1つ以上のアルミノキサンが利用される。当該技術分野において時としてアルミノキサンと呼ばれるアルキルアルミノキサンは一般−−Al(R)−−O−−サブユニットを含有するオリゴマー化合物であり、ここでRはアルキル基である。アルミノキサンの例としては、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン(MMAO)、エチルアルミノキサンおよびイソブチルアルミノキサンが含まれる。アルキルアルミノキサンおよび修飾アルキルアルミノキサンは、特に、抽出可能なリガンドがハロゲン化物である場合に、触媒活性剤として適切である。異なるアルミノキサンおよび修飾アルミノキサンの混合物も同様に使用可能である。更なる記述については、全てその全体が本明細書に参照により援用されている特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24、特許文献25、特許文献26、特許文献27、特許文献28、特許文献29、特許文献30、特許文献31を参照のこと。
活性剤がアルミノキサン(修飾または未修飾)である場合、一部の実施形態では触媒化合物全体に対して(金属触媒部位1ヵ所あたり)5000倍のモル余剰Al/Mで最大活性剤量が選択される。活性剤対触媒化合物の最小モル比は典型的に1:1である。
B.イオン化活性剤:
本明細書で開示されている活性剤として、中性またはイオン性イオン化活性剤または化学量論活性剤例えばトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリスパーフルオロフェニルボロン半金属前駆体またはトリスパーフルオロナフチルボロン半金属前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン(特許文献32)、ホウ酸(特許文献33)またはそれらの組み合わせを使用することが考慮されている。本明細書中で使用するために同じく考慮されているのは、単独またはアルミノキサンまたは修飾アルミノキサン活性剤と組み合わせた形での中性またはイオン性活性剤である。
中性化学量論的活性剤の例としては、トリ−置換ボロン、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムまたはそれらの混合物が含まれる。3つの置換基は各々、アルキル類、アルキニル類、ハロゲン、置換アルキル類、アリール類、ハロゲン化アリール類、アルコキシおよびハロゲン化物の中から独立して選択される。3つの基は、ハロゲン、単環式または多環式(ハロ置換を含む)アリール、アルキルおよびアルケニル化合物およびその混合物の中から独立して選択され、好ましいのは、1〜20個の炭素原子を有するアルケニル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基および3〜20個の炭素原子を有するアリール基(置換アリールを含む)である。或いは、3つの基は、1〜4個の炭素基を有するアルキル、フェニル、ナフチルまたはその混合物である。或いは、3つの基は、ハロゲン化、好ましくはフッ素化アリール基である。或いは、中性化学量論的活性剤は、トリスペルフルオロフェニルホウ素またはトリスペルフルオロナフチルホウ素である。
イオン性化学量論的活性剤化合物は、イオン化化合物の残りのイオンと会合されているものの、これに配位されていないかまたはこれに対し緩く(loosely)配位された一部のその他のカチオン、または活性プロトンを含有していてよい。このような化合物などについては、全て全体が本明細書に参照により援用されている特許文献34、特許文献35、特許文献36、特許文献37、特許文献38、特許文献39、特許文献40、特許文献41、特許文献42、特許文献43、特許文献44、特許文献45、特許文献46、および1994年8月3日に出願された特許文献47に記述されている。
C.非イオン化活性剤:
活性剤は、典型的に、イオン化または非イオン化活性剤のいずれかの役割を果たし得る強ルイス酸である。イオン化活性剤として前述した活性剤を、非イオン化活性剤として使用してもよい。
ホルマール中性リガンドの抽出は、ホルマール中性リガンドに対する親和力を表示するルイス酸を用いて達成できる。これらのルイス酸は典型的には、不飽和であるかまたは弱配位されている。非イオン化活性剤の例としては、R10(R11)3が含まれ、ここでR10は第13族元素であり、R11は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、または官能基である。典型的には、R11はアレーンまたはペルフルオロアレーンである。非イオン化活性剤には同様に、低原子価のオレフィン錯体などの弱配位遷移金属化合物も含まれる。
非イオン化活性剤の非限定的な例としては、BMe3、BEt3、B(iBu)3、BPh3、B(C6F5)3、AlMe3、AlEt3、Al(iBu)3、AlPh3、B(C6F5)3、アルミノキサン、CuCl、Ni(1,5−シクロオクタジエン)2が含まれる。
付加的な中性ルイス酸が当該技術分野において公知であり、ホルマール中性リガンドを抽出するために適している。特に非特許文献8を参照のこと。
適切な非イオン化活性剤としては、R10(R11)3が含まれ、ここでR10は、第13族元素であり、R11は水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたは官能基である。典型的には、R11はアレーンまたはペルフルオロアレーンである。
その他の非イオン化活性剤にはB(R12)3が含まれ、ここでR12はアレーンまたはペルフルオロアレーンである。或いは、非イオン化活性剤には、B(C6H5)3およびB(C6F5)3が含まれる。別の非イオン化活性剤はB(C6F5)3である。或いは、活性剤は、パーフルオロアリールボランおよびパーフルオロアリールボレート、例えばPhNMe2H+B(C6F5)4 −、(C6H5)3C+B(C6F5)4 −およびB(C6F5)3に基づいたイオン化および非イオン化活性剤を含む。
本明細書で開示されている触媒化合物と共に使用し得る付加的な活性剤には、その全体が本明細書に参照により援用されている特許文献48に記述されたものが含まれる。
本明細書で開示されているプロセスの中で使用するための付加的な有用な活性剤としては、酸(例えばH2SO4)で処理され、その後、本明細書に参照により援用されている特許文献49および特許文献50に記述されているように金属アルキル(例えばトリエチルアルミニウム)と組み合わされた粘土が含まれる。
活性剤は同様に担体で、多くとも−8.2pkaの酸性部位を有するイオン交換層状ケイ酸塩を含んでいてよく、酸性部位の量は、中性化のために消費された少なくとも0.05mmol/gの2.6−ジメチルピリジンと等価である。非限定的な例としては、化学的に処理されたスメクタイト族ケイ酸塩、酸処理されたスメクタイト族ケイ酸塩が含まれる。イオン交換層状ケイ酸塩の付加的な例としては、非特許文献9に記述されている通りの1:1型構造または2:1型構造を有する層化ケイ酸塩が含まれる。
主構成層として1:1層を含むイオン交換層状ケイ酸塩の例としては、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、メタハロイサイト、ハロイサイトなどのカオリン族ケイ酸塩およびクリソタイル、リザルダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石族ケイ酸塩が含まれる。イオン交換層状ケイ酸塩の付加的な非限定的な例としては、スメクタイト族ケイ酸塩、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ステフェンサイトなど、バーミキュライト族ケイ酸塩、例えばバーミキュライトなど、雲母族ケイ酸塩、例えば雲母、イライト、絹雲母、緑海石など、およびアタパルジャイト、海泡石、パリゴルスカイト、ベントナイト、葉ろう石、滑石、緑泥石類などを含む主構成層としての2:2層を含むイオン交換層状ケイ酸塩が含まれる。粘土は、酸、塩、アルカリ、酸化剤、還元剤またはイオン交換層状ケイ酸塩の層の間にインターカレートできる化合物を含有する処理剤と接触させられる。インターカレーションとは、層状材料の層間にその他の材料を導入することを意味し、導入すべき材料はゲスト化合物と呼ばれる。これらの処理の中でも、酸処理または塩処理が特に有利である。処理された粘土はその後、オレフィンを重合するため、TEALなどの活性剤化合物および触媒化合物と接触され得る。
極性化合物は多くの場合触媒毒として作用する。従って別の形態では、重合系は5重量%未満の極性種または4重量%未満または3重量%未満または2重量%未満または1重量%未満または1000重量ppm未満または750重量ppmまたは500重量ppm未満または250重量ppm未満または100重量ppm未満または50重量ppm未満または10重量ppm未満を含む。極性種には、アルコール、酸素、ケトン、アルデヒド、酸、エステルおよびエーテルなどの酸素含有化合物(アルミノオキサンを除く)が含まれる。
更に別の形態では、重合系は、トリメチルアルミニウムおよび/またはトリエチルアルミニウムを5重量%未満、または4重量%未満または3重量%未満または2重量%未満、または1重量%未満または1000ppm未満、または750重量ppm未満、または500重量ppm未満または250重量ppm未満、または100重量ppm未満、または50重量ppm未満または10重量ppm未満含む。
更にまた別の形態では、重合系は、メチルアルミノキサンを含み、かつトリメチルアルミニウムおよび/またはトリエチルアルミニウムを5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満または1重量%未満、または1000重量ppm未満、または750重量ppm未満、または500重量ppm未満、または250重量ppm未満、または100重量ppm未満、または50重量ppm未満、または10重量ppm未満含む。
本明細書で開示されているプロセスは、1.0モル%超の1−ヘキサンを用いてプロピレン/1−ヘキサンコポリマーを調製するために、細分割された担持触媒を使用してよい。細分割された担体に加えて、本明細書で開示されているインライン配合プロセスは、担体粒径が、反応媒質とのコロイドを形成するのに十分なほど小さい200オングストロームから1500オングストロームまでの範囲内にあるヒュームドシリカ担体を使用してよい。
触媒担体:
別の形態においては、本明細書で開示された流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの触媒組成物は、担体材料または担体を含んでいてよい。例えば、1つ以上の触媒成分および/または1つ以上の活性剤を1つ以上の担体または担体上に被着させるか、それと接触させるか、それと共に気化させるか、それに結合させるか、またはその内部に取込むか、その中またはその上に吸着または吸収させてよい。
担体材料は、従来の担体材料のいずれかであってよい。一形態においては、担持された材料は、多孔質担体材料、例えばタルク、無機酸化物および無機塩化物であってよい。その他の担体材料としては、樹脂性担体材料、例えばポリスチレン、官能化または架橋された有機担体、例えばポリスチレンジビニルベンゼンポリオレフィンまたはポリマー化合物、ゼオライト、粘土、またはその他のあらゆる有機または無機担体材料など、またはその混合物が含まれていてよい。
有用な担体材料は、第2、3、4、5、13または14族金属酸化物を含めた無機酸化物である。一形態においては、担体は、脱水されたヒュームドシリカ、アルミナ(特許文献51)、シリカ−アルミナおよびそれらの混合物を含む。その他の有用な担体には、マグネシア、チタニア、ジルコニア、塩化マグネシウム(特許文献52)、モンモリロナイト(特許文献53)、フィロケイ酸塩、ゼオライト、タルク、粘土(特許文献54)などが含まれる。同様に、これらの担体材料の組み合わせ、例えばシリカ−クロム、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニアなどを使用してもよい。付加的な担体材料としては、本明細書に参照により援用されている特許文献55に記述された多孔質アクリルポリマーが含まれていてよい。その他の担体材料には、全て本明細書に参照により援用されている特許文献56に記述されているようなナノ複合材料、特許文献57に記述されているようなエーロゲル、特許文献58に記述されているようなスフェルライトおよび特許文献59に記述されているようなポリマービーズが含まれる。
例えば無機酸化物といった担体材料は、約10〜約700m2/gの範囲内の表面積約0〜約4.0cc/gの範囲内の気孔体積および約0.02〜約50μmの範囲内の平均粒径を有する。或いは、担体材料の表面積は、約50〜約500m2/gの範囲内にあり、気孔体積は約0〜約3.5cc/gの範囲内にあり、平均粒径は約0.02〜約20μmの範囲内にある。別の形態においては、担体材料の表面積は、約100〜約400m2/g、気孔体積は約0〜約3.0cc/g、平均粒径は約0.02〜約10μmの範囲内にある。
本明細書で記述されているプロセス内の担体として、非多孔質担体を使用することも可能である。例えば、一実施形態においては、特許文献60に記述された非多孔質ヒュームドシリカ担体を使用してよく、これは本明細書に参照により援用されている。
スカベンジャ:
不純物を破壊する化合物は、重合の当業者によりスカベンジャと呼ばれている。不純物は、活性を削減することによって触媒を害する可能性がある。スカベンジャは、任意には本明細書で開示されているインライン配合プロセスの1つまたは複数の反応装置に補給されてよい。触媒活性は、数多くの異なる形で定義づけされてよい。例えば、触媒活性は、ターンオーバー頻度即ち、活性触媒系を調製するにあたって利用される1モルの触媒前駆体により単位時間内で生成物に転化されたモノマーのモル数、として表現できる。同じ滞留時間で作動する所与の反応装置について、触媒活性は、通例活性剤の重量を伴ってまたは伴わずに単位重量の触媒前駆体によって製造されるポリマーの重量として表わされる触媒生産性の形でも測定可能である。
本明細書で開示されているプロセスの中で使用するためのスカベンジャは、触媒活性剤とは異なる1つまたは複数の化学的化合物であってよい。非限定的な例示的スカベンジャとしては、ジエチル亜鉛、およびアルキルアルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびトリオクチルアルミニウムが含まれる。スカベンジャは、触媒活性剤と同じであってもよく、一般に、触媒を完全に活性化するために必要とされるものを超えて適用される。これらのスカベンジャには、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサンが含まれるがこれに限定されるわけではない。スカベンジャは同様に、モノマー原料またはその他の任意の原料流と共に反応装置に導入されてもよい。特定の一実施形態においては、スカベンジャはモノマー含有原料と共に導入される。スカベンジャは、重合反応媒質内に均一に溶解されていてもよいし、または、別の固相を形成してもよい。特定の一実施形態においては、スカベンジャは重合媒質中に溶解される。
重合モノマーおよびコモノマー:
本明細書で開示されているプロセスは、1つ以上の(非共役)脂肪族結合および2つ以上の炭素原子を有するあらゆるモノマーを重合するのに使用してよい。インライン配合プロセスにおいて使用するためのモノマーとしては、エチレン、プロピレン、C4およびより高級α−オレフィン類(非限定的な例としては、ブテン−1、へキセン−1、オクテン−1およびデセン−1が含まれる);置換オレフィン類(非限定的な例としては、スチレン、およびビニルシクロへキセンが含まれる);非共役ジエン類(非限定的な例としては、ビニルシクロへキセン、ジシクロペンタジエンが含まれる);α,ω−ジエン類(非限定的な例としては、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンが含まれる);シクロオレフィン類(非限定的な例としては、シクロペンテン、シクロへキセンが含まれる);およびノルボルネンが含まれる。
本明細書で開示されているプロセスを使用して、C3〜C100のオレフィン、或いはC3〜C60のオレフィン、或いはC3〜C40のオレフィン、或いはC3〜C20のオレフィンおよび或いはC3〜C12のオレフィンを含むあらゆる不飽和の1つまたは複数のモノマーを重合してもよい。本明細書で開示されているプロセスは同じく、C3〜C100の脂肪族オレフィン、或いはC3〜C60のα−オレフィン、或いはC3〜C40のα−オレフィン、或いはC3〜C20のα−オレフィンおよび或いはC3〜C12のα−オレフィンを含む直鎖、分岐または環状α−オレフィンを重合するためにも使用することができる。適切なオレフィンモノマーは、プロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチル−ペンテン−1、3−メチルペンテン−1、3,5,5−トリメチル−へキセン−1および5−エチルノネン−1のうちの1つ以上であってよい。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、本明細書で生産されたポリマーは、立体特異的および非立体特異的触媒のいずれかによって重合可能である1つ以上の直鎖または分岐C3〜C30プロキラルα−オレフィンまたはC5〜C30環含有オレフィンまたはそれらの組み合わせのコポリマーである。本明細書中で用いられるプロキラルという用語は、1つまたは複数の立体特異的触媒を用いて重合された場合に、アイソタクチックまたはシンジオタクチックポリマーの形成に有利に作用するモノマーを意味する。
本明細書で開示されているインライン配合プロセスと共に使用するためのその他のモノマーには、最高30個の炭素原子を含有する芳香族基含有モノマーが含まれていてよい。適切な芳香族含有モノマーは、少なくとも1個、或いは1〜3個の芳香族構造、そして或いはフェニル、インデニル、フルオレニルまたはナフチル部分を含む。芳香族基含有モノマーは更に、重合の後芳香族構造がポリマー主鎖からのペンダントとなるような形で少なくとも1つの重合可能な2重結合を含んでいる。芳香族基含有モノマーは更に、限定的な意味なくC1〜C10アルキル基を含め、1つ以上のヒドロカルビル基で置換され得る。更に、1つの環状構造を形成するため2つの隣接する置換を接合させてもよい。芳香族基含有モノマーは同様に、重合可能なオレフィン部分に付加された少なくとも1つの芳香族構造を含んでいてよい。限定的な意味の無い例示的芳香族モノマーには、スチレン、α−メチルスチレン、パラ−アルキルスチレン類、ビニルトルエン類、ビニルナフタレン、アリルベンゼンおよびインデン、および或いはスチレン、パラメチルスチレン、4−フェニル−1−ブテンおよびアリルベンゼンが含まれる。
非芳香族環状基含有モノマーを本明細書で開示されているプロセス内で使用してもよい。これらのモノマーは、最高30個の炭素原子を含んでいてよい。適切な非芳香族環状基含有モノマーは、環状構造上のペンダント基であるかまたは環状構造の一部である少なくとも1つの重合可能なオレフィン基を有し得る。環状構造は、1つ以上のヒドロカルビル基、例えば限定的な意味なくC1〜C10のアルキル基によって更に置換されてもよい。非限定的な例示的非芳香族環基含有モノマーには、ビニルシクロへキサン、ビニルシクロへキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロブテンおよびビニルアダマンタンが含まれる。
ジオレフィンモノマーを、本明細書で開示されているプロセス中で使用することもできる。これらのジオレフィンモノマーには、少なくとも2つの不飽和結合を有し、ここで不飽和結合のうちの少なくとも2つが1つまたは複数の立体特異的または非立体特異的触媒のいずれかによってポリマー内に容易に取込まれる、あらゆる炭化水素構造、または或いはC4〜C30が含まれる。ジオレフィンモノマーは同様にα,ω−ジエンモノマー(即ちジ−ビニルモノマー)、或いは4〜30個の炭素原子を含有する直鎖ジビニルモノマーの中から選択されてもよい。非限定的なジエン類の例としては、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘンエイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリアコンタジエンが含まれ、特に好ましいジエン類には、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエンおよび低分子量ポリブタジエン類(Mw 1000g/mol未満)が含まれる。非限定的な例示的環状ジエンには、シクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエンまたは様々な環位置で置換基を伴うまたは伴わない高級環含有ジオレフィンが含まれる。
極性不飽和モノマーの非限定的な例としては、6−ニトロ−1−へキセン、N−メチルアリルアミン、N−アリルシクロペンチルアミン、N−アリル−ヘキシルアミン、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、5−ヘキセン−2−オン、2−アセチル−5−ノルボルネン、7−シン メトキシメチル−5−ノルボルネン−2−オン、アクロレイン、2,2−ジメチル−4−ペンテナール、ウンデシレンアルデヒド、2,4−ジメチル−2,6−ヘプタジエナル、アクリル酸、ビニル酢酸、4−ペンテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、6−ヘプテン酸、トランス−2,4−ペンタジエン酸、2,6−ヘプタジエン酸、ノナ−フルオロ−1−へキセン、アリルアルコール、7−オクテン−1,2−ジオール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、シス−5−ノルボルネン−endo−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,2,−ジメタノール、シス−5−ノルボルネン−endo−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2−endo−3−endo−ジメタノール、5−ノルボルネン−2−endo−3−exo−ジメタノール、5−ノルボルネン−2−メタノール、5−ノルボルネン−2−オール、5−ノルボルネン−2−イル酢酸、1−[2−(5−ノルボルネン−2−イル)エチル]−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、2−ベンゾイル−5−ノルボルネン、アリル−1,1,2,2,−テトラフルオロエチルエーテル、アクロレインジメチルアセタール、ブタジエンモノオキシド、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、1,2−エポキシ−5−へキセン、2−メチル−2−ビニルオキシラン、アリルグリシジルエーテル、2,5−ジヒドロフラン、2−シクロペンテン−1−オンエチレンケタール、アリルジスルフィド、エチルアクリレート、メチルアクリレートが含まれる。
経済的な単一パス転化で所望の生成物組成を生成するために、任意の適切な原料組成で重合を実施してもよい。実質的な量の不活性溶媒/希釈剤がモノマーおよび触媒と同時補給された時点で、モノマー濃度は一般により低いものとなる。必要に応じて不活性溶媒/希釈剤を使用してもよいが、溶媒およびモノマー回収−再循環コストが低くなるため、溶媒/希釈剤濃度は低い方が有利であることが多い。一実施形態においては、オレフィン重合は、60wt%未満の不活性溶媒/希釈剤の存在下で実施され、個々の反応装置の組み合わせ原料中で40wt%以上、更には55wt%以上、そして有利には75wt%以上というオレフィン濃度を提供する。
別の実施形態においては、インライン配合物成分を生成する重合は、バルクモノマー相内で、即ち40wt%未満、または30wt%未満、または20wt%未満、または15wt%未満、または10wt%未満、または5wt%未満、または更には1wt%未満の割合で不活性溶媒/希釈剤を含む組み合わせ反応装置原料を用いて実施される。
特定の実施形態においては、エチレン−プロピレンコポリマー配合物成分は、基本的に1〜18wt%のエチレンおよび75〜99wt%のプロピレンを含有する基本的に希釈剤を含まないモノマー原料を用いて製造される。別の実施形態においては、エチレン−プロピレンコポリマー配合物成分は、5〜30wt%のブタン−1またはヘキセン−1および65〜95wt%のプロピレンまたはエチレンを含有する基本的に希釈剤を含まないモノマー原料を用いて生産される。
本明細書で開示されているプロセスは、ホモポリマーまたはコポリマーを生産するために使用できる。コポリマーとは、2、3個またはそれ以上の異なるモノマー単位から合成されるポリマーを意味する。本明細書で開示されているプロセスにより生産されるポリマーには、上述のモノマーのいずれかのホモポリマーまたはコポリマーが含まれる。
本明細書で開示されているプロセスの一実施形態においては、ポリマーは、任意のC3〜C12α−オレフィンのホモポリマー、またはプロピレンのホモポリマーである。別の実施形態においては、ポリマーはプロピレンおよびエチレンを含むコポリマーであり、ここでこのコポリマーは、70重量%未満、または60重量%未満、または40重量%未満、または20重量%未満のエチレンを含む。別の実施形態においては、ポリマーは、以上で列挙されるいずれかのモノマーを1つ以上とプロピレンを含むコポリマーである。別の実施形態においては、コポリマーは、1つ以上のジオレフィンコモノマー、或いは1つ以上のC6〜C40非共役ジオレフィン、或いは1つ以上のC6〜C40α,ω−ジエンを含む。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、1つ以上のポリマー配合物成分は、エチレン、プロピレンまたはその他の高級オレフィン、そして任意にはあらゆる第3のモノマー、典型的には別の高級オレフィン例えばC4〜C20直鎖、分岐または環状モノマーのコポリマーである。別の実施形態においては、ここで生産される1つ以上のポリマー配合物成分は、プロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチル−ペンテン−1、3−メチルペンテン−1および3,5,5−トリメチルへキセン−1のうちの1つ以上とエチレンのコポリマーである。更に別の実施形態においては、ここで生産されている1つ以上のポリマー配合物成分は、エチレン、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチル−ペンテン−1、3−メチル−ペンテン−1、および3,5,5−トリメチル−へキセン−1のうちの1つ以上とプロピレンのコポリマーである。更に別の実施形態においては、ここで生産されている1つ以上のポリマー配合物成分は、C4またはより高級オレフィンとエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチル−ペンテン−1、3−メチル−ペンテン−1および3,5,5−トリメチル−へキセン−1のうちの1つ以上とのコポリマーである。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、記述されているコポリマーは少なくとも50モル%の第1のモノマーおよび最高50モル%のその他のモノマーを含む。別の実施形態においては、ポリマーは、40〜95モル%または50〜90モル%、または60〜80モル%で存在する第1のモノマーと5〜40モル%または10〜60モル%または20〜40モル%で存在するコモノマーそして0〜10モル%または0.5〜5モル%または1〜3モル%で存在する3量体を含む。かかるコポリマー配合成分は、コポリマーを製造する反応装置に対する組み合わせ原料中で1つまたは複数のコモノマーが0.1〜85モル%の間で存在する場合に、直ちに生産可能である。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、第1のモノマーは、プロピレン、ブテン(およびその全ての異性体)、ペンテン(およびその全ての異性体)、ヘキセン(およびその全ての異性体)、ヘプテン(およびその全ての異性体)およびオクテン(およびその全ての異性体)を含めた、任意のC3〜C8直鎖、分岐または環状α−オレフィンのうちの1つ以上を含む。好ましいモノマーには、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン、シクロへキセン、シクロオクテン、ヘキサジエン、シクロヘキサジエンなどが含まれる。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、コモノマーは、(エチレンが存在する場合、それが5モル%以下で存在していることを条件として)エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテンおよびオクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ヘキサデセン、ブタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、ペンタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ドデカジエン、スチレン、3,5,5−トリメチルへキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、シクロペンタジエンおよびシクロへキセンを含めた任意のC2〜C40の直鎖、分岐または環状α−オレフィンのうちの1つ以上を含む。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、3量体は(エチレンが存在する場合、それが5モル%以下で存在していることを条件として)エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテンおよびオクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ヘキサデセン、ブタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、ペンタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ドデカジエン、スチレン、3,5,5−トリメチルへキセン−1、3−メチルペンテン−1、4−メチルペンテン−1、シクロペンタジエンおよびシクロへキセンを含めた任意のC2〜C40の直鎖、分岐または環状α−オレフィンのうちの1つ以上を含む。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、上述のポリマーは更に、組成物の合計重量を基準にして最高10重量%、または0.00001〜1.0重量%、または0.002〜0.5重量%、または0.003〜0.2重量%で1つ以上のジエンを含む。一部の実施形態においては、1つ以上の重合列の組み合わせ原料に対して、500ppm以下、或いは400ppm以下、或いは300ppm以下のジエンが添加される。その他の実施形態においては、少なくとも50ppmのジエン、または100ppm以上、または150ppm以上のジエンが、1つ以上の重合列の組み合わせ原料に対して添加される。更に別の実施形態においては、反応装置に対する組み合わせ原料の濃度は、50wtppm〜10,000wtppmの間である。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、プロセスは、エチレンなどのその他のモノマー単位とのプロピレンコポリマーを生産するために、その他のα−オレフィン、α−オレフィン系ジオレフィンまたは非共役ジオレフィンモノマー、例えばC4〜C20オレフィン類、C4〜C20ジオレフィン類、C4〜C20環式オレフィン類、C8〜C20スチレン系オレフィン類を使用した。例えばスチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ビニルシクロへキサン、ビニルシクロへキセン、アクリレート類および、その他の環式オレフィン類、例えばシクロペンテン、ノルボルネンおよびアルキル置換ノルボルネンを含めたその他のオレフィン性不飽和モノマーなどの、以上で詳細に記述されたもの以外のその他の不飽和モノマーを、本明細書で開示されているプロセスを用いて共重合してもよい。共重合は同様に、現場で生産されたかまたは別の供給源が添加されたα−オレフィンマクロモノマーを取込むこともできる。一部の実施形態では、α−オレフィンマクロモノマーの共重合を2000以下のマー(mer)単位を伴うマクロモノマーに制限している。特許文献61は、多くの有用なコモノマーについて開示している。その開示はコモノマーを「第2のモノマー」と呼んでいる。
本明細書で開示されているプロセスの別の実施形態においては、プロピレンコポリマーが望まれる場合、エチレン、ブタ−1−エン、ヘキサ−1−エン、4−メチルペンタ−1−エン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、C4〜C2000、C4〜C200またはC4〜C40直鎖または分岐、α,ω−ジエン類;C4〜C2000、C4〜C200またはC4〜C40環式オレフィン類;およびC4〜C2000、C4〜C200またはC4〜C40直鎖または分岐α−オレフィン類といったモノマーをプロピレンと共重合させることができる。
その他の主モノマー:
本明細書で開示されている重合プロセスは、超臨界条件でまたは液体としてモノマーを含むこれらのモノマーまたは混合物を用いてブテン−1(Tc=146.5°C;Pc=3.56MPa)、ペンテン−1(Tc=191.8℃;Pc=3.56MPa)、ヘキサ−1−エン(Tc=230.8℃;Pc=3.21MPa)、および3−メチル−ブテン−1(Tc=179.7℃;Pc=3.53MPa)を重合し得る。これらのプロセスは、モノマーとしてブテン−1、ペンテン−1、または3−メチル−ブテン−1のうちの少なくとも1つを利用してよい。これらのプロセスは同様に、ブテン−1、ペンテン−1または3−メチル−ブテン−1を含む反応媒質を利用してよい。これらのプロセスは、50モル%超のブテン−1、ペンテン−1または3−メチル−ブテン−1を含有する重合原料を利用することができ、その濃度は0.1〜85モル%の間で変動できる。当然のことながら、これらの化合物は、互いに、そしてモノマーとしてのプロピレン、バルク反応媒質またはその両方と自由に混合可能である。
重合溶媒/希釈剤
溶媒および/または希釈剤が重合系の中に存在していてよい。本明細書で開示されているインライン配合プロセスのいずれかの個々の重合反応装置に対する原料の中で80重量%以下の濃度で任意の炭化水素、フルオロカーボンまたはフルオロヒドロカーボン不活性溶媒またはそれらの混合物を使用してよい。バルク重合プロセスを利用するいくつかの実施形態における反応装置原料中ひいては重合系中の不活性溶媒の濃度は、40重量%以下、或いは30重量%以下、或いは20重量%以下、或いは10重量%以下、或いは5重量%以下、或いは1重量%以下である。
本明細書で開示されているインライン配合プロセス内で使用するための希釈剤は、C2−C24アルカン例えばエタン、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、混合ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサンなど、単環芳香族例えばトルエンおよびキシレンのうちの1つ以上を含んでいてよい。一部の実施形態においては、希釈剤は、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタンおよびヘキサンのうちの1つ以上を含む。その他の実施形態においては、希釈剤は再循環可能である。
その他の希釈剤としては、C4〜C150イソパラフィン、またはC4〜C100イソパラフィン、またはC4〜C25イソパラフィンまたはC4〜C20イソパラフィンが含まれていてもよい。イソパラフィンとは、パラフィン鎖が各パラフィン鎖の少なくとも一部に沿ってC1〜C10のアルキル分岐を有することを意味する。より詳細には、イソパラフィンは、その分子が少なくとも3つのその他の炭素原子または少なくとも1つの側鎖(即ち1つ以上の第3炭素原子または第4炭素原子を有する分子)に結合された少なくとも1つの炭素原子を有し、かつ有利には1分子あたりの炭素原子の合計数が6〜50の間、別の実施形態においては10〜24の間、そして更に別の実施形態においては10〜15の間の範囲内にある、飽和脂肪族炭化水素である。各炭素数のさまざまな異性体が典型的に存在することになる。イソパラフィンには、一般にイソパラフィンの微量成分として分岐側鎖を伴うシクロパラフィンが含まれていてもよい。これらのイソパラフィンの密度(ASTM4052、15.6/15.6℃)は、0.70〜0.83g/cm3の範囲内であってよく、流動点は−40℃以下、或いは−50℃以下であり、粘度(ASTM445、25℃)は、25℃で0.5〜20cStであり、平均分子量は100〜300g/モルの範囲内にある。一部の適切なイソパラフィンは、商標名ISOPAR(テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company))の下で市販されており、例えば特許文献62、特許文献63および特許文献64に記述されており、イソパラフィンISOPARシリーズとして販売されている。その他の適切なイソパラフィンも同様に、商標名SHELLSOL(シェル(Shell)製)、SOLTROL(シェブロン・フィリップス(Chevron Phillips)製)およびSASOL(サソル社(Sasol Limited))の商標名の下で市販されている。SHELLSOLは、例えばShellsol TM(沸点=215〜260℃)といったロイヤルダッチ(Royal Dutch)/シェル(Shell)企業連合の製品である。SOLTROLは例えばSOLTROL220(沸点=233〜280℃)といったシェブロン・フィリップス・ケミカル社(Chevron Phillips Chemical Co.)LPの製品である。SASOLは、例えばSASOL LPA−210、SASOL−47(沸点=238〜274℃)といったサソル(Sasol)社(南アフリカ、ヨハネスブルグ)の製品である。
本明細書で開示されているインラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの別の実施形態においては、希釈剤は、0.1%未満または0.01%未満の芳香族を有するC4〜C25n−パラフィン、またはC4〜C20n−パラフィンまたはC4〜C15n−パラフィンを含んでいてよい。一部の適切なn−パラフィンは、商標名NORPAR(テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company))の下で市販され、NORPARn−パラフィンシリーズとして販売されている。別の実施形態においては、希釈剤は、ノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびシクロパラフィンの混合物を含む脱芳香族化脂肪族炭化水素を含んでいてよい。典型的には、これらは、C4〜C25のノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびシクロパラフィンまたはC5〜C18またはC5〜C12の混合物である。これらは非常に低レベルの芳香族炭化水素または0.1未満または0.01未満の芳香族を含有する。適切な脱芳香族化脂肪族炭化水素は、商標名EXXSOL(テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company))の下で市販され、EXXSOL脱芳香族化脂肪族炭化水素シリーズとして販売されている。
本明細書で開示されているインラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの別の実施形態においては、希釈剤は、(ASTM D445により測定された)10以上の動粘度を有しかつASTMD−2270により判定された100以上という粘度指数(「VI」)を有する6〜14個の炭素原子または8〜12個の炭素原子または10個の炭素原子を有するC6〜C14オレフィンのオリゴマーおよび/または直鎖オレフィンのオリゴマーを最高20重量%含んでいる。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの別の実施形態においては、希釈剤は、C20〜C1500、或いはC40〜C1000、或いはC50〜C750、或いはC50〜C500のパラフィンのオリゴマーを最高20重量%含む。本明細書で開示されている配合用の流体相インラインプロセスの別の実施形態においては、希釈剤は、1−ペンテン、1−へキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセンおよび1−ドデセンのオリゴマーを最高20重量%含む。かかるオリゴマーは、SHFおよびSuperSyn PAO(テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company))として市販されている。その他の有用なオリゴマーとしては、テキサス州パサディナのシェブロン・フィリップス・ケミカル社(Chevron Phillips Chemical Co.)より入手可能なSynfluid(商標)、英国ロンドンのBPアモコ・ケミカルズ(Amoco Chemicals)より入手可能なDurasyn(商標)、フィンランドのフォータム・オイル・アンド・ガス(Fortum Oil and Gas)より入手可能なNexbas(商標)、米国コネチカット州ミドルバリーのケムチュラ社(Chemtura Corporation)より入手可能なSynton(商標)、米国オハイオ州のコグニス社(Cognis Corporation)より入手可能なEMERY(商標)、という商標名の下で販売されているものが含まれる。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの別の実施形態においては、希釈剤はフッ素化炭化水素を含む。例示的フルオロカーボンには、ペルフルオロカーボン(「1つまたは複数の「PFC」)および/またはヒドロフルオロカーボン(1つまたは複数の「HFC」)が含まれ、これらは集合的に「フッ素化炭化水素」または「フルオロカーボン」(1つまたは複数の「FC」)と呼ばれる。フルオロカーボンは、本質的に少なくとも1つの炭素原子および少なくとも1つのフッ素原子そして任意には1つまたは複数の水素原子からなる化合物として定義づけされる。ペルフルオロカーボンは、本質的に炭素原子およびフッ素原子から成る化合物であり、例えば直鎖、分枝または環式C1〜C40ペルフルオロアルカンを含む。ヒドロフルオロカーボンは、本質的に炭素、フッ素および水素からなる化合物である。FCは、構造式CxHyFzによって表わされるものであり、式中、xは1〜40、或いは1〜30、或いは1〜20、或いは1〜10、或いは1〜6、或いは2〜20、或いは3〜10、或いは3〜6、或いは1〜3の整数であり、yは0以上の整数であり、zは整数そして少なくとも1であり、或いは、yとzは整数そして少なくとも1である。本明細書およびその請求の範囲内で開示されているインライン配合プロセスに関して、ヒドロフルオロカーボンおよびフルオロカーボンという用語は、クロロフルオロカーボンを含まない。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの1実施形態においては、フルオロカーボンの混合物或いは、過フッ素化炭化水素とヒドロフルオロカーボンの混合物或いはヒドロフルオロカーボンの混合物が使用される。更に別の実施形態においては、ヒドロフルオロカーボンは、使用されるHFC内のフッ素原子の数が平衡化されているかまたはされていない。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの別の実施形態においては、フルオロカーボンは、過フッ素化されたC4〜C10アルカンではない。別の実施形態においては、フルオロカーボンは、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、ペルフルオロノナンまたはペルフルオロトルエンではない。別の実施形態においては、フルオロカーボンは、フルオロカーボンおよび反応装置内に存在するあらゆる炭化水素溶媒の重量に基づいて1重量%超、或いは3重量%超、或いは5重量%超、或いは7重量%超、或いは10重量%超、或いは15重量%超で存在する。一部の実施形態においては、フルオロカーボンは、重合反応媒質中に、媒質の体積に基づいて0〜20体積%で存在し、或いはフルオロカーボンは0〜10体積%、或いは0〜5体積%、或いは0〜1体積%で存在する。
重合媒質に関しては、適切な希釈剤および溶媒は、重合温度および圧力でモノマーおよび任意のその他の重合成分中に可溶でありかつこれに対し不活性である溶媒である。
重合反応装置構成:
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの重合プロセスは、下流側配合のためにポリマーを製造する2つ以上の並列反応装置列の中、そして更に有利には2つの並列反応装置列の中で実施されてよい。並列反応装置列には本質的に同じまたは異なる原料を補給してよいが2つ以上の並列反応装置列の間には1つの共通のモノマーが存在しなければならない。並列反応装置列は、本質的に同じまたは異なる反応装置条件で作動させることができる。並列反応装置列は同様に本質的に同じまたは異なるポリマー生成物を生産してもよいが、下流側配合目的のためには、異なるポリマー生成物の生産が有利である。例えば、1つの並列反応装置列は、オレフィンベースのホモポリマーを生産してよく、第2の並列反応装置列は、オレフィンベースのコポリマー(2、3またはそれ以上のコモノマーから生産されたポリマーと呼ばれる)を生産してよく、ここで2つの並列反応装置列の間には1つの共通モノマーが存在する。共重合反応装置列の原料モノマーの数は、組合されたホモおよび共重合並列反応装置列の原料モノマーの数に等しくてよい。
本明細書で開示されているプロセスで多数の並列反応装置列が使用される場合、ポリマー配合物の生産が可能である。特定の一実施形態においては、共通モノマーを伴うホモポリマーおよびコポリマー配合物は、並列構成の少なくとも2つの反応装置列そして有利には2つの並列反応装置列を使用することによって製造される。非限定的な例示的ホモポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリヘキセン、ポリオクテン、ポリデセンおよびポリスチレンが含まれる。一実施形態においては、ホモポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリヘキセン、ポリオクタン、ポリデセンおよびポリスチレンを含む。別の実施形態においては、ホモポリマーはポリエチレンまたはポリプロピレンである。コポリマーは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、スチレン、ノルボルネン、1,5−ヘキサジエン、および1,7−オクタジエンの任意の2成分または3成分組み合わせであってよい。一実施形態においては、コポリマーは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1,オクタン−1、デセン−1、スチレン、ノルボルネン、1,5−ヘキサジエン、および1,7−オクタジエンの2成分組み合わせから製造される。別の実施形態においては、コポリマーは、エチレン−プロピレン、プロピレン−ブテン−1、プロピレン−ヘキセン−1、プロピレン−オクテン−1、プロピレン−デセン−1、エチレン−ブテン−1、エチレン−ヘキセン−1、エチレン−オクテン−1および/またはエチレン−デセン−1コポリマーである。更に別の実施形態においては、コポリマーは、エチレン−プロピレン−ブテン−1、エチレン−プロピレン−ヘキセン−1、エチレン−プロピレン−オクテン−1および/またはエチレン−プロピレン−デセン−1コポリマーである。
先に記述した通り、インライン配合ポリマー成分は、少なくとも2つの並列反応装置列および有利には2つの並列反応装置列から成る反応装置バンク内で生産される。並列反応装置バンクの1反応装置列は、直列構成で構成されてよい1つ以上の反応装置を含んでいてよい。並列バンク内の並列反応装置列または分岐の数は任意の数であってよいが、実用的理由から、一般に10基未満、或いは6基以下の並列反応装置列、或いは5基以下または4基以下の反応装置列、或いは3基以下の並列反応装置列、そして或いは2基以下の並列反応装置列に限定される。並列構成の所与の反応装置列または分岐を構成する直列カスケード反応装置の数は、任意の数であってよいが、実用的理由から、一般には10基以下の直列の反応装置、或いは6基以下の直列の反応装置、或いは3基以下の直列の反応装置そして或いは2基以下の直列反応装置に限定される。
一実施形態においては、並列構成で構成された2基以上の反応装置列由来のポリマー含有流出物は、組み合わされて、個々の反応装置のポリマー生成物を最初に固体形態で回収することなく個々の反応装置のポリマー生成物を含むポリマー配合物を生成する。並列構成を成す2基以上の反応装置列は一般に単一の反応装置を含み、或いは2基以上の直列の反応装置を含む。
別の実施形態においては、並列構成の2つの反応装置列由来のポリマー含有流出物は、個々の反応装置のポリマー生成物が最初に固形状態で回収されずに組み合わされて、個々の反応装置のポリマー生成物を含むポリマー配合物を生成する。並列構成を成す2つの反応装置列は一般に単一の反応装置或いは2つ以上の直列の反応装置を含む。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスのための重合系の反応装置は、撹拌されてもされなくてもよい。反応装置列が2つ以上の反応装置を含む場合、反応装置列の構成部材は必ずしも同じように構築されている必要はなく、例えば反応装置列の個々の構成部材は撹拌されてもよいし、されなくてもよいし、或いはまたそれらを組み合わせてもよい。個々の反応装置はまた、等しいサイズまたは異なるサイズのものであってもよい。同じことが反応装置バンク全体の中の反応装置についても言える。最適な反応装置構成およびサイズは、化学工業技術の当業者にとって公知の標準的な工学技術によって決定してよい。
あらゆるタイプの重合反応装置を、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの中に配備してよい。化学工学の当業者にとって公知の標準的な工学技術により、最適な反応装置設計を決定してよい。非限定的な例示的反応装置設計には、外部ループ、管状反応装置およびループ反応装置を伴うまたは伴わない撹拌型タンクが含まれる。反応装置は、断熱状態で作動してもよいしまたは冷却されてもよい。冷却は、反応装置内部、または反応装置ジャケットを通して達成されてもよいし、或いはまた専用熱交換ループを適用してもよい。
重合プロセスの詳細:
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは、反応装置内で1つまたは2つの流体相を含む流体反応媒質の中で適切な触媒化合物および活性剤と、少なくとも2つの炭素原子を有する1つ以上のオレフィンとを接触させる工程を含むオレフィン重合用プロセスに関係する。一実施形態においては、流体反応媒質は、その超臨界状態にある。触媒化合物および活性剤は、溶液またはスラリーとして、別々に反応装置に送出され、反応装置の直前でインラインに混合されてもよく、または活性化された溶液またはスラリーとして混合され圧送されてもよい。特定の一実施形態においては、2つの溶液がインラインで混合される。並列構成の所与の反応装置列については、重合は、モノマー、コモノマー、1つまたは複数の触媒/活性剤、1つまたは複数のスカベンジャおよび1つまたは複数の任意の不活性溶媒が単一の反応装置に対して連続的に添加される単一反応装置式作動で実施されてもよいし、或いはまた、上述の成分が直列に連結された2つ以上の反応装置に添加される直列反応装置式作動で実施されてもよい。触媒成分は、直列で第1の反応装置に添加されてよい。触媒成分は、直列反応装置列内の各々の反応装置に対して添加されてもよい。新鮮な触媒原料が、直列の列内の2つ以上の反応装置に対し添加される場合、これは、各反応装置に対して同じであっても異なるものであってもよく、その補給速度は同じであっても異なるものであってもよい。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセスの重合プロセスは、同様に、反応装置が重合反応成分と実質的に反応せず、重合反応中に発生する高圧高温に耐えられるものである高圧反応装置をも包含している。これらの高圧および高温に耐えることで、反応装置は流体反応媒質をその超臨界条件に維持することができる。適切な反応容器設計には、超臨界またはその他の高圧エチレン重合反応を維持するのに必要なものが含まれる。非限定的な例示的反応装置としては、オートクレーブ、ポンプアラウンドループまたはオートクレーブ、管状およびオートクレーブ/管状反応装置が含まれる。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセスの重合プロセスは、オートクレーブ(撹拌タンクとも呼ばれる)および管状反応装置の中で効率良く作動し得る。オートクレーブ反応装置は、バッチモードまたは連続モードのいずれでも作動可能であるが、それでも連続モードが有利である。管状反応装置はつねに連続モードで作動する。典型的には、オートクレーブ反応装置は、1:1〜20:1の長さ対直径比を有し、最適な混合のために配置された高速(最高2000RPM)多翼撹拌機およびバッフルを備えている。市販のオートクレーブの圧力は典型的には5MPa超であり、最大は典型的に260MPa未満である。しかしながら、市販のオートクレーブの最大圧力は、機械式および材料科学技術の進歩に伴って高くなる可能性がある。
オートクレーブの長さ対直径比(例えば4未満)が低い場合、原料流は、反応装置の長さに沿った1つの位置で注入され得る。大きい直径をもつ反応装置は、反応装置の長さに沿ったほぼ同じまたは異なる位置に多数の注入ポートを有し得る。注入ポートが反応装置の同じ長さのところに配置されている場合、反応装置の内容物と原料成分を互いにより速く混合できるようにするように注入ポートを半径方向に分布させる。撹拌タンク反応装置の場合には、反応装置の撹拌されたゾーンと混合点の間の未撹拌原料ゾーンの中にホットスポットが形成する可能性を防ぐ上で、1つまたは複数の触媒およびモノマーを別々に導入するのが有利であり得る。反応装置の長さに沿った2つ以上の位置における注入も同様に可能であり、有利であり得る。1つの例示的実施形態においては、長さ対直径比が4〜20である反応装置においては、反応装置は、一部の長さ位置または各長さ位置に多数のポートがある状態で、反応装置の長さに沿って最高6個の異なる注入位置を含んでいてよい。
更に、より大型のオートクレーブ内では、1つ以上の側方混合用デバイスが高速撹拌機を支援していてよい。これらの混合デバイスは同様にオートクレーブを2つ以上のゾーンに分割することもできる。撹拌機上の混合用ブレードは、別々のゾーン内で概して独立した形で異なる度合の栓流および逆混合を可能にするため、ゾーン間で異なるものであってよい。1つ以上のゾーンを有する2つ以上のオートクレーブが、直列反応装置カスケードの形で連結して、ポリマー配合成分を生産する反応装置列内での滞留時間を延長させるかまたはポリマー構造を調整することができる。前述の通り、直列反応装置カスケードつまり構成は、直列に連結された2つ以上の反応装置から成り、ここで少なくとも1つの上流側反応装置の流出物はこのカスケード内の下流側の次の反応装置へと補給される。1つまたは複数の上流側反応装置の流出物を除いて、反応装置列の直列反応装置カスケード内のあらゆる反応装置の原料は、付加的なモノマー、触媒または不活性溶媒の新鮮なまたは再循環された原料流のあらゆる組み合わせによって増加させることができる。従って、本明細書で開示されているプロセスの反応装置列から出るポリマー配合成分はそれ自体、増大した分子量および/または組成分布をもつ同じポリマーの配合物更には、単独およびコポリマーの配合物であってよい、ということを理解すべきである。
管状反応装置そしてより詳細には最高約350MPaで作動することのできる管状反応装置を本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセス内で使用してもよい。管状反応装置には、外部冷却および(管状)反応ゾーンに沿って1つ以上の注入点が備わっている。オートクレーブの場合と同様に、これらの注入点は、(プロピレンなどの)モノマー、1つ以上のコモノマー、触媒またはそれらの混合物のための進入点として役立つ。管状反応装置内では、外部冷却が、低い表面対体積比により有意な熱除去が妨げられているオートクレーブに比べて高いモノマー転化率を可能にしていることが多い。管状反応装置は、管に沿って後向きに圧力衝撃波を送ることのできる特殊な出口バルブを有している。衝撃波は、作動中反応装置の壁上に形成するあらゆるポリマー残渣を除去するのを助ける。或いは、壁被着物に対処するため、平滑な研磨されていない内部表面を伴った形で管状反応装置を製造することもできる。管状反応装置は一般に最高360MPaの圧力で作動してよく、100〜2000メートルまたは100〜4000メートルの長さを有していてよく、かつ12.5cm未満の内径を有していてよい。典型的には、管状反応装置は、10:1〜50,000:1の長さ対直径比を有し、その長さに沿って最高10カ所の異なる注入位置を含む。
オートクレーブと管状反応装置を対にする反応装置列もまた、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセスの範囲内で企図されている。この反応装置システムにおいては、オートクレーブは典型的に管状反応装置に先行しており、または、2つのタイプの反応装置は、並列の反応装置構成の別々の列を形成する。このような反応装置システムは、付加的な触媒および/または原料成分の注入をオートクレーブ内、そしてより詳細には管の長さに沿った複数の点において有していてよい。オートクレーブおよび管状反応装置の両方において、注入時点で、原料は典型的に周囲温度近くまたはそれより低い温度まで冷却されて、最高作動温度の限度内で最大の冷却ひいては最大のポリマー生産を提供する。オートクレーブの作動においては、起動時に予熱器が作動するが、第1の混合ゾーンがいくつかの逆混合特性を有する場合、反応が定常状態に達した後は、予熱器は作動しなくてよい。管状反応装置内では、2重被覆管類の第1の区分は、冷却されるよりもむしろ加熱され得(特に起動時)、連続的に作動してよい。正しく設計された管状反応装置は、栓流を特徴とし、ここで栓流とは、半径方向の流速差が最小であるフローパターンを意味する。マルチゾーンオートクレーブと管状反応装置の両方において、触媒は入口のみならず任意には反応装置に沿って1つ以上の点で注入可能である。入口およびその他の注入点で注入された触媒原料は、含有量、密度および濃度に関して同じかまたは異なるものであり得る。触媒原料の選択により、所与の反応装置または反応装置列内部でのポリマー設計を調整することおよび/または反応装置の長さに沿って所望の生産性プロファイルを維持することが可能となる。
反応装置出口弁において、圧力は降下して、ポリマーおよび未反応のモノマー、コモノマー、不活性溶媒および不活性物質例えばエタン、プロパン、ヘキサンおよびトルエンの分離を開始する。より詳細には、反応装置出口弁において、圧力は、下流側分離容器内にポリマー富有相およびポリマー希薄相を許容する臨界相分離よりも低いレベルまで低下する。典型的には、条件は、ポリマー生成物の結晶化温度より上にとどまる。オートクレーブまたは管状反応装置の流出物は、下流側高圧分離器(HPSまたは分離器、分離器容器、分離容器、分離器/配合機容器、または分離器−配合容器とも呼ばれる)内に進入した時点で減圧されてよい。
以下で詳細に記述するように、分離容器内の温度は、固体−流体相分離温度より上に維持されるが、圧力は臨界点より低いものであってよい。圧力は、モノマーが標準冷却水との接触時点で凝縮しうるよう十分に高いものであることだけが求められる。その後液体再循環流を、ポリエチレン単位に必要とされるハイパー圧縮器に代って液体圧送システムを伴う反応装置まで再循環させることができる。分離器内の比較的低い圧力は、液体ポリマー相内のモノマー濃度を低下させ、その結果、重合速度を低くする。重合速度は、触媒毒または「キラー」を添加することなくシステムを作動させるために十分低いものであってよい。触媒キラーが(例えば高圧再循環における反応を防ぐために)必要とされる場合には、例えば、固定床吸着剤を使用することによってかまたはアルミニウムアルキルでのスカベンジングによって、再循環されたポリマー富有モノマー流からあらゆる潜在的触媒毒を除去するように想定しなければならない。
一変形実施形態においては、HPSは、モノマーまたはモノマー配合物の臨界圧力より上で、ただし高密度流体−流体2相領域の内部で作動させられてよく、このことは、ポリマーを改造された高圧ポリエチレン(HPPE)プラントで生産しなければならない場合に有利であり得る。再循環されたHPSオーバヘッドは、二次圧縮器の吸込みに戻される前に冷却され脱ろうされるが、これはHPPEプラントの作動に典型的なものである。この中圧または高圧容器からのポリマーは、このとき別の減圧工程を通って低圧分離器まで移行する。この容器の温度は、この容器からのポリマーが液体として直接押出し機または静的ミキサーへと補給され得るような形で、ポリマー融点より高く維持される。この容器内の圧力は、以上で言及された凝縮器および圧送システムまで未反応モノマーなどを回収するために圧縮器を使用することによって、低く保たれる。
オートクレーブ反応装置、管状反応装置またはこれらの反応装置の組み合わせに加えて、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセスにおいて、ループ型反応装置を利用してもよい。この反応装置タイプにおいては、インラインポンプが連続的に中味(反応液体)を循環させている間に、ループに沿った、異なる点で連続して、モノマーが進入し、ポリマーが出る。原料/生成物取出し速度は、合計平均滞留時間を制御する。冷却用ジャケットがループから反応熱を除去する。典型的に原料入口温度は、ポリマー生成物の結晶化温度より高い温度で作動する反応装置内で発熱反応に冷却を提供するため周囲温度に近いかまたはそれよりも低いものである。ループ反応装置は41〜61cmの直径および100〜200メートルの長さを有することができ、25〜30MPaの圧力で作動してよい。更に、インラインポンプは、ループ反応装置を通して重合系を連続的に循環させ得る。
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合プロセスの重合プロセスは、0.5秒といった短時間から数時間に及ぶが、或いは1秒〜120分、或いは1秒から60分、或いは5秒から30分、或いは30秒から30分、或いは1分から60分そして或いは1分〜30分の反応装置内の滞留時間を有していてよい。より詳細には、滞留時間を10秒、または30秒、または45秒、または50秒、または1分、または5分、または10分、または15分、または20分、または25分、または30分、または60分、または120分の中から選択してよい。最大滞留時間は、1分、または5分、または10分、または15分、または30分、または45分、または60分、または120分の中から選択されてよい。
モノマー−ポリマー転化率(転化率とも呼ばれる)は、反応時間中に収集されるポリマーの合計数量を反応に添加されたモノマー量で除することによって計算される。転化率が低いと粘度を限定する上で有利であるかもしれないが、モノマーサイクルのコストは増大する。かくして最適な合計モノマー転化率は、反応装置の設計、生成物範囲、プロセス構成などにより左右され、標準的工学技術によって判定可能である。本明細書で開示されている配合のための流体相インラインプロセスの任意の個々の反応装置を通る単一パスの間の合計モノマー転化率は、最高90%、または80%未満、または60%未満、または3〜80%、または5〜80%、または10〜80%、または15〜80%、または20〜80%、または25〜60%、または3〜60%、または5〜60%、または10〜60%、または15〜60%、または20〜60%、または10〜50%、または5〜40%、または10〜40%、または40〜50%、または15〜40%、または20〜40%、または30〜40%、または5%超、または10%超であってよい。一実施形態においては、生成物がアイソタクチックポリプロピレンであり、ポリプロピレンの長鎖分岐(LCB)が望まれる場合(GPC−3Dに基づきアイソタクチックポリプロピレン規格を用いてg’≦0.97)、単一パス転化率は30%超、或いは40%超であってよい。別の実施形態においては、基本的にLCBを含まないアイソタクチックポリプロピレンが所望される場合(0.97<g’<1.05)、単一パス転化率は30%以下であってよく、或いは単一パス転化率は25%以下であってよい。モノマー分離および再循環のコストを限定するため、単一パス転化率は3%超、または5%超、または10%超であってよい。上述の例示的転化率値が合計モノマー転化率、即ち全てのモノマーの組み合わされた転化速度を合計モノマー補給速度で除することによって得られた転化率を反映するということを理解すべきである。モノマー配合物が使用される場合、より反応性の高い1つまたは複数のモノマー成分の転化率はつねにより反応性の低い1つまたは複数のモノマーの転化率より高くなる。従って、より反応性の高い1つまたは複数のモノマー成分の転化率は、以上で示された合計転化率値より実質的に高いものであり得、基本的に完全に100%に近くなる可能性がある。
生成物の分離および下流側処理:
本明細書で開示されているプロセスの反応装置流出物は、曇り点圧力よりも著しく低い圧力まで減圧される。これにより、更なる精製のためのポリマー富有相と、任意の分離および1つまたは複数の反応装置に戻る再循環圧縮のためのモノマー富有相の分離が可能になる。反応装置流出物は任意には、分離器および付随する減圧ラインの汚染をひき起こす固体ポリマー相の分離を回避するため、減圧前に加熱されてよい。本明細書で開示されているプロセスにおけるポリマー富有相とモノマー富有相の分離は、高圧分離器(HPS、分離器、分離器容器または分離容器とも呼ばれる)として公知の容器内で実施される。並列反応装置バンクの全ての反応装置列のポリマー含有生成物流の混合点の後に位置する高圧分離器は同様に、本明細書で開示されているインライン配合プロセスのポリマー配合物を含むモノマー富有相をポリマー富有相から分離すると同時に前記ポリマー含有生成物流を配合するというその2重の機能を認めて、分離器−配合機、分離器−配合機容器または分離−配合容器とも呼ばれる。
ポリマー富化流を下流側分離器−配合機に送る前に単一の反応装置列(ホモ重合反応装置列)の流出物から1つまたは複数のモノマーおよび1つまたは複数の任意の溶媒を部分的に回収するために、1つ以上の直列の単一流高圧分離器が利用される。次に、高圧分離器の上部から出現するモノマー富有相を、1つ以上の冷却塔の必要性なく、ホモ重合反応装置列へと直接再循環させてよい。下流側分離器−配合機は、1つ以上の未還元反応装置列流出物(共重合反応装置列由来のもの)と1つ以上のポリマー富化流を配合してモノマー富有相とポリマー富有相を生成し、後者はポリマー配合物を含む。一形態においては、このとき、1つ以上の冷却塔の必要性なく、モノマー富有相を直接共重合反応装置列に再循環し戻してよい。別の形態では、再循環の前にモノマーから溶媒、オリゴマーおよびその他の重質分を分離する必要性がある場合、モノマー富有相は1つの冷却分離塔に通過させてよい。別の実施形態においては、分離器−配合機の上流側に配置された単一流高圧分離器は、ポリマー富化相の流体レベルが分離器−バッファ容器内で変動できるようにすることによって、バッファ容器(分離器−バッファ容器)としても作動する。かかるバッファリングは、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの個々の並列反応装置列内の生産速度の瞬間的変動を補償することにより、配合物比のより精確な制御を可能にする。
このとき分離器−配合機のポリマー富有相を、仕上げ用押出し機または任意の静的ミキサーの中に入る低揮発性物質含有率のポリマー溶融体を生産する目的で、軽質成分、反応物質およびそのオリゴマーの単純なフラッシュのため大気圧のすぐ上の圧力で動作する1つ以上の低圧分離器(低圧分離容器とも呼ばれるLPS)まで任意に移送してよい。1つ以上の低圧分離器は、一般に高圧分離器に比べて低い圧力で作動するという点で、1つ以上の高圧分離器と区別される。1つ以上の低圧分離器も同様に、分離器−配合機を含む1つ以上の高圧分離器の下流側に位置設定される。その上、1つ以上の低圧分離器は、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスのポリマー配合物を含む重質成分から軽質成分を分離するように機能してよく、一方、1つ以上の高圧分離器は、低圧分離器の上流側で重質成分から軽質成分を(即ち、ポリマー富有相からモノマー富有相を)分離するために機能してよく、かつ2つ以上の並列反応装置列からポリマー富有相を配合するように機能するかまたはバッファとして機能してもよい。先に述べた通り、高圧分離器は、本明細書において代替的にHPS、分離器、分離器容器、分離容器、分離器−配合機容器または分離−配合容器までは分離器−配合機と呼ばれることがある。低圧分離器および高圧分離器に関連した「圧力」という用語の使用は、これらの分離器が作動する絶対圧力レベルを識別するように意図されておらず、これらの分離器が作動する圧力の相対的差異を示すように意図されているにすぎない。一般に、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスの中で下流側に配置された分離器は、上流側に配置された分離器に比べて低い圧力で作動する。
超臨界プロピレン重合のための本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは、反応装置内の単一相領域内で撹拌しながら40〜200MPaおよび95〜180℃で実施されてよい(図22参照)。1つ以上の反応装置列(典型的にはホモ重合反応装置列)由来の生成物混合物は、高圧分離器内に放出されてよく、ここで圧力は25MPa以下のレベルまで下降させられ、この場合、モノマーはまだ蒸発分離されていないものの混合物はその曇り点より低い(ここでも図22を参照のこと)。このような条件の下では、非特許文献10および非特許文献11から予測されるように、モノマー富有相は、約0.1wt%未満の低分子量ポリマーを含み、約0.3〜0.6g/mLの密度を有することになる(図23参照)。ポリマー富有相は、約0.5〜0.8g/mLの密度を有するものと予測されると考えられる。
圧力が約6MPa/秒以上の十分速い速度で降下させられると仮定すると、相は急速に分離し、モノマー富有相を気相に戻すという問題を発生させずに、液体としてのモノマー富有相の再循環が可能になる。当業者であればわかるように、こうしてエネルギー集約的な圧縮および凝縮工程は不要となる。
このとき、ポリマー富有相を、共重合反応装置列由来の反応装置流出物との配合のため下流側分離器−配合機に送ってよい。分離器−配合機は、ポリマー富有配合物相からモノマー富有相を分離する。ポリマー富有配合物相を次に、直列の1つ以上の分離器に送ってもよいし、または対になった液化装置に送ってもよい。適切な液化装置は、例えばノースキャロライナ州シャルロットのLIST USA社から入手できる。液化は、残留揮発性物質を最終的ポリマーから分離する分離プロセスであり、これにより水蒸気蒸留は不要となる。低真空下で作業すると、ポリマー溶液は、液化装置内にフラッシュし、ユニットから出て、その後、ペレット化などの更なる加工のためにひき続き移送される。
生成物の必要条件および生成物中の低分子量ポリマー画分の定常状態濃度に応じて、再循環させるべきモノマー富有相中に存在するあらゆる低いまたは非常に低い分子量のポリマーを、反応装置システム内の標準的ハードウェアである「ノックアウト」ポットを通して任意に除去するか、戻り流中に残留させてよい。
溶液反応装置プロセスにおいては、当業者により利用されるこの実践方法は、典型的に、モノマーと溶媒をフラッシュすることまたは高温曇り点に達することによって分離をもたらす。
別の形態では、ポリマー/モノマー混合物を重量測定式分離容器に輸送して、曇り点より低い条件で重合が行われるが、この分離器ではポリマー富有相とモノマー富有相の相分離が増強されるため、所望の場合には圧力を更に低下させることができる。本明細書で記述されている形態のいずれにおいても、モノマー例えばプロピレンは、比較的高密度の液体様の(超臨界またはバルク液体)状態にとどまりながら再循環される。ここでも、また、再循環流からの低分子量のポリマーの除去を助けるために1つ以上のノックアウトポットを利用してよい。
ここでわかるように、反応装置についておよび重力(低臨界溶液温度(LCST))分離器について考えられる最適な作動レジームが存在する。ここで図24を参照すると、単一液相レジームで作動する反応装置について、作業のための考えられる領域は、LCSTおよび蒸気圧(VP)曲線のすぐ上である。作業のための(陰影付き卵形内部に示された)最適領域は、低臨界エンドポイント(LCEP)のすぐ上の温度およびLCST曲線よりもわずかに上の圧力で発生する。
ここで図25を参照すると、2相流体−流体レジーム内部で作動する反応装置については、作業のための考えられる領域は、基本的にLCST曲線より下のあらゆるところで発生する。(ここでもまた陰影のついた卵形の内部に示された)最適な領域は、LCSTのすぐ下でVP曲線より上に発生するが、ここで分かるように、所望の生成物の最終的特性などの数多くの因子が、実際に最適であるものに関係している可能性がある。当業者であれば認識するように、2相液体−液体レジームは、ポリプロピレンを改造されたHPPEプラントで生産すべきである場合に経済的に有利な方法である。
ここで図26を参照すると、重合が曇り点より低い条件で行われポリマー/モノマー混合物が重量測定式LCST分離器へ輸送される場合については、考えられる作動領域はLCST曲線より下でVP曲線より上のあらゆる場所である。最適な領域(ここでも、陰影のついた卵形の内部に示されている)は、図示されている通り、スピノーダルより下にあるものの圧力が過度に低くない部分の内部で発生する。このレジームでの作動により、エネルギーの使用が確実に最適化される。同様に、すぐれた重力沈降性能を得るためにLCSTとスピノーダル曲線の間の領域内での作動を回避することも望まれる。その上、分離が十分に高い温度で行われ、かくしてポリマー富有相内で結晶化が発生しないようにすることが望ましい。これには、分離器内の混合物の温度が、1つまたは複数の反応装置内の温度よりも高くなることが求められる。
有利には、従来のポリエチレン単位に必要とされるハイパー圧縮器の代りに液体圧送システムを用いて液体モノマー富有相再循環流を反応装置まで再循環させることができる。
触媒奪活:
本明細書で開示されているプロセスおよび分離器容器内の比較的低い圧力の使用により、液体ポリマー富有相内のモノマー濃度は大幅に減少され、このことが今度は、はるかに低い重合速度という結果をもたらす。この重合速度は、触媒毒または「キラー」を添加することなくこの系を作動させるのに十分なほど低いものであってよい。いかなる奪活化合物も添加されない場合には、キラー除去工程を省略してもよい。
触媒キラーが必要とされる場合には、再循環されたモノマー富有流から(例えば固定床吸着剤の使用によってかまたはアルミニウムアルキルでのスカベンジングによって)あらゆる潜在的触媒毒を除去することを想定しなければならない。触媒活性は、極性種を添加することによって奪活され得る。非限定的な例示的な触媒奪活剤としては、水、アルコール(例えばメタノールおよびエタノール)、ステアリン酸ナトリウム/カルシウム、COおよびそれらの組み合わせが含まれる。奪活剤の選択および数量は、再循環プロピレンおよびコモノマーの浄化についての必要条件並びに、奪活剤が低い揮発性を有する場合には生成物の特性によって左右される。触媒奪活剤は、減圧バルブの後、ただしHPSの前に反応装置流出物流の中に導入してよい。奪活剤の選択および数量は、再循環プロピレンおよびコモノマーの浄化についての必要条件並びに奪活剤が低い揮発性を有する場合には生成物の特性、によって左右されてよい。
ポリマー配合成分:
本明細書で開示されているプロセスにより生産されるポリマーは、限定的な意味なくブロック、直鎖、ラジアル、星形、分岐およびそれらの組み合わせを含めた数多くの構造型であってよい。
一部の形態は、独自の微細構造をもつポリプロピレンおよびポリプロピレンコポリマーを生産する。本明細書で開示されているプロセスは、新規のアイソタクチック、アタクチック、およびシンジオタクチック組成物が製造されるような形で実践可能である。その他の形態においては、結晶性ポリマーが製造される。
本明細書で開示されているプロセスは、40〜165℃の融点および2,000〜1,000,000、10,000〜1,000,000、15,000〜500,000、25,000〜250,000または35,000〜150,000の重量平均分子量を有するプロピレンポリマーを生産する。
本明細書で開示されているプロセスは、1〜30J/g、2〜20J/gまたは3〜10J/gの融解熱ΔHfを有するポリマーを生産する。別の形態では、本明細書で開示されているプロセスは、最高110J/g、或いは50〜110J/g、或いは70〜110J/gのΔHfを有するポリマーを生産する。
結果としてのポリマーの分子量を増大させ、長鎖分岐を生成するため、コモノマーとしてジエンを使用することができる。塩化ビニルをコモノマーとして使用して、ポリマー内のビニル終端度を増大させることができる。
本明細書で開示されているプロセスにより、長鎖分岐ポリプロピレンを生産することができる。長鎖分岐は、付加的なα,ω−ジエンが使用されるかまたはビニルノルボルネンといったその他のジエンが使用されるかには関わらず、本明細書で開示されているプロセスを用いて達成可能である。一形態においては、反応装置バンクのあらゆる重合列に対する組み合わせ原料の中で、0.5wt%未満のジエンが使用される。或いは、0.4wt%未満、または0.3wt%、または0.2wt%、または1000wtppm、または500wtppmまたは200wtppm、または100wtppm未満が使用される。
一部の形態では、本明細書で開示されているプロセスには、コモノマーとしてのα,ω−ジエンおよび前記使用の結果得られるオレフィン/α,ω−ジエンコポリマーを使用することが関与する。更に、本明細書で開示されているプロセスには、プロピレンおよびエチレンとα,ω−ジエンとの共重合を含むオレフィンモノマーの共重合反応、そして製造されたコポリマーが関与する。これらのコポリマーは、例えばフィルム、繊維、例えばスパンボンド繊維およびメルトブローン繊維、布例えば不織布および成形品を含めたさまざまな物品の中で利用可能である。より詳細には、これらの物品には例えば、キャストフィルム、延伸フィルム、射出成形品、ブロー成形品、発泡物品、フォームバック、および熱成形品が含まれる。
直鎖α,ω−ジエンが開示されているものの、その他のジエンも同様に、本明細書で開示されているプロセスを用いてポリマーを製造するのに利用することができるということに留意されたい。これらには、分岐、置換α,ω−ジエン、例えば2−メチル−1,9−デカジエン;環状ジエン例えばビニルノルボルネン;または芳香族タイプ例えばジビニルベンゼンが含まれる。
その他の形態としては、98〜99.999重量%のオレフィン単位および0.001〜2.000重量%のα,ω−ジエン単位を有するコポリマーが含まれる。コポリマー形態は、50,000〜2,000,000の重量平均分子量、50℃〜140℃の結晶化温度および0.1g/10分〜1500g/10分の溶融流量(MFR)を有していてよい。これらの形態は、本質的に高い結晶化温度を示し、従って、核剤を外部的に添加する必要はない。
その他の形態においては、コポリマーは90〜99.999重量%のプロピレン単位、0.000〜8重量%のプロピレン単位以外のオレフィン単位、そして0.001〜2重量%のα,ω−ジエン単位を含む。コポリマー形態は、20,000〜2,000,000の重量平均分子量、115℃〜135℃の結晶化温度(外部核剤の添加無し)、0.1g/10分〜100g/10分のMFRを有していてよい。随伴するオレフィンは、C2〜C20α−オレフィン、ジオレフィン(1つの内部オレフィンを伴う)およびその混合物のうちのいずれかであってよい。より詳細には、オレフィンにはエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、へキセン−1、ヘプテン−1、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−へキセン、5−メチル−1−へキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセンおよび1−ドデセンが含まれる。
超臨界条件下で製造されたアイソタクチックポリプロピレンのコポリマーには、ブテン−1、3−メチレンペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、およびオクテン−1といったC4〜C12コモノマーおよびエチレンが含まれる。本明細書で開示されているインライン配合プロセスは、溶媒を使用せずに、または低溶媒温度をもつ環境内でこれらのコポリマーを調製することができる。
生産されたプロピレンポリマーは典型的には、0〜60重量%のコモノマー、または1〜50重量%、または2〜40重量%、または4〜30重量%または5〜25重量%、または5〜20重量%のコモノマーを含み、次のもののうちの1つ以上を有する:
1. 30J/g以上、または50J/g以上、または60以上、または70以上、または80以上、または90以上、または95以上、または100以上または105以上の融解熱ΔHf、または30J/g以下または20J/gまたは0のΔHf;
2. 20,000以上、または30,000〜1,000,000または50,000〜500,000、または50,000〜400,000の重量平均分子量(GPC DRIにより測定されるもの);
3. 0.1g/10分以上、または0.5g/10分以上または1.0g/10分以上、または0.1〜10,000g/10分の溶融流量;
4. 55℃以上、または75℃以上、または100℃以上、または125℃以上、または150℃以上、145〜165℃の間の溶融ピーク温度;
5. 約1.5〜20、または約1.5〜10または1.8〜4のMw/Mn(GPC DRIにより測定されるもの)。
別の形態においては、本明細書で開示されているプロセスによって生産されたポリマーは、一部の形態(例えばパッケージングおよび接着剤)についてはブルックフィールド粘度計上で測定されて180℃で10,000センチポイズ未満、または1000〜3000cpの間、またはその他の利用分野のためには5000〜10,000cpの間の溶融粘度を有する。
ポリマー配合物およびポリマー添加剤:
本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスにより、数多くの異なるタイプのポリマー配合物を製造することができる。配合物の主画分は、配合物の50重量%以上として定義される。配合物の副画分は、配合物の50重量%未満として定義される。本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスは、
N(P1+P2)=N(P2)およびN(P2)≧N(P1)
[式中、N(P1+P2)はP1およびP2ポリマー群の組み合わせモノマープール内のモノマーの数であり、N(P1)およびN(P2)はそれぞれポリマーの第1(P1)および第2(P2)の群の中のモノマーの数である]という条件が満たされているP1およびP2の2つの群にポリマーを分割できるオレフィンベースのポリマー配合物を生産するために有利である。
一部の形態においては、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスによって生産されるポリマー配合物には、非限定的に1つまたは複数の熱可塑性ポリマーおよび/または1つまたは複数のエラストマーを含めた2つ以上のポリマーが含まれる。別の有利な形態においては、本明細書で開示されている流体相インラインポリマー配合と共に使用するためのモノマー再循環プロセスにより生産されるポリマー配合物には2つのポリマー(1つの並列反応装置列内で生産されるホモポリマーおよび第2の並列反応装置列内で生産されるコポリマー)が含まれ、ここでこのホモポリマーおよびコポリマーは共通のモノマーを有し、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーおよび/または1つまたは複数のエラストマーである。
「1つまたは複数の熱可塑性ポリマー」は、熱により溶融されその後特性の顕著な変化なく冷却することのできるポリマーである。熱可塑性ポリマーには典型的にはポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリアセタール類、ポリラクトン類、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂類、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スチレン・アクリロニトリル樹脂類、スチレン・無水マレイン酸、ポリイミド類、芳香族ポリケトン類またはそのうちの2つ以上の混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。ポリオレフィンには、1つ以上の直鎖、分岐または環状C2〜C40オレフィンを含むポリマー、1つ以上のC2またはC4〜C40オレフィン、C3〜C20α−オレフィン、またはC3〜C10α−オレフィンで共重合されたプロピレンを含むポリマーが含まれるが、これらに限定されるわけではない。同様にポリオレフィンには、C3〜C40オレフィン、C3〜C20α−オレフィン、プロピレンおよび/またはブテンと共重合されたエチレンを限定的な意味なく、含むエチレンを含むポリマーが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
「エラストマー」は、ASTM D1566の中で定義されているものを含めた全ての天然および合成ゴムを包含する。有用なエラストマーの例としては、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、スチレン系ブロックコポリマーゴム類(SI、SIS、SB、SBS、SEBSなどを含む、ここでS=スチレン、I=イソブチレンおよびB=ブタジエン)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、イソブチレンとパラ−アルキルスチレンのコポリマー、イソブチレンとパラ−アルキルスチレンのハロゲン化コポリマー、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエンとアクリロニトリルとのコポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩素化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩素化イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(シスおよびトランスの両方)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
別の形態においては、本明細書中で生産されたポリマー配合物は、アイソタクチックポリプロピレン、高アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレンおよび/またはブテンおよび/またはヘキセンのランダムコポリマー、ポリブテン、エチレン酢酸ビニル、低密度ポリエチレン(密度0.915g/cm3から0.935g/cm3未満)、直鎖低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン(密度0.86g/cm3から0.90g/cm3未満)、超低密度ポリエチレン(密度0.90g/cm3から0.915g/cm3未満)、中密度ポリエチレン(密度0.935g/cm3から0.945g/cm3未満)、高密度ポリエチレン(密度0.945g/cm3から0.98g/cm3)、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸メチル、アクリル酸のコポリマー、ポリメチルメククリレートまたは高圧フリーラジカルプロセスにより重合可能なその他の任意のポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリブテン−1、アイソタクチックポリブテン、ABS樹脂、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、加硫EPR、EPDM、ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、ポリアミド類、ポリカーボネート類、PET樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンビニルアルコールコポリマーと同等であるEVAの加水分解生成物であるポリマー、芳香族モノマーのポリマー、例えばポリスチレン、ポリ−1エステル類、ポリアセタール、フッ化ポリビニリデン、ポリエチレングリコール類および/またはポリイソブチレンを含んでいてよい。
別の形態においては、ゴム強化組成物を形成するべく本明細書で開示されたプロセスを用いてエラストマーが配合される。一部の形態においては、ゴム強化組成物は、エラストマーが不連続相であり、本明細書において生産されたポリマーが連続相である2(或いはそれ以上の)相系である。この配合物を、粘着付与剤および/または本明細書に記述されているようなその他の添加剤と組み合わせてもよい。
別の形態においては、本明細書で開示されているプロセスによって生産されたポリマー配合物は、衝撃コポリマーを形成するべくエラストマーまたはその他の軟質ポリマーを含んでいてよい。一部の形態においては、配合物は、エラストマーまたは軟質ポリマーが不連続相であり、1つまたは複数のその他のポリマーが連続相である2(またはそれ以上の)相系である。本明細書において生産されている配合物を、粘着付与剤および/または本明細書に記述されているようなその他の添加剤と組み合わせてもよい。
一部の形態においては、本明細書で開示されているポリマー配合物は、メタロセンポリエチレン(mPEs)またはメタロセンポリプロピレン(mPPs)を含む。mPEおよびmPPホモポリマーまたはコポリマーは典型的には、溶液、スラリー、高圧または気相中の非配位アニオンおよび/またはアルミノキサンの活性剤と組み合わせてモノまたはビス−シクロペンタジエニル遷移金属触媒を用いて生産される。触媒および活性剤は担持されていてもいなくてもよく、シクロペンタジエニル環は置換されていてもいなくてもよい。このような触媒/活性剤組み合わせを用いて生産される複数の市販用生成物が、テキサス州ベイタウンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)からEXCEED(商標)、ACHIEVE(商標)およびEXACT(商標)という商標名で市販されている。かかるホモポリマーおよびコポリマーを生産するための方法および触媒/活性剤についての更なる情報に関しては特許文献65、特許文献66、特許文献38、特許文献39、特許文献40、特許文献41、特許文献67、特許文献68、特許文献69、特許文献70、特許文献71、特許文献72、特許文献35、特許文献73、特許文献74、特許文献75、特許文献76、特許文献77、特許文献35、特許文献36、特許文献78、特許文献34、特許文献79、特許文献66、特許文献80を参照のこと。
一部の形態においては、本明細書で開示されているプロセスにより生産されたポリマー配合物は、配合物の中のポリマーの重量を基準にして10〜99重量%、または20〜95重量%、または少なくとも30〜90重量%、または少なくとも40〜90重量%、または少なくとも50〜90重量%、または少なくとも60〜90重量%、または少なくとも70〜90重量%の1つのポリマーを含み、1つ以上のその他のポリマーが配合物の残りの部分を構成している。
別の形態においては、インラインポリマー配合物は、均一重合条件下、特にバルク均一超臨界またはバルク溶液重合などのバルク均一重合条件下で製造されたプロピレンベースのポリマーから生産される。
別の形態においては、インラインポリマー配合物は、均一重合条件下、特にバルク均一超臨界またはバルク溶液重合などのバルク均一重合条件下で製造されたプロピレンベースのポリマーから生産され、以下のものを含む:
(a) 0.8〜10,000g/10分のMFRおよび80〜165℃の溶融ピーク温度を有するアイソタクチックポリプロピレン10〜20wt%と、10〜16wt%のエチレン含有率および0.8〜100g/10分のMFRを有する結晶性エチレン−プロピレンコポリマー80〜90wt%;または、
(b) 0.8〜10,000g/10分のMFRおよび80〜165℃の溶融ピーク温度を有するアイソタクチックポリプロピレン15〜90wt%と、含有率が1〜20wt%のエチレンまたは1〜40wt%のヘキセン−1または1〜30wtのブテン−1を含みかつ0.8〜100g/10分のMFRを有するアイソタクチックポリプロピレン結晶性をもつプロピレンコポリマー10〜85wt%、または、
(c) 0.8〜10,000g/10分のMFRおよび80〜165℃の溶融ピーク温度を有するアイソタクチックポリプロピレン10〜30wt%、と0.8〜500g/10分のMFRを有する低結晶度(0〜30J/g)の単独またはコポリマー90〜70wt%。
本明細書で開示されているプロセスにより生産されたインラインポリマー配合物は、本明細書で開示されているインライン重合/分離/配合プロセスの下流側の押出し加工プロセスにおいて、図10および11で示されているその他のポリマーおよび添加剤のためのインライン配合プロセスを用いてその他のポリマーおよび添加剤と配合してもよいし、またはオフライン化合プロセスにおいて配合してもよい。
本明細書で開示されているプロセスによって生産されたインラインポリマー配合物内に含まれた上述のポリマーのうちのいずれも官能化されていてよい。官能化されたとは、ポリマーが不飽和酸または無水物と接触させられていることを意味する。不飽和酸または無水物の形態には、少なくとも1つの2重結合および少なくとも1つのカルボニル基を含有する任意の不飽和有機化合物が含まれる。代表的酸としては、金属および非金属の両方のカルボン酸、無水物、エステルおよびその塩が含まれる。有機化合物は、カルボニル基(−C=O)と共役されたエチレン不飽和を含有する。非限定的な例としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸および桂皮酸並びにその無水物、エステルおよび塩誘導体が含まれる。無水マレイン酸は、1つの特定の形態である。不飽和酸または無水物は、炭化水素樹脂と不飽和酸または無水物の重量を基準にして約0.1重量%〜約5重量%または約0.5重量%〜約4重量%、または約1〜約3重量%で存在する。
粘着付与剤も同様に、本明細書で開示されているプロセスによってインラインで(図10および11参照)、本明細書で開示されているインライン重合/分離/配合プロセスの下流側の押出し加工プロセスを介してインラインで、またはオフライン化合プロセスにおいて、配合してよい。有用な粘着付与剤の例としては、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族修飾脂肪族炭化水素樹脂、水素添加ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂類、ガムロジン類、ガムロジンエステル類、ウッドロジン類、ウッドロジンエステル類、トール油ロジン類、トール油ロジンエステル類、ポリテルペン類、芳香族修飾ポリテルペン類、フェノール系テルペン類、芳香族修飾水素添加ポリシクロペンタジエン樹脂類、水素添加脂肪族樹脂、水素添加脂肪族芳香族樹脂類、水素添加テルペン類および修飾テルペン類、および水素添加ロジンエステル類が含まれるがこれらに限定されるわけではない。一部の実施形態においては、粘着付与剤は水素添加される。その他の実施形態においては、粘着付与剤は非極性である。非極性粘着付与剤は、極性基を有するモノマーを実質的に含まない。極性基は一般に存在しないが、存在した場合でもそれらは5重量%以下、または2重量%以下、または0.5重量%以下でしか存在しない。一部の実施形態においては、粘着付与剤は、80〜140℃、または100℃〜130℃の軟化点(ASTM E−28によって測定されるような、環球式軟化点)を有する。一部の実施形態においては、粘着付与剤は、官能化されている。官能化されているとは、炭化水素樹脂が、不飽和酸または無水物と接触させられていることを意味する。有用な不飽和酸または無水物としては、少なくとも1つの2重結合および少なくとも1つのカルボニル基を含有するあらゆる不飽和有機化合物が含まれる。代表的酸としては、金属および非金属の両方のカルボン酸、無水物、エステルおよびその塩が含まれる。有機化合物は、カルボニル基(−C=O)と共役されたエチレン不飽和を含有していてよい。非限定的な例としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸および桂皮酸並びにその無水物、エステルおよび塩誘導体が含まれる。無水マレイン酸は、特に有用である。不飽和酸または無水物は、炭化水素樹脂と不飽和酸または無水物の重量を基準にして約0.1重量%〜10重量%または0.5重量%〜7重量%、または1〜4重量%の割合で粘着付与剤内に存在していてよい。
粘着付与剤は、存在する場合、配合物の重量を基準にして1重量%〜50重量%または10重量%〜40重量%または20重量%〜40重量%の割合で存在する。しかしながら一般的には、粘着付与剤は存在せず、または存在しても10重量%未満または5重量%未満または1重量%未満でしか存在しない。
別の形態では、本明細書で開示されているプロセスにより生産されたポリマー配合物は更に架橋剤を含んでいる。架橋剤を、本明細書で開示されているプロセスによってインラインで(図10および11参照)、本明細書で開示されているインライン重合/分離/配合プロセスの下流側の押出し加工プロセスを介してインラインで、またはオフライン化合プロセスにおいて、配合してよい。有用な架橋剤としては、酸または無水物基と反応できる官能基を有するものが含まれ、アルコール、マルチオール、アミン、ジアミンおよび/またはトリアミンが含まれる。有用な架橋剤の非限定的な例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミンおよび/またはメタンジアミンなどのポリアミンが含まれる。
別の形態においては、本明細書で開示されているプロセスによって生産されるポリマー配合物および/またはその配合物は、更に充填剤、気泡形成剤(cavitating agent)、酸化防止剤、界面活性剤、アジュバント、可塑化剤、ブロック剤、粘着防止剤、カラーマスターバッチ、顔料、染料、加工助剤、紫外線安定剤、中和剤、潤滑剤、ろう、核剤および/または清澄剤などの当該技術分野において公知の典型的添加剤を含む。これらの添加剤は、当該技術分野において周知の典型的に有効な量、例えば0.001重量%〜10重量%といった割合で存在していてよい。これらの添加剤を、本明細書で開示されているプロセスによってインラインで(図10および11参照)、本明細書で開示されているインライン重合/分離/配合プロセスの下流側の押出し加工プロセスを介してインラインで、またはオフライン配合プロセスにおいて、配合してよい。
有用な充填剤、気泡形成剤および/または核剤としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、二酸化ケイ素、カーボンブラック、砂、ガラスビ−ズ、鉱物骨材、滑石、粘土などが含まれる。非清澄タイプの核剤には、安息香酸ナトリウム、Amfine NA11、Amfine NA21、およびMilliken HPN68が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
有用な酸化防止剤および紫外線安定剤としては、共にチバガイギー(Ciba−Geigy)から入手可能である、Irganox1010、Irganox1076といったフェノール酸化防止剤が含まれる。油としてはパラフィン系オイルまたはナフテン系オイル例えば、フランス、パリのエクソンモービル・ケミカル・フランス社(ExxonMobil Chemical France、S.A.)から入手可能なPrimol352またはPrimol876が含まれてよい。油には、脂肪族ナフテン油、白油などが含まれてよい。
可塑化剤および/またはアジュバンドには、鉱油、ポリブテン類、フタレート類などが含まれてよい。可塑化剤には、フタレート類、例えばジイソウンデシルフタレート(DIUP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート類(DOP)およびポリブテン類、例えばテキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)から入手可能なParapol950およびParapol1300が含まれてよい。付加的な可塑化剤には、特許文献81、特許文献82および特許文献2で開示されているものが含まれる。
有用な加工助剤、潤滑剤、ろうおよび/または油には、ろう、油または低Mnポリマー(低とは5000未満、または4000未満、または3000未満、または2500未満のMnを意味する)が含まれる。有用なろうとしては、極性または非極性ろう、官能化ろう、ポリプロピレンろう、ポリエチレンろうおよびろう改質剤が含まれる。
有用な官能化ろうには、アルコール、酸またはケトンで改質されたろうが含まれる。官能化されたとは、ポリマーが不飽和酸または無水物と接触させられていることを意味する。有用な不飽和酸または無水物には、少なくとも1つの2重結合および少なくとも1つのカルボニル基を含有する任意の不飽和有機化合物が含まれる。代表的酸としては、金属および非金属の両方のカルボン酸、無水物、エステルおよびその塩が含まれる。有機化合物は、カルボニル基(−C=O)と共役されたエチレン不飽和を含有していてよい。非限定的な例としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸および桂皮酸並びにその無水物、エステルおよび塩誘導体が含まれる。無水マレイン酸は、特に有用である。不飽和酸または無水物は、炭化水素樹脂と不飽和酸または無水物の重量を基準にして0.1重量%〜10重量%または0.5重量%〜7重量%、または1〜4重量%で存在してよい。例としては、メチルケトン、無水マレイン酸またはマレイン酸によって改質されたろうが含まれる。低Mnポリマーとしては、低級α−オレフィン例えばプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのポリマーが含まれる。有用なポリマーには、1000g/モル未満のMnを有するポリブテンが含まれる。かかるポリマーの例が、エクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Company)からPARAPOL(商標)950という商標名で入手可能である。PARAPOL(商標)950は、ASTM D445により測定されて100℃で220cStの動粘度および950g/モルのMnをもつ液体ポリブテンポリマーである。
有用な清澄剤としては、ベンザルソルビトール清澄剤ファミリー、そしてより詳細にはジベンザルソルビトール(Millad3905)、ジ−p−メチルベンザルソルビトール(Milliad3940)、およびビス−3,4−ジメチルベンザルソルビトール(Milliad3988)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
利用分野:
本明細書で開示されているプロセスによって生産されるポリマー配合物は典型的には、任意の公知の熱可塑性物質またはエラストマーにおいて使用される。非限定的な例としては、成形品、フィルム、テープ、シート(sheet)、管類、ホース、敷布(sheeting)、ワイヤおよびケーブルコーティング、接着剤、靴底、バンパー、ガスケット、ふいご、フィルム、繊維、弾性繊維、不織布、スパンボンド不織布、シーラント、手術着および医療用デバイスがある。
本出願人は、合理的に予測できる開示対象主題の全ての実施形態および利用分野を開示しようと試みた。しかしながら、等価物としてとどまる予測不可能なわずかな修正が存在し得る。本発明についてその特定的な例示的実施形態と合わせて記述してきたが、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく以上の記述に照らして数多くの改変、修正および変形形態が当業者にとって明らかとなることは明白である。従って、本開示は、以上の詳細な説明のこのような改変、修正および変形形態の全てを包含するものと意図されている。
優先権書類を含め本明細書中で引用した全ての特許、テスト手順およびその他の文献は、かかる開示が本発明と一貫性をもつかぎりにおいてかつかかる援用が許される全ての管轄区域について、全面的に参照により援用される。
本明細書中に数値的下限および数値的上限が列挙されている場合、任意の下限から任意の上限までの範囲が企図される。本明細書中の詳細な説明および特許請求の範囲内の全ての数値は、「約」により修飾されるものと理解される。