JP2010518117A - シンドロームx関連の危険因子を低減または除去する方法および材料 - Google Patents

シンドロームx関連の危険因子を低減または除去する方法および材料 Download PDF

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Abstract

シナモン抽出物を含有する組成物は、シンドロームXに関連する1種以上の危険因子を低減および/または除去する。組成物はまたビタミン、コレステロール降下剤、脂質降下剤および血糖降下剤からなる群より選択される一種以上の成分を任意選択で含む。対象者におけるシンドロームX関連の危険因子を、シナモン抽出物の投与を通じて低減および/または除去する方法も開示される。シナモン抽出物補給剤は、経口で、静脈注射で、または皮下注射で投与される。一実施形態において、日用量10〜1000mgのシナモン抽出物補給剤を6週間〜6ヶ月間、対象者に投与する。

Description

関連出願の参照
本願は、米国特許出願第11/673,063号(2007年2月9日)の一部継続出願である米国特許出願第11/735,516号(2007年4月16日提出)に基づき優先権を主張し、この参照によりその内容を本願明細書に含むものとする。
発明の分野
本発明は概して、シンドロームX関連の危険因子を低減する、予防手段、軽減手段または治療手段としてのシナモン抽出物の使用に関し、特にシンドロームXを患っている対象者における収縮期血圧、空腹時血糖または体脂肪率の低減に関する。
シンドロームXは、以下の危険因子のうち幾つかが存在することを特徴とする代謝状態である。当該危険因子は、高血糖症、高血圧症、低い高密度リポタンパク(HDL)、高い低密度リポタンパク(LDL)、高トリグリセリドおよび異常ボディマス指数(BMI)、微量アルブミン尿、内皮機能不全、血栓形成促進性状態、および炎症過程である。シンドロームXであるという診断を下すのに、これら全ての基準が満たされている必要はない。実際、これら症候のうち3種の発生が、シンドロームXの指標となることが分かっている。
米国成人の22%超が、シンドロームXであると推定されており、その罹患率は年々急激に上昇している。高年齢、閉経後状態、人種、高いボディマス指数、習慣的な喫煙、低い世帯収入、高い炭水化物摂取量、および運動不足の全てが、シンドロームXの発病および/またはシンドロームXへの変質の可能性を高めることに関連があるとされている。2022年までに、さらに1千2百万人の成人が、加齢のみを原因としてシンドロームXを患う可能性がある。
シンドロームXを起こす要因として、分子レベルで辿ることのできたものは1つもない。しかしこの疾患が、酸化ストレス増大に関連したインスリン抵抗性と血管炎症機序活性化との両方に由来することを示唆する証拠が増えつつある。例えば、インスリン抵抗性によって、遊離脂肪酸の優先的な代謝が起こり、グルコース利用が減少する。インスリン抵抗性は、高齢期になって脂質異常症、高血圧症および高血糖症を患うことになる子供に見られる。ヒトは年を取るにつれて膵β細胞が枯渇し、インスリン抵抗性の需要を満たすことができなくなるため、やがて脂質異常症、高血圧症等の代謝障害が進行する可能性がある。一方、炎症性マクロファージによる脂肪組織への浸潤が、肥満に共通の特徴であることが示されている。脂肪量は、炎症性メディエータと炎症マーカを産生するマクロファージの遺伝子発現と、定量的な相互関係にある。このように、シンドロームXは糖尿病と幾つかの特徴を共有しているかもしれないが、それ自体は糖尿病状態または前糖尿病状態ではない。他の異なる因子や原因も関与している。
概して、シンドロームXの治療は多岐にわたっている。多くの場合、上記したうち数種の危険因子を有すると診断された者は、低脂肪食、運動療法、ならびにコレステロール、血圧、グルコースおよび体重に関する問題に別々に効く薬剤多数を含む薬剤介入が施されることとなる。そのような治療法は複雑であるため、順守されないことが多い。
シナモンは、血糖を制御することが当分野で知られている。シナモンは、他の様々な香料植物や香辛料と比較して、インスリンの強力な増強剤であることをBroadhurst他が実証している(非特許文献1)。研究者等は、シナモンによる血糖降下作用は、クロムとは異なる化合物群に由来することを実証している。Kahn他による一研究では、食品やシナモンを含む香辛料におけるクロム値を比較しているが、クロム値とインスリン増強作用レベルとの相関関係は見つかっていない(非特許文献2)。Althuis他によるメタ分析では、クロムとグルコースまたはインスリン濃度との関連が示されていない(非特許文献3)。
Khan他による、より最近の研究(非特許文献4)では、2型糖尿病患者において、シナモン摂取の後、グルコースと脂質状態とが改善したことが判明している。患者はいずれも40歳以上であり、血糖値は140〜400mg/dLの範囲であった。これらの患者にシナモン治療を毎日行ったところ、空腹時血糖値が18〜29%、トリグリセリドが23〜30%、LDLが7〜27%減少した。なおこれらの患者は、研究のために採用された時点では「糖尿病性が非常に高」かった。シナモン治療後にこれら患者は「糖尿病性がより低」くなったが、血糖値は異常に高く、依然として糖尿病性であった。従ってこの研究で処方された生シナモン療法が、患者の血糖値をNCEP-ATP-IIIが規定するところによる異常状態から標準状態へ戻すのに効果的であるか否かは、判明していない。また、もう1つの重要な生物医学パラメータである除脂肪質量は、この研究では検討されていない。
シンドロームXは糖尿病とは因果関係が区別可能であることも鑑みて、これら先行技術の開示は、すでに糖尿病性でない対象者における高血圧症、高血糖症等の病理状態の治療を教示していないし、糖尿病性の対象者における3種以上のシンドロームX関連危険因子を同時に低減し改善する方法をサポートしてもいない。その上更に、これらの先行技術文献は、危険因子を除去するまたは病状を解消する方法、例えば対象者を糖尿病性から非糖尿病性に戻す方法について、有用な教示をしていない。
J. Agric. Food Chem., 2000; 48: 849-852 Biological Trace Element Research, 1990; 24: 183-188 Am. J. Clin. Nutr., 2002; 76: 148-55 Diabetes Care, 2003, 26, 3215-3218
今日まで、シンドロームXを特異的に対処する治療用物質を提供する先行技術は存在していない。従来の治療は、シンドロームを患う個人に応じた特定の特徴の治療に向けられており、総体的に治療を行うものではない。後に詳述するように、本発明は、特定のシナモン由来物質がシンドロームXの複数の病状を同時に制御するのに有効であることを認識しているものである。その上さらに、治療用物質および治療方法は、実施が簡単であり、良好な患者服薬遵守に導くことが可能である。
本発明は、シナモン抽出物を含む組成物と、その組成物を対象者におけるシンドロームX関連の危険因子の予防、緩和、および治療に用いる方法に関する。ある特定の場合には、対象者は非糖尿病性であり、ある特定の場合には対象者は前糖尿病性である。ある場合には前記組成物は、濃度が既知であるポリフェノールA等の少なくとも1種の活性成分を含んでおり、そのようなポリフェノールの例としては、A型ポリマーおよびオリゴマーが挙げられるが、これらに限定されるものではないことは理解されよう。
は、前糖尿病性の男女におけるシンドロームXの特徴に対する水溶性シナモン抽出物の与える影響についての調査のフローチャートである。 は、水溶性シナモン抽出物を補給した対象者に誘発されるFBG、SBP、%脂肪および除脂肪体重の変化の有意性を示す。
「危険因子」とは、シンドロームXの診断を構成する病理疾患をいう。
「ポリフェノール」とは、1分子あたり2種以上のフェノール基が存在することを特徴とする、植物中に見つかる化学物質群をいう。本開示の目的からは、ポリフェノールの例としては、A型ポリマーおよびオリゴマーまたはフェノール性物質が挙げられるが、これらに限定されるものではないことは理解されよう。研究の結果、ポリフェノール群には抗酸化特性があり、健康上の効用が潜在的にあることが示されている。ポリフェノール源の例としては、緑茶、白茶、赤ワイン、ブラックチョコレート、オリーブ油、およびその他の果物、野菜、シナモンなどの植物が挙げられる。
「ポリフェノールA型ポリマー」とは、シナモン抽出物中の生物活性型ポリマーを意味する。これはカテキンおよび/またはエピカテキンのA型二重結合プロシアニジンオリゴマーとしてのプロトン化分子塊(protonated molecular masses)を特徴とする。ポリマーは、モノマー単位から構成される。
危険因子を「低減する」とは、危険因子により誘発される症候の程度における、p値<=0.05とする統計的に有意な変化に関する。しかし、一般的な医療業務で認識されている基準でいう危険因子を、皆無にする必要はない。基準の1つとして、NCEP-ATP-IIIによって確立されているものが挙げられる。
危険因子を「除去する」とは、一般的な医療業務で認識されている基準でいう危険因子が無くなることをいう。基準の1つとして、NCEP-ATP-IIIによって確立されているものが挙げられる。
「前糖尿病」患者とは、空腹時血糖値が一般的な医療業務で認識されている許容範囲に入っている患者をいう。正常な範囲は、年齢、性別等、対象者のその他の特徴によっても変わるが、100〜125mg/dLの範囲にある空腹時血糖値が一般に「前糖尿病」とみなされる。
「活性成分」とは、シナモン抽出物中に存在する成分であって、意図されたシナモン抽出物による効果を、直接的または間接的に与える成分をいう。例として、ポリフェノールA型ポリマーが挙げられる。
シンドロームXは代謝疾患であり、メタボリック症候群としても知られる。全米コレステロール教育プログラムの成人治療委員会(panel)III(NCEP-ATP-III)で定義されるように、シンドロームXは、高血圧症、脂質異常症、肥満および高血糖症などの危険因子群を表す。なお、シンドロームXであるという診断を下すのに、全ての危険因子が存在している必要はない。当分野では、以下の危険因子のうち3種以上の認識が、シンドロームXの指標となることが知られている。
1)ウエスト周囲で測定される中心性肥満:男性40インチ超;女性35インチ超。
2)空腹時血中トリグリセリド150mg/dL以上。
3)血中HDL(高密度リポタンパク)コレステロール:男性40mg/dL未満;女性50mg/dL未満。
4)血圧130/85mmHg以上。
5)空腹時血糖値110mg/dL以上。
現代の薬学研究により、危険因子毎の薬物療法がほぼ確立している。3種以上の危険因子を標的とする薬剤の組み合わせを用いる治療は、不測の分子間相互作用は言うまでも無く、多くの不要な副作用を生みかねない。従って、耐糖能を向上し、脂質状態を改善し、血圧を低減する活性を有する、あるいはシンドロームXを治療する、1種類の薬剤を用いる方法および組成物であることが望ましい。
血清グルコース制御におけるシナモンの役割が、いくつかのインビトロ研究で示されている。例えば、シナモンの水様抽出物は副睾丸脂肪細胞におけるグルコース代謝を約20倍増加させている(Anderson他、An improved assay for biologically active chlomium;J. Agric. Food Chem. 1978: 26: 1219-21)。さらに最近では、シナモン補給剤(supplement)によって、糖尿病患者におけるグルコースおよび脂質状態の両方が改善することが判明している(Khan他)。
しかし先行技術には、シナモンそれ自体、その抽出物、または他の草本添加物との組み合わせが、1種以上のシンドロームX関連危険因子を除去する機能がある、という教示はない。その上、先行技術文献は、インスリンの強力な増強剤としてシナモンの血糖制御における役割を示しているが、例えば対象者が非糖尿病性または糖尿病性であるか否かなど、治療される対象者の病態に基づいてシナモンの効果を区別する教示はしていない。対象者における空腹時血糖値の低下が、糖尿病状態を非糖尿病状態へ戻すことを伴うのであれば、臨床上の意義が違ってくる。従って、少なくとも1種のシンドロームX関連危険因子を除去するために、シナモン抽出物を含む組成物とその方法とを用いることも望ましい。また、3種以上のシンドロームX関連危険因子を同時に減少および改善するために、シナモン抽出物を含む組成物とその方法とを用いることがさらに望ましい。
米国食品医薬品局にGRAS(安全食品認定)として承諾された香料植物、シナモンは、百種以上の異なるカルコンを含んでいる。カルコンはポリフェノールまたはフラボノイドの1種である。シナモンの抽出物は、より濃縮された形態にすることで、活性成分を強化する。一般的な水様抽出法に従ってシナモンからカルコンまたは他のポリフェノール分子を単離し、次いで遠心分離して不溶性の残留物を除去する。
シナモンは様々な資源から得ることができる。一例として、シナモン抽出物は、クスノキ科Cinnamomum zeylanicum の樹皮から得られる。この木は東アジアおよび東南アジア原産である。他のシナモン源も、本明細書に開示の方法および材料に用いることができる。
シナモン樹皮は、生の樹皮、スライスしたあるいはみじん切りにした樹皮の形態で用いてもよいし、あるいは治療用物質の調製用として粉砕した樹皮の形態で用いてもよい。粉砕したシナモン樹皮は、特定の場合に用いられる。
抽出および乾燥方法
抽出物は、様々な方法で調製することができる。水質、加熱温度、乾燥温度、加熱時間、乾燥時間、濾過工程等の抽出パラメータは全て、品質と工程の効率とに影響を与える。水質は、活性化合物の濃度に直接影響する。水質が低いと、抽出工程中にポリフェノールが分解し酸化する可能性がある。その結果多くの場合、シナモン抽出物粉末が赤味を帯び、ポリフェノールの%濃度が低くなる。加熱時間は、抽出される様々なポリマーの割合を決定する。加熱時間はまた、抽出混合物の粘度にも影響を与え、これが下流の濾過工程に直接影響を与えることになる。最後に、乾燥温度は、用いられる他の抽出パラメータに応じて75℃〜120℃の範囲内で可変としてよい。
一実施形態において、50gの洗浄したシナモン樹皮を、小粒子または粉末に挽く。粉末または粒子を、好適なフラスコ内で1000mlの蒸留水と混合する。混合物を室温で約0.5時間静置する。1:20〜1:2000の範囲で水を追加してもよい。水の量が少なすぎると混合物の粘度が高くなり抽出に向かない。一方、水の量が多すぎると乾燥時間が長くなる。次いでマグネチックヒートスターラーを用いて攪拌しながら、水混合液を加熱する。生物活性ポリマーの濃度効率には、温度と抽出時間が重要である。抽出工程は1時間を超えるべきではない。好ましくは挽いた樹皮は、15〜20分間加熱して沸騰状態にし、絶えず攪拌しつつ20〜30分間煮沸する。加熱に続く沸騰時間は通常約20〜25分に制御する。混合物を冷却し4℃で一晩静置する。
別の実施形態において、濾紙を用いて上述した抽出溶液を濾過して、固体破片を全て除去する。濾紙を用いるのに溶液の粘度が高すぎる場合には、任意選択で、遠心分離を用いて溶液から固体を除去する。得られる上澄みを、中速濾紙(medium speed filter paper)で濾過する。得られる固体は、任意選択で、200mLの蒸留水に溶解して第2の抽出を行う。固体を含む溶液を混合し、80〜90℃で30分間加熱し、次いで濾過する。
別の実施形態において、第1および第2の抽出溶液を合わせて、粘着防止のトレーに流し込み、80〜90℃で乾燥させる。真空噴霧乾燥装置を乾燥工程に使用してもよい。得られる乾燥シナモン粉末を計量する。抽出比は、w/20×100%の式で計算する。ここでwは乾燥シナモン粉末の重量(g)である。試料対水比、加熱時間、第2の抽出における水の量は、抽出に用いた原材料量に応じて可変としてよい。
別の工程では、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いて、加熱温度と抽出時間とにおける変化がポリマー濃度に与える影響を分析する。100mgの乾燥シナモン粉末をフラスコ内で100mlの水に溶解する。溶液を30〜45分間超音波分解し、0.45μM PTFEシリンジで濾過する。以下のように様々な温度で試料を調製して試験する。試料を50〜60℃で1時間抽出する。17および21分における溶出ポリマーは、適当な濃度を有するようである。温度を75〜82℃に1時間上昇させた後、17および21分における溶出ピークは、2〜3%の量が低下する。この抽出中に現れると思われる比較的小さなピークが更に2個存在する。これらはそれぞれ28.5分、33.5分で溶出する。更に1時間、加熱温度を85〜90℃に上昇させた後、17および21分における溶出ピークは、約7〜9%の量が低下する。28.5および33.5におけるピークは顕著に増加する。最後に20分間、加熱温度を95〜100℃に上げ、さらに40分間、85〜95℃ に低下させる。17および21分における溶出ピークは、15〜20%の量が低下するようである。28.5および33.5分における溶出ピークは、2倍以上に増加する。これらの結果によると、17および21分における溶出ポリマーは、異性体に変換され、それぞれ28.5および33.5分で溶出される。これらの結果は、100℃における抽出が、基準を満たしたポリマー濃度を得るのに好適であることを示唆している。
別の工程では、ポリマーの安定化を分析する。95〜100℃の加熱温度で様々な抽出時間を調べる。95〜100℃で1時間、試料を抽出した後、17および21分における溶出ポリマーは、適当な濃度を有するようである。17および21分における溶出ピークは、最初の2〜3時間は加熱温度が上昇するにつれて下降する。3時間後、17および21分における溶出ピークは有意に変化せず、プラトー期に達したように見える。これらの結果は、好ましくは95〜100℃における3時間の抽出時間の後にポリマーが安定化することを示唆している。
時間と温度とが、これらの主要な活性を高い濃度に保つ主要な要因であることに留意するのは重要であるが、種の選択もA型ポリマーのレベルに直接影響を与える。数多く存在する世界中のシナモン種を全て検討した結果、Cinnamomum Burmannii (Nees) Blume - Microbial Identification Index(MIDI)class;Korintji Cassiaが高レベルで活性A型ポリマーを提供することが示された。
所定量の生物活性ポリマーを含むシナモン抽出物
シナモン抽出物は、NCEP-ATP-IIIに提示された基準によりシンドロームXであると分類された対象者における、2種以上の疾患を低減、軽減または治療するのに有用である。シナモン抽出物剤により対応可能な疾患の例としては、FBG、BMI、SBP、HDL、LDL、トリグリセリド、酸化ストレスにおける異常、および炎症状態が挙げられるが、これらに限定されるものではない。シナモン抽出物は、相乗的に対象者の除脂肪質量を増加し、FBGを低減し、SBPを低減することにも用いられる。
シナモン抽出物剤の特徴の1つとして、疾患を低減、軽減または治療する効用について、対象者が必ずしも糖尿病性である必要はなく、代わりに、前糖尿病性の対象者とその他の非糖尿病性の対象者とに影響を与える、ということが挙げられる。Khan他、Mang他等による先行技術文献の開示は、糖尿病患者(2型糖尿病)におけるFBGを低下するための生シナモン粉末の使用に関するものであり、非糖尿病性の対象者におけるシンドロームX関連病理状態の治療を教示・示唆していない。
上記のように調製されるシナモン抽出物乾燥粉末を、HPLCで試験して、特定量の二重結合ポリフェノールA型ポリマー、単結合ポリマー、または他の生物活性ポリマーが存在するかを確認する。これにより、抽出物の標準化が可能になる。
ある場合には、二重結合ポリフェノールA型ポリマー等の生物活性成分を基に、シナモン抽出物粉末の乾燥重量を標準化することができる。ポリフェノールA型ポリマー等の量は、0.5%〜25%、好ましくは1%〜10%の範囲である。
シナモン抽出物は、グリコーゲン合成酵素の活性化、グルコース摂取の促進、グリコーゲン合成酵素の阻害、総エネルギー摂取量の増加、抗酸化作用の提供に対して影響があり、シナモン抽出物補給剤を受ける対象者において、これらの影響が総体的に除脂肪質量を増加させるということが判明している。
企図する投与方法に応じて、シナモン抽出物補給剤は、例えば、タブレット、坐薬、丸薬、カプセル、粉末、液体、または懸濁液等の、固体、半固体または液体投薬形態の医薬組成物とすることができ、単回投与に好適な単位投与で提供することができる。徐放性調合が特に効果的な投与処方と考えられる。組成物は、有効量の選択基材と薬学的に許容される担体との組み合わせを含むことができ、更に他の薬剤、医薬品、担体または希釈剤を含んでいてもよい。
固体組成物については、従来の非毒性固体担体の例として、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロースおよび炭酸マグネシウムが挙げられる。薬学的に投与可能な液体組成物は、例えば、最適補助薬を含む賦形剤(水、生理食塩水、含水デキストロース、グリセロール、またはエタノール等)に活性化合物を溶解または分散して、溶液または懸濁液として調製することができる。必要に応じて、投与される医薬組成物は更に、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、例えば酢酸ナトリウムまたはオレイン酸トリエタノールアミン等の、少量の非毒性補助剤を含んでいてもよい。これらの剤形を調製する実際の方法は公知であり、あるいは当業者には明らかであろう。例えばRemington's The Science and Practice of Pharmacy(第20版)が参照される。
経口投与については、微粉または顆粒は、賦形剤、分散剤および/または界面活性剤を含んでいてもよく、水またはシロップ中に、乾燥状態でカプセルまたは小袋中に、あるいは懸濁化剤を含む非水の溶液または懸濁液に、結合剤および滑剤を含むタブレットに、または懸濁液に、含ませてもよい。必要に応じて、香味添加剤、防腐剤、懸濁化剤、増粘剤または乳化剤を含めてもよい。タブレットと顆粒が好適な経口投与形態であり、これらにコーティングが施されていてもよい。
本発明によるシナモン抽出物補給剤は、任意選択で、1種以上の他の成分と合わせて用いることができる。そのような成分の例としてはビタミン類(ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEなど)、血糖降下剤(グルコース受容体刺激剤、インスリン抵抗性改善薬、グリコーゲン合成刺激剤、グルコース摂取促進剤など)、血圧降下剤(α遮断剤、β遮断剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤など)、緑茶ポリフェノール類(エピガロカテキン没食子酸塩など)、脂質降下剤(コレステロール合成阻害剤など)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明によるシナモン抽出物補給剤は、タブレット、顆粒、丸薬、粉末、カプセル、チュアブルまたは液剤などの形状の経口医薬品として使用可能である。
本発明によるシナモン抽出物補給剤は、食品添加剤として使用可能である。例として液体、半液体、固体、ペーストまたはゼリー形状の食品が挙げられる。
シナモン抽出物補給剤を用いたシンドロームX関連危険因子の緩和
シンドロームX関連危険因子の1つ、高血糖症は、インスリン抵抗性、乏しい栄養・運動習慣と関連している可能性がある。長期にわたるインスリン抵抗性はいずれ、多くの場合は高齢期に、糖尿病(DM)となる可能性がある。高血糖症の持続期間と程度は多岐にわたる。ビタミン類、抗酸化鉱物、香料植物および栄養補助食品は、ヒトにおける血糖降下作用を呈することが当分野でよく知られている。数例を挙げると、ビタミンE誘導体、αリポ酸、ビタミンC、バナジン酸塩、グルタチオン等がある。
高血圧症は、シンドロームXの重要かつ強力な原因をなす危険因子である。高血圧症は、シンドロームXの対象者において、収縮期血圧(SBP)>140mmHgおよび拡張期血圧(DBP)>90mmHgまたは>130/80mmHgとして定義される。高血圧症になると、アテローム性動脈硬化症、抹消動脈疾患、慢性腎機能障害、慢性腎不全、認知症および心血管死亡率のリスクが増す。高血圧症は、長期化したインスリン抵抗性との関連も示されている。実際に、インスリン抵抗性は 、高血圧症に10〜20年先立って起こることが多い。インスリン抵抗性誘発性の高血圧症は、酸化窒素、MAPK経路、およびPI3K経路と相互関係がある可能性がある。一方、血管炎症の発症も、高血圧症の一因となっている。コラーゲンや細胞外マトリックスが増加することで、動脈のコンプライアンス、伸展性および弾性率が失われ、これを原因として高血圧症が起こる。シンドロームXを有する高血圧の患者は、血圧を140/90mmHg以下に下げるのに、3〜4種の降圧薬を必要とすることが多い。推奨される目標低血圧達成である130/80mmHgまたはおそらく110/70mmHgは、バランスの取れた薬物および非薬物療法を積極的に用いなければ達成することができない。
シンドロームXのさらに別の病因である脂質異常症は、遊離脂肪酸の増加、血清トリグリセリドの増加、HDLコレステロールの減少、LDLコレステロールの増加等の一群の表現型を特徴とする。より小さなサイズのHDLへシフトした低HDLコレステロールが、シンドロームXに共通して見られるが、これはHDLのトリグリセリド濃縮、肝性リパーゼによるHDL分解の増加、およびアポリポタンパク質A1異化の増加が原因となっている。脂質異常症の治療方針は、LDLコレステロールを60〜70mg/dLに低減し、HDLコレステロールを男性では40mg/dL、女性では50mg/dLに増加し、トリグリセリドレベルを150mg/dL未満に低減するものでなければならない。栄養補給剤と脂質降下剤との適切な組み合わせが一斉に作用することで、これらの目標の達成が促進される。脂質異常症に関連する症候を減少させるのに有用な健康補助食品の例として、ナイアシン、海産脂質、ポリコサノール、植物ステロール、大豆、緑茶、亜麻、トコトリエノール、パントテン酸などがあることが当分野で知られている。
シンドロームXに関連する病因のそれぞれに、1種以上の危険因子が示されている。これら危険因子の例としては、収縮期血圧(SBP)、空腹時血糖(FBG)、ボディマス指数(BMI)、高密度リポタンパクコレステロール、低密度リポタンパクコレステロール、血清トリグリセリドにおける異常などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。全米コレステロール教育プログラムの成人治療委員会IIIによると、従来、ある個人のSBP、FBGおよびBMIが同時に異常であると、シンドロームXの所見があることが示される。個人における異常なSBP、FBGまたはBMIは、SBP>=130mmHg、FBG>=110mg/dLの値で定義される。
シナモン抽出物は、個人において代謝され、治療上効果のある量の化合物種、すなわちシナモンポリフェノール、シナモンオリゴマー、シナモンカテキンまたはエピカテキン、シナモンカルコン、およびシナモンMHCPとなる。MHCPは、グリコーゲン産生を促進することでグルコース摂取を促進することが判明している。特定の治療において、シナモン抽出物補給剤の各投与量は、MHCPが10〜30ミリグラム(mg)の量で個人に送達されるように選択される。本治療方法は、治療上効果のある量の本発明のシナモン抽出物補給剤を、シンドロームXを顕在化した個人に投与するステップを含む。
本治療方法において、様々な投与計画を行うことができる。ある場合には、単回投与治療のみで治療効果を得るのに有効であるが、またある場合には6週〜3ヶ月の範囲の治療期間を用いる。
補給剤は、経口で、静脈注射などの非経口で、筋肉注射で、腹腔内注射で、あるいは経皮で投与することができる。必要とされる補給剤の正確な投与量は、対象者の年齢、体重、一般的状態、シンドロームX関連危険因子の重症度、投与方法等に応じて異なりうる。適当な投与量は、本明細書の教示を前提として、通常の実験のみによって当業者によって容易に決定される。一般に投与量は、一日当たり10〜1000mg乾燥シナモン粉末当量の範囲である。
非経口投与は一般に注射によって行われる。注射物質は、溶液または懸濁液、溶液に好適なまたは注射前の固体形状で、または注射前の液体状の懸濁液として、またはエマルジョンとして、従来の形態で調製することができる。
以下に提示する実施例は、本発明の特定の実施形態を例証することを企図しており、いかなる意味においても請求項を含む明細書の範囲を限定することを企図していない。
水溶性シナモン抽出物(シヌリンPF:Cinnulin PF(登録商標))補給がシンドロームXの特徴に与える影響
実験計画
この調査では、ランダム化された、プラセボ(偽薬)対照の、二重盲式臨床試験を2グループで並行して行った。血清化学、体重および身体組成を、ベースライン時と12週の補給期間の終了時に測定した。事前検査(第0週)、中間検査(第6週)、および事後検査(第12週)時に、対象者は3日間の食事記録を記入して収縮期および拡張期血圧を測定した。図1は調査中の参加者の流れを示す。
i)対象者
対象者は典型的な郊外地区であるオハイオ州北東部から、口コミと告知掲示とで募集した。30〜60歳の30人の参加候補者を電話面接した。そのうち22人について、身長、体重、血圧および空腹時血液試料の予備スクリーニングを行った。対象者の必須要件は、FBGが100mg/dL(5.6mmol/L)〜125mg/dL(6.9mmol/L)であり、肝腎機能試験が正常値を示し、普通の食習慣および身体活動習慣を継続する意思があることである。対象者について、ボディマス指数(BMI)>40kg/mか否か、甲状腺疾患、性腺機能低下症があるか否か、筋骨格の、自己免疫の、または神経の疾患歴があるか否か、あるいは甲状腺の、脂質異常症の、低血糖症の、抗高血圧の、または抗凝血の薬剤を現在使用しているか否かを調べて、該当者は除外した。対象者それぞれから書面によるインフォームドコンセントを得る前に、施設内治験審査委員会(IntegReview Inc、テキサス州オースティン)により実験プロトコルの承認を得た。調査中の全ての手続きは、1975年のヘルシンキ宣言(1983年改訂)に記載の倫理規範に従っている。
ii)補給
年齢、FBG、SBP、および習慣的な身体活動レベルの条件を満たした対象者を、シナモン抽出物(シヌリンPF(登録商標))群(n=12)とプラセボ群(n=10)とに分けた。各対象者は、1日に2回(朝食および夕食時)、補給剤を2カプセル(250mg)飲むように指導された。製造者によると、500mgのシヌリンPF(登録商標)は、約10gの全シナモン粉末に相当し(すなわち20:1抽出物)、少なくとも1%二重結合ポリフェノールA型ポリマー(生物活性成分であると考えられる)と<0.001%クマル酸と桂皮アルデヒドとを含んでいる。補給剤は、ツーピース式硬質殻カプセルの形態で調製し、コードを付した汎用容器内に入れてIntegrity Nutraceuticals International(フロリダ州サラソータ)による二重盲式投与を行った。研究技術者は対象者と毎週面会して、医療系のモニタリングと補給手順の順守を監督した。錠剤数を調べるために、中間検査(第6週)および事後検査(第12週)時に補給剤用ボトルを返却するように各対象者に義務付けた。
心拍数および血圧
食事を控えて12時間後かつ激しい身体活動に参加してから少なくとも48時間後の全ての対象者を実験室に集めた。10分間座って休憩した後の対象者の心拍数および血圧を、橈骨動脈触診とアネロイド血圧測定とのそれぞれによって調べた。全ての測定は、同じ技術者が標準手順を用いて行った。
iii)血液採取および分析
血圧測定の直後、うっ血させた肘正中静脈の静脈穿刺により、約20mL(小さじ約4杯)の血液を採取した。全ての血液試料は、朝のほぼ同時刻に採取して日周変化を最小限にし、中間検査(第6週)および事後検査(第12週)前に、基準食事記録を用いて対象者の最終食事(夕食)を標準化した。
EDTAを含む試験管と含まない試験管とに血液試料を入れ、室温で15分間、1200×gで遠心分離して(Drucker614型、ペンシルバニア州フィリップスバーグ)、血漿および血清を得て、直ちに2つのアリコートに分けた。アリコートの1つを、認定臨床検査研究所(Laboratory Corporation of America、オハイオ州ダブリン)に依頼して、21項目臨床化学プロファイル(Hitachi D2400、Roche Diagnostics社、ドイツ国)で、直ちに分析した。このプロファイルは、総括的な代謝パネル(グルコース、BUN、クレアチニン、ナトリウム、カリウム、塩化物、二酸化炭素、カルシウム、総タンパク質、アルブミン、グロブリン、総ビリルビン、アルカリフォスファターゼ、AST[SGOT]、およびALT[SGPT])並びに脂質状態(総コレステロール、HDL−C、LDL−C、VLDL−C、トリアシルグリセロール)から構成される。
血漿および赤血球ペレットを第2のアリコートから直ちに単離し、Nutrients Requirements and Functions Laboratory (メリーランド州ベルツビル)に依頼して更なる測定を行うまで、−80℃で貯蔵した。当該測定は、赤血球Cu−Znスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性、赤血球グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH−Px)活性、血漿チオール、血漿マロンジアルデヒド(MDA)、および血漿の鉄還元活性(FRAP)が含まれる。
iv)身体組成
較正されたデジタルA&D(登録商標)医療用秤(UC−300型、カリフォルニア州ミリピタス)で体重を測定し、壁掛け式スタジオメーター(Seca216型、メリーランド州ハノーバー)で身長を測定し、二重エネルギーX線吸収法(GE Lunar DPX Pro、ウィスコンシン州マディソン)で身体組成を測定した。二重エネルギーX線吸収法(DEXA)走査は全て、同じ技術者が行い、製造者の提供するソフトウェア(enCOREバージョン7.53.002、2003年)で分析した。以下簡単に述べると、標準手順に従って対象者をスキャナに配置し、走査中約15分間、静止させる。標準的な解剖学的ランドマークを用いて腕、脚、胴のDEXA部分を連続的に得る。3コンパートメントモデルを用いて、DEXAで脂肪体重、除脂肪体重、および骨量を計算する。脂肪率は、脂肪体重を総走査質量で割って計算した。全ての走査に先立って、製造者により提供される較正ブロックを用いて品質管理較正手順を行った。この調査に先立って、除脂肪体重、骨塩量および脂肪体重の反復DEXA測定のクラス内相関係数を>0.98として、信頼度を決定した。
v)食習慣および身体活動
上記したように、本調査では、通常の食事を調査中に維持するように対象者にアドバイスを与える自由生活型の実験計画を用いた。通常の食事が維持されていることを検証するために、対象者は基準検査時、第6週および第12週に、3日間(平日2日および週末1日)の食事記録を記入した。有資格の登録栄養士が市販のソフトウェア(NutriBase IV 臨床版、アリゾナ州)を用いて全ての食事記録を分析した。食事記録の精度を向上させるために、基準検査中に全ての対象者に、食事の分量を正確に見積もる方法を教示した。実験室を訪問するたびにこの助言を受けるように義務付けた。標準的な強化マルチビタミン剤を除いて、健康補助食品の摂取は許可しなかった。
調査期間中、その時点の習慣的な身体活動のレベルを維持するように対象者にアドバイスした。身体活動レベルは、基準検査時、第6週、第12週に、フラミンガム身体活動係数(Kannel WB, Sorlie P. Some health benefits of physical activity: The Framingham Heart Study. Arch. Intern. Med. 1979、139:857-861)によって測定した。
vi)統計分析
統計分析は、Statisticaバージョン7.1(Stat Soft社、オクラホマ州タルサ)を用いて行った。対応無しのt検定とカイ二乗検定とによってベースライン時のグループ間の差異を分析した。最後の因子について反復測定のある、2×2または2×3(群数×時間)の一変量分散分析(univariate ANOVA)を用いてグループ間の経時の差異を分析した。本調査では脱落があったため、LOCF法(last observation carried forward method)を用いて包括解析(ITT)を行った。ITT法では、検査を完了したか否か、手順を順守しているか否かにかかわらず、全てのランダム化した対象者のデータをデータ分析に含めた。これに対して、健康補助食品についてのほとんどの研究では「パープロトコル(per protocol)」分析が用いられており、不適合の対象者または脱落した対象者は除外されている。ITT分析についての議論は本検討の範囲に入らないが、ITTは偏向を受けにくいため、臨床効果研究についてデータ分析を行う好ましい方法であると多くの研究者は考えている。顕著な相互作用が観察された場合には、フィッシャーの最小有意差(LSD)事後検定を行った。相互作用項が「わずかに有意」(すなわち0.05<P<0.10)の場合、被処理群内の第0日〜第84日の変化を、対応のあるt検定で評価した。P<0.05の場合、差異が統計的に有意であるとみなした。この2×3型の検出力分析は、1グループあたり10〜15対象者の標本サイズが、デルタ値0.75〜1.25の中位の検出力(>=0.80)を生じることを示していた。
結果
表1は、対象者の基本特性を示す。両方のグループは、全米コレステロール教育プログラムの成人治療委員会IIIによる、メタボリック症候群の判定基準を満たしていた。具体的には、両方のグループは、FBG>110mg/dL(シヌリン:116±13、プラセボ:112±10)、収縮期BP>130mmHg(シヌリン:133±14、プラセボ:133±22)およびトリアシルグリセロール>150mg/dL(シヌリン:166±142、プラセボ:165±107)であった。概して、ベースライン時の代謝または食習慣の特徴は、グループ間に顕著な違いはなかった。
Figure 2010518117
i)補給順守と有害事象
補給計画の服薬順守は、各対象者が実際に飲んだカプセル数を、調査期間にわたって飲むべきカプセル数で割った数値として定義した。シヌリン群から脱落した1名を除いて、服薬順守は両方の群において>97%であった。有害事象は、対象者による自発報告と、研究スタッフによる自由回答式の質問とに基づいている。実験中、どちらのグループにも有害事象は報告されなかった。
ii)心拍数(HR)および血圧(BP)
12週後、プラセボ群の対象者のSBP(133±22mmHg[事前]〜142±20mmHg[事後])と比較して、シヌリン群の対象者において、SBPが3.8%低下した(133±14mmHg[事前]〜128±18mmHg[事後]、P<0.001)。どちらの群においても、群間または群内で、拡張期血圧(シヌリン:83±6mmHg[事前]〜84±9mmHg[事後];プラセボ:83±14mmHg[事前]〜86±12mmHg[事後]、P<0.32)またはHR(シヌリン:69±14拍/分[事前]〜69±12拍/分[事後];プラセボ:71±15拍/分[事前]〜74±8拍/分[事後]、P<0.73)における変化は見られなかった。
iii)血液化学
図2に、調査中のFBGの変化を示す。プラセボ群の対象者のFBG(112.0±10.0mg/dL[事前]〜113.1±14.7mg/dL[事後])と比較して、シヌリン群の対象者において、FBGが顕著に低下した(−8.4%:116.3±12.8mg/dL[事前]〜106.5±20.1mg/dL[事後]、P<0.01)。BUN、クレアチニン、ビリルビン、アルカリフォスファターゼ、AST(SGOT)、ALT(SGPT)、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、アルブミン、グロブリン、CO、総タンパク質、総コレステロール、HDL−C、LDL−C、VLDL−Cまたはトリグリセリドについてはグループ間の効果の差は見られず、全ての値が臨床上の正常な範囲内にあった(表2)。
Figure 2010518117
Figure 2010518117
iv)身体組成
図2に、調査中の身体組成の変化を示す。シヌリン群の対象者は除脂肪体重が1.1%増加し(53.7±11.8kg[事前]〜54.3±11.8kg[事後]、P<0.002)、体脂肪が0.7%低下した(37.9±9.2%[事前]〜37.2±8.9%[事後];群内分析、P<0.02)。プラセボ群では除脂肪体重(43.9±11.1kg[事前]〜43.1±10.9kg[事後])または脂肪体重(43.8±8.0%[事前]〜44.2±9.0%[事後])に変化は見られなかった。除脂肪体重の基礎値の有意性は僅かであった(P<0.06)ため、第0週除脂肪体重を共変量として用いて共分散分析(ANCOVA)も行った。その結果、第12週の除脂肪体重はシヌリン群において有意に大きい(P<0.004)ことが確認された。
v)食習慣および身体活動
表3は、調査中に得た、3日間の食事の総摂取量を示す。調査中、シヌリン群の対象者が総カロリーをより多く消費する傾向があったが(P<0.07)、一日当たりの総エネルギーまたは主要栄養素摂取量に変化は見られなかった。群内変化を調べる追加検査(対応のあるt検定を使用)を行ったところ、第12週(P<0.04)中に、シヌリン群の対象者は、より著しく多くの総エネルギーを摂取していたことが示された。グループ間で、習慣的な身体活動の経時変化は起こらなかった(データ示さず)。
Figure 2010518117
上記から、本明細書に記載する種類のシナモン抽出物が、シンドロームXに関連する複数の症候を治療することが立証された。
本明細書において言及された全ての特許または公報は、公報それぞれが具体的かつ個々に引用されて組み込まれるのと同じ程度に、ここに引用することでその内容を含むものとする。
目的を実施しかつ記載のまたは固有の結果と利点とを得るように、本発明をうまく適応できることが当業者には容易に理解されよう。本明細書に記載の装置と方法は好ましい実施形態の代表例であり、本発明の範囲を限定することを企図していない。改変およびその他の用途が当業者に着想されうる。このような改変とその他の用途は、請求項に記載される本発明の範囲から逸脱することなく為すことができる。

Claims (9)

  1. 対象者におけるシンドロームX関連の危険因子を低減する方法であって、
    前記対象者は前糖尿病性であり、
    治療上効果のある量のシナモン抽出物を対象者に投与するステップを含む方法。
  2. 前記危険因子は、NCEP−ATP−IIIに定義されるように、異常収縮期血圧、異常空腹時血糖、異常ボディマス指数、異常高密度リポタンパク、異常低密度リポタンパク、異常血中トリグリセリドからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記治療上効果のある量のシナモン抽出物は、経口で、静脈注射で、筋肉注射で、腹腔内注射で、あるいは経皮で投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記治療上効果のある量のシナモン抽出物は、タブレット、坐薬、丸薬、カプセル、粉末、液体、懸濁液からなる群より選択される形態で経口投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記治療上効果のある量のシナモン抽出物の補給剤は、所定量のポリフェノールA型ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 治療上効果のある量のシナモン抽出物を対象者に投与するステップを含む、対象者におけるシンドロームX関連危険因子を除去する方法。
  7. 治療上効果のある量のシナモン抽出物を対象者に投与するステップを含む、対象者における少なくとも3種のシンドロームX関連危険因子を同時に低減する方法。
  8. 既知濃度の少なくとも1種の生物活性ポリマーを含むシナモン抽出物を含む、対象者におけるシンドロームX関連危険因子を低減する組成物。
  9. 前記生物活性ポリマーは、ポリフェノールA型ポリマーであることを特徴とする請求項8に記載の組成物。
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