JP2010281789A - 静電型デバイス - Google Patents

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Masaya Tamura
昌弥 田村
Tadayuki Okawa
忠行 大川
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Abstract

【課題】 陽極接合時に可動部とガラス基板とが接合するのを防止する。
【解決手段】 第1,第2のガラス基板2,3の間に、厚さ方向に変位可能な可動部6を備えたシリコン基板4を挟む。第2のガラス基板3のキャビティ3A内には、可動部6と対向した固定電極9を設けると共に、可動部6と電気的に接続されて固定電極9を取囲む同電位電極10を設ける。また、キャビティ3Aの底面には、層間絶縁膜11を挟んで固定電極9および同電位電極10と対向した下地電極12を設ける。下地電極12は、固定電極9に接続された第1の電極部12Aと、同電位電極10と接続された第2の電極部12Bとを備える。そして、第2の電極部12Bは固定電極9および同電位電極10の間の隙間Gを覆い、隙間Gと対向した部分はシールド部13を形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば加速度センサ、角速度センサ等に好適に用いられる静電型デバイスに関する。
一般に、静電型デバイスとして、ガラス基板の表面にシリコン基板を設け、該シリコン基板に厚さ方向に変位可能な可動部を形成すると共に、ガラス基板に該可動部と対向した固定電極を設けた加速度センサが知られている(例えば、特許文献1参照)。この加速度センサでは、可動部と固定電極との間の静電容量を検出することによって、センサに作用した加速度を検出する構成となっている。
また、特許文献1による加速度センサでは、ガラス基板には固定電極の周囲に位置して可動部と同電位となる同電位電極を設けている。これにより、ガラス基板とシリコン基板とを陽極接合するときに、可動部がガラス基板に接合するのを防止している。
特開平5−172846号公報
ところで、上述した特許文献1に記載された加速度センサでは、陽極接合時に可動部とガラス基板との間に生じる静電力を、同電位電極を用いて遮断している。しかし、固定電極と同電位電極とは、互いに絶縁する必要があるから、固定電極と同電位電極との間には隙間が生じると共に、該隙間にはガラス基板が露出する。このため、ガラス基板の露出している箇所と可動部との間には静電力が作用するから、陽極接合時にガラス基板の露出している箇所に可動部が接触して、可動部とガラス基板とが接合される虞れがある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、陽極接合時に可動部とガラス基板とが接合するのを防止することができる静電型デバイスを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、ガラス基板と、該ガラス基板に設けられ厚さ方向に変位可能な可動部を有するシリコン基板と、前記ガラス基板に設けられ前記可動部と対向した位置に配置された固定電極と、該固定電極と絶縁されて前記ガラス基板に設けられ前記可動部と同電位となる同電位電極とを備えた静電型デバイスに適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記固定電極と同電位電極との間には水平方向の隙間を形成し、前記固定電極および同電位電極のうち厚さ方向に対して前記可動部と反対側となる位置には、層間絶縁膜を挟んで前記固定電極および同電位電極と対向した下地電極を設け、該下地電極は、前記固定電極と同電位電極との間の隙間を覆い、前記固定電極および同電位電極のうちいずれか一方に電気的に接続されたシールド部を備える構成としたことにある。
請求項2の発明では、前記下地電極は、前記固定電極に電気的に接続された第1の電極部と、前記同電位電極に接続された第2の電極部とからなり、前記シールド部は、前記第1の電極部を用いて形成している。
請求項3の発明では、前記下地電極は、前記シールド部を含めた全体が前記同電位電極に接続されている。
また、請求項4の発明が採用する構成の特徴は、前記固定電極は、少なくともその周縁部分が絶縁膜を挟んで前記同電位電極と厚さ方向で重なり合う構成としたことにある。
請求項1の発明によれば、固定電極および同電位電極のうち厚さ方向に対して可動部と反対側となる位置には層間絶縁膜を挟んで対向した下地電極を設けると共に、該下地電極には、固定電極と同電位電極との間の隙間を覆うシールド部を形成した。このため、シールド部を固定電極および同電位電極のうちいずれか一方に電気的に接続することによって、シールド部を用いて陽極接合時に固定電極と同電位電極との間の隙間で生じる静電力を確実に遮断することができる。これにより、可動部とガラス基板との接合を防止して、製造時の歩留まりを向上することができる。
請求項2の発明によれば、固定電極に電気的に接続された第1の電極部を用いてシールド部を形成したから、固定電極の面積を実質的に大きくすることができる。これにより、固定電極およびシールド部と可動部との間の静電容量を大きくすることができ、可動部の変位の検出感度を高めることができる。
請求項3の発明によれば、下地電極はシールド部を含めた全体が同電位電極に接続される構成としたから、外部からのノイズを下地電極全体で遮断することができ、耐ノイズ性能を高めることができる。
また、請求項4の発明によれば、固定電極は少なくともその周縁部分が絶縁膜を挟んで同電位電極と厚さ方向で重なり合う構成としたから、固定電極および同電位電極でガラス基板を隙間なく覆うことができる。このため、陽極接合時にガラス基板と可動部との間に生じる電界を、固定電極および同電位電極で確実に遮断することができ、可動部とガラス基板との接合を防止して、製造時の歩留まりを向上することができる。
本発明の第1の実施の形態による加速度センサを示す分解斜視図である。 図1中の加速度センサを示す縦断面図である。 加速度センサを図2中の矢示III−III方向からみた断面図である。 固定電極、同電位電極等を図2中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。 第1のガラス基板接合工程により第1のガラス基板にシリコン基板を接合した状態を示す縦断面図である。 表面研磨工程によりシリコン基板の表面を研磨した状態を示す縦断面図である。 可動部形成工程によりシリコン基板に支持部、可動部、支持梁等を形成した状態を示す縦断面図である。 第2のガラス基板形成工程により第2のガラス基板に固定電極、同電位電極、下地電極等を形成した状態を示す縦断面図である。 第2のガラス基板接合工程によりシリコン基板に第2のガラス基板を接合する状態を示す縦断面図である。 本発明の第2の実施の形態による加速度センサを示す図2と同様な位置の縦断面図である。 本発明の第3の実施の形態による加速度センサを示す図2と同様な位置の縦断面図である。 第4の実施の形態による角速度センサを第2のガラス基板を除いた状態で示す平面図である。 図12中の角速度センサの要部を拡大して示す平面図である。 角速度センサを図12中の矢示XIV−XIV方向からみた断面図である。 角速度センサを検出質量部がZ軸方向に振動した状態で示す図14と同様位置の断面図である。 第2のガラス基板を図14中の矢示XVI−XVI方向からみた断面図である。 固定側検出電極および層間絶縁膜を省いた状態で第2のガラス基板を示す図16と同様位置の断面図である。 角速度センサを示す模式的な説明図である。 角速度センサを駆動質量部が振動した状態で示す模式的な説明図である。 角速度センサの振動制御回路および角速度検出回路を示す回路構成図である。 本発明の第5の実施の形態による加速度センサを示す図2と同様な位置の縦断面図である。 変形例による加速度センサを示す図2と同様な位置の縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態による静電型デバイスを、添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1ないし図9は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、静電型デバイスとして加速度センサを例に挙げて述べる。
図中、加速度センサ1は、第1,第2のガラス基板2,3と、これらのガラス基板2,3に挟まれたシリコン基板4によって形成されている。ここで、ガラス基板2,3は、例えば絶縁性を有するガラス材料等からなり、数ミリ程度の大きさの四角形状に形成されている。
また、第2のガラス基板3のうちシリコン基板4と対向した裏面(対向面)側には、その中央部分に位置して厚さ方向に窪んだ四角形状のキャビティ3Aが形成されている。そして、ガラス基板2,3の間には、キャビティ3Aと対応した位置に後述の可動部6を収容する収容空間Sが画成されている。このとき、第2のガラス基板3は、収容空間Sを施蓋する蓋体を構成している。また、ガラス基板2,3およびシリコン基板4は、互いに直交する3軸方向をX軸,Y軸およびZ軸としたときに、例えばX軸およびY軸に沿って水平方向に広がっている。
一方、シリコン基板4は、例えば導電性を有する低抵抗なシリコン材料を用いて形成されている。そして、シリコン基板4には、後述する支持部5、可動部6、支持梁7、電極支持部8が形成されている。
支持部5は、シリコン基板4に形成され、第1,第2のガラス基板2,3に接合されて固定されている。また、支持部5は、例えばガラス基板2,3の周縁に沿って延びる四角形の枠状に形成された支持枠部5Aと、該支持枠部5Aから中央側に向けて突出した連結固定部5Bとによって構成されている。
ここで、支持枠部5Aは、可動部6、支持梁7等を取囲んでいる。そして、支持枠部5Aは、数十μm程度の厚さ寸法を有し、ガラス基板2,3に接合されている。これにより、支持枠部5Aは、ガラス基板2,3の間に可動部6等を収容する気密状態の収容空間Sを保持している。一方、連結固定部5Bは、例えばX軸方向の一側に配置されると共に、支持枠部5Aに接続されている。
可動部6は、シリコン基板4に形成され、後述の支持梁7を用いて連結固定部5Bに支持されている。この可動部6は、ガラス基板2,3の中央側に配置され、厚さ方向(Z軸方向)に変位可能な状態となっている。ここで、可動部6は、例えば四角形の平板状に形成され、支持部5よりも小さい厚さ寸法を有している。
そして、可動部6はガラス基板2,3と間隔をもって対面し、可動部6とガラス基板2,3との間にはそれぞれ隙間が形成されている。これにより、可動部6は、加速度による慣性力に応じて厚さ方向に変位する。また、可動部6は、支持部5等と一緒に低抵抗なシリコン材料を用いて形成され、後述の支持梁7を通じて連結固定部5Bに電気的に接続されている。これにより、可動部6は、厚さ方向の位置に応じて後述の固定電極9との間の静電容量が変化する可動側の検出電極を構成している。また、可動部6には、厚さ方向に貫通した複数の貫通孔6Aが形成されている。
支持梁7は、可動部6と支持部5との間に例えば2本設けられ、厚さ方向に変位可能となるように可動部6を片持ち状態で支持している。これらの支持梁7は、例えばクランク状に屈曲した梁として形成され、ガラス基板2,3の間に位置して水平方向に延びると共に、これらのガラス基板2,3から垂直方向(厚さ方向)に離間している。
また、各支持梁7は、基端側が連結固定部5Bに連結され、先端側が可動部6に連結されている。そして、支持梁7は、可動部6がガラス基板2,3に向けて変位するときに、垂直方向に対して捩れ変形または撓み変形するものである。さらに、支持梁7は、例えば可動部6と同じ厚さ寸法を有している。これにより、支持梁7は、垂直方向に向けて容易に変形できる構成となっている。
電極支持部8は、シリコン基板4に形成され、支持部5と同様にガラス基板2,3に接合されて固定されている。但し、電極支持部8は、支持部5から離間し、支持部5と絶縁されている。また、電極支持部8は、例えば四角形の島状に形成され、X軸方向の他側に配置されている。そして、電極支持部8は、後述する固定電極9に電気的に接続されている。
固定電極9は、可動部6と対向する位置で第2のガラス基板3の裏面側に設けられている。この固定電極9は、ガラス基板3のキャビティ3A内に配置されると共に、後述の下地電極12および層間絶縁膜11を挟んでガラス基板3のキャビティ3Aの底面と対面している。また、固定電極9は、例えばプラチナ/クロム(Pt/Cr)、金/クロム(Au/Cr)、プラチナ/チタン(Pt/Ti)等の導電性の金属薄膜によって形成されている。
一方、固定電極9は、ほぼ全面に亘って可動部6と対面すると共に、X軸方向の他側に向けて延びる配線部9Aを備えている。この配線部9Aの先端は、電極支持部8に接触している。これにより、固定電極9は、電極支持部8を通じて後述する固定側引出電極16に接続されている。そして、固定電極9は、厚さ方向に対する可動部6の変位を検出する固定側の検出電極を構成している。
同電位電極10は、第2のガラス基板3の裏面側に設けられ、固定電極9と同様に層間絶縁膜11の裏面に設けられている。この同電位電極10は、例えば固定電極9と同じ導電性の金属薄膜を用いて形成され、後述の下地電極12および層間絶縁膜11を挟んでガラス基板3のキャビティ3Aの底面と対面している。また、同電位電極10は、固定電極9を取囲むC字状に形成されると共に、固定電極9との間には水平方向の隙間Gが形成されている。このため、同電位電極10と固定電極9とは、互いに絶縁されている。
一方、同電位電極10は、X軸方向の一側に向けて延びる配線部10Aを備えている。この配線部10Aの先端は、支持部5の連結固定部5Bに接触している。即ち、同電位電極10は、支持部5、支持梁7を通じて可動部6に電気的に接続され、可動部6と同電位となっている。これにより、同電位電極10は、陽極接合時に可動部6とガラス基板3との間に静電力が作用するのを防止し、可動部6がガラス基板3に付着して固定させるのを防止するスティッキング防止電極を構成している。また、同電位電極10は、固定電極9と厚さ方向の同じ位置に配置され、固定電極9と一緒に可動部6側に露出した最表層電極層を形成している。
層間絶縁膜11は、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料によって形成され、固定電極9と同電位電極10からなる最表層電極層と後述の下地電極12(下地電極層)との間に設けられている。ここで、層間絶縁膜11は、ガラス基板3のキャビティ3A内に設けられると共に、下地電極12を全面に亘って覆っている。また、層間絶縁膜11には、固定電極9と対向した位置に第1の貫通孔11Aが形成されると共に、同電位電極10と対向した位置に第2の貫通孔11Bが形成されている。
下地電極12は、ガラス基板3のキャビティ3Aの底面に設けられ、層間絶縁膜11によって覆われている。この下地電極12は、相互の間が絶縁された第1,第2の電極部12A,12Bによって下地電極層を構成している。ここで、第1の電極部12Aは、固定電極9と対向した位置に配置され、例えば固定電極9よりも小さい面積をもって形成されている。そして、第1の電極部12Aは、第1の貫通孔11Aを通じて固定電極9に対して電気的に接続されている。
一方、第2の電極部12Bは、同電位電極10と対向した位置に配置され、同電位電極10と同様にC字状に形成されている。また、第2の電極部12Bは、第2の貫通孔11Bを通じて同電位電極10に対して電気的に接続されている。
そして、第2の電極部12Bは、固定電極9と同電位電極10との間の隙間Gを覆っている。これにより、第2の電極部12Bのうち隙間Gと対向した部分はシールド部13を構成し、該シールド部13は、陽極接合時にガラス基板3と可動部6との間で発生する静電力を遮断し、可動部6がガラス基板3側に引き寄せられて付着するのを防止している。
ストッパ14は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁材料によって形成され、固定電極9および同電位電極10の裏面(露出面)にそれぞれ複数個設けられている。そして、ストッパ14は、可動部6に向けて突出し、可動部6と固定電極9および同電位電極10とが接触するのを防止し、これらが電気的に短絡するのを防止している。
可動側引出電極15は、第2のガラス基板3のうち連結固定部5Bと対応した位置に配置され、連結固定部5Bおよび支持梁7を通じて可動部6に電気的に接続されている。そして、可動部用引出電極15は、例えばレーザー加工、サンドブラスト法、マイクロブラスト法等を用いることによってガラス基板3に厚さ方向に貫通した信号用のビアホール(スルーホール)を穿設し、このスルーホール内に銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の導電性の金属膜を設けることによって形成されている。
固定側引出電極16は、第2のガラス基板3のうち電極支持部8と対応した位置に配置され、電極支持部8を通じて固定電極9に電気的に接続されている。そして、固定側引出電極16は、可動側引出電極15と同様に、基板2,3を貫通したスルーホール内に銅(Cu)等の導電性の金属膜を設けることによって形成されている。
また、引出電極15,16は、外部の検出回路等に接続される。そして、検出回路は、引出電極15,16間の静電容量に応じた信号を検出する。この検出信号の出力は可動部6の変位に応じて変化するから、検出回路は、この検出信号の出力を用いて、加速度センサ1に作用する加速度を検出することができる。
本実施の形態による加速度センサ1は上述のように構成されるもので、次にその作動について説明する。
まず、加速度センサ1に加速度が作用すると、可動部6は慣性力によってガラス基板2,3の厚さ方向に変位する。このとき、可動部6と固定電極9との間の静電容量C1が増加または減少する。このため、外部の検出回路は、引出電極15,16を用いて可動部6と固定電極9との間の静電容量C1に応じた信号を検出し、この検出信号を用いて、加速度センサ1に作用する加速度を検出する。
次に、図5ないし図9を参照しつつ、加速度センサ1の製造方法について説明する。
まず、図5に示す第1のガラス基板接合工程では、加工前のシリコン基板21を用意する。そして、シリコン基板21の裏面側にエッチング処理等を施して、凹陥部21Aを形成する。このとき、凹陥部21Aの露出面には、保護膜として例えばアルミニウム等からなる薄い金属膜を設ける構成としてもよい。そして、この状態で、例えば陽極接合法等を用いて、シリコン基板21の裏面側を第1のガラス基板2に接合する。
次に、図6に示す表面研磨工程では、例えば図5中に二点鎖線で示す位置までシリコン基板21の表面側に研削、研磨処理を施し、シリコン基板21を薄く加工する。これにより、例えば数十μm程度の厚さ寸法をもったシリコン基板22が形成される。その後、シリコン基板22の表面には、連結固定部5Bおよび電極支持部8となる位置に導電性の金属薄膜からなるコンタクト部23を形成する。具体的には、コンタクト部23は、例えば厚さが80nmのプラチナと厚さが20nmのクロムを積層したプラチナ/クロムの金属薄膜によって形成されている。そして、コンタクト部23は、固定電極9および連結固定部5Bに強く密着した密着層を形成し、同電位電極10と電極支持部8との電気的な接続を高めるものである。
次に、図7に示す可動部形成工程では、シリコン基板22の表面にフォトレジスト等を塗布して、所定のパターニングを行い、支持部5、可動部6、支持梁7等に対応した位置にマスクを形成する。この状態で、シリコン基板22が貫通するまでシリコン基板22の表面からエッチング処理を施し、シリコン基板22のうち不要な部分を除去する。これにより、支持部5、可動部6および支持梁7を備えたシリコン基板4が形成される。なお、シリコン基板22の凹陥部21Aに保護膜を形成した場合には、シリコン基板22のエッチング処理の後に、保護膜を除去するための他のエッチング処理を行う。そして、可動部形成工程が終了すると、可動部6は厚さ方向に変位可能な状態となる。
一方、図8に示す第2のガラス基板形成工程では、加速度センサ1の第2のガラス基板3となる絶縁性のガラス基板24を用意する。そして、ガラス基板24の裏面には、例えばクロム(Cr)、金(Au)等の金属マスクを通じてバッファードフッ酸(BHF)を用いたエッチング処理を行う。これにより、ガラス基板24の裏面には、キャビティ3Aが形成される。次に、キャビティ3Aの底面に、例えばスパッタ、蒸着法等を用いてクロム、チタン等の導電性の金属薄膜を形成し、該金属薄膜にパターニングを施して下地電極12を形成する。
その後、下地電極12を覆って例えば酸化シリコン、窒化シリコン等の絶縁材料からなる層間絶縁膜11を形成する。このとき、層間絶縁膜11にも、パターニングを施して下地電極12の第1,第2の電極部12A,12Bと対応した位置に貫通孔11A,11Bをそれぞれ形成する。さらに、層間絶縁膜11の裏面には、プラチナ/クロム等の導電性の金属薄膜を形成し、該金属薄膜にパターニングを施すことによって固定電極9および同電位電極10を形成する。このとき、固定電極9は貫通孔11Aを通じて第1の電極部12Aに電気的に接続され、同電位電極10は貫通孔11Bを通じて第2の電極部12Bに電気的に接続される。以上の工程によって、固定電極9、同電位電極10、下地電極12等を備えた第2のガラス基板3が形成される。
次に、図9に示す第2のガラス基板接合工程では、シリコン基板4に第2のガラス基板3を積み重ねた状態で、これらを陽極接合法を用いて接合する。具体的には、シリコン基板4の表面に第2のガラス基板3の裏面側を接触させた状態で、これらの第1,第2のガラス基板2,3およびシリコン基板4を例えば導電性金属材料からなる一対の電極治具25A,25Bの間に挟む。
このとき、第1のガラス基板2の裏面には電極治具25Aによって電圧源26から正側の電圧V+が印加されるから、この電圧V+は第1のガラス基板2内の抵抗Rを通じてシリコン基板4に供給される。このため、シリコン基板4は、抵抗R分だけ電位が下がるが、シリコン(Si)全体に亘って正の電位で、かつ同電位となる。一方、第2のガラス基板3の表面には電極治具25Bによって電圧源26から負側の電圧V−(例えばグランド電圧)が印加されるから、これにより、シリコン基板4と第2のガラス基板3との間に静電力が作用して強く引き付け合い、支持部5および電極支持部8は第2のガラス基板3に接合される。
この結果、第1,第2のガラス基板2,3間には気密状態の収容空間Sが画成されると共に、収容空間S内には可動部6が配置される。そして、可動部6は、厚さ方向に変位可能な状態でガラス基板2,3の固定電極9と対向した位置に配置される。また、固定電極9、同電位電極10とコンタクト部23とは、陽極接合時の静電力によって例えば互いのプラチナが強く押付けられて接触する。これにより、固定電極9は電極支持部8に電気的に接続され、同電位電極10は連結固定部5Bに電気的に接続される。
最後に、第2のガラス基板2のうち連結固定部5Bおよび電極支持部8と対応した位置にスルーホールを形成し、このスルーホール内に銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の導電性の金属膜を設ける。これにより、可動部6に接続された可動側引出電極15と、固定電極9に接続された固定側引出電極16とがそれぞれ形成され、加速度センサ1が完成する(図2参照)。
然るに、固定電極9はシリコン基板4の電極支持部8に接続され、同電位電極10はシリコン基板4の連結固定部5Bに接続されている。このため、シリコン基板4に第2のガラス基板3を接合する陽極接合時(第2のガラス基板接合工程)に、シリコン基板4と第2のガラス基板3との間に電位差が生じても、固定電極9および同電位電極10は可動部6と同じ電位となる。この結果、可動部6と固定電極9との間の静電容量C1に静電力が作用することはないのに加え、可動部6と同電位電極10との間の静電容量C2に静電力が作用することもない。
一方、従来技術のように、下地電極12を設けない場合には、固定電極9と同電位電極10との間の隙間Gでガラス基板3が露出するから、陽極接合時にこの隙間Gの部分と可動部6との間の静電容量C3には静電力が作用する。このとき、可動部6はその厚さ方向に変位可能に形成されるので、僅かな力が作用したときでも容易に変形する傾向がある。さらに、電極治具25Bを下側に配置した状態、即ち第2のガラス基板3を裏返した状態で陽極接合を行うこともあり、この場合には可動部6はその重さによってガラス基板3側に近付く。このため、従来技術では、可動部6がガラス基板3側に変位して隙間Gの部分でガラス基板3に接合される虞れがあった。
これに対し、本実施の形態では、固定電極9および同電位電極10と層間絶縁膜11を介して対向した下地電極12を設け、該下地電極12によって隙間Gを覆う構成とした。このとき、下地電極12は固定電極9および同電位電極10のいずれかに電気的に接続されているから、下地電極12も可動部6と同じ電位となっている。このため、下地電極12によって隙間Gの部分での陽極接合時の電界を遮断することができるから、可動部6とガラス基板3との接合を防止することができる。
かくして、本実施の形態では、第2のガラス基板3には固定電極9および同電位電極10と層間絶縁膜11を挟んで対向した下地電極12を設けると共に、該下地電極12には、固定電極9と同電位電極10との間の隙間Gを覆うシールド部13を形成した。このため、シールド部13を同電位電極10に電気的に接続することによって、シールド部13を用いて陽極接合時に固定電極9と同電位電極10との間の隙間Gで生じる静電力を確実に遮断することができる。これにより、可動部6とガラス基板3との接合を防止して、製造時の歩留まりを向上することができる。
次に、図10は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、下地電極のうち固定電極に電気的に接続された第1の電極部を用いてシールド部を形成したことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態による加速度センサ31は、第1の実施の形態による加速度センサ1とほぼ同様に、第1,第2のガラス基板2,3と、これらのガラス基板2,3に挟まれたシリコン基板4とによって形成されている。そして、シリコン基板4には、支持部5、可動部6、支持梁7等が形成されると共に、第2のガラス基板3には、固定電極9および同電位電極10が設けられている。
下地電極32は、ガラス基板3のキャビティ3Aの底面に設けられ、層間絶縁膜11によって覆われている。この下地電極32は、相互の間が絶縁された第1,第2の電極部32A,32Bによって下地電極層を構成している。ここで、第1の電極部32Aは、固定電極9と対向した位置に配置され、例えば固定電極9よりも大きい面積をもって形成されている。そして、第1の電極部32Aは、第1の貫通孔11Aを通じて固定電極9に対して電気的に接続されている。
一方、第2の電極部32Bは、同電位電極10と対向した位置に配置され、同電位電極10と同様にC字状に形成されている。また、第2の電極部32Bは、第2の貫通孔11Bを通じて同電位電極10に対して電気的に接続されている。
そして、第1の電極部32Aは、固定電極9と同電位電極10との間の隙間Gを覆っている。これにより、第1の電極部32Aのうち隙間Gと対向した部分は、隙間Gの位置でガラス基板3と可動部6との間の電界を遮断するシールド部33を構成している。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、固定電極9に電気的に接続された第1の電極部32Aを用いてシールド部33を形成したから、固定電極9の面積を実質的に大きくすることができる。これにより、固定電極9およびシールド部33と可動部6との間の静電容量を大きくすることができ、可動部6の変位の検出感度を高めることができる。
次に、図11は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、下地電極は、シールド部を含めた全体が同電位電極に接続される構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第3の実施の形態による加速度センサ41は、第1の実施の形態による加速度センサ1とほぼ同様に、第1,第2のガラス基板2,3と、これらのガラス基板2,3に挟まれたシリコン基板4とによって形成されている。そして、シリコン基板4には、支持部5、可動部6、支持梁7等が形成されると共に、第2のガラス基板3には、固定電極9および同電位電極10が設けられている。
層間絶縁膜42は、第1の実施の形態による層間絶縁膜11とほぼ同様に形成され、後述の下地電極43を覆ってガラス基板3のキャビティ3A内に設けられている。そして、層間絶縁膜42は固定電極9と同電位電極10と下地電極43との間に位置すると共に、層間絶縁膜42には、同電位電極10と対応した位置に貫通孔42Aが形成されている。
下地電極43は、ガラス基板3のキャビティ3Aの底面に設けられ、層間絶縁膜11によって覆われている。この下地電極43は、例えばキャビティ3Aの底面全体を覆う単一の金属薄膜によって形成されている。そして、下地電極43は、固定電極9よりも大きい面積をもって形成され、固定電極9および同電位電極10と対向している。また、下地電極43は、その全体が貫通孔42Aを通じて同電位電極10に対して電気的に接続されている。そして、下地電極43は、固定電極9と同電位電極10との間の隙間Gを覆っている。これにより、下地電極43のうち隙間Gと対向した部分はシールド部44を構成している。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、下地電極43はシールド部44を含めた全体が同電位電極10に接続される構成としたから、外部からのノイズを下地電極43全体で遮断することができ、固定電極9にノイズが混入するのを防止して、耐ノイズ性能を高めることができる。
次に、図12ないし図20は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、静電型デバイスとして2軸周りの角速度を検出することができる角速度センサに適用する構成としたことにある。
図において、角速度センサ51は、第1,第2のガラス基板52,53と、これらのガラス基板52,53に挟まれたシリコン基板54によって形成されている。そして、角速度センサ51は、後述する駆動質量部56〜59、連結梁60、接続部61〜64、駆動梁65〜68、振動発生部69〜72、検出質量部74〜77、検出梁78〜81、変位検出部82〜85、振動モニタ部91〜94等によって構成されている。
第1のガラス基板52は、角速度センサ51のベース部分を構成している。そして、ガラス基板52は、ガラス材料を用いて四角形の平板状に形成され、互いに直交するX軸,Y軸およびZ軸方向のうち、例えばX軸およびY軸方向に沿って水平に延びている。
第2のガラス基板53は、ガラス材料を用いて四角形の板状に形成され、陽極接合によってシリコン基板54に接合されている。このガラス基板53は、駆動質量部56〜59、連結梁60、接続部61〜64、駆動梁65〜68等を施蓋する蓋体を構成している。また、ガラス基板53には、検出質量部74〜77等との対向面(裏面)側に、略円形状に凹陥したキャビティ53Aが形成されている。そして、キャビティ53Aは、駆動質量部56〜59、連結梁60、接続部61〜64、駆動梁65〜68、検出質量部74〜77、検出梁78〜81、振動発生部69〜72および振動モニタ部91〜94と対向した位置に設けられている。これにより、駆動質量部56〜59、検出質量部74〜77は、ガラス基板53に接触することなく、振動変位することができる。
シリコン基板54は、例えば導電性を有する低抵抗なシリコン材料を用いて形成されている。また、シリコン基板54には、エッチング加工を施すことによって、支持部55、駆動質量部56〜59、連結梁60、接続部61〜64、駆動梁65〜68、駆動用ランド73、検出質量部74〜77、検出梁78〜81、検出用ランド86、振動モニタ部91〜94、モニタ用ランド95、シールドランド96等が形成されている。そして、シリコン基板54は、例えば陽極接合によって第1,第2のガラス基板52,53に接合されている。
なお、シリコン基板54に角速度センサ51全体を取囲む封止枠を形成し、該封止枠を用いて可動部分となる支持部55、駆動質量部56〜59、連結梁60、接続部61〜64、駆動梁65〜68等を減圧雰囲気中に封止する構成としてもよい。
支持部55は、ガラス基板52の表面に設けられている。また、支持部55は、ガラス基板52のうち角隅側の4箇所にそれぞれ配置されている。そして、4つの支持部55に取囲まれたガラス基板52の中央側部分には、駆動質量部56〜59、検出質量部74〜77等が第1のガラス基板52から浮いた状態で設けられている。また、後述する振動発生部69〜72の可動側駆動電極69A〜72A、変位検出部82〜85の可動側検出電極となる検出質量部74〜77等は、支持部55を介してグランドに接続されている。
駆動質量部56〜59は、ガラス基板52の表面と隙間をもって対向し、中心部(中心点O)に対して点対称な位置に配置されている。また、駆動質量部56〜59は、中心点Oを取囲む周方向に対して90°毎に互いに等間隔で配置されている。このため、X軸側駆動質量部56,57は、X軸に沿って配置され、中心点Oを挟んで互いに対向している。一方、Y軸側駆動質量部58,59は、X軸と直交したY軸に沿って配置され、中心点Oを挟んで互いに対向している。
また、駆動質量部56〜59は、例えば略五角形の枠状に形成されている。ここで、X軸側駆動質量部56,57は、X軸方向の内側部位が中心点Oに向けて突出し、中心点Oに近付くに従って幅寸法(Y軸方向寸法)が徐々に小さくなっている。同様に、Y軸側駆動質量部58,59は、Y軸方向の内側部位が中心点Oに向けて突出し、中心点Oに近付くに従って幅寸法(X軸方向寸法)が徐々に小さくなっている。また、駆動質量部56〜59の内径側の突出部分(頂点部分)には、中心点Oに向けて突出した接続用腕部56A〜59Aが設けられている。このとき、接続用腕部56A〜59Aは、X軸、Y軸およびZ軸のいずれの方向にも撓み変形しないように、高い剛性を有している。そして、接続用腕部56A〜59Aの先端部位が、例えば駆動質量部56〜59がX−Y平面上で振動するときの支点となっている。
連結梁60は、中心点Oを取囲む環状に形成され、駆動質量部56〜59を互いに連結する。具体的には、連結梁60は、例えば略円形の細長い枠状に形成され、X軸方向の両端側部位およびY軸方向の両端側部位がそれぞれ接続用腕部56A〜59Aの先端に接続されている。そして、駆動質量部56〜59がガラス基板52と水平な状態で中心点Oを取囲む周方向に駆動振動したときに、連結梁60全体が楕円形状となるように撓み変形する(図19参照)。これにより、連結梁60は、各駆動質量部56〜59の駆動振幅および位相が一致するように調整する。なお、連結梁60は、円形に限らず、例えば四角形、8角形等の多角形状に形成してもよい。
接続部61〜64は、図12および図13に示すように、中心点Oを中心として放射状に延び、連結梁60に接続されている。また、接続部61〜64は、周方向で隣合う2つの駆動質量部56〜59の間にそれぞれ位置して、中心点Oに対して点対称な位置に配置されている。このため、接続部61は駆動質量部56,58の間に配置されると共に、接続部62は駆動質量部57,59の間に配置され、これらの接続部61,62は、X軸に対して45°傾斜した軸線上に位置して互いに対向している。同様に、接続部63は駆動質量部56,59の間に配置されると共に、接続部64は駆動質量部57,58の間に配置され、これらの接続部63,64は、X軸に対して−45°傾斜した軸線上に位置して互いに対向している。これにより、接続部61,62と接続部63,64とは、互いに直交している。そして、接続部61〜64は、X軸、Y軸およびZ軸のいずれの方向にも撓み変形しないように、高い剛性を有している。
駆動梁65〜68は、接続部61〜64の先端にそれぞれ設けられ、接続部61〜64と支持部55との間を接続している。ここで、駆動梁65〜68は、例えば2本の折返した梁を互いに対向して配置することによって構成され、接続部61〜64と直交した方向に延びた細長い枠状に形成されている。そして、駆動梁65〜68は、接続部61〜64が長さ方向に変位したときに、枠内の空間が拡大、縮小するように撓み変形する。これにより、駆動梁65〜68は、連結梁60が撓み変形するときに、各接続部61〜64を長さ方向に変位可能に支持する。
振動発生部69〜72は、駆動質量部56〜59をそれぞれ駆動振動する駆動手段を構成している。そして、振動発生部69〜72は、駆動質量部56〜59の外径側に取付けられた可動側駆動電極69A〜72Aと、ガラス基板52上の駆動用ランド73に取付けられた固定側駆動電極69B〜72Bとによって構成されている。
ここで、可動側駆動電極69Aは、例えば駆動質量部56から中心点Oを中心とする径方向外側に向けて放射状に延びた3つの櫛歯状電極によって構成され、該櫛歯状電極には長さ方向に間隔をもって複数の電極板が配置されている。そして、可動側駆動電極69Aは、駆動質量部56のうちY軸方向の一側に配置されている。
また、可動側駆動電極70Aも、可動側駆動電極69Aと同様に、例えば駆動質量部57から中心点Oを中心とする径方向外側に向けて放射状に延びた3つの櫛歯状電極によって構成されている。但し、可動側駆動電極70Aは、駆動質量部57のうちY軸方向の他側に配置されている。これにより、可動側駆動電極69Aと可動側駆動電極70Aとは、中心点Oに対して点対称な位置に配置されている。
一方、可動側駆動電極71Aは、例えば駆動質量部58から中心点Oを中心とする径方向外側に向けて放射状に延びた2つの櫛歯状電極によって構成され、該櫛歯状電極には長さ方向に間隔をもって複数の電極板が配置されている。そして、可動側駆動電極71Aは、駆動質量部58のうちX軸方向の一側に配置されている。
また、可動側駆動電極72Aも、可動側駆動電極71Aと同様に、例えば駆動質量部59から中心点Oを中心とする径方向外側に向けて放射状に延びた2つの櫛歯状電極によって構成されている。但し、可動側駆動電極72Aは、駆動質量部59のうちX軸方向の他側に配置されている。これにより、可動側駆動電極71Aと可動側駆動電極72Aとは、中心点Oに対して点対称な位置に配置されている。
また、固定側駆動電極69B〜72Bは、可動側駆動電極69A〜72Aと平行な状態で径方向外側に向けて延びた櫛歯状電極によって構成されている。そして、可動側駆動電極69A〜72Aの電極板と固定側駆動電極69B〜72Bの電極板とは、互いに隙間をもって噛合している。
また、固定側駆動電極69B〜72Bは、それぞれガラス基板52に固定された4つの駆動用ランド73に取付けられ、電気的に接続されている。このとき、4つの駆動用ランド73は、例えば駆動梁67,68に接続された支持部55を挟んだ位置に設けられ、支持部55の幅方向(周方向)の両側に配置されている。これにより、固定側駆動電極69B〜72Bおよび駆動用ランド73も、可動側駆動電極69A〜72Aと同様に、中心点Oに対して点対称な位置に配置されている。
そして、固定側駆動電極69B,70Bに同じ駆動信号(電圧信号等)を印加すると、可動側駆動電極69A,70Aと固定側駆動電極69B,70Bとの間には、Y軸に沿って互いに逆方向の駆動力F1,F2(静電力)が発生する。これにより、駆動質量部56,57は、互いに逆位相でY軸方向に振動する。
一方、固定側駆動電極71B,72Bに同じ駆動信号(電圧信号等)を印加すると、可動側駆動電極71A,72Aと固定側駆動電極71B,72Bとの間には、X軸に沿って互いに逆方向の駆動力F3,F4(静電力)が発生する。これにより、駆動質量部58,59は、互いに逆位相でX軸方向に振動する。
さらに、振動発生部69〜72は、周方向で隣合う駆動質量部56〜59が逆位相となる状態で、4つの駆動質量部56〜59を中心部を取囲む周方向に向けて振動させる。このため、駆動質量部56,58が近付くときには、残余の駆動質量部57,59は互いに近付き、駆動質量部56,58と駆動質量部57,59とは互いに遠ざかる。一方、駆動質量部56,59が近付くときには、残余の駆動質量部57,58は互いに近付き、駆動質量部56,59と駆動質量部57,58とは互いに遠ざかる。
検出質量部74〜77は、駆動質量部56〜59の内部に位置して駆動質量部56〜59にそれぞれ設けられている。また、検出質量部74〜77は、駆動質量部56〜59と相似な略五角形の板状に形成されている。さらに、検出質量部74〜77は、径方向外側に向けて突出した接続用突出部74A〜77Aを備えている。そして、検出質量部74〜77は、接続用突出部74A〜77Aおよび後述の検出梁78〜81を介して駆動質量部56〜59に接続され、ガラス基板52の表面と隙間をもって対向している。そして、検出質量部74〜77は、厚さ方向に変位可能な可動部を構成している。
検出梁78〜81は、検出質量部74〜77よりも径方向外側に位置して検出質量部74〜77と駆動質量部56〜59との間に設けられ、検出質量部74〜77をガラス基板52の厚さ方向に変位可能に支持している。また、検出梁78〜81は、中心点Oを取囲む周方向に向けて延び、検出質量部74〜77がガラス基板52の厚さ方向に変位するときに、捩れ変形する捩れ支持梁を用いて形成されている。具体的には、検出梁78〜81は、折返し状態でU字状に折れ曲がった細長い板状の梁によって形成されている。
そして、検出梁78,79は、駆動質量部56,57内に位置してY軸方向に延び、長さ方向の中央部分に検出質量部74,75の接続用突出部74A,75Aが取付けられている。また、検出梁80,81は、駆動質量部58,59内に位置してX軸方向に延び、長さ方向の中央部分に検出質量部76,77の接続用突出部76A,77Aが取付けられている。これにより、検出質量部74〜77は中心点Oに近い径方向内側部分が自由端となるから、検出梁78〜81は片持ち状態で検出質量部74〜77を支持する。
そして、X軸周りの角速度Ω1が作用したときには、Y軸方向に振動する駆動質量部56,57には、角速度Ω1に応じてZ軸方向(ガラス基板52の厚さ方向)に向かうコリオリ力Fxが発生する。このとき、検出梁78,79は検出質量部74,75をZ軸方向に変位可能に支持しているから、検出質量部74,75は、角速度Ω1に応じてZ軸方向に振動する。
一方、Y軸周りの角速度Ω2が作用したときには、X軸方向に振動する駆動質量部58,59には、角速度Ω2に応じてZ軸方向(基板の厚さ方向)に向かうコリオリ力Fyが発生する。このとき、検出梁80,81は検出質量部76,77をZ軸方向に変位可能に支持しているから、検出質量部76,77は、角速度Ω2に応じてZ軸方向に振動する。
変位検出部82〜85は、検出質量部74〜77が第2のガラス基板53の厚さ方向に変位するのを検出する変位検出手段を構成している。また、変位検出部82〜85は、可動側検出電極としての検出質量部74〜77と、第2のガラス基板53に設けられた例えば導体薄膜からなる固定側検出電極82A〜85Aとによって構成されている。ここで、検出質量部74〜77と固定側検出電極82A〜85Aとは、Z軸方向で互いに対向している。
また、固定側検出電極82A〜85Aは、ガラス基板53に固定された固定電極を構成すると共に、後述の下地電極89および層間絶縁膜88を挟んでガラス基板53のキャビティ53Aの底面と対面している。また、固定側検出電極82A〜85Aは、検出質量部74〜77と対面した位置にそれぞれ配置されると共に、ガラス基板52,53に固定された4つの検出用ランド86に電気的に接続されている。このとき、4つの検出用ランド86は、駆動質量部56〜59の径方向外側に配置されている。これにより、固定側検出電極82A〜85Aおよび検出用ランド86も、検出質量部74〜77と同様に、中心点Oに対して点対称な位置に配置されている。
そして、検出質量部74〜77がZ軸方向に振動したときには、検出質量部74〜77と固定側検出電極82A〜85Aとの間の距離が変化する。これにより、検出質量部74〜77と固定側検出電極82A〜85Aとの間の静電容量Cs1〜Cs4も変化する。このため、変位検出部82〜85は、検出質量部74〜77のZ軸方向の変位量を検出質量部74〜77と固定側検出電極82A〜85Aとの間の静電容量Cs1〜Cs4の変化によって検出する。
同電位電極87は、第2のガラス基板53の裏面側に設けられ、固定側検出電極82A〜85Aと同様に層間絶縁膜88の裏面に設けられている。この同電位電極87は、例えば固定側検出電極82A〜85Aと同じ導体薄膜を用いて形成され、後述の下地電極89および層間絶縁膜88を挟んでガラス基板53のキャビティ53Aの底面と対面している。また、同電位電極87は、固定側検出電極82A〜85Aを取囲む略十字状に形成されると共に、固定側検出電極82A〜85Aとの間には隙間Gが形成されている。このため、同電位電極87と固定側検出電極82A〜85Aとは、互いに絶縁されている。
一方、同電位電極87は、径方向外側に位置して周方向に延びる配線部87Aを備えている。この配線部87Aの先端は、支持部55に接触している。即ち、同電位電極87は、支持部55、駆動梁65〜68、連結梁60、駆動質量部56〜59、検出梁78〜81等を通じて検出質量部74〜77に電気的に接続され、検出質量部74〜77と同電位となっている。これにより、同電位電極87は、陽極接合時に検出質量部74〜77とガラス基板53との間に静電力が作用するのを防止し、検出質量部74〜77がガラス基板53に固着するのを防止するスティッキング防止電極を構成している。また、同電位電極87は、固定側検出電極82A〜85Aと厚さ方向の同じ位置に配置され、固定側検出電極82A〜85Aと一緒に検出質量部74〜77側に露出した最表層電極層を形成している。
層間絶縁膜88は、絶縁材料を用いて形成され、固定側検出電極82A〜85Aおよび同電位電極87と後述の下地電極89との間に設けられている。ここで、層間絶縁膜88は、ガラス基板53のキャビティ53A内に設けられると共に、下地電極89を全面に亘って覆っている。また、層間絶縁膜88には、固定側検出電極82A〜85Aと対向した位置に第1の貫通孔88Aが形成されると共に、同電位電極87と対向した位置に第2の貫通孔88Bが形成されている。
下地電極89は、ガラス基板53のキャビティ53Aの底面に設けられ、層間絶縁膜88によって覆われている。この下地電極89は、相互の間が絶縁された第1,第2の電極部89A,89Bによって下地電極層を構成している。ここで、第1の電極部89Aは、固定側検出電極82A〜85Aと対向した位置にそれぞれ配置され、例えば固定側検出電極82A〜85Aよりも小さい面積をもって形成されている。そして、第1の電極部89Aは、第1の貫通孔88Aを通じて固定側検出電極82A〜85Aに対して電気的にそれぞれ接続されている。
一方、第2の電極部89Bは、同電位電極87と対向した位置に配置され、同電位電極87と同様に略十字状に形成されている。また、第2の電極部89Bは、第2の貫通孔88Bを通じて同電位電極87に対して電気的に接続されている。
そして、第2の電極部89Bは、固定側検出電極82A〜85Aと同電位電極87との間の隙間Gを覆っている。これにより、第2の電極部89Bのうち隙間Gと対向した部分はシールド部90を構成し、該シールド部90は、隙間Gの位置でガラス基板53と検出質量部74〜77との間の電界を遮断している。
振動モニタ部91〜94は、駆動質量部56〜59の振動方向の変位を検出するモニタ手段を構成している。そして、振動モニタ部91〜94は、駆動質量部56〜59の外径側に取付けられた可動側モニタ電極91A〜94Aと、ガラス基板52上のモニタ用ランド95に取付けられた固定側モニタ電極91B〜94Bとによって構成されている。
ここで、可動側モニタ電極91A〜94Aは、振動発生部69〜72の可動側駆動電極69A〜72Aとほぼ同様に駆動質量部56〜59から径方向外側に向けて放射状に延びた3つの櫛歯状電極によって構成されている。但し、可動側モニタ電極91A,92Aは、駆動質量部56,57を挟んで可動側駆動電極69A,70AとはY軸方向の反対側に配置されている。同様に、可動側モニタ電極93A,94Aは、駆動質量部58,59を挟んで可動側駆動電極71A,72AとはX軸方向の反対側に配置されている。
また、固定側モニタ電極91B〜94Bは、可動側モニタ電極91A〜94Aと平行な状態で径方向外側に向けて延びた櫛歯状電極によって構成されている。そして、可動側モニタ電極91A〜94Aの電極板と固定側モニタ電極91B〜94Bの電極板とは、互いに隙間をもって噛合している。
また、固定側モニタ電極91B〜94Bは、それぞれガラス基板52に固定された4つのモニタ用ランド95に取付けられ、電気的に接続されている。このとき、4つのモニタ用ランド95は、例えば駆動梁65,66に接続された支持部55を挟んだ位置に設けられ、支持部55の幅方向(周方向)の両側に配置されている。そして、可動側モニタ電極91A〜94A、固定側モニタ電極91B〜94Bおよびモニタ用ランド95は、中心点Oに対して点対称な位置に配置されている。
ここで、駆動質量部56,57がY軸方向に変位したときには、可動側モニタ電極91A,92Aと固定側モニタ電極91B,92Bとの間の静電容量Cm1,Cm2が変化する。また、駆動質量部58,59がX軸方向に変位したときには、可動側モニタ電極93A,94Aと固定側モニタ電極93B,94Bとの間の静電容量Cm3,Cm4が変化する。このため、振動モニタ部91〜94は、この静電容量Cm1〜Cm4の変化によって駆動質量部56〜59の振動状態をモニタする。
なお、周方向で隣合う駆動質量部56〜59が逆位相となる状態で4つの駆動質量部56〜59が振動したときには、振動モニタ部91〜94の静電容量Cm1〜Cm4は、同期して変化する構成となっている。
シールドランド96は、4つの検出用ランド86の周方向の両側に位置して、ガラス基板52上に合計8個設けられている。ここで、各シールドランド96は、駆動用ランド73と検出用ランド86との間に配置されると共に、モニタ用ランド95と検出用ランド86との間に配置されている。また、8つのシールドランド96は、中心点Oに対して点対称な位置に配置されている。
そして、シールドランド96は、ランド73,86,95と電気的に絶縁した状態で設けられ、例えばグランドに接続されている。これにより、シールドランド96は、検出用ランド86の周囲を電気的にシールド(遮断)し、検出用ランド86の変位検出信号に対して駆動用ランド73側の駆動信号およびモニタ用ランド95のモニタ信号が干渉するのを防止している。
引出電極97は、例えばレーザー加工、サンドブラスト法、マイクロブラスト法等を用いることによってガラス基板53に厚さ方向に貫通した信号用のビアホール(スルーホール)を穿設し、このスルーホール内に導電性の金属膜を設けることによって形成されている。また、引出電極97は、支持部55および各ランド73,86,95,96と対応した位置にそれぞれ形成されている。これにより、振動発生部69〜72、変位検出部82〜85および振動モニタ部91〜94は、引出電極97を通じて後述する振動制御回路101および角速度検出回路111等に接続されている。
次に、図20を参照しつつ、駆動質量部56〜59の振動状態を制御する振動制御回路101について説明する。振動制御回路101は、振動モニタ部91〜94によるモニタ信号Vmを用いて振動発生部69〜72に出力する駆動信号Vdを制御する。そして、振動制御回路101は、C−V変換回路102、増幅器103、AGC回路104、駆動信号発生回路105等によって構成されている。
C−V変換回路102は振動モニタ部91〜94の出力側に接続されている。そして、C−V変換回路102は、振動モニタ部91〜94の静電容量Cm1〜Cm4の変化を電圧変化に変換し、これらの電圧変化をモニタ信号Vmとして出力する。そして、このモニタ信号Vmは、C−V変換回路102の出力側に接続された増幅器103によって増幅され、AGC回路104に向けて出力される。
AGC回路104の出力側は、駆動信号Vdを出力する駆動信号発生回路105に接続されている。そして、AGC回路104は、モニタ信号Vmが一定となるようにゲインを調整する。また、駆動信号発生回路105は、増幅器106を介して振動発生部69〜72に接続される。これにより、駆動信号発生回路105は、振動発生部69〜72に対して互いに駆動信号Vdを入力し、振動発生部69〜72は、周方向で隣合う駆動質量部56〜59が互いに逆位相となる状態で、駆動質量部56〜59を振動させる。
次に、2軸周り(X軸およびY軸周り)の角速度Ω1,Ω2を検出する角速度検出回路111(角速度検出手段)について説明する。角速度検出回路111は、変位検出部82〜85による変位検出信号Vx,Vyを振動モニタ部91〜94によるモニタ信号Vmを用いて同期検波し、駆動質量部56〜59に作用する角速度Ω1,Ω2を検出する。そして、角速度検出回路111は、例えばC−V変換回路112〜115、差動増幅器116,120、同期検波回路117,121等によって構成されている。
C−V変換回路112〜115は、変位検出部82〜85の静電容量Cs1,Cs2,Cs3,Cs4の変化を電圧変化に変換し、これらの電圧変化を予備的な変位検出信号Vs1,Vs2,Vs3,Vs4としてそれぞれ出力する。
ここで、隣合う駆動質量部56〜59が互いに逆位相で振動している状態で、X軸周りの角速度Ω1が作用したときには、検出質量部74,75は互いに逆位相でZ軸方向に変位する。このとき、予備的な変位検出信号Vs1と変位検出信号Vs2は互いに逆位相となる。
このため、差動増幅器116は、C−V変換回路112,113の出力側に接続され、これらの予備的な変位検出信号Vs1,Vs2の差から最終的な変位検出信号Vxを演算する。
同期検波回路117の入力側は、差動増幅器116に接続されると共に、位相シフト回路107を介してAGC回路104に接続されている。また、同期検波回路117の出力側には、角速度信号を取り出すための低域通過フィルタ(LPF)118が接続されると共に、LPF118の出力側にはゲインおよびオフセットを調整するための調整回路119が接続されている。ここで、位相シフト回路107は、AGC回路104を介して出力されるモニタ信号Vmの位相を90°シフトさせた位相シフト信号Vm′を出力する。これにより、同期検波回路117は、変位検出信号Vxから位相シフト信号Vm′を用いて同期検波し、LPF118、調整回路119を介してX軸周りの角速度Ω1に応じた角速度信号を出力する。
一方、隣合う駆動質量部56〜59が互いに逆位相で振動している状態で、Y軸周りの角速度Ω2が作用したときには、検出質量部76,77は互いに逆位相でZ軸方向に変位する。このとき、予備的な変位検出信号Vs3と変位検出信号Vs4は互いに逆位相となる。
このため、差動増幅器120は、C−V変換回路114,115の出力側に接続され、これらの予備的な変位検出信号Vs3,Vs4の差から最終的な変位検出信号Vyを演算する。これにより、同期検波回路121は、同期検波回路117と同様に、変位検出信号Vyから位相シフト信号Vm′を用いて同期検波し、LPF122、調整回路123を介してY軸周りの角速度Ω2に応じた角速度信号を出力する。
第4の実施の形態による角速度センサ51は上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、X軸周りの角速度Ω1を検出する場合について説明する。外部の振動制御回路101から駆動用ランド73に駆動信号Vdを入力すると、駆動信号Vdは振動発生部69〜72の固定側駆動電極69B〜72Bに印加される。これにより、駆動質量部56,57にはY軸方向の静電引力が作用し、駆動質量部56,57はY軸方向に振動する。一方、駆動質量部58,59にはX軸方向の静電引力が作用し、駆動質量部58,59はX軸方向に振動する。そして、周方向で隣合う駆動質量部56〜59は、互いに逆位相で振動する。
駆動質量部56〜59が振動している状態でX軸周りの角速度Ω1が作用すると、Y軸方向に振動する駆動質量部56,57には、角速度Ω1に応じて、以下の数1に示すコリオリ力Fxが作用する。一方、X軸方向に振動する駆動質量部58,59には、コリオリ力は作用しない。これにより、検出質量部74,75は、コリオリ力FxによってZ軸方向に変位し、角速度Ω1に応じて振動する。
Figure 2010281789
このため、変位検出部82,83は、検出質量部74,75のZ軸方向の変位に応じて検出質量部74,75と固定側検出電極82A,83Aとの間の静電容量Cs1,Cs2が変化する。このとき、角速度検出回路111のC−V変換回路112,113は、静電容量Cs1,Cs2の変化を予備的な変位検出信号Vs1,Vs2に変換する。そして、差動増幅器116は、変位検出信号Vs1,Vs2の差に基づいて、X軸周りの角速度Ω1に応じた最終的な変位検出信号Vxを出力する。同期検波回路117は、変位検出信号Vxから位相シフト信号Vm′と同期した信号を検波する。これにより、角速度検出回路111は、X軸周りの角速度Ω1に応じた角速度信号を出力する。
次に、Y軸周りの角速度Ω2を検出する場合について説明する。外部の振動制御回路101から駆動用ランド73に駆動信号Vdを入力し、駆動質量部56〜59を振動させる。この振動状態でY軸周りの角速度Ω2が作用すると、X軸方向に振動する駆動質量部58,59には、角速度Ω2に応じて、以下の数2に示すコリオリ力Fyが作用する。一方、Y軸方向に振動する駆動質量部56,57には、コリオリ力は作用しない。これにより、検出質量部76,77は、コリオリ力FyによってZ軸方向に変位し、角速度Ω2に応じて振動する。
Figure 2010281789
このため、変位検出部84,85は、検出質量部76,77のZ軸方向の変位に応じて検出質量部76,77と固定側検出電極84A,85Aとの間の静電容量Cs3,Cs4が変化する。このとき、角速度検出回路111のC−V変換回路114,115は、静電容量Cs3,Cs4の変化を変位検出信号Vs3,Vs4に変換する。そして、差動増幅器120は、変位検出信号Vs3,Vs4の差に基づいて、Y軸周りの角速度Ω2に応じた変位検出信号Vyを出力する。同期検波回路121は、変位検出信号Vyから位相シフト信号Vm′と同期した信号を検波する。これにより、角速度検出回路111は、Y軸周りの角速度Ω2に応じた角速度信号を出力する。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、4つの駆動質量部56〜59は中心点Oに対して点対称な位置に配置されているから、2つの駆動質量部56,57は中心点Oを挟んでX軸方向の両側に配置することができ、2つの駆動質量部58,59は中心点Oを挟んでY軸方向の両側に配置することができる。また、周方向で隣合う駆動質量部56〜59は互いに逆位相で振動する。
これにより、X軸周りの角速度Ω1が作用したときには、Y軸方向に振動する駆動質量部56,57にはZ軸方向に向かうコリオリ力Fxを発生させることができる。このため、角速度Ω1が作用したときには、検出質量部74,75はZ軸方向に変位して振動する。従って、この振動を変位検出部82,83を用いて検出することによって、X軸周りの角速度Ω1を検出することができる。
一方、Y軸周りの角速度Ω2が作用したときには、X軸方向に振動する駆動質量部58,59にはZ軸方向に向かうコリオリ力Fyを発生させることができる。このため、角速度Ω2が作用したときには、検出質量部76,77はZ軸方向に変位して振動する。従って、この振動を変位検出部84,85を用いて検出することによって、Y軸周りの角速度Ω2を検出することができる。これにより、単一の角速度センサ51を用いて、ガラス基板52と水平な2つの軸(X軸およびY軸)周りに作用する角速度Ω1,Ω2を検出することができる。
また、角速度センサ51は、2軸周りの角速度Ω1,Ω2を検出するため、水平方向(X軸、Y軸方向)および垂直方向(Z軸方向)に対する検出質量部74〜77等の自由度が大きく、検出質量部74〜77等を含めた可動部分全体が厚さ方向に変位し易い。このため、第2のガラス基板53をシリコン基板54に陽極接合するときには、検出質量部74〜77等がガラス基板53に付着して接合され易い傾向がある。これに対し、本実施の形態では、ガラス基板53には、同電位電極87に加えて下地電極89を設けたから、同電位電極87や下地電極89のシールド部90等によってガラス基板53と検出質量部74〜77との間の電界を確実に遮断することができ、検出質量部74〜77の接合を防止して生産時の歩留まりを向上することができる。
なお、前記第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、下地電極89のうち同電位電極87に接続された第2の電極部89Bを用いてシールド部90を形成した。しかし、本発明はこれに限らず、第2の実施の形態のように、第1の電極部89Aを用いてシールド部を形成してもよく、第3の実施の形態のように、下地電極89全体を同電位電極87に接続する構成としてもよい。
また、前記第4の実施の形態では、本発明を2軸周りの角速度Ω1,Ω2を検出する角速度センサ51に適用した場合について説明したが、1軸周りの角速度を検出する角速度センサに適用してもよい。
次に、図21は本発明による第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、固定電極の周縁部分が絶縁膜を挟んで同電位電極に重なり合う構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第5の実施の形態による加速度センサ131は、第1の実施の形態による加速度センサ1とほぼ同様に、第1,第2のガラス基板2,3と、これらのガラス基板2,3に挟まれたシリコン基板4とによって形成されている。そして、シリコン基板4には、支持部5、可動部6、支持梁7等が形成されると共に、第2のガラス基板3には、後述の固定電極132および同電位電極134が設けられている。
固定電極132は、第1の実施の形態による固定電極9とほぼ同様に構成され、導電性の金属薄膜を用いて略四角形状に形成され、固定側の検出電極を構成している。この固定電極132は、可動部6と対向する位置で第2のガラス基板3のキャビティ3A内に配設されている。また、固定電極132は、X軸方向の他側に向けて延びる配線部132Aを備え、該配線部132Aを用いて電極支持部8に電気的に接続されている。
ここで、固定電極132のうち可動部6との対面した裏面側は、ほぼ全面に亘って可動部6と対面している。一方、固定電極132のうち第2のガラス基板3と対向した表面側は、後述の絶縁膜133を挟んでキャビティ3Aの底面と対向している。そして、固定電極132は、その周縁部分が絶縁膜133を挟んで後述する同電位電極134と重なり合っている。
絶縁膜133は、第1の実施の形態による層間絶縁膜11と同様に、絶縁材料を用いた薄膜によって形成され、第2のガラス基板3のキャビティ3A内に設けられている。また、絶縁膜133は、後述の同電位電極134を全面に亘って覆うと共に、その裏面側に固定電極132が設けられている。
同電位電極134は、第2のガラス基板3の裏面側に設けられ、第2のガラス基板3のキャビティ3A内に配置されている。この同電位電極134は、X軸方向の一側に向けて延びる配線部134Aを備え、該配線部134Aを用いて連結固定部5Bに電気的に接続されている。そして、同電位電極134は、厚さ方向に対してキャビティ3Aの底面と絶縁膜133との間に配置されている。
また、同電位電極134は、例えば固定電極132を取囲むC字状または四角形の枠状に形成されると共に、その一部が固定電極132の周縁部分と重なり合った重複部134Bを構成している。このとき、同電位電極134と固定電極132との間には絶縁膜133が介在するから、同電位電極134と固定電極132とは、絶縁膜133によって互いに絶縁されている。そして、同電位電極134は、固定電極132と一緒にキャビティ3Aの底面を隙間なく覆っている。これにより、同電位電極134は、第2のガラス基板3と可動部6との間の電界を遮断している。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、本実施の形態では、固定電極132と同電位電極134とを絶縁膜133を挟んで重ね合わせる構成としたから、第1の実施の形態のように下地電極を設けることなく、固定電極132と同電位電極134によってガラス基板3のうち可動部6との対向部分を全面に亘って隙間なく覆うことができる。
なお、第5の実施の形態では、同電位電極134は、固定電極132の周縁部分だけに重なり合う構成としたが、例えば同電位電極134をキャビティ3Aの底面全体に設けることによって、固定電極132の全体に対して重なり合う構成としてもよい。この場合、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、第5の実施の形態では、絶縁膜133は、同電位電極134を全面に亘って覆う構成したが、例えば図22に示す変形例による加速度センサ131′のように、固定電極132′と同電位電極134′とが重なり合う部分にだけ絶縁膜133′を設ける構成としてもよい。この場合、同電位電極134′の重複部134B′は、固定電極132′よりも厚さ方向に対して可動部6側に配置する構成としてもよい。
また、第5の実施の形態では、静電型デバイスとして加速度センサ131に適用した場合を例に挙げて説明したが、例えば第4の実施の形態による角速度センサ51に適用してもよい。
また、前記各実施の形態では、第2のガラス基板3,53に固定電極9,132、固定側検出電極82A〜85A、同電位電極10,87,134等を設ける構成としたが、第1,第2のガラス基板の両方に固定電極を設ける構成としてもよい。また、前記各実施の形態では、シリコン基板4,54の厚さ方向の両側に第1のガラス基板2,52と第2のガラス電極3,53とを設ける構成としたが、固定電極が設けられない第1のガラス基板2,52はガラス材料を用いて形成する必要はなく、シリコン等の他の材料からなる基板を用いる構成としてもよい。
また、前記各実施の形態では、静電型デバイスとして、加速度センサ1,31,41,131および角速度センサ51を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、厚さ方向に変位可能な可動部と、該可動部と対向した固定電極を備える構成であれば、アクチュエータ、スイッチ等の各種の素子に適用することができる。
1,31,41,131,131′ 加速度センサ(静電型デバイス)
2 第1のガラス基板
3 第2のガラス基板
5 支持部
6 可動部
7 支持梁
9,132,132′ 固定電極
10,87,134,134′ 同電位電極
11,42,88 層間絶縁膜
12,32,43,89 下地電極
12A,32A,89A 第1の電極部
12B,32B,89B 第2の電極部
13,33,44,90 シールド部
51 角速度センサ(静電型デバイス)
74〜77 検出質量部(可動部)
82A〜85A 固定側検出電極(固定電極)
133,133′ 絶縁膜

Claims (4)

  1. ガラス基板と、該ガラス基板に設けられ厚さ方向に変位可能な可動部を有するシリコン基板と、前記ガラス基板に設けられ前記可動部と対向した位置に配置された固定電極と、該固定電極と絶縁されて前記ガラス基板に設けられ前記可動部と同電位となる同電位電極とを備えた静電型デバイスにおいて、
    前記固定電極と同電位電極との間には水平方向の隙間を形成し、
    前記固定電極および同電位電極のうち厚さ方向に対して前記可動部と反対側となる位置には、層間絶縁膜を挟んで前記固定電極および同電位電極と対向した下地電極を設け、
    該下地電極は、前記固定電極と同電位電極との間の隙間を覆い、前記固定電極および同電位電極のうちいずれか一方に電気的に接続されたシールド部を備える構成としたことを特徴とする静電型デバイス。
  2. 前記下地電極は、前記固定電極に電気的に接続された第1の電極部と、前記同電位電極に接続された第2の電極部とからなり、
    前記シールド部は、前記第1の電極部を用いて形成してなる請求項1に記載の静電型デバイス。
  3. 前記下地電極は、前記シールド部を含めた全体が前記同電位電極に接続される構成としてなる請求項1に記載の静電型デバイス。
  4. ガラス基板と、該ガラス基板に設けられ厚さ方向に変位可能な可動部を有するシリコン基板と、前記ガラス基板に設けられ前記可動部と対向した位置に配置された固定電極と、該固定電極と絶縁されて前記ガラス基板に設けられ前記可動部と同電位となる同電位電極とを備えた静電型デバイスにおいて、
    前記固定電極は、少なくともその周縁部分が絶縁膜を挟んで前記同電位電極と厚さ方向で重なり合う構成としたことを特徴とする静電型デバイス。
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