JP2010279295A - 茶樹栽培方法及び茶樹栽培装置 - Google Patents

茶樹栽培方法及び茶樹栽培装置 Download PDF

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Mitsuhisa Nakahara
光久 中原
Hisakazu Nitahara
寿一 仁田原
Tetsuya Yoshioka
哲也 吉岡
Terutaka Sakaida
輝貴 堺田
Kentaro Nakazono
健太郎 中園
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Abstract

【課題】 比較的容易に、渋味成分の生成を抑制しつつうま味成分の蓄積量をより増大させることができる茶樹の栽培方法、及び茶樹栽培装置を提供する。
【解決手段】 遮光部材31の内部の天井位置には複数の投光器5,5,…が配置してあり、各投光器5,5,…から茶樹C,C,…へ適宜な照度になるように投光し得るようになっている。投光器5,5,…には給電器1の電源部2から給電されるようになっており、給電器1には、投光器5,5,…への給電・給電停止を制御する制御部3が設けてある。そして、茶樹の新芽伸育期に、夜間、茶樹へ弱い光を照射することによって茶樹に対して光を補う、所謂補光を実施する。かかる補光は、茶樹の樹冠面において平均100lx以下の適宜な照度の光を照射することによって行われる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、碾茶、玉露又は煎茶等の原料となる茶樹を栽培する方法、及び当該方法に適用する茶樹栽培装置に関する。
わが国の茶葉は、飲料用又は菓子原料用として広く利用されているが、渋味が少なくよりおいしい、品質の高い茶葉の生産が求められている。
茶のうま味成分は主に、テアニン(グルタミン酸エチルアミド)、グルタミン酸、アルギニン等のアミノ酸類であり、中でもテアニンが代表的な成分である。テアニンは茶樹の根で生成されて新芽に移行し、そこに蓄積されるという経路をとる。一方、茶の渋味成分は主に、タンニンといったカテキン類である。
ところで、新芽が所定値以上の照度の光に曝されると、新芽中に蓄積されたテアニンは生合成によってカテキン類に変換されてしまうので、テアニンの蓄積量が減少して、カテキン類の含有量が増大する。そこで、碾茶又は玉露等の製造に用いる茶樹にあっては、新芽の生育初期に日中の太陽光を遮る遮光を始め、16日〜20日程度の期間、遮光下で新芽を生育させる遮光栽培が行われている。(これによって、テアニンから渋味成分であるカテキン類への生合成を抑制して、テアニンの蓄積量を増大させ、渋味が少なくよりおいしい、品質の高い茶葉を生産することができる。
一方、親水性高分子有機重合体及びフミン酸からなる土壌改良材、Fe、Cu、Zn、B、Mn、Mo等のミネラル、Se、V、Cr、Co等の超微量ミネラルを、地表ではなく茶樹栽培土壌内に灌注して茶樹を栽培することによって、茶葉から抽出されるうま味成分の量を増大させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2007−44010号公報
このような茶樹にあっては、渋味成分を抑制しつつうま味成分の蓄積量を更に増大させることが要求されている。また、煎茶の製造に使用に用いる茶樹にあっても、うま味成分の蓄積量をより増大させて、品質を向上させることが要求されている。
かかる要求に答えるために、抹茶又は玉露等の所謂覆い下茶用の茶樹にあっては、遮光栽培の期間を延長させる方法が考えられるが、光合成を行うことによって生育する茶樹にとって遮光栽培は非常に大きなストレスであるため、遮光栽培の期間を延長させた場合、落葉を招いて、茶樹の生育を阻害してしまうという問題があった。
また、煎茶用の茶樹にあっては通常、遮光栽培を行わないため、遮光期間の調整を実施することができない。ここで煎茶用の茶樹に遮光栽培を適用することが考えられるが、遮光栽培には高額な設備費と多くの手間とを要する上に、遮光期間及び遮光率等を適切に調整するという高度な栽培技術を要するため、費用対効果が整合しない。
一方、特許文献1において提案された方法では、栽培土壌内への灌注作業に多くの手間を要する上に、茶樹を栽培する各地域の土壌に応じて土壌改良材、ミネラル及び超微量ミネラルの種類及び量を定めるのが非常に困難である。また、渋味成分の生成を抑制することができない虞もあった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、比較的容易に、渋味成分の生成を抑制しつつうま味成分の蓄積量をより増大させることができる茶樹の栽培方法、及び当該方法に適用する茶樹栽培装置を提供する。
(1)本発明に係る茶樹栽培方法は、茶葉を収穫するための茶樹を栽培する方法において、前記茶樹の新芽伸育期に、夜間、茶樹の樹冠面における平均照度が100lx以下の適宜照度の光を前記茶樹へ照射することを特徴とする。
本発明の茶樹の栽培方法にあっては、夜間、茶樹を構成する複数枝条の先端部にて形成される樹冠面において、平均100lx(ルクス)以下の適宜な照度の光を照射する補光を行う。
夜間、茶樹に補光することにより、カテキン類の生成を抑制しつつ、テアニンを含む遊離アミノ酸の蓄積量を増大させることができる。
これは、夜間、平均100lx以下の弱い光を茶樹に照射することによって、光合成を行う茶樹を活性化させて、根から茶葉へテアニンを移動させることができる一方、弱い光ではテアニンからカテキン類への生合成が進行し難いので、カテキン類の生成が抑制されるためであると考えられる。
これによって、渋味成分の生成を抑制しつつうま味成分の茶葉への蓄積量を増大させることができる。
一方、夜間の補光により、遮光栽培の期間を延長することなくうま味成分を増大することができるため、茶樹に与えるストレスの増大を可及的に抑制することができる。
また、夜間の補光は、遮光栽培を実施しない茶樹の栽培にも容易に適用することができる。
(2)本発明に係る茶樹栽培方法は必要に応じて、前記茶樹への光の照射は、夜間の適宜時間帯に行うことを特徴とする。
本発明の茶樹の栽培方法にあっては、茶樹への光の照射は、夜間の適宜時間帯に行う。
これによって、終夜補光を行う場合に比べて、渋味成分であるカテキン類の含有量をより抑制しつつ、うま味成分である遊離アミノ酸の含有量をより増大させることができる。
(3)本発明に係る茶樹栽培方法は必要に応じて、前記時間帯は、深夜0時後の適宜時刻から日の出時刻以前の適宜時刻までとすることを特徴とする。
本発明の茶樹の栽培方法にあっては、深夜0時後の適宜時刻から日の出時刻以前の適宜時刻まで時間帯に茶樹への補光を行う。
光合成を行う茶樹は、朝日が照射されることによって生体が飛躍的に活性化されるが、日の出前の早朝の適宜時間帯に補光を行うことによって、茶樹を予備活性化することができ、これによってうま味成分である遊離アミノ酸の含有量をより増大させることができる。
(4)本発明に係る茶樹栽培方法は必要に応じて、前記時間帯は、深夜0時前の適宜時刻から深夜0時後の適宜時刻までとすることを特徴とする。
本発明の茶樹の栽培方法にあっては、深夜0時前の適宜時刻から深夜0時後の適宜時刻までの時間帯に茶樹への補光を行う。つまり、深夜0時を挟む適宜時間帯に茶樹への補光を行う。
このように夜間を適宜時間経過させて茶樹の生体活性を一度低下させた後に、茶樹に補光を行って、当該茶樹を活性化させるため、カテキン類への生合成活性が十分に低減された状態で補光がなされ、渋味成分であるカテキン類の含有量をより抑制しつつ、うま味成分である遊離アミノ酸の含有量をより増大させることができる。
(5)本発明に係る茶樹栽培方法は必要に応じて、茶樹への光の照射は、断続的に行うことを特徴とする。
本発明の茶樹の栽培方法にあっては、茶樹への光の照射は、断続的に行う。これは、補光期間と補光停止期間とをそれぞれ一定時間に設定して両者を交互に行う間欠的な実施でもよく、補光期間と補光停止期間とをそれぞれ不定時間に設定して両者を交互に行う実施でもよい。かかる補光停止期間は、カテキン類への生合成活性が十分に低減される時間であればよい。
このように茶樹へ断続的に補光を行うことによって、茶樹の活性化が断続的になされ、これによって渋味成分であるカテキン類の含有量をより抑制しつつ、うま味成分である遊離アミノ酸の含有量をより増大させることができる。
(6)本発明に係る茶樹栽培方法は必要に応じて、前記茶樹の樹冠面における平均照度が50lxになるように光を照射することを特徴とする。
本発明の茶樹の栽培方法にあっては、茶樹の樹冠面における平均照度が50lxになるように光を照射する。
本発明者らが鋭意検討した結果、深夜0時後の適宜時刻から日の出時刻以前の適宜時刻までの時間帯に補光を行う場合、又は、断続的に補光を行う場合にあっては、茶樹の樹冠面における平均照度が50lxになるように光を照射することによって、遊離アミノ酸の含有量をより増大させることができた。
(7)本発明に係る茶樹栽培方法は必要に応じて、前記茶樹の樹冠面における平均照度が80lxになるように光を照射することを特徴とする。
本発明の茶樹の栽培方法にあっては、茶樹の樹冠面における平均照度が80lxになるように光を照射する。
本発明者らが鋭意検討した結果、深夜0時前の適宜時刻から深夜0時後の適宜時刻までの時間帯に補光を行う場合、茶樹の樹冠面における平均照度が80lxになるように光を照射することによって、遊離アミノ酸の含有量をより増大させることができた。
(8)本発明に係る茶樹栽培装置は、茶葉を収穫するための茶樹を栽培する装置であって、前記茶樹へ、茶樹の樹冠面における平均照度が100lx以下の適宜照度の光を照射する投光器と、該投光器へ給電する電源部と、該電源部の投光器への給電を制御する制御部とを備え、該制御部は前記電源部に、夜間、投光器への給電を行わせるようになしてあることを特徴とする。
本発明の茶樹栽培装置にあっては、茶樹へ、茶樹の樹冠面における平均照度が100lx以下の適宜照度の光を照射する投光器と、該投光器へ給電する電源部と、該電源部の投光器への給電を制御する制御部とを備え、該制御部は前記電源部に、夜間、投光器への給電を行わせるようになしてある。
投光器としては、蛍光灯、白熱電灯又はLED等を用いることができる。かかる投光器に電源部から給電するが、電源部から投光器への給電は制御部によって制御されている。すなわち、制御部は電源部に、夜間、投光器への給電を行わせるようになしてある。夜間の給電は、終夜行うこともできるが、前述した如く、夜間の適宜時間帯に行う方が好ましい。
具体的には、制御部は電源部をして投光器に、深夜0時後の適宜時刻から日の出時刻以前の適宜時刻まで、又は深夜0時前の適宜時刻から深夜0時後の適宜時刻まで給電を行わせる。
また、制御部は電源部をして投光器に、連続的に給電させてもよいし、断続的に給電させてもよい。
これによって、前同様、渋味成分であるカテキン類の含有量をより抑制しつつ、うま味成分である遊離アミノ酸の含有量をより増大させることができる。
本発明に係る茶樹栽培装置を用いて茶樹を栽培している状態を示す模式的斜視図である。 他の実施形態に係る茶樹栽培装置を用いて茶樹を栽培している状態を示す模式的斜視図である。 補光栽培を行った場合の茶葉の遊離アミノ酸含有量と、補光栽培を行わない場合の茶葉の遊離アミノ酸含有量とを比較した結果を示すヒストグラムである。 補光栽培を行った場合の茶葉のカテキン類含有量と、補光栽培を行わない場合の茶葉のカテキン類含有量とを比較した結果を示すヒストグラムである。 異なる色の光源を用いて補光栽培を行った結果を示すヒストグラムである。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る茶樹栽培装置を用いて茶樹を栽培している状態を示す模式的斜視図であり、図中、Cは茶樹である。複数の茶樹C,C,…が線状に生育されており、各茶樹C,C,…の周囲には、複数の支持柱をハウス状に組み立ててなる遮光用棚30が各茶樹C,C,…から適宜距離を隔てて設置してある。遮光用棚30には、当該遮光用棚30の天井部及び周囲部を覆う遮光部材31が着脱可能に取り付けてあり、該遮光部材31によって外光を適宜の入射率になるように遮っている。かかる遮光部材31としては、合成樹脂製のネット、又は藁若しくは葦等を単独で又は組み合わせて使用することができる。
遮光部材31の内部の天井位置には、蛍光灯又は白熱電灯等の光源を用いてなる複数の投光器5,5,…が配置してあり、各投光器5,5,…から茶樹C,C,…へ、茶樹C,C,…の樹冠面Fにおいて平均100lx以下の適宜な照度になるように投光し得るようになっている。かかる投光器5,5,…は、青色又は赤色等、所要波長の光を透過するフィルムを用いて、当該波長の光を茶樹C,C,…へ照射するようになしてもよい。
投光器5,5,…には給電器1の電源部2から給電されるようになっており、給電器1には、投光器5,5,…への給電・給電停止を制御する制御部3が設けてある。
次に、このような装置を用いて茶樹を栽培する方法について説明する。
本発明に係る茶樹の栽培方法にあっては、茶樹の新芽伸育期に、夜間、茶樹へ弱い光を照射することによって茶樹に対して光を補う、所謂補光を実施する。
かかる補光は、茶樹を構成する複数枝条の先端部にて形成される樹冠面Fにおいて平均100lx以下の適宜な照度の光を照射することによって行われる。なお、照度は、例えば、LI−1400、PHOTOMETRIC、SR.NO PH7337(LI−COR社製)といった照度計を用いて測定する。
また、補光は、終夜連続して行うこともできるが、終夜断続的に行うこともでき、更に、日の出前の適宜時間帯又は深夜の適宜時間帯等、夜間の適宜時間帯に行うこともできる。
前述した終夜連続して補光を実施する場合にあっては、周囲の照度を検出する照度検出部を予め給電器1に配設しておき、制御部3は、照度検出部が検出した周囲光の照度が補光する照度以下になった場合、電源部2から投光器5,5,…への給電を開始させ、照度検出部が検出した周囲光の照度が補光する照度を超えた場合、電源部2から投光器5,5,…への給電を停止させるようになしておく。
また、終夜断続的に補光を実施する場合にあっては、制御部3は、前記照度検出部が検出した周囲光の照度が補光する照度以下になった場合、電源部2から投光器5,5,…への給電を開始させるようになしておく。また、給電器1に計時手段を予め設けておき、前記制御部3は計時手段から与えられる計時情報に基づいて電源部2に、例えば給電を開始してから10分後に給電をオフさせ、給電をオフさせてから50分後に給電をオンさせる動作を繰り返すようになしておく。そして、前記制御部3は、照度検出部が検出した周囲光の照度が補光する照度を超えた場合、電源部2から投光器5,5,…への給電を停止する。なお、前述した給電をオフするまでの時間(10分)、給電をオンするまでの時間(50分)は、それぞれ適宜時間を設定することができる。
一方、夜間の適宜時間帯に補光を実施する場合にあっては、制御部3は、前記照度検出部の検出結果及び前記計時手段から与えられる計時情報に基づいて電源部2に、前記照度検出部が検出した周囲光の照度が補光する照度以下になってから例えば5時間経過した後に電源部2から投光器5,5,…への給電を開始させ、給電を開始してから例えば1時間から4時間後に給電を終了させるようになしておく。これによって深夜0時を挟んでその前後数時間の時間帯に補光することができる。
更に、日の出前の適宜時間帯に補光を実施する場合にあっては、制御部3にカレンダーに応じて日の出時刻を予め設定しておき、制御部3は、該当日の日の出時刻及び前記計時手段から与えられる計時情報に基づいて、該当日の日の出時刻より例えば1時間〜4時間前に電源部2から投光器5,5,…への給電を開始させ、該当日の日の出時刻付近で給電を停止させるようになしてある。
ここで、投光器5,5,…への給電によって茶樹C,C,…に照射される光の平均照度は、前述した如く100lx以下の適宜な照度であればよいが、終夜断続的に補光を実施する場合にあっては50lx程度が好適であり、日の出前の適宜時間帯に補光を実施する場合にあっては50lx程度が好適であり、日の出前以外の夜間の適宜時間帯に補光を実施する場合にあっては80lx程度が好適である。
かかる夜間の補光操作を、茶樹の新芽伸育期に適宜日数だけ行う。なお、一番茶、二番茶及び三番茶に応じて、それぞれ夜間の補光操作を実施する。
このように夜間、茶樹に補光することにより、カテキン類の生成を抑制しつつ、テアニンを含む遊離アミノ酸の蓄積量を増大させることができる。
これは、夜間、弱い光を茶樹に照射することによって、光合成を行う茶樹を活性化させて、根から茶葉へテアニンを移動させることができる一方、弱い光ではテアニンからカテキン類への生合成が進行し難いため、カテキン類の生成が抑制されるためであると考えられる。
これによって、渋味成分の生成を抑制しつつうま味成分の茶葉への蓄積量を増大させることができる。
従って、遮光栽培日数を補光栽培を実施しない場合と同じになした場合は、収穫した茶葉に含まれるうま味成分の蓄積量をより増大させることができる一方、茶葉に含まれるうま味成分の蓄積量が補光栽培を実施しない場合と同程度に達したタイミングで茶葉を収穫する場合は、遮光期間を短くすることができる。後者の場合、遮光栽培によって茶樹に与えられるストレスを低減させることができるため、茶樹の活力を増大させることができる。
一方、補光操作は前述した如く給電器1の制御部3によって行われるため、人手によらず補光栽培を容易に行うことができる。なお、前述した補光操作は給電器1の制御部3によらず、管理者が実施するようにしてもよいことはいうまでもない。
また、遮光栽培される茶樹を夜間補光することにより、茶樹の活力を補助することもできる。
(他の実施形態)
図2は、他の実施形態に係る茶樹栽培装置を用いて茶樹を栽培している状態を示す模式的斜視図であり、光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いた場合を示している。なお、図中、図1に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
図2に示したように、遮光部材31の内部には、複数のLEDを線状に並設してなる紐状の投光器5a,5aが、例えば遮光用棚30の両側部の適宜位置に茶樹C,C,…の斜め上方から当該茶樹C,C,…へ光を照射するように取り付けてある。
投光器5a,5aの光源たるLEDは適宜波長の光を出射するものが取り付けてあるが、好ましくは青色光、赤色光又は黄色光を出射するLEDが取り付けてある。
そして、投光器5a,5aから茶樹C,C,…へ、茶樹C,C,…の樹冠面Fにおいて平均100lx以下の適宜な照度になるように投光し得るようになっている。
このような茶樹栽培装置を用いて茶樹を栽培するには、前同様、夜間、茶樹の樹冠面Fにおいて平均100lx以下の適宜な照度の光を照射する補光を実施することによって行われる。
かかる補光は、終夜連続して行うこともできるが、終夜断続的に行うこともでき、更に、日の出前の適宜時間帯又は深夜の適宜時間帯等、夜間の適宜時間帯に行うこともできる。
このように夜間、茶樹に補光することにより、カテキン類の生成を抑制しつつ、テアニンを含む遊離アミノ酸の蓄積量を増大させることができる。
なお、上述した両実施形態にあっては、覆い下茶用の茶樹栽培に適用すべく、遮光部材31が設置してあるが、本発明はこれに限らず、遮光部材31を設置しない煎茶用の茶樹栽培に適用することができる。この場合、投光器5,5,…(5a,5a,…)を支持する支持部材を茶園の適宜箇所に設置しておき、当該支持部材に支持された投光器5,5,…(5a,5a,…)を用いて夜間、茶樹に補光するように構成する。
これによって、前同様、カテキン類の生成を抑制しつつ、テアニンの蓄積量を増大させることができ、煎茶の品質を向上させることができる。
なお、本実施の形態では投光器5a,5aを、遮光用棚30の両側部の適宜位置に茶樹C,C,…の斜め上方から当該茶樹C,C,…へ光を照射するように取り付けた場合について示したが、本発明はこれに限らず、遮光棚30の天井領域に複数の投光器5a,5a,…を配置して、茶樹C,C,…の上方から当該茶樹C,C,…へ光を照射するようになしてもよいし、更に、1又は複数の投光器5a(5a,…)を遮光用棚30の側部に茶樹C,C,…の側方から当該茶樹C,C,…へ光を照射するように取り付けてもよい。
(実施例1)
次に、本発明に係る茶樹の栽培方法を実施した結果について説明する。
図3は、補光栽培を行った場合の茶葉の遊離アミノ酸含有量と、補光栽培を行わない場合の茶葉の遊離アミノ酸含有量とを比較した結果を示すヒストグラムであり、図中、縦軸は100gの乾燥茶葉に含有される遊離アミノ酸の質量を示している。また、図3中、Aは補光栽培を行った場合を、Bは補光栽培を行わない場合をそれぞれ示している。なお、参考として24時間、昼と同じ照度の光を照射した試験も実施し、その結果をCとした。
また、図4は、補光栽培を行った場合の茶葉のカテキン類含有量と、補光栽培を行わない場合の茶葉のカテキン類含有量とを比較した結果を示すヒストグラムであり、図中、縦軸は100gの乾燥茶葉に含有されるカテキン類の質量を示している。また、図4中、Aは補光栽培を行った場合を、Bは補光栽培を行わない場合をそれぞれ示している。なお、前同様、参考の結果をCとした。
23℃乃至20℃に調整した人工環境実験室内において、午前6時から午後8時までの14時間は5000lxの照度で投光して昼間とする一方、午後8時から午前6までの10時間は投光を停止して夜間とし、かかる環境で二次脇芽の第一葉が展開した日から17日間栽培した茶樹をBとした。
一方、補光栽培は、A−1にあっては午前3時から日の出前たる午前6までの3時間連続して補光を行い、A−2にあっては午後11時から午前2時までの3時間連続して補光を行い、A−3にあっては午後8時から午前6時までの14時間、10分間投光した後、50分間消灯する操作を繰り返して間欠的に投光する補光を行い、A−4にあっては午後8時から午前6までの終夜連続して補光を行う以外は、前述したBと同様の条件で行った。
なお、補光は、茶樹の用面における照度が80lx(光子量:1.7μmolm-2-1)になるように実施した。
図3から明らかな如く、夜間補光を行う補光栽培にあっては、A−1からA−4のいずれの場合も夜間補光を行わないBの場合より茶葉の遊離アミノ酸含有量が増大していた。
また、図4から明らかな如く、茶葉のカテキン類含有量については、A−1からA−3のいずれの場合も夜間補光を行わないBの場合より低い値であったが、終夜連続して補光を行ったA−4あっては、夜間補光を行わないBの場合より少し高い値であった。
(実施例2)
次に、夜間補光を行わない場合より茶葉の遊離アミノ酸含有量が増大したA−1からA−3の補光栽培について、異なる補光照度にて試験した結果について説明する。
補光試験は佐賀県佐賀市において、二次脇芽の第一葉が展開した2007年9月17から14日間行った。補光は、A−1からA−3の補光栽培それぞれにおいて、樹冠面における平均照度が80lx(光子量:1.7μmolm-2-1)、50lx(光子量:1.1μmolm-2-1)、20lx(光子量:0.45μmolm-2-1)になるように行った。
なお、補光栽培は、A−1にあっては午前3時から午前6時までの3時間連続して補光を行い、A−2にあっては午後11時から午前2時までの3時間連続して補光を行い、A−3にあっては午後7時から午前7時までの12時間、10分間投光した後、50分間消灯する操作を繰り返して間欠的に投光する補光を行った。
なお、遮光栽培は行うが補光栽培は行わない場合を対照とし、遮光栽培も行わない場合参照とした。
異なる補光照度にて試験した結果を次表に示す。
Figure 2010279295
表から明らかなように、午前3時から午前6時までの3時間連続して補光を行うA−1にあっては50lxの照度になした場合、遊離アミノ酸含有量が最も多く、またカテキン類の含有量が最も少なかった。
また、午後11時から午前2時までの3時間連続して補光を行うA−2にあっては、80lxの照度になした場合、遊離アミノ酸含有量が最も多く、またカテキン類の含有量が最も少なかった。
一方、午後7時から午前7時までの12時間、間欠的に投光する補光を行うA−3にあっては、50lxの照度になした場合、遊離アミノ酸含有量が最も多かった。
(実施例3)
次に、補光栽培における光波長の影響について検討した結果について説明する。
図5は、異なる色の光源を用いて補光栽培を行った結果を示すヒストグラムであり、図中、縦軸は、100gの乾燥茶葉に含有される遊離アミノ酸の質量を示している。
また、図5中、Bは青色の光を照射した場合を、Gは緑色の光を照射した場合を、Yは黄色の光を照射した場合を、Oは橙色の光を照射した場合を、Rは赤色の光を照射した場合をそれぞれ示している。
図5から明らかなように、茶葉に含有される遊離アミノ酸の質量は、青色の光を照射した場合が最も多く、次いで赤色の光、黄色の光を照射した場合がこの順に多かった。
1 給電器
2 電源部
3 制御部
5 投光器
5a 投光器
30 遮光用棚
31 遮光部材
C 茶樹
F 樹冠面

Claims (8)

  1. 茶葉を収穫するための茶樹を栽培する方法において、
    前記茶樹の新芽伸育期に、夜間、茶樹の樹冠面における平均照度が100lx以下の適宜照度の光を前記茶樹へ照射することを特徴とする茶樹栽培方法。
  2. 前記茶樹への光の照射は、夜間の適宜時間帯に行う請求項1記載の茶樹栽培方法。
  3. 前記時間帯は、深夜0時後の適宜時刻から日の出時刻以前の適宜時刻までとする請求項2記載の茶樹栽培方法。
  4. 前記時間帯は、深夜0時前の適宜時刻から深夜0時後の適宜時刻までとする請求項2記載の茶樹栽培方法。
  5. 茶樹への光の照射は、断続的に行う請求項1記載の茶樹栽培方法。
  6. 前記茶樹の樹冠面における平均照度が50lxになるように光を照射する請求項3又は5記載の茶樹栽培方法。
  7. 前記茶樹の樹冠面における平均照度が80lxになるように光を照射する請求項4記載の茶樹栽培方法。
  8. 茶葉を収穫するための茶樹を栽培する装置であって、
    前記茶樹へ、茶樹の樹冠面における平均照度が100lx以下の適宜照度の光を照射する投光器と、
    該投光器へ給電する電源部と、
    該電源部の投光器への給電を制御する制御部とを備え、
    該制御部は前記電源部に、夜間、投光器への給電を行わせるようになしてある
    ことを特徴とする茶樹栽培装置。
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