JP2010260462A - 作業車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】副変速が高速段である場合に、前輪増速牽制部材により前輪増速操作部材の摺動を規制して、安定、円滑かつ迅速に旋回できる、安全性を向上させた作業車両を提供する。
【解決手段】主軸51および主変速軸61を介してエンジン40からの回転動力を伝達し、副変速操作部材8の操作により変速可能とする副変速軸76と、この副変速軸76の回転動力を、前輪3に伝達する前輪駆動出力軸85と、この前輪駆動出力軸85に設けた、前輪増速操作部材9の操作により、前後輪駆動状態での車両走行時に、前輪3の操向角に応じて、前輪3の周速度を増速させる前輪増速駆動切換機構88とを備え、副変速操作部材8と、前輪増速操作部材9との間には、副変速操作部材8に連係するリンク部材94を介して前輪増速操作部材9の摺動を規制する前輪増速牽制部材95を含む前輪増速牽機構93を備える。
【選択図】図6
【解決手段】主軸51および主変速軸61を介してエンジン40からの回転動力を伝達し、副変速操作部材8の操作により変速可能とする副変速軸76と、この副変速軸76の回転動力を、前輪3に伝達する前輪駆動出力軸85と、この前輪駆動出力軸85に設けた、前輪増速操作部材9の操作により、前後輪駆動状態での車両走行時に、前輪3の操向角に応じて、前輪3の周速度を増速させる前輪増速駆動切換機構88とを備え、副変速操作部材8と、前輪増速操作部材9との間には、副変速操作部材8に連係するリンク部材94を介して前輪増速操作部材9の摺動を規制する前輪増速牽制部材95を含む前輪増速牽機構93を備える。
【選択図】図6
Description
本発明は、主軸および主変速軸を介してエンジンからの回転動力を伝達し、副変速操作部材の操作により変速可能とする副変速軸と、この副変速軸の回転動力を、前輪に伝達する前輪駆動出力軸と、この前輪駆動出力軸に設けた、前輪増速操作部材の操作により、前後輪駆動状態での車両走行時に、前輪の操向角に応じて、前輪の周速度を増速させる前輪増速駆動切換機構とを備える作業車両に関し、より詳細には、副変速操作部材と、前輪増速操作部材との間には、副変速操作部材に連係するリンク部材を介して前輪増速操作部材の摺動を規制する前輪増速牽制部材を含む前輪増速牽機構を備える作業車両に関する。
従来、ホイール式トラクタなどの作業車両には、二輪駆動状態と四輪駆動状態とに切換可能とし、前輪の操向角が所定値以上となった四輪駆動状態において、例えば、運転席前方下部に設けられた前輪倍速切換レバーなどを操作することで、前輪の周速度を後輪の周速度の倍速で駆動させ、迅速かつ円滑に旋回可能にする(例えば、特許文献1〜2)ものがある。また、副変速の高速領域である三速位置で、電気的手段により作動するシフトロック装置を副変速レバーに設け、四輪駆動入切スイッチをオンにして、前輪倍速装置を作動可能にしても、シフトロック装置の作動により、副変速レバーの高速段位置への摺動が規制されることで、前輪倍速装置の作動状態において、車両が急激に高速走行状態になり、車体の姿勢や挙動が不安定になることを防止する安全装置を備えるもの(特許文献3)がある。
しかし、このような作業車両では、例えば、四輪駆動状態において、副変速軸が高速(副変速レバーが3速以上の高速段位置)の場合、前輪倍速レバーを作動(オン)側に摺動させる規制手段がなく、このような状態でステアリングハンドルを操作し、前輪を所定角以上に操向させる車両旋回時に、前輪倍速レバーを操作して、前輪の周速度を上昇させると、車両の走行状態が急激に変化するため、車両が不安定になるという問題があった。
また、特に、特許文献3のような作業車両では、前輪倍速装置を作動可能にすると、シフトロック装置の作動により、副変速レバーの高速段位置への摺動を規制した安全装置を設けているものの、副変速レバーの規制手段が、電気的なシフトロック装置であるため、用途上車体が振動を受け易い作業車両において、このような安全装置では、振動に伴い故障を引き起こすおそれがあった。
そこで、この発明の目的は、副変速が高速段である場合に、前輪増速牽制部材により前輪増速操作部材の摺動を規制して、安定、円滑かつ迅速に旋回できる、安全性を向上させた作業車両を提供するものである。
また、特に、特許文献3のような作業車両では、前輪倍速装置を作動可能にすると、シフトロック装置の作動により、副変速レバーの高速段位置への摺動を規制した安全装置を設けているものの、副変速レバーの規制手段が、電気的なシフトロック装置であるため、用途上車体が振動を受け易い作業車両において、このような安全装置では、振動に伴い故障を引き起こすおそれがあった。
そこで、この発明の目的は、副変速が高速段である場合に、前輪増速牽制部材により前輪増速操作部材の摺動を規制して、安定、円滑かつ迅速に旋回できる、安全性を向上させた作業車両を提供するものである。
このため請求項1に記載の発明は、主軸および主変速軸を介してエンジンからの回転動力を伝達し、副変速操作部材の操作により変速可能とする副変速軸と、前記副変速軸の回転動力を、前輪に伝達する前輪駆動出力軸と、前記前輪駆動出力軸に設けた、前輪増速操作部材の操作により、前後輪駆動状態での車両走行時に、前記前輪の操向角に応じて、前記前輪の周速度を増速させる前輪増速駆動切換機構とを備える作業車両において、前記副変速操作部材と、前記前輪増速操作部材との間には、前記副変速操作部材に連係するリンク部材を介して前記前輪増速操作部材の摺動を規制する前輪増速牽制部材を含む前輪増速牽機構を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の作業車両において、前記前輪増速牽制部材は、前記前輪増速操作部材の入位置への回動軌道から離間させる方向に牽引する弾性部材を備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の作業車両において、前記前輪増速牽制部材は、前記リンク部材により回動可能に備えるとともに、前記副変速操作部材の高速段位置に伴い、前記前輪増速操作部材の入位置への回動軌道上で前記前輪増速操作部材に当接させて、前記前輪増速操作部材の回動を阻止することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、主軸および主変速軸を介してエンジンからの回転動力を伝達し、副変速操作部材の操作により変速可能とする副変速軸と、副変速軸の回転動力を、前輪に伝達する前輪駆動出力軸と、前輪駆動出力軸に設けた、前輪増速操作部材の操作により、前後輪駆動状態での車両走行時に、前輪の操向角に応じて、前輪の周速度を増速させる前輪増速駆動切換機構とを備える作業車両において、副変速操作部材と、前輪増速操作部材との間には、副変速操作部材に連係するリンク部材を介して前輪増速操作部材の摺動を規制する前輪増速牽制部材を含む前輪増速牽機構を備えるので、副変速操作部材の変速段に対応した副変速軸の回転速度により、前輪増速牽制部材の位置を変更し、副変速操作部材が低速段に位置する場合には、前輪増速操作部材をオン・オフ位置の間で摺動可能にするとともに、副変速操作部材を高速段に位置させた場合には、副変速操作部材の操作によりリンク部材を介して前輪増速牽制部材を移動させ、前輪増速操作部材のオン位置への摺動を規制させることができる。従って、安定、円滑かつ迅速に旋回できる、安全性を向上させた作業車両を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、前輪増速牽制部材は、前輪増速操作部材の入位置への回動軌道から離間させる方向に牽引する弾性部材を備えるので、副変速操作部材が低速段位置では、前輪増速牽制部材による前輪増速操作部材の摺動が妨げられず、前輪増速操作部材を、オン/オフ位置間で摺動させることができる。従って、簡単な構成で、安定、円滑かつ迅速に旋回できる、安全性を向上させた作業車両を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、前輪増速牽制部材は、リンク部材により回動可能に備えるとともに、副変速操作部材の高速段位置に伴い、前輪増速操作部材の入位置への回動軌道上で前輪増速操作部材に当接させて、前輪増速操作部材の回動を阻止するので、副変速高速段では、前輪増速操作部材の回動を前輪増速牽制部材により妨げることで、前輪増速操作部材がオン位置に摺動できず、前輪増速駆動切換機構の作動による前輪の増速を防ぎ、高速走行時における車両の急激な走行状態の変化を防止することができる。従って、簡単な構成で、安定、円滑かつ迅速に旋回できる、安全性を向上させた作業車両を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本発明の一例としてのホイール式トラクタの側面図を示す。この例のトラクタ1は、車体フレーム2の前後に前輪3および後輪4を備え、前輪3の上方にボンネット5を形成し、その内側には原動機部としてのエンジン40およびエンジン40の後部にクラッチハウジング41が配置される。
図1は、本発明の一例としてのホイール式トラクタの側面図を示す。この例のトラクタ1は、車体フレーム2の前後に前輪3および後輪4を備え、前輪3の上方にボンネット5を形成し、その内側には原動機部としてのエンジン40およびエンジン40の後部にクラッチハウジング41が配置される。
さらにこのクラッチハウジング41の後部にはミッションケース42が配設されており、エンジン40からの動力が前輪3および後輪4に伝達される。そして、ボンネット5の後部に連続して操縦部7が設けられる。
この操縦部7内には、車両操作部としてのアクセルペダルやクラッチペダルなどの図示しない操作ペダルや、ステアリングハンドル8、運転席11などが設けられる。また、操縦部7の下方には、作業者が操縦部7に乗降するための昇降ステップ10が取り付けられる。
そして、エンジン40からの動力はミッションケース42後端から突出したPTO軸38に伝達され、このPTO軸38から図示しないユニバーサルジョイントや作業機装着装置39などを介して車両後端に装着された不図示の作業機を駆動させる。
次に、動力伝達の構成について説明する。図2はミッションケースの断面展開図である。まず、エンジン40からの動力は、ミッションケース42内の入力軸43の歯車44から一方がPTO出力軸45の歯車47を介して、PTO軸46に伝達される。なお、このPTO出力軸45は、車両後方に延出された、作業機sを駆動させるPTO軸46と同一軸心に備えられる。
また、入力軸43の歯車44から他方は、主変速軸61の歯車62を介して、主変速軸61に伝達される。また、主変速軸61の下方に有する副変速軸76には、操縦部27に有する不図示の主変速レバーに連係された主変速シフタ73,78が、軸方向摺動可能にスプライン嵌合される。なお、主変速シフタ73,78は一体的に構成されている。
従って、作業者が、前記主変速レバーを操作することにより、主変速シフタ78と、主変速軸61に設けられた歯車77とを咬合選択させることで、主変速を低速段(L)にするほか、主変速シフタ73と、歯車62とを咬合選択させることで、主変速を高速段(H)にすることができる。
また、主変速シフタ78と、主変速軸61に設けられた歯車79とを咬合選択させることで、PTO出力軸45の歯車52を介して副変速軸76に設けられた歯車80を逆回転(R)させることができる。なお、主変速シフタ73,78が、どの歯車とも噛合せないときがニュートラルとされる。
次いで、副変速軸76には、操縦部27に有する後述の副変速操作部材8(副変速レバー)に連係される副変速シフタ81,87が、軸方向摺動可能にスプライン嵌合して設けられる。
従って、作業者が、副変速操作部材8を操作することにより、副変速シフタ81と、主変速軸61に設けられた歯車82とを咬合選択させると副変速1速、副変速シフタ81と、主変速軸61に設けられた歯車83とを咬合選択させることで副変速2速、副変速シフタ87と、主変速軸61に設けられた歯車63とを咬合選択させることで副変速3速(副変速高速段)、さらに副変速シフタ87と、副変速軸76に設けられた歯車84とを咬合選択させることで副変速4速(副変速高速段)として、それぞれの回転速度で副変速軸76を回転させる。
これら副変速シフタ78の摺動による歯車噛合わせの選択で、主変速軸61の回転が三段の変速を経て出力され、副変速軸76に入力された回転動力は、副変速軸76に設けられた歯車86などによって後輪駆動系に出力される。
そして、前輪駆動出力軸85には、前輪増速駆動切換機構88が設置されており、副変速軸76から前輪駆動出力軸85に入力された回転動力が、この前輪駆動出力軸85を介して、前輪駆動系である前輪側の図示しないデフ装置に入力され、図示しないフロントアクスルケース内の車軸などを介して前輪3が駆動される。
また、前輪増速駆動切換機構88は、ドッグクラッチ88hや、多板クラッチ88i、伝達軸88jなどから構成され、ドッグクラッチ88hおよび多板クラッチ88iは、後述する前輪増速レバーなどの前輪増速操作部材9に連係される。
従って、前輪増速操作部材9を入(オン)位置に回動させた場合には、ドッグクラッチ88hを切状態にするとともに、多板クラッチ88iを入状態にするため、前輪駆動出力軸85からの回転動力は、伝達軸88jで前輪駆動出力軸85の回転の約2倍の速度に増速されて前輪駆動出力軸85の前部に戻され、この前輪駆動出力軸85から前輪3に伝達される。
一方、前輪増速操作部材9を切(オフ)位置に回動させた場合には、ドッグクラッチ88hを入状態にするとともに、多板クラッチ88iを切状態にするため、前輪駆動出力軸85からの回転動力は、前輪駆動出力軸85を介してそのままの回転速度で前輪3に伝達される。なお、これら構成は、例えば、特開2004−98873などに示す周知技術であるため、詳細な説明は省略する。
次に、本願発明の特徴である、前輪増速牽制部材による、副変速操作部材および前輪増速操作部材の連係について詳述する。図3は副変速操作部材および前輪増速操作部材の設置位置を示す、運転席左側方近傍の斜視図、図4は前輪増速牽制機構の全体斜視図、図5は副変速低速段における前輪増速牽制部材の位置を示す前輪増速操作部材周辺の斜視図、図6は副変速高速段における前輪増速牽制部材の位置を示す前輪増速操作部材周辺の斜視図である。
まず、図3に示すように、車両左側部に配設されたフェンダ12の前部には、レバーガイド14から、上述した副変速シフタ78に連係する、副変速軸76の回転速度を変更させるための副変速レバーなどの副変速操作部材8が突設される。なお、副変速操作部材8は、例示したレバーに限定されず、スイッチなど、後述する前輪増速牽機構91を作動可能とする部材であればよい。
次に、運転席11の前方であって、フロア6の後部には、上述した前輪増速駆動切換機構88に連係する、前輪増速操作のオン/オフを行なう前輪増速レバーなどの前輪増速操作部材9が突設される。なお、前輪増速操作部材9は、例示したレバーに限定されず、スイッチなど、後述する前輪増速牽制機構91を作動可能とする部材であればよい。
また、図4に示すように、前輪増速操作部材9の前方には、前輪増速駆動切換機構88に連係するリンク機構92が設置されており、このリンク機構92の後端部が、前輪増速操作部材9の下部に有する回動軸9aに接続される。従って、前輪増速操作部材9の摺動操作により、リンク機構92を介して、上述したような前輪増速駆動切換機構88´による前輪増速操作のオン/オフ操作が行なわれる。
なお、リンク機構92は、前輪増速操作部材9と、前輪増速駆動切換機構88´のドッグクラッチ88hや、多板クラッチ88iとを連係するものであり、この前輪増速駆動切換機構88´に連係する盤上部材92aや、弾性部材92bなどから構成される。
そして、前輪増速操作部材9が後方のオフ位置に有するときは、弾性部材92bの付勢に伴い、盤上部材92aが、その切欠に内設する係止部材92cによって前輪増速操作部材9のオフ位置に対応した回転位置に係止される。従って、盤上部材92aに連係する不図示のリンク部材が、ドッグクラッチ88hを入状態にするとともに、多板クラッチ88iを切状態にさせる。
そして、前輪増速操作部材9を前方のオン位置に回動させたときは、係止部材92cの後方への牽引力が解除されることで、盤上部材92aが回動軸を中心に回転し、係止部材92cが、前輪増速操作部材9のオン位置に対応した切欠位置で係止される結果、盤上部材92aが前輪増速操作部材9のオン位置に対応した回転位置で係止される。
従って、盤上部材92aに連係する不図示のリンク部材が、ドッグクラッチ88hを切状態にするとともに、多板クラッチ88iを入状態にさせる。なお、図4では、リンク機構92や、後述する前輪増速牽機構93を説明するために、便宜上、車体左側部に備えられる昇降ステップ10や、この昇降ステップ10近傍の覆設部材類を取外して示したものである。
次に、副変速操作部材8と、前輪増速操作部材9との間には、前輪増速操作部材9の摺動を規制する、前輪増速牽制機構93が設けられる。この前輪増速牽制機構93は、ワイヤーなどのリンク部材94や、ストッパーとしての前輪増速牽制部材95などから構成される。
そして、副変速操作部材8の基端部には、先端に丸棒状の部材8bを設けた基端部材8aを設けている。この基端部材8aが、ミッションケースに支持されるステーに回動支点を設け、車体左右幅方向に回動するレバー96を回動可能とするとともに、このレバー96には、リンク部材94の一端部が接続される。なお、副変速操作部材8は、ミッションケース42内の副変速シフタ78に連係されるとともに、副変速操作部材8下部の回動軸8aを中心として、変速段の所定位置に回動可能とする周知技術である。
次に、前輪増速操作部材9の、オン位置側である前輪増速操作側(前輪増速操作部材9の前方)には、平面視略コ字形状などの前輪増速牽制部材95が、図5〜6に示すように、車体側の内側部95aに設けられた回動軸95bを中心として、車両前後方向に回動自在に設置される。
また、前輪増速牽制部材95の中央部95cに貫設した穴部95dと、前輪増速牽制部材95の前方であって、ミッションケース42に取付けられたステー97との間には、バネなどの弾性部材98が介設されることで、前輪増速牽制部材95は、弾性部材98の付勢により、常時前輪増速操作部材9の前方側(車両前方側)に牽引された状態とする。
さらに、前輪増速牽制部材95の制動部95eに延設した取付部95fには、リンク部材94の他端部が接続される。
ここで、車両の旋回走行を行う際の前輪増速について、まず、副変速操作部材8を低速段(1〜2速、C速、ニュートラルを含む)位置とした、副変速軸76の低速状態である、車両の低速走行時においては、図6〜7に示すように、副変速操作部材8がミッションケース42から離れた位置のレバー溝における所定位置に有するため、副変速操作部材8の基端部材8aがレバー96に接触せず、このレバー96が、機体内側方向(図面上ミッションケース42方向)へ押圧されないため、レバー96は回動されない。
つまり、リンク部材94の牽引作用がないため、前輪増速牽制部材95は、弾性部材98の付勢により、回動軸95bを中心として車両前方側に牽引されているため、前輪増速操作部材9を前方に回動させても、前輪増速牽制部材95の制動部95eが、前輪増速操作部材9のレバー前端部9aに接触せず、前輪増速操作部材9の回動を妨げない状態であるため、前輪増速操作部材9を車両前方側であるオン位置に回動することができる。
従って、車両の走行速度が比較的遅い、副変速の低速段では、ステアリングハンドルによる前輪3の旋回に伴い、作業者は、前輪増速操作部材9を車両前方側であるオン位置に回動させて、前輪増速駆動切換機構88を作動し、前輪3の周速度を上述のように倍速に増速させることで、車両を安定させながら円滑、かつ迅速に旋回させることができる。
次に、副変速操作部材8を高速段(3速あるいは4速)位置とした、副変速軸76の高速状態である、車両の高速走行時においては、図4および図6に示すように、副変速操作部材8が、ミッションケース42に近い位置のレバー溝における所定位置に摺動されるため、副変速操作部材8の基端部材8aが、レバー96を、機体内側方向(図面上ミッションケース42方向)へ押圧して回動させる。
次いで、レバー96の回動に伴い、リンク部材94が、レバー96側に牽引(摺動)されることにより、このリンク部材94が、前輪増速牽制部材95を、弾性部材98の付勢に抗して取付部95fを介し、回動軸95bを中心に車両後方側(前輪増速操作部材9の回動軌道側)へ回動させる。
このとき、前輪増速牽制部材95の制動部95eが、前輪増速操作部材9の入(オン)位置への回動軌道上に位置するため、前輪増速操作部材9を前方のオン位置に回動させようとしても、レバー前端部9aが制動部95eに接触するため、前輪増速操作部材9の回動が妨げられることにより、前輪増速操作部材9が、車両前方側である前輪増速操作のオン位置へ回動されず、前輪増速操作部材9が、前輪増速操作のオフ位置に留められる。
従って、車両の走行速度が比較的速い、副変速の高速段では、ステアリングハンドルによる前輪3の旋回に伴い、誤って前輪3を増速させるために、作業者が、前輪増速操作部材9を、前輪増速操作のオン位置へ回動させようとしても、前輪増速牽制部材95により前輪増速操作部材9の回動を妨害して、前輪増速操作部材9の回動を阻止することができる。このため、前輪増速駆動切換機構88の作動による前輪3の増速を防ぎ、高速走行時における車両の急激な走行状態の変化を防止することができる。
なお、上述した車両の副変速を、高速段から低速段に切換えた場合には、副変速操作部材8の摺動操作に伴うレバー96の回動により、リンク部材94のレバー96側への牽引が解除される結果、弾性部材98の付勢により前輪増速牽制部材95が、車両前方側に回動して戻されるため、前輪増速操作部材9の回動阻止が解除されて、前輪増速操作部材9が、前輪増速操作のオン位置側に回動可能となる。
以上詳述したように、この例の作業車両1は、主軸51および主変速軸61を介してエンジン40からの回転動力を伝達し、副変速操作部材8の操作により変速可能とする副変速軸76と、この副変速軸76の回転動力を、前輪3に伝達する前輪駆動出力軸85と、この前輪駆動出力軸85に設けた、前輪増速操作部材9の操作により、前後輪駆動状態での車両走行時に、前輪3の操向角に応じて、前輪3の周速度を増速させる前輪増速駆動切換機構88´とを備え、副変速操作部材8と、前輪増速操作部材9との間には、副変速操作部材8に連係するリンク部材94を介して前輪増速操作部材9の摺動を規制する前輪増速牽制部材95を含む前輪増速牽制機構93を備えるものである。
なお、上述の例では、作業車両の一例としてホイール式トラクタについて説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、ホイール式のブルトーザのような建設作業車両など、前輪増速駆動切換機構を有する車両であればよい。
8 副変速操作部材
8a 基端部材
9 前輪増速操作部材
9a レバー前端部
93 前輪増速牽機構
94 リンク部材
95 前輪増速牽制部材
95a 内側部
95b 回動軸
95c 中央部
95d 穴部
95e 制動部
95f 取付部
96 レバー
98 弾性部材
8a 基端部材
9 前輪増速操作部材
9a レバー前端部
93 前輪増速牽機構
94 リンク部材
95 前輪増速牽制部材
95a 内側部
95b 回動軸
95c 中央部
95d 穴部
95e 制動部
95f 取付部
96 レバー
98 弾性部材
Claims (3)
- 主軸および主変速軸を介してエンジンからの回転動力を伝達し、副変速操作部材の操作により変速可能とする副変速軸と、
前記副変速軸の回転動力を、前輪に伝達する前輪駆動出力軸と、
前記前輪駆動出力軸に設けた、前輪増速操作部材の操作により、前後輪駆動状態での車両走行時に、前記前輪の操向角に応じて、前記前輪の周速度を増速させる前輪増速駆動切換機構と、
を備える作業車両において、
前記副変速操作部材と、前記前輪増速操作部材との間には、前記副変速操作部材に連係するリンク部材を介して前記前輪増速操作部材の摺動を規制する前輪増速牽制部材を含む前輪増速牽機構を備えることを特徴とする作業車両。 - 前記前輪増速牽制部材は、前記前輪増速操作部材の入位置への回動軌道から離間させる方向に牽引する弾性部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載の作業車両。
- 前記前輪増速牽制部材は、前記リンク部材により回動可能に備えるとともに、前記副変速操作部材の高速段位置に伴い、前記前輪増速操作部材の入位置への回動軌道上で前記前輪増速操作部材に当接させて、前記前輪増速操作部材の回動を阻止することを特徴とする、請求項1に記載の作業車両。
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---|---|---|---|
JP2009113218A JP2010260462A (ja) | 2009-05-08 | 2009-05-08 | 作業車両 |
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JPS6382628U (ja) * | 1986-11-19 | 1988-05-31 |
Cited By (2)
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KR20160038577A (ko) * | 2014-09-30 | 2016-04-07 | 대동공업주식회사 | 고속단 변속 시 배속턴 방지기능을 갖춘 농업용 작업차 및 배속턴 방지를 위한 제어방법 |
KR102241869B1 (ko) | 2014-09-30 | 2021-04-20 | 대동공업주식회사 | 고속단 변속 시 배속턴 방지기능을 갖춘 농업용 작업차 및 배속턴 방지를 위한 제어방법 |
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