JP2010253954A - 成型用積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリエステルA層の両面に、ポリエステルB層を積層してなる二軸配向フィルムを基材とし、該基材の片面又は両面に塗布層を有し、二軸延伸後の熱処理が2段階以上の区間を有し、最大昇温速度10〜30℃/秒、最大熱処理温度(A層の融点−10℃)〜(A層の融点+20℃)で得られ、塗布層にのみ粒子が含有され、A層の融点(TmA:℃)とB層の融点(TmB:℃)が下記式(1)と(2)を同時に満足し、150℃における熱収縮率が長手及び幅方向ともに6.0%以下であり、幅方向の厚み変動率が10%以下であることを特徴とする成形用積層ポリエステルフィルム。
260>TmB>TmA>200・・・(1)
50>TmB−TmA>5・・・(2)
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明における第1の発明は、ポリエステルA層の両面に、ポリエステルB層を積層してなる二軸配向積層ポリエステルフィルムを基材フィルムとし、該基材フィルムの片面又は両面に塗布層を有する成型用ポリエステルフィルムであって、二軸延伸後の熱処理工程において、熱処理工程が2段階以上の熱処理区間を有し、熱処理区間における、最大の昇温速度を10〜30℃/秒、最大の熱処理温度を(A層の融点−10℃)〜(A層の融点+20℃)に制御することにより得られものであり、基材フィルムは実質的に粒子を含有せず、塗布層にのみ粒子が含有され、A層およびB層はいずれも、共重合ポリエステル、あるいは共重合ポリエステルおよびホモポリエステルを構成成分とし、該共重合ポリエステルが、(a)芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステル、あるいは(b)テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成され、A層の融点(TmA:℃)とB層の融点(TmB:℃)が下記式(1)及び(2)を同時に満足し、積層ポリエステルフィルムは、A層およびB層ともに配向構造を有し、150℃における熱収縮率が長手方向及び幅方向ともに6.0%以下であり、幅方向の厚み変動率が10%以下であることを特徴とする成型用積層ポリエステルフィルムである。
260>TmB>TmA>200 ・・・(1)
50>TmB−TmA>5 ・・・(2)
A層およびB層を構成するポリエステルが、共重合ポリエステル、あるいは共重合ポリエステルとホモポリエステルとの混合物であり、
熱処理工程が2段階以上の熱処理区間を有し、熱処理区間における、最大の昇温速度を10〜30℃/秒、最大の熱処理温度を(A層の融点−10℃)〜(A層の融点+20℃)に制御することを特徴とする前記の成型用積層ポリエステルフィルムの製造方法である。
(i)クリップ部分に熱遮蔽壁を設ける方法
(ii)クリップ冷却機構をテンターに付加する方法
(iii)熱固定後の冷却区間を長く設定し、フィルム全体の冷却を十分行う方法
(iv)冷却区間の長さ、区画数を増やして、冷却効率を増加させる方法
(v)クリップの戻り部分が炉の外側を走行するタイプを用いてクリップの冷却を強化する方法
本発明の成型用積層ポリエステルフィルムにおいて、150℃での熱収縮率(HS150)は、長手方向及び幅方向のいずれも6.0%以下であることが好ましい。HS150の上限値は、5.0%がより好ましく、さらに好ましくは4.0%、特に好ましくは3.0%である。一方、HS150の下限値は、実用上の点から、0.01%が好ましく、0.1%がさらに好ましく、特に好ましくは0.5%である。HS150は小さいことが好ましいが、成型用フィルムの後加工時の熱処理温度、成型品が使用される温度雰囲気に応じて、実用上の効果と生産性の観点から、適切な管理基準を定めればよい。しかしながら、HS150が0.01%未満のフィルムを製造しても、実用上の効果に顕著な差異が見られない。むしろ、生産性が非常に低下するため、HS150を0.01%未満とする必然性はない。
本発明では、フィルムの厚み変動率は、マクロ的な耐衝撃性に関連する特性値として用いている。
フィルムの厚み変動率(厚みむら)は、一般的に、フィルムの外観の品位を示す特性値の1つとしてよく使われている。フィルムの厚み変動率が大きいということは、フィルムの厚さに影響する物性が変動することを意味する。フィルムの厚み変動率が大きくなると、厚みの薄い部分で耐衝撃性が低下する。そのため、フィルムを連続的に長時間製造する際、フィルムへの後加工時(印刷、金属膜や金属酸化物膜の積層など)、成型加工時、あるいは成型品の使用時に、厚みの薄い部分でフィルムの破れが発生しやすくなる。また、フィルムを成型する際に、フィルムの変形が不均一になり、成型性が不均一になるなど安定性が低下する。
本発明において、100%伸長時の応力(F100)とは、フィルムの成型性と密接な関連がある尺度である。F100がフィルムの成型性と密接な関連を持つ理由として、例えば、真空成形法を用いて二軸配向ポリエステルフィルムを成型する際、金型のコーナー付近では、フィルムは局部的に100%以上に伸長する場合がある。F100が高いフィルムでは、変形に必要な応力が高すぎるために変形不足となり、成形性が低下すると考えられる。一方、F100が小さすぎるフィルムでは、低い応力で変形可能となる。しかしながら、極めて弱い張力しか発生しない。そのため、該部分におけるフィルムの均一な伸長が得られず、成型に歪みが生じてしまうと推定している。
本発明の成型用積層ポリエステルフィルムは、ヘーズが2%以下であることが好ましい。ヘーズが2%以下であることにより、印刷、金属蒸着、スパッタ層、転写層などの各種の加飾の鮮明性、高級感が高くなり、商品価値を格段に高めることができる。ヘーズは1.8%以下がより好ましく、特に好ましくは1.6%以下である。
本発明のフィルムの評価において、25℃での破断伸度は、フィルムが室温付近で取り扱い性に関連する特性値である。例えば、25℃での破断伸度を管理しておくことで、印刷、スリットなどの後加工の通過性を良好な状態で維持することができる。
本発明の成型用積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層(コア層)の両面に、ポリエステルB層(スキン層)を積層してなる二軸配向積層ポリエステルフィルムである。
260>TmB>TmA>200 ・・・(1)
50>TmB−TmA>5 ・・・(2)
260>TmB>TmA>200 ・・・(1)
50>TmB−TmA>5 ・・・(2)
本発明の成型用積層ポリエステルフィルムにおいて、コア層(A層)およびスキン層(B)に用いるポリエステルは、共重合ポリエステル、あるいは共重合ポリエステルおよびホモポリエステルのブレンドを用いる。
すなわち、本発明の積層フィルムでは、共重合ポリエステルを用いているため、結晶化度が低い。そのため、熱処理区間で、フィルムの厚みむらの悪化や衝撃強度の低下だけでなく、製膜中に熱処理区間でフィルムに穴があき、連続製膜ができなく場合がある。
(1)室温での破断伸度の低下により、非常にもろいフィルムとなるために製造工程での巻き取りやスリットが困難になる。
(2)使用時も切れやすいために、取り扱い性に問題が発生する。
(3)厚みムラが非常に悪くなり、取り扱い性、外観品位の低下、加工品位、加工再現性が悪化する。
(4)成型時、印刷などの加熱をともなう後加工時、または高温雰囲気下で成型品を使用する際に、無配向の部分が加熱により白く変質する場合が有り、外観が不良となる。このために、使用または加工時の温度範囲が限定されてしまう。
チップサンプル0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
示差走査熱量測定器(デュポン社製、V4 OB2000型)を用い、サンプル量約0.010g、測定温度範囲を室温から300℃、昇温速度20℃/分の条件で測定した。A層とB層の融点の判別は、フィルムをA4サイズに切りだし、平板に接着固定した後、片刃カミソリを用いて表面を削り取り、DSC測定を行うことで、B層の融点を測定する。次いで、フィルム全体の融点をDSC測定で求め、B層の融点に関する融解ピークの情報を除することで、A層の融点を求めた。
判定用サンプルの作成は、ミクロトームを使用し、フィルムのMD方向に平行に、厚み方向断面を透過観察するための薄い切片(厚み:10μm)を作成する。次いで、透過型偏光顕微鏡を用いて、偏光版を回転させた場合のA層における像の明るさを、下記の基準で目視判定する。なお、拡大倍率は200倍で行った。
配向無し: A層における像の明るさが実質的に変化しない。
配向有り: A層における像の明るさが変化する。
JIS K 7105「プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法」機械的走査による測定方法(A法)に準拠して測定した。測定器は、電子マイクロメーター(マール社製、ミリトロン1240)を用いた。フィルムの厚みは、フィルム1枚当たり5点、計3枚の15点を測定し、その平均値を求めた。
二軸延伸フィルムの長手方向及び幅方向に対して、それぞれ長さ180mm及び幅10mmの短冊状に試料を片刃カミソリで切り出した。次いで、引っ張り試験機(東洋精機株式会社製)を用いて短冊状試料を引っ張り、得られた荷重−歪曲線から各方向の100%伸張時応力(MPa)及び破断伸度(%)を求めた。
(6)150℃での熱収縮率
JIS C 238−1997 5.3.4(寸法変化)に準拠して、フィルムの長手
方向及び幅方向における150℃での熱収縮率を下記の手順で測定した。
フィルムの長手方向及び幅方向に対し、それぞれ長さ250mm及び幅20mmの短冊状試料を切り出す。各試料の長さ方向に200mm間隔で2つの印を付け、5gの一定張力(長さ方向の張力)下で2つの印の間隔Aを測定する。続いて、短冊状の各試料の片側をカゴに無荷重下でクリップにてつるし、150℃の雰囲気下のギアオーブンに入れると同時に時間を計る。30分後、ギアオーブンからカゴを取り出し、30分間室温で放置する。次いで、熱処理後の各試料について、5gfの一定張力(長さ方向の張力)下で、2つの印の間隔B(熱処理後の2つの印の間隔)を金指により0.25mm単位で読み取る。読み取った間隔A及びBより、各試料の150℃での熱収縮率を下記式により算出し下記の基準で判断した。測定は3回行い、その平均値を求めた。数値は、小数点第2位を四捨五入して、小数第1位に揃えた。
熱収縮率(%)=((A−B)/A)×100
フィルムの幅方向に3m、長手方向に5cmの長さの連続したテープ状サンプルを巻き取り、フィルム厚み連続測定機(アンリツ株式会社製)にて、フィルムの厚みを測定し、レコーダーに記録する。チャートより、厚みの最大値(dmax)、最小値(dmin)、平均値(d)を求め、下記式にて厚み変動率(%)を算出した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。また、幅方向の長さが3mに満たない場合は、つなぎ合せて行う。なお、つなぎの部分はデータから削除する。
厚み変動率(%)=((dmax−dmin)/d)×100
JIS K 7136に準拠し、ヘーズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
フィルムインパクトテスター(東洋精機製作所社製、製造番号T−84−3)を使用し、測定用フィルムをクランプで押さえ付け、1/2インチ径の半球衝撃ヘッドで突き刺し、サンプルの衝撃強度を測定した。サンプルは100mm×100mm以上に切り、サンプルを固定するリングは内径30mmであった。なお、測定は10回行い、その平均値を求めた。その平均値を厚さ1mmあたりに換算して、フィルムの衝撃強度(J/mm)として求め、以下の基準で判定した。
〇: 10J/mm以上
×: 10J/mm未満
(a)真空成型性
フィルムに5mm四方のマス目印刷を施した後、500℃に加熱した赤外線ヒーターでフィルムを10〜15秒加熱した後、金型温度30〜100℃で真空成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が50mmであり、底面部は直径が40mmで、深さが50mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。
◎:(i)成型品に破れがなく、
(ii) 角の曲率半径が1mm以下で、かつ印刷ずれが0.1mm以下であり、
(iii)さらに×に該当する外観不良がないもの
○:(i) 成型品に破れがなく、
(ii) 角の曲率半径が1mmを超え1.5mm以下、または印刷ずれが0.1
mmを超え0.2mm以下で、
(iii)さらに×に該当する外観不良がなく、実用上問題ないレベルのもの
×:成型品に破れがあるもの、または破れがなくとも以下の項目(i)〜(iv)の
いずれかに該当するもの
(i) 角の曲率半径が1.5mmを超えるもの
(ii) 大きな皺が入り外観が悪いもの
(iii)フィルムが白化し透明性が低下したもの
(iv) 印刷のずれが0.2mmを超えるもの
フィルムに5mm四方のマス目印刷を施した後、500℃に加熱した赤外線ヒーターでフィルムを10〜15秒加熱した後、金型温度30〜100℃で、4気圧の加圧下で圧空成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が60mmであり、底面部は直径が55mmで、深さが50mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。
◎:(i) 成型品に破れがなく、
(ii) 角の曲率半径が1mm以下で、かつ印刷ずれが0.1mm以下であり、
(iii)さらに×に該当する外観不良がないもの
○:(i) 成型品に破れがなく、
(ii) 角の曲率半径が1mmを超え1.5mm以下、または印刷ずれが0.1
mmを超え0.2mm以下で、
(iii)さらに×に該当する外観不良がなく、実用上問題ないレベルのもの
×:成型品に破れがあるもの、または破れがなくとも以下の項目(i)〜(iv)の
いずれかに該当するもの
(i) 角の曲率半径が1.5mmを超えるもの
(ii) 大きな皺が入り外観が悪いもの
(iii)フィルムが白化し透明性が低下したもの
(iv) 印刷のずれが0.2mmを超えるもの
フィルムに印刷を施した後、100〜140℃に加熱した熱板で4秒間接触加熱後、金型温度30〜70℃、保圧時間5秒にてプレス成型を行った。なお、加熱条件は各フィルムに対し、上記範囲内で最適条件を選択した。金型の形状はカップ型で、開口部は直径が50mmであり、底面部は直径が40mmで、深さが30mmであり、全てのコーナーは直径0.5mmの湾曲をつけたものを用いた。
◎:(i) 成型品に破れがなく、
(ii) 角の曲率半径が1mm以下で、かつ印刷ずれが0.1mm以下であり、
(iii)さらに×に該当する外観不良がないもの
○:(i) 成型品に破れがなく、
(ii) 角の曲率半径が1mmを超え1.5mm以下、または印刷ずれが0.1
mmを超え0.2mm以下で、
(iii)さらに×に該当する外観不良がなく、実用上問題ないレベルのもの
×:成型品に破れがあるもの、または破れがなくとも以下の項目(i)〜(iv)の
いずれかに該当するもの
(i) 角の曲率半径が1.5mmを超えるもの
(ii) 大きな皺が入り外観が悪いもの
(iii)フィルムが白化し透明性が低下したもの
(iv)印刷のずれが0.2mmを超えるもの
25℃に調温したトルエンに試料を30分間浸漬し、浸漬前後の外観変化について下記の基準で判定し、○を合格とした。なお、ヘーズ値は前記の方法で測定した。
○:外観変化がほとんど無く、ヘーズ値の変化が1%未満
×:外観変化が認められる、あるいはヘーズ値の変化が1%以上
JIS−C2151に準拠し、下記条件により評価した。
平板用試験片:幅130mm、長さ250mmで非印刷面側を使用
そり用試験片:幅120mm、長さ120mmで印刷面側を使用
測定雰囲気:23℃、50%RH
そり質量:200g
試験速度:150mm/分
〇: μs、μdともに0.8未満
×: μs、μdのいずれかが0.8以上
150℃で、30分間熱処理した後、以下の基準で目視による外観観察を行った。なお、○が合格である。
○: 変化なし
×: フィルムが白くにごり、変化が見られる。
(水分散したポリエステル系グラフト共重合体の調製)
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、疎水性共重合ポリエステル75質量部、メチルエチルケトン56質量部およびイソプロピルアルコール19質量部を入れ、65℃で加熱、撹拌し樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、無水マレイン酸15質量部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン10質量部およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5質量部を12質量部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/分でポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノールを5質量部添加した。次いで、イオン交換水300質量部とトリエチルアミン15質量部を反応溶液に加え、1時間半撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げメチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散したポリエステル系グラフト共重合体を得た。得られたポリエステル系グラフト共重合体は、淡黄色透明で、ガラス転移温度は40℃であった。
イオン交換水とイソプルピルアルコールの混合溶媒(質量比:60/40)に、全固形分濃度が5質量%となるように、水分散したポリエステル系グラフト共重合体と、粒子として平均粒径2.2μmのスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子(日本触媒工業社製)、平均粒径0.02μmのコロイダルシリカ(触媒化成社製)をそれぞれ固形分質量比で50/1/3になるよう混合し、塗布液Aを調製した。
イオン交換水とイソプルピルアルコールの混合溶媒(質量比:60/40)に、全固形分濃度が5質量%となるように、水分散性ポリエステル系共重合体(東洋紡績社製、バイロナ−ルMD−16)と、スルホン酸金属塩としてドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム(松本油脂社製、アニオン系帯電防止剤)、高分子系ワックス剤としてポリエチレン系エマルジョンワックス(東邦化学社製)、粒子として平均粒径2.2μmのスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子(日本触媒工業社製)、平均粒径0.04μmのコロイダルシリカ(日産化学社製)をそれぞれ固形分質量比で50/2.5/2.5/0.5/5になるよう混合し、塗布液Bを調製した。
表1に記載の組成の樹脂を乾燥し、コア層(A層)およびスキン層(B層)の原料として使用した。
フィードブロックとTダイを有する共押出し可能な押出し機を用い、B層用原料を表2のB層押出し条件で、同様にA層用原料を表2のA層押出し条件で共押出しした。層の構成はB/A/Bの2種3層である。また、最終フィルム厚みが100μm、各層の厚みがB/A/B=8/84/8の比率となるように、溶融押出し時の樹脂の吐出量を調整した。スキン層(B層)の滞留時間は18分、コア層(A層)の滞留時間は8分で、表面温度40℃のキャストドラム上で急冷固化して無定形シートを得た。
実施例1において、表1に示す原料および表4に示す製膜条件に変更すること以外は実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ100μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.66dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表6に示す。
実施例1において、表1に示す原料および表4に示す製膜条件に変更すること以外は実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ100μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.66dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表6に示す。
実施例1において、表1に示す原料および表4に示す製膜条件に変更すること以外は実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ100μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.70dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表6に示す。
実施例1において、表1に示す原料に変更し、溶融押出時の吐出量を調整して未延伸シートの厚さを変更し、表4に示す製膜条件に変更し、さらに塗布層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、厚さ25μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.65dl/gであった。得られたフィルムの特性と評価結果を表6に示す。
実施例1において、実施例2と同じ原料を用い、溶融押出時の吐出量を調整して未延伸シートの厚さを変更し、表4に示す製膜条件に変更すること以外は実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ50μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.64dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表6に示す。
実施例1において、B層用の原料を表2に示す原料に変更すること以外は、実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ50μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.70dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表6に示す。
実施例1において、表2に示す原料および表5に示す製膜条件に変更し、スキン層(B)を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmの単層構成を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表7に示す。
実施例1において、表2に示す原料および表5に示す製膜条件に変更し、スキン層(B)を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして、厚さ100μmの単層構成を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表7に示す。
実施例1において、表5に示す製膜条件に変更すること以外は実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ100μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.71dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表7に示す。
実施例1において、B層用原料を表3に示す原料に変更し、さらに表5に示す製膜条件に変更すること以外は実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ100μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.71dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表7に示す。
実施例4において、表5に記載の製膜条件に変更すること以外は実施例4と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ100μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.71dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表7に示す。
実施例1において、表3に示す原料および表5に示す製膜条件に変更すること以外は実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ100μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.70dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表7に示す。
表3に記載の樹脂を準備し、乾燥してA層およびB層に用いる原料とした。次いで、フィードブロックとTダイを有する共押出し可能な溶融押出し機を用い、B層用原料を285℃で、A層用原料を285℃でそれぞれ別の溶融押出し機で溶融した。次いで、層の構成をB/A/Bとし、B層/A層の厚み比を0.11として、共押出ししし、キャストドラム上で急冷固化して未延伸積層シートを得た。
実施例1において、表3に示す原料および表5に示す製膜条件に変更すること以外は実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ100μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの固有粘度は、0.70dl/gであった。また、塗布層aおよび塗布層bの最終乾燥塗布量はともに0.1g/m2であった。得られたフィルムの特性と評価結果を表7に示す。
実施例1において、表3に示す原料および表5に示す製膜条件に変更すること以外は実施例1と同様にして、片面に塗布層a、他面に塗布層bを有する厚さ100μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得ようとしたが、テンター内で破断が発生し、フィルムを得ることが出来なかった。
Claims (6)
- ポリエステルA層の両面に、ポリエステルB層を積層してなる二軸配向積層ポリエステルフィルムを基材フィルムとし、該基材フィルムの片面又は両面に塗布層を有する成型用ポリエステルフィルムであって、
二軸延伸後の熱処理工程において、熱処理工程が2段階以上の熱処理区間を有し、熱処理区間における、最大の昇温速度を10〜30℃/秒、最大の熱処理温度を(A層の融点−10℃)〜(A層の融点+20℃)に制御することにより得られものであり、
基材フィルムは実質的に粒子を含有せず、塗布層にのみ粒子が含有され、
A層およびB層はいずれも、共重合ポリエステル、あるいは共重合ポリエステルおよびホモポリエステルを構成成分とし、
該共重合ポリエステルが、(a)芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステル、あるいは(b)テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成され、
A層の融点(TmA:℃)とB層の融点(TmB:℃)が下記式(1)及び(2)を同時に満足し、
積層ポリエステルフィルムは、A層およびB層ともに配向構造を有し、
150℃における熱収縮率が長手方向及び幅方向ともに6.0%以下であり、
幅方向の厚み変動率が10%以下であることを特徴とする成型用積層ポリエステルフィルム。
260>TmB>TmA>200 ・・・(1)
50>TmB−TmA>5 ・・・(2) - ホモポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の成型用積層ポリエステルフィルム。
- 積層ポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向及び幅方向における100%伸張時応力が、いずれも25℃において40〜300MPa及び100℃において1〜100MPaであることを特徴とする請求項1または2に記載の成型用積層ポリエステルフィルム。
- 積層ポリエステルフィルムは、ヘーズが2.0%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成型用積層ポリエステルフィルム。
- 共押出し法を用いて、ポリエステルA層の両面に、ポリエステルB層を積層させてなる未延伸シートを製造する工程、未延伸シートを縦方向および幅方向に二軸延伸する工程、二軸延伸したフィルムをクリップで把持しながらで熱処理する工程からなる成型用積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、
A層およびB層を構成するポリエステルが、共重合ポリエステル、あるいは共重合ポリエステルとホモポリエステルとの混合物であり、
熱処理工程が2段階以上の熱処理区間を有し、熱処理区間における、最大の昇温速度を10〜30℃/秒、最大の熱処理温度を(A層の融点−10℃)〜(A層の融点+20℃)に制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成型用積層ポリエステルフィルムの製造方法。 - 横延伸及び熱処理を、テンター内でフィルムをクリップで保持しながら行う際に、クリップの近傍を下記の(i)〜(v)の少なくとも1つの方法を用いて冷却し、次いでテンター出口でクリップからフィルムを開放することを特徴とする請求項5に記載の成型用積層ポリエステルフィルムの製造方法。
(i)クリップ部分に熱遮蔽壁を設ける方法
(ii)クリップ冷却機構をテンターに付加する方法
(iii)熱固定後の冷却区間を長く設定し、フィルム全体の冷却を十分行う方法
(iv)冷却区間の長さ、区画数を増やして、冷却効率を増加させる方法
(v)クリップの戻り部分が炉の外側を走行するタイプを用いてクリップの冷却を強化する方法
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