JP2005171124A - インサート成型用ポリエステルフィルム - Google Patents

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正敏 田邉
Shinji Fujita
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Abstract

【課題】加熱成型時の成型性、低温(150℃未満、特に120℃程度)での成型性に優れ、かつ成型品として常温雰囲気下で使用する際に、剛性及び形態安定性(熱収縮特性、厚み斑)に優れ、かつフィルムの透明性が高く印刷の絵柄の鮮明度が良好で、さらに成型品の仕上がり性が改善されたインサート成型用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸成分と、EG及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から合成された共重合ポリエステルを含むポリエステルフィルムであって、前記フィルムは厚みd(μm)に対するヘイズH(%)の比(H/d)が0.010未満であり、かつ前記フィルムの長手方向及び幅方向における100%伸張時応力が、25℃で10MPa以上180MPa未満及び100℃で1〜100MPaであり、かつ融点が220〜245℃であるインサート成型用ポリエステルフィルム。

Description

本発明は、インサート成型用ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは射出成型等において金型に装填した転写型印刷フィルムの支持体フィルムに関し、成型性、特に低温成型性や仕上がり性等が改善されたインサート成型用ポリエステルフィルムに関する。
従来、加工用シートとしては、ポリ塩化ビニルフィルムが代表的であり、加工性などの点で好ましく使用されてきた。一方、該フィルムは火災などによりフィルムが燃焼した際の有毒ガス発生の問題、可塑剤のブリードアウトなどの問題があり、近年の耐環境性のニーズにより新しい素材が求められてきている。
このような耐環境性に優れる素材として、炭素数が3以上の、長鎖の直鎖状脂肪族ジカルボン酸成分及び/又は長鎖の直鎖状脂肪族グリコール成分などの共重合成分を含む共重合ポリエステルをフィルム原料として使用することにより、成型性を改良しようとする検討が多数なされてきた。しかしながら、それらの共重合成分によりポリエステル樹脂は柔軟化するため、成型時のみならず実際に成型品として使用される場合にも形態安定性(剛性、強度、熱収縮特性、厚み斑など)に劣るという欠点があった。一方、形態安定性を高めるために、前記共重合成分の組成比を小さくすると成型性が低下し、成型性と、強度や剛性とを両立させることが困難であった。
例えば、前記共重合ポリエステルとしてネオペンチルグリコールあるいは1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分とするポリエステルからなるポリエステルフィルムが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの従来技術に記載された共重合ポリエステルフィルムは、厚さが50μm以下であるため、比較的製膜が容易である。
特開平1−252658号公報 特開平1−45699号公報
しかしながら、フィルムの厚さが50μmを越える場合には、共重合ポリエステルが本質的に有する、延伸時の応力低下及び結晶化度の点から、分子配向の制御が不十分となる傾向があり、剛性や形態安定性が不十分となる場合がある。そのため、成型性を維持しながら、得られた成型品を常温雰囲気下で使用する際には、剛性や形態安定性(熱収縮特性、厚み斑)に優れたポリエステルフィルムが望まれていた。
また、従来技術で開示されたフィルムは、低温成型性においても市場要求を満足しておらず、その改善が強く嘱望されていた。従来のポリエステルフィルムでは、成型性を得るためには150℃程度に加熱する必要がある。しかしながら、この温度ではフィルムの熱収縮にともなう寸法変化により、成型品の仕上がり性が阻害される場合がある。また、付随する印刷インクや保護フィルムを耐熱タイプにする必要性があるため、素材の選定に大きな制限をうけるなどの問題がある。これに対して、120℃程度の比較的低温でフィルムを成型することができれば、フィルムの熱収縮にともなう寸法変化率の問題も小さくなり、併用する素材の限定も少なくなる利点がある。また、低温成型性の付与は、省エネルギーにも繋がる。
すでに、本発明者等は、フィルムの長手方向および幅方向における100%伸張応力の25℃および100℃における値を特定化した方法を特許文献3において提案した。該方法によれば、従来技術の問題点を解消し、加熱成型時の成型性に優れ、かつ成型品として常温雰囲気下で使用する際に、剛性及び形態安定性(熱収縮特性、厚み斑)に優れたポリエステルフィルム、特に成型用途に好適な成型用ポリエステルフィルムが得られるようになった。しかしながら、インサート成型用に用いた場合は、成型品の図柄に歪が生じたり、あるいは成型体表面荒れが発生し外観不良を引き起こす等の、いわゆる仕上がり性が悪くなる場合がある問題があった。また、成型温度のより低温化に対する市場要求もある。
特願2003−309894号公報
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、加熱成型時の成型性、特に特に150℃未満、さらには120℃程度の低温成型性に優れ、かつ成型品として常温雰囲気下で使用する際に、剛性及び形態安定性(熱収縮特性、厚み斑)に優れ、かつフィルムの透明性が高く印刷の絵柄の鮮明度が良好で、さらに成型品の仕上がり性が改善されたインサート成型用ポリエステルフィルムを提供することにある。
すなわち、本発明は、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から合成された共重合ポリエステルを含むポリエステルフィルムであって、前記フィルムは厚みd(μm)に対するヘイズH(%)の比(H/d)が0.010未満であり、かつ前記フィルムの長手方向及び幅方向における100%伸張時応力が、25℃で10MPa以上180MPa未満及び100℃で1MPa以上100MPa以下であり、かつ融点が220〜245℃であることを特徴とするインサート成型用ポリエステルフィルムである。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムでは、フィルムの長手方向及び幅方向の100%伸張時応力を25℃と100℃で独立して制御することにより、加熱時の成型性、特に150℃未満、さらには120℃程度の低温成型性と、成型品としての使用時の剛性及び形態安定性(厚み斑、熱収縮特性)に優れ、かつフィルムの透明性が高く印刷の絵柄の鮮明度が良好である。さらに、該フィルムの融点が220〜245℃であるため、上記した特徴に加えてインサート成型時に、成型品の図柄に歪が生じたり、あるいは成型品表面荒れが発生し外観不良を引き起こす等の、いわゆる仕上がり性の不良が発生するのを防止することができる。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムは、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールを含むグリコール成分とから構成された共重合ポリエステルを基材フィルムに含む。前記分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールは、分子の自由回転などの運動性を抑制する側鎖あるいは環状の構造を有しており、このようなモノマーを共重合することにより、ガラス転移温度(Tg)を下げることなく、融点(Tm)を低下させ、かつ破断伸度を大きくすることができる。
このような共重合ポリエステルを基材フィルムの原料として用いた、本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムは、加熱成型時は成型性に優れ、成型品として使用される常温雰囲気下では形態安定性(剛性、強度、熱収縮特性、厚み斑)にも優れるという特長を有し、特にインサート成型用途に好適なポリエステルフィルムである。
前記特長は、長手方向及び幅方向における100%伸張時応力が、25℃で10MPa以上180MPa未満及び100℃で1MPa以上100MPa以下という物性で表現することができる。
前記フィルムの長手方向及び幅方向における25℃雰囲気下での100%伸張時応力は、形態安定性(剛性、強度、厚み斑、150℃での熱収縮率)と低温での成型性を両立させる点から、10MPa以上180MPa未満であることが重要である。
一方、前記の25℃雰囲気下での100%伸長時応力は、180MPaを越えるような高剛性のフィルムでは、加熱成型時の成型性、特に低温での成形性が悪化しやすくなる。
前記フィルムの長手方向及び幅方向における100℃雰囲気下での100%伸張時応力は、成型性の点から、1MPa以上100MPa以下であることが重要である。
前記の100℃雰囲気下での100%伸長時応力の下限値は、5MPaであることが好ましく、特に好ましくは10MPaである。高変形性が要求される分野では、100℃雰囲気下での100%伸張時応力が小さいことは成型性の点からは望ましい方向である。しかしながら、100℃雰囲気下での100%伸張時応力が小さくなりすぎると、25℃における100%伸長時応力も小さくなり、常温雰囲気下での剛性及び厚み斑が悪化するので、100℃雰囲気下での100%伸張時応力の下限値を5MPaとすることが重要である。
一方、前記の100℃における100%伸長時応力は、加熱成型時の成型性の点から、90MPa以下であることが好ましく、特に好ましくは80MPa以下である。
また、成型性の点からは、100℃での破断伸度は、150%以上であることが好ましく、さらに好ましくは170%以上、特に好ましくは200%以上である。
また、形態安定性(剛性、強度、熱収縮特性、厚み斑)の点からは、25℃での破断伸度は、130%以上であることが好ましく、さらに好ましくは150%以上、特に好ましくは170%以上である。
本発明において、加工性の経時安定性として、100℃での長手方向及び幅方向の100%伸張時応力の変化率((製膜1ヶ月経時後−製膜直後)×100/製膜直後)が、いずれも±20%以下であることが好ましい。さらに好ましくは±10%以下であり、特に好ましくは±5%以下である。
また、前記インサート成型用フィルムは、厚みd(μm)に対するヘイズH(%)の比(H/d)が0.010未満であることが、透明性及び印刷鮮明性の点から重要である。前記H/dは、0を越え0.010未満がより好ましく、特に好ましくは0を越え0.009以下である。なお、本願発明においては、前記H/dの数値は小数第3位で記載しているが、小数第4位以降は四捨五入せず、切り捨てる。例えば、0.0099であっても0.009とする。
前記H/dの下限値はゼロに近いほど透明性や印刷鮮明性の点から好ましい。しかしながら、重要最小限の凹凸をフィルム表面に形成しないと、滑り性や巻き性などのハンドリング性が悪化し、フィルム表面に傷がつく場合や生産性が悪化する場合がある。したがって、H/dの下限値は0.001が好ましく、特に好ましくは0.005である。また、バックライトなどを用いた透光銘板の場合には、より高度な透明性が要求されるので、前記H/dはさらにゼロに近いほど好ましい。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムにおいて、成型性、スティッフネス(腰)、成型フィルムの裏面に設ける印刷層の保護、意匠性の点から、基材フィルムの厚みは50〜500μmであることが好ましい。基材フィルムの厚みの下限値は、60μmが好ましく、特に好ましくは70μmである。一方、基材フィルムの厚みの上限値は300μmが好ましく、特に好ましくは200μmである。
また、本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムの厚み斑は、5.5%以下であることが好ましい。前記厚み斑が5.5%を越えると、印刷性、寸法安定性が悪化しやすくなる。前記厚み斑は小さい方が望ましいが、厚み斑を0.5%以下とすることは技術的難度が高く、かつ実用上の品質としては大きな差異が見られないので、厚み斑の下限値は0.5%でも構わない。
さらに、本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムは、150℃における長手方向及び幅方向の熱収縮率がいずれも6.0%以下であることが、印刷ずれを低減する点から好ましい。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムは、該フィルムの融点が220〜245℃であるため、上記した特徴に加えてインサート成型用に用いても、成型品の図柄に歪が生じたり、あるいは成型品表面荒れが発生し外観不良を引き起こす等の、いわゆる仕上がり性が良くないケースが発生するという従来技術の課題が解決できる。フィルムの融点の好ましい範囲は220〜240℃である。
以下に、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルとは、エステル結合により構成される高分子量体の総称を意味する。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムでは、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールを含むグリコール成分とから構成された共重合ポリエステルを基材フィルム原料の一部として、あるいは100%使用する。
前記共重合ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸成分が主としてテレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体からなるが、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸成分の量は70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。
また、分岐状脂肪族グリコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオールなどが例示される。脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールなどが例示される。
これらのなかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましく、本発明で規定したフィルムの長手方向及び幅方向における100%伸張時応力が、25℃で10MPa以上180MPa未満及び100℃で1MPa以上100MPa以下を満足させるために有効である。さらに、成型性や透明性に優れるだけでなく、耐熱性にも優れ、接着性改質層との密着性を向上させる点からも好ましい。
さらに、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに下記のようなジカルボン酸成分及び/又はグリコール成分を1種又は2種以上を共重合成分として併用してもよい。
テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体とともに併用することができる他のジカルボン酸成分としては、(1)イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(2)シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(3)シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、(4)p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
一方、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールとともに併用することができる他のグリコール成分としては、例えば1,3−プロパンジオール、1、4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族グリコール及びそれらのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、前記共重合ポリエステルに、さらにトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合させることもできる。
前記共重合ポリエステルを製造する際に用いる触媒としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。これらのなかでも、チタン化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
前記共重合ポリエステルを製造する際に、熱安定剤としてリン化合物を添加することが好ましい。前記リン化合物としては、例えばリン酸、亜リン酸などが好ましい。
前記共重合ポリエステルは、成型性、接着性、製膜安定性の点から、固有粘度は0.50〜1.0dl/gであることが好ましい。共重合ポリエステルの固有粘度の上限は、押出機からの吐出安定性の点から、0.95dl/gが好ましく、特に好ましくは0.90dl/gである。一方、下限は製膜安定性や機械的強度などの点から、0.55dl/gが好ましく、特に好ましくは0.60dl/gである。また、成型用ポリエステルフィルムとしては、成形性の点から、固有粘度が0.60〜0.80dl/gの範囲が好ましい。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムにおける基材フィルムは、前記共重合ポリエステルをそのままフィルム原料として用いてもよいし、共重合成分の比率の高い共重合ポリエステルをホモポリエステルとブレンドして、共重合成分量を調整しても構わない。
また、前記共重合ポリエステルを2種以上ブレンドして、本発明の成型用ポリエステルフィルムにおける基材フィルムの原料として使用することは、成型性の点から好ましい。なかでも、ポリエチレンテレフタレートにポリネオペンテンテレフタレート及び/又はポリシクロへキサンジメチレンテレフタレートをブレンドした混合ポリマーが柔軟性、成型性の点から特に好ましい。
前記ポリエステル基材フィルムの融点は、耐熱性及び成型性の点から、220〜245℃である必要がある。この範囲に設定することにより前記した成型性と仕上がり性とのバランスが取れ、高品位の成型体を経済的に生産することができる。ここで、融点とは、いわゆる示差走査熱量測定(DSC)の1次昇温時に検出される融解時の吸熱ピーク温度のことである。なお、DSCの測定は、示差走査熱量計(デュポン社製、V4.OB2000型)を用い、20℃/分の昇温速度で行った。
前記ポリエステル基材フィルムの融点は、耐熱性の点から、下限値が225℃であることが好ましく、より好ましくは230℃である。融点が220℃未満であると、耐熱性が悪化する傾向がある。そのため、成型時や成型品の使用時に高温にさらされた際に、問題となる場合がある。
融点の上限値は耐熱性の点からは高いほうがよいが、ポリエチレンテレフタレート単位を主体とした場合、高い透明性と柔軟性を確保しようとすると、融点245℃を超えるフィルムでは、透明性の確保が困難である。そのため、共重合ポリエステルの共重合成分の比率を調節して融点を低くすることが重要であり、共重合ポリエステルの融点の上限は245℃とする。さらに、透明性を高くする必要がある場合は、共重合ポリエステルの融点の上限を240℃とする。
透明性、柔軟性、耐熱性をすべて満足させるためには、例えば、高融点ポリエステル(PET)と低融点の共重合ポリエステルを溶融混合することが好ましい。溶融ブレンド法を用いてフィルムを製膜することによって、共重合ポリエステルのみを用いた場合と同等の柔軟性を維持しながら透明性と高い融点(耐熱性)を実現し、高融点ポリエステルのみを用いた場合に対しては、高い透明性を維持しながら柔軟性と実用上問題のない融点(耐熱性)を実現することができる。
また、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性の改善のために、フィルム表面に凹凸を形成させることが好ましい。フィルム表面に凹凸を形成させる方法としては、一般にフィルム中に粒子を含有させる方法が用いられる。しかしながら、フィルム中に含有させる粒子は、一般的には屈折率がポリエステルと異なるため、フィルムの透明性を低下させる要因となる。
したがって、フィルムのハンドリング性を維持しながら、フィルムの透明性を高めるためには、基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず、厚みの薄い表面層にのみ粒子を含有させることが有効である。厚みの薄い表面層の形成は、コーティング法または共押出し法によって行うことができる。このような積層構成とすることで、フィルムのハンドリング性を維持しながら、フィルムの厚みd(μm)に対するヘイズH(%)の比(H/d)を0.010未満とすることができる。なかでも、コーティング法の場合、粒子を含有する接着性改質樹脂からなる組成物を塗布層として用いることで、印刷層との密着性も改良できるので好ましい方法である。
上記でいう「基材フィルム中に実質的に粒子を含有させず」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に検出限界以下となる含有量を意味する。これは意識的に粒子を基材フィルムに添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分などが混入する場合があるためである。
前記表面層に含有させる粒子としては、平均粒子径が0.01〜10μmの無機粒子及び/又は有機粒子などが挙げられる。これらの無機粒子及び/又は有機粒子を、必要に応じて二種以上併用させてもよい。
なお、粒子の平均粒子径は、少なくとも200個以上の粒子を電子顕微鏡法により複数枚写真撮影し、OHPフィルムに粒子の輪郭をトレースし、該トレース像を画像解析装置にて円相当径に換算して算出する。
前記表面層に平均粒子径が10μmを越える粒子を含有させると、フィルム表面に粗大突起が形成される頻度が増加し、意匠性が悪化する傾向がある。一方、平均粒子径が0.01μm未満の粒子では、フィルムの滑り性や巻き取り性などのハンドリング性が低下する傾向がある。
前記無機粒子としては、例えば、湿式法シリカ、乾式法シリカ、コロイダルシリカ、ガラスフィラー、酸化チタン、アルミナ、珪酸アルミニウム、マイカ、カオリン、クレー、ゼオライト、アルミナ−シリカ複合酸化物粒子、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、などが挙げられる。
また、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子が挙げられる。
これらの粒子のなかでも、シリカ粒子、ガラスフィラー、シリカ−アルミナ複合酸化物粒子は屈折率がポリエステルに比較的近いため、透明性の点から特に好適である。
さらに、前記表面層における粒子含有量は、0.01〜25質量%の範囲であることが好ましい。0.01質量%未満の場合、フィルムの滑り性が悪化したり、巻き取りが困難となったりするなどハンドリング性が低下しやすくなる。一方、25質量%を越えると、透明性や塗布性が悪化しやすくなる。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムは、厳しい成型性が必要な用途には未延伸フィルムが好適である。また、耐熱性や寸法安定性の点からは、二軸延伸ポリエステルフィルムが好適である。かかる二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。
前記インサート成型用ポリエステルフィルムは、種類の異なるポリエステルを用い、公知の方法で積層構造とすることができる。かかる基材フィルムの積層構成は、特に限定されないが、例えばA/Bの2種2層、B/A/Bの2種3層、C/A/Bの3種3層などが挙げられる。
前記インサート成型用ポリエステルフィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えばポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸シートを得た後、かかる未延伸シートを二軸延伸する方法が例示される。
かかる延伸方式としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれでもよいが、要するに該未延伸シートをフィルムの長手方向(MD)及び幅方向(TD)に延伸、熱処理し、目的とする面内配向度を有する二軸延伸フィルムを得る方法が採用される。これらの方式の中でも、フィルム品質の点で、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸するMD/TD法、又は幅方向に延伸した後、長手方向に延伸するTD/MD法などの逐次二軸延伸方式、長手方向及び幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。さらに、必要に応じて、同一方向の延伸を多段階に分けて行う多段延伸法を用いても構わない。
二軸延伸する際のフィルム延伸倍率としては、長手方向と幅方向に1.6〜4.2倍とすることが好ましく、特に好ましくは1.7〜4.0倍である。この場合、長手方向と幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよいし、同一倍率としてもよい。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムにおいて、基材フィルムの原料として、(1)テレフタル酸とエチレングリコール、ネオペンチルグリコールからなる共重合ポリエステル、あるいは(2)テレフタル酸とエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる共重合ポリエステルを使用する場合、長手方向及び幅方向における100%伸張時応力が、25℃で10MPa以上180MPa未満及び100℃で1MPa以上100MPa以下とするためには、長手方向の延伸倍率は2.8〜4.0倍、幅方向の延伸倍率は3.0〜4.5倍で行うことが好ましい。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムを製造する際の延伸条件は、特に限定されるものではない。しかしながら、本発明で規定した25℃及び100℃における100%伸張時応力の範囲を満足させるためには、縦延伸工程においては、後の横延伸がスムースにできるよう、例えば、延伸温度を好ましくは50〜110℃、特に好ましくは80〜100℃とし、延伸倍率を好ましくは1.5〜4.0倍、特に好ましくは2.5〜3.8倍とする。
横延伸においては、長手方向及び幅方向における100%伸張時応力が、25℃で10MPa以上180MPa未満及び100℃で1MPa以上100MPa以下とするために特に重要である。
通常、ポリエチレンテレフタレートを延伸する際に、適切な条件に比べ延伸温度が低い場合は、横延伸の開始初期で急激に降伏応力が高くなるため、延伸ができない。また、たとえ延伸ができても厚みや延伸倍率が不均一になりやすいため好ましくない。
また、適切な条件に比べ延伸温度が高い場合は初期の応力は低くなるが、延伸倍率が高くなっても応力は高くならない。そのため、25℃における100%伸張時応力が小さいフィルムとなる。よって、最適な延伸温度をとることにより、延伸性を確保しながら配向の高いフィルムを得ることができる。
しかしながら、前記の成型用ポリエステルフィルムの原料である共重合ポリエステルが共重合成分を1〜40モル%含む場合、降伏応力をなくすように延伸温度を高くしていくと、延伸応力は急激に低下する。特に、延伸の後半でも応力が高くならないため、配向が高くならず、25℃における100%伸張時応力が低下する。
このような現象は、フィルムの厚さが60〜500μmで発生しやすく、特に厚みが100〜300μmのフィルムで顕著に見られる。そのため、例えばネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合したポリエステルを用いたフィルムの場合、横方向の延伸温度は、以下の条件とすることが好ましい。
まず、予熱温度は90〜120℃とし、横延伸の前半部では延伸温度は予熱温度に対して+5〜25℃、また横延伸の後半部では、延伸温度は前半部の延伸温度に対して−15〜−40℃の範囲が好ましい。このような条件を採用することにより、横延伸の前半では降伏応力が小さいため延伸しやすく、また後半では配向しやすくなる。なお、横方向の延伸倍率は、2.5〜5.0倍とすることが好ましい。その結果、長手方向及び幅方向における100%伸張時応力が、25℃で10MPa以上180MPa未満及び100℃で1MPa以上100MPa以下を満足するフィルムを得ることが可能である。
さらに、二軸延伸後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理は、オーブン中、あるいは、加熱されたロール上など、従来公知の方法で行なうことができる。また、熱処理温度及び熱処理時間は、要求される熱収縮率のレベルによって任意に設定することができる。熱処理温度は120〜245℃の範囲が好ましく、特に好ましくは150〜230℃である。熱処理時間は、1〜60秒間行うことが好ましい。なお、かかる熱処理はフィルムをその長手方向及び/又は幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。150℃での長手方向及び横方向の熱収縮率を小さくするためには、熱処理温度を高くすること、熱処理時間を長くすること、弛緩処理を行うことが好ましい。ラインを長くして熱処理時間を長くすることは設備上の制約により困難である。また、フィルムの送り速度を遅くすると、生産性が低下するので好ましくない。
150℃における長手方向及び幅方向の熱収縮率をいずれも6.0%以下とするためには、熱処理温度は200〜220℃で、弛緩率1〜8%で弛緩させながら行うことが好ましい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後熱処理を行ってもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
(1)固有粘度
チップサンプル0.1gを精秤し、25mlのフェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。
(2)厚み斑
横延伸方向に3m、縦延伸方向に5cmの長さの連続したテープ状サンプルを巻き取り、フィルム厚み連続測定機(アンリツ株式会社製)にてフィルムの厚みを測定し、レコーダーに記録する。チャートより、厚みの最大値(dmax)、最小値(dmin)、平均値(d)を求め、下記式にて厚み斑(%)を算出した。なお、測定は3回行い、その平均値を求めた。また、横延伸方向の長さが3mに満たない場合は、つなぎ合せて行う。なお、つなぎの部分はデータから削除する。
厚み斑(%)=((dmax−dmin)/d)×100
(3)ヘイズ
JIS−K7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
(4)フィルムの厚み
ミリトロンを用い、1枚当たり5点を計3枚の15点を測定し、その平均値を求めた。
(5)100%伸張時応力、破断伸度
二軸延伸フィルムの長手方向及び幅方向に対して、それぞれ長さ180mm及び幅10mmの短冊状に試料を片刃カミソリで切り出し、この試料を引っ張り試験機(東洋精機株式会社製)を用いて試料を引っ張り、得られた荷重−歪曲線から各方向の100%伸張時応力(MPa)及び破断伸度(%)を求めた。
なお、測定は25℃の雰囲気下で、初期長40mm、チャック間距離100mm、クロスヘッドスピード100mm/min、記録計のチャートスピード200mm/min、ロードセル25kgの条件にて行った。測定は10回行い平均値を用いた。
また、100℃の雰囲気下でも、上記と同様の条件で引っ張り試験を行った。この際、試料は100℃の雰囲気下で30秒保持した後、測定を行った。測定は10回行い平均値を用いた。
(6)150℃での熱収縮率
フィルムの長手方向及び幅方向に対し、それぞれ長さ250mm及び幅20mmの短冊状試料を切り出す。各試料の長さ方向に200mm間隔で2つの印を付け、5gの一定張力(長さ方向の張力)下で2つの印の間隔Aを測定する。続いて、短冊状の各試料の片側をカゴに無荷重下でクリップにてつるし、150℃の雰囲気下のギアオーブンに入れると同時に時間を計る。30分後、ギアオーブンからカゴを取り出し、30分間室温で放置する。次いで、各試料について、5gの一定張力(長さ方向の張力)下で、2つの印の間隔Bを金指により0.25mm単位で読み取る。読み取った間隔A及びBより、各試料の150℃での熱収縮率を下記式により算出する。
熱収縮率(%)=((A−B)/A)×100
(7)インサート成型性
フィルムに印刷を施した後、130℃の熱板に挟み、5秒間加熱後、金型温度80℃、保圧時間5秒にてプレス成型を行った。なお、金型の形状はカップ型であり、開口部は直径が65mm、底面部は直径が60mm、深さは30mmであり、カップ底面の中心に直径20mm、高さ3mmのドーム型のメンブレンスイッチ部がある。カップ側面部と底面部の境界は半径2mmのアールがつけてあるものを用いた。
引き続き、プレス成型したフィルムのカップ内側面に対し、射出成型機で210℃にてABS樹脂を流し込んでインサート成型した。但し底面中心部のドーム部には樹脂を充填せず、フィルム部分だけとし、キーとして使用できる状態にした。
作成した10個について印刷ずれを測定し、かつ成型状態を目視観察し、下記基準にてランク付けをした。なお、◎及び○を合格とし、×を不合格とした。
◎:印刷ずれが0.1mm以下で、外観は極めて良好である。
○:印刷ずれが0.1mm以上0.2mm以下で、若干のしわが見うけられるが、実用 上問題ないレベルである。
×:印刷ずれが0.2mmを越えている。または、フィルムに破断が見うけられる。ま たは、大きな皺が入り著しく外観が悪い。
実施例1
(塗布液の調整)
イソプロパノール40質量%水溶液に共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、バイロナールMD―1250)を固形分で3.15質量%、末端イソシアネート基を親水性基でブロックした水溶性ウレタン樹脂(第一工業製薬(株)製、エラストロンH−3)を固形分で5.85質量%、平均粒径0.05μmのシリカ粒子12.0質量%及び平均粒径0.2μmのシリカ粒子0.5質量%とを全樹脂に対し含有するように、塗布液を調整した。得られた塗布液を、5質量%の重曹水溶液を用いてpH6.5に調整した。次いで、バッグ式フィルター(住友スリーエム(株)製、リキッドフィルターバッグ)で濾過し、塗布液循環系ストックタンク内で、15℃で2時間撹拌した。
(フィルムの製造)
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位40モル%及びネオペンチルグリコール単位60モル%を構成成分とする、固有粘度が0.75dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(A)とチップ(B)を25:75の質量比となるように混合した。次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから280℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に92℃で3.5倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムの片面に、上記塗布液をリバースキスコート法により延伸前の樹脂固形分の厚みが0.9μmとなるように塗布した。塗布層を有する積層フィルムを乾燥しつつテンターに導き、100℃で15秒予熱し、横延伸の前半部を115℃、後半部を95℃で3.6倍延伸し、横方向に7%の弛緩を行いながら205℃で熱処理を行い、厚さ188μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
比較例1
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位85モル%及びネオペンチルグリコール単位15モル%を構成成分とし、かつ平均粒子径が1.5μmの無定形シリカを400ppm含有する、固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルを予備結晶化後、本乾燥した。次いで、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に92℃で3.5倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムをテンターに導き、100℃で15秒予熱し、横延伸の前半部を115℃、後半部を95℃で3.6倍延伸し、横方向に7%の弛緩を行いながら205℃で熱処理を行い、厚さ188μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、塗布液イ中の無定形シリカの含有量を12.5質量%から29.5質量%(平均粒径0.05μmのシリカ粒子28.0質量%及び平均粒径0.2μmのシリカ粒子1.5質量%)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、フィルムの原料として、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位85モル%及びネオペンチルグリコール単位15モル%を構成成分とし、かつ平均粒子径が1.5μmの無定形シリカを400ppm含有する、固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルを使用したこと以外は、実施例1と同様にして積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
比較例4
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位100モル%よりなる、固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートを予備結晶化後、本乾燥した。次いで、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に97℃で3.7倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムの片面に、前記塗布液をリバースキスコート法により延伸前の樹脂固形分の厚みが0.9μmとなるように塗布した。塗布層を有するフィルムを乾燥しつつテンターに導き、100℃で15秒予熱し、横延伸の前半部を120℃、後半部を120℃で4.0倍延伸し、横方向に10%の弛緩を行いながら230℃で熱処理を行い、厚さ188μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
実施例2
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位70モル%及びシクロヘキサンジメタノール単位30モル%を構成成分とする、固有粘度が0.71dl/gの共重合ポリエステルのチップと、ポリエチレンテレフタレートのチップ(B)を30:70の質量比となるように混合し、乾燥した。次いで、Tダイを有する押出し機を用いて280℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に85℃で3.0倍に延伸した。次いで、一軸延伸フィルムの片面に、前記塗布液をリバースキスコート法により延伸前の樹脂固形分の厚みが0.9μmとなるように塗布した。塗布層を有するフィルムを乾燥しつつテンターに導き、105℃で15秒予熱し、横延伸の前半部を125℃、後半部を98℃で3.6倍延伸し、7%の横方向の弛緩を行いながら205℃で熱処理を行い、厚さ188μmの積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gのポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥させた後、これらを33:67の質量比となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にして、積層二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性と評価結果を表1に示す。
Figure 2005171124
実施例4
実施例1で得られた積層ポリエステルフィルムを、金型温度100℃でプレス成型を行い、押し込み深さ2.0mmのスイッチ用銘板を作成した。得られた銘板の外観は良好であった。
本発明のインサート成型用ポリエステルフィルムは、加熱成型時の成型性、低温(150℃未満、特に120℃程度)成型性に優れ、かつ成型品として常温雰囲気下で使用する際に、剛性及び形態安定性(熱収縮特性、厚み斑)に優れ、かつフィルムの透明性が高く印刷の絵柄の鮮明度が良好で、成型品の仕上がり性が改善される。このため、射出成型等において金型に装填してインサート成型する転写型印刷フィルムの支持体フィルムなどとして好適に使用が可能である。

Claims (6)

  1. 芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール及び、分岐状脂肪族グリコール及び/又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から合成された共重合ポリエステルを含むポリエステルフィルムであって、前記フィルムは厚みd(μm)に対するヘイズH(%)の比(H/d)が0.010未満であり、かつ前記フィルムの長手方向及び幅方向における100%伸張時応力が、25℃で10MPa以上180MPa未満及び100℃で1MPa以上100MPa以下であり、かつ融点が220〜245℃であることを特徴とするインサート成型用ポリエステルフィルム。
  2. 前記分岐状脂肪族グリコールが、ネオペンチルグリコールであることを特徴とする請求項1記載のインサート成型用ポリエステルフィルム。
  3. 前記脂環族グリコールが、1,4−シクロヘキサンジメタノールであることを特徴とする請求項1又は2記載のインサート成型用ポリエステルフィルム。
  4. 前記芳香族ジカルボン酸成分が、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、又はそれらのエステル形成性誘導体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインサート成型用ポリエステルフィルム。
  5. 前記フィルムは、厚みムラが5.5%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインサート成型用ポリエステルフィルム。
  6. 前記フィルムは、150℃における長手方向及び幅方向の熱収縮率が6.0%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインサート成型用ポリエステルフィルム。
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JP2009149784A (ja) * 2007-12-21 2009-07-09 Toyobo Co Ltd 成型用フィルム
JP2013001855A (ja) * 2011-06-20 2013-01-07 Mitsubishi Plastics Inc インサート成形用ポリエステルフィルム

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