従来より、スイッチング電源装置は、力率改善回路を備えることにより、交流電源から入力される入力電流の波形を正弦波状にして力率を1に近づけるとともに、入力電流に含まれる高調波成分を低減する。
図12は、従来例に係る第1のスイッチング電源装置100の回路図である。第1のスイッチング電源装置100は、力率改善回路101および制御回路131を備える。力率改善回路101は、入力端子IN1、IN2に接続された交流電源(図示省略)から入力される交流電力を整流する整流回路111と、整流回路111と並列に接続された入力コンデンサC1と、スイッチングコンバータ121と、出力端子OUT1、OUT2に両端の電極が接続された出力コンデンサC2と、を備える。
スイッチングコンバータ121は、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q1と、チョークコイルとしてのインダクタL1と、ダイオードD1と、を備える。インダクタL1の一端には、整流回路111および入力コンデンサC1の一方の電極が接続され、インダクタL1の他端には、ダイオードD1のアノードと、スイッチ素子Q1のドレインと、が接続される。ダイオードD1のカソードには、出力端子OUT1が接続される。スイッチ素子Q1のゲートには、制御回路131が接続され、スイッチ素子Q1のソースには、整流回路111、入力コンデンサC1の他方の電極、および出力端子OUT2が接続される。
以上の第1のスイッチング電源装置100は、制御回路131によりスイッチ素子Q1を制御することで、インダクタL1に流れる電流を制御して、交流電源から入力される入力電流の波形を正弦波状にする。
制御回路131によるスイッチ素子Q1の制御には、例えば、インダクタL1に流れる電流のピーク値が正弦波電流に等しくなるとスイッチ素子Q1をオフさせ、インダクタL1に流れる電流が「0」になるとスイッチ素子Q1をオンさせる、電流不連続型臨界モード制御がある。ここで、正弦波電流とは、波形が正弦波状である電流のことである。
電流不連続型臨界モード制御を行うと、スイッチング周期ごとのインダクタL1の平均電流は、インダクタL1に流れる電流のピーク値の略半分となるとともに、インダクタL1に流れる電流のピーク値の波形が正弦波状であるため、スイッチング周期ごとのインダクタL1の平均電流の波形も正弦波状となる。ここで、インダクタL1の平均電流と、インダクタL1に流れる電流と、の差分である高周波電流は、入力コンデンサC1によりフィルタリングされる。
以上によれば、第1のスイッチング電源装置100は、交流電源から入力される入力電流の波形を正弦波状にして力率を1に近づけることができるとともに、入力電流に含まれる高調波成分を低減できる。
ところが、第1のスイッチング電源装置100では、上述の高周波電流をフィルタリングするために、入力コンデンサC1の容量を大型化する必要があるので、電源容量の大型化(例えば、数100Wを超えるもの)が困難であった。そこで、インターリーブ型のスイッチング電源装置が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
図13は、従来例に係る第2のスイッチング電源装置200の回路図である。第2のスイッチング電源装置200は、インターリーブ型のスイッチング電源装置であり、図12に示した第1のスイッチング電源装置100とは、スイッチングコンバータ122を備える点が異なる。
スイッチングコンバータ122は、スイッチングコンバータ121と同様の構成をしており、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q2と、チョークコイルとしてのインダクタL2と、ダイオードD2と、を備える。インダクタL2の一端には、整流回路111および入力コンデンサC1の一方の電極が接続され、インダクタL2の他端には、ダイオードD2のアノードと、スイッチ素子Q2のドレインと、が接続される。ダイオードD2のカソードには、出力端子OUT1が接続される。スイッチ素子Q2のゲートには、制御回路131Aが接続され、スイッチ素子Q2のソースには、整流回路111、入力コンデンサC1の他方の電極、および出力端子OUT2が接続される。
以上の第2のスイッチング電源装置200は、制御回路131Aによりスイッチ素子Q1、Q2を制御することで、インダクタL1、L2に流れる電流を制御して、インダクタL1に流れる電流と、インダクタL2に流れる電流と、を足し合わせた電流の波形を正弦波状にする。具体的には、図14に示すように、インダクタL1の平均電流と、インダクタL2の平均電流とを、波形が正弦波状の電流である正弦波電流を2分割したものにする。
図14は、時間経過に応じたインダクタL1、L2の平均電流を示す図である。この図14では、縦軸を電流とし、横軸を時刻とする。また、時刻t41〜t43までの期間と、時刻t43〜t45までの期間とは、交流電源の半周期に等しいものとする。
インダクタL1の平均電流と、インダクタL2の平均電流とは、時刻t41において「0」であり、その後、時間が経過するに応じて増加し、時刻t42においてピーク値であるImaxとなる。その後、時間が経過するに従って減少し、時刻t43では「0」となる。
このため、これらインダクタL1の平均電流と、インダクタL2の平均電流と、を足し合わせた電流は、時刻t41において「0」であり、その後、時間が経過するに従って増加し、時刻t42においてピーク値である2Imaxとなる。その後、時間が経過するに従って減少し、時刻t43では「0」となる。
以上によれば、交流電源から入力される入力電流は、インダクタL1の平均電流と、インダクタL2の平均電流と、を足し合わせた電流に等しくなる。したがって、第2のスイッチング電源装置200は、交流電源から入力される入力電流の波形を正弦波状にして力率を1に近づけることができる。
また、第2のスイッチング電源装置200は、制御回路131Aによりスイッチ素子Q1、Q2を制御して、スイッチ素子Q1、Q2のそれぞれのスイッチングの位相を180度ずらすことで、インダクタL1に流れる電流の高周波成分と、インダクタL2に流れる電流の高周波成分と、を相殺させる。このため、入力コンデンサC1のリップル電流が低減するので、入力コンデンサC1の容量の大型化を抑制でき、電源容量の大型化(例えば、1kWクラスといったもの)を実現できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源装置1の回路図である。スイッチング電源装置1は、図13に示した従来例に係る第2のスイッチング電源装置200とは、制御回路31による処理が異なる。なお、スイッチング電源装置1において、第2のスイッチング電源装置200と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
このスイッチング電源装置1が備える制御回路31の動作について、図2を用いて説明する。制御回路31は、交流電源から入力される入力電流の目標値を設定し(ステップS1参照)、設定した入力電流の目標値に基づいて、電流不連続型臨界モード制御によりスイッチ素子Q1、Q2を制御することで、インダクタL1の平均電流とインダクタL2の平均電流とを制御する(ステップS3〜S9参照)。
具体的には、ステップS1において、交流電源の半周期内における入力電流の目標値を設定し、ステップS2に移る。ここで、交流電源の半周期内における入力電流の目標値とは、交流電源の半周期内において入力電流が取るべき最大値のことであり、後述の図3においては時刻t3、t7における正弦波電流の値のことである。
ステップS2において、ステップS1において設定した入力電流の目標値をピーク値Ipeakとして設定し、ステップS3に移る。
ステップS3において、ピーク値Ipeakに基づいて、現在の入力電流の目標値である瞬時目標値Irefを設定し、ステップS4に移る。この処理では、以下の式(1)を用いて瞬時目標値Irefを設定する。
式(1)において、θは、交流電源の半周期の開始時点からの経過時間から求めることができ、以下の式(2)のように表すことができる。
式(2)において、fcは、交流電源の周波数を示す。また、tは、交流電源の半周期の開始時点からの経過時間、すなわち交流電源から入力される入力電流が「0」となる時点からの経過時間を示し、後述の図3においては正弦波電流が「0」となる時刻t1や時刻t5からの経過時間のことである。
ステップS4において、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/2より大きいか否かを判別する。そして、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/2より大きくないと判別した場合には、ステップS5に移り、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/2より大きいと判別した場合には、ステップS7に移る。
ステップS5において、スイッチ素子Q1を制御して、インダクタL1の平均電流を「0」にし、ステップS6に移る。
ステップS6において、スイッチ素子Q2を制御して、インダクタL2の平均電流を瞬時目標値Irefに等しくし、ステップS9に移る。
ステップS7において、スイッチ素子Q1を制御して、インダクタL1の平均電流をピーク値Ipeakの1/2にし、ステップS8に移る。
ステップS8において、スイッチ素子Q2を制御して、インダクタL2の平均電流を、ピーク値Ipeakの1/2を瞬時目標値Irefから減算した値にし、ステップS9に移る。
ステップS9において、交流電源の半周期が終了したか否かを判別する。そして、交流電源の半周期が終了したと判別した場合には、ステップS1に移り、交流電源の半周期が終了していないと判別した場合には、ステップS3に移る。
図3は、スイッチング電源装置1が備えるインダクタL1、L2の平均電流を示す図である。この図3では、縦軸を電流とし、横軸を時刻とする。また、時刻t1〜t5までの期間と、時刻t5〜t9までの期間とは、交流電源の半周期に等しい。
時刻t1〜t2までの期間では、制御回路31は、図2のステップS4において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/2より大きくないと判別するとともに、図2のステップS9において交流電源の半周期が終了していないと判別することにより、図2のステップS5、S6の処理を繰り返す。このため、図3に示すように、インダクタL1の平均電流は、「0」となり、インダクタL2の平均電流は、時間が経過するに従って正弦波状に増加する。
時刻t2〜t4までの期間では、制御回路31は、図2のステップS4において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/2より大きいと判別するとともに、図2のステップS9において交流電源の半周期が終了していないと判別することにより、図2のステップS7、S8の処理を繰り返す。このため、図3に示すように、インダクタL1の平均電流は、ピーク値Ipeakの1/2となる。一方、インダクタL2の平均電流は、時刻t2において「0」になった後、時刻t2〜t3までの期間では時間が経過するに従って正弦波状に増加し、時刻t3〜t4までの期間では時間が経過するに従って正弦波状に減少する。
時刻t4〜t5までの期間では、制御回路31は、図2のステップS4において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/2より大きくないと判別するとともに、図2のステップS9において交流電源の半周期が終了していないと判別することにより、図2のステップS5、S6の処理を繰り返す。このため、図3に示すように、インダクタL1の平均電流は、「0」となる。一方、インダクタL2の平均電流は、時刻t4においてピーク値Ipeakの1/2になった後、時間が経過するに従って正弦波状に減少する。
時刻t5〜t9までの期間においても、時刻t1〜t5までの期間と同様に、インダクタL1、L2の平均電流は変化する。
以上のスイッチング電源装置1によれば、図2に示した処理を行う制御回路31を備えることにより、以下の効果を奏することができる。
制御回路31により、スイッチ素子Q1、Q2を制御して、図3を用いて説明したように、インダクタL1の平均電流の波形を、矩形波状にするとともに、インダクタL2の平均電流の波形を、正弦波電流からインダクタL1の平均電流を差し引いたものの形状にする。これによれば、インダクタL1の平均電流とインダクタL2の平均電流とを足し合わせたものは、正弦波電流に等しくなる。このため、インダクタL1の平均電流とインダクタL2の平均電流とを足し合わせたものに等しい入力電流の波形は、正弦波状になるので、力率を1に近づけることができる。
また、図3を用いて説明したように、時刻t1〜t5までの期間のうち、時刻t1〜t2までの期間と、時刻t4〜t5までの期間と、において、インダクタL1の平均電流を「0」にできる。このため、交流電源からスイッチング電源装置1に入力される入力電流が「0」となる時刻(図3では、時刻t1、t5)以外でも、インダクタL1の平均電流を「0」にすることができ、本実施形態によれば、交流電源の半周期のうち略1/3の期間において、インダクタL1の平均電流を「0」にできる。したがって、スイッチ素子Q1がスイッチングしている時間を短縮できるので、スイッチング損失を低減できる。よって、このスイッチ素子Q1を備えるスイッチング電源装置1における損失を低減できる。
また、図3を用いて説明したように、交流電源から入力される入力電流がピーク値Ipeakの1/2になる時刻t2では、インダクタL1の平均電流が「0」から「0」以外になるとともに、インダクタL2の平均電流が「0」以外から「0」になる。また、交流電源から入力される入力電流がピーク値Ipeakの1/2になる時刻t4では、インダクタL1の平均電流が「0」以外から「0」になるとともに、インダクタL2の平均電流が「0」から「0」以外になる。そして、スイッチング電源装置1に設けられたスイッチングコンバータの数は2つである。以上によれば、インダクタL1を備えるスイッチングコンバータ121に入力される電流が「0」から「0」以外になるタイミングと、このスイッチングコンバータ121に入力される電流が「0」以外から「0」になるタイミングと、インダクタL2を備えるスイッチングコンバータ122に入力される電流が「0」から「0」以外になるタイミングと、このスイッチングコンバータ122に入力される電流が「0」以外から「0」になるタイミングとは、交流電源から入力される入力電流がピーク値Ipeakの1/2になるタイミングに等しい。このため、スイッチングコンバータ121、122のそれぞれに入力される電流を揃えることで、これらスイッチングコンバータ121、122を共通の部品で構成できる。
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源装置1Aの回路図である。スイッチング電源装置1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源装置1とは、スイッチングコンバータ23、24を備える点と、制御回路31Aによる処理と、が異なる。なお、スイッチング電源装置1Aにおいて、スイッチング電源装置1と同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
スイッチングコンバータ23は、スイッチングコンバータ121、122と同様の構成をしており、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q3と、チョークコイルとしてのインダクタL3と、ダイオードD3と、を備える。インダクタL3の一端には、整流回路111および入力コンデンサC1の一方の電極が接続され、インダクタL3の他端には、ダイオードD3のアノードと、スイッチ素子Q3のドレインと、が接続される。ダイオードD3のカソードには、出力端子OUT1が接続される。スイッチ素子Q3のゲートには、制御回路31Aが接続され、スイッチ素子Q3のソースには、整流回路111、入力コンデンサC1の他方の電極、および出力端子OUT2が接続される。
スイッチングコンバータ24は、スイッチングコンバータ121、122、23と同様の構成をしており、NチャネルMOSFETで構成されるスイッチ素子Q4と、チョークコイルとしてのインダクタL4と、ダイオードD4と、を備える。インダクタL4の一端には、整流回路111および入力コンデンサC1の一方の電極が接続され、インダクタL4の他端には、ダイオードD4のアノードと、スイッチ素子Q4のドレインと、が接続される。ダイオードD4のカソードには、出力端子OUT1が接続される。スイッチ素子Q4のゲートには、制御回路31Aが接続され、スイッチ素子Q4のソースには、整流回路111、入力コンデンサC1の他方の電極、および出力端子OUT2が接続される。
スイッチング電源装置1Aが備える制御回路31Aの動作について、図5〜9を用いて説明する。
ステップS21〜S23において、図2に示したステップS1〜S3と同様の処理を行う。
ステップS24において、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/4より大きいか否かを判別する。そして、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/4より大きくないと判別した場合には、ステップS25に移り、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/4より大きいと判別した場合には、ステップS26に移る。
ステップS25において、図6を用いて後述する第1段階目処理を行って、ステップS31に移る。
ステップS26において、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの2/4より大きいか否かを判別する。そして、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの2/4より大きくないと判別した場合には、ステップS27に移り、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの2/4より大きいと判別した場合には、ステップS28に移る。
ステップS27において、図7を用いて後述する第2段階目処理を行って、ステップS31に移る。
ステップS28において、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの3/4より大きいか否かを判別する。そして、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの3/4より大きくないと判別した場合には、ステップS29に移り、瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの3/4より大きいと判別した場合には、ステップS30に移る。
ステップS29において、図8を用いて後述する第3段階目処理を行って、ステップS31に移る。
ステップS30において、図9を用いて後述する第4段階目処理を行って、ステップS31に移る。
ステップS31において、交流電源の半周期が終了したか否かを判別する。そして、交流電源の半周期が終了したと判別した場合には、ステップS21に移り、交流電源の半周期が終了していないと判別した場合には、ステップS24に移る。
図6は、第1段階目処理のフローチャートである。
ステップS251において、スイッチ素子Q1を制御して、インダクタL1の平均電流を「0」にし、ステップS252に移る。
ステップS252において、スイッチ素子Q2を制御して、インダクタL2の平均電流を「0」にし、ステップS253に移る。
ステップS253において、スイッチ素子Q3を制御して、インダクタL3の平均電流を「0」にし、ステップS254に移る。
ステップS254において、スイッチ素子Q4を制御して、インダクタL4の平均電流を瞬時目標値Irefに等しくし、図5のステップS31に移る。
図7は、第2段階目処理のフローチャートである。
ステップS271において、スイッチ素子Q1を制御して、インダクタL1の平均電流をピーク値Ipeakの1/4にし、ステップS272に移る。
ステップS272において、スイッチ素子Q2を制御して、インダクタL2の平均電流を「0」にし、ステップS273に移る。
ステップS273において、スイッチ素子Q3を制御して、インダクタL3の平均電流を「0」にし、ステップS274に移る。
ステップS274において、スイッチ素子Q4を制御して、インダクタL4の平均電流を、ピーク値Ipeakの1/4を瞬時目標値Irefから減算した値にし、図5のステップS31に移る。
図8は、第3段階目処理のフローチャートである。
ステップS291において、スイッチ素子Q1を制御して、インダクタL1の平均電流をピーク値Ipeakの1/4にし、ステップS292に移る。
ステップS292において、スイッチ素子Q2を制御して、インダクタL2の平均電流をピーク値Ipeakの1/4にし、ステップS293に移る。
ステップS293において、スイッチ素子Q3を制御して、インダクタL3の平均電流を「0」にし、ステップS294に移る。
ステップS294において、スイッチ素子Q4を制御して、インダクタL4の平均電流を、ピーク値Ipeakの2/4を瞬時目標値Irefから減算した値にし、図5のステップS31に移る。
図9は、第4段階目処理のフローチャートである。
ステップS301において、スイッチ素子Q1を制御して、インダクタL1の平均電流をピーク値Ipeakの1/4にし、ステップS302に移る。
ステップS302において、スイッチ素子Q2を制御して、インダクタL2の平均電流をピーク値Ipeakの1/4にし、ステップS303に移る。
ステップS303において、スイッチ素子Q3を制御して、インダクタL3の平均電流をピーク値Ipeakの1/4にし、ステップS304に移る。
ステップS304において、スイッチ素子Q4を制御して、インダクタL4の平均電流を、ピーク値Ipeakの3/4を瞬時目標値Irefから減算した値にし、図5のステップS31に移る。
図10は、スイッチング電源装置1Aが備えるインダクタL1〜L4の平均電流を示す図である。この図10では、縦軸を電流とし、横軸を時刻とする。また、図10において、時刻t11〜t19までの期間と、時刻t19〜t27までの期間とは、交流電源の半周期に等しい。
時刻t11〜t12までの期間では、制御回路31Aは、図5のステップS24において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/4より大きくないと判別するとともに、図5のステップS31において交流電源の半周期が終了していないと判別することにより、図5のステップS25の処理を繰り返す。このため、図10に示すように、インダクタL1〜L3の平均電流は、「0」となり、インダクタL4の平均電流は、時間が経過するに従って正弦波状に増加する。
時刻t12〜t13までの期間では、制御回路31Aは、図5のステップS24において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/4より大きいと判別し、図5のステップS26において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの2/4より大きくないと判別するとともに、図5のステップS31において交流電源の半周期が終了していないと判別することにより、図5のステップS27の処理を繰り返す。このため、図10に示すように、インダクタL1の平均電流は、ピーク値Ipeakの1/4となり、インダクタL2、L3の平均電流は、「0」となる。一方、インダクタL4の平均電流は、時刻t12において「0」になった後、時間が経過するに従って正弦波状に増加する。
時刻t13〜t14までの期間では、制御回路31Aは、図5のステップS24において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/4より大きいと判別し、図5のステップS26において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの2/4より大きいと判別し、図5のステップS28において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの3/4より大きくないと判別するとともに、図5のステップS31において交流電源の半周期が終了していないと判別することにより、図5のステップS29の処理を繰り返す。このため、図10に示すように、インダクタL1、L2の平均電流は、ピーク値Ipeakの1/4となり、インダクタL3の平均電流は、「0」となる。一方、インダクタL4の平均電流は、時刻t13において「0」になった後、時間が経過するに従って正弦波状に増加する。
時刻t14〜t16までの期間では、制御回路31Aは、図5のステップS24において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの1/4より大きいと判別し、図5のステップS26において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの2/4より大きいと判別し、図5のステップS28において瞬時目標値Irefがピーク値Ipeakの3/4より大きいと判別するとともに、図5のステップS31において交流電源の半周期が終了していないと判別することにより、図5のステップS30の処理を繰り返す。このため、図10に示すように、インダクタL1〜L3の平均電流は、ピーク値Ipeakの1/4となる。一方、インダクタL4の平均電流は、時刻t14において「0」になった後、時刻t14〜t15までの期間では時間が経過するに従って正弦波状に増加し、時刻t15〜t16までの期間では時間が経過するに従って正弦波状に減少する。
時刻t16〜t17までの期間では、制御回路31Aは、時刻t13〜t14までの期間と同様に、ステップS29の処理を繰り返す。このため、図10に示すように、インダクタL1、L2の平均電流は、ピーク値Ipeakの1/4となり、インダクタL3の平均電流は、「0」となる。一方、インダクタL4の平均電流は、時刻t16においてピーク値Ipeakの1/4になった後、時間が経過するに従って正弦波状に減少する。
時刻t17〜t18までの期間では、制御回路31Aは、時刻t12〜t13までの期間と同様に、ステップS27の処理を繰り返す。このため、図10に示すように、インダクタL1の平均電流は、ピーク値Ipeakの1/4となり、インダクタL2、L3の平均電流は、「0」となる。一方、インダクタL4の平均電流は、時刻t17においてピーク値Ipeakの1/4になった後、時間が経過するに従って正弦波状に減少する。
時刻t18〜t19までの期間では、制御回路31Aは、時刻t11〜t12までの期間と同様に、ステップS25の処理を繰り返す。このため、図10に示すように、インダクタL1〜L3の平均電流は、「0」となる。一方、インダクタL4の平均電流は、時刻t18においてピーク値Ipeakの1/4になった後、時間が経過するに従って正弦波状に減少する。
時刻t19〜t27までの期間においても、時刻t11〜t19までの期間と同様に、インダクタL1〜L4の平均電流は変化する。
以上のスイッチング電源装置1Aによれば、上述のスイッチング電源装置1と同様の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
時刻t13〜t14までの期間と、時刻t16〜t17までの期間とでは、インダクタL1の平均電流と、インダクタL2の平均電流と、がピーク値Ipeakの1/4になる。このため、上述の期間において、インダクタL1と接続されたスイッチ素子Q1と、インダクタL2と接続されたスイッチ素子Q2と、を位相をずらして駆動することで、インダクタL1に流れる電流の高周波成分と、インダクタL2に流れる電流の高周波成分と、を相殺させることができる。
また、時刻t14〜t16までの期間では、インダクタL1の平均電流と、インダクタL2の平均電流と、インダクタL3の平均電流と、がピーク値Ipeakの1/4になる。このため、上述の期間において、インダクタL1と接続されたスイッチ素子Q1と、インダクタL2と接続されたスイッチ素子Q2と、インダクタL3と接続されたスイッチ素子Q3と、を位相をずらして駆動することで、インダクタL1に流れる電流の高周波成分と、インダクタL2に流れる電流の高周波成分と、インダクタL3に流れる電流の高周波成分と、を相殺させることができる。
<第3実施形態>
図11は、本発明の第3実施形態に係るスイッチング電源装置1Bが備えるインダクタL1〜L4の平均電流を示す図である。スイッチング電源装置1Bは、図4に示した本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源装置1Aとは、制御回路31Bによる処理が異なる。なお、スイッチング電源装置1Bにおいて、スイッチング電源装置1Aと同一構成要件については、同一符号を付し、その説明を省略する。
スイッチング電源装置1Aが備える制御回路31Aは、図10に示したように、インダクタL1の平均電流の波形を、交流電源の半周期ごとに同一形状にする。また、インダクタL2〜L4のそれぞれの平均電流の波形も、インダクタL1の平均電流の波形と同様に、交流電源の半周期ごとに同一形状にする。
これに対して、スイッチング電源装置1Bが備える制御回路31Bは、図11に示すように、インダクタL1〜L4のそれぞれの平均電流の波形を、交流電源の半周期ごとにローテーションさせる。
具体的には、インダクタL1の平均電流の波形を、時刻t31〜t32までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL1の平均電流の波形とし、時刻t32〜t33までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL2の平均電流の波形とする。そして、時刻t33〜t34までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL3の平均電流の波形とし、時刻t34〜t35までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL4の平均電流の波形とする。
一方、インダクタL2の平均電流の波形を、時刻t31〜t32までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL4の平均電流の波形とし、時刻t32〜t33までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL1の平均電流の波形とする。そして、時刻t33〜t34までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL2の平均電流の波形とし、時刻t34〜t35までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL3の平均電流の波形とする。
また、インダクタL3の平均電流の波形を、時刻t31〜t32までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL3の平均電流の波形とし、時刻t32〜t33までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL4の平均電流の波形とする。そして、時刻t33〜t34までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL1の平均電流の波形とし、時刻t34〜t35までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL2の平均電流の波形とする。
また、インダクタL4の平均電流の波形を、時刻t31〜t32までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL2の平均電流の波形とし、時刻t32〜t33までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL3の平均電流の波形とする。そして、時刻t33〜t34までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL4の平均電流の波形とし、時刻t34〜t35までの期間では、図10に示した時刻t11〜t19までの期間におけるインダクタL1の平均電流の波形とする。
以上のスイッチング電源装置1Bは、上述のスイッチング電源装置1Aが奏することができる効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
インダクタL1〜L4のそれぞれ平均電流の波形が、交流電源の半周期ごとに同一形状の場合には、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q1に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q2に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q3に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q4に流れる電流の総量とは、互いに異なる。このため、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q1〜Q4のそれぞれで発生する損失は、互いに異なる。
また、交流電源の2周期の間にダイオードD1に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にダイオードD2に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にダイオードD3に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にダイオードD4に流れる電流の総量とは、互いに異なる。このため、交流電源の2周期の間にダイオードD1〜D4のそれぞれで発生する損失は、互いに異なる。
以上によれば、インダクタL1〜L4のそれぞれ平均電流の波形が、交流電源の半周期ごとに同一形状の場合には、スイッチ素子Q1およびダイオードD1を備えるスイッチングコンバータ121と、スイッチ素子Q2およびダイオードD2を備えるスイッチングコンバータ122と、スイッチ素子Q3およびダイオードD3を備えるスイッチングコンバータ23と、スイッチ素子Q4およびダイオードD4を備えるスイッチングコンバータ24と、のそれぞれにおける熱バランスが悪くなる。
ところが、スイッチング電源装置1Bでは、インダクタL1〜L4のそれぞれの平均電流の波形を、交流電源の半周期ごとにローテーションさせる。これによれば、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q1に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q2に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q3に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q4に流れる電流の総量とは、同一となる。このため、交流電源の2周期の間にスイッチ素子Q1〜Q4のそれぞれで発生する損失は、同一となる。
また、交流電源の2周期の間にダイオードD1に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にダイオードD2に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にダイオードD3に流れる電流の総量と、交流電源の2周期の間にダイオードD4に流れる電流の総量とは、同一となる。このため、交流電源の2周期の間にダイオードD1〜D4のそれぞれで発生する損失は、同一となる。
以上によれば、スイッチング電源装置1Bでは、スイッチ素子Q1およびダイオードD1を備えるスイッチングコンバータ121と、スイッチ素子Q2およびダイオードD2を備えるスイッチングコンバータ122と、スイッチ素子Q3およびダイオードD3を備えるスイッチングコンバータ23と、スイッチ素子Q4およびダイオードD4を備えるスイッチングコンバータ24と、のそれぞれにおける熱バランスを改善できる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、上述の各実施形態では、制御回路は、電流不連続型臨界モード制御を行うこととしたが、これに限らず、例えば電流連続モード制御を行うこととしてもよい。
また、上述の各実施形態では、インダクタの平均電流の波形の立ち上がりや立ち下がりを垂直にしたが、これに限らず、任意の電流傾斜を設け、インダクタの平均電流の波形を台形状にしてもよい。
また、上述の各実施形態において、制御回路は、上述の電流不連続型臨界モード制御や電流連続モード制御に、インターリーブ制御を組み合わせて行うこととしてもよい。これによれば、上述した効果に加えて、入力コンデンサC1のリップル電流を低減できるという効果を奏することができる。
また、上述の第1実施形態に係るスイッチング電源装置1には、スイッチングコンバータを2つ設け、上述の第2実施形態に係るスイッチング電源装置1Aと、上述の第3実施形態に係るスイッチング電源装置1Bとには、スイッチングコンバータを4つ設けた。しかしながら、これらに限らず、例えばスイッチングコンバータを5つ設けたり、6つ設けたりしてもよい。
また、上述の各実施形態では、備えている全てのスイッチングコンバータを駆動することとしたが、これに限らず、OUT1、OUT2を介して接続される負荷に応じて、駆動するスイッチングコンバータの数を変更してもよい。具体的には、OUT1、OUT2を介して接続される負荷が軽くなるに従って、駆動するスイッチングコンバータの数を減少させてもよい。これによれば、負荷が軽い場合の損失を低減できる。
また、上述の第3実施形態に係るスイッチング電源装置1Bでは、インダクタL1〜L4のそれぞれの平均電流の波形を、交流電源の半周期ごとにローテーションさせたが、これに限らず、交流電源の半周期の整数倍ごとにローテーションさせればよい。