JP2010240696A - 管材の接合方法、ならびに、当該接合方法により接合した管材とフィン材とを接合した熱交換器 - Google Patents

管材の接合方法、ならびに、当該接合方法により接合した管材とフィン材とを接合した熱交換器 Download PDF

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Abstract

【課題】トーチろう付け部の優先腐食を防止して、貫通漏れが早期に発生しない接合方法を提供する。
【解決手段】Al合金からなる芯材の外面に、純度99.5wt%以上で0.5wt%以下の不純物を含有し、不純物がSiとして0.25wt%以下、Feとして0.40wt%以下で残部不回避不純物からなる純Alのクラッド層を設けた管材を2本用意し、一方の管材の端部を拡管し、拡管部に他方の管材を挿入してトーチろう付けによって両管材を接合する方法において、トーチろう付けに用いるろう材が、Si11.0wt%〜13.0wt%、Zn1.0wt%〜2.0wt%で残部不回避不純物からなるAl合金であり、トーチろう付けが600℃に到達してから3〜8秒保持される管材の接合方法、ならびに、この接合方法によって接合した管材とフィン材とを接合した熱交換器。
【選択図】図1

Description

本発明は、トーチろう付けにより接合された部分のろう付け性及び耐食性を向上させた接合方法、ならびに、当該接合方法により接合した管材とフィン材とを接合した熱交換器に関する。
家庭用エアコンの熱交換器は、従来は銅製の管材とアルミニウムフィン材を機械的拡管により接合している。図6に示すように、この方法は、管材1の端より拡管用の治具7を管材内部に押し込み、管材を広げフィン材6と接合する方式である。この工程後、空いた端同士をU字の部品で繋ぎ、トーチろう付けにより接合して熱交換器を作製する。
近年、エアコンのリサイクルの観点から銅製の管材をアルミニウム合金製に換えることが提案されている。管材をアルミニウム合金にした場合でも同様に、フィン材と管材を機械的に拡管しトーチろう付けによって接合して熱交換器が作製される。
管材をアルミニウム合金製にした熱交換器では、従来の銅製の管材を用いた場合に比較して、フィン材と接していないRベンド部及びUベンド部に貫通腐食が発生してしまう問題を抱えていた。そこで、押し出し管の表面にAl−1wt%Zn合金をクラッドした管材、Znを溶射した管材が用いられる。これにより、これらの管の表面に被覆されたAl−1wt%%Zn合金や純Znが犠牲陽極材として作用し、フィン材と接していないRベンド部やUベンド部の貫通腐食が防止できることがわかった。
しかしながら、これらのクラッド管やZn溶射管を用い、4047合金のろう材を用いてトーチろう付けを行った場合、管のトーチろう付け部の接合部において貫通腐食漏れが発生してしまう問題が生じた。図7に示すように、Rベンド部及びUベンド部において犠牲陽極材として作用するAl−Zn層を備える管材では、通常、4047合金のろう材を用いてトーチろう付けすると、接合部においてクラッド層がろう材層より電位的に卑になり、そのためろう材層より優先的に腐食する。また、Zn溶射管の場合には、ろう材フィレット部にZn濃化層が形成されることによって貫通腐食が生じるものである。図7において、1は端部が拡管された管材、2は管材1に挿入される管材、3はろう付け部において優先的に腐食した犠牲陽極材、5はろう材をそれぞれ示す。
このような接合部の腐食を防止する手段として、特許文献1に記載のように、アルミニウム管体の接合部を、内側にろう材層又ははんだ層を設けたスリーブによって囲繞した後に加熱接合することが考えられる。この方法では接合部分の長さが長くなることで貫通漏れまでの時間を延ばすことができるが、犠牲材の優先腐食を完全に防止することはできない。またこの方法を用いると、接合部分にスリーブを接続するため、部品点数及び工数の増加につながりコストが増加する問題がある。
特開昭58−163572号公報
一方、家庭用熱交換器に用いるフィン材にはJISA1200合金等が用いられるが、このフィン材と管材の電位構成が適当でない場合、つまりフィン材より管材表面の電位が大幅に卑になると、管材が犠牲材となってフィン材を防食する構成になり、フィン材と管材が接合した部分において管材が腐食して隙間腐食を発生させ、この管材部分において早期貫通腐食を生じてしまう問題もあった。
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、接合部であるトーチろう付け部における良好なろう付け性及び耐優先腐食性を備え、かつ、非接合部であるRベンド及びUベンド部における耐食性を備えた接合管材を提供し、かつ、これら管材とフィン材を接合した熱交換器であって管材/フィン材の接合部での隙間腐食を防止した熱交換器を提供することを目的とする。
本発明はこのような問題を解決するために、請求項1において、Al合金からなる芯材の外面に、純度99.5wt%以上で0.5wt%以下の不純物を含有し、当該不純物がSiとして0.25wt%以下、Feとして0.40wt%以下で残部不回避不純物からなる純Alのクラッド層を設けた管材を2本用意し、一方の管材の端部を拡管し、当該拡管部に他方の管材を挿入してトーチろう付けによって両管材を接合する方法において、トーチろう付けに用いるろう材が、Si11.0wt%〜13.0wt%、Zn1.0wt%〜2.0wt%で残部不回避不純物からなるAl合金であり、トーチろう付けが600℃に到達してから3〜8秒保持されることを特徴とする管材の接合方法とした。また、請求項2では、請求項1に記載の接合方法により接合した管材と、フィン材とを接合した熱交換器とした。
本発明によれば、トーチろう付けによる接合部の良好なろう付け性と耐優先腐食性、ならびに、非接合部での耐腐食性を防止した接合管材を提供でき、更に、管材/フィン材の隙間腐食を防止して早期に貫通孔食を発生させるようなことがない熱交換器を提供できる。
本発明に係る接合方法を示す断面図である。 クラッド管における接合部の電位状態を説明する断面図である。 クラッド管における腐食進行を模式的に示す断面図である。 Zn溶射管における接合部の電位状態を説明する断面図である。 Zn溶射管における腐食進行を模式的に示す断面図である。 管材とフィン材との接合を説明する断面図である。 管材の優先腐食を示す断面図である。 熱交換器ミニコアの接合部と非接合部を示す平面図である。 熱交換器ミニコアの接合部と非接合部を示す正面図である。
A.貫通漏れ現象のメカニズム
本発明者らは、Al−1wt%Znをクラッドしたクラッド管材をトーチろう付けによって接合した場合に、接合部においてクラッド管材の犠牲材が優先腐食して貫通漏れに至る現象や、Zn溶射管材をトーチろう付けによって接合した場合に、接合部のろう材フィレット部に発生するZn濃化層が優先腐食して貫通漏れに至る現象についてメカニズムを検討した。具体的には図1に示すように、一端を拡管した管材1の拡管部に管材2を挿入して、トーチろう材5を用いてトーチろう付けによって両管材1、2を接合する場合について検討した。ここで、管材1、2の芯材4の外面に形成された層3は、クラッド層であるAl−Zn層又はZn溶射層を表す。
クラッド管材において貫通漏れに至る現象は、図2に示すように、接合部においてクラッド層であるAl−Zn層3の腐食電位が、トーチろう材5及び管材の芯材4より卑であることに起因する。図2において、グラフの縦軸は、管材2の軸中心から半径方向への任意距離を示し、腐食電位は、各部位の相対的な電位を示す。そして、図3に模式的に示すように、腐食が進行した腐食中期では、管材2における接合部以外のAl−Zn層31が消失する。更に腐食が進行した腐食後期では、トーチろう材5とAl−Zn層3の腐食電位差の作用によって、管材2の接合部におけるAl−Zn層32が優先的に腐食することが判明した。
Zn溶射管材において貫通漏れに至る現象は、図4に示すように、接合部のろう材フィレット部に発生したZn濃化層51の腐食電位が、トーチろう材5及び管材の芯材4より卑になっていることに起因する。図4において、グラフの縦軸は、管材2の軸中心から半径方向への任意距離を示し、腐食電位は、各部位の相対的な電位を示す。そして、図5に模式的に示すように、腐食が進行した腐食中期では、管材2における接合部以外のZn溶射層31が消失する。更に腐食が進行した腐食後期では、管材2における接合部以外のZn溶射部が消失するだけでなく、トーチろう材5とZn濃化層51の腐食電位差の作用によって、Zn濃化層51が優先的に腐食することが判明した。図5において、52は腐食したZn濃化層部分を表す。
本発明者らは、鋭意研究の結果、この優先腐食を防止する根本的対策として、クラッド管材における貫通漏れに対しては、接合部にAl−Zn層を存在させないことが有効であることを見出した。具体的には、トーチろう付け時において、溶解したろう材によってAl−Zn材を侵食させ、ろう材とAl−Zn材を一体化させるものである。
一方、Zn溶射管材における貫通漏れに対しては、接合部のろう材層にZn濃化層を存在させないことが有効であることを見出した。具体的には、トーチろう付けの前段階において、管材表面のZn溶射層に熱拡散を加えて表層のZn濃度を予め低濃度にしておくものである。
クラッド管材及びZn溶射管材の何れの場合においても、トーチろう材には4047のろう材にZnを1.0〜2.0wt%添加することが必要であった。これにより、クラッド管材ではトーチろう材によるクラッド層の侵食が発生してクラッド層が消滅し、Zn溶射管材では接合部のZn濃度が低濃度で均一になった。その結果、いずれの場合も管材接合部での優先腐食を防止できることが判明した。
しかしながら、このような管材接合部での優先腐食を防止しても熱交換器として耐食性を評価すると他の問題が生じた。家庭用エアコンの熱交換器コアのフィン材には、通常JISA1200合金が強度と熱伝導性の点から用いられている。Al−Znクラッド層やZn溶射層を備える管材では、その表層とフィン材との電位の関係が、管材が犠牲層となりフィン材を防食する構成になっているため、管材とフィン材とが接合した部分において管材が腐食して隙間腐食を発生させ、この部分において管材に早期腐食貫通が発生する場合があることが判明した。本発明者らは、この隙間腐食を防止する根本的対策として、管材表面の電位をAl−Zn層やZn溶射層よりも貴にすることが有効であることを見出した。具体的には、純度99.5wt%以上の純Alをクラッド層とした管材を使用することが有効であることが判明した。
B.管材
本発明に係る管材は、Al合金からなる芯材の外面に純度99.5wt%以上の純Alのクラッド層を設けたものが用いられる。
図1に示すように、端部を拡管した管材1及びその拡管部に挿入される管材2とはいずれも、心材4とその外側にクラッドされたクラッド層3から構成される。クラッド層にはいずれも、純度99.5wt%以上の純Alが用いられる。また、管材1と2とは、通常、芯材及びクラッド層の金属組成、芯材及びクラッド層の厚さ、管材全体の外径及び内径が同じ、すなわち、同じ管材が用いられる。しかしながら、芯材及びクラッド層の金属組成、芯材及びクラッド層の厚さ、管材全体の外径及び内径の少なくともいずれかが異なるものを用いても良い。
B−1.芯材
本発明において管材の芯材成分については特に限定されるものではないが、後述する純Al層が犠牲防食可能な電位を示す合金であって、ろう付け時に溶融しない合金が用いられる。クラッド管に大きな強度が要求されない場合にはJIS3003合金が用いられ、大きな強度が要求される場合にはCuの添加量が比較的多いJIS3105合金又はAl−1%Mn−0.5%Cu合金等が好適に用いられる。芯材の成分としては、Si0.6wt%以下、Fe0.7wt%以下、Mn0.8〜1.5wt%、Cu0.05〜0.5wt%とするのが好ましい。
Siは不純物として含有されるが、この添加量が0.6wt%を超えると芯材の耐食性が劣る場合があるので、Siの添加量は0.6wt%以下とするのが好ましい。Feも不純物として含有されるが、この添加量が0.7wt%を超えると芯材の耐食性が劣る場合があるので、Feの添加量は0.7wt%以下とするのが好ましい。Mnの添加量が0.8wt%未満であると管材の強度が劣る場合があり、1.5wt%を越えると管材の押し出しが困難になる場合がある。従ってMnの添加量は0.8wt%〜1.5wt%とするのが好ましい。Cuの添加量が0.05wt%未満であると芯材とクラッド層である純Al層との電位差が小さくなり、純Al層の犠牲効果が発揮されない場合がある。また、0.5wt%を超えると粒界腐食が発生してしまう場合がある。従ってCuの添加量は0.05wt%〜0.5wt%とするのが好ましい。
B−2.クラッド層
芯材の外側に形成されるクラッド層は、純度99.5%以上の純Al層である。Alに含有される不純物であるSiやFeの含有量が、Siで0.25wt%、Feで0.40wt%を超えると純Al層の電位が貴になり、犠牲防食効果が損なわれる場合がある。その結果、管材が腐食環境に曝されるRベンド部やUベンド部の耐食性が劣ってしまう。従って本発明においては、クラッド管材の表面に純度99.5%以上の純Alを被覆することにした。不純物には不回避的な元素も含まれる。Al純度が99.5%以上とするには、Si、Fe及び不回避的元素から成る不純物の総量は、0.5wt%以下に規定される。したがって、不純物総量が0.5wt%以下の前提のもとに、Siが最大0.25wt%まで、Feが最大0.40wt%まで、ならびに、不回避的元素が含有されるものである。
クラッド層厚さは、50μm〜100μmとするのが好ましい。クラッド層厚さが50μm未満であると、Rベンド部やUベンド部においてクラッド層の犠牲防食効果が十分に発揮されず貫通寿命が短くなる場合がある。一方、100μmを超えるとRベンド部やUベンド部の耐食性は確保されるが、トーチろう付け部において、ろう付けによりクラッド層がトーチろう材により侵食しきれなくなるため、クラッド層の優先腐食が発生する場合がある。
B−3.管材の作製
管材は以下のようにして作製される。まず、円筒状の芯材の外面にクラッド層となる皮材スリーブを被せて、組み合わせビレットを作製する。所望のクラッド層厚さになるように、皮材スリーブの厚さを選定する。次いで、組み合わせビレットを加熱炉で350℃〜600℃に均熱する。次いで、組み合わせビレットをダイスとラムノーズ間に狭持してコンテナ内に挿入し、ダイスとラムノーズを固定した状態で芯材内径より大きな外径をもつマンドレルを圧入し、芯材の内径を拡管して芯材と皮材間の空気を追い出す。更に、マンドレルを所定の位置に固定して、ホローシステムを前進させダイスを通して組み合わせビレットを押し出し、継ぎ目無しの中空管材とするものである。最後に、抽伸工程を経て所定の外径と内径を有するクラッド管を作製する。
これに代わって、押し出し成形によって芯材管を作製し、その外面にクラッド層を溶射によって形成してもよい。
C.トーチろう材
トーチろう材の成分は、Si11.0wt%〜13.0wt%、Zn1.0wt%〜2.0wt%のAl−Si−Zn合金が用いられる。Si含有量が11.0wt%未満のものは、ろう材の共晶組成から外れるために、ろう付け時において液相量が不足する。その結果、トーチろう付け性が劣る。一方、含有量が13.0wt%を超えると、ろう材が過共晶組成になるためろう材中に大きなSi粒の初晶が析出してろうの流動性を阻害する。その結果、トーチろう付け性が劣る。従ってSi量を11.0wt%〜13.0wt%と規定した。
ろう材中のZn含有量が1.0wt%未満のものは、純Alクラッド層とろう材との電位差が大きくなるため、接合部において純Alクラッド層の優先腐食が発生する。含有量が2.0wt%を超えると、ろう付け温度における液相量は十分でクラッド層を侵食できるが、ろう付け後に形成されるろう材層中のZn含有量が多くなるため、ろう材層自身の腐食溶解量が多くなる。その結果、ろう材層が腐食溶解して接合部において貫通腐食が生じてしまう。従ってトーチろう材に含有されるZn量を1.0wt%〜2.0wt%と規定した。
また、本発明においては、トーチろう材としてワイヤー状のものを用いるのが好ましい。ワイヤーろう材は、所定成分に鋳造したものを400℃に加熱してダイスを通して丸棒状に押し出し成型し、これをダイスに通して抽伸し所定径の線材を作製する。
D.トーチろう付け
図1に示すように、一端を拡管した管材1の拡管部に、接合部にフラックスを塗布した管材2を挿入する。次いで、接合部にトーチろう材5を配置し、プロパン・エアー・トーチ等のトーチを用いたトーチろう付けによって両管材1、2をろう付け接合する。フラックスには、フッ化物系フラックス、セシウム系フラックスを用いることができる。このように、トーチろう付け方法は、一般的な方法を用いることができる。
トーチろう付けの条件は、600℃に到達してから3〜8秒保持される。ろう付け時の温度が600℃で3秒未満の場合には、トーチろう付け部に均一に熱がいきわたらないため、ろう材が犠牲材を完全に侵食できない。一方、8秒を超えるとろうの侵食が激しくなり円滑な接合面が形成できなくなり、ろう付け性が劣る。また、ろう付け温度が600℃未満であると、ろうの溶解が不十分でろう付けが不完全となる。従ってろう付け条件は、600℃に到達してから3〜8秒保持と規定した。
E.熱交換器の作製
本発明に係る熱交換器は、上述の管材とフィン材とを接合することによって得られる。フィン材としては、JISA1200合金やJISA1100合金等が用いられる。これらの合金を用いることで管材を入れるフィン穴の形状(バーリング形状)を、フィンと管を密着させる形状に成型できる。これら管材とフィン材と組み合わせて、拡管用の治具を管材内部に押し込み、管材を広げフィン穴と密着させ接合する。この後に、拡管用の治具を入れた管同士を、拡管した同構成のU字管の部品でつなぎ、接合部にワイヤーろうを配置してトーチろう付けすることによって熱交換器が製造される。
以下に、本発明例と比較例に基づいて本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明例No.1〜9及び比較例No.10〜18
表1に、ワイヤーろう材の成分、純Alクラッド層の不純物含有量、ならびに、ろう付け条件(温度と時間)を示す。ワイヤーろう材は、所定成分に鋳造した後に、丸棒に押し出し、次いでダイスを通して抽伸を行い1.4〜2.2mm径の線材として作製した。
管材は以下のようにして作成した。芯材としてJIS3003の円筒を用い、その外面に不純物としてSiとFeを含有する純Al合金の皮材スリーブを被せ、組み合わせビレットを作製した。次いで、組み合わせビレットを加熱炉で350℃〜600℃に均熱した。更に、組み合わせビレットをダイスとラムノーズ間に狭持してコンテナ内に挿入し、ダイスとラムノーズを固定した状態で芯材内径より大きな外径をもつマンドレルを圧入し、芯材の内径を拡管して芯材と皮材間の空気を追い出した。マンドレルを所定の位置に固定して、ホローシステムを前進させダイスを通して組み合わせビレットを押し出し、継ぎ目無しの中空管材を作製した。次いで、抽伸工程を経て外径φ8mm、内径φ7mmのクラッド管を2本作製した。これらの管を用い、実際の熱交換器の接合部分と同じように、管材1を拡管し、その拡管部分に管材2を挿入した。次いで、接合部分にフッ化物系フラックスを塗布し、ワイヤーろう材を用いてトーチろう付けを行い接合試験片を得た。
Figure 2010240696
上述のようにして作製した接合試験片を用いて以下の評価を行なった。
(1)管材同士の接合部におけるろう付け性評価
接合試験片の断面を切断し樹脂埋め研磨した後に、10mm以上にわたって接合痕が存在していたものを○とし、接合痕が5mm以上10mm以下未満のものを△とし、5mm未満のものを×とした。○と△を合格とし、×を不合格とした。
次に、上述のようにして作製した接合試験片とJISA1200合金からなるフィン材を成型加工し、管材試験片を液圧拡管し実際の熱交換器に似せたミニコアを成型し(図8、図9)、以下の評価を行なった。図8、図9において、1、2、6は他の図面と同じ部材であり、Aは管材1と2の接合部、BはRベンド部、CはUベンド部、Dはフィン下部である。
(2)腐食試験
上述のようにして作製した熱交換器ミニコアを用い、JISH8601に準じるCASS試験を2000h行なった。試験後、コアのフィン材を除去し、管材に付いた腐食生成物を濃硝酸とリン酸−クロム酸混液で除去した。次いで、図8、9に示す接合部における内側管材である管材2の腐食深さ、ならびに、非接合部であるRベンド部、Uベンド部及びフィン下部の管材の腐食深さを焦点深度法にて測定した。結果を表1に示す。未貫通のものを合格とし、貫通したものを不合格とした。
比較例19
芯材としてJIS3003の円筒を用い、その外面にAl−1%Zn合金の皮材スリーブを被せ、組み合わせビレットを作製した。次いで、組み合わせビレットを加熱炉で350℃〜600℃に均熱した。更に、組み合わせビレットをダイスとラムノーズ間に狭持してコンテナ内に挿入し、ダイスとラムノーズを固定した状態で芯材内径より大きな外径をもつマンドレルを圧入し、芯材の内径を拡管して芯材と皮材間の空気を追い出した。マンドレルを所定の位置に固定して、ホローシステムを前進させダイスを通して組み合わせビレットを押し出し、継ぎ目無しの中空管材を作製した。次いで、抽伸工程を経て外径φ8mm、内径φ7mmのクラッド管を2本作製した。これらの管を用い、実際の熱交換器の接合部分と同じように、管材1を拡管し、その拡管部分に管材2を挿入した。次いで、接合部分にフッ化物系フラックスを塗布し、ワイヤーろう材を用いて600℃、3秒保持のトーチろう付けを行い接合試験片を得た。
比較例20
管材としてJIS3003のビレットを作製し、これを加熱炉で350℃〜600℃に均熱した。次いで、ビレットをコンテナ内に挿入してダイスを通してビレットを押し出し中空管材を作製した。更に、Zn溶射ガンの中を通して付着量10g/mのZn溶射管を作製した。このZn溶射管に、430℃で8時間の予備加熱処理を施した。このようにして、外径φ8mm、内径φ7mmのZn溶射管を2本作製した。これらの管を用い、実際の熱交換器の接合部分と同じように、管材1を拡管し、その拡管部分に管材2を挿入した。次いで、接合部分にフッ化物系フラックスを塗布し、ワイヤーろう材を用いて600℃、5秒保持のトーチろう付けを行い接合試験片を得た。
表1から明らかなように、本発明例1〜8では、接合部におけるトーチろう付け性が良好であった。また、熱交換器ミニコアでの接合部及び非接合部における耐食性も良好であった。
比較例10では、純Alクラッド層のSi量が本発明範囲を超えるため、Rベンド部とUベンド部の耐食性が劣り貫通腐食を生じた。
比較例11では、純Alクラッド層のFe量が本発明を超えるため、Rベンド部とUベンド部の耐食性が劣り、貫通腐食を生じた。
比較例12では、ろう材ワイヤーのSi量が本発明未満のため、ろう材の液相線温度が下がるためトーチろう付け性が不良であった。
比較例13では、ろう材ワイヤーのSi量が本発明を超えるため、ろう材の液相線温度が下がるためトーチろう付け性が不良であった。
比較例14では、ろう材ワイヤーのZn量が本発明未満のため、Zn濃縮層とろう材部の電位差が大きくなり接合部に優先腐食が発生して接合部での耐食性に劣った。
比較例15では、ろう材ワイヤーのZn量が本発明を超えるため、ろう材中のZn量が多くなりフィレット部の腐食量が多くなるため、接合部での耐食性に劣った。
比較例16では、トーチろう付けの保持時間が本発明未満のため、接合部ののろう付け性が不良であった。
比較例17では、トーチろう付けの保持時間が本発明を超えるため、接合部のろう付けが不良であった。
比較例18では、トーチろう付けの温度が本発明未満のため、接合部のろう付けが不良であった。
比較例19、20では、純度99.5wt%の純Alクラッド層を用いていないため、フィン下部での耐食性に劣った。
このように本発明により、接合部であるトーチろう付け部における良好なろう付け性及び耐優先腐食性を備えると共に、非接合部であるRベンド及びUベンド部における耐食性を備えた接合管材が提供される。そして、これら管材とフィン材を接合することにより、管材/フィン材の接合部での隙間腐食を防止した熱交換器が提供される。
1……管材、チューブ
2……管材
3……クラッド層、Zn溶射層、犠牲陽極材
31……Al−Zn層
32……Al−Zn層
4……芯材
5……ろう材、トーチろう材
51……Zn濃化層
52……Zn濃化層
6……フィン
7……拡管用の治具
A……接合部
B……Rベンド部
C……Uベンド部
D……フィン下部

Claims (2)

  1. Al合金からなる芯材の外面に、純度99.5wt%以上で0.5wt%以下の不純物を含有し、当該不純物がSiとして0.25wt%以下、Feとして0.40wt%以下で残部不回避不純物からなる純Alのクラッド層を設けた管材を2本用意し、一方の管材の端部を拡管し、当該拡管部に他方の管材を挿入してトーチろう付けによって両管材を接合する方法において、トーチろう付けに用いるろう材が、Si11.0wt%〜13.0wt%、Zn1.0wt%〜2.0wt%で残部不回避不純物からなるAl合金であり、トーチろう付けが600℃に到達してから3〜8秒保持されることを特徴とする管材の接合方法。
  2. 請求項1に記載の接合方法により接合した管材とフィン材とを接合した熱交換器。
JP2009092962A 2009-04-07 2009-04-07 管材の接合方法、ならびに、当該接合方法により接合した管材とフィン材とを接合した熱交換器 Active JP5731106B2 (ja)

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