JP5777662B2 - 管材の接合方法 - Google Patents

管材の接合方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5777662B2
JP5777662B2 JP2013127805A JP2013127805A JP5777662B2 JP 5777662 B2 JP5777662 B2 JP 5777662B2 JP 2013127805 A JP2013127805 A JP 2013127805A JP 2013127805 A JP2013127805 A JP 2013127805A JP 5777662 B2 JP5777662 B2 JP 5777662B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brazing
layer
corrosion
tube
torch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013127805A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013198938A (ja
Inventor
恩田時伯
兒島洋一
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
UACJ Corp
Original Assignee
UACJ Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by UACJ Corp filed Critical UACJ Corp
Priority to JP2013127805A priority Critical patent/JP5777662B2/ja
Publication of JP2013198938A publication Critical patent/JP2013198938A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5777662B2 publication Critical patent/JP5777662B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Description

本発明は、トーチろう付けにより接合された部分のろう付け性及び耐食性を向上させた接合方法に関するものである。
家庭用エアコンの熱交換器は、従来は銅製のチューブとアルミニウムフィン材を機械的拡管により接合している。図6に示すように、この方法は、チューブ6の端より拡管用の治具8をチューブ内部に押し込み、チューブを広げフィン7と接合する方式である。この工程後、空いた端同士をU字の部品で繋ぎ、トーチろう付けにより接合して熱交換器を作製する。
近年、エアコンのリサイクルの観点から銅製のチューブをアルミニウム合金製に換えることが提案されている。チューブをアルミニウム合金にした場合でも同様に、フィンとチューブを機械的に拡管しトーチろう付けによって接合して熱交換器が作製される。
チューブをアルミニウム合金製にした熱交換器では、従来の銅製のチューブを用いた場合に比較して、フィンと接していないRベンド部及びUベンド部に貫通腐食が発生してしまう問題を抱えていた。そこで、特許文献1に記載のように、押し出し管の表面に純度99.0%以上の純Alを被覆した管材、Al−1%Zn材を被覆した管材、Znを溶射した管材が用いられる。これにより、これらの管の表面に被覆された純Al、Al−1%Zn材、純Znが犠牲陽極材として作用し、フィンと接していないRベンド部やUベンド部の貫通腐食が防止できることがわかった。
しかしながら、これらのクラッド管やZn溶射管を用いた場合、管のトーチろう付け部の接合部において貫通腐食漏れが発生してしまう問題が生じた。図7に示すように、この貫通腐食漏れは、Rベンド部及びUベンド部において犠牲陽極材として作用する純Al層、Al−1%Zn層が、トーチろう付け部においてその部分が周りのろう材より腐食溶解し易いため、この部分が優先的に腐食して発生するために生じるものである。また、Zn溶射管の場合には、ろう材フィレット部にZn濃化層が形成されることによって貫通腐食が生じるものである。図7において、1は端部が拡管された管材、2は管材1に挿入される管材、3はろう付け部において優先的に腐食した犠牲陽極材、5はろう材をそれぞれ示す。
このような接合部の腐食を防止する手段として、特許文献2に記載のように、アルミニウム管体の接合部を、内側にろう材層又ははんだ層を設けたスリーブによって囲繞した後に加熱接合することが考えられる。この方法では接合部分の長さが長くなることで貫通漏れまでの時間を延ばすことができるが、犠牲材の優先腐食を完全に防止することはできない。またこの方法を用いると、接合部分にスリーブを接続するため、部品点数及び工数の増加につながりコストが増加する問題がある。
特開平02−190485号公報 特開昭58−163572号公報
本発明は以上の従来技術における問題に鑑み、良好なトーチろう付け性、ならびに、ろう付け部の優先腐食を防止して貫通漏れが早期に発生しない接合方法を提供することを目的とする。
本発明はこのような問題を解決するために、請求項1において、Al合金からなる芯材の外面にZn溶射層を設けた管材を2本用意し、一方の管材の端部を拡管し、当該拡管部に他方の管材を挿入してトーチろう付けによって接合部のみを加熱して両管材を接合する方法において、前記Zn溶射層におけるZn付着量が10.0〜18.0g/mであり、当該Zn溶射層は管材に対して犠牲防食層として作用し、トーチろう付け前において、Zn溶射層が形成された管材に400℃〜500℃の温度で1〜8時間の予備加熱処理が施され、トーチろう付けに用いるろう材が、Si11.0wt%〜13.0wt%、Zn1.0wt%〜2.0wt%で残部不回避不純物からなるAl合金であり、トーチろう付けが600℃に到達してから3〜8秒保持されることを特徴とする管材の接合方法とした。
本発明によれば、良好なトーチろう付けが達成され、かつ、ろう付け部の優先腐食と貫通孔食の早期発生が防止される。
本発明に係る接合方法を示す断面図である。 本発明の第一実施態様における接合部の電位状態を説明する断面図である。 本発明の第一実施態様における腐食進行を模式的に示す断面図である。 本発明の第二実施態様における接合部の電位状態を説明する断面図である。 本発明の第二実施態様における腐食進行を模式的に示す断面図である。 チューブとフィンとの接合を説明する断面図である。 接合部の優先腐食を示す断面図である。
A.貫通漏れ現象のメカニズム
本発明者らは、クラッド管材をトーチろう付けによって接合した場合に、接合部においてクラッド管材の犠牲材が優先腐食して貫通漏れに至る現象や、Zn溶射管材をトーチろう付けによって接合した場合に、接合部のろう材フィレット部に発生するZn濃化層が優先腐食して貫通漏れに至る現象についてメカニズムを検討した。具体的には図1に示すように、一端を拡管した管材1の拡管部に管材2を挿入して、トーチろう材5を用いてトーチろう付けによって両管材1、2を接合する場合について検討した。ここで、管材1、2の芯材4の外面に形成された層3は、クラッド層であるAl−Zn層又はZn溶射層を表す。
クラッド管材において貫通漏れに至る現象は、図2に示すように、接合部においてクラッド層であるAl−Zn層3の腐食電位が、トーチろう材5及び管材の芯材4より卑であることに起因する。図2において、グラフの縦軸は、管材2の軸中心から半径方向への任意距離を示し、腐食電位は、各部位の相対的な電位を示す。そして、図3に模式的に示すように、腐食が進行した腐食中期では、管材2における接合部以外のAl−Zn層31が消失する。更に腐食が進行した腐食後期では、トーチろう材5とAl−Zn層3の腐食電位差の作用によって、管材2の接合部におけるAl−Zn層32が優先的に腐食することが判明した。
Zn溶射管材において貫通漏れに至る現象は、図4に示すように、接合部のろう材フィレット部に発生したZn濃化層51の腐食電位が、トーチろう材5及び管材の芯材4より卑になっていることに起因する。図4において、グラフの縦軸は、管材2の軸中心から半径方向への任意距離を示し、腐食電位は、各部位の相対的な電位を示す。そして、図5に模式的に示すように、腐食が進行した腐食中期では、管材2における接合部以外のZn溶射層31が消失する。更に腐食が進行した腐食後期では、管材2における接合部以外のZn溶射層が消失するだけでなく、トーチろう材5とZn濃化層51の腐食電位差の作用によって、Zn濃化層51が優先的に腐食することが判明した。図5において、52は腐食したZn濃化層部分を表す。
本発明者らは、鋭意研究の結果、この優先腐食を防止する根本的対策として、クラッド管材における貫通漏れに対しては、接合部にAl−Zn層を存在させないことが有効であることを見出した。具体的には、トーチろう付け時において、溶解したろう材によってAl−Zn材を侵食させ、ろう材とAl−Zn材を一体化させるものである。
一方、Zn溶射管材における貫通漏れに対しては、接合部のろう材層にZn濃化層を存在させないことが有効であることを見出した。具体的には、トーチろう付けの前段階において、管材表面のZn溶射層のZn濃度を予め低濃度にしておくものである。
本発明においては、Al合金からなる芯材の外面にAl−Zn系合金又はZnからなる被覆層を設けた管材が用いられる。被覆層としては、クラッド層、Zn溶射層、Znめっき層、Zn置換処理層等が用いられる。
B.被覆層としてクラッド層を用いた態様
まず、被覆層としてクラッド層を用いた第一実施態様に係る各構成について、以下に詳述する。
B−1.管材
図1に示すように、端部を拡管した管材1及びその拡管部に挿入される管材2とはいずれも、心材4とその外側にクラッドされたクラッド層3から構成される。クラッド層がいずれも、Al−Zn系合金であってAlと0.50wt%〜1.00wt%のZnと不回避不純物の残部を成分とし、50μm〜100μmの厚さを有するものが用いられる。また、管材1と2とは、通常、芯材及びクラッド層の金属組成、芯材及びクラッド層の厚さ、管材全体の外径及び内径が同じ、すなわち、同じ管材が用いられる。しかしながら、芯材及びクラッド層の金属組成、芯材及びクラッド層の厚さ、管材全体の外径及び内径の少なくともいずれかが異なるものを用いても良い。
B−2.芯材
本発明において管材の芯材成分については特に限定されるものではないが、後述するAl−Znクラッド層が犠牲防食可能な電位を示す合金であって、ろう付け時に溶融しない合金が用いられる。クラッド管に大きな強度が要求されない場合にはJIS3003合金が用いられ、大きな強度が要求される場合にはCuの添加量が比較的多いJIS3105合金又はAl−1%Mn−0.5%Cu合金等が好適に用いられる。
B−3.クラッド層
芯材の外側に形成されるクラッド層は、Al−Zn系合金である。Alと0.50wt%〜1.00wt%のZnと不回避不純物の残部を成分とする。クラッド層の厚さは、50μm〜100μmである。Znをクラッド層に添加することで、クラッド層自身の孔食電位を卑にする。芯材との孔食電位差により芯材を防食し、管材自身の貫通寿命を長くする。Znの含有量が0.50wt%未満であると、フィンの犠牲防食効果が発揮されないRベンド部やUベンド部においてこの効果が不十分となる。一方、Znの含有量が1.00wt%を超えると、犠牲材の腐食溶解量が多くなり上記の部位での貫通寿命が短くなる。不回避不純物としては、0.4wt%以下のSi、0.7wt%以下のFeなどが挙げられる。
クラッド層厚さは、50μm〜100μmとする。クラッド層厚さが50μm未満であると、Rベンド部やUベンド部においてクラッド層の犠牲防食効果が十分に発揮されず貫通寿命が短くなる。一方、100μmを超えるとRベンド部やUベンド部の耐食性は確保されるが、トーチろう付け部において、ろう付けによりクラッド層がトーチろう材により侵食しきれなくなるため、クラッド層の優先腐食が発生する。
B−4.管材の作製
管材は以下のようにして作製される。まず、円筒状の芯材の外面にクラッド層となる皮材スリーブを被せて、組み合わせビレットを作製する。所望のクラッド層厚さになるように、皮材スリーブの厚さを選定する。次いで、組み合わせビレットを加熱炉で350℃〜600℃に均熱する。次いで、組み合わせビレットをダイスとラムノーズ間に狭持してコンテナ内に挿入し、ダイスとラムノーズを固定した状態で芯材内径より大きな外径をもつマンドレルを圧入し、芯材の内径を拡管して芯材と皮材間の空気を追い出す。更に、マンドレルを所定の位置に固定して、ホローシステムを前進させダイスを通して組み合わせビレットを押し出し、継ぎ目無しの中空管材とするものである。最後に、抽伸工程を経て所定の外径と内径を有するクラッド管を作製する。
これに代わって、押し出し成形によって芯材管を作製し、その外面にクラッド層を溶射によって形成してもよい。
B−5.トーチろう材
トーチろう材の成分は、Si11.0wt%〜13.0wt%、Zn1.0wt%〜2.0wt%のAl−Si−Zn合金が用いられる。Si含有量が11.0wt%未満のものは、ろう材の共晶組成から外れるために、ろう付け時において液相量が不足する。その結果、トーチろう付け性が劣る。一方、含有量が13.0wt%を超えると、ろう材が過共晶組成になるためろう材中に大きなSi粒の初晶が析出してろうの流動性を阻害する。その結果、トーチろう付け性が劣る。従ってSi量を11.0wt%〜13.0wt%と規定した。
ろう材中のZn含有量が1.0wt%未満のものは、ろう付け温度における液相量が少なくなるため、トーチろう付け部において溶解したろう材がクラッド層を完全に侵食できない。その結果、クラッド層が残存するため、接合部においてクラッド層の優先腐食が発生してしまう。含有量が2.0wt%を超えると、ろう付け温度における液相量は十分でクラッド層を侵食できるが、ろう付け後に形成されるろう材層中のZn含有量が多くなるため、ろう材層自身の腐食溶解量が多くなる。その結果、ろう材層が腐食溶解して接合部において貫通腐食が生じてしまう。従ってトーチろう材に含有されるZn量を1.0wt%〜2.0wt%と規定した。
また、本発明においては、トーチろう材としてワイヤー状のものを用いるのが好ましい。この場合、ワイヤーろう材の直径をA(μm)とし、管材のクラッド層厚さをB(μm)とした場合に、15<A/B<30となる関係が好ましい。A/Bが15以下の場合には、ろう材の供給量に対してクラッド層厚さが大きい為、トーチろう付け部においてクラッド層の消滅が不十分となる場合がある。その結果、接合部の耐食性が劣ることになる。一方、A/Bが30以上の場合には、トーチろう付け部においてクラッド層は侵食できるが、ろう材の供給量に対してクラッド層厚さが小さい為、トーチろう付け部以外の一般部(Rベンド部やUベンド部)の耐食性に劣る場合がある。なお、ワイヤーろう材は、所定成分に鋳造したものを400℃に加熱しビレットを通して丸棒状に押し出し成型し、これをダイスに通して抽伸し所定径の線材を作製する。
B−6.トーチろう付け
図1に示すように、一端を拡管した管材1の拡管部に、接合部にフラックスを塗布した管材2を挿入する。次いで、接合部にトーチろう材5を配置し、プロパン・エアー・トーチ等のトーチを用いたトーチろう付けによって両管材1、2をろう付け接合する。フラックスには、フッ化物系フラックス、セシウム系フラックスを用いることができる。このように、トーチろう付け方法は、一般的な方法を用いることができる。
トーチろう付けの条件は、600℃に到達してから3〜8秒保持される。ろう付け時の温度が600℃で3秒未満の場合には、トーチろう付け部に均一に熱がいきわたらないため、ろう材が犠牲材を完全に侵食できない。一方、8秒を超えるとろうの侵食が激しくなり円滑な接合面が形成できなくなり、ろう付け性が劣る。また、ろう付け温度が600℃未満であると、ろうの溶解が不十分でろう付けが不完全となる。従ってろう付け条件は、600℃に到達してから3〜8秒保持と規定した。
C.被覆層としてZn溶射層を用いた態様
次に、被覆層としてZn溶射層を用いた本発明の第二実施態様に係る各構成について以下に詳述するが、第一実施態様と異なる部分についてのみ説明する。
管材表面に溶射されたZnの孔食電位は、管材の孔食電位より卑なため、Zn溶射層は管材に対して犠牲防食層として作用し、管材自身の貫通寿命を長くする。しかしながら、トーチろう付け部においてZnが濃化した層を形成して優先腐食を発生させる。その結果、トーチろう付け部で早期に貫通漏れが発生する。これを防止すべく、本発明では、管材表面のZn溶射層のZn濃度を予め低濃度にする。具体的には、溶射されるZnの付着量を10.0〜18.0g/mとし、かつ、トーチろう付け前において、Zn溶射管材に400℃〜500℃の温度で1〜8時間の予備加熱処理を施すものである。
C−1.管材
図1に示す3がZn溶射層である以外は、第一実施態様と同じである。
C−2.芯材
第二実施態様の芯材成分も特に限定されるものではないが、溶射Zn層が犠牲防食のできる電位を示す合金、又はろう付け時に溶融しない合金が用いられる。具体的には、Al−Mn系合金が望ましい、ここで管材に大きな強度が要求されない場合にはJIS3003合金が用いられ、大きな強度が要求される場合にはCuの添加量が比較的多いJIS3105合金またはAl−1%Mn−0.5%Cu合金等が用いられる。
C−3.Zn溶射層
Zn付着量は、10.0〜18.0g/mとする。溶射したZnの付着量が10.0g/m未満の場合、溶射されるZnの付着量が少なく芯材表面全体を覆うことができずまばらとなる。その結果、溶射されたZnの犠牲防食効果が発揮できない。一方、18.0g/mを超えると、後の処理である予備加熱処理においてZnが拡散しても、Znが多く残存して依然としてZn濃化層が形成されている。その結果、接合部の優先腐食が防止できない。
Znが溶射された管材には、トーチろう付け前において400℃〜500℃の温度で1〜8時間の予備加熱処理が施される。管材の予備加熱温度が400℃未満の場合には、Znの拡散量が少なくZnを溶射した際とほぼ同じくZn濃化層が形成された状態である。その結果、トーチろう付け部での優先腐食を発生させてしまう。一方、加熱温度が500℃を超えると、Znの拡散が進行して表面のZn濃度は低濃度になりトーチろう付け部の優先腐食は軽減される。しかしながら、それ以外のRベンド部やUベンド部での犠牲防食能が劣るために早期に貫通に至る。
また、本発明においては予備加熱時間を1〜8時間とする。1時間未満ではZnの拡散が十分に進行せず、トーチろう付け部においてZn濃縮層が依然として形成されるため優先腐食を発生させてしまう。8時間を超える場合、Znの拡散が十分に進行して表面のZn濃度が低濃度になることで、トーチろう付け部の優先腐食は軽減できる。しかしながら、それ以外のRベンド部やUベンド部での犠牲防食能が劣るために早期に貫通に至ってしまう。
C−4.管材の作製
管材は以下のようにして作製する。管材としてJIS3003のビレットを作製し、これを加熱炉で350℃〜600℃に均熱した。次いで、ビレットをコンテナ内に挿入してダイスを通してビレットを押し出し中空管材を作製した。更に、Zn溶射ガンの中を通して所定付着量のZnを溶射する。次いで、400〜500℃で1〜8時間予備加熱処理を施す。このようにして、所定の外径と内径を有するZn溶射管を作製した。
C−5.トーチろう材
トーチろう材の成分は、Si11.0wt%〜13.0wt%、Zn1.0wt%〜2.0wt%のAl−Si−Zn合金が用いられる。Si含有量については、第一実施態様と同じである。Zn含有量については、1.0wt%未満の場合、Zn濃縮層とろう材部の電位差が大きくなるため、接合部においてZn濃化層の優先腐食が発生する。2.0wt%を超えると、ろう付け後形成されたろう材層中のZn含有量が多くなるため、ろう材層自身の腐食溶解量が多くなり、ろう材層が腐食溶解して接合部において貫通腐食を生じる。従ってトーチろう材に含有されるZn量を1.0wt%〜2.0wt%と規定した。
C−6.トーチろう付け
トーチろう付けの方法及び条件は、第一実施態様と同じである。なお、600℃に到達してからの保持時間が3秒未満の場合には、トーチろう付け部に均一に熱がいきわたらないため、ろう付けが不完全となる。
以下に、本発明例と比較例に基づいて本発明の実施の形態を具体的に説明する。
参考例No.1〜11及び参考比較例No.12〜20
まず、上記第一実施態様の例について説明する。
表1に、ワイヤーろう材の成分とワイヤー径、管材の犠牲材であるクラッド層の厚さとZn含有量、ならびに、ろう付け条件(温度と時間)を示す。
ワイヤーろう材は、所定成分に鋳造した後に、丸棒に押し出し、次いでダイスを通して抽伸を行い所定径の線材として作製した。
管材は以下のようにして作成した。芯材としてJIS3003の円筒を用い、その外面にAl−1%Zn合金の皮材スリーブを被せ、組み合わせビレットを作製した。次いで、組み合わせビレットを加熱炉で350℃〜600℃に均熱した。更に、組み合わせビレットをダイスとラムノーズ間に狭持してコンテナ内に挿入し、ダイスとラムノーズを固定した状態で芯材内径より大きな外径をもつマンドレルを圧入し、芯材の内径を拡管して芯材と皮材間の空気を追い出した。マンドレルを所定の位置に固定して、ホローシステムを前進させダイスを通して組み合わせビレットを押し出し、継ぎ目無しの中空管材を作製した。次いで、抽伸工程を経て外径φ8mm、内径φ7mmのクラッド管を2本作製した。これらの管を用い、実際の熱交換器の接合部分と同じように、管材1を拡管し、その拡管部分に管材2を挿入した。次いで、接合部分にフッ化物系フラックスを塗布し、ワイヤーろう材を用いてトーチろう付けを行い接合試験片を得た。
Figure 0005777662
上述のようにして作製した接合試験片を用いて以下の評価を行なった。
(1)ろう付け性評価
接合試験片の断面を切断し樹脂埋め研磨した後に10mm以上にわたって接合が存在していたものを○とし、5mm以上〜10mm未満のものを△、5mm未満を×とした。○と△を合格とし、×を不合格とした。
(2)腐食試験
接合部の腐食試験として、接合試験片の端部をマスキングテープ及び接着材にてマスキングした後に、JISH8601に準じるCASS試験を2000h行なった。試験後、腐食生成物を濃硝酸とリン酸−クロム酸混液で除去した後に、接合部及び非接合部の腐食深さを焦点深度法にて測定した。腐食深さが貫通していない場合を耐腐食性が良好とし、貫通腐食が生じたものを不良とした。
ろう付け性及び腐食試験の評価結果を、表1に示す。表1からわかるように、参考例No.1〜11では、ろう付け性が合格であり、接合部及び非接合部の耐食性も良好であった。
参考例10ではA/B<15となるため、接合部での耐食性が参考例1〜9に比べて若干劣っていた。また、参考例11ではA/B>30となるため、非接合部での犠牲防食効果が参考例1〜9に比べて若干劣っていた。
参考比較例12では、クラッド層のZn含有量が少なく、非接合部での犠牲防食効果が不良であった。また、参考比較例13では、クラッド層のZn含有量が多く、非接合部での犠牲防食効果が不良であった。
参考比較例No.14では、ろう材ワイヤーのSi含有量が本発明範囲未満のため、ろう材の液相線温度が下がるためトーチろう付け部のろう付け性が不合格であった。
参考比較例No.15では、ろう材ワイヤーのSi含有量が本発明範囲を超えるため、ろう材の液相線温度が下がるためトーチろう付け部のろう付け性が不合格であった。
参考比較例No.16では、ろう材ワイヤーのZn含有量が本発明未満のため、ろう材の固相線温度が高くなりクラッド層に対するろうの侵食が不十分となる。その結果、接合部にクラッド層が残存しクラッド層が優先腐食して接合部において貫通腐食が生じた。
参考比較例No.17では、ろう材ワイヤーのZn含有量が本発明を超えるため、接合部にクラッド層は残存していなかったが、ろう材の腐食量が多くなるため、接合部において貫通腐食が生じた。
参考比較例No.18では、ろう付け時間が600℃で3秒未満のため、接合部にクラッド層が残存し、腐食試験でその部分が優先腐食して接合部において貫通腐食が生じた。
参考比較例No.19では、ろう付け時間が600℃で8秒を超えるため、接合部において管材がろう材により過剰に侵食されてろう付け性が不合格であった。
参考比較例No.20では、ろう付け温度が600℃未満のため、ろうが十分に流動せずろう付け性が不合格であった。
本発明例No.21〜28及び比較例No.29〜41
次に、上記第二実施態様の例について説明する。
表2に、ワイヤーろう材の成分と、Zn溶射層におけるZn溶射量、Zn溶射管材の予備加熱条件、ならびに、ろう付け条件(温度と時間)を示す。
ワイヤーろう材は、所定成分に鋳造した後に、丸棒に押し出し、次いでダイスを通して抽伸を行い所定径の線材として作製した。
管材は以下のようにして作製した。管材としてJIS3003のビレットを作製し、これを加熱炉で350℃〜600℃に均熱した。次いで、ビレットをコンテナ内に挿入してダイスを通してビレットを押し出し中空管材を作製した。更に、Zn溶射ガンの中を通して表1に示す付着量のZn溶射管を作製した。このZn溶射管に、表1に示す加熱処理を施した。このようにして、外径φ8mm、内径φ7mmのZn溶射管を2本作製した。これらの管を用い、実際の熱交換器の接合部分と同じように、管材1を拡管し、その拡管部分に管材2を挿入した。次いで、接合部分にフッ化物系フラックスを塗布し、ワイヤーろう材を用いてトーチろう付けを行い接合試験片を得た。
Figure 0005777662
得られた接合試験片について、実施例1と同様にして、ろう付け性評価及び腐食試験を行い評価した。ろう付け性評価及び腐食試験の結果を、表2に示す。表2からわかるように、本発明例No.21〜28では、ろう付け性が合格であり、接合部及び非接合部の耐食性も良好であった。
比較例29ではZn溶射量が本発明範囲未満のため、非接合部で貫通腐食が生じた。比較例30ではZn溶射量が多いため、接合部で貫通腐食が生じた。
比較例31では、管材の予備加熱温度が低かったため、接合部で貫通腐食が生じた。比較例32では、管材の予備加熱温度が高かったため、非接合部で貫通腐食が生じた。
比較例33では、管材の予備加熱時間が短かったため、接合部で貫通腐食が生じた。比較例34では、管材の予備加熱時間が長かったため、非接合部で貫通腐食が生じた。
比較例No.35は、ろう材ワイヤーのSi量が本発明未満のため、ろう材の液相線温度が下がりトーチろう付け部のろう付け状況が不良であった。
比較例No.36は、ろう材ワイヤーのSi量が本発明を超えるため、ろう材の液相線温度が下がりトーチろう付け部のろう付け状況が不良であった。
比較例No.37は、ろう材ワイヤーのZn量が本発明未満のため、Zn濃縮層とろう材部の電位差が大きくなり優先腐食が発生して接合部において貫通が生じた。
比較例No.38は、ろう材ワイヤーのZn量が本発明を超えるため、ろう材中のZn量が多くなり腐食量が多くなり接合部において貫通が生じた。
比較例No.39では、ろう付け温度が本発明未満のため、ろう付け性が不良であった

比較例No.40では、ろう付け時間が本発明未満のため、トーチろう付け部のろう付け性が不良であった。
比較例No.41では、ろう付け時間が本発明を超えるため、トーチろう付け部のろう付けが不良であった。
このように本発明により、トーチろう付けによる接合部の良好な接合性と、接合部及びそれ以外の一般部における良好な耐食性が得られる。
1……管材
2……管材
3……クラッド層、Zn溶射層、犠牲陽極材
31……Al−Zn層
32……Al−Zn層
4……芯材
5……ろう材、トーチろう材
51……Zn濃化層
52……腐食したZn濃化層部分
6……チューブ
7……フィン
8……拡管用の治具

Claims (1)

  1. Al合金からなる芯材の外面にZn溶射層を設けた管材を2本用意し、一方の管材の端部を拡管し、当該拡管部に他方の管材を挿入してトーチろう付けによって接合部のみを加熱して両管材を接合する方法において、前記Zn溶射層におけるZn付着量が10.0〜18.0g/mであり、当該Zn溶射層は管材に対して犠牲防食層として作用し、トーチろう付け前において、Zn溶射層が形成された管材に400℃〜500℃の温度で1〜8時間の予備加熱処理が施され、トーチろう付けに用いるろう材が、Si11.0wt%〜13.0wt%、Zn1.0wt%〜2.0wt%で残部不回避不純物からなるAl合金であり、トーチろう付けが600℃に到達してから3〜8秒保持されることを特徴とする管材の接合方法。
JP2013127805A 2013-06-18 2013-06-18 管材の接合方法 Active JP5777662B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013127805A JP5777662B2 (ja) 2013-06-18 2013-06-18 管材の接合方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013127805A JP5777662B2 (ja) 2013-06-18 2013-06-18 管材の接合方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009071188A Division JP2010221256A (ja) 2009-03-24 2009-03-24 管材の接合方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013198938A JP2013198938A (ja) 2013-10-03
JP5777662B2 true JP5777662B2 (ja) 2015-09-09

Family

ID=49519581

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013127805A Active JP5777662B2 (ja) 2013-06-18 2013-06-18 管材の接合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5777662B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US1808562A (en) * 1928-05-14 1931-06-02 Air Reduction Sales Company Soldering iron or the like
US3612037A (en) * 1969-04-14 1971-10-12 Bernzomatic Corp Blowtorch burner attachment quick connect-disconnect device
JPS62238066A (ja) * 1986-04-08 1987-10-19 Nippon Light Metal Co Ltd アルミニウム材と鋼材の接合方法
JPH09108828A (ja) * 1995-10-19 1997-04-28 Omron Corp 接合方法及び装置
JPH09174233A (ja) * 1995-12-25 1997-07-08 Sky Alum Co Ltd アルミニウム管継手のろう付け法
JP2002361405A (ja) * 2000-09-25 2002-12-18 Showa Denko Kk 熱交換器の製造方法
JP2005079124A (ja) * 2003-08-29 2005-03-24 Fuji Electric Holdings Co Ltd はんだ付け装置
WO2005066570A1 (en) * 2004-01-09 2005-07-21 Showa Denko K.K. Heat exchanger, method for manufacturing the same, and heat exchanging tube

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013198938A (ja) 2013-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6072753B2 (ja) アルミニウム合金製熱交換器組立体および熱交換器の製造方法
JP6263574B2 (ja) ブレージングシート及びその製造方法並びにアルミニウム構造体のろう付方法
JP4611797B2 (ja) ろう付性に優れたラジエータチューブ用アルミニウム合金板材、及びそれを備えたラジエータチューブと熱交換器
JP5334086B2 (ja) 耐食性に優れたアルミニウム製熱交器およびその製造方法
JP2010221256A (ja) 管材の接合方法
JP5977640B2 (ja) アルミニウム管の接合体
JP6457271B2 (ja) Al合金管の接合体、ならびに、これを用いた熱交換器
JP2022533827A (ja) フラックスレスろう付け用途向けのアルミニウム合金、その製造方法、及びその使用
JP5731106B2 (ja) 管材の接合方法、ならびに、当該接合方法により接合した管材とフィン材とを接合した熱交換器
JP4541252B2 (ja) ラジエータチューブ用アルミニウム合金板材
US1193667A (en) Method of producing compound metal objects
JP5777662B2 (ja) 管材の接合方法
JP2006188756A (ja) 熱交換器用高耐食性チューブ及び熱交換器とその製造方法
JP6860968B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金チューブと熱交換器及びその製造方法
JP6226642B2 (ja) アルミニウム合金材料のろう付け方法及びろう付け構造体の製造方法
JP6968598B2 (ja) 耐食性に優れたアルミニウム合金製熱交換器の製造方法およびアルミニウム合金製熱交換器
JP6039218B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金扁平管の製造方法及び熱交換器コアの製造方法
JP5680880B2 (ja) ろう付接合済Al部材の製造方法
JP5877739B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金扁平管及びその製造方法並びに熱交換器コア及びその製造方法
JP2006205254A (ja) ろう付け性と耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材及びそれを備えた熱交換器
JP4290625B2 (ja) アルミニウム合金押出材を用いた熱交換器用ヘッダータンク及びそれを備えた熱交換器
JP6976041B2 (ja) 熱交換器
JP2002172485A (ja) 耐食性に優れるろう付け用アルミニウム押し出し多穴管
JP6204450B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金扁平管及びその製造方法並びに熱交換器コア及びその製造方法
JP6184804B2 (ja) アルミニウム合金材料のろう付け方法及びろう付け構造体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130628

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140411

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140526

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20141202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150227

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20150416

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150630

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150707

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5777662

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150