JP2010179322A - 粗圧延におけるスリップ防止方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱されたスラブ(被圧延材)を粗圧延するに際して、粗圧延機と被圧延材との間のスリップを的確に防止することができる粗圧延におけるスリップ防止方法を提供する。
【解決手段】粗圧延機1に粗バー7が噛み込む直前に、粗バー7の表面をエアースプレーノズル6でエアースプレーすることによって、粗バー7の表面の残留デスケーリング水を除去してから、粗バー7を粗圧延機1に噛み込むようにすることで、粗圧延機のワークロール3と粗バー7との間の摩擦係数の低減が抑止されて、粗圧延におけるスリップの発生を的確に防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼板の熱間圧延方法に関わり、特に加熱されたスラブを粗圧延する際に発生するスリップを防止する技術に関する。
薄鋼板の熱間圧延ラインでは、スラブは加熱炉から一本づつ抽出され、粗圧延機(粗圧延機列)で所定の厚さまで圧延され、更に連続的に配置された複数の仕上圧延機(仕上圧延機列)で逐次圧延された後、巻取機に巻取られてホットコイルとなる。粗圧延機では、仕上圧延機にシートバーを供給するためにスラブ厚さ(200〜300mm程度)からシートバー厚さ(20〜60mm程度)まで、4〜9パスの圧延で減厚される。
ここで、圧延前の鋼材(被圧延材)をスラブ、粗圧延機を通過した鋼材(被圧延材)をシートバーと呼ぶ。また、粗圧延過程にある鋼材(被圧延材)を粗バーと一般的には呼ばれているが、基本的には、板厚が異なるだけである。
加熱されたスラブは、粗圧延工程前にスケールブレーカーにより、加熱時に生成した一次スケールが除去される。その後、圧延中に生成する二次スケール(加熱−デスケーリングを経た後、熱間圧延中に生成するスケール)は、圧延機前の設置されたデスケーリング装置により高圧(15〜30MPa)の水(デスケーリング水)がスプレーされ除去される。粗圧延機入側でのデスケーリングは表面品質を良好にするために実施され、デスケーリングが不十分であると噛み込みスケール疵、ヘゲなどの問題が発生するため、デスケーリング装置は必須の設備になっている。
周知のように、薄鋼板の熱間圧延ラインにおける粗圧延機列は、通常3〜6の粗圧延機を備えている。この粗圧延機列の初段の粗圧延機をR1、それに続く粗圧延機を順次R2、R3・・・と一般には呼ばれている。生産量や、被圧延材の硬さ(変形抵抗)により、リバース圧延を実施したり、一方向に圧延される場合がある。R1粗圧延機は上下のワークロールから構成される2段圧延機(2Hi圧延機)であることが多いが、下流スタンドになるにしたがい、ワークロールの撓みを低減するバックアップロールを備えた4段圧延機(4Hi圧延機)である場合が多い。
そして、粗圧延機では、圧延が進行するにしたがい、ワークロールの表面に一般的には黒皮が生成される。黒皮の組成はFe4(マグネタイト)であることが知られており、高温での硬度が高いために、ロール摩耗を低減し、ロール面を保護する効果がある。
ただし、ワークロール表面の黒皮は上述のようにロール面を保護する効果があるが、その厚さが10μm以上になると、ロール面の粗さを低減し、ワークロールと被圧延材の摩擦係数が低下するために、圧延中に被圧延材が進行しないスリップ現象が発生することがある。軽度のスリップの場合には、噛み込み後、圧延中にワークロール速度が被圧延材速度よりも速くなり、被圧延材表面にスリップマークを発生しながら圧延が進行する場合や、圧延中に被圧延材が進行せず圧延中止になることがある。重度のスリップの場合には、ワークロールに被圧延材が噛み込まなくなり、圧延が中止になる場合もある。
このように、粗圧延機においてスリップ現象が発生すると、圧延不能になるため、被圧延材はスクラップ処理され、圧延能率の低下を余儀なくされる問題があった。
このような課題を解決するためのスリップ防止方法としては、特許文献1には、粗圧延機出側に設置した板速度計を用いて圧延中の被圧延材速度を測定し、これと圧延機のロール周速度から連続的に先進率を演算し、得られた実測先進率を安定圧延状態での基準先進率と比較して、先進偏差に対応して圧延速度を減少させ、更に先進率偏差が続く場合には圧下率を減少させる方法が提案されている。この方法によればスリップ危険域に達した場合でも大幅な圧延速度ダウンすることなく、操業が可能で、生産性と安定操業が可能であると記載されている。
また、特許文献2には、線材の圧延において、加熱後のデスケーリング水の圧力を調整することにより、二次スケール(加熱−デスケーリングを経た後、熱間圧延中に生成するスケール)生成に起因する圧延中のスリップを防止することが記載されている。この技術は線材のなかでも特殊なS、Pbを多く含有する快削鋼線材の熱間圧延に関する技術である。
特開平07−051716号公報 特開昭60−061114号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では以下の問題点がある。粗圧延でのロール当たりの圧延処理量が2万トンを越えたところで、ワークロール表面の黒皮が10μm程度に生成するために、ワークロールの粗さが低減し、被圧延材とワークロール間の摩擦係数が低下し、スリップが発生しやすくなる。これはワークロール研磨時の初期粗さが低下するとともに、研削目を埋めるように黒皮が生成するからである。そこで、スリップを防止する目的で粗圧延での圧下率を低減すると、シートバー厚が厚くなり、仕上圧延機のF1スタンドでスリップが発生するという新たな問題が生じる。また、粗圧延での圧下率を低減すると、被圧延材の表面での変形が優先的に発生し、反りが発生することがある。
また、特許文献2に記載の技術思想をスリップ防止に適用した場合、デスケーリング後の二次スケール厚さを制御することができても、粗圧延でのスリップは防止できない。粗圧延でのデスケーリングは圧延前に実施され、デスケーリング直後には被圧延材表裏面は復熱するので、その表面には二次スケールが生成する。この二次スケールはFeO(ウスタイト)であり、ロールバイト内での摩擦係数を低減する作用があるために、スリップを防止できない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、加熱されたスラブ(被圧延材)を粗圧延するに際して、粗圧延機と被圧延材との間のスリップを的確に防止することができる粗圧延におけるスリップ防止方法を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、粗圧延におけるスリップの発生に、デスケーリング水が大きく関与していることを突き止めた。すなわち、前述したように、粗圧延では粗バーの表面品質を良好にするために粗圧延機入側にデスケーリング装置がある。デスケーリングノズルは通常ライン進行方向と逆方向に向かって噴射するように設置されており、デスケーリング水はロールバイト内に導入されないようになっている。しかしながら、粗バーの表面状態によっては、デスケーリング水が粗バーの表面に残留してロールバイト内に導入することが判明し、この残留したデスケーリング水(残留デスケーリング水)が潤滑剤となり、粗圧延機と粗バーとの間の摩擦係数を低減させていることを知見した。
ちなみに、デスケーリング後に粗バーの表面にデスケーリング水が残留する理由は、一般的にデスケーリング時には完全にスケールは剥離せず、デスケーリング後の粗バー表面は凹凸状になっており、この凹み部にデスケーリング水が残留すると考えられる。凹み部では残留デスケーリング水と粗バーの界面は膜沸騰状態になっており、デスケーリング後にもデスケーリング水が容易に残留できると推定される。
そこで、本発明者らは、粗圧延機に粗バーが噛み込む直前に、粗バーの表面をエアースプレー(エアーパージ)することによって、粗バーの表面の残留デスケーリング水を除去してから、粗バーを粗圧延機に噛み込むようにすれば、粗圧延機と粗バーとの間の摩擦係数の低減が抑止されて、粗圧延におけるスリップの発生を的確に防止できるとの考えに至った。
本発明は、上記の考え方に基づいて、以下のような特徴を有している。
[1]加熱されたスラブを粗圧延機によりシートバーに圧延するに際して、被圧延材に圧延前のデスケーリングを施した後、被圧延材が粗圧延機に噛み込む直前に、被圧延材の表面をエアースプレーすることを特徴とする粗圧延におけるスリップ防止方法。
[2]エアースプレーのノズル内でのエアー圧力が0.3MPa以上1MPa以下であり、被圧延材に衝突するエアー流量が100L/ノズル/分以上330L/ノズル/分以下であることを特徴とする前記[1]に記載の粗圧延におけるスリップ防止方法。
本発明によれば、粗圧延機で発生するスリップを的確に防止することができ、安定した圧延が可能になり、飛躍的な生産性の向上が達成できる。
本発明の一実施形態を示す図である。 本発明の一実施形態が適用される熱間圧延ラインを示す図である。 本発明の一実施形態におけるスリップ防止メカニズムに関する実験方法と実験結果を示す図である。
前述したように、本発明は、粗圧延機に粗バーが噛み込む直前に、粗バーの表面をエアースプレーすることによって、粗バーの表面の残留デスケーリング水を除去してから、粗バーを粗圧延機に噛み込むようにすることで、粗圧延機と粗バーとの間の摩擦係数の低減が抑止されて、粗圧延におけるスリップの発生を的確に防止できるとの考え方に基づいている。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す図であり、図1(a)は任意の粗圧延機1の側面状況を示し、図1(b)はその粗圧延機1の入側状況を模式的に示す。
図1に示すように、粗圧延機1は、バックアップロール2(上バックアップロール2a、下バックアップロール2b)と、ワークロール3(上ワークロール3a、下ワークロール3b)と、ワークロール冷却ノズル4(上ワークロール冷却ノズル4a、下ワークロール冷却ノズル4b)と、ワークロール出側・入側ワーパー5(上ワークロール出側・入側ワーパー5a、下ワークロール出側・入側ワーパー5b)とを備えている。そして、粗圧延機1のロール群は、図示していないが、チョックによって固定され、ハウジングポストに挿入されて、スピンドルと減速機、モータなどが連結されている。さらに、粗圧延機1の入側には、高圧(15MPa〜30MPa)のデスケーリング水を噴射して粗バー7の表面の二次スケールを除去するデスケーリングノズル8(上デスケーリングノズル8a、下デスケーリングノズル8b)が配置されている。
その上で、この実施形態においては、粗圧延機1の入側に、粗バー7の表面をエアースプレーして粗バー7の表面の残留デスケーリング水を除去するためのエアースプレーノズル6(上エアースプレーノズル6a、下エアースプレーノズル6b)が設置されている。
ここで、粗圧延機1の入側に設置されたエアースプレーノズル6は、ロールバイト入口点上下を起点として、少なくとも、圧延進行方向と逆側の粗バー7表面をエアースプレーすることが肝要である。ロールバイト入口点から離れると、ロール伝い水、漏れ水および残留デスケーリング水がロールバイト内に導入される可能性がある。
また、エアースプレーノズル6のノズルタイプはフラットスプレーノズルであることが好ましい。フラットスプレーノズルであれば、エアーの広がりにより、ノズル数量を少なくでき、効率的に粗バー7表面の残留デスケーリング水等を除去可能である。
また、エアースプレーノズル6のノズル内でのエアー圧力が0.3MPa以上であることが好適であり、0.3MPa未満では、粗バー7表面のスケール間の残留デスケーリング水が十分除去できない。また、エアースプレーノズル6のノズル内でのエアー圧力が1MPaを超えると、そのエアー圧力で残留デスケーリング水等が粗バー7表面で舞い、ロールバイト内に導入されることがある。したがって、エアースプレーノズル6のノズル内でのエアー圧力を適切に制御する必要がある。
そして、ノズル型式が決まればエアー流量も決定されるが、エアー流量は、比較的大容量のものが好適である。粗バー7表面に残留する残留デスケーリング水等を十分に除去するために、エアー流量が100L/ノズル/分以上であることが好ましいが、330L/ノズル/分を超える場合には、ノズル間のエアーの干渉や、残留デスケーリング水等の飛散が著しくなり、粗バー7表面の残留デスケーリング水等が十分に除去できない。
次に、この実施形態が適用される熱間圧延ラインの一例を図2に示す。
図2に示すように、この熱間圧延ライン100は、粗圧延機群101(R1〜R3)と、仕上圧延機群102(F1〜F7)が設置されているとともに、図示していないが、スラブを所定の温度まで加熱する加熱炉と、幅サイジングを行う幅プレス装置と、加熱炉から抽出されたスラブ表面のスケールを除去するデスケーリング装置と、シートバーの先尾端クロップをカットする切断機と、仕上圧延機群出側に設置されたランアウトテーブルおよび巻取機等が設置されており、これによって、スラブからホットコイル(熱延鋼帯)が製造される。
そして、熱間圧延ライン100にこの実施形態を適用する際には、粗圧延機群101(R1〜R3)でスリップの発生が懸念される粗圧延機に、図1に示した粗圧延機1を用いる。
次に、この実施形態において、粗圧延でのスリップが防止されるメカニズム(スリップ防止メカニズム)について説明する。
図1に示すように、デスケーリングノズル8はライン進行方向と逆方向に向かって噴射するように設置されており、デスケーリング水は粗圧延機1のロールバイト内に導入されないようになっている。しかしながら、粗バー7の表面状態によっては、デスケーリング水が粗バー7の表面に残留してロールバイト内に導入することが判明し、この残留デスケーリング水が潤滑剤となり、粗圧延機1のワークロール3と粗バー7との間の摩擦係数を低減させている。
そこで、粗圧延機1に粗バー7が噛み込む直前に、粗バー7の表面をエアースプレーノズル6によってエアースプレーすることによって、粗バー7の表面の残留デスケーリング水等を除去してから、粗バー7を粗圧延機1に噛み込むようにすれば、粗圧延機と粗バーとの間の摩擦係数の低減が抑止されて、粗圧延におけるスリップの発生を的確に防止できる。
上記のスリップ防止メカニズム(粗バー7表面をエアースプレーすることによって摩擦係数の低減を抑止する)を確認するために以下のラボ実験を実施した。
図3(a)に、ラボ実験方法を模式的に示す。ラボ圧延機のロールバイト入側にデスケーリングノズル8a、8bおよびエアースプレーノズル6a、6bを設置し、加熱した被圧延材7の表面をデスケーリングノズル8a、8bでデスケーリングした後、被圧延材7の表面をエアースプレーノズル6a、6bでエアースプレーしてから圧延を行った。そして、その際に、圧延荷重を測定し、Orowanの圧延荷重式(例えば、鉄鋼協会編 圧延理論と実際)から摩擦係数を逆算した。
実験条件は以下の通りである。
被圧延材:低炭素鋼板 板厚20mm、板幅300mm
加熱温度:1000℃
ラボ圧延機:ロール直径300mm、ロール胴長400mm、ロール速度50m/分
圧下率:30%
デスケーリングノズル:水圧15MPa、水量300L/分
エアースプレーノズル:フラットノズル、スプレー幅300mm
エアー圧力0.05MPa〜1.6MPa
ラボ実験結果を図3(b)に示す。エアースプレーノズル8の圧力(エアーノズル圧力)が0.3MPa以上1MPa以下では摩擦係数は0.25以上となる。エアーノズル圧力が0.3MPaのときにエアー流量は100L/分であり、エアーノズル圧力1MPaのときには330L/分であった。エアーノズル圧力が0.3MPa未満の条件では、被圧延材7の表面の残留デスケーリング水が充分には除去できず、圧延中の摩擦係数を低下させる。一方、エアーノズル圧力が1.0MPaを超える場合には、エアースプレー中での残留デスケーリング水の飛散が激しく、ロールバイト内に残留デスケーリング水が巻き込まれ、摩擦係数が低下する。
このように、エアースプレーの好適な条件によって、被圧延材7の表面の残留デスケーリング水が充分に除去されて乾燥摩擦状態になり摩擦係数は大きくなる。なお、比較のためにデスケーリングをオフにして圧延を実施した場合の摩擦係数は0.31であった。
以上の結果から、この実施形態におけるスリップ防止メカニズム(被圧延材表面をエアースプレーすることによって摩擦係数の低減を抑止する)を確認することができた。
本発明を熱延鋼板の製造ラインに適用して、本発明の効果を確認した。
本発明を適用した熱間圧延ラインは図2に示した熱間圧延ライン100であり、以下の条件で圧延を行った。
(粗圧延条件)
粗圧延機列:R1〜R3(R1は2Hi圧延機、R2とR3は4Hi圧延機)
R3粗圧延機:ロール直径1000mm、バレル長2100mm
スラブ:低炭素鋼(C:0.02〜0.05wt%)
厚さ260mm、幅1040〜1300mm、長さ5〜11m、
重量13〜30トン
加熱温度:1100〜1200℃(加熱時間2〜4時間)
R1パス条件:3パスリバース圧延
R2パス条件:3パスリバース圧延
R3パス条件:1パス一方向圧延
粗圧延合計パス数:7パス
R3入側の粗バー板厚:40〜80mm
R3出側の粗バー板厚:30〜40mm
R3圧下率:20〜50%/1パス
デスケーリング装置:R1〜R3の各入側 水圧15〜30MPa
(仕上圧延条件)
仕上圧延機列:F1〜F7スタンド(4Hi圧延機)
F1〜F4スタンド:ワークロール直径800mm
F5〜F7スタンド:ワークロール直径680mm
仕上厚:1.2〜5mm
そして、スリップ現象はほぼR3粗圧延機で発生するので、ここでは、R3粗圧延機を対象にして、下記の本発明例、比較例、従来例を行って比較した。
その際、スリップは、ロール黒皮が生成し、かつロール摩耗が進行した圧延処理量2万トン程度以上で発生しやすいので、R3粗圧延機の処理量が2万トン(スラブ本数約600本)を越え、3万トンに至るまでの間で、スリップの発生を評価した。また、前述したように、スリップを低減しようとして粗圧延での圧下率を低減すると、反りやF1スタンドでのスリップが生じる可能性があるので、その反り発生やF1スタンドでのスリップ発生についても評価した。
すなわち、
(1)粗圧延機R3におけるスリップの発生率(R3スリップ発生率)
(2)粗圧延機R3の出側における反りの発生率(R3反り発生率)
(3)仕上圧延機F1でのスリップの発生率(F1スリップ発生率)
について評価を実施した。
ここで、(1)のR3スリップ発生率は軽度のスリップも含み、圧延中に粗バーの進行が遅れた場合もカウントしている。また、(2)のR3反り発生率は、粗圧延機R3での反り発生により仕上圧延が不能になった場合である。
なお、R3粗圧延機での圧延前には、水圧15MPaのデスケーリングにより、粗バーの二次スケールを除去した。
(本発明例)
本発明例では、図1に示した本発明の一実施形態をR3粗圧延機に適用した。エアースプレーノズル(フラットノズル)の幅は300mmで、粗バーとエアースプレーノズルと間の距離は300mmに固定した。エアースプレーノズルは上側8個、下側8個設置した。デスケーリング開始とともに、所定のエアー圧力(0.08MPa〜0.9MPa)で粗バー表面にエアースプレーした。また、デスケーリングの停止状態と同期してエアースプレーも停止した。
(比較例)
比較例では、エアースプレーを行わず、通常の粗圧延を行った。
(従来例1)
従来例1では、前記特許文献2の技術思想を基に、R3粗圧延機入側のデスケーリングの水圧を前述の15MPaから30MPaに増加して、二次スケールの除去量を多くした。
(従来例2)
従来例2では、前記特許文献1に記載の方法をR3粗圧延機に適用した。すなわち、R3粗圧延機の出側に板速度計を設置し、先進率fsを求め、スリップが発生しないようにロール速度、圧下率を制御した。
上記の本発明例、比較例および従来例について、エアー圧力、R3スリップ発生率、R3反り発生率、F1スリップ発生率を比較した結果を表1に示す。
Figure 2010179322
まず、本発明例(本発明例1〜5)では、R3スリップ発生率が低減するとともに、粗圧延機R3での反り、F1仕上圧延機でのスリップも防止できた。特に、本発明例3〜5の好適範囲の条件では、R3粗圧延機でのスリップは完全に防止された。
これに対して、従来例1では、R3スリップ発生率が比較例とほとんど変化なく、スリップ防止には効果がなかった。
また、従来例2では、R3粗圧延機での圧下率を低減したために、粗バーの板厚方向に均一な歪が付加されず反りが発生し、仕上圧延機にシートバーを供することができない場合が発生した。さらに、R3粗圧延機での圧下率を低減したために、シートバーの板厚が厚くなり、F1仕上圧延機でのスリップ発生し、圧延能率が大幅に低下した。
上記の結果から、本発明の有効性が確認された。
1 粗圧延機
2 バックアップロール
2a 上バックアップロール
2b 下バックアップロール
3 ワークロール
3a 上ワークロール
3b 下ワークロール
4 ロール冷却ノズル
4a 上ロール冷却ノズル
4b 下ロール冷却ノズル
5 ロールワイパー
5a 上ロールワイパー
5b 下ロールワイパー
6 エアースプレーノズル
6a 上エアースプレーノズル
6b 下エアースプレーノズル
7 粗バー
8 デスケーリングノズル
8a 上デスケーリングノズル
8b 下デスケーリングノズル
100 熱間圧延ライン
101 粗圧延機列
102 仕上圧延機列

Claims (2)

  1. 加熱されたスラブを粗圧延機によりシートバーに圧延するに際して、被圧延材に圧延前のデスケーリングを施した後、被圧延材が粗圧延機に噛み込む直前に、被圧延材の表面をエアースプレーすることを特徴とする粗圧延におけるスリップ防止方法。
  2. エアースプレーのノズル内でのエアー圧力が0.3MPa以上1MPa以下であり、被圧延材に衝突するエアー流量が100L/ノズル/分以上330L/ノズル/分以下であることを特徴とする請求項1に記載の粗圧延におけるスリップ防止方法。
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CN113305155A (zh) * 2021-04-22 2021-08-27 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 一种控制粗轧异物件压入的方法

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