JP2010177335A - 多層配線基板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面に形成された電極パターンの画像認識装置による誤認識を生じさせることなく、薄層化された絶縁層における誘電率の低下を抑制するとともに絶縁性が保持された多層配線基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、Alを主成分とし、Si、Mn、Mgおよび着色成分としてMoを含むアルミナ質焼結体からなる厚さ10〜90μmの絶縁層11a、11b、11c、11dを複数積層してなる絶縁基体11と、絶縁基体11の表面および内部に設けられた配線層12、13と、絶縁基体11の内部に設けられ、配線層12、13に接続された貫通導体14とを備えた多層配線基板において、複数の絶縁層11a、11b、11c、11dは、Moの含有量が0.1〜0.4質量%であり、かつ明度が40%〜46%である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルミナ質焼結体からなる複数の絶縁層が積層された絶縁基体を有する低誘電損失の多層配線基板およびその製造方法に関する。
アルミナ質焼結体を絶縁基体とし、その表面および内部にWやMoなどの高融点金属からなる配線層を形成した配線基板が知られているが、近年の演算速度の高速化により、このような配線基板では信号遅延の問題が生じてしまうことから、より低抵抗、低誘電損失の配線層が求められていた。
そこで、絶縁基体の形成材料として、アルミナを主成分とし、MnをMn換算で2〜15重量%、SiをSiO換算で2〜15重量%、Mg、Ca、Sr、B、Nb、Cr、Coの内から選ばれる1種以上を酸化物換算で0.1〜4重量%、さらに第4a族金属元素を酸化物換算で0.1重量%以下含有し、相対密度が95%以上であり、且つアルミナ結晶粒子の粒界相にMnAlおよびMnSiを含有してなるアルミナ質焼結体が提案されている(特許文献1を参照)。
上記のアルミナ質焼結体を絶縁基体の形成材料とすることで、1500℃以下の焼成温度により作製することが可能となり、配線層の形成材料として、Cu、Au、Agの群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属と、W、Moのうち少なくとも1種の高融点金属との複合導体を用いることができ、低抵抗、低誘電損失の配線層を得ることができる。
しかしながら、MnおよびSiを焼結助剤成分として含むアルミナ質焼結体は、アルミナ結晶の粒界にAl、MnおよびSiのうちの少なくとも2種を含む結晶が析出し、その組成によってはシミ(斑点模様)となって絶縁基体の表面に観察されるようになる。このことは、例えば配線基板の表面に形成された電極に電子部品を実装する際の画像認識装置による電極パターン認識時に誤認識を発生させる原因となる。
そこで、特許文献1では、W、Moなどの金属を着色剤として含んでもよいことが記載されており、この着色剤を所望の割合で含有させることによって、焼結体を黒色化してシミを見え難くし、誤認識を発生させないようにすることが提案されている。
特開2001−97767号公報
ところで、半導体装置は近年ますます小型化が求められており、それに伴って配線基板の薄型化、多層化の流れは加速してきている。
ここで、上述のような着色剤が含まれている絶縁層が厚み10〜90μm程度に薄層化されるようになると、誘電率が低下するとともに、絶縁性が低下して絶縁を保てなくなるおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、表面に形成された電極パターンの画像認識装置による誤認識を生じさせることなく、薄層化された絶縁層における誘電率の低下を抑制するとともに絶縁性が保持された多層配線基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、Alを主成分とし、Si、Mn、Mgおよび着色成分としてMoを含むアルミナ質焼結体からなる厚さ10〜90μmの絶縁層を複数積層してなる絶縁基体と、該絶縁基体の表面および内部に設けられた配線層と、前記絶縁基体の内部に設けられ、前記配線層に接続された貫通導体とを備えた多層配線基板において、前記複数の絶縁層は、Moの含有量が0.1〜0.4質量%であり、かつ明度が40%〜46%であることを特徴とするものである。
また本発明は、Al粉末を主成分とし、SiO粉末と、Mn粉末と、MgO粉末またはMgCO粉末とを含むとともに、着色成分としてMoO粉末を0.1〜0.4質量部含む、焼成後に10〜90μmの厚みとなるように調製されたセラミックグリーンシートを作製する工程と、該セラミックグリーンシートを湿度85〜95%の大気雰囲気下に0.5〜5時間保管する工程と、前記セラミックグリーンシートに貫通孔を形成し、該貫通孔に貫通導体用ペーストを充填するとともに、前記セラミックグリーンシートの表面に配線層用導体ペーストを塗布する工程と、前記セラミックグリーンシートを複数積層してセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、該セラミックグリーンシート積層体を非酸化性雰囲気で焼成する工程とを有することを特徴とする多層配線基板の製造方法である。
本発明によれば、SiおよびMnを焼結助剤成分として含むことによって形成される絶縁基体の表面のシミに対し、絶縁基体の明度を40〜46%として黒色化させたことから、表面に形成された電極パターンの画像認識装置による誤認識を生じさせることのない多層配線基板を得ることができる。また、着色成分であるMoの含有量を0.1〜0.4質量%として黒色化させたことから、絶縁層の厚みを10〜90μmと薄層化したのにもかかわらず、誘電率の低下を抑制するとともに絶縁性を保つことができる。
また、本発明の多層配線基板の製造方法によれば、セラミックグリーンシートを湿度85〜95%の大気雰囲気下に0.5〜5時間保管する工程を有することによって、焼結過程においてMoがより細かくセラミックグリーンシート中に拡散するようになり、着色成分であるMoの含有量が少なくても絶縁層をより黒色化させることができ、表面に形成された電極パターンの画像認識装置による誤認識を生じさせることのない多層配線基板を得ることができる。
本発明の多層配線基板の一実施形態の概略断面図である。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の多層配線基板の一実施形態の概略断面図である。
図1に示す多層配線基板1は、アルミナ質焼結体からなる絶縁基体11と、絶縁基体11の表面および内部に形成された低抵抗金属および高融点金属の複合導体からなる表面配線層12および内部配線層13と、表面配線層12と内部配線層13または異なる絶縁層間の内部配線層13同士を接続するための貫通導体14を備えている。
絶縁基体11は複数の絶縁層11a、11b、11c、11dが積層されてなるものである。ここで、絶縁層11a、11b、11c、11dは10〜90μmの厚みである。絶縁層11a、11b、11c、11dの厚みが10〜90μmと薄層化された際に、後述のMo含有量および明度であることが重要となるからである。
それぞれの絶縁層11a、11b、11c、11dはAl(α−Al)を主結晶とするアルミナ質焼結体で形成されている。アルミナ質焼結体におけるAlの割合は85〜95質量%であり、粒状または柱状の結晶として存在している。本発明においてAlの平均結晶粒径は特に限定されるものではないが、結晶粒径が大きくなるに従い熱伝導性が向上し、結晶粒径が小さくなるに従い強度が向上することから、高熱伝導性および高強度の両立という点から、Alの平均結晶粒径は1.0〜5.0μm、特に1.7〜2.5μmであることが望ましい。なお、Alが柱状の結晶である場合の平均結晶粒径は短軸径に基づいて求めることとする。
アルミナ質焼結体からなる絶縁基体11(絶縁層11a、11b、11c、11d)には、SiおよびMnが含まれていることが重要であり、Al85〜95質量%に対して酸化物換算(SiO換算、Mn換算)でそれぞれ2.5〜7.5質量%、SiとMnとを合わせて5〜15質量%含まれているのが好ましい。SiおよびMnは、Al粉末を主成分とするセラミックグリーンシートを1500℃以下の低温で焼成して、絶縁基体11(絶縁層11a、11b、11c、11d)が得られるようにするための焼結助剤成分として機能するものである。これらの成分は、アルミナ質焼結体において、Alの結晶粒界に非晶質あるいは結晶として存在する。結晶としては、例えばAl、MnおよびSiのうちの少なくとも2種を含む結晶、例えばMnAl、MnAlSi12、MnSiOなどが挙げられる。熱伝導性向上、強度向上、誘電損失低減および耐薬品性向上の点では、このような結晶が存在しているのが望ましい。ただし、これらの結晶はシミ(斑点模様)となって絶縁基体11の表面および内部に観察されるようになり、多層配線基板の表面に形成された電極(表面配線層12)に電子部品を実装する際の画像認識装置による電極パターン認識時に誤認識を発生させる原因となる。
また、アルミナ質焼結体からなる絶縁基体11(絶縁層11a、11b、11c、11d)には、Mgが含まれていることが重要である。Mgは、後述する複合導体との同時焼結性を高める成分として機能し、かつMoと関わって黒色化に寄与するものである。Mgは、酸化物換算(MgO換算)で0.1〜4.0質量%含まれているのが好ましい。
そして、複数の絶縁層11a、11b、11c、11dは、着色成分としてMoを含んでいることが重要であり、複数の絶縁層11a、11b、11c、11dにおけるMoの含有量が0.1〜0.4質量%であることが重要である。換言すれば、複数の絶縁層11a、11b、11c、11dにおけるMoからなる着色成分の含有量が極めて少量である。ここで、Moの含有量が0.1質量%未満であると、絶縁基体11の表面にシミが見えやすくなって画像認識装置による誤認識の原因となる。一方、Moの含有量が0.4質量%を超えると、誘電率の低下を抑制することができず、また絶縁性を保つことができなくなってしまうおそれがある。
なお、アルミナ質焼結体中におけるAlの質量はX線回折装置を用いてリートベルト解析により求めることができ、Moの含有量およびその他の成分の含有量はICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析装置を用いて測定することができる。
さらに、複数の絶縁層における明度が40%〜46%であることが重要である。ここで、明度が46%を超えると表面に形成された電極パターンの誤認識を生じさせてしまうおそれがあり、明度が40%未満であると明度としては特に問題ないが、このような明度になるにつれて、後述する製造方法においてセラミックグリーンシートに含まれる有機バインダに対して吸湿による水分子が水素結合により架橋し、セラミックグリーンシートの硬度が著しく上昇して積層密着性が失われ、デラミネーションが発生してしまうおそれがある。
絶縁基体1の表面および内部には、Cu、Au、Agの群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属と、WおよびMoの少なくともいずれか一方の高融点金属との複合導体からなる表面配線層12および内部配線層13が形成されている。Cu、Au、Agの群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属と、WおよびMoの少なくともいずれか一方の高融点金属との複合導体からなる配線層とすることで、低抵抗金属のみからなる配線層に比べると抵抗値は多少上がってしまうものの、後述する1200℃〜1500℃の焼成温度で、アルミナ質焼結体との同時焼成が可能となる。ただし、同時焼成可能といえども、低抵抗金属の融点を超える温度での焼成となるため、低抵抗金属の溶融を抑制して配線層の形態を保つことが必要となる。そこで、配線層の低抵抗化と保形性をともに達成する上で、低抵抗金属が10〜70体積%、特に40〜60体積%、高融点金属が30〜90体積%、特に40〜60体積%の割合からなることが望ましい。また、高融点金属は平均粒径が1〜10μmの粒子として、低抵抗金属からなるマトリックス中に分散していることが望ましい。なお、表面配線層12は、高融点金属および低抵抗金属の割合が内部配線層13と同じであっても異なっていてもよい。
また、貫通導体14は、表面配線層12および内部配線層13と同様の組成であってもよく、異なっていてもよい。例えば、表面配線層12および内部配線層13に比べて、断面積がかなり大きなものであることから、高融点金属のみからなるものであってもよい。
このような多層配線基板は、表面に形成された電極パターンの誤認識を生じさせることなく、薄層化された絶縁層における誘電率の低下を抑制するとともに絶縁性が保持されたものとなる。
次に、本発明の多層配線基板の製造方法について説明する。
まず、絶縁基体11を形成するためのセラミックグリーンシートを作製する。具体的には、Al粉末85〜95質量%、SiO粉末2.5〜7.5質量%、Mn粉末2.5〜7.5質量%、MgO粉末を0.1〜4.0質量%およびMoO粉末を0.1〜0.4質量%の割合で含む混合粉末を用意する。
Al粉末として、平均粒径が0.5〜2.5μm、特に1.0〜2.0μmのものを用いる。これは、平均粒径を0.5μm以上とすることでシート成形性を良好なものとし、2.5μm以下とすることで1500℃以下の温度での焼成によっても緻密化を促進させるためである。
また、SiO粉末として平均粒径が1〜3μmのものを用い、Mn粉末として平均粒径が0.7〜1.7μmのものを用いる。これらは、焼結助剤成分であって、1500℃以下の温度でセラミックグリーンシートを焼結させるためのものである。なお、SiおよびMnは、酸化物粉末以外に焼成によって酸化物を形成しうる炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩等として添加してもよい。
MgO粉末として、平均粒径が0.5〜2.0μmのものを用いる。MgO粉末は、配線層を形成する複合導体との同時焼結性を高めるために添加されるもので、さらに着色成分としてのMoと関わってアルミナ質焼結体の黒色化に寄与するものである。Mgは酸化物(MgO)換算で0.1〜4質量%となるように、例えばMgCO粉末として添加されてもよい。
MoO粉末として、平均粒径が0.5〜3.0μmのものを用いる。MoO粉末は、アルミナ質焼結体を黒色化するための着色成分であり、本発明においては着色成分の中でもMoO粉末を用いることが重要である。また、このMoO粉末は後述の非酸化性雰囲気下での焼成により、金属のMoとなる。MoO粉末の含有量が0.1質量%未満であると、絶縁基体11の表面にシミが見えやすくなって誤認識の原因となる。一方、MoO粉末の含有量が0.4質量%を超えると、誘電率の低下を抑制することができず、また絶縁性を保つことができなくなってしまうおそれがある。なお、絶縁層11a、11b、11c、11dにおけるMoの含有量とセラミックグリーンシートにおけるMoO粉末の含有量とはほぼ一致する。
また、セラミックグリーンシートにはその他の成分が含まれていてもよいが、例えばTiOやZrO等の周期表第4族元素化合物が存在するとアルミナ質焼結体の誘電損失が増大してしまうので、これらの元素含有量は酸化物換算で0.1質量%以下、特に0.05質量%以下であることが好ましい。
そして、この混合粉末に対して有機バインダ、溶媒を添加してスラリーを調整した後、これをプレス法、ドクターブレード法、圧延法、射出法などの成形方法によってセラミックグリーンシートを作製する。あるいは、混合粉末に有機バインダを添加し、プレス成形、圧延成形等の方法により所定の厚みのセラミックグリーンシートを作製する。なお、このとき作製されるセラミックグリーンシートは、焼成後に10〜90μmの厚みとなるように、12〜105μmの厚みで作製する。
次に、このセラミックグリーンシートを湿度85〜95%の大気雰囲気下に0.5〜5時間保管し、水分を吸湿させる。
本発明の多層配線基板を製造するうえで、水分を吸湿させたセラミックグリーンシートを用意することが重要である。水分を吸湿させたセラミックグリーンシートにおいては、セラミックグリーンシート中のMoの存在状態が変化し、これにより水分を吸湿させていないセラミックグリーンシートと比較して焼成後の明度が変化するものと考えられる。具体的には、水分の吸湿によりMoOおよびMgOがHOと反応して溶解し、Mo6+とMg2+とになり、MgMoO・5HOが析出する。このとき、MgO粉末にMo6+がくっつき、加湿なしの状態に比べてより細かく分散すると考えられる。その後、焼成過程ではHOが離脱し、MgOは非加湿時と同様に焼結していき、MoOはより細かく分散した状態を維持したままMoとなり、焼成後により黒く見えるようになると考えられる。そして、水分を吸湿させたセラミックグリーンシートの焼成後の状態(絶縁層)において、明度が40〜46%となる。
ここで、湿度85〜95%の大気雰囲気下に0.5〜5時間保管することが重要であり、湿度が85%未満の場合や吸湿時間が0.5時間未満の場合は、明度が46%を超えてしまう。また、湿度が95%を超える場合や吸湿時間が5時間を超える場合は、明度が40%未満となってしまう。明度が40%未満となることについては特に問題ないが、このような明度になるにつれて、セラミックグリーンシートに含まれる有機バインダに対して吸湿による水分子が水素結合により架橋し、セラミックグリーンシートの硬度が著しく上昇して積層密着性が失われ、デラミネーションが発生してしまうおそれがある。
次に、得られたセラミックグリーンシートに対して、マイクロドリル、レーザー等により直径が50〜250μmの貫通孔を形成する。
このようにして作製されたセラミックグリーンシートの表面に対して、Cu、Au、Agの群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属粉末と、W、Moのうちの少なくとも1種の高融点金属粉末とを前述した比率(低抵抗金属が10〜70体積%、高融点金属が30〜90体積%)で混合して配線層用導体ペーストを調製し、スクリーン印刷、グラビア印刷などの方法により配線パターン状に印刷塗布する。また、貫通導体用ペーストを各セラミックグリーンシートの貫通孔内に充填する。なお、これらのペースト中には、絶縁層との密着性を高めるために、上記の金属粉末以外にアルミナ粉末あるいは絶縁基体11と同一組成物の混合粉末を添加してもよく、さらにはNi等の活性金属あるいはそれらの酸化物を0.05〜2体積%の割合で添加してもよい。
その後、配線層用導体ペーストの印刷塗布や貫通孔に貫通導体用ペーストの充填されたセラミックグリーンシートを位置合わせして複数積層圧着した後、得られたセラミックグリーンシート積層体を非酸化性雰囲気中、最高温度が1200〜1500℃、特に1250〜1400℃の温度となる条件で焼成する。
このときの焼成温度が1200℃より低いと、通常の原料を用いた場合において、アルミナ質焼結体を相対密度95%以上まで緻密化させることができず、熱伝導性や強度が低いものとなってしまい、焼成温度が1500℃より高いと、WあるいはMo自体の焼結が進み、Cuの流動により均一組織を維持できなく、強いては低抵抗を維持することが困難となってしまう。また、アルミナ結晶の粒径が大きくなり異常粒成長が発生したり、Cu等の低抵抗金属がセラミックス中へ拡散するときのパスである粒界の長さが短くなるとともに拡散速度も速くなる結果、拡散距離が30μmを超えて大きくなり、微細配線化を阻害してしまう。
また、この焼成時の非酸化性雰囲気としては、窒素雰囲気あるいは窒素と水素との混合雰囲気であることが望ましい。特に、配線層中の低抵抗導体の拡散を抑制する上では、水素および窒素を含み露点が+30℃以下、特に+25℃以下の非酸化性雰囲気であることが望ましい。なお、この雰囲気には所望によりアルゴンガス等の不活性ガスが混入されてもよい。焼成時の露点が+30℃より高いと、焼成中に酸化物セラミックスと雰囲気中の水分とが反応し酸化膜を形成し、この酸化膜と低抵抗導体とが反応してしまい、導体の低抵抗化の妨げとなるのみでなく、低抵抗導体の拡散を助長してしまうためである。
以上述べた製造方法により作製された多層配線基板は、表面に形成された電極パターンの誤認識を生じさせることなく、薄層化された絶縁層における誘電率の低下を抑制するとともに絶縁性が保持されたものとなる。
純度が99%で平均粒子径が1.8μmのAl粉末に対して、純度が99%で平均粒子径が1.0μmのSiO粉末、純度が99%で平均粒子径が1.5μmのMn粉末、純度が99.9%で平均粒子径が0.7μmのMgO粉末、純度が99.9%で平均粒子径が1.2μmのMoO粉末を表1に示すような割合で混合した後、さらに、有機バインダとしてアクリル系バインダと、有機溶媒としてトルエンを混合してスラリーを調製した後、ドクターブレード法にてそれぞれ焼成後の厚みが10μmまたは90μmとなるように、グリーンシートの状態では12μmまたは105μmのシート状に成形し、セラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートのうち複数枚を温度25℃、表1に示す湿度に調整した恒温恒湿槽に入れ、表1に示す所定時間放置し、吸湿させた。
吸湿させたセラミックグリーンシートに対してレーザー加工によって打抜き加工を施し、直径が200μmの貫通孔を形成した。
そして、純度99.9%、平均粒子径1.2μmのMo粉末95質量%と純度99.9%、平均粒子径1.8μmのAl粉末5質量%とを混合した粉末に対し、アクリル系バインダとアセトンを溶媒として混合し、貫通導体用ペーストを調製し、この貫通導体用ペーストをスクリーン印刷法によって上記のセラミックグリーンシートの貫通孔内に充填した。
次に、純度99%、平均粒子径1.2μmのCu粉末35質量%と純度99.9%、平均粒子径1.2μmのW粉末65質量%とを混合した粉末に対し、アクリル系バインダとアセトンを溶媒として混合し、配線層用導体ペーストを調製した。そして、貫通孔内に貫通導体用ペーストを充填したセラミックグリーンシートに対してスクリーン印刷法によってシグナル配線パターンおよびグランド配線パターンに印刷塗布した。
得られたセラミックグリーンシートを5層積層してセラミックグリーンシート積層体を作製した。露点+25℃の窒素水素混合雰囲気にて脱脂を行なった後、引き続き、1000℃から焼成温度の1350℃までを50℃/時間の昇温速度で昇温し、焼成温度にて露点+25℃の窒素水素混合雰囲気にて1時間保持した後、1000℃までを100℃/時間の降温速度で冷却した。
このようにして得られた多層配線基板において、色彩色差計(コニカミノルタ社製、CR−300)により明度を測定した。その結果を表1に示す。
また、各絶縁層の層厚みは、多層配線基板を切断し、断面を走査型電子顕微鏡にて観察し、各絶縁層間の距離を測定した。その結果を表1に示す。
また、比誘電率は空洞共振器法を用いて測定した。その結果を表1に示す。
また、得られた多層配線基板を内層断面が露出するように切断し、デラミネーションの発生の有無を確認した。1枚の基板につき10箇所、10枚の基板について計100箇所確認を行い、デラミネーションが発生していないものを良品とした。その結果を表1に示す。
なお、焼成後の絶縁基体において、Alが含まれることはX線回折装置にて確認し、Si、Mn、MgおよびMoが含まれること、およびMoの含有量はICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析装置にて確認した。
Figure 2010177335
表1から明らかなように、本発明の多層配線基板(試料No.2〜4、6、8〜10、12、13、16〜18)では、明度が40〜44%で、比誘電率が9.4以下と低く、デラミネーションによる不良のないものであった。
これに対し、セラミックグリーンシートにおけるMoO粉末の含有量が0.4質量%を超える試料No.1および試料No.15では、比誘電率が9.4を超えて高い値を示すようになった。
また、湿度が85%未満である試料No.5および試料No.7では、明度が46%を超え、十分な黒色化が得られなかった。
また、加湿時間が5時間を超える試料No.11および試料No.14では、明度が40%未満となり、デラミネーションの判定において不良が発生した。
なお、加湿させていない試料No.19および試料No.20を別途用意したが、これらの試料では、明度が極めて高い値となった。
また、絶縁性については、スクリーン印刷時に形成した10mm×10mmの対向電極間の絶縁抵抗を評価し、本発明範囲内の試料が問題ないことを確認した。
11:絶縁基体
12:内部配線層
13:表面配線層
14:貫通導体

Claims (2)

  1. Alを主成分とし、Si、Mn、Mgおよび着色成分としてMoを含むアルミナ質焼結体からなる厚さ10〜90μmの絶縁層を複数積層してなる絶縁基体と、該絶縁基体の表面および内部に設けられた配線層と、前記絶縁基体の内部に設けられ、前記配線層に接続された貫通導体とを備えた多層配線基板において、
    前記複数の絶縁層は、Moの含有量が0.1〜0.4質量%であり、かつ明度が40%〜46%であることを特徴とする多層配線基板。
  2. Al粉末を主成分とし、SiO粉末と、Mn粉末と、MgO粉末またはMgCO粉末とを含むとともに、着色成分としてMoO粉末を0.1〜0.4質量部含む、焼成後に10〜90μmの厚みとなるように調製されたセラミックグリーンシートを作製する工程と、
    該セラミックグリーンシートを湿度85〜95%の大気雰囲気下に0.5〜5時間保管する工程と、
    前記セラミックグリーンシートに貫通孔を形成し、該貫通孔に貫通導体用ペーストを充填するとともに、前記セラミックグリーンシートの表面に配線層用導体ペーストを塗布する工程と、
    前記セラミックグリーンシートを複数積層してセラミックグリーンシート積層体を作製する工程と、
    該セラミックグリーンシート積層体を非酸化性雰囲気で焼成する工程と
    を有することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013115222A (ja) * 2011-11-29 2013-06-10 Kyocera Corp 配線基板
JP2015151325A (ja) * 2014-02-18 2015-08-24 京セラ株式会社 セラミック焼結体およびたパッケージ
WO2016148217A1 (ja) * 2015-03-17 2016-09-22 日本碍子株式会社 配線基板

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