JP2010173450A - ブレーキ倍力装置の制御装置 - Google Patents

ブレーキ倍力装置の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ブレーキペダルの動きに対するブレーキペダル反力の動きのずれを抑制し、ドライバに与える違和感を軽減できるブレーキ倍力装置の制御装置を提供する。
【解決手段】 マスタシリンダ圧制御装置8は、ブレーキペダルBPの反力があらかじめ設定した目標反力特性に近づくように、インプットロッド6のストローク速度ΔXiが高いほど、プライマリピストン2bに付与するアシスト推力を増加補正するアシスト推力補正手段を備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ブレーキ倍力装置の制御装置に関する。
特許文献1に記載のブレーキ倍力装置では、ブレーキペダルと一体に進退移動するインプットロッドのストロークに応じて目標ピストンストロークを算出し、ピストンストロークが目標ピストンストロークとなるように倍力装置のアクチュエータを駆動し、ピストンに推力を付与している。
特開2007−112426号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、ドライバがブレーキを踏み込んでペダルを保持したとき、アクチュエータの応答遅れによりペダル操作に対してマスタシリンダ圧が遅れて立ち上がるため、ドライバがペダルを保持した状態でブレーキペダル反力が大きくなる現象が発生する。すなわち、所望のブレーキペダル反力特性と実際の反力特性とにずれが生じるため、ドライバに違和感を与えるという問題があった。
本発明の目的は、ブレーキペダルの動きに対するブレーキペダル反力の動きのずれを抑制し、ドライバに与える違和感を軽減できるブレーキ倍力装置の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明では、ブレーキペダルの反力があらかじめ設定した目標反力特性に近づくように、ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材の移動速度が高いほど、アシスト部材に付与するアシスト推力を増加補正する。
よって、本発明にあっては、ブレーキペダルの操作速度が高いほど、入力部材の移動に応じたマスタシリンダ圧を増加させるため、ブレーキペダルの動きに対するブレーキペダル反力の動きのずれを抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
実施例1のブレーキ装置1の全体構成図である。 実施例1のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。 実施例1のマスタシリンダ圧制御装置8で実行されるアシストストローク算出処理の流れを示すフローチャートである。 電動モータ50の応答遅れに伴うインプットロッドストロークXiに対するインプットロッド入力Fiの遅れを示す図である。 実施例1のアシストストローク補正作用を示す図である。 実施例2のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。 実施例2のマスタシリンダ圧制御装置8で実行されるアシストストローク算出処理の流れを示すフローチャートである。 インプットロッドストロークXiとインプットロッド入力Fiとの関係を示す図である。 実施例2のアシストストローク補正作用を示す図である。 実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。 実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8で実行されるアシストストローク算出処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3のアシストストローク補正作用を示す図である。
以下、本発明のブレーキ倍力装置の制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1のブレーキ装置1の全体構成図であり、実施例1のブレーキ装置1は、電動モータとエンジンとを動力源とするハイブリッド車両に搭載している。
ブレーキ装置1は、マスタシリンダ2と、リザーバタンクRESと、各車輪に設けたホイルシリンダ4a〜4dと、マスタシリンダ2に接続して設けたマスタシリンダ圧制御機構(ブレーキ倍力装置)5およびインプットロッド(入力部材)6と、ブレーキ操作量検出装置(入力部材移動量検出手段)7と、マスタシリンダ圧制御機構5を制御するマスタシリンダ圧制御装置8とを有する。
インプットロッド6は、ブレーキペダルBPと共にストローク(進退)し、マスタシリンダ2内の液圧(以下、マスタシリンダ圧Pmc)を加減する。マスタシリンダ圧制御機構5およびマスタシリンダ圧制御装置8は、マスタシリンダ2のプライマリピストン(アシスト部材)2bをストロークさせ、マスタシリンダ圧Pmcを加減する。
以下、説明のため、マスタシリンダ2の軸方向にx軸を設定し、ブレーキペダルBPの側を負方向と定義する。実施例1のマスタシリンダ2は、いわゆるタンデム型であり、マスタシリンダ2a内にプライマリピストン2bおよびセカンダリピストン2cを有している。マスタシリンダ2aの内周面と、プライマリピストン2bのx軸正方向側の面およびセカンダリピストン2cのx軸負方向側の面との間で、第1液圧室としてのプライマリ液圧室2dを形成している。マスタシリンダ2aの内周面とセカンダリピストン2cのx軸正方向側の面との間で、第2液圧室としてのセカンダリ液室2eを形成している。
プライマリ液圧室2dはプライマリ回路10と連通可能に接続し、セカンダリ液室2eはセカンダリ回路20と連通可能に接続している。プライマリ液圧室2dの容積は、プライマリピストン2bおよびセカンダリピストン2cがマスタシリンダ2a内をストロークすることで変化する。プライマリ液圧室2dには、プライマリピストン2bをx軸負方向側に付勢する戻しバネ2fを設置している。セカンダリ液室2eの容積は、セカンダリピストン2cがマスタシリンダ2a内をストロークすることで変化する。セカンダリ液室2eには、セカンダリピストン2cをx軸負方向側に付勢する戻しバネ2gを設置している。
プライマリ回路10にはプライマリ液圧センサ(マスタシリンダ圧検出手段)13、セカンダリ回路20にはセカンダリ液圧センサ(マスタシリンダ圧検出手段)14を設け、プライマリ液圧センサ13はプライマリ液圧室2dの液圧を、セカンダリ液圧センサ14はセカンダリ液室2eの液圧を検出し、この液圧情報をマスタシリンダ圧制御装置8に送信している。
インプットロッド6のx軸正方向側の一端6aは、プライマリピストン2bの隔壁2hを貫通し、プライマリ液圧室2d内に接地している。インプットロッド6の一端6aとプライマリピストン2bの隔壁2hとの間はシールしており、液密性を確保すると共に、一端6aは隔壁2hに対してx軸方向に摺動可能に設けている。一方、インプットロッド6のx軸負方向側の他端6bは、ブレーキペダルBPに連結している。ドライバがブレーキペダルBPを踏むと、インプットロッド6はx軸正方向側に移動し、ドライバがブレーキペダルBPを戻すとインプットロッド6はx軸負方向側に移動する。
またインプットロッド6には、プライマリピストン2bの隔壁2hの内周よりも大径、かつ、フランジ部6cの外径よりも小径の大径部6fを形成している。この大径部6fのx軸正方向側端面と隔壁2hのx軸負方向側端面との間には、ブレーキ非作動時においてギャップL1を設けている。このギャップL1により、ハイブリッド車両や電気自動車等で摩擦ブレーキと回生ブレーキとによる回生協調ブレーキ制御を行う場合には、プライマリピストン2bをインプットロッド6に対してx軸負方向に相対移動することで、回生ブレーキ力分だけ液圧ブレーキを減圧することが可能である。またギャップL1により、インプットロッド6が、プライマリピストン2bに対してx軸正方向にギャップL1分相対変位すると、この大径部6fのx軸正方向の面と隔壁2hとが当接して、インプットロッド6とプライマリピストン2bとが一体に移動することが可能である。
インプットロッド6またはプライマリピストン2bがx軸正方向側へ移動することによってプライマリ液圧室2dの作動液を加圧し、加圧した作動液をプライマリ回路10に供給する。また、加圧した作動液によるプライマリ液圧室2dの圧力により、セカンダリピストン2cがx軸正方向側へ移動する。セカンダリピストン2cがx軸正方向側へ移動することによってセカンダリ液室2eの作動液を加圧し、加圧した作動液をセカンダリ回路20に供給する。
上記のように、インプットロッド6がブレーキペダルBPと連動して移動し、プライマリ液圧室2dを加圧する構成により、万が一、故障によりマスタシリンダ圧制御機構5の駆動モータ(倍力アクチュエータ)50が停止した場合にも、ドライバのブレーキ操作によってマスタシリンダ圧Pmcを上昇させ、所定のブレーキ力を確保できる。また、マスタシリンダ圧Pmcに応じた力がインプットロッド6を介してブレーキペダルBPに作用し、ブレーキペダル反力としてドライバに伝達するため、上記構成を採らない場合に必要な、ブレーキペダル反力を生成するバネ等の装置が不要となる。よって、ブレーキ倍力装置の小型化・軽量化を図ることができ、車両への搭載性が向上する。
ブレーキ操作量検出装置7は、ドライバの要求ブレーキ力を検出するためのもので、インプットロッド6の他端6b側に設けている。ブレーキ操作量検出装置7は、インプットロッド6のx軸方向変位量(ストローク)を検出するストロークセンサ、すなわち、ブレーキペダルBPのストロークセンサである。
リザーバタンクRESは、隔壁(不図示)によって互いに仕切られた少なくとも2つの液室を有している。各液室はそれぞれブレーキ回路11,21を介して、マスタシリンダ2のプライマリ液圧室2dおよびセカンダリ液室2eと連通可能に接続している。
ホイルシリンダ4a〜4dは、シリンダ、ピストン、パッド等を有しており、マスタシリンダ2aが供給した作動液によって上記ピストンが移動し、このピストンに連結したパッドをディスクロータ40a〜40dに押圧するものである。なお、ディスクロータ40a〜40dは各車輪と一体回転し、ディスクロータ40a〜40dに作用するブレーキトルクは、各車輪と路面との間に作用するブレーキ力となる。
マスタシリンダ圧制御機構5は、プライマリピストン2bの変位量すなわちマスタシリンダ圧Pmcを、マスタシリンダ圧制御装置8の制御指令に従って制御するものであり、駆動モータ50と、減速装置51と、回転−並進変換装置55と、を有している。
マスタシリンダ圧制御装置8は演算処理回路であり、ブレーキ操作量検出装置7や駆動モータ50からのセンサ信号等に基づいて、駆動モータ50の作動を制御する。
続いて、マスタシリンダ圧制御機構5の構成および動作について説明する。
駆動モータ50は三相DCブラシレスモータであり、マスタシリンダ圧制御装置8の制御指令に基づき供給する電力によって動作し、所望の回転トルクを発生する。
減速装置51は、駆動モータ50の出力回転をプーリ減速方式により減速する。減速装置51は、駆動モータ50の出力軸に設けた小径の駆動側プーリ52と、回転−並進変換装置55のボールネジナット56に設けた大径の従動側プーリ53と、駆動側および従動側プーリ52,53に巻き掛けたベルト54とを有している。減速装置51は、駆動モータ50の回転トルクを、減速比(駆動側および従動側プーリ52,53の半径比)分だけ増幅し、回転−並進変換装置55に伝達する。
回転−並進変換装置55は、駆動モータ50の回転動力を並進動力に変換し、この並進動力によりプライマリピストン2bを押圧する。本実施例1では、動力変換機構としてボールネジ方式を採用しており、回転−並進変換装置55は、ボールネジナット56と、ボールネジ軸57と、可動部材58と、戻しバネ59とを有している。あ
マスタシリンダ2のx軸負方向側には第1ハウジング部材HSG1を接続し、第1ハウジング部材HSG1のx軸負方向側には第2ハウジング部材HSG2を接続している。ボールネジナット56は、第2ハウジング部材HSG2内に設けられたベアリングBRGの内周に、軸回転可能に設置している。ボールネジナット56のx軸負方向側の外周には、従動側プーリ53を嵌合している。ボールネジナット56の内周には、中空のボールネジ軸57が螺合している。ボールネジナット56とボールネジ軸57との間の隙間には、複数のボールを回転移動可能に設置している。
ボールネジ軸57のx軸正方向側の端には可動部材58を一体に設け、この可動部材58のx軸正方向側の面にはプライマリピストン2bが接合している。プライマリピストン2bは第1ハウジング部材HSG1内に収容し、プライマリピストン2bのx軸正方向側の端は第1ハウジング部材HSG1から突出してマスタシリンダ2の内周に嵌合している。
第1ハウジング部材HSG1内であって、プライマリピストン2bの外周に戻しバネ59を設置している。戻しバネ59は、x軸正方向側の端を第1ハウジング部材HSG1内部のx軸正方向側の面Aに固定する一方、x軸負方向側の端を可動部材58に係合している。戻しバネ59は、面Aと可動部材58との間でx軸方向に押し縮めて設置しており、可動部材58およびボールネジ軸57をx軸負方向側に付勢している。
従動側プーリ53が回転するとボールネジナット56が一体に回転し、このボールネジナット56の回転運動により、ボールネジ軸57がx軸方向に並進運動する。x軸正方向側へのボールネジ軸57の並進運動の推力により、可動部材58を介してプライマリピストン2bをx軸正方向側に押圧する。なお、図1では、ブレーキ非操作時にボールネジ軸57がx軸負方向側に最大変位した初期位置にある状態を示す。
一方、ボールネジ軸57には、上記x軸正方向側への推力と反対方向(x軸負方向側)に、戻しバネ59の弾性力が作用する。これによりブレーキ中、すなわちプライマリピストン2bをx軸正方向側に押圧してマスタシリンダ圧Pmcを加圧している状態で、万が一、故障により駆動モータ50が停止し、ボールネジ軸57の戻し制御が不能となった場合でも、戻しバネ59の反力によりボールネジ軸27が初期位置に戻る。これによりマスタシリンダ圧Pmcがゼロ付近まで低下するため、ブレーキ力の引きずりの発生を防止し、この引きずりに起因して車両挙動が不安定になる事態を回避することができる。
また、インプットロッド6とプライマリピストン2bとの間に画成した環状空間Bには、一対のバネ(付勢手段)6d,6eを配設している。一対のバネ6d,6eは、その各一端をインプットロッド6に設けたフランジ部6cに係止し、バネ6dの他端をプライマリピストン2bの隔壁2hに係止し、バネ6eの他端を可動部材58に係止している。これら一対のバネ6d,6eは、プライマリピストン2bに対してインプットロッド6を両者の相対変位の中立位置に向けて付勢し、ブレーキ非作動時にインプットロッド6とプライマリピストン2bとを相対移動の中立位置に保持する機能を有している。これら一つのバネ6d,6eにより、インプットロッド6とプライマリピストン2bとが中立位置からいずれかの方向に相対変位したとき、プライマリピストン2bに対してインプットロッド6を中立位置に戻す付勢力が作用する。
なお、駆動モータ50には、例えば、レゾルバ等の回転角検出センサ(アシスト部材移動量検出手段)50aを設けており、これにより検出したモータ出力軸の位置信号をマスタシリンダ圧制御装置8に入力する。マスタシリンダ圧制御装置8は、入力した位置信号に基づき駆動モータ50の回転角を算出し、この回転角に基づき回転−並進変換装置25の推進量、すなわちプライマリピストン2bのx軸方向変位量を算出する。
次に、マスタシリンダ圧制御機構5とマスタシリンダ圧制御装置8による、インプットロッド6の推力の増幅作用について説明する。実施例1では、マスタシリンダ圧制御装置8は駆動モータ50によりインプットロッド6の変位に応じたプライマリピストン2bの変位、すなわちインプットロッド6とプライマリピストン2bの相対変位を制御している。
マスタシリンダ圧制御機構5およびマスタシリンダ圧制御装置8は、ドライバのブレーキ操作によるインプットロッド6の変位量に応じて、プライマリピストン2bを変位させる。これにより、プライマリ液圧室2dを、インプットロッド6の推力に加えてプライマリピストン2bの推力によって加圧し、マスタシリンダ圧Pmcを調整する。すなわち、インプットロッド6の推力を増幅する。増幅比(以下、倍力比α)は、プライマリ液圧室2dにおけるインプットロッド6とプライマリピストン2bの軸直方向断面積(以下、それぞれ受圧面積AIRおよびAPP)の比等により、以下のように決定される。
マスタシリンダ圧Pmcの液圧調整を、下記の式(1)で示される圧力平衡関係をもって行う。
Pmc=(FIR+K×△x)/AIR=(FPP−K×△x)/APP …(1)
ここで、圧力平衡式(1)における各要素は、以下のとおりである。
Pmc:プライマリ液圧室2dの液圧(マスタシリンダ圧)
FIR:インプットロッド6の推力
FPP:プライマリピストン2bの推力
AIR:インプットロッド6の受圧面積
APP:プライマリピストン2bの受圧面積
K:バネ6d,6eのバネ定数
Δx:インプットロッド6とプライマリピストン2bとの相対変位量
なお、実施例1では、インプットロッド6の受圧面積AIRを、プライマリピストン2bの受圧面積APPよりも小さく設定している。
ここで相対変位量Δxは、インプットロッド6の変位(インプットロッドストローク)をXi、プライマリピストン2bの変位(ピストンストローク)をXbとして、Δx=Xb−Xiと定義する。よって、Δxは、相対移動の中立位置では0、インプットロッド6に対してプライマリピストン2bが前進(x軸正方向側へストローク)する方向では正符号、その逆方向では負符号となる。なお、圧力平衡式(1)ではシールの摺動抵抗を無視している。プライマリピストン2bの推力FPPは、駆動モータ50の電流値から推定できる。
一方、倍力比αを、下記の式(2)のように表すことができる。
α=Pmc×(APP+AIR)/FIR …(2)
よって、式(2)に上記式(1)のPmcを代入すると、倍力比αは下記の式(3)のようになる。
α=(1+K×Δx/FIR)×(AIR+APP)/AIR …(3)
倍力制御では、目標のマスタシリンダ圧特性が得られるように、駆動モータ50(ピストンストロークXb)を制御する。ここでマスタシリンダ圧特性とは、インプットロッドストロークXiに対するマスタシリンダ圧Pmcの変化の特性を指す。インプットロッドストロークXiに対するピストンストロークXbを示すストローク特性と、上記目標マスタシリンダ圧特性とに対応して、インプットロッドストロークXiに対する相対変位量Δxの変化を示す目標変位量算出特性を得ることができる。検証により得られた目標変位量算出特性データに基づき、相対変位量Δxの目標値(以下、目標変位量Δx*)を算出する。
すなわち、目標変位量算出特性は、インプットロッドストロークXiに対する目標変位量Δx*の変化の特性を示し、インプットロッドストロークXiに対応して1つの目標変位量Δx*が定まる。検出したインプットロッドストロークXiに対応して決定される目標変位量Δx*を実現するように駆動モータ50の回転(プライマリピストン2bの変位量Xb)を制御すると、目標変位量Δx*に対応する大きさのマスタシリンダ圧Pmcがマスタシリンダ2で発生する。
ここで、上記のようにインプットロッドストロークXiをブレーキ操作量検出装置7により検出し、ピストンストロークXbを回転角検出センサ50aの信号に基づき算出し、相対変位量Δxを上記検出(算出)した変位量の差により求めることができる。倍力制御では、具体的には、上記検出した変位量Xiと目標変位量算出特性とに基づいて目標変位量Δx*を設定し、上記検出(算出)された相対変位量Δxが目標変位量Δx*と一致するように駆動モータ50を制御(フィードバック制御)する。なお、ピストンストロークXbを検出するストロークセンサを別途設けることとしてもよい。
実施例1では、踏力センサを用いることなく倍力制御を行うため、その分だけコストを低減できる。また、相対変位量Δxが任意の所定値となるように駆動モータ50を制御することにより、受圧面積比(AIR+APP)/AIRで定まる倍力比よりも大きな倍力比や小さな倍力比を得ることができ、所望の倍力比に基づく制動力を得ることができる。
一定倍力制御は、インプットロッド6およびプライマリピストン2bを一体的に変位する、すなわち、インプットロッド6に対してプライマリピストン2bが常に上記中立位置となり、相対変位量Δx=0で変位するように、駆動モータ50を制御するものである。このようにΔx=0となるようにプライマリピストン2bをストロークさせた場合、上記式(3)により、倍力比αは、α=(AIR+APP)/AIRとして一意に定まる。よって、必要な倍力比に基づいてAIRおよびAPPを設定し、変位量XbがインプットロッドストロークXiに等しくなるようにプライマリピストン2bを制御することで、常に一定の(上記必要な)倍力比を得ることができる。
一定倍力制御における目標マスタシリンダ圧特性は、インプットロッド6の前進(x軸正方向側への変位)に伴い発生するマスタシリンダ圧Pmcが2次曲線、3次曲線、あるいはこれらにそれ以上の高次曲線等が複合した多次曲線(以下、これらを総称して多次曲線という)状に大きくなる。また、一定倍力制御は、インプットロッドストロークXiと同じ量だけプライマリピストン2bがストロークする(Xb=Xi)ストローク特性を有している。このストローク特性と上記目標マスタシリンダ圧特性とに基づき得られる目標変位量算出特性では、あらゆるインプットロッドストロークXiに対して目標変位量Δx*が0となる。
これに対し、倍力可変制御は、目標変位量Δx*を正の所定値に設定し、相対変位量Δxがこの所定値となるように駆動モータ50を制御する。これにより、マスタシリンダ圧Pmcを増加する方向へインプットロッド6が前進移動するに従い、インプットロッドストロークXiに比べてプライマリピストン2bの変位量Xbが大きくなるようにするものである。上記式(3)により、倍力比αは、(1+K×Δx/FIR)倍の大きさとなる。すなわち、インプットロッドストロークXiに比例ゲイン(1+K×Δx/FIR)を乗じた量だけプライマリピストン2bをストロークさせることと同義となる。このようにΔxに応じて倍力比αが可変となり、マスタシリンダ圧制御機構5が倍力源として働いて、ドライバの要求通りのブレーキ力を発生させつつペダル踏力の大きな低減を図ることができる。
すなわち、制御性の観点からは上記比例ゲイン(1+K×Δx/FIR)は1であることが望ましいが、例えば緊急ブレーキ等によりドライバのブレーキ操作量を上回るブレーキ力が必要な場合には、一時的に、1を上回る値に上記比例ゲインを変更することができる。これにより、同量のブレーキ操作量でも、マスタシリンダ圧Pmcを通常時(上記比例ゲインが1の場合)に比べて引き上げることができるため、より大きなブレーキ力を発生させることができる。ここで、緊急ブレーキの判定は、例えば、ブレーキ操作量検出装置7の信号の時間変化率が所定値を上回るか否かで判定できる。
このように、倍力可変制御では、インプットロッド6の前進に対してプライマリピストン2bの前進をより進め、インプットロッド6に対するプライマリピストン2bの相対変位量Δxがインプットロッド6の前進に伴い大きくなり、これに対応してインプットロッド6の前進に伴うマスタシリンダ圧Pmcの増加が一定倍力制御よりも大きくなるように駆動モータ50を制御する方法である。
倍力可変制御における目標マスタシリンダ圧特性は、インプットロッド6の前進(x軸正方向側への変位)に伴い発生するマスタシリンダ圧Pmcの増加が一定倍力制御よりも大きくなる(多次曲線状に増加するマスタシリンダ圧特性がより急峻になる)。また、倍力可変制御は、インプットロッドストロークXiの増加に対するピストンストロークXbの増加分が1よりも大きいストローク特性を有している。このストローク特性と上記目標マスタシリンダ圧特性とに基づき得られる目標変位量算出特性では、インプットロッドストロークXiが増加するに応じて目標変位量Δx*が所定の割合で増加する。
また、倍力可変制御として、上記制御(マスタシリンダ圧Pmcを増加する方向へインプットロッド6が移動するに従い、インプットロッドストロークXiに比べてピストンストロークXbが大きくなるように駆動モータ50を制御すること)に加え、マスタシリンダ圧Pmcを増加する方向へインプットロッド6が移動するに従い、インプットロッドストロークXiに比べてピストンストロークXbが小さくなるように駆動モータ50を制御することを含めてもよい。このように、1を下回る値に上記比例ゲインを変更することで、ハイブリッド車両の回生ブレーキ力分だけ液圧ブレーキを減圧する回生協調ブレーキ制御に適用することも可能である。
図2は、実施例1のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図であり、マスタシリンダ圧制御装置8は、アシストストローク算出部8aと、ストローク速度算出部(移動速度検出手段)8bと、補正用アシストストローク算出部8cと、加算器8dとを備える。
アシストストローク算出部(目標反力算出手段)8aは、インプットロッドストロークXiに対して所望の目標ストローク特性および目標マスタシリンダ圧特性を得る目標変位量Δx*となるようなピストンストロークXbの目標値であるアシストストロークXbbaseを算出し、加算器8dへ出力する。図2のアシストストローク算出部8aのブロック内に、インプットロッドストロークXiに応じたアシストストロークXbbaseの設定マップを示す。なお、目標ストローク特性および目標マスタシリンダ圧特性が得られるような目標変位量Δx*を設定することで、目標インプットストロークXiに応じたブレーキペダルBPの目標反力特性が決まる。つまり、相対変位量Δxが目標変位量x*となるようにアシストストロークXbbaseを制御することにより、目標マスタシリンダ圧と目標反力特性とを実現できる。
上記設定マップでは、目標変位量Δx*を0とした場合のインプットロッドストロークXiに対するアシストストロークXbbaseの特性を記載しているが、時間の経過に従ってブレーキ力を高めるブレーキアシスト制御、または回生協調ブレーキ制御の実施中、目標変位量Δx*は0以外の値となるため、それに応じてマップの特性も変化する。
ストローク速度算出部8bは、インプットロッドストロークXiとその前回値Xi_Zとの差分からストローク速度ΔXiを算出し、補正用アシストストローク算出部8cへ出力する。なお、入力したインプットロッドストロークXiは、次回の演算周期まで前回値Xi_Zとして保持する。
補正用アシストストローク算出部8cは、ストローク速度ΔXiに基づいて、アシストストロークXbbaseを補正するための補正用アシストストロークXbaddを算出し、加算器8dへ出力する。図2の補正用アシストストローク算出部8cのブロック内に、ストローク速度Xiに応じた補正用アシストストロークXbaddの設定マップを示す。この設定マップでは、ストローク速度ΔXiが高くなるほど補正用アシストストロークXbaddが増大する特性としている。なお、補正用アシストストロークXbaddには、不感帯および上限値を設定している。
加算器8dは、アシストストロークXbbaseと補正用アシストストロークXbaddとを加算した値を、最終アシストストロークXbcomとしてマスタシリンダ圧制御機構5へ出力する。
補正用アシストストローク算出部8cと加算器8dとにより、アシスト部材であるプライマリピストン2bに付与するアシスト推力を増加補正する実施例1のアシスト推力補正手段が構成される。
[アシストストローク算出処理]
図3は、実施例1のマスタシリンダ圧制御装置8で実行されるアシストストローク算出処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この処理は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS1では、アシストストローク算出部8aおよびストローク速度算出部8bにおいて、インプットロッドストロークXiを読み込み、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、ストローク速度算出部8bにおいて、インプットロッドストロークXiとその前回値Xi_Zとの差分からストローク速度ΔXiを算出し、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、アシストストローク算出部8aにおいて、アシストストロークXbbaseを算出し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、補正用アシストストローク算出部8cにおいて、補正用アシストストロークXbaddを算出し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、加算器8dにおいて、アシストストロークXbbaseと補正用アシストストロークXbaddとを加算して最終アシストストロークXbcomを算出し、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、ストローク速度算出部8bにおいて、入力したインプットロッドストロークXiを前回値Xi_Zとして保存し、リターンへ移行する。
次に、実施例1の作用を説明する。
実施例1のブレーキ装置1では、ドライバのブレーキペダル操作によりストロークするインプットロッド6と、マスタシリンダ圧制御機構5の駆動モータ50によりストロークするプライマリピストン2bの2つでマスタシリンダ圧Pmcを発生させている。ここで、駆動モータ50には応答遅れがあるため、図4(a)に示すように、ドライバがブレーキペダルBPを踏み込んでインプットロッドストロークXiを変化させたとき、プライマリピストン2bは遅れてストロークする。
このため、ドライバがブレーキペダルBPを踏み込んでからブレーキペダルBPを保持し、インプットロッドストロークXiが止まった時点から、プライマリピストン2bのストロークが停止するまでの間(図4のA−Bの区間)に、マスタシリンダ圧Pmcが増加することにより(図4(b))、インプットロッド入力Fiも大きくなる(図4(c))。よって、ドライバはブレーキペダルBPを保持しているにもかかわらず、ブレーキペダル反力が増加するため、ドライバに違和感を与える。
これに対し、実施例1では、インプットロッド6のストローク速度ΔXiが高いほど、アシストストロークXbbaseを増加補正する補正用アシストストロークXbaddを大きくするため、図5(a)に示すように、本制御を適用しない場合と比較して、インプットロッドストロークXiに対してペダル操作中の最終アシストストロークXbcom(ピストンストロークXbの目標値)がストローク速度ΔXiに応じて多めに出力される。
よって、ピストンストロークXbの応答遅れが改善されることにより(図5(b))、プライマリピストン2bに付与されるアシスト推力がインプットロッドストロークXiに対して遅れなく発生するため、マスタシリンダ圧Pmcをより速く立ち上げることができる(図5(c))。この結果、図5(d)に示すように、ペダルストローク操作に対して遅れて増加するインプットロッド入力Fiが減少する。すなわち、ブレーキペダルBPの目標反力特性に対する実際の反力特性の遅れが抑制されるため、ドライバに与える違和感を軽減できる。
次に、効果を説明する。
実施例1のブレーキ倍力装置の制御装置にあっては、以下の効果を奏する。
(1) マスタシリンダ圧制御装置8は、インプットロッド6のストローク速度ΔXiが高いほど、プライマリピストン2bに付与するアシスト推力を増加補正するアシスト推力補正手段(補正用アシストストローク算出部8c,加算器8d)を備える。これにより、ブレーキペダルBPの動きに対するブレーキペダル反力の動きのずれを抑制でき、ドライバに与える違和感を軽減できる。
図6は、実施例2のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。なお、実施例1と共通する部位については、同一呼称、同一符号で表す。
マスタシリンダ圧ゲイン算出部8eは、マスタシリンダ圧Pmcに基づいて、補正用アシストストロークXbaddに乗算するマスタシリンダ圧ゲインGmcを算出し、乗算器8fへ出力する。図6のマスタシリンダ圧ゲイン算出部8eのブロック内に、マスタシリンダ圧Pmcに応じたマスタシリンダ圧ゲインGmcの設定マップを示す。この設定マップでは、マスタシリンダ圧Pmcが高くなるほどマスタシリンダ圧ゲインGmcを大きくする特性としている。なお、マスタシリンダ圧ゲインGmcには、不感帯および上限値を設定している。
乗算器8fは、補正用アシストストロークXbaddとマスタシリンダ圧ゲインGmcとを乗算した値を、第2補正用アシストストロークXbadd2として加算器8dへ出力する。
加算器8dは、アシストストロークXbbaseと第2補正用アシストストロークXbadd2とを加算した値を、最終アシストストロークXbcomとしてマスタシリンダ圧制御機構5へ出力する。
補正用アシストストローク算出部8cと加算器8dとマスタシリンダ圧ゲイン算出部8eと乗算器8fとにより、実施例2のアシスト推力補正手段が構成される。
[アシストストローク算出処理]
図7は、実施例2のマスタシリンダ圧制御装置8で実行されるアシストストローク算出処理の流れを示すフローチャートである。なお、実施例1と共通する処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS11では、マスタシリンダ圧ゲイン算出部8eにおいて、マスタシリンダ圧Pmcを読み込み、ステップS3へ移行する。
ステップS12では、マスタシリンダ圧ゲイン算出部8eにおいて、マスタシリンダ圧Pmcに基づいてマスタシリンダ圧ゲインGmcを算出し、ステップS13へ移行する。
ステップS13では、乗算器8fにおいて、補正用アシストストロークXbaddとマスタシリンダ圧ゲインGmcとを乗算して第2補正用アシストストロークXbadd2を算出し、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、加算器8dにおいて、アシストストロークXbbaseと第2補正用アシストストロークXbadd2とを加算して最終アシストストロークXbcomを算出し、ステップS6へ移行する。
次に、実施例2の作用を説明する。
図8は、インプットロッドストロークXiとインプットロッド入力Fiとの関係を示す図であり、点A,Bは、図4の点A,Bに対応している。図8に示すように、インプットロッドストロークXiに対して電動モータ50の動作に応答遅れがある場合、インプットロッドストロークXiとピストンストロークXbとの位置関係からバネ6d,6eの反力が増えることにより、ブレーキペダルBPの早踏み時には、ゆっくり踏み時と比較して、高圧域(マスタシリンダ圧Pmcが高い領域)ではインプットロッド入力Fiの遅れが顕著となる。一方、低圧域(マスタシリンダ圧Pmcが低い領域)ではゆっくり踏み時よりもインプットロッド入力Fiが大きくなる。
これは、低圧域ではバネ6d,6eによるブレーキペダル反力が支配的な領域であるのに対し、高圧域ではマスタシリンダ圧Pmcによるブレーキペダル反力が支配的な領域であることに起因する。つまり、高圧域では、ドライバがブレーキペダルを早踏みするほど、インプットロッドストロークXiに対してインプットロッド入力Fiが遅れるため、ドライバに与える違和感も大きくなる。
これに対し、実施例2では、マスタシリンダ圧Pmcが高いほど、補正用アシストストロークXbaddに乗算するマスタシリンダ圧ゲインGmcを大きくする。これにより、図9に示すように、高圧域では最終アシストストロークXbcomを大きくしてブレーキペダル反力の遅れを抑制できる。
一方、低圧域では最終アシストストロークXbcomを大きくしないことで、バネ反力を増やし、不要なブレーキペダル反力の増加を防止できると共に、インプットロッドストロークXiに対するインプットロッド入力Fiの特性を、エンジンの負圧を利用してマスタシリンダ圧を倍力するコンベンショナルなブレーキシステムにおける負圧ブースタの特性に近付け、操作フィーリングの向上を図ることができる。
次に、効果を説明する。
実施例2のブレーキ倍力装置の制御装置にあっては、実施例1の効果(1)に加え、以下の効果を奏する。
(2) アシスト推力補正手段(補正用アシストストローク算出部8c,加算器8d,マスタシリンダ圧ゲイン算出部8e,乗算器8f)は、検出されたマスタシリンダ圧が高いほど、アシスト推力を増加補正する。これにより、高圧域におけるブレーキペダル反力の遅れの抑制と、低圧域における操作フィーリングの向上との両立を図ることができる。
図10は、実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8の制御ブロック図である。なお、実施例1と共通する部位については、同一呼称、同一符号で表す。
反力目標算出部(目標反力算出手段)8gは、インプットロッドストロークXiに基づいて、反力目標Ficomを算出し、比較器8iへ出力する。図10の反力目標算出部8g内に、インプットロッドストロークXiに応じた反力目標Ficomの設定マップを示す。この設定マップでは、インプットロッドストロークXiが大きくなるほど反力目標Ficomを大きくする特性としている。
推定反力算出部(反力推定手段)8hは、インプットロッドストロークXiとマスタシリンダ圧PmcとピストンストロークXbとに基づき、式(1)に示した圧力平衡関係から、下記の式(4)を参照してブレーキペダル反力の推定値である推定反力Firを算出する。
式(1)より、
Pmc×AIR=(FIR+K×△x) …(1)'
ここで、Δx=Xb−Xiであるから、FIR=Firとおくと、
Fir=Pmc×AIR+K×(Xi−Xb) …(4)
比較器8iは、反力目標Ficomと推定反力Firとの差分を変換器8jへ出力する。
変換器8jは、反力目標Ficomと推定反力Firとの差分に所定の補正ゲインを乗算した値を、第3補正用アシストストロークXbadd3として乗算器8kへ出力する。ここで、補正ゲインは、反力をストロークに換算する係数である。
乗算器8kは、補正用アシストストロークXbaddと第3補正用アシストストロークXbadd3とを乗算した値と、第4補正用アシストストロークXbadd4として加算器8dへ出力する。
加算器8dは、アシストストロークXbbaseと第4補正用アシストストロークXbadd4とを加算した値を、最終アシストストロークXbcomとしてマスタシリンダ圧制御機構5へ出力する。
補正用アシストストローク算出部8cと加算器8dと比較器8iと乗算器8kにより、実施例3のアシスト推力補正手段が構成される。
[アシストストローク算出処理]
図11は、実施例3のマスタシリンダ圧制御装置8で実行されるアシストストローク算出処理の流れを示すフローチャートである。なお、実施例1および実施例2と共通する処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS21では、ピストンストロークXbを読み込み、ステップS3へ移行する。
ステップS22では、反力目標算出部8gにおいて、インプットロッドストロークXiから反力目標Ficomを算出し、ステップS23へ移行する。
ステップS23では、推定反力算出部8hにおいて、インプットロッドストロークXiとマスタシリンダ圧PmcとピストンストロークXbとから式(4)を参照して推定反力Firを算出し、ステップS24へ移行する。
ステップS24では、変換器8jにおいて、反力目標Ficomと推定反力Firとの差分に補正ゲインを乗算して第3補正用アシストストロークXbadd3を算出し、ステップS25へ移行する。
ステップS25では、乗算器8kにおいて、補正用アシストストロークXbaddと第3補正用アシストストロークXbadd3とを乗算して第4補正用アシストストロークXbadd4を算出し、ステップS26へ移行する。
ステップS26では、加算器8dにおいて、アシストストロークXbbaseと第4補正用アシストストロークXbadd3とを加算して最終アシストストロークXbcomを算出し、ステップS6へ移行する。
次に、実施例3の作用を説明する。
実施例3では、アシストストロークXbbaseに反力目標Ficomと推定反力Firとの差分に応じた第4補正用アシストストロークXbadd3を乗算する補正を行うことにより、ブレーキペダル反力特性を、あらかじめ設定した目標反力特性に近付ける。
ドライバがブレーキペダルBPをゆっくりと踏み込んだ場合、インプットロッド入力Fiが反力目標Ficomよりも大きくなり、ペダルフィーリングの悪化が懸念される。そこで、実施例3では、反力目標Ficomと推定反力Firとの差を無くすような最終アシストストロークXbcomとすることで、ブレーキペダル反力が過剰となるのを抑制できる。
次に、効果を説明する。
実施例3のブレーキ倍力装置の制御装置にあっては、実施例1の効果(1)に加え、以下に列挙する効果を奏する。
(3) ブレーキペダルBPの推定反力Firを算出する推定反力算出部8hを備えるため、実際のブレーキペダル反力(推定反力Fir)を反力目標Ficomに近付けるフィードバック制御が可能となり、ブレーキペダル反力を目標反力特性により近付けることができる。
(4) 推定反力算出部8hは、インプットロッドストロークXiとピストンストロークXbとマスタシリンダ圧Pmcとに基づいて推定反力Firを算出するため、推定反力Firを精度良く算出できる。
(5) アシスト推力補正手段(補正用アシストストローク算出部8c,加算器8d,比較器8i,乗算器8k)は、推定反力Firと反力目標Ficomとの差分に基づいてアシスト推力を補正する。これにより、ブレーキペダル反力が過剰となるのを抑制でき、良好なペダルフィーリングを実現できる。
(他の実施例)
以上、本発明のブレーキ倍力装置の制御装置を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、ブレーキ倍力装置の構成は、実施例に示したものに限らず、ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、この入力部材の移動方向に対して相対移動可能に設けたアシスト部材と、このアシスト部材に対して入力部材を両者の相対変位の中立位置に向けて付勢する付勢手段と、アシスト部材を進退移動させる倍力アクチュエータとを備え、入力部材の移動に応じてアシスト部材に付与するアシスト推力によりマスタシリンダ内に倍力されたブレーキ液圧を発生させるブレーキ倍力装置であれば、本発明を適用でき、実施例と同様の作用効果を得ることができる。
また、ブレーキペダルの操作速度を検出するセンサを設け、このセンサ信号により入力部材の移動速度を検出してもよい。
実施例では、インプットロッドストロークとマスタシリンダ圧とピストンストロークとに基づいて、ブレーキペダル反力を推定する例を示したが、ブレーキペダル反力を計測するセンサを設けた構成としてもよい。
BP ブレーキペダル
2b プライマリピストン(アシスト部材)
5 マスタシリンダ圧制御機構(ブレーキ倍力装置)
6 インプットロッド(入力部材)
6d,6e バネ(付勢手段)
7 ブレーキ操作量検出装置(移動量検出手段)
8b ストローク速度算出部(移動速度検出手段)
8c 補正用アシストストローク算出部(アシスト推力補正手段)
8d 加算器(アシスト推力補正手段)
8h 推定反力算出部(反力推定手段)
13 プライマリ液圧センサ(マスタシリンダ圧検出手段)
14 セカンダリ液圧センサ(マスタシリンダ圧検出手段)
50 駆動モータ(倍力アクチュエータ)
50a 回転角検出センサ(アシスト部材移動量検出手段)

Claims (5)

  1. ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、この入力部材の移動方向に対して相対移動可能に設けたアシスト部材と、このアシスト部材に対して前記入力部材を両者の相対変位の中立位置に向けて付勢する付勢手段と、前記アシスト部材を進退移動させる倍力アクチュエータとを備え、前記入力部材の移動に応じて前記アシスト部材に付与するアシスト推力によりマスタシリンダ内に倍力されたブレーキ液圧を発生させるブレーキ倍力装置と、
    前記入力部材の移動量を検出する入力部材移動量検出手段と、
    前記入力部材の移動速度を検出する移動速度検出手段と、
    前記入力部材移動量検出手段により検出した入力部材移動量に基づいて、前記ブレーキペダルの目標反力特性を算出する目標反力算出手段と、
    前記ブレーキペダルの反力があらかじめ設定した目標反力特性に近づくように、前記移動速度検出手段にて検出した前記入力部材の移動速度の移動速度が高いほど、前記アシスト部材に付与するアシスト推力を増加補正するアシスト推力補正手段と、
    を備えることを特徴とするブレーキ倍力装置の制御装置。
  2. 請求項1に記載のブレーキ倍力装置の制御装置において、
    前記ブレーキペダルの反力を推定する反力推定手段を備えることを特徴とするブレーキ倍力装置の制御装置。
  3. 請求項2に記載のブレーキ倍力装置の制御装置において、
    前記アシスト部材の移動量を検出するアシスト部材移動量検出手段と、
    前記マスタシリンダ内に発生したマスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、
    を備え、
    反力推定手段は、前記入力部材移動量検出手段により検出した入力部材移動量と、前記アシスト部材移動量検出手段により検出したアシスト部材移動量と、前記マスタシリンダ圧検出手段により検出したマスタシリンダ圧とに基づいて、前記ブレーキペダルの反力を推定することを特徴とするブレーキ倍力装置の制御装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のブレーキ倍力装置の制御装置において、
    前記アシスト推力補正手段は、前記反力推定手段により推定された前記ブレーキペダルの推定反力と、前記目標反力算出手段により算出された目標反力との差分に基づいて前記アシスト部材に付与するアシスト推力を補正することを特徴とするブレーキ倍力装置の制御装置。
  5. 請求項1に記載のブレーキ倍力装置の制御装置において、
    前記マスタシリンダ内に発生したマスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧検出手段と、
    前記アシスト推力補正手段は、前記マスタシリンダ圧検出手段により検出したマスタシリンダ圧が高いほど、前記アシスト推力を増加補正することを特徴とするブレーキ倍力装置の制御装置。
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