JP2002331925A - 液圧源装置 - Google Patents

液圧源装置

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JP2002331925A
JP2002331925A JP2001141395A JP2001141395A JP2002331925A JP 2002331925 A JP2002331925 A JP 2002331925A JP 2001141395 A JP2001141395 A JP 2001141395A JP 2001141395 A JP2001141395 A JP 2001141395A JP 2002331925 A JP2002331925 A JP 2002331925A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁アクチュエータを備えた液圧源装置の改善
を図る。 【解決手段】運転者によってブレーキペダル32に加え
られる踏力が設定値以上、かつ、加圧室46,48の液
圧が設定値以上になった場合に、電動モータ90が作動
させられる。この場合に、電動モータ90への供給電流
が、踏力と加圧室の液圧との両方に基づいてフィードバ
ック制御が行われるため、電動モータ90がブレーキ操
作に遅れて始動させられても、加圧室46,48の液圧
を目標値に早急に近付けることができるのであり、応答
性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁アクチュエー
タを備えた液圧源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電磁アクチュエータを備えた液圧源装置
の一例が特開平6−183331号公報に記載されてい
る。この公報に記載の液圧源装置においては、電磁アク
チュエータとしての電動モータがブレーキ操作部材の操
作力に基づいて制御される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効
果】本発明は、液圧源装置の改善を図ることを目的とす
る。例えば、液圧源装置の制御性の向上を図ったり、電
磁アクチュエータの消費電力の低減を図ったりする。こ
の課題は、液圧源装置を下記各構造のものとすることに
よって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区
分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を
引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書
に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書
に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の
各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1
つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべ
ての事項を一緒に採用しなければならないものではな
く、一部の事項のみを取り出して採用することも可能で
ある。
【0004】以下の各項のうち(2)項が請求項1に対応
し、(5)項が請求項2に対応し、(9)項が請求項3に対応
する。また、(10)項が請求項4に対応し、(14)項〜(16)
項がそれぞれ請求項5〜7に対応する。
【0005】(1)操作部材と、その操作部材に連携させ
られた加圧ピストンを含み、その加圧ピストンの前方の
加圧室に液圧を発生させるマスタシリンダと、電磁アク
チュエータを含み、前記マスタシリンダの加圧ピストン
に電磁駆動力を付与する電磁助勢装置とを含む液圧源装
置。本項に記載の液圧源装置は電磁助勢装置を含むもの
であり、車両の車輪の回転を液圧によって抑制する車両
用液圧ブレーキ装置に適したものである。マスタシリン
ダにおいて、加圧ピストンには、操作部材の操作力と電
磁アクチュエータによる電磁駆動力とが加えられ、これ
らの和に応じた液圧が加圧ピストンの前方の加圧室に発
生させられる。加圧室の液圧は電磁駆動力の制御によっ
て制御されるのであり、電磁駆動力は、電磁アクチュエ
ータの制御によって制御される。電磁助勢装置は、電磁
アクチュエータを制御することにより電磁駆動力を制御
するアクチュエータ制御部を含む。電磁アクチュエータ
は、入力としてのブレーキ操作部材等操作部材の操作状
態に基づいて制御されるようにしたり、出力としての加
圧室の液圧に基づいて制御されるようにしたり、操作状
態と加圧室の液圧との両方に基づいて制御されるように
したり、その他、操作状態とは関係なく車両の走行状態
等に基づいて制御されるようにしたりすることができ
る。例えば、電磁アクチュエータが、加圧室の液圧が、
操作部材の操作力が倍力された大きさに対応する高さに
なるように制御される場合には、電磁助勢装置を電磁倍
力装置と称することができる。この場合には、操作部材
の操作力に基づいてフィードフォワード制御が行われる
場合や、加圧室の液圧と操作力とに基づいてフィードバ
ック制御が行われる場合や、それら両方が行われる場合
等がある。また、電磁アクチュエータが、加圧室の液圧
と操作力とが上述の関係になるように制御されるように
することには限定されない。例えば、操作部材の操作力
と操作速度との両方に基づいて制御されるようにするこ
とができる。操作力が同じであっても、操作速度が大き
い場合と小さい場合とで、電磁駆動力が異なる大きさと
なるように制御されるようにするのである。また、本発
明が車両用液圧ブレーキ装置に適用される場合に、ブレ
ーキ操作部材が操作されていなくても、駆動スリップ状
態が過大である場合、走行安定性が低下している場合、
前方物体との接近傾向が強い場合等に電磁アクチュエー
タを作動状態にすることも可能である。この場合には、
駆動スリップ状態の大きさ、安定性の低下の程度、接近
傾向の強さ等に基づいて制御されるようにしたり、予め
定められた大きさとなるように制御されるようにしたり
することができる。操作部材の操作状態は、操作部材の
ストロークや操作力の大きさや変化傾向等で表すことが
できる。変化傾向は、変化速度,変化加速度等で表した
り、増加傾向にあること、減少傾向にあること(例え
ば、+1,−1等で表す)で表したりすることができ
る。また、電磁アクチュエータは、電動モータであって
もソレノイドであってもよい。
【0006】(2)前記操作部材がブレーキ操作部材であ
り、前記電磁助勢装置が、そのブレーキ操作部材の操作
状態と、前記加圧室の液圧とに基づいて前記電磁アクチ
ュエータを制御するアクチュエータ制御部を含む(1)項
に記載の液圧源装置。本項に記載の液圧源装置において
は、電磁アクチュエータが、ブレーキ操作状態と加圧室
の液圧とに基づいて、換言すれば、入力と出力との両方
に基づいて制御される。例えば、出力である加圧室の液
圧が入力であるブレーキ操作状態に基づいて決まる目標
値に近づくように、フィードバック制御が行われるよう
にすることができる。また、フィードバック制御とフィ
ードフォワード制御とを組み合わせた制御が行われるよ
うにすることもできる。フィードバック制御が行われる
場合には、加圧室の液圧を早期に目標値に近づけること
ができるのであり、応答性や追従性を向上させることが
できる。従来の液圧源装置の改善を図ることができるの
である。なお、本項ならびに以下の各項に記載の特徴は
本発明が液圧ブレーキ装置以外に適用される場合にも採
用することができる。
【0007】(3)前記アクチュエータ制御部が、前記電
磁アクチュエータの制御ゲインを、電磁アクチュエータ
の始動時から予め定められた作動状態に達するまでの
間、達した後より小さくする制御ゲイン決定部を含む
(2)項に記載の液圧源装置。入力と出力との両方に基づ
いて電磁アクチュエータが制御される場合には、応答性
の向上を図ることができるが、オーバーシュート気味に
なる場合がある。特に、電磁アクチュエータの始動時に
は、イナーシャに起因する電磁アクチュエータの作動遅
れ等に起因して、出力と目標値との偏差が大きくなり、
供給電力が大きくなって、オーバーシュートが生じ易く
なる。それに対して、作動開始当初の制御ゲインを小さ
くすれば、供給電力が過大になることを回避し得、オー
バーシュートを抑制することができる。電磁アクチュエ
ータの作動状態が設定状態に達したことは、電磁アクチ
ュエータの累積回転総数や出力部材の移動量等に基づい
て検出することができるが、電磁アクチュエータの作動
による結果(例えば、加圧室の液圧が該当する)に基づ
いて検出することもできる。例えば、電磁アクチュエー
タの出力部材の移動量が設定量に達した場合、電磁アク
チュエータによって加圧ピストンに加えられた電磁駆動
力が設定駆動力に達した場合、実際の加圧室の液圧と目
標値との偏差が設定値以下になった場合等に設定状態に
達したとすることができる。 (4)前記電磁助勢装置が、前記電磁アクチュエータの制
御において、制御ゲインを、前記ブレーキ操作部材の操
作量の変化傾向が設定傾向より大きい場合は小さい場合
より大きくする制御ゲイン決定部を含むアクチュエータ
制御部を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の
液圧源装置。例えば、ブレーキ操作速度が大きい場合に
制御ゲインを大きくすれば、実際の液圧を早急に目標値
に近づけることができ、応答遅れを小さくすることがで
きる。操作速度が大きい場合には、オーバーシュートの
抑制より、応答性の向上を図ることが望ましい。操作量
の変化傾向は、前述のように、操作ストロークや操作力
の変化速度、変化加速度で表すことができるが、操作量
が増加傾向にあるか、減少傾向にあるかで表すこともで
きる。本発明は、ブレーキ操作部材の操作量が増加する
場合に適用されることが多いが、減少する場合に適用す
ることを排除するわけではない。
【0008】(5)前記電磁助勢装置が、前記ブレーキ操
作部材の操作状態を表すブレーキ操作状態量が予め定め
られた設定状態量以上になったことと、前記加圧室の液
圧が予め定められた設定圧以上になったこととの少なく
とも一方が成立した場合に、前記電磁アクチュエータを
始動させるアクチュエータ始動部を含む(1)項ないし(4)
項に記載の液圧源装置。本項に記載の液圧源装置におい
て、ブレーキ操作部材の操作当初においては、電磁アク
チュエータは非作動状態にある。換言すれば、操作当初
においては、運転者によるブレーキ操作部材の操作によ
って加圧室に液圧が発生させられる。その後、ブレーキ
操作部材の操作状態が設定状態に達した場合や加圧室の
液圧が設定圧以上になった場合に、電磁アクチュエータ
の作動が開始され、加圧室に電磁駆動力とブレーキ操作
力との両方に応じた液圧が発生させられる。ブレーキ操
作部材の操作当初の操作力や加圧室の液圧が小さい場合
には、電磁駆動力を加える必要性が低いのが普通であ
る。そこで、操作当初において、電磁アクチュエータを
非作動状態にすれば、消費エネルギの低減を図ることが
できる。また、電磁アクチュエータが始動させられた後
において、電磁アクチュエータが入力と出力との両方に
基づいて制御される場合には、入力のみに基づく場合よ
り、応答遅れが小さくなるため、電磁アクチュエータの
作動がブレーキ操作部材の操作開始に遅れて開始されて
も差し支えないのである。電磁アクチュエータは、入力
が設定値以上になった場合と出力が設定値以上になった
場合との少なくとも一方の場合に始動させられるのであ
るが、出力が設定値以上になれば加圧室に正常に液圧を
発生させ得る状態であることがわかるため、そのことを
確認してから電磁アクチュエータを始動させることは有
効である。
【0009】(6)前記電磁アクチュエータが、電動モー
タであり、前記電磁助勢装置が、前記電動モータの駆動
力を前記加圧ピストンに伝達する駆動力伝達装置であっ
て、(a)外周部に溝が形成されたおねじと、(b)内周部に
溝が形成されためねじと、(c)これらおねじの溝とめね
じの溝との間に介在する複数のボールとを含むボールね
じ機構を備え、前記おねじと前記めねじとのいずれか一
方が、前記電動モータの回転に伴って回転させられ、か
つ、軸方向に移動不能とされ、それらおねじとめねじと
の他方が、軸方向に移動可能で、一端部において前記加
圧ピストンに係合させられ、前記ブレーキ操作部材の前
進に伴って前進可能とされたものを含む(1)項ないし(5)
項のいずれか1つに記載の液圧源装置。本項に記載の液
圧源装置においては、電磁アクチュエータが電動モータ
であり、電動モータの駆動力が駆動力伝達装置を介して
加圧ピストンに伝達される。駆動力伝達装置はボールね
じ機構を備えた運動変換装置を含む。ボールねじ機構の
おねじとめねじとの一方が、電動モータの回転に伴って
回転させられ、他方が、その回転によって軸方向に移動
させられ、電動モータの駆動力を加圧ピストンに伝達す
る。他方は、また、電動モータが非作動状態にあって
も、ブレーキ操作部材の操作によって軸方向に移動させ
られる。ボールねじ機構は、逆効率が良いため、電動モ
ータが非作動状態にあっても、他方の軸方向の移動を許
容するのであり、他方の軸方向の移動によって、一方が
回転させられ、電動モータが回転させられる。換言すれ
ば、電動モータが非作動状態(例えば、作動不能異常)
にあっても、ブレーキ操作部材が操作されれば、他方が
移動させられ、加圧ピストンが前進させられるのであ
り、ブレーキを作動させることができる。以下、おねじ
とめねじとの一方を回転部材と称し、他方を軸方向移動
部材と称する。また、(5)項に記載の液圧源装置に適用
した場合には、ブレーキ操作当初において、ブレーキ操
作部材の操作によって電動モータが回転させられ、その
後に、電動モータに電流が供給されることになる。電動
モータの始動時には、イナーシャにより大きめの電流が
必要な場合が多いが、電動モータに電流を供給する以前
に、運転者によるブレーキ操作によって電動モータが回
転させられるようにすれば、その分、始動時における電
動モータの作動遅れを小さくすることができ、その反動
としてのオーバシュート(前記 (3)項の説明参照)も小
さくすることができる。また、始動時に供給すべき電流
を少なくすることができ、電力の低減を図ることができ
る。さらに、トルク重視のモータを設計できるので、設
計の自由度が向上するという利点もある。また、電磁助
勢装置は、ブレーキ操作部材とマスタシリンダとの間、
例えば、マスタシリンダへの入力ロッドとブレーキ操作
部材の出力ロッドとの間(プッシュロッドの途中)に設
けることができる。前記従来の公報に記載のように、電
磁助勢装置を入力ロッドと並列に設ける場合より、設置
スペースを幅方向に小さくすることができる。設置スペ
ースは幅方向に大きい場合より長さが長い方が望ましい
ことが多い。 (7)前記電磁助勢装置が、前記ブレーキ操作部材とマス
タシリンダとの間に直列に設けられた(1)項ないし(6)項
のいずれか1つに記載の液圧源装置。
【0010】(8)前記電磁助勢装置が前記一方の回転状
態に基づいて前記ブレーキ操作部材の操作ストロークを
検出するストローク検出部を含む(6)項または(7)項に記
載の液圧源装置。電動モータの非作動状態においては、
ブレーキ操作部材の前進に伴って軸方向移動部材が前進
させられ、回転部材が回転させられる。したがって、回
転部材の回転状態に基づけば、ブレーキ操作部材の操作
ストロークの大きさや変化状態を検出することができ
る。例えば、回転部材の累積回転総数に基づけば、ブレ
ーキ操作部材の操作ストロークを検出することができ、
回転数(回転速度)に基づけば、ストローク変化速度を
検出することができる。回転部材の回転状態は、回転数
検出装置によって検出されるようにすることができ、回
転数検出装置は、電動モータの制御のために設けられた
ものを使用することができる。このように、回転部材の
回転状態に基づけば、ブレーキ操作部材の回動に基づく
場合より、ブレーキ操作部材のストロークを、ストロー
クが小さい状態から精度よく検出することができる。ま
た、ペダル比を考慮する必要がないという利点もある。 (9)前記電磁助勢装置が、前記一方の回転状態に基づい
て前記ブレーキ操作部材が操作状態にあることを検出す
る操作状態検出部を含む(6)項ないし(8)項のいずれか1
つに記載の液圧源装置。上述のように、回転部材の回転
状態に基づけば、ブレーキ操作部材のストロークが比較
的小さい設定値以上になったこと、すなわち、ブレーキ
操作部材が操作状態に切り換えられたことを、ブレーキ
操作部材の回動角度が設定値以上になった場合に操作状
態に切り換えられたと検出するスイッチより、精度よく
検出することができる。 (10)前記電磁助勢装置が、前記一方の回転状態に基づ
いて前記電動モータを制御するモータ制御部を含む(6)
項ないし(9)項のいずれか1つに記載の液圧源装置。回
転部材の回転状態に基づけば電動モータの回転状態を検
出することができる。また、加圧ピストンの移動状態を
検出することができ、加圧室の液圧を検出することがで
きる。したがって、回転部材の回転状態に基づいて電動
モータが制御されることは妥当なことである。
【0011】(11)前記電磁助勢装置が、近い将来、前
記ブレーキ操作部材が操作されると予測し得るブレーキ
操作予測条件が満たされた場合に、前記電磁アクチュエ
ータに電流を供給する準備電流供給部を含む(1)項ない
し(10)項のいずれか1つに記載の液圧源装置。本項に記
載の液圧源装置においては、ブレーキ操作予測条件が満
たされた場合に電磁アクチュエータに準備電流が供給さ
れる。そのため、電磁アクチュエータを始動させる場合
に、速やかに作動を開始させることができ、制御遅れを
抑制することができる。準備電流は、モータ固有の無負
荷電流とすることができる。無負荷電流が供給されて
も、電動モータが回転することはなく、液圧が発生させ
られることはない。ブレーキ操作予測条件は、例えば、
車両の走行速度が設定速度以上であって、アクセルペダ
ルの操作が解除されたこととすることができる。 (12)前記電磁助勢装置が、前記ブレーキ操作部材の操
作予測解除条件が満たされた場合に、前記電磁アクチュ
エータへの準備電流の供給を終了させる準備電流供給終
了部を含む(11)項に記載の液圧源装置。電磁アクチュエ
ータへの準備電流の供給は、ブレーキ操作が近い将来行
われるはずがないと予測し得る場合に終了させられる。
操作予測解除条件は、例えば、実際に電磁アクチュエー
タの制御が開始された場合、ブレーキ操作予測条件が満
たされてから設定時間が経過した場合、アクセルペダル
が踏み込まれた場合等に満たされたとすることができ
る。
【0012】(13)前記電磁助勢装置が、前記電磁アク
チュエータの制御において、前記ブレーキ操作部材の操
作量の増加状態と減少状態とでヒステリシスを設けるア
クチュエータ制御部を含む(1)項ないし(12)項のいずれ
か1つに記載の液圧源装置。操作量の増加状態と減少状
態とで同じ制御が行われるようにすることもできるが、
異なる制御が行われるようにした方が、例えば、運転者
の操作フィーリングが向上する等の効果が得られる。操
作量の増加状態と減少状態とで同じ制御が行われるよう
にすると、減少状態において、電磁アクチュエータによ
る駆動力が液圧の目標値に対して大きくなり、運転者は
減圧不足であると感じることが多い。そこで、液圧の実
際値または目標値が同じ場合に、減少状態においては増
加状態における場合より、駆動力が小さくなるように電
磁アクチュエータが制御されるようにすれば、運転者の
違和感を軽減させることができる。ヒステリシスの大き
さは、例えば、実験値等に基づいて設定することができ
る。
【0013】(14)前記ブレーキ操作部材の操作状態を
検出するブレーキ操作状態検出装置と、前記加圧室の液
圧を検出する液圧検出装置と、前記おねじとめねじとの
一方の回転状態を検出する回転状態検出装置とこれら3
つの検出装置のうちの少なくとも2つによる検出値に基
づいて当該液圧源装置の異常を検出する異常検出装置と
を含む(6)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の液圧
源装置。電動モータの作動状態とブレーキ操作部材の操
作状態とによって加圧室の液圧が決まる。電動モータの
作動状態は、回転状態検出装置によって検出される。し
たがって、ブレーキ操作状態、電動モータの作動状態、
加圧室の液圧の3つのうちの少なくとも2つの関係に基
づけば、当該液圧源装置の異常を検出することができ
る。ブレーキ操作部材の操作状態と電動モータの作動状
態との少なくとも一方に対して加圧室の液圧が低い場合
には、加圧室に接続された液通路に液漏れ等が生じたと
することができる。この場合において、加圧室が2つあ
り、いずれか一方の加圧室の液圧が低く(液圧の増加勾
配が小さく)、他方の液圧が高い(他方の液圧の増加勾
配が大きい)場合には、一方の加圧室に接続された液通
路に液漏れが生じ、他方の加圧室に接続された液通路は
正常であるとすることができる。加圧ピストンのボトミ
ングにより他方の加圧室に液圧が発生させられた状態な
のである。加圧室の液圧がブレーキ操作部材の操作状態
に対応する高さである場合には電動モータが異常である
とすることができる。本来作動状態にあるはずの電動モ
ータが非作動状態にある場合、ロック状態にある場合等
が該当する。この場合において、電動モータの回転数の
変化量に対する供給電流の増加量の比率が設定値以上で
ある場合にはロック状態にあるとすることができる。加
圧室の液圧と電動モータの作動状態とが対応し、ブレー
キ操作部材の操作状態がこれらに対応しない場合には、
操作状態検出装置の異常であるとすることができる。
【0014】(15)当該液圧源装置が、前記加圧ピスト
ンの前方の加圧室に液圧が発生させられている状態にお
いて、前記電磁助勢装置が非作動状態である場合に前記
加圧ピストンの後退を抑制する後退抑制装置を含む(1)
項ないし(14)項のいずれか1つに記載の液圧源装置。本
項に記載の液圧源装置においては、電磁助勢装置が非作
動状態にされても加圧ピストンの後退が抑制される。加
圧ピストンについては、前方の加圧室の液圧に応じた力
と、電磁アクチュエータによって加えられる電磁駆動力
およびブレーキ操作力とが釣り合った状態にある。この
状態から、電磁アクチュエータが非作動状態にされれ
ば、加圧ピストンは前方の加圧室の液圧によって後退さ
せられるはずである。それに対して、後退抑制装置によ
れば、電磁アクチュエータが非作動状態にされても、加
圧ピストンの後退を抑制することができるのであり、加
圧室の液圧の低下を抑制することができる。後退抑制装
置は、加圧ピストンが電磁アクチュエータを非作動状態
に切り換えたことに起因して、加圧室の液圧によって後
退させられることを抑制するものである。後退抑制装置
は、多少の後退を許容するものであってもよく、後退を
阻止する後退阻止装置はそのうちの一態様である。
【0015】(16)前記マスタシリンダが、前記加圧ピ
ストンの後方に液圧室を備え、前記後退抑制装置が、前
記後方の液圧室からの作動液の流出を阻止する流出阻止
装置を含む(15)項に記載の液圧源装置。本項に記載の液
圧源装置においては、マスタシリンダの加圧ピストンの
後方に液圧室が設けられ、後方液圧室からの作動液の流
出が阻止される。その結果、加圧ピストンにおいて前方
の加圧室の液圧による力と後方液圧室の液圧による力お
よび運転者によるブレーキ操作力とが釣り合う状態とな
り、加圧ピストンの後退を阻止することができる。運転
者によるブレーキ操作力は0の場合もある。
【0016】(17)前記後退抑制装置が、前記加圧室の
液圧を保持する場合に、前記加圧ピストンの後退を抑制
するものである(15)項または(16)項のいずれかに記載の
液圧源装置。加圧室の液圧を保持する場合には、電磁ア
クチュエータによって加えられる電磁駆動力の大きさを
制御する必要がないのであり、一定の大きさに保ってお
けばよい。この場合に、加圧ピストンの後退が抑制され
れば、電磁アクチュエータによる電磁駆動力を小さくし
たり0にしたり(電磁アクチュエータを非作動状態にし
たり)しても加圧室の液圧を保持することができるので
あり、電磁アクチュエータへの供給電流を低減させるこ
とができる。加圧室の液圧を保持する場合には、例え
ば、加圧室の実際の液圧と目標液圧との偏差が設定値以
下の場合や目標液圧の変化傾向が設定傾向以下の場合等
が該当する。また、車両の停止状態においては、加圧室
の液圧の細かな制御は不要であるため、加圧室の液圧を
保持すれば良い場合がある。さらに、液圧源装置が、ブ
レーキシリンダの液圧を別個に制御可能な独立液圧制御
装置を含み、アンチロック制御やトラクション制御が可
能なブレーキ装置に適用された場合において、独立液圧
制御装置による制御中である場合が該当する。アンチロ
ック制御中、トラクション制御中においては、液圧源装
置の出力液圧が一定であっても差し支えないのである。
なお、電磁アクチュエータに異常が生じた場合に後退が
阻止されるようにすることができる。この場合には、加
圧室の液圧が急激に低下することを回避することができ
る。
【0017】(18)前記後退抑制装置が、少なくとも、
前記後方液圧室からの作動液の流出を阻止する状態と後
方液圧室における作動液の流出入を許容する状態とに切
り換え可能な電磁制御弁を含む(16)項または(17)項に記
載の液圧源装置。電磁制御弁の制御により、少なくと
も、後方液圧室からの作動液の流れが阻止される流出阻
止状態と流出入が許容される流出入許容状態とに切り換
えられる。流出阻止状態においては、後方液圧室からの
作動液の流出が阻止されるため、加圧ピストンの後退が
阻止される。流出入許容状態においては、加圧ピストン
の移動が許容されるのであり、前進に伴って後方液圧室
に作動液が流入させられ、後退に伴って作動液が流出さ
せられる。電磁制御弁は、流出阻止状態と流出入許容状
態とに供給電流のON・OFFにより切り換え可能な電
磁開閉弁であっても、流出入許容状態において、その流
通状態を供給電流に応じて制御可能な流量制御弁であっ
てもよい。流量制御弁の場合には、加圧ピストンの後退
を制限(規制)する状態(換言すれば、後退が多少許容
される状態)にすることができる。このように、電磁制
御弁は、流出阻止弁、後退阻止弁等と称することができ
る。また、加圧ピストンの後退によって、電磁アクチュ
エータへの供給電力を低減させることができるため、供
給電力低減用弁と称することもできる。なお、電磁制御
弁と並列に後方液圧室からの作動液の流出を阻止する
が、後方液圧室への作動液の流入を許容する逆止弁を設
けることができる。逆止弁によれば、電磁制御弁の流出
阻止状態において、加圧ピストンの前進を許容すること
ができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
液圧源装置を備えた液圧ブレーキ装置について図面に基
づいて詳細に説明する。図1において、10は液圧源装
置であり、液圧源装置10に、前輪12,後輪14のブ
レーキ16,18のブレーキシリンダ20,22が接続
されている。ブレーキシリンダ20,22に液圧源装置
10の作動液が供給されることにより、ブレーキ16,
18が作動させられる。
【0019】液圧源装置10は、マスタシリンダ30、
ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル32,電磁助
勢装置としての電磁倍力装置34を含む。マスタシリン
ダ30は、本体38と、本体38にシール部材としての
カップシール40,41を介して液密かつ摺動可能に、
直列に嵌合された2つの加圧ピストン42,44を含
む。2つの加圧ピストン42,44の前方がそれぞれ加
圧室46,48とされる。加圧室46には上述の前輪1
2のブレーキシリンダ20が液通路50を介して接続さ
れ、加圧室48には上述の後輪14のブレーキシリンダ
22が液通路52を介して接続される。本体38の底部
と加圧ピストン42との間、2つの加圧ピストン42,
44の間には、それぞれ、リターンスプリング54,5
6が配設されている。本体38の後方の開口には閉塞部
材58が設けられ、加圧ピストン44の後方側に設けら
れたプッシュロッド60がカップシール62を介して液
密かつ摺動可能に嵌合されている。加圧ピストン44の
後方が後方液圧室64とされる。
【0020】本体38の一対のカップシール40,41
の間、すなわち、加圧室46,48に対応する位置に
は、低圧ポート70,72が設けられ、リザーバ74に
接続される。加圧ピストン42,44の後退端におい
て、加圧ピストン42,44に設けられた連通路76,
78とポート70,72とが連通させられると、加圧室
44,46とリザーバ74とが連通させられる。また、
後方液圧室64に対応する位置には低圧ポート80が設
けられ、低圧ポート80とリザーバ74との間には、後
退抑制装置としての後退阻止装置82が設けられる。
【0021】後退阻止装置82は、互いに並列に設けら
れた電磁開閉弁としての後退阻止弁84と逆止弁86と
を含む。逆止弁86は、リザーバ74から後方液圧室6
4への作動液の流れを許容するが、逆向きの流れを阻止
するものである。後退阻止弁84は常閉弁であり、ブレ
ーキ液圧制御中においては、開状態に切り換えられる
が、後述するように、加圧室46,48の液圧を保持す
る場合に閉状態に切り換えられる。後退阻止弁84が閉
状態にあっても、逆止弁86により、リザーバ74から
後方液圧室64への作動液の流れが許容され、ブレーキ
ペダル32の操作によって加圧ピストン44の前進が許
容される。
【0022】電磁倍力装置34は、マスタシリンダ30
とブレーキペダル32との間に、これらと直列に設けら
れている。電磁倍力装置34は、電磁アクチュエータと
しての電動モータ90,駆動力伝達装置92等を含む。
駆動力伝達装置92は、運動変換装置としてのボールね
じ機構94を含む。ボールねじ機構94は、一対のめね
じおよびおねじと、図示を省略するが、これらの間に設
けられたボールとを含む。本実施形態においては、電動
モータ90のロータにめねじとしての回転部材95が一
体的に回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられ、回転
部材95の内周側におねじとしての軸方向移動部材96
が回転不能かつ軸方向に移動可能に設けられている。軸
方向移動部材96は、一端部において加圧ピストン44
のプッシュロッド60に係合させられ、他端部におい
て、ブレーキペダル32に連携させられる。
【0023】電動モータ90の非作動状態においては、
軸方向移動部材96はブレーキペダル32の操作によっ
て前進させられ、加圧ピストン44に踏力が加えられ
る。加圧室46,48には、ブレーキ踏力に応じた高さ
の液圧が発生させられる。ボールねじ機構94は逆効率
がよいため、電動モータ90が非作動状態にあっても、
踏力が加えられると、軸方向移動部材96の前進が許容
されるのであり、ブレーキを作動させることができる。
また、軸方向移動部材96の移動によって回転部材95
が回転させられるのであり、運転者によるブレーキ操作
によって電動モータ90が回転させられることになる。
換言すれば、電動モータ90が異常であっても、ブレー
キペダル32の操作によって加圧ピストン44を前進さ
せることができるのであり、ブレーキ16,18を作動
させることができる。
【0024】電動モータ90の作動状態においては、供
給電流が、電動モータ90によって軸方向移動部材96
に加えられる電磁駆動力が加圧室の液圧が踏力を倍力し
た大きさに対応する高さになる大きさに制御される。加
圧ピストン44には、ブレーキ踏力Fpと電磁駆動力F
dとの両方が加えられ、加圧室にはこれら軸力の和に応
じた液圧が発生させられる。したがって、加圧室の液圧
P、踏力Fpに応じた液圧P(Fp)、電磁駆動力Fd
に応じた液圧P(Fd)およびサーボ比γの間には、式 P=P(Fp)+P(Fd)=γ・P(Fp) で表される関係が成立する。なお、符号100,102
は、ラジアルベアリング、スラストベアリングであり、
それぞれ回転部材95の回転を許容する。また、ラジア
ルベアリング100,スラストベアリング102は、そ
れぞれ、半径方向の力と軸方向の力とを受ける。
【0025】マスタシリンダ30とブレーキシリンダ2
0,22との間には、液圧制御弁装置110が設けられ
る。液圧制御弁装置110は、液通路50,52の途中
に設けられた保持弁112とブレーキシリンダ20,2
2と減圧用リザーバ114との間に設けられた減圧弁1
16とを含む。減圧用リザーバ114からはポンプ通路
118が延び出させられており、ポンプ120,逆止弁
122,124,ダンパ126等が設けられている。ポ
ンプ120はモータ128によって作動させられる。ポ
ンプ120によって減圧用リザーバ114の作動液が汲
み上げられて、液通路50,52に戻される。
【0026】本液圧ブレーキ装置は、ブレーキECU1
50によって制御される。ブレーキECU150は、制
御部152と駆動回路とを含む。制御部152は、CP
U154,ROM156,RAM158、入出力ポート
160等を含むコンピュータを主体とするものである。
入出力ポート160には、ブレーキペダル32の踏力を
検出する踏力センサ162と、液通路50,52にそれ
ぞれ設けられたマスタ圧センサ164,166と、各車
輪12,14の回転速度を検出する車輪速センサ16
8、回転部材95の回転数を検出する回転数センサ17
0、図示しないアクセルペダルが操作状態にあるか否か
を検出するアクセルスイッチ172等が接続されてい
る。
【0027】マスタ圧センサ164,166は、それぞ
れ、加圧室46,48の液圧を検出するものである。加
圧室46,48の液圧は電磁倍力装置34による制御圧
でもあるため、制御圧センサと称することができる。ま
た、液圧源装置10の出力液圧でもあるため、マスタ圧
センサを出力液圧センサと称することもできる。さら
に、液圧制御弁装置110が図示する原位置にある場合
には、ブレーキ液圧と同じであるため、ブレーキ液圧セ
ンサと称することもできる。車輪速センサ169は、各
車輪12,14の回転速度を検出する。回転速度に基づ
いて車両の走行速度が検出され、スリップ状態が検出さ
れる。回転数センサ170は、回転部材95の回転数を
検出するものである。電動モータ90の非作動状態にお
いて、ブレーキペダル32の運転者による操作ストロー
クを検出することができるため、ストロークセンサとし
ての機能を備える。また、本実施形態においては、回転
数センサ170による累積回転総数がスイッチ用設定値
以上になった場合にブレーキペダル32が操作状態に切
り換えられたとすることができるため、ブレーキスイッ
チとしての機能も備える。例えば、電動モータ90が、
ブラシレスモータである場合には、モータの制御のため
に回転数センサが設けられるのが普通であり、電動モー
タの制御のための回転数センサを利用することができ
る。入出力ポート160には、駆動回路176を介し
て、保持弁112,減圧弁116,モータ128,電磁
倍力装置34の電動モータ90,後退阻止弁84等が接
続されている。
【0028】本実施形態においては、通常制動時におい
て、電磁倍力装置34の制御により、加圧室46,48
の液圧(ブレーキ液圧と同じ)がブレーキ踏力がサーボ
比γで倍力された大きさに対応する高さになるように制
御される。入力としてのブレーキ踏力と出力としての加
圧室46,48の液圧とに基づいて制御されるのであ
り、フィードバック制御が行われる。電動モータ90へ
の供給電流が、マスタ圧センサ164,166による検
出液圧と踏力センサ160による検出値とに基づいて制
御されるのであり、加圧室46,49の液圧がブレーキ
踏力に基づいて決まる目標値に近づくように制御され
る。
【0029】通常制動時には、図3に示すように、ブレ
ーキ踏力が設定値以下の場合または加圧室46,48の
液圧が設定値以下の場合には、電動モータ90は非作動
状態にある。軸方向移動部材96はブレーキペダル32
の操作に伴って前進させられ、加圧ピストン44が前進
させられる。加圧室46,48には、運転者によるブレ
ーキ踏力に応じた液圧が発生させられる。ブレーキ踏力
が設定値以上になり、かつ、加圧室46,48の液圧が
設定値以上になった場合に電動モータ90が始動させら
れる。加圧ピストン44には、踏力と電動モータ90に
よる電磁駆動力との両方が加えられて、前進させられ、
それに応じた液圧が発生させられる。ブレーキ踏力の設
定値はブレーキパッドのクリアランスが0になる程度の
大きさであり、加圧室46,48の液圧の設定値は、液
通路50,52に液漏れが生じていないことを確認し得
る値であり、例えば、0.5MPa程度の大きさとする
ことができる。液通路50,52等に液漏れが生じてい
る状態で、電磁助勢装置34を作動させても意味がない
からである。
【0030】ボールねじ機構94は逆効率が良いもので
あるため、電動モータ90が非作動状態にあっても、軸
方向移動部材96の前進によって、電動モータ90が回
転させられる。電動モータ90が運転者によるブレーキ
操作によって回転させられるのであり、それによって、
図4に示すように、イナーシャに起因する電動モータ9
0の始動時に必要な電流を小さくすることができる。こ
のように、本実施形態においては、電動モータ90がブ
レーキ操作の開始に遅れて始動させられる。また、フィ
ードバック制御が行われる。そのため、電動モータ90
の始動時に、加圧室46,48の液圧と目標値との偏差
が大きくなり、大きな電流が供給されることになり、オ
ーバーシュートが起き易くなる。それを回避するため
に、図5、7に示すように、電動モータ90の始動時か
ら軸方向移動部材96の移動量が設定量に達するまでの
間は、制御ゲインが小さくされ、偏差が大きいことに起
因して大きな電流が供給されることが回避される。
【0031】ブレーキシリンダ20,22における消費
液量とブレーキ液圧との間には、図6に示すような関係
がある。ブレーキシリンダ20,22における消費液量
は、軸方向移動部材96のストロークに比例し、軸方向
移動部材96のストロークは、回転部材95の累積回転
総数に比例する。累積回転総数とブレーキ液圧との間に
は、図7に示す関係があるのであり、ブレーキ液圧が予
め定められた設定量だけ増加すれば、偏差が小さくなっ
たと推定することができ、その場合の回転数の変化量が
決まるのである。したがって、図7に示すように、電動
モータ90の作動開始から軸方向移動部材96の移動量
が設定量に達するまでの間、すなわち、電動モータ90
への電流の供給が開始されてからの回転数センサ170
による検出回転数に基づいて求められた累積回転総数が
ゲイン変更用設定数に達するまでの間は、偏差が大きい
状態であるとされて、制御ゲインが小さくされるのであ
る。このように、本実施形態においては、ゲイン変更用
設定数は、加圧室46,48の液圧と目標値との偏差が
設定値以下になり、過大な電流の供給が回避され、オー
バーシュートを抑制し得る値に設定されるのである。
【0032】また、後退阻止弁84が制御される。通常
制御中には、原則として、開状態にされて、後方液圧室
64とリザーバ26との間で作動液の授受が行われ、加
圧ピストン44の自由な移動が許容される。しかし、後
退阻止条件が満たされた場合、本実施形態においては、
加圧室46,48の液圧を保持する場合に後退阻止条件
が満たされたとされて、後退阻止弁84が閉状態にされ
る。それによって、後方液圧室64からの作動液の流出
が阻止されて、加圧ピストン44の後退が阻止される。
駆動伝達装置92が逆効率がよいボールねじ機構94を
含むものであるため、加圧室46,48の液圧を保持す
る場合には、本来、電動モータ90に電流を供給する必
要がある。それに対して、後退阻止弁84が閉状態に切
り換えられれば、加圧ピストン44の後退が阻止される
ため、電動モータ90に電流を供給しなくても加圧室4
6,48の液圧を保持することができる。
【0033】本実施形態においては、通常制御中におい
てヒルホールド条件が満たされた場合には後退阻止条件
が満たされたとされて、後退阻止弁84が閉状態に切り
換えられる。また、通常制御中でないが、アンチロック
制御中である場合にも後退阻止条件が満たされたとされ
る。ヒルホールド条件が満たされた場合(本実施形態に
おいては、車両の停止中であって、ブレーキペダル32
の踏力の増加勾配が設定勾配以下であり、かつ、踏力が
設定値以上である状態が設定時間以上続いた場合)に
は、ブレーキ液圧(この場合には、加圧室の液圧と同
じ)の制御をする必要性は低い。また、アンチロック制
御は、制動スリップが過大になると行われるが、アンチ
ロック制御においては、液圧制御弁装置110の制御に
より、各ブレーキシリンダ20,22の液圧が、制動ス
リップ状態が適正な状態となるように制御される。その
ため、加圧室46,48の液圧を制御する必要性は低い
のである。なお、後退阻止弁84と並列に逆止弁86が
設けられているため、後退阻止弁84の閉状態において
ブレーキペダル32が踏み込まれた場合にも、加圧ピス
トン44を前進させることができる。
【0034】図8のフローチャートにおいて、ステップ
1(以下、S1と略称する。他のステップについても同
様とする)において、回転数センサ170による検出回
転数に基づいて検出された累積回転総数がスイッチ用設
定値以上であるか否かが判定される。スイッチ用設定値
以上である場合にはブレーキペダル32が操作状態にあ
るとされる。ブレーキ操作中であるとされた場合には、
S2において、電動モータ90の始動条件が満たされる
か否かが判定される。満たされない場合には、ブレーキ
ペダル32の操作状態であっても助勢力が加えられるこ
とはない。本実施形態においては、踏力センサ162に
よる検出踏力が設定値以上であり、かつ、2つのマスタ
圧センサ164,166による検出圧がいずれも設定圧
以上である場合に始動条件が満たされたとされる。
【0035】始動条件が満たされた場合には、S3にお
いて、ブレーキ操作速度としての踏力の変化速度が設定
速度以上であるか否かが判定される。踏力の単位時間当
たりの変化量が設定量より小さい場合には、S4におい
て、回転数センサ170による検出回転数に基づいて検
出された累積回転総数がゲイン用設定値以上であるか否
かが判定される。ゲイン用設定値より小さい場合には、
S5において、制御ゲインが小さくされる。また、S6
において、ヒルホールド中フラグがセット状態にあるか
否かが判定される。累積回転総数がゲイン用設定値より
小さい場合には、たいてい、リセット状態にあるため、
判定がNOとなり、S7において、小さくされた制御ゲ
インに基づいて電動モータ90が制御される。偏差が大
きくても、過大な電流が供給されることを回避し得、オ
ーバーシュートを抑制することができる。
【0036】それに対して、累積回転総数がゲイン用設
定値を越えた場合には、S4における判定がYESとな
り、S8において、制御ゲインが通常の値にされ、S7
において、その通常の制御ゲインに基づいて電流が供給
される。ゲイン用設定値を越えた場合には、偏差がそれ
ほど大きくないため、制御ゲインが大きくされても、過
大な電流が供給されることはない。また、ブレーキペダ
ル32の操作速度が設定速度より大きい場合(踏力の増
加速度が設定速度より大きい場合)には、S3における
判定がYESとなり、S8において制御ゲインが通常の
値にされる。供給電流が早急に増加させられて、加圧室
46,48の液圧が増加させられ、運転者の意図する目
標値に早急に近付けることができる。さらに、ヒルホー
ルド中フラグがセット状態にある場合には、S9におい
て、電動モータ90は非作動状態にされる。後退阻止弁
84が閉状態に切り換えられるため、加圧ピストン44
の後退が阻止される。電動モータ90を非作動状態にし
ても、加圧室46,48の液圧を保持することができ
る。
【0037】後退阻止弁84は、図9のフローチャート
で表される後退阻止弁制御プログラムの実行に従って制
御される。S51において、ブレーキ操作中であるか否
かが判定される。ブレーキ操作中でない場合、ブレーキ
操作が解除された場合には、S52においてコイルに電
流が供給されなくなることにより閉状態に切り換えられ
る。ブレーキ操作中である場合には、S53において、
ヒルホールド中であることを表すヒルホールド中フラグ
がセット状態にあるか否かが判定される。ヒルホールド
フラグがリセット状態にある場合には、S54におい
て、ヒルホールド条件が満たされるか否かが判定され、
S55において、アンチロック制御中であるか否かが判
定される。ヒルホールド中でもアンチロック制御中でも
ない場合には、S56において、後退阻止弁84が開状
態にされる。
【0038】それに対して、ヒルホールド条件が満たさ
れた場合には、S57において、ヒルホールド中フラグ
がセットされて、S52において、後退阻止弁84が閉
状態にされる。前述のように、電動モータ90が非作動
状態にされて、加圧ピストン44の後退が阻止される。
また、アンチロック制御中である場合にも、S52にお
いて、後退阻止弁84が閉状態に切り換えられる。
【0039】ヒルホールド中フラグがセット状態にある
場合には、S53の判定がYESとなり、S58におい
て、ヒルホールド終了条件が満たされるか否かが判定さ
れる。本実施形態においては、車両が停止状態にあっ
て、踏力の変化勾配が設定勾配以上である場合に、ヒル
ホールド終了条件が満たされたとされて、S59におい
て、ヒルホールド中フラグがリセットされて、S56に
おいて、後退阻止弁84が開状態に切り換えられる。そ
れによって、電動モータ90の制御が再開される。ヒル
ホールド終了条件が満たされない場合には、S52にお
いて、後退阻止弁84は閉状態のままである。ヒルホー
ルド終了条件は後退阻止終了条件と称することもでき
る。
【0040】このように、加圧室46,48の液圧を保
持する場合には、後退阻止弁84が閉状態にされて、電
動モータ90への供給電流が0にされるので、その分、
消費電流の低減を図ることができる。また、ヒルホール
ド中は、ブレーキペダル32の操作を解除してもブレー
キを作動状態に保つことができる。なお、ヒルホールド
中フラグは、アクセルスイッチがONになった場合にリ
セットされるようにすることもできる。また、ヒルホー
ルド中は、電動モータ90に後述する準備電流が供給さ
れるようにしたり、準備電流より大きい予め定められた
電流あるいはその場合の踏力、路面勾配等の車両状態等
に応じて決まる電流が供給されるようにしたりすること
ができる。この場合においても、電動モータ90への供
給電力の低減を図ることができる。
【0041】さらに、本実施形態においては、ブレーキ
装置の異常が、ブレーキペダル32の踏力、電動モータ
90の作動状態、ブレーキ液圧との関係に基づいて検出
される。電動モータ90は、加圧室46、48の液圧が
踏力をサーボ比γ倍した大きさに対応する液圧となるよ
うに制御されるため、加圧室46,48の液圧、踏力と
の間には、図10の実線に示す関係が成立するはずであ
る。また、踏力と回転数との間には、図11に示す関係
が成立するはずである。図10,11に示す関係が満た
される場合には、正常であるが、満たされない場合に
は、異常であるとすることができる。
【0042】この場合において、電動モータ90の作動
開始点の液圧、回転数は、ブレーキ装置個々でばらつき
がある。リターンスプリング54,56のセット荷重の
大きさ、カップシール40,41等の摺動抵抗の大き
さ、その他、クレビス部等のがた等に起因して異なる。
また、同じブレーキ装置であっても、ブレーキペダル3
2の運転者による操作速度等によって異なる。そのた
め、本実施形態においては、作動開始点に依存しないで
異常が検出される。
【0043】図12の異常検出プログラムを表すフロー
チャートにおいて、S101において、踏力Fの変化量
dFに対する回転数xの変化量dxの比率、換言すれ
ば、図11の勾配(以下、回転数勾配と略称する)が設
定範囲内であるか否かが判定され、S102において、
踏力Fの変化量dFに対するブレーキ液圧Pの変化量d
Pの比率、換言すれば、図10の勾配(以下、液圧勾配
と略称する)が設定範囲内にあるか否かが判定される。
S102においては、2つのマスタ圧センサ164,1
66による検出液圧に基づいてそれぞれ液圧勾配が求め
られ、これらの両方の液圧勾配が設定範囲内にあるか否
かが判定される。両方の液圧勾配が設定範囲内にあれ
ば、判定がYESとなる。他のステップについても同じ
である。S101,102の両方の判定がYESであれ
ば、S103において、本ブレーキ装置は正常であると
される。
【0044】回転数勾配が設定範囲内にあり、S101
の判定がYESであるが、液圧勾配が設定範囲の下限勾
配cより小さい場合には、S104の判定がYESとな
り、S105において、少なくとも1系統が失陥である
とされる。この場合には、1系統に失陥が生じたか両方
の系統に失陥が生じたかは明らかではない。それに対し
て、マスタ圧センサ164,166のいずか一方による
検出液圧の勾配が下限勾配c以上である場合には、S1
04における判定がNOとなり、S106において、一
方の系統が失陥して他方の系統は正常であるとされる。
加圧ピストンのボトミングにより、他方の系統の液圧が
増加することになる。
【0045】回転数勾配が設定範囲内にない場合には、
S101の判定がNOとなり、S107において、設定
範囲の下限勾配aより小さいか否かが判定される。下限
勾配aより小さい場合、すなわち、回転数が増加しない
場合には、S108において、液圧勾配が設定勾配eよ
り小さいか否かが判定される。設定勾配e以上である場
合には、S110において、封じ込め状態にあるとされ
る。軸方向移動部材96の移動が阻止されているが、ブ
レーキ踏力の増加に伴って液圧が増加する状態である。
例えば、本来開状態にあるはずの保持弁112が閉状態
にある状態である。設定勾配eは、液圧勾配の設定範囲
の上限勾配d以上の値とすることができる。液圧勾配が
設定勾配eより小さい場合には、S111において、回
転数の変化量に対する電流iの変化量の比率が設定比率
以上であるか否かが判定される。電流の増加勾配が設定
勾配以上である場合には、S112において、電動モー
タ90がロック状態にあるとされる。電動モータに加わ
る負荷が過大になり、電流が増加させられても、電動モ
ータ90が回転せず、軸方向移動部材96が停止したま
まの状態なのである。電流供給量の増加勾配が設定勾配
以下である場合には、S113において電動モータ90
が非作動状態にあるとされる。断線等によって、作動状
態にあるはずの電動モータが非作動状態のままなのであ
り、作動不能異常にある。
【0046】それに対して、回転数勾配が上限勾配b以
下でない場合、すなわち、勾配が大きい場合には、S1
14において、液圧勾配が設定勾配f以下であるか否か
が判定される。設定勾配f以下である場合には、S11
5において、少なくとも一方の系統が失陥しているとさ
れ、設定勾配以上である場合には、S116において、
いずれか一方の系統は正常であるとされる。回転数の勾
配が大きいにも係わらず、液圧が変化しないのは、失陥
状態にあると考えることができる。設定勾配fは下限勾
配c以下の値とすることができる。
【0047】さらに、本実施形態における液圧ブレーキ
装置においては、ブレーキペダル32が操作されると予
測された場合には、電動モータ90に準備電流が供給さ
れる。したがって、ブレーキペダル32が操作されて、
踏力が設定値以上になった場合に電動モータ90が始動
させられるのであるが、その場合に、制御遅れを小さく
することができ、電磁駆動力を速やかに加えることがで
きる。
【0048】図13のフローチャートのS121におい
て、準備電流供給中であることを表すフラグがセット状
態にあるか否かが判定される。準備電流供給中フラグが
セット状態にない場合には、S122において、ブレー
キ操作予測条件が満たされるか否かが判定される。ブレ
ーキ操作予測条件は、本実施形態においては、車両の走
行速度が設定速度以上であって、アクセルペダルの操作
が解除されたことである。操作予測条件が満たされた場
合には、S123、124において準備電流が供給さ
れ、準備電流供給中フラグがセットされる。準備電流
は、電動モータ90によって決まる固有の無負荷電流と
することができる。電動モータ90に無負荷電流を供給
しても、電動モータ90が回転することはなく、軸方向
移動部材96が移動することはない。また、準備電流が
常に同じ大きさであれば、ブレーキペダル32が操作状
態に切り換えられたことを検出するのには支障はない。
準備電流供給中である場合には、S125において操作
予測解除条件が満たされるか否かが判定される。本実施
形態においては、準備電流の供給時間が設定時間以上に
なったこと、アクセルペダルが操作されたことの少なく
とも一方である場合には、操作予測解除条件が満たされ
たとされる。操作予測解除条件が満たされた場合には、
S126,127において準備電流の供給が停止させら
れて、準備電流供給中フラグがリセットされる。準備電
流が供給される場合には、電動モータ90の通電状態を
検査することができる。
【0049】なお、準備電流は、ブレーキペダル32が
操作状態に切り換えられたことが検出された場合に供給
されるようにしてもよい。ブレーキペダル32の操作に
伴って電動モータ90が作動させられるわけではないた
め、それから、準備電流が供給されても制御遅れを抑制
することができる。この場合には、準備電流の供給が無
駄になることを回避することができる。また、準備電流
が供給される態様は、ブレーキペダル32の操作に伴っ
て電動モータ90の制御が開始される装置に適用するこ
とができる。電動モータ90の作動遅れを抑制すること
ができ、ブレーキ操作の開始時から加圧室46,48の
液圧が目標値に近づくように、電磁駆動力を付与するこ
とができる。この場合には、踏力センサ162の出力値
に基づいてブレーキペダル32が操作状態に切り換えら
れたことを検出することができる。また、ブレーキスイ
ッチを別個設けることもできる。
【0050】以上のように、本実施形態においては、ブ
レーキECU150の図8の電動モータ制御プログラム
を記憶する部分、実行する部分等によってアクチュエー
タ制御部が構成され、そのうちの、S2,7を記憶する
部分、実行する部分等によってアクチュエータ始動部が
構成され、図12の異常検出プログラムを記憶する部
分、実行する部分等により異常検出装置が構成される。
【0051】なお、電動モータ90への供給電流の制御
において、踏力等のブレーキ操作量の増加中と減少中と
で同じ制御が行われるようにしても異なる制御が行われ
るようにしてもよい。例えば、図14に示すように、増
加中と減少中とでヒステリシスが設けられ、操作量の減
少中には増加中における場合より、供給電流が小さくさ
れるようにすることができる。例えば、図8のフローチ
ャートのS7の実行において、踏力の増加中であるか減
少中であるかが判定されて、それによって、電流が決定
される。
【0052】操作量の増加中と減少中とで同じ制御が行
われるようにすると、減少中において、電動モータ90
による駆動力がブレーキ液圧の目標値に対して大きくな
り、運転者は減圧不足であると感じることが多い。そこ
で、ブレーキ液圧の実際値または目標値(踏力)が同じ
場合に、減少中においては増加中における場合より、駆
動力が小さくなるように電動モータ90が制御されるよ
うにすれば、運転者の操作フィーリングの低下を抑制す
ることができる。
【0053】また、減少中においては、ブレーキシリン
ダ20,22の液圧と加圧室46,48の液圧との差圧
に起因して、加圧室46,48の液圧が踏力に対応する
高さより高くなる場合があるため、減少中には、電動モ
ータ90への供給電流は小さくてもよいのである。ヒス
テリシスの大きさは、例えば、実験値等に基づいて設定
することができる。
【0054】ブレーキペダル32の操作量の増加中にお
いては、加圧室46,48の液圧に基づく反力と加圧ピ
ストン42,44とマスタシリンダ本体38との間に設
けられたシール部材40,41の摺動抵抗等に基づく摩
擦抵抗とに打ち勝つ加圧ピストン42,44の作動力が
必要であるが、ブレーキペダル32の操作量の減少中に
おいては、摺動抵抗が加圧室46,48の液圧に基づく
反力に抗する向きに作用するため、ブレーキペダル32
の操作量の減少状態においては増加状態における場合よ
り、電動モータ90の助勢力が小さくてよいのである。
【0055】また、電動モータ90の制御においてつけ
るヒステリシスを上記摺動抵抗分に等しくすれば、ブレ
ーキペダル32の踏力の低下に敏感に応答してブレーキ
シリンダ20,22およびマスタシリンダ30の液圧が
減少するようにすることができ、上記摺動抵抗分より小
さくすれば、ブレーキペダル32の踏力の低下に敏感に
は応答しないようにすることができる。
【0056】さらに、上記実施形態においては、ブレー
キペダル32,電磁助勢装置34,マスタシリンダ30
が直列に設けられていたが、マスタシリンダ30に対し
て、プッシュロッド60と電磁助勢装置34とが並列に
設けられるようにすることもできる。加圧ピストン44
にブレーキペダル32の踏力と電磁助勢装置34による
電磁駆動力とが並列に加えられることになる。並列に設
けられた場合には、電動モータを超音波モータとするこ
とができる。超音波モータとすれば、保持電流を加えな
くても、加圧ピストン44の後退を阻止することができ
る。
【0057】また、加圧室46,48の液圧保持時に
は、後退阻止弁84が閉状態に切り換えられたが、減圧
制御時には、電動モータ90への電流を0にしたまま、
後退阻止弁84を開状態に切り換えることによって加圧
室46,48の液圧が制御されるようにすることができ
る。この場合には、後退阻止弁84の開閉制御により、
加圧室46,48の減圧勾配を制御したり、液圧自体を
制御したりすることができる。
【0058】さらに、後退阻止弁84は、電動モータ9
0に作動不能異常が生じた場合に閉状態に切り換えられ
るようにすることができる。それによって、加圧室4
6,48の液圧が急激に低下することを回避することが
でき、減速度が急激に低下することを回避することがで
きる。この場合には、加圧室46,48の液圧の急激な
低下を抑制するために後退阻止弁84が閉状態に切り換
えられることになる。また、ブレーキペダル32の操作
が緩められた場合には、減圧弁114を開状態にした
り、後退阻止弁84を開状態に切り換えたりすることに
よって、ブレーキ液圧が減圧させられるようにする。ま
た、アンチロック制御に限らず、トラクション制御、ビ
ークルスタビリティ制御が行われる場合には、電動モー
タ90の作動により加圧室46,48の液圧を設定値ま
で増圧させ、その状態で、後退阻止弁84が閉状態に切
り換えられるようにすることができる。加圧室46,4
8の液圧をほぼ一定の大きさに保つことができ、各ブレ
ーキシリンダ20,22の液圧は液圧制御装置110に
より制御される。
【0059】さらに、準備電流を加えたり、ヒステリシ
スを設けたりすることは不可欠ではない。異常検出が行
われるようにすることも不可欠ではない。また、フィー
ドバック制御に限らず、フィードフォワード制御にも本
発明を適用することができる。その他、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効
果〕に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の
変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である液圧源装置を備えた
液圧ブレーキ装置の回路図である。
【図2】上記液圧ブレーキ装置のブレーキECUの周辺
を概念的に示す図である。
【図3】上記液圧ブレーキ装置においてブレーキ踏力と
ブレーキ液圧との関係を示す図である。
【図4】上記液圧ブレーキ装置において、電動モータへ
の電流の供給状態を示す図である。
【図5】上記液圧ブレーキ装置において、ブレーキ液圧
の変化状態を示す図である。
【図6】上記液圧ブレーキ装置において、ブレーキ液圧
とブレーキシリンダにおける消費液量との関係を示す図
である。
【図7】上記液圧ブレーキ装置において、ブレーキ液圧
と回転数との関係を示す図である。
【図8】上記ブレーキECUのROMに格納されたモー
タ制御プログラムを表すフローチャートである。
【図9】上記ブレーキECUのROMに格納された後退
阻止弁制御プログラムを表すフローチャートである。
【図10】上記液圧ブレーキ装置において、踏力とブレ
ーキ液圧との関係を示す図である。
【図11】上記液圧ブレーキ装置において、踏力と回転
数との関係を示す図である。
【図12】上記ブレーキECUのROMに格納された異
常検出プログラムを表すフローチャートである。
【図13】上記ブレーキECUのROMに格納された準
備電流制御プログラムを表すフローチャートである。
【図14】本発明の別の一実施形態である液圧源装置を
含む液圧ブレーキ装置における電動モータの制御状態を
示す図である。
【符号の説明】
10液圧源装置 30マスタシリンダ 34電磁倍力装置 42,44加圧ピストン 90電動モータ 94ボールねじ装置 95回転部材 96軸方向移動部材 170回転数センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯野 宏 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3D048 BB37 CC41 HH18 HH37 HH38 HH66 HH75 HH79 RR01 RR06 RR11 RR25 RR35

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブレーキ操作部材と、 そのブレーキ操作部材に連携させられた加圧ピストンを
    含み、その加圧ピストンの前方の加圧室に液圧を発生さ
    せるマスタシリンダと、 電磁アクチュエータを含み、前記マスタシリンダの加圧
    ピストンに電磁駆動力を付与する電磁助勢装置とを含む
    液圧源装置であって、 前記電磁助勢装置が、前記ブレーキ操作部材の操作状態
    と、前記加圧室の液圧とに基づいて前記電磁アクチュエ
    ータを制御するアクチュエータ制御部を含むことを特徴
    とする液圧源装置。
  2. 【請求項2】前記電磁助勢装置が、前記ブレーキ操作部
    材の操作状態を表すブレーキ操作状態量が予め定められ
    た設定状態量以上になったことと、前記加圧室の液圧が
    予め定められた設定圧以上になったこととの少なくとも
    一方が成立した場合に、前記電磁アクチュエータを始動
    させるアクチュエータ始動部を含む請求項1に記載の液
    圧源装置。
  3. 【請求項3】前記電磁アクチュエータが、電動モータで
    あり、 前記電磁助勢装置が、 前記電動モータの駆動力を前記加圧ピストンに伝達する
    駆動力伝達装置であって、(a)外周部に溝が形成された
    おねじと、(b)内周部に溝が形成されためねじと、(c)こ
    れらおねじの溝とめねじの溝との間に介在する複数のボ
    ールとを含むボールねじ機構を備え、前記おねじと前記
    めねじとのいずれか一方が、前記電動モータの回転に伴
    って回転させられ、かつ、軸方向に移動不能とされ、そ
    れらおねじとめねじとの他方が、軸方向に移動可能で、
    一端部において前記加圧ピストンに係合させられ、前記
    ブレーキ操作部材の前進に伴って前進可能とされたもの
    と、 前記おねじとめねじとの一方の回転状態に基づいて前記
    ブレーキ操作部材が操作状態にあることを検出する操作
    状態検出部とを含む請求項1または2に記載の液圧源装
    置。
  4. 【請求項4】前記電磁助勢装置が、前記おねじとめねじ
    との一方の回転状態に基づいて前記電動モータを制御す
    るモータ制御部を含む請求項3に記載の液圧源装置。
  5. 【請求項5】前記ブレーキ操作部材の操作状態を検出す
    るブレーキ操作状態検出装置と、 前記加圧室の液圧を検出する液圧検出装置と、 前記おねじとめねじとの一方の回転状態を検出する回転
    状態検出装置とこれら3つの検出装置のうちの少なくと
    も2つによる検出値に基づいて当該液圧源装置の異常を
    検出する異常検出装置とを含む請求項3または4に記載
    の液圧源装置。
  6. 【請求項6】ブレーキ操作部材と、 そのブレーキ操作部材に連携させられた加圧ピストンを
    含み、その加圧ピストンの前方の加圧室に液圧を発生さ
    せるマスタシリンダと、 電磁アクチュエータを含み、前記マスタシリンダの加圧
    ピストンに電磁駆動力を付与する電磁助勢装置と、 前記加圧ピストンの前方の加圧室に液圧が発生させられ
    ている状態において、前記電磁助勢装置が非作動状態で
    ある場合に前記加圧ピストンの後退を抑制する後退抑制
    装置とを含むことを特徴とする液圧源装置。
  7. 【請求項7】前記マスタシリンダが、前記加圧ピストン
    の後方に液圧室を備え、 前記後退抑制装置が、前記後方の液圧室からの作動液の
    流出を阻止する流出阻止装置を含む請求項6に記載の液
    圧源装置。
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