JP2010173294A - 防汚性積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた撥水性、滑落性(水滴転落性)を備えるとともに、これらの特性が長期にわたり持続する耐久性、耐摩耗性、耐傷性を有する防汚性積層体を提供する。更に、自動車フロントガラスのように基材加工温度に制約がある場合でも被膜形成可能な低温被膜形成できる防汚性積層体を提供する。
【解決手段】基材2の少なくとも一方の面側に、炭素を含有しない金属酸化物層5を有し、該金属酸化物層の上に炭素を含有する金属酸化物層4、更に、最上層に含フッ素有機珪素化合物とアルコキシシランの混合物からなる撥水層3を有することを特徴とする防汚性積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、高耐久性の撥水膜を基材上に有する高耐久性の風防ガラス等の防汚性積層体に関するものである。
従来、ガラス等の基材表面に撥水膜を形成した撥水性、防汚性のガラスはよく知られている。
ガラス板その他の基材の表面に撥水性被膜を形成させる際に、基材と撥水性被膜との結合強度を向上させることを目的として、また、基材がアルカリ成分を含む場合には、アルカリ成分が基材から撥水性被膜へ拡散することを防止して撥水性被膜の耐久性能を高めることを目的として、基材と撥水層との間にシリカ等の下地層を形成する技術が知られている。
この下地層および撥水性被膜を形成する方法としては、基材にシリカ等の下地膜を形成した後に撥水膜を形成する2層膜構造とする方法(例えば、特許文献1参照)、また、特許文献2には、フルオロアルキル基含有シラン化合物とアルコキシシラン類をアルコール系溶媒中で酸触媒を用いて加水分解反応させ、共縮合体を形成させた液を基材表面に塗布した撥水性、防汚性を有するガラスが開示されている。
しかしながら、例えば自動車用の風防ガラス等の防汚性ガラスに要求される耐候性、耐久性のレベルは高く、撥水性、および滑落性のレベルが数年に亘って維持される高耐久性の防汚性ガラスとして充分な撥水性付与方法は達成されておらず、さらなる検討が続けられている。特に、耐候性能と耐機械磨耗性能の向上と両立は非常に難しい課題として考えられ、様々な検討が行われている。
更に下地膜中に炭素を20at%未満含ませることにより、基材との密着性を向上させる方法(例えば特許文献3参照)があるが、耐候性を向上させる効果についてはまだ知られていない。
特許2500824号公報 特許3842554号公報 特開2002−113805号公報
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、その目的は、優れた撥水性、滑落性(水滴転落性)を備えるとともに、これらの特性が長期にわたり持続する耐久性、耐摩耗性、耐傷性を有する防汚性積層体を提供することにある。また更に、自動車フロントガラスのように基材加工温度に制約がある場合でも被膜形成可能な低温被膜形成できる防汚性積層体を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.基材の少なくとも一方の面側に、炭素を含有しない金属酸化物層を有し、該金属酸化物層の上に炭素を含有する金属酸化物層、更に、最上層に含フッ素有機珪素化合物とアルコキシシランの混合物からなる撥水層を有することを特徴とする防汚性積層体。
2.前記炭素を含有する金属酸化物層は、珪素酸化物を主成分とし、かつ、層内に含まれる炭素含有量が1.0原子%以上20.0原子%以下であることを特徴とする前記1に記載の防汚性積層体。
3.前記炭素を含有する金属酸化物層の膜厚は10〜50nmであることを特徴とする前記1及び2に記載の防汚性積層体。
4.前記炭素を含有しない金属酸化物層は珪素酸化物を主成分とし、該層内に含有される炭素含有量は0.1原子%以下であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の防汚性積層体。
5.前記炭素を含有する金属酸化物層および前記炭素を含有しない金属酸化物層が、大気圧プラズマ法で形成されることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の防汚性積層体。
本発明により、優れた撥水性、滑落性(水滴転落性)を備えるとともに、これらの特性が長期にわたり持続する耐久性、耐摩耗性、耐傷性を有する防汚性積層体本発明により、自動車用の風防ガラス等に最適な防汚性積層体を得ることができた。
本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。 本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。 図2に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 帯電防止層の形成に用いる大気圧プラズマ装置の一例を示す概略構成図である。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基材上に、炭素を含有しない金属酸化物層を有し、該金属酸化物層の上に炭素を含有する金属酸化物層、更に、最上層に含フッ素有機珪素化合物とアルコキシシランの混合物からなる撥水層を有する構成により、撥水性、滑落性(水滴転落性)およびこれらの特性が長期にわたり持続する耐久性、耐摩耗性、耐傷性に優れた防汚性積層体を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
すなわち、基材上に形成される不純物混入のない金属酸化物層が基材中からのブリードアウト成分を抑制し、更に上記炭素を含有する金属酸化物層は含フッ素有機珪素化合物との結合を促進する効果がある炭素原子含有膜であり、その結果、最上層の撥水層が高密度で存在するために耐久性が向上すると推測している。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基材の少なくとも一方の面側に、炭素を含有しない金属酸化物層を有し、該金属酸化物層の上に、炭素を含有する金属酸化物層、更に、最上層に含フッ素有機珪素化合物とアルコキシシランの混合物からなる撥水層を有することを特徴とする防汚性積層体により、撥水性、滑落性(水滴転落性)および耐久性、耐摩耗性、耐傷性に優れた防汚性積層体を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
また、本発明に係るラジカル捕捉層および前記金属酸化物層の形成方法としては、大気圧プラズマ法を適用することが好ましい。
以下、本発明の詳細について説明する。
《金属酸化物層》
本発明の防汚性積層体においては、基材上に、酸化珪素を含有する炭素を含有しない金属酸化物層を有し、該炭素を含有しない金属酸化物層内における炭素含有量が、0.1原子%以下であることを特徴とする。
又、前記炭素を含有する金属酸化物層は、珪素酸化物を主成分とし、炭素を含んでいる以外は金属酸化物層と同様であって、前記炭素を含有する金属酸化物層内に含有される炭素含有量が1.0原子%以上20.0原子%以下であることが好ましい態様である。
更には、酸化珪素を含有する金属酸化物層は、大気圧プラズマ法により形成されること、膜内に含有される炭素含有量は0.1原子%以下で形成されていることが好ましい。
図1は、本発明の防汚性積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。
図1のa)において、防汚性積層体1は、基材2上に、本発明に係る炭素を含有しない金属酸化物層3と、その上に炭素を含有する金属酸化物層4が形成され、また、最上層に含フッ素有機珪素化合物とアルコキシシランの混合物からなる撥水層5から構成されている。
また、本発明に係る炭素を含有しない金属酸化物層の膜厚は、特に制限はないが、1nm以上、500nm以下であることが好ましく、更に好ましくは10nm以上、100nm以下である。また、前記炭素を含んだ金属酸化物層の膜厚は10〜50nmである。
本発明の防汚性積層体において、金属酸化物層内で炭素原子数濃度を所望の条件に制御する方法としては、特に制限はないが、例えば、後述する本発明で好ましく用いられる大気圧プラズマ法を用いた成膜においては、ロール回転電極に対する固定電極群の設置角度、放電空間に供給する膜形成原料の種類及び供給量、分解ガス組成あるいはプラズマ放電時の出力条件を適宜選択することにより得ることができる。
本発明でいう金属酸化物層の炭素含有量(炭素原子数濃度)は、公知の分析手段を用いて求めることができるが、本発明においては、下記のXPS法によって算出されるもので、以下に定義される。
原子数濃度%(atomic concentration)=炭素原子の個数/全原子の個数×100
XPS表面分析装置は、本発明では、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。具体的には、X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5eV〜1.7eVとなるように設定した。
測定としては、先ず、結合エネルギー0eV〜1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこない、各元素のスペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピュータの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理をおこない、各分析ターゲットの元素(炭素、酸素、ケイ素、チタン等)の含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めた。
定量処理をおこなう前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションをおこない、5ポイントのスムージング処理をおこなった。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。また、Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
本発明に係る酸化珪素を含有する金属酸化物層は、後述する原材料をスプレー法、スピンコート法、スパッタリング法、イオンアシスト法、プラズマCVD法、後述する大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法等を適用して形成することができる。
しかしながら、スプレー法やスピンコート法等の湿式法では、分子レベル(nmレベル)の平滑性を得ることが難しく、また溶剤を使用するため、透明樹脂基材が有機材料であることから、使用可能な基材または溶剤が限定されるという欠点がある。そこで、本発明においては、大気圧プラズマCVD法を適用することが、減圧チャンバー等が不要で、高速製膜ができ生産性の高い製膜方法である点から好ましい。上記炭素原子数濃度差を有する金属酸化物層を大気圧プラズマCVD法で形成することにより、均一かつ表面の平滑性を有し、所望の炭素含有量プロファイルを有する膜を比較的容易に形成することが可能となるからである。なお、大気圧プラズマCVD法の層形成条件の詳細については、後述する。
本発明に係る大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られる炭素原子数濃度差を有する金属酸化物層は、原材料(原料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力、対向電極間距離などの条件を選ぶことで形成することができる。
例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いることにより、珪素酸化物を得ることができ、また、分解ガスに二酸化炭素を用いることにより、珪素炭酸化物が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機物の原料としては、典型または遷移金属元素を有していれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。又、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール,エタノール,n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
このような酸化珪素膜である金属酸化物層を形成する珪素化合物としては、例えば、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
また、これらの珪素原子を含む原料ガスを分解して酸化珪素膜を得るための分解ガスとしては、例えば、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガスなどが挙げられる。
珪素元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、各種の珪素炭化物、珪素窒化物、珪素酸化物、珪素ハロゲン化物、珪素硫化物を得ることができる。
これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。このような放電ガスとしては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
《大気圧プラスマ処理法》
次いで、本発明の防汚性積層体において、特に、炭素原子含有量の異なる金属酸化物層の形成に好適に用いることのできる大気圧プラズマCVD法について、更に詳細に説明する。
従来より知られているプラズマCVD法は、プラズマ助成式化学的気相成長法、PECVD法とも称され、各種の無機物を、立体的な形状でも被覆性、密着性が良く、かつ基材温度をあまり高くすることなしに製膜することができる手法である。
通常のCVD法(化学的気相成長法)では、揮発・昇華した有機金属化合物が高温の基材表面に付着し、熱により分解反応が起き、熱的に安定な無機物の薄膜が生成されるというものである。このような通常のCVD法(熱CVD法とも称する)では、通常500℃以上の基板温度が必要であるため、透明樹脂基材への製膜には使用することができない。
一方、プラズマCVD法は、基材近傍の空間に電界を印加し、プラズマ状態となった気体が存在する空間(プラズマ空間)を発生させ、揮発・昇華した有機金属化合物がこのプラズマ空間に導入されて分解反応が起きた後に基材上に吹きつけられることにより、無機物の薄膜を形成するというものである。プラズマ空間内では、数%の高い割合の気体がイオンと電子に電離しており、ガス温度は低く保たれるものの、電子温度は非常な高温のため、この高温の電子、あるいは低温ではあるがイオン・ラジカルなどの励起状態のガスと接するために無機膜の原料である有機金属化合物は低温でも分解することができる。したがって、無機物を製膜する基材についても低温化することができ、プラスチック基材上へも十分製膜することが可能な製膜方法である。
しかしながら、プラズマCVD法においては、ガスに電界を印加して電離させ、プラズマ状態とする必要があるため、通常は、0.1kPa〜10kPa程度の減圧空間で製膜するため、大面積のフィルムを製膜する際には設備が大きく操作が複雑であり、生産性の課題を抱えている方法である。
これに対し、本発明に好適に用いることができる大気圧近傍でのプラズマCVD法(以下、大気圧プラズマCVD法あるいは大気圧プラズマ法という)は、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために製膜速度が速く、更にはCVD法の通常の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて平坦な膜が得られ、そのような平坦な膜は、光学特性が良好である。以上のことから、本発明においては、大気圧プラズマCVD法を適用することが、真空下のプラズマCVD法よりも好ましい。
以下、大気圧或いは大気圧近傍での大気圧プラズマCVD法を用いた金属酸化物層を形成する装置について詳述する。
本発明の防汚性積層体の製造方法において、炭素を有する金属酸化物層の形成に使用されるプラズマ製膜装置の一例について、図2〜図5に基づいて説明する。図中、符号Fは基材の一例としての長尺フィルムである。
図2は、本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電界印加手段の他に、図2では図示してない(後述の図3に図示してある)ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの周波数ω、電界強度V、電流Iの第1の高周波電界が印加され、また第2電極12からは第2電源22からの周波数ω、電界強度V、電流Iの第2の高周波電界が印加されるようになっている。第1電源21は第2電源22より高い高周波電界強度(V>V)を印加出来、また第1電源21の第1の周波数ωは第2電源22の第2の周波数ωより低い周波数を印加できる。
第1電極11と第1電源21との間には、第1フィルター23が設置されており、第1電源21から第1電極11への電流を通過しやすくし、第2電源22からの電流をアースして、第2電源22から第1電源21への電流が通過しにくくなるように設計されている。
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2フィルター24が設置されており、第2電源22から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源21からの電流をアースして、第1電源21から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、後述の図3に図示してあるようなガス供給手段からガスGを導入し、第1電極11と第2電極12から高周波電界を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、後述の図3に図示してあるような電極温度調節手段から媒体が配管を通って電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成等は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラができるだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、複数基接して直列に並べて同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることができるので、何回も処理され高速で処理することもできる。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層、例えば、撥水層の積層薄膜を形成することもできる。
図3は、本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電界印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
図4は、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との対向電極間(放電空間)32で、基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。図5においては、1対の角筒型固定電極群(第2電極)36とロール回転電極(第1電極)35とで、1つの電界を形成し、この1ユニットで、例えば、低炭素原子数濃度層の形成を行う。図3においては、この様な構成からなるユニットを、計5カ所備えた構成例を示してあり、それぞれのユニットで、供給する原材料の種類、出力電圧等を任意に独立して制御することにより、本発明で規定する炭素原子数濃度違いの構成からなる積層型の炭素含有金属酸化物層を連続して形成することができる。
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との間の放電空間(対向電極間)32に、ロール回転電極(第1電極)35には第1電源41から周波数ω、電界強度V、電流Iの第1の高周波電界を、また角筒型固定電極群(第2電極)36にはそれぞれに対応する各第2電源42から周波数ω、電界強度V、電流Iの第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール回転電極(第1電極)35と第1電源41との間には、第1フィルター43が設置されており、第1フィルター43は第1電源41から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源42からの電流をアースして、第2電源42から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)36と第2電源42との間には、それぞれ第2フィルター44が設置されており、第2フィルター44は、第2電源42から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源41からの電流をアースして、第1電源41から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
なお、本発明においては、ロール回転電極35を第2電極、また角筒型固定電極群36を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より高い高周波電界強度(V>V)を印加することが好ましい。また、周波数はω<ωとなる能力を有している。
また、電流はI<Iとなることが好ましい。第1の高周波電界の電流Iは、好ましくは0.3mA/cm〜20mA/cm、さらに好ましくは1.0mA/cm〜20mA/cmである。また、第2の高周波電界の電流Iは、好ましくは10mA/cm〜100mA/cm、さらに好ましくは20mA/cm〜100mA/cmである。
ガス供給手段50のガス発生装置51で発生させたガスGは、流量を制御して給気口よりプラズマ放電処理容器31内に導入する。
基材Fを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されてくるか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群36との間に移送し、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との両方から電界をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。
基材Fはロール回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。基材Fは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。なお、放電処理済みの処理排ガスG′は排気口53より排出する。
薄膜形成中、ロール回転電極(第1電極)35及び角筒型固定電極群(第2電極)36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
図2に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、本発明で規定する炭素含有プロファイルを有する金属酸化物層を形成する方法としては、特に制限はないが、ロール回転電極35に対し、複数個の角筒型固定電極群36(図3においては10個)を設置し、それぞれの放電空間32に供給する金属酸化物層形成用の種類及び供給量(濃度)、分解ガス組成あるいはプラズマ放電時の出力条件を適宜選択することにより、目的とする炭素含有率プロファイルを得ることができる。
図4は、図2に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図4において、ロール電極35aは導電性の金属質母材35Aとその上に誘電体35Bが被覆されたものである。プラズマ放電処理中の電極表面温度を制御するため、温度調節用の媒体(水もしくはシリコンオイル等)が循環できる構造となっている。
図5は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図5において、角筒型電極36aは、導電性の金属質母材36Aに対し、図3同様の誘電体36Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されていおり、該電極の放電面積はロール回転電極35に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
図5に示した角筒型電極36aは、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
図4及び図5において、ロール電極35a及び角筒型電極36aは、それぞれ導電性の金属質母材35A及び36Aの上に誘電体35B及び36Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
導電性の金属質母材35A及び36Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることができるが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
対向する第1電極および第2の電極の電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、該誘電体表面ともう一方の電極の導電性の金属質母材表面との最短距離のことを言う。
双方の電極に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離の最短距離のことを言う。電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電界強度の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
プラズマ放電処理容器31は、パイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い、絶縁性を付与してもよい。図2において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することができる。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用できる。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明においては、このような電界を印加して、均一で安定な放電状態を保つことができる電極を大気圧プラズマ放電処理装置に採用することが好ましい。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成ガスに与え、薄膜を形成する。第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm、より好ましくは20W/cmである。下限値は、好ましくは1.2W/cmである。なお、放電面積(cm)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、第1電極(第1の高周波電界)にも、1W/cm以上の電力(出力密度)を供給することにより、第2の高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることができる。これにより、更なる均一高密度プラズマを生成出来、更なる製膜速度の向上と膜質の向上が両立できる。好ましくは5W/cm以上である。第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cmである。
ここで、高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
また、本発明で膜質をコントロールする際には、第2電源側の電力を制御することによっても達成できる。
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10−6/℃以下、更に好ましくは5×10−6/℃以下、特に好ましくは2×10−6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
1:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
2:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング
3:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜
4:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング
5:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
6:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
7:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
8:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記1項または2項および5〜8項が好ましく、特に1項が好ましい。
本発明において、金属質母材は、上記の特性からは、チタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることができる。
本発明に適用できる大気圧プラズマ放電処理装置としては、上記説明した以外に、例えば、特開2004−68143号公報、同2003−49272号公報、国際特許第02/48428号パンフレット等に記載されている大気圧プラズマ放電処理装置を挙げることができる。
《撥水層》
本発明に係る撥水層では、含フッ素有機珪素化合物とアルコキシシランの混合物からなるものを含有することを特徴とする。
フッ素原子を含有する有機基を有する有機珪素化合物において、フッ素原子を含有する有機基としては、フッ素原子を有するアルキル基、アルケニル基、アリール基等を有する有機基が挙げられるが、本発明に好ましく用いられるフッ素原子を含有する有機基を有する有機珪素化合物としては、これらのフッ素原子を含有する有機基が、金属原子、例えば、珪素、チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、スズ、アルミニウム、インジウム、アンチモン、イットリウム、ランタニウム、鉄、ネオジウム、銅、ガリウム、ハフニウム等の金属に直接結合した有機金属化合物である。これらの金属のうちでは、珪素、チタン、ゲルマニウム、ジルコニウム、スズ等が更に好ましく、特に好ましいのは珪素、チタンである。これらのフッ素原子を含有する有機基は、金属化合物にいかなる形で結合していてもよく、例えば、シロキサン等複数の金属原子を有する化合物が、これらの有機基を有する場合、少なくとも1つの金属原子がフッ素原子を含有する有機基を有していれば良く、またその位置も問わない。
上記のフッ素原子を含有する有機基を有する有機珪素化合物を用いた撥水層の形成方法によると、フッ素原子を含有する有機基を有する有機珪素化合物が、撥水層の下部に設けた本発明に係る金属酸化物層が含有する酸化珪素との結合を形成し易く、本発明の優れた効果を奏することができると推定している。
本発明において用いられるフッ素原子を含有する有機基を有する有機珪素化合物としては、特に制限はないが、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010173294
式中、MはSi、Ti、Ge、ZrまたはSnを表す。また、R〜Rは各々水素原子または一価の基を表し、R〜Rで表される基の少なくとも1つは、フッ素原子を含有する有機基であり、例えば、フッ素原子を含有するアルキル基、アルケニル基またはアリール基を有する有機基が好ましく、フッ素原子を含有するアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基等の基が、フッ素原子を含有するアルケニル基としては、例えば、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル基等の基が、また、フッ素原子を含有するアリール基としては、例えば、ペンタフルオロフェニル基等の基が挙げられる。また、これらフッ素原子を含有するアルキル基、アルケニル基、またアリール基から形成されるアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基等なども用いることができる。
また、フッ素原子は、前記アルキル基、アルケニル基、アリール基等においては、骨格中の炭素原子のどの位置に任意の数結合していてもよいが、少なくとも1個以上結合していることが好ましい。また、アルキル基、アルケニル基骨格中の炭素原子は、例えば、酸素、窒素、硫黄等他の原子、また、酸素、窒素、硫黄等を含む2価の基、例えば、カルボニル基、チオカルボニル基等の基で置換されていてもよい。
〜Rで表される基のうち、前記フッ素原子を有する有機基以外は、水素原子または1価の基を表し、1価の基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基等の基が挙げられるが、これに限定されない。jは0〜150の整数を表し、好ましくは0〜50、更に好ましいのはjが0〜20の範囲である。
前記1価の基のうち、ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。また、前記1価の基である前記アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基のうち、好ましいのは、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基である。
また、Mで表される金属原子のうち、好ましいのは、Si、Tiである。
前記1価の基は、更にその他の基で置換されていてもよく、特に限定されないが、好ましい置換基としては、アミノ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、フェニル基等のアリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカンアミド基、アリールアミド基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、シリル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等の基が挙げられる。
また、前記フッ素原子を有する有機基、またはそれ以外のこれらR〜Rで表される基は、RM−(Mは、前記金属原子を表し、R、R、Rはそれぞれ1価の基を表し、1価の基としては前記フッ素原子を有する有機基またはR〜Rとして挙げられた前記フッ素原子を有する有機基以外の基を表す。)で表される基によって更に置換された複数の金属原子を有する構造であっても良い。これらの金属原子としては、Si、Tiなどが挙げられ、例えば、シリル基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
前記R〜Rにおいて挙げられたフッ素原子を含有する基であるアルキル基、アルケニル基、またこれらから形成されるアルコキシ基、アルケニルオキシ基におけるアルキル基、アルケニル基としては、下記一般式(F)で表される基が好ましい。
一般式(F)
Rf−X−(CH
ここにおいてRfは、水素の少なくとも1つがフッ素原子により置換されたアルキル基、アルケニル基を表し、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロオクチル基、ヘプタフルオロプロピル基のようなパーフルオロアルキル基等の基、また、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基等の基、また、1,1,1−トリフルオロ−2−クロルプロペニル基等のようなフッ素原子により置換されたアルケニル基が好ましく、中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロオクチル基、ヘプタフルオロプロピル基等の基、また、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基等の少なくとも2つ以上のフッ素原子を含有するアルキル基が好ましい。
また、Xは単なる結合手または2価の基である、2価の基としては−O−、−S−、−NR−(Rは水素原子またはアルキル基を表す)等の基、−CO−、−CO−O−、−CONH−、−SONH−、−SO−O−、−OCONH−、
Figure 2010173294
等の基を表す。
kは0〜50、好ましくは0〜30の整数を表す。
Rf中にはフッ素原子のほか、他の置換基が置換されていてもよく、置換可能な基としては、前記R〜Rにおいて置換基として挙げられた基と同様の基が挙げられる。また、Rf中の骨格炭素原子が他の原子、例えば、−O−、−S−、−NR−(Rは水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基を表し、また前記一般式(F)で表される基であってもよい)、カルボニル基、−NHCO−、−CO−O−、−SONH−等の基によって一部置換されていてもよい。
前記一般式(1)で表される化合物のうち、好ましいのは下記一般式(2)で表される化合物である。
一般式(2)
[Rf−X−(CH−M(R10(OR11
一般式(2)において、Mは前記一般式(1)と同様の金属原子を表し、Rf、Xは前記一般式(F)におけるRf、Xと同様の基を表し、kについても同じ整数を表す。R10はアルキル基、アルケニル基を、またR11はアルキル基、アルケニル基、アリール基を表し、それぞれ、前記一般式(1)のR〜Rの置換基として挙げた基と同様の基により置換されていてもよいが、好ましくは、非置換のアルキル基、アルケニル基を表す。また、q,r,tはそれぞれ整数を表し、q+r+t=4であり、q≧1、またt≧1である。また、r≧2の時2つのR10は連結して環を形成してもよい。
一般式(2)のうち、更に好ましいものものは下記一般式(3)で表される化合物である。
一般式(3)
Rf−X−(CH−M(OR12
ここにおいて、Rf、Xまたkは、前記一般式(2)におけるものと同義である。また、R12も、前記一般式(2)におけるR11と同義である。また、Mも前記一般式(2)におけるMと同様であるが、特に、Si、Tiが好ましく、最も好ましいのはSiである。
本発明において、フッ素原子を含有する有機基を有する有機金属化合物の他の好ましい例は、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2010173294
前記一般式(4)において、R〜Rは、前記一般式(1)におけるR〜Rと同義である。ここにおいても、R〜Rの少なくとも1つは、前記フッ素原子を有する有機基であり、前記一般式(F)で表される基が好ましい。Rは水素原子、または置換もしくは非置換のアルキル基を表す。また、jは0〜100の整数を表し、好ましくは0〜50、最も好ましいのはjが0〜20の範囲である。
本発明において用いられる他の好ましいフッ素原子を有する化合物として、下記一般式(5)で表されるフッ素原子を含有する有機基を有する有機金属化合物がある。
一般式(5)
[Rf−X−(CH−Y]−M(R(OR
一般式(5)において、MはIn、Al、Sb、YまたはLaを表す。Rf、Xは前記一般式(F)におけるRf、Xと同様の基を表し、Yは単なる結合手または酸素を表す。kについても同じく0〜50の整数を表し、好ましくは30以下の整数である。Rはアルキル基またはアルケニル基を、またRはアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、それぞれ、前記一般式(1)のR〜Rの置換基として挙げた基と同様の基により置換されていてもよい。また、一般式(5)において、m,n,pはそれぞれ整数を表し、m+n+p=3であり、mは少なくとも1であり、nは0〜2を、またpも0〜2の整数を表す。m+p=3、即ちn=0であることが好ましい。
本発明において用いられる他の好ましいフッ素原子を含有する化合物として、下記一般式(6)で表されるフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物がある。
一般式(6)
Rf(OCm1−O−(CFn1−(CHp1−Z−(CHq1−Si−(R
一般式(6)において、Rfは炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基、Rは加水分解基、Zは−OCONH−又は−O−を表し、m1は1〜50の整数、n1は0〜3の整数、p1は0〜3の整数、q1は1〜6の整数を表し、6≧n1+p1>0である。
Rfに導入しうる直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜16がより好ましく、1〜3が最も好ましい。従って、Rfとしては、−CF、−C、−C等が好ましい。
に導入しうる加水分解基としては、−Cl、−Br、−I、−OR11、−OCOR11、−CO(R11)C=C(R12、−ON=C(R11、−ON=CR13、−N(R12、−R12NOCR11などが好ましい。R11はアルキル基などの炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を、またはフェニル基などの炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、R12は水素原子またはアルキル基などの炭素数1〜5の脂肪族炭化水素を表し、R13はアルキリデン基などの炭素数3〜6の二価の脂肪族炭化水素基を表す。これらの加水分解基の中でも、−OCH、−OC、−OC、−OCOCH及び−NHが好ましい。
上記一般式(6)におけるm1は1〜30あることがより好ましく、5〜20であることが更に好ましい。n1は1または2であることがより好ましく、p1は1または2であることがより好ましい。また、q1は1〜3であることがより好ましい。
本発明において用いられる他の好ましいフッ素原子を有する化合物として、前記一般式(7)で表されるフッ素原子を含有する有機基を有する有機金属化合物がある。
Figure 2010173294
前記一般式(7)において、Rfは炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、Xはヨウ素原子または水素原子、Yは水素原子または低級アルキル基、Zはフッ素原子またはトリフルオロメチル基、R21は加水分解可能な基、R22は水素原子または不活性な一価の有機基を表し、a、b、c、dはそれぞれ0〜200の整数、eは0または1、mおよびnは0〜2の整数、pは1〜10の整数を表す。
前記一般式(7)において、Rfは、通常、炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基であり、好ましくは、CF基、C基、C基である。Yにおける低級アルキル基としては、通常、炭素数1〜5のものが挙げられる。
21の加水分解可能な基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、R23O基、R23COO基、(R24C=C(R23)CO基、(R23C=NO基、R25C=NO基、(R24N基、及びR23CONR24基が好ましい。ここで、R23はアルキル基等の通常は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基またはフェニル基等の通常は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、R24は水素原子またはアルキル基等の通常は炭素数1〜5の低級脂肪族炭化水素基、R25はアルキリデン基等の通常は炭素数3〜6の二価の脂肪族炭化水素基である。さらに好ましくは、塩素原子、CHO基、CO基、CO基である。
22は、好ましくは、アルキル基等の通常は炭素数1〜4の一価の炭化水素基である。a、b、c、dは好ましくは1〜50である。mおよびnは、好ましくは0である。pは1または2以上の整数であり、さらに好ましくは1〜5の整数である。また、一般式(7)で表されるシラン化合物の数平均分子量は5×10〜1×10であり、好ましくは1×10〜1×10である。
また、前記一般式(7)で表されるシラン化合物の好ましい構造のものとして、RfがC基であり、aが1〜50の整数であり、b、c及びdが0であり、eが1であり、Zがフッ素原子であり、nが0である化合物である。
本発明に好ましく用いられるフッ素を含有する有機基を有する有機金属化合物、及び前記一般式(1)〜(7)で表される化合物の代表的化合物例を以下に挙げるが、本発明ではこれらの化合物に限定されるものではない。
1:(CFCHCHSi
2:(CFCHCHSi(CH
3:(C17CHCH)Si(OC
4:CH=CHSi(CF
5:(CH=CHCOO)Si(CF
6:(CFCHCHSiCl(CH
7:C17CHCHSi(Cl)
8:(C17CHCHSi(OC
9:CFCHCHSi(OCH
10:CFCHCHSiCl
11:CF(CFCHCHSiCl
12:CF(CFCHCHSiCl
13:CF(CFCHCHSi(OCH
14:CF(CFCHCHSiCl
15:CF(CFCHCHSi(OCH
16:CF(CFCHSi(OC
17:CF(CHSi(OC
18:CF(CHSi(OC
19:CF(CHSi(OC
20:CF(CF(CHSi(OC
21:CF(CF(CHSi(OC
22:CF(CF(CHSi(OC
23:CF(CF(CHSi(OC
24:CF(CF(CHSi(OCH)(OC
25:CF(CF(CHSi(OCHOC
26:CF(CF(CHSiCH(OCH
27:CF(CF(CHSiCH(OC
28:CF(CF(CHSiCH(OC
29:(CFCF(CF(CHSi(OCH
30:C15CONH(CHSi(OC
31:C17SONH(CHSi(OC
32:C17(CHOCONH(CHSi(OCH
33:CF(CF(CHSi(CH)(OCH
34:CF(CF(CHSi(CH)(OC
35:CF(CF(CHSi(CH)(OC
36:CF(CF(CHSi(C)(OCH
37:CF(CF(CHSi(C)(OC
38:CF(CHSi(CH)(OCH
39:CF(CHSi(CH)(OC
40:CF(CHSi(CH)(OC
41:CF(CF(CHSi(CH)(OCH
42:CF(CF(CHSi(CH)(OC
43:CF(CFO(CF(CHSi(OC
44:C15CHO(CHSi(OC
45:C17SOO(CHSi(OC
46:C17(CHOCHO(CHSi(OCH
47:CF(CFCH(C)CHSi(OCH
48:CF(CFCH(C)CHSi(OCH
49:(CF(p−CH−C)COCHCHCHSi(OCH
50:CFCO−O−CHCHCHSi(OCH
51:CF(CFCHCHSi(CH)Cl
52:CFCHCH(CH)Si(OCH
53:CFCO−O−Si(CH
54:CFCHCHSi(CH)Cl
55:(CF(p−CH−C)COCHCHSi(OCH
56:(CF(p−CH−C)COCHCHSi(OC
57:(CF)(CHSi−O−Si(CH
58:(CF)(CHSi−O−Si(CF)(CH
59:CF(OC24−O−(CF−CH−O−CHSi(OCH
60:CFO(CF(CF)CFO)CFCONHCSi(OC (m=11〜30)
61:(CO)SiCNHCOCFO(CFO)(CFCFO)CFCONHCSi(OC (n/p=約0.5、数平均分子量=約3000)
62:C−(OCFCFCF)q−O−(CF−[CHCH{Si−(OCH}]−H (q=約10)
63:F(CF(CF)CFO)15CF(CF)CONHCHCHCHSi(OC
64:F(CF[CHCH(Si(OCH)]2.02OCH
65:(CO)SiCNHCO−[CF(OC10(OCFOCF]−CONHCSi(OC
66:C(OC24O(CFCHOCHSi(OCH
67:CF(CF(C)CSi(OCH
68:(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH
69:CF(CF(C)CSiCH(OCH
70:CF(CF(C)CSi(OC
71:CF(CFSi(NCO)
72:CF(CFSi(NCO)
73:C19CONH(CHSi(OC
74:C19CONH(CHSiCl
75:C19CONH(CHSi(OC
76:CO(CF(CF)CFO)−CF(CF)−CONH(CH)Si(OC
77:CFO(CF(CF)CFO)CFCONH(CHSiOSi(OC(CHNHCOCF(OCFCF(CF))OCF
78:CCOOCHSi(CHOSi(CHCHOCOC
79:CF(CFCHCHO(CHSi(CHOSi(CH(CHOCHCH(CFCF
80:CF(CFCHCHO(CHSi(CHOSi(CH(OC
81:CF(CFCHCHO(CHSi(CHOSi(CH)(OC
82:CF(CFCHCHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(OC
上記例示した化合物の他には、フッ素置換アルコキシシランとして、
83:(パーフルオロプロピルオキシ)ジメチルシラン
84:トリス(パーフルオロプロピルオキシ)メチルシラン
85:ジメチルビス(ノナフルオロブトキシ)シラン
86:メチルトリス(ノナフルオロブトキシ)シラン
87:ビス(パーフルオロプロピルオキシ)ジフェニルシラン
88:ビス(パーフルオロプロピルオキシ)メチルビニルシラン
89:ビス(1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロブトキシ)ジメチルシラン
90:ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)ジメチルシラン
91:トリス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)メチルシラン
92:テトラキス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)シラン
93:ジメチルビス(ノナフルオロ−t−ブトキシ)シラン
94:ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロポキシ)ジフェニルシラン
95:テトラキス(1,1,3,3−テトラフルオロイソプロポキシ)シラン
96:ビス〔1,1−ビス(トリフルオロメチル)エトキシ〕ジメチルシラン
97:ビス(1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロ−2−ブトキシ)ジメチルシラン
98:メチルトリス〔2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1,1−ビス(トリフルオロメチル)プロポキシ〕シラン
99:ジフェニルビス〔2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)−1−トリルエトキシ〕シラン
等の化合物や、以下の化合物、
100:(CFCHSi(CH−NH
101:(CFCHSi−N(CH
Figure 2010173294
更に、
Figure 2010173294
等のシラザン類や、
106:CFCH−CHTiCl
107:CF(CFCHCHTiCl
108:CF(CFCHCHTi(OCH
109:CF(CFCHCHTiCl
110:Ti(OC
111:(CFCH−CHO)TiCl
112:(CF)(CHTi−O−Ti(CH
等のフッ素を有する有機チタン化合物、また、以下のようなフッ素含有有機金属化合物を例として挙げることができる。
113:CF(CFCHCHO(CHGeCl
114:CF(CFCHCHOCHGe(OCH
115:(CO)Ge(OCH
116:[(CFCHO]Ge
117:[(CFCHO]Zr
118:(CCHCHSn(OC
119:(CCHCH)Sn(OC
120:Sn(OC
121:CFCHCHIn(OCH
122:In(OCHCHOC
123:Al(OCHCHOC
124:Al(OC
125:Sb(OC
126:Fe(OC
127:Cu(OCHCHOC
128:C(OC24O(CFCHOCHSi(OCH
Figure 2010173294
これら具体例で挙げられた各化合物は、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)、信越化学工業(株)、ダイキン工業(株)(例えば、オプツールDSX)、旭ガラス社(例えば、サイトップ)また、Gelest Inc.ソルベイ ソレクシス(株)(例えば、Fluorolink S10)等により上市されており、容易に入手することができる他、例えば、J.Fluorine Chem.,79(1).87(1996)、材料技術,16(5),209(1998)、Collect.Czech.Chem.Commun.,44巻,750〜755頁、J.Amer.Chem.Soc.1990年,112巻,2341〜2348頁、Inorg.Chem.,10巻,889〜892頁,1971年、米国特許第3,668,233号明細書等、また、特開昭58−122979号、特開平7−242675号、特開平9−61605号、同11−29585号、特開2000−64348号、同2000−144097号公報等に記載の合成方法、あるいはこれに準じた合成方法により製造することができる。
本発明においては、これらのフッ素原子を含有する有機基を有する有機金属化合物を用いて、防汚膜を基材上に形成する。これらの有機金属化合物を主成分とする原料を用いるとは、撥水層形成に係る原料中、これらの成分が50質量%以上含まれることであり、好ましくは70質量%以上含まれることである。
本発明に係る撥水層の膜厚は、特に制限はないが、光学膜厚として1.0nm以上、50nm以下であることが、本発明の目的効果をより奏する観点から好ましい。
本発明でいう撥水層の光学膜厚は、公知の分析手段を用いて求めることができるが、本発明においては、X線反射率法により求めた値を用いている。
X線反射率法の概要は、例えば、X線回折ハンドブック 151ページ(理学電機株式会社編 2000年 国際文献印刷社)や化学工業1999年1月No.22を参照して行うことができる。
本発明に係る撥水層の形成方法に関しては、特に制限はないが、本発明に係る金属酸化物層の形成に好適に用いることができるのと同様な大気圧プラズマ法や湿式塗布法により形成することが好ましい。
本発明において、大気圧プラズマ法としては、大気圧もしくは大気圧近傍の圧力下で、放電ガス及びフッ素原子を20質量%以上含有する化合物、例えば、フッ素原子を含有する有機金属化合物を含む薄膜形成ガスから構成される混合ガスを放電空間に導入して励起し、該励起した混合ガスに、金属酸化物層を有する透明樹脂基材を晒すことにより、金属酸化物層上に撥水層を形成する。
本発明に係る撥水層の形成に用いることのできる大気圧プラズマ処理装置としては、上記金属酸化物層の形成で説明した大気圧プラズマCVD法の他、例えば、特開平11−133205号公報、特開2000−185362号公報、特開平11−61406号公報、特開2000−147209号公報、同2000−121804号公報等に開示されている技術を挙げることができる。
更に、以下に撥水層形成のおける好ましい条件を以下に説明する。
本発明に係る撥水層を形成する場合の対向電極間に印加する高周波電界の周波数としては特に限定はないが、高周波電源として100kHz以下とすることができ、本発明の目的効果をより奏する観点からは、より低周波数の30kHzとすることが好ましく、更に好ましくは1kHz以上、20kHz以下である。対向電極間に印加する高周波電圧は、断続的なパルス波であっても、連続したサイン波であっても構わないが、本発明の効果を高く得るためには、連続したサイン波であることが好ましい。
本発明において、電極間の距離は、電極の金属母材に設置した誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定される。上記電極の一方に誘電体を設置した場合の誘電体と電極の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設置した場合の誘電体同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.5mm〜20mmが好ましく、より好ましくは0.5〜5mm、更に好ましくは0.5〜3mm、特に好ましくは1mm±0.5mmである。
また、本発明に係る撥水層の形成に用いる放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素、酸素などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。放電ガスの量は、放電空間に供給する全ガス量に対し、70〜100体積%含有することが好ましい。
また、本発明に係る薄膜形成ガスとは、本発明に係るフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物を含有し、基材上に化学的に堆積して薄膜を形成するガスのことである。本発明においては、薄膜形成ガスに対する本発明に係る前述のフッ素原子を有する有機基を有する有機金属化合物の含有量としては、0.001〜30.0体積%の範囲であることが好ましい。
本発明において、薄膜形成ガスは、上述の放電ガスとして説明した窒素や希ガス等を含有することができる。なお、本発明の薄膜形成ガスは、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、空気等の補助ガスを0.001体積%〜30体積%混合させて使用してもよい。
また、本発明に係る撥水層は、湿式塗布方法により形成することもできる。
これらのシランカップリング剤を用いて金属酸化物層上にフッ素原子含有膜を塗設する方法としては、スピンコート塗布、ディップ塗布、エクストルージョン塗布、ロールコート塗布スプレー塗布、グラビア塗布、ワイヤーバー塗布、エアナイフ塗布等、特に制限されないが、シランカップリング剤を溶剤で希釈し、その中に金属酸化物層を有する透明樹脂基材を浸漬して塗布するディップコート法が簡便であり好ましい。
本発明においては、フッ素原子を含有する撥水層を金属酸化物層を有する透明樹脂基材の片面側に塗設する場合には、金属酸化物層を有する透明樹脂基材をガイドロールに巻き付け、透明樹脂基材幅より狭い条件で、ガイドロール下部に設けた液受けパンにフッ素原子を含有する化合物を含む撥水層形成用塗布液を満たし、ガイドロールで保持した金属酸化物層を有する透明樹脂基材を浸漬して塗布することもできる。
本発明に係る金属元素含有酸化物薄膜は、本発明に係る撥水・防汚膜の無機材料微粒子と同様の無機化合物、例えば、二酸化珪素(SiO)、アルミナ(Al)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウム(InO)、酸化スズ(SnO)、酸化タンタル(Ta)、ジルコニア(ZrO)等のセラミック材料から構成されることが、高い透過性を得られる観点から好ましい。本発明では、精緻なセラミック層を形成する方法として、前述の撥水・防汚膜の形成に好ましく用いられる大気圧プラズマ法を、同様にして金属元素含有酸化物薄膜形成に適用することが好ましい。
≪基材≫
本発明の撥水・防汚性物品に適用可能な基材としては、透明性に優れた基材であることが好ましく、透明ガラス基材などの無機質の透明基材やプラスチック基材などの有機質の透明樹脂基材が挙げられる。
透明樹脂基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン類、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、あるいはこれらの樹脂とシリカなどとの有機無機ハイブリッド樹脂等が挙げられる。
本発明においては、本発明の撥水・防汚性、滑水性や耐久性等の優れた特性を付与できる観点から、基材が透明ガラス基材であり、かつ最終的な撥水・防汚性物品として、可視光領域における平均透過率が、85%以上であることが、建築用窓ガラスあるいは車両用窓ガラスに適用した際に、優れた透明性を得ることができる観点から好ましい。
本発明でいう可視光領域における平均透過率とは、400〜700nmまでの可視光領域の透過率を、少なくとも5nm毎に測定して求めた可視光域の各透過率を積算し、その平均値として求めたものと定義する。各測定波長における透過率は、従来公知の測定機器を用いることができ、例えば、島津製作所社製の分光光度計UVIDFC−610、日立製作所社製の330型自記分光光度計、U−3210型自記分光光度計、U−3410型自記分光光度計、U−4000型自記分光光度計等を用いて測定することにより、求めることができる。
本発明に適用可能なガラス基材としては、表面に官能基(水酸基、アミノ基、チオール基など)を有する無機ガラスや有機ガラス、ソーダライムシリケートガラス基材などのアルカリ含有ガラス基材や、ホウケイ酸ガラス基材などの無アルカリガラス基材等を挙げることができる。また、ガラス基材は、合わせガラス、強化ガラスなどであってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
≪金属酸化物膜の形成≫
(下地層1 炭素を含有しない金属酸化物層)
予めアセトンで脱脂洗浄し、下記に示す大気圧プラズマ表面処理により表面の汚染物質を除去クリーニングした3mm厚みソーダライムガラス(オプトン社製)基材を用い、該基材上に下記に示す大気圧プラズマCVD処理条件1を用いてSiO膜10nmとなるように炭素含有のない金属酸化物層を形成した。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素ガス 94.9体積%
薄膜形成性ガス:テトラエトキシシラン
(気化器にて窒素ガスに混合して気化) 0.08体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈電源条件〉
第1電極側 電源種類 応用電機社製高周波電源
周波数 80kHz
出力密度 10W/cm
第2電極側 電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 8W/cm
炭素原子数濃度は、前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した結果、検出限界である0.1原子数%であることを確認した。
≪金属酸化物層の形成≫
(下地層2 炭素を含有する金属酸化物層)
下記に示す大気圧プラズマCVD処理条件を用いて、前記炭素含有のない金属酸化物層上に、膜厚が10〜30nmとなるように形成した。
〈ガス条件〉
放電ガス:アルゴンガス 94.9体積%
薄膜形成性ガス:テトラエトキシシラン
(気化器にてアルゴンガスに混合して気化) 0.08体積%
添加ガス:水素ガス 5.0体積%
〈電源条件〉
電源種類 パール工業社製高周波電源
周波数 13.56MHz
出力密度 15W/cm
炭素原子数濃度は同じく前述のVGサイエンティフィックス社製のESCALAB−200Rを用いたXPS法で測定した。結果、10〜20原子数%であることを確認した。
(大気圧プラズマ表面処理)
図1に記載のジェット方式大気圧プラズマ放電処理装置を用いて以下の条件により、下地膜が形成されたガラス基材あるいは下引き膜付き下地膜が形成されたガラス基材の表面にプラズマを照射して金属酸化物層を形成した。
<電源条件>
高周波側:パール工業社製高周波電源(13.56MHz) 6W/cm
低周波側:SEREN社製高周波電源(100kHz) 5W/cm
<電極条件>
板状電極(長さ50mm)は金属母材とその表面に厚み1mmのセラミックが溶射された2枚の電極を用いた。2枚の電極間のgapは1mmに設定し、それぞれの電極は冷却用の水(25℃)を通水して放電を行った。
<ガス条件>
放電ガス;窒素ガス 2slm/cm
反応ガス;酸素ガス 0.1slm/cm
※slm/cm・・・Standard Liter per Minute/単位ガス供給巾(cm)
標準状態:25℃、1atm(1.01325×10)で1分間に供給するガスの流量(L単位)
<処理時間>
被処理物が放電に晒される累計時間が10sec間となるように基材を往復搬送させて表面処理を行った。
≪撥水剤の形成≫
本発明において撥水層を形成するためのコーティング液の組成はエタノール100g(関東化学)に前述の含フッ素有機珪素化合物0.02g(例えばヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン:信越シリコーン製)テトラエトキシシラン1.2g(関東化学)上記(A)と(B)を混合して10min攪拌し、更に濃塩酸2gを混ぜ、50℃で1hr攪拌する。
このコーティング液の寿命は比較的に長いが、比較的酸触媒量が少ない場合や水分量が多い場合は、塗布前のコーティング液中で加水分解、縮重合反応が進みすぎるおそれがあるので、調整後2時間以内に塗布した方が好ましい。上記調整されたコーティング液を基材表面に塗布した後、室温で24時間乾燥させることによって撥水層が得られる。
《コーティング》
本発明では成膜時に自然に撥水基を配向させるため、コーティング液の塗布方法としては塗布膜をある程度ゆっくりと乾燥できる方法が好ましい。例えば、ディップコーティング、スピンコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、などが挙げられる。この中でも、特にフローコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティングが好ましく、本実施例では全てディップコーティングで塗布を行った。
表1に示すように、実施例1〜4及び比較例1〜4の防汚性積層体を作製した。
それぞれの特徴を以下に示す。
実施例1
ガラス基材上に下地層1の炭素濃度が0.1原子%以下である金属酸化物層を10nm形成し、更にその上に下地層2の炭素濃度が10〜20原子%以内である金属酸化物層を20nm形成し、最後に前記撥水コーティング液をディップコートすることで撥水層を形成した。
下地膜1、2共に大気圧プラズマCVD法で製膜。
実施例2
下地層2の金属酸化物層の炭素濃度を1〜10原子%以内で形成した以外は実施例1と同様に作製した。
実施例3
下地層2の金属酸化物層の膜厚を40nmで形成した以外は実施例1と同様に作製した。
実施例4
下地層2の金属酸化物層の膜厚を40nmで形成した以外は実施例2と同様に作製した。
比較例1
下地膜2の炭素濃度が10〜20原子%以内の金属酸化物層のみで作製した。
比較例2
下地膜1の炭素濃度が0.1原子%以下の金属酸化物層のみで作製した。
比較例3
下地膜1と下地膜2の順番が逆にして作製した。
比較例4
実施例1の下地膜1と下地膜2を全てゾルゲル法で製膜し、作製した。
<ゾルゲル法>
エタノール(関東化学)98.6g、テトラエトキシシラン(関東化学)0.4g、濃塩酸(35質量%、関東化学)1gを攪拌しながら添加しシリカ膜処理液を作製し、ディップ塗布により基材上に塗布した。
膜厚は引き上げ速度により調整、炭素濃度は焼成温度と時間により調整を行った。
評価方法
≪撥水性:水の静的接触角測定≫
撥水・防汚性物品の表面に3μLの水を滴下し、接触角測定器(協和界面科学(株)製接触角計CA−DT)を用いて滴下から15sec後の静的接触角を測定し、以下の基準で評価して撥水性評価とした。
◎ 静的接触角が、110°以上
○ 静的接触角が、100°以上110°未満
△ 静的接触角が、90°以上100°未満
× 静的接触角が、90°未満。
〔耐候性試験〕
耐紫外線試験機(「アイスーパーUVテスター SUV−W151」、岩崎電気製)を用いて、紫外線強度100mW/cmとし、ブラックパネル温度63℃、湿度40%の条件下で、照射500hrを行った。この試験後、撥水・防汚性物品表面に対し、上記の撥水性評価(初期の撥水性)および防汚性評価(マジックインキのはじき・拭き取り性)を行い、以下の基準に従い評価し、耐候性試験の評価とした。
◎ 静的接触角が100°以上
○ 静的接触角が90°以上100°未満
△ 静的接触角が80°以上90°未満
× 静的接触角が80°未満。
〔耐磨耗性試験〕
耐摩耗性試験として、往復摩耗試験機(新東科学(株)製HEIDON−14DR)に摩耗材としてフェルト(0.63g/cm)を取り付け、荷重600g/cmの条件で各撥水・防汚性物品の表面を速度100mm/secで10000回往復摺動させた。その際、5000回往復終了時にフェルト摩耗材を新しいものに取替え、引き続き5000回の往復摺動を行うことで計10000回の往復摺動を行った。10000回終了時の撥水性および滑落性を上記評価基準で評価して耐摩耗性評価とした。
◎ 静的接触角が100°以上
○ 静的接触角が90°以上100°未満
△ 静的接触角が80°以上90°未満
× 静的接触角が80°未満。
結果を表1に示す。
Figure 2010173294
その結果、本発明の実施例1から4は全て耐候性および耐摩耗性に優れていることが解る。一方、比較例1から4は耐候性および耐摩耗性の両特性ともが満足する結果は得られなかった。
1 防汚性積層体
2 透明樹脂基材
3 含フッ素有機化合物+アルコキシシラン
含有層
4 炭素を含有する金属酸化物層
5 炭素を含有しない金属酸化物層
6 ディスプレイ装置
7 前面板
8 レンチキュラーレンズ
9 フレネルレンズ
10 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
20 電界印加手段
21、131 第1電源
22、133 第2電源
30 プラズマ放電処理室
25、35 ロール電極
36 電極
41、42 電源
51 ガス供給装置
55 電極冷却ユニット
F 元巻き基材
103 角形電極(第2電極)
108 移動架台電極(第1電極)
110 放電ガス
111 薄膜形成ガス

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも一方の面側に、炭素を含有しない金属酸化物層を有し、該金属酸化物層の上に炭素を含有する金属酸化物層、更に、最上層に含フッ素有機珪素化合物とアルコキシシランの混合物からなる撥水層を有することを特徴とする防汚性積層体。
  2. 前記炭素を含有する金属酸化物層は、珪素酸化物を主成分とし、かつ、層内に含まれる炭素含有量が1.0原子%以上20.0原子%以下であることを特徴とする請求項1に記載の防汚性積層体。
  3. 前記炭素を含有する金属酸化物層の膜厚は10〜50nmであることを特徴とする請求項1及び2に記載の防汚性積層体。
  4. 前記炭素を含有しない金属酸化物層は珪素酸化物を主成分とし、該層内に含有される炭素含有量は0.1原子%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防汚性積層体。
  5. 前記炭素を含有する金属酸化物層および前記炭素を含有しない金属酸化物層が、大気圧プラズマ法で形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防汚性積層体。
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