JP2010173190A - 液体噴射装置、及び、液体噴射方法 - Google Patents

液体噴射装置、及び、液体噴射方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液体の消費量を低減すること。
【解決手段】(A)媒体に液体を噴射するヘッドと、(B)前記媒体と前記ヘッドを所定方向に相対移動させる移動機構と、(C)前記移動機構により前記媒体と前記ヘッドを前記所定方向に所定の速度で相対移動させながら、前記ヘッドから前記液体を噴射させる制御部であって、前記ヘッドから前記液体を噴射させない時間である停止時間を測定し、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから前記停止時間に応じた前記液体の量を噴射させ終わるまでの補正期間において、前記媒体と前記ヘッドの前記所定方向への相対移動の速度を前記所定の速度と異ならせる制御部と、(D)を有することを特徴とする液体噴射装置。
【選択図】図9

Description

本発明は、液体噴射装置、及び、液体噴射方法に関する。
液体噴射装置として、紙や布、フィルムなどの各種媒体にノズルからインク(液体に相当)を噴射して印刷を行うインクジェットプリンターが知られている。
インクジェットプリンターにおいて印刷を長い期間停止すると、ノズルからインクの溶媒(例えば水)が蒸発し、ノズルに連通する圧力室などに充填されたインクが増粘し、ノズル周辺のインクが固化してしまったりする。そうすると、ノズルからインクが正常に噴射されなくなる。そこで、印刷の停止期間にはノズル面をキャップにて封止し、ノズル面の乾燥を防止するプリンターがある。
しかし、キャップによりノズル面を完全に封止することは出来ないため、キャップをしていてもプリンターの停止期間中にインクの増粘は進んでしまう。ノズルから噴射されるインクが増粘していると、インクの噴射速度が変動し、所定の画素にドットを形成できなくなってしまう。そこで、印刷を再開する際に、クリーニング動作としてポンプ吸引などを行うプリンターが提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
特開2001−138545号公報
しかし、プリンターの停止状態から印刷を再開する度にクリーニング動作を行うと、インク(液体)を印刷以外のために多量に消費してしまう。
そこで、本発明では、液体の消費量を低減することを目的とする。
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)媒体に液体を噴射するヘッドと、(B)前記媒体と前記ヘッドを所定方向に相対移動させる移動機構と、(C)前記移動機構により前記媒体と前記ヘッドを前記所定方向に所定の速度で相対移動させながら、前記ヘッドから前記液体を噴射させる制御部であって、前記ヘッドから前記液体を噴射させない時間である停止時間を測定し、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから前記停止時間に応じた前記液体の量を噴射させ終わるまでの補正期間において、前記媒体と前記ヘッドの前記所定方向への相対移動の速度を前記所定の速度と異ならせる制御部と、(D)を有することを特徴とする液体噴射装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
図1Aはプリンターの全体構成ブロック図であり、図1Bはプリンターの斜視図の一部である。 図2Aはヘッドの断面図であり、図2Bはヘッドのノズル配列を示す図である。 駆動信号生成回路を説明するための図である。 ヘッド制御部を説明するための図である。 図5Aは駆動信号にて発生する駆動波形を説明するための図であり、図5Bは駆動信号を説明するための図である。 プリンターの停止期間中におけるヘッドを説明するための図である。 図7Aは通常インクが用紙に着弾する様子を示す図であり、図7Bは増粘インクが用紙に着弾する様子を示す図である。 ヘッドのクリーニングの様子を示す図である。 図9Aから図9Cは、ヘッドの移動速度を補正する様子示す図である。 ヘッドの移動速度を決定するテストパターンを示す図である。 図11Aから図11Cはプリンターの停止時間に応じた増粘インク量を測定するために形成するテストパターンを示す図である。 増粘インク量テーブルを示す図である。 第1実施形態の印刷のフローを示す図である。 図14Aから図14Cは第2実施形態における増粘インクの対処方法を説明するための図である。 ヘッドの移動速度に関する「補正量テーブル」を示す図である。 図16Aから図16Cはラインヘッドプリンターにおいて増粘インクの噴射タイミングを補正する様子を示す図である。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、(A)媒体に液体を噴射するヘッドと、(B)前記媒体と前記ヘッドを所定方向に相対移動させる移動機構と、(C)前記移動機構により前記媒体と前記ヘッドを前記所定方向に所定の速度で相対移動させながら、前記ヘッドから前記液体を噴射させる制御部であって、前記ヘッドから前記液体を噴射させない時間である停止時間を測定し、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから前記停止時間に応じた前記液体の量を噴射させ終わるまでの補正期間において、前記媒体と前記ヘッドの前記所定方向への相対移動の速度を前記所定の速度と異ならせる制御部と、(D)を有することを特徴とする液体噴射装置である。
このような液体噴射装置によれば、停止時間にヘッドから噴射される液体の粘度が増加し、液体の噴射速度が変動しても、所定の画素(目標位置)に液体を着弾させることが出来る。ヘッドのクリーニングを行わずとも所定の画素に液体を着弾させることができ、液体の消費量を低減できる。
かかる液体噴射装置であって、前記停止時間に応じた前記液体の量のうちの所定の液体量を噴射させる前と、前記所定の液体量を噴射させた後とでは、前記媒体と前記ヘッドの前記所定方向への相対移動の速度を異ならせること。
このような液体噴射装置によれば、例えば、停止時間に増粘した液体が噴射されるに従って、ヘッドと媒体の所定方向への相対移動の速度を所定の速度に近づけることで、より所定の画素に液体を着弾させることが出来る。
かかる液体噴射装置であって、前記ヘッドから前記液体を噴射させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部を有し、前記制御部は、前記補正期間において、前記駆動信号にて発生する駆動波形の形状を補正すること。
このような液体噴射装置によれば、停止時間にヘッドから噴射される液体の粘度が増加して、液体の噴射量が変動してしまうことを防止できる。ヘッドのクリーニングを行わずとも所定の大きさのドットを形成することができ、液体の消費量を低減できる。
かかる液体噴射装置であって、前記制御部は、前記ヘッドのクリーニングを行った後に、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めること。
このような液体噴射装置によれば、停止時間が長く、噴射不良を発生させるノズルが有ったとしても、噴射不良ノズルを回復することが出来る。また、停止時間に増粘した全ての液体をクリーニングにて排出しなくとも、所定の画素に液体を着弾させることができ、液体の消費量を低減できる。
かかる液体噴射装置であって、前記ヘッドは前記液体を噴射するノズルを有し、前記制御部は、前記補正期間において、前記液体の噴射回数が閾値以下の前記ノズルのクリーニングを行うこと。
このような液体噴射装置によれば、補正期間の液体噴射回数が少なかったノズルから噴射される液体も、所定の画素に着弾させることができる。
かかる液体噴射装置であって、前記ヘッドに設けられたノズルから前記液体を噴射させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部を有し、前記駆動信号では、所定周期ごとに駆動波形が繰り返し発生し、前記制御部は、前記補正期間の噴射回数が閾値よりも多い前記ノズルから前記所定の画素に対して前記液体を噴射させる場合には、ある所定周期の前記駆動波形を使用し、前記補正期間の噴射回数が前記閾値以下の前記ノズルから前記所定の画素に対して前記液体を噴射させる場合には、前記ある所定周期とは異なる前記所定周期の前記駆動波形を使用すること。
このような液体噴射装置によれば、補正期間の液体噴射回数が少なかったノズルから噴射される液体も、所定の画素に着弾させることができる。
かかる液体噴射装置であって、前記ヘッドは、第1の液体を噴射する第1ノズル群と、第2の液体を噴射する第2ノズル群と、を有し、前記制御部は、前記第1ノズル群を使用する液体噴射方式における前記補正期間を、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから、前記停止時間に応じた前記第1の液体の量を噴射させ終わるまでの期間とし、前記第1ノズル群と前記第2ノズル群とを使用する液体噴射方式における前記補正期間を、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから、前記停止時間に応じた前記第1の液体の量と前記停止時間に応じた前記第2の液体の量とを噴射させ終わるまでの期間とすること。
このような液体噴射装置によれば、異なる種類の液体では、同じ停止時間であっても増粘する液体の量が異なる場合があるため、停止時間に応じた各種の液体の量を噴射させ終わるまで、ヘッドと媒体の相対移動の速度を所定の速度と異ならせることで、より所定の画素に液体を着弾させることが出来る。
また、媒体とヘッドを所定方向に所定の速度で相対移動させながら、前記ヘッドから液体を噴射させる液体噴射方法であって、前記ヘッドから前記液体を噴射させない時間である停止時間を測定することと、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから前記停止時間に応じた前記液体の量を噴射させ終わるまでの補正期間において、前記媒体と前記ヘッドの前記所定方向への相対移動の速度を前記所定の速度と異ならせることと、を有することを特徴とする液体噴射方法である。
このような液体噴射方法によれば、停止時間にヘッドから噴射される液体の粘度が増加し、液体の噴射速度が変動しても、所定の画素(目標位置)に液体を着弾させることが出来る。ヘッドのクリーニングを行わずとも所定の画素に液体を着弾させることができ、液体の消費量を低減できる。
===インクジェットプリンターの構成===
以下、流体噴射装置をインクジェットプリンターとし、また、インクジェットプリンターの中のシリアル式プリンター(プリンター1)を例に挙げて実施形態を説明する。
図1Aは、本実施形態のプリンター1の全体構成ブロック図である。図1Bは、プリンター1の斜視図の一部である。外部装置であるコンピューター60から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー10により、各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御し、用紙S(媒体)に画像を形成する。また、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェイス部11は、外部装置であるコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12は、制御ユニット14により各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだ後、印刷時に搬送方向に所定の搬送量で用紙Sを搬送するためのものであり、印刷中の用紙Sはプラテン21にて下から支持され、ヘッド41の少なくとも一部のノズルと対向する。キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する方向(以下、移動方向という)に移動させるためのものである。即ち、キャリッジユニット30は、媒体とヘッド41を移動方向(所定方向)に相対移動させる移動機構に相当。
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを噴射するためのものであり、ヘッド41と、ヘッド41からのインク噴射を制御するためのヘッド制御部HCと、を有する。ヘッド41の下面には、インク噴射部であるノズルが複数設けられている。
図2Aはヘッド41の断面図である。ヘッド41は、ケース42と、流路ユニット43と、ピエゾ素子PZT(詳しくは櫛歯状の複数のピエゾ素子)を有する。ケース43は、ピエゾ素子PZTを収容空部421に収容して固定する。流路ユニット43には、共通インク室431からインク供給路432及び圧力室433を通ってノズルNzに至る一連のインク流路が設けられている。プリンター1の使用時において、インク流路はインクで満たされている。そして、ピエゾ素子PZTは、駆動信号生成回路15からの駆動信号COMの印加によって変形し、対応する圧力室433の容積を変化させる。これにより、圧力室433内のインクに圧力変化が与えられ、ノズルNzからインク滴が噴射される。ヘッド制御部HC及びピエゾ素子PZTとの間が、ケーブル44によって電気的に接続されているため、ピエゾ素子PZTを変形し、ノズルからインクを噴射させることができる。
図2Bは、ヘッド41の下面に形成されるノズルNzの配列を説明するための図である。なお、図2Bはヘッド41を上面からノズルを仮想的に見た図である。ノズルNzは、搬送方向に所定ピッチDで設けられており、ノズル列を構成している。ノズル列に属するノズルには順に番号を付す(#i)。ここでは、1つのノズル列が180個のノズルNzで構成されているとする。このプリンター1は、4色のインクを噴射し、ノズル面には、イエローインクを噴射するイエローノズル列Yとマゼンタインクを噴射するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを噴射するシアンノズル列Cと、ブラックインクを噴射するブラックノズル列Kと、が形成されている。
このようなシリアル式のプリンター1では、移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に噴射させ、用紙S上に移動方向に沿ったドット列を形成するドット形成処理と、用紙Sを搬送方向に搬送する搬送処理と、を交互に繰り返す。そうすることで、先のドット形成処理により形成されたドットの位置とは異なる位置にドットを形成することができ、用紙S上に2次元の画像を形成することが出来る。
===ヘッド41からのインク噴射について===
図3は、駆動信号生成回路15(駆動信号生成部に相当)を説明するための図であり、図4は、ヘッド制御部HCを説明するための図であり、図5Aは、駆動信号COMにて発生する駆動波形Wを説明するための図であり、図5Bは、駆動信号COMを説明するための図である。
<駆動信号生成回路15について>
図3に示すように、駆動信号生成回路15は、波形生成回路151と電流増幅回路152とを有し、ノズル群(ここでは1ノズル列)に対して共通に使用される駆動信号COMを生成する。
まず、波形生成回路151が、DAC値(デジタル信号の波形情報)に基づいて、駆動信号COMの基となる電圧波形信号(アナログ信号の波形情報)を生成する。そして、電流増幅回路152は、電圧波形信号について、その電流を増幅し、駆動信号COMとして、ヘッド制御部HCへ出力する。電流増幅回路152は、駆動信号COMの電圧上昇時に動作する上昇用トランジスタQ1(NPN型トランジスタ)と、駆動信号COMの電圧下降時に動作する下降用トランジスタQ2(PNP型トランジスタ)を有する。
波形生成回路151からの電圧波形信号によって、上昇用トランジスタQ1がON状態になると、駆動信号COMが上昇し、ピエゾ素子PZTの充電が行われる。一方、電圧波形信号によって、下降用トランジスタQ2がON状態になると、駆動信号COMが下降し、ピエゾ素子PZTの放電が行われる。そうすることで、図5に示すように、駆動信号COMにおいて、電圧が上昇したり下降したりする駆動波形Wを発生させることが出来る。
<ヘッド制御部HCについて>
ここでは、1つのヘッド制御部HCにて1つのノズル列に属する180個のノズルのインク噴射が制御されるとする。図4に示すように、ヘッド制御部HCは、180個の第1シフトレジスタ70と、180個の第2シフトレジスタ71と、ラッチ回路群72と、データセレクタ群73と、180個のスイッチ74とを有する。図中のかっこ内の数字は、部材又は信号が対応するノズル番号#iを示している。
まず、印刷信号PRTは、180個の第1シフトレジスタ70に入力され、その後、180個の第2シフトレジスタ71に入力される。その結果、シリアル伝送された印刷信号SIは、180個の2ビットデータであるドット形成データSI(i)に変換される。このドット形成データSI(i)は、ノズル#iに割り当てられる1画素当たりのデータである。
そして、ラッチ信号LATの立ち上がりパルスがラッチ回路群72に入力されると、各シフトレジスタ70,71の360個のデータがラッチ回路群72にそれぞれラッチされる。ラッチ信号LATの立ち上がりパルスがラッチ回路群72に入力されるとき、データセレクタ群73にもラッチ信号LATの立ち上がりパルスが入力され、データセレクタ73は初期状態となる。また、データセレクタ群73は、ラッチ前(初期状態となる前)に、各ノズル#iに対応する2ビットのドット形成データSI(i)をラッチ回路群72から選択し、各ドット形成データSI(i)に応じたスイッチ制御信号SW(i)を、各ピエゾ素子(各ノズル)に対応したスイッチ74(i)に出力する。
スイッチ74には、スイッチ制御信号SWと共に、駆動信号生成回路15にて生成された駆動信号COMが入力される。このスイッチ制御信号SW(i)により、各ピエゾ素子PZT(i)に対応したスイッチ74(i)のオンオフ制御が行われる。そして、スイッチ74(i)のオンオフ動作によって、駆動信号COMをピエゾ素子に通過したり、遮断したりする。
例えば、スイッチ制御信号SW(i)のレベルが「1」のとき、スイッチ74(i)はオンとなり、駆動信号COMが有する駆動波形W(図5A)をそのまま通過させ、駆動波形Wがピエゾ素子PZT(i)に印加される。そして、駆動波形Wがピエゾ素子PZT(i)に印加されると、その駆動波形Wに応じてピエゾ素子PZT(i)が変形し、インクが充填された圧力室433も変形し、ノズル#iから既定のインク量が噴射される。一方、スイッチ制御信号SW(i)のレベルが「0」のとき、スイッチ74(i)はオフとなり、駆動波形Wを遮断する。その結果、ノズル#iからインクは噴射されない。
<駆動信号COMについて>
本実施形態の駆動信号COMでは、図5Bに示すように、繰り返し周期T内に2つの駆動波形W(図5A)が発生し、繰り返し周期Tごとに2つの駆動波形Wが繰り返し発生する。この繰り返し周期Tが、あるノズル#iが1画素と対向する時間に相当する。また、繰り返し周期T内に発生する2つの駆動波形Wは同じ波形形状であるとする。
本実施形態では、1つの画素に対して2種類のサイズのドット(大ドット・小ドット)を形成可能とする。そのため、1つの画素を、「ドット無し」「小ドット形成」「大ドット形成」の3階調にて表現することが出来る。そのため、各ノズル#iに割り当てられるドット形成データSIは前述のように2ビットのデータとなる。
「ドット無し」に対応するドット形成データSIを[0,0]とする。このとき、ドット無し([0,0])に対応するスイッチ制御信号SW(i)は、繰り返し周期T内の2つの駆動波形Wを共に遮断する。その結果、ピエゾ素子PZT(i)に印加される駆動信号DRV(i)では、駆動波形Wが発生せずに、中間電圧Vcが一定に保たれる。
同様に、「小ドット形成」に対応するドット形成データSIを[1,0]とし、対応するスイッチ制御信号SW(i)は、繰り返し周期T内の2つの駆動波形Wのうちの、前半の駆動波形Wを通過させ、後半の駆動波形Wを遮断する。1つの駆動波形Wのみがピエゾ素子に印加されることで、ノズルから既定のインク量、例えば10plが噴射されるとする。また、「大ドット形成」に対応するドット形成データSIを[1,1]とし、対応するスイッチ制御信号SW(i)は、繰り返し周期T内の2つの駆動波形Wを通過させる。2つの駆動波形Wがピエゾ素子に印加されることで、ノズルから20plが噴射されるとする。
次に、駆動波形Wについて詳しく説明する。
図5Aに示す駆動波形Wは、中間電位Vcから最高電位Vhまで電位が上昇する第1膨張要素S1と、最高電位Vhを保持する第1ホールド要素S2と、最高電位Vhから最低電位Vlまで電位が下降する収縮要素S3と、最低電位Vlを保持する第2ホールド要素S4と、最低電位Vlから中間電位Vcまで電位が上昇する第2膨張要素S5と、を有する。
第1膨張要素S1の発生時間を「第1膨張時間Pwc1」と呼び、第1ホールド要素S2の発生時間を「第1ホールド時間Pwh1」と呼び、収縮要素S3の発生時間を「収縮時間Pwd1」と呼び、第2ホールド要素S4の発生時間を「第2ホールド時間Pwh2」と呼び、第2膨張要素S5の発生時間を「第2膨張時間Pwc2」と呼ぶ。中間電位Vcがピエゾ素子PZTに印加された状態ではピエゾ素子PZTは伸縮しておらず、中間電位Vcがピエゾ素子PZTに印加された時の圧力室433(図2A)の容積を基準容積とする。
まず、駆動波形Wの第1膨張要素S1がピエゾ素子PZTに印加されると、ピエゾ素子PZTは長手方向に収縮し、圧力室433の容積は膨張する。第1ホールド要素S2がピエゾ素子PZTに印加されると、ピエゾ素子PZTの収縮状態が維持され、これに伴い圧力室433の膨張状態も維持される。次に、収縮要素S3がピエゾ素子PZTに印加されると、ピエゾ素子PZTは収縮した状態から一気に伸長し、圧力室433の容積も一気に収縮する。この圧力室433の収縮により、圧力室433内のインク圧力が急激に高まり、ノズルからインク滴が噴射される。その後、第2ホールド要素S4がピエゾ素子PZTに印加され、ピエゾ素子PZTの伸長状態と圧力室433の膨張状態が維持される。最後に、ピエゾ素子PZTに第2膨張要素S5が印加されると、圧力室433の容積が基準容積に戻る。
===プリンター1の停止によるインクの増粘について===
図6は、プリンター1の停止期間中におけるヘッド41を説明するための図である。プリンター1内は、図6に示すように、「印刷領域」と「非印刷領域」に分けられる。印刷領域は用紙Sが搬送される領域であり、非印刷領域には用紙Sが搬送されない。キャリッジ31と共に移動方向に移動可能なヘッド41が印刷領域に位置する時、ヘッド41のノズル面はプラテン21上の用紙Sと対向し、ヘッド41から用紙Sにインクを噴射して、画像を形成することが出来る。即ち、用紙Sに画像を形成する領域を印刷領域と呼び、用紙Sに画像を形成しない領域を非印刷領域と呼ぶ。
プリンター1の電源がオフされている時や、コンピューター60から印刷命令が送信されずにプリンター1が印刷を行っていない時(以下まとめて、プリンター1の停止期間中とも言う)、ヘッド41は非印刷領域のホームポジションHPに位置する。ここでは、プリンター1の移動方向における右端をホームポジションHPとし、ホームポジションHPにはキャップ80が設けられる。キャップ80は、ヘッド41のクリーニング時(後述)にヘッド41から噴射されるインクを受け止める。また、キャップ80の内部の底面にインク吸収材(不図示・例えばスポンジ)を設け、キャップ80に向けて排出されたインクを吸収し易くする。キャップ80が受け止めたインクは、キャップ80内部の底面に接続したチューブを介して、排インクタンクに排出する(不図示)。
更に、キャップ80は図6に示すように上下方向に移動可能とし、プリンター1の停止時に、ヘッド41のノズル面とキャップ80内部の底面(インク吸収材)とを密着させる。そうして、ヘッド41のノズル面をキャップ80内部の底面で封止することによって、プリンター1の停止時(非印刷時)に、ノズル(開口)からインクの溶媒成分が蒸発してしまうことを抑制する。その結果、ノズルに連通する圧力室433や共通インク室431(図2A)に充填されたインクの粘度が増加してしまうことを抑制できる。
しかし、キャップ80内部の底面(インク吸収材)にて、ヘッド41のノズル面を完全に封止することは出来ず、プリンター1の停止時間が長くなるにつれて、圧力室433や共通インク室431内のインクが徐々に増粘する。圧力室433や共通インク室431内のインクが増粘し、ノズルから噴射されるインクの粘度が、通常のインクの粘度(設計上の粘度)よりも高くなってしまうと、ノズルからのインクの噴射速度Vmが変動してしまう。インクの噴射速度Vmが変動すると、用紙S上におけるインクの着弾位置も変動し、画質が劣化してしまう。
図7Aは、増粘していない通常のインクが用紙Sに着弾する様子を示す図であり、図7Bは、プリンター1の停止期間中に増粘したインクが用紙Sに着弾する様子を示す図である。以下、説明のため、プリンター1の停止期間中に増粘したインク(増粘インク)の噴射速度Vmhは、通常インクの噴射速度Vm(設計値)よりも遅くなるとする(Vm>Vmh)。また、本実施形態のプリンター1では、図1Bに示すように、キャリッジ31の移動方向への移動に伴って、ヘッド41も移動方向へ移動し、ヘッド41の移動方向の移動中にヘッド41(ノズル)からインクが噴射される。また、ヘッド41が移動方向の左側から右側へ移動する際にも(以下、往路時とも言う)、ヘッド41が移動方向の右側から左側へ移動する際にも(以下、復路時とも言う)、ヘッド41からインクが噴射されるとする。即ち、プリンター1は双方向印刷を行う。
移動方向に移動するヘッド41からインクが噴射されるプリンター1では、図7に示すように、ノズルから噴射されたインクにヘッド41の移動方向の力が働く。例えば、往路時において、ヘッド41が移動方向の左側から右側へ移動している時にノズルから噴射されたインクは、噴射位置よりも右下の位置に着弾する。逆に、復路時において、ヘッド41が移動方向の右側から左側へ移動している時にノズルから噴射されたインクは、噴射位置よりも左下の位置に着弾する。即ち、ヘッド41(キャリッジ31)の移動速度Vc(移動方向)と、ノズルから噴射されたインクの噴射速度Vm(垂直方向)と、を合成した速度(方向)にて、インクは用紙Sに着弾する。
このように、ノズルから噴射されたインクは、移動方向において、噴射位置よりもヘッド41の移動する方向側に着弾する。そのため、用紙S上におけるインクの目標着弾位置よりも、手前にヘッド41が位置する時にインクを噴射させる必要がある。具体的には、移動方向の左側から右側へ移動するヘッド41から正常なインクを噴射する場合(図7Aの往路)、目標位置よりも移動方向の左側の位置にてノズルからインクを噴射する。逆に、移動方向の右側から左側へ移動するヘッド41から正常なインクを噴射する場合(図7Aの復路)、目標位置よりも移動方向の右側の位置にてノズルからインクを噴射する。つまり、プリンター1のコントローラー10は、用紙S上の目標位置(画素)にドットを形成するために、ヘッド41が目標位置に達する前にノズルからインクを噴射する。
なお、同じ目標位置に対するノズルからの噴射位置は、往路時では目標位置に対して移動方向の左側の位置となり、復路時は目標位置に対して移動方向の右側の位置となり、目標位置に対する噴射位置は往路時と復路時とで異なる。ただし、目標位置と噴射位置との距離は往路時と復路時とで同じである。そのため、ヘッド41の移動速度Vcとノズルからのインク噴射速度Vmとが、往路時と復路時とで等しければ、ヘッド41が目標位置に到達する前にノズルからインクを噴射するタイミングは等しい。
ここで、プリンター1の停止時間が長く、圧力室433や共通インク室431のインクが増粘し、ノズルからのインクの噴射速度Vmhが遅くなったとする。この場合、ヘッド41の移動方向への移動による慣性力は変わらないまま、噴射速度Vmhが遅くなるため、図7Bに示すように、目標位置よりもヘッド41の移動している側にインクが着弾する。言い換えれば、ヘッド41の移動速度Vcと増粘インクの噴射速度Vmhとを合成した速度の方向が変化するため、増粘インクは目標位置からずれて着弾してしまう。
具体的には、往路時であれば目標位置よりも移動方向の右側にずれて増粘インクが着弾し、復路時であれば目標位置よりも移動方向の左側にずれて増粘インクが着弾する。即ち、目標位置に対する増粘インクの着弾位置のずれる方向が、往路時と復路時とで異なる。そのため、往路時と復路時とで搬送方向に沿う一直線のラインを印刷しようとしても、往路時に形成されたラインと復路時に形成されたラインとが移動方向にずれて形成されてしまう。往路に形成されたラインと復路にて形成されたラインとの移動方向のずれ量は、一方向にヘッド41が移動する際の目標位置とインクの着弾位置とのずれ量の2倍となる。
このように、プリンター1の停止時間が長く、ノズルから増粘インクが噴射されると、インクの噴射速度Vmhが通常インクの噴射速度Vm(設計値)から変動し、目標位置からずれてドットが形成され、印刷画像が劣化してしまう。特に、双方向印刷を行うプリンター1では、往路と復路とにおいて目標位置に対するインクの着弾位置のずれる方向が異なり、画質劣化が目立ってしまう。
そこで、本実施形態では、プリンター1の停止期間中に増粘したインクの噴射速度Vmhが、通常のインクの噴射速度Vmに対して変動することにより発生する画質劣化(ドット形成位置のずれ)を補正することを目的とする。
===増粘インクの対処方法:比較例===
増粘インクの噴射速度Vmの変動による画質劣化の対処方法として、まず、比較例の対処方法について説明する。
図8は、ヘッド41のクリーニング(フラッシング)の様子を示す図である。比較例では、プリンター1が長時間停止した後、印刷を再開する際に、ヘッド41のクリーニングを行う。
ヘッド41のクリーニングの1つとして、「フラッシング」が挙げられる。フラッシングとは、強制的にノズルからインクを噴射させようとするクリーニング動作である。強制的にノズルからインクを噴射させるとは、強い力でインクを噴射させようとしたり、ノズルから何度もインクを噴射させようとしたりすることである。図8は、フラッシングの様子を示す図である。印刷停止中は、図6に示すように、キャップ80が上昇し、ヘッド41のノズル面とキャップ80内部の底面とが密着している。そのため、印刷を再開する際に、コントローラー10は、図8に示すようにキャップ80を下げて、ヘッド41のノズル面とキャップ80内部の底面とを離隔する。そうして、ヘッド41(ノズル)からキャップ80内部に増粘したインクを強制的に排出させる。
なお、ヘッド41のクリーニング動作はフラッシングに限らず、例えば「ポンプ吸引」を行ってもよい。ポンプ吸引を行うためには、キャップ80の内部底面と排インクタンクをつなぐチューブの間に、ポンプを設ける。そして、ヘッド41のノズル面とキャップ80内部の底面(インク吸収体)を密着させた状態で、ポンプを駆動して、圧力室433などのインクを強制的に吸引する。そうすることで、増粘インクをキャップ80及び排インクタンクに排出することが出来る。
このように比較例では、印刷を再開する際にヘッド41のクリーニングを行うことで、印刷停止期間中に増粘したインクをキャップ80へ排出する。その結果、印刷を行う際には(用紙に画像を形成する際には)、ノズルから増粘インクは噴射されずに通常の粘度のインクが噴射される。そうすることで、増粘インクにより噴射速度Vmが変動して画質を劣化させてしまうことを防止できる。
しかし、プリンター1の停止状態からプリンター1の印刷を再開する度に、クリーニングを行うと、印刷以外に使用するインクの消費量が多くなってしまう。
そこで、本実施形態では、プリンター1の停止期間に増粘したインクの噴射速度Vmの変動による画質劣化を抑制し、且つ、インク消費量を低減することを目的とする。
また、比較例では、プリンター1の停止期間の長さに関係なく、印刷を再開する際に、既定のクリーニング動作を行う。既定のクリーニング動作により排出されるインク量は等しい。そのため、プリンター1の停止期間が長く、圧力室433や共通インク室431内の増粘インク量が多くとも、印刷を再開する際に既定のクリーニング動作を行うだけでは、増粘インクを排出しきれない虞がある。そうすると、何の補正も行われずに、増粘インクにて印刷が行われ、画質が劣化してしまう。一方、プリンター1の停止期間の長さに応じて、フラッシング時のインク排出量を増やすと、その分だけ更にインク消費量が増加してしまう。
===増粘インクの対処方法:第1実施形態===
<ヘッド41の移動速度Vcの補正について>
第1実施形態では、比較例とは異なり、プリンター1の停止期間後、プリンター1の印刷を再開する際に、ヘッド41のクリーニングを行わず、プリンター1の停止期間中に増粘したインクを印刷に使用する。ただし、前述のように、通常インクの噴射速度Vmと増粘インクの噴射速度Vmhは異なるため、増粘インクを噴射する時には「ヘッド41と用紙(媒体)の相対移動速度」を補正する。即ち、通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vc(所定の速度、設計上の速度)と、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchと、を異ならせる。増粘インクを噴射する時とは、プリンター1の停止後に、ヘッド41から再びインクを噴射させ始めてから停止時間に応じた増粘インク量を噴射させ終わるまでの時間(補正時間)である。ここでは、ヘッド41が移動方向に移動しながら用紙Sにインクを噴射するため、増粘インクを噴射する時には、ヘッド41の移動方向の移動速度を補正する。以下、増粘インクの噴射速度Vmhが通常インクの噴射速度Vmよりも遅いとする。
図9Aから図9Cは、ヘッド41の移動方向への移動速度を補正する方法を説明するための図である。全図において、ヘッド41は移動方向の左側から右側へ移動する。図9Aは、ヘッド41から通常インクが噴射され、用紙S上の目標位置(所定の画素に相当)に着弾する様子を示す図である。前述のように、移動方向の左側から右側へ移動するヘッド41からインクを噴射する場合には、用紙S上の目標位置よりも左側(手前側)からインクを噴射させる必要がある。図9Aでは、目標位置よりも「距離d1」だけ左側にヘッド41が位置した時に、ヘッド41からインクを噴射する。そうすることで、ヘッド41から右下方向に飛翔するインク滴を目標位置に着弾させることが出来る。
図9Bは、通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vcと同じ速度で、ヘッド41から増粘インクが噴射される様子を示す図である。そうすると、ヘッド41の移動速度Vcは変わらずに、インクの噴射速度Vmhが遅くなるため、目標位置よりもヘッド41が移動する側(右側)にインクが着弾する。このように、増粘インクの噴射速度Vmhが遅くなるにも関わらず、ヘッド41の移動速度を補正しないと、目標位置からずれた位置にドットが形成されてしまう。
そこで、増粘インクの噴射速度Vmhがインクの噴射速度Vmよりも遅くなる場合、ヘッド41の移動方向の移動速度Vcを遅くする。以下、補正したヘッド41の移動速度を「移動速度Vch」と付す。図9Cは、ヘッド41の移動速度を補正した様子を示す図である。図9Cに示すように、増粘インクを噴射する時(図9A)には、通常インクを噴射する時(図9C)に比べて、ヘッド41の移動速度Vchを遅くする。なお、目標位置に対してインクを噴射する位置(又は時刻)は、通常インクを噴射する時も増粘インクを噴射する時も等しく、目標位置よりも「距離d1」だけ左側(手前側)にヘッド41が位置した時にノズルからインクを噴射する。
そうすることで、ヘッド41からインクを噴射した際にインクにかかる移動方向への慣性力を小さくすることができ、インクを目標位置に着弾させることが出来る。つまり、増粘インクを噴射する際に噴射速度Vmhが遅くなったとしても、ヘッド41の移動速度を調整することで、インクの飛翔方向(ヘッド41の移動方向とインクの噴射方向の合成方向)を調整し、目標位置にインクを着弾することができる。
なお、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchを遅くするということは、ヘッド41が用紙S上の1画素を移動する時間が長くなる。図5Bに示す駆動信号COMの繰り返し周期Tは、ヘッド41が1画素を通過する時間に相当する。そのため、増粘インクを噴射する時の繰り返し周期Tは通常インクを噴射する時の繰り返し周期Tよりも長くなる。ただし、図9Cに示すように、インクの着弾目標位置に対するインクの噴射位置(インクの噴射時刻)は、通常インクを噴射する場合も増粘インクを噴射する場合も一定である。
図10は、増粘インクを噴射する際のヘッド41の移動速度Vchを決定するためのテストパターンを示す図である。増粘インクの噴射速度Vmhが通常インクの噴射速度Vmよりも遅くなる場合に、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchを、通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vc(ヘッド41の通常の移動速度Vc)よりも、どの程度遅くすれば、目標位置に増粘インクを着弾することが出来るのかを知るために、図示するテストパターンを形成するとよい。ヘッド41の移動速度Vchを種々変更して(Vch1〜Vch5)、実際に用紙Sに対して増粘インクを噴射してテストパターンを形成する。プリンター1の設計工程において、例えば、所定の時間だけ印刷を停止したプリンター1に(増粘インクを噴射するプリンター1に)、図10に示すテストパターンを形成させるとよい。Vch1ほどヘッド41の移動速度が速く(通常インクの移動速度Vcからの補正量が小さく)、Vch5ほどヘッド41の移動速度が遅いとする(通常インクの移動速度Vcからの補正量が大きい)。また、往路時のヘッド41と復路時のヘッド41とから、同じ目標位置1〜5に対してインクが噴射されるとする。
例えば、目標位置1にドット列が形成されるように、通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vcよりも若干遅くした「Vch1」でヘッド41を移動させ、往路時のヘッド41と復路時のヘッド41とから増粘インクを噴射したとする。図10に示すテストパターン結果では、往路時に形成されたドット列は目標位置よりも右側に位置し、復路時に形成されたドット列は目標位置よりも左側に位置する。このように、ドット列が目標位置よりもヘッド41が移動する方向側にずれている場合、増粘インクを噴射するヘッド41の移動速度Vchを遅くする度合いが小さいということである。即ち、ヘッドの移動速度Vch1が速すぎるということである。
逆に、目標位置5にドット列が形成されるように、通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vcよりも遅い「Vch5」でヘッド41を移動させ、往路時のヘッド41と復路時のヘッド41とから増粘インクを噴射したとする。図10に示すテストパターン結果では、往路時に形成されたドット列は目標位置よりも左側(手前側)に位置し、復路時に形成されたドット列は目標位置よりも右側に位置する。このように、ドット列が目標位置よりも手前側にずれている場合(ヘッド41の移動方向と逆側)、増粘インクを噴射するヘッド41の移動速度Vchを遅くする度合いが大きいということである。即ち、増粘インクを噴射するヘッド41の移動速度Vchが遅すぎるということである。
図10に示すテストパターン結果では、ヘッド41の移動速度が「Vch3」である時に、往路時のドット列と復路時のドット列を目標位置3に形成することができる。そのため、増粘インクを噴射するヘッド41の移動速度を「Vch3」に決定するとよい。そうすることで、目標位置にドット列を形成することができ、往路と復路のドット列の移動方向のずれを防止できる。このように、増粘インクを噴射するヘッド41の移動速度Vchを複数変化させて(Vch1〜Vch5)、往路と復路とにおいてドット列を形成することで、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchを決定することが出来る。
以上をまとめると、第1実施形態では、プリンター1の停止後に印刷を再開する際に、クリーニングを行わずに、増粘インクを用いて印刷を行う。ただし、増粘インクの噴射速度Vmhは通常インクの噴射速度Vmから変動するため、増粘インクを噴射するヘッド41の移動速度Vchを補正する。そうすることで、増粘インクを目標位置に着弾させることができ、往路時にて形成されるドット列と復路時にて形成されるドット列との移動方向のずれを補正することができる。つまり、第1実施形態では、クリーニングを行わずとも画質劣化を抑制でき、比較例に比べてインク消費量を低減できる。また、クリーニングを行わずに印刷を再開することで、印刷処理時間を短縮できる。
<増粘インク量の測定について>
ところで、プリンター1の停止時間が長くなるほど、圧力室433や共通インク室431内で増粘するインク量が増える。この第1実施形態では、増粘インクを使用して印刷を行う際に、ヘッド41の移動速度Vchを補正する(図9C)。そして、プリンター1の停止期間中に増粘したインクの噴射が終わった後は、通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vc(設計上の移動速度)に戻して印刷を行う。そのため、プリンター1の停止期間中に、圧力室433や共通インク室431内のインクのうち、どの程度のインク量が増粘したのかを把握する必要がある。
つまり、プリンター1の停止時間に応じて、増粘インク量が異なってくるため、プリンター1の停止時間に応じて、ヘッド41の移動速度Vcを補正している期間が異なる。言い換えれば、プリンター1の停止時間に応じて、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchから通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vcに切り替わるタイミングが異なる。そこで、第1実施形態では、プリンター1の設計工程において、プリンター1の複数の停止時間に対する増粘インク量を測定する。
以下、プリンター1の停止時間に対する増粘インク量の測定方法について説明する。
図11Aから図11Cは、プリンター1の停止時間に応じた増粘インク量を測定するために形成するテストパターンを示す図であり、図12は、プリンター1の停止時間と増粘インク量が対応付けられた「増粘インク量テーブル」を示す図である。プリンター1の設計工程などにおいて、プリンター1を所定の時間停止した後、図11に示すテストパターンを形成させて、増粘インク量を測定する。図11Aから図11Cは、前の印刷が終了してから次の印刷を行うまで「8時間」が経過した状態のプリンター1によって印刷されたテストパターンである。なお、図11では、ブラックノズル列Kがテストパターンを形成したとする。
テストパターンは以下の方法で形成する。まず、移動方向の左側から右側へ移動するヘッド41によって、用紙S上の目標位置に搬送方向に沿ったドット列が形成されるように、全てのノズル(#1〜#180)から同時にインクを噴射させる。その後、ヘッド41に対して用紙Sを所定の距離だけ搬送した後、移動方向の右側から左側へ移動するヘッド41によって、用紙S上の目標位置に搬送方向に沿ったドット列が形成されるように、全てのノズル(#1〜#180)から同時にインクを噴射させる。即ち、1つのテストパターンは2つのドット列から構成される。また、テストパターンを形成する時は、ヘッド41から噴射されるインクが増粘インクであっても、ヘッド41の移動速度Vchを補正しない。ヘッド41の移動方向への1回の移動を「パス」と呼び、図中では、プリンター1の印刷を再開してから最初のパスを「パス1」と付し、順番にパスの番号を増やす。なお、実際の印刷では、ノズル列に属する全てのノズルが毎回使用されるに限らないため、ノズル列に属する全ノズルを使用してテストパターンを形成しなくてもよい。例えば、ノズル列に属する半分のノズルを用いたり、ノズル列に属する半分のノズル(奇数ノズルと偶数ノズル)から交互にインクを噴射したりして、テストパターンを形成してもよい。
図11Aは、印刷を8時間停止した後、印刷を再開した直後のプリンター1にて形成されたテストパターンである。パス1(ヘッド41が左から右へ移動)では、目標位置よりも右側にずれてドット列が形成され、パス2(ヘッド41が右から左へ移動)では、目標位置よりも左側にずれてドットが形成される。このことから、印刷を再開した直後のパス1,2では、ヘッド41から増粘インクが噴射されたことが分かる。
図11Bは、印刷を再開し、複数のテストパターンが形成された後に、パスXとその次のパスX+1にて形成されたテストパターンを示す図である。図11Bのテストパターンにおいても、ドット列が目標位置からずれて形成されているため、ヘッド41から増粘インクが噴射されていることが分かる。ここで図11Aと図11Bを比較すると、往路時に形成されたドット列と復路時に形成されたドット列との移動方向のずれ量が、図11Aと図11Bで異なる。プリンター1の印刷を再開した直後のパス1とパス2にて形成されたドット列の移動方向のずれ量D1(図11A)よりも、複数のテストパターンが形成された後のパスXとパスX+1にて形成されたドット列の移動方向のずれ量D2(図11B)の方が、ずれ量が小さくなっている(D1>D2)。
即ち、テストパターンが形成されていくにしたがって、2つのドット列の移動方向のずれ量が小さくなる。これは、テストパターンが形成されていくにしたがって、増粘インクが消費され、圧力室433や共通インク室431内の増粘インク量が減少するからと考えられる。圧力室433や共通インク室431内の増粘インク量が減少すると、ノズルから噴射されるインクの粘度が通常インクの粘度に近付き、噴射速度Vmの変動量が小さくなるため、2つのドット列のずれ量が小さくなると考えられる。
そうして、最終的には、図11Cに示すように、パス[X(1)+1]とパス[X(1)+2]において形成された2つのドット列の移動方向のずれ量が解消される。図11Cのテストパターンでは、2つのドット列が目標位置に形成され、2つドット列が搬送方向に一直線上に並んで形成されている。噴射タイミングを補正しなくとも目標位置にドット列が形成されたことから、パス[X(1)+1]とパスX[X(1)+2]では、ノズルから通常インクが噴射されたことが分かる。また、この前のパス[X(1)−1]とパスX(1)にて形成されたテストパターン(不図示)では、2つのドット列が移動方向にずれて形成されていたとすると、パス1からパスX(1)までは、ノズルから増粘インクが噴射され、パス[X(1)+1]以降はノズルから通常インクが噴射されたことになる。つまり、このテストパターン結果から、パス1からパスX(1)までの間、テストパターンを形成するためにノズルから噴射されたインク量が「増粘インク量」となる。
テストパターンは、1回のパスで、180個のノズルからインクが噴射され、1回のパスで各ノズルから小ドットに相当するインク量「10pl」が噴射されたとする。そうすると、1回のパスで「180×10pl」のインク量が噴射されたことになる。そのため、8時間停止したプリンター1では、パス1からパスX(1)までの間、増粘インクが噴射されたため、増粘インク量が「X(1)×1800pl」であること分かる。なお、パスX(1)まで全てのテストパターンを形成するに限らない。例えば、途中のパスのテストパターンを形成せずに、途中のパスの代わりにキャップ80に1ノズル列に属する全ノズルからインクを噴射してもよい。
このように、プリンター1を所定の時間(図11では8時間)だけ印刷を停止した後に、図11に示すようにテストパターンを形成する。テストパターンを構成する2つのドット列の移動方向のずれがなく、2つのドット列が目標位置に形成されるまで、テストパターンを形成する。そうすることで、目標位置にドット列が形成されたテストパターン(図11C)の前のテストパターンのパス(X(1))まで増粘インクが噴射されていたことが分かるため、増粘インク量を算出することが出来る。プリンター1の停止時間を種々変更してテストパターンを形成することで、複数のプリンター1の停止時間に応じた増粘インク量を測定できる。そうして、図12に示すように、プリンター1の複数の停止時間に応じた増粘インク量を示す「増粘インク量テーブル」を作成する。
ところで、ヘッド41の移動速度Vchはヘッド41単位でしか補正できないため、ヘッド41単位で増粘インクの消費量を管理する。そのため、図12の増粘インク量テーブルに示す増粘インク量は、プリンター1の各停止時間に対するヘッド41全体の増粘インク量、即ち、4つのノズル列YMCKから噴射される増粘インク量の合計量である。図11に示すテストパターンは1つのノズル列(ブラックノズル列K)にて形成されるため、1つのノズル列にて形成したテストパターンにより算出した増粘インク量を4倍してヘッド41全体の増粘インク量を算出してもよいし、ノズル列YMCKごとにテストパターンを形成してヘッド41全体の増粘インク量を算出してもよい。
また、プリンター1の停止時間が1時間未満の場合には、インクが増粘しないとし、図12に示す増粘インク量テーブルにおいて、停止時間が1時間未満の場合に対応する増粘インク量を「0pl」とする。そして、停止時間が1時間以上から8時間未満の場合に対応するインク量を「Y(1)pl」とする。この増粘インク量Y(1)plは、8時間停止したプリンター1にて形成されたテストパターン(図11)に基づいて算出した増粘インク量(Y(1)=X(1)×1800pl×4)とする。図12の増粘インク量テーブルでは、プリンター1の停止時間に幅を持たせて分類しているため、最大時間(例えば8時間)を停止したプリンター1にてテストパターンを形成し、増粘インク量を算出するとよい。例えば、停止時間が8時間以上16時間未満に対応する増粘インク量「Y(2)pl」は、16時間停止したプリンター1にて形成したテストパターンに基づいて算出するとよい。ただし、これに限らず、8時間と16時間の平均時間である12時間停止したプリンター1にて形成したテストパターンにより増粘インク量を算出してもよい。
こうして、増粘インク量テーブルでは、プリンター1の停止時間を複数に分類し、8時間おきや、1日おきなど、分類した停止時間に対応する増粘インク量が示される。また、プリンター1の停止時間が長くなるほど増粘インク量も増える(Y(n)>Y(1))。図12に示す増粘インク量テーブルでは、停止時間が1週間以上の場合は同じ増粘インク量(Y(n)pl)とする。
また、図12に示す増粘インク量テーブルでは、停止時間に増粘インク量を対応させているが、これに限らない。例えば、停止時間に対して、ノズルからのインクの噴射回数を対応させてもよい。図11に示すテストパターンでは、1回のパスで、全てのノズル(#1〜#180)にて小ドットが形成される。小ドットは、図5Bに示すように、1つの駆動波形Wにて、ノズルから1回インク滴が噴射されることによって形成される。そのため、1回のパスでノズルから180回インクが噴射される。また、図11に示すテストパターンでは、パスX(1)まで増粘インクが噴射され、パスX(1)+1回から通常インクが噴射される。そのため、停止時間が1時間以上8時間未満に対応する増粘インクの噴射回数を「X(1)×180回×4」としてもよい。
以上をまとめると、プリンター1の停止時間を複数変化させて、図11に示すようなテストパターンを印刷し、各停止時間に対応した増粘インク量を測定し、図12に示す「増粘インク量テーブル」を作成する。こうして、設計工程などで作成した「増粘インク量テーブル」をプリンター1のメモリー13に記憶させる。そうすることで、ユーザーのもとでプリンター1を使用する際に(詳細は後述)、プリンター1の停止時間が異なった場合にも、その停止時間に応じた増粘インク量を取得することができる。その結果、印刷を再開してからいつまでヘッド41の移動速度Vhcを補正すればよいのかを知ることができる。つまり、増粘インクが噴射され終わる前に、ヘッド41の移動速度を通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vhに戻してしまったり、通常インクが噴射されているにも関らず、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vhcにしてしまったりすることを防止できる。
<印刷の流れについて>
次に、増粘インクを用いた印刷の流れについて説明する。
図13は、第1実施形態の印刷のフローを示す図である。まず、プリンター1の電源がオフされており、ヘッド41が図6に示すようにホームポジションHPに位置し、ヘッド41のノズル面がキャップ80により封止されているとする。又は、プリンター1の電源がオンされていても、コンピューター60からの印刷命令がなく、ヘッド41が図6に示すようにホームポジションHPに位置し、ヘッド41のノズル面がキャップ80により封止されているとする。この状態から、プリンター1がコンピューター60から印刷命令及び印刷データを受信したとする(S001)。
そうすると、プリンター1のコントローラー10(CPU12)は、前回の印刷動作から次に印刷動作を行うまで(印刷命令を受信するまで)の時間であるプリンター1の「停止時間」を、停止時間測定部80から取得する(S002)。
ここで、停止時間測定部80は、図1に示すように、コントローラー10内に含まれ、プリンター1の停止時間を測定する。例えば、ある印刷ジョブが終了した後、次の印刷ジョブが無い場合に、コントローラー10はヘッド41をホームポジションHPに移動し、ヘッド41のノズル面をキャップ80にて封止する。このとき、コントローラー10は、停止時間測定部80のカウンターをリセットさせる。そうすると、停止時間測定部80は新たにカウントを始める。そして、コントローラー10が印刷命令を受信するまで、停止時間測定部80はカウントを続ける。このように停止時間測定部80は、前の印刷動作を終了してから次の印刷命令を受信するまでの時間、即ち、プリンター1が印刷を停止している時間をカウントする。停止時間は、言い換えれば、ヘッド41にキャップ80が密着している時間であり、ノズルからインクが噴射されていない時間である。なお、停止時間測定部80が停止時間をカウントしている間に、プリンター1の電源がオフされても、データが失わないように、プリンター1にバッテリーを設ける。
そして、コントローラー10は、停止時間測定部80から取得した停止時間と、メモリー13に記憶されている「増粘インク量テーブル(図12)」と、を照合し、停止時間に応じた増粘インク量を取得する(S003)。プリンター1の停止時間が1時間未満であり、増粘インク量が0plである場合(S004→NO)、プリンター1は通常の印刷を行う(S008)。
一方、停止時間が1時間以上であり、インクが増粘している場合には(S004→YES)、ヘッド41の移動速度Vchを補正して印刷を行う。具体的には、通常インクを噴射する時のヘッド速度Vcよりも遅い速度にヘッド41の移動速度Vchを補正する。なお、図11に示すテストパターンから、増粘インクの噴射が進むにつれて、増粘インクの噴射速度Vmhと通常インクの噴射速度Vmとの差が小さくなることが分かる。ただし、この第1実施形態では、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchを一定とする。増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchは、図11に示すテストパターンを形成することで測定することが出来る。例えば、印刷開始直後のプリンター1にて形成したテストパターン(図11)から算出された移動速度Vchと、増粘インクが噴射され終わるプリンター1にて形成したテストパターンから算出された移動速度Vchと、の平均値にするとよい。
また、コントローラー10は、最初の1ページを印刷する前に、そのページの印刷中に増粘インクが消費され終わるか否かを判断する。そのために、コンピューター10は、そのページの印刷データに基づくインクの消費量と、プリンター1の停止時間に応じた増粘インク量(図12)と、を比較する。そのページの印刷中に使用されるインクが全て増粘インクである場合には、1ページの印刷中に亘ってヘッド41の移動速度Vchを補正する(S005)。なお、最初のページで増粘インクの噴射が終了する場合には、最初のページにおいて、増粘インクが噴射され終わる途中のパスまでヘッド41の移動速度Vchを補正し、その後のパスでは通常のヘッド41の移動速度Vcにて印刷を行う。
また、前述のように、増粘インクを噴射する時にヘッド41の移動速度Vchを補正するため、ヘッド41全体の増粘インク量を管理する。そのため、1ページを印刷するためのインクの消費量とは、ヘッド41が有する全てのノズル列YMCKから噴射されるインク量である。つまり、プリンター1の停止時間中にヘッド41全体で増粘したインク量と、1ページの印刷中にヘッド41全体で噴射されるインク量と、を比較し、そのページの印刷中に亘ってヘッド41の移動速度Vchを補正するか否かを判断する。
そして、次ページを印刷する前にも同様に、次ページの印刷中に増粘インクが消費され終わるか否かを判断する(S006)。そのために、コントローラー10は、次ページの印刷データに基づく次ページのインク消費量と、増粘インクの残量と、を比較する。増粘インクの残量とは、プリンター1の停止時間に応じたヘッド41全体の増粘インク量と、次ページの印刷前に消費されたヘッド41全体の増粘インク量と、の差である。そして、次ページの印刷中にも増粘インクが消費され終わらない場合には(S006→NO)、次ページの印刷中に亘ってヘッド41の移動速度Vchを補正する(S005)。
一方、次ページの印刷中に増粘インクが消費され終わる場合には(S006→YES)、増粘インクが噴射され終わるまでヘッド41の移動速度Vchを補正し、その後は、ヘッド41の通常の移動速度Vcにて印刷を行う。例えば、増粘インクが噴射され終わるパスまでヘッド41の移動速度Vchを補正し、次のパスからは通常のヘッド41の移動速度Vcにて印刷するとよい。この場合、印刷を再開し始めてから、このページにおける増粘インクが噴射され終わるパスまでが、補正期間に相当する。なお、増粘インクが噴射され終わるパスから、通常のヘッド41の移動速度Vcにしても良いし、パスの途中でヘッド41の移動速度Vchを補正してもよい。そして、増粘インクが消費され終わった次ページからは、通常のヘッド41の移動速度Vcで印刷を行う(S008)。
こうすることで、増粘インクが噴射される時には、ヘッド41の移動速度Vchを遅く補正することができ、通常インクが噴射される時には、通常のヘッド41の移動速度Vcにて印刷を行うことができるため、増粘インクによる画質劣化を抑制できる。
===増粘インクの対処方法:第2実施形態===
図14Aから図14Cは、第2実施形態における増粘インクの対処方法を説明するための図であり、図15は、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchに関する「補正量テーブル」を示す図である。前述の第1実施形態では、プリンター1の停止後に、印刷を再開してから増粘インクを噴射し終わるまでに補正するヘッド41の移動速度Vchを一定としている。ただし、図11のテストパターンに示すように、増粘インクの消費が進むにつれて、増粘インクの噴射速度Vmhの変動量が小さくなり、目標位置からのずれ量も少なくなる。そこで、第2実施形態では、増粘インクの消費量に応じて(増粘インクの残量に応じて)、補正するヘッド41の移動速度Vchを異ならせる。即ち、増粘インクの消費量に応じて、通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vcと増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchとの差(補正量)を小さくする。
図14Aは、ヘッド41から通常インクが噴射される様子を示す図である。図14Bは、増粘インクの噴射速度Vmhが徐々に変化する様子を示す図である。図14Bに示すように、増粘インクの消費が進むにつれて、圧力室431や共通インク室433の増粘インク量も減少し、噴射速度Vmhの変動も小さくなる。即ち、印刷を再開し始めた時(図14Bの時刻t1)は増粘インクの噴射速度Vmh1が最も遅く、増粘インクの消費と共に(図14Bの時刻t3)、増粘インクの噴射速度Vmh3が速くなり、通常インクの噴射速度Vmに近付く。そのため、図14Bに示すように、増粘インクの着弾位置と目標位置とのずれ量も時間と共に小さくなる(d3>d4>d5)。
そこで、第2実施形態では、図14Cに示すように、増粘インクの消費が進むにつれて(印刷を再開してから時間が経過するに従って)、増粘インクを噴射するヘッド41の移動速度Vchを通常インクを噴射するヘッド41の移動速度Vcに近づける。言い換えれば、停止時間に応じた増粘インク量のうち、所定のインク量が噴射され終わる前と後とでは、ヘッド41の移動速度Vcが異なる。例えば、印刷を再開し始めた時である時刻t1では(図14C)、ヘッド41の移動速度が「Vch1」と最も遅く、インクの噴射速度Vmh3が通常インクの噴射速度Vmに近付いた時刻t3では(図14C)、ヘッド41の移動速度Vch3を時刻t1のヘッド41の移動速度Vch1よりも速くする。
即ち、増粘インクの消費が進み、増粘インクの残量が少なくなるに従って、通常インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vcと、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度Vchとの差を小さくする。ここでは、増粘インクの消費が進むにつれてヘッド41の移動速度Vchを速くする(Vch3>Vch2>Vch1)。そうすることで、増粘インクの消費と共に、噴射速度Vmhの変動量が小さくなり、ドット着弾位置の目標位置からのずれ量が小さくなったとしても、目標位置にドットを形成することが出来る。
そのために、図15に示す「補正量テーブル」をプリンター1のメモリー13に記憶させるとよい。図15に示す補正量テーブルは、増粘インクの残量に対して、補正するヘッド41の移動速度Vchを示すテーブルである。増粘インクの残量は、プリンター1の停止時間に応じた増粘インク量と、印刷を再開してから消費したインク量との差である。補正量テーブルにおいて、増粘インクの残量が「Z(n)以上」と多い時、ヘッド41の移動速度「Vch(n)」が最も遅く、増粘インクの残量が「0pl以上Z(1)pl未満」と少ない時には、ヘッド41の移動速度「Vch(1)」が最も速くなり、通常のヘッド41の移動速度Vcに近付く。
前述の第1実施形態の印刷フロー(図13)では、コントローラー10は、ページごとに増粘インクの消費が終了するか否かを判断し、増粘インクの消費が終了するパスにおいて、増粘インク用の移動速度Vchから通常インク用の移動速度Vcに切換える。第2実施形態では、これに加えて、増粘インクの残量が図15に示す閾値となるパスにおいて、増粘インク用の移動速度Vchを変更する。例えば、増粘インクの残量がZ(2)pl未満となるパス(又はその次のパス)において、コントローラー10は、ヘッド41の移動速度をVch(3)からVch(2)に変更する。なお、パスの途中で移動速度Vchを変更してもよい。
このように、第2実施形態では、増粘インクの消費に伴って、増粘インク用のヘッド41の移動速度Vchを徐々に速めて、通常インク用のヘッド41の移動速度Vcに近づけるため、第1実施形態に比べて増粘インクによる画質劣化をより抑制出来る。ただし、第1実施形態の方が第2実施形態よりもヘッド41の移動速度Vchの補正の制御が容易となる。
===増粘インクの対処方法:変形例===
<単方向印刷について>
前述の実施形態では、図7Aに示すように、ヘッド41が移動方向の左側から右側へ移動する際にも、移動方向の右側から左側へ移動する際にも、インクが噴射されるが(双方向印刷が行われるが)、これに限らない。例えば、ヘッド41が移動方向のどちらか一方に移動する際にのみインクを噴射する印刷方法(単方向印刷)であってもよい。この場合、増粘インクの噴射速度Vmhが通常インクの噴射速度Vmよりも遅くなったとしても、目標位置に対する増粘インクの着弾位置のずれが、一方向側となる。例えば、ヘッド41が移動方向の左側から右側へ移動する場合にのみ(往路時のみ)インクが噴射されるとする。この場合、増粘インクは目標位置に対して右側にだけずれる。そのため、用紙Sにおいて画像全体が右側にずれるだけであり、双方向印刷のように、同じ目標位置に対して、右側にずれてドットが形成されたり、左側にずれてドットが形成されたりすることは無い。
そのため、単方向印刷を行う場合であって、1ページ分の印刷に使用されるインクが全て増粘インクの場合には、ヘッド41の移動速度を補正しなくともよい。そして、増粘インクが消費され終わり、通常インクの消費が始まるページにおいて、ヘッド41の移動速度を補正してもよい。そうすることで、ヘッド41の移動速度の補正の制御を容易にすることが出来る。
ただし、単方向印刷であっても、増粘インクを噴射する時のヘッド41の移動速度を補正することで、用紙Sの中央に画像を形成することが出来る(目標位置にドットを形成することが出来る)。また、第2実施形態にて説明しているように、増粘インクの消費が進むにつれて、増粘インクの噴射速度Vmhの変動量が小さくなり、目標位置からのずれ量も小さくなる。そのため、単方向印刷であり、1ページの印刷に使用されるインクが全て増粘インクであっても、増粘インクの消費と共に、増粘インク用のヘッド41の移動速度Vchと通常インク用のヘッド41の移動速度Vcとの差を小さくすることで、より高画質な画像が得られる。
<ラインヘッドプリンターについて>
図16Aから図16Cは、ラインヘッドプリンターにおいて用紙S(媒体)の搬送速度の補正方法を説明するための図である。前述の実施形態では、ヘッド41の移動方向への移動中にインクを噴射する動作と、用紙Sの搬送動作と、を交互に繰り返すプリンター1(図1B・シリアル式のプリンター)を例に挙げているが、これに限らない。例えば、紙幅方向に長く並んだノズル列(紙幅方向に並んだ複数のヘッド41)の下を停まることなく搬送される用紙Sに向けてインクを噴射する、所謂ラインヘッドプリンターであってもよい。本実施形態では、増粘インクの噴射速度Vmhの変動によるインクの着弾位置のずれを補正するため、インクを噴射するヘッド41と媒体(用紙S)との相対移動速度を補正する。このラインヘッドプリンターでは、インクを噴射するヘッド41の下に用紙Sを搬送するため、増粘インクを噴射する時には、用紙Sの搬送速度Vsを補正するとよい。
図16Aは、ラインヘッドプリンターのヘッド41から通常インクが噴射速度Vmにて噴射される様子を示す図である。ヘッド41からインクが垂直方向に噴射されてから用紙Sにインクが着弾するまでの時間があるため、目標位置よりも手前にてヘッド41からインクが噴射される。通常インクの場合、用紙Sの目標位置よりも「距離d8」だけ手前の位置にヘッド41が達した時(時刻t4)にインクが噴射される。そうすると、ヘッド41から噴射されたインクが用紙Sに着弾するまでに、用紙Sが「距離d8」を搬送され、インクが目標位置に着弾することが出来る。
図16Bは、増粘インクが遅い噴射速度Vmhにて噴射される様子を示す図である。増粘インクの噴射速度Vmhが遅くなるにも関らず、用紙Sの搬送速度Vsを、通常インクを噴射する時の用紙Sの搬送速度Vs(図16A)と同じにし、また、通常インクを噴射する場合と同様に目標位置に対して「距離d8」だけ手前にヘッド41が位置した時(時刻t4)にインクを噴射すると、インク滴が用紙Sに着弾する前に、目標位置はインクの着弾位置を通り過ぎ、インクは目標位置からずれて着弾してしまう。
そこで、増粘インクの噴射速度Vmhが遅くなる場合には、通常インクを噴射する時の用紙Sの搬送速度Vs(図16A)よりも、増粘インクを噴射する時の用紙Sの搬送速度Vsh(図16C)を遅くする。即ち、増粘インクを噴射する時に、用紙Sの搬送速度Vsを補正しないと(図16B)、インクが用紙Sに着弾する時(時刻t6)には、インクの噴射位置(ノズル)と対向する用紙Sの位置は目標位置からずれてしまうのに対して、用紙Sの搬送速度Vshを遅くすることで(図16C)、インクが用紙Sに着弾する時(時刻t6)に、インクの噴射位置と目標位置が対向する。そうすることで、増粘インクにより噴射速度Vmhが遅くなり、ノズルからインクを噴射してから用紙Sに着弾するまでに時間がかかったとしても、目標位置にインクを着弾させることができる。その結果、画質劣化を抑制することが出来る。
このようにラインヘッドプリンターであっても、前述の実施形態のプリンター1と同様に、増粘インクを噴射する際に、インクを噴射するヘッド41と媒体の相対移動速度を調整するとよい。なお、ラインヘッドプリンターの場合には、ヘッド41に対して、用紙Sが一方向に搬送されるため、前述の単方向印刷と同様に、目標位置からのずれ量が一方向となる。そのため、増粘インクのみで噴射されるページでは、ヘッド41に対する用紙Sの搬送速度を補正しなくともよい。
<駆動波形Wの補正について>
前述の実施形態では、増粘インクの噴射速度Vmhが通常インクの噴射速度Vmから変動するため、ヘッド41の移動速度Vchを補正して、目標位置に増粘インクを着弾させる。増粘インクを噴射する際には、噴射速度だけでなく、噴射量も変動する場合がある。例えば、ノズルから噴射するインクの粘度が高まると、通常インクを噴射する時よりもインクが噴射され難く、インクの噴射量が少なくなってしまう場合がある。そうすると、増粘インクによるドットサイズが通常インクによるドットサイズよりも小さくなり画質劣化に繋がる。
そこで、増粘インクを噴射する場合に、ヘッド41の移動速度Vchを補正するだけでなく、増粘インクの噴射量も調整することが好ましい。そのために、図5Aに示す駆動波形Wを形成するためのパラメーターを変更するとよい。例えば、増粘インク量を増やすため、ノズルからインクを噴射する力を強めるために、最高電位Vhを高くしたり、圧力室433を膨張するために電位を上昇する際の勾配θを急にしたりするとよい。そうすることで、既定サイズのドットを目標位置に形成することができ、画質劣化をより抑制できる。また、増粘インクの噴射速度の変動は増粘インクの噴射量の変動の影響を受けていると考えられるため、増粘インクの噴射量を補正することで、増粘インクの噴射速度Vmhを通常インクの噴射速度Vmに近づけることができる。即ち、増粘インクの噴射量を補正することで、目標位置からの増粘インクの着弾位置のずれ量を低減することが出来る。
<クリーニング動作について>
前述の実施形態では、プリンター1の停止状態から復帰する際に、クリーニング動作を行わずに、印刷を再開しているがこれに限らない。例えば、1週間以上の長期間に亘ってプリンター1が停止していた際には、クリーニング動作を行ってから、印刷を再開してもよい。プリンター1の停止期間が長い場合には、ノズル周辺のインクが固化して噴射不良を発生する虞があるため、クリーニング動作を行ってから印刷を再開することで、画像におけるドット抜けを防止できる。また、クリーニング動作において、停止期間中に増粘したインクを全てキャップ80に排出してから印刷を再開しなくても、増粘インクを噴射する時にはヘッド41の移動速度Vchを補正することで、画質劣化を抑制できる。即ち、増粘インクを全て排出する必要がないため、クリーニング動作におけるインク消費量を削減できる。また、長期間停止した場合でなく、短期間(例えば半日)だけプリンター1を停止した場合であっても、クリーニング動作を行ってから、印刷を再開してもよい。このとき、クリーニング動作にて排出するインク量を少量にすることで、インク消費量を削減でき、また、インクの噴射不良を防止することが出来る。
<プリンターの停止期間について>
前述の実施形態では、印刷の停止期間中にヘッド41のノズル面をキャップ80にて封止するとしているが、プリンター1の停止期間中であっても、ヘッド41のノズル面をキャップ80にて封止しないプリンターでもよい。キャップ80にてヘッド41のノズル面を封止しないプリンターでは、増粘インクの量がより増えるため、比較例のように増粘インクをクリーニング動作にて全て排出してしまうと、インク消費量が増大してしまう。そのため、ヘッド41のノズル面をキャップ80にて封止しないプリンター1では本発明がより有効である。
<使用頻度の低いノズルについて>
前述の実施形態では、ヘッド41ごとに噴射される増粘インク量を管理している。実際の印刷では、あまり使用されないノズル(又はノズル列)が発生する場合がある。この場合、ヘッド41全体では増粘インクが噴射され終わっても、その使用頻度の低いノズルに対応する圧力室433内には増粘インクが残っている虞がある。そこで、増粘インクを使用しての印刷中であって、ヘッド41の移動速度を所定の移動速度(設計上の移動速度)から補正して印刷を行っている期間(補正期間に相当)において、インク噴射回数が閾値以下のノズルに関しては、例えば、増粘インク用の印刷から通常インク用の印刷に切り替わる際に、そのノズルだけフラッシング(クリーニング)を行わせてもよい。そうすることで、通常インク用の印刷に切り替わった際に、増粘インクが噴射されることは無く、画質劣化を抑制することが出来る。
また、ヘッド41の移動速度を所定の移動速度から補正して印刷を行っている期間に、インクの噴射回数が閾値以下のノズルに関しては、通常インクを使用しての印刷に切り換わった後にも、増粘インクが噴射される虞がある。そこで、画素単位でドット形成位置を調整してもよい。例えば、同じ目標位置に対してインクを噴射する際に、使用頻度が高く通常インクを噴射するノズル(インクの噴射回数が閾値よりも多いノズル)では「ある繰り返し周期T(ある所定周期に相当)」の駆動波形Wを使用するのに対して、使用頻度が低く増粘インクを噴射するノズル(インクの噴射回数が閾値以下のノズル)では「ある繰り返し周期Tの前の繰り返し周期T(ある所定周期とは異なる所定周期に相当)」の駆動波形Wを使用してもよい。そうすることで、使用頻度の低かったノズルから増粘インクが噴射されたとしても、ドット形成位置と目標位置とのずれを抑制することができる。
<カラー印刷とモノクロ印刷>
前述の実施形態では、ヘッド41ごとに、プリンター1の停止時間に対する増粘インク量を取得し、増粘インクの消費量を管理しているが、これに限らない。例えば、モノクロ印刷(第1ノズル群を使用する液体噴射方式に相当)では、ブラックノズル列Kのみが使用される。そのため、モノクロ印刷の場合には、コントローラー10は、プリンター1の停止時間に応じたブラックノズル列Kの増粘インク量が噴射され終わるまでの期間、ヘッド41の移動速度を補正する。一方、カラー印刷(第1ノズル群と第2ノズル群とを使用する液体噴射方式に相当)では、全てのノズル列YMCKを使用するため、コントローラー10は、プリンター1の停止時間に応じたブラックノズル列Kの増粘インク量と、プリンター1の停止時間に応じた他のノズル列YMC(第2ノズル群に相当)の増粘インク量と、の合計量が噴射され終わるまでの期間、ヘッド41の移動速度を補正する。そのため、プリンター1のメモリー13には、プリンター1の停止時間に応じたブラックノズル列Kの増粘インク量を示す補正量テーブル(図12)と、プリンター1の停止時間に応じた他のノズル列YMCの合計の増粘インク量を示す補正量テーブルと、を記憶するとよい。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、増粘インクの対処方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
<液体噴射装置について>
前述の実施形態では、流体噴射装置としてインクジェットプリンターを例示していたが、これに限らない。液体噴射装置であれば、プリンター(印刷装置)ではなく、様々な工業用装置に適用可能である。例えば、布地に模様をつけるための捺染装置、カラーフィルター製造装置や有機ELディスプレイ等のディスプレイ製造装置、チップへDNAを溶かした溶液を塗布してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、回路基板製造装置等であっても、本件発明を適用することができる。
また、液体の噴射方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることにより液体を噴射するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によって液体を噴射させるサーマル方式でもよい。
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェイス部、12 CPU、13 メモリー、14 制御ユニット、15 駆動信号生成回路、151 波形生成回路、152 電流増幅回路、20 搬送ユニット、21 プラテン、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、40 ヘッドユニット、41 ヘッド、HC ヘッド制御部、42 ケース、421収容空部、43 流路ユニット、431 共通インク室、432 インク供給路、433 圧力室、44 ケーブル、50 検出器群、60 コンピューター、70 第1シフトレジスタ、71 第2シフトレジスタ、72 ラッチ回路群、73 データセレクタ群、74 スイッチ、80 停止時間測定部

Claims (8)

  1. (A)媒体に液体を噴射するヘッドと、
    (B)前記媒体と前記ヘッドを所定方向に相対移動させる移動機構と、
    (C)前記移動機構により前記媒体と前記ヘッドを前記所定方向に所定の速度で相対移動させながら、前記ヘッドから前記液体を噴射させる制御部であって、
    前記ヘッドから前記液体を噴射させない時間である停止時間を測定し、
    前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから前記停止時間に応じた前記液体の量を噴射させ終わるまでの補正期間において、前記媒体と前記ヘッドの前記所定方向への相対移動の速度を前記所定の速度と異ならせる制御部と、
    (D)を有することを特徴とする液体噴射装置。
  2. 請求項1に記載の液体噴射装置であって、
    前記停止時間に応じた前記液体の量のうちの所定の液体量を噴射させる前と、前記所定の液体量を噴射させた後とでは、前記媒体と前記ヘッドの前記所定方向への相対移動の速度を異ならせる、
    液体噴射装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置であって、
    前記ヘッドから前記液体を噴射させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部を有し、
    前記制御部は、前記補正期間において、前記駆動信号にて発生する駆動波形の形状を補正する、
    液体噴射装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の液体噴射装置であって、
    前記制御部は、前記ヘッドのクリーニングを行った後に、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始める、
    液体噴射装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体噴射装置であって、
    前記ヘッドは前記液体を噴射するノズルを有し、
    前記制御部は、前記補正期間において、前記液体の噴射回数が閾値以下の前記ノズルのクリーニングを行う、
    液体噴射装置。
  6. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の液体噴射装置であって、
    前記ヘッドに設けられたノズルから前記液体を噴射させるための駆動信号を生成する駆動信号生成部を有し、
    前記駆動信号では、所定周期ごとに駆動波形が繰り返し発生し、
    前記制御部は、
    前記補正期間の噴射回数が閾値よりも多い前記ノズルから前記所定の画素に対して前記液体を噴射させる場合には、ある所定周期の前記駆動波形を使用し、
    前記補正期間の噴射回数が前記閾値以下の前記ノズルから前記所定の画素に対して前記液体を噴射させる場合には、前記ある所定周期とは異なる前記所定周期の前記駆動波形を使用する、
    液体噴射装置。
  7. 請求項1から請求項目6のいずれか一項に記載の液体噴射装置であって、
    前記ヘッドは、第1の液体を噴射する第1ノズル群と、第2の液体を噴射する第2ノズル群と、を有し、
    前記制御部は、
    前記第1ノズル群を使用する液体噴射方式における前記補正期間を、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから、前記停止時間に応じた前記第1の液体の量を噴射させ終わるまでの期間とし、
    前記第1ノズル群と前記第2ノズル群とを使用する液体噴射方式における前記補正期間を、前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから、前記停止時間に応じた前記第1の液体の量と前記停止時間に応じた前記第2の液体の量とを噴射させ終わるまでの期間とする、
    液体噴射装置。
  8. 媒体とヘッドを所定方向に所定の速度で相対移動させながら、前記ヘッドから液体を噴射させる液体噴射方法であって、
    前記ヘッドから前記液体を噴射させない時間である停止時間を測定することと、
    前記ヘッドから再び前記液体を噴射させ始めてから前記停止時間に応じた前記液体の量を噴射させ終わるまでの補正期間において、前記媒体と前記ヘッドの前記所定方向への相対移動の速度を前記所定の速度と異ならせることと、
    を有することを特徴とする液体噴射方法。
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