JP2010168027A - エアバッグドア - Google Patents
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Abstract
【課題】板厚2.0mm以下のインストルメントパネルに振動溶着しても、インストルメントパネルの意匠性悪化を抑制できるエアバッグドアを提供すること。
【解決手段】エアバッグドア1の溶着リブ3における接合予定部31の先端部を、幅3mm以下にする。また、エアバッグドア1に橋架けリブ5を設け、橋架けリブ5を互いに隣接する複数の溶着リブ3に一体化する。接合予定部31の先端部を小さくすることで、振動溶着時にエアバッグドア1およびインパネ8に加わる単位面積あたりの熱量を小さくでき、インパネ8の意匠性悪化を抑制できる。また、溶着リブ3を橋架けリブ5で支えることで、溶着リブ3の倒れ変形を抑制できる。
【選択図】図2
【解決手段】エアバッグドア1の溶着リブ3における接合予定部31の先端部を、幅3mm以下にする。また、エアバッグドア1に橋架けリブ5を設け、橋架けリブ5を互いに隣接する複数の溶着リブ3に一体化する。接合予定部31の先端部を小さくすることで、振動溶着時にエアバッグドア1およびインパネ8に加わる単位面積あたりの熱量を小さくでき、インパネ8の意匠性悪化を抑制できる。また、溶着リブ3を橋架けリブ5で支えることで、溶着リブ3の倒れ変形を抑制できる。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両用エアバッグ装置の一部を構成する樹脂製のエアバッグドアに関する。詳しくは、本発明は樹脂製のインストルメントパネルに振動溶着される樹脂製のエアバッグドアに関する。
車両に搭載されるエアバッグ装置は、一般に、エアバッグユニットと、エアバッグユニットを収容するエアバッグドアとを持つ。エアバッグドアは樹脂製であり、筒状をなすリテーナ部と、リテーナ部に一体化されインストルメントパネルの後面に対面するドア部とを持つ。エアバッグユニットはドア部の後面側(すなわちリテーナ部)に収容される。ドア部は略板状をなし、樹脂製のインストルメントパネルの後面に振動溶着される。また、ドア部は、通常時にはリテーナ部を閉じ、エアバッグ展開時にはリテーナ部を開く方向に揺動または変形する。
エアバッグドアは、振動溶着のためのリブ(溶着リブ)を持つ(例えば、特許文献1〜2参照)。溶着リブがインストルメントパネルに振動溶着されることで、エアバッグドアはインストルメントパネルに固着される。
エアバッグが展開すると、エアバッグドアには大きな衝撃が加わる。このため、エアバッグドア用の樹脂材料は、例えばTPO(Thermo Plastic Olefin)等の、エアバッグ展開時にも破損し難い材料が用いられている。一方、インストルメントパネル用の樹脂材料としては、例えばPP等の軽量かつ高強度の材料が用いられている。このため、インストルメントパネル用の樹脂材料とエアバッグドア用の樹脂材料とは、線膨張係数が異なる場合が多い。よって、振動溶着された溶着リブおよびインストルメントパネルが熱収縮する際に、インストルメントパネルの表面に凹凸形状が生じる場合がある。この振動溶着の際に生じる凹凸形状は、インストルメントパネルの板厚が小さくなる程(インストルメントパネルが薄肉になる程)大きくなる。
ところで、近年、車両軽量化のために、種々の内装品を軽量化することが要求されている。インストルメントパネルを軽量化するためには、薄肉化が有効であると考えられるが、この場合には、上述したように振動溶着の際に生じる凹凸形状が大きくなり、インストルメントパネルの意匠性が悪化する。例えばインストルメントパネルの板厚を2.0mm程度にすると、インストルメントパネルの意匠性が著しく悪化する問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、板厚2.0mm以下のインストルメントパネルに振動溶着しても、インストルメントパネルの意匠性悪化を抑制できるエアバッグドアを提供することを目的とする。
上記課題を解決するエアバッグドアは、板厚2.0mm以下の樹脂製のインストルメントパネルに振動溶着される樹脂製のエアバッグドアであって、
該インストルメントパネルの後面に対面する接合面を持つエアバッグドア本体部と、
該接合面に形成され振動溶着時の振動方向に延びている複数の溶着リブと、
該接合面に形成され該溶着リブと交叉する方向に延びる少なくとも一つの橋架けリブと、を持ち、
該溶着リブは、振動溶着時に溶融する溶融予定部と、該振動溶着時に残存して該インストルメントパネルの該後面に接合する接合予定部と、を持ち、
該接合予定部の先端部は、幅3mm以下であり、
該橋架けリブは、互いに隣接する複数の該溶着リブに一体化されていることを特徴とする。
該インストルメントパネルの後面に対面する接合面を持つエアバッグドア本体部と、
該接合面に形成され振動溶着時の振動方向に延びている複数の溶着リブと、
該接合面に形成され該溶着リブと交叉する方向に延びる少なくとも一つの橋架けリブと、を持ち、
該溶着リブは、振動溶着時に溶融する溶融予定部と、該振動溶着時に残存して該インストルメントパネルの該後面に接合する接合予定部と、を持ち、
該接合予定部の先端部は、幅3mm以下であり、
該橋架けリブは、互いに隣接する複数の該溶着リブに一体化されていることを特徴とする。
本発明のエアバッグドアは、下記の(1)〜(12)の何れかを備えるのが好ましく、(1)〜(12)の複数を備えるのがより好ましい。
(1)前記橋架けリブは、前記振動溶着時に溶融する第2溶融予定部と、前記振動溶着時に残存して該インストルメントパネルの後面に接合する第2接合予定部と、を持ち、
該第2接合予定部の先端部は、幅3mm以下である。
該第2接合予定部の先端部は、幅3mm以下である。
(2)前記エアバッグドア本体部は、筒状をなすリテーナ本体部と額縁状をなし該リテーナ本体部の前記インストルメントパネル側の端部に一体化されているフランジ部とを持つリテーナ部と、該リテーナ部に揺動可能に一体化されているドア部と、を持ち、
前記接合面は、該フランジ部と該ドア部とに形成されている。
前記接合面は、該フランジ部と該ドア部とに形成されている。
(3)前記フランジ部には、複数の前記溶着リブが前記フランジ部の内周端部から外周端部に向けて配列してなる溶着リブ列が少なくとも1つ形成され、
該溶着リブ列は、同じ該溶着リブ列に含まれる該溶着リブのなかで該内周端部の最も近くに配置されている補強溶着リブと、該補強溶着リブ以外の前記溶着リブである一般溶着リブとを含み、
該補強溶着リブの少なくとも一部における前記接合予定部の先端部は、該一般溶着リブにおける前記接合予定部の先端部に比べて幅広である。
該溶着リブ列は、同じ該溶着リブ列に含まれる該溶着リブのなかで該内周端部の最も近くに配置されている補強溶着リブと、該補強溶着リブ以外の前記溶着リブである一般溶着リブとを含み、
該補強溶着リブの少なくとも一部における前記接合予定部の先端部は、該一般溶着リブにおける前記接合予定部の先端部に比べて幅広である。
(4)前記フランジ部には、複数の前記橋架けリブが前記フランジ部の内周端部から外周端部に向けて配列してなる橋架けリブ列が少なくとも1つ形成され、
該橋架けリブ列は、同じ該橋架けリブ列に含まれる該橋架けリブのなかで該内周端部の最も近くに配置されている補強橋架けリブと、該補強橋架けリブ以外の前記橋架けリブである一般橋架けリブとを含み、
該補強橋架けリブの少なくとも一部における前記第2接合予定部の先端部は、該一般橋架けリブにおける前記第2接合予定部の先端部に比べて幅広である。
該橋架けリブ列は、同じ該橋架けリブ列に含まれる該橋架けリブのなかで該内周端部の最も近くに配置されている補強橋架けリブと、該補強橋架けリブ以外の前記橋架けリブである一般橋架けリブとを含み、
該補強橋架けリブの少なくとも一部における前記第2接合予定部の先端部は、該一般橋架けリブにおける前記第2接合予定部の先端部に比べて幅広である。
(5)前記接合予定部の先端部は、幅1mm以下である。
(6)前記補強溶着リブの少なくとも一部における前記接合予定部の先端部は、幅1mm以下であり、
前記一般溶着リブの前記接合予定部の先端部は、幅0.6mm以下である。
前記一般溶着リブの前記接合予定部の先端部は、幅0.6mm以下である。
(7)前記接合予定部の先端部は、幅0.6mm以下である。
(8)前記第2接合予定部の先端部は、幅1mm以下である。
(9)前記補強橋架けリブの少なくとも一部における前記第2接合予定部の先端部は、幅1mm以下であり、
前記一般橋架けリブの前記接合予定部の先端部は、幅0.6mm以下である。
前記一般橋架けリブの前記接合予定部の先端部は、幅0.6mm以下である。
(10)互いに隣接する複数の前記溶着リブと、互いに隣接する複数の前記橋架けリブと、が格子状に一体化されてなる複合リブ部を持つ。
(11)前記橋架けリブは、振動溶着時の振動方向と直交する方向に延びている。
(12)前記溶着リブおよび前記橋架けリブは、前記フランジ部と前記ドア部とに形成されている。
本発明のエアバッグドアは溶着リブを持つ。溶着リブは、振動溶着時に溶融する溶融予定部と、振動溶着時に残存する接合予定部とを持つ。接合予定部は、インストルメントパネル(以下、インパネと略する)の後面に接合する部分である。本発明のエアバッグドアでは、接合予定部の先端部の幅を3mm以下と非常に小さくすることで、インパネの意匠性悪化を抑制できる。すなわち、接合予定部の先端部の幅(以下、溶着接合幅と呼ぶ)を小さくすることで、溶着リブとインパネとの単位面積あたりの接合面積(溶着面積)を小さくできる。このため、エアバッグドアおよびインパネに加わる単位面積あたりの熱量を小さくでき、単位面積あたりの溶着リブの収縮量とインパネの収縮量との差を小さくできる。このため、熱収縮によるインパネ表面の凹凸形状を抑制できる。よって、本発明のエアバッグドアは、板厚2.0mm以下の薄肉のインパネに振動溶着しても、インパネの意匠性悪化を抑制できる。
ところで、溶着接合幅を小さくすると、溶着リブが薄肉になり、振動溶着時に溶着リブが倒れ変形し易くなる。溶着リブが倒れ変形すると、溶着リブの変形に伴ってインパネが変形して、インパネの意匠性が悪化する場合がある。また、エアバッグドアとインパネとの接合強度(溶着強度)が低下する可能性もある。溶着リブ倒れ防止用の治具を用いて振動溶着する等、溶着条件を最適化すれば、溶着リブの倒れを抑制できるが、この場合には溶着作業が繁雑になる。
本発明のエアバッグドアは、溶着リブと交叉する方向に延びる橋架けリブを持つ。橋架けリブは、互いに隣接する少なくとも2つの溶着リブに一体化されている。このため、本発明のエアバッグドアにおける溶着リブは、橋架けリブに支えられる。よって、本発明のエアバッグドアにおける溶着リブは、薄肉であっても倒れ難い。換言すると、本発明のエアバッグドアによると、溶着接合幅を小さくしつつ、溶着リブの倒れ変形を抑制できる。このため、本発明のエアバッグドアは意匠性悪化を信頼性高く抑制できる。
また、エアバッグドアに溶着リブのみを設ける場合、エアバッグドアの剛性は、溶着リブの延び方向に対しては大きいが、溶着リブと交叉する方向に対しては小さい。本発明のエアバッグドアによると、溶着リブに加えて、溶着リブと交叉する方向に延びる橋架けリブを設けたことで、溶着リブと交叉する方向に対するエアバッグドアの剛性を向上させ得る。このため本発明のエアバッグドアによると、エアバッグ展開時に大きな荷重が加わった場合等にも、破損し難くなる利点がある。
上記(1)を備える本発明のエアバッグドアによると、第2接合予定部の先端の幅(以下、橋架け接合幅と呼ぶ)を小さくすることで、橋架けリブに起因するインパネの意匠性悪化を抑制できる。
上記(2)を備える本発明のエアバッグドアによると、接合面をエアバッグドア本体部の全体にわたって設けたことで、エアバッグドア本体部の全体がインパネに強固に接合する。よって、インパネとエアバッグドアとをより強固に一体化できる。このため、薄肉のインパネをエアバッグドアによって補強でき、インパネの変形や破損を抑制できる利点がある。
上記(5)を備える本発明のエアバッグドアによると、溶着接合幅をさらに小さくすることで、インパネの意匠性悪化をさらに抑制できる。上記(7)を備える本発明のエアバッグドアによると、溶着接合幅をより一層小さくすることで、インパネの意匠性悪化をより一層抑制できる。
上記(10)を備える本発明のエアバッグドアによると、互いに隣接する複数の溶着リブと、互いに隣接する複数の橋架けリブと、を格子状に一体化したことで、溶着リブの倒れ変形をより信頼性高く抑制できる。また、橋架けリブは溶着リブによって支えられるため、橋架けリブの倒れ変形を抑制することもできる。
上記(11)を備える本発明のエアバッグドアによると、溶着リブと橋架けリブとが互いに直交する方向に延びるために、橋架けリブによって溶着リブを強度高く支えることができ、かつ、溶着リブによって橋架けリブを強度高く支えることができる。このため、溶着リブおよび橋架けリブの倒れ変形を更に信頼性高く抑制できる。
上記(12)を備える本発明のエアバッグドアによると、溶着リブと橋架けリブとをエアバッグドア本体部の全体にわたって設けたことで、インパネとエアバッグドアとをより強固に一体化でき、インパネの変形や破損をさらに信頼性高く抑制できる。
ところで、エアバッグ展開時にはエアバッグドア本体部が変形し、エアバッグドアに収容されているエアバッグが車室内に展開される。このときインパネは、エアバッグドア本体部の変形に伴って破断する。したがってインパネには、エアバッグの展開を妨げないよう、予め破断線(所謂テアライン)が形成されている。以下、図15〜図17を基に、一般的なインパネおよびエアバッグドアのエアバッグ展開時における挙動を説明する。なお、図15は一般的なインパネおよびエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す前面図である。図16および図17は、図15に示すエアバッグドアを図15中A−A位置で切断した様子を模式的に表す断面図である。
図15に示すように、エアバッグドア101のエアバッグドア本体部102がリテーナ部120とドア部121とを持つ場合には、ドア部121の揺動または変形を妨げないよう、破断線Xはドア部121の外形に対応した形状に形成される。図16に示すように、エアバッグドア本体部102のなかでインパネの破断線Xに対面する部分には、インパネ108の破断を妨げないように、溶着リブ103(場合によっては溶着リブ103および図略の橋架けリブ)が設けられていない。したがって、図17に示すように、エアバッグドア本体部102が変形すると(すなわち、ドア部121が揺動すると)、インパネ108のなかでドア部121に溶着されている部分(可動溶着部180と呼ぶ)が、インパネ108のなかでリテーナ部120に溶着されている部分(固定溶着部181と呼ぶ)に対して変位して、インパネ108が破断する。このとき、インパネ108の破断線Xのなかで特にドア部121の揺動中心の近傍に位置する部分(図15、図16中Y部分。以下、揺動近傍部Yと呼ぶ)には、剪断方向の力が加わる。そして、固定溶着部181のなかで揺動近傍部Yの近傍に位置する部分は、揺動近傍部Yに引っ張られる。したがって、この引っ張り方向の力が大きければ、エアバッグ展開時に固定溶着部181がリテーナ部120から剥離するおそれがある。また、固定溶着部181が大きく剥離すると、インパネ108が破損するおそれもある。
この剥離を抑制するためには、溶着リブを幅広にするのが有効だと考えられる。溶着リブを幅広にすることで溶着リブとインパネとの接触面積が大きくなり、溶着リブとインパネとの接合強度が大きくなるためである。同様に、橋架けリブを幅広にすることでも、上述した剥離を抑制できると考えられる。しかし、全ての溶着リブを幅広にすると、上述したように溶着接合幅が大きくなり、インパネの意匠性が悪化するおそれがある。同様に、全ての橋架けリブを幅広にすると、橋架け接合幅が大きくなり、インパネの意匠性が悪化するおそれがある。
上記(3)を備える本発明のエアバッグドアによると、エアバッグ展開時におけるリテーナ部からのインパネの剥離を抑制でき、かつ、溶着によるインパネの意匠性悪化を抑制できる。これは以下の理由による。
上記(3)を備える本発明のエアバッグドアにおいては、リテーナ部(詳しくはフランジ部)に形成されている溶着リブを破断線の近傍に位置するもの(補強溶着リブ)と破断線から離れて位置するもの(一般溶着リブ)とに区別し、このうち補強溶着リブを一般溶着リブに比べて幅広にした。このため、上述した固定溶着部のなかで特に剪断方向の大きな力が作用する部分を補強溶着リブによってエアバッグ本体部に強固に一体化でき、エアバッグ展開時におけるリテーナ部からのインパネの剥離を抑制できる。また、一般溶着リブの幅を補強溶着リブの幅に比べて小さくしたことで、溶着によるインパネの意匠性悪化を十分に抑制できる。上記(4)を備える本発明のエアバッグドアも同様に、補強橋架けリブを一般橋架けリブよりも幅広にしたことで、溶着によるインパネの意匠性悪化を抑制しつつ、エアバッグ展開時におけるエアバッグドアからのインパネの剥離を抑制できる。
上記(6)を備える本発明のエアバッグドアによると、一般溶着接合幅を小さくし、かつ、補強溶着接合幅を大きくしたことで、インパネの意匠性悪化を抑制しつつ、エアバッグドアからのインパネの剥離を抑制できる。
上記(8)を備える本発明のエアバッグドアによると、橋架け接合幅をさらに小さくすることで、インパネの意匠性悪化をさらに抑制できる。
上記(9)を備える本発明のエアバッグドアによると、一般橋架け接合幅を小さくし、かつ、補強橋架け接合幅を大きくしたことで、インパネの意匠性悪化を抑制しつつ、エアバッグドアからのインパネの剥離を抑制できる。
以下、図面を基に、本発明のエアバッグドアを説明する。
(実施例1)
実施例1のエアバッグドアを模式的に表す斜視図を図1に示す。実施例1のエアバッグドアの要部拡大斜視図を図2に示す。実施例1のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図3に示す。以下、実施例において上、下、左、右、前、後とは図1に示す上、下、左、右、前、後を指す。また、振動溶着時の振動方向とは左右方向を指す。溶着リブの長さとは、左右方向の長さを指す。溶着リブの高さとは、前後方向の長さを指す。溶着リブの幅とは上下方向の長さを指す。
実施例1のエアバッグドアを模式的に表す斜視図を図1に示す。実施例1のエアバッグドアの要部拡大斜視図を図2に示す。実施例1のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図3に示す。以下、実施例において上、下、左、右、前、後とは図1に示す上、下、左、右、前、後を指す。また、振動溶着時の振動方向とは左右方向を指す。溶着リブの長さとは、左右方向の長さを指す。溶着リブの高さとは、前後方向の長さを指す。溶着リブの幅とは上下方向の長さを指す。
図1に示すように、実施例1のエアバッグドア1は、エアバッグドア本体部2と、複数の溶着リブ3とを持つ。実施例1のエアバッグドア1はTPOを材料としてなる。
エアバッグドア本体部2は、リテーナ部20と、2つのドア部21とを持つ。リテーナ部20およびドア部21は一体成形されてなる。リテーナ部20は、リテーナ本体部22と、フランジ部23とからなる。リテーナ本体部22は前後方向に延びる略角筒状をなす。フランジ部23は略額縁状をなし、リテーナ本体部22の前端部に一体化されている。リテーナ部20は、全体として略筒状をなす。リテーナ部20には図略のエアバッグユニットが収容される。
各ドア部21は、略板状をなす。一方のドア部21aは、フランジ部23の上側内周面に一体化されている。他方のドア部21はフランジ部23の下側内周面に一体化されている。ドア部21のなかでフランジ部23との境界部分は蝶番状をなす。このため、各ドア部21はリテーナ部20に対して揺動可能である。
実施例1のエアバッグドア1は、インパネ8の後面側に配置される。フランジ部23の前面および各ドア部21の前面は、インパネ8の後面に対面する。実施例1のエアバッグドア1におけるドア部21の前面は、本発明のエアバッグドア1における接合面25に相当する。
各ドア部21の前面(接合面25)には、それぞれ、複数の複合リブ部4が形成されている。各複合リブ部4は、それぞれ、互いに隣接する複数の溶着リブ3と、互いに隣接する複数の橋架けリブ5とが格子状に一体化されてなる。各溶着リブ3は左右方向に延び、各橋架けリブ5は上下方向に延びている。すなわち、溶着リブ3と橋架けリブ5とは、互いに直交する方向に延びている。溶着リブ3は先細りのテーパ状をなす。橋架けリブ5もまた先細りのテーパ状をなす。
図2に示すように、各溶着リブ3は、溶融予定部30と、接合予定部31とを持つ。溶融予定部30は、溶着リブ3の前端部からなる。接合予定部31は、溶着リブ3の後端部(接合面25側の端部)からなる。溶融予定部30は、振動溶着時に溶融する部分である。また、接合予定部31は振動溶着時に残存する部分であり、インパネ8の後面に接合する部分である。実施例1のエアバッグドア1における溶着リブ3は、振動溶着時に、高さ方向(図1中前後方向)に0.45mm溶融するように設計されている。したがって、実施例1のエアバッグドア1における溶融予定部30は、溶着リブ3の前端部から0.45mmの部分である。接合予定部31は溶着リブ3の他の部分である。各橋架けリブ5は、第2溶融予定部50と、第2接合予定部51とを持つ。第2溶融予定部50は、橋架けリブ5の前端部からなる。第2接合予定部51は、橋架けリブ5の後端部(接合面25側の端部)からなる。第2溶融予定部50は、振動溶着時に溶融する部分である。また、第2接合予定部51は振動溶着時に残存する部分であり、インパネ8の後面に接合する部分である。実施例1のエアバッグドア1における橋架けリブ5は、溶着リブ3と同様に、振動溶着時に、高さ方向に0.45mm溶融するように設計されている。したがって、実施例1のエアバッグドア1における第2溶融予定部50は、橋架けリブ5の前端部から0.45mmの部分である。第2接合予定部51は橋架けリブ5の他の部分である。なお、同じ複合リブ部4に属する溶着リブ3と橋架けリブ5とは、それぞれ、高さ方向の全体で一体化している。
実施例1のエアバッグドア1において、溶着接合幅W1(接合予定部31の先端部の幅)は0.6mmである。隣接する溶着リブ3の接合予定部31の先端部同士の距離(ピッチ)W2は3mmである。橋架け接合幅W3(第2接合予定部51の先端部の幅)は0.6mmである。隣接する橋架けリブ5の第2接合予定部51の先端部同士の距離(ピッチ)W4は3mmである(図3)。接合予定部31の高さH1は2mmである。溶融予定部30の高さH2は0.45mmである。第2接合予定部51の高さH3は2mmである。第2溶融予定部50の高さH4は0.45mmである(図2)。なお、図示しないが、接合予定部31の後端部(接合面25側の端部)の幅は0.7mmである。第2接合予定部51の後端部の幅は0.7mmである。
なお、実施例1のエアバッグドア1においては、フランジ部23における左側部分の前面および右側部分の前面にも、溶着リブ3および橋架けリブ5が形成されている。フランジ部23に形成されている溶着リブ3および橋架けリブ5の形状は、ドア部21に形成されている溶着リブ3および橋架けリブ5の形状と同じである。また、フランジ部23に形成されている溶着リブ3および橋架けリブ5のピッチは、ドア部21に形成されている溶着リブ3および橋架けリブ5のピッチよりも長い。
(実施例2)
実施例2のエアバッグドアは、ドア部に形成されている溶着リブおよび橋架けリブのピッチ以外は実施例1のエアバッグドアと同じものである。実施例2のエアバッグドアを模式的に表す斜視図を図4に示す。
実施例2のエアバッグドアは、ドア部に形成されている溶着リブおよび橋架けリブのピッチ以外は実施例1のエアバッグドアと同じものである。実施例2のエアバッグドアを模式的に表す斜視図を図4に示す。
実施例2のエアバッグドア1において、ドア部21a、21bに形成されている溶着リブ3および橋架けリブ5と、フランジ部23に形成されている溶着リブ3および橋架けリブ5と、は、同形状かつ同ピッチである。
詳しくは、各溶着リブ3および橋架けリブ5は、実施例1のエアバッグドアにおける溶着リブ3および橋架けリブ5と同形状である。隣接する溶着リブ3の接合予定部31の先端部同士の距離(ピッチ)は3mmである。隣接する橋架けリブ5の第2接合予定部51の先端部同士の距離(ピッチ)は3mmである。なお、実施例2のエアバッグドア1においては、型抜き性を考慮し、ドア部21a、21bの外側周縁部、フランジ部23の外側周縁部、およびフランジ部23の内側周縁部(以下、テアライン部28と呼ぶ)には、溶着リブ3および橋架けリブ5を設けていない。テアライン部28は、溶着リブ3および橋架けリブ5を設けないことで、型抜き時に僅かに変形可能である。このため、実施例2のエアバッグドア1は、容易に型抜きできる。テアライン部28は、ドア部21a、21bの外側周縁部、フランジ部23の外側周縁部、およびフランジ部23の内側周縁部の全周にわたって設けられている。実施例2のエアバッグドア1において、ドア部21の外側周縁部およびフランジ部23の外側周縁部におけるテアライン部28の幅は3mmである。フランジ部23の内側周縁部の上側部分および下側部分におけるテアライン部28の幅は3mmである。フランジ部23の内側周縁部の上側部分および下側部分におけるテアライン部28の幅は9mmである。
(実施例3)
実施例3のエアバッグドアは、フランジ部に形成されている溶着リブおよび橋架けリブの配置、および、一部の溶着リブおよび一部の橋架けリブの形状以外は実施例2のエアバッグドアとほぼ同じものである。実施例3のエアバッグドアを模式的に表す斜視図を図5に示し、実施例3のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図6に示す。
実施例3のエアバッグドアは、フランジ部に形成されている溶着リブおよび橋架けリブの配置、および、一部の溶着リブおよび一部の橋架けリブの形状以外は実施例2のエアバッグドアとほぼ同じものである。実施例3のエアバッグドアを模式的に表す斜視図を図5に示し、実施例3のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図6に示す。
図5に示すように、実施例3のエアバッグドアにおけるドア部21およびフランジ部23には、それぞれ複数の溶着リブ3および橋架けリブ5が形成されている。ドア部21に形成されている溶着リブ3および橋架けリブ5は、実施例2と同形状かつ同ピッチである。
フランジ部23は略矩形の額縁状をなす。フランジ部23の略中央部分には略矩形の開口7が形成されている。フランジ部23のなかで開口7側の部分が内周端部26であり、開口よりも外側の端部が外周端部27である。内周端部26のなかで上側に位置する部分および下側に位置する部分はそれぞれ左右方向に延びている。内周端部26のなかで左側に位置する部分および右側に位置する部分はそれぞれ上下方向に延びている。以下、フランジ部23に形成されている溶着リブ3をフランジ溶着リブ300と呼ぶ。また、フランジ部23に形成されている橋架けリブ5をフランジ橋架けリブ500と呼ぶ。図6に示すように、各フランジ溶着リブ300は左右方向に延びている。また、各フランジ橋架けリブ500は上下方向に延びている。
図5に示すように、複数のフランジ溶着リブ300は、フランジ部23における上側の内周端部26から上側の外周端部27に向けて配列している。したがって、これらのフランジ溶着リブ300は第1の溶着リブ列301を構成している。また、他の複数のフランジ溶着リブ300は、フランジ部23における下側の内周端部26から下側の外周端部27に向けて配列している。したがって、これらのフランジ溶着リブ300は第2の溶着リブ列302を構成している。
図6に示すように、第1の溶着リブ列301は、内周端部26の最も近くに配置されているフランジ溶着リブ300を含む。第2の溶着リブ列302も同様に内周端部26の最も近くに配置されているフランジ溶着リブ300を含む。第1の溶着リブ列301のなかで内周端部26の最も近くに配置されているフランジ溶着リブ300、および、第2の溶着リブ列302のなかで内周端部26の最も近くに配置されているフランジ溶着リブ300を補強溶着リブ303と呼ぶ。また、第1の溶着リブ列301、および第2の溶着リブ列302に含まれる他のフランジ溶着リブ300を一般溶着リブ304と呼ぶ。
補強溶着リブ303のなかで、内周端部26の外周側に位置する部分の溶着接合幅W1aは1mmである。補強溶着リブ303の他の部分の溶着接合幅W1bは0.6mmである。一般溶着リブ304の溶着接合幅W1cは0.6mmである。したがって、補強溶着リブ303の一部における溶着接合幅は、一般溶着リブ304の溶着接合幅よりも幅広である。なお、隣接するフランジ溶着リブ300のピッチは3mmである。
他の複数のフランジ溶着リブ300は、フランジ部23のなかで内周端部26よりも左側に位置する部分に形成されている。詳しくは、これらのフランジ溶着リブ300は、上側の外周端部27から下側の外周端部27に向けて配列し、一端部を内周端部26に向けている。さらに他の複数のフランジ溶着リブ300は、フランジ部23の中で内周端部26よりも右側に位置する部分に形成されている。詳しくは、これらのフランジ溶着リブ300は、上側の外周端部27から下側の外周端部27に向けて配列し、一端部を内周端部26に向けている。これらのフランジ溶着リブ300の溶着接合幅W1dは0.6mmである。
複数のフランジ橋架けリブ500は、フランジ部23の内周端部26から左側の外周端部27に向けて配列している。したがって、これらのフランジ橋架けリブ500は第1の橋架けリブ列501を構成している。また、他の複数のフランジ橋架けリブ500は、フランジ部23の内周端部26から右側の外周端部27に向けて配列している。したがって、これらのフランジ橋架けリブ500は第2の橋架けリブ列502を構成している。第1の橋架けリブ列501および第2の橋架けリブ列502は、それぞれ、内周端部26の最も近くに配置されているフランジ橋架けリブ500を含む。このフランジ橋架けリブ500を補強橋架けリブ503と呼ぶ。また、第1の橋架けリブ列501および第2の橋架けリブ列502に含まれる他のフランジ橋架けリブ500を一般橋架けリブ504と呼ぶ。補強橋架けリブ503のなかで内周端部26の外周側に位置する部分の橋架け接合幅W3aは1mmである。補強橋架けリブ503の他の部分の橋架け接合幅W3bは0.6mmである。一般橋架けリブ504の橋架け接合幅W3cは0.6mmである。したがって、補強橋架けリブ503の一部における橋架け接合幅は、一般橋架けリブ504の橋架け接合幅よりも幅広である。なお、隣接するフランジ橋架けリブ500のピッチは3mmである。
他の複数のフランジ橋架けリブ500は、フランジ部23のなかで内周端部26よりも上側に位置する部分に形成されている。詳しくは、これらのフランジ橋架けリブ500は、左側の外周端部27から右側の外周端部27に向けて配列し、一端部を内周端部26に向けている。さらに他の複数のフランジ橋架けリブ500は、フランジ部23の中で内周端部26よりも下側に位置する部分に形成されている。詳しくは、これらのフランジ橋架けリブ500は、左側の外周端部27から右側の外周端部27に向けて配列し、一端部を内周端部26に向けている。これらのフランジ橋架けリブ500の橋架け接合幅W3dは0.6mmである。
実施例3のエアバッグドアにおいて、フランジ溶着リブ300およびフランジ橋架けリブ500は、フランジ部23のなかで内周端部26に近接しかつ2つのドア部21a、21bの境界に位置する部分(境界部200)にも形成されている。したがって、境界部200にもまた、補強橋架けリブ503が形成されている。境界部200に形成した補強橋架けリブ503は、他のフランジ橋架けリブ500と交差する方向に延び、境界部200の上側および下側に配置されている補強橋架けリブ503を連結している。境界部200にフランジ溶着リブ300およびフランジ橋架けリブ500を設けたことで、境界部200近傍におけるフランジ部23とインパネ(図略)との接合強度をさらに高め得る。
なお、実施例3のエアバッグドアにおいても、各フランジ溶着リブ300および各フランジ橋架けリブ500は複合リブ部を構成している。
(実施例4)
実施例4のエアバッグドアは、フランジ溶着リブおよびフランジ橋架けリブが内周端部と交差する方向に延び、フランジ部に溶着リブ列および橋架けリブ列が形成されない例である。実施例4のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図7に示す。
実施例4のエアバッグドアは、フランジ溶着リブおよびフランジ橋架けリブが内周端部と交差する方向に延び、フランジ部に溶着リブ列および橋架けリブ列が形成されない例である。実施例4のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図7に示す。
図7に示すように、実施例4のエアバッグドアにおけるフランジ溶着リブ300およびフランジ橋架けリブ500は、実施例3のエアバッグドアにおけるフランジ溶着リブおよびフランジ橋架けリブと同様に、複合リブ部4を構成している。
実施例4のエアバッグドアにおけるフランジ溶着リブ300およびフランジ橋架けリブ500は内周端部26と交差する方向に延びている。このため、実施例4のエアバッグドアは、溶着リブ列および橋架けリブ列を持たない。なお、図略のドア部に形成されている溶着リブは、フランジ溶着リブ300と同方向に延びている。ドア部に形成されている橋架けリブは、フランジ橋架けリブ500と同方向に延びている。
実施例4のエアバッグドアにおける複合リブ部4は、フランジ溶着リブ300とフランジ橋架けリブ500とが交互に連なる部分(複合リブ経路と呼ぶ)を複数持つ。これらの複合リブ経路は、内周端部26の外周側に延在している。したがって、実施例4のエアバッグドアにおける複合リブ経路は、フランジ溶着リブ300およびフランジ橋架けリブ500が内周端部26と交差する方向に延びているにもかかわらず、内周端26の外周側を取り囲む。
これらの複数の複合リブ経路は、内周端部26から外周端部27に向けて配列している。そして、これらの複合リブ経路のなかで最も内周端部26側に位置するもの(複合補強リブ部400と呼ぶ)は、実施例3の補強溶着リブおよび補強橋架けリブと同様に、複合リブ部4の他の部分よりも幅広である。詳しくは、複合補強リブ部400の溶着接合幅W1aおよび橋架け接合幅W3aは1mmであり、複合リブ部4の他の部分の溶着接合幅W1bおよび橋架け接合幅W3bは0.6mmである。
(比較例1)
比較例1のエアバッグドアは、溶着リブの形状以外は実施例1のエアバッグドアと同じものである。比較例1のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図8に示す。
比較例1のエアバッグドアは、溶着リブの形状以外は実施例1のエアバッグドアと同じものである。比較例1のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図8に示す。
比較例1のエアバッグドア1は、実施例1のエアバッグドア1における橋架けリブ5をなくし、かつ溶着接合幅W1を大きくした例である。したがって、比較例1のエアバッグドア1において、隣接する溶着リブ3同士はそれぞれ独立している。
比較例1のエアバッグドア1において、溶着接合幅W1は1mmである。ドア部21に形成されている溶着リブ3の長さLは45mmである。接合予定部31の高さH1(図略)は2mmである。溶融予定部30の高さH2(図略)は0.45mmである。
(比較例2)
比較例2のエアバッグドアは、溶着リブの形状以外は比較例1のエアバッグドアと同じものである。比較例2のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図9に示す。
比較例2のエアバッグドアは、溶着リブの形状以外は比較例1のエアバッグドアと同じものである。比較例2のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図9に示す。
比較例2のエアバッグドア1における溶着リブ3は、溶着接合幅W1以外は比較例1のエアバッグドア1における溶着リブ3と同じである。
比較例2のエアバッグドア1において、溶着接合幅W1は5mmである。ドア部21に形成されている溶着リブ3の長さLは45mmである。接合予定部31の高さH1(図略)は2mmである。溶融予定部30の高さH2(図略)は0.45mmである。
(比較例3)
比較例3のエアバッグドアは、溶着リブの形状以外は比較例1のエアバッグドアと同じものである。比較例3のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図10に示す。
比較例3のエアバッグドアは、溶着リブの形状以外は比較例1のエアバッグドアと同じものである。比較例3のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図10に示す。
比較例3のエアバッグドア1における溶着リブ3は、溶着接合幅W1およびドア部21に形成されている溶着リブ3の長さL以外は、比較例1のエアバッグドア1と同じである。
比較例3のエアバッグドア1において、ドア部21に形成されている溶着リブ3の長さLは10mmである。溶着接合幅W1は3mmである。接合予定部31の高さH1(図略)は2mmである。溶融予定部30の高さH2(図略)は0.45mmである。
(比較例4)
比較例4のエアバッグドアは、溶着リブの形状以外は比較例1のエアバッグドアと同じものである。比較例4のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図11に示す。
比較例4のエアバッグドアは、溶着リブの形状以外は比較例1のエアバッグドアと同じものである。比較例4のエアバッグドアをインパネ側から見た様子を模式的に表す要部拡大説明図を図11に示す。
比較例4のエアバッグドア1における溶着リブ3は、溶着接合幅W1およびドア部21に形成されている溶着リブ3の長さL以外は比較例1のエアバッグドア1における溶着リブ3と同じである。
比較例4のエアバッグドア1において、ドア部21に形成されている溶着リブ3の長さLは10mmである。溶着接合幅W1は5mmである。接合予定部31の高さH1(図略)は2mmである。溶融予定部30の高さH2(図略)は0.45mmである。
(評価試験)
実施例1〜3および比較例1〜4のエアバッグドア1のドア部21を所定形状に切り取って、各エアバッグドア1のテストピースを製作した。また、PPを材料とするインパネ8のテストピースを製作した。インパネ8のテストピースは、エアバッグドア1のテストピースより僅かに大型である。実施例1〜3、比較例1および比較例3〜4のエアバッグドア1のテストピースはそれぞれ1個ずつ製作し、比較例2のエアバッグドア1のテストピースは2個製作した。インパネ8のテストピースとしては、板厚1.5mmのものを5個製作し、板厚2.5mmのものを1個製作し、板厚2.0mmのものを1個製作した。各エアバッグのテストピースおよび各インパネ8のテストピースを用いて、以下の試料1〜8を製作した。なお、各エアバッグドア1のテストピースには、2つの貫通孔(第1貫通孔51)を形成した。各インパネ8のテストピースには、第1貫通孔51に対面する位置に、2つの貫通孔(第2貫通孔52)を形成した。第2貫通孔52は第1貫通孔51よりも大径であった。
実施例1〜3および比較例1〜4のエアバッグドア1のドア部21を所定形状に切り取って、各エアバッグドア1のテストピースを製作した。また、PPを材料とするインパネ8のテストピースを製作した。インパネ8のテストピースは、エアバッグドア1のテストピースより僅かに大型である。実施例1〜3、比較例1および比較例3〜4のエアバッグドア1のテストピースはそれぞれ1個ずつ製作し、比較例2のエアバッグドア1のテストピースは2個製作した。インパネ8のテストピースとしては、板厚1.5mmのものを5個製作し、板厚2.5mmのものを1個製作し、板厚2.0mmのものを1個製作した。各エアバッグのテストピースおよび各インパネ8のテストピースを用いて、以下の試料1〜8を製作した。なお、各エアバッグドア1のテストピースには、2つの貫通孔(第1貫通孔51)を形成した。各インパネ8のテストピースには、第1貫通孔51に対面する位置に、2つの貫通孔(第2貫通孔52)を形成した。第2貫通孔52は第1貫通孔51よりも大径であった。
実施例1〜3、比較例1、比較例3〜比較例4のエアバッグドア1のテストピースを、それぞれ、板厚1.5mmのインパネ8のテストピースに振動溶着し、試料1〜6の溶着体を製作した。このときの振幅は3mmであり、振動数は101.8Hzであった。振動時間は、各エアバッグドア1のテストピースの溶着リブ3が、高さ方向に0.45mm溶融するように適宜設定した。なお、振動溶着時の振幅、振動数、振動時間は、後述する試料7〜8についても同様である。
比較例2のエアバッグドア1のテストピースの一方を、板厚2.5mmのインパネ8のテストピースに振動溶着した(試料7)。また、比較例2のエアバッグドア1のテストピースの他方を、板厚2.0mmのインパネ8のテストピースに振動溶着した(試料8)。
(溶着面割合測定試験)
各エアバッグドア1のテストピースにおける、接合予定部31の先端面の面積の総和を算出した。そして、各エアバッグドア1のテストピースにおける接合面25全体の面積(100%)のなかで、この先端面の面積が占める割合(%)を算出した。各エアバッグドア1のテストピースにおける溶着面割合を表1に示す。
各エアバッグドア1のテストピースにおける、接合予定部31の先端面の面積の総和を算出した。そして、各エアバッグドア1のテストピースにおける接合面25全体の面積(100%)のなかで、この先端面の面積が占める割合(%)を算出した。各エアバッグドア1のテストピースにおける溶着面割合を表1に示す。
(意匠性評価試験)
試料1〜8の溶着体をインパネ8のテストピース側から目視し、試料1〜8の溶着体の意匠性を評価した。インパネ8のテストピースの表面に生じている凹凸が2μm未満のものを特に意匠性に優れる(S)と評価し、2μm以上5μm未満の凹凸がみられるものを意匠性に優れる(A)と評価し、5μm以上10μm未満の凹凸がみられるものをやや意匠性に劣る(B)と評価し、10μm以上の凹凸がみられるものを意匠性に劣る(C)と評価した。試料1〜8の溶着体の意匠性を表1に示す。
試料1〜8の溶着体をインパネ8のテストピース側から目視し、試料1〜8の溶着体の意匠性を評価した。インパネ8のテストピースの表面に生じている凹凸が2μm未満のものを特に意匠性に優れる(S)と評価し、2μm以上5μm未満の凹凸がみられるものを意匠性に優れる(A)と評価し、5μm以上10μm未満の凹凸がみられるものをやや意匠性に劣る(B)と評価し、10μm以上の凹凸がみられるものを意匠性に劣る(C)と評価した。試料1〜8の溶着体の意匠性を表1に示す。
(剥がれ強度測定試験)
図12に示すように、試料1〜2、4および8の溶着体9における各第1貫通孔51および第2貫通孔52にアイボルト55を挿通した。第2貫通孔52にはナット56を挿入し、このナット56をアイボルト55の先端に締結した。ナット56は第2貫通孔52に入り込み、インパネ8における第1貫通孔51の周縁部に当接した。試料1〜2、4および8の溶着体9の端部を固定治具57に固定し、アイボルト55を図略の引張装置に取り付けた。そして、引張装置を溶着体9から離れる方向に移動させた。このとき、引張方向の荷重を徐々に増大させつつ、エアバッグドア1のテストピースがインパネ8のテストピースから剥がれるまで、アイボルト55を引っ張った。そして、エアバッグドア1のテストピースがインパネ8のテストピースから剥がれた時点でアイボルト55に加えていた引張方向の荷重を測定した。エアバッグドア1のテストピースがインパネ8のテストピースから剥がれた時点における荷重が294N未満である場合を剥がれ強度に劣る(×)と評価し、294N以上1000N未満である場合を剥がれ強度に優れる(○)と評価し、1000N以上である場合を剥がれ強度に特に優れる(◎)と評価した。試料1〜2、4および8の溶着体の剥がれ強度を表1に示す。
図12に示すように、試料1〜2、4および8の溶着体9における各第1貫通孔51および第2貫通孔52にアイボルト55を挿通した。第2貫通孔52にはナット56を挿入し、このナット56をアイボルト55の先端に締結した。ナット56は第2貫通孔52に入り込み、インパネ8における第1貫通孔51の周縁部に当接した。試料1〜2、4および8の溶着体9の端部を固定治具57に固定し、アイボルト55を図略の引張装置に取り付けた。そして、引張装置を溶着体9から離れる方向に移動させた。このとき、引張方向の荷重を徐々に増大させつつ、エアバッグドア1のテストピースがインパネ8のテストピースから剥がれるまで、アイボルト55を引っ張った。そして、エアバッグドア1のテストピースがインパネ8のテストピースから剥がれた時点でアイボルト55に加えていた引張方向の荷重を測定した。エアバッグドア1のテストピースがインパネ8のテストピースから剥がれた時点における荷重が294N未満である場合を剥がれ強度に劣る(×)と評価し、294N以上1000N未満である場合を剥がれ強度に優れる(○)と評価し、1000N以上である場合を剥がれ強度に特に優れる(◎)と評価した。試料1〜2、4および8の溶着体の剥がれ強度を表1に示す。
(耐剥離性評価試験)
実施例2および実施例3のエアバッグドアを、それぞれインパネに振動溶着した。各エアバッグドアにそれぞれエアバッグユニットを取り付け、エアバッグを展開させた。そして、エアバッグ展開時にインパネが各エアバッグドアから剥離したか否かを目視で判定した。インパネの剥離がみられなかったものを耐剥離性に優れる(○)と評価した。インパネの剥離や割れが認められたがインパネの破片が生じなかったものを耐剥離性にやや劣る(△)と評価した。インパネの剥離や割れが認められ、インパネの破片が生じたものを耐剥離性に劣る(×)と評価した。実施例2および実施例3のエアバッグドアの耐剥離性を表1に示す。
実施例2および実施例3のエアバッグドアを、それぞれインパネに振動溶着した。各エアバッグドアにそれぞれエアバッグユニットを取り付け、エアバッグを展開させた。そして、エアバッグ展開時にインパネが各エアバッグドアから剥離したか否かを目視で判定した。インパネの剥離がみられなかったものを耐剥離性に優れる(○)と評価した。インパネの剥離や割れが認められたがインパネの破片が生じなかったものを耐剥離性にやや劣る(△)と評価した。インパネの剥離や割れが認められ、インパネの破片が生じたものを耐剥離性に劣る(×)と評価した。実施例2および実施例3のエアバッグドアの耐剥離性を表1に示す。
以下、エアバッグドア1のテストピースを単にエアバッグドア1と略し、インパネ8のテストピースを単にインパネ8と略する。
表1に示すように、試料7の溶着体が意匠性に優れるのに対し、試料8の溶着体は意匠性に劣る。これは、試料7のインパネ8は板厚2.5mmであるのに対し、試料8のインパネ8は板厚2.0mmであるためである。すなわち、板厚2.0mm以下のインパネ8に、溶着接合幅5mm以上のエアバッグドア1を振動溶着すると、インパネ8の意匠性が悪化する。
また、溶着接合幅5mmのエアバッグドア1を板厚1.5mmのインパネ8に振動溶着した試料6の溶着体は意匠性に劣る。これに対し、溶着接合幅3mmのエアバッグドア1を板厚1.5mmのインパネ8に振動溶着した試料5の溶着体は意匠性に優れる。この結果から、溶着接合幅を3mm以下にすることで、インパネ8の意匠性悪化を抑制しつつ、板厚2.0mm以下のインパネ8にエアバッグドア1を振動溶着できることがわかる。すなわち、本発明のエアバッグドア1は、インパネ8の意匠性悪化を抑制しつつ、板厚2.0mm以下のインパネ8に振動溶着できる。
また、溶着接合幅1mmのエアバッグドア1を板厚1.5mmのインパネ8に振動溶着した試料4の溶着体は、溶着接合幅3mmのエアバッグドア1を板厚1.5mmのインパネ8に振動溶着した試料5の溶着体に比べてさらに意匠性に優れる。この結果から、溶着接合幅を1mm以下にすることで、インパネ8の意匠性悪化をさらに抑制しつつ、板厚2.0mm以下のインパネ8にエアバッグドア1を振動溶着できることがわかる。
さらに、溶着接合幅0.6mmのエアバッグドア1を板厚1.5mmのインパネ8に振動溶着した試料1〜3の溶着体は、溶着接合幅1mmのエアバッグドア1を板厚1.5mmのインパネ8に振動溶着した試料4の溶着体に比べてさらに意匠性に優れる。この結果から、溶着接合幅を0.6mm以下にすることで、インパネ8の意匠性悪化をさらに抑制しつつ、板厚2.0mm以下のインパネ8にエアバッグドア1を振動溶着できることがわかる。なお、溶着接合幅の好ましい範囲は0.5〜1mmの範囲である。橋架け接合幅に関しても同様に、0.5〜1mmの範囲であるのが好ましい。
また、試料1〜2の溶着体は、試料8の溶着体と同様に、剥がれ強度に優れる。これは、試料1〜2の溶着体は溶着リブ3に加えて橋架けリブ5を持つために、個々の溶融接合幅W1および橋架け接合幅W3は小さいが溶着面割合を十分に確保できるためだと考えられる。この結果から、本発明のエアバッグドア1は、インパネ8に強度高く溶着できることがわかる。
なお、溶着リブ3の幅は、振動溶着時における溶着リブ3の溶融高さに応じて適宜設定すれば良い。例えば、溶着リブ3をテーパ状にする場合には、図13に示すように、予め設定した溶着リブ3の溶融高さに応じて接合予定部31の先端部の位置を設定し、この先端部の幅(溶着接合幅W1)が3mm以下になるように溶着リブ3の形状を設計すれば良い。この先端部の幅は1mm以下であるのが好ましく、0.6mm以下であるのがより好ましい。また、溶融リブ3の先端部は溶着時に外側に向けて広がる方向に流動する。このため、図14に示すように、実際にインパネ8に溶着した溶融リブ3の先端部は、溶融前に比べて幅広になる。この先端部のなかでインパネ8に接合している部分の幅W5は、3mm以下であるのが好ましく、1mm以下であるのがより好ましく、0.6mm以下であるのがさらに好ましい。橋架けリブ5の橋架け接合幅W3に関しても同様である。
なお、本発明のエアバッグドア1においては、橋架け接合幅W3は特に限定しない。橋架けリブ5は振動溶着時の振動方向と交叉する方向に延びるため、溶着リブ3に比べて溶融し難い。このため、橋架けリブ5は振動溶着時に大きく熱収縮し難く、インパネ8のなかで橋架けリブ5が溶着される部分もまた、振動溶着時に大きく熱収縮し難い。このため、橋架けリブ5は、インパネ8の意匠性悪化にあまり寄与しない。したがって、橋架け接合幅W3は、3mmを超えても良いし、3mm以下であっても良い。なお、橋架け接合幅W3が3mm以下の場合には、インパネの意匠性悪化を更に低減できる。さらに、本発明のエアバッグドアが複数の橋架けリブ5を持つ場合には、各橋架けリブ5は平行に延びても良いし、互いに交差する方向に延びても良い。
本発明のエアバッグドアにおける溶融予定部30の先端部および第2溶融予定部50の先端部は、平面状をなしても良いし、曲面状や尖端形状をなしても良い。溶融予定部30の先端部の幅が小さい程、振動溶着時の抵抗が小さくなる。
さらに、実施例1〜2のエアバッグドア1において、隣接する溶着リブ3の接合予定部31の先端部同士の距離(ピッチ)は3mmであり、隣接する橋架けリブ5の第2接合予定部51の先端部同士の距離(ピッチ)は3mmである。そして、実施例1〜2のエアバッグドア1は、溶着面割合が十分に大きく、剥がれ強度に優れる。このため、溶着リブ3および橋架けリブ5のピッチを、ともに3mmにすることで、エアバッグドア1の剥がれ強度を向上させ得ることがわかる。なお、溶着リブ3および橋架けリブ5のピッチは、2〜5mmの範囲であるのが好ましい。
また、表1に示すように、実施例2のエアバッグドアは耐剥離性にやや劣るが、実施例3のエアバッグドアは耐剥離性に優れる。これは、実施例3のエアバッグドアが補強溶着リブおよび補強橋架けリブを持つのに対し、実施例2のエアバッグドアが補強溶着リブおよび補強橋架けリブを持たないためである。この結果から、補強溶着リブおよび補強橋架けリブによってインパネの破断線近傍部分を補強することで、エアバッグ展開時におけるインパネの剥離を信頼性高く抑制できることがわかる。
補強溶着リブは溶着接合幅3mm以下の範囲で一般溶着リブよりも幅広であれば良く、補強橋架けリブは橋架け接合幅3mm以下の範囲で一般橋架けリブよりも幅広であれば良いが、インパネの意匠性悪化を抑制するためには、補強溶着リブの溶着接合幅および補強橋架けリブの橋架け接合幅は1mm以下であるのが好ましい。公差を考慮すると、補強溶着リブの溶着接合幅および補強橋架けリブの橋架け接合幅は1.15mm以下であるのが良い。さらに詳しくは、補強溶着リブの溶着接合幅および補強橋架けリブの橋架け接合幅は0.8mm〜1.15mmの範囲であるのが良い。この場合、一般溶着リブの溶着接合幅および一般橋架けリブの橋架け接合幅は0.6mm以下であるのが良い。公差を考慮すると、一般溶着リブの溶着接合幅および一般橋架けリブの橋架け接合幅は0.3mm〜0.75mmの範囲であるのが良い。補強溶着リブ、補強橋架けリブ、一般溶着リブおよび一般橋架けリブは、均一幅であるのが好ましいが、均一幅でなくても良い。この場合、各リブのなかで最も幅広の部分の溶着接合幅(橋架け接合幅)、および最も幅狭の部分の溶着接合幅(橋架け接合幅)が上記範囲にあるのが好ましい。
なお、補強溶着リブに一体化されている橋架けリブは、補強溶着リブよりもさらに内周端部に向けて延出していても良い。そして、この橋架けリブのなかで補強溶着リブよりもさらに内周端部に向けて延出している部分を、補強溶着リブと同様に幅広にしても良い。この場合には、エアバッグドアの内側周縁部とインパネとの接合強度をさらに高めることができる。さらに、この場合にも、全ての橋架けリブを幅広にするのではなく一部の橋架けリブを部分的に幅広にすることで、振動溶着によるインパネの意匠性悪化を抑制できる。同様に、補強橋架けリブに一体化されている溶着リブは、補強橋架けリブよりもさらに内周端部に向けて延出していても良い。そして、この橋架けリブのなかで補強溶着リブよりもさらに内周端部に向けて延出している部分を、補強溶着リブと同様に幅広にしても良い。
また、フランジ部に溶着リブと橋架けリブとの少なくとも一方を形成する場合、これらのリブの延びる方向は特に限定されない。例えば、これらのリブの延びる方向は内周端部26の延びる方向と一致していなくても良いし、これらのリブは内周端部の一部とほぼ平行に延びても良い。
さらに、実施例4のエアバッグドアによっても、実施例3のエアバッグドアと同様に、エアバッグ展開時におけるインパネの剥離を抑制し、かつ、溶着によるインパネの意匠性悪化を抑制できる。これは、実施例4のエアバッグドアが、複合補強リブを持つためである。複合補強リブは、フランジ部のなかで内周端部に近接した位置に配置され、内周端部を外周側から取り囲むように連続的に延びている。このため、この複合補強リブは補強溶着リブや補強橋架けリブと同様に、インパネのなかでフランジ部に溶着される部分(固定溶着部)に作用する剪断方向の力や引っ張り方向の力に耐え、インパネに強固に溶着する。よってこの場合にも、エアバッグ展開時におけるリテーナ部からのインパネの剥離を抑制できる。また、複合リブ部の全体を幅広にするのでなく複合リブ部の一部のみを幅広にすることで、溶着によるインパネの意匠性悪化を抑制できる。
1:エアバッグドア 2:エアバッグドア本体部 3:溶着リブ
4:複合リブ部 5:橋架けリブ 8:インパネ
23:フランジ部 25:接合面 26:内周端部
27:外周端部 30:溶融予定部 31:接合予定部
301、302:溶着リブ列 303:補強溶着リブ
304:一般溶着リブ 501、502:橋架けリブ列
503:補強橋架けリブ 504:一般橋架けリブ
4:複合リブ部 5:橋架けリブ 8:インパネ
23:フランジ部 25:接合面 26:内周端部
27:外周端部 30:溶融予定部 31:接合予定部
301、302:溶着リブ列 303:補強溶着リブ
304:一般溶着リブ 501、502:橋架けリブ列
503:補強橋架けリブ 504:一般橋架けリブ
Claims (13)
- 板厚2.0mm以下の樹脂製のインストルメントパネルに振動溶着される樹脂製のエアバッグドアであって、
該インストルメントパネルの後面に対面する接合面を持つエアバッグドア本体部と、
該接合面に形成され振動溶着時の振動方向に延びている複数の溶着リブと、
該接合面に形成され該溶着リブと交叉する方向に延びる少なくとも一つの橋架けリブと、を持ち、
該溶着リブは、振動溶着時に溶融する溶融予定部と、該振動溶着時に残存して該インストルメントパネルの該後面に接合する接合予定部と、を持ち、
該接合予定部の先端部は、幅3mm以下であり、
該橋架けリブは、互いに隣接する複数の該溶着リブに一体化されていることを特徴とするエアバッグドア。 - 前記橋架けリブは、前記振動溶着時に溶融する第2溶融予定部と、前記振動溶着時に残存して該インストルメントパネルの後面に接合する第2接合予定部と、を持ち、
該第2接合予定部の先端部は、幅3mm以下である請求項1に記載のエアバッグドア。 - 前記エアバッグドア本体部は、筒状をなすリテーナ本体部と額縁状をなし該リテーナ本体部の前記インストルメントパネル側の端部に一体化されているフランジ部とを持つリテーナ部と、該リテーナ部に揺動可能に一体化されているドア部と、を持ち、
前記接合面は、該フランジ部と該ドア部とに形成されている請求項1または請求項2に記載のエアバッグドア。 - 前記フランジ部には、複数の前記溶着リブが前記フランジ部の内周端部から外周端部27に向けて配列してなる溶着リブ列が少なくとも1つ形成され、
該溶着リブ列は、同じ該溶着リブ列に含まれる該溶着リブのなかで該内周端部の最も近くに配置されている補強溶着リブと、該補強溶着リブ以外の前記溶着リブである一般溶着リブとを含み、
該補強溶着リブの少なくとも一部における前記接合予定部の先端部は、該一般溶着リブにおける前記接合予定部の先端部に比べて幅広である請求項3に記載のエアバッグドア。 - 前記フランジ部には、複数の前記橋架けリブが前記フランジ部の内周端部から外周端部27に向けて配列してなる橋架けリブ列が少なくとも1つ形成され、
該橋架けリブ列は、同じ該橋架けリブ列に含まれる該橋架けリブのなかで該内周端部の最も近くに配置されている補強橋架けリブと、該補強橋架けリブ以外の前記橋架けリブである一般橋架けリブとを含み、
該補強橋架けリブの少なくとも一部における前記第2接合予定部の先端部は、該一般橋架けリブにおける前記第2接合予定部の先端部に比べて幅広である請求項3または請求項4に記載のエアバッグドア。 - 前記接合予定部の先端部は、幅1mm以下である請求項1〜請求項5の何れか一つに記載のエアバッグドア。
- 前記補強溶着リブの少なくとも一部における前記接合予定部の先端部は、幅1mm以下であり、
前記一般溶着リブの前記接合予定部の先端部は、幅0.6mm以下である請求項4〜請求項6の何れか一つに記載のエアバッグドア。 - 前記接合予定部の先端部は、幅0.6mm以下である請求項1〜請求項6の何れか一つに記載のエアバッグドア。
- 前記第2接合予定部の先端部は、幅1mm以下である請求項5〜請求項8の何れか一つに記載のエアバッグドア。
- 前記補強橋架けリブの少なくとも一部における前記第2接合予定部の先端部は、幅1mm以下であり、
前記一般橋架けリブの前記接合予定部の先端部は、幅0.6mm以下である請求項5〜請求項9の何れか一つに記載のエアバッグドア。 - 互いに隣接する複数の前記溶着リブと、互いに隣接する複数の前記橋架けリブと、が格子状に一体化されてなる複合リブ部を持つ請求項1〜請求項10の何れか一つに記載のエアバッグドア。
- 前記橋架けリブは、振動溶着時の振動方向と直交する方向に延びている請求項1〜請求項11の何れか一つに記載のエアバッグドア。
- 前記溶着リブおよび前記橋架けリブは、前記フランジ部と前記ドア部とに形成されている請求項3〜請求項12の何れか一つに記載のエアバッグドア。
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