JP2010163567A - 脂肪酸アルキルエステルの製造方法、並びに、ディーゼル燃料 - Google Patents

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Abstract

【課題】高純度、高変換率、低環境負荷プロセス、低コストで製造でき、かつ、低い曇点、流動点及び目詰まり点を有し、低い環境温度でも固化しない脂肪酸アルキルエステルの製造方法、並びに、該製造方法により製造されるディーゼル燃料の提供。
【解決手段】リン酸のアルカリ金属塩の存在下で、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸の組成比が40モル%以下であり、かつ、高級飽和脂肪酸がパルミチン酸とステアリン酸とを含み、前記パルミチン酸と前記ステアリン酸とを合わせた組成比が30モル%以下である油脂と、炭素数1〜4のアルコール類とのエステル交換反応を行う。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪酸グリセリドを主成分とする油脂、特に、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸の組成比が小さい油脂を、低級アルコール類によりエステル交換して脂肪酸アルキルエステルを製造する方法、並びに、該製造方法により製造された脂肪酸アルキルエステルを含むディーゼル燃料に関する。
地球温暖化対策と燃料資源多様化の観点から、軽油の代替燃料としてバイオディーゼル燃料(BDF)が注目されている。BDFは、油脂を低級アルコールでエステル交換することにより得られる脂肪酸エステルを主成分とする燃料であり、油脂の起源が植物であるから燃料原料として燃焼しても地球温暖化の原因になる地表上の二酸化炭素を増加させず(カーボンニュートラル)地球温暖化防止に貢献し得る燃料である。
さらに、脂肪酸アルキルエステル燃料は石油などから精製する燃料と違い、植物を原料とした油脂が硫黄分をほとんど含んでいないことから、燃焼時に硫黄酸化物をほとんど排出しない特徴を有している。また、排ガス中の一酸化炭素や浮遊微粒子物質も軽油に比して大幅に低減でき、ディーゼル燃料として使用した場合、人体への悪影響が軽油を使用した場合より大きく低減される。
従来、油脂を原料として脂肪酸エステルを合成する方法は種々の方法が知られている。 例えば、水酸化ナトリウム等の塩基の存在下で油脂とメタノールとを反応させて、脂肪酸メチルエステルとグリセリンを得た後、これらに対し、それぞれ水洗、中和等を行って脂肪酸エステルを精製する方法が知られている(非特許文献1参照)。この反応を利用して、油脂類からディーゼル燃料油として使用できるアルキルエステルを製造する技術についてもこれまで様々検討されており、例えば、特許文献1〜3には、水酸化アルカリの存在下で廃食用油とメタノールを反応させてディーゼル燃料を製造することが記載されている。
水酸化アルカリを触媒に用いるこれらの反応は、触媒が安価で、かつ短時間で反応が完結するために、油脂のエステル交換法としては有効な反応であるが、様々な問題があった。
例えば、特許文献1記載の方法は、大量に洗浄水を使用するので、触媒、油脂、脂肪酸アルキルエステル、グリセリン、石鹸などが含まれる大量の洗浄廃水が排出され、環境に与える負荷が大きい。しかも、洗浄した後の脂肪酸アルキルエステルには、水が残存しているので、ディーゼル燃料として使用する場合、この水を減圧乾燥などにより取り除く必要があり、エネルギーを消費し、プロセスが複雑になるという欠点がある。
このような問題を解決する方法として、エステル交換反応後に酸を加えて反応混合物を中和することで脂肪酸アルキルエステルを取り出しやすくする方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法では、中和によって石鹸を分解し、脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。
しかしながら、中和によって石鹸を分解して得られる脂肪酸は、脂肪酸アルキルエステルに溶解しやすくなり、脂肪酸アルキルエステル相のゲル化を引き起こすなど、保存安定性を低下させてしまう問題があった。
この観点に照らして、水酸化アルカリ以外の塩基を触媒として利用し、水洗処理及び水洗水の排水処理を必要としない方法がいくつか開示されている。
例えば、炭酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムを使用する方法(特許文献5)、油脂とアルコールとをZnO、またはZnとAlの複合酸化物触媒下において、170〜250℃の範囲、10MPa以下で反応させる方法(特許文献6)、酸化カルシウムを含む固体触媒(特許文献7及び8)、酸化カルシウムと超音波照射(非特許文献2)、マグネシウムの酸化物、水酸化物及び炭酸塩よりなる群の利用(特許文献9)等の方法が開示されている。
しかしながら、いずれの触媒も反応活性が低く、高温、高圧であり、また、触媒やメタノールの使用量が多いなど、工業的に大規模での実施を行うには課題が多い。
また、特許文献10には、触媒としてアミンと水を用いる方法が記載されているが、メタノールの使用量、反応温度、反応時間、蒸留操作の観点から、エネルギー効率が低い。特許文献11には、同じく塩基としてアミンを用い、反応後の生成物の分離にCO2を用いる方法が記載されているが、メタノールや塩基の使用量が多く、工業的な大規模での実施を行うには課題が多い。さらに、触媒を用いないでエステル交換を進行させる方法も開発されている(例えば、特許文献12〜14参照)。
しかしながら、これらの文献に記載された条件では、エステル交換反応の変換率が低く、反応条件が高温、高圧であり、実用的でないという問題がある。
工業的に大規模での実施を行う場合、原料油脂から脂肪酸アルキルエステルへの変換率が1%異なるだけで、バイオディーゼル燃料としての性能を大きく改良することができる。
こうしたことから、リン酸のアルカリ金属塩を触媒として、脂肪酸アルキルエステルを製造する方法が提案されている(特許文献15)。
この方法によると、簡単な比重分離のみで高純度の脂肪酸アルキルエステルを分離することができる。
一方、バイオディーゼル燃料は、多くの場合、軽油に対して、所定の割合で混合されて使用されるが、石油の高騰や二酸化炭素の排出規制強化等の社会的背景から今後はニートBDF(バイオディーゼル燃料100%の単独使用)の需要が高まると予想される。
しかしながら、軽油と混合使用される場合に比して、ニートBDFでは多くの課題が存在する。一般的に、燃料中に遊離脂肪酸や金属イオンが混入すると、該燃料を使用するエンジンに悪影響を及ぼし、また、不飽和脂肪酸由来の炭素炭素二重結合が酸素と反応すると反応活性種が生じ、該反応活性種から燃料として不適の化合物が生成するという問題がある。
したがって、脂肪酸アルキルエステルには、より高純度であることが要求され、同時に酸化劣化等を防ぐ安定化技術がより重要となる。
さらに最も重要なことは、環境温度が低くなると、多くの高級脂肪酸エステルでは曇化して流動性がなくなり、ついには固化して燃料フィルターの目詰まりを起こし、燃料として使用できなくなる。これらの物性は油脂を構成する脂肪酸の組成に依存するので、ニートBDFとして使用するには原料油脂を厳密に選別しなければならない。
しかしながら、バイオディーゼル燃料の原料油脂としては、数多くの植物性油脂及び動物性油脂が存在し、触媒を用いた反応性についての検討も必要であるため、こうした原料油脂としては、充分な選別ができていないというのが現状である。
特開平7−197047号公報 特開平7−310090号公報 特開平9−235573号公報 特開2005−15562号公報 特開昭61−254255号公報 米国特許第5908946号明細書 特開2001−271090号公報 特開2004−35873号公報 特開2002−308825号公報 特開2002−167356号公報 特開2005−29715号公報 特開2000−109883号公報 特開2000−143586号公報 特開2005−60591号公報 特開2007−77347号公報
「有機化学ハンドブック」,技報堂出版,1988年,p.1407〜1409 「バイオリソース技術(Bioresource Technology)」,1999年,第70巻,p.249−253
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高純度、高変換率、低環境負荷プロセス、低コストで製造でき、かつ、低い曇点、流動点及び目詰まり点を有し、低い環境温度でも固化しない脂肪酸アルキルエステルの製造方法、並びに、該製造方法により製造されるディーゼル燃料を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸を多く含む油脂であると、特に、パルミチン酸及びステアリン酸を多く含む油脂であると、温度低下とともに流動性がなくなり、ついには固化する性質が顕著に表れることを知見した。
逆に、炭素数の少ない飽和脂肪酸あるいは不飽和結合を多く含む脂肪酸では、固化する性質が観察されず、この傾向は油脂であっても脂肪酸アルキルエステルであっても同様であることを知見した。
そして、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸の組成が低く、かつ、パルミチン酸及びステアリン酸の組成が低い原料油脂を選別することで、固化する性質を抑制された脂肪酸アルキルエステルを製造できることを知見した。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> リン酸のアルカリ金属塩の存在下で、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸の組成比が40モル%以下であり、かつ、高級飽和脂肪酸が、パルミチン酸とステアリン酸とを含み、前記パルミチン酸と前記ステアリン酸とを合わせた組成比が30モル%以下である油脂と、炭素数1〜4のアルコール類とのエステル交換反応を行うことを特徴とする脂肪酸アルキルエステルの製造方法である。
<2> 油脂が、ジャトロファ油である前記<1>に記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法である。
<3> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法により製造された脂肪酸アルキルエステルを1質量%〜100質量%含むことを特徴とするディーゼル燃料。
本発明によると、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、高純度、高変換率、低環境負荷プロセス、低コストで製造でき、かつ、低い曇点、流動点及び目詰まり点を有し、低い環境温度でも固化しない脂肪酸アルキルエステルの製造方法、並びに、該製造方法により製造されるディーゼル燃料を提供することができる。
(脂肪酸アルキルエステルの製造方法)
本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法は、リン酸のアルカリ金属塩の存在下で、油脂とアルコール類とのエステル交換反応を行うこととしてなる。
<油脂>
前記油脂としては、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸の組成比が40モル%以下の油脂からなり、前記組成比としては、30モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましい。
前記組成比が40モル%以下であると、低い曇点、流動点及び目詰まり点を有し、低い環境温度でも固化しない脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。
−高級飽和脂肪酸−
前記炭素数14以上の高級飽和脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、が挙げられる。
前記高級飽和脂肪酸としては、下記構造式に示す、油脂中のトリグリセリド分子を構成する3つの基のいずれかとして存在する。
ただし、前記構造式中、R、R、及びRは、炭素数が11以上のアルキル基またはアルケニル基を表し、R、R及びRは、それぞれ同じものであるか、異なっていてもよい。
前記高級飽和脂肪酸に含まれるパルミチン酸とステアリン酸としては、前記パルミチン酸と前記ステアリン酸とを合わせた油脂中の組成比が30モル%以下であるのが好ましく、25モル%以下であるのがより好ましい。
前記組成比が、30モル%を超えると、脂肪酸アルキルエステルが環境温度で固化するという問題が発生する不都合がある。
−原料油脂−
このような油脂の原料油脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記パルミチン酸とステアリン酸とを合わせた組成比が小さい油脂である、ジャトロファ油(和名;ナンヨウアブラギリ、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸の組成;21.9モル%、パルミチン酸の組成;13.8モル%、ステアリン酸の組成;8.1モル%)が好ましい。
また、ジャトロファ油は、有毒成分を含むため食用とならず極めて安価であること、ジャトロファが降水量の少ない地域や痩せた土地でも生育すること、ジャトロファ油から得られる脂肪酸アルキルエステルはセタン価が高く曇点や流動点が比較的低いこと、リン酸のアルカリ金属塩を触媒に用いた方法で非常に高純度の脂肪酸アルキルエステルを与えること等、多くの利点を有する観点からも、最も好ましい原料油脂である。
また、バージン(未使用)植物油以外に食品工場、飲食店、一般家庭などから廃棄される廃食油なども本発明における油脂として用いることができ、これらの油脂を1種単独、若しくは混合した油脂、又はこれらの油脂を主成分とする油脂加工品も本発明における油脂として用いることができる。
前記原料油脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1以下が特に好ましい。
酸価が高いものについては、リン酸のアルカリ金属塩の使用量を増加することでエステル交換反応を進行させることが可能であるが、反応後の目的生成物の分離を妨げる原因となるので好ましくない。この観点から、精製の不十分な油脂及び廃食油を原料に使用する際には、予め酸価を測定し、酸価が高い場合は、予め水酸化ナトリウムで処理して遊離脂肪酸を石鹸として分離するか、水蒸気蒸留により除去しておくことが好ましい。
また、前記原料油脂のうち、ヨウ素価が高く、酸化安定性が低いものについては、部分的に水素添加を行ったものを用いるのが好ましい。
未精製の原料油脂を使用する場合には、未精製油脂に含まれるリン脂質を主成分とするガム質や、コロイド状不純物などの不溶物を除去するため、予め脱ガム処理を行うことが好ましい。
前記脱ガム処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、温水とともに吸着剤を未精製油脂に混合し、得られた混合物をその後ろ過して、不溶物を除去する方法、未精製の原料油脂に変性剤としてリン酸を添加するとともに吸着剤を添加してろ過する方法等が挙げられる。
また、脱ガム処理の前後や、脱ガム処理中に、必要に応じて未精製の原料油脂から夾雑物を除去することが好ましい。
前記夾雑物の除去方法としては、特に制限はなく、油脂貯蔵タンクでの静置分離、ろ過、遠心分離等の方法で除去することができる。
<アルコール類>
前記アルコール類としては、炭素数1〜4のアルコールとしてなる。
このようなアルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール等の炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルコールが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上混合して使用してもよい。
得られた脂肪酸アルキルエステルの利用性の観点から、メタノール、エタノール、2−メチル−1−プロパノールを使用するのが好ましく、メタノールが特に好ましい。
また、これらのアルコールにおける含水量としては、低いものが好ましく、含水量1%以下のものが好ましい。
前記原料油脂に対するアルコール類の仕込み量としては、特に制限はなく、油脂類の平均分子量により変更させることができるが、油脂類がグリセリンのエステルであることから、通常、油脂1モル当り3モルのアルコール類が理論値となる。従って、例えば、油脂100質量部に対する仕込み当量は、以下の(A)式により計算される化学当量の倍数として表すことができる。
Wt=(100/Mo)×3×Ma・・・・・・・(A)
Wt:アルコール類の当量仕込み量(質量部)
Mo:油脂類の平均分子量
Ma:アルコール類の平均分子量
前記アルコール類の前記原料油脂に対する仕込み量としては、前記(A)式で計算された当量仕込み量Wtに対し、1.0倍〜30倍の比率で仕込まれることが好ましく、1.0倍〜5倍の比率で仕込まれることがより好ましく、1.0〜2.0倍の比率で仕込まれることが特に好ましい。
本発明では、リン酸のアルカリ金属塩の存在下で反応を行うことにより、活性種であるアルコキシドが効率良く生成し、化学量論量に近いアルコール類の使用で十分にエステル交換が進行する。
エステル交換反応は本質的には平衡反応であり、目的生成物を高収率で得るためには、一般的にアルコールの使用量を原料に対して大過剰に用いる必要があるが、必要以上にアルコールを使用することは生成物からアルコールを除去するためのコストがかかり、経済的な観点から好ましくない。
これに対し、リン酸のアルカリ金属塩の存在下で反応を行う本発明の方法では、反応の進行に伴って生成したグリセリンが、生成した脂肪酸アルキルエステルと相分離を起こすために、アルコールの使用量を前記のような小過剰量として、反応させることが可能である。
前記(A)式中の平均分子量としては、原料としての油脂類及びアルコールの成分組成に基づいて各々計算される。
例えば、油脂類の平均分子量が887、アルコール類がメタノール(平均分子量32)の場合のアルコールの当量仕込み量を前記(A)式に従って計算すると、油脂類100質量部に対して、メタノールを10.8質量部〜324質量部を仕込むことが好ましく、10.8質量部〜54.0質量部を仕込むことがより好ましく、10.8質量部〜21.6質量部を仕込むことが特に好ましいという結果となる。
<リン酸のアルカリ金属塩>
本発明に用いられるリン酸のアルカリ金属塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウムが好ましく、リン酸カリウム、リン酸ナトリウムがより好ましく、リン酸カリウムが特に好ましい。
前記リン酸カリウムとしては、特に制限はなく、K3PO4で表される無水のものでも、K3PO4・3H2Oで表される結晶水を持つものであってもよいが、無水のものがより好ましい。
前記リン酸のアルカリ金属塩の使用量としては、特に制限はなく、原料油脂のケン化価及び酸価によって変更することができるが、原料油脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましく、1質量部〜3質量部が特に好ましい。
なお、原料油脂の酸価を予め滴定により測定しておき、中和に必要な量のリン酸のアルカリ金属塩を前記使用量に適合するように使用することが好ましい。
<エステル交換反応>
従来より知られている脂肪酸アルキルエステルの製造方法として、水酸化アルカリ及びメタノールを用いてエステル交換反応を行う場合には副反応として加水分解が起こり、好ましくない遊離脂肪酸もしくはそのアルカリ金属塩(石鹸)が生成してしまう。それらの生成機構については、特開2007−77347号公報に詳しく記載されている。
これに対し、本発明における前記エステル交換反応は、アルカリ触媒としてリン酸のアルカリ金属塩を用いることで、第一リン酸塩、第二リン酸塩及び第三リン酸塩間の平衡反応が起こり、加水分解による脂肪酸または脂肪酸のアルカリ金属塩(石鹸)の生成を排除して、脂肪酸アルキルエステルを効率的に製造することができる。
さらに、前記エステル交換反応では、前記リン酸のアルカリ金属塩を触媒として用いるため、反応後に脂肪酸アルキルエステル層と触媒及びグリセリン層とを容易に分離することができ、簡単な相分離のみで高純度の脂肪酸アルキルエステルを取り出すことができる。この結果、製造プロセスにおいて大量の洗浄廃水を排出することがなく環境への負荷を軽減できるだけでなく、脂肪酸アルキルエステルの精製などのプロセスが不要となり低コスト化を実現できる。この効果は、特に、本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法である、リン酸のアルカリ金属塩の存在下で、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸の組成比が40モル%以下であり、かつ、高級飽和脂肪酸が、パルミチン酸とステアリン酸とを含み、前記高級飽和脂肪酸における前記パルミチン酸と前記ステアリン酸とを合わせた組成比が30モル%以下である油脂と、炭素数1〜4のアルコール類とのエステル交換反応を行う場合に顕著であり、従来の脂肪酸アルキルエステルの製造方法と異なり、石鹸(アルカリ金属塩)の生成が抑制されるため、脂肪酸アルキルエステル層−グリセリン層の2層間の界面がクリアとなり、脂肪酸アルキルエステル層とグリセリン層の分離が極めて容易になる。
前記エステル交換反応の反応温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜100℃が好ましく、30℃〜70℃がより好ましく、40℃〜60℃が特に好ましい。
前記反応温度が20℃に満たないと、反応が遅く、反応の完結に長時間を要し、100℃を超えると、加水分解によるアルカリ金属塩の生成量が増してしまう。
前記エステル交換反応の反応時間としては、特に制限はなく、反応温度や用いる原料の種類などに応じて適宜選択することができるが、1分〜2時間が好ましく、10分〜1時間がより好ましい。
前記リン酸のアルカリ金属塩は、触媒活性が高いため、不必要な反応時間の延長は、予期せぬ副生成物の生成や、生産性の観点から好ましくない。
なお、反応時には、反応を促進する観点から、攪拌を行うのが好ましい。
前記エステル交換反応により生成した脂肪酸アルキルエステルとグリセリンとは、互いの親疎水性と比重に大きな差があるため混合せず、容易に相分離する。一般的には1時間程度、静置することにより相分離できる。
この際、前記リン酸のアルカリ金属塩は、グリセリン層にトラップされる。また、反応混合物中にアルコールや水などが残存しても、ほとんどがグリセリン層に移行する。よって、軽液である脂肪酸アルキルエステル層には、未反応のアルコール、水及びグリセリンがほとんど存在しない。なお、相分離の際に、必要に応じて遠心分離を用いて分離工程の時間短縮を図ってもよい。
相分離された脂肪酸アルキルエステルは、特別な精製を施すことなく、そのまま燃料もしくは燃料油添加剤として用いることも可能であり、場合によっては、蒸留による精製を行って用いることとしてもよい。
また、活性炭、活性白土などを充填したカラムによる、ろ過で精製することも可能である。このようにして得られた脂肪酸アルキルエステルは、例えば、ドイツの規格(DIN E 51606)や米国の規格(ASTM D6751)に定められた水分、残存アルコール及びグリセリンの基準値を満たすことが可能であり、したがって、そのままディーゼル燃料として使用することができる。
前記カラムによる、ろ過の方法としては、活性炭、活性白土などを充填したカラムに、前記油脂をカラムに供給し、通過させる方法が挙げられる。
前記カラムを通過させる際のカラムの温度としては、20℃〜50℃が好ましく、20℃〜40℃がより好ましい。
また、カラム内の滞留時間としては、1分間〜10分間が好ましく、1分間〜3分間がより好ましい。
なお、得られた脂肪酸アルキルエステルの安定保存のためにt−ブチルハイドロキノンやBHTなどの酸化防止剤を加えてもよい。
また、前記エステル交換反応に用いたリン酸のアルカリ金属塩を、引き続き次のエステル交換反応に用いることができる。即ち、前記エステル交換反応を行い、生成した脂肪酸アルキルエステルを相分離させて抜き取った後、残る重液のグリセリン層には未反応のアルコールとリン酸のアルカリ金属塩が含まれている。この重液層に原料油脂とアルコールを追加することで、リン酸のアルカリ金属塩を再利用して連続的に反応を行うことができる。
なお、前記リン酸のアルカリ金属塩の再利用に際しては、原料油脂の酸価の考慮が重要であり、原料油脂に含まれる遊離脂肪酸によって完全に中和されないだけのリン酸のアルカリ金属塩の塩基が残存していることが必要である。
また、前記リン酸のアルカリ金属塩の連続的な再利用は、原料油脂に含まれる遊離脂肪酸によって完全に中和されるまで連続的に行うことが可能である。
前記リン酸のアルカリ金属塩の再利用して、前記エステル交換反応を繰り返し反応を行った後の重液には、例えば、リン酸カリウム及びメタノールを反応に用いた場合、グリセリン、リン酸カリウム、脂肪酸カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸、メタノールなどを含んでいる。
このうち、グリセリンとメタノールとは、前記重液を蒸留して取り出し、工業用途に用いることが可能である。
また、残留物は、リン酸カリウムや脂肪酸カリウムなどの塩を含有しているため、肥料として有効に活用できる。これらの残留物はそのまま肥料として用いてもよいし、硝酸塩やアンモニウム塩などの窒素源を配合して化成肥料として用いてもよい。
(ディーゼル燃料)
本発明のディーゼル燃料は、前記脂肪酸アルキルエステルの製造方法により得られた脂肪酸アルキルエステルを含むディーゼル燃料としてなる。
前記脂肪酸アルキルエステルは、そのままディーゼル燃料として用いることが可能であり(ニートBDF)、また、灯油、軽油及びA重油(軽油90%に10%の残渣油を混合したもの)と混合した混合燃料からなるディーゼル燃料として用いることも可能である。
前記灯油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。理化学辞典第五版(岩波書店)の定義によれば、「灯油」とは、原油の常圧蒸留によって得られる沸点150℃〜280℃の石油製品をいい、市販の灯油をいずれも用いることができる。
前記灯油としては、JIS K 2203の1号又は2号の規定に適合する灯油が好ましい。
また、前記軽油としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。理化学辞典第五版(岩波書店)の定義によれば、「軽油」とは、原油の常圧蒸留によって得られる沸点200℃〜350℃の石油製品をいい、市販の軽油をいずれも用いることができる。
前記軽油としては、JIS K 2204の特1号、1号、2号、3号、及び特3号のいずれかの規定に適合する軽油が好ましい。
脂肪酸アルキルエステルのディーゼル燃料における含有量としては、1質量%〜100質量%としてなる。
前記含有量の下限値としては、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。
前記混合燃料とする場合の混合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般に、脂肪酸アルキルエステルの比重は、軽油や灯油の比重より大きいため、例えば、JIS K 2204の1号軽油の上に、合成した脂肪酸アルキルエステルをスプラッシュ(飛沫)ブレンドする方法が好ましい。この他に、インタンクブレンド、インラインブレンドなどの既知の方法によって混合することも可能である(例えば、特表2002−530515号公報、特表2004−520453号公報などを参照)。
このような混合燃料からなる前記ディーゼル燃料としては、種々の規格に適合したディーゼル燃料として使用することができる。
例えば、軽油95質量部に対して前記脂肪酸メチルエステル5質量部を混合して得られる燃料は、軽油の規格JIS K 2204に適合するディーゼル燃料として使用することが可能である。
また、前記脂肪酸アルキルエステルを質量比20質量%以上の割合で灯油と混合し、この混合物をさらに軽油と混合することで脂肪酸アルキルエステルの含有量を質量比5%以上とした燃料にしてもよい。
この際の混合方法としては、前記スプラッシュブレンド、インタンクブレンド、インラインブレンドなどの他、公知の方法で行うことができる。
前記脂肪酸アルキルエステルを灯油と軽油に混合させる場合、前記脂肪酸アルキルエステルを先に灯油と混合することで曇点や流動点、粘度を予め下げることができ、必要なときに軽油と混合することが可能となることで作業効率と保存安定性を向上させることができる。
このように混合して得られたディーゼル燃料としては、米国の規格ASTM D6751やA−A59693Aの規格を満たすことが可能であり、例えば、自動車などのディーゼル燃料として使用することが可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
予め脱ガム処理したジャトロファ油(インドネシア、ジャワ島産(比重0.9))100mL、メタノール18mL、リン酸カリウム1.1gを300mL三つ口フラスコに仕込み、攪拌しながら60℃で1時間反応させた。
反応終了後、室温まで冷却し、1時間後に相分離した上層のメチルエステル層を吸引により分離して、実施例1の脂肪酸アルキルエステル(脂肪酸メチルエステル)を製造した(製造方法1)。
収量は90gであり、原料油脂の脂肪酸アルキルエステルへの変換率は99%であった。この実施例1の脂肪酸アルキルエステルに対して、以下に記載の方法で、曇点、流動点、目詰まり点、動粘度の測定を行った。
−曇点の測定−
曇点は、JIS K 2269に記載の方法により測定を行った。
−流動点の測定−
流動点は、JIS K 2269に記載の方法により測定を行った。
−目詰まり点の測定−
目詰まり点は、JIS K 2204に記載の方法により測定を行った。
−動粘度の測定−
動粘度は、JIS K 2283に記載の方法により測定を行った。
実施例1の脂肪酸アルキルエステルにおける前記測定の結果は、曇点6℃、流動点5℃、目詰まり点2℃、動粘度4.41mm/s(30℃)であり、5℃まで冷却しても固化せず、米国の規格(ASTM D6751)を満たした。
(実施例2)
ジャトロファ油(インドネシア、ジャワ島産(比重0.9))に代えてジャトロファ油(インドネシア、ロンボック島産(比重0.89))を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の脂肪酸アルキルエステルを製造した(製造方法1)。
収量は89gであり、原料油脂の脂肪酸アルキルエステルへの変換率は99%であった。
また、実施例2の脂肪酸アルキルエステルについて、実施例1と同様にして、曇点、流動点、目詰まり点、動粘度を測定した。測定結果は、曇点6℃、流動点5℃、目詰まり点1℃、動粘度4.45mm/s(30℃)であり、5℃まで冷却しても固化せず、米国の規格(ASTM D6751)を満たした。
(実施例3)
ジャトロファ油(インドネシア、ジャワ島産(比重0.9))に代えてジャトロファ油(インドネシア、スンバワ島産(比重0.89))を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の脂肪酸アルキルエステルを製造した(製造方法1)。
収量は89gであり、原料油脂の脂肪酸アルキルエステルへの変換率は99%であった。
また、実施例3の脂肪酸アルキルエステルについて、実施例1と同様にして、曇点、流動点、目詰まり点、動粘度を測定した。測定結果は、曇点5℃、流動点5℃、目詰まり点1℃、動粘度4.48mm/s(30℃)であり、5℃まで冷却しても固化せず、米国の規格(ASTM D6751)を満たした。
(実施例4)
実施例1で製造した脂肪酸アルキルエステルを抜き取った重液に、実施例1で使用した(ジャトロファ油インドネシア、ジャワ島産(比重0.9))100mL及びメタノール18mLを加え、60℃で1時間反応させた。
反応終了後、室温まで冷却し、1時間後に相分離した上層のメチルエステル層を吸引により分離して、実施例4の脂肪酸アルキルエステル(脂肪酸メチルエステル)を製造した(製造方法2)。
収量は89gであり、原料油脂の脂肪酸アルキルエステルへの変換率は98.5%であった。
また、実施例4の脂肪酸アルキルエステルについて、実施例1と同様にして、曇点、流動点、目詰まり点、動粘度を測定した。測定結果は、曇点6℃、流動点5℃、目詰まり点2℃、動粘度4.51mm/s(30℃)であり、5℃まで冷却しても固化せず、米国の規格(ASTM D6751)を満たした。
(比較例1)
300mLの3口フラスコにメタノール18mL、水酸化ナトリウム1.0gを加え、溶解するまで室温で30分間攪拌した。これに60℃に加温した市販のパーム油(Fluka社製、ヨウ素価50−57、酸価<0.4)98gを添加して、60℃にて1時間反応させた。
反応終了後、室温まで冷却したが、反応液は全体的に白濁して相分離は不十分であった。また、2層間の界面に白い浮遊物が観察された。3時間放置後も明瞭には相分離しておらず、脂肪酸メチルエステルを効率よく分離するのは困難であった。
そこで、反応液を減圧ろ過し、ろ液を静置して分離した上層のメチルエステル相を分離、水洗、乾燥して比較例1の脂肪酸アルキルエステル(脂肪酸メチルエステル)を製造した(製造方法3)。
収量は90gであり、原料油脂の脂肪酸アルキルエステルへの変換率は98%であった。
また、比較例1の脂肪酸アルキルエステルについて、実施例1と同様にして、曇点、流動点、目詰まり点、動粘度を測定した。測定結果は、曇点18℃、流動点12℃、目詰まり点13℃、動粘度5.15mm/s(30℃)であり、10℃に冷却すると完全に固化してしまい、米国の規格(ASTM D6751)を満たさなかった。
パーム油の脂肪酸組成は、炭素数14以上の飽和脂肪酸が約50%であり、このような油脂から得られた脂肪酸メチルエステルは、低温で固化し易く、ニートBDFの原料としては不適であることがわかる。
(比較例2)
300mLの三つ口フラスコに、水酸化ナトリウム1.0g、メタノール18mLを加え、溶解するまで室温で30分間撹拌した。これに実施例1で使用したジャトロファ油100mLを加え、60℃にて1時間撹拌した。
反応終了後、室温まで冷却した。反応液は全体的にやや白濁して相分離は不十分であった。反応混合物を500mLの遠心管に移し、700g×30分間遠心して、メチルエステル相を分離した後、水洗、乾燥して、比較例2の脂肪酸アルキルエステル(脂肪酸メチルエステル)を製造した(製造方法4)。
収量は80gであり、原料油脂の脂肪酸アルキルエステルへの変換率は、89%であった。
また、比較例2の脂肪酸アルキルエステルについて、実施例1と同様にして、曇点、流動点、目詰まり点、動粘度を測定した。測定結果は、曇点5℃、流動点5℃、目詰まり点2℃、動粘度4.53mm/s(30℃)であり、5℃まで冷却しても固化せず、米国の規格(ASTM D6751)を満たした。
しかしながら、ジャトロファ油の場合でも、水酸化ナトリウムを触媒に用いた場合には、石鹸(アルカリ金属塩)が生成して目的物の分離に難があり、高生産的な製造法とは言えない。
(比較例3)
300mLの3口フラスコにメタノール18mL、リン酸カリウム1.0gを加え、これに50℃に加温した市販のパーム油(Fluka社製、ヨウ素価50−57、酸価<0.4)98gを添加して、60℃にて1時間反応させた。反応終了後、30℃まで冷却し、分離した上層のメチルエステル相を吸引で抜き取り、脂肪酸メチルエステルを得た。(製造方法1)原料の油脂の変換率は99%、生成した脂肪酸メチルエステルの質量は94gであった。また、実施例1と同様にして、曇点、流動点、目詰まり点、動粘度を測定した。測定結果は、曇点18℃、流動点13℃、目詰まり点13℃、動粘度5.17mm/s(30℃)であり、10℃に冷却すると完全に固化してしまい、米国の規格(ASTM D6751)を満たさなかった。
以上の結果を下記表1に示す。
本発明の脂肪酸アルキルエステルの製造方法は、高純度、高変換率、低環境負荷プロセス、低コストで製造でき、かつ、低い曇点、流動点及び目詰まり点を有し、低い環境温度でも固化しない脂肪酸アルキルエステルの製造することができるため、脂肪酸アルキルエステルの製造方法として、広汎に用いることができる。また、該製造方法により製造された脂肪酸アルキルエステルは、そのままディーゼル燃料として用いることが可能であり(ニートBDF)、また、灯油、軽油及びA重油(軽油90%に10%の残渣油を混合したもの)と混合した混合燃料からなるディーゼル燃料として用いることができ、ディーゼル燃料として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. リン酸のアルカリ金属塩の存在下で、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸の組成比が40モル%以下であり、かつ、高級飽和脂肪酸がパルミチン酸とステアリン酸とを含み、前記パルミチン酸と前記ステアリン酸とを合わせた組成比が30モル%以下である油脂と、炭素数1〜4のアルコール類とのエステル交換反応を行うことを特徴とする脂肪酸アルキルエステルの製造方法。
  2. 油脂が、ジャトロファ油である請求項1に記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法。
  3. 請求項1から2のいずれかに記載の脂肪酸アルキルエステルの製造方法により製造された脂肪酸アルキルエステルを1質量%〜100質量%含むことを特徴とするディーゼル燃料。
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