JP2010153587A - インダクタンス素子及びそれを用いたスイッチング電源並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 トロイダル磁心と、トロイダル磁心を絶縁収納する中空部を有する有底型ケースと、中空部を挿通するリード部を具備するインダクタンス素子において、リード部は中空部の内壁部に2か所以上の接点を有する第1キンク部と、コア下側出口に落下防止のための第2キンク部を持つことを特徴とする。また、第2キンク部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.2〜1.5倍であることが好ましい。
【選択図】 図2
Description
ノイズ対策の使い分けとしては、効果とコスト、搭載スペースの兼ね合いによるが、特に性能面では、Co系アモルファスを利用したものが主流である。Co系アモルファスをトロイダル状に成形し、適度な熱処理を施した後、絶縁ケースに収納され、必要によりリードを付けたものが市販されている。このようなインダクタンス素子として特開2000−91142号公報(特許文献1)が挙げられる。特許文献1のインダクタンス素子は絶縁ケースおよびリード共に特殊な構造をとっており脱落防止の観点では有効であるが、特殊な絶縁ケースおよびリードの調整はコストアップの要因となっていた。
また、磁心と基板面との間には、リードにキンク部を設け、深挿入防止や定位置挿入に役立っているが、このリードキンク部がコア内径と同等以下であるために誤って磁性体が脱落したりすると基板に接触し、はんだ加工時の熱伝導で変形や特性劣化を招いていた。
このように従来のリード付きインダクタンス素子は素子の脱落不良が発生し易いものであった。
また、第2キンク部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.2〜1.5倍であることが好ましい。また、有底型ケースの形状が外径4〜6mm、内径1〜3mm、高さ4〜10mmであることが好ましい。また、リード部の外径がφ0.5〜1.5mmであることが好ましい。
また、第1キンク部はR形状、三角形状、四角形状の少なくとも一種の折曲部を具備していることが好ましい。また、折曲部のR形状、三角形状、四角形状の少なくとも1種は、その中心点が有底型ケースの内壁部の高さの20〜80%の位置にあることが好ましい。また、リード部と内壁部が面接触する面接触部が折曲部の上下に存在し、面接触部の合計が有底型ケースの高さの30〜70%であることが好ましい。また、リード部はブリッジ形状を具備していることが好ましい。また、有底型ケースの解放部が接着材部で覆われていることが好ましい。また、このようなインダクタンス素子はスイッチング電源に好適である。
また、本発明のインダクタンス素子の製造方法は、トロイダル磁心と、トロイダル磁心を絶縁収納する中空部を有する有底型ケースと、中空部を挿通するリード部を具備するインダクタンス素子の製造方法において、中空部を有する有底型ケースにトロイダル磁心を収納する工程と、折曲部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.0〜1.2倍の第1キンク部と、最大幅/有底型ケースの内径の比が1.2〜1.5倍の第2キンク部を有するリード部を中空部に挿入する工程と、を具備することを特徴とするものである。
また、折曲部はR形状、三角形状、四角形状の少なくとも一種であることが好ましい。また、中空部に挿入前のリード部はブリッジ形状を具備していることが好ましい。
図1に本発明のインダクタンス素子の一例を示した。図中、1はインダクタンス素子、2は磁心、3はリード部である。本発明のインダクタンス素子は図1に示したように磁心2とリード部3が一体になったものである。
磁性薄帯としては、Co系アモルファス合金、Fe系アモルファス合金、微細結晶を有するFe系磁性合金など様々な磁性材料が適用できる。
例えば、Co系アモルファス(非晶質)合金、Fe系アモルファス(非晶質)合金としては次の一般式1を満たすものが好ましい。
一般式1:(M1-aM’a)100-bXb
式中、MはFe、Coから選ばれる少なくとも1種の元素を、M’はTi、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ta、Wから選ばれる少なくとも1種の元素を、XはB、Si、C、Pから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、0≦a≦0.5、10≦b≦35(各数字はat%)となる。ここでM元素はCo又は/及びFeとなり磁束密度や鉄損等の磁気特性に応じて組成比率を調整していく、M’元素は熱安定性、耐食性、結晶化温度の制御のために必要な元素であり、好ましくはCr、Mn、Zr、Nb、Moを用いるのがよく、X元素は非晶質合金を得るのに必要な元素であり、特にBは非晶質化するのに有効な元素であり、Siは非晶質形成を助成すること及び結晶化温度の上昇に有効な元素である。
一般式2:Fea Cub Mc Sid Be
式中、Mは周期律表4a、5a、6a族元素又はMn、Ni、Co、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a+b+c+d+e=100at%、0.01≦b≦4、0.01≦c≦10、10≦d≦25、3≦e≦12、17≦d+e≦30となる。
微細結晶を有する磁性合金の製造方法としては、液体急冷法により一般式2の合金組成を有する非晶質合金薄帯を得た後、前記非晶質合金の結晶化温度に対し−50〜+120℃、1分〜5時間の熱処理を行い、微細結晶を析出させる方法、又は液体急冷法の急冷温度を制御して微細結晶を直接析出させる方法等により得ることが可能となる。このような方法で微細結晶を有する磁性材料の薄帯を得ることができる。薄帯の板厚については、非晶質合金薄帯と同様に、30μm以下が好ましく、さらに好ましくは8〜20μmである。
磁性薄帯を巻回または積層して巻回体または積層体を形成する。巻回数または積層数は求める磁気特性に応じて適宜増やすものとする。また、必要に応じ、磁性薄帯の表面に絶縁層を設けても良い。巻回体または積層体は、その中心部に中空部を有するように巻回または積層していく。巻回体は磁性薄帯を巻回することにより、その中心部に中空部を有する磁心ができる。積層体の場合は、磁性薄帯を所定の長さで切断することにより磁性薄帯片を製造し、磁性薄帯片の中心部に穴を空けた積層することによりトロイダルの磁心を形成する。
有底型ケースは図2に示したように、一方を開放部、もう一方を底部とし、トロイダル磁心が収納される外壁部、内壁部を有するものである。外壁部と内壁部の間にトロイダル磁心を収納する。ケース容器は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、LCP(液晶ポリマー)などの絶縁性の材料であることが望ましい。また、内壁部の内側はリード部が挿入できるように中空部になっている。また、有底型ケースの肉厚は0.3〜1mmの範囲であることが好ましい。
本発明では、有底型ケースとリード部を固定するにあたり、リード部に第1キンク部と第2キンク部を設ける。
第1キンク部は、有底型ケースの中空部の内壁に2か所以上の接点を設けた構造を有する。第1キンク部は内壁に2か所以上接していればよいので、2か所折り曲げた乙状の折曲部を有する構造でもよいし、図2に示したような3か所折り曲げた三角形状(山形構造)のものでもよい。また、折曲部の構造としては、図3のR形状(半円型)、図5の四角形状(矩形型)などの構造を適用してもよい。特に内壁部に3か所で接する三角形状、R形状、四角形状であると、一方の内壁部に2か所、反対側の内壁部に1か所接することになるのでバランスがよく、磁心を真直ぐに保つことが容易となる。また、折曲部がR形状または三角形状であると、リード部に磁心を挿入する際に挿入性が向上する。なお、図3〜6では有底型ケース6および接着材部7については省略している。
また、有底型ケースのサイズによっては、例えば、三角形状を2個以上にした複数の折曲部を設けてもよい。
また、リード部と内壁部が面接触する面接触部が折曲部の上下に存在し、面接触部の合計が有底型ケースの高さの30〜70%であることが好ましい。図6に示したように、有底型ケースの内壁部とリード部が面接触していると磁心(ケース)とリード部が安定して真直ぐ固定できるようになる。特に、前述の折曲部の中心点10を有底型ケースの内壁部の高さLの20〜80%の範囲内にすることと組合せると、リード挿入時に磁心が斜めになる確率を下げ、磁心が抜け難い構造とすることができる。
第2キンク部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.2〜1.5倍であることが好ましい。また、第2キンク部は図2等に示したようにR形状であることが好ましい。R形状であれば第2キンク部にばね性を具備させることができるので挿入をスムーズに行うことができる。また、第2キンク部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.2未満ではインダクタンス素子を実装した際や使用中の振動によりコアが落下する確率が高くなる。一方、第2キンク部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.5を超えると磁心にリード部を挿入する際の応力を大きくせねばならず磁心が破損するまたはリード部が折れ曲がるおそれがある。
本発明のインダクタンス素子の製造方法は、トロイダル磁心と、トロイダル磁心を絶縁収納する中空部を有する有底型ケースと、中空部を挿通するリード部を具備するインダクタンス素子の製造方法において、中空部を有する有底型ケースにトロイダル磁心を収納する工程と、折曲部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.0〜1.2倍の第1キンク部と、最大幅/有底型ケースの内径の比が1.2〜1.5倍である第2キンク部を有するリード部を中空部に挿入する工程と、を具備することを特徴とするものである。
また、有底型ケースの中空部に挿入するためのリードを用意する。このリード部は実装基板等に接続するための端子として使えるものである。リード部は、銅線等の導電性の高い金属で形成されていることが好ましい。また、必要により、絶縁被膜が施されていてもよい。また、リード部の先端にはろう付け性を向上させるために金属めっきを施してもよい。
また、第1キンク部の形状はR形状、三角形状、四角形状の少なくとも一種であることが好ましい。挿入性を考慮するとR形状が好ましい。
(実施例1〜6、比較例1〜2)
(Co0.94Fe0.05Cr0.01)72Si15B13からなる磁性薄帯(厚さ18μm)を巻回しトロイダル磁心(トロイダルコア)を形成した。トロイダル磁心のサイズは外径2.8mmφ、内径2.2mmφ、高さ4.5mmとした。
次にPBT樹脂(ウインテックボリマー製2092)からなるケース容器(最外径4mmφ、最内径1.5mmφ、最高さ6.2mm、容器の肉厚0.3mm)にトロイダル磁心を収納した。また、リード部は外径φ1.0mmの銅線を用いた。
さらに第1キンク及び第2キンク部が図3のようにR形状で高さ(折曲部の最大幅)がケース容器内径のそれぞれ1.0倍、1.2倍の形状にしたリードに差し込み接着剤でケース解放部を接着した実施例1を得た。
また、比較例1として実施例1において高さがケース容器内径の0.8倍、1.0倍の比較例1を得た。比較例1は第1キンク部の折曲部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.0未満であるためリード部とケース内壁部に常時2か所以上の接点を維持できない構造である。
また、実施例1〜3および比較例1については、第1キンク部の折曲部がケース内壁部の高さLの40〜60%の位置になるように配置した。
次に第1キンク部と第2キンク部のサイズを表2に示すように変えた以外は実施例1と同様のものを作製し、同様の測定を行った。表2にその結果を示す。
第1キンク部の折曲部の中心点の位置をケース内壁部高さLとの位置を変えたい以外は実施例1と同様のものを用意し、同様の測定を行った。その結果を表3に示す。
有底型ケースサイズ(トロイダル磁心サイズ含む)およびリード径を変える以外は実施例1と同様のものを作製し、同様の測定を行った。その結果を表4に示す。
実施例1〜15、比較例1のインダクタンス素子をプリント基板に実装した状態で衝撃試験を実施し磁心の位置ずれ等の不具合有無を確認した。
衝撃試験の条件はプリント基板に実装した状態にて、加速度 981m/s2、作用時間6ms、6面、3回試験後、常温に1〜2時間放置した後に測定した。衝撃試験の結果、磁心の脱落があったものを×、斜めになるなどの位置ずれが確認できたものを△、磁心の脱落および位置ずれが共に確認されなかったものを○とした。その結果を表5に示す。
2…トロイダル磁心
3…リード部
4…第1キンク部
5…第2キンク部
6…有底型ケース
7…接着材部
8…第2キンク部に対抗する位置にあるキンク部
9…有底型ケースの内壁部に面接触(線接触)している個所
10…折曲部の中心点
Claims (13)
- トロイダル磁心と、トロイダル磁心を絶縁収納する中空部を有する有底型ケースと、中空部を挿通するリード部を具備するインダクタンス素子において、リード部は中空部の内壁部に2か所以上の接点を有する第1キンク部と、コア下側出口に落下防止のための第2キンク部を持つことを特徴とするインダクタンス素子。
- 請求項1記載のインダクタンス素子において、第2キンク部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.2〜1.5倍であることを特徴とするインダクタンス素子。
- 請求項1または請求項2のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、有底型ケースの形状が外径4〜6mm、内径1〜3mm、高さ4〜10mmであることを特徴とするインダクタンス素子。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、リード部の外径がφ0.5〜1.5mmのであることを特徴とするインダクタンス素子。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、第1キンク部はR形状、三角形状、四角形状の少なくとも一種の折曲部を具備していることを特徴とするインダクタンス素子。
- 請求項5記載のインダクタンス素子において、折曲部のR形状、三角形状、四角形状の少なくとも1種は、その中心点が有底型ケース内壁部の高さの20〜80%の位置にあることを特徴とするインダクタンス素子。
- 請求項5ないし請求項6のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、リード部と内壁部が面接触する面接触部が折曲部の上下に存在し、面接触部の合計が有底型ケースの高さの30〜70%であることを特徴とするインダクタンス素子。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、リード部はブリッジ形状を具備していることを特徴とするインダクタンス素子。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項記載のインダクタンス素子において、有底型ケースの解放部が接着材部で覆われていることを特徴とするインダクタンス素子。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項記載のインダクタンス素子を搭載したことを特徴とするスイッチング電源。
- トロイダル磁心と、トロイダル磁心を絶縁収納する中空部を有する有底型ケースと、中空部を挿通するリード部を具備するインダクタンス素子の製造方法において、
中空部を有する有底型ケースにトロイダル磁心を収納する工程と、
折曲部の最大幅/有底型ケースの内径の比が1.0〜1.2倍の第1キンク部と、最大幅/有底型ケースの内径の比が1.2〜1.5倍の第2キンク部を有数するリード部を中空部に挿入する工程と、
を具備することを特徴とするインダクタンス素子の製造方法。 - 折曲部はR形状、三角形状、四角形状の少なくとも一種であることを特徴とする請求項11記載のインダクタンス素子の製造方法。
- 中空部に挿入前のリード部はブリッジ形状を具備していることを特徴とする請求項11または請求項12のいずれか1項に記載のンダクタンス素子の製造方法。
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