JP2010126673A - ビニル環状炭化水素重合体組成物及びそれを用いた光学成形体 - Google Patents

ビニル環状炭化水素重合体組成物及びそれを用いた光学成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学成形体に好適な、透明性及び耐高温高湿性に優れたビニル環状炭化水素重合体組成物を提供する。
【解決手段】 ビニル環状炭化水素重合体100重量部、ジペンタエリスリトール部分エステル0.1〜5重量部、及びJIS K 7210に従って測定される230℃、2.16Kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)が10g/10min〜100g/10minの軟質重合体0.1〜0.5重量部を含有するビニル環状炭化水素重合体組成物を用いて、射出成形などにより光学成形体を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学成形体に好適な、透明性及び耐高温高湿性に優れたビニル環状炭化水素重合体組成物に関する。
従来より、ポリスチレンなどのビニル芳香族系重合体の芳香環を水素添加した水素添加物、ビニルシクロヘキセン系重合体の水素添加物、ビニルシクロヘキサン系重合体などのビニル環状炭化水素重合体は、透明性、耐熱性、低吸水性などに優れ、複屈折が小さいため、光学部品などの透明性が要求される分野に好適な樹脂材料であることが知られている。
しかしながら、これらのビニル環状炭化水素重合体を成形して得られる成形品は、高温高温環境下において白濁するという問題があった。より具体的に、これらのビニル環状炭化水素重合体からなる光ディスク基板やプラスチックレンズなどの光学部品は、高温高湿環境下に長時間置かれると、白濁して透明性が損なわれる。これらの光学部品は、様々な環境下で使用され、保管されるため、高温高湿環境下での白濁は、それらの本来の機能の喪失につながる重大な問題である。
この問題を解決するため、特許文献1においては、ビニル環状炭化水素重合体に非相溶な配合剤、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合とを有する有機化合物、または少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエステル結合を有する有機化合物を配合することが提案されている。ここでビニル環状炭化水素重合体に非相溶な配合剤として軟質重合体が好適であると記載されている。
また、特許文献2では、ビニル環状炭化水素重合体に配合する軟質重合体に関して、ビニル環状炭化水素重合体の屈折率(nD(A))と、軟質重合体の屈折率(nD(B))が、|nD(A)−nD(B)|<0.005の関係にあるようなものを選択することで、透明性に優れた成形体が得られることを開示している。
国際公開第WO99/005210号公報 特開2006−124580号公報
本発明者らが検討した結果、これら特許文献の実施例に具体的に開示されている組成物を用いれば、60〜65℃での高湿環境下での成形体の白濁は防止できるものの、より高温条件下では白濁を防止することができないことが判った。
かかる知見に基づき、本発明者らは、より過酷な環境での白濁を防止するべく鋭意検討した結果、ある種の軟質重合体と共に、ジペンタエリスリトール部分エステルを、所定の割合で配合すると、85℃の高湿条件下でも白濁しないビニル環状炭化水素重合体の成形体を得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
特許文献1において、ゴム質重合体と少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエステル結合を有する有機化合物とを併用することの示唆はなく、また、少なくとも1個のエステル結合を有する有機化合物としてジペンタエリスリトール部分エステルが好適であるとの示唆もない。
かくして本発明によれば、ビニル環状炭化水素重合体100重量部、ジペンタエリスリトール部分エステル0.1〜5重量部、及び軟質重合体0.1〜0.5重量部を含有するビニル環状炭化水素重合体組成物が提供される。また、このようなビニル環状炭化水素重合体組成物からなる光学成形体が提供される。
(ビニル環状炭化水素重合体)
本発明に用いられるビニル環状炭化水素重合体は、ビニル基を有する飽和脂環式炭化水素化合物(以降、ビニルシクロアルカンと略記する)をビニル付加重合して得られるような繰り返し単位、すなわち側鎖に脂環式構造を有する繰り返し単位を、重合体の全繰り返し単位中、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上含有するものである。
ビニル環状炭化水素重合体の脂環式構造を構成する炭素原子数は、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であり、最も好ましくは6個である。
脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、得られる樹脂組成物の耐熱性及び成形加工性、並びに得られる成形体の機械的強度が優れる。
このようなビニル環状炭化水素重合体としては、例えば、飽和脂肪環族ビニル化合物の付加重合体、不飽和脂肪環族ビニル化合物の付加重合体の水素化物、芳香族ビニル化合物の付加重合体の水素化物などが挙げられる。
飽和脂肪環族ビニル化合物としては、ビニルシクロヘキサン、3−メチルイソプロペニルシクロヘキサン、これらにハロゲン基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等の置換基を有するものなどが挙げられる。
不飽和脂肪環族ビニル化合物としては、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、これらにハロゲン基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等の置換基を有するものなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、4−モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、4−モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン、これらにハロゲン基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等の置換基を有するものなどが挙げられる。
これらの飽和脂肪環族ビニル化合物、不飽和脂肪環族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるビニル環状炭化水素重合体は、重合体中の繰り返し単位が50重量%未満となる範囲で前述の単量体以外の単量体を共重合したものであってもよい。共重合可能な単量体としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、配位アニオン重合、配位カチオン重合、リビングラジカル重合等の重合法において共重合可能なものであれば特に制限は無いが、鎖状ビニル化合物、鎖状共役ジエン化合物などが挙げられる。
鎖状ビニル化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンなどが挙げられ、中でも、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
鎖状共役ジエン化合物としては、ブタジエン(1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン)、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、及び1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。
これら鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンの中でも鎖状共役ジエン化合物が好ましく、ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
これらの鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル環状炭化水素重合体の製造方法としては、前述の単量体を、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、配位アニオン重合、配位カチオン重合、リビングラジカル重合等の重合法等の公知の重合方法を用いて単独重合または共重合する方法などが挙げられる。
ビニル環状炭化水素重合体が共重合体である場合には、ランダム共重合体、擬似ランダム共重合体、ブロック共重合体、傾斜ブロック共重合体等の何れでも良い。
ビニル環状炭化水素重合体がブロック共重合体の場合には、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、テトラブロック共重合体、ペンタブロック共重合体、ヘキサブロック共重合体、ヘプタブロック共重合体等、ブロック数は特に限定されない。また、各ブロックのブロック長が互いに同じでも異なってもよい。
また、重合体の水素化方法についても格別の制限は無く、常法に従えばよいが、芳香族環を含む全ての炭素−炭素不飽和結合について、水素化率は通常80%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99〜100%となるようにする。
本発明に用いられるビニル環状炭化水素重合体の立体配置については、アタクティック、アイソタクティック、シンジオタクティックの何れでも良く、例えば、ダイアッド表示によるシンジオタクティシティーで、0〜100%の何れのものも用いることができる。
本発明に用いられるビニル環状炭化水素重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは80〜250℃、より好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは100〜150℃の範囲である。ブロック共重合体では、通常、高温側のTgが上記範囲であることが好ましい。Tgが上記範囲にあるときに、得られる成形体の強度特性及び耐熱性並びに得られる重合体組成物の成形加工性のバランスに優れる。
ビニル環状炭化水素重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000〜500,000、より好ましくは30,000〜350,000、さらに好ましくは50,000〜200,000の範囲である。Mwが小さ過ぎると強度特性に劣り、大き過ぎると成形性に劣り、得られる成形品の複屈折が大きくなる。複屈折が大きくなると、成形体を通して見る像に虹状の色歪みを生じる等の不具合が発生するため好ましくない。
本発明において重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算値である。
また、ビニル環状炭化水素重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。
このMw/Mnが大き過ぎると、機械特性や耐熱性が低下する。特に機械強度、耐熱性、成形性を高度にバランスさせるには、Mw/Mnが2以下であることがさらに好ましく、1.7以下がより好ましく、1.3以下が最も好ましい。
本発明において数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算値である。
ビニル環状炭化水素重合体のMw/Mnを上記好ましい範囲にするためには、前記重合方法の中でも、リビングアニオン重合等のリビング重合方法が好ましい。例えば、リビングアニオン重合は、重合開始剤の存在下、通常0℃〜150℃、好ましくは10℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において行う。
開始剤としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが挙げられる。
重合は溶液重合、スラリー重合等の方法を用いることができるが、反応熱の除去を考慮すると、溶液重合が好ましい。この場合、重合体及びその水素化物を溶解できる不活性溶媒を用いる。
不活性溶媒としては、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロ[4.3.0]ノナン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類などが挙げられ、中でも脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用することができ、また、ビニル環状炭化水素重合体の溶解性も良好であるため好ましい。
これらの不活性溶媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用でき、通常、全使用単量体100重量部に対して200〜2,000重量部となるような割合で用いられる。
(軟質重合体)
軟質重合体は、特開2006−124580号公報等に記載された軟質重合体であり、好ましくはJIS K 7210に従って測定される230℃、2.16Kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)が10g/10min〜100g/10minのものである。
このような軟質重合体の配合量は、ビニル環状炭化水素重合体100重量部に対して、0.1〜0.5重量部、より好ましくは0.1〜0.3重量部である。軟質重合体の量は、多すぎると透明性が低下し、逆に少なすぎると高温高湿条件下での白濁が生じやすくなるため、いずれも好ましくない。
このような軟質重合体としては、例えば、液状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのオレフィン系軟質重合体;ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などのジエン系軟質重合体;
ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、などのケイ素含有軟質重合体;ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ブチルアクリレート・スチレン共重合体などのα,β−不飽和酸からなる軟質重合体;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などの不飽和アルコールおよびアミンまたはそのアシル誘導体またはアセタールからなる軟質重合体;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴム、などのエポキシ系軟質重合体;フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、などのフッ素系軟質重合体;天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどの軟質重合体が挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。
このような軟質重合体の中で、特に透明性、耐高温高湿性に優れることからジエン系軟質重合体が好ましく、特にスチレンを用いたジエン系軟質重合体が好ましく、とりわけポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレンが耐高温高湿性の観点から好ましい。
これらの軟質重合体の中でも、ビニル環状炭化水素重合体の屈折率(nD(A))と、軟質重合体の屈折率(nD(B))との差(|nD(A)−nD(B)|)が0.005未満の関係にあるものを選択すると、透明性に優れた光学成形体を容易に得ることができるので好ましい。
(ジペンタエリスリトール部分エステル)
本発明に用いるジペンタエリスリトール部分エステルは、ジペンタエリスリトールとカルボン酸とのエステル構造を有するアルコール化合物である。ジペンタエリスリトール1分子に反応させるカルボン酸は、通常2〜5分子、好ましくは3又は4個分子である。ジペンタエリスリトールとエステル結合するカルボン酸に格別な制限はないが、カルボキシル基以外の極性基を有しないものが好ましく、カルボキシル基を構成する炭素以外の炭素数8〜20、好ましくは10〜18のものが特に好ましい。このようなジペンタエリスリトール部分エステルとしては、ジペンタエリスリトール1分子にステアリン酸4分子が反応したジペンタエリスリトールテトラステアレートの他、ジペンタエリスリトールテトラミリステート、ジペンタエリスリトールテトラパルミテート、ジペンタエリスリトールテトラオレートなどが挙げられる。
このようなジペンタエリスリトール部分エステルの配合量は、ビニル環状炭化水素重合体100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜1重量部である。ジペンタエリスリトール部分エステルの量は、多すぎると透明性が低下し、逆に少なすぎると高温高湿条件下での白濁が生じやすくなるため、いずれも好ましくない。
本発明において、ビニル環状炭化水素重合体には、上述した以外の配合剤を、必要に応じて混合して用いることができる。
その他の配合剤としては、熱可塑性樹脂材料で通常用いられているものであれば格別な制限はなく、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、離型剤、染料や顔料などの着色剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤などの配合剤が挙げられる。
ビニル環状炭化水素重合体と、軟質重合体やジペンタエリスリトール部分エステルやその他必要に応じて用いられる配合剤との混合方法は、重合体中に配合剤が十分に分散する方法であれば、特に限定されない。また、配合の順番に格別な制限はない。配合方法としては、例えば、ミキサー、一軸混練機、二軸混練機、ロール、ブラベンダー、押出機などで樹脂を溶融状態で混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させて凝固法、キャスト法、又は直接乾燥法により溶剤を除去する方法などがある。
二軸混練機を用いる場合、混練後は、通常は溶融状態で棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレット化して用いられることが多い。
(光学成形体)
本発明のビニル環状炭化水素重合体組成物は、周知の熱可塑性樹脂の成形法、例えば、射出成形法、押し出し成形法、キャスト成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法、真空成形法、プレス成形法、圧縮成形法、回転成形法、カレンダー成形法、圧延成形法、切削成形法等によって成形加工し、成形体とすることができる。
中でも、寸法精度に優れ、非球面形状などが成形可能な射出成形法又はプレス成形法が好ましく、特に射出成形法が好適である。
このようにして成形される光学成形体の具体的としては、カメラの撮像系レンズ、ビデオカメラの撮像系レンズ、顕微鏡レンズ、内視鏡レンズ、望遠鏡レンズ、双眼鏡レンズ、眼鏡レンズ、拡大レンズなどの全光線透過型レンズ、光ディスク用のピックアップレンズ、レーザービームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザー走査系レンズ、カメラのファインダー系のプリズムレンズ、赤外線センサーレンズ、オートフォーカスレンズ、バンドパスフィルターレンズなど光学レンズ;DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスク基板;光学ミラー;プリズム;液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルムなどが挙げられる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、部又は%は、特に断りがない限り、重量基準である。
以下の実施例及び比較例において、各種物性の測定法は次のとおりである。
(1)重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
測定装置として、GPC−8020シリーズ(DP8020、SD8022、AS8020、CO8020、RI8020、東ソー社製)を用いた。標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mwが、500、2630、10200、37900、96400、427000、1090000、5480000の計8点、東ソー社製)を用いた。
サンプルは、サンプル濃度1mg/mlになるように、測定試料をTHFに溶解後、カートリッジフィルター(PTFE0.5μm)でろ過して調製した。
測定は、カラムに、TSKgel GMHHR・H(東ソー社製)を2本直列に繋いで用い、流速1.0ml/min、サンプル注入量100μml、カラム温度40℃の条件で行った。
(2)重合体の水素添加率は、溶媒に重クロロホルムを用い、H−NMRにより測定した。
(3)屈折率
JIS K 0062 5に従い、25℃において測定した。
(4)透明性
透明性はヘイズの値によって評価した。
ヘイズの測定は厚さ3mm、縦横65mmの成形品を射出成形により作製し、ヘイズメータ(NDH2000、日本電色工業社製)を用いて厚さ3mmのヘイズを測定した。ヘイズ(%)が小さいほど、透明性が良好であることを示す。
(5)耐高温高湿性
(4)透明性の評価を行った後の成形体を高温高湿試験器内85℃、90%相対湿度の環境下に1000時間保持し、急激に室温環境(試験器外)に取り出して、24時間室温内に置いた後、ヘイズを測定し、高温高湿試験後のヘイズから高温高湿試験前のヘイズを引いたヘイズの増加量を耐高温高湿性の指標とした。高温高湿試験前後のヘイズの増加量が小さいほど耐高温高湿性が優れていることを示す。
[重合体製造例]
窒素置換したステンレス製耐圧容器に、スチレン76.8部とイソプレン3.2部を添加して混合攪拌し混合モノマーを調製した。次いで、窒素置換した電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、脱水シクロヘキサン320部、混合モノマー4部及びジブチルエーテル0.1部を仕込み、50℃で撹拌しながらn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(濃度15%)0.454部を添加して重合を開始し、重合させた。重合開始から0.5時間経過(この時点での重合転化率は約96%であった)後、混合モノマー76部を1時間かけて連続的に添加した。混合モノマーの添加終了(この時点での重合転化率は約95%であった)から0.5時間経過後、イソプロピルアルコール0.1部を添加して反応を停止させ、スチレン−イソプレンランダム共重合体が溶解した重合反応溶液を得た。
次いで、上記重合反応溶液400部に、安定化ニッケル水素化触媒E22U(日揮化学工業社製;60%ニッケル担持シリカ−アルミナ担体)3部を添加混合し混合液を得、それを電熱加熱装置と電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに仕込んだ。該オートクレーブに水素ガスを供給し、撹拌しながら、オートクレーブ内を160℃、4.5MPaを保つようにして6時間水素化反応を行った。水素化反応終了後、ラジオライト#800を濾過床として備える加圧濾過器(石川島播磨重工社製、フンダフィルター)を使用して、圧力0.25MPaで加圧濾過して、脂環構造含有重合体を含む無色透明な溶液を得た。重合体中の水素添加率は99.9%であった。Tgは126.5℃、屈折率は1.5070であった。
[実施例1]
重合体製造例で得られたビニル環状炭化水素重合体100部に対し、ジペンタエリスリトールテトラステアレート0.5部、軟質重合体(クラレ社製ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン共重合体;製品名「セプトン2002」、MFR70g/10min、屈折率 1.5035、スチレン含量30重量%)0.2部および酸化防止剤としてテトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−ターシャリー−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製;製品名「イルガノックス1010」)0.1部、離型剤としてエチレンビスステアリン酸アマイド0.05部をそれぞれ添加し、2軸混練機(東芝機械社製、TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数150rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)で混練し、ストランド状に押し出した。これを水冷してペレタイザーで切断し、ペレット化した。
得られたペレットを、窒素を流通させた熱風乾燥器を用いて100℃で4時間乾燥した後、射出成形機(ファナック社製;ROBOSHOT−2000i 100A)により、シリンダー温度260℃、金型温度115℃,射出速度10mm/秒、保圧700kgf/cm、背圧50kgf/cmの条件で射出成形し、長さ65mm、幅65mm、厚さ3mmの成形体1を得た。得られた成形体1を用いて、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[実施例2]
ジペンタエリスリトールテトラステアレートの量を0.2部に変えた以外は実施例1と同様にして成形体2を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[実施例3]
ジペンタエリスリトールテトラステアレートの量を5部に変えた以外は実施例1と同様にして成形体3を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[実施例4]
軟質重合体の量を0.5部に変えた以外は実施例1と同様にして成形体4を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[実施例5]
ジペンタエリスリトールテトラステアレートをジペンタエリスリトールテトララウレートに変えた以外は実施例1と同様にして成形体5を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[実施例6]
ジペンタエリスリトールテトラステアレートをジペンタエリスリトールテトラオレートに変えた以外は実施例1と同様にして成形体6を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[比較例1]
ジペンタエリスリトールテトラステアレートをペンタエリスリトールジステアレートに変えた以外は実施例1と同様にして成形体7を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[比較例2]
ジペンタエリスリトールテトラステアレートをグリセリンモノステアレートに変えた以外は実施例1と同様にして成形体8を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[比較例3]
ジペンタエリスリトールテトラステアレートの量を10部に変えた以外は実施例1と同様にして成形体9を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[比較例4]
ジペンタエリスリトールテトラステアレートの量を0.05部に代えた以外は実施例1と同様にして成形体11を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[比較例5]
軟質重合体の量を0.5部、ジペンタエリスリトールテトラステアレートの量を0部に代えた以外は実施例1と同様にして成形体12を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[比較例6]
軟質重合体の量を0部、ジペンタエリスリトールテトラステアレートの量を0.7部に代えた以外は実施例1と同様にして成形体13を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
[比較例7]
軟質重合体の量を1部、に代えた以外は実施例1と同様にして成形体14を成形し、透明性試験及び耐高温高湿性試験を行った。結果を表1に示した。
Figure 2010126673
この結果から、JIS K 7210に従って測定される230℃、2.16Kgにおけるメルトマスフローレート(MFR)が10g/10min〜100g/10minの軟質重合体に加えて、ジペンタエリスリトール部分エステルをビニル環状炭化水素重合体に配合したものは、ジペンタエリスリトール部分エステルの代わりに、その他の多価アルコールの部分エステルを配合した場合と比較して、耐高温高湿性に優れることが判る(実施例1、5及び6と、比較例1及び2)。
配合するジペンタエリスリトール部分エステルの量が多すぎると成形体の透明性に劣ることが判る(実施例3と比較例3)。逆に配合するジペンタエリスリトール部分エステルの量が少なすぎると耐高温高湿性に劣ることが判る(実施例2と比較例4)。また、軟質重合体の量が多すぎると成形体の透明性に劣ることが判る(実施例1と比較例7)。
ジペンタエリスリトール部分エステルを配合する代わりに軟質重合体の量を本発明の規定の上限まで増やしても耐高温高湿性が不十分であることが判る(実施例1と比較例5)。また、軟質重合体を配合する代わりにジペンタエリスリトール部分エステルの量を軟質重合体の量分増やしても耐高温高湿性に劣ることが判る(実施例1と比較例6)。
ジペンタエリスリトール部分エステルの種類を代えても、同等の透明性と耐高温高湿性が得られることが判る(実施例1、5及び6)。

Claims (2)

  1. ビニル環状炭化水素重合体100重量部、ジペンタエリスリトール部分エステル0.1〜5重量部、及び軟質重合体0.1〜0.5重量部を含有するビニル環状炭化水素重合体組成物。
  2. 請求項1記載のビニル環状炭化水素重合体組成物からなる光学成形体。
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