JP2010126597A - 制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物およびそれによって得られた制震ダンパー - Google Patents

制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物およびそれによって得られた制震ダンパー Download PDF

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圭市 村谷
Kenji Yamamoto
健次 山本
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Abstract

【課題】剛性の低下を抑制でき、大型地震に相当する高歪みでの高減衰化を図ることができる制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)〜(D)成分を含有し、上記(B)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量全体の10〜50重量%の範囲である制振ダンパー用高減衰ゴム組成物である。
(A)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体。
(B)スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物。
(C)未加硫ゴム。
(D)液状ポリマー。
【選択図】なし

Description

本発明は、制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物およびそれによって得られた制震ダンパーに関するものであり、詳しくは、建築分野における制震や免震等の用途に好適な制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物およびそれによって得られた制震ダンパーに関するものである。
建築分野における制震装置や免震装置は、地震や風等による振動、大型車の走行等による交通振動等から、建築物に対する振動を抑制する目的で使用される。そのため、制震装置や免震装置等に用いられる減衰材料には、建築物の剛性にあわせて小振幅から大振幅までの振動吸収性能が求められる。従来、このような用途に用いられるエラストマー組成物としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等の熱可塑性エラストマーに、液状ポリマーを添加することで、減衰性能を発現させるようにしたエラストマー組成物や、SIS等の熱可塑性エラストマーに、シリカや炭酸カルシウム等の充填剤を添加することにより、摩擦減衰を発現させるようにしたエラストマー組成物等が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許第3753493号公報 特開2007−70595号公報
上記液状ポリマーを添加したエラストマー組成物は、上記シリカ等の充填剤を添加したエラストマー組成物よりも、減衰性の向上に非常に効果的である。しかし、液状ポリマーを大量に添加すると、大型地震に相当する高歪みでの減衰定数は大幅に向上するが、剛性が大きく低下するという難点がある。したがって、剛性を低下させずに、大型地震に相当する高歪みで減衰性を向上させることができる高減衰エラストマー組成物が待望されている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、剛性の低下を抑制でき、大型地震に相当する高歪みでの高減衰化を図ることができる、制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物およびそれによって得られた制震ダンパーの提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)〜(D)成分を含有し、上記(B)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量全体の10〜50重量%の範囲であることを特徴とする制振ダンパー用高減衰ゴム組成物を第1の要旨とする。
(A)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体。
(B)スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物。
(C)未加硫ゴム。
(D)液状ポリマー。
また、本発明は、上記高減衰エラストマー組成物を構成部材として用いることを特徴とする制震ダンパーを第2の要旨とする。
すなわち、本発明者らは、剛性の低下を抑制でき、大型地震に相当する高歪みでの高減衰化を図ることができる制振ダンパー用高減衰ゴム組成物を得るため、鋭意研究を重ねた。そして、熱可塑性エラストマーであるスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)と、ブタジエンゴム等の未加硫ゴムと、液状イソプレン−ブタジエンゴム(液状IR−BR)等の液状ポリマーに加えて、上記SISとの相溶性を考慮して、同じスチレン系熱可塑性エラストマーであるスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(水添SBR)を所定量添加すると、SISのソフトセグメントであるイソプレンと、水添SBRのソフトセグメントであるブタジエンとのポリマー間摩擦により減衰性が向上し、所期の目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
このように、本発明の制振ダンパー用高減衰ゴム組成物は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)(A成分)と、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(水添SBR)(B成分)と、未加硫ゴム(C成分)と、液状ポリマー(D成分)とを含有する。このように、上記SIS(A成分)と同じスチレン系熱可塑性エラストマーである水添SBR(B成分)を所定量添加しているため、両者の相溶性は良好であるとともに、SIS(A成分)のソフトセグメントであるイソプレンと、水添SBR(B成分)のソフトセグメントであるブタジエンとのポリマー間摩擦により減衰性が向上する。そのため、本発明の制振ダンパー用高減衰ゴム組成物は、剛性の低下を抑制でき、大型地震に相当する高歪みでの高減衰化を図ることができる。
また、上記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)(A成分)の含有量が、A成分とB成分とC成分との合計量全体の35〜75重量%の範囲であると、減衰性と剛性のバランスや機械的特性が良好になる。
そして、上記未加硫ゴム(C成分)の含有量が、A成分とB成分とC成分との合計量全体の5〜30重量%の範囲であると、減衰性と剛性のバランスが良好になる。
また、上記液状ポリマー(D成分)配合量が、A成分とB成分とC成分との合計100重量部に対して、10〜30重量部の範囲であると、減衰性と剛性のバランスが良好になる。
そして、上記未加硫ゴム(C成分)が、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、フッ素ゴムおよび天然ゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つであると、これらの粘性的な性質とA成分やB成分とのポリマー間摩擦により、高い減衰性能を発現させることができる。
また、上記液状ポリマー(D成分)が、液状イソプレン−ブタジエンゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレン−イソプレンゴムおよび液状スチレン−エチレン・プロピレンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つであると、これらの粘性的な性質により、減衰性能を大きく向上させる効果が得られる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物は、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(A成分)と、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(B成分)と、未加硫ゴム(C成分)と、液状ポリマー(D成分)とを用いて得ることができる。
本発明においては、上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(B成分)の含有量が、上記A成分とB成分とC成分との合計量全体の10〜50重量%の範囲であることが最大の特徴である。
上記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)(A成分)の数平均分子量(Mn)は、50,000〜300,000の範囲が好ましく、特に好ましくは50,000〜230,000の範囲である。なお、上記数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に準じて、測定した値である。
上記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(A成分)の含有量は、A成分とB成分とC成分との合計量全体の35〜75重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは40〜70重量%の範囲である。すなわち、上記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(A成分)の含有量が少なすぎると、機械的物性等が悪くなる傾向がみられ、逆に上記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(A成分)の含有量が多すぎると、低歪みでの減衰性や、高歪みでの等価剪断弾性率(Ge)が低下する傾向がみられるからである。
上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(B成分)の含有量は、A成分とB成分とC成分との合計量全体の10〜50重量%の範囲であり、好ましくは15〜45重量%の範囲である。すなわち、上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(B成分)の含有量が少なすぎると、低歪みでの減衰性や、高歪みでの等価剪断弾性率(Ge)が低下し、逆に上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(B成分)の含有量が多すぎると、機械的物性等が悪くなり、高歪みでの等価剪断弾性率(Ge)が低下するからである。
つぎに、上記A成分およびB成分とともに用いられる未加硫ゴム(C成分)としては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、塩素化ポリエチレン(CM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムや、天然ゴム(NR)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(A成分)やスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(B成分)との相溶性の点で、BR、SBR、EPM、EPDM、IR、NRが好適に用いられる。
上記未加硫ゴム(C成分)の含有量は、A成分とB成分とC成分との合計量全体の5〜30重量%の範囲が好ましく、特に好ましくは10〜20重量%の範囲である。すなわち、上記未加硫ゴム(C成分)の含有量が少なすぎると、減衰性が悪くなる傾向がみられ、逆に上記未加硫ゴム(C成分)の含有量が多すぎると、得られる高減衰ゴム組成物のエラストマー本来の弾性が劣る傾向がみられるからである。
つぎに、上記A〜C成分とともに用いられる液状ポリマー(D成分)としては、例えば、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレン−イソプレンゴム(液状SI)、液状スチレン−エチレン・プロピレンゴム(液状SEP)、液状イソプレン−ブタジエンゴム(液状IR−BR)等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。この液状ポリマー(D成分)を併用すると、剛性の温度依存性を低温側へシフトさせることができ、常温領域(通常、0〜30℃)での剛性の温度依存性が小さくなるとともに、常温領域での減衰定数(he)が大きくなり、減衰性能が向上するという効果が得られる。
なお、本発明において、液状ポリマーとは、液状ゴムと同様の意味であり、原料ゴムを室温(15〜30℃)での形状で分類した場合に、液状であって流動性のあるものをいう。
また、上記液状ポリマー(D成分)は、数平均分子量(Mn)が10,000〜70,000の範囲が好ましく、特に好ましくは30,000〜50,000の範囲である。すなわち、上記液状ポリマー(D成分)の数平均分子量(Mn)が小さすぎると、低粘度となり剛性が低下する傾向がみられ、逆に上記液状ポリマー(D成分)の数平均分子量(Mn)が大きすぎると、エントロピー弾性により、減衰性能が低下する傾向がみられるからである。なお、上記数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に準じて、測定した値である。
上記液状ポリマー(D成分)の配合量は、上記A成分とB成分とC成分との合計100重量部(以下「部」と略す)に対して、10〜30部の範囲が好ましく、特に好ましくは15〜25部の範囲である。すなわち、上記液状ポリマー(D成分)の配合量が少なすぎると、減衰性能への効果が劣る傾向がみられ、逆に上記液状ポリマー(D成分)の配合量が多すぎると、剛性が低下する傾向がみられるからである。
なお、本発明の制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物には、上記A〜D成分に加えて、補強性充填材、減衰性充填材、粘着付与剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等を、必要に応じて適宜配合しても差し支えない。
上記補強性充填材としては、高減衰エラストマー組成物の補強性(剛性)を向上させ得るものが好ましく、例えば、シリカ、表面処理シリカ、カーボンブラック、ハイスチレン樹脂、ポリスチレン等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記シリカとしては、例えば、結晶性シリカ、無定形シリカ等があげられる。また、上記シリカの平均粒子径は、0.5〜10μmの範囲のものを用いることが好ましい。上記シリカの平均粒子径は、例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
また、上記表面処理シリカとしては、例えば、上記シリカの粒子表面を有機ケイ素化合物等により疎水性処理されたもの等があげられる。上記有機ケイ素化合物としては、例えば、ジメチルジクロロジシラザン、モノメチルトリクロロシラン、シリコーンオイル等があげられる。上記表面処理は、例えば、表面未処理のシリカと,そのシリカ粒子表面を充分に処理可能な量の有機ケイ素化合物とを混合することにより行われる。より具体的には、シリカ100部に対して有機ケイ素化合物(例えば、ジメチルジクロロジシラザン)を3〜20部の割合で混合することが好ましい。
上記カーボンブラックとしては、例えば、FEF、HAF、SAF、SRF等の各種粒径のものを用いることができる。また、上記ハイスチレン樹脂としては、例えば、スチレン(85〜87重量%)とブタジエン(13〜15重量%)とからなるハイスチレンレジンラテックスと、スチレン−ブタジエン共重合ゴムラテックスとを均一混合し、共凝析すること等により得られるものであり、平均的なスチレン含有量が50〜70重量%程度に設定されたもの等があげられる。また、上記ポリスチレンとしては、低分子量タイプ(例えば、三洋化成社製、ハイマーST95)および高分子量タイプのいずれを用いても差し支えない。
上記補強性充填材の配合量は、上記A成分とB成分とC成分との合計100部に対して、2〜165部の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜140部の範囲である。すなわち、上記補強性充填材の配合量が少なすぎると、剛性が小さくなり、逆に上記補強性充填材の配合量が多すぎると、伸び等の物性が低下する傾向がみられるからである。
つぎに、上記減衰性充填材としては、高減衰エラストマー組成物の減衰性能を向上させ得るものが好ましく、例えば、炭酸カルシウム、クレー、タルク、マイカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ロジン酸処理炭酸カルシウム、リグニン処理炭酸カルシウム、脂肪酸第四級アンモニウム塩処理炭酸カルシウム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、剛性の温度依存性を良好に保ちつつ、減衰性能がさらに向上する点で、ロジン酸処理炭酸カルシウム、リグニン処理炭酸カルシウム、脂肪酸第四級アンモニウム塩処理炭酸カルシウムが好ましい。
上記減衰性充填材の配合量は、上記A成分とB成分とC成分との合計100部に対して、2〜165部の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜140部の範囲である。すなわち、上記減衰性充填材の配合量が少なすぎると、減衰性能の向上効果が乏しく、逆に上記減衰性充填材の配合量が多すぎると、伸び等の物性が低下する傾向がみられるからである。
上記粘着付与剤は、減衰性能や接着性の向上を目的として用いられるものであり、例えば、水添脂環族系炭化水素樹脂、クマロン樹脂、ロジン、ロジンエステル、テルペンフェノール樹脂、ケトン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等が好適に用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記可塑剤は、硬度の調整等を目的とするものであり、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)等の合成可塑剤、パラフィン系オイル,アロマオイル等の鉱物油があげられる。
上記加硫剤としては、例えば、硫黄、有機過酸化物、アルキルフェノール樹脂等があげられる。上記加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、ベンゾチアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤等があげられる。
また、上記老化防止剤としては、例えば、芳香族第二級アミン系老化防止剤、特殊ワックス系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
本発明の制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物は、例えば、上記A〜D成分および必要に応じてその他の成分等を、ニーダー,プラネタリーミキサー,混合ロール,2軸スクリュー式攪拌機等を用いて混練することにより得ることができる。そして、この高減衰エラストマー組成物を、溶融温度以上に加熱して溶融させ、これを型枠内に流し込み、放冷して所定形状に成形することにより、高減衰エラストマー組成物の製品として用いることができる。
本発明の制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物は、建築用,土木用等の制震ダンパーとして好適に用いられるが、これらに限定されるものではなく、建築用の制震壁等の制震装置や免震装置に用いられる他、家電用や電子機器用の制振ダンパー等に用いても差し支えない。
本発明の制振ダンパーは、上記高減衰エラストマー組成物を構成部材として用いてなるものであり、建築用,土木用等の用途に好適に用いられる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)(A成分)〕
日本ゼオン社製、クインタック3520
〔スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物(水添SBR)(B成分)〕
旭化成ケミカルズ社製、L605
〔スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素未添加物(未水添SBR)(比較例用)〕
JSR社製、SBR1500
〔未加硫ゴム(C成分)〕
ブタジエンゴム(BR)(旭化成社製、ジエンNF35R)
〔液状ポリマー(D成分)〕
液状IR−BR(クラレ社製、クラプレンLIR−390、Mn:48000)
〔シリカ〕
東ソー・シリカ社製、ニプシールER
〔炭酸カルシウム〕
脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、白艶華CC)
〔実施例1〜7、比較例1〜5〕
下記の表1および表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し、これらをニーダーで混練して、目的とするエラストマー組成物を調製した。
Figure 2010126597
Figure 2010126597
このようにして得られた実施例および比較例のエラストマー組成物を用いて、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、上記表1および表2に併せて示した。
〔動的剪断特性〕
図1に示すようなサンプルを用いて、エラストマー組成物の動的剪断特性の評価を行った。すなわち、ブラスト処理を施した金具2(大きさ140mm×80mm、厚み9mm)に、ゴム用2液接着剤を塗布した後、上記金具2間にエラストマー組成物を挟み、乾燥を行った。これを100℃で5分間熱プレス成型して、試料(大きさ70mm×80mm、厚み5mm)1を作製した。そして、これを、矢印方向に加振させて、図2に示す荷重−歪みループ曲線に基づいて、動的剪断特性の評価を行った。すなわち、加振機(鷲宮製作所社製、DYNAMIC SERVO)と、入力信号発振機(横河電気社製、シンセサイズドファンクションゼネレータFC320)と、出力信号処理機(小野測器社製、ポータブルFFTアナライザーCF−3200)を用いて、所定の条件における、加振の時間に対する剪断変位値(δ)と、荷重値(Qd)の解析から、下記の数式(1)〜(4)に従い、等価剪断弾性率(Ge)および減衰定数(he)を求めた。測定条件は、剪断変位(δ):±0.5mm〔剪断歪み(γ)10%〕、剪断変位(δ):±10mm〔剪断歪み(γ)200%〕、周波数(f):0.3Hz、測定温度:20℃であった。なお、剪断歪み(γ)10%の低歪みは、風や交通振動に対する性能評価に相当し、剪断歪み(γ)200%の高歪みは、マグニチュード5以上の大地震に対する性能評価に相当する。これらの結果を上記表1および表2に併せて示した。
Figure 2010126597
〔評価〕
(10%の低歪み)
10%の低歪みの場合は、減衰定数(he)が重要である。したがって、減衰定数(he)が0.22以上のものを○、0.22未満のものを×とした。
(200%の高歪み)
一方、200%の高歪みの場合は、等価剪断弾性率(Ge)と、減衰定数(he)が重要である。したがって、等価剪断弾性率(Ge)が0.12以上のものを○、0.12未満のものを×とし、また、減衰定数(he)が0.40以上のものを○、0.40未満のものを×とした。
上記表1および表2の結果から、実施例品はいずれも、200%の高歪み(大型地震に相当)における等価剪断弾性率(Ge)が高く、剛性の低下を抑制することができた。また、全実施例品は、10%の低歪み(微振動領域)および200%の高歪み(大型地震に相当)の双方において、減衰性に優れていた。
これに対して、比較例1品は、水添SBR(B成分)を添加していないため、低歪みでの減衰性が劣るとともに、高歪みでの等価剪断弾性率(Ge)も小さかった。比較例2品は、水添SBR(B成分)に代えて、未水添SBRを添加しているため、水添SBR(B成分)を添加した実施例2品に比べて、低歪みおよび高歪みでの減衰性がいずれも劣るとともに、高歪みでの等価剪断弾性率(Ge)の低下が顕著であった。比較例3品は、水添SBR(B成分)の配合量が少なすぎるため、実施例1品に比べて、低歪みでの減衰性が劣るとともに、高歪みでの等価剪断弾性率(Ge)が低下した。比較例4品は、SIS(A成分)を添加せず、かつ、水添SBR(B成分)の配合量が多すぎるため、高歪みでの等価剪断弾性率(Ge)が著しく低下した。比較例5品は、水添SBR(B成分)の配合量が多すぎるため、高歪みでの減衰性が劣っていた。
本発明の制振ダンパー用高減衰エラストマー組成物は、建築用,土木用等の制震ダンパーとして好適に用いられるが、これらに限定されるものではなく、建築用の制震壁等の制震装置や免震装置に用いられる他、家電用や電子機器用の制振ダンパー等に用いても差し支えない。
動的剪断特性の評価方法を説明するための模式図である。 荷重−歪みループ曲線を示すグラフ図である。

Claims (7)

  1. 下記の(A)〜(D)成分を含有し、上記(B)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量全体の10〜50重量%の範囲であることを特徴とする制振ダンパー用高減衰ゴム組成物。
    (A)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体。
    (B)スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物。
    (C)未加硫ゴム。
    (D)液状ポリマー。
  2. 上記(A)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量全体の35〜75重量%の範囲である請求項1記載の高減衰エラストマー組成物。
  3. 上記(C)成分の含有量が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量全体の5〜30重量%の範囲である請求項1または2記載の高減衰エラストマー組成物。
  4. 上記(D)成分の配合量が、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計100重量部に対して、10〜30重量部の範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載の高減衰エラストマー組成物。
  5. 上記(C)成分の未加硫ゴムが、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、フッ素ゴムおよび天然ゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1〜4のいずれか一項に記載の高減衰エラストマー組成物。
  6. 上記(D)成分の液状ポリマーが、液状イソプレン−ブタジエンゴム、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレン−イソプレンゴムおよび液状スチレン−エチレン・プロピレンゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1〜5のいずれか一項に記載の高減衰エラストマー組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の高減衰エラストマー組成物を構成部材として用いることを特徴とする制震ダンパー。
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