JP2010125814A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物などから得られるセルロース材料を有効に利用し、酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れるだけでなく、透過性に優れ、耐湿熱性に優れ、可とう性に優れ、耐熱水性に優れ、環境負荷の少ないガスバリア性を備える積層体を提供する。
【解決手段】高分子組成物からなる基材の少なくとも一方の面に、無機化合物からなる第1層11と、短方向の繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーを含む第2層12とを備えることを特徴とする積層体。また、前記セルロースファイバーの短方向の繊維幅が50nm以下であることを特徴とする積層体。また、前記基材側から順に、前記第1層11、前記第2層12を順に備え、且つ、第1層11上に第2層12が直接設けられていることを特徴とする積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品、医薬品、電子部材、日用品等の包装分野のみならず、電子部材で用いられるガスバリア性を備える積層体に関する。特に、天然資源を有効に利用した環境への付加の少ない、水蒸気バリア性に優れた、ガスバリア性を備える積層体に関する。
近年、包装に用いられる包装材料は、内容物の変質、とくに食品においては蛋白質や油脂等の酸化、変質を抑制し、さらに味、鮮度を保持するために、また無菌状態での取扱いが必要とされる医薬品においては有効成分の変質を抑制し、効能を維持するために、包装材料を透過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これら気体(ガス)を遮断するガスバリア性を備えることが求められている。
高防湿性を有し、かつ高いガスバリア性を要求されるものについては、アルミニウムなどの金属からなる金属箔や金属蒸着フィルムを用いてきた。しかし、アルミニウムなどからなる金属箔や金属蒸着薄膜を設けたバリア材は包装材料として用いた場合に、透視して内容物の識別ができないといった問題や検査の際の金属探知機が使用できないなどの問題、また使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならないなどの問題がある。
さらには高分子樹脂組成物からなるプラスチックフィルム上に一酸化珪素(SiO)などの酸化ケイ素物(SiO)や酸化マグネシウム(MgO)を真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)などのプロセスにより薄膜として積層させた蒸着フィルムが開発されており、これらからなるガスバリア材は、優れたガスバリア特性と透明性を有しており、高湿度下での劣化も少なく包装フィルムとして使用されている。
金属又は金属化合物を蒸着した金属蒸着薄膜や一酸化珪素(SiO)などのケイ素酸化物薄膜、酸化マグネシウム(MgO)薄膜を蒸着した蒸着フィルムは、ガスバリア層に用いられる無機化合物の薄膜が可撓性に欠けており、揉みや折り曲げに弱く、また基材との密着性が悪いため、取り扱いに注意を要し、とくに印刷、ラミネート、製袋など包装材料の後加工の際に、クラックを発生しガスバリア性が著しく低下する問題がある。
特開平7−164591号公報 特開2002−348522号公報
そこでビニルアルコール(以下、PVAとする)、エチレンビニルアルコール共重合体(以下、EVOHとする)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(以下、PVDCとする)、ポリアクリロニトリル(以下、PANとする)など一般にガスバリア性が比較的高いと言われる高分子樹脂組成物をラミネート又はコーティングして無機化合物の薄膜の保護膜として用い、ガスバリア性積層体として包装材料に用いた包装フィルムが使用されている。
しかし、これらの保護膜は単なる無機化合物の薄膜の保護層としての機能しかない。また、これらの高分子からなる保護膜は、多少のガスバリア性を有するものの、分子中の水酸基同士が水素結合することにより結晶化してガスバリア性を発揮するものであることから、乾燥した状態では高いガスバリア性を示すものの、雰囲気の水蒸気などにより吸湿した状態では、上記水素結合が弛み、ガスバリア性が低下する傾向があることが知られている。したがって、高度なガスバリア性を高温及び高湿度下においても発揮させることは難しい。
また、PVA、EVOH、あるいはPVDCを用いてバリア層を形成したバリア材は、金属材料と比較して地球環境に付加の少ない新しい材料として利用されてきたものの、原料には依然、石化資源を用いて作られているため、温暖化ガス削減、資源の枯渇化の観点からは好ましくない。また、PVDCやPAN等は廃棄・焼却の際に有害物質の発生の危惧があり、焼却処理やリサイクリングなど廃棄物処理の面で問題がある。
PVDC系の高分子樹脂組成物を用いてなるガスバリア材は湿度依存性が小さいが、酸素バリア性1cm/m/day/atm以下の高ガスバリア性を実現することは困難であった。
これらの改善策として、これらの高分子の親水性基を疎水性基に置き換えたり、架橋反応などにより水への膨潤を抑える手法がとられたり、また、金属アルコキシドを重縮合することによる金属酸化物とこれらの高分子の組成物の調製方法について提案がなされているが、出発物質である高分子の結晶性の高さに由来して、調製段階でミクロ相分離が発生してしまったり、透明性が不良となりやすい、高湿度下でのピンホール発生に起因すると思われるガスバリア性能における耐湿性不足などの課題がある。さらに、これらの原料はやはり、前述のように、石油系材料から製造されている。
一方で、近年地球環境問題が深刻化し、温暖化の影響と思われる現象が様々なところで現れており、あらゆる分野で温室効果ガスの削減が求められている。また、石油資源の枯渇化も懸念されており、天然資源を利用することが有効とされており、包装分野などにおけるバリア材においても例外ではない。
そこで、水溶性デンプンや水溶性セルロース誘導体をはじめとする多糖類のガスバリア性コーティング剤が開発されている。これらは天然物由来ということで環境的にも安全上の観点からもPVA等の合成高分子由来のコーティング剤に比べ好ましい。しかし、水溶性多糖類のコーティング材料の温度・湿度依存性や高湿度下でのガスバリア性の劣化は避けられない。
さらに、結晶性の高いセルロースを用いることにより、水への膨潤を抑えたり、各種添加剤による架橋や前述のような金属アルコキシドを添加してセルロース分子やファイバーの水への膨潤を抑えたりという処理を施しても、これらの処理は、セルロース材料の高い水素結合を阻害したり、緻密な膜化を阻害し、酸素バリア性を低下させてしまう方向に作用してしまう。
また、酸素バリア性の低下を抑え、セルロースの水への膨潤は抑えられても、高機能な包装材料として要求される物性である水蒸気バリア性までを付与することは、困難であった。
また、カルボキシル基を導入した完全な水溶性ではないセルロース系コーティング材料も開発されているが、より膜のフレキシビレティーや耐湿熱性および透明性を要求される用途にあっては不十分であった。
本発明は、上記課題を解決する為におこなうものであり、植物などから得られるセルロース材料を有効に利用し、酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れるだけでなく、透過性に優れ、耐湿熱性に優れ、可とう性に優れ、耐熱水性に優れ、環境負荷の少ないガスバリア性を備える積層体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、高分子組成物からなる基材の少なくとも一方の面に、無機化合物からなる第1層と、短方向の繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーを含む第2層とを備えることを特徴とする積層体とした。
また、請求項2に係る発明としては、前記セルロースファイバーの短方向の繊維幅が50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体とした。
また、請求項3に係る発明としては、前記基材側から順に、前記第1層、前記第2層を順に備え、且つ、第1層上に第2層が直接設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層体とした。
また、請求項4に係る発明としては、前記第2層の両側に無機化合物からなる第1層が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層体とした。
また、請求項5に係る発明としては、前記セルロースファイバーが、結晶化度が50%以上であり、且つ、セルロースIの結晶構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の積層体とした。
また、請求項6に係る発明としては、前記第2層に含まれるセルロースファイバーがカルボニル基を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の積層体とした。
また、請求項7に係る発明としては、前記セルロースファイバーのカルボニル量が0.06mmol/g以上3.75mmol/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項6記載の積層体とした。
また、請求項8に係る発明としては、前記積層体のヘイズが5%以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の積層体とした。
また、請求項9に係る発明としては、前記第2層が、金属アルコキシド、塩化錫、無機層状鉱物のうちいずれか1を含むことを特徴とする請求項8記載の積層体とした。
また、請求項10に係る発明としては、前記金属アルコキシドがテトラエトキシシラン又はトリイソプロポキシアルミニウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項9記載の積層体とした。
また、請求項11に係る発明としては、前記第1層を構成する無機化合物が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化ケイ素のいずれかから選択されることを特徴とする請求項1乃至10に記載の積層体とした。
また、請求項12に係る発明としては、前記高分子組成物からなる基材が天然材料を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の積層体とした。
また、請求項13に係る発明としては、前記天然材料がポリ乳酸、ヒドロキシアルカノエート、バイオポリオレフィン、セルロース、紙から選択されることを特徴とする請求項12記載の積層体とした。
本発明の構成の積層体とすることにより、植物などから得られるセルロース材料を有効に利用し、酸素バリア性、水蒸気バリア性に優れるだけでなく、透過性に優れ、耐湿熱性に優れ、可とう性に優れ、耐熱水性に優れ、環境負荷の少ないガスバリア性を備える積層体とすることができた。
本発明のバリア性を有する積層体について説明する。
図1に本発明の積層体の断面模式図について示した。
本発明の積層体1は、高分子組成物からなる基材13上に、無機化合物からなる第1層11と、短方向の繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーを含む第2層12を備える。
本発明にあっては、図1(a)〜(d)に示したように、基材13の一方の面に第1層11、第2層12を備えていればよい。第1層と第2層の積層の順番には限定されるものではない。他の機能層としてはアンカー層、印刷層、熱可塑性樹脂層等が挙げられる。なお、本発明の積層体にあっては、図1(a)〜(d)の構成に限定されるものではなく、さらに第1層もしくは第2層を積層してもよい。また、本発明の積層体にあっては、各層間や各層上に他の機能層を備えていても良い。
本発明の積層体にあっては、第2層12は短方向の繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーを含むことを特徴とする。
本発明の積層体にあっては、無機化合物からなる第1層は得られる積層体に主に酸素バリア性、水蒸気バリア性を付与する。短方向の繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーを含む第2層は、積層体に主に酸素バリア性を付与する。本発明にあっては、酸素バリア性、水蒸気バリア性をあわせ、ガスバリア性と称することがある。
本発明の積層体において、第2層は短方向の繊維幅が380nm以下の短繊維状にほぐされたセルロースファイバーの集合体からなる。第2層を極めて細い繊維の集合体とすることにより、膜の緻密度が向上し、酸素バリア性、水蒸気バリア性を向上させることができ、特に、耐湿熱性や耐熱水性を向上させることができる。すなわち、積層体を長時間高温高湿下に保管した後であってもガスバリア性の低下を抑制することができ、耐湿熱性に優れた積層体とすることができる。また、積層体を包装フィルムとした後に熱水に投入したとしてもガスバリア性の低下を抑制し、耐熱水性に優れた積層体とすることができる。
これは、セルロース自身の酸素バリア性が高いことに加え、セルロースを短方向の繊維幅が380nm以下の短繊維状とすることにより、セルロースファイバー同士が極めて密な構造を形成することができるためであると考えられる。本発明の積層体にあっては、セルロースファイバー同士が極めて密な構造を形成することにより、第2層はセルロース自体の酸素バリア性に加え、湿度や熱水等の水分によって酸素バリア性や水蒸気バリア性が低下しにくい構造を有する。
また、第2層を短方向の繊維幅が380nm以下の短繊維状にほぐされたセルロースファイバーの集合体とすることにより、得られる積層体を極めて可とう性の高いものとすることができる。本発明の積層体にあっては可とう性が高く、高分子組成物からなる基材が例えばフィルム状であるときに、積層体に張力を加えたとしてもバリア性の低下を少なくすることができる。
第2層に含まれるセルロースファイバーの短方向の繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーとすることにより、第2層の光の吸収のない透明な層とすることができ、積層体の透明度を向上させることができる。積層体の透明度が高いと、例えば透明基材を用い、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの酸化金属層を用いて透明な第1層を形成し、パッケージ材料を作ることで、内包物がパッケージの外から確認できるなどの利点がある。また、基材の色や柄などに影響することがないため、好ましい。
本発明にあっては、第2層に含まれるセルロースファイバーは少なくとも個々のセルロース繊維が一度短方向の繊維幅が380nm以下のファイバー状の短繊維にほぐされたことを特徴としている。短方向の繊維幅が380nm以下とすることにより、透明性に優れ、耐湿熱性に優れ、可とう性に優れ、耐熱水性に優れた積層体とすることができる。これらの性能の向上のためには、セルロースファイバーの幅方向の大きさが小さいほどよいが、結晶構造を保持している方が好ましいため1nm以上であることが好ましい。本発明の第2層に含まれるセルロースファイバーは1nm以上380nm以下の範囲内であることが好ましい。
さらには、本発明の積層体にあっては、第2層に含まれるセルロースファイバーは短方向の繊維幅が50nm以下であることが好ましい。本発明の第2層に含まれるセルロースファイバーは1nm以上50nm以下の範囲内であることがさらに好ましい。樹木など天然のセルロースのもつ結晶構造を有する最も小さい単位として扱われるミクロフィブリルの大きさは5nm程度である。また、バクテリアなどが産出する天然セルロースのミクロフィブリルの大きさは50nm程度である。
また、本発明の積層体にあっては、図1(a)に示したように基材側から順に無機化合物からなる第1層11と短方向の繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーを含む第2層12を順に備え、且つ、セルロースファイバーを含む第2層が第1層上に直接設けられることが好ましい。
基材側から順に第1層、第2層を設けることにより、第1層の無機化合物の硬さや脆さにより生じるクラックなどを第2層で保護するという意味で好ましい。これにより、きるだけ少ない層構成で、ガスバリア性に優れ、かつ後加工などにも耐えうる可撓性に優れたガスバリア性の積層体を得ることができる。
また、第1層上に直接第2層として積層してなることにより、第2層が第1層と第2層との界面に両層の反応層を生じるか、あるいは第2層が第1層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥或いは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成されるため、得られる積層体はさらに高いガスバリア性、耐水性、耐湿性を発現することができるとともに、変形に耐えられるさらに高い可撓性を発現することができる。また、第1層上にセルロースナノファイバーを含む第2層を直接設けることにより、得られる積層体を用いた積層物の各層間の密着強度を向上させることができる。
また、本発明の積層体にあっては、図1(c)に示したように、第2層12の両側に無機化合物からなる第1層11が設けられることが好ましい。このような構成の積層体とすることにより、第2層に進入する水分子が少なくなり、きわめてガスバリア性の高い積層体とすることができる。本発明の積層体にあってはさらに第1層及び/または第2層を積層しても構わないが、積層数が多くなるほど製造コストがかかる傾向となる。
また、本発明の積層体にあっては、第2層に含まれるセルロースファイバーの結晶化度が50%以上であり、セルロースIの結晶構造を有することが好ましい。セルロースの結晶化度が高いと、結晶内部には規則正しくセルロース分子鎖が並び、たくさんの水素結合が存在しており、理想的なガスバリア領域となる。この領域をできるだけたくさん設ける為にもセルロースの結晶化度は50%以上であること好ましい。結晶化度が高ければ結晶型は問わないが、高い結晶化度を持つ380nm以下の大きさのセルロースファイバーを得るには、セルロースの結晶型はI型であると好ましい。現段階ではその他の結晶系で高い結晶化度を有するセルロースファイバーを作るのは困難である。本発明の積層体にあっては、さらにはセルロースの結晶化度は70%以上であるとより好ましい。
また、このセルロースIの結晶構造とは、天然の木材などがもつセルロースの結晶構造と同じで、X線回折法などにより確認することができる。本発明で述べるセルロースIの結晶性とは、材料あるいは皮膜のX線回折スペクトルを測定した時、2θ=14.60°、16.5°及び22.7°においてピークを示すセルロース系材料をいう。このとき結晶化度は下記式により算出される。
(式) 結晶化度(%)=(I−Ia)/I×100
I:2θ=14.60°のピーク強度
Ia:2θ=12°と18°の強度を結んだ直線と2θ=14.60°の強度から真
直ぐ下ろした直線が交わる点の強度(アモルファス領域のピーク強度)
また、本発明の積層体にあっては、第2層に含まれるセルロースファイバーがカルボニル基を備えることが好ましい。カルボキニル基を有するセルロースの結晶性を有する水分散性高分子或いはファイバーは、水の存在下から乾燥させたとき、高分子あるいは繊維、ファイバー間での水素結合を促進し、皮膜の緻密さが向上し、バリア性を向上させるとともに、透明性も向上させることができる。また、セルロースの結晶性を有するファイバーは通常は水に分散あるいは溶解し難い。しかし、セルロースの繊維表面あるいは結晶表面にカルボキシル基あるいはその塩類を導入すると、水や水/アルコール混合溶液への分散性が格段に向上し塗液として第2層を形成する際に好ましい。
中でも、第2層に含まれるセルロースファイバーのカルボニル量が0.06mmol/g以上3.75mmol/g以下の範囲内であることが好ましい。セルロースの結晶性を有する水分散性高分子あるいはファイバーのカルボキシル基量が0.06mmol/g以上3.75mmol/gの範囲にあると、酸素透過度を小さく抑えることができ、また、塗液の状態で長時間沈殿・分離することなく、均一で良好な膜が形成できるため、より好ましい。カルボニル量が0.06mmol/gに満たない場合にあっては、緻密な膜を構成することが困難となり、成膜性が悪くなり、透明性や酸素バリア性が低下する場合がある。一方、カルボニル量が3.75mmol/gを超える場合にあっては、高湿度下でのバリア性の低下や、膜の劣化が起こる場合がある。さらには、セルロースファイバーのカルボニル量が0.10−0.25mmol/gの範囲にあると、酸素透過度をより小さく、また、高湿度下でのバリア性をより高くすることができ好ましい。
また、本発明の積層体にあっては、積層体の波長660nmにおける透過率が80%以上であることが好ましい。積層体の波長660nmにおける透過率を80%以上とすることにより、包装材料用途として好適に用いることができる積層体とすることができる。本発明の積層体にあっては、380nm以下の大きさのセルロースファイバーを用いることにより波長660nmにおける透過率を80%以上とし、高い透明性を実現している。
また、本発明の積層体にあっては、第2層が、溶媒中にセルロースファイバーを含む塗液を塗布し塗膜を形成する工程と、塗膜を乾燥し第2層を形成する工程により形成される。本発明の積層体にあっては、第2層は湿式成膜法により形成される。
本発明の積層体にあっては、第2層を形成するためのセルロースファイバーを含む塗液が、金属アルコキシド及びその加水分解物、塩化錫、無機層状鉱物のうちいずれか1を少なくとも含むことが好ましい。金属アルコキシド、塩化錫、無機層状鉱物のうち少なくともいずれか1つを含む第2層とすることにより酸素バリア性、水蒸気バリア性をさらに向上させることができる。また、塗液の塗布適性を向上させることができる。
中でも、2層を形成するためのセルロースファイバーを含む塗液が、金属アルコキシドであるテトラエトキシシランもしくはイソポリプロポキシアルミニウムを含むことが塗布適性の点から好ましい。塗液にテトラエトキシシランもしくはイソポリプロポキシアルミニウムを加えることで、塗液の安定性を向上させることができる。
また、本発明の積層体にあっては、第1層を構成する無機化合物が酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化ケイ素のいずれかから選択されることが好ましい。これらの物質を用いて真空成膜法によって第1層は形成され、第1層に酸素バリア性、水蒸気バリア性を付与することができる。
また、本発明の積層体にあっては、高分子組成物からなる基材が天然材料を含むことが好ましい。本発明の積層体は形成される第2層の環境負荷の少なく、高分子組成物からなる基材が天然材料を含むことで、積層体の環境負荷をさらに低減することができる。
中でも、高分子組成物からなる基材が、天然材料としてポリ乳酸、ヒドロキシアルカノエート、バイオポリオレフィン、セルロース、紙を含むことが好ましい。ポリ乳酸、ヒドロキシアルカノエート、バイオポリオレフィン、セルロース、紙は、平滑な面を形成させることが難しい天然材料の中でも、比較的平滑な面を形成させることが可能で、また、例えばフィルム化や容器の成形が可能であるという点で基材として好適に用いることができる。
本発明のバリア性を有する積層体についてさらに詳細に説明する。
本発明の積層体に用いる高分子組成物からなる基材としては、プラスチック材料を用いることができる。プラスチック材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系材料、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系材料、ポリスチレンフィルム、ナイロンなどのポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド等が挙げられる。さらには、プラスチック材料としては、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等を用いることもできる。また、以上のプラスック材料の少なくとも一種類以上を成分に持つ、あるいは共重合成分に持つ、あるいはそれらの化学修飾体を成分に有するプラスチック材料を用いることもできる。
また、本発明の目的のひとつである、天然材料を有効に利用した、環境負荷の小さいガスバリア材を得るには、高分子組成物からなる基材が、天然物を原料として含んでいることが好ましい。例えば、ポリ乳酸、バイオポリオレフィンなどの植物から化学合成されるバイオプラスチック、ヒドロキシアルカノエートなどの微生物が産生するプラスチックを含む基材、あるいは、木材や草木などからパルプ化、抄紙などの工程を経て得られる紙や紙容器類、更には、セルロース系材料を含むフィルムあるいは成形体であっても良い。このセルロース系材料からなる基材は、セロハンやアセチル化セルロースなどのセルロース誘導体フィルムや基材を用いてもよいが、本発明で用いるセルロースファイバーを水や水/アルコール混合水溶液からキャストして、乾燥して得られる透明基材や、セルロースファイバーの他に樹脂や繊維、紙などを含んでなる透明あるいは不透明な基材を用いることができる。これらのセルロースファイバーは、通常のセルロース誘導体より、製造工程で有害な試薬を用いないということから、環境への負荷がより少ないということに加え、フィルムまたは基材自体のバリア性も高いことから、本発明の基材として用いるには最も好ましい。更にはこれらの組合せ、複合素材などを使用することができる。近年では、少しでも石油系材料の替わりに天然物原料から得られる材料を用いて、原料のCO2使用量を抑えるなどの考え方も有効とされており、これらの天然物を原料として含む量は高いほど好ましいが、100%でなくても良い。
これらの基材の形状は特に限定されることなく、フィルム状、シート状、ボトル状、筒状、各種成形体など、用途によって選ぶことができる。特に、第1層、第2層の透明性や第2層の可とう性を活かすことを考慮すると、基材はフィルム状であることが好ましく、透明なプラスチックフィルムを好適に用いることができる。フィルム状基材は延伸、未延伸のどちらでも良く、また、機械的強度や寸法安定性を有するものが良い。この中で二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。基材には周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤などが使用されても良い。
さらに、基材表面に対し、コロナ処理、プラズマ処理、アンカーコート処理等の表面改質をおこなうことも可能である。また、基材と第1層の密着性を向上させるために、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による表面改質を施しても良い。表面改質をおこなうことにより基材と第1層との密着性を向上させることができる。
基材上には無機化合物からなる第1層が設けられる。第1層は、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、マグネシウムなどの酸化物、窒化物、弗化物の単体、或いはそれらの複合物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)などの真空成膜法により形成される。また、第1層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。
第1層形成材料として、無機化合物の中でも酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化ケイ素を好適に用いることができる。さらに、酸化アルミニウムは、無色透明であり、ボイル・レトルト耐性等の特性にも優れており広範囲の用途として用いることができる。
第1層の膜厚は、用途や第2層の膜厚によって異なり、数十Åから5000Åの範囲が望ましいが、50Å以下では薄膜の連続性に問題があり、また3000Åを越えるとクラックが発生しやすく、可撓性が低下しやすい。したがって、第1層の好ましい膜厚は50Å以上3000Å以下の範囲内であり、さらには、50Å以上300Å以下の範囲内である。
次に、第1層上に第2層が形成される。第2層はセルロースファイバーを含むことを特徴とする。
次に、セルロースファイバーの調製方法について説明する。セルロースファイバーの原料となるセルロース材料は、特に限定されるものではなく、各種木材、非木材パルプ、微生物産生セルロース、バロニアセルロース、ホヤセルロース、レーヨン等の再生セルロース等を用いることができ、パルプ化の方法や、精製方法、漂白方法などについて特に限定されるべきものではない。しかし、より反応を制御し、純度や再現性を高くするためには、漂白済みのパルプや溶解パルプなど精製度の高いセルロース材料を用いることが好ましい。また、高圧ホモジナイザーや凍結粉砕、ミル、石臼等で粉砕した粉末状のものや加水分解などの化学的処理により精製した微細セルロース、市販されている各種セルロース粉末や、微結晶セルロース粉末も使用できる。
これらのセルロース材料を用い、酸加水分解、酸化などによる化学的な処理やセルラーゼなどによる酵素処理、解繊、爆砕などによる物理的処理をおこなうことにより、短方向の繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーを得ることができる。
天然のセルロースはセルロース合成酵素による合成と、広い意味での自己組織化により、高い結晶構造を有する数nmから数百nmのミクロフィブリルを形成する。このミクロフィブリルが様々な方向に配向・集合することで、パルプ繊維などを形成している。従って、天然のセルロースは元々70%以上の結晶化度を有している。パルプやコットン、バクテリアセルロースなどの天然のセルロース素材を用い、結晶構造を壊すことなく、できるだけミクロフィブリルに近い構造単位にまでほぐすことで、高い結晶構造を有するセルロースファイバー得ることができる。具体的な方法例としては、後述のように、パルプの結晶表面に効率的にカルボキシル基を導入する酸化処理を施した後、含水状態での物理的解繊処理を施す処理や、特段の化学的処理なく、高圧ホモジナイザーやジェットミルなどにより解繊する方法を用いることができる。中でも、パルプの結晶表面に効率的にカルボキシル基を導入する酸化処理を施した後含水状態での物理的解繊処理を施すことにより繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーを得る方法は、カルボキシル基類の静電的反発により、少ないエネルギーで極小さい繊維幅のセルロースファイバーが調製でき、得られたセルロースファイバーの結晶性も高く、その結晶構造をセルロースIとすることができる。また、カルボキシル基や水酸基の水素結合によりファイバー同士が緻密な膜を形成することが可能なため皮膜のガスバリア性が高く、また透明性も高くなるという点で好適に用いることができる。
また、本発明の第2層に含まれるセルロースファイバーにカルボキシル基を導入する方法としては、セルロースの結晶構造を残したまま反応が進行し、カルボキシル基を導入できる方法が好ましい。現在では様々な方法が開発されているが、木材パルプを水系で処理する一例を挙げて説明する。水系で処理した後乾燥工程を経ることなくコーティング剤が調製できる為、セルロースの凝集などを防ぐことができる。
水系で処理でき、セルロースファイバー表面に効率的にカルボキシル基を導入できる酸化方法としては、N−オキシル化合物(オキソアンモニウム塩)の存在下、酸化剤を用いて、セルロースを酸化する方法を挙げることができる。N−オキシル化合物には、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下TEMPOと称する)やその誘導体などが含まれる。この酸化方法では、酸化の程度に応じて、カルボキシル基を均一かつ効率よく導入できる。本酸化反応は、前記N−オキシル化合物と、臭化物又はヨウ化物との共存下で行うのが有利である。臭化物又はヨウ化物としては、水中で解離してイオン化可能な化合物、例えば、臭化アルカリ金属やヨウ化アルカリ金属などが使用できる。酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸,亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できる。
この酸化方法では、セルロースの結晶あるいはファイバー表面かつ、セルロース骨格中の6位の水酸基を選択的に酸化することができ、骨格中のグルコースをグルクロン酸に変換するものである。N−オキシル化合物は触媒量で済み、例えば、セルロースに対して重量比で2%〜10ppmあれば充分である。
酸化反応条件などは特に限定されず、セルロースの性状、使用する設備などによって最適化されるべきであるが、臭化物やヨウ化物との共存下で酸化反応を行うと、温和な条件下でも酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を大きく改善できる。
臭化物及び/又はヨウ化物は、必要であれば添加することができ、その使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択でき、例えば、セルロースに対し20%〜100ppmである。
本発明におけるセルロースの酸化反応系は、N−オキシル化合物にはTEMPOを用い、臭化ナトリウムの存在下、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
このセルロースの酸化反応では、セルロースの結晶表面への酸化の選択性を上げ、副反応を抑える目的で、反応温度は室温以下で、系が凍らない範囲で、できるだけ低温で反応させることが望ましい。0から30℃より好ましくは5から20℃の範囲であると、セルロースの分子量低下や結晶内部への酸化など副反応が抑えられ、セルロースの分子量が向上することで、膜の物理強度や耐湿バリア性が向上し、より好ましい。
また、上記セルロースの酸化反応における反応系のpHは、反応の効率の面から、pH9〜10の間で反応を行うことが望ましい。
また、この方法によりセルロースを酸化させると、カルボキシル基の他にアルデヒド基を導入させることになる。このアルデヒド基は、基材との密着や膜自体の強度を向上させたり、添加剤との反応を促進する効果があるようである。一方、アルデヒド基は、着色を促進させる場合がある。そのため、アルデヒド基を導入させないために、亜塩素酸ナトリウムを酸化剤として用い、TEMPOなどのN−オキシル化合物とともにセルロースを酸化させる方法があり、この方法を用いることもできる。あるいは、前述の次亜塩素酸ナトリウムなどを用いる酸化方法により、セルロースを酸化させた後、二段階酸化あるいは還元反応などを行うことで、アルデヒド基をカルボキシル基あるいは水酸基などに変換したセルロース材料を用いることも有効である。
更に、本発明におけるセルロースファイバーの調製の際には、酸化反応後に必要に応じて更なる解繊処理や微細化処理、分散処理を施して、より微細な繊維状改質微細セルロースであるセルロースなナノファイバーを得ることができる。解繊処理には、通常のジューサーミキサー、ヘンシェルミキサー、高速ミキサー、シェアミキサー、リボンブレンダー、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、遊星ミル、三本ロール、グラインダー、アトライター、バスケットミルなどを用いることができる。
特に、上述のTEMPOを用いた酸化方法により、パルプなどのセルロースを酸化すると、結晶表面に効率的にカルボキシル基が導入されるため、その後の水中での解繊処理で、通常のセルロースナノファイバーを調製するよりは少ないエネルギーでナノファイバーが調製できることが分かっている。このファイバーは最適な条件下で端方向の繊維幅が3〜4nm、長さが数ミクロン程度であり、この方法で調製されたセルロースナノファイバーは、本発明の積層体の第2層の形成材料として特に好適に用いることができる。
表面にカルボキシル基を有するセルロースの結晶性を有するセルロースファイバーの乾燥膜は、その水素結合の数の多さにより、完全に水に溶解することはないが、水による膨潤や長期水分に晒されることによるバリア性の低下が起こる場合がある。これは、セルロースファイバー表面に存在する水酸基やカルボキシル基などの親水性基やアルデヒド基を誘導体化することにより保護するか、架橋により三次元構造を導入することで抑制することができる。
第2層は、セロルースファイバーを含む塗液を用い、湿式成膜法により形成される。第2層は、セロルースファイバーを含む塗液を塗布し塗膜を形成する工程と、該塗膜を乾燥する工程により形成される。
塗液の塗布方法としてはコンマコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーターを用いた塗布方法を用いることができる。
第2層を形成するための塗液には、酸素バリア性、水蒸気バリア性をさらに向上させること、塗布適性を向上させることを目的として、金属アルコキシド及びその加水分解物、塩化錫、無機層状鉱物のうちいずれか1を含むことが好ましい。
金属アルコキシドは、下記一般式
(式) M(OR)
(M:Si、Ti、Ai、Zr等の金属/R:HまたはCH、C等のアルキル基/nは自然数)
で表せるものを用いることができる。なかでもテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C〕が加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
塩化錫は、塩化第一錫(SnCl)、塩化第二錫(SnCl)、或いはそれらの混合物を用いることができ、無水物でも水和物でも用いることができる。
無機層状鉱物としては、スメクタイト族、バーミキュライト族、マイカ族等の無機層状化合物を用いることができる。具体的には、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アンチゴライト、クリソタイル、パイロフィライト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチーブンサイト、テトラシリリックマイカ、ナトリウムテニオライト、白雲母、マーガライト、タルク、バーミキュライト、金雲母、ザンソフィライト、緑泥石等で天然であっても合成物であってもよい。また鱗片状シリカ等も使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、コーティング剤組成物に使用した場合のガスバリア性能、印刷適性からモンモリロナイトの使用が好ましい。
第2層を形成するための塗液には必要に応じて分散媒である溶媒が加えられる。溶媒としては、水の他、メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−ブタノールなどのアルコール類、および酸やアルカリ、その他親水性有機溶媒など各種溶媒を用いることができるが、酸素および水蒸気などのガスバリア性の高い緻密な膜を形成させるためには、水及び含水アルコール系溶液が好ましい。
塗液には、バリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、或いは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤、成膜剤など公知の添加剤を加えることができる。
例えばコーティング剤に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(以下、TDIとする)、トリフェニルメタントリイソシアネート(以下、TTIとする)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(以下、TMXDIとする)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体を用いることができる。
第2の厚さはコーティング剤の種類によって異なるが、乾燥後の厚さが0.01μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましい。第2層の膜厚が50μm以上の場合では、層にクラックが生じやすくなる傾向にある。また、第2層の膜厚が0.01μm以下の場合には、本発明の効果を得ることが困難となってしまう。
特にこれらのファイバー状セルロースは蒸着膜との親和性が高く、密着も高い上、セルロースファイバーのナノレベルでのフレキシブルな網目構造が蒸着膜に生じるクラックなどの欠陥を防止する効果があるものと考えられる。また、セルロースファイバーの持つ結晶性の高さが、加工や使用によっても維持されるため、更に高いバリア性を維持できる。この傾向はカルボキシル基が導入され、かつ本発明の範囲にあると顕著である。
また、第1層上に第2層を直接設ける場合には、第1層と第2層との間に何らかの反応層が形成されるか、あるいは第2層が第1層に生じるピンホール、クラック、粒界などの欠陥或いは微細孔を充填、補強することで、緻密構造が形成され、これがガスバリア性の向上と第1層である蒸着薄膜層の保護層としての役割を果たすものと考えられる。
また、第2層を形成する塗液の組成が、金属アルコキシドあるいは塩化錫、無機層状化合物からなる無機成分とセルロースの結晶性を有するセルロースファイバーを取材とした場合には、さらにガスバリア性の向上を図ることができる。金属アルコキシドあるいは塩化錫からなる無機成分は溶液中で加水分解、重縮合反応して鎖状或いは三次元樹枝状のポリマーを形成し、乾燥にともなう溶媒の蒸発によってさらに重合が進行する、反応性に富む無機成分であり、セルロースファイバーはナノレベルのハイブリッド複合体を形成していると考えられる。したがって、特定の粒子径からなるシリカ(SiO)などの微粒子や珪酸ソーダ(水ガラス)から得られるシリカゾル(コロイダルシリカ)など単に微粒子を分散したものとは異なるものである。
さらに本発明の積層体には、必要に応じて、接着性を向上させるアンカー層、意匠性を付与する印刷層、ヒートシール可能な熱可塑性樹脂層、接着層等を各層間もしくは各層上に積層することができ、また他の部材と必要に応じ接着層を介して積層し積層物とすることも可能である。
本発明のガスバリア性積層体を具体的な実施例を挙げて説明する。
なお、実施例において%は重量%である。
〔製造例1〕
漂白済みの針葉樹クラフトパルプ30gを水で解繊し、総量1400mLの水に浸した。あらかじめ200mLの水に溶解させたTEMPO0.3gと臭化ナトリウム3gを加えた。ここに次亜塩素酸ナトリウム200mLを30分間で滴下して反応を開始した。0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10に保った。1時間後、pH変動がおさまったら1M−塩酸を添加してpHを2まで低下させた。酸化パルプを目開き20μmのメッシュでろ過し、水で繰返し充分に洗浄した。洗浄後のパルプに固形分濃度1%となるように蒸留水を添加し、ジューサーミキサーに10分間かけて、透明なセルロース分散液を調製した。
〔製造例2〕
漂白済みの広葉樹クラフトパルプ30gを水で解繊し、総量1400mLの水に浸した。あらかじめ200mLの水に溶解させたTEMPO0.3gと臭化ナトリウム3gを加えた。ここに次亜塩素酸ナトリウム100mLを30分間で滴下して反応を開始した。0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10に保った。1時間後、pH変動がおさまったら、酸化パルプを目開き20μmのメッシュでろ過し、水で繰返し充分に洗浄した。洗浄後のパルプに固形分濃度1%となるように蒸留水を添加し、シェアミキサーで6時間攪拌し、透明なセルロース分散液を調製した。
〔製造例3〕
市販の微細セルローススラリー(固形分30g分)を水に分散させ、総量1400mLとした。あらかじめ200mLの水に溶解させたTEMPO0.3gと臭化ナトリウム3gを加えた。ここに次亜塩素酸ナトリウム300mLを30分間で滴下して反応を開始した。0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10に保った。2時間後、pH変動がおさまったら、微細セルロースを水又はエタノールを用いて繰返し充分に洗浄した。洗浄後の微細セルロースに固形分濃度5%となるように蒸留水を添加し、セルロース水分散液を調製した。このセルロース水分散液を超音波ホモジナイザーで1分間処理をおこない、透明なセルロース分散液を調製した。
〔比較製造例4〕
市販の微細セルロースペーストを水で希釈し、固形分濃度1%のセルロース分散液を調製した。
〔比較製造例5〕
市販のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩を水/イソプロピルアルコール(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)に溶解させ、固形分濃度1%のセルロース溶液を調製した。
〔比較製造例6〕
市販の微細セルローススラリー(固形分30g分)を水に分散させ、総量1400mLとした。あらかじめ200mLの水に溶解させたTEMPO0.3gと臭化ナトリウム3gを加えた。ここに次亜塩素酸ナトリウム300mLを30分間で滴下して反応を開始した。0.5N−水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを10に保った。2時間後、pH変動がおさまったら、微細セルロースを水又はエタノールを用いて繰返し充分に洗浄した。洗浄後の微細セルロースに固形分濃度5%となるように蒸留水を添加し、セルロース分散液を調製した。
・セルロース外観観察
製造例1から3および比較製造例4から6のセルロース分散液もしくは溶液を0.1%濃度で水に分散あるいは溶解させたものを透過電子顕微鏡(TEM)用試料台に薄く延ばし、80℃で加熱乾燥させて観察用試料を作成し、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察を行った。その結果、製造例1および2においては、短方向の繊維幅が3−5nmのセルロースファイバーが観察され、平均の短方向の繊維幅は5nmであった。また、製造例3では10−50nmのセルロースファイバーが観察され、平均の短方向の繊維幅は200nmであった。また、比較製造例4および6は380nm以下のものファーバー状のものも確認されたが、その平均の幅は1μm以上(3μm)であった。また、製造例5では、完全に分子分散しているようで、繊維幅を観察できなかったことから、繊維幅は1nm以下であり、ファイバー状ではないと推測できる。
・セルロースの結晶性測定
製造例1から3および比較製造例4〜6のセルロース分散液もしくは溶液を加熱乾燥させ、厚さ10から50μmのキャストフィルムを作製し、X線回折法(XRD) により結晶構造の解析をおこなった。CuKα線を用い、加速電圧、電流はそれぞれ40kV,40mAであった。ここで、セルロースの結晶化度は、2θ=10°および18°の回折強度を結ぶ直線と15°から垂直に降ろした直線との交わる点の強度Iaと、2θ=15°の回折強度Iの比から求めた。
結晶化度={(I−Ia)/I}×100(%)
製造例1 80%
製造例2 70%
製造例3 50%
比較製造例4 80%
比較製造例5 0%
比較製造例6 50%
・カルボキシル基量測定
製造例1から3および比較製造例4〜6のセルロース分散液もしくは溶液を固形分でおよそ0.1gに当たる量をとり、乾燥重量(g)を小数点4桁まで求めた。0.2%濃度で水に充分に分散あるいいは溶解させた後、塩酸を加えてpH2.9とした後、0.1N−水酸化ナトリウム水溶液を用いて電導度滴定法により、カルボキシル基量(mmol/g)を求めた。
製造例1 1.7mmol/g
製造例2 1.2mmol/g
製造例3 3.5mmol/g
比較製造例4 0.1mmol/g
比較製造例5 4.8mmol/g
比較製造例6 3.5mmol/g (←要確認)
(各成分の調整)
以下のようにして塗液の各成分を調整した。
(A)テトラエトキシシラン〔Si(OC:以下、TEOSとする〕10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分1wt%(SiO換算)の加水分解溶液。
(B)トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C:以下、TPAとする〕6.0gを80℃の熱水90g中で溶解した後、塩酸(5N)4gを添加し解膠させた固形分1wt%(Al換算)の加水分解溶液
(C)塩化第一錫(無水物)の1wt%の水/エタノール溶液(水:エタノール重量比で50:50)
(D)塩化第二錫(無水物)の1wt%の水溶液
(E)製造例1のセルロースナノファイバーの1.0wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)
(F)製造例2のセルロース分散液1.0wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)
(G)製造例3の改質セルロース繊維の1.0wt%水/イソプロピルアルコール溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)
(H)ポリビニルピロリドンの1wt%の水/エタノール溶液(水:エタノール重量比で50:50)
(I)水性グラビアインキ(アクリル系) 水性ビヒクルのみ使用。アクリル樹脂固形分10wt%水/エタノール溶液(水:エタノール重量比50:50)
(J)モンモリロナイトの1.0wt%水分散液
(K)シリカゾル(日産化学工業社製 商品名: スノーテックス)を水で希釈した1.0wt%シリカゾル溶液
(L)比較製造例4の1.0wt%セルロース分散液
(M)比較製造例5の1.0wt%水/イソプロピルアルコーセルロース溶液(水:イソプロピルアルコール重量比で90:10)
(N)比較製造例6の1.0wt%セルロース分散液
塗液の各成分を混合し、またはそのまま用い、塗液No.1〜19の塗液を調整した。また、配合比はwt%(重量%)である。
(塗液の組成)
No.1 (E) 配合比:(E)100
No.2 (F) 配合比:(F)100
No.3 (G) 配合比:(G)100
No.4 (A)/(E) 配合比:(A)60/(E)40
No.5 (C)/(E) 配合比:(C)60/(E)40
No.6 (A)/(C)/(E) 配合比:(A)40/(C)30/(E)30
No.7 (A)/(D)/(E) 配合比:(A)40/(D)30/(E)30
No.8 (E)/(J) 配合比:(E)60/(J)40
No.9 (A)/(E)/(J) 配合比:(A)30/(E)40/(J)30
No.10 (B)/(F) 配合比:(B)60/(F)40
No.11 (C)/(F) 配合比:(C)60/(F)40
No.12 (A)/(C)/(F) 配合比:(A)40/(C)30/(F)30
No.13 (A)/(D)/(F) 配合比:(A)40/(D)30/(F)30
No.14 (F)/(J) 配合比:(F)40/(J)60
No.15 (A)/(G) 配合比:(A)60/(G)40
No.16 (C)/(G) 配合比:(C)60/(G)40
No.17 (A)/(C)/(G) 配合比:(A)40/(C)30/(G)30
No.18 (A)/(D)/(G) 配合比:(A)40/(D)30/(G)30
No.19 塗液無し
No.20 (H) 配合比(wt%)(H)100
No.21 (I) 配合比(wt%)(I)100
No.22 (L) 配合比(wt%)(L)100
No.23 (M) 配合比(wt%)(N)100
No.24 (N) 配合比(wt%)(M)100
No.25 (A)/(N) 配合比(wt%)(A)60/(M)40
〔実施例(比較例)1−25〕
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETとする)フィルムを基材とし、その上面にSiO(酸化珪素)を蒸着源とし、電子線加熱方式の真空蒸着法により、膜厚400Åの第1層を形成し、さらに塗液No.1〜25をバーコーターにより塗布し乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、膜厚約0.1μmの第2層を形成し積層体を得た。なお、No.19は第2層を形成しなかった。
得られた積層体を40℃−90%RHの恒温恒湿下で4週間保存し、4週間の保管前後のガスバリア性を酸素透過度及び水蒸気透過度の測定により評価した。酸素バリア性を25℃−70%RH雰囲気下で酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製 MOCON OXTRAN 10/40A)を用いて測定し、水蒸気バリア性を40℃−90RH雰囲気下で水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール社製 PERMATRAN W6)を用いて測定し、その結果を(表1)に示す。
Figure 2010125814
測定の結果、実施例1〜18の積層体は酸素バリア性及び水蒸気バリア性はともに、コーティング無しの比較例19と比較して高く、高ガスバリア性を示した。また、比較例のその他のセルロース系材料を用いて第2層を形成した比較例20、22〜25と比較してバリア性が高い様子が確認された。更に、高温高湿下保存後のガスバリア性の低下も抑えられている様子が確認できた。
また、実施例4と比較例22、24のフィルムについて、分光光度計にてフィルムの透過度およびヘイズを測定した。実施例4は660nmの透過率が95%、400から650nmの平均の透過率が80%以上、ヘイズは2.4%であり、ほぼ透明なフィルムが得られている様子が確認できた。一方、比較例22は660nmの透過率が75%、400から650nmの平均の透過率が75%以下、ヘイズは10.8%であり、目視でもフィルムが濁っている様子が確認でされた。また、比較例24の積層体は660nmの透過率が78%、400から650nmの平均の透過率が75%、ヘイズは5.8%であり、フィルムが濁っている様子が確認された。
〔実施例(比較例)24−30〕
実施例1、4、比較例19、23、25の積層体を用意した。また、第1層が形成されていないPETフィルム(フィルム厚12μm)に塗液No.1、No.4、No.23,No.25を塗布し、膜厚0.3μmの第2層を形成した積層体を用意した。用意した積層体に第2層を接着面としてポリオール−イソシアネート系接着剤にて未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(フィルム厚30μm)と接着しラミネートフィルムを作製しガスバリア性積層物を得た。得られた積層物について30℃70%における酸素透過度、及び水蒸気透過度の測定と接着強度の測定をおこない評価した。接着強度の測定は、15mm幅、T字剥離、300mm/minの条件でおこなった。その結果を(表2)に示す。
Figure 2010125814
測定の結果、本発明のセルロースファイバーを含む第2層は第1層が形成されていなくても、酸素バリア性をある程度発現するが、水蒸気バリア性の効果は低い様子が確認された。基材に第1層を設けることで、各々単体では得られない高い酸素バリア性及び水蒸気バリア性を得ることができる様子が確認できた。また接着強度は第1層を設けていない積層体に比べ、著しく向上している様子が確認できた。
実施例29、比較例30、比較例32、比較例34の積層体にCPPフィルムをラミネートした積層体を引張試験機を用いて所定伸率引張り試験を行った後、酸素透過度、水蒸気透過度の測定をおこない、可撓性の評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2010125814
比較例の第2層が形成されていない積層物(比較例30)は数%の伸びで引っ張りによる変形に耐えられず第1層にクラックを生じ、ガスバリア性が著しく低下したが、本発明の積層物(実施例29)は10%程度まではほとんど劣化が認められず、その後の引っ張りによる変形によってもその劣化は少なく、かなりの可撓性を有していることが確認された。さらに他のセルロース材料で第2層を形成した積層物(比較例32、比較例34)も数%の伸びで引っ張りによる変形が始まり、多少の劣化の抑制が認められるもののその効果は本発明の積層物(実施例29)と比較してわずかであった。
〔実施例(比較例)35−40〕
PETフィルム(12μm)を基材として、その片面にAl、SnO、MgOを蒸着源として電子線加熱方式の真空蒸着法により膜厚400Åの第1層を形成し、さらにこの第1層上に塗液No.4を用いてをバーコーターにより塗布し乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、膜厚約0.1μmの第2層を形成し積層体を得た。なお、比較例として第2層を形成しなかったものについても同様の測定評価した。その結果を(表4)に示す。
Figure 2010125814
測定の結果から、Al、SnO、MgOからなる第1層上に形成される第2層によってガスバリア性の著しい向上を示すことから、本発明の構成からなる積層体の効果は明らかである。
〔実施例(比較例)41−44〕
PETフィルム(フィルム厚12μm)を基材として、実施例1および4と同様に、その片面にSiO、Alを蒸着源として電子線加熱方式の真空蒸着法により、膜厚400Åの第1層を形成し、第1層上に塗液No.4を用いてをバーコーターにより塗布し乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、膜厚約0.1μmの第2層を形成し積層体を得た。さらにポリオール−イソシアネート系接着剤によりCCPフィルム(フィルム厚60μm)を接着しラミネートフィルムを作製しガスバリア性積層物を得た。この積層物を用いて、200mm×150mmのパウチを作製し、内容物として水200ccを封入した。これをレトルト処理(120℃−20min)し、処理前後の酸素透過度の測定及びラミネート強度の評価を行った。なお比較例として第2層を形成しない積層物も同様に測定評価した。その結果を(表5)に示す。
Figure 2010125814
測定の結果から、第1層上に第2層を形成した本発明のガスバリア性積層体は、レトルト処理によるガスバリア性の低下及び接着強度の劣化が抑制される様子が確認できた。
〔実施例45〕
PETフィルム(フィルム厚12μm)を基材として、その片面にSiOを蒸着源として電子線加熱方式の真空蒸着法により、膜厚400Åの第1層を形成し、第1層上に塗液No.4を用いてをバーコーターにより塗布し乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、膜厚約0.1μmの第2層を形成し、さらに第2層上に電子線加熱方式の真空蒸着法により、膜厚400Åの第1層を形成し積層体を作製した。得られた積層体の酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。その結果を(表6)に示す。
Figure 2010125814
〔実施例46〕
基材をポリ乳酸からなる厚さ12μmのフィルムに変え、その片面にSiOを蒸着源として電子線加熱方式の真空蒸着法により、膜厚400Åの第1層を形成し、第1層上に塗液No.4を用いてバーコーターにより塗布し乾燥機で120℃、1分間乾燥させ、膜厚約0.1μmの第2層を形成し積層体を得た。得られた積層体の酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。その結果を(表7)に示す。
Figure 2010125814
坪量310g/mコートボール(王子製紙製 商品名UFコート)を基材として、その片面に塗液No.1を用いてバーコーターにより塗布し乾燥機で120℃、1分間乾燥させ目止め層を形成した。更に、さらに、ヘキサメチルジシロキサン(以下HMDSOと略す)をモノマーとして、酸素との混合雰囲気にて、目止め層の上にプラズマ重合により膜厚300Åのシリカ系の第1層を設け、この積層体にさらにNo.4のコーティング剤を塗布し、積層体を作製した。得られた積層体の酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。その結果を(表8)に示す。
Figure 2010125814
図1は本発明の積層体の断面模式図である。
符号の説明
1 積層体
11 第1層
12 第2層
13 基材

Claims (13)

  1. 高分子組成物からなる基材の少なくとも一方の面に、
    無機化合物からなる第1層と、
    短方向の繊維幅が380nm以下のセルロースファイバーを含む第2層と
    を備えることを特徴とする積層体。
  2. 前記セルロースファイバーの短方向の繊維幅が50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記基材側から順に、前記第1層、前記第2層を順に備え、且つ、第1層上に第2層が直接設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層体。
  4. 前記第2層の両側に無機化合物からなる第1層が設けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記セルロースファイバーが、結晶化度が50%以上であり、且つ、セルロースIの結晶構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記第2層に含まれるセルロースファイバーがカルボニル基を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記セルロースファイバーのカルボニル量が0.06mmol/g以上3.75mmol/g以下の範囲内であることを特徴とする請求項6記載の積層体。
  8. 前記積層体のヘイズが5%以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の積層体。
  9. 前記第2層が、金属アルコキシド、塩化錫、無機層状鉱物のうちいずれか1を含むことを特徴とする請求項8記載の積層体。
  10. 前記金属アルコキシドがテトラエトキシシラン又はトリイソプロポキシアルミニウムあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項9記載の積層体。
  11. 前記第1層を構成する無機化合物が、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化ケイ素のいずれかから選択されることを特徴とする請求項1乃至10に記載の積層体。
  12. 前記高分子組成物からなる基材が天然材料を含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の積層体。
  13. 前記天然材料がポリ乳酸、ヒドロキシアルカノエート、バイオポリオレフィン、セルロース、紙から選択されることを特徴とする請求項12記載の積層体。
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