JP2010121630A - エンジンシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体から生成された水素リッチガスを燃料
の一つとして、エンジンを駆動するシステムにおいて、媒体から効率よく水素リッチガス
を生成可能なエンジンシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体を搭載し、前記媒体から水素リッ
チガスを生成または貯蔵を行う水素供給装置を備え、前記水素リッチガスを燃料の一つと
して、エンジンを駆動するエンジンシステムにおいて、エンジンの運転状態を検出する検
出部と、前記検出部の検出結果に応じて、前記水素供給装置へ供給する前記媒体の供給量
を制御する媒体供給量制御手段とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体を搭載した水素エンジンシステムに関するものである。
従来の水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体から生成された水素リッチガスを燃料の一つとして、エンジンを駆動するシステムとして、例えば、特許文献1に記載されているように、上記媒体から生成された水素リッチガスのほかに、上記媒体もエンジンに供給が可能であり、それら双方を独立にエンジンに供給可能な水素利用内燃機関が開示されている。
特開2005−147124号公報
水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体から生成された水素リッチガスを燃料の一つとし、水素リッチガス単独あるいは複数種の燃料によりエンジンを駆動するエンジンシステムでは、媒体から生成された水素リッチガスをバッファタンクに貯蔵しておき、バッファタンクに貯蔵されている水素リッチガスをエンジンへ供給することでエンジンを駆動する。安定したエンジン駆動のためには、水素リッチガスが不足しないようにバッファタンクの容量を大きくすればよい。しかしながら、エンジンシステムの小型,軽量化のためにはバッファタンクの小型化が望まれる。バッファタンクの小型化のためには、媒体から水素を必要なときに、効率よく生成することが重要である。媒体から生成される水素リッチガスの量は、触媒への媒体供給量と触媒材料の温度によって変化する。この触媒温度は、エンジンの運転状態,媒体から水素を生成する際の反応量や触媒の劣化状態等により変動するため、生成される水素リッチガスの量もそれに応じて変動することになる。これに伴い、必要量の水素リッチガスが生成されない状態が発生し、エンジンの要求出力に対して、リニアな応答が困難となる。従って、エンジンシステムを高効率に運転をするためには、エンジンの運転状態に応じて、触媒への媒体供給量と触媒材料の温度を考慮した制御を行うことが必要である。また、この問題は複数種類の燃料を切り分けて用いる場合でも同様であり、エンジンの要求される出力特性等に応じて燃料形態を選択することが望ましく、媒体から効率よく水素リッチガスを生成することが重要である。
また、水素リッチガス及び媒体を燃料として用いる場合には、燃焼効率や排気性能を考慮した制御を行うことが必要である。
特許文献1に記載のシステムでは、この点について十分な検討がなされていなかった。
本発明では、水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体生成された水素リッチガスを燃料の一つとしてエンジンを駆動するエンジンシステムにおいて、燃焼効率,排気性能に優れたエンジンシステムを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、媒体から効率よく水素リッチガスを生成可能なエンジンシステムを提供することを目的とする。
上記、課題を解決するための第一の手段として、水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体を搭載し、前記媒体から水素リッチガスを生成または貯蔵を行う水素供給装置を備え、前記水素リッチガスを燃料の一つとして、エンジンを駆動するエンジンシステムにおいて、水素リッチガスを燃料としてエンジンに供給する水素リッチガス供給装置と、前記媒体を含む成分をシリンダ内に直接供給する媒体燃料供給装置と、前記水素リッチガスをエンジンに供給した後、ピストン圧縮期間に前記媒体を含む成分をシリンダ内に供給し、自己着火燃焼させる燃料供給時期制御手段とを有するエンジンシステムを特徴とする。
また、第二の手段として、エンジンの運転状態を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に応じて、前記水素供給装置へ供給する前記媒体の供給量を制御する媒体供給量制御手段とを有することを特徴とする。ここで、エンジンの運転状態は、エンジン推定トルク及びエンジン回転数により判断することが可能である。
また、第三の手段として、水素供給装置内の触媒温度を推定する触媒温度推定手段と、前記触媒温度推定手段により推定された触媒温度に基づき、
前記水素供給装置へ供給する前記媒体の供給量を制御する媒体供給量制御手段、または 前記水素供給装置へ供給する熱供給量を制御する熱供給量制御手段、
の少なくともいずれか一つを有するエンジンシステムであることを特徴とする。
第三の手段によれば、触媒温度に基づき、水素供給装置へ供給する媒体の供給量、または、水素供給装置へ供給する熱供給量のいずれかを制御することにより触媒温度を調整することが可能となる。これにより、エンジンが駆動されている状態において、触媒温度を水素リッチガス生成のために有効な温度範囲に制御することができるため、効率的に媒体から水素を生成することができる。
また、第四の手段として、水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体から水素リッチガスを生成する水素供給装置と、排ガスを浄化するための三元触媒とを備え、前記水素リッチガス及び前記媒体を燃料の一つとして、エンジンを駆動するエンジンシステムにおいて、
エンジンへ供給する前記媒体と前記水素リッチガスの供給量割合に応じて、
エンジンに備えた点火プラグによる点火時期を制御する点火時期制御手段と、
エンジンに供給する燃料の空気過剰率を制御する空気過剰率制御手段とを有し、
前記空気過剰率制御手段により、空気過剰率を0.95〜1.05または1.8〜5.0の範囲に制御することを特徴とする。
また、第五の手段として、エンジンの排気管に前記水素供給装置とエンジンの排ガスを浄化するための浄化触媒とが備えられ、前記水素供給装置よりもエンジン側に前記浄化触媒が設置されている、もしくは、前記水素供給装置と前記浄化触媒が一体化されているエンジンシステムを特徴とする。
本発明により、水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体を搭載したエンジンシステムにおいて、燃焼効率,排気性能に優れたエンジンシステムを提供することができる。
水素供給装置を排気管に装着したエンジンシステムの概略図。 水素供給装置の構成図。 エンジンの運転域と供給燃料の関係図。 触媒温度と転化率の関係図。 水素供給装置へ水素化媒体供給量と転化率の関係図。 水素供給装置の触媒温度変化に伴う制御フロー図。 水素供給装置への熱供給量を制御する各手法。 水素リッチガスの貯蔵量変化に伴う制御フロー図。 水素供給装置内の触媒劣化を判定する図。 燃料切替え時に行う空燃比,点火時期制御図。 水素リッチガス燃焼時の空気過剰率とNOx排出量の関係図。 三元触媒の浄化率と空気過剰率の関係図。 エンジンが始動から三元触媒活性化するまでの触媒温度変化図。 水素供給装置を排気管に装着したエンジンシステムで圧縮着火燃焼タイプのシステム概略図。 水素濃度と点火時期の関係図。
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。
図1は、水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体を脱水素反応するための水素供給装置12をエンジンの排気管18に設置して、エンジン1から排出される排ガス熱の利用が可能なシステムである。水素供給装置12に供給される排ガス量は、排ガス量調整バルブ15を用いて調整可能となっている。また、水素供給装置12の上流側,下流側、および水素供給装置12内には、温度検出手段14,19,31がそれぞれ設置されている。水素供給装置12には、水素化媒体供給装置11により、水素化媒体を供給している。
上記媒体とは、ガソリン,軽油,灯油,重油,デカリン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,ナフタレン,ベンゼン,トルエンなどの炭化水素系燃料およびその混合燃料や、過酸化水素,アンモニア,窒素,酸素など、水素を化学的に貯蔵・放出することが可能なものすべてのものを示す。中でも、水素を化学的に貯蔵している媒体は水素化媒体、水素を化学的に放出した後の媒体は脱水素化媒体と呼ぶことにする。水素化媒体および脱水素化媒体は、それぞれタンク10,28内に貯蔵されている。これらのタンクは、一体構造になっていてもよい。水素化媒体は、ポンプ24の圧力により配管32を通して媒体供給装置(インジェクタ)11から水素供給装置12に供給できる構成となっている。また、水素化媒体および脱水素化媒体は、ポンプ25の圧力により配管33を通して水素化媒体供給装置(インジェクタ)3からエンジン1に供給することが可能な構成になっている。また、エンジン1に供給する水素化媒体,脱水素化媒体は、切替バルブ9を用いて切替えが可能となっている。
水素供給装置12で生成された水素リッチガスと脱水素化媒体の混合体は、配管35を通して分離装置8へ運ばれ、分離装置8により水素リッチガスと脱水素化燃料に分離される。その後、水素リッチガスは、吸引,圧縮装置7を通して水素リッチガス貯蔵装置26に貯蔵され、水素リッチガス供給装置(インジェクタ)2からエンジン1へ供給される。一方、脱水素化媒体は、脱水素化媒体用タンク28内に貯蔵される。また、分離装置8とエンジン1との間に配置された水素リッチガス貯蔵装置26内には、水素圧力センサー5と水素濃度センサー6が設置されている。また、水素リッチガス貯蔵装置26と水素リッチガス供給装置(インジェクタ)2との間には、水素リッチガス供給圧力を所望圧に制御するためのレギュレータ29が設けられている。また、吸引,圧縮装置7からの水素供給圧が過大とならないようにリリーフバルブ30の開閉により水素供給圧を調整することが可能である。エンジン1の吸気管27には、吸入空気量を調整するスロットルバルブ4が設置されており、排気管18には、浄化触媒13の上流,下流に酸素センサー17,34が設置されている。上記、酸素センサー17は、空燃比センサーでもよい。エンジン1の吸気バルブ22,排気バルブ20は、開閉タイミング,リフト量を可変制御できる構造のものでもよい。
本システムにおいて、温度検出手段14,19,31,媒体供給装置(インジェクタ)3,11,水素リッチガス供給装置(インジェクタ)2,水素圧力センサー5と水素濃度センサー6,スロットルバルブ4,O2センサー17,34、吸気バルブ22、排気バルブ20、点火プラグ21、及び、排ガス量調整バルブ15等は制御装置(ECU)23と電気的に接続され、制御装置23により制御される。
次に、図1で示した水素供給装置12の構成について図2を用いて説明する。水素供給装置12の構成は、図2に記載のように、流路突起39が設けられた純アルミニウム(熱伝導率:250W/mK)高熱伝導基板40の上に、Pt/アルミナ触媒からなる触媒層42が形成されている。この触媒層42の上に水素のみを選択的に透過する水素分離膜38が積層され、スペーサ37を介して水素流路36が積層された構造を基本構造とし、エンジン排気管に設置される。
水素供給装置12へ供給される媒体は、燃料流路41を通り、高熱伝導基板40の表面上に形成された触媒層42と接触しながら脱水素反応が進行し、水素リッチガスが生成する。生成された水素リッチガスは、水素分離膜38を透過し、スペーサ37を介して、水素流路36より水素供給装置12から排出される。また、水素分離膜38を透過しなかった水素リッチガスと脱水素化媒体は、燃料流路41を通って水素供給装置12より水素供給装置12の外に排出される。ここで排出された水素リッチガスと脱水素化媒体は、水素流路36より排出された水素リッチガスと合流し、混合され、図1の分離装置8に供給される。なお、水素流路36より排出される水素リッチガスと、燃料流路41より排出される水素リッチガスと脱水素化媒体とを混合せず、別個の配管により、水素リッチガスを水素リッチガス貯蔵装置26へ供給し、水素リッチガスと脱水素化媒体を分離装置8に供給する構成としてもよい。また、図2では、媒体からの脱水素化反応を低温で効率よく行うために水素分離膜38を設ける構成としたが、水素分離膜38がない構成とすることも可能である。また、図2に示した基本構造を積層して配置してもよい。
水素化媒体の水素供給装置12への供給量は、エンジンの運転状態によって決められたエンジンへの要求水素量に依存する。図3に基づき、エンジン運転状態における水素リッチガスと媒体の供給方法について説明する。領域1の低負荷運転領域においては、排ガス温度が比較的低いために、水素供給装置12に供給される排ガスからの熱量が小さくなる。そのため、水素リッチガスのみでエンジンを駆動するために必要な水素リッチガス量を水素供給装置12で生成することが困難となる。そのため、媒体と水素リッチガスの両方をエンジンに供給する。また、領域3の高負荷運転領域においては、水素リッチガスのみをエンジンに供給する場合、エンジン内の燃焼に伴う圧力上昇が急激になるという問題がある。そのため、この運転領域においても、水素リッチガスと媒体の両方をエンジン1に供給することが望ましい。このとき、EGR制御により、急激な圧力上昇を抑制してもよい。また、媒体をエンジンに供給する代わりに、モータによるトルクアシストを行ってもよい。領域1,領域3に対し、その中間領域となる領域2の中負荷運転領域では水素リッチガスのみでエンジンを駆動することが可能である。以上のように、エンジンの運転状態に応じて、水素リッチガスの供給量が決まり、それに伴い、水素供給装置12へ供給する水素化媒体の供給量が決まる。このように各運転域でエンジン1へ供給する燃料を制御することで、広い運転域でシステムが成立する。
エンジンに供給する媒体は、脱水素化媒体が望ましい。この理由は、水素供給装置12により生成された脱水素化媒体と水素リッチガスの合計発熱量は、水素供給装置12に供給された水素化媒体の発熱量に比べて高いためである。例えば、水素化媒体であるシクロヘキサンから水素と脱水素化媒体であるベンゼンを生成する反応においては、5.6%発熱量が向上する。このことで、トータル効率が上昇し、CO2削減、ユーザにとっては燃費が良くなるという効果がある。
上述のように、各運転領域に応じて、エンジン1へ供給する燃料が決定され、必要な水素リッチガスの量が決定される。この際、エンジン推定トルク及びエンジン回転数を検出することで必要な水素リッチガスの量を判定することが好ましい。ここで、エンジン推定トルクは、ストイキ運転(空気過剰率=1)の際は、スロットル開度または吸入空気量とエンジン回転数から推定する。リーン運転時は、スロットル開度または吸入空気量とエンジン回転数に加え、燃料供給量によって推定する。また、これらのほかに、エンジン筒内の燃焼圧力や、軸トルクを測定して、トルクを決定してもよい。なお、吸入空気量は、エアーフローセンサ等により測定される。EGR(Exhaust Gas Recirculation :排気再循環)を行うときは、EGRバルブ開度もトルク推定に考慮する。また、吸入空気量を吸気バルブの開期間、リフト量で制御する際は、それらを考慮して、トルクを推定してもよい。以下、エンジンの運転状態に応じた制御方法について説明する。
エンジンの運転状態、つまりエンジン推定トルク及びエンジン回転数により、エンジンに必要な水素リッチガスの量が決まる。それに基づき、水素供給装置12へ供給する水素化媒体の量が決まる。これは、水素供給装置12から生成される水素リッチガスの量は、水素供給装置12へ供給する水素化媒体の供給量に依存することに起因する。水素化媒体の供給量は、水素化媒体供給装置11により、パルス制御でコントロールされる。このとき、パルス幅と、パルス周波数を制御することで、水素化媒体の供給量を制御する。水素供給装置12へ供給する水素化媒体の供給時期から水素リッチガスの生成時期までは、10ms以下の応答速度であるため、このような制御を用いると、水素リッチガス貯蔵装置26の小型化または、水素リッチガス貯蔵装置26を不要にすることが可能となり、システム全体として小型化が図れるという効果がある。
次に、水素化媒体から水素を生成する際の特性の一つとして、図4のようなものがある。これは、水素化媒体から水素への転化率が、水素供給装置12内の触媒温度に大きく依存していることを示す図である。上記触媒温度が所定温度以上になると、転化率が100%近くになる。つまり、水素化媒体から水素を効率的に取り出すには、触媒の温度を所定温度以上にする必要がある。また、水素供給装置12内の触媒温度が高すぎると触媒劣化や材料の損傷,水素化媒体の炭化などの問題がある。つまり、水素化媒体から水素を生成する際の水素供給装置12内の触媒温度は、常に所定温度範囲内にあることが、水素を効率よく生成するためには重要となる。
水素供給装置12内の触媒温度は、水素供給装置12への熱供給量と、水素化媒体から水素を生成するための反応熱量に依存する。水素供給装置12への熱供給量に比例して、水素供給装置12内の触媒温度は上昇し、逆に水素化媒体から水素を生成する反応が吸熱反応の場合、反応熱量に応じて、上記触媒温度は低下する。例えば、水素化媒体にメチルシクロヘキサンを使用する場合、1molの水素を生成するために、常温,常圧下で、約70kJの吸熱量が必要となる。図5に、水素供給装置12への熱供給量が一定の場合の、水素供給装置12への水素化媒体供給量と水素化媒体から水素を生成する転化率の関係を示す。水素供給装置12への水素化媒体供給量が増加すると水素化媒体から水素への転化率は低下することが分かる。これは、水素供給装置12への媒体供給量の増加に伴い、水素生成時の反応熱量が増加し、触媒温度が低下することが主な原因である。つまり、触媒温度を所定の温度範囲にするためには、水素供給装置12への熱供給量と水素を生成するための反応量を決める水素供給装置12への水素化媒体供給量の制御が重要となる。
次に、触媒温度の推定手法について説明する。図1に記載の温度検出手段31を用いて触媒温度を直接計測する方法、または、水素供給装置12内の触媒付近の温度を計測し予測する方法がある。また、温度検出手段14,19により計測された水素供給装置12の上流側,下流側におけるそれぞれのエンジン排ガス温度,エンジン運転条件(エンジン回転数,エンジントルク,吸入空気量,スロットル開度,燃料流量など)より算出された水素供給装置12内への熱伝達率と、水素供給装置12へ供給する水素化媒体供給量から触媒温度を推測する方法がある。水素供給装置12内の触媒温度推定手段について説明する。触媒温度は、以下の関数となっている。
T=f(Q1,λ1,α,t,A,T1)
T:水素供給装置12内の触媒温度、Q1:水素リッチガス生成時の反応熱、λ1:水素供給装置12内における部材の熱伝導率、α:排ガスから水素供給装置12への熱伝達率、t:排ガス接触部から触媒表面までの厚み、A:排ガス接触面積、T1:排ガス温度
上記λ1,t,Aは、水素供給装置12の構造に依存する。Q1は、水素リッチガス生成時の反応熱であり、水素供給装置12へ供給する水素化媒体供給量に依存する。排ガス温度T1は、水素供給装置12内を通過する排ガスの平均温度であるため、温度検出手段14,19の平均値とする。計測されたT1と、エンジンの運転状態より推測された排ガス成分および排ガス流量から、レイノルズ数,プラントル数,排ガスの熱伝導率が算出され、αが決定する。つまり、エンジン運転状態,排ガス温度,水素供給装置12への水素化媒体供給量が決まれば、Tが推定可能となる。
上述の触媒温度の推定手法を用いて、水素供給装置12内の触媒温度を計測または推定し、それをもとに触媒温度を所定の温度範囲内に制御するシステムフロー図を図6に示す。S501にて、計測または推定された水素供給装置12内の触媒温度Tが所定範囲内であるか調べる。このとき、所定範囲外の場合、S502で触媒温度Tが所定範囲よりも高いか判定する。このS501,S502の処理は、例えば温度検出手段14,19,31等により検出された温度に基づき、制御装置23で触媒温度Tが決定され、所定の温度範囲内であるか否か判定される。ここで、媒体にメチルシクロヘキサン等の有機ハイドライドを用いた場合には、触媒温度は250〜400℃を所定の温度範囲とすることが好ましい。もし、S502で所定の温度範囲よりも高い場合、S503で水素供給装置12への水素化媒体供給量の増加が可能であるか判定する。この判定手段は、たとえば図1の水素リッチガス貯蔵装置26の貯蔵量によって判定する。水素リッチガス貯蔵装置26の貯蔵量は、水素圧力センサー5や水素濃度センサー6により検出することが可能であり、この検出結果により制御装置23で貯蔵量が判定される。S503で水素化媒体供給量の増加が可能であれば、S504にて、媒体供給装置11からの水素供給装置12への水素化媒体供給量を増加させる。これにより、水素生成時の吸熱反応量が増加することで、触媒温度が低減する。一方、S503で水素化媒体供給量の増加が不可と判定された場合は、S505にて水素供給装置12への熱供給量を低減させる。水素供給装置12へ供給する熱供給量を制御する方法としては、図7に示すように、たとえば、(1)排ガス量調整バルブ15を使ってエンジン1から水素供給装置12へ供給される排ガス流量を減少する方法、(2)エンジン1内の点火プラグ21による点火時期を早くする方法、(3)排気バルブ20の開時期を遅くする方法がある。(2),(3)の制御方法では、エンジンシステムとして新たに補器を設けることなく制御することができるため、システムを簡素化することが可能である。また、(2),(3)の制御方法に対し、(1)の制御方法では、例えば、配管を分岐させて水素供給装置に供給される排ガス流量を調整すれば良いため、エンジンに影響を与えず触媒温度を制御することができる。また、その他の制御方法として、(4)水素供給装置12に設置されたバーナ等の燃焼器を使って燃焼する水素リッチガスまたは媒体の燃焼量を減少する方法、または、(5)自動車に搭載されたインバータ等の熱源より発生した熱の水素供給装置12への供給量を低減する方法がある。その他、(6)水素供給装置12に設置されたヒータの供給電力を減少する方法も考えられる。(4)〜(6)の制御方法も(1)と同様にエンジンに影響を与えず触媒温度を制御することができる。これらの方法のいずれか一つ、あるいは複数を行うことで触媒温度を低下させることができる。
一方、S502で水素供給装置12の触媒温度が所定以下と判定された場合、S506で水素供給装置12への熱供給量の増加が可能かどうか判定する。熱供給量の増加が可能の場合には、上記と同様に、図7に示した方法により、熱供給量を増加させる。S506で熱供給量の増加が不可の場合、たとえば、ユーザからエンジンが高トルクを要求されている場合は、点火プラグ21により点火時期を遅くすることや、排気バルブ20の開時期を早くすることは難しい。また媒体や水素リッチガスの貯蔵量が少ないときは、バーナ等を用いた燃焼ガスによる熱供給の増加も困難である。また、バッテリー残量が少ないときは、ヒータによる加熱量を増加することが困難である。そういったときは、S508で水素供給装置12へ供給する水素化媒体供給量を低減し、水素発生時の吸熱量を低下させることで、触媒温度が上昇する。このとき、水素リッチガス貯蔵量が低下するため、S509でエンジンへ供給する水素リッチガス量に対する媒体量を増加させる。
またそれに伴いS510で記載のように点火時期も進角化する。これは、水素の燃焼速度が媒体の燃焼速度に比べ、早いことに起因する。また、燃焼を安定化させるために、スロットルバルブ4の開度を調整し、燃料と空気の割合を制御してもよい。また、このとき、燃料の噴射時期を制御してもよい。
次に、水素リッチガスの貯蔵量に関係した制御内容について図8を用いて説明する。S701で、図1の水素リッチガス貯蔵装置26内の水素リッチガスの貯蔵量を水素圧力センサー5や水素濃度センサー6により検出して、その値から、制御装置23で所定貯蔵量であるかを判定する。このとき、例えば、エンジン1へ供給する水素リッチガスの圧力P1は、一定であることが望ましいので、水素リッチガス貯蔵装置26内の圧力P2をP1よりも高い圧力にする必要がある。また逆に水素リッチガス貯蔵装置26内の圧力が所定以上になると、貯蔵装置の破損,漏れあるいは、エンジン1へ供給する水素リッチガスの圧力P1の調整が困難になるという問題がある。S701で水素リッチガスの貯蔵量が所定範囲外の場合、S702で所定範囲以上であるか否かを判定する。所定範囲以上の場合は、水素供給装置12への水素化媒体供給量を低減し、水素リッチガス生成量を低減する。逆にS702で水素リッチガスが所定範囲以下の場合は、S704で水素供給装置12への水素化媒体供給量を増加する。S705でエンジンへ供給する水素リッチガスの供給量を低減し、S706でエンジンへ供給する媒体の供給量を増加させる。そのとき、エンジンの燃焼を制御するため点火プラグ21による点火時期を進角化制御する。ただし、このとき、水素供給装置12の触媒温度が所定以下の場合は、S704で水素供給装置12への水素化媒体供給量は増加させずに、S705にてエンジンへの水素リッチガスの供給を禁止する。
次に、水素供給装置12内の触媒が劣化することを想定し、その劣化状態を推定する手段について説明する。水素供給装置12への熱供給量が一定のもと、(たとえばエンジン1の回転数、トルクが一定)、かつ、水素供給装置12への水素化媒体供給量が一定のもと、水素供給装置12の上流側の温度検出手段14および下流側の温度検出手段19により検出された排ガス温度の温度差を算出する。図9に示すように、上記条件のもとでは、水素供給装置12内の触媒が劣化すると、上記温度差が小さくなる。そのため、上記排ガス温度の温度差が所定値以下になると、水素供給装置12内の触媒劣化が起こっていると考えられる。これは、触媒が劣化すると、水素化媒体から水素を生成する反応転化率が低くなるため、反応時の吸熱量が低くなることが原因で、水素供給装置12の前後での排ガス温度差が小さくなる。このことで、劣化状態を判定できる。また、この上記劣化判定手段は、例えばユーザがエンジン1の運転を停止する意思を示したとき、すなわち、制御装置23でエンジン停止信号を受信した場合に、エンジン1をすぐに停止せず、エンジン1を一定回転数,一定トルクで所定時間運転し、温度検出手段14,19により、温度を検出し、判定する。劣化状態が所定以上になるとランプ等によりユーザに警告し、水素供給装置12の交換を促す必要がある。このことで、エンジン1から排出されるCO2排出量の増加を防ぐ効果がある。また、このように劣化状態が判定されると、劣化状態を考慮して、水素供給装置12へ供給する水素化媒体の供給量を増加する必要がある。これにより、ユーザの要求する車の運転性能を損なわずに運転することができる。
以上のように、触媒の劣化状態を推定することで、触媒に劣化が発生しても劣化状態に応じた最適な水素供給制御を行うことができる。
次に、エンジン1に供給する燃料の種類を切替える際の制御手法について説明する。図10に記載のように、エンジン1に供給する燃料の種類に応じて、点火時期、または空気過剰率を制御する必要がある。例えば、エンジンに供給する燃料を、モード1の水素リッチガスからモード2の水素リッチガスと媒体の混合燃料に切替える際、モード1あるいはモード2からモード3の媒体燃料に切替える際には、空気過剰率が低くなるように、スロットルバルブ4または、吸気バルブ22を制御する必要がある。このときEGR量をコントロールしてもよい。点火時期に関しては、MBT(Minimmum Spark Advance forBest Torque)になるように進角化する必要がある。その際、トルク変動がないように、供給する切替え前と切替え後のエンジン1へ供給する燃料のトータル発熱量は、大幅な変化がないように制御する必要がある。水素は、燃焼速度が速く(ガソリンの約8倍)、また、リーンバーンが可能であるため(水素の最大空気過剰率10.5,ガソリンの最大空気過剰率1.4)、エンジン1に供給する燃料中の水素リッチガスの割合が減少するに伴い、点火時期を進角化する、または、空気過剰率を小さくすることにより、高効率運転が可能となる。
次に、排気性能を考慮して運転する方法について説明する。図10のモード1の水素リッチガスのみのときは、図11に示すように空気過剰率が1.8以下のときに、NOxが大量に排出される。そのため、モード1のときは、空気過剰率1.8以上とし、より好ましくは2以上で運転する。また、エンジンの効率を考慮すると空気過剰率の上限は5.0とすることが好ましい。また、モード2,3に関しては、媒体が供給されるため、NOxのほかに、未燃炭化水素やCOが排出される。未燃炭化水素やCOは、浄化触媒13に三元触媒を使用すると浄化されるが、その際、図12に示す浄化特性を考慮して運転する必要がある。つまり、モード2に関しては、水素リッチガスと媒体の両方を供給するので、リーンバーンが可能であるが、図11,図12の特性であるため、空気過剰率が1.2〜1.8の範囲で運転するとNOxが浄化されずに排出される。そのため、モード2で運転する場合は、空気過剰率を0.95〜1.05、好ましくは1.0、もしくは1.8〜5.0で運転するのが望ましい。モード3に関しては、空気過剰率を0.95〜1.05、好ましくは1.0として運転することが望ましい。
空気過剰率の制御は、図11に示すように、スロットル開度を小さくしていくことにより、空気過剰率を低下させることができる。また、エンジンの吸気バルブに可変バルブを搭載している場合には、吸気バルブの開期間またはリフト量を小さくすることで、空気過剰率を低下させることができる。
以上のように、エンジン1へ供給する燃料成分に応じて、空気過剰率を制御することでエンジン1へ供給する燃料成分に依存せずに、高い排気性能が維持できる。
次に、三元触媒13と水素供給装置12の排気管18への取り付け位置について説明する。水素供給装置12は、水素化媒体から水素を生成する際、吸熱反応であるため、水素供給装置12の入口排ガス温度に比べ、出口排ガス温度は、低下する。一方、三元触媒13は、発熱反応のため、三元触媒入口温度にくらべ、出口温度は上昇する。これらの特徴を考えると、水素供給装置12,三元触媒13の双方の反応率を向上させるためには、三元触媒13は、水素供給装置12の上流側(エンジン側)に設置されることが望ましい。また、自動車への搭載性,双方の反応率をより向上させるために、水素供給装置12と三元触媒13が一体化構造であってもよい。水素供給装置12と三元触媒13の一体化構造としては、例えば図2に示す水素供給装置12の高熱伝導基板40の触媒層42とは反対側の面に、三元触媒を配置した構造とすることができる。また、三元触媒と排ガスとの接触面積を大きくするために、三元触媒/高熱伝導基材40/触媒層42/水素分離膜38/スペーサ37/水素流路36/スペーサ37/触媒層42/高熱伝導基材40/三元触媒の順で積層した構造とすることもできる。
以上のように、水素供給装置12と三元触媒13を配置することにより、水素供給の効率化,排ガスの浄化性能の向上を図ることが可能となる。
次に、始動時の運転方法について、浄化触媒13に三元触媒を使ったときを例に説明する。図13に示すように、始動時、三元触媒13が低温で、始動から時間がたつにつれて、三元触媒13の温度が上昇する。三元触媒は、300℃以上で活性化される。そのため、三元触媒13が活性化されるまでは、所定の時間を有する。活性化される前に、炭化水素系の媒体をエンジンに供給すると、三元触媒13は排ガスを浄化しないため、未燃炭化水素や一酸化炭素,NOxなどが排出される。そのため、三元触媒13が活性化温度に到達するまでは、エンジンに供給する炭化水素系の媒体をできるだけ少量にする必要がある。つまり、水素リッチガスを主成分としてエンジン燃焼させ、未燃排気ガスの排出量を低減することが必要となる。上記制御を行うためには、三元触媒13の触媒温度を推定する必要がある。この推定手段は、例えば、エンジン1の水温,エンジン1への吸入空気量,車速から、エンジン1が始動してから三元触媒13に供給される熱量を推定する。さらに、エンジン1が停止した時間からエンジン1の始動までの時間も考慮することで、三元触媒13の温度が推定できる。三元触媒13に温度検出装置を設置して、直接三元触媒の温度を検出してもよい。
また、この制御を行うためには、始動時に水素リッチガスをエンジン1に供給する必要があるため、水素リッチガス貯蔵装置26に、所定量の水素リッチガスを貯蔵する必要がある。一般的にエンジン始動時は、HC,COが多く排出される。とりわけ始動時には、燃料を必要以上に多く噴射しているため、始動直後は、HC,COが大量に排出される。水素リッチガスは、気体燃料であり、かつ希薄燃焼が可能であるため、始動時に水素リッチガスを使用すると、燃料が少量で始動し、かつHC,COを大幅に低減できる。このため、少なくてもエンジン1が始動するために必要な水素リッチガスを水素リッチガス貯蔵装置26に貯蔵することが重要である。望ましくは、三元触媒13が活性化されるまで、水素リッチガスのみでエンジンを運転するために必要な水素リッチガスを水素リッチガス貯蔵装置26に貯蔵する。ユーザがエンジン1を停止する意思を示した際、制御装置23でエンジン停止信号を受信した場合に、水素リッチガス貯蔵装置26内の水素リッチガス貯蔵量が所定量以上か水素圧力センサー5や水素濃度センサー6により検出し判定する。ここで、エンジン1の始動時に必要な水素リッチガスが水素リッチガス貯蔵装置26に貯蔵されていない場合は、エンジン1を停止せずに、水素供給装置12へ水素化媒体を供給して、水素リッチガスを生成する。このとき、エンジン1を停止して、エンジン廃熱以外から水素供給装置12へ熱供給を行い、水素リッチガスを生成してもよい。
このような制御を行うことで、媒体のみをエンジンに供給するときに比べ、エンジン始動時の排気性能が向上することに加え、エンジン始動時の必要燃料量が減少するため、燃費も向上する。
次に、水素供給装置12を使った高効率燃焼手法について説明する。図14にその構成図を示す。図1との構成図の違いは、媒体の供給装置3が、エンジン燃焼室に直接噴射できる構成となっている点である。他の構成については図1と同様の構成であり、同一符号で示してある。本システムでは、水素供給装置12より生成された水素リッチガスが、吸気管27に噴射されることを基本構成としている。また、水素供給装置12より生成された水素リッチガスはエンジン筒内に直接噴射する構成でもよい。本システムは、上記媒体を噴射するよりも早期に水素リッチガスをエンジンに供給し、かつ、ピストン圧縮期間に上記媒体を筒内に直接噴射し、上記媒体を自己着火燃焼させるシステムである。通常の自己圧縮着火燃焼においては、圧縮比が高く、高効率な燃焼が可能であるが、拡散燃焼のため、局所的に過濃な混合気が存在し、燃焼時にすすが生成される。また、燃焼温度が不均一であり、高温部からNOxが生成される。本システムにおいては、媒体を自己圧縮着火燃焼させる前に水素リッチガスをエンジン内に供給しているため、媒体の自己着火燃焼に伴い、水素が引火および自然発火し、媒体の燃焼効率を向上させる特徴がある。これにより、すすの排出低減が可能である。これは、上記媒体に比べ、水素は可燃範囲が広く、かつ燃焼速度が高いため、上記媒体の燃焼を促進させることに起因する。また、これに伴い、EGR限界も広がり、燃焼温度も低くなり、NOx排出量の低減も可能となる。上記のような燃焼方式を行うには、媒体にデカリンのような水素生成量が多くかつ自己着火性の高いものが望ましい。
次に、水素供給装置12から生成された水素リッチガス及び脱水素化媒体を分離装置8で分離した後の水素リッチガスの濃度が、運転状態に応じて変化する際に、その変化を考慮した運転方法について説明する。水素リッチガス貯蔵装置26内に水素濃度センサー6を設置して、エンジンに供給する水素濃度を検知する。このように水素濃度を検知および推定することで、点火時期等のエンジン制御も、必要に応じて、変更する必要がある。例えば図15に記載のように、水素濃度が高くなると、最適点火時期は、遅くする必要がある。これは、水素の燃焼速度が、ガソリン等の炭化水素燃料に比べ、7〜8倍であるため、水素濃度が高くなるに従い、最適点火時期は、遅くなるためである。したがって、水素濃度を検知および推定し、それに応じて、点火時期のタイミングを制御することにより、低排気,高効率な燃焼が可能となる。
1…エンジン、2…水素リッチガス供給装置、3…媒体供給装置、4…スロットルバルブ、5…水素圧力センサー、6…水素濃度センサー、7…吸引,圧縮装置、8…気液分離装置、9…切替バルブ、10,28…タンク、11…水素化媒体供給装置、12…水素供給装置、13…浄化触媒、14,19,31…温度検出手段、15…排ガス量調整バルブ、17,34…酸素センサー、18…排気管、20…排気バルブ、21…点火プラグ、
22…吸気バルブ、23…ECU、24,25…ポンプ、26…水素リッチガス貯蔵装置、27…吸気管、29…レギュレータ、30…リリーフバルブ。

Claims (5)

  1. 水素の貯蔵と放出を化学的に繰り返す媒体を搭載し、前記媒体から水素リッチガスを生成または貯蔵を行う水素供給装置を備え、前記水素リッチガスを燃料の一つとして、エンジンを駆動するシステムにおいて、
    前記水素リッチガスを燃料としてエンジンに供給する水素リッチガス供給装置と、前記媒体を含む成分をシリンダ内に直接供給する媒体燃料供給装置と、前記水素リッチガスをエンジンに供給した後、ピストン圧縮期間に前記媒体を含む成分をシリンダ内に供給し、自己着火燃焼させる燃料供給時期制御手段とを有することを特徴とするエンジンシステム。
  2. 請求項1に記載のエンジンシステムにおいて、
    エンジンの運転状態を検出する検出手段と、前記検出部の検出結果に応じて、前記水素供給装置へ供給する前記媒体の供給量を制御する媒体供給量制御手段を有することを特徴とするエンジンシステム。
  3. 請求項1に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記水素供給装置内の触媒温度を推定する触媒温度推定手段と、前記触媒温度推定手段により推定された触媒温度に基づき、
    前記水素供給装置へ供給する前記媒体の供給量を制御する媒体供給量制御手段、
    前記水素供給装置へ供給する熱供給量を制御する熱供給量制御手段、
    の少なくともいずれか一つを有することを特徴とするエンジンシステム。
  4. 請求項1に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記水素供給装置がエンジンの排気管に設置され、前記水素供給装置の排ガス上流側に設置された温度検出装置と、前記水素供給装置の排ガス下流側に設置された温度検出装置と、
    前記排ガス上流側及び下流側の温度検出装置により検出された温度の差により、前記水素供給装置内における触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判断手段とを有することを特徴とするエンジンシステム。
  5. 請求項1に記載のエンジンシステムにおいて、
    エンジンの排気管に前記水素供給装置とエンジンの排ガスを浄化するための浄化触媒とが備えられ、前記水素供給装置よりもエンジン側に前記浄化触媒が設置されている、もしくは、前記水素供給装置と前記浄化触媒が一体化されていることを特徴とするエンジンシステム。
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