JP2010120823A - 着色ガラス複合体およびその製造方法 - Google Patents

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哲生 岸
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亜美 柿崎
Yuji Ohara
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Abstract

【課題】 低い製造コストで長期間にわたって優れた耐熱性、耐候性、防塵性、防曇性および機械的強度が発揮される着色ガラス複合体およびその製造方法の提供。
【解決手段】 着色ガラス複合体は、強化ガラス基板の表面に着色ガラス膜が形成されてなるものであって、前記着色ガラス膜が、ガラス網目形成成分と、酸化ナトリウム(Na2 O)を必須成分とするアルカリ金属酸化物成分15〜30mol%と、酸化亜鉛(ZnO)および必要に応じて含有される酸化カルシウム(CaO)の合計5〜20mol%とよりなる低融点ガラス中に、遷移金属化合物よりなる着色成分が含有されてなるものであることを特徴とする。この着色ガラス複合体においては、前記低融点ガラス中に酸化カルシウム(CaO)が5〜15mol%含有されていることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば照明用ガラスや、農園芸用施設などの内部に形成される植物育成空間の光条件を、当該植物成長促進材料を介して植物育成空間内に自然光あるいは人工光を導入することによって調整するための植物成長促進用透光性材料または植物成長抑制用透光性材料として用いられる着色ガラス複合体およびその製造方法に関する。
着色ガラスは、例えば照明用ガラスや、農園芸用施設などの内部に形成される植物育成空間の光条件を、当該植物成長促進材料を介して植物育成空間内に自然光あるいは人工光を導入することによって調整するための植物成長促進用透光性材料または植物成長抑制用透光性材料として用いられる。
従来、植物が光形態形成反応に基づいて、照射される光の波長分布によって成長の程度が変化するという特性を利用し、植物に対して波長660nm付近の領域の光と波長730nm付近の領域の光をそれらの強度比を調整して照射することにより、例えば伸長成長を促進または抑制することによってその成長後の形態を制御することが可能であることが知られている。
具体的には、波長領域600〜700nmの赤色光の光強度に比して波長領域700〜800nmの近赤外光の光強度が大きい光条件の環境下においては植物の伸長成長が促進され、一方、近赤外光の光強度に比して赤色光の光強度が大きい光条件の環境下においては植物の伸長成長が抑制されることが確認されている(例えば、非特許文献1参照。)。
このような光形態形成反応を制御する方法としては、例えばLEDよりなる人工光源から放射される光を植物に対して照射することが検討されているが、人工光源を用いた場合には、多大な設備費および電力費などの運転費用が必要である、という問題がある。
而して、光形態形成反応を制御する方法としては、人工光源を用いることなく自然光を利用する手法、具体的には、色素によって着色された高分子フィルムよりなる、特定の波長領域の光を高い透過率で透過する波長選択透過性を有する植物成長制御用被覆材料を用い、この植物成長制御用被覆材料を介して自然光を照射する手法が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
しかしながら、このような植物成長制御用被覆材料は、例えばガラス室を構成するガラス壁に貼付することにより農園芸用施設の構成部材として、外気や太陽光に直接さらされる厳しい環境下で用いられることとなるが、当該植物成長制御用被覆材料が有機高分子材料を基材とするものであって十分な耐久性を有するものではないため、結局、十分な耐候性、耐紫外線性などが得られない、という問題がある。また、使用済みの高分子フィルムの処理にかかる環境負荷が少なくない、という問題もある。
「生物環境調節」第30巻、第4号、135〜141頁、1992年 特開平8−317735号公報 特開2000−14255号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、長期間にわたって優れた耐熱性、耐候性、防塵性、防曇性および機械的強度が発揮される着色ガラス複合体を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、低い製造コストで長期間にわたって優れた耐熱性、耐候性、防塵性、防曇性および機械的強度が発揮される着色ガラス複合体が得られる着色ガラス複合体の製造方法を提供することにある。
本発明の着色ガラス複合体は、強化ガラスよりなる強化ガラス基板の表面に着色ガラス膜が形成されてなる着色ガラス複合体であって、
前記着色ガラス膜が、ガラス網目形成成分と、酸化ナトリウム(Na2 O)を必須成分とするアルカリ金属酸化物成分15〜30mol%と、酸化亜鉛(ZnO)および必要に応じて含有される酸化カルシウム(CaO)の合計5〜20mol%とよりなる低融点ガラス中に、遷移金属化合物よりなる着色成分が含有されてなるものであることを特徴とする。
この着色ガラス複合体においては、前記低融点ガラス中に酸化カルシウム(CaO)が5〜15mol%含有されていることが好ましい。
本発明の着色ガラス複合体の製造方法は、ガラス網目形成成分と、酸化ナトリウム(Na2 O)を必須成分とするアルカリ金属酸化物成分15〜30mol%と、酸化亜鉛(ZnO)および必要に応じて含有される酸化カルシウム(CaO)の合計5〜20mol%とよりなる低融点ガラス中に、遷移金属化合物よりなる着色成分が含有されてなる着色ガラスフリットを、熱強化処理を経ることにより強化ガラスよりなるものとなる板ガラス材上に塗布し、熱強化処理において溶融させることにより、強化ガラスよりなる強化ガラス基板上に着色ガラス膜を形成する工程を経ることを特徴とする。
本発明の着色ガラス複合体の製造方法においては、前記着色ガラスフリットは、少なくとも粒子径が10μm以上50μm以下のもの、および粒子径が10μm未満のものの2種のガラス粒子を含有することが好ましい。
さらに、前記粒子径が10μm以上50μm以下のガラス粒子と、前記粒子径が10μm未満のガラス粒子との含有割合が、質量比で1:5〜1:10の範囲であることが好ましい。
また、本発明の着色ガラス複合体の製造方法においては、前記着色ガラスフリットは、ガラス網目形成成分と、酸化ナトリウム(Na2 O)を必須成分とするアルカリ金属酸化物成分15〜30mol%と、酸化亜鉛(ZnO)および必要に応じて含有される酸化カルシウム(CaO)の合計5〜20mol%とよりなる低融点ガラス中に、遷移金属化合物よりなる着色成分が含有されてなる着色ガラスを粉砕処理し、粒子径が50μmより大きいものを除去し、再度粉砕処理することにより得られるものとすることができる。
本発明の着色ガラス複合体は、植物成長促進用透光性材料または植物成長抑制用透光性材料として用いることができる。
本発明の着色ガラス複合体によれば、着色ガラス膜が強化ガラスよりなる強化ガラス基板上に形成されてなるものであることから、基本的に可視域の光の波長選択性を有し、しかも、強化ガラスは長期間にわたって優れた耐熱性、耐候性、防塵性、防曇性および機械的強度を発揮するものであるために、当該着色ガラス複合体に長期間にわたって優れた耐熱性、耐候性、防塵性、防曇性および機械的強度が得られる。
本発明の着色ガラス複合体の製造方法によれば、着色ガラス膜の材料となる着色ガラスフリットが熱強化処理を経ることにより強化ガラス基板となる板ガラス材上において溶融される工程を経るために、板ガラス材を強化する熱強化処理工程において強化ガラスよりなる強化ガラス基板上に着色ガラス膜を一体的に形成することができ、従って、着色ガラス膜による特性が発揮されると共に優れた耐熱性、耐候性、防塵性、防曇性および機械的強度を有する着色ガラス複合体を、強化ガラスの製造工程において製造条件を変更することなく製造することができ、その結果、低い製造コストで前記着色ガラス複合体を製造することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
〔着色ガラス複合体〕
本発明の着色ガラス複合体は、強化ガラスよりなる強化ガラス基板の表面に着色ガラス膜が一体に積層されてなるものであって、この着色ガラス膜が、ガラス網目形成成分と、酸化ナトリウム(Na2 O)を必須成分とするアルカリ金属酸化物成分15〜30mol%と、酸化亜鉛(ZnO)および必要に応じて含有される酸化カルシウム(CaO)の合計5〜20mol%とよりなる低融点ガラス中に、遷移金属化合物よりなる着色成分が含有されなるものである。
このような着色ガラス複合体は、全域透過率(TPPF )が50%以上であることが好ましく、特に65%以上であることが好ましい。
全域透過率(TPPF )が過小である場合には、例えば当該着色ガラス複合体が植物成長制御用透光性材料として用いられる場合に、植物に対して照射される光の光量が小さくなるため、植物が葉緑素の少ない未熟なものとなるおそれがある。
ここに、「全域透過率(TPPF )」は、下記数式(1)で表される、波長領域400〜700nmの可視光線の透過性の程度を示す指標である。以下において、ppF透過率ともいう。
下記数式(1)において、Dλは標準光源D65(JIS Z−8720)に基づく光量子束の分光分布であり、Tλは波長λの光の透過率である。
〔着色ガラス複合体の製造方法〕
このような構成の着色ガラス複合体は、通常の板ガラスを風冷強化法によって強化して強化ガラスとする過程において、着色ガラス膜を積層させることによって製造される。すなわち、着色ガラス膜は、低融点ガラス中に遷移金属酸化物が含有されてなる着色ガラスフリットを、熱強化処理を経ることにより強化ガラスよりなるものとなる板ガラス材上に、例えばスクリーン印刷法、蒸着法あるいはスパッタリング法などにより塗布して付着させ、これを熱強化処理することにより、形成することができる。ここに、熱強化処理は、いわゆる風冷強化法による処理であって、具体的には、加熱後、急冷させる処理である。
例えば、スクリーン印刷法を採用する場合について言えば、着色ガラス複合体の強化ガラス基板となる熱強化処理前の板ガラス材の表面に、着色ガラスフリットを例えば1100℃に加熱して得られる着色ガラス膜形成用溶融材を、スクリーン印刷法によってコーティングすることによって積層材料を得、この積層材料を当該積層材料を構成する板ガラス材の軟化点(軟化温度)以下であってその付近の温度に加熱し、その後、空気を吹きつけて表面を急冷する手法により、強化ガラス基板上に着色ガラス膜が積層されてなる着色ガラス複合体を製造することができる。
着色ガラス複合体の製造方法に用いられる板ガラス材としては、例えば型板ガラスや、フロート法によって作製されたいわゆる青板ガラス、白板ガラスなどの着色ガラスではない板ガラスを用いることができる。ここに、「着色ガラスではない板ガラス」とは、ppF透過率が80%以上である板ガラスをいう。
以上のような着色ガラス複合体の製造方法によれば、着色ガラス膜の材料となる着色ガラスフリットが熱強化処理を経ることにより強化ガラスよりなるものとなる板ガラス材上に溶融される工程を経るために、板ガラス材を強化する熱強化処理工程において強化ガラス基板上に着色ガラス膜を一体的に形成することができ、従って、着色ガラス膜による特性が発揮されると共に優れた耐熱性、耐候性、防塵性、防曇性および機械的強度を有する着色ガラス複合体を、少ない工程数で製造することができ、その結果、低い製造コストで前記着色ガラス複合体を製造することができる。
この製造方法において用いられる着色ガラスフリットは、少なくとも粒子径が10μm以上50μm以下のもの(以下、「粗ガラス粒子」ともいう。)、および粒子径が10μm未満のもの(以下、「細ガラス粒子」ともいう。)の2種のガラス粒子を含有するものであることが好ましい。
このような着色ガラスフリットは、所望の着色ガラス膜を構成する材料によって得られる着色ガラスをアルミナ乳鉢などを用いて粗く粉砕し、粒子径が50μmより大きいものを除去し、再度、遊星ボールミルなどを用いて粉砕することにより、得ることができる。粗ガラス粒子と細ガラス粒子の割合は、例えば細ガラス粒子が過度に多い場合、2度目の粉砕の後で細ガラス粒子の数を減じることなどにより、調整することができる。
着色ガラスフリットにおける粗ガラス粒子と細ガラス粒子の含有比は、質量比で例えば1:5〜1:10の範囲であることが好ましい。
着色ガラスフリットにおいて粗ガラス粒子と細ガラス粒子の含有比が上記の範囲にあることにより、形成される着色ガラス膜をppF透過率の高いものとすることができる。
その理由としては、以下のように推測される。
すなわち、図1(a)に示されるように、着色ガラスフリットが粗ガラス粒子(12a)の量が過多なものである場合は、形成される着色ガラス膜(15A)が、その表面に凹凸が形成されたものとなって、表面において光の乱反射が生じることにより、ppF透過率が低いものとなる。一方、図1(c)に示されるように、着色ガラスフリットが細ガラス粒子(11c)の量が過多なものである場合は、形成される着色ガラス膜(15C)が、その中に気泡が多数形成されたものとなり、この気泡による光散乱によって高いppF透過率が得られない。なお、図1(b)は、粗ガラス粒子(12b)と細ガラス粒子(11b)が適当なバランスで含有された場合に得られる着色ガラス膜(15B)の模式図である。また、図1において、12cは粗ガラス粒子、17a〜17cは板ガラス材、17A〜17Cは強化ガラス基板である。
このような手法によって製造される着色ガラス複合体においては、板ガラス材の軟化点が、通常、720〜730℃であることから、着色ガラス膜の材料として用いられる着色ガラスフリットは、この板ガラス材よりも70℃以上低い軟化点を有するもの、具体的には軟化点が650℃以下であるものが必要とされる。
また、板ガラス材の熱膨張係数が、通常、96×10-7/K程度であることから、クラックの発生などを抑止するために、着色ガラスフリットは、この板ガラス材の熱膨張係数に近似した熱膨張係数を有するもの、具体的には、熱膨張係数が80×10-7/K〜120×10-7/Kであるものが必要とされる。
〔着色ガラス膜〕
着色ガラス膜を構成する低融点ガラスとしては、主として、ガラス網目形成成分として酸化ホウ素(B2 3 )を含有するホウ酸塩系ガラス、並びに、ガラス網目形成成分としてシリカ(SiO2 )および酸化ホウ素(B2 3 )を含有するホウケイ酸塩系ガラスが好適に用いられる。
この着色ガラス膜を構成する低融点ガラスのガラス網目形成成分としては、例えばシリカ(SiO2 )、酸化ホウ素(B2 3 )の他に、アルミナ(Al2 3 )などが挙げられる。
低融点ガラスとして用いられるホウケイ酸塩系ガラスにおいては、シリカ(SiO2 )の含有割合が50mol%以上であることが好ましく、特に50〜60mol%であることが好ましい。
シリカ(SiO2 )の含有割合が50mol%以上であることにより、低融点ガラスが熱膨張係数の低いものとなって強化ガラス基板を構成する材質(強化ガラス)の熱膨張係数との差を小さくすることができ、従って、クラックなどを生ずることなく良好な着色ガラス複合体が得られ、また、耐候性、化学耐久性の高いものとなる。一方、シリカ(SiO2 )の含有割合が過小である場合は、低融点ガラスが熱膨張係数の高いものとなり、強化ガラス基板を構成する材質の熱膨張係数との差を小さくすることができずに、着色ガラス膜を強化ガラス基板の表面に良好に融着させることができずに、着色ガラス複合体を製造することができない、あるいは、形成される着色ガラス複合体が耐久性の低いものとなるおそれがある。
ホウケイ酸塩系ガラスとしては、例えばガラス網目形成成分として、低融点ガラスに対してシリカ(SiO2 )を30〜70mol%、酸化ホウ素(B2 3 )を15〜30mol%、酸化アルミニウム(Al2 3 )を0〜5mol%の割合で含有するものが挙げられる。
また、ホウ酸塩系ガラスとしては、例えばガラス網目形成成分として、低融点ガラスに対して酸化ホウ素(B2 3 )を60〜80mol%、酸化アルミニウム(Al2 3 )を0〜5mol%の割合で含有するとものが挙げられる。
この着色ガラス膜を構成する低融点ガラスのアルカリ金属酸化物成分としては、必須成分である酸化ナトリウム(Na2 O)の他に、例えば酸化カリウム(K2 O)、酸化リチウム(Li2 O)などが挙げられる。
低融点ガラス中には、混合アルカリ効果によって一層高い耐候性が得られることから、必須成分である酸化ナトリウム(Na2 O)と共に、酸化カリウム(K2 O)、酸化リチウム(Li2 O)などのその他のアルカリ金属酸化物が併せて含有されていることが好ましく、特に、酸化ナトリウム(Na2 O)と酸化カリウム(K2 O)とがmol比で1:1の割合で含有されていることが好ましい。
低融点ガラス中に酸化カリウム(K2 O)が含有されている場合は、得られる着色ガラス膜を、後述する波長選択透過性の程度を示す指標であるA値の小さいものとすることができる。
低融点ガラス中のアルカリ金属酸化物成分の含有割合が低融点ガラスに対して15mol%未満である場合は、得られる着色ガラス膜がppF透過率の低いものとなるおそれがあり、一方、低融点ガラス中のアルカリ金属酸化物成分の含有割合が低融点ガラスに対して30mol%を超える場合は、低融点ガラスが熱膨張係数の高いものとなり、強化ガラス基板を構成する材質の熱膨張係数との差を小さくすることができずに、着色ガラス膜を強化ガラス基板の表面に良好に融着させることができずに、着色ガラス複合体を製造することができない、あるいは、形成される着色ガラス複合体が耐久性の低いものとなるおそれがある。
また、この着色ガラス膜を構成する低融点ガラスには、酸化亜鉛(ZnO)が必須成分として含有されており、さらに必要に応じて酸化カルシウム(CaO)が含有されている。この酸化亜鉛(ZnO)および酸化カルシム(CaO)が合計で低融点ガラスに対して5〜20mol%含有されている。
本発明に係る着色ガラス膜が酸化亜鉛(ZnO)を含有することにより、得られる低融点ガラスを、軟化点が低く、かつ、熱膨張係数の低いものとすることができる。また、酸化カルシウム(CaO)を含有することにより、得られる低融点ガラスを、熱膨張係数の低いものとすることができる。
このような酸化亜鉛(ZnO)および酸化カルシウム(CaO)を共に含有する組成の低融点ガラスによれば、軟化点が低く熱膨張係数が強化ガラス基板を構成する強化ガラスと近似するものであることにより、着色ガラス複合体を製造する際に、例えば温度650℃、5分間という、比較的低温・短時間の穏やかな条件による熱強化処理によって強化ガラス基板と一体に融着させることができるので、着色ガラス複合体を有利に製造することができる。そして、酸化亜鉛(ZnO)を含有する低融点ガラスを用いることにより、形成される着色ガラス膜を耐水性の高いものとすることができる。
なお、酸化亜鉛(ZnO)を含有する低融点ガラスは、シリカ(SiO2 )を40mol%以上の割合で含有するものが好ましい。
酸化亜鉛(ZnO)および酸化カルシウム(CaO)の含有割合が過小である場合は、低融点ガラスが熱膨張係数の高いものとなり、強化ガラス基板を構成する材質の熱膨張係数との差を小さくすることができずに、着色ガラス膜を強化ガラス基板の表面に良好に融着させることができずに、着色ガラス複合体を製造することができない、あるいは、形成される着色ガラス複合体が耐久性の低いものとなるおそれがあり、一方、酸化亜鉛(ZnO)および酸化カルシウム(CaO)の含有割合が過大である場合は、得られる着色ガラス膜が結晶化によりppF透過率の低いものとなるおそれがある。
酸化亜鉛(ZnO)は、特に、アルカリ金属酸化物成分との合計が低融点ガラスに対して30〜40mol%であることが好ましい。
また、酸化カルシウム(CaO)は、特に、低融点ガラスに対して5〜15mol%含有されていることが好ましい。
さらに、この着色ガラス膜を構成する低融点ガラスには、必要に応じて、例えば酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)などのアルカリ土類金属酸化物成分が含有されていてもよい。このアルカリ土類金属酸化物成分は、その含有割合は、酸化カルシウム(CaO)を含有する場合はこれも含めてアルカリ土類金属酸化物成分の合計が低融点ガラスに対して5〜15mol%であることが好ましい。
着色ガラス膜を構成する低融点ガラスの具体例としては、下記(a)〜(e)の組成を有するものが挙げられ、これらのうちでは、特に、(d)の組成を有するものが好ましい。
〔a〕Na2 O(12.5mol%)−K2 O(12.5mol%)−CaO(10mol%)−ZnO(5mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔b〕Na2 O(10mol%)−K2 O(10mol%)−CaO(10mol%)−ZnO(10mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔c〕Na2 O(25mol%)−CaO(10mol%)−ZnO(5mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔d〕Na2 O(25mol%)−CaO(5mol%)−ZnO(10mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔e〕Na2 O(25mol%)−ZnO(15mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔着色成分〕
着色ガラス膜の着色成分を構成する、光吸収材として作用する遷移金属化合物は、所望の光を透過するよう当該光の波長に基づいて選択されればよく、例えばコバルト(Co)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、銅(Cu)、クロム(Cr)などが用いられる。
特に、例えば得られる着色ガラス複合体が植物成長促進用透光性材料として用いられる場合には、コバルト(Co)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびバナジウム(V)よりなる群から選ばれた遷移金属のイオンを供与できるものが用いられる。
特に、これらのうちではコバルトイオン(Co2+)を供与できるものが好適に用いられる。
遷移金属のイオンとしてコバルトイオン(Co2+)を含有させる(ドープする)場合は、その添加量(ドープ量)は、着色ガラス膜の厚みを考慮して、得られる着色ガラス複合体が所望のppF透過率およびA値を有する材質となるよう調整され、低融点ガラスの種類によっても異なるが、着色ガラス膜に対して金属に換算して0.1〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.0質量%である。
低融点ガラス中に遷移金属のイオンを含有させる方法としては、例えば遷移金属酸化物を低融点ガラスのバッチまたは融液中に添加して溶融し、急冷する手法が好適に用いられる。
また、例えば得られる着色ガラス複合体が植物成長抑制用透光性材料として用いられる場合には、遷移金属化合物としては、チタン(Ti)、銅(Cu)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)およびバナジウム(V)よりなる群から選ばれた遷移金属のイオンを供与できるものが用いられる。
具体的には、鉄イオンおよび銅イオンを単独で、または、銅イオンをチタンイオンもしくは鉄イオンと組み合わせた状態(銅イオンとチタンイオンとを組み合わせた状態または銅イオンと鉄イオンを組み合わせた状態)で用いることができる。
これらのうちでは、遷移金属のイオンとしては鉄イオンを単独で用い、この鉄イオンと共に還元剤、例えば金属ケイ素(結晶性単体)、酸化錫、グラファイト、黒鉛あるいは澱粉などの有機化合物などを共ドープさせることが好ましい。
ここに、還元剤は、鉄イオンを還元する作用するものであり、また、共ドープとは、還元剤が鉄イオンを還元する作用を進行させるために還元剤と鉄イオンとを同時に含有させることである。
遷移金属のイオンの添加量は、着色ガラス膜の厚みを考慮して、得られる着色ガラス複合体が所望のppF透過率およびA値を有する材質となるよう調整され、低融点ガラスの種類によっても異なるが、着色ガラス膜に対して金属に換算して0.1〜8質量%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜5質量%である。
具体的に、遷移金属のイオンとして銅イオンが単独または他の遷移金属のイオン(具体的にはチタンイオンまたは鉄イオン)と組み合わされて用いられる場合には、遷移金属のイオンの総添加量は金属に換算して0.1〜10質量%であることが好ましく、また、銅イオンがチタンイオンまたは鉄イオンと組み合わされて用いられる場合には、他の遷移金属のイオンの添加量(金属換算)に対する銅イオンの添加量(金属換算)の比が1以上であることが好ましい。
また、遷移金属イオンとして鉄イオンが、還元剤が共ドープされることを条件に、単独で用いられる場合には、その添加量は金属に換算して0.1〜10質量%であることが好ましく、還元剤の添加量に対する鉄イオンの添加量(金属換算)の比は1以上であることが好ましい。
鉄イオンが還元剤と共にドープされてなる着色ガラス膜において、当該鉄イオンは2価のものであることが有効であり、還元剤が共ドープされることによって、2価の鉄イオンが安定に存在する状態が得られるものと考えられる。そのような着色ガラス膜を得るためには、例えば鉄イオン源として酸化鉄(Fe3 4 )を用いると共に還元剤として酸化錫を用いることが好ましく、これらを低融点ガラスと共に溶融処理する条件が、例えば1100〜1500℃のような高温で、かつ、5〜15分間のような短時間であることが好ましい。このような条件によって得られる植物成長抑制に係る着色ガラス膜によれば、ppF透過率およびA値の点で、十分に目的とする特性を有する着色ガラス複合体を得ることができる。
着色ガラス複合体においては、強化ガラス基板の厚みが例えば1〜10mmであることが好ましく、着色ガラス膜の厚みが例えば0.02〜0.5mmであることが好ましい。
このような着色ガラス複合体は、例えばこれが植物成長促進用透光性材料として用いられる場合には、波長領域700〜800nmの近赤外光の光量子束に対する波長領域600〜700nmの赤色光の光量子束の比(以下、「A値」ともいう。)が、0.9以下であることが好ましく、特に0.7以下であることが好ましい。
このような用途に適用された場合においてA値が過大である場合には、近赤外光が赤色光に比して十分高い透過率で透過されず、光形態形成反応に基づく植物の伸長成長の促進効果が得られる、赤色光の光強度に比して近赤外光の光強度が大きい光条件の環境を形成することができない。
また、例えば着色ガラス複合体が植物成長抑制用透光性材料として用いられる場合には、A値が1.3以上であることが好ましく、特に1.5以上であることが好ましい。
このような用途に適用された場合においてA値が過小である場合には、赤色光が近赤外光に比して十分高い透過率で透過されず、光形態形成反応に基づく植物の伸長成長の抑制効果が得られる近赤外光の光強度に比して赤色光の光強度が大きい光条件の環境を形成することができない。
ここに、「A値」は、下記数式(2)で表される、波長選択透過性の程度を示す指標であり、具体的にはA値が大きくなるに従って近赤外光の透過率に比して赤色光の透過率が大きくなる。
下記数式(2)において、Dλは標準光源D65(JIS Z−8720)に基づく光量子束の分光分布であり、Tλは波長λの光の透過率である。
以上のような着色ガラス複合体によれば、着色ガラス膜が強化ガラスよりなる強化ガラス基板上に形成されてなるものであることから、基本的に可視域の光の波長選択性を有し、しかも、強化ガラスは長期間にわたって優れた耐熱性、耐候性、防塵性、防曇性および機械的強度を発揮するものであるために、当該着色ガラス複合体に長期間にわたって優れた耐熱性、耐候性、防塵性、防曇性および機械的強度が得られる。
従って、この着色ガラス複合体によれば、照明用として、外気や太陽光に直接さらされるなどの厳しい環境下においても弊害を伴うことなく長期間にわたって使用することができ、また、植物育成空間を覆うことにより、その内部の植物に対して当該植物成長促進材料を介して自然光あるいは人工光を照射することによって植物の成長を促進することが可能であると共に、外気や太陽光に直接さらされるなどの厳しい環境下においても、弊害を伴うことなく、長期間にわたって使用することが可能である。
以上のような着色ガラス複合体は、例えば大規模で恒久的な農園芸用設備および小規模な園芸用設備におけるガラス室を構成するガラス壁などの農園芸用施設の構成部材として好適に用いられる。
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明の実施の形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〜5,比較例1〜5〕
原料としてシリカ、ホウ酸、アルミナ、酸化亜鉛、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウムを用い、低融点ガラスが下記〔1〕〜〔10〕の組成を有するホウケイ酸塩系ガラスを各々用意し、これに着色剤として酸化コバルト(Co3 4 )0.4mol%(組成〔9〕に係る低融点ガラスに対しては0.8mol%)を添加・乾式混合し、アルミナ坩堝中において1300〜1400℃で溶融させ、融液を真鍮板上に流し出して急冷することにより、着色ガラス〔1〕〜〔10〕を得た。
得られた着色ガラス〔1〕〜〔10〕を、アルミナ乳鉢を用いて200メッシュの篩を通過する粒径となるよう粉砕し、過大な粒径のものを除去した後、メノウ製ポッドおよびボールを用いて遊星ボールミルでさらに1時間粉砕した。粉砕した試料と分散用溶剤であるメジュームオイルを、質量比で2:1の割合となるよう調整し、練和機を用いて30秒間混合したものを普通板ガラス材上にスクリーン印刷法によってコーティングし、120℃で1時間乾燥させた。スクリーン印刷法において用いたスクリーンの目開きは50μmである。乾燥後、電気炉において650℃で10分間加熱し、次いで電気炉から空中に取り出して急冷することにより、着色ガラス複合体〔1〕〜〔10〕を得た。
なお、着色ガラス複合体〔3〕〜〔5〕,〔8〕,〔9〕は本発明の着色ガラス複合体であり、〔1〕,〔2〕,〔6〕,〔7〕,〔10〕は比較用の着色ガラス複合体である。
すなわち、比較用の着色ガラス複合体〔1〕は、アルカリ金属化合物成分の合計量が過少であり、さらに、酸化亜鉛(ZnO)および酸化カルシウム(CaO)の合計量が過多なものである。
また、比較用の着色ガラス複合体〔2〕,〔6〕,〔10〕は、必須成分である酸化亜鉛(ZnO)を含有しないものである。
また、比較用の着色ガラス複合体〔7〕は、アルカリ金属化合物成分を含有せず、さらに、酸化亜鉛(ZnO)および酸化カルシウム(CaO)の合計量が過多なものである。
〔1〕Na2 O(7.5mol%)−K2 O(7.5mol%)−CaO(10mol%)−ZnO(15mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔2〕Na2 O(15mol%)−K2 O(15mol%)−CaO(10mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔3〕Na2 O(12.5mol%)−K2 O(12.5mol%)−CaO(10mol%)−ZnO(5mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔4〕Na2 O(10mol%)−K2 O(10mol%)−CaO(10mol%)−ZnO(10mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔5〕Na2 O(25mol%)−CaO(10mol%)−ZnO(5mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔6〕Na2 O(30mol%)−CaO(10mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔7〕CaO(10mol%)−ZnO(30mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔8〕Na2 O(25mol%)−CaO(5mol%)−ZnO(10mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔9〕Na2 O(25mol%)−ZnO(15mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
〔10〕Na2 O(25mol%)−CaO(15mol%)−Al2 3 (3mol%)−B2 3 (17mol%)−SiO2 (40mol%)
得られた着色ガラス複合体〔1〕〜〔10〕の各々について、波長領域300〜800nmにおける透過率を紫外可視分光光度計によって測定し、また、標準光源D65(JIS Z8720)を基準として光量子束の分光分布を求め、上記数式(1)に基づいてppF透過率を算出すると共に、上記数式(2)に基づいてA値を算出した。また、粉砕前の着色ガラスについて、示差熱膨張計(TMA)を用いて熱膨張係数および軟化点(Ts)を測定した。また、着色ガラス〔1〕〜〔10〕の各々に係る粉砕した試料について、示差熱曲線(DTA)の測定を行い、熱膨張係数(α)および軟化点(Ts)を算出した。結果を表1に示す。
表1の結果から、本発明に係る実施例1〜5においては、着色ガラス膜の軟化点(Ts)が普通板ガラス材の軟化点よりも低く、さらに適当な熱膨張係数であるために、クラックの発生などがない良好な着色ガラス複合体が得られた。
一方、比較例1および比較例5に係る着色ガラス複合体〔1〕,〔10〕は、そのppF透過率が不十分なものであった。
また、比較例2に係る着色ガラス複合体〔2〕は、着色ガラス膜を普通板ガラス材に融着させることができなかった。
また、比較例3に係る着色ガラス複合体〔6〕は、着色ガラス膜を普通板ガラス材に融着させることはできたが、透過率が過度に低かった。
また、比較例4に係る着色ガラス複合体〔7〕は、着色ガラス膜の材料となる着色ガラスフリットを得るために融液を真鍮板上に流し出して急冷した際に、結晶化または分相が生じて試料が失透した。
また、得られた着色ガラス複合体〔3〕,〔5〕の各々について、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察したところ、全ての着色ガラス複合体において、着色ガラス膜が強化ガラス基板に完全に融着していることが確認された。これらの結果を図2および図3にそれぞれ示す。
なお、図2は着色ガラス複合体〔3〕に係るNa2 Oの含有率が12.5mol%のもののSEM写真、図3は着色ガラス複合体〔5〕に係るNa2 Oの含有率が25mol%のもののSEM写真である。
さらに、上記の着色ガラス複合体〔3〕,〔5〕の作製において、熱強化処理における加熱の条件を650℃で5分間,3分間としたものを作製した。
着色ガラス複合体〔3〕の作製において、熱強化処理における加熱の条件を650℃で5分間,3分間としたものをそれぞれ着色ガラス複合体〔3−5min〕,〔3−3min〕とし、着色ガラス複合体〔5〕の作製において、熱強化処理における加熱の条件を650℃で5分間,3分間としたものをそれぞれ着色ガラス複合体〔5−5min〕,〔5−3min〕とする。なお、着色ガラス複合体〔3〕,〔5〕を、便宜上、〔3−10min〕,〔5−10min〕とする。
これらの着色ガラス複合体〔3−10min〕,〔3−5min〕,〔3−3min〕,〔5−10min〕,〔5−5min〕,〔5−3min〕の各々について、波長領域300〜800nmにおける透過率を紫外可視分光光度計によって測定した。結果を図4および図5にそれぞれ示す。
なお、図4は着色ガラス複合体〔3−10min〕,〔3−5min〕,〔3−3min〕に係るNa2 Oの含有率が12.5mol%のものの透過スペクトル、図5は着色ガラス複合体〔5−10min〕,〔5−5min〕,〔5−3min〕に係るNa2 Oの含有率が25mol%のものの透過スペクトルである。
図4および図5の結果から、Na2 OおよびK2 Oが1:1のmol比で含有された着色ガラス複合体〔3〕は、K2 Oが含有されていない着色ガラス複合体〔5〕に比べて若干全域での透過率が高く、さらに着色成分であるCo2+の吸収が大きくなることが確認された。
そして、熱強化処理における加熱時間に関して、Na2 OおよびK2 Oが1:1のmol比で含有された着色ガラス複合体〔3〕は、K2 Oが含有されていない着色ガラス複合体〔5〕に比べて短時間の熱処理で良好な透過率が得られることが確認された。
また、これらの着色ガラス複合体〔3−10min〕,〔3−5min〕,〔3−3min〕,〔5−10min〕,〔5−5min〕,〔5−3min〕の各々について、標準光源D65(JIS Z8720)を基準として光量子束の分光分布を求め、上記数式(1)に基づいてppF透過率および上記数式(2)に基づいてA値を算出し、波長選択性の評価を行った。結果を図6に示す。
図6において、横軸は全域透過率(TPPF )、縦軸は波長選択性を示すA値を示す。
図6の結果から、650℃で10分間の加熱を行った着色ガラス複合体〔3−10min〕,〔5−10min〕については、組成にかかわらず優れた波長選択性を示すことが確認され、さらに、熱強化処理における加熱の条件が650℃で5分間のものであっても、Na2 Oの含有量が12.5mol%である着色ガラス複合体〔3−5min〕については、優れた波長選択性を示すことが確認された。
(a)は、粗ガラス粒子の量が過多な場合の着色ガラス膜の模式図、(b)は、粗ガラス粒子と細ガラス粒子が適当なバランスで含有された場合の着色ガラス膜の模式図、(c)は、細ガラス粒子の量が過多な場合の着色ガラス膜の模式図である。 着色ガラス複合体〔3〕に係るNa2 Oの含有率が12.5mol%のもののSEM写真である。 着色ガラス複合体〔5〕に係るNa2 Oの含有率が25mol%のもののSEM写真である。 着色ガラス複合体〔3〕に係るNa2 Oの含有率が12.5mol%のものの透過スペクトルである。 着色ガラス複合体〔5〕に係るNa2 Oの含有率が25mol%のものの透過スペクトルである。 波長選択性を評価するための全域透過率(TPPF )−A値をプロットしたグラフである。
符号の説明
11b,11c 細ガラス粒子
12a,12b,12c 粗ガラス粒子
15A,15B,15C 着色ガラス膜
17a,17b,17c 板ガラス材
17A,17B,17C 強化ガラス基板

Claims (7)

  1. 強化ガラスよりなる強化ガラス基板の表面に着色ガラス膜が形成されてなる着色ガラス複合体であって、
    前記着色ガラス膜が、ガラス網目形成成分と、酸化ナトリウム(Na2 O)を必須成分とするアルカリ金属酸化物成分15〜30mol%と、酸化亜鉛(ZnO)および必要に応じて含有される酸化カルシウム(CaO)の合計5〜20mol%とよりなる低融点ガラス中に、遷移金属化合物よりなる着色成分が含有されてなるものであることを特徴とする着色ガラス複合体。
  2. 前記低融点ガラス中に酸化カルシウム(CaO)が5〜15mol%含有されていることを特徴とする請求項1に記載の着色ガラス複合体。
  3. ガラス網目形成成分と、酸化ナトリウム(Na2 O)を必須成分とするアルカリ金属酸化物成分15〜30mol%と、酸化亜鉛(ZnO)および必要に応じて含有される酸化カルシウム(CaO)の合計5〜20mol%とよりなる低融点ガラス中に、遷移金属化合物よりなる着色成分が含有されてなる着色ガラスフリットを、熱強化処理を経ることにより強化ガラスよりなるものとなる板ガラス材上に塗布し、熱強化処理において溶融させることにより、強化ガラスよりなる強化ガラス基板上に着色ガラス膜を形成する工程を経ることを特徴とする着色ガラス複合体の製造方法。
  4. 前記着色ガラスフリットは、少なくとも粒子径が10μm以上50μm以下のもの、および粒子径が10μm未満のものの2種のガラス粒子を含有することを特徴とする請求項3に記載の着色ガラス複合体の製造方法。
  5. 前記粒子径が10μm以上50μm以下のガラス粒子と、前記粒子径が10μm未満のガラス粒子との含有割合が、質量比で1:5〜1:10の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の着色ガラス複合体の製造方法。
  6. 前記着色ガラスフリットは、
    ガラス網目形成成分と、酸化ナトリウム(Na2 O)を必須成分とするアルカリ金属酸化物成分15〜30mol%と、酸化亜鉛(ZnO)および必要に応じて含有される酸化カルシウム(CaO)の合計5〜20mol%とよりなる低融点ガラス中に、遷移金属化合物よりなる着色成分が含有されてなる着色ガラスを粉砕処理し、
    粒子径が75μmより大きいものを除去し、
    再度粉砕処理することにより得られるものであることを特徴とする請求項3に記載の着色ガラス複合体の製造方法。
  7. 植物成長促進用透光性材料または植物成長抑制用透光性材料として用いられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の着色ガラス複合体。
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