JP2010102848A - 負極、二次電池およびそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】サイクル特性を向上させることが可能な二次電池を提供する。
【解決手段】正極21および負極22と共に電解質を備え、正極21と負極22との間に設けられたセパレータ23に液状の電解質が含浸されている。負極22は、負極集電体22Aに設けられた負極活物質層22B上に被膜22Cを有している。この被膜22Cは、アミン基およびアニオン基を有する金属塩を含んでいる。負極22においてリチウムイオンが吸蔵および放出されやすくなると共に、電解質の分解が抑制される。
【選択図】図7

Description

本発明は、二次電池に好適な負極、それを備えた二次電池、およびそれらの製造方法に関する。
近年、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、電源として、電池、特に軽量で高エネルギー密度を得ることが可能な二次電池の開発が進められている。
中でも、充放電反応にリチウムイオン(Li+ )の吸蔵および放出を利用するリチウムイオン二次電池は、鉛電池やニッケルカドミウム電池よりも高いエネルギー密度が得られるため、広く実用化されている。このリチウムイオン二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えており、その負極は、負極集電体上に負極活物質層を有している。
負極活物質層に含まれる負極活物質としては、黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。また、最近では、ポータブル電子機器の高性能化および多機能化に伴って電池容量のさらなる向上が求められていることから、炭素材料に代えてケイ素やスズなどを用いることが検討されている。ケイ素の理論容量(4199mAh/g)やスズの理論容量(994mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも格段に大きいため、電池容量の大幅な向上を期待できるからである。
ところが、リチウムイオン二次電池では、充放電時にリチウムを吸蔵した負極活物質が高活性になるため、負極界面において電解液が分解されやすくなったり、リチウムの一部が不活性化しやすくなったりするという問題がある。これにより、十分なサイクル特性や保存特性などを得ることが困難になる。この問題は、負極活物質として高理論容量のケイ素等を用いた場合に顕著となる。
そこで、リチウムイオン二次電池のこのような問題を解決するために、さまざまな検討がなされている。例えば、保存特性やサイクル特性を向上させるために、電解質に添加剤を加える技術が提案されている。その添加剤としては、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸ジナトリウムなどの有機スルホン酸の金属塩(例えば、特許文献1参照。)や、エチレンジアミン、テトラアルキルエチレンジアミンあるいはトリアリールアミンなどのアミン化合物(例えば、特許文献2〜4参照。)や、2,2−ビピリジンなどのピリジン環を有する化合物(例えば、特許文献5参照。)が知られている。
また、上記の技術の他にも、例えば、安全性の向上を目的として、正極あるいは負極の中に添加剤を含有させる技術が提案されている。具体的には、例えば、負極活物質の粉末と、アルギン酸リチウム、アスパラギン酸リチウム、酢酸リチウムあるいはシュウ酸リチウムなどの有機酸金属塩とを混合したものを用いて負極活物質層を形成する技術が知られている(例えば、特許文献6参照。)。
特開2001−357874号公報 特開昭58−087777号公報 特開2001−167790号公報 特開2005−108855号公報 特開2004−014352号公報 特開平08−298136号公報
しかしながら、上述したように、種々の検討がなされているが、十分な成果が得られているわけではない。特に、最近のポータブル電子機器は益々高性能化および多機能化しており、その消費電力も増大する傾向にあるため、二次電池の充放電が頻繁に繰り返され、そのサイクル特性が低下しやすい状況にある。このことから、二次電池のサイクル特性に関して、より一層の向上が望まれている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性を向上させることが可能な負極、二次電池およびそれらの製造方法を提供することにある。
本発明の二次電池は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な正極活物質を含む正極と、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極活物質を含む負極と、溶媒および電解質塩を含む電解質とを備え、負極は、負極集電体に設けられた負極活物質層上に被膜を有し、被膜は、式(1)〜式(3)で表されるアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含むものである。
Figure 2010102848
(R1は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素(O)および硫黄(S)のうちの少なくとも1種と炭素(C)および水素(H)とにより構成された1価の基であり、A1a1- は(a1)価のアニオン基であり、Z1は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された(b1+1)価の基であり、M1は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R1とZ1とは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R1同士も互いに結合して環状構造を形成してもよい。a1、b1、f1、g1およびe1は1以上の整数であり、c1は1以上3以下の整数であり、d1は0以上2以下の整数であり、(c1+d1)=3を満たす。)
Figure 2010102848
(R2〜R4は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A2a2- 、A3a3- およびA4a4- はそれぞれ(a2)価、(a3)価あるいは(a4)価のアニオン基であり、Z2〜Z4は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成されたそれぞれ(b2+1)価、(b3+1)価あるいは(b4+1)価の基であり、L1およびL2は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された2価の基であり、M2は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R2〜R4のうちのいずれか2つは互いに結合して環状構造を形成してもよい。a2〜a4、b2〜b4、f2、g2およびe2は1以上の整数であり、c2〜c4、d2〜d4およびn2は0以上の整数であり、(c2+d2)=2、(c3+d3)=2、(c4+d4)=1および(c2+c3+c4)≧1を満たす。)
Figure 2010102848
(R5およびR6は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A5a5- は(a5)価のアニオン基であり、Z5は酸素、硫黄および水素からなる群より選択された元素と炭素とにより構成された(m1+b5)価の基であり、M3は1種あるいは2種以上の金属元素であり、a5、b5、e3、f3およびg3は1以上の整数であり、m1は2以上の整数である。)
本発明の二次電池の製造方法は、負極集電体に設けられた負極活物質層を有する負極の、負極活物質層上に、上記した式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む溶液を用いて、被膜を形成するものである。
本発明の負極は、負極集電体に設けられた負極活物質層上に被膜を有し、負極活物質層は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極活物質を含み、被膜は、上記した式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含むものである。
本発明の負極の製造方法は、負極集電体に設けられた負極活物質層上に、上記した式(1)〜式(3)で表されるアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む溶液を用いて、被膜を形成するものである。
本発明の負極およびその製造方法によれば、負極活物質層上に式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜を有する。これにより、その被膜を形成しない場合と比較して、電極反応時に、電極反応物質が吸蔵および放出されやすくなると共に、化学的安定性が向上する。よって、本発明の二次電池およびその製造方法によれば、充放電時において、電極反応物質が効率よく吸蔵および放出されると共に、電解質の分解反応が抑制されるため、サイクル特性を向上させることができる。また、この場合、被膜を式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩を含む溶液を用いて形成しているので、減圧環境などの特殊な環境条件を要する方法を用いる場合と比較して、良好な被膜を簡単に形成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.負極
2.二次電池(負極の使用例)
2−1.円筒型(第1の二次電池)
2−2.ラミネートフィルム型(第2の二次電池)
[1.負極]
図1は、本発明の一実施の形態に係る負極の断面構成を表している。この負極は、例えば二次電池などの電気化学デバイスに用いられるものであり、一対の面を有する負極集電体1と、その負極集電体1に設けられた負極活物質層2と、その負極活物質層2に設けられた被膜3とを有している。この負極活物質層2は、負極集電体1の両面に設けられていてもよいし、片面だけに設けられていてもよい。被膜3も同様である。なお、以下では、この負極において吸蔵および放出される電極反応物質をリチウムイオンとした場合について説明する。
負極集電体1は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する金属材料によって構成されているのが好ましい。このような金属材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)あるいはステンレス(SUS)などが挙げられ、中でも銅が好ましい。高い電気伝導性が得られるからである。
特に、上記した金属材料は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいるのが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、電気化学デバイスの動作時(例えば二次電池の充放電時)に負極活物質層2の膨張および収縮による応力の影響を受けやすい。このため、集電性が低下する可能性があると共に、負極活物質層2が負極集電体1から剥離する可能性もあるからである。このような金属元素としては、例えば、銅、ニッケル、チタン(Ti)、鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)などが挙げられる。
また、上記した金属材料は、負極活物質層2と合金化する金属元素のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいるのが好ましい。負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性が向上するため、その負極活物質層2が負極集電体1から剥離しにくくなるからである。リチウムと金属間化合物を形成せず、しかも負極活物質層2と合金化する金属元素としては、例えば、負極活物質層2が負極活物質としてケイ素を含む場合には、銅、ニッケルあるいは鉄などが挙げられる。これらの金属元素は、強度および導電性の観点からも好ましい。
なお、負極集電体1は、単層構造を有していてもよいし、多層構造を有していてもよい。負極集電体1が多層構造を有する場合には、例えば、負極活物質層2と隣接する層がそれと合金化する金属材料によって構成され、隣接しない層が他の金属材料によって構成されるのが好ましい。
負極集電体1の表面は、粗面化されているのが好ましい。いわゆるアンカー効果によって負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層2と対向する領域において、負極集電体1の表面が粗面化されていればよい。この粗面化の方法としては、例えば、電解処理によって微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中において電解法によって負極集電体1の表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。この電解処理により粗面化された銅箔を含めて、電解処理が施された銅箔は、一般に「電解銅箔」と呼ばれている。
負極活物質層2は、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。この負極活物質層2は、必要に応じて、導電剤あるいは結着剤などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。このような負極材料は、金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。
なお、本発明における「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。また、「合金」は、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
上記した金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、リチウムイオンと合金を形成することが可能な金属元素あるいは半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)あるいは白金(Pt)などである。中でも、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種が好ましく、ケイ素がより好ましい。リチウムイオンを吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金あるいは化合物や、スズの単体、合金あるいは化合物や、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
ケイ素の単体を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体を主体として有する材料が挙げられる。この負極材料を含む負極活物質層2は、例えば、ケイ素単体層の間にケイ素以外の第2の構成元素と酸素とが存在する構造を有している。この負極活物質層2におけるケイ素および酸素の合計の含有量は、50質量%以上であるのが好ましく、特にケイ素単体の含有量が50質量%以上であるのが好ましい。ケイ素以外の第2の構成元素としては、例えば、チタン(Ti)、クロム、マンガン(Mn)、鉄、コバルト(Co)、ニッケル、銅、亜鉛、インジウム、銀、マグネシウム、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、ビスマスあるいはアンチモン(Sb)などが挙げられる。ケイ素の単体を主体として有する材料を含む負極活物質層2は、例えば、ケイ素と他の構成元素とを共蒸着することにより形成可能である。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を有するものが挙げられる。ケイ素の化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素(C)を有するものが挙げられ、ケイ素に加えて、上記した第2の構成元素を有していてもよい。ケイ素の合金あるいは化合物の一例としては、SiB4 、SiB6 、Mg2 Si、Ni2 Si、TiSi2 、MoSi2 、CoSi2 、NiSi2 、CaSi2 、CrSi2 、Cu5 Si、FeSi2 、MnSi2 、NbSi2 、TaSi2 、VSi2 、WSi2 、ZnSi2 、SiC、Si3 4 、Si2 2 O、SiOv (0<v≦2)あるいはLiSiOなどが挙げられる。
スズの合金としては、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を有するものが挙げられる。スズの化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素を有するものが挙げられ、スズに加えて、上記した第2の構成元素を有していてもよい。スズの合金あるいは化合物の一例としては、SnOw (0<w≦2)、SnSiO3 、LiSnOあるいはMg2 Snなどが挙げられる。
特に、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、スズを第1の構成元素とし、それに加えて第2および第3の構成元素を有するものが好ましい。第2の構成元素は、コバルト、鉄、マグネシウム、チタン、バナジウム(V)、クロム、マンガン、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀、インジウム、セリウム(Ce)、ハフニウム、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマスおよびケイ素からなる群のうちの少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素、炭素、アルミニウムおよびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である。第2および第3の構成元素を有することにより、負極が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合にサイクル特性が向上するからである。
中でも、スズ、コバルトおよび炭素を構成元素として有し、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下、スズおよびコバルトの合計に対するコバルトの割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下であるSnCoC含有材料が好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を有していてもよい。この他の構成元素としては、例えば、ケイ素、鉄、ニッケル、クロム、インジウム、ニオブ、ゲルマニウム、チタン、モリブデン、アルミニウム、リン、ガリウムあるいはビスマスなどが好ましく、それらの2種以上を有していてもよい。より高い効果が得られるからである。
なお、SnCoC含有材料は、スズ、コバルトおよび炭素を含む相を有しており、その相は、低結晶性あるいは非晶質な相であるのが好ましい。この相は、リチウムイオンと反応可能な反応相であり、これによって優れたサイクル特性が得られるようになっている。この相のX線回折によって得られる回折ピークの半値幅は、特定X線としてCuKα線を用い、挿引速度を1°/minとした場合に、回折角2θで1.0°以上であることが好ましい。リチウムがより円滑に吸蔵および放出され、しかも電解液を備えた二次電池などの電気化学デバイスに負極が用いられた場合に、電解液との反応性が低減されるからである。
X線回折によって得られた回折ピークがリチウムイオンと反応可能な反応相に対応するものであるか否かは、リチウムイオンとの電気化学的反応の前後におけるX線回折チャートを比較することによって容易に判断することができる。例えば、リチウムイオンとの電気化学的反応の前後において回折ピークの位置が変化すれば、リチウムイオンと反応可能な反応相に対応するものである。この場合には、例えば、低結晶性あるいは非晶質な反応相の回折ピークが2θ=20°〜50°の間に見られる。この低結晶性あるいは非晶質な反応相は、例えば、上記した各構成元素を含んでおり、主に、炭素によって低結晶化あるいは非晶質化しているものと考えられる。
なお、SnCoC含有材料は、低結晶性あるいは非晶質な相に加えて、各構成元素の単体あるいは一部を含む相を有している場合もある。
特に、SnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合しているのが好ましい。スズなどの凝集あるいは結晶化が抑制されるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。このXPSは、軟X線(市販の装置ではAl−Kα線か、Mg−Kα線を用いる)を試料表面に照射し、試料表面から飛び出してくる光電子の運動エネルギーを測定することによって、試料表面から数nmの領域の元素組成、および元素の結合状態を調べる方法である。
元素の内殻軌道電子の束縛エネルギーは、第1近似的には、元素上の電荷密度と相関して変化する。例えば、炭素元素の電荷密度が近傍に存在する元素との相互作用によって減少した場合には、2p電子などの外殻電子が減少しているので、炭素元素の1s電子は殻から強い束縛力を受けることになる。すなわち、元素の電荷密度が減少すると、束縛エネルギーは高くなる。XPSでは、束縛エネルギーが高くなると、高いエネルギー領域にピークはシフトするようになっている。
XPSにおいて、炭素の1s軌道(C1s)のピークは、グラファイトであれば、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば炭素よりも陽性な元素と結合している場合には、C1sのピークは、284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料に含まれる炭素の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合している場合には、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる。
なお、XPS測定を行う場合には、表面が表面汚染炭素で覆われている際に、XPS装置に付属のアルゴンイオン銃で表面を軽くスパッタするのが好ましい。また、測定対象のSnCoC含有材料を有する負極が電解液を備えた二次電池などの電気化学デバイスの中に存在する場合には、電気化学デバイスを解体して負極を取り出したのち、炭酸ジメチルなどの揮発性溶媒で洗浄するとよい。負極表面に存在する揮発性の低い溶媒と電解質塩とを除去するためである。これらのサンプリングは、不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
また、XPS測定では、スペクトルのエネルギー軸の補正に、例えばC1sのピークを用いる。通常、物質表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。なお、XPS測定では、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られる。このため、例えば市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
このSnCoC含有材料は、例えば、各構成元素の原料を混合した混合物を電気炉、高周波誘導炉あるいはアーク溶解炉などで溶解させたのち、凝固させる方法によって形成可能である。また、ガスアトマイズあるいは水アトマイズなどの各種アトマイズ法や、各種ロール法や、メカニカルアロイング法あるいはメカニカルミリング法などのメカノケミカル反応を利用した方法などを用いてもよい。中でも、メカノケミカル反応を利用した方法が好ましい。SnCoC含有材料が低結晶性あるいは非晶質な構造になるからである。メカノケミカル反応を利用した方法では、例えば、遊星ボールミルやアトライタなどの製造装置を用いることができる。
原料には、各構成元素の単体を混合して用いてもよいが、炭素以外の構成元素の一部については合金を用いるのが好ましい。このような合金に炭素を加えてメカニカルアロイング法を利用した方法によって合成することにより、低結晶性あるいは非晶質な構造が得られ、反応時間も短縮されるからである。なお、原料の形態は、粉体であってもよいし、塊状であってもよい。
このSnCoC含有材料の他、スズ、コバルト、鉄および炭素を構成元素として有するSnCoFeC含有材料も好ましい。このSnCoFeC含有材料の組成は、任意に設定可能である。例えば、鉄の含有量を少なめに設定する場合の組成としては、炭素の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下、鉄の含有量が0.3質量%以上5.9質量%以下、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下であるのが好ましい。また、例えば、鉄の含有量を多めに設定する場合の組成としては、炭素の含有量が11.9質量%以上29.7質量%以下、スズとコバルトと鉄との合計に対するコバルトと鉄との合計の割合((Co+Fe)/(Sn+Co+Fe))が26.4質量%以上48.5質量%以下、コバルトと鉄との合計に対するコバルトの割合(Co/(Co+Fe))が9.9質量%以上79.5質量%以下であるのが好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られるからである。このSnCoFeC含有材料の結晶性、元素の結合状態の測定方法、および形成方法などについては、上記したSnCoC含有材料と同様である。
リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料としてケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する材料を用いた負極活物質層2は、例えば、気相法、液相法、溶射法、塗布法あるいは焼成法、またはそれらの2種以上の方法を用いて形成される。この場合には、負極集電体1と負極活物質層2とが界面の少なくとも一部において合金化しているのが好ましい。詳細には、両者の界面において、負極集電体1の構成元素が負極活物質層2に拡散していてもよいし、負極活物質層2の構成元素が負極集電体1に拡散していてもよいし、それらの構成元素が互いに拡散し合っていてもよい。充放電時における負極活物質層2の膨張および収縮に起因する破壊が抑制されると共に、負極集電体1と負極活物質層2との間の電子伝導性が向上するからである。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(Chemical Vapor Deposition :CVD)法あるいはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電解鍍金あるいは無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。塗布法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合したのち、溶剤に分散させて塗布する方法である。焼成法とは、例えば、塗布法によって塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法あるいはホットプレス焼成法が挙げられる。
上記した他、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料が挙げられる。この炭素材料とは、例えば、易黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭あるいはカーボンブラック類などがある。このコークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものである。炭素材料は電極反応物質の吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ない。このため、例えば、他の負極材料と一緒に用いることにより、高いエネルギー密度が得られると共に、負極が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に優れたサイクル特性も得られ、さらに導電剤としても機能するので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状あるいは鱗片状のいずれでもよい。
また、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物あるいは高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムあるいは酸化モリブデンなどが挙げられ、高分子化合物としては、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
もちろん、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料は、上記以外のものであってもよい。また、上記した一連の負極材料を任意の組み合わせで2種類以上混合してもよい。
上記した負極材料よりなる負極活物質は、複数の粒子状をなしている。すなわち、負極活物質層2は、複数の負極活物質粒子を有している。この負極活物質粒子は、例えば、上記した気相法などによって形成されている。ただし、負極活物質粒子は、気相法以外の方法によって形成されていてもよい。
負極活物質粒子が気相法によって形成されている場合には、その負極活物質粒子が単一の堆積工程を経て形成された単層構造を有していてもよいし、複数回の堆積工程を経て形成された多層構造を有していてもよい。ただし、堆積時に高熱を伴う蒸着法などによって負極活物質粒子を形成する場合には、その負極活物質粒子が多層構造を有しているのが好ましい。負極材料の堆積工程を複数回に分割して行う(負極材料を順次薄く形成して堆積させる)ことにより、その堆積工程を1回で行う場合と比較して負極集電体1が高熱に晒される時間が短くなり、熱的ダメージを受けにくくなるからである。
この負極活物質粒子は、例えば、負極集電体1の表面から負極活物質層2の厚さ方向に成長しており、その根元において負極集電体1に連結されている。この場合には、負極活物質粒子が気相法によって形成されており、上記したように、負極集電体1との界面の少なくとも一部において合金化しているのが好ましい。具体的には、両者の界面において、負極集電体1の構成元素が負極活物質粒子に拡散していてもよいし、負極活物質粒子の構成元素が負極集電体1に拡散していてもよいし、両者の構成元素が互いに拡散し合っていてもよい。
特に、負極活物質層2は、必要に応じて、負極活物質粒子の表面(電解液と接する領域)を被覆する酸化物含有膜を有しているのが好ましい。電解液を備えた二次電池などの電気化学デバイスに負極が用いられた場合に、酸化物含有膜が電解液に対する保護膜として機能するため、充放電を繰り返しても電解液の分解反応が抑制されるからである。この酸化物含有膜は、負極活物質粒子の表面のうちの一部を被覆していてもよいし、全部を被覆していてもよい。
この酸化物含有膜は、金属元素あるいは半金属元素の酸化物を含有している。この金属元素あるいは半金属元素の酸化物としては、例えば、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、ゲルマニウムあるいはスズなどの酸化物が挙げられる。中でも、この酸化物含有膜は、ケイ素、ゲルマニウムおよびスズからなる群のうちの少なくとも1種の酸化物を含有しているのが好ましく、特にケイ素の酸化物を含有しているのが好ましい。負極活物質粒子の表面を全体に渡って容易に被覆しやすいと共に、優れた保護機能が得られるからである。もちろん、酸化物含有膜は、上記以外の他の酸化物を含有していてもよい。
この酸化物含有膜は、例えば、気相法あるいは液相法などの1種あるいは2種以上の方法を用いて形成される。この場合の気相法としては、例えば、蒸着法、スパッタ法あるいはCVD法などが挙げられ、液相法としては、例えば、液相析出法、ゾルゲル法、ポリシラザン法、電析法、塗布法あるいはディップコーティング法などが挙げられる。中でも、液相法が好ましく、液相析出法がより好ましい。負極活物質粒子の表面を広い範囲に渡って容易に被覆しやすいからである。なお、液相析出法では、まず、金属元素あるいは半金族元素のフッ化物錯体と共にアニオン捕捉剤としてフッ化物イオンを配位しやすい溶存種を含む溶液中において、負極活物質粒子の表面が被覆されるように金属元素あるいは半金族元素の酸化物を析出させる。この際、溶液中では、フッ化物錯体から生じるフッ化物イオンをアニオン捕捉剤に捕捉させることとなる。こののち、水洗および乾燥させることにより、酸化物含有膜を形成する。
また、負極活物質層2は、必要に応じて、負極活物質粒子の粒子間の隙間および粒子内の隙間に、リチウムと合金化しない金属材料を有しているのが好ましい。金属材料を介して複数の負極活物質粒子が結着されると共に、上記した隙間に金属材料が存在することで負極活物質層2の膨張および収縮が抑制されるため、負極が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合にサイクル特性が向上するからである。
この金属材料は、例えば、リチウムと合金化しない金属元素を構成元素として有している。このような金属元素としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛および銅からなる群のうちの少なくとも1種が挙げられ、中でもコバルトが好ましい。上記した隙間に金属材料が容易に入り込みやすいと共に、優れた結着機能が得られるからである。もちろん、金属材料は、上記以外の他の金属元素を有していてもよい。ただし、ここで言う「金属材料」とは、単体に限らず、合金や金属化合物まで含む広い概念である。この金属材料は、例えば、気相法あるいは液相法によって形成されており、中でも電解鍍金法あるいは無電解鍍金法などの液相法が好ましく、電解鍍金法がより好ましい。上記した隙間に金属材料が入り込みやすくなると共に、その形成時間が短くて済むからである。
なお、負極活物質層2は、上記した酸化物含有膜あるいは金属材料のいずれか一方だけを有していてもよいし、双方を有していてもよい。ただし、二次電池などの電気化学デバイスのサイクル特性をより向上させるためには、双方を有しているのが好ましい。
ここで、図2〜図5を参照して、負極の詳細な構成について説明する。
まず、負極活物質層2が複数の負極活物質粒子と共に酸化物含有膜を有する場合について説明する。図2は本発明の負極の断面構造を模式的に表しており、図3は参考例の負極の断面構造を模式的に表している。なお、図2および図3では、負極活物質粒子が単層構造を有している場合を示している。
本発明の負極では、図2に示したように、例えば、蒸着法などの気相法によって負極集電体1上に負極材料が堆積されると、その負極集電体1上に複数の負極活物質粒子201が形成される。この場合には、負極集電体1の表面が粗面化され、その表面に複数の突起部(例えば、電解処理により形成された微粒子)が存在すると、負極活物質粒子201が上記した突起部ごとに厚さ方向に成長する。このため、複数の負極活物質粒子201が負極集電体1上において配列されると共に根元において負極集電体1に連結される。こののち、例えば、液相析出法などの液相法によって負極活物質粒子201の表面に酸化物含有膜202が形成されると、その酸化物含有膜202は負極活物質粒子201の表面をほぼ全体に渡って被覆する。特に、この場合には、負極活物質粒子201の頭頂部から根元に至る広い範囲が被覆されることになる。この酸化物含有膜202による広範囲な被覆状態は、その酸化物含有膜202が液相法によって形成された場合に得られる特徴である。すなわち、液相法によって酸化物含有膜202を形成すると、その被覆作用が負極活物質粒子201の頭頂部だけでなく根元まで広く及ぶため、その根元まで酸化物含有膜202によって被覆される。
これに対して、参考例の負極では、図3に示したように、例えば、気相法により複数の負極活物質粒子201が形成されたのち、蒸着法などの気相法によって酸化物含有膜203が形成されると、酸化物含有膜203は負極活物質粒子201の頭頂部だけを被覆する。この酸化物含有膜203による狭範囲な被覆状態は、その酸化物含有膜203が気相法によって形成された場合に得られる特徴である。すなわち、気相法によって酸化物含有膜203を形成すると、その被覆作用が負極活物質粒子201の頭頂部に及ぶものの根元まで及ばないため、その根元までは酸化物含有膜203によって被覆されない。
なお、図2では、気相法によって負極活物質層2が形成される場合について説明したが、焼結法などによって負極活物質層2が形成される場合においても同様に、複数の負極活物質粒子の表面をほぼ全体に渡って被覆するように酸化物含有膜が形成される。
次に、負極活物質層2が複数の負極活物質粒子と共にリチウムと合金化しない金属材料を有する場合について説明する。図4は負極の断面構造を拡大して表しており、(A)は走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)写真(二次電子像)、(B)は(A)に示したSEM像の模式絵である。図4では、複数の負極活物質粒子が粒子内に多層構造を有している場合を示している。
負極活物質粒子201が多層構造を有する場合には、その複数の負極活物質粒子201の密集構造、多層構造および表面構造に起因して、負極活物質層2中に複数の隙間204が生じている。この隙間204は、主に、発生原因に応じて分類された2種類の隙間204A,204Bを含んでいる。隙間204Aは、隣り合う負極活物質粒子201間に生じるものであり、隙間204Bは、負極活物質粒子201内の各階層間に生じるものである。
なお、負極活物質粒子201の露出面(最表面)には、空隙205が生じる場合がある。この空隙205は、負極活物質粒子201の表面にひげ状の微細な突起部(図示せず)が生じることに伴い、その突起部間に生じた空隙である。この空隙205は、負極活物質粒子201の露出面において、全体に渡って生じる場合もあれば、一部だけに生じる場合もある。ただし、上記したひげ状の突起部は、負極活物質粒子201の形成時ごとにその表面に生じるため、空隙205は、負極活物質粒子201の露出面だけでなく、各階層間にも生じる場合がある。
図5は負極の他の断面構造を表しており、図4に対応している。負極活物質層2は、隙間204A,204Bに、リチウムと合金化しない金属材料206を有している。この場合には、隙間204A,204Bのうちのいずれか一方だけに金属材料206を有していてもよいが、双方に金属材料206を有しているのが好ましい。より高い効果が得られるからである。
この金属材料206は、隣り合う負極活物質粒子201間の隙間204Aに入り込んでいる。詳細には、気相法などによって負極活物質粒子201が形成される場合には、上記したように、負極集電体1の表面に存在する突起部ごとに負極活物質粒子201が成長するため、隣り合う負極活物質粒子201間に隙間204Aが生じる。この隙間204Aは、負極活物質層2の結着性を低下させる原因となるため、その結着性を高めるために、上記した隙間204Aに金属材料206が充填されている。この場合には、隙間204Aの一部でも充填されていればよいが、その充填量が多いほど好ましい。負極活物質層2の結着性がより向上するからである。金属材料206の充填量は、20%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
また、金属材料206は、負極活物質粒子201内の隙間204Bに入り込んでいる。詳細には、負極活物質粒子201が多層構造を有する場合には、各階層間に隙間204Bが生じる。この隙間204Bは、上記した隙間204Aと同様に、負極活物質層2の結着性を低下させる原因となるため、その結着性を高めるために、上記した隙間204Bに金属材料206が充填されている。この場合には、隙間204Bの一部でも充填されていればよいが、その充填量が多いほど好ましい。負極活物質層2の結着性がより向上するからである。
なお、負極活物質層2は、最上層の負極活物質粒子201の露出面に生じるひげ状の微細な突起部(図示せず)が電気化学デバイスの性能に悪影響を及ぼすことを抑えるために、空隙205に金属材料206を有していてもよい。詳細には、気相法などによって負極活物質粒子201が形成される場合には、その表面にひげ状の微細な突起部が生じるため、その突起部間に空隙205が生じる。この空隙205は、負極活物質粒子201の表面積の増加を招き、その表面に形成される不可逆性の被膜の量も増加させるため、電極反応の進行度を低下させる原因となる可能性がある。したがって、電極反応の進行度の低下を抑えるために、上記した空隙205に金属材料206が埋め込まれている。この場合には、空隙205の一部でも埋め込まれていればよいが、その埋め込む量が多いほど好ましい。電極反応の進行度の低下がより抑えられるからである。図5において、最上層の負極活物質粒子201の表面に金属材料206が点在していることは、その点在箇所に上記した微細な突起部が存在していること表している。もちろん、金属材料206は、必ずしも負極活物質粒子201の表面に点在していなければならないわけではなく、その表面全体を被覆していてもよい。
特に、隙間204Bに入り込んだ金属材料206は、各階層における空隙205を埋め込む機能も果たしている。詳細には、負極活物質粒子201が複数回に渡って堆積される場合には、その堆積時ごとに負極活物質粒子201の表面に上記した微細な突起部が生じる。このことから、金属材料206は、各階層における隙間204Bに充填されているだけでなく、各階層における空隙205も埋め込んでいる。
確認までに、図4および図5では、負極活物質粒子201が多層構造を有しており、負極活物質層2中に隙間204A,204Bの双方が存在している場合について説明したため、負極活物質層2が隙間204A,204Bに金属材料206を有している。これに対して、負極活物質粒子201が単層構造を有しており、負極活物質層2中に隙間204Aだけが存在する場合には、負極活物質層2が隙間204Aだけに金属材料206を有することとなる。もちろん、空隙205は両者の場合において生じるため、いずれの場合においても空隙205に金属材料206を有する。
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、あるいはケチェンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。なお、導電剤は、導電性を有する材料であれば、金属材料あるいは導電性高分子などであってもよい。
結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムあるいはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
被膜3は、負極集電体1上に負極活物質層2が形成されたのち、その負極活物質層2上に形成されたものであり、金属塩基と共に、1級〜3級の鎖状アミンあるいは環状アミンを官能基として有するアミン系金属塩のうちの1種あるいは2種以上を含んでいる。この被膜3は、負極活物質層2の全面を覆うように設けられていてもよいし、その表面の一部を覆うように設けられていてもよい。また、被膜3の一部は、負極活物質層2の内部に入り込んでいてもよい。このアミン系金属塩を含むことにより、例えば、有機溶媒を含む電解質に溶出しにくくなると共に、電極反応時に、電解質などの他の物質と反応しにくくなる。このため、電極反応時においてリチウムイオンが吸蔵および放出されやすくなると共に、化学的安定性が向上する。よって、電解質を備えた二次電池などの電気化学デバイスに用いた場合、充放電時に、リチウムイオンが効率よく吸蔵および放出されると共に、電解質の分解が抑制されるため、サイクル特性が向上する。アミン系金属塩としては、式(1)〜式(3)で表されるアミン系金属塩のうちの少なくとも1種が好ましい。アミン系金属塩が特に式(1)〜式(3)に示した構造のうちのいずれかを有することにより、高い効果が得られるからである。
Figure 2010102848
(R1は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A1a1- は(a1)価のアニオン基であり、Z1は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された(b1+1)価の基であり、M1は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R1とZ1とは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R1同士も互いに結合して環状構造を形成してもよい。a1、b1、f1、g1およびe1は1以上の整数であり、c1は1以上3以下の整数であり、d1は0以上2以下の整数であり、(c1+d1)=3を満たす。)
Figure 2010102848
(R2〜R4は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A2a2- 、A3a3- およびA4a4- はそれぞれ(a2)価、(a3)価あるいは(a4)価のアニオン基であり、Z2〜Z4は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成されたそれぞれ(b2+1)価、(b3+1)価あるいは(b4+1)価の基であり、L1およびL2は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された2価の基であり、M2は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R2〜R4のうちのいずれか2つは互いに結合して環状構造を形成してもよい。a2〜a4、b2〜b4、f2、g2およびe2は1以上の整数であり、c2〜c4、d2〜d4およびn2は0以上の整数であり、(c2+d2)=2、(c3+d3)=2、(c4+d4)=1および(c2+c3+c4)≧1を満たす。)
Figure 2010102848
(R5およびR6は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された基であり、A5a5- は(a5)価のアニオン基であり、Z5は酸素、硫黄および水素からなる群より選択された元素と炭素とにより構成された(m1+b5)価の基であり、M3は1種あるいは2種以上の金属元素であり、a5、b5、e3、f3およびg3は1以上の整数であり、m1は2以上の整数である。)
式(1)に示したアミン系金属塩は、アニオン基(A1a1- )およびそのアニオン基とイオン結合した金属元素(M1)により構成された金属塩基を1つあるいは2つ以上(b1)有している。これと共に、この金属塩基が1級〜3級アミンの窒素原子に、(b1+1)価の基(Z1)を介して導入された構造を有している。式(1)中では、官能基としての1級〜3級アミンの数は1つである。すなわち、1級〜3級アミンの窒素原子に導入されるR1およびZ1では、その窒素原子と結合する構成元素は、カルボニル基を構成する炭素原子以外の炭素原子であれば任意である。このことは、式(2)中で説明したR2〜R4、Z2〜Z4およびL1,L2、ならびに式(3)中で説明したR5,R6およびZ5についても同様である。なお、式(1)中で説明したR1およびA1a1- を複数有する場合(d1=2,b1≧2)には、それぞれは同一であってもよいし、異なっていてもよい。このことは、式(1)中で説明したZ1についても同様である。また、式(1)中で説明したa1〜e1も同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(1)で説明したR1は、上記した基であれば任意である。式(1)中で説明したd1が1あるいは2の場合には、Z1と結合して環状構造を形成してもよいし、d1が2の場合には、R1同士が互いに結合して環状構造を形成して、環状アミン構造を有するようになってもよい。このR1としては、水素基の他、例えば、メチル基あるいはエチル基などのアルキル基や、シクロヘキサン基などのシクロアルキル基や、フェニル基などのアリール基や、アルキル鎖に水酸基(−OH)が導入された水酸基を有する基や、アルキル鎖にメルカプト基(−SH)が導入されたメルカプト基を有する基や、エーテル結合(−O−)を有する基や、スルフィド結合(−S−)を有する基や、ジスルフィド結合(−S−S−)を有する基などが挙げられる。
式(1)中で説明したA1a1- は、1価以上のアニオン基であれば、その価数(a1)や式(1)中に含まれる数(b1)は任意である。このアニオン基としては、例えば、カルボン酸イオン基(−CO2 -)、スルホン酸イオン基(−SO3 -)、スルフィン酸イオン基(−SO2 -)、ホスホン酸イオン基(−PO3 2- )あるいはホスフィン酸イオン基(−PO2 -)などが挙げられる。中でも、カルボン酸イオン基あるいはスルホン酸イオン基が好ましく、特に、スルホン酸イオン基が好ましい。高い効果が得られるからである。また、このアニオン基の数(b1)は2以上であるのが好ましい。高い効果が得られるからである。
式(1)中で説明したZ1は、1級〜3級アミンの窒素原子とアニオン基とを連結する連結基であり、上記した構成元素により構成された2価の基であれば任意である。このZ1は、式(1)中にR1が存在する場合には、そのR1と結合して環状構造を形成し、環状アミン構造を有するようになってもよい。また、Z1が環状構造を有していてもよい。このZ1としては、例えば、2価の基の場合(すなわち、アニオン基を1つ有する場合)には、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、水酸基を有する2価の基、カルボン酸エステル結合(−C(=O)−O−)を有する2価の基、メルカプト基を有する2価の基、スルフィド結合を有する2価の基あるいはジスルフィド結合を有する2価の基などが挙げられる。また、2価以上の場合には、上記した2価の基中の水素が1つあるいは2つ以上脱離した構造の基などが挙げられる。
式(1)中で説明したM1は、金属元素であれば、1種で構成されていてもよいし、2種で構成されていてもよい。この金属元素としては、例えば、長周期型周期表における1族元素であるアルカリ金属元素や、2族元素でありマグネシウムおよびベリリウムを含むアルカリ土類金属元素や、3族〜11族元素の遷移元素や、その他13族〜16族の金属元素などが挙げられる。中でも、アルカリ金属元素あるいはアルカリ土類金属元素であるのが好ましく、アルカリ金属元素の中では、リチウムが好ましい。電極反応物質がリチウムイオンの場合には、特に、高い効果が得られるからである。なお、ここでの「アルカリ土類金属」とは、上記したように、ベリリウム(Be)およびマグネシウムを含むものであり、長周期型周期表における2族元素のことをいう。
このような式(1)に示したアミン系金属塩としては、式(1−1)〜式(1−39)で表される金属塩などが挙げられる。すなわち、式(1−1)〜(1−17)に示した、1つのカルボン酸イオン基あるいはスルホン酸イオン基と共に1級アミン(−NH2 )を有するリチウム塩である。式(1−18),式(1−19)に示したスルホン酸イオン基と共に2級アミンを有するリチウム塩である。式(1−20)に示したR1とZ1とが結合した環状構造およびスルホン酸イオン基と共に2級アミンを有するリチウム塩である。式(1−21)〜式(1−23)に示した1つのスルホン酸イオン基と共に3級アミンを有するリチウム塩である。式(1−24)に示したR1同士が結合して形成された環状構造および1つのスルホン酸基と共に3級アミンを有するリチウム塩である。式(1−25)〜式(1−34)に示した2以上のカルボン酸イオン基あるいはスルホン酸イオン基と共にアミンを有するリチウム塩である。式(1−35),式(1−36)に示したマグネシウム塩あるいはアルミニウム塩や、式(1−37)〜式(1−39)のホスホン酸イオン基、ホスフィン酸イオン基あるいはスルフィン酸イオン基を有するリチウム塩などである。なお、上記した式(1)の構造を含んでいれば、式(1−1)〜式(1−39)に示した金属塩に限定されない。例えば、スルホン酸イオン基の代わりにカルボン酸イオン基を有する金属塩であってもよいし、カルボン酸イオン基の代わりにスルホン酸イオン基を有する金属塩であってもよく、他のアニオン基を有していてもよい。
Figure 2010102848
Figure 2010102848
Figure 2010102848
また、式(2)に示したアミン系金属塩は、官能基としての2以上の1級〜3級のアミンが2価の基(L1,L2)を介して連結した構造を有している。また、式(2)では、この構造と共に、1あるいは2以上の金属塩基がそのアミンを形成する窒素原子のうちの1つに連結基(Z2〜Z4)を介して導入された構造を有している。
式(2)で説明したR2〜R4は、上記した基であれば任意であり、それらは同一であってもよいし異なっていてもよい。また、R2〜R4では、式(2)中で説明したd2〜d4のうちのいずれか2つ以上が1あるいは2の場合には、R2〜R4のうちのいずれか2つは互いに結合して環状構造を形成してもよい。このようなR2〜R4としては、式(1)中のR1と同様の基などが挙げられる。
式(2)中で説明したA2a2- 、A3a3- およびA4a4- は、式(1)中のアニオン基と同様に1価あるいは2価以上のアニオン基であれば任意である。また、式(2)中に含まれる数(b2〜b4)は、それらの合計が1以上であれば任意である。このアニオン基としては、例えば、式(1)中のアニオン基と同様の基が挙げられる。また、式(2)中においても式(1)と同様に、アニオン基の種類は、中でも、カルボン酸イオン基あるいはスルホン酸イオン基が好ましく、特に、スルホン酸イオン基が好ましい。また、アニオン基の合計の数(b2+b3+b4)は2以上であるのが好ましい。いずれの場合においても、高い効果が得られるからである。
式(2)中で説明したZ2〜Z4は、アミンを形成する窒素原子とアニオン基とを連結する連結基であり、式(1)中のZ1と同様の基が挙げられる。
式(2)中で説明したL1およびL2は、アミンを形成する2つ以上の窒素原子の間を連結する連結基であり、酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された2価の基であれば任意である。
式(2)中で説明したM2は、式(1)中のM1と同様に、金属元素であれば、1種で構成されていてもよいし、2種で構成されていてもよい。中でも、アルカリ金属元素あるいはアルカリ土類金属元素であるのが好ましく、アルカリ金属元素の中では、リチウムが好ましい。式(1)中のM1が上記した金属元素である場合と同様の理由からである。
このような式(2)に示したアミン系金属塩としては、式(2−1)〜式(2−12)で表される金属塩などが挙げられる。すなわち、式(2−1)〜(2−3)に示した、n2=0であり、R2およびR3が結合して環状構造を形成し、かつ1つのスルホン酸イオン基を有するリチウム塩である。式(2−4),式(2−5)に示した、n2=0であり、R2およびR3が結合して環状構造を形成し、かつ2つのスルホン酸イオン基あるいはカルボン酸イオン基を有するリチウム塩である。式(2−6)〜式(2−8)に示した、n2=0であり、かつ3つあるいは4つのカルボン酸イオン基を有するリチウム塩である。式(2−9)に示したn2=1であり、かつ5つのカルボン酸イオン基を有するリチウム塩である。式(2−10)に示した、n2=0であり、かつ4つのカルボン酸イオン基を有するナトリウム塩である。式(2−11)に示した、n2=0であり、かつ4つのカルボン酸イオン基を有するナトリウム・マグネシウム塩である。式(2−11)に示した、n2=0であり、R2およびR3が結合して環状構造を形成し、かつ1つのホスホン酸イオン基を有するリチウム塩である。なお、上記した式(2)の構造を含んでいれば、式(2−1)〜式(2−12)に示した金属塩に限定されない。例えば、スルホン酸イオン基の代わりにカルボン酸イオン基を有する金属塩であってもよいし、カルボン酸イオン基の代わりにスルホン酸イオン基を有する金属塩であってもよく、他のアニオン基を有していてもよい。また、アミンを4つ以上連結したものでもよい。
Figure 2010102848
Figure 2010102848
Figure 2010102848
また、式(3)に示したアミン系金属塩は、2以上の1級〜3級アミンが連結基(Z5)により連結した構造と共に、1つあるいは2つ以上の金属塩基がその連結基(Z5)に導入された構造を有している。
式(3)で説明したR5,R6は、上記した基であれば任意であり、それらは同一であってもよいし異なっていてもよい。このようなR5,R6としては、式(1)中のR1と同様の基などが挙げられる。
式(3)中で説明したA5a5- は、式(1)中のアニオン基と同様に1価あるいは2価以上のアニオン基であれば任意である。また、式(3)中に含まれる数(b5)は、それらの合計が1以上であれば任意である。このアニオン基としては、例えば、式(1)中のアニオン基と同様の基が挙げられる。また、式(3)中においても式(1)と同様に、アニオン基の種類は、中でも、カルボン酸イオン基あるいはスルホン酸イオン基が好ましく、特に、スルホン酸イオン基が好ましい。また、アニオン基の数(b5)は2以上であるのが好ましい。いずれの場合においても、高い効果が得られるからである。
式(3)中で説明したZ5は、アミンを形成する窒素原子とアニオン基とを連結する連結基であり、式(1)中のZ1と同様の基が挙げられる。
式(3)中で説明したM3は、式(1)中のM1と同様に、金属元素であれば、1種で構成されていてもよいし、2種で構成されていてもよいが、中でも、アルカリ金属元素あるいはアルカリ土類金属元素であるのが好ましく、特に、リチウムが好ましい。式(1)中のM1が上記した金属元素である場合と同様の理由からである。
このような式(3)に示したアミン系金属塩としては、式(3−1)〜式(3−6)で表される金属塩などが挙げられる。すなわち、式(3−1)〜(3−4)に示した、2つの1級アミンと共に、2つのカルボン酸イオン基あるいはスルホン酸イオン基を有するリチウム塩である。また、式(3−5)に示した、2つの1級アミンと共に、2つのカルボン酸イオン基を有するマグネシウム塩である。また、式(3−6)に示した、2つの1級アミンと共に、2つのホスホン酸イオン基を有するリチウム塩である。なお、上記した式(3)の構造を含んでいれば、式(3−1)〜式(3−6)に示した金属塩に限定されない。例えば、スルホン酸イオン基の代わりにカルボン酸イオン基を有する金属塩であってもよいし、カルボン酸イオン基の代わりにスルホン酸イオン基を有する金属塩であってもよく、他のアニオン基を有していてもよい。また、官能基としてのアミンを3つ以上有するものでもよいし、そのアミンも2級でもよいし、3級でもよい。
Figure 2010102848
また、被膜3は、上記した化合物の他に、他の化合物を含んでいてもよく、例えば、アルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩(ただし、上記した式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩に該当するものを除く)を含有していてもよい。被膜抵抗が抑えられるため、負極が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、サイクル特性がより向上するからである。
このようなアルカリ金属塩あるいはアルカリ土類金属塩としては、例えば、アルカリ金属元素あるいはアルカリ土類金属元素の炭酸塩、ハロゲン化物塩、ホウ酸塩、リン酸塩あるいはスルホン酸塩などが挙げられる。具体的には、例えば、炭酸リチウム(Li2 CO3 )、フッ化リチウム(LiF)、四ホウ酸リチウム(Li2 4 7 )、メタホウ酸リチウム(LiBO2 )、ピロリン酸リチウム(Li4 2 7 )、トリポリリン酸リチウム(Li5 3 10)、オルトケイ酸リチウム(Li4 SiO4 )、メタケイ酸リチウム(Li2 SiO3 )、エタンジスルホン酸二リチウム、プロパンジスルホン酸二リチウム、スルホ酢酸二リチウム、スルホプロピオン酸二リチウム、スルホブタン酸二リチウム、スルホ安息香酸二リチウム、コハク酸二リチウム、スルホコハク酸三リチウム、スクエア酸二リチウム、エタンジスルホン酸マグネシウム、プロパンジスルホン酸マグネシウム、スルホ酢酸マグネシウム、スルホプロピオン酸マグネシウム、スルホブタン酸マグネシウム、スルホ安息香酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、二スルホコハク酸三マグネシウム、エタンジスルホン酸カルシウム、プロパンジスルホン酸カルシウム、スルホ酢酸カルシウム、スルホプロピオン酸カルシウム、スルホブタン酸カルシウム、スルホ安息香酸カルシウム、コハク酸カルシウム、あるいは二スルホコハク酸三カルシウムなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
被膜3を形成する方法は、例えば、塗布法、浸漬法あるいはディップコーティング法などの液相法や、蒸着法、スパッタ法あるいはCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法などの気相法が挙げられる。これらの方法については、単独で用いてもよいし、2種以上の方法を併用してもよい。中でも、液相法として、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちのいずれか1種あるいは2種以上を含む溶液を用いて被膜3を形成するのが好ましい。具体的には、例えば、浸漬法では、アミン系金属塩を含む溶液中に、負極活物質層2が形成された負極集電体1を浸漬し、あるいは塗布法では、アミン系金属塩を含む溶液を負極活物質層2の表面に塗布する。高い化学的安定性を有する良好な被膜3が容易に形成されるからである。式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩を溶解させる溶媒としては、例えば、水などの極性の高い溶媒が挙げられる。
この負極は、例えば、以下の手順によって製造される。
まず、負極集電体1の両面に、負極活物質層2を形成する。この負極活物質層2を形成する場合には、蒸着法などの気相法によって負極集電体1の表面に負極材料を堆積させて、複数の負極活物質粒子を形成する。続いて、必要に応じて、液相析出法などの液相法によって酸化物含有膜を形成し、あるいは電解鍍金法などの液相法によって金属材料を形成する。最後に、負極活物質層2の表面に、被膜3を形成する。この被膜3を形成する場合には、例えば、上記したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む溶液として、例えば、1重量%以上5重量%以下の濃度の溶液を準備する。こののち、負極活物質層2が形成された負極集電体1を溶液中に数秒間浸漬したのちに引き上げ、乾燥する。あるいは、上記した溶液を準備し、それを負極活物質層2の表面に塗布して乾燥させる。これにより、負極が完成する。
この負極およびその製造方法によれば、負極活物質層2の上に、上記したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜3を有するので、その被膜を形成しない場合と比較して、負極の化学的安定性が向上する。したがって、負極が二次電池などの電気化学デバイスに用いられた場合に、負極において、リチウムイオンが被膜3を効率よく通過し、良好に吸蔵および放出される。加えて、この際、負極が他の物質(例えば二次電池における電解液)と反応しにくくなる。このため、サイクル特性の向上に寄与することができる。この場合、被膜3が式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含むようにすれば、高い効果を得ることができる。また、この場合には、上記したアミン系金属塩を含む溶液を用いて被膜3を形成し、具体的には、浸漬処理あるいは塗布処理などの簡単な処理を用いれば、減圧環境などの特殊な環境条件を要する方法を用いる場合と比較して、良好な被膜3を簡単に形成することができる。
負極活物質が複数の粒子状であり、負極活物質層がその負極活物質の表面を被覆する酸化物含有膜を含むようにすれば、より高い効果を得ることができる。また、負極活物質が複数の粒子状であり、負極活物質層がその内部の隙間にリチウムと合金化しない金属材料を含むようにすれば、より高い効果を得ることができる。
特に、負極が負極活物質としてケイ素やスズなどの高容量材料を含む場合においてサイクル特性がより向上するため、負極活物質として炭素材料などを含む場合よりも高い効果を得ることができる。
ちなみに、「背景技術」に記載した特許文献6(特開平08−298136号公報)には、アルギン酸やアスパラギン酸のリチウム塩などの有機酸金属塩を含む負極を用いることにより、高い放電容量や、良好な安全性が得られることが示されている。しかしながら、この特許文献6では、負極は、負極活物質と有機酸金属塩とを混合して材料を用いて負極活物質層を形成している。すなわち、負極活物質層中には、有機酸金属塩が含まれているが、負極活物質層上に、有機酸金属塩を含む被膜が形成されたものではない。このため、有機酸金属塩の導電性は低いので、その有機酸金属塩を含む負極活物質層では、抵抗が増大しやすくなる。したがって、本発明の負極と同様の作用効果(電極反応物質を効率よく吸蔵および放出されると共に、電解質などの他の物質と反応しにくくなること)は得られないものと考えられる。
次に、上記した負極の使用例について説明する。ここで、電気化学デバイスの一例として二次電池を例に挙げると、負極は以下のように用いられる。
[2.二次電池]
[2−1.(第1の二次電池)]
図6および図7は第1の二次電池の断面構成を表しており、図7では図6に示した巻回電極体20の一部を拡大して示している。ここで説明する二次電池は、例えば、負極22の容量がリチウムイオンの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。
この二次電池は、主に、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、セパレータ23を介して正極21と負極22とが巻回された巻回電極体20と、一対の絶縁板12,13とが収納されたものである。この電池缶11を含む電池構造は、円筒型と呼ばれている。
電池缶11は、例えば、鉄、アルミニウムあるいはそれらの合金などの金属材料によって構成されており、その一端部は閉鎖されていると共に他端部は開放されている。一対の絶縁板12,13は、巻回電極体20を挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、その内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)16とがガスケット17を介してかしめられて取り付けられている。これにより、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料によって構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されている。この安全弁機構15では、内部短絡、あるいは外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板15Aが反転して電池蓋14と巻回電極体20との間の電気的接続が切断されるようになっている。熱感抵抗素子16は、温度の上昇に応じた抵抗の増大によって電流を制限し、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料によって構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には、センターピン24が挿入されていてもよい。この巻回電極体20では、アルミニウムなどの金属材料によって構成された正極リード25が正極21に接続されていると共に、ニッケルなどの金属材料によって構成された負極リード26が負極22に接続されている。正極リード25は、安全弁機構15に溶接されて電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は、電池缶11に溶接されて電気的に接続されている。
正極21は、例えば、一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。この正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケル、あるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。なお、正極活物質層21Bは、正極活物質を含んでおり、必要に応じて結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。このリチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、リチウム含有化合物が好ましい。高いエネルギー密度が得られるからである。このリチウム含有化合物としては、例えば、リチウムと遷移金属元素とを構成元素として有する複合酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを構成元素として有するリン酸化合物などが挙げられる。中でも、遷移金属元素としてコバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄のうちの少なくとも1種を有するものが好ましい。より高い電圧が得られるからである。その化学式は、例えば、Lix M1O2 あるいはLiy M2PO4 で表される。式中、M1およびM2は、1種類以上の遷移金属元素を表す。xおよびyの値は、充放電状態により異なり、通常、0.05≦x≦1.10、0.05≦y≦1.10である。
リチウムと遷移金属元素とを有する複合酸化物としては、例えば、リチウムコバルト複合酸化物(Lix CoO2 )、リチウムニッケル複合酸化物(Lix NiO2 )、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(Lix Ni1-z Coz 2 (z<1))、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Lix Ni(1-v-w) Cov Mnw 2 (v+w<1))、あるいはスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2 4 )などが挙げられる。中でも、コバルトを有する複合酸化物が好ましい。高い電池容量が得られると共に、優れたサイクル特性も得られるからである。また、リチウムコバルト複合酸化物としては、コバルトの一部をアルミニウムおよびマグネシウム(Mg)に置き換えた複合酸化物(LiCo(1-j-k) Alj Mgk 2 (0<j<0.1、0<k<0.1))などが挙げられる。さらに、リチウムと遷移金属元素とを有するリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4 )あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1-u Mnu PO4 (u<1))などが挙げられる。
この他、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物や、セレン化ニオブなどのカルコゲン化物や、硫黄、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。
もちろん、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、上記以外のものであってもよい。また、一連の正極材料は、任意の組み合わせで2種類以上混合されてもよい。
負極22は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bおよび被膜22Cが設けられたものである。負極集電体22A、負極活物質層22Bおよび被膜22Cの構成は、それぞれ上記した負極における負極集電体1、負極活物質層2および被膜3の構成と同様である。この負極22では、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量が正極21の充電容量よりも大きくなっているのが好ましい。満充電時においても、負極22にリチウムがデンドライトとなって析出する可能性が低くなるからである。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡(ショート)を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などによって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。中でも、ポリオレフィン製の多孔質膜は、ショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による二次電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。特に、ポリエチレンは、100℃以上160℃以下でシャットダウン効果を得ることができると共に、電気化学的安定性が優れているので好ましい。また、ポリプロピレンも好ましく、他にも化学的安定性を備えた樹脂であれば、ポリエチレンあるいはポリプロピレンと共重合させたものや、ブレンド化したものであってもよい。
このセパレータ23には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒は、例えば、有機溶剤などの非水溶媒のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。以下で説明する一連の溶媒は、任意に組み合わされてもよい。
この非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチルあるいはジメチルスルホキシドなどが挙げられる。中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチルおよび炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。優れた電池容量、サイクル特性および保存特性が得られるからである。この場合には、特に、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するため、より高い効果が得られるからである。
特に、溶媒は、式(4)で表されるハロゲンを構成元素として有する鎖状炭酸エステルおよび式(5)で表されるハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含んでいるのが好ましい。充放電時において負極22の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応が抑制されるからである。
Figure 2010102848
(R11〜R16は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
Figure 2010102848
(R17〜R20は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
なお、式(4)中で説明したR11〜R16は、同一でもよいし、異なってもよい。このことは、式(5)中で説明したR17〜R20についても同様である。ハロゲンの種類は、特に限定されないが、例えば、フッ素、塩素および臭素からなる群のうちの少なくとも1種が挙げられ、中でも、フッ素が好ましい。高い効果が得られるからである。もちろん、他のハロゲンであってもよい。
ハロゲンの数は、1つよりも2つが好ましく、さらに3つ以上であってもよい。保護膜を形成する能力が高くなり、より強固で安定な保護膜が形成されるため、電解液の分解反応がより抑制されるからである。
式(4)に示したハロゲンを有する鎖状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸フルオロメチルメチル、炭酸ビス(フルオロメチル)あるいは炭酸ジフルオロメチルメチルなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
式(5)に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルとしては、例えば、式(5−1)〜式(5−21)で表される一連の化合物が挙げられる。すなわち、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、テトラクロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ビストリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−5−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−(1,1−ジフルオロエチル)−4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジクロロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−5−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4,5,5−トリフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
Figure 2010102848
Figure 2010102848
中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンあるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましく、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンがより好ましい。特に、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンとしては、シス異性体よりもトランス異性体が好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。
また、溶媒は、式(6)〜式(8)で表される不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。充放電時において負極22の表面に安定な保護膜が形成されるため、電解質の分解反応が抑制されるからである。
Figure 2010102848
(R21およびR22は水素基あるいはアルキル基である。)
Figure 2010102848
(R23〜R26は水素基、アルキル基、ビニル基あるいはアリル基であり、それらのうちの少なくとも1つはビニル基あるいはアリル基である。)
Figure 2010102848
(R27はアルキレン基である。)
式(6)に示した不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸ビニレン系化合物である。この炭酸ビニレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸メチルビニレン(4−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸エチルビニレン(4−エチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オン、あるいは4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソール−2−オンなどが挙げられ、中でも炭酸ビニレンが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。
式(7)に示した不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸ビニルエチレン系化合物である。炭酸ビニルエチレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニルエチレン(4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−n−プロピル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられ、中でも炭酸ビニルエチレンが好ましい。容易に入手可能であると共に、高い効果が得られるからである。もちろん、R23〜R26としては、全てがビニル基でもよいし、全てがアリル基でもよいし、ビニル基とアリル基とが混在していてもよい。
式(8)に示した不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルは、炭酸メチレンエチレン系化合物である。炭酸メチレンエチレン系化合物としては、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4,4−ジエチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。この炭酸メチレンエチレン系化合物としては、1つのメチレン基を有するもの(式(8)に示した化合物)の他、2つのメチレン基を有するものであってもよい。
なお、不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルとしては、式(6)〜式(8)に示したものの他、ベンゼン環を有する炭酸カテコール(カテコールカーボネート)などであってもよい。
また、溶媒は、スルトン(環状スルホン酸エステル)を含んでいてもよい。電解質の化学的安定性がより向上するからである。スルトンとしては、例えば、プロパンスルトンあるいはプロペンスルトンなどが挙げられ、中でも、プロペンスルトンが好ましい。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。溶媒中におけるスルトンの含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
さらに、溶媒は、酸無水物を含んでいてもよい。電解液の化学的安定性がより向上するからである。酸無水物としては、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸あるいは無水マレイン酸などのカルボン酸無水物や、無水エタンジスルホン酸あるいは無水プロパンジスルホン酸などのジスルホン酸無水物や、無水スルホ安息香酸、無水スルホプロピオン酸あるいは無水スルホ酪酸などのカルボン酸とスルホン酸との無水物などが挙げられ、中でも、無水コハク酸あるいは無水スルホ安息香酸が好ましい。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。溶媒中における酸無水物の含有量は、例えば、0.5重量%以上5重量%以下である。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩のいずれか1種類あるいは2種類以上を含有している。以下で説明する一連の電解質塩は、任意に組み合わせてもよい。
リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、六フッ化ヒ酸リチウム、テトラフェニルホウ酸リチウム(LiB(C6 5 4 )、メタンスルホン酸リチウム(LiCH3 SO3 )、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、テトラクロロアルミン酸リチウム(LiAlCl4 )、六フッ化ケイ酸二リチウム(Li2 SiF6 )、塩化リチウム(LiCl)、あるいは臭化リチウム(LiBr)などが挙げられる。
中でも、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウムおよび六フッ化ヒ酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種が好ましく、六フッ化リン酸リチウムがより好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
この電解質塩は、式(9)〜式(11)で表される化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいるのが好ましい。上記した六フッ化リン酸リチウム等と一緒に用いられた場合に、より高い効果が得られるからである。なお、式(9)中で説明したR33は、同一でもよいし、異なってもよい。このことは、式(10)中で説明したR41〜R43および式(11)中で説明したR51およびR52についても同様である。
Figure 2010102848
(X31は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素、またはアルミニウム(Al)である。M31は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。R31はハロゲン基である。Y31は−(O=)C−R32−C(=O)−、−(O=)C−C(R33)2 −あるいは−(O=)C−C(=O)−である。ただし、R32はアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基あるいはハロゲン化アリーレン基である。R33はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基あるいはハロゲン化アリール基である。なお、a3は1〜4の整数であり、b3は0、2あるいは4であり、c3、d3、m3およびn3は1〜3の整数である。)
Figure 2010102848
(X41は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M41は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Y41は−(O=)C−(C(R41)2 b4−C(=O)−、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−C(=O)−、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−C(R43)2 −、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−S(=O)2 −、−(O=)2 S−(C(R42)2 d4−S(=O)2 −あるいは−(O=)C−(C(R42)2 d4−S(=O)2 −である。ただし、R41およびR43は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それぞれのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R42は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a4、e4およびn4は1あるいは2であり、b4およびd4は1〜4の整数であり、c4は0〜4の整数であり、f4およびm4は1〜3の整数である。)
Figure 2010102848
(X51は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M51は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Rfはフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基であり、いずれの炭素数も1〜10である。Y51は−(O=)C−(C(R51)2 d5−C(=O)−、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−C(=O)−、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−C(R52)2 −、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−S(=O)2 −、−(O=)2 S−(C(R51)2 e5−S(=O)2 −あるいは−(O=)C−(C(R51)2 e5−S(=O)2 −である。ただし、R51は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R52は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、そのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a5、f5およびn5は1あるいは2であり、b5、c5およびe5は1〜4の整数であり、d5は0〜4の整数であり、g5およびm5は1〜3の整数である。)
式(9)に示した化合物としては、例えば、式(9−1)〜式(9−6)で表される化合物などが挙げられる。式(10)に示した化合物としては、例えば、式(10−1)〜式(10−8)で表される化合物などが挙げられる。式(11)に示した化合物としては、例えば、式(11−1)で表される化合物などが挙げられる。なお、式(9)〜式(11)に示した構造を有する化合物であれば、式(9−1)〜式(9−6)、式(10−1)〜式(10−8)、および式(11−1)に示した化合物に限定されないことは言うまでもない。
Figure 2010102848
Figure 2010102848
Figure 2010102848
また、電解質塩は、式(12)〜式(14)で表される化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいるのが好ましい。上記した六フッ化リン酸リチウム等と一緒に用いられた場合に、より高い効果が得られるからである。なお、式(12)中で説明したmおよびnは、同一でもよいし、異なってもよい。このことは、式(14)中で説明したp、qおよびrについても同様である。
Figure 2010102848
(mおよびnは1以上の整数である。)
Figure 2010102848
(R61は炭素数が2以上4以下の直鎖状あるいは分岐状のパーフルオロアルキレン基である。)
Figure 2010102848
(p、qおよびrは1以上の整数である。)
式(12)に示した鎖状の化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 2 )、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(C2 5 SO2 2 )、(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C2 5 SO2 ))、(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C3 7 SO2 ))、あるいは(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )(C4 9 SO2 ))などが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
式(13)に示した環状の化合物としては、例えば、式(13−1)〜式(13−4)で表される一連の化合物が挙げられる。すなわち、式(13−1)の1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミドリチウム、式(13−2)の1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウム、式(13−3)の1,3−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウム、式(13−4)の1,4−パーフルオロブタンジスルホニルイミドリチウムなどである。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミドリチウムが好ましい。高い効果が得られるからである。
Figure 2010102848
式(14)に示した鎖状の化合物としては、例えば、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(LiC(CF3 SO2 3 )などが挙げられる。
電解質塩の含有量は、溶媒に対して0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下であるのが好ましい。この範囲外では、イオン伝導性が極端に低下する可能性があるからである。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
この二次電池は、例えば、以下の手順によって製造される。
まず、正極21を作製する。最初に、正極活物質と、結着剤と、導電剤とを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードあるいはバーコータなどによって正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などによって塗膜を圧縮成型して正極活物質層21Bを形成する。この場合には、圧縮成型を複数回に渡って繰り返してもよい。
また、上記した負極の作製手順と同様の手順により、負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bおよび被膜22Cを形成して負極22を作製する。
二次電池の組み立ては、以下のようにして行う。最初に、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などして取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などして取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21と負極22とを積層および巻回させて巻回電極体20を作製したのち、その巻回中心にセンターピン24を挿入する。続いて、一対の絶縁板12,13で挟みながら巻回電極体20を電池缶11の内部に収納すると共に、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接し、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接する。続いて、上記した電解液を電池缶11の内部に注入して、セパレータ23に含浸させる。最後に、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより、固定する。これにより、図6および図7に示した二次電池が完成する。
この円筒型の二次電池によれば、負極22が上記した負極と同様の構成を有しているので、その負極22の化学的安定性が向上する。これにより、負極22においてリチウムイオンが吸蔵および放出されやすくなると共に電解液の分解が抑制されるため、サイクル特性を向上させることができる。
この場合には、負極22が高容量化に有利なケイ素等(リチウムを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を有する材料)を含む場合にサイクル特性が向上するため、炭素材料などの他の負極材料を含む場合よりも高い効果を得ることができる。
また、電解質の溶媒が、式(4)に示したハロゲンを構成元素として有する鎖状炭酸エステルおよび式(5)に示したハロゲンを構成元素として有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種や、式(6)〜式(8)に示した不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種や、スルトンや、酸無水物を含んでいれば、より高い効果を得ることができる。
また、電解質の電解質塩が、六フッ化リン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、六フッ化ヒ酸リチウム、式(9)〜式(11)に示した化合物、および式(12)〜式(14)に示した化合物のうちの少なくとも1種を含んでいれば、より高い効果を得ることができる。
この二次電池およびその製造方法に関する他の効果は、上記した負極と同様である。
[2−2.(第2の二次電池)]
図8は第2の二次電池の分解斜視構成を表しており、図9は図8に示した巻回電極体30のIX−IX線に沿った断面を拡大して表し、図10は図9に示した巻回電極体30の一部を拡大して表している。
この二次電池は、例えば、上記した第1の二次電池と同様にリチウムイオン二次電池であり、主に、フィルム状の外装部材40の内部に、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30が収納されたものである。この外装部材40を含む電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、いずれも外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの金属材料によって構成されており、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。これらの金属材料は、例えば、薄板状あるいは網目状になっている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされたアルミラミネートフィルムによって構成されている。この外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体30と対向するように、2枚の矩形型のアルミラミネートフィルムの外縁部同士が融着あるいは接着剤によって互いに接着された構造を有している。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するために密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料によって構成されている。この種の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
なお、外装部材40は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムによって構成されていてもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムによって構成されていてもよい。
巻回電極体30は、セパレータ35および電解質層36を介して正極33と負極34とが積層されたのちに巻回されたものであり、その最外周部は保護テープ37によって保護されている。
正極33は、例えば、一対の面を有する正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。負極34は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、一対の面を有する負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bおよび被膜34Cが設けられたものである。正極集電体33Aおよび正極活物質層33Bの構成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体21Aおよび正極活物質層21Bの構成と同様である。また、負極集電体34A、負極活物質層34B、被膜34Cおよびセパレータ35の構成も、それぞれ上記した第1の二次電池における負極集電体22A、負極活物質層22B、被膜22Cおよびセパレータ23の構成と同様である。
電解質層36は、電解液と、それを保持する高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル状の電解質である。ゲル状の電解質は、高いイオン伝導率(例えば、室温で1mS/cm以上)が得られると共に漏液が防止されるので好ましい。
電解液を保持する高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドを含む架橋体あるいはポリプロピレンオキサイドなどのエーテル系高分子化合物や、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸あるいはポリメタクリル酸などのアクリレート系あるいはエステル系高分子化合物や、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレンあるいはポリヘキサフルオロプロピレンなどのフッ素系高分子化合物などが挙げられ、その他に、ポリアクリロニトリル、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレン、あるいはポリカーボネートなどが挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。中でも、高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系高分子化合物が好ましい。酸化還元安定性が高いため、電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、第1の二次電池における電解液の組成と同様である。ただし、この場合の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。したがって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質層36に代えて、電解液をそのまま用いてもよい。この場合には、電解液がセパレータ35に含浸される。
この二次電池では、第1の電池と同様に、正極33と負極34との間でリチウムイオンが吸蔵および放出される。すなわち、充電を行うと、例えば、正極33からリチウムイオンが放出され、電解質層36を介して負極34に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極34からリチウムイオンが放出され、電解質層36を介して正極33に吸蔵される。
ゲル状の電解質層36を備えた二次電池は、例えば、以下の3種類の方法によって製造される。
第1の製造方法では、最初に、例えば、上記した第1の二次電池における正極21の作製手順と同様の手順により、正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bを形成して正極33を作製する。また、例えば、上記した第1の二次電池における負極22の作製手順と同様の手順により、負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bおよび被膜34Cを形成して負極34を作製する。続いて、電解液と、それを保持する高分子化合物と、溶剤とを含む前駆溶液を調製して正極33および負極34に塗布したのち、溶剤を揮発させてゲル状の電解質層36を形成する。続いて、正極33に正極リード31を取り付けると共に、負極34に負極リード32を取り付ける。続いて、電解質層36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層させてから長手方向に巻回し、その最外周部に保護テープ37を接着させて巻回電極体30を作製する。最後に、例えば、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで接着させて巻回電極体30を封入する。この際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、図8〜図10に示した二次電池が完成する。
第2の製造方法では、最初に、正極33に正極リード31を取り付けると共に負極34に負極リード32を取り付ける。こののち、セパレータ35を介して正極33と負極34とを積層して巻回させると共に最外周部に保護テープ37を接着させて、巻回電極体30の前駆体である巻回体を作製する。続いて、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺の外周縁部を除いた残りの外周縁部を熱融着などで接着させて、袋状の外装部材40の内部に巻回体を収納する。続いて、電解液と、それを保持する高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製して袋状の外装部材40の内部に注入したのち、外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質層36を形成する。これにより、二次電池が完成する。
第3の製造方法では、最初に、高分子化合物が両面に塗布されたセパレータ35を用いることを除き、上記した第2の製造方法と同様に、巻回体を形成して袋状の外装部材40の内部に収納する。このセパレータ35に塗布する高分子化合物としては、例えば、フッ化ビニリデンを成分とする重合体、すなわち単独重合体、共重合体あるいは多元共重合体などが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデンや、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンを成分とする二元系共重合体や、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンおよびクロロトリフルオロエチレンを成分とする三元系共重合体などである。なお、高分子化合物は、上記したフッ化ビニリデンを成分とする重合体と共に、他の1種あるいは2種以上の高分子化合物を含んでいてもよい。続いて、電解液を調製して外装部材40の内部に注入したのち、その外装部材40の開口部を熱融着などで密封する。最後に、外装部材40に加重をかけながら加熱し、高分子化合物を介してセパレータ35を正極33および負極34に密着させる。これにより、電解液が高分子化合物に含浸し、その高分子化合物がゲル化して電解質層36が形成されるため、二次電池が完成する。
この第3の製造方法では、第1の製造方法と比較して、二次電池の膨れが抑制される。また、第3の製造方法では、第2の製造方法と比較して、高分子化合物の原料であるモノマーや溶媒などが電解質層36中にほとんど残らず、しかも高分子化合物の形成工程が良好に制御される。このため、正極33、負極34およびセパレータ35と電解質層36との間において十分な密着性が得られる。
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、負極34が上記した負極と同様の構成を有しているので、サイクル特性を向上させることができる。この二次電池に関する上記以外の効果は、第1の二次電池と同様である。
本発明の実施例について詳細に説明する。
(実験例1−1〜1−12)
以下の手順により、図8〜図10に示したラミネートフィルム型の二次電池を作製した。この際、負極34の容量がリチウムイオンの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池となるようにした。
まず、正極33を作製した。最初に、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを0.5:1のモル比で混合したのち、空気中において900℃×5時間の条件で焼成してリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。続いて、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物91質量部と、導電剤としてグラファイト6質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤とした。こののち、正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の正極合剤スラリーとした。続いて、バーコータによって帯状のアルミニウム箔(厚さ=12μm)からなる正極集電体33Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機によって圧縮成形して正極活物質層33Bを形成した。
次に、負極34を作製した。最初に、粗面化された電解銅箔からなる負極集電体34A(厚さ=10μm)を準備したのち、電子ビーム蒸着法によって負極集電体34Aの両面に負極活物質としてケイ素を堆積させて複数の負極活物質粒子を形成することにより、負極活物質層34Bを形成した。この負極集電体34Aの片面に形成する負極活物質層34Bの厚さは7μmとなるようにした。続いて、溶媒としての水に対して、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちのいずれか1種を、その含有量が3重量%となるように溶解させることにより、アミン系金属塩を含む水溶液を準備した。この場合には、アミン系金属塩として表1に示した金属塩をそれぞれ用いた。詳細には、実験例1−1〜1−4では、式(1)に示したアミン系金属塩である式(1−1)、式(1−25)、式(1−30)あるいは式(1−31)に示した金属塩を用いた。また、実験例1−5〜1−10では、式(2)に示したアミン系金属塩である式(2−1)、式(2−4)、式(2−5)、式(2−6)、式(2−10)あるいは式(2−11)に示した金属塩を用いた。さらに、実験例1−11,1−12では、式(3)に示したアミン系金属塩である式(3−1)あるいは式(3−2)に示した金属塩を用いた。最後に、負極活物質層34Bが形成された負極集電体34Aを溶液中に数秒間浸漬させてから引き上げたのち、60℃の減圧環境中において乾燥させ、負極活物質層34B上に被膜34Cを形成した。
次に、溶媒として炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを混合したのち、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を溶解させて、電解液を調製した。この際、溶媒の組成(EC:DEC)を重量比で30:70とし、六フッ化リン酸リチウムの含有量を溶媒に対して1mol/kgとした。
最後に、正極33および負極34と共に電解液を用いて二次電池を組み立てた。最初に、正極集電体33Aの一端にアルミニウム製の正極リード31を溶接すると共に、負極集電体34Aの一端にニッケル製の負極リード32を溶接した。続いて、正極33と、微多孔性ポリプロピレンフィルムからなるセパレータ35(厚さ=25μm)と、負極34とをこの順に積層してから長手方向に巻回させた。こののち、粘着テープからなる保護テープ37で巻き終わり部分を固定して、巻回電極体30の前駆体である巻回体を形成した。続いて、外側から順に、ナイロンフィルム(厚さ=30μm)、アルミニウム箔(厚さ=40μm)および無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ=30μm)が積層された3層構造のラミネートフィルム(総厚=100μm)からなる外装部材40の間に巻回体を挟み込んだ。こののち、この外装部材40の一辺を除く外縁部同士を熱融着して袋状にし、この内部に巻回体を収納した。続いて、外装部材40の開口部から電解液を注入してセパレータ35に含浸させて巻回電極体30を作製した。最後に、真空雰囲気中において外装部材40の開口部を熱融着して封止することにより、ラミネートフィルム型の二次電池が完成した。この二次電池については、負極34の充放電容量が正極33の充放電容量よりも大きくなるように正極活物質層33Bの厚さを調節することにより、満充電時において負極34にリチウム金属が析出しないようにした。
(実験例1−13)
被膜34Cを形成しなかったことを除き、実験例1−1〜1−12と同様の手順を経た。
これらの実験例1−1〜1−13の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表1に示した結果が得られた。
サイクル特性を調べる際には、23℃の雰囲気中において2サイクル充放電させて放電容量を測定し、引き続き同雰囲気中においてサイクル数の合計が100サイクルとなるまで充放電させて放電容量を測定した。これらの放電容量から、放電容量維持率(%)=(100サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。この際、1サイクルの充放電条件としては、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに達するまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で電流密度が0.02mA/cm2 に達するまで充電した。こののち、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで放電した。
なお、上記したサイクル特性を調べる際の手順および条件は、以降の一連の実験例についても同様である。
Figure 2010102848
表1に示したように、負極活物質としてケイ素を用いると共に気相法(電子ビーム蒸着法)を用いて負極活物質層34Bを形成した場合には、被膜34Cを形成した実験例1−1〜1−12では、それを形成しなかった実験例1−13よりも放電容量維持率が高くなった。この結果は、官能基としてアミンと共にアニオン基を有する金属塩を含む被膜34Cを形成することにより、充放電時に、負極34においてリチウムイオンが吸蔵および放出されやすくなると共に、電解液が分解されにくくなることを表している。すなわち、被膜34Cを形成することにより、負極34の化学的安定性が向上したものと考えられる。
この場合には、実験例1−1,1−2の比較、および実験例1−5,1−7の比較から、アミン系金属塩が有するアニオン基(カルボン酸イオン基あるいはスルホン酸イオン基)の数は、1つよりも2つ有すると、放電容量維持率が高くなる傾向を示した。この傾向は、実験例1−6と実験例1−8とを比較した場合においても同様であり、アニオン基の数が4つであっても、2つのものよりも放電容量維持率が高くなった。
ここでアニオン基の種類に着目すると、実験例1−2,1−3の比較および実験例1−6,1−7の比較から、カルボン酸イオン基を有する場合よりもスルホン酸イオン基を有する場合において放電容量維持率が高くなることがわかった。
さらに、金属塩を構成する金属元素の種類に着目すると、ナトリウム塩(実験例1−9)よりもリチウム塩(実験例1−8)の場合において、放電容量維持率が高くなった。また、その金属元素としてマグネシウムを含む場合(実験例1−11)において、それを含まない場合(実験例1−10)よりも放電容量維持率が高くなった。
これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質としてケイ素を用いると共に気相法を用いて負極活物質層34Bを形成した場合に、以下のことが確認された。すなわち、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜34Cを負極活物質層34B上に設けることにより、サイクル特性が向上する。この場合には、アミン系金属塩として、アニオン基を複数有する金属塩や、アニオン基がスルホン酸イオン基を含む金属塩や、金属元素がリチウムである金属塩を用いることにより、サイクル特性がより向上する。
(実験例2−1〜2−12)
電解液の溶媒としてECに代えて、式(5)に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルである4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を用いたことを除き、実験例1−1〜1−12と同様の手順を経た。
(実験例2−13〜2−24)
電解液の溶媒として、炭酸プロピレン(PC)および式(5)に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルである4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)を加えたことを除き、実験例2−1〜2−12と同様の手順を経た。この際、溶媒の組成(PC:FEC:DFEC:DEC)を重量比で10:10:10:70とした。
(実験例2−25,2−26)
被膜34Cを形成しなかったことを除き、実験例2−1,2−13と同様の手順を経た。
これらの実験例2−1〜2−26の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表2に示した結果が得られた。
Figure 2010102848
表2に示したように、溶媒としてFEC等を加えた場合においても、表1と同様の結果が得られた。すなわち、被膜34Cを形成した実験例2−1〜2−24では、それを形成しなかった実験例2−25,2−26よりも放電容量維持率が高くなった。この場合においても、アミン系金属塩が有するアニオン基の種類および数、ならびに金属元素の種類については、表1に示した結果と同様であった。
また、この場合には、FECを用いた実験例2−1〜2−24では、それを用いなかった実験例1−1〜1−12(表1参照)よりも放電容量維持率が高くなった。また、DFECを加えた実験例2−13〜2−24では、それを加えなかった実験例2−1〜2−12よりも放電容量維持率が高くなった。
これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質としてケイ素を用いると共に気相法を用いて負極活物質層34Bを形成した場合に、以下のことが確認された。すなわち、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜34Cを負極活物質層34B上に設けることにより、電解質の溶媒の組成を変更した場合においても、サイクル特性が向上する。この場合には、電解質の溶媒として、式(5)に示したハロゲンを有する環状炭酸エステルのうちの少なくとも1種を用いることにより、サイクル特性がより向上する。
(実験例3−1〜3−8)
電解液の組成を表3に示した組成となるように変更したことを除き、実験例2−7と同様の手順を経た。具体的には、実験例3−1では、溶媒として式(6)に示した不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステルである炭酸ビニレン(VC)を加え、溶媒中におけるVCの含有量を1重量%とした。これと同様に実験例3−2〜3−4では、溶媒としてスルトンであるプロペンスルトン(PRS)、または酸無水物である無水コハク酸(SCAH)あるいは無水2−スルホ安息香酸(SBAH)を加えた。また、実験例3−5では、電解質塩として、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )を加え、電解液中におけるLiPF6 の濃度を0.9mol/kg、LiBF4 の濃度を0.1mol/kgとした。これと同様にして実験例3−6〜3−8では、式(9)、式(12)あるいは式(13)に示した化合物である式(9−6)に示した化合物、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiTFSI)あるいは式(13−2)に示した化合物を加えた。
(実験例3−9〜3−16)
被膜34Cを形成しなかったことを除き、実験例3−1〜3−8と同様の手順を経た。
これらの実験例3−1〜3−16の二次電池について、サイクル特性を調べたところ、表3に示した結果が得られた。
Figure 2010102848
表3に示したように、電解液の溶媒としてVC等を加えた場合や電解質塩としてLiBF4 等を加えた場合においても、表1と同様の結果が得られた。すなわち、被膜34Cを形成した実験例3−1〜3−8では、それを形成しなかった実験例3−9〜3−16よりも放電容量維持率が高くなった。
この場合には、溶媒としてVC等を加えた実験例3−1〜3−4および電解質塩としてLiBF4 等を加えた実験例3−5〜3−8では、それらをいずれも加えなかった実験例2−7と比較して、放電容量維持率が同等になった。
これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質としてケイ素を用いると共に気相法を用いて負極活物質層34Bを形成した場合に、以下のことが確認された。すなわち、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜34Cを負極活物質層34B上に設けることにより、電解質の溶媒の組成や電解質塩の組成を変更した場合においても、サイクル特性が向上する。
(実験例4−1〜4−3)
負極活物質層34Bを形成する場合に、複数の負極活物質粒子を形成したのち、表4に示したように、酸化物含有膜および金属材料を形成したことを除き、実験例2−7と同様の手順を経た。酸化物含有膜を形成する場合には、液相析出法により負極活物質粒子の表面に酸化物含有膜としてケイ素の酸化物(SiO2 )を析出させた。詳細には、ケイフッ化水素酸にアニオン補足剤としてホウ素を溶解させた溶液中に、負極活物質粒子が形成された負極集電体34Aを3時間浸漬し、その負極活物質粒子の表面にケイ素の酸化物を析出させたのち、水洗して減圧乾燥した。また、金属材料を形成する場合には、電解鍍金法により金属材料としてコバルトの鍍金膜を成長させた。詳細には、鍍金浴にエアーを供給しながら通電して負極集電体34Aの表面にコバルトを堆積させた。この際、鍍金液として日本高純度化学株式会社製のコバルト鍍金液を用い、電流密度を2A/dm2 〜5A/dm2 とし、鍍金速度を10nm/秒とした。
(実験例4−4〜4−6)
被膜34Cを形成しなかったことを除き、実験例4−1〜4−3と同様の手順を経た。
これらの実験例4−1〜4−6の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表4に示した結果が得られた。
Figure 2010102848
表4に示したように、被膜34Cの形成前に酸化物含有膜や金属材料を形成した場合においても、表1の結果と同様の結果が得られた。すなわち、被膜34Cを形成した実験例4−1〜4−3では、それを形成しなかった実験例4−4〜4−6よりも、放電容量維持率が高くなった。
この場合には、酸化物含有膜あるいは金属材料を形成した実験例4−1〜4−3では、それらを形成しなかった実験例2−7よりも放電容量維持率が高くなった。この場合、実験例4−1〜4−3の比較から、酸化物含有膜あるいは金属材料のいずれか一方だけを形成した場合よりも双方を形成した場合において放電容量維持率が高くなる傾向を示した。
これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質としてケイ素を用いると共に気相法を用いて負極活物質層34Bを形成した場合に、以下のことが確認された。すなわち、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜34Cを負極活物質層34B上に設けることにより、負極活物質層34Bの構成を変更した場合においても、サイクル特性が向上する。この場合には、被膜34Cの形成前に酸化物含有膜あるいは金属材料を形成すれば、サイクル特性がより向上する。特に、酸化物含有膜あるいは金属材料を用いる場合には、酸化物含有膜および金属材料のうちのいずれか一方よりも双方においてサイクル特性がより高くなる。
(実験例5−1〜5−13)
気相法(電子ビーム蒸着法)に代えて、焼結法を用いて負極活物質層34Bを片面側の厚さが20μmとなるように形成したことを除き、実験例1−1〜1−13と同様の手順を経た。この負極活物質層34Bを形成する場合には、負極活物質としてケイ素(平均粒径(メジアン径)=1μm)95質量部と、結着剤としてポリイミド5質量部とを混合した負極合剤を調整した。この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の負極合剤スラリーとし、バーコータによって粗面化された電解銅箔(厚さ=18μm)からなる負極集電体34Aの両面に均一に塗布して乾燥させた。こののち、ロールプレス機によって圧縮成型し、真空雰囲気中において400℃×12時間の条件で加熱した。この場合においても、負極34の充放電容量が正極33の充放電容量よりも大きくなるように正極活物質層33Bの厚さを調整することにより、満充電時において負極34にリチウム金属が析出しないようにした。
(実験例5−14)
負極合剤に対して式(2−5)に示した金属塩を0.5質量部加えたことを除き、実験例4−13と同様の手順を経た。
これらの実験例5−1〜5−14の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表5に示した結果が得られた。
Figure 2010102848
表5に示したように、負極活物質としてケイ素を用いると共に焼結法を用いて負極活物質層34Bを形成した場合においても、表1と同様の結果が得られた。すなわち、被膜34Cを形成した実験例5−1〜5−12では、それを形成しなかった実験例5−13,5−14よりも放電容量維持率が高くなった。この場合においても、アミン系金属塩が有するアニオン基の種類および数、ならびに金属元素の種類については、表1に示した結果と同様であった。
この場合には、式(2−5)に示した金属塩を含む負極活物質層を形成した実験例5−14では、それを含まない実験例5−13よりも放電容量維持率が高くなった。しかしながら、式(2−5)に示した金属塩を含む被膜34Cを形成した実験例5−7よりも放電容量維持率は著しく低くなった。この結果は、負極活物質層34B上に被膜34Cを形成することにより、充放電時においてリチウムイオンの吸蔵および放出がより効率よく行われると共に、電解質の分解が抑制されることを表している。すなわち、負極活物質層34B上に被膜34Cを形成することが、負極34における化学的安定性の向上に効果的であることがわかった。
これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質としてケイ素を用いると共に焼結法を用いて負極活物質層34Bを形成した場合に、以下のことが確認された。すなわち、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜34Cを負極活物質層34B上に設けることにより、サイクル特性が向上する。
(実験例6−1〜6−14)
負極活物質としてケイ素に代えて、SnCoC含有材料を用いると共に塗布法により負極活物質層34Bを片面側の厚さが25μmとなるように形成したことを除き、実験例5−1〜5−14と同様の手順を経た。この負極活物質層34Bを形成する場合には、まず、スズ・コバルト合金粉末と、炭素粉末とを混合したのち、メカノケミカル反応を利用してSnCoC含有材料を合成した。この際に、得られたSnCoC含有材料の組成を分析したところ、スズの含有量は48質量%、コバルトの含有量は23質量%、炭素の含有量は20質量%、スズとコバルトとの合計に対するコバルトの割合(Co/(Sn+Co))は32質量%であった。SnCoC含有材料の組成を分析する場合には、炭素の含有量については炭素・硫黄分析装置を用いて測定し、スズおよびコバルトの含有量についてはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)発光分析を用いて測定した。また、得られたSnCoC含有材料をX線回折分析したところ、回折角2θ=20°〜50°の間に、回折角2θが1.0°以上の広い半値幅を有する回折ピークが観察された。続いて、負極活物質としてSnCoC含有材料粉末80質量部と、導電剤として黒鉛12質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン8質量部とを混合して負極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の負極合剤スラリーとした。最後に、銅箔(15μm厚)からなる負極集電体34Aに負極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型した。この場合においても、負極34の充放電容量が正極33の充放電容量よりも大きくなるように正極活物質層33Bの厚さを調整することにより、満充電時において負極34にリチウム金属が析出しないようにした。
(実験例6−15,6−16)
アミン系金属塩である式(1−1)に示した金属塩に代えて、その他の金属塩として酢酸リチウム(H3 C−CO2 Li;実験例6−15)あるいはシュウ酸ジリチウム(LiO2 C−CO2 Li;実験例6−16)を用いたことを除き、実験例6−1と同様の手順を経た。
これらの実験例6−1〜6−16の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表6に示した結果が得られた。
Figure 2010102848
表6に示したように、負極活物質としてSnCoC含有材料を用いると共に塗布法により負極活物質層34Bを形成した場合においても、表1の結果と同様の結果が得られた。すなわち、被膜34Cを形成した実験例6−1〜6−12では、それを形成しなかった実験例6−13,6−14よりも放電容量維持率が高くなった。また、式(2−5)に示した金属塩を含む負極活物質層を形成した実験例6−14では、放電容量維持率は、それを含まない実験例6−13よりも高くなったが、式(2−5)に示した金属塩を含む被膜34Cを形成した実験例6−7よりも著しく低くなった。この場合においても、アミン系金属塩が有するアニオン基の種類および数、ならびに金属元素の種類については、表1に示した結果と同様であった。
また、アミンを形成する窒素原子を含まない酢酸リチウム等を含む被膜を形成した実験例6−15,6−16では、放電容量維持率は、それを形成しなかった実験例6−13よりも高くなったが、アミン系金属塩を含む被膜34Cを形成した実験例6−1〜6−12よりも著しく低くなった。さらに、実験例6−15,6−16では、アミン系金属塩を含む負極活物質層を形成した実験例6−14よりも放電容量維持率が低くなった。この結果からも、アニオン基と共に官能基としてアミンを有する金属塩を含む被膜34Cを形成することにより、負極34の化学的安定性が向上したものと考えられる。
これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質としてSnCoC含有材料を用いると共に塗布法を用いて負極活物質層34Bを形成した場合に、以下のことが確認された。すなわち、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜34Cを負極活物質層34B上に設けることにより、サイクル特性が向上する。
(実験例7−1〜7−14)
負極活物質としてSnCoC含有材料に代えて、人造黒鉛を用いて負極活物質層34Bを片面側の厚さが65μmとなるように形成したことを除き、実験例6−1〜6−14と同様の手順を経た。この負極活物質層34Bを形成する際には、負極活物質として人造黒鉛粉末97質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して負極合剤を調整した。この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてペースト状の負極合剤スラリーとし、バーコータによって銅箔(厚さ=15μm)からなる負極集電体34Aの両面に均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機によって圧縮成型した。この場合においても、負極34の充放電容量が正極33の充放電容量よりも大きくなるように正極活物質層33Bの厚さを調整することにより、満充電時において負極34にリチウム金属が析出しないようにした。
これらの実験例7−1〜7−14の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表7に示した結果が得られた。
Figure 2010102848
表7に示したように、負極活物質として人造黒鉛を用いると共に塗布法により負極活物質層34Bを形成した場合においても、表1の結果と同様の結果が得られた。すなわち、被膜34Cを形成した実験例7−1〜7−12では、それを形成しなかった実験例7−13,7−14よりも放電容量維持率が高くなった。また、式(2−5)に示した金属塩を含む負極活物質層を形成した実験例7−14では、放電容量維持率は、それを含まない実験例7−13よりも高くなったが、式(2−5)に示した金属塩を含む被膜34Cを形成した実験例7−7よりも著しく低くなった。この場合においても、アミン系金属塩が有するアニオン基の種類および数、ならびに金属元素の種類については、表1に示した結果と同様であった。
これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質として人造黒鉛を用いると共に塗布法を用いて負極活物質層34Bを形成した場合に、以下のことが確認された。すなわち、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜34Cを負極活物質層34B上に設けることにより、サイクル特性が向上する。
上記した表1〜表7の結果から、本発明の二次電池では、負極活物質層上に、式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む被膜を設けることにより、電解質の組成や、負極活物質の種類あるいは負極活物質層の形成方法などに依存せずに、サイクル特性が向上することが確認された。この場合には、負極活物質として炭素材料を用いた場合よりも、ケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を構成元素として含む材料を用いた場合において、放電容量維持率の増加率が大きくなった。この結果は、負極活物質として高容量化に有利なケイ素等を用いると、炭素材料を用いる場合よりも電解質が分解しやすくなるため、被膜により負極の化学的安定性が向上することによって電解液の分解抑制効果が際立って発揮されたものと考えられる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本発明の負極の使用用途は、必ずしも二次電池に限らず、二次電池以外の他の電気化学デバイスであっても良い。他の用途としては、例えば、キャパシタなどが挙げられる。
また、上記した実施の形態および実施例では、二次電池の種類として、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の二次電池は、リチウムイオンを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極の充電容量よりも小さくすることにより、負極の容量がリチウムイオンの吸蔵および放出に伴う容量とリチウムの析出および溶解に伴う容量とを含み、かつ、それらの容量の和によって表される二次電池についても、同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、本発明の二次電池の電解質として、電解液や、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状電解質を用いる場合について説明したが、他の種類の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、イオン伝導性セラミックス、イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などのイオン伝導性無機化合物と電解液とを混合したものや、他の無機化合物と電解液とを混合したものや、これらの無機化合物とゲル状電解質とを混合したものや、電解質塩とイオン伝導性の高分子化合物とを混合した固体電解質などが挙げられる。
また、上記した実施の形態および実施例では、電池構造が円筒型およびラミネートフィルム型である場合、ならびに電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の二次電池は、角型、コイン型およびボタン型などの他の電池構造を有する場合や、電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合についても同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムイオンを用いる場合について説明したが、ナトリウムあるいはカリウムなどの他の1族元素や、マグネシウムあるいはカルシウムなどの2族元素や、アルミニウムなどの他の軽金属を用いてもよい。これらの場合においても、負極活物質として、上記した実施の形態で説明した負極材料を用いることが可能である。
本発明の一実施の形態に係る負極の構成を表す断面図である。 図1に示した負極の一部を拡大して表す断面図である。 図2に示した負極に対する参考例の負極を表す断面図である。 図1に示した負極の断面構造を表すSEM写真およびその模式図である。 図1に示した負極の他の断面構造を表すSEM写真およびその模式図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第1の二次電池の構成を表す断面図である。 図6に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第2の二次電池の構成を表す断面図である。 図8に示した巻回電極体のIX−IX線に沿った断面図である。 図9に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。
符号の説明
1,22A,34A…負極集電体、2,22B,34B…負極活物質層、3,22C,34C…被膜、11…電池缶、12,13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20,30…巻回電極体、21,33…正極、21A,33A…正極集電体、21B,33B…正極活物質層、22,34…負極、23,35…セパレータ、24…センターピン、25,31…正極リード、26,32…負極リード、36…電解質層、37…保護テープ、40…外装部材、41…密着フィルム、201…負極活物質粒子、202…酸化物含有膜、204(204A,204B)…隙間、205…空隙、206…金属材料。

Claims (17)

  1. 電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な正極活物質を含む正極と、前記電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極活物質を含む負極と、溶媒および電解質塩を含む電解質と、を備え、
    前記負極は、負極集電体に設けられた負極活物質層上に被膜を有し、
    前記被膜は、式(1)〜式(3)で表されるアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む
    二次電池。
    Figure 2010102848
    (R1は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素(O)および硫黄(S)のうちの少なくとも1種と炭素(C)および水素(H)とにより構成された1価の基であり、A1a1- は(a1)価のアニオン基であり、Z1は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された(b1+1)価の基であり、M1は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R1とZ1とは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R1同士も互いに結合して環状構造を形成してもよい。a1、b1、f1、g1およびe1は1以上の整数であり、c1は1以上3以下の整数であり、d1は0以上2以下の整数であり、(c1+d1)=3を満たす。)
    Figure 2010102848
    (R2〜R4は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A2a2- 、A3a3- およびA4a4- はそれぞれ(a2)価、(a3)価あるいは(a4)価のアニオン基であり、Z2〜Z4は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成されたそれぞれ(b2+1)価、(b3+1)価あるいは(b4+1)価の基であり、L1およびL2は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された2価の基であり、M2は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R2〜R4のうちのいずれか2つは互いに結合して環状構造を形成してもよい。a2〜a4、b2〜b4、f2、g2およびe2は1以上の整数であり、c2〜c4、d2〜d4およびn2は0以上の整数であり、(c2+d2)=2、(c3+d3)=2、(c4+d4)=1および(c2+c3+c4)≧1を満たす。)
    Figure 2010102848
    (R5およびR6は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A5a5- は(a5)価のアニオン基であり、Z5は酸素、硫黄および水素からなる群より選択された元素と炭素とにより構成された(m1+b5)価の基であり、M3は1種あるいは2種以上の金属元素であり、a5、b5、e3、f3およびg3は1以上の整数であり、m1は2以上の整数である。)
  2. 前記アニオン基は、カルボン酸イオン基(−CO2 -)あるいはスルホン酸イオン基(−SO3 -)である請求項1記載の二次電池。
  3. 前記金属元素は、長周期型周期表における1族元素および2族元素のうちの少なくとも1種である請求項1の二次電池。
  4. 前記式(1)〜式(3)に示したアミン系金属塩は、それぞれ2以上のアニオン基を有する請求項1記載の二次電池。
  5. 前記電極反応物質は、リチウムイオンであり、前記式(1)〜式(3)中の前記M1〜M3は、リチウム(Li)である請求項1記載の二次電池。
  6. 前記被膜は、前記負極集電体上に前記負極活物質層を設けたのちに形成されたものである請求項1記載の二次電池。
  7. 前記式(1)に示したアミン系金属塩は、式(1−1)〜式(1−36)で表される金属塩であり、前記式(2)に示したアミン系金属塩は、式(2−1)〜式(2−11)で表される金属塩であり、前記式(3)に示したアミン系金属塩は、式(3−1)〜式(3−5)で表される金属塩である請求項1記載の二次電池。
    Figure 2010102848
    Figure 2010102848
    Figure 2010102848
    Figure 2010102848
    Figure 2010102848
    Figure 2010102848
    Figure 2010102848
  8. 前記式(1)に示したアミン系金属塩は、前記式(1−1)、式(1−25)、式(1−30)あるいは式(1−31)に示した金属塩であり、前記式(2)に示したアミン系金属塩は、前記式(2−1)、式(2−4)、式(2−6)、式(2−10)あるいは式(2−11)に示した金属塩であり、前記式(3)に示した金属塩は、前記式(3−1)あるいは式(3−2)に示した金属塩である請求項7記載の二次電池。
  9. 前記負極活物質は、複数の粒子状であり、前記負極活物質層は、前記負極活物質の表面を被覆する酸化物含有膜を含み、前記酸化物含有膜は、ケイ素(Si)の酸化物、ゲルマニウム(Ge)の酸化物、およびスズ(Sn)の酸化物のうちの少なくとも1種を含有する請求項1記載の二次電池。
  10. 前記負極活物質は、複数の粒子状であり、前記負極活物質層は、その内部の隙間に、前記電極反応物質と合金化しない金属材料を含み、前記金属材料は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)および銅(Cu)のうちの少なくとも1種を含有する請求項1記載の二次電池。
  11. 前記負極活物質は、ケイ素およびスズのうちの少なくとも一方を構成元素として有する請求項1記載の二次電池。
  12. 前記溶媒は、式(4)で表されるハロゲンを有する鎖状炭酸エステル、式(5)で表されるハロゲンを有する環状炭酸エステル、式(6)〜式(8)で表される不飽和炭素結合を有する環状炭酸エステル、スルトン、および酸無水物のうちの少なくとも1種を含む請求項1記載の二次電池。
    Figure 2010102848
    (R11〜R16は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
    Figure 2010102848
    (R17〜R20は水素基、ハロゲン基、アルキル基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それらのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。)
    Figure 2010102848
    (R21およびR22は水素基あるいはアルキル基である。)
    Figure 2010102848
    (R23〜R26は水素基、アルキル基、ビニル基あるいはアリル基であり、それらのうちの少なくとも1つはビニル基あるいはアリル基である。)
    Figure 2010102848
    (R27はアルキレン基である。)
  13. 前記電解質塩は、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )、および式(9)〜式(14)で表される化合物のうちの少なくとも1種を含む請求項1記載の二次電池。
    Figure 2010102848
    (X31は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素、またはアルミニウム(Al)である。M31は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。R31はハロゲン基である。Y31は−(O=)C−R32−C(=O)−、−(O=)C−C(R33)2 −あるいは−(O=)C−C(=O)−である。ただし、R32はアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基あるいはハロゲン化アリーレン基である。R33はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基あるいはハロゲン化アリール基である。なお、a3は1〜4の整数であり、b3は0、2あるいは4であり、c3、d3、m3およびn3は1〜3の整数である。)
    Figure 2010102848
    (X41は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M41は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Y41は−(O=)C−(C(R41)2 b4−C(=O)−、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−C(=O)−、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−C(R43)2 −、−(R43)2 C−(C(R42)2 c4−S(=O)2 −、−(O=)2 S−(C(R42)2 d4−S(=O)2 −あるいは−(O=)C−(C(R42)2 d4−S(=O)2 −である。ただし、R41およびR43は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、それぞれのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R42は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a4、e4およびn4は1あるいは2であり、b4およびd4は1〜4の整数であり、c4は0〜4の整数であり、f4およびm4は1〜3の整数である。)
    Figure 2010102848
    (X51は長周期型周期表における1族元素あるいは2族元素である。M51は遷移金属元素、または長周期型周期表における13族元素、14族元素あるいは15族元素である。Rfはフッ素化アルキル基あるいはフッ素化アリール基であり、いずれの炭素数も1〜10である。Y51は−(O=)C−(C(R51)2 d5−C(=O)−、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−C(=O)−、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−C(R52)2 −、−(R52)2 C−(C(R51)2 d5−S(=O)2 −、−(O=)2 S−(C(R51)2 e5−S(=O)2 −あるいは−(O=)C−(C(R51)2 e5−S(=O)2 −である。ただし、R51は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。R52は水素基、アルキル基、ハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基であり、そのうちの少なくとも1つはハロゲン基あるいはハロゲン化アルキル基である。なお、a5、f5およびn5は1あるいは2であり、b5、c5およびe5は1〜4の整数であり、d5は0〜4の整数であり、g5およびm5は1〜3の整数である。)
    Figure 2010102848
    (mおよびnは1以上の整数である。)
    Figure 2010102848
    (R61は炭素数が2以上4以下の直鎖状あるいは分岐状のパーフルオロアルキレン基である。)
    Figure 2010102848
    (p、qおよびrは1以上の整数である。)
  14. 負極集電体に設けられた負極活物質層を有する負極の前記負極活物質層上に、式(1)〜式(3)で表されるアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む溶液を用いて、被膜を形成する
    二次電池の製造方法。
    Figure 2010102848
    (R1は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A1a1- は(a1)価のアニオン基であり、Z1は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された(b1+1)価の基であり、M1は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R1とZ1とは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R1同士も互いに結合して環状構造を形成してもよい。a1、b1、f1、g1およびe1は1以上の整数であり、c1は1以上3以下の整数であり、d1は0以上2以下の整数であり、(c1+d1)=3を満たす。)
    Figure 2010102848
    (R2〜R4は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A2a2- 、A3a3- およびA4a4- はそれぞれ(a2)価、(a3)価あるいは(a4)価のアニオン基であり、Z2〜Z4は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成されたそれぞれ(b2+1)価、(b3+1)価あるいは(b4+1)価の基であり、L1およびL2は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された2価の基であり、M2は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R2〜R4のうちのいずれか2つは互いに結合して環状構造を形成してもよい。a2〜a4、b2〜b4、f2、g2およびe2は1以上の整数であり、c2〜c4、d2〜d4およびn2は0以上の整数であり、(c2+d2)=2、(c3+d3)=2、(c4+d4)=1および(c2+c3+c4)≧1を満たす。)
    Figure 2010102848
    (R5およびR6は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A5a5- は(a5)価のアニオン基であり、Z5は酸素、硫黄および水素からなる群より選択された元素と炭素とにより構成された(m1+b5)価の基であり、M3は1種あるいは2種以上の金属元素であり、a5、b5、e3、f3およびg3は1以上の整数であり、m1は2以上の整数である。)
  15. 前記溶液の中に前記負極活物質層を浸漬し、あるいは前記溶液を前記負極活物質層に塗布する請求項14記載の二次電池の製造方法。
  16. 負極集電体に設けられた負極活物質層上に被膜を有し、
    前記負極活物質層は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極活物質を含み、
    前記被膜は、式(1)〜式(3)で表されるアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む
    負極。
    Figure 2010102848
    (R1は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A1a1- は(a1)価のアニオン基であり、Z1は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された(b1+1)価の基であり、M1は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R1とZ1とは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R1同士も互いに結合して環状構造を形成してもよい。a1、b1、f1、g1およびe1は1以上の整数であり、c1は1以上3以下の整数であり、d1は0以上2以下の整数であり、(c1+d1)=3を満たす。)
    Figure 2010102848
    (R2〜R4は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A2a2- 、A3a3- およびA4a4- はそれぞれ(a2)価、(a3)価あるいは(a4)価のアニオン基であり、Z2〜Z4は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成されたそれぞれ(b2+1)価、(b3+1)価あるいは(b4+1)価の基であり、L1およびL2は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された2価の基であり、M2は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R2〜R4のうちのいずれか2つは互いに結合して環状構造を形成してもよい。a2〜a4、b2〜b4、f2、g2およびe2は1以上の整数であり、c2〜c4、d2〜d4およびn2は0以上の整数であり、(c2+d2)=2、(c3+d3)=2、(c4+d4)=1および(c2+c3+c4)≧1を満たす。)
    Figure 2010102848
    (R5およびR6は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A5a5- は(a5)価のアニオン基であり、Z5は酸素、硫黄および水素からなる群より選択された元素と炭素とにより構成された(m1+b5)価の基であり、M3は1種あるいは2種以上の金属元素であり、a5、b5、e3、f3およびg3は1以上の整数であり、m1は2以上の整数である。)
  17. 負極集電体に設けられた負極活物質層上に、式(1)〜式(3)で表されるアミン系金属塩のうちの少なくとも1種を含む溶液を用いて、被膜を形成する
    負極の製造方法。
    Figure 2010102848
    (R1は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A1a1- は(a1)価のアニオン基であり、Z1は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された(b1+1)価の基であり、M1は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R1とZ1とは互いに結合して環状構造を形成してもよく、R1同士も互いに結合して環状構造を形成してもよい。a1、b1、f1、g1およびe1は1以上の整数であり、c1は1以上3以下の整数であり、d1は0以上2以下の整数であり、(c1+d1)=3を満たす。)
    Figure 2010102848
    (R2〜R4は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A2a2- 、A3a3- およびA4a4- はそれぞれ(a2)価、(a3)価あるいは(a4)価のアニオン基であり、Z2〜Z4は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成されたそれぞれ(b2+1)価、(b3+1)価あるいは(b4+1)価の基であり、L1およびL2は酸素、硫黄および水素からなる群から選択される元素と炭素とにより構成された2価の基であり、M2は1種あるいは2種以上の金属元素である。ただし、R2〜R4のうちのいずれか2つは互いに結合して環状構造を形成してもよい。a2〜a4、b2〜b4、f2、g2およびe2は1以上の整数であり、c2〜c4、d2〜d4およびn2は0以上の整数であり、(c2+d2)=2、(c3+d3)=2、(c4+d4)=1および(c2+c3+c4)≧1を満たす。)
    Figure 2010102848
    (R5およびR6は水素基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、あるいは酸素および硫黄のうちの少なくとも1種と炭素および水素とにより構成された1価の基であり、A5a5- は(a5)価のアニオン基であり、Z5は酸素、硫黄および水素からなる群より選択された元素と炭素とにより構成された(m1+b5)価の基であり、M3は1種あるいは2種以上の金属元素であり、a5、b5、e3、f3およびg3は1以上の整数であり、m1は2以上の整数である。)
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