JP2010083791A - 芳香族化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光領域には吸収がなく製品の色調に影響を与えず、幅広い紫外線波長領域にわたって優れた紫外線吸収能を有する水溶性紫外線吸収剤として用いることができる化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物。
Figure 2010083791

[式中、Ar1は、芳香族残基を表す。Xa及びXbは、ヘテロ原子を表す。M1は、水素原子、金属原子などを表す。n1は、1〜4の整数。m1は、1〜10の整数。]
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族化合物、該化合物よりなる紫外線吸収剤および蛍光増白剤、並びに該紫外線吸収剤および該蛍光増白剤を含む皮膚外用剤に関する。
太陽光に含まれる紫外線のうち、290nm以下の波長の紫外線はオゾン層によって吸収され、地表に到達しないが、290nm〜400nmの紫外線は地表に到達し、様々な影響を及ぼす。皮膚化学的には、290nm〜320nmの中波長紫外線は紅斑や水泡の形成、メラニン形成亢進、色素沈着等を引き起こすことが知られている。また、320nm〜400nmの長波長紫外線は照射直後に皮膚を黒化させる即時黒化作用を有し、また、そのエネルギーが真皮にまで達するため、血管壁や結合組織中の弾性繊維にも影響を及ぼすとされる。これらの中〜長波長紫外線の作用は、皮膚の老化を促進し、しみ、そばかす、しわ等の形成の一因であると考えられている。
このような紫外線から皮膚を保護するために、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、サリチル酸誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、桂皮酸誘導体、ウロカニン酸誘導体等の紫外線吸収剤が利用されてきた。
しかしながら、これらの紫外線吸収剤は一般に油溶性であり、水性ベースの製品に配合することはできなかった。最近では夏の水浴や冬のスキー場などの使用に限らず、日常生活においても紫外線防御が重要と考えられており、通常のスキンケア化粧品でも紫外線防止効果のあるものが望まれている。従って、化粧水等の水系のスキンケア化粧品にも十分量配合できる水溶性紫外線吸収剤の開発が望まれている。
また、紫外線吸収剤としては、皮膚外用剤に配合する場合には、皮膚刺激性がないことはもちろん、日光曝露によって紫外線吸収剤が分解されないこと、また、無機粉体との併用が可能であることも重要である。
これまで水溶性紫外線吸収剤はほとんどなく、現在使用されているものとしては2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォキソニウムベンゾフェノンナトリウムが知られている。しかし、この物質は可視光領域においても吸収を有するので、淡黄色に着色しており、製品の色調に影響を与えるという大きな欠点がある。また、無機粉体と併用すると、経時で着色して製品の色調に影響を与えるという欠点もある。
また、2−デオキシヘキソース残基を有するp−アミノ安息香酸アミド誘導体(例えば特許文献1を参照)が、2−デオキシヘキソース残基を有する桂皮酸アミド(例えば特許文献2を参照)がそれぞれ開示されているが、水への溶解性が低く不十分であり、必ずしも満足できるものではなかった。
一方、紫外線吸収剤は、医薬品や化粧料以外の分野でも使用されており、例えば、塗料、染料、顔料、各種樹脂、合成ゴム、ラテックス、フィルム、繊維等の各種材料に添加して紫外線吸収能を付与し、製品自体を、あるいはその塗膜やフィルムで被覆された製品を紫外線から保護し、紫外線による劣化、変質等を防止して、品質を維持するために用いられている。しかし、従来の紫外線吸収剤では、塗膜の焼き付け時や樹脂の成型時等に加熱によって昇華して揮散したり、加熱しなくとも経時的に徐々に揮散して効果が低下するという問題もあった。
特開平10−120698号公報 特開2002−363195号公報
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、一つには、可視光領域には吸収がなく色調に影響を与えず、幅広い紫外線波長領域にわたって優れた吸収能を有し、しかも安定性、安全性の高い化合物を提供することである。
本発明者らは、芳香族化合物について詳細に検討した結果、水溶性が高く、これまでカバーすることができなかった長波長領域の紫外線を吸収できる従来知られていない構造を有する化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の課題は、以下の方法によって達成された。
<1>下記一般式(1)で表される化合物。
Figure 2010083791
[式中、Ar1は、2〜10価の5〜20員環の芳香族残基を表す。該芳香族残基はヘテロ原子を含有していても良く、置換基を有していても良い。
Ar1に結合している環は、任意の位置に二重結合を有していても良い。
a及びXbは、互いに独立してヘテロ原子を表す。また、Xa及びXbは置換基を有していても良い。
1は、水素原子、金属原子、無置換もしくは置換アンモニウム、又はピリジニウムを表す。
1は、1〜4の整数を表す。
1は、1〜10の整数を表す。]
<2>前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする、<1>項に記載の化合物。
Figure 2010083791
[式中、Ar2は、前記一般式(1)のAr1と同義である。
2は、前記一般式(1)のM1と同義である。
2は、前記一般式(1)のn1と同義である。
2は、前記一般式(1)のm1と同義である。]
<3>前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする、<2>項に記載の化合物。
Figure 2010083791
[式中、Ar3は、2価の5〜20員環の芳香族残基を表す。該芳香族残基はヘテロ原子を含有していても良く、置換基を有していても良い。
3a及びM3bは、互いに独立して水素原子、金属原子、無置換もしくは置換アンモニウム、又はピリジニウムを表す。
3a、n3bは、互いに独立して1〜4の整数を表す。]
<4>前記一般式(3)で表される化合物が下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする、<3>項に記載の化合物。
Figure 2010083791
[式中、Ar4は、前記一般式(3)のAr3と同義である。
4a及びM4bは、前記一般式(3)のM3a及びM3bと同義である。]
<5>前記一般式(4)で表される化合物が下記一般式(5)で表される化合物であることを特徴とする、<4>項に記載の化合物。
Figure 2010083791
[式中、M5a及びM5bは、前記一般式(3)のM4a及びM4bと同義である。]
<6><1>〜<5>のいずれか1項に記載の化合物よりなる紫外線吸収剤。
<7><1>〜<5>のいずれか1項に記載の化合物よりなる蛍光増白剤。
<8><6>項に記載の紫外線吸収剤および/または<7>項に記載の蛍光増白剤を含む分散物。
<9><6>項に記載の紫外線吸収剤および/または<7>項に記載の蛍光増白剤を含む溶液。
<10><6>項に記載の紫外線吸収剤および/または<7>項に記載の蛍光増白剤を含む皮膚外用剤。
本発明の化合物は、可視光領域には吸収がなく製品の色調に影響を与えず、幅広い紫外線波長領域にわたって優れた紫外線吸収能を有し、安定性が高く、しかも水溶性であり無機粉体との併用も可能である。本発明の化合物は、紫外線吸収剤および蛍光増白剤として用いることができる。本発明の化合物を含む皮膚外用剤は、紫外線防止効果が高く、安全性、安定性も良好である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。本発明の化合物は、ベンゾオキサジノン骨格に、スルホン酸またはその塩を置換基として導入することにより、元々ベンゾオキサジノン系化合物が有する優れた吸収波長を維持したまま、高い水溶性を付与させたものであり、当業者は、本願発明の構成を容易に想起しない。
Figure 2010083791
[式中、Ar1は、2〜10価の5〜20員環の芳香族残基を表す。該芳香族残基はヘテロ原子を含有していても良く、置換基を有していても良い。
Ar1に結合している環は、任意の位置に二重結合を有していても良い。
a及びXbは、互いに独立してヘテロ原子を表す。また、Xa及びXbは置換基を有していても良い。
1は、水素原子、金属原子、無置換もしくは置換アンモニウム、又はピリジニウムを表す。
1は、1〜4の整数を表す。
1は、1〜10の整数を表す。]
前記一般式(1)中、Ar1は、2〜10価の5〜20員環の芳香族残基を表す。
Ar1を構成する芳香族環は、単環であっても縮合環であってもよい。単環である場合、Ar1は5〜10員環が好ましく、5〜6員環がより好ましい。また、縮合環である場合、Ar1は5〜10員環が縮合した2〜10環式の芳香族環が好ましく、5〜6員環が縮合した2〜5環式の芳香族環がより好ましい。
Ar1は、2〜6価の基であることが好ましく、2〜4価の基であることがより好ましい。
芳香族残基Ar1はヘテロ原子を含有していてもよい。Ar1に含有されうるヘテロ原子としては、例えば、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子、セレン原子、及びテルル原子などを挙げることができる。ヘテロ原子として好ましくは窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子であり、より好ましくは窒素原子および硫黄原子であり、特に好ましくは硫黄原子である。ヘテロ原子を二つ以上有する場合は、同一原子であっても異なる原子であっても良い。
Ar1は、5〜20員環の芳香族化合物から2〜10個の水素原子を取り除いた2〜10価の芳香族残基である。このような芳香族化合物の具体例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデン、アズレン、ビフェニレン、フルオレン、フェナントレン、ピレン、トリフェニレン、テトラフェニレン、ペリレン、ペンタセン、コロネン、クリセン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾールなどを挙げることができる。芳香族化合物として好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、チオフェンである。より好ましくは、ベンゼン、チオフェンである。特に好ましくは、ベンゼンである。
芳香族化合物から水素原子を取り除く位置はいずれの箇所でも良い。2価の芳香族残基の場合は、例えば、6員環化合物ベンゼンの結合位置は、1,2位、1,3位、又は1,4位が挙げられる。また、ヘテロ5員環化合物ピロールでの結合位置は、2,3位、2,4位、2,5位、3,4位、又は3,5位が挙げられる。また、ヘテロ6員環化合物ピリジンでの結合位置は、2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位、3,5位、又は3,6位が挙げられる。3価の芳香族残基の場合は、例えば、6員環化合物ベンゼンの結合位置は、1,2,3位、1,2,4位、1,2,5位、又は1,3,5位が挙げられる。
また、芳香族残基は置換基を有していても良い。置換基として1価の置換基が挙げられる。1価の置換基(以下Rとする)の例として、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜20の直鎖または分枝のアルキル基(例えばメチル、エチル)、炭素数6〜20のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、置換又は無置換のカルバモイル基(例えばカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、アルキルカルボニル基(例えばアセチル)、アリールカルボニル基(例えばベンゾイル)、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(例えばアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド、エトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、イミド基(例えばスクシンイミド、フタルイミド)、イミノ基(例えばベンジリデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えばメトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、スルホ基、置換または無置換のスルファモイル基(例えばスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、炭素数6〜20のヘテロ環基(例えばピリジル、モルホリノ)などを挙げることができる。また、置換基は更に置換されていても良く、置換基が複数ある場合は、同じでも異なっても良い。その際、置換基の例としては、上述の1価の置換基Rを挙げることができる。また置換基同士で結合して環を形成しても良い。
置換基として好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基がある。より好ましくは、アルキル基、アリール基であり、特に好ましくは、アルキル基である。
a及びXbは、互いに独立してヘテロ原子を表す。ヘテロ原子としては例えば、ホウ素原子、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子などを挙げることができる。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子である。より好ましくは、窒素原子、酸素原子である。また、Xa及びXbは置換基を有していても良い。置換基としては上述した1価の置換基Rの例が挙げられる。
1は、水素原子、金属原子、無置換もしくは置換アンモニウム、又はピリジニウムを表す。金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属、マグネシウム、カルシウムのようなアルカリ土類金属が挙げられる。また、置換アンモニウムとしては、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ置換されたアンモニウムを挙げることができる。M1として好ましくは金属原子または無置換もしくは置換アンモニウムであり、より好ましくは金属原子である。さらに好ましくはカリウム又はナトリウムであり、特に好ましくはナトリウムである。
1は、1〜4の整数を表す。n1として好ましくは1、2又は3であり、さらに好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
1は、1〜10の整数を表す。吸収波長および溶解性の観点から、m1として好ましくは1、2又は3であり、より好ましくは1又は2であり、特に好ましくは2である。
前記一般式(1)で表される化合物は下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。以下、下記一般式(2)で表される化合物について説明する。
Figure 2010083791
前記一般式(2)中、Ar2は、前記一般式(1)のAr1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2は、前記一般式(1)のM1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2は、前記一般式(1)のn1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2は、前記一般式(1)のm1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
さらに、前記一般式(2)で表される化合物は下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。以下、下記一般式(3)で表される化合物について説明する。
Figure 2010083791
前記一般式(3)中、Ar3は、2価の5〜20員環の芳香族残基を表す。ここで、2価の5〜20員環の芳香族残基としては、前記一般式(1)におけるAr1について上述した例が挙げられる。
芳香族残基Ar3はヘテロ原子を含有していても良く、置換基を有していても良い。ヘテロ原子および置換基としては、前記一般式(1)におけるAr1について上述したヘテロ原子および置換基の例が挙げられる。
3a及びM3bは、互いに独立して水素原子、金属原子、無置換もしくは置換アンモニウム、又はピリジニウムを表す。ここで、M3a及びM3bとしては、前記一般式(1)におけるM1について上述した例が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
3a及びn3bは、互いに独立して1〜4の整数を表す。ここで、n3a及びn3bとしては、前記一般式(1)におけるn1について上述した例が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
さらに、前記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。以下、下記一般式(4)で表される化合物について説明する。
Figure 2010083791
前記一般式(4)中、Ar4は、前記一般式(3)のAr3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
4a及びM4bは、前記一般式(3)のM3a及びM3bと同義であり、好ましい範囲も同様である。
さらに、前記一般式(4)で表される化合物は、下記一般式(5)で表される化合物であることが好ましい。以下、下記一般式(5)で表される化合物について説明する。
Figure 2010083791
前記一般式(4)中、M5a及びM5bは、前記一般式(4)のM4a及びM4bと同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物は、任意の方法で合成することができる。例えば、公知の特許文献や非特許文献、例えば特開2000−264879号公報の4ページ左43行目〜右8行目の実施例、特開2003−155375号公報の4ページ右欄5行目〜30行目の実施例、「Bioorganic & Medicinal Chemistry」,2000年,8巻,2095−2103ページ、「Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters」,2003年,13巻,4077−4080ページなどを参考にして合成できる。例えば、例示化合物(49)は1,4−ナフタレンジカルボニルジクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(51)は1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(52)は2,6−アントラセンジカルボニルジクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(61)は2,5−ピロールジカルボニルジクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(63)は2,5−フランジカルボニルジクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(65)は2,6−ピリジンジカルボニルジクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(73)は3,5−ピラゾールジカルボニルジクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(75)は2,5−ピラジンジカルボニルジクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(78)は1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリカルボニルトリクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(85)は1−ナフトイルクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(87)は2−アントラセンカルボニルクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(95)は2−テノイルクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(96)は2−ピロールカルボニルクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(97)は2−フランカルボニルクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(103)はピコリン酸クロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。また、例示化合物(113)はピラジンカルボニルクロリドと2−アミノ−5−スルホ安息香酸とを反応させることにより合成できる。
前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2010083791
Figure 2010083791
Figure 2010083791
Figure 2010083791
Figure 2010083791
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Figure 2010083791
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Figure 2010083791
本発明の化合物は、構造とその置かれた環境によって互変異性体を取り得る。本発明においては代表的な形の一つで記述しているが、本発明の記述と異なる互変異性体も本発明の化合物に含まれる。
本発明の化合物は、同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N、17O、18Oなど)を含有していてもよい。
前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物の構造を繰り返し単位内に含むポリマーも、本発明に好適に使用できる。ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。さらに他の繰り返し単位を含むコポリマーであってもよい。なお、紫外線吸収剤構造を繰り返し単位内に含むポリマーについては、特公平1−53455号、特開昭61−189530号の各公報および欧州特許27242号明細書に記載がある。ポリマーを得る方法についてはこれら特許文献の記述を参考にすることができる。
前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物は紫外線吸収剤として好適に用いることができる。以下、前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物を紫外線吸収剤として用いる場合について説明する。
前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物は、好ましくは長波長紫外線吸収剤として使用できる。最大吸収波長は、好ましくは320〜420nmの範囲であり、より好ましくは340〜400nmの範囲であり、特に好ましくは350〜390nmの範囲である。
本発明の紫外線吸収剤の使用形態は、いずれでも良い。例えば、液体分散物、溶液、高分子材料などが挙げられる。
本発明の前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物よりなる紫外線吸収剤は、分散媒体に分散された分散物の状態で使用できる。以下、本発明の紫外線吸収剤を含む紫外線吸収剤分散物について説明する。
本発明の紫外線吸収剤を分散する媒体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いられる分散媒体の有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテルなどのエーテル系、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、メチルエチルケトンなどのケトン系、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアミン系、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸系、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系、テトラヒドロフラン、ピリジンなどのヘテロ環系、などが挙げられる。これらを任意の割合で組み合わせて使用することもできる。
本発明に用いられる分散媒体の樹脂としては、従来公知の各種成形体、シート、フィルム等の製造に従来から使用されている熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、液晶ポリエステル樹脂(LCP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等が挙げられ、これらは一種または二種以上のポリマーブレンドあるいはポリマーアロイとして使用される。また、これらの樹脂は、ナチュラル樹脂にガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤等を含有させた熱可塑性成形材料としても使用される。また、必要に応じて従来使用されている樹脂用の添加剤、例えば、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系ワックス、エチレンビスアマイド系ワックス、金属石鹸等を単独であるいは組み合わせて使用することもできる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらはナチュラル樹脂のほかガラス繊維、炭素繊維、半炭化繊維、セルロース系繊維、ガラスビーズ等のフィラーや難燃剤を含有させた熱硬化性成形材料としても使用することができる。
本発明の紫外線吸収剤を含む分散物には、分散剤、泡防止剤、保存剤、凍結防止剤、界面活性剤などを合わせて用いることもできる。その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。
本発明の紫外線吸収剤を含む分散物を得るための装置として、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機などを使用できる。具体的には、コロイドミル、ホモジナイザー、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置などがある。本発明で使用するのに好ましい高速攪拌型分散機は、ディゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケデイーミル、ジェットアジターなど、分散作用する要部が液中で高速回転(500〜15,000rpm。好ましくは2,000〜4,000rpm)するタイプの分散機である。本発明で使用する高速攪拌型分散機は、ディゾルバーないしは高速インペラー分散機とも呼ばれ、特開昭55−129136号公報にも記載されているように、高速で回転する軸に鋸歯状のプレートを交互に上下方向に折り曲げたインペラーを着装して成るものも好ましい一例である。
疎水性化合物を含む乳化分散物を調製する際には、種々のプロセスに従うことができる。例えば、疎水性化合物を有機溶媒に溶解するときは、高沸点有機物質、水非混和性低沸点有機溶媒または水混和性有機溶媒の中から任意に選択された一種、又は二種以上の任意の複数成分混和物に溶解し、次いで界面活性化合物の存在化で、水中あるいは親水性コロイド水溶液中に分散せしめる。疎水性化合物を含む水不溶性相と水性相との混合方法としては、攪拌下に水性相中に水不溶性相を加えるいわゆる順混合法でも、その逆の逆混合法でもよい。
また、本発明の紫外線吸収剤は、液体状の媒体に溶解された溶液の状態で使用できる。以下、本発明の紫外線吸収剤を含む紫外線吸収剤溶液について説明する。
本発明の紫外線吸収剤を溶解する液体はいずれのものであってもよい。例えば、水、有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液などが挙げられる。有機溶剤、樹脂、樹脂の溶液の例としては、上述の分散媒体として記載したものが挙げられる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて使用してもよい。
本発明の紫外線吸収剤の溶液は、その他に任意の化合物を合わせて含んでいてもよい。例えば、染料、顔料、赤外線吸収剤、香料、重合性化合物、ポリマー、無機物、金属などが挙げられる。本発明の紫外線吸収剤以外は必ずしも溶解していなくてもよい。
本発明の紫外線吸収剤を含む溶液における前記紫外線吸収剤の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは溶液の全量に対して0.001〜30質量%であり、より好ましくは0.01〜10質量%である。あらかじめ高濃度で溶液を作製しておき、所望の時に希釈して使用することもできる。希釈溶媒としては上述の溶媒から任意に選択できる。
本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料の調製には、その高分子組成物が用いられる。本発明に用いられる高分子組成物は、後述する高分子物質に本発明の紫外線吸収剤を添加してなる。
本発明の紫外線吸収剤は、様々な方法で高分子物質に含有させることができる。本発明の紫外線吸収剤が高分子物質との相溶性を有する場合は、本発明の紫外線吸収剤を高分子物質に直接添加することができる。高分子物質との相溶性を有する補助溶媒に、本発明の紫外線吸収剤を溶解し、その溶液を高分子物質に添加してもよい。本発明の紫外線吸収剤を高沸点有機溶媒やポリマー中に分散し、その分散物を高分子物質に添加してもよい。
高沸点有機溶媒の沸点は、180℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。高沸点有機溶媒の融点は、150℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。高沸点有機溶媒の例には、リン酸エステル、ホスホン酸エステル、安息香酸エステル、フタル酸エステル、脂肪酸エステル、炭酸エステル、アミド、エーテル、ハロゲン化炭化水素、アルコール及びパラフィンが含まれる。リン酸エステル、ホスホン酸エステル、フタル酸エステル、安息香酸エステル及び脂肪酸エステルが好ましい。
本発明の紫外線吸収剤の添加方法については、特開昭58−209735号、同63−264748号、特開平4−191851号、同8−272058号の各公報および英国特許第2016017A号明細書を参考にできる。
本発明の紫外線吸収剤を含む溶液における前記紫外線吸収剤の含有量は、使用目的と使用形態によって異なるため一義的に定めることはできないが、使用する目的に応じて任意の濃度であってよい。好ましくは高分子材料中0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜5質量%である。
また、本発明の紫外線吸収剤は、高分子材料に好ましく用いられる。以下、本発明の高分子材料について説明する。
本発明においては、本発明の紫外線吸収剤のみで実用的には十分な紫外線遮蔽効果が得られるものの、更に厳密を要求する場合には隠蔽力の強い白色顔料、例えば酸化チタンなどを併用してもよい。また、外観、色調が問題となる時、あるいは好みによって微量(0.05質量%以下)の着色剤を併用することができる。また、透明あるいは白色であることが重要である用途に対しては蛍光増白剤を併用してもよい。蛍光増白剤としては市販のものや特開2002−53824号公報記載の一般式[1]や具体的化合物例1〜35などが挙げられる。
続いて、本発明に用いられる高分子物質について説明する。高分子物質としては、天然あるいは合成ポリマーのいずれであってもよい。ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ4−メチルペンテン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリシクロペンテン、ポリノルボルネンなど)、ビニルモノマーのコポリマー(例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、エチレン/ノルボルネンのようなシクロオレフィンコポリマー(COC:Cyclo-Olefin Copolymer))、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマーなど)、アクリル系ポリマー(例えば、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリルなど)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、ポリエーテル(例えば、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、ポリアセタール(例えば、ポリオキシメチレン)、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリスルホンポリエーテルケトン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、セルロースエステル(例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリシロキサン、天然ポリマー(例えば、セルロース、ゴム、ゼラチンなど)、などが例として挙げられる。
本発明に用いられる高分子物質は、合成ポリマーである場合が好ましく、ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロースエステルがより好ましい。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、トリアセチルセルロースが特に好ましい。
本発明に用いられる高分子物質は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料は、上記の高分子物質および紫外線吸収剤に加えて、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、加工安定剤、老化防止剤、相溶化剤等の任意の添加剤を適宜含有してもよい。
本発明の化合物は、有機材料を光・酸素または熱による損傷に対して安定化させるのに特に適している。中でも本発明の化合物は光安定剤、とりわけ紫外線吸収剤として用いることに最も適している。以下、本発明の化合物の紫外線吸収剤としての用途について説明する。
本発明の紫外線吸収剤によって安定化されるものは、染料、顔料、食品、飲料、身体ケア製品、ビタミン剤、医薬品、インク、油、脂肪、ロウ、表面コーティング、化粧品、写真材料、織物及びその色素、プラスチック材料、ゴム、塗料、高分子材料、高分子添加剤などが挙げられる。
本発明の紫外線吸収剤は、種々の製品に配合可能であるが、皮膚外用剤に配合することが好適である。本発明の紫外線吸収剤を配合した皮膚外用剤は、優れた紫外線防止効果を発揮し、また、日光曝露下においても紫外線吸収剤が分解しないので、その効果が長時間にわたって安定に発揮される。また、皮膚トラブルも生じない。従って、特にサンスクリーン用皮膚外用剤として有用である。
サンスクリーン用皮膚外用剤においては、その紫外線遮蔽効果を高めるために、有機化合物系紫外線吸収剤とともに無機粉体系紫外線遮蔽剤を併用することが望まれる。また、メーキャップ化粧料においても無機粉体が配合されることが多い。しかしながら、従来の有機系紫外線吸収剤を無機粉体と併用すると変色が起こることがあった。これに対し、本発明の紫外線吸収剤は、無機粉体とともに皮膚外用剤に配合した場合でも変色を生じず、よって無機粉体との併用が可能である。
本発明の皮膚外用剤に含まれうる無機粉体としては、通常化粧料や医薬品に配合されるものであれば特に限定されない。例えば、タルク、カオリン、窒化ホウ素、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、黒雲母、金雲母、合成雲母、合成マイカ、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、焼セッコウ、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)等の無機粉末の他、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸鉄、カーボン、低次酸化チタン、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の無機顔料が挙げられる。
本発明の皮膚外用剤の形態は、本発明の効果が発揮されるものであれば特に制限されない。例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液等のスキンケア化粧料の他、下地用化粧料、ファンデーション、口紅、フェイスカラー、アイライナー等のメーキャップ化粧料、ヘアスプレー、ヘアトニック、ヘアリキッド等の頭髪用、頭皮用化粧料等が挙げられる。
本発明の紫外線吸収剤を皮膚外用剤に配合する場合、その配合量は目的とする紫外線吸収能に応じて適宜決定すればよいが、通常組成物中0.001〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%である。
本発明の皮膚外用剤には、上記必須成分の他に、通常化粧品や医薬品に配合可能な成分、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子化合物、増粘剤、被膜剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、香料、粉末、色材、水等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明の化合物以外の紫外線吸収剤も配合可能である。
本発明の紫外線吸収剤を用いる場合、その態様はいずれの方法であってもよい。本発明の紫外線吸収剤を単独で用いても、組成物として用いても良いが、組成物として用いることが好ましい。中でも、本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料であることが好ましい。以下、本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料について説明する。
本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料は前記高分子物質を用いてなる。本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料は、前記高分子物質のみから形成されたものでもよく、また、前記高分子物質を任意の溶媒に溶解して形成されたものでもよい。
本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料は、合成樹脂が使用される全ての用途に使用可能であるが、特に日光又は紫外線を含む光に晒される可能性のある用途に特に好適に使用できる。具体例としては、例えばガラス代替品とその表面コーティング材、住居、施設、輸送機器等の窓ガラス、採光ガラス及び光源保護ガラス用のコーティング材、住居、施設、輸送機器等のウインドウフィルム、住居、施設、輸送機器等の内外装材及び内外装用塗料及び、該塗料によって形成させる塗膜、アルキド樹脂ラッカー塗料及び該塗料によって形成される塗膜、アクリルラッカー塗料及び該塗料によって形成される塗膜、蛍光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、精密機械、電子電気機器用部材、各種ディスプレイから発生する電磁波等の遮断用材、食品、化学品、薬品等の容器又は包装材、ボトル、ボックス、ブリスター、カップ、特殊包装用、コンパクトディスクコート、農工業用シート又はフィルム材、印刷物、染色物、染顔料等の退色防止剤、ポリマー支持体用(例えば、機械及び自動車部品のようなプラスチック製部品用)の保護膜、印刷物オーバーコート、インクジェット媒体被膜、積層艶消し、オプティカルライトフィルム、安全ガラス/フロントガラス中間層、エレクトロクロミック/フォトクロミック用途、オーバーラミネートフィルム、太陽熱制御膜、日焼け止めクリーム、シャンプー、リンス、整髪料等の化粧品、スポーツウェア、ストッキング、帽子等の衣料用繊維製品及び繊維、カーテン、絨毯、壁紙等の家庭用内装品、プラスチックレンズ、コンタクトレンズ、義眼等の医療用器具、光学フィルタ、バックライトディスプレーフィルム、プリズム、鏡、写真材料等の光学用品、金型膜、転写式ステッカー、落書き防止膜、テープ、インク等の文房具、標示板、標示器等とその表面コーティング材等を挙げることができる。
本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料の形状としては、平膜状、粉状、球状粒子、破砕粒子、塊状連続体、繊維状、管状、中空糸状、粒状、板状、多孔質状などのいずれの形状であってもよい。
本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料は、本発明の紫外線吸収剤を含有しているため、優れた耐光性(紫外光堅牢性)を有しており、紫外線吸収剤の析出や長期使用によるブリードアウトが生じることがない。また、本発明の高分子材料は、優れた長波紫外線吸収能を有するので、紫外線吸収フィルタや容器として用いることができ、紫外線に弱い化合物などを保護することもできる。例えば、前記高分子物質を押出成形又は射出成形などの任意の方法により成形することで、本発明の高分子材料からなる成形品(容器等)を得ることができる。また、別途作製した成形品に前記高分子物質の溶液を塗布・乾燥することで、本発明の高分子材料からなる紫外線吸収膜がコーティングされた成形品を得ることもできる。
本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料を紫外線吸収フィルタや紫外線吸収膜として用いる場合、高分子物質は透明であることが好ましい。透明高分子材料の例としては、セルロースエステル(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリメチルメタクリレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド及びポリオキシエチレンなどが挙げられる。好ましくはセルロースエステル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリル樹脂であり、より好ましくはポリカーボネート、ポリエステルである。さらに好ましくはポリエステルであり、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートである。本発明の紫外線吸収剤を含む高分子材料は透明支持体として用いることもでき、透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、異なる構造を有する二種類以上の前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物を併用してもよいし、前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物とそれ以外の構造を有する一種類以上の紫外線吸収剤とを併用してもよい。二種類(好ましくは三種類)の紫外線吸収剤を併用すると、広い波長領域の紫外線を吸収することができる。また、二種類以上の紫外線吸収剤を併用すると、紫外線吸収剤の分散状態が安定化するとの作用もある。前記一般式(1)〜(5)以外の構造を有する紫外線吸収剤としては、いずれのものでも使用できる。紫外線吸収剤の構造として知られているトリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、メロシアニン系、シアニン系、ジベンゾイルメタン系、桂皮酸系、シアノアクリレート系、安息香酸エステル系などの化合物が挙げられる。例えば、ファインケミカル、2004年5月号、28〜38ページ、東レリサーチセンター調査研究部門発行「高分子用機能性添加剤の新展開」(東レリサーチセンター、1999年)96〜140ページ、大勝靖一監修「高分子添加剤の開発と環境対策」(シーエムシー出版、2003年)54〜64ページなどに記載されている紫外線吸収剤が挙げられる。
前記一般式(1)〜(5)以外の構造を有する紫外線吸収剤として好ましくは、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系、トリアジン系の化合物である。より好ましくはベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系の化合物である。特に好ましくはベンゾトリアゾール系の化合物である。
ベンゾトリアゾール系化合物の有効吸収波長は約270〜380nmで、代表例としては2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−(2−(オクチルオキシカルボニル)エチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−(ジメチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス(2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール)2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)−5’−メチルベンジル)フェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
ベンゾフェノン系化合物の有効吸収波長は約270〜380nmで、代表例としては2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノ−2’−ヘキシルオキシカルボニルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ベンジルオキシ−3−ヒドロキシフェノキシ)ブタン等を挙げることができる。
サリチル酸系化合物の有効吸収波長は約290〜330nmで、代表例としてはフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどを挙げることができる。
シアノアクリレート系化合物の有効吸収波長は約270〜350nmで、代表例としては2−エチルヘキシル 2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、エチル 2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリレート、ヘキサデシル 2−シアノ−3−(4−メチルフェニル)アクリレート、2−シアノ−3−(4−メチルフェニル)アクリル酸塩、1,3−ビス(2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ)−2,2−ビス(((2’−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ)メチル)プロパン等を挙げることができる。
トリアジン系化合物の有効吸収波長は約270〜380nmで、代表例としては2−(4−ヘキシロキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(4−オクチロキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(2,5−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(3−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−(3−ドデシロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジ(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−6−(4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(4−ブトキシ−2−ヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等を挙げることができる。
また、前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物は、蛍光増白剤として好適に用いることができる。一般に、蛍光増白剤は約320〜約410nmの波長の光を吸収して、約410〜約500nmの波長の光を放射する性質を有する化合物より成る。これらの蛍光増白剤で染められた織物は本来の黄色い反射光のほかに、新たに蛍光増白剤により発光される約410〜約500nmの波長の青色光が付加されるため反射光は白色になり、かつ、蛍光効果による分だけ可視光のエネルギーが増加するため、結果として増白されたことになる。
以下、前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される化合物よりなる蛍光増白剤について説明する。本発明の蛍光増白剤の使用形態は、いずれでも良い。例えば、液体分散物、溶液、高分子材料などが挙げられる。
本発明の蛍光増白剤は、分散媒体に分散された分散物の状態で使用できる。本発明の蛍光増白剤を含む分散物の分散媒体、調整プロセス、蛍光増白剤含有量および分散装置は、上述の紫外線吸収剤の場合と同じである。
また、本発明の蛍光増白剤は、液体状の媒体に溶解された溶液の状態で使用できる。本発明の蛍光増白剤を含む溶液における蛍光増白剤の添加方法、含有量および溶液は、上述の紫外線吸収剤の場合と同じである。
また、本発明の蛍光増白剤は、高分子材料に好ましく用いられる。本発明の蛍光増白剤を含む高分子材料の高分子物質、添加剤、形状、用途は、上述の紫外線吸収剤の場合と同じである。
本発明の蛍光増白剤のみでは短波長域が十分にカットしきれない場合には紫外線吸収剤を併用することが好ましい。
併用する紫外線吸収剤としては、いずれのものでも使用できる。例としては、前記一般式(1)〜(5)のいずれかで表される紫外線吸収剤や、上述の紫外線吸収剤の例を挙げることができる。これらの紫外線吸収剤は1種または2種以上を併用することができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(例示化合物(1)の調製)
2−アミノ−5−スルホ安息香酸20.0gにN,N−ジメチルアセトアミド60mlを添加し、この混合物に、二塩化テレフタロイル9.4gを氷冷下で分割添加し、室温で2時間反応させた。その混合物に無水酢酸60mlを加え、還流下に2時間反応させた。室温まで冷却後、濾過、アセトン洗浄することで例示化合物(1)を23.1g得た(収率95%)。
実施例2
(例示化合物(2)、(4)、(11)及び(14)の調製)
例示化合物(1)を酢酸ナトリウム水溶液で処理することにより、例示化合物(2)を得た。
1H NMR(D2O):δ7.72−7.75(2H),δ8.15(4H),δ8.16−8.19(2H),δ8.42−8.43(2H)
λmax=347nm(H2O)
同様に、酢酸カリウム水溶液で処理することにより、例示化合物(4)を得た。また、トリエチルアミン又はピリジンにより処理することにより、それぞれ例示化合物(11)又は例示化合物(14)を得た。
実施例3
(例示化合物(15)の調製)
2−アミノ−5−スルホ安息香酸20.0gにN,N−ジメチルアセトアミド60mlを添加し、この混合物に、2,5-チオフェンジカルボニルジクロリド9.7gを氷冷下で分割添加し、室温で2時間反応させた。その混合物に無水酢酸60mlを加え、還流下に2時間反応させた。室温まで冷却後、濾過、アセトン洗浄することで例示化合物(15)を23.5g得た(収率94%)。
実施例4
(例示化合物(16)、(17)、(19)及び(20)の調製)
例示化合物(15)を酢酸ナトリウム水溶液で処理することにより、例示化合物(16)を得た。同様に、酢酸リチウム水溶液で処理することにより、例示化合物(17)を得た。また、アンモニア又はメチルアミンにより処理することにより、それぞれ例示化合物(19)又は例示化合物(20)を得た。
実施例5
(例示化合物(29)の調製)
2−アミノ−6−スルホ安息香酸20.0gにN,N−ジメチルアセトアミド60mlを添加し、この混合物に、二塩化テレフタロイル9.4gを氷冷下で分割添加し、室温で2時間反応させた。その混合物に無水酢酸60mlを加え、還流下に2時間反応させた。室温まで冷却後、濾過し、酢酸ナトリウム水溶液で処理することにより、例示化合物(29)を23.1g得た(収率95%)。
実施例6
(例示化合物(34)の調製)
2−アミノ−3,5−ジスルホ安息香酸20.0gにN,N−ジメチルアセトアミド60mlを添加し、この混合物に、二塩化テレフタロイル6.8gを氷冷下で分割添加し、室温で2時間反応させた。その混合物に無水酢酸60mlを加え、還流下に2時間反応させた。室温まで冷却後、濾過し、酢酸ナトリウム水溶液で処理することにより、例示化合物(34)を21.5g得た(収率93%)。
実施例7
(例示化合物(50)の調製)
2−アミノ−5−スルホ安息香酸20.0gにN,N−ジメチルアセトアミド60mlを添加し、この混合物に2,6−ナフタレンジカルボニルジクロリド11.6gを氷冷下で分割添加し、室温で2時間反応させた。その混合物に無水酢酸60mlを加え、還流下に2時間反応させた。室温まで冷却後、濾過し、酢酸ナトリウム水溶液で処理することにより、例示化合物(50)を25.0g得た(収率94%)。
実施例8
(例示化合物(84)の調製)
2−アミノ−5−スルホ安息香酸20.0gにN,N−ジメチルアセトアミド60mlを添加し、この混合物にベンゾイルクロリド12.9gを氷冷下で分割添加し、室温で2時間反応させた。その混合物に無水酢酸60mlを加え、還流下に2時間反応させた。室温まで冷却後、濾過し、酢酸ナトリウム水溶液で処理することにより、例示化合物(84)を28.5g得た(収率95%)。
実施例9
(例示化合物(86)の調製)
2−アミノ−5−スルホ安息香酸20.0gにN,N−ジメチルアセトアミド60mlを添加し、この混合物に2−ナフトイルクロリド17.6gを氷冷下で分割添加し、室温で2時間反応させた。その混合物に無水酢酸60mlを加え、還流下に2時間反応させた。室温まで冷却後、濾過し、酢酸ナトリウム水溶液で処理することにより、例示化合物(86)を32.5g得た(収率95%)。
<試料溶液の調製および耐光性評価>
例示化合物(2)1mgを水100mlに溶解し、試料溶液を調製した。同様にして、例示化合物(16)、例示化合物(50)、並びに従来の水溶性紫外線吸収剤である比較化合物Aについて試料溶液を調製した。試料溶液はそれぞれ1cm石英セルにて島津製作所製分光光度計UV−3600(商品名)を用いて吸光度を測定した。この試料溶液を封入したセルに対して、UVフィルタを除去したキセノンランプで照度17万ルクスになるように光照射し、2日間照射後の各化合物の残存量をそれぞれ測定した。残存量は次式に従い計算した。
残存量(%)=100×(100−照射後の透過率)/(100−照射前の透過率)
なお、透過率はそれぞれの化合物の極大吸収波長で測定した値である。結果を表1に示す。
Figure 2010083791
Figure 2010083791
表1の結果から明らかなように、本発明の化合物は、比較化合物A(UV−A領域に吸収を有する既存の紫外線吸収剤)と比較して、試料溶液中の残存率が高く、光照射によって分解しにくいことがわかった。
<水溶液の色味>
例示化合物(2)1mgを水100mlに溶解し、試料溶液を調製した。同様にして、比較化合物Aについて試料溶液を調製し、その水溶液の色味を観察した。その結果、比較化合物Aの水溶液は黄色に着色していたのに対し、本発明の化合物の水溶液は無色透明であった。したがって、比較化合物Aは製品の着色という観点で使用が制限されるのに対し、本発明の化合物は製品の色調に影響を与えることなく使用できることがわかった。
<皮膚外用剤の調製および評価>
1.皮膚外用剤の調製
[A]
数値(質量%)
ポリグリセリン/ステアロイル乳酸ナトリウム混合物 2.5
ベヘニルアルコール 2.5
スクワラン 4.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 6.0
紫外線吸収化合物 2.0
[B]
数値(質量%)
防腐剤 適量
1,3−ブチレングリコール 5.0
キサンタンガム(2%水溶液) 15.0
精製水で全量 100.0
(調製方法)
前記[A]及び[B]ともに、70〜80℃に加温し、均一に溶解した。[A]を[B]に添加し、80℃に保ちながらホモミキサーで5,000rpm、7分間撹拌後、パドル撹拌しながら冷却し、35〜30℃で撹拌を止め、放置した。紫外線吸収化合物として例示化合物(1)を用いたものを試料101、例示化合物(2)を用いたものを試料102、例示化合物(11)を用いたものを試料103、例示化合物(16)を用いたものを試料104、例示化合物(50)を用いたものを試料105、および例示化合物(84)を用いたものを試料106とし、それぞれ上記処方にて混合した。
2.皮膚外用剤の評価
上記で調製した試料101〜106は、いずれも優れた紫外線防止効果を有し、また、皮膚に塗っても違和感がなく、皮膚外用剤として使用できることがわかった。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    Figure 2010083791
    [式中、Ar1は、2〜10価の5〜20員環の芳香族残基を表す。該芳香族残基はヘテロ原子を含有していても良く、置換基を有していても良い。
    Ar1に結合している環は、任意の位置に二重結合を有していても良い。
    a及びXbは、互いに独立してヘテロ原子を表す。また、Xa及びXbは置換基を有していても良い。
    1は、水素原子、金属原子、無置換もしくは置換アンモニウム、又はピリジニウムを表す。
    1は、1〜4の整数を表す。
    1は、1〜10の整数を表す。]
  2. 前記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
    Figure 2010083791
    [式中、Ar2は、前記一般式(1)のAr1と同義である。
    2は、前記一般式(1)のM1と同義である。
    2は、前記一般式(1)のn1と同義である。
    2は、前記一般式(1)のm1と同義である。]
  3. 前記一般式(2)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする、請求項2記載の化合物。
    Figure 2010083791
    [式中、Ar3は、2価の5〜20員環の芳香族残基を表す。該芳香族残基はヘテロ原子を含有していても良く、置換基を有していても良い。
    3a及びM3bは、互いに独立して水素原子、金属原子、無置換もしくは置換アンモニウム、又はピリジニウムを表す。
    3a、n3bは、互いに独立して1〜4の整数を表す。]
  4. 前記一般式(3)で表される化合物が下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする、請求項3記載の化合物。
    Figure 2010083791
    [式中、Ar4は、前記一般式(3)のAr3と同義である。
    4a及びM4bは、前記一般式(3)のM3a及びM3bと同義である。]
  5. 前記一般式(4)で表される化合物が下記一般式(5)で表される化合物であることを特徴とする、請求項4記載の化合物。
    Figure 2010083791
    [式中、M5a及びM5bは、前記一般式(3)のM4a及びM4bと同義である。]
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物よりなる紫外線吸収剤。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物よりなる蛍光増白剤。
  8. 請求項6記載の紫外線吸収剤および/または請求項7記載の蛍光増白剤を含む分散物。
  9. 請求項6記載の紫外線吸収剤および/または請求項7記載の蛍光増白剤を含む溶液。
  10. 請求項6記載の紫外線吸収剤および/または請求項7記載の蛍光増白剤を含む皮膚外用剤。
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