JP2010083723A - 光学ガラス、試料保持器具及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、試料保持器具及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】観察時及び撮像時の画質や測定時の測定精度を高めた光学ガラス、試料保持器具及び光学素子を提供する。
【解決手段】この光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分の含有量が45.0%を超え且つ80.0%以下であり、質量和(As+Sb)が0.1%未満であり、F成分を20.0%以下含有する。また、試料保持器具及び光学素子は、この光学ガラスが用いられたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、試料保持器具及び光学素子に関する。
従来から、生物学や医学等の分野において、生物組織、細胞、遺伝子、又は細菌等を観察するために、紫外線等の励起光を対象物に照射し、対象物から発せられる蛍光を観察および測定する手法が多く用いられている。特に近年では、非常に少数の細菌や、細胞等に吸着した蛍光体から発せられるような微弱な蛍光を観察および測定するような技術が盛んに研究されている。
ここで、光学ガラスからなる試料保持器具を用いてこのような観察や測定を行った場合、光学ガラスが紫外線によって励起され、光学ガラスから蛍光が発生する。この光学ガラスからの蛍光が、対象物の蛍光を観察し測定する際のノイズになるため、観察時の画質や測定時の測定精度が低下する問題を生じる。従って、試料保持器具の用途において、蛍光の強度の小さい光学ガラスの需要が非常に高まっている。
また、光学機器の分野、例えば蛍光顕微鏡等の紫外線を扱った光学系を有する機器や、CCDカメラやデジタルカメラ、ビデオカメラ等の撮影機器の分野では、レンズ、プリズム、カバーガラス等の光学素子に用いられる光学ガラスで生じる蛍光が、光学系を通る紫外線を減衰させたり、対象物を捉える際にノイズを発生させたりする原因になるため、観察時及び撮像時の画質や測定時の測定精度が低下する問題を生じる。従って、光学素子及び光学機器の用途においても、蛍光の強度の小さい光学ガラスの需要が非常に高まっている。
ここで、蛍光の強度の小さい光学ガラスとしては、Yb成分を必須成分として含有し、屈折率(n)が1.6879〜1.7969の範囲内にあるようなガラスが特許文献1に開示されている。
特開2000−128569号公報
しかしながら、特許文献1で開示されたガラスは紫外線による蛍光強度は低いものの、屈折率(n)が高いため、光学的性質の面で石英を代替し得ず、ガラスを透過する光の反射損失も大きかった。従って、特許文献1で開示されたガラスを、上述のような高い精度が求められる試料保持器具、光学素子及び光学機器に用いることはできなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、観察時及び撮像時の画質や測定時の測定精度を高めた光学ガラス、試料保持器具及び光学素子を得ることにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意試験研究を重ねた結果、ガラスにおけるSiO成分及びF成分の含有量を所定の範囲に調整し、As成分及びSb成分の質量和を所定未満にすることによって、屈折率(n)が低減されながら、ガラスによって生じる蛍光(自家蛍光)が低減されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分の含有量が45.0%を超え且つ80.0%以下であり、質量和(As+Sb)が0.1%未満であり、F成分を20.0%以下含有する光学ガラス。
(2) 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でF成分を2.0%以上15.0%以下含有する(1)記載の光学ガラス。
(3) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
成分 0〜18.0%、及び/又は
Al成分 0〜30.0%
の各成分をさらに含有する(1)又は(2)記載の光学ガラス。
(4) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
MgO成分 0〜15.0%、及び/又は
CaO成分 0〜20.0%、及び/又は
SrO成分 0〜20.0%、及び/又は
BaO成分 0〜20.0%、及び/又は
ZnO成分 0〜20.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラス。
(5) 酸化物換算組成における質量和(MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)が20.0%以下である(4)記載の光学ガラス。
(6) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
LiO成分 0〜15.0%、及び/又は
NaO成分 0〜20.0%、及び/又は
O成分 0〜25.0%、及び/又は
CsO成分 0〜5.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
(7) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でKO成分を16%以上含有する(6)記載の光学ガラス。
(8) 酸化物換算組成における質量和(LiO+NaO+KO+CsO)が25.0%以下である(6)又は(7)記載の光学ガラス。
(9) As成分を実質的に含有せず、酸化物換算組成における質量比(KO+F)/(SiO+B)が0.380以下である(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
(10) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
La成分 0〜20.0%、及び/又は
成分 0〜10.0%、及び/又は
Gd成分 0〜10.0%、及び/又は
Yb成分 0〜10.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
(11) 酸化物換算組成のガラス全質量に対する、La成分、Y成分、Gd成分、及びYb成分の含有率の質量和が20.0%以下である(10)記載の光学ガラス。
(12) 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
成分 0〜20.0%、及び/又は
TiO成分 0〜20.0%、及び/又は
Ta成分 0〜15.0%、及び/又は
Nb成分 0〜10.0%、及び/又は
WO成分 0〜10.0%、及び/又は
ZrO成分 0〜10.0%、及び/又は
GeO成分 0〜25.0%、及び/又は
TeO成分 0〜10.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
(13) 365nmの光により励起されて発生する蛍光の、420nm以上800nm以下の波長における積分値が、日本光学硝子工業会の定める「光学ガラスの蛍光度の測定方法(JOGIS−1975)」で標準ガラス試料F2の発光強度の当該積分値の2.5%以下である(1)から(12)のいずれか記載の光学ガラス。
(14) (1)から(13)のいずれか記載の光学ガラスが用いられた試料保持器具。
(15) 顕微鏡観察用スライドガラス、顕微鏡観察用カバーガラス、フローセル、角セル、大型円筒セル、又はDNAチップである、(14)記載の試料保持器具。
(16) (1)から(13)のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。
(17) (16)記載の光学素子が用いられた光学機器。
本発明によれば、SiO成分及びF成分の含有量を所定の範囲に調整し、As成分及びSb成分の質量和を所定未満にすることによって、屈折率(n)が低減されながら、ガラスによって生じる蛍光(自家蛍光)が低減されるため、観察時及び撮像時の画質や測定時の測定精度を高めた光学ガラス、試料保持器具及び光学素子を得ることができる。
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分の含有量が45.0%を超え且つ80.0%以下であり、質量和(As+Sb)が0.1%未満であり、F成分を20.0%以下含有する。SiO成分及びF成分の含有量を所定の範囲に調整し、As成分及びSb成分の質量和を所定未満にすることによって、屈折率(n)が低減されながら、ガラスによって生じる自家蛍光が低減される。このため、ガラスによる光の反射損失を少なくして、特に紫外領域における分光透過率を高めることができ、観察時及び撮像時の画質や測定時の測定精度が高められた光学ガラス、試料保持器具及び光学素子を得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において、各成分の含有率は特に断りがない場合は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
SiO成分は、ガラス内部で網目構造を形成する成分である。特に、SiO成分の含有率が45.0%を超えることで、屈折率(n)が低減されるため、ガラスによる光の反射損失を少なくし、ガラスの分光透過率を高めることができる。また、これにより安定なガラスが得られる程度にガラスの網目構造が増加するため、ガラスの耐失透性及び化学的耐久性を高めることができる。一方、SiO成分の含有率を80.0%以下にすることで、ガラスの網目構造の過剰な増加が抑えられるため、ガラスの溶融性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSiO成分の含有率は、好ましくは45.0%を超え、より好ましくは50.0%、最も好ましくは55.0%を下限とし、好ましくは80.0%、より好ましくは75.0%、最も好ましくは70.0%を上限とする。SiO成分は、原料として例えばSiO、KSiF、NaSiF等を用いてガラス内に含有することができる。
As成分は、ガラスを清澄し、均質化する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、As成分の含有率を0.1%未満にすることで、短波長に光についてのガラスの透過率を悪化し難くし、ガラス溶融時における過度の発泡を生じ難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するAs成分の含有率は、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満、最も好ましくは0.01%未満とする。特に、光学ガラスの環境上の影響を重視する場合には、As成分を含有しないことが好ましい。As成分は、原料として例えばAs、As等を用いてガラス内に含有することができる。
Sb成分は、ガラスを清澄し、均質化する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Sb成分の含有率を0.1%未満にすることで、短波長に光についてのガラスの透過率を悪化し難くし、ガラス溶融時における過度の発泡を生じ難くし、Sb成分が溶解設備(特にPt等の貴金属)と合金化し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSb成分の含有率は、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満、最も好ましくは0.01%未満とする。特に、光学ガラスの環境上の影響を重視する場合には、Sb成分を含有しないことが好ましい。Sb成分は、原料として例えばSb、Sb、NaSb・5HO等を用いてガラス内に含有することができる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のAsやSb成分に限定されるものではなく、例えばCeO成分やTeO成分等のような、ガラス製造の分野における公知の清澄剤や脱泡剤、或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
本発明の光学ガラスは、As成分及びSb成分の質量和が0.1%未満である。この質量和を0.1%未満にすることで、光学ガラス自体によって生じる蛍光(自家蛍光)が低減される。このため、自家蛍光の励起光となっていた短波長の光、特に紫外線についてのガラスの分光透過率を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量和(As+Sb)は、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満、最も好ましくは0.01%未満とする。特に、光学ガラスの環境上の影響を重視する場合には、As成分及びSb成分のいずれも含有しないことが好ましい。
F成分は、ガラスの脱泡性を高め、ガラスの溶融性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、F成分の含有率を20.0%以下とすることにより、ガラスの屈折率を低下し難くすることができ、脈理等の素地不良の発生を低減することができる。従って、酸化物換算組成におけるガラスの全質量に対するF成分の含有率は、各元素の一種又は二種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量で、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは12.0%を上限とする。なお、本発明の光学ガラスは、F成分を含有しなくとも蛍光の低減された光学ガラスを得ることは可能であるが、F成分の含有率を1.0%以上にすることで、ガラスの脱泡性を高め、ガラスの溶融性を向上することができる。従って、酸化物換算組成におけるガラス全質量に対するF成分の含有率は、各元素の一種又は二種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量で、好ましくは2.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは7.0%を下限とする。F成分は各種酸化物の導入において、原料形態を弗化物にて導入した際に、ガラス中に導入される。
なお、本明細書において、F成分の含有率を表す表記「各元素の一種又は二種以上の酸化物の一部又は全部と置換した弗化物のFとしての合計量」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100%とし、実際に含有されるF原子の質量を質量%で表したものである。
成分は、ガラス内部で網目構造を形成し、ガラスの溶融時の粘度を適度な大きさにする成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、B成分の含有率を18.0%以下にすることで、ガラスの溶融性を高め、ガラスを再加熱した際の失透を低減し、光線透過性の高いガラスを得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するB成分の含有率は、好ましくは18.0%、より好ましくは17.0%、最も好ましくは16.5%を上限とする。B成分は、原料として例えばHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いてガラス内に含有することができる。
Al成分は、ガラスの化学的耐久性を高め、ガラスの分相を低減するのに有効な成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Al成分の含有率を30.0%以下にすることで、ガラス形成時における耐失透性を高め、ガラスの溶融性を高める、均質なガラスを得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するAl成分の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。Al成分は、原料として例えばAl、Al(OH)、AlF等を用いてガラス内に含有することができる。
MgO成分は、ガラスの溶融性を向上し、ガラスの光学恒数を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、MgO成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するMgO成分の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。MgO成分は、原料として例えばMgCO、MgF等を用いてガラス内に含有することができる。
CaO成分は、ガラスの溶融性を向上し、ガラスの光学恒数を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、CaO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するCaO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。CaO成分は、原料として例えばCaCO、CaF等を用いてガラス内に含有することができる。
SrO成分は、ガラスの溶融性を向上し、ガラスの光学恒数を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、SrO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSrO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。SrO成分は、原料として例えばSr(NO、SrF等を用いてガラス内に含有することができる。
BaO成分は、ガラスの溶融性を向上し、ガラスの光学恒数を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、BaO成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するBaO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。BaO成分は、原料として例えばBaCO、Ba(NO等を用いてガラス内に含有することができる。
ZnO成分は、ガラスの溶融性を向上し、ガラスの光学恒数を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、ZnO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの光線透過率及び化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するZnO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。ZnO成分は、原料として例えばZnO、ZnF等を用いてガラス内に含有することができる。
本発明の光学ガラスは、RO(式中、RはZn、Mg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)成分の質量和が20.0%以下であることが好ましい。この質量和を20.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するRO成分の質量和は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。特に、分光透過率が高い光学ガラスを得る点では、RO成分の質量和は好ましくは6.0%、より好ましくは1.5%を上限とし、最も好ましくは含有しない。
LiO成分は、低いガラス転移点(Tg)を確保し、ガラスの溶融性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、LiO成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLiO成分の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。LiO成分は、原料として例えばLiCO、LiNO、LiF等を用いてガラス内に含有することができる。
NaO成分は、低いガラス転移点(Tg)を確保し、ガラスの溶融性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、NaO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するNaO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。NaO成分は、原料として例えばNaCO、NaNO、NaF、NaSiF等を用いてガラス内に含有することができる。
O成分は、低いガラス転移点(Tg)を確保し、ガラスの溶融性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、KO成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するKO成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは23.0%、最も好ましくは21.0%を上限とする。KO成分は、原料として例えばKCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いてガラス内に含有することができる。特に、KO成分はLiO成分及びNaO成分と比べ、ガラスの耐水性向上の点で有利であり、必須成分として含有することが好ましく、その下限は好ましくは16.0%、より好ましくは17.0%、最も好ましくは17.5%である。
CsO成分は、低いガラス転移点(Tg)を確保し、ガラスの溶融性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、CsO成分の含有率を5.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するCsO成分の含有率は、好ましくは5.0%、より好ましくは4.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。CsO成分は、原料として例えばCsCO、CsNO等を用いてガラス内に含有することができる。
本発明の光学ガラスは、RnO(式中、RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上)成分の質量和が25.0%以下であることが好ましい。この質量和を25.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するRnO成分の質量和は、好ましくは25.0%、より好ましくは23.0%、最も好ましくは21.0%を上限とする。なお、本発明の光学ガラスは、RnO成分を含有しなくとも蛍光の低減された光学ガラスを得ることは可能であるが、RnO成分の質量和を16.0%以上にすることで、低いガラス転移点(Tg)を得易くし、ガラスの溶融性及び耐水性を向上することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するRnO成分の質量和は、好ましくは16.0%、より好ましくは17.0%、最も好ましくは17.5%を下限とする。
上述のように、近年の環境保護上の観点から、ガラス原料中にはAs成分を含有しないことが好ましい。しかし、As成分は脱泡作用及び透過率向上に効果がある成分であるため、直ちにこれをガラス原料から排除することは難しい。とはいえ、As成分はガラスに蛍光を与え易い成分であるため、低蛍光ガラスを製造するという観点からもAs成分を含有しないことが好ましい。本発明者は特に、ガラスフォーマーとしてSiO及びBを用い、アルカリ金属としてKO成分を必須とし、且つKO成分及びF成分の和と、前記ガラスフォーマーと、の質量比を所定の範囲内とすることにより、Asを含有しなくとも脱泡性及び透過率を保持することができ、且つ安定性が高く、且つ低蛍光ガラスとして有用なガラスを作製できることを今般見出したのである。従って、酸化物換算組成における質量比(KO+F)/(SiO+B)の値は、0.380以下であることが好ましく、0.375以下であることがより好ましく、0.370以下であることが最も好ましい。なお、この質量比の値は、ガラスの溶融性を高めることができる点では、0.020以上であることが好ましく、0.190以上であることがより好ましく、0.220以上であることが最も好ましい。
La成分は、ガラスの屈折率を高め、硬度やヤング率等の特性を向上する成分である。特に、La成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLa成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。La成分は、原料として例えばLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)等を用いてガラス内に含有することができる。
Gd成分は、ガラスの屈折率を高め、硬度やヤング率等の特性を向上する成分である。特に、Gd成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するGd成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。Gd成分は、原料として例えばGd、GdF等を用いてガラス内に含有することができる。
成分は、ガラスの屈折率を高め、硬度やヤング率等の特性を向上する成分である。特に、Y成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するY成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。Y成分は、原料として例えばY、YF等を用いてガラス内に含有することができる。
Yb成分は、ガラスの屈折率を高め、硬度やヤング率等の特性を向上する成分である。特に、Yb成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するYb成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%を上限とし、最も好ましくは1.0%未満とする。Yb成分は、原料として例えばYb等を用いてガラス内に含有することができる。
本発明の光学ガラスは、Ln成分(LnはY、La、Gd及びYbからなる群より選択される1種以上)の質量和が20.0%以下であることが好ましい。この質量和を20.0%以下にすることで、ガラス形成時における耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するLn成分の質量和は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。
成分は、ガラスの溶融性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、P成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を改善することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するP成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。P成分は、原料として例えばAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いてガラス内に含有することができる。
TiO成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスの分散を大きくし、ガラスのソラリゼーションによる着色を低減する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、TiO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの可視光の透過率を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTiO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。TiO成分は、原料として例えばTiO等を用いてガラス内に含有することができる。
Ta成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスを安定化する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Ta成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの溶解温度を下げ、ガラス製造時のエネルギー損失によるコストを低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTa成分の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Ta成分は、原料として例えばTa等を用いてガラス内に含有することができる。
Nb成分は、ガラスの溶融性および耐失透性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Nb成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの溶解温度を下げ、ガラス製造時のエネルギー損失によるコストを低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するNb成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。Nb成分は、原料として例えばNb等を用いてガラス内に含有することができる。
WO成分は、ガラスの溶融性および耐失透性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、WO成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するWO成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。WO成分は、原料として例えばWO等を用いてガラス内に含有することができる。
ZrO成分は、ガラスの化学的耐久性を高め、ガラスの耐磨耗性を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、ZrO成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するZrO成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。ZrO成分は、原料として例えばZrO、ZrF等を用いてガラス内に含有することができる。
GeO成分は、ガラスの耐失透性と屈折率を高める成分であり、ガラス中の任意成分である。特に、GeO成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するGeO成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。GeO成分は、原料として例えばGeO等を用いてガラス内に含有することができる。
TeO成分は、ガラス溶融時の清澄作用を促進する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、TeO成分の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減し、ガラスの内部透過率を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するTeO成分の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%、最も好ましくは5.0%を上限とする。TeO成分は、原料として例えばTeO等を用いてガラス内に含有することができる。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスには、他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加することができる。
ただし、Ti、Zr、Nb、La、Gd、Yを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
さらに、PbO等の鉛化合物、及び、Th、Cd、Tl、Os、Be、Seの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、光学ガラスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、この光学ガラスを製造し、加工し、及び廃棄することができる。
本発明のガラス組成物は、その組成が酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表されているため直接的にモル%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分のモル%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
SiO成分 55.0〜85.0mol%
並びに
As成分 0〜0.03mol%及び/又は
Sb成分 0〜0.03mol%及び/又は
F成分 0〜35.0mol%及び/又は
成分 0〜20.0mol%及び/又は
Al成分 0〜25.0mol%及び/又は
MgO成分 0〜30.0mol%及び/又は
CaO成分 0〜30.0mol%及び/又は
SrO成分 0〜15.0mol%及び/又は
BaO成分 0〜10.0mol%及び/又は
ZnO成分 0〜20.0mol%及び/又は
LiO成分 0〜30.0mol%及び/又は
NaO成分 0〜15.0mol%及び/又は
O成分 0〜8.0mol%及び/又は
CsO成分 0〜2.0mol%及び/又は
La成分 0〜5.0mol%及び/又は
成分 0〜4.0mol%及び/又は
Gd成分 0〜3.0mol%及び/又は
Yb成分 0〜2.0mol%及び/又は
成分 0〜15.0mol%及び/又は
TiO成分 0〜20.0mol%及び/又は
Ta成分 0〜3.0mol%及び/又は
Nb成分 0〜4.0mol%及び/又は
WO成分 0〜8.0mol%及び/又は
ZrO成分 0〜8.0mol%及び/又は
GeO成分 0〜20.0mol%及び/又は
TeO成分 0〜5.0mol%
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗溶融した後、金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて1200〜1400℃の温度範囲で2〜4時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1200℃以下の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
[物性]
本発明の光学ガラスは、光学ガラス自体によって生じる蛍光(自家蛍光)強度が小さいことが好ましい。本明細書中において「蛍光強度」は、365nmの光により励起されて発生する蛍光の強度のうち、420nm以上800nm以下の波長における積分値についての、日本光学硝子工業会の定める「光学ガラスの蛍光度の測定方法(JOGIS−1975)」で標準試料として用いられているガラスF2を使用した場合を100%とした場合における相対値を意味する。これにより、自家蛍光の励起光となっていた短波長の光、特に紫外線についてのガラスの分光透過率が高められるため、透過光に生じていたノイズを低減することができ、入射した対象物からの微弱な光をより忠実に透過することができる。従って、本発明の光学ガラスの蛍光強度は、好ましくは2.5%、より好ましくは2.0%、最も好ましくは1.5%を上限とする。
また、本発明の光学ガラスは、所定の屈折率(n)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.30、より好ましくは1.40、最も好ましくは1.45を下限とし、好ましくは1.70、より好ましくは1.60、最も好ましくは1.50を上限とする。これにより、ガラスによる光の反射損失が少なくなり、ガラスの分光透過率が高められるため、透過光に生じていたノイズを低減することができ、入射した対象物からの微弱な光をより忠実に透過することができる。また、この屈折率(n)は石英の屈折率(n=1.54)に近いため、特別な調整を行わなくとも、石英からなる試料保持器具や光学素子と置き換えることができる。
また、本発明の光学ガラスは、特に紫外線に対する透過率が高いことが好ましい。特に、本発明の光学ガラスは、厚み10mmのサンプルについて日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて200〜800nmの分光透過率を測定した場合における、分光透過率80%を示す波長(λ80)が330nm以下であり、より好ましくは310nm以下であり、最も好ましくは300nm以下である。これにより、ガラスによる紫外光の吸収が低減され、紫外線によってガラスが励起され難くなるため、光学ガラスの自家蛍光を低減することができる。
[光学ガラスの用途]
このように、本発明の光学ガラスは、様々な用途に有用であるが、その中でも特に、本発明の光学ガラスを用いて試料保持器具を作製することが好ましい。これにより、試料保持器具で保持した試料を観察し又は測定する際に、機器や外部環境から受ける紫外線によって生じる試料保持器具の自家蛍光や、対象物からの光の反射損失が低減される。このため、対象物を観察し測定する際のノイズを低減し、対象物から発せられる蛍光の検出能を高めることができ、観察時の画質や測定時の測定精度を高めることができる。ここで、試料保持器具としては、顕微鏡観察用スライドガラス、顕微鏡観察用カバーガラス、フローセル、角セル、大型円筒セル、又はDNAチップが特に好ましい。
また、本発明の光学ガラスを用いて、レンズ、プリズム、カバーガラス等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、蛍光顕微鏡等の紫外線を扱った光学系を有する機器や、CCDカメラやデジタルカメラ、ビデオカメラ等の撮影機器をはじめとした光学機器に用いたときに、機器や外部環境から受ける紫外線によって生じる試料保持器具の自家蛍光や、対象物からの光の反射損失が低減される。このため、対象物を観察し撮像する際のノイズを低減することができ、観察時及び撮像時の画質を高めることができる。
本発明の実施例(No.1〜No.5)及び参考例(No.A)の組成、並びに、これらのガラスの屈折率(n)、蛍光強度及び透過率の結果を表1に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
本発明の実施例(No.1〜No.5)の光学ガラス及び参考例(No.A)のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表1及び表2に示した各実施例及び参考例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の溶融難易度に応じて電気炉で1200〜1400℃の温度範囲で2〜4時間溶解し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1200℃以下に温度を下げて攪拌均質化してから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
ここで、実施例(No.1〜No.5)の光学ガラス及び参考例(No.A)のガラスの屈折率(n)は、徐冷降温速度を−25℃/hにして得られたガラスについて測定を行うことで求めた。
また、実施例(No.1〜No.5)の光学ガラス及び参考例(No.A)のガラスの蛍光強度は、分光蛍光計(Jobin Yvon社製 Fluorolog−3)を用いて、365nmの光により励起されて発生する蛍光をFront Face Modeにて、420nm以上800nm以下の波長における積分値を測定して求めた。ここで、日本光学硝子工業会の定める「光学ガラスの蛍光度の測定方法(JOGIS−1975)」で標準試料として用いられているガラスF2についても同様に積分値を測定し、実施例及び参考例のガラスの蛍光強度についての標準試料の積分値に対する倍率(蛍光強度)を求めた。
また、実施例(No.1〜No.5)の光学ガラス及び参考例(No.A)のガラスの透過率については、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定した。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ80(透過率80%時の波長)を求めた。
Figure 2010083723
表1に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも蛍光強度が2.5%以下、より詳細には1.5%以下であった。一方で、参考例のガラスは、蛍光強度が2.5%より高かった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、参考例のガラスに比べて蛍光が低減されていることが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.30以上、より詳細には1.45以上であるとともに、この屈折率(n)は1.70以下、より詳細には1.50以下であり、所定の範囲内であった。これら実施例の値は、石英の屈折率に近いものであった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもλ80(透過率80%時の波長)が330nm以下、より詳細には300nm以下であり、所定の範囲内であった。一方で、参考例のガラスは、λ80が330nmより大きかった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、参考例のガラスに比べて、特に紫外線に対する透過率が高く、紫外線の吸収が少ないことが明らかになった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて試料保持器具、より具体的には顕微鏡観察用スライドガラス及び顕微鏡観察用カバーガラスを作製し、この中に細胞組織を入れて、生物顕微鏡を用いて観察を行ったところ、参考例のガラスを用いた場合に比べて顕微鏡画像の画質を高めることができた。
また、本発明の実施例の光学ガラスを用いて精密プレス成形用プリフォームを形成し、精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形加工してレンズ及びプリズムを作製し、これを紫外顕微鏡に組み込んで得られた画像を観察したところ、参考例のガラスを用いた場合に比べて画像の画質を高めることができた。
従って、本発明の実施例の光学ガラスでは、屈折率(n)が低減されながら、自家蛍光が低減されることが確認され、観察時及び撮像時の画質や測定時の測定精度を高められることが明らかになった。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (17)

  1. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でSiO成分の含有量が45.0%を超え且つ80.0%以下であり、質量和(As+Sb)が0.1%未満であり、F成分を20.0%以下含有する光学ガラス。
  2. 酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%でF成分を2.0%以上15.0%以下含有する請求項1記載の光学ガラス。
  3. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    成分 0〜18.0%、及び/又は
    Al成分 0〜30.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1又は2記載の光学ガラス。
  4. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    MgO成分 0〜15.0%、及び/又は
    CaO成分 0〜20.0%、及び/又は
    SrO成分 0〜20.0%、及び/又は
    BaO成分 0〜20.0%、及び/又は
    ZnO成分 0〜20.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
  5. 酸化物換算組成における質量和(MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)が20.0%以下である請求項4記載の光学ガラス。
  6. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    LiO成分 0〜15.0%、及び/又は
    NaO成分 0〜20.0%、及び/又は
    O成分 0〜25.0%、及び/又は
    CsO成分 0〜5.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
  7. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%でKO成分を16%以上含有する請求項6記載の光学ガラス。
  8. 酸化物換算組成における質量和(LiO+NaO+KO+CsO)が25.0%以下である請求項6又は7記載の光学ガラス。
  9. As成分を実質的に含有せず、酸化物換算組成における質量比(KO+F)/(SiO+B)が0.380以下である請求項1から8のいずれか記載の光学ガラス。
  10. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    La成分 0〜20.0%、及び/又は
    成分 0〜10.0%、及び/又は
    Gd成分 0〜10.0%、及び/又は
    Yb成分 0〜10.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1から9のいずれか記載の光学ガラス。
  11. 酸化物換算組成のガラス全質量に対する、La成分、Y成分、Gd成分、及びYb成分の含有率の質量和が20.0%以下である請求項10記載の光学ガラス。
  12. 酸化物換算組成のガラス全質量に対して、質量%で
    成分 0〜20.0%、及び/又は
    TiO成分 0〜20.0%、及び/又は
    Ta成分 0〜15.0%、及び/又は
    Nb成分 0〜10.0%、及び/又は
    WO成分 0〜10.0%、及び/又は
    ZrO成分 0〜10.0%、及び/又は
    GeO成分 0〜25.0%、及び/又は
    TeO成分 0〜10.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1から11のいずれか記載の光学ガラス。
  13. 365nmの光により励起されて発生する蛍光の、420nm以上800nm以下の波長における積分値が、日本光学硝子工業会の定める「光学ガラスの蛍光度の測定方法(JOGIS−1975)」で標準ガラス試料F2の発光強度の当該積分値の2.5%以下である請求項1から12のいずれか記載の光学ガラス。
  14. 請求項1から13のいずれか記載の光学ガラスが用いられた試料保持器具。
  15. 顕微鏡観察用スライドガラス、顕微鏡観察用カバーガラス、フローセル、角セル、大型円筒セル、又はDNAチップである、請求項14記載の試料保持器具。
  16. 請求項1から13のいずれか記載の光学ガラスを母材とする光学素子。
  17. 請求項16記載の光学素子が用いられた光学機器。
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