JP2010058611A - 車両の電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 昇圧回路の過熱防止を図るときに副電源を有効に使って電気アクチュエータに安定した電力を供給する。
【解決手段】 昇圧回路40の回路温度Thが基準温度T1を上回っているとき、副電源の副電源電圧v2が判定電圧v2refよりも高ければ昇圧回路の作動を停止する。これにより、昇圧回路の過熱防止と、電動モータへの安定した電力供給とを両立することができる。一方、回路温度Thが基準温度T1を上回っていても、副電源の副電源電圧v2が判定電圧v2ref以下となる場合には、昇圧回路の昇圧動作を継続させる。この場合、副電源電圧v2に応じて昇圧目標電圧v1*を切り替えることにより、昇圧回路の過熱防止と電動モータへの電源供給とをバランス良く行うことができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、主電源と、主電源により充電され電気アクチュエータへの電源供給を補助する副電源とを備えた車両の電源装置に関する。
従来から、例えば、電動パワーステアリング装置においては、操舵ハンドルの回動操作に対して操舵アシストトルクを付与するように電動モータを備え、この電動モータの通電制御を行って操舵アシストトルクを調整する。こうした電動パワーステアリング装置は、その電源として車載バッテリを使用するが消費電力量が大きい。そのため、例えば、特許文献1に提案された装置では、車載バッテリを補助する副電源を備えている。この副電源は、車載バッテリ(以下、主電源と呼ぶ)からモータ駆動回路への電源供給ラインに並列に接続されて主電源により充電され、充電された電力を使ってモータ駆動回路へ電源供給できる構成になっている。また、この装置においては、昇圧回路を備えており、主電源の出力電圧を昇圧してモータ駆動回路へ電源供給する。更に、この装置は、副電源からモータ駆動回路への給電/非給電を切り替えるためのスイッチを備えており、電動モータを作動させる目標電力値が閾値を上回ったときに、スイッチをオンして副電源からモータ駆動回路への電源供給を補助する。
特開2007−91122
しかしながら、特許文献1に提案された装置においては、過大な負荷がかかった場合に昇圧回路が過熱する。そこで、昇圧回路の過熱防止を行うために、電動モータへの通電量を制限すると、電動モータを作動させる目標電力値が低下する。従って、目標電力値と閾値との大小関係に基づいて副電源による給電/非給電を切り替える特許文献1に提案された装置においては、目標電力値が閾値を越えないようになってしまい、副電源を有効に使って電源供給補助を行うことができない。このため、昇圧回路の過熱防止も良好に行えなくなり、電動モータに安定した電力を供給できなくなる。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、昇圧回路等の変圧回路の過熱防止を図るときに、副電源を有効に使って電気アクチュエータに安定した電力を供給することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、主電源と、主電源の出力電圧を変圧して車両の電気アクチュエータに電源供給する変圧回路と、前記変圧回路に対して前記車両の電気アクチュエータと並列に接続されて前記変圧回路から出力される電力を充電し、充電した電力を使って前記車両の電気アクチュエータへの電源供給を補助する副電源とを備えた車両の電源装置において、前記変圧回路の発熱状態を検出する発熱状態検出手段と、前記検出した発熱状態が予め設定した基準発熱状態を越える場合に、前記変圧回路から前記電気アクチュエータへの電源供給を停止して前記副電源のみから前記電気アクチュエータへ電源供給するように切り替える電源切替手段とを備えたことにある。
この場合、前記発熱状態検出手段は、前記変圧回路の温度を検出するとよい。
本発明においては、主電源の出力電圧が変圧回路により変圧され、変圧された電源が車両の電気アクチュエータに供給される。変圧回路から電気アクチュエータへの電源供給回路には副電源が並列に接続される。副電源は、変圧回路から出力された電力を充電し、充電した電力を電気アクチュエータに供給して主電源の電源供給を補助する。尚、変圧回路としては、主電源の出力電圧と電動アクチュエータの適正入力電圧との関係で昇圧回路または降圧回路を用いることができる。例えば、主電源の出力電圧が電気アクチュエータの適正入力電圧よりも低い場合には昇圧回路を用い、主電源の出力電圧が電気アクチュエータの適正入力電圧よりも高い場合には降圧回路を用いればよい。
変圧回路を介して主電源から電気アクチュエータに電源供給されているあいだは、変圧回路が発熱する。発熱状態検出手段は、この変圧回路の発熱状態を検出する。例えば、変圧回路の温度を検出する。そして、検出した発熱状態が基準発熱状態を越える場合(例えば、変圧回路の温度が基準温度を超える場合)、電源切替手段は、変圧回路から電気アクチュエータへの電源供給を停止して副電源のみから電気アクチュエータへ電源供給するように切り替える。
つまり、変圧回路の発熱状態が基準発熱状態を越えないあいだは、主電源、あるいは、主電源と副電源とから電気アクチュエータで電源供給するが、変圧回路の発熱状態が基準発熱状態を越えると、副電源のみから電気アクチュエータへ電源供給する。従って、変圧回路には電流が流れなくなり、変圧回路の過熱が防止される。この結果、変圧回路の過熱防止と電気アクチュエータへの安定した電力供給とを両立することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記発熱状態検出手段により検出した発熱状態に基づいて、前記変圧回路の発熱が大きくなるにしたがって前記電気アクチュエータへ流す電流の上限値である上限電流値を低下させる電流制限手段を備えたことにある。
本発明においては、電流制限手段が変圧回路の発熱が大きくなるにしたがって(例えば、変圧回路の温度が高くなるにしたがって)、電気アクチュエータの上限電流値を低下させるため変圧回路の発熱を抑制する。そして、変圧回路の発熱状態が基準発熱状態を越えると、変圧回路から(つまり、主電源から)電気アクチュエータへの電源供給を停止し、副電源のみから電気アクチュエータへ電源供給する。これにより、変圧回路の過熱をいっそう適切に防止することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記副電源の充電状態を検出する充電状態検出手段と、前記検出した発熱状態が予め設定した基準発熱状態を越える場合であっても、前記副電源の充電状態が予め設定した基準充電状態を下回る場合には、前記電源切替手段の作動を禁止する禁止手段を備えたことにある。
この場合、前記充電状態検出手段は、前記副電源の出力電圧を検出し、その検出した出力電圧を前記副電源の充電状態とみなすとよい。
本発明においては、充電状態検出手段が副電源の充電状態を検出する。例えば、副電源の出力電圧を検出して、その出力電圧の高低により副電源の充電状態を検出する。副電源の充電状態が良好であれば、副電源のみから電気アクチュエータに電源供給しても問題ないが、副電源の充電状態が良好でない場合(蓄電量が不足している場合)には、変圧回路から電気アクチュエータへの電源供給を停止すると、電気アクチュエータへの電力供給量が大きく不足するおそれがある。また、副電源の蓄電量がさらに減ってしまう。そこで、本発明においては、副電源の充電状態が予め設定した基準充電状態を下回る場合(例えば、副電源の出力電圧が基準電圧を下回る場合)には、禁止手段が、電源切替手段の作動を禁止する。従って、変圧回路から電気アクチュエータへの電源供給を継続することができる。また、変圧回路の出力により副電源を充電することもできる。この場合でも、電流制限手段により電気アクチュエータへ流す電流の上限電流値が低い値に制限されているため、変圧回路の過熱を抑制できる。
また、本発明の他の特徴は、前記充電状態検出手段により検出した前記副電源の充電状態が良好であるほど、前記電気アクチュエータへ流す電流の上限電流値を高くする側に補正する上限電流値補正手段を備えたことにある。
本発明においては、上限電流値補正手段が、副電源の充電状態が良好であるほど(例えば、副電源の出力電圧が高いほど)電気アクチュエータへ流す電流の上限電流値を高くする側に補正する。従って、副電源の充電状態が良好であれば、上限電流値を高めに補正して電流制限を緩くするため、副電源から電気アクチュエータへ十分な電力を供給できる。また、副電源の充電状態が良好でなく基準充電状態を下回る場合には、上限電流値が低めに補正されるため、変圧回路から電気アクチュエータに供給する電力が抑えられる。これにより、変圧回路の過熱防止を図りつつ副電源を適切に充電することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記充電状態検出手段により検出した前記副電源の充電状態が良好であるほど、前記基準発熱状態を低くする側に設定する基準値設定手段を備えたことにある。
本発明においては、基準値補正手段が、副電源の充電状態が良好であるほど、基準発熱状態を低くする側に設定する。例えば、副電源の出力電圧が高いほど、変圧回路の発熱状態を判定する基準温度を低く設定する。従って、変圧回路からの電源供給により変圧回路が温度上昇した場合には、副電源の充電状態が良好であるほど、早めに、電源切替手段が変圧回路から電気アクチュエータへの電源供給を停止して副電源のみから電気アクチュエータへ電源供給するように切り替える。従って、副電源の充電状態に応じた適切なタイミングで変圧回路の過熱防止を開始することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電源切替手段は、前記変圧回路の出力電圧を変更することにより、前記変圧回路から前記電気アクチュエータへの電源供給を停止して前記副電源のみから前記電気アクチュエータへ電源供給するように切り替えることにある。
副電源を変圧回路に対して電気アクチュエータと並列に接続した構成においては、電気アクチュエータへの電源供給は、変圧回路の出力電圧と副電源の出力電圧とのバランス(電圧の大小関係)で自然に切り替わる。つまり、変圧回路の出力電圧が副電源の出力電圧よりも高い場合には、変圧回路の出力が電気アクチュエータに供給され、変圧回路の出力電圧が副電源の出力電圧よりも低い場合には、副電源の出力(副電源に蓄電されている電力)が電気アクチュエータに供給される。また、副電源は、変圧回路の出力電圧が副電源の出力電圧よりも高い場合に充電される。
そこで、本発明では、変圧回路の出力電圧を変更することにより、副電源の出力電圧との大小関係を切り替えて、副電源のみから電気アクチュエータに電源供給できるようにする。従って、電気アクチュエータへの電源供給の切替が容易となる。
また、本発明の他の特徴は、前記変圧回路は、主電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路であり、前記電源切替手段は、前記発熱状態検出手段により検出した前記昇圧回路の発熱状態と前記充電状態検出手段により検出した前記副電源の充電状態とに基づいて、前記昇圧回路の昇圧電圧を制御することにより、前記昇圧回路から前記電気アクチュエータへの電源供給を停止して前記副電源のみから前記電気アクチュエータへ電源供給するように切り替えることにある。
本発明においては、主電源の出力電圧を昇圧回路により昇圧して電気アクチュエータに電源供給するとともに、昇圧回路から出力される電力を副電源に充電する。従って、汎用の低電圧車載電源を備えた車両であっても、電気アクチュエータを高電圧で効率良く駆動することができる。また、副電源も高い電圧にて良好に充電することができる。しかも、昇圧回路の昇圧電圧を制御することにより、副電源の充電/放電を自在に切り替えることができる。そこで、本発明においては、昇圧回路の発熱状態と副電源の充電状態とに基づいて、昇圧回路の昇圧電圧を制御することにより、昇圧回路から電気アクチュエータへの電源供給を停止して副電源のみから電気アクチュエータへ電源供給するように切り替える。例えば、昇圧回路の温度が基準温度を超えた場合には、副電源の充電状態が基準充電状態を上回っていれば、電源切り替え手段が昇圧回路の昇圧電圧を低下させる。この場合、昇圧回路の昇圧動作を停止させるとよい。これにより、副電源の出力電圧が昇圧回路の昇圧電圧よりも大きくなるため、昇圧回路から電気アクチュエータへの電源供給が停止し、副電源のみから電気アクチュエータへ電源供給する状態に切り替わる。また、副電源の充電状態が余り良好でなければ、昇圧回路の昇圧電圧が副電源の出力電圧と同じ電圧になるように昇圧回路の昇圧電圧を制御するようにすれば、昇圧回路と副電源との両方からバランス良く電気アクチュエータに電源供給することができる。従って、昇圧回路の過熱防止と電気アクチュエータへの安定した電力供給とを昇圧制御により簡単に行うことができる。
また、本発明の他の特徴は、前記電気アクチュエータは、運転者の操舵操作に応じて車輪に転舵力を付与する電動モータであることにある。
この発明は、運転者の操舵操作に応じて車輪に転舵力を付与する電動ステアリング装置に用いられる電動モータの電源装置に適用したものである。電動ステアリング装置としては、運転者の操舵操作力に電動モータによる補助操舵力を加える電動パワーステアリング装置や、運転者の操舵操作力を使わずに電動モータの作動のみにより車輪を転舵するステアバイワイヤ方式の電動ステアリング装置などに適用することができる。
こうした電動ステアリング装置においては、電動モータの消費電力が大きい。そこで、本発明においては、昇圧回路、および、昇圧回路から出力される電力を充電する副電源を備え、電動モータで大電力を消費するときに、副電源で電力供給を補助できるようにしている。昇圧回路は、特に、電動モータで大電力を消費するときに発熱する。そこで上述した昇圧回路の昇圧電圧を制御することで、昇圧回路の過熱防止と電動モータへの安定した電力供給とを両立させることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る車両の電源装置について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態として車両の電源装置を備えた電動パワーステアリング装置の概略構成を表している。
この電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドル11の操舵操作により転舵輪を転舵するステアリング機構10と、ステアリング機構10に組み付けられ操舵アシストトルクを発生する電動モータ20と、電動モータ20を駆動するためのモータ駆動回路30と、主電源100の出力電圧を昇圧してモータ駆動回路30に電源供給する昇圧回路40と、昇圧回路40とモータ駆動回路30との間の電源供給回路に並列接続される副電源50と、電動モータ20および昇圧回路40の作動を制御する電子制御装置60とを主要部として備えている。
ステアリング機構10は、操舵ハンドル11の回転操作により左右前輪FWL,FWRを転舵するための機構で、操舵ハンドル11を上端に一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備える。このステアリングシャフト12の下端には、ピニオンギヤ13が一体回転するように接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合って、ラックバー14とともにラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には、タイロッド15L,15Rを介して左右前輪FWL,FWRのナックル(図示略)が操舵可能に接続されている。左右前輪FWL,FWRは、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に操舵される。
ラックバー14には、操舵アシスト用の電動モータ20が組み付けられている。電動モータ20の回転軸は、ボールねじ機構16を介してラックバー14に動力伝達可能に接続されていて、その回転により左右前輪FWL,FWRに転舵力を付与して操舵操作をアシストする。ボールねじ機構16は、減速機および回転−直線変換器として機能するもので、電動モータ20の回転を減速するとともに直線運動に変換してラックバー14に伝達する。
ステアリングシャフト12には、操舵トルクセンサ21が設けられる。操舵トルクセンサ21は、操舵ハンドル11の回動操作によってステアリングシャフト12に作用する操舵トルクに応じた信号を出力する。この操舵トルクセンサ21から出力される信号により検出される操舵トルクの値を、以下、操舵トルクTrと呼ぶ。操舵トルクTrは、正負の値により操舵ハンドル11の操作方向が識別される。本実施形態においては、操舵ハンドル11の右方向への操舵時における操舵トルクTrを正の値で、操舵ハンドル11の左方向への操舵時における操舵トルクTrを負の値で示す。従って、操舵トルクTrの大きさは、その絶対値の大きさとなる。
電動モータ20には、回転角センサ22が設けられる。この回転角センサ22は、電動モータ20内に組み込まれ、電動モータ20の回転子の回転角度位置に応じた検出信号を出力する。この回転角センサ22の検出信号は、電動モータ20の回転角および回転角速度の計算に利用される。一方、この電動モータ20の回転角は、操舵ハンドル11の操舵角に比例するものであるので、操舵ハンドル11の操舵角としても共通に用いられる。また、電動モータ20の回転角を時間微分した回転角速度は、操舵ハンドル11の操舵角速度に比例するものであるため、操舵ハンドル11の操舵速度としても共通に用いられる。以下、回転角センサ22の出力信号により検出される操舵ハンドル11の操舵角の値を操舵角θxと呼び、その操舵角θxを時間微分して得られる操舵角速度の値を操舵速度ωxと呼ぶ。操舵角θxは、正負の値により操舵ハンドル11の中立位置に対する右方向および左方向の舵角をそれぞれ表す。本実施形態においては、操舵ハンドル11の中立位置を「0」とし、中立位置に対する右方向への舵角を正の値で示し、中立位置に対する左方向への舵角を負の値で示す。
モータ駆動回路30は、MOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)からなる6個のスイッチング素子31〜36により3相インバータ回路を構成したものである。具体的には、第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子32とを直列接続した回路と、第3スイッチング素子33と第4スイッチング素子34とを直列接続した回路と、第5スイッチング素子35と第6スイッチング素子36とを直列接続した回路とを並列接続し、各直列回路における2つのスイッチング素子間(31−32,33−34,35−36)から電動モータ20への電源供給ライン37を引き出した構成を採用している。
モータ駆動回路30から電動モータ20への電源供給ライン37には、電流センサ38が設けられる。この電流センサ38は、各相ごとに流れる電流をそれぞれ検出(測定)し、その検出した電流値に対応した検出信号を電子制御装置60に出力する。以下、この測定された電流値を、モータ電流iuvwと呼ぶ。また、この電流センサ38をモータ電流センサ38と呼ぶ。
各スイッチング素子31〜36は、それぞれゲートが電子制御装置60のアシスト制御部61(後述する)に接続され、アシスト制御部61からのPWM制御信号によりデューティ比が制御される。これにより電動モータ20の駆動電圧が目標電圧に調整される。尚、図中に回路記号で示すように、スイッチング素子31〜36を構成するMOSFETには、構造上ダイオードが寄生している。
次に、電動パワーステアリング装置の電源供給系統について説明する。
電動パワーステアリング装置の電源装置は、主電源100と、主電源100の出力電圧を昇圧する昇圧回路40と、昇圧回路40とモータ駆動回路30とのあいだに並列に接続される副電源50と、電子制御装置60に設けられ昇圧回路40の昇圧電圧を制御する電源制御部62とを備える。こうした電源装置から電源供給されるモータ駆動回路30と電動モータ20が、本発明の電気アクチュエータに相当する。
主電源100は、定格出力電圧12Vの一般的な車載バッテリである主バッテリ101と、エンジンの回転により発電する定格出力電圧14Vのオルタネータ102とを並列接続して構成される。従って、主電源100は、14V系の車載電源を構成している。
主電源100は、電動パワーステアリング装置だけでなく、ヘッドライト等の他の車載電気負荷への電源供給も共通して行う。主バッテリ101の電源端子(+端子)には、電源供給元ライン103が接続され、グランド端子には接地ライン111が接続される。
電源供給元ライン103は、制御系電源ライン104と駆動系電源ライン105とに分岐する。制御系電源ライン104は、電子制御装置60のみに電源供給するための電源ラインとして機能する。駆動系電源ライン105は、モータ駆動回路30と電子制御装置60との両方に電源供給する電源ラインとして機能する。
制御系電源ライン104には、イグニッションスイッチ106が接続される。駆動系電源ライン105には、電源リレー107が接続される。この電源リレー107は、電子制御装置60のアシスト制御部61からの制御信号によりオンして電動モータ20への電力供給回路を形成するものである。制御系電源ライン104は、電子制御装置60の電源+端子に接続されるが、その途中で、イグニッションスイッチ106よりも負荷側(電子制御装置60側)においてダイオード108を備えている。このダイオード108は、カソードを電子制御装置60側、アノードを主電源100側に向けて設けられ、電源供給方向にのみ通電可能とする逆流防止素子である。
駆動系電源ライン105には、電源リレー107よりも負荷側において制御系電源ライン104と接続する連結ライン109が分岐して設けられる。この連結ライン109は、制御系電源ライン104のダイオード108接続位置よりも電子制御装置60側に接続される。また、連結ライン109には、ダイオード110が接続される。このダイオード110は、カソードを制御系電源ライン104側に向け、アノードを駆動系電源ライン105側に向けて設けられる。従って、連結ライン109を介して駆動系電源ライン105から制御系電源ライン104には電源供給できるが、制御系電源ライン104から駆動系電源ライン105には電源供給できないような回路構成となっている。駆動系電源ライン105および接地ライン111は昇圧回路40に接続される。また、接地ライン111は、電子制御装置60の接地端子にも接続される。
昇圧回路40は、駆動系電源ライン105と接地ライン111との間に設けられるコンデンサ41と、コンデンサ41の接続点より負荷側の駆動系電源ライン105に直列に設けられる昇圧用コイル42と、昇圧用コイル42の負荷側の駆動系電源ライン105と接地ライン111との間に設けられる第1昇圧用スイッチング素子43と、第1昇圧用スイッチング素子43の接続点より負荷側の駆動系電源ライン105に直列に設けられる第2昇圧用スイッチング素子44と、第2昇圧用スイッチング素子44の負荷側の駆動系電源ライン105と接地ライン111との間に設けられるコンデンサ45とから構成される。昇圧回路40の二次側には、昇圧電源ライン112が接続される。
本実施形態においては、この昇圧用スイッチング素子43,44としてMOS−FETを用いるが,他のスイッチング素子を用いることも可能である。また、図中に回路記号で示すように、昇圧用スイッチング素子43,44を構成するMOSFETには、構造上ダイオードが寄生している。
昇圧回路40は、電子制御装置60の電源制御部62(後述する)により昇圧制御される。電源制御部62は、第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のゲートに所定周期のパルス信号を出力して両スイッチング素子43,44をオン・オフし、主電源100から供給された電源を昇圧して昇圧電源ライン112に所定の出力電圧を発生させる。この場合、第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44は、互いにオン・オフ動作が逆になるように制御される。昇圧回路40は、第1昇圧用スイッチング素子43をオン、第2昇圧用スイッチング素子44をオフにして昇圧用コイル42に短時間だけ電流を流して昇圧用コイル42に電力をため、その直後に、第1昇圧用スイッチング素子43をオフ、第2昇圧用スイッチング素子44をオンにして昇圧用コイル42にたまった電力を出力するように動作する。
第2昇圧用スイッチング素子44の出力電圧は、コンデンサ45により平滑される。従って、安定した昇圧電源が昇圧電源ライン112から出力される。この場合、周波数特性の異なる複数のコンデンサを並列に接続して平滑特性を向上させるようにしてもよい。また、昇圧回路40の入力側に設けたコンデンサ41により、主電源100側へのノイズが除去される。
昇圧回路40の昇圧電圧(出力電圧)は、第1、第2昇圧用スイッチング素子43,44のデューティ比の制御(PWM制御)により調整可能となっている。本実施形態における昇圧回路40は、例えば、20V〜50Vの範囲で昇圧電圧を調整できるように構成される。尚、昇圧回路40として、汎用のDC−DCコンバータを使用することもできる。
昇圧電源ライン112は、昇圧駆動ライン113と充放電ライン114とに分岐する。昇圧駆動ライン113は、モータ駆動回路30の電源入力部に接続される。充放電ライン114は、電圧検出回路53を介して副電源50のプラス端子に接続される。
副電源50は、昇圧回路40から出力される電力を充電し、モータ駆動回路30で大電力を必要としたときに、主電源100を補助してモータ駆動回路30に電源供給する蓄電装置である。従って、副電源50は、昇圧回路40の昇圧電圧相当の電圧を維持できるように複数の蓄電セルを直列に接続して構成される。副電源50の接地端子は、接地ライン111に接続される。この副電源として、例えば、キャパシタ(電気二重層コンデンサ)を用いることができる。
昇圧回路40の出力側には、電流センサ51と電圧センサ52とが設けられる。電流センサ51は、昇圧電源ライン112に流れる電流、つまり、昇圧回路40に流れる電流を検出し、その検出値に応じた信号を電源制御部62に出力する。また、電圧センサ52は、昇圧電源ライン112と接地ライン111との間の電圧、つまり、昇圧回路40の昇圧電圧を検出し、その検出値に応じた信号を電源制御部62に出力する。以下、電流センサ51を昇圧電流センサ51と呼び、その検出電流値を昇圧電流i1と呼ぶ。また、電圧センサ52を昇圧電圧センサ52と呼び、その検出電圧値を昇圧電圧v1と呼ぶ。
昇圧回路40には、昇圧スイッチング素子43,44等が設けられた回路基板の温度を検出する温度センサ54が設けられる。この温度センサ54は、検出した温度Tcに応じた信号を電源制御部62に出力する。以下、温度センサ54にて検出される温度を基板温度Tcと呼ぶ。尚、温度センサ54としては、例えば、サーミスタが用いられる。
充放電ライン114に設けられる電圧検出回路53は、充放電ライン114に直列に設けられる図示しないスイッチング回路部と、副電源50の電源電圧に応じた信号を出力する図示しない電圧測定回路部とを備えている。電圧検出回路53は、電源制御部62に設続されており、電源制御部62からオフ信号を受信しているときにのみスイッチング回路部が充放電ライン114を開くように構成されている。従って、オフ信号を受信している状態においては、電圧測定回路部は、昇圧回路40の出力電圧に影響されることなく副電源50の電源電圧(端子間電圧)に応じた信号を電源制御部62に出力する。以下、電圧検出回路53にて検出される副電源50の電源電圧を副電源電圧v2と呼ぶ。
副電源電圧v2は、副電源50の充電状態(蓄電量)に応じて変化する。つまり、副電源50の充電状態が良好であるほど(蓄電量が多いほど)副電源電圧v2が高くなり、副電源50の充電状態が低下するほど(蓄電量が少ないほど)副電源電圧v2が低くなる。そこで、本実施形態においては、電圧検出回路53を充電状態検出手段として備えている。
電圧検出回路53は、電源制御部62からオフ信号を受信したときである電圧検出時以外の通常時においては副電源50の充放電ライン114を閉じている。従って、通常時においては、副電源50の充電と放電とは、昇圧回路40の出力電圧と副電源50の出力電圧(電源電圧)との大小関係により自然に切り替わる。昇圧回路40の出力電圧が副電源50の出力電圧より高い場合には、昇圧回路40から(すなわち主電源100から)モータ駆動回路30に電源供給されるとともに副電源50が充電される。一方、昇圧回路40の出力電圧が副電源50の出力電圧より高い場合には、副電源50からモータ駆動回路30に電源供給される。
副電源50の出力電圧は、充電状態が良好であるほど(蓄電量が多いほど)は高くなり、満充電の状態では昇圧回路40の出力電圧とほぼ等しくなる。後述する操舵アシスト制御により電動モータ20が駆動されるとき、昇圧回路40からモータ駆動回路30に電力が供給されるが、電動モータ20で使用される電力が大きく昇圧回路40の定格出力を越えると、昇圧回路40の出力電圧が低下する。これにより、副電源50の出力電圧が昇圧回路40の出力電圧を上回り、今度は、副電源50から電動モータ20に電力が供給される。このようにして、昇圧回路40の一時的な出力不足を補うかたちで副電源50から電動モータ20に電力供給される。また、電動モータ20での電力消費が少なく、副電源50が満充電になっていない状況においては、昇圧回路40の出力により副電源50が充電される。
次に、電子制御装置60について説明する。電子制御装置60は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要部として構成され、その機能から、アシスト制御部61と電源制御部62とに大別される。アシスト制御部61は、操舵トルクセンサ21、回転角センサ22、モータ電流センサ38、車速センサ23を接続し、操舵トルクTr、操舵角θx、モータ電流iuvw、車速Vxを表すセンサ信号を入力する。アシスト制御部61は、これらのセンサ信号に基づいて、モータ駆動回路30にPWM制御信号を出力して電動モータ20を駆動制御し、運転者の操舵操作をアシストする。
電源制御部62は、昇圧回路40の昇圧制御を行うことにより副電源50の充電と放電とを制御する。電源制御部62には、昇圧電流センサ51,昇圧電圧センサ52,電圧検出回路53,温度センサ54を接続して各検出信号を入力する。また、電源制御部62はアシスト制御部61と相互に信号授受できるように構成される。電源制御部62は、これら検出信号およびアシスト制御部61に入力されたセンサ信号に基づいて、昇圧回路40にPWM制御信号を出力する。昇圧回路40は、入力したPWM制御信号にしたがって第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のデューティ比を制御することにより、その出力電圧である昇圧電圧を変化させる。
次に、電子制御装置60のアシスト制御部61が行う操舵アシスト制御処理について説明する。図2は、アシスト制御部61により実施される操舵アシスト制御ルーチンを表し、電子制御装置60のROM内に制御プログラムとして記憶される。操舵アシスト制御ルーチンは、イグニッションスイッチ106の投入(オン)により起動し、所定の短い周期で繰り返し実行される。
本制御ルーチンが起動すると、アシスト制御部61は、まず、ステップS11において、車速センサ23によって検出された車速Vxと、操舵トルクセンサ21によって検出した操舵トルクTrとを読み込む。
続いて、ステップS12において、図3に示すアシストトルクマップを参照して、入力した車速Vxおよび操舵トルクTrに応じて設定される基本アシストトルクTasを計算する。アシストトルクマップは、電子制御装置60のROM内に記憶されるもので、操舵トルクTrの増加にしたがって基本アシストトルクTasも増加し、しかも、車速Vxが低くなるほど大きな値となるように設定される。尚、図3のアシストトルクマップは、右方向の操舵トルクTrに対する基本アシストトルクTasの特性を表すが、左方向の特性については方向が反対になるだけで絶対値でみれば同じである。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS13において、この基本アシストトルクTasに補償トルクを加算して目標指令トルクT*を計算する。この補償トルクは、例えば、操舵角θxに比例して大きくなるステアリングシャフト12の基本位置への復帰力と、操舵速度ωxに比例して大きくなるステアリングシャフト12の回転に対向する抵抗力に対応した戻しトルクとの和として計算する。この計算に当たっては、回転角センサ22にて検出した電動モータ20の回転角(操舵ハンドル11の操舵角θxに相当)を入力して行う。また、操舵速度ωxについては、操舵ハンドル11の操舵角θxを時間で微分して求める。
次に、アシスト制御部61は、ステップS14において、目標指令トルクT*に比例した目標電流ias*を計算する。目標電流ias*は、目標指令トルクT*をトルク定数で除算することにより求められる。
続いて、アシスト制御部61は、ステップS15において、電源制御部62から上限電流imaxを読み込む。この上限電流imaxは、電源制御部62が行う電源制御ルーチンにおいて、昇圧回路40の発熱状態に応じて設定されるもので、電動モータ20へ流す電流の上限値を表す。次に、ステップS16において、先のステップS14にて計算した目標電流ias*が上限電流imaxを超えているか否かを判断し、目標電流ias*が上限電流imaxを超えている場合は(S16:Yes)、ステップS17において、上限電流imaxを新たな目標電流ias*に設定する。一方、目標電流ias*が上限電流imaxを超えていない場合には(S16:No)、目標電流ias*を変更しない。
こうして目標電流ias*を設定すると、アシスト制御部61は、ステップS18において、電動モータ20に流れるモータ電流iuvwをモータ電流センサ38から読み込む。続いて、ステップS19において、このモータ電流iuvwと先に計算した目標電流ias*との偏差Δiを計算し、この偏差Δiに基づくPI制御(比例積分制御)により目標指令電圧vm*を計算する。
そして、アシスト制御部61は、ステップS20において、目標指令電圧vm*に応じたPWM制御信号をモータ駆動回路30に出力して本制御ルーチンを一旦終了する。本制御ルーチンは、所定の速い周期で繰り返し実行される。従って、本制御ルーチンの実行により、モータ駆動回路30のスイッチング素子31〜36のデューティ比が制御されて、運転者の操舵操作に応じた所望のアシストトルクが得られる。
こうした操舵アシスト制御の実行中においては、特に、据え切り操作時や、低速走行でのハンドル操作時において大きな電力が必要とされる。しかし、一時的な大電力消費に備えて主電源100の大容量化を図ることは好ましくない。そこで、本実施形態の電動パワーステアリング装置においては、主電源100の大容量化を図らずに、一時的な大電力消費時に電源供給を補助する副電源50を備える。また、電動モータ20を効率的に駆動するために昇圧回路40を備え、昇圧した電力を電動モータ20および副電源50に供給するシステムを構成している。
こうした操舵アシスト制御を行って電動モータ20を駆動すると昇圧回路40が発熱する。つまり、第1、第2昇圧用スイッチング素子43,44等の回路素子が発熱する。従って、昇圧回路40の回路素子の過熱による損傷を防止する必要がある。昇圧回路40の過熱防止を行うには、昇圧回路40からの電力供給量を制限すればよいが、それだけでは、電動モータ20に十分な電力を供給できなくなり操舵アシスト性能が低下してしまう。電動モータ20への電源供給は、昇圧回路40の出力電圧と副電源50の出力電圧との大小関係により自然に切り替わる。そこで、本実施形態においては、電源制御部62が昇圧回路40の出力電圧を制御することにより、昇圧回路40からの電源供給を停止して昇圧回路40の過熱防止を図りながら、副電源50から電動モータ20に電源供給する。
以下、電子制御装置60の電源制御部62が行う電源制御処理について説明する。図4は、電源制御部62により実施される電源制御ルーチンを表し、電子制御装置60のROM内に制御プログラムとして記憶される。電源制御ルーチンは、イグニッションスイッチ106の投入(オン)により起動し、所定の周期で繰り返し実行される。
本制御ルーチンが起動すると、電源制御部62は、ステップS30において、昇圧回路40の温度Thを検出する。この処理は、図5に示すフローチャートにそって昇圧回路40の回路素子の温度Thを推定するものであり、この処理については後述する。以下、ステップS30において検出した昇圧回路40の回路素子の温度Thを、回路温度Thと呼ぶ。
電源制御部62は、ステップS30において、回路温度Thを検出すると、続いて、ステップS41において、フラグFが「0」に設定されているか否かを判断する。このフラグFは、後述する処理からわかるように昇圧回路40が停止状態におかれるときに「1」に設定されるもので、本制御ルーチンの起動時においては、「0」に設定されている。従って、ここでは「No」と判断され、その処理をステップS42に進める。
電源制御部62は、ステップS42において、回路温度Thが予め設定した基準温度T1より大きいか否かを判断する。この基準温度T1は、昇圧回路40の発熱状態を判定する基準温度であり、本発明における基準発熱状態に相当するものである。回路温度Thが基準温度T1以下となっている場合には(S42:No)、過熱防止を行う必要がないため、昇圧回路40の昇圧目標電圧v1*を、予め設定した通常昇圧電圧v1aに設定する。この通常昇圧電圧v1aは、電動モータ20を効率よく駆動するためにモータ駆動回路30に電源供給すべき最適な電圧値(例えば、40v)が設定されている。
続いて、電源制御部62は、ステップS44において、昇圧回路40の出力電圧が昇圧目標電圧v1*と等しくなるように昇圧回路40の第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のデューティ比を制御する。この場合、電源制御部62は、昇圧電圧センサ52の出力する検出信号から昇圧電圧v1を読み込み、この昇圧電圧v1と昇圧目標電圧v1*との偏差に応じて、偏差がゼロになるように昇圧回路40の第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44のデューティ比を制御する。尚、昇圧電圧センサ52から昇圧電圧v1を読み込む際には、一時的に電圧検出回路53にオフ信号を出力して充放電ライン114を遮断し、電圧測定に副電源50の出力電圧の影響がないようにする。
電源制御部62は、ステップS44の処理を行うと、一旦、本ルーチンを抜けた後、所定の周期で本ルーチンを繰り返し実行する。こうした昇圧制御が行われて昇圧回路40から電動モータ20あるいは副電源50に電力が供給されると、図6の上段グラフに示すように、回路温度Thが時間の経過とともに上昇していく。特に、据え切り操作が繰り返されたときには、電動モータ20で大電力を消費するため回路温度Thが短時間で上昇する。電源制御部62は、本ルーチンにおいて、昇圧回路40の回路温度Thの検出と、回路温度Thと基準温度T1との比較を所定の周期で行う。そして、回路温度Thが上昇して基準温度T1を上回ったことを検出すると(S42:Yes)、昇圧回路40の過熱防止を図るために、その処理をステップS45に進める。
電源制御部62は、ステップS45において、電圧検出回路53から副電源電圧v2を読み込む。この場合、電圧検出回路53のスイッチング回路部にオフ信号を出力して充放電ライン114を遮断して副電源電圧v2を表す電圧検出信号を読み込む。次に、ステップS46において、回路温度Thに基づいて上限電流imaxを計算する。昇圧回路40の過熱防止を図るためには、回路温度Thが高いほど電動モータ20に流す電流を制限するとよい。例えば、図6に示すように、電動モータ20の上限電流imaxを回路温度Thに応じて設定する。この例では、電動モータ20の上限電流imaxは、通常時(非発熱時)においてimax1に設定されており、回路温度ThがT1を越えると、上限電流imaxがimax1から減少するように設定される。また、回路温度ThがT2にまで上昇したときには、上限電流imaxがimax2に設定される。この上限電流imax2は、予め設定した据え切り性能を満足できなくなる境界となる上限電流を表す。つまり、上限電流imaxがimax2以下に設定されている場合には、最大舵角にまで操舵ハンドルを据え切り操作するときに必要となる運転者の操舵トルクが基準値を超える状況となる。従って、上限電流imaxがimax2以上である場合には、快適なハンドル操作を行うことができる。
電源制御部62は、例えば、図7に示すように、回路温度Thと上限電流imaxとを対応付けた上限電流マップをROM等の記憶素子に記憶しており、ステップS46においては、この上限電流マップを参照して上限電流imaxを計算する。尚、上限電流imaxの計算に当たっては、上限電流マップに代えて、回路温度Thと上限電流imaxとを対応付けた計算式を記憶しておき、この計算式を用いて計算するようにしてもよい。また、上限電流imaxの設定は、回路温度Thに応じて連続的に変化させる必要はなく、段階的に変化するものでもよい。つまり、回路温度Thが上昇するにしたがって上限電流imaxが低下する特性を有するように設定すればよい。このステップS46の処理が、本発明の電流制限手段に相当する。
続いて、電源制御部62は、ステップS47において、判定電圧v2refを計算する。この判定電圧v2refは、副電源50の充電状態(蓄電状態)を判定するための閾値であり、本発明の基準充電状態に相当する。電源制御部62は、例えば、図8に示すように、上限電流imaxと判定電圧v2refとを対応付けた判定電圧マップをROM等の記憶素子に記憶しており、この判定電圧マップを参照して、上限電流imaxから判定電圧v2refを計算する。判定電圧v2refは、上限電流imaxが低下するにしたがって低下するように設定される。換言すれば、判定電圧v2refは、回路温度Thが増大するにしたがって低下するように設定される。この例では、上限電流imaxが据え切り性能が満足できなくなる上限電流imax2以下となる場合には、判定電圧v2refは最小値となる判定電圧v2minに維持される。尚、判定電圧v2refの計算に当たっては、判定電圧マップに代えて、上限電流imaxと判定電圧v2refとを対応付けた計算式を記憶しておき、この計算式を用いて計算するようにしてもよい。
続いて、電源制御部62は、ステップS48において、副電源電圧v2と判定電圧v2refとを比較し、副電源電圧v2が判定電圧v2refを上回っている否かを判断する。副電源電圧v2が判定電圧v2refを上回っている場合には、副電源50の充電状態が良好、つまり、副電源50に蓄電されている蓄電量が基準容量以上あると判断できる。この場合には、ステップS49においてフラグFを「1」に設定し、ステップS50において昇圧回路40の作動を停止させる。つまり、昇圧回路40の第1,第2昇圧用スイッチング素子43,44をオフ状態にする。従って、昇圧回路40の昇圧電圧が低下して副電源50の出力電圧を下回る。これにより、副電源50のみから電動モータ20に電源供給される状態に切り替わる。この場合、副電源50の充電状態は良好であるため、副電源50から電動モータ20へ安定した電力を供給することができる。また、昇圧回路40の作動停止により、昇圧回路40の回路素子に電流が流れなくなり、回路素子に溜まった熱が放出され回路素子の温度が低下していく。これにより昇圧回路40の過熱防止が行われる。
副電源電圧v2との比較に用いる判定電圧v2refは、上限電流imaxが低いほど低い値に設定される。従って、上限電流imaxが低いほど(つまり、回路温度Thが高いほど)、ステップS48において「Yes」と判定されやすくなり、昇圧回路40の過熱防止を適切に行うことができる。
一方、ステップS48において、副電源電圧v2が判定電圧v2refを上回っていないと判定された場合には(S48:No)、次に、ステップS51において、副電源電圧v2が判定電圧v2minを上回っているか否かを判断する。この判定電圧v2minは、判定電圧v2refの最小値であって、図8に示すように、上限電流imaxが据え切り性能が満足できなくなる上限電流imax2となるときの判定電圧v2refである。
電源制御部62は、副電源電圧v2が判定電圧v2minを上回っていると判断した場合には(S51:Yes)、ステップS52において、昇圧目標電圧v1*を副電源50の出力電圧である副電源電圧v2に設定する。一方、副電源電圧v2が判定電圧v2minを上回っていない判断した場合には(S51:No)、ステップS43において、昇圧目標電圧v1*を通常昇圧電圧v1aに設定する。そして、ステップS44において、昇圧目標電圧v1*が得られるように昇圧回路40の昇圧制御を行う。
このステップS48以降の処理は、副電源50の充電状態が良好ではない場合に(S48:No)、昇圧回路40の停止を行わずに昇圧作動を継続させるものであり、本発明の禁止手段に相当する。昇圧回路40を完全に停止してしまうと、電動モータ20への電力供給量が大きく不足してしまうおそれがある。また、副電源50の蓄電量も急激に低下してしまうおそれもある。そこで、電源制御部62は、昇圧回路40の昇圧作動を継続させる。この場合、副電源50の充電状態のレベルに応じて、昇圧回路40の昇圧目標電圧v1*を設定する。
副電源50の充電状態が良好ではないものの副電源電圧v2が判定電圧v2minを越えている状態では(S51:Yes)、副電源50からある程度の電力を取り出して電動モータ20に供給することができる。そこで、昇圧回路40の昇圧目標電圧v1*を通常昇圧電圧v1aよりも低い副電源電圧v2と等しくすることで、昇圧回路40と副電源50との両方からバランス良く電動モータ20に電力供給できるようにする。この場合、昇圧回路40に電流が流れるものの、副電源50の電力供給補助により、昇圧回路40の通電量が半減するため、回路温度Thの上昇度合いが少なくなる。
一方、副電源電圧v2が判定電圧v2min以下となる状態では、副電源50の蓄電量が非常に少なくなっている。そこで、副電源50から電動モータ20への電力供給は行わずに、昇圧回路40の昇圧電圧を通常昇圧電圧v1aに設定して、昇圧回路40の出力により電動モータ20の駆動と副電源50の充電とを行う。この場合、昇圧回路40の回路温度Thは上昇していくが、それに応じて上限電流imaxが低減されるため昇圧回路40の過熱を抑制することができる。
次に、昇圧回路40を停止させた後の処理について説明する。昇圧回路40の回路温度Thが基準温度T1を越え(S42:Yes)、かつ、副電源電圧v2が判定電圧v2refを越えている(S48:Yes)との判断により昇圧回路40の昇圧動作が停止した(S50)場合には、フラグFが「1」に設定される。従って、1制御周期後からは、ステップS41のフラグ判定処理において「No」と判定され、その処理がステップS53に進められる。
電源制御部62は、ステップS53において、回路温度Thが予め設定した基準温度T0を下回ったか否かを判断する。この基準温度T0は、基準温度T1よりも低い温度であって、昇圧回路40の温度低下により過熱防止を終了しても良いと判定する温度である。昇圧回路40の作動を停止した直後においては、回路温度Thはまだ冷えていないためステップS53の判断は「No」となる。この場合には、ステップS55において、電圧検出回路53から副電源電圧v2を読み込む。そして、ステップS56において、副電源電圧v2が基準電圧v2aを下回っているか否かを判断する。この基準電圧v2aは、副電源50の充電状態の悪化を判定するもので、例えば、上述した判定電圧v2refと等しい値に設定しても良いし、予め設定した固定値を用いてもよい。昇圧回路40の作動を停止した直後においては、副電源50の充電状態は良好であるため、副電源電圧v2は高く基準電圧v2を上回っている。従って、ステップS56の判断は「No」となり、ステップS50において、そのまま昇圧回路40の停止状態を継続させる。
こうして、昇圧回路40を停止して電動モータ20への電源供給を副電源50のみから行うようにすると、昇圧回路40の回路温度Thが自然冷却により低下していくとともに、電動モータ20の作動に応じて副電源50の充電量(蓄電量)も低下していく。そして、昇圧回路40の回路温度Thが基準温度T0を下回る(S53:Yes)、あるいは、副電源50の副電源電圧v2が基準電圧v2aを下回る(S56:Yes)と、ステップS54においてフラグFを「0」に設定し、昇圧回路40の作動を停止した状態で本制御ルーチンを一旦抜ける。従って、1制御周期後からは、ステップS41のフラグ判断が「Yes」となり、ステップS42において回路温度Thと基準温度T1との比較が行われる。この場合、直前までの昇圧作動停止により昇圧回路40の回路温度Thは低下しているため基準温度T1よりも低い。従って、昇圧目標電圧v1*が通常昇圧電圧v1aに設定され(S43)、昇圧回路40の昇圧作動が開始される。そして、昇圧回路40の回路温度Thと副電源電圧v2とに応じて上述した昇圧制御が行われる。
このように、昇圧回路40の回路温度Thと副電源50の副電源電圧v2とに基づいて昇圧回路40の作動を制御することにより、電動モータ20への電源供給を主電源100と副電源50とで切り替える電源制御部62が本発明の電源切替手段に相当する。
図9は、本電源制御ルーチンを実行したときの、回路温度Thの推移と作動状況を表したものである。操舵アシスト制御とともに電源制御ルーチンが開始されると、昇圧回路40の回路温度Thが上昇していく。回路温度Thが基準温度T1に達するまでは、昇圧回路40が主電源100の出力電圧を通常昇圧電圧v1aにまで昇圧し、昇圧した電力を電動モータ20の電源としてモータ駆動回路30に供給する。また、昇圧回路40の出力は、副電源50の充電にも使われる。
昇圧回路40の回路温度Thが上昇して基準温度T1を越えると、昇圧回路40の昇圧動作が停止する。従って、電動モータ20の電源としては、主電源100から副電源50に切り替わり、副電源50のみから電動モータ20に電源供給する状態となる。これにより、昇圧回路40は自然冷却され、回路温度Thが低下していく。そして、回路温度Thが基準温度T0を下回ると、昇圧回路40の昇圧動作が再開される。従って、主電源100の出力電圧が昇圧回路40により昇圧され、昇圧された電源が電動モータ20と副電源50とに供給される。このようなサイクルを繰り返すことにより、昇圧回路40の過熱防止と、電動モータ20への安定した電力供給とを両立することができる。尚、図9の例は、副電源50の充電状態が良好となる場合である。また、昇圧回路40の作動中において、電動モータ20で大電力を消費したときには、昇圧回路40の昇圧電圧が低下し、主電源100に代わって副電源50から電動モータ20に電力供給する。
次に、副電源50の充電状態に応じた3通りの回路温度Thの推移について図10を用いて説明する。昇圧回路40の作動により、回路温度Thが上昇して基準温度T1を越えると、副電源50の充電状態のレベルに応じて昇圧回路40の作動が切り替えられる。本実施形態においては、副電源50の充電状態のレベルが3段階に分けられ、副電源電圧v2が判定電圧v2refを越えているときに良好レベル、副電源電圧v2が判定電圧v2ref以下ではあるが判定電圧v2minを越えているときに中レベル、副電源電圧v2が判定電圧v2min以下となるときに低レベルと判定される。
そして、副電源50の充電状態が良好レベルであれば、昇圧回路40の昇圧動作が停止される。従って、回路温度Thは、時間の経過とともに低下していく。一方、副電源50の充電状態が良好レベルでなければ、その充電レベル(副電源電圧v2)が低いほど昇圧目標電圧v1*が高く設定されて昇圧動作が継続される。この例では、副電源50の充電状態が低レベルとなる場合(v2≦v2min)には、昇圧目標電圧v1*が通常昇圧電圧v1aに設定される。従って、電流制限により据え切り性能が得られなく温度T2に達するまでの期間Aが短い。
これに対して、副電源の充電状態が中レベルとなる場合(v2min<v2≦v2ref)には、昇圧目標電圧v1*が副電源電圧v2に設定される。従って、昇圧回路40と副電源50との両方により電動モータ20へ電源供給されるため、昇圧回路40に流れる電流が少なくなり、回路温度Thの上昇度合いが低下する。このため、電流制限により据え切り性能が得られなくなる温度T2に達するまでの期間Bが長くなる。つまり、できるだけ副電源50による電源供給補助を行うことにより、昇圧回路40の負担を軽くして昇圧回路40の発熱を抑制し、これにより上限電流imaxの低下を抑えて操舵アシストが良好に働く期間を長くしている。
次に、電源制御ルーチンのステップS30に組み込まれた昇圧回路温度検出処理について説明する。図5は、ステップS30の処理である昇圧回路温度検出ルーチンを表したフローチャートである。昇圧回路40は、通電により回路素子が発熱するが、回路素子の温度を直接的に検出することは難しい。そこで、本実施形態においては、昇圧回路40に流れる電流と昇圧回路40の雰囲気温度とから回路素子の温度である回路温度Thを推定により検出する。尚、この昇圧回路温度検出ルーチンを行う電源制御部62の機能部が、本発明の発熱状態検出手段に相当する。
まず、電源制御部62は、ステップS31において、昇圧電流センサ51から昇圧電流i1を読み込む。続いて、ステップS32において、温度センサ54から基板温度Tcを読み込む。温度センサ54は、昇圧回路40の回路基板に設けられているため、基板温度Tcは、回路素子の雰囲気温度を表す。
続いて、電源制御部62は、ステップS33において、下記式(1)の演算実行により今回昇圧回路温度変動分dTh(n)を計算する。
dTh(n)=a・dTh(n-1)+β・(1−a)・i12……(1)
昇圧回路温度検出ルーチンは、電源制御ルーチンに組み込まれて所定の周期で繰り返し実行されるため、このステップS33において計算される今回昇圧回路温度変動分dTh(n)は、今回の制御周期で実行した昇圧回路温度検出ルーチンにより計算された回路温度Thの変動分を表す。また、dTh(n-1)は、直前回(1制御周期前)の昇圧回路温度検出ルーチンの実行によって計算された回路温度Thの温度変動分を表す。以下、dTh(n-1)を前回昇圧回路温度変動分と呼ぶ。
また、値aは、「0」より大きく「1」よりも小さな予め決められた定数である。値βは、予め決められた温度変換係数である。(1)式中の第1項a・dTh(n-1)は、前回昇圧回路温度変動分dTh(n-1)が大きくなるにしたがって大きくなるとともに、前回昇圧回路温度変動分dTh(n-1)が小さくなるにしたがって小さくなるもので、昇圧回路40の外気中への自然放熱を考慮して前回昇圧回路温度変動分dTh(n-1)が今回昇圧回路温度変動分dTh(n)に与える影響を表す項である。また、(1)式中の第2項β・(1−a)・i12は、昇圧回路40に電流i1を流したことによる発熱量を表す項である。
電源制御部62は、ステップS34において、下記式(2)に示すように、今回昇圧回路温度変動分dTh(n)に基板温度Tcを加算することにより、現在の昇圧回路40の回路温度Thを推定する。
Th=dTh(n)+Tc
この回路温度Thは、放熱および発熱によって時間変化する昇圧回路40の回路素子の現在の温度を表している。
電源制御部62は、このステップS34により回路温度Thを計算すると、昇圧回路温度検出ルーチンを抜けて、上述した電源制御ルーチンのステップS41からの処理を行う。
以上説明した本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
1.昇圧回路40の回路温度Thが基準温度T1を越える場合には、昇圧回路40の昇圧動作を停止するため、昇圧回路40の過熱を防止できるとともに、副電源50から電動モータ20に確実に電源供給することができる。この結果、昇圧回路40の過熱防止と、電動モータ20への安定した電力供給とを両立することができる。
2.昇圧回路40の回路温度Thが高くなるにしたがって電動モータ20の上限電流imaxを低下させるため、昇圧回路40の過熱防止を一層適切に行うことができる。
3.昇圧回路40の回路温度Thが基準温度T1を越える場合であっても、副電源50の充電状態が良好でない場合には、昇圧回路40の昇圧動作を継続するため、電動モータ20の電力不足を抑制することができ、また、副電源50の充電を行うこともできる。この場合でも、電動モータ20の上限電流imaxが低く設定されるため、昇圧回路40の過熱を抑制できる。しかも、副電源50の充電状態が低レベルになるほど昇圧回路40の昇圧目標電圧v1*を高く設定するため、副電源50の蓄電容量の低下抑制と、電動モータ20への電力供給とをバランス良く行うことができる。
4.昇圧回路40の発熱を良好に抑えるため、上限電流imaxの上昇度合いを低減でき、所望の操舵アシスト性能が得られる期間を長くすることができる。例えば、通常の操舵トルクで据え切り操作の行える連続回数を増すことができる。
5.昇圧回路40の昇圧電圧を制御することにより、電動モータ20の電源を主電源100と副電源50とに切り替えるため、特別な切り替えスイッチが不要であり、回路構成が簡単でコストアップを抑制することができる。
以上、本発明の実施形態としての電源装置を備えた電動パワーステアリング装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、ステップS46における電動モータ20の上限電流imaxの設定にあたっては、図7に示すように、昇圧回路40の回路温度Thのみに基づいて設定しているが、図11に示すように、副電源50の充電状態(副電源電圧v2)を加味して補正するようにしてもよい。この例では、副電源50の充電状態が良好であるほど、つまり、副電源電圧v2が高いほど、昇圧回路40の回路温度Thに応じて設定される上限電流imaxを高くする側に補正する。
これにより、副電源50の充電状態が良好であるほど、電動モータ20の駆動時に電流制限がかかりにくくなり、昇圧回路40の昇圧動作を停止しているときでも、電動モータ20を良好に駆動することができる。従って、良好な操舵アシスト性能が得られる。逆に副電源50の充電状態が良好でなければ、上限電流imaxが低めに設定されるため、電動モータ20の電力消費が抑えられ、昇圧回路40の過熱防止を図りつつ、昇圧回路40により副電源50を適切に充電することができる。尚、この変形例を実施するにあたって、電源制御部62は、図11に示すような、回路温度Thと副電源電圧v2とから上限電流imaxを算出するためのマップ、あるいは、計算式をROM等の記憶素子に記憶しており、電源制御ルーチンのステップS46を実行するときに、マップあるいは計算式を用いて上限電流imaxを算出する。このように、副電源50の充電状態が良好であるほど、昇圧回路40の回路温度Thに応じて設定される上限電流imaxを高くする側に補正する処理が、本発明の上限電流値補正手段に相当する。
また、上記実施形態では、昇圧回路40の発熱状態を判定する基準温度T1が一定値に設定されているが、図12に示すように、副電源50の充電状態が良好であるほど(副電源電圧v2が高いほど)、基準温度T1を低くする側に設定するようにしてもよい。これによれば、副電源50の充電状態が良好であるほど、昇圧回路40の発熱に対して早めに昇圧回路40の昇圧動作が停止する。従って、副電源50の充電状態に応じた適切なタイミングで昇圧回路40の過熱防止を開始することができる。尚、この変形例を実施するにあたって、電源制御部62は、図12に示すような、副電源電圧v2と基準温度T1との関係を設定したマップ、あるいは、計算式をROM等の記憶素子に記憶しており、電源制御ルーチンのステップS42を実行するときに、マップあるいは計算式を用いて基準温度T1を算出した後に、回路温度Thとの比較を行うようにすればよい。このように、副電源50の充電状態が良好であるほど、基準温度T1を低くする側に設定する処理が、本発明の基準値設定手段に相当する。
また、上記実施形態においては、主電源100を汎用の車載電源である低電圧電源とし、主電源100の出力電圧を昇圧回路40により昇圧して電動モータ20に電源供給する構成であるが、高電圧電源を主電源として備えている場合には、主電源の出力電圧を降圧する降圧回路を設け、降圧回路により降圧した電源を電動モータ20に供給する構成であってもよい。
また、本実施形態においては、電動パワーステアリング装置の電源装置に適用したものであるが、電源装置の適用は、電動パワーステアリング装置に限るものではなく、種々の装置に適用することができる。例えば、車両に搭載される装置として、電気制御式ブレーキ装置、電気制御式サスペンション装置、電気制御式スタビライザ装置など種々のものに適用できる。また、車輪に転舵力を付与するステアリング装置として、操舵ハンドルと車輪転舵軸とを機械的に切り離し、操舵操作に応じて作動する電動モータの力だけで車輪を転舵するバイワイヤ方式のステアリング装置にも適用することができる。
また、本実施形態においては、電子制御装置60内に、電源装置の一部を構成する電源制御部62と、電動パワーステアリング装置の一部を構成するアシスト制御部61とを設けているが、両制御部61,62を別々のマイクロコンピュータにより構成するようにしてもよい。
尚、本明細書において、「電源供給」と「電力供給」と用語を使い分けているが、「電源供給」は、電気アクチュエータに対して電力を供給可能な状態にすることを意味し、「電力供給」は、実際に電気アクチュエータに対して電力を供給することを意味する。
本発明の実施形態に係る電源装置を備えた電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 操舵アシスト制御ルーチンを表すフローチャートである。 アシストトルクマップを表すグラフである。 電源制御ルーチンを表すフローチャートである。 昇圧回路温度検出ルーチンを表すフローチャートである。 回路温度と上限電流の推移とを表すグラフである。 上限電流マップを表すグラフである。 判定電圧マップを表すグラフである。 回路温度の推移と作動状態とを表すグラフである。 副電源電圧に応じた回路温度の推移を表すグラフである。 変形例としての上限電流マップを表すグラフである。 変形例としての基準温度マップを表すグラフである。
符号の説明
10…ステアリング機構、20…電動モータ、30…モータ駆動回路、40…昇圧回路、41,45…コンデンサ、42…昇圧用コイル、43,44…昇圧用スイッチング素子、50…副電源、51…昇圧電流センサ、52…昇圧電圧センサ、53…電圧検出回路、54…基板温度センサ、60…電子制御装置、61…アシスト制御部、62…電源制御部、100…主電源、101…主バッテリ、102…オルタネータ、FWL,FWR…左右前輪。

Claims (10)

  1. 主電源と、
    主電源の出力電圧を変圧して車両の電気アクチュエータに電源供給する変圧回路と、
    前記変圧回路に対して前記車両の電気アクチュエータと並列に接続されて前記変圧回路から出力される電力を充電し、充電した電力を使って前記車両の電気アクチュエータへの電源供給を補助する副電源と
    を備えた車両の電源装置において、
    前記変圧回路の発熱状態を検出する発熱状態検出手段と、
    前記検出した発熱状態が予め設定した基準発熱状態を越える場合に、前記変圧回路から前記電気アクチュエータへの電源供給を停止して前記副電源のみから前記電気アクチュエータへ電源供給するように切り替える電源切替手段と
    を備えたことを特徴とする車両の電源装置。
  2. 前記発熱状態検出手段により検出した発熱状態に基づいて、前記変圧回路の発熱が大きくなるにしたがって前記電気アクチュエータへ流す電流の上限値である上限電流値を低下させる電流制限手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両の電源装置。
  3. 前記副電源の充電状態を検出する充電状態検出手段と、
    前記検出した発熱状態が予め設定した基準発熱状態を越える場合であっても、前記副電源の充電状態が予め設定した基準充電状態を下回る場合には、前記電源切替手段の作動を禁止する禁止手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の車両の電源装置。
  4. 前記充電状態検出手段により検出した前記副電源の充電状態が良好であるほど、前記電気アクチュエータへ流す電流の上限電流値を高くする側に補正する上限電流値補正手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の車両の電源装置。
  5. 前記充電状態検出手段により検出した前記副電源の充電状態が良好であるほど、前記基準発熱状態を低くする側に設定する基準値設定手段を備えたことを特徴とする請求項3または4記載の車両の電源装置。
  6. 前記充電状態検出手段は、前記副電源の出力電圧を検出し、その検出した出力電圧を前記副電源の充電状態とみなすことを特徴とする請求項3ないし請求項5の何れか一項記載の車両の電源装置。
  7. 前記発熱状態検出手段は、前記変圧回路の温度を検出することを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか一項記載の車両の電源装置。
  8. 前記電源切替手段は、前記変圧回路の出力電圧を変更することにより、前記変圧回路から前記電気アクチュエータへの電源供給を停止して前記副電源のみから前記電気アクチュエータへ電源供給するように切り替えることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか一項記載の車両の電源装置。
  9. 前記変圧回路は、主電源の出力電圧を昇圧する昇圧回路であり、
    前記電源切替手段は、前記発熱状態検出手段により検出した前記昇圧回路の発熱状態と前記充電状態検出手段により検出した前記副電源の充電状態とに基づいて、前記昇圧回路の昇圧電圧を制御することにより、前記昇圧回路から前記電気アクチュエータへの電源供給を停止して前記副電源のみから前記電気アクチュエータへ電源供給するように切り替えることを特徴とする請求項3ないし請求項8の何れか一項記載の車両の電源装置。
  10. 前記電気アクチュエータは、運転者の操舵操作に応じて車輪に転舵力を付与する電動モータであることを特徴とする請求項9記載の車両の電源装置。
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