JP2010052970A - セラミック組成物、セラミックグリーンシート、及びセラミック電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼成時の収縮挙動を抑制しつつ、誘電特性を従来と比べて飛躍的に向上させることができ、しかも信頼性を確保できるようにした。
【解決手段】セラミック組成物は、B2O3−SiO2−Al2O3−MO系ガラス組成物(ただし、MはCa、Mg、Sr、及びBaの中から選択された少なくとも1種を示し、B2O3:4〜17.5重量%、SiO2:28〜50重量%、Al2O3:0〜20重量%、MO:36〜50重量%である。)を26〜60重量%含有すると共に、SrTiO3及びCaTiO3のうちの少なくとも1種を30〜65重量%含有し、かつ、Cu、Mn、Zn、及びCaの中から選択された少なくとも1種を含む金属酸化物が10重量%以下(ただし、0重量%を含む。)に調製されている。このセラミック組成物を焼成してセラミック焼結体2を作製し、該セラミック焼結体2を有する複合LC部品20を得る。
【選択図】図1
【解決手段】セラミック組成物は、B2O3−SiO2−Al2O3−MO系ガラス組成物(ただし、MはCa、Mg、Sr、及びBaの中から選択された少なくとも1種を示し、B2O3:4〜17.5重量%、SiO2:28〜50重量%、Al2O3:0〜20重量%、MO:36〜50重量%である。)を26〜60重量%含有すると共に、SrTiO3及びCaTiO3のうちの少なくとも1種を30〜65重量%含有し、かつ、Cu、Mn、Zn、及びCaの中から選択された少なくとも1種を含む金属酸化物が10重量%以下(ただし、0重量%を含む。)に調製されている。このセラミック組成物を焼成してセラミック焼結体2を作製し、該セラミック焼結体2を有する複合LC部品20を得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、セラミック組成物、セラミックグリーンシート、及びセラミック電子部品に関し、より詳しくは高比誘電率を有する低温焼成用のセラミック組成物、このセラミック組成物を使用したセラミックグリーンシート、及びこのセラミック組成物を使用したセラミック多層基板や複合LC部品等のセラミック電子部品に関する。
高周波用誘電体磁器は、近年、例えば、誘電体共振器やMIC用誘電体基板などに広く使用されている。この種の高周波用誘電体磁器では、小型化を図るために、比誘電率εrやQ値が大きいことが求められている。
一方、高周波用誘電体磁器では、導体材料に高融点のタングステンやモリブデンを使用すると、これらの高融点金属は比抵抗が大きいことから、特にセラミック多層基板の高周波特性に限界が生じるという欠点があり、しかも高価である。このため、導体材料としては、AgやCu等の低抵抗でかつ安価な低融点金属を用いることが要請される。
しかしながら、導体材料とセラミック材料とを同時焼成してセラミック焼結体を得るには、セラミック材料をこれらの低融点金属の融点よりも低い温度で焼成させる必要がある。
そこで、セラミック成分とガラス成分との複合材料である低温焼成用のセラミック材料の研究が盛んに行われており、これを用いたセラミック多層基板の実用化が進められている。
例えば、特許文献1では、xBaO−yTiO2−zReO3/2(ただし、x、yおよびzはモル%を示し、8≦x≦18、52.5≦y≦65、および20≦z≦40であり、x+y+z=100であり、Reは希土類元素である。)で表される、BaO−TiO2 −ReO3/2系セラミック組成物を10〜45重量%と、アルミナを5〜40重量%と、4〜17.5重量%のB2O3、28〜50重量%のSiO2、0〜20重量%のAl2O3および36〜50重量%のMO(ただし、MOは、CaO、MgO、SrOおよびBaOから選ばれた少なくとも1種である。)を含む、ホウケイ酸ガラス組成物を40〜65重量%とを含み、かつ、前記BaO−TiO2−ReO3/2系セラミック組成物と前記アルミナとの合計量が35重量%以上であるセラミック原料組成物が提案されている。
この特許文献1では、ホウケイ酸ガラス組成物を含有させることにより、焼成時のセラミックスの収縮挙動を抑制することができ、また、ガラス粘度が高いことから、他の低温焼成基板と相互拡散するのを抑制できる。さらに、上記セラミック組成物を含有させることにより、比誘電率εrが15程度の高比誘電率を有するセラミック原料組成物を得ることができる。
しかしながら、上記特許文献1のセラミック原料組成物は、比誘電率εrが15程度と比較的高いものの、今日におけるモジュール商品等の更なる小型化の要請に対処するためには、より一層高い比誘電率εrが求められている。
しかるに、比誘電率εrを高めるためにはガラス組成物の含有量を低くし、フィラーとなるセラミック粉末の含有量を高める必要がある。一方、ガラス組成物の含有量が低くなると、ガラス組成物の流動性が低下することから焼成処理によってセラミック焼結体は収縮し易くなる。したがって、焼成時の収縮挙動を制御し易くするためにはガラス組成物の含有量を増量する必要がある。すなわち、焼成時のセラミック焼結体の収縮挙動の制御と高比誘電率を両立させるのは困難な状況にある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、焼成時の収縮挙動を抑制しつつ、誘電特性を従来と比べて飛躍的に向上させることができ、しかも信頼性を確保できるセラミック組成物、これを利用したセラミックグリーンシート、及びセラミック電子部品を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意研究を行ったところ、特定組成のホウケイ酸ガラスに加え、比誘電率εrの高いSrTiO3又はCaTiO3を所定範囲で添加し、さらに焼結助剤成分を所定量以下の範囲で含有させることにより、焼成時におけるセラミック焼結体の収縮挙動を制御し易くしつつ、比誘電率εrが40以上でQ値が750以上の良好な誘電特性を有する低温焼成用のセラミック組成物を得ることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係るセラミック組成物は、B2O3−SiO2−Al2O3−MO系ガラス組成物(ただし、MはCa、Mg、Sr、及びBaの中から選択された少なくとも1種を示し、B2O3:4〜17.5重量%、SiO2:28〜50重量%、Al2O3:0〜20重量%、MO:36〜50重量%である。)を26〜60重量%含有すると共に、 SrTiO3及びCaTiO3のうちの少なくとも1種を30〜65重量%含有し、かつ、Cu、Mn、Zn、及びCaの中から選択された少なくとも1種を含む酸化物が10重量%以下(ただし、0重量%を含む。)であることを特徴としている。
また、本発明に係るセラミックグリーンシートは、上記セラミック組成物がシート状に成形されていることを特徴としている。
また、本発明に係るセラミック電子部品は、上記セラミック組成物の焼結体からなる第1のセラミック層を有していることを特徴としている。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記第1のセラミック層と、該第1のセラミック層よりも比誘電率の低い第2のセラミック層とが積層されていることを特徴としている。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記第2のセラミック層が、セラミック粉末を51〜60重量%含有し、かつ、B2O3−SiO2−Al2O3−MO系ガラス組成物(ただし、MはCa、Mg、Sr、及びBaの中から選択された少なくとも1種を示し、B2O3:5〜17.5重量%、SiO2:28〜44重量%、Al2O3:0〜20重量%、MO:36〜50重量%である。)を40〜49重量%含有したセラミック組成物の焼結体であることを特徴としている。
また、本発明のセラミック電子部品は、Ag又はCuを主成分とする導体パターンを有していることを特徴としている。
尚、本発明において、ガラス組成物は、それ自体が液相を生成して粒子同士の焼結をすすめる助剤であり、Cu、Mn、Zn、Caの酸化物は、これがセラミック粉末表面に濡れることで液相を形成する助剤である。
上記セラミック組成物によれば、所定比率に配合されたB2O3−SiO2−Al2O3−MO系ガラス組成物を26〜60重量%含有すると共に、SrTiO3及びCaTiO3のうちの少なくとも1種を30〜65重量%含有し、かつ、Cu、Mn、Zn、及びCaの中から選択された少なくとも1種を含む酸化物が10重量%以下(ただし、0重量%を含む。)であるので、焼成時におけるセラミック焼結体の収縮挙動を制御し易くしつつ、誘電特性の向上したセラミック組成物を得ることができ、前記収縮挙動の制御と誘電特性の両立が可能なセラミック組成物を得ることができる。
具体的には、比誘電率εrが40以上、Q値が750以上、絶縁抵抗IRが1010Ω以上の特性を有し、かつ焼成時の収縮挙動を制御し易い焼結性の良好なセラミック組成物を得ることができる。
したがって、今日のモジュール商品等の更なる小型化に対応した高品質で誘電特性の良好なセラミックグリーンシート及びセラミック電子部品を実現することができる。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記第1のセラミック層と、該第1のセラミック層よりも比誘電率の低い第2のセラミック層とが積層されているので、例えば、低誘電率層である第2のセラミック層に配線のための導体を配し、高誘電率層である第1のセラミック層にコンデンサやフィルタのような素子を配することにより、セラミック基板の更なる小型化が可能となる。
また、第1のセラミック層を構成するセラミック組成物と第2のセラミック層を構成するセラミック組成物は、ガラス組成物の成分組成が類似しているので、焼成時の相互拡散による特性変動や特性ばらつき等が生じにくく、また熱膨張係数も近似しているので、デラミネーション等の構造欠陥が生じにくい。さらに、第2のセラミック層は、アルカリ金属元素を含む必要がないので、抵抗素子を構成する抵抗体との反応による抵抗特性の低下を招くのを回避することができる。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
本発明に係るセラミック組成物は、(1)B2O3−SiO2−Al2O3−MO系ガラス組成物(ホウケイ酸系ガラス組成物;以下、単に、「ガラス組成物」という。)を26〜60重量%含有し、(2)SrTiO3及びCaTiO3のうちの少なくとも1種を30〜65重量%含有し、(3)Cu、Mn、Zn、及びCaの中から選択された少なくとも1種を含む酸化物(以下、「焼結助剤成分」という。)が10重量%以下(ただし、0重量%を含む。)となるように調製されている。
また、ガラス組成物中の元素Mは、Ca、Mg、Sr、及びBaの中から選択された少なくとも1種を示し、その成分組成は、B2O3:4〜17.5重量%、SiO2:28〜50重量%、Al2O3:0〜20重量%、MO:36〜50重量%となるように配合されている。
本発明のセラミック組成物は、上述した成分組成を有することにより、焼成時のセラミック焼結体の収縮挙動を制御し易くすることができ、かつ比誘電率εrやQ値が高く、高温多湿下でも長時間耐えうる信頼性の優れたセラミック組成物を得ることができる。
具体的には、特に後述する拘束層を用いた手法によれば、焼成後のセラミック焼結体は、焼成前のセラミック成形体に対しX−Y方向に99%以上の寸法精度を確保することができ、かつ比誘電率εrは40以上、Q値は750以上、かつ高温多湿下で長時間放置しても1010Ω以上の絶縁抵抗IRを有する信頼性の優れたセラミック組成物を得ることができる。
次に、セラミック組成物を上記組成成分に配合した理由を述べる。
(1)ガラス組成物
上述したガラス組成物をセラミック組成物中に含有させることにより、1050℃以下、特に900℃前後の低温での焼成が可能となり、しかも焼成時のセラミック焼結体の収縮挙動を制御し易くなるが、そのためにはガラス組成物の含有量は、少なくとも26重量%以上必要である。すなわち、ガラス組成物の含有量を低下させると、比誘電率εrは高くなるものの、焼成時にガラスの流動性が低下することから、セラミック焼結体は収縮し易くなる。そしてこの焼成収縮を極力小さくするためには、ガラス組成物の含有量は、少なくとも26重量%以上必要である。
上述したガラス組成物をセラミック組成物中に含有させることにより、1050℃以下、特に900℃前後の低温での焼成が可能となり、しかも焼成時のセラミック焼結体の収縮挙動を制御し易くなるが、そのためにはガラス組成物の含有量は、少なくとも26重量%以上必要である。すなわち、ガラス組成物の含有量を低下させると、比誘電率εrは高くなるものの、焼成時にガラスの流動性が低下することから、セラミック焼結体は収縮し易くなる。そしてこの焼成収縮を極力小さくするためには、ガラス組成物の含有量は、少なくとも26重量%以上必要である。
一方、ガラス組成物の含有量が60重量%を超えると、セラミック組成物中のガラス組成物の含有量が過剰となり、ガラス粘度が高くなりすぎて焼結不良を招く。すなわち、ガラス組成物の含有量を増加させると、焼結性が向上し、ガラスの流動性が向上して焼成収縮は抑制されるものの、比誘電率εrやQ値等の誘電特性が低下する。したがって、ガラス組成物の含有量は60重量%以下とする必要がある。
そこで、本実施の形態では、ガラス組成物の含有量が、26〜60重量%となるように組成成分を配合している。より好ましくは35〜55重量%である。
また、ガラス組成物中の構成成分(B2O3、SiO2、Al2O3、MO)を上記範囲に限定したのは以下の理由による。
(a)B2O3
B2O3は、軟化温度を下げて粘性流動を促進するために添加されるが、ガラス組成物中のB2O3の含有量が4重量%未満の場合は、含有量が少なすぎ、このためガラス粘度が高くなって焼結不良を招くおそれがある。一方、ガラス組成物中のB2O3の含有量が17.5重量%を超えると、ガラス組成物の化学的安定性が劣化し、その結果、高温多湿下で長時間放置すると絶縁抵抗IRが低下して信頼性を損なうおそれがある。
B2O3は、軟化温度を下げて粘性流動を促進するために添加されるが、ガラス組成物中のB2O3の含有量が4重量%未満の場合は、含有量が少なすぎ、このためガラス粘度が高くなって焼結不良を招くおそれがある。一方、ガラス組成物中のB2O3の含有量が17.5重量%を超えると、ガラス組成物の化学的安定性が劣化し、その結果、高温多湿下で長時間放置すると絶縁抵抗IRが低下して信頼性を損なうおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ガラス組成物中のB2O3の含有量は、4〜17.5重量%となるように組成成分を配合している。より好ましくは、5〜10重量%である。
(b)SiO2
SiO2は、ガラス組成物の安定性に寄与するが、ガラス組成物中のSiO2の含有量が28重量%未満の場合は、化学的安定性の劣化を招き、その結果、高温多湿下で長時間放置すると絶縁抵抗が低下して信頼性を損なうおそれがある。一方、ガラス組成物中のSiO2の含有量が50重量%を超えると、含有量が過剰となってガラス粘度が高くなり、その結果、焼結不良を招くおそれがある。
SiO2は、ガラス組成物の安定性に寄与するが、ガラス組成物中のSiO2の含有量が28重量%未満の場合は、化学的安定性の劣化を招き、その結果、高温多湿下で長時間放置すると絶縁抵抗が低下して信頼性を損なうおそれがある。一方、ガラス組成物中のSiO2の含有量が50重量%を超えると、含有量が過剰となってガラス粘度が高くなり、その結果、焼結不良を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ガラス組成物中のSiO2の含有量は、28〜50重量%となるように組成成分を配合している。より好ましくは、38〜48重量%である。
(c)Al2O3
Al2O3はガラス組成物を安定化させるために必要に応じて添加されるが、ガラス組成物中のAl2O3の含有量が20重量%を超えると、結晶化し難くなってQ値の低下を招くおそれがある。
Al2O3はガラス組成物を安定化させるために必要に応じて添加されるが、ガラス組成物中のAl2O3の含有量が20重量%を超えると、結晶化し難くなってQ値の低下を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ガラス組成物中にAl2O3が含まれていなくても構わないが、その上限値が、20重量%となるように組成成分を配合している。Al2O3の含有量は好ましくは4〜10重量%である。
(d)MO
MOは、B2O3と同様、軟化温度を下げて粘性流動を促進するために添加されるが、ガラス組成物中のMOの含有量が36重量%未満の場合は、含有量が少なすぎ、このためガラス粘度が高くなって焼結不良を招くおそれがある。一方、ガラス組成物中のMOの含有量が50重量%を超えると、ガラス組成物の化学的安定性が劣化し、その結果、高温多湿下で長時間放置すると絶縁抵抗IRが低下し、信頼性を損なうおそれがある。
MOは、B2O3と同様、軟化温度を下げて粘性流動を促進するために添加されるが、ガラス組成物中のMOの含有量が36重量%未満の場合は、含有量が少なすぎ、このためガラス粘度が高くなって焼結不良を招くおそれがある。一方、ガラス組成物中のMOの含有量が50重量%を超えると、ガラス組成物の化学的安定性が劣化し、その結果、高温多湿下で長時間放置すると絶縁抵抗IRが低下し、信頼性を損なうおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ガラス組成物中のMOの含有量は、36〜50重量%となるように組成成分を配合している。より好ましくは40〜46重量%である。
このように本実施の形態では、ガラス組成物全体の含有量を26〜60重量%とし、かつそのガラス成分の構成成分の組成範囲をB2O3:4〜17.5重量%、SiO2:28〜50重量%、Al2O3:0〜20重量%、MO:36〜50重量%とすることにより、他の添加物と相俟って所期の作用効果を得るようにしている。
(2)SrTiO3及びCaTiO3
SrTiO3は、比誘電率εrが250であり、CaTiO3は、比誘電率εrが170であり、いずれも比誘電率εrが高いことから、ガラス組成物との配合量を調整することにより、焼成時におけるセラミック焼結体の収縮挙動を制御しつつ、比誘電率εrを高めることが可能となる。
SrTiO3は、比誘電率εrが250であり、CaTiO3は、比誘電率εrが170であり、いずれも比誘電率εrが高いことから、ガラス組成物との配合量を調整することにより、焼成時におけるセラミック焼結体の収縮挙動を制御しつつ、比誘電率εrを高めることが可能となる。
しかしながら、SrTiO3及びCaTiO3の含有量が総計で30重量%未満の場合は、ガラス組成物の含有量が多くなるため焼成収縮は抑制できるが、十分に高い所望の比誘電率εrを得ることができない。
一方、SrTiO3及びCaTiO3の含有量が総計で65重量%を超えると、比誘電率εrは向上しても、セラミック焼結体が収縮し易くなる。
そこで、本実施の形態では、SrTiO3及びCaTiO3の含有量が総計で30〜65重量%となるように配合し、これにより前記収縮挙動の制御と誘電特性の向上とを両立させている。
(3)焼結助剤成分
SrTiO3及びCaTiO3を上述の範囲で含有させることにより、従来に比べ十分に比誘電率εrを向上させることが可能であるが、焼結助剤成分として、必要に応じてCu、Mn、Zn、及びCaの中から選択された少なくとも1種を含む酸化物を添加することにより、比誘電率εrを更に向上させることが可能である。
SrTiO3及びCaTiO3を上述の範囲で含有させることにより、従来に比べ十分に比誘電率εrを向上させることが可能であるが、焼結助剤成分として、必要に応じてCu、Mn、Zn、及びCaの中から選択された少なくとも1種を含む酸化物を添加することにより、比誘電率εrを更に向上させることが可能である。
しかしながら、斯かる焼結如剤成分が10重量%を超えると、高温多湿下で長時間放置した場合、絶縁抵抗IRの低下を招き、信頼性を損なうおそれがある。
そこで、本実施の形態では、斯かる焼結助剤成分の含有量が、10重量%以下(0重量%を含む。)となるように、組成成分を配合している。好ましくは1〜6重量%である。
次に、本発明のセラミックグリーンシートを説明する。
図1は上記セラミック組成物を使用して得られたセラミックグリーンシート1の斜視図である。
このセラミックグリーンシート1は、以下のようにして容易に製造することができる。
すなわち、B2O3、SiO2、Al2O3、MO(CaO、BaO、SrO、MgOのうちの少なくともいずれか1種)、SrTiO3及びCaTiO3のうちの少なくともいずれか1種、及び必要に応じて焼結助剤成分を用意し、所定の成分組成となるように秤量する。そしてこの秤量物をジルコニア等の粉砕媒体と共にボールミルに投入し、所定時間湿式で混合し粉砕する。次いで、この粉砕物を蒸発乾燥させた後、所定温度で約2時間仮焼し、仮焼粉末(セラミック組成物)を得る。
次いで、この仮焼粉末に適量のバインダ、溶媒、及び可塑剤を添加して湿式粉砕し、スラリー状とした後、ドクターブレード法等の成形加工法を使用して成形加工し、これにより所定厚みに成形されたセラミックグリーンシートを作製することができる。
そして、このセラミックグリーンシートを使用して各種セラミック電子部品を得ることができる。
図2はセラミック電子部品の一実施の形態(第1の実施の形態)示す積層LC部品20の斜視図である。
この積層LC部品20は、セラミック焼結体2の内部にインダクタンスL及び静電容量Cを構成する回路が形成されている。そして、セラミック焼結体2の両端部には、外部電極3a、3bが形成されると共に、略中央部には外部電極4a、4bが形成され、これにより積層LC部品20の内部には、図3に示すような等価回路のLC共振回路が形成されている。
次に、この積層LC部品20の製造方法を図4を参照しながら説明する。
まず、上述の方法で製造された矩形状のセラミックグリーンシート5a〜5mを用意する。
次に、セラミックグリーンシート5c〜5k間が電気的に接続可能となるようにレーザ加工機を使用し、これらセラミックグリーンシート5c〜5kの所定箇所にビアホール6a〜6dを形成する。次いで、Ag又はCuを主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷し、コンデンサ用導体パターン7a〜7c、及びコイル用導体パターン8a〜8dを形成する。
そして、ビアホール6a〜6dに導電性ペーストを充填した後、セラミックグリーンシート5c〜5kを積層し、これによりコイル用導体パターン8a〜8dがコイル状に電気的に接続されてコイル導体が形成されると共に、コンデンサ用導体パターン7a〜7cとセラミックグリーンシート5f〜5hとで静電容量部が形成される。
次いで、導体パターンの形成されていないセラミックグリーンシート5a、5b、及びセラミックグリーンシート5l、5mで挟持し、加圧してセラミック積層体を作製する。
次いで、セラミック積層体の焼結温度(例えば、900℃)では焼結しないような無機材料を含有した拘束層(例えば、融点が1500℃以上のアルミナを主成分とするセラミックグリーンシート(アルミナグリーンシート))を少なくとも一方の主面上に配し、焼成した後、拘束層を除去する。そしてこれによりセラミック焼結体2が製造される。すなわち、セラミック組成物がシート成形されてなるセラミックグリーンシート5a〜5mは焼結され、それぞれ高比誘電率のセラミック層を形成すると共に、コンデンサ用導体パターン7a〜7c、コイル用導体パターン8a〜8d、ビアホール6a〜6dはと同時焼成されて内部電極、すなわちコンデンサ用内部電極及びコイル導体を形成する。
そして、本実施の形態では、拘束層を前記セラミック積層体の少なくとも一方の主面上に配しているので、該拘束層によってセラミック積層体の主面方向(XY方向)の収縮挙動が制御され、その結果高い寸法精度と反りが生じにくいセラミック焼結体2を得ることができる。
この後、外部電極3a〜4bを、導電ペーストの塗布・焼き付け、蒸着、めっき、或いはスパッタリングなどの薄膜形成法等により形成する。このようにして、積層LC部品20が製造される。
このように本第1の実施の形態では、セラミック焼結体2が上記セラミック組成物で形成されているので、内部電極材料としてのAgやCuを主成分とする低融点金属を使用しても、低温で同時焼成で作製することができる。そして、セラミック焼結体2の収縮挙動が制御され、かつ比誘電率εrやQ値が大きく良好な誘電特性を有する信頼性にも優れた積層LC部品20を得ることができる。
図5は、本発明に係るセラミック電子部品の第2の実施の形態を模式的に示したセラミック多層モジュール30の断面図である。
このセラミック多層モジュール30は、セラミック多層基板10上に電子部品素子19〜21が配されている。尚、電子部品素子19〜21としては、半導体デバイス、チップ型積層コンデンサ等を挙げることができる。
該セラミック多層基板10は、上記セラミック組成物の焼結体からなる第1のセラミック層群11の両面に該第1のセラミック層群11よりも比誘電率εrの低い第2のセラミック層群12a、12bが設けられている。
第1のセラミック層群11は、複数のセラミック層が積層されてなると共に、各セラミック層の層間には内部電極13、14が設けられ、これによりコンデンサユニットC1、C2を形成している。
また、第2のセラミック層群12a、12b及び第1のセラミック層群11には、ビアホール17、18や内部配線15、16が必要に応じて適宜形成されている。
そして、上記ビアホール17、18及び内部配線15、16により、上記電子部品素子19〜21と、コンデンサユニットC1、C2とが電気的に接続され、セラミック多層モジュール30を形成している。
本第2の実施の形態では、第1のセラミック層群11が上述した高比誘電率を有するセラミック組成物(以下、「第1のセラミック組成物」という。)で形成されると共に、第2のセラミック層群12a、12bは、前記第1のセラミック組成物よりも比誘電率εrの低い第2のセラミック組成物で形成されている。
そして、第2のセラミック組成物は、第1のセラミック組成物と類似の成分組成を有している。
具体的には、第2のセラミック組成物は、セラミック粉末を51〜60重量%含有し、かつ、B2O3−SiO2−Al2O3−MO系ガラス組成物(以下、「第2のガラス組成物」という。)を40〜49重量%含有している。
ここで、第2のガラス組成物の含有量を40〜49重量%としたのは以下の理由による。
第2のガラス組成物の含有量が49重量%を超えると、ガラスの結晶化が過度に進み、焼成後の第2のセラミック層群12a、12bに歪みが生じるおそれがある。一方、第2のガラス組成物の含有量が40重量%未満になると、比誘電率εrを十分に低くすることができなくなる。
そこで、本実施の形態では、第2のセラミック組成物は、第2のガラス組成物を40〜49重量%とし、残部がセラミック粉末で構成されるように配合される。
また、第2のガラス組成物の各成分組成は、B2O3の下限値を5重量%、SiO2の上限値を44重量%とした以外は、第1のセラミック組成物のガラス組成物と同一である。
ここで、B2O3の下限値を5重量%としたのは、第2のセラミック層群12a、12bのQ値が低くなるのを回避するためであり、SiO2の上限値を44重量%としたのは、焼結性が向上しすぎて比誘電率εrが高くなりすぎるおそれがあるからである。
尚、セラミック粉末としては、Al2O3が好ましい。
そして、このように第1のセラミック層群12よりも比誘電率εrの低い第2のセラミック層群11a、11bを第1のセラミック組成物と類似の第2のセラミック組成物で形成することにより、焼成時の相互拡散による特性変動や特性ばらつき等が生じ難くなる。また、第1のセラミック組成物と第2のセラミック組成物とでは、熱膨張係数も近似するので、デラミネーション等の構造欠陥が生じにくい。さらに、第2のセラミック層群11a、11bは、アルカリ金属元素を含む必要がないので、例えば抵抗素子を有する場合、抵抗素子を構成する抵抗体との反応による抵抗特性の低下を招くのを回避することができる。
そして、外部と接続するための外部電極をセラミック多層基板の下面に形成することにより、セラミック積層モジュール30は、下面側を利用してプリント回路基板などに容易に表面実装することができる。
また、本第2の実施の形態では、低温焼成に適した第1及び第2のセラミック組成物を使用しているので、内部電極13、14や内部配線15、16及びビアホール17、18は、AgやCuなどの低抵抗で安価な低融点金属を使用して同時焼成することが可能となる。すなわち、同時焼成型のセラミック多層基板を用いてコンデンサユニットC1,C2を構成することができることとなり、モジュールの小型化を図ることができる。加えて、上記第1のセラミック層群11が、上記第1のセラミック組成物を用いているので比誘電率εrやQ値が高く、信頼性の優れた焼結性の良好なセラミック多層モジュール30を得ることができる。
尚、上記セラミック多層基板10は、第1の実施の形態と同様の方法により、第2のセラミック層群12a、12bの少なくともいずれか一方の主面に拘束層を配して焼成することにより、焼成時の収縮挙動が制御されたセラミック焼結体を容易に製造することができる。
また、コンデンサユニットC1、C2では、静電容量を取り出すための厚み方向に隣り合う内部電極13、14が第1のセラミック層群11に埋設されるので、比較的小さな面積の内部電極で大きな静電容量を得ることができ、それによっても小型化を進めることができる。すなわち、低誘電率層である第2のセラミック層群11a上に配線のための導体を配し、高誘電率層である第1のセラミック層群にコンデンサやフィルタのような素子を配することにより、セラミック基板の更なる小型化が可能となる。
尚、上記第1及び第2の実施の形態では、積層LC部品20及びセラミック多層モジュール30について説明したが、これらは一例であり本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち、マルチチップモジュール用セラミック多層基板、ハイブリッドIC用セラミック多層基板などの各種セラミック多層基板、或いはこれらのセラミック多層基板に電子部品素子を搭載した様々なセラミック電子部品、さらにはチップ型積層コンデンサやチップ型積層誘電体アンテナなどの様々なチップ型積層電子部品に適用することができる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
〔試料の作製〕
〔白基板の作製〕
まず、ガラス素原料として、B2O3、SiO2、Al2O3、CaO、BaO、SrO、MgOを用意した。そして、ガラス組成物が表1に示すような含有量となるように、前記ガラス素原料を秤量した。
〔白基板の作製〕
まず、ガラス素原料として、B2O3、SiO2、Al2O3、CaO、BaO、SrO、MgOを用意した。そして、ガラス組成物が表1に示すような含有量となるように、前記ガラス素原料を秤量した。
次いで、ガラス組成物の含有量が45重量%、SrTiO3の含有量が55重量%となるように、SrTiO3を秤量した。そして、これら秤量物をジルコニアと共にボールミルに投入し、16時間、湿式で混合し、仮焼粉末(セラミック組成物)を作製した。
次いで、このセラミック組成物に適量のバインダ、溶媒、及び可塑剤を添加し、ボールミル内で2時間、湿式で混合粉砕し、スラリー状とした後、ドクターブレード法を使用して成形加工し、これにより厚みが25μmの試料番号1〜19のセラミックグリーンシートを得た。
次いで、セラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を作製し、さらにアルミナグリーンシートの拘束層をセラミック積層体の両面に配して圧着し、縦55mm、横75mm、厚み1mmの圧着体を作製した。
そしてこの後、大気雰囲気下、870℃の焼成温度で10分間、焼成処理を行い、次いで、拘束層を除去し、厚みが0.65mmの試料番号1〜19のセラミック焼結体(白基板)を作製した。
〔積層セラミックコンデンサの作製〕
まず、Agを主成分とするAgペーストを用意した。そして、上述したセラミックグリーンシ−トの表面にAgペーストをスクリーン印刷し、導体パターンを形成した。次いで、静電容量が取得可能となるように導体パターンの形成されたセラミックグリーンシートを積層し、さらに導体パターンの形成されていないセラミックグリーンシートで狭持してセラミック積層体を作製した。そして、セラミック積層体の両面に拘束層を配して圧着体を作製した。
まず、Agを主成分とするAgペーストを用意した。そして、上述したセラミックグリーンシ−トの表面にAgペーストをスクリーン印刷し、導体パターンを形成した。次いで、静電容量が取得可能となるように導体パターンの形成されたセラミックグリーンシートを積層し、さらに導体パターンの形成されていないセラミックグリーンシートで狭持してセラミック積層体を作製した。そして、セラミック積層体の両面に拘束層を配して圧着体を作製した。
次いで、この圧着体を、大気雰囲気下、焼成温度870℃で10分間、焼成処理を行い、その後拘束層を除去し、内部電極が埋設されたセラミック焼結体を作製した。
次いで、Agを主成分としたAgペーストを用意し、前記セラミック焼結体の両端部にAgペーストを塗布し、800℃の温度で焼付け、外部電極を形成し、試料番号1〜19の積層セラミックコンデンサを作製した。作製された積層セラミックコンデンサの外形寸法は、縦8mm、横6mm、厚み0.5mm、有効積層数3、有効電極面積は4mm2であった。
〔試料の評価〕
試料番号1〜19の各試料(白基板)について、焼結性及び焼成時の収縮挙動を評価した。
試料番号1〜19の各試料(白基板)について、焼結性及び焼成時の収縮挙動を評価した。
具体的には、焼結性は赤インクを試料に垂らし、赤インクの染みが生じた試料を焼結不良と判断した。
収縮挙動は、以下のようにして収縮率を算出し、評価した。すなわち、焼結前のセラミック積層体の縦方向及び横方向の長さと、焼結後のセラミック焼結体の縦方向及び横方向の長さを測定し、下記数式(1)、(2)に従い、縦方向収縮率及び横方向収縮率を算出し、次いで数式(3)により収縮率を算出した。
縦方向収縮率=(焼結後の縦方向の長さ/焼結前の縦方向の長さ)×100
・・・(1)
横方向収縮率=(焼結後の横方向の長さ/焼結前の横方向の長さ)×100
・・・(2)
収縮率=(縦方向収縮率+横方向収縮率)/2 ・・・(3)
また、共振周波数6GHzで比誘電率εr及びQ値を測定した。尚、比誘電率εrは40以上、Q値は750以上を良品と判断した。
・・・(1)
横方向収縮率=(焼結後の横方向の長さ/焼結前の横方向の長さ)×100
・・・(2)
収縮率=(縦方向収縮率+横方向収縮率)/2 ・・・(3)
また、共振周波数6GHzで比誘電率εr及びQ値を測定した。尚、比誘電率εrは40以上、Q値は750以上を良品と判断した。
また、PCT(プレッシャークッカーテスト)を行い、信頼性を評価した。すなわち、温度120℃、相対湿度85%で10Vの直流電圧を印加し、192時間放置し、その後、抵抗計で絶縁抵抗IRを測定し、1010Ω以上を良品と判断した。
表1は各試料のガラス組成物の成分組成を示し、表2は各試料のセラミック組成物と測定結果を示している。
試料番号5は、焼結不良となった。これはガラス組成物中のCaOの含有量が35.0重量%と少なく、ガラス粘度が高くなったためと思われる。
試料番号8は、PCT試験後の絶縁抵抗IRが105Ω以下となり、信頼性低下を招くことが分かった。これはガラス組成物中のCaOの含有量が55.0重量%と多く、このためガラス組成物の化学的安定性が劣化したためと思われる。
試料番号9は、焼結不良となった。これはガラス組成物中のB2O3の含有量が2.0重量%と少なく、ガラス粘度が高くなったためと思われる。
試料番号12は、PCT試験後の絶縁抵抗IRが105Ω以下となり、信頼性低下を招くことが分かった。これはガラス組成物中のB2O3の含有量が20.0重量%と多く、このためガラス組成物の化学的安定性が劣化したためと思われる。
試料番号13は、PCT試験後の絶縁抵抗IRが105Ω以下となり、信頼性低下を招くことが分かった。これはガラス組成物中のCaOの含有量は52.0重量%と多いものの、SiO2の含有量が26.0重量%と少ないため、ガラス組成物の化学的安定性が劣化したためと思われる。
試料番号16は、焼結不良となった。これはガラス組成物中のSiO2の含有量が53.0重量%と多いため、ガラス粘度が高くなったためと思われる。
試料番号19は、Q値が550に低下した。これはガラス組成物中のAl2O3の含有量が30.0重量%と多いため、ガラスの安定性は向上するものの、結晶化し難くなり、このためQ値の低下を招いたものと思われる。
これに対し試料番号1〜4、6、7、10、11、14、15、17、18は、ガラス組成物の成分組成が本発明の範囲内であり、しかもセラミック組成物中のガラス組成物の含有量が45重量%、SrTiO3の含有量が55重量%といずれも本発明の範囲内であるので、焼結性は良好であり、また、収縮率は99%以上となって焼成時の収縮挙動も抑制できることが分かった。さらに、比誘電率εrも40以上、Q値も750以上となって所望の良好な誘電特性を得ることができ、しかもPCT試験後の絶縁抵抗IRも1010Ω以上となって信頼性を確保できることも分かった。
〔試料の作製〕
ガラス素原料としてB2O3、SiO2、Al2O3、CaOを用意し、ガラス素原料以外の添加物(フィラー)としてSrTiO3、CaTiO3、CuO、ZnO、MnCO3、CaCO3を用意した。
ガラス素原料としてB2O3、SiO2、Al2O3、CaOを用意し、ガラス素原料以外の添加物(フィラー)としてSrTiO3、CaTiO3、CuO、ZnO、MnCO3、CaCO3を用意した。
次いで、ガラス組成物の含有量が、前記表1の試料番号G1(本発明範囲内)となるようにガラス素原料を秤量すると共に、セラミック組成物の含有量が全体で表3となるように添加物原料を秤量した。
そしてその後は、〔実施例1〕と同様の方法・手順で、試料番号21〜39の白基板及び積層セラミックコンデンサを作製した。
表3は試料番号21〜39の成分組成を示している。
〔試料の評価〕
試料番号21〜39の各試料について、〔実施例1〕と同様の方法で焼結性を評価し、収縮挙動を評価した。
試料番号21〜39の各試料について、〔実施例1〕と同様の方法で焼結性を評価し、収縮挙動を評価した。
また、試料番号21〜39の各試料について、〔実施例1〕と同様の方法で比誘電率εr、Q値を測定し、さらにPCT試験を行って信頼性を評価した。
これらの評価基準は、いずれも〔実施例1〕と同様である。
表4はその測定結果を示している。
試料番号21〜25は、ガラス組成物とSrTiO3又はCaTiO3との配合比率を異ならせたものである。
試料番号22は、終結不良となった。これはガラス組成物の含有量が25重量%と少なく、870℃の低温での焼成が困難なためと思われる。
試料番号25は、比誘電率εrが30.1、Q値が600と低くなった。これはガラス組成物の含有量が増加する程、焼結性が向上し、ガラスの流動性も上がるため収縮挙動は抑制されるものの、ガラス組成物の含有量が60重量%と過剰であるため、誘電特性の低下を招いたものと思われる。
これに対し試料番号21、23、24は、ガラス組成物及びSrTiO3又はCaTiO3の配合量が本発明の範囲内であるので、焼結性は良好であり、収縮率は99%以上となって焼成時の収縮挙動が抑制されることが分かった。また、比誘電率εrも40以上、Q値も750以上となって所望の良好な誘電特性を得ることができ、さらにPCT試験後の絶縁抵抗IRも1010Ω以上となって信頼性を確保できることも分かった。
試料番号26〜37は、ガラス組成物の含有量を45重量%と一定とし、SrTiO3と焼結助剤成分(CuO、ZnO、MnCO3、及びCaCO3)の配合比率を変えたものである。
この試料番号26〜37から分かるように、焼結助剤成分が増加するに伴い、比誘電率εrが向上するが、試料番号28、31、34、及び37に示すようにと、焼結助剤成分の含有量が15重量%と過剰になると、Q値が低下した。したがって、焼結助剤成分の含有量は10重量%以下とする必要のあることが分かった。
試料番号37、38は、焼結助剤成分としてのCuOを一定とし、ガラス組成物の含有量を異ならせたものである。
試料番号37に示すように、焼結助剤成分であるCuOを10重量%含ませることにより、ガラス組成物を27重量%まで低下させても、焼結性が良好であり、比誘電率εrを85.5まで向上できることが分かった。
しかしながら、試料番号38から分かるように、CuOを10重量%含んでいても、ガラス組成物の含有量が20重量%と過度に低くなった場合は、低温での焼成が困難であり、焼結不良となった。
以上よりガラス組成物の成分組成が本発明の範囲内であり、かつセラミック組成物中のガラス組成物、SrTiO3及び/又はCaTiO3、焼結助剤成分を本発明範囲内とすることにより、焼結性が良好であり、また、焼成時の収縮挙動を抑制でき、しかも比誘電率εrも40以上、Q値も750以上となって良好な誘電特性を得ることができ、さらには所望の信頼性を確保できることも分かった。
1 セラミックグリーンシート
2 セラミック焼結体
5a〜5m セラミックグリーンシート
7a〜7c 導体パターン
8a〜8d 導体パターン
11 第1のセラミック層群(第1のセラミック層)
12a、12b 第2のセラミック層群(第2のセラミック層)
13 内部電極(導体パターン)
14 内部電極(導体パターン)
15 内部配線(導体パターン)
16 内部配線(導体パターン)
2 セラミック焼結体
5a〜5m セラミックグリーンシート
7a〜7c 導体パターン
8a〜8d 導体パターン
11 第1のセラミック層群(第1のセラミック層)
12a、12b 第2のセラミック層群(第2のセラミック層)
13 内部電極(導体パターン)
14 内部電極(導体パターン)
15 内部配線(導体パターン)
16 内部配線(導体パターン)
Claims (6)
- B2O3−SiO2−Al2O3−MO系ガラス組成物(ただし、MはCa、Mg、Sr、及びBaの中から選択された少なくとも1種を示し、B2O3:4〜17.5重量%、SiO2:28〜50重量%、Al2O3:0〜20重量%、MO:36〜50重量%である。)を26〜60重量%含有すると共に、
SrTiO3及びCaTiO3のうちの少なくとも1種を30〜65重量%含有し、
かつ、Cu、Mn、Zn、及びCaの中から選択された少なくとも1種を含む金属酸化物が10重量%以下(ただし、0重量%を含む。)であることを特徴とするセラミック組成物。 - 請求項1記載のセラミック組成物がシート状に成形されていることを特徴とするセラミックグリーンシート。
- 請求項1記載のセラミック組成物の焼結体からなる第1のセラミック層を有していることを特徴とするセラミック電子部品。
- 前記第1のセラミック層と、該第1のセラミック層よりも比誘電率の低い第2のセラミック層とが積層されていることを特徴とする請求項3記載のセラミック電子部品。
- 前記第2のセラミック層は、Al2O3を51〜60重量%含有し、かつ、B2O3−SiO2−Al2O3−MO系ガラス組成物(ただし、MはCa、Mg、Sr、及びBaの中から選択された少なくとも1種を示し、B2O3:5〜17.5重量%、SiO2:28〜44重量%、Al2O3:0〜20重量%、MO:36〜50重量%である。)を49〜60重量%含有したセラミック組成物の焼結体であることを特徴とする請求項4記載のセラミック電子部品。
- Ag又はCuを主成分とする導体パターンを有していることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のセラミック電子部品。
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