JP2003226572A - 低誘電率磁器組成物とその製造方法 - Google Patents

低誘電率磁器組成物とその製造方法

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JP2003226572A JP2002028278A JP2002028278A JP2003226572A JP 2003226572 A JP2003226572 A JP 2003226572A JP 2002028278 A JP2002028278 A JP 2002028278A JP 2002028278 A JP2002028278 A JP 2002028278A JP 2003226572 A JP2003226572 A JP 2003226572A
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Hisafumi Yamamoto
寿文 山元
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低温焼結が可能で、誘電率が低く高周波帯域で
の損失が小さく、そしてAgを内部電極としたときの、
拡散やマイグレーションがない誘電体基板用磁器組成物
と、その製造方法の提供。 【解決手段】酸化物組成比として質量%で、SiO
29.0〜48.0%、ZnO:45.0〜67.0%、Bi:2.
0〜7.0%およびLiO:1.0〜7.0%を含有する誘電体
磁器組成物、および各酸化物などの原料粉末を所要量配
合しボールミルにて湿式混合して、乾燥後700〜900℃に
て仮焼し粉砕整粒した後、バインダを添加して混練し、
所要形状に成形、導電体等の印刷、積層等をおこなって
から、800〜925℃にて焼成する上記の誘電体磁器組成物
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、数GHzから数十GHz
の高周波領域を対象とする電子部品やモジュール基板に
用いられる誘電体磁器組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報の高速大量伝達通信および移
動体通信の発達にともない、集積回路においては、小型
化、高密度化ばかりでなく、取り扱われる信号に数GHz
帯(マイクロ波)さらにはそれ以上の周波数帯域(ミリ
波)の利用が検討されており、回路の基板や構成部品に
対して、このような高周波帯域に適合した材料が要望さ
れている。
【0003】これら集積回路に要求される性能として
は、高周波帯域での信号伝搬速度が速く、かつ損失が小
さいことが好ましく、基板材料に用いられる磁器組成物
は、比誘電率εが低いこと、および誘電損失tanδが
小さいことすなわちQ値が高いことが重要である。
【0004】一般に、誘電体中の信号伝搬速度は比誘電
率が低いほど速くなる。回路基板として代表的なものに
アルミナ磁器があるが、誘電率は9〜10程度であり、周
波数帯がマイクロ波またはそれ以上になると、これより
さらに低いものが好ましい。Q値は、低ければ信号の伝
送線路通過時の損失が多くなるため、できるだけ高くす
る必要がある。高いQ値を実現するには、誘電体では主
に組成により定まるので、その選定には十分な配慮を要
し、用いられる導体は、比抵抗値が低いほどよい。
【0005】この誘電体磁器組成物基板に対しても、小
型化高密度化の要求から、多層積層基板法が開発されて
いる。これは、誘電体のグリーンシート上に導体となる
金属ペーストにて形成する集積回路接続用のパターンを
印刷した後、シートを積層圧着し、磁器組成物と導体用
金属とを同時に焼成するものである。さらに基板表層の
外部との接続用電極は、この同時焼成後にペーストを付
着させ、再度焼成することもある。
【0006】基板に形成させる内部導体は、小型化高密
度化にともない細線化が必要であるが、比抵抗値が高け
れば損失が増し、さらには発熱の原因になるので、でき
るだけ比抵抗値の低い材料とする必要がある。このよう
な材料には、Ag、Cu、Auなどがあるが、Cuは高
温の大気中では酸化されるため磁器組成物による基板の
焼成は還元性雰囲気としなければならなくなり、Auは
高価なため集積回路接続部品のコストが上昇する。Ag
は比抵抗値が低い点で、導体用金属として最も好ましい
が、融点は961℃で、Cuの1083℃,Auの1063℃に比
してもかなり低い。
【0007】焼成温度が導体金属の融点近傍、さらには
融点を超えると、拡散や流動化によって導体が細くなっ
たり消失したりするおそれがある。したがって、内部導
体や内部電極にAgを適用しようとすれば、Agの融点
を十分下回る温度で焼成できる磁器組成物を用いなけれ
ばならないが、一般に磁器組成物は、このような低温で
は焼結が不完全となり、密度不足や強度不足、さらには
低Q値となる傾向がある。
【0008】Agの融点以下の温度において焼成が可能
な磁器組成物として、いわゆるガラスセラミックスがあ
る。これは、セラミックスの骨材をガラスに混在させた
もので、ガラス組成の軟化温度や融点が低いことで低温
での焼成を可能にしており、骨材とガラスとの組み合わ
せにて様々な改良がおこなわれている。たとえば特開平
10-297960号公報に開示された発明は、骨材としてオル
ト珪酸亜鉛(ZnSiO)およびクリストバライト
(SiO)、ガラスとしてSiO−LiO−B
を用い、焼成温度は800〜1000℃で損失が小さく比
誘電率の低いセラミックスが得られるとしている。
【0009】ガラスセラミックスは誘電率は低いという
利点はあるが、いくつかの問題がある。まず一般的にQ
値が低いので、高周波帯域での損失が大きい。そして多
くの場合、ガラス成分とセラミックス成分とを別々に作
製し、これらを混ぜてグリーンシート用素材とするの
で、製造工程が多くなる。また、Agを電極として用い
る場合、マイグレーション(湿潤雰囲気下での使用にお
ける絶縁破壊)を生じやすい。このような問題に十分対
処できているガラスセラミックス、とくにAgを内部導
体として用いることに適した、低誘電率かつ高Q値で、
低い温度にて十分焼成可能な磁器組成物が要望されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低温
焼結が可能で、とくにAgを内部電極に用いる集積回路
基板に適用できる、比誘電率が低く高周波帯域での損失
が小さい誘電体の磁器組成物と、その製造方法の提供に
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、10GHz帯
さらにはそれ以上の周波数帯域で使用される、磁器組成
物の性能を改善すべく種々検討をおこなった。その際に
目標とした性能は次のとおりである。 1)比誘電率が低く、10GHz帯およびそれ以上の周波数
帯域において高Q値であり、適用周波数f(GHz)とQ
の積fQ値が15000(GHz)以上。 2)内部電極にAgを用いることが可能な、Agの融点
を十分下回る焼成温度で焼結でき、Agが内部に拡散せ
ず、かつマイグレーションが生じない。 3)拘束焼成法の適用が可能。 4)通常のセラミックスの製造方法である固相法によ
り、すなわち各原料粉末を混合し仮焼した後、粉砕して
グリーンシートを作製し、これを焼成することにより磁
器組成物基板とすることが可能。
【0012】ここで、fQ値を評価に用いるのは、Q値
は測定周波数に依存すること、およびハッキ・コールマ
ン法(両端短絡形誘電体共振器法)を用い、共振周波数
におけるQ値を測定するからである。またfQ値が1500
0以上であることを目標にしたのは、10GHzにてQ値が15
000以上あれば、ミリ波と呼ばれる周波数帯域ににおい
ても、損失が少なく十分対応できると考られるからであ
る。
【0013】Agを内部導体や電極とするには、Agの
融点を下回る温度で焼成しなければならないが、このよ
うな低温で焼結できれば、導体や電極にCuまたはAu
を用いる場合にも十分対応できる。
【0014】焼成後の平面(XY方向)における寸法精
度がよく、大型の基板でもグリーンシート上の回路形状
と同一寸法のものを得る方法として、拘束焼成法があ
る。これは積層したグリーンシートの上下面またはいず
れか一方の面に、積層体と焼き付を生じない、たとえば
Alなどのグリーンシートを置き、垂直方向に加
圧しながら焼成することによって、焼結に伴う収縮を厚
み方向(Z方向)だけにする焼成方法である。この場
合、焼成後の平面方向の収縮がないことを容易に実現で
き、かつ加圧のために用いるグリーンシートと焼き付か
ないことが重要である。これは、焼成温度を低くするこ
とにより、より容易になるが、通常用いられるAl
などと焼き付かないことも必要である。
【0015】磁器組成物を構成する主成分として、Si
とZnOとを用いた。これらを用いた磁器組成物
は、ウィレマイト相(ZnSiO)とクォーツ相
(SiO )の混合体を形成して、比誘電率が低く高い
Q値が得られるので、目的とする高周波用誘電体を得る
ための、必須含有成分であると考えたからである。
【0016】これら二つの主成分に対し、まずは、B
のような低融点の成分を用いずに焼成温度が低下で
き、Agの融点以下で十分緻密な磁器組成物の焼結が可
能になることを判断基準とし、種々の成分とその含有量
を検討した。その結果、Bi とLiOとの二成
分の適量の複合添加が効果的であることを見出した。
【0017】これら二成分は、単独の添加で焼結温度を
低下させようとすると多量の含有が必要になり、その結
果Q値を大きく低下させてしまう。ところが、複合して
添加することによって、Q値の低下を少なくして焼結温
度を低下させることが可能であった。ウィレマイト相と
クォーツ相(SiO)との混合組成物は、通常難焼結
性であり、これらのみでは焼成温度を高くしても、緻密
な焼結体を得ることができず、さらに温度を上げると溶
融してしまう。ところがBiとLiOとを複合
添加すると、Agの溶融点以下で十分緻密に焼成できた
のは、SiO、BiおよびLiOの三成分の
組み合わせによって、相対的に低融点のガラス相が形成
され、この液相の存在により焼結が促進されたのではな
いかと思われる。
【0018】そこで、SiOとZnOとの混合組成
に、BiとLiOとを複合添加した磁器組成物
を種々試作して、誘電率とQ値がすぐれている組成範囲
だけでなく、Agの拡散の有無、マイグレーションの発
生、さらには拘束焼成法の適用の可否についても調査
し、最適組成範囲の検討をおこなった。
【0019】焼成温度温度を低下させる手段として、B
など低融点酸化物の添加があるが、このような場
合、Agの拡散が生じることが多い。これは導電体とし
てグリーンシート上に塗布するAgペーストに含まれる
ガラスフリットと、低融点酸化物とが反応し、その際に
Agもフリットとともに磁器組成物中へ移行していくた
めではないかと思われる。このようなAg拡散が生じる
と、Agを経路として、高湿度、高電圧の環境下で絶縁
破壊を起こしやすくなるのではないかと思われる。これ
に対し、BiとLiOとを適量複合添加した場
合は、Bi またはLiOは融点がBなど
より高いこともあって、このような拡散現象は生じ難い
と考えられる。
【0020】また、拘束焼成法を利用するには、加圧に
用いる未焼結組成物と焼結体組成物とが焼成後簡単には
がせ、内部導体や電極となるAgが、焼成後の磁器組成
物に十分に密着でき、かつ導通不良を起こさないことが
必要であるが、このような点に関しても、上述の組成範
囲内での最適限界を明らかにした。
【0021】さらに、上述の組成範囲の磁器組成物を、
通常の各原料粉末を混合し仮焼した後、粉砕してグリー
ンシートを作製し、グリーンシート上にAgペーストに
より導電体パターンを印刷後、これを積層して焼成する
方法にて基板とする際の、焼成温度等の影響を調査し
た。その結果、925℃までの焼成温度で良好な結果の得
られることが確認できた。
【0022】以上のような検討結果から、さらにより安
定して目標性能の得られる限界を明らかにして本発明を
完成させた。本発明の要旨は次のとおりである。 (1) 酸化物組成比として質量%で、SiO:29.0〜4
8.0%、ZnO:45.0〜67.0%、Bi:2.0〜7.0
%およびLiO:1.0〜7.0%を含有し、他は不純物か
らなることを特徴とする低誘電率磁器組成物。 (2) 各酸化物の粉末原料を配合しボールミルにて湿式混
合して、乾燥後700〜900℃にて仮焼後粉砕整粒した後、
バインダを添加して混練し、成形後、導電体の印刷およ
び積層をおこなってから、800〜925℃にて焼結すること
を特徴とする請求項1に記載の低誘電率磁器組成物の製
造方法。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の磁器組成物は、成分組成
範囲を以下のとおりに限定する。ここで含有組成は酸化
物の形で表した質量%である。
【0024】SiOの含有範囲は29.0〜48.0%とす
る。これは含有量が29.0%未満では、Agを内部導体あ
るいは電極として適用することのできる、925℃以下で
の焼成が困難になるからである。一方、48.0%を超える
量が含まれると、高周波域でのQ値が低下し、fQ値が
目標の15000を下回ってしまう。これは磁器組成物中に
Q値の低い、SiOを含むガラス相が増えるためと考
えられる。より望ましいのは、31.0〜42.0%の範囲であ
る。
【0025】ZnOは45.0〜67.0%とする。ZnOはS
iOと共に本発明の磁器組成物の基本成分であり、含
有量が45%を下回る場合、925℃以下の焼成温度では十
分な焼結が困難となる。これは高融点のSiOの含有
量の相対的増加により焼結温度が上がってしまうためで
ある。しかし67.0%を超える量が含まれると、Q値が低
下し目標とする値が得られない。より望ましいのは53.5
〜65.0%とすることである。
【0026】Biは焼結温度の低下を目的として
含有させるが、その範囲は2.0〜7.0%とする。含有量が
2.0%未満では焼成温度を925℃以下としたとき、十分に
焼結がおこなわれない。しかし7.0%を超える量含有さ
せると、内部導体に使用するAgの拡散が著しくなる。
これは、Biは他の成分より融点が低く、Agと
反応しやすいためと考えられる。より望ましいのは2.0
〜3.5%とすることである。
【0027】LiOの含有範囲は1.0〜7.0%とする。
LiOは、Biとともに含有させることによ
り、低温での焼結を可能にする効果がある。含有量が1.
0%未満ではAgの融点を十分下回る925℃以下での焼結
が困難になる。しかし7.0%を超える含有はQ値が低下
し、目標とするfQ値15000以上が得られなくなる。こ
れはLiO量が増すと、SiOと反応してQ値を低
下させるガラス相が増してくるためと考えられる。より
望ましい含有量は1.0〜3.0%である。
【0028】上記以外の成分としては、原料に混入して
くる種々の不純物があるが、得られた磁器組成物の特性
に悪影響をおよぼさない範囲のものであれば、とくには
限定しない。
【0029】本発明の磁器組成物の製造は、通常のセラ
ミックス系のものを焼成する方法に準じておこなう。ま
ず原料となる各成分のそれぞれの酸化物粉末を所要量用
意し、ボールミルにて十分に混合する。原料粉末は酸化
物以外の、炭酸塩や炭酸水素塩など他の化合物の形のも
のを用いてもよく、その場合は焼結後の酸化物量に相当
するモル分量の粉末を配合する。混合後仮焼して、セラ
ミックスの形成反応がおこなわれていることを確認して
から粉砕整粒する。最終焼成にてAgの融点未満の温度
で十分に焼結させるためには、仮焼の温度は高くしない
ことが望ましいが、低すぎるとセラミックスの形成反応
を十分に生じさせることができないので、700〜900℃と
するのがよい。
【0030】仮焼後の整粒粉にバインダ等を添加して混
練し、たとえばシート状など所要形状に成形して、必要
により導電回路の印刷、積層、最終形状への加工等をお
こなって、800〜925℃で焼成し磁器組成物とする。焼成
温度を925℃までとするのは、Agを内部導体や電極に
用いる場合、Agの拡散を生じたり、使用時のマイグレ
ーションを引き起こすおそれがあるからである。しか
し、焼成温度が800℃未満では、焼結が十分おこなわれ
ず、緻密性が不足して所要特性が得られないことがあ
る。
【0031】上述のように組成範囲を限定し、焼成条件
を選定することにより、ウィレマイト相とクォーツ相を
含む、高周波特性のすぐれた低誘電率の磁器組成物とす
ることができる。
【0032】拘束焼成法を実施するときは、たとえば次
のようにしておこなう。目的とする磁器組成物のグリー
ンシートとは別に、Alの整粒粉を用い、バイン
ダ、可塑剤、溶剤等は磁器組成物に用いるものと同じと
し、混練してドクターブレード法などにより、グリ−ン
シートに成形する。Alのグリーンシートの厚さ
は、目的とする磁器組成物のグリ−ンシートと同程度か
ら3倍ぐらいまでとすればよいが、とくに限定するもで
はない。このAlのグリーンシートを、目的とす
る磁器組成物のグリーンシート積層物の上下面に置き、
加圧して焼結用積層体を作製する。これをセッターで挟
み込み、積層方向に1MPa程度の圧力を印加し、その状態
で焼成する。
【0033】焼成後、本発明の磁器組成物は焼結される
が、Alのグリーンシートは、焼結されず脱脂さ
れただけの状態になるので、簡単に取り除くことができ
る。得られた焼結体は、要すれば表面を平面研磨機など
で研磨し、平滑面とする。
【0034】
【実施例】95%以上の高純度のSiO、ZnO、Bi
およびLiO(LiCOとして)の粉末原
料を用いて表1の組成の配合とし、以下のようにして磁
器組成物を作製した。
【0035】
【表1】
【0036】所定の組成に配合した原料粉末を、ジルコ
ニア製ボールを用いたボールミルにて、純水を加えて24
時間湿式混合し、乾燥後ライカイ機にて攪拌した後、80
0℃で2時間仮焼した。仮焼後、X線回折により焼結反応
がおこなわれたことを確認し、さらにジルコニア製ボー
ルのボールミルにて純水を加えて24時間粉砕して、乾燥
後のメジアン径で粒径1〜3μmの粉末とした。粉砕粉末
を乾燥させ、10%PVA水溶液のバインダを加えて造粒
し、金型を用いて、100MPaの圧力にて直径15mm、高さ8m
mの円柱状試片に成形した。
【0037】各試料に対して一部の試片を用い、あらか
じめ800〜1000℃の範囲の温度で試験的に焼成して、焼
結による十分な緻密化に必要な温度を見出し、その温度
を焼成温度として、該当試料の被測定試片の焼成をおこ
なった。焼成時間はいずれも2時間である。
【0038】焼成後の焼結磁器組成物試片は、底面を研
磨し平滑にしてから、ハッキ・コールマン法(両端短絡
形誘電体共振器法)により比誘電率εおよび誘電損失
tanδ(またはQ=1/tanδ)を求めた。誘電損失は測
定共振周波数fにより変化するので、周波数に影響さ
れず被測定材で一定の値になるとされるfとQとの積の
fQ値で損失の大小を評価した。これらの結果を合わせ
て表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】Agの拡散およびマイグレーションの評価
については、以下のようにしておこなった。上記の仮焼
後粉砕した乾燥粉末に、アクリル系バインダおよび可塑
剤を添加したキシレン、トルエンおよびブタノールから
なる溶剤を、粉末量に対し約30質量%加え、十分に混合
してスラリーとし、このスラリーによりドクターブレー
ド法を用いて、焼成後の厚さ目標100μmのグリーンシー
トを作製した。グリーンシート上に、内部電極用Agペ
ーストを厚さ20μmとしてスクリーン印刷した後、電極
層数9層に積層し、85℃に予熱して6MPaで加圧圧着後、
切断して、4225サイズのコンデンサ用グリーンシート積
層体とし、焼成をおこなった。
【0041】ただし、十分な焼結に必要な温度が925℃
を超える試料については、Agの拡散が激しく、導体消
失のおそれがあるため、上記の積層体の作製はおこなわ
なかった。
【0042】Ag拡散の有無の調査は、積層方向に垂直
な断面を研磨して内部の導体および電極が観察できるよ
うにし、磁器組成物部分のSEM観察およびEDS分析
をおこなった。マイグレーションについては、上記焼成
後の積層コンデンサの電極端面部にAgペーストを塗布
して700℃で焼き付け、そこへNi/Snのバレルめっ
きをおこなって外部端子とし、130℃、90%RH、DC25V、
9時間のPCT(Pressure Cooker Test)を施した後、絶
縁抵抗を測定した。結果を表2に併記する。
【0043】表2の結果からわかるように、本発明にて
規定する組成範囲を逸脱する試番2、4、6、8および14
は、焼結に要する焼成温度が目標とした925℃を超えて
いる。これらの中で、試番14はfQ値が劣るが、他はい
ずれもεが低くfQ値は良好である。しかし、925℃
を超える焼成温度は、導体消失の危険性が高く、好まし
くない。
【0044】また、同様に本発明にて規定する組成範囲
を逸脱する試番16は、焼成温度が低くてもAgの拡散が
生じており、試番18ではfQ値が目標値を大きく下回る
結果になっている。
【0045】これらに比較し、本発明で規定する組成範
囲では、いずれも920℃以下の焼成温度にて、εは低
くfQ値がすぐれ、Ag拡散およびマイグレーションは
なく、ウィレマイト相を有する磁器組成物が得られてい
る。
【0046】
【発明の効果】本発明の誘電体磁器組成物は、比誘電率
が低く高周波帯域における損失が低く、しかも低い焼成
温度でその特性を得ることができる。したがって、内部
導体や電極として比抵抗の低いAgを使用することがで
き、すぐれた高周波性能と相まって、電子回路の高周波
化、小型化、高密度化のための基板用等の用途に好適で
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物組成比として質量%で、SiO
    29.0〜48.0%、ZnO:45.0〜67.0%、Bi:2.
    0〜7.0%およびLiO:1.0〜7.0%を含有し、他は不
    純物からなることを特徴とする低誘電率磁器組成物。
  2. 【請求項2】各酸化物の粉末原料を配合し湿式混合し
    て、乾燥後700〜900℃にて仮焼後粉砕整粒した後、バイ
    ンダを添加して混練し、シート状に成形後、導電体の印
    刷および積層をおこなってから、800〜925℃にて焼結す
    ることを特徴とする請求項1に記載の低誘電率磁器組成
    物の製造方法。
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