JP2010037603A - 接続端子部およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニッケルめっき被膜と金めっき被膜間で発生する剥離や金めっき被膜のフクレの発生を顕著に防止し、はんだ接合及びワイヤー接合等に優れた無電解金めっき被膜を有する接続端子部を提供する。
【解決手段】接続端子部の基材上に、無電解ニッケル又は無電解ニッケル合金からなるめっき被膜、置換型無電解金めっき被膜、還元型無電解金めっき被膜の順に積層した構造の被膜層を有する接続端子部であって、前記置換型無電解金めっき被膜のピンホールの数が、25μm2当たり3個以下であることを特徴とする接続端子部。
【選択図】図1
【解決手段】接続端子部の基材上に、無電解ニッケル又は無電解ニッケル合金からなるめっき被膜、置換型無電解金めっき被膜、還元型無電解金めっき被膜の順に積層した構造の被膜層を有する接続端子部であって、前記置換型無電解金めっき被膜のピンホールの数が、25μm2当たり3個以下であることを特徴とする接続端子部。
【選択図】図1
Description
本発明は、はんだ接合及びワイヤー接合等の特性に優れた無電解金めっき被膜を有する電気配線基板及びその製造方法に関する。
電子部品の実装分野では、通常、デバイスやパッケージの内・外部接続端子部にめっき処理が施されている。このめっき処理には電気めっき法が用いられているが、めっき処理時には、全てのパターンを導通させる引き回し配線が必要となるため、近年の配線の微細化、複雑化などに伴う高密度化の要求を満足するパターンを用いたデバイスやパッケージの内部、外部接続端子部に対して電気めっき処理を施す場合には、この引き回し配線がパターン設計の著しい阻害点となっている。又、高速化に伴うノイズを発生させる原因とも成り得る。そこで、高密度化の要求を満足するパターンを用いたデバイスやパッケージの内部、外部接続端子部に対するめっき処理方法として、無電解めっき法の適用が検討されてきている(特許文献1参照)。
現在、プリント配線板や電子部品等に無電解金めっき被膜を形成する場合には、回路材である銅中への金めっき被膜の拡散を防止することなどを目的として、銅製の回路材表面に無電解めっき法により下地層としてのニッケルめっき被膜を形成した後、金めっき被膜を無電解めっき法により施すことが一般的となっている。
又、金めっき被膜とニッケルめっき被膜との密着性を確保するために、下地層のニッケルめっき被膜表面に、厚みが0.1μm以下の無電解めっき法による置換型無電解金めっき被膜を設け、その上に還元型無電解金めっき被膜を施すことで、厚付けの金被膜を設けるという二段階の無電解めっきプロセスが提案されている。
例えば、非特許文献1で提案されているように、接続端子部分の銅回路上にニッケルめっき被膜/置換型無電解金めっき被膜/還元型無電解めっき被膜を形成し、半田バンプやボンディングワイヤー等の接続信頼性を向上させている。
特開2000−192248号公報
社団法人プリント回路学会誌「サーキットテクノロジー」(1993年,Vol.8,No.5,368〜372頁)
例えば、非特許文献1で提案されているように、接続端子部分の銅回路上にニッケルめっき被膜/置換型無電解金めっき被膜/還元型無電解めっき被膜を形成し、半田バンプやボンディングワイヤー等の接続信頼性を向上させている。
上記二段階の無電解めっきプロセスを用いて、ニッケルめっき被膜上に無電解金めっき被膜を設けた電気配線基板では、しばしばニッケルめっき被膜と金めっき被膜間の剥離が生じ、はんだ接合及びワイヤー接合等で搭載された部品が脱落してしまうという問題が起こっている。
このような問題の発生原因として、問題を起こす電気配線基板で見られる、ニッケルめっき被膜に局部腐食が発生し、これに対応して置換型無電解金めっき被膜に発生するピンホールの存在が挙げられる。このニッケルめっき被膜の局部腐食は、その上に施す金めっき被膜が置換型無電解金めっき被膜であるため、ニッケルめっき被膜のニッケルと無電解金めっき液中の金イオンとの置換反応(局部腐食)により、その反応部位には、通常、金が析出するが、この反応部位に金が析出しない場合があり、そのような場合にニッケルめっき被膜の局部腐食と金めっき被膜のピンホールとが発生する。
更に、ピンホールの発生した置換型無電解金めっき被膜上に還元型無電解金めっき被膜を設けると、このピンホール内部に還元型無電解金めっき液が染み込み、その染み込んだ還元型無電解金めっき液が下地層のニッケルめっき被膜の腐食を増大させ、更に、このような欠陥がニッケルめっき被膜−金めっき被膜間の密着性を阻害し、金めっき被膜の剥がれやフクレを発生させるものである。
本発明は、このような問題点を改善し、ニッケルめっき被膜と金めっき被膜間で発生する剥離や金めっき被膜のフクレの発生を顕著に防止し、はんだ接合及びワイヤー接合等に優れた無電解金めっき被膜を有する接続端子部の提供を目的とする。
本発明者による種々検討の結果、置換型無電解めっき後のピンホールの数を減少させれば、ニッケルめっき被膜と金めっき被膜間の剥離や金めっき被膜のフクレの発生を顕著に防止した、はんだ接合及びワイヤー接合に優れた無電解金めっき被膜を有する接続端子部を得ることができることを見いだし本発明に至ったものである。
上記目的を達成する本発明の第一の発明は、接続端子部の基材上に、無電解ニッケル又は無電解ニッケル合金からなるめっき被膜、置換型無電解金めっき被膜、還元型無電解金めっき被膜の順に積層した構造の被膜層を有する接続端子部であって、その置換型無電解金めっき被膜のピンホールの数が、25μm2当たり3個以下である接続端子部である。
上記目的を達成する本発明の第一の発明は、接続端子部の基材上に、無電解ニッケル又は無電解ニッケル合金からなるめっき被膜、置換型無電解金めっき被膜、還元型無電解金めっき被膜の順に積層した構造の被膜層を有する接続端子部であって、その置換型無電解金めっき被膜のピンホールの数が、25μm2当たり3個以下である接続端子部である。
本発明の第二の発明は、接続端子部の基材側から、無電解ニッケル又は無電解ニッケル合金からなるめっき被膜、金めっき被膜のピンホールの数が25μm2当たり3個以下である置換型無電解金めっき被膜、還元型無電解金めっき被膜を積層した構造の接続端子部用被膜層である。
本発明の第三の発明は、めっき前処理を施した接続端子部の基材上に、無電解ニッケル又はニッケル合金からなるめっき被膜を設け、そのめっき被膜上にS系化合物及びアミン系化合物を含有する腐食抑制剤を含み、更に金の析出電位と、無電解ニッケル又は無電解ニッケル合金からなるめっき被膜の表面電位との電位差が、0.01〜0.1Vである置換型無電解金めっき液を用いた無電解金めっき法により形成した置換型無電解金めっき被膜を設け、次いで還元型無電解金めっき被膜を積層する接続端子部の製造方法である。
本発明の第四の発明は、本発明に係る接続端子部を備える電子部品である。
本発明によれば、電気配線基板、半導体素子や半導体装置などの電子部品に用いられて、めっき被膜間の密着性や半田バンプ及びボンディングワイヤーとの接続信頼性に優れた接続部を提供するもので、工業上顕著な効果を奏するものである。
本発明において、置換型無電解金めっき被膜のピンホールの数を25μm2当たり3個以下とするのは、この範囲において、無電解ニッケルめっき被膜や無電解ニッケル合金めっき被膜と置換型無電解金めっき被膜との密着性が良好に維持され、以って半田バンプ及びボンディングワイヤーとの接続信頼性に優れた接続部が得られるもので、好ましくは、25μm2当たり皆無とする。
置換型無電解金めっき被膜のピンホールの数を25μm2当たり3個以下とするには、置換型無電解金めっき液に、腐食抑制剤のS系化合物及びアミン系化合物を加えて、液中の金を安定化させたものを用いるとピンホールの発生を抑制できるが、より望ましくは、置換型無電解金めっき液における金の析出電位と下地層である無電解ニッケルめっき被膜又は無電解ニッケル合金被膜の表面電位との電位差が0.01〜0.1Vの範囲にある置換型無電解金めっき液を用いる。
この電位差範囲において、ニッケルと金との置換反応は抑制され、無電解ニッケルめっき被膜或いは無電解ニッケル合金めっき被膜の局部腐食が抑えられ、その結果、金めっき被膜に発生するピンホールの数が25μm2当たり3個以下に抑えられる。
この電位差範囲において、ニッケルと金との置換反応は抑制され、無電解ニッケルめっき被膜或いは無電解ニッケル合金めっき被膜の局部腐食が抑えられ、その結果、金めっき被膜に発生するピンホールの数が25μm2当たり3個以下に抑えられる。
図1に、ピンホールが多く発生する置換型無電解金めっき液と、ピンホールの数が25μm2当たり3個以下となる置換型無電解金めっき液の金析出時における電位変化の比較を示す。尚、無電解ニッケルめっき被膜を下地層として使用している。
図1の結果から判るように、ピンホールが多く発生する置換型無電解金めっき液では、ニッケルめっき被膜の表面電位と金の析出電位との差が0.2Vを大きく超えており、その置換反応が激しいことが判る。一方、ピンホールの数が25μm2当たり3個以下となる置換型無電解金めっき液の場合では、その差は0.1V以下となっている。尚、ピンホールの数は、金めっき被膜のピンホールを判定するのは電子顕微鏡による目視観察では難しいため、簡易的な方法として硝酸浸漬を行った後に金めっき被膜を剥離し、下地ニッケルめっき被膜の腐食数に置き換えて数えている。
図1の結果から判るように、ピンホールが多く発生する置換型無電解金めっき液では、ニッケルめっき被膜の表面電位と金の析出電位との差が0.2Vを大きく超えており、その置換反応が激しいことが判る。一方、ピンホールの数が25μm2当たり3個以下となる置換型無電解金めっき液の場合では、その差は0.1V以下となっている。尚、ピンホールの数は、金めっき被膜のピンホールを判定するのは電子顕微鏡による目視観察では難しいため、簡易的な方法として硝酸浸漬を行った後に金めっき被膜を剥離し、下地ニッケルめっき被膜の腐食数に置き換えて数えている。
図2は、ピンホールが少ない置換型無電解金めっき被膜上に還元型無電解金めっき被膜を施して厚付けした金めっき被膜の表面写真(a)と、金めっき被膜を剥離した時の下地ニッケルめっき被膜の表面写真(b)を示している。
図3は、ピンホールが多い置換型無電解金めっき被膜上に還元型無電解金めっき被膜を施して厚付けした金めっき被膜の表面写真(a)と、金めっき被膜を剥離した場合の下地ニッケルめっき被膜の表面写真(b)を示している。
図3は、ピンホールが多い置換型無電解金めっき被膜上に還元型無電解金めっき被膜を施して厚付けした金めっき被膜の表面写真(a)と、金めっき被膜を剥離した場合の下地ニッケルめっき被膜の表面写真(b)を示している。
図2、図3からも判るように、ピンホールが多い置換型無電解金めっき被膜上に還元型無電解金めっき被膜にて金を厚付けした場合の下地層のニッケルめっき被膜面には多数の局部腐食が見られ、これら局所腐食部分が、めっき被膜間の密着性や半田バンプおよびボンディングワイヤー等との接続信頼性を劣化させている。
以下、実施例を用いて本発明を更に説明する。
(実施例1)
電気及び電子部品搭載用プリント基板をめっき前処理し、厚み5〜6μmの無電解ニッケルめっき被膜を下地層として施し、次いで、(腐食抑制剤として、S系及びアミン系であるチオ尿素と思われる化合物を含む)置換型無電解金めっき液「CF−500S」(日鉱マテリアルズ社製)を用いてAu:1.0g/L、pH:7.5、液温:80℃、時間:10分、膜厚:0.03μmの無電解金めっきを行った。これを10%濃度に希釈した硝酸(液温:室温)に20分浸漬させた後に、置換型無電解金めっき被膜を剥離剤「エンストリップAu78」(メルテックス社製)にて除去したサンプルを走査電子顕微鏡で観察した結果を図4に示す。
図4に示されるように、下地層のニッケルめっき被膜に局部腐食が見られないものが得られている。そこで、このニッケルめっき被膜に局部腐食が見られない置換型無電解金めっき被膜上に還元型無電解金めっき被膜にて金を厚付けしたところ図2のような腐食のない金めっき被膜面が得られた。
(実施例1)
電気及び電子部品搭載用プリント基板をめっき前処理し、厚み5〜6μmの無電解ニッケルめっき被膜を下地層として施し、次いで、(腐食抑制剤として、S系及びアミン系であるチオ尿素と思われる化合物を含む)置換型無電解金めっき液「CF−500S」(日鉱マテリアルズ社製)を用いてAu:1.0g/L、pH:7.5、液温:80℃、時間:10分、膜厚:0.03μmの無電解金めっきを行った。これを10%濃度に希釈した硝酸(液温:室温)に20分浸漬させた後に、置換型無電解金めっき被膜を剥離剤「エンストリップAu78」(メルテックス社製)にて除去したサンプルを走査電子顕微鏡で観察した結果を図4に示す。
図4に示されるように、下地層のニッケルめっき被膜に局部腐食が見られないものが得られている。そこで、このニッケルめっき被膜に局部腐食が見られない置換型無電解金めっき被膜上に還元型無電解金めっき被膜にて金を厚付けしたところ図2のような腐食のない金めっき被膜面が得られた。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、(S系及びアミン系化合物の腐食抑制剤を含まない)置換型無電解金めっき液「ゴブライトTSB−72」(上村工業社製)を用いて、Au:1.2g/L、pH:7.2、液温:80℃、時間:10分、膜厚:0.05μmの無電解金めっきを行った後に、10%濃度に希釈した硝酸(液温:室温)に、20分浸漬させてから置換型無電解金めっき被膜を剥離剤「エンストリップAu78」(メルテックス社製)にて除去した試料を電子顕微鏡で観察した結果を図5に示す。
図5に示すように、下地層のニッケルめっき被膜に、多くの局部腐食1が見られた。そこで、このニッケルめっき被膜に局部腐食が多く見られる置換型無電解金めっき被膜上に還元型無電解金めっき被膜にて金を厚付けしたところ図3(a)の白抜き円で示すピンホールが見られる金めっき被膜面となった。
実施例1と同様の方法で、(S系及びアミン系化合物の腐食抑制剤を含まない)置換型無電解金めっき液「ゴブライトTSB−72」(上村工業社製)を用いて、Au:1.2g/L、pH:7.2、液温:80℃、時間:10分、膜厚:0.05μmの無電解金めっきを行った後に、10%濃度に希釈した硝酸(液温:室温)に、20分浸漬させてから置換型無電解金めっき被膜を剥離剤「エンストリップAu78」(メルテックス社製)にて除去した試料を電子顕微鏡で観察した結果を図5に示す。
図5に示すように、下地層のニッケルめっき被膜に、多くの局部腐食1が見られた。そこで、このニッケルめっき被膜に局部腐食が多く見られる置換型無電解金めっき被膜上に還元型無電解金めっき被膜にて金を厚付けしたところ図3(a)の白抜き円で示すピンホールが見られる金めっき被膜面となった。
1 局部腐食
Claims (5)
- 接続端子部の基材上に、無電解ニッケル又は無電解ニッケル合金からなるめっき被膜、置換型無電解金めっき被膜、還元型無電解金めっき被膜の順に積層した構造の被膜層を有する接続端子部であって、
前記置換型無電解金めっき被膜のピンホールの数が、25μm2当たり3個以下であることを特徴とする接続端子部。 - 接続端子部の基材側から、無電解ニッケル又は無電解ニッケル合金からなるめっき被膜、金めっき被膜のピンホールの数が25μm2当たり3個以下である置換型無電解金めっき被膜、還元型無電解金めっき被膜の積層構造であることを特徴とする接続端子部用被膜層。
- めっき前処理を施した接続端子部の基材上に、無電解ニッケル又はニッケル合金からなるめっき被膜を設け、前記めっき被膜上にS系化合物及びアミン系化合物を含有する腐食抑制剤を含む置換型無電解金めっき液を用いた無電解金めっき法により形成した置換型無電解金めっき被膜を設け、次いで還元型無電解金めっき被膜を積層することを特徴とする接続端子部の製造方法。
- 前記無電解金めっき法に用いた前記置換型無電解金めっき液における金の析出電位と、無電解ニッケル又は無電解ニッケル合金からなるめっき被膜の表面電位との電位差が、0.01〜0.1Vであることを特徴とする請求項3記載の接続端子部の製造方法。
- 請求項1記載の接続端子部を備えることを特徴とする電子部品。
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2008
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