JP2020105543A - 置換金めっき液および置換金めっき方法 - Google Patents

置換金めっき液および置換金めっき方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、析出速度が速く、かつ、析出皮膜の膜厚ばらつきが小さい置換金めっき液および置換金めっき方法を提供することを目的とする。特にENEPIG法において、パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造における下層のニッケル中間層の腐食が少ない置換金めっき液および置換金めっき方法を提供することを目的とする。【解決手段】シアン化金化合物およびタリウム化合物を含むシアン系置換金めっき液において、pHが2.0〜4.4であること、および水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤を含有することを特徴とする。また、pHが2.0〜4.4の水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤を含有するシアン化金化合物およびタリウム化合物を含むシアン系置換金めっき液を用いて、銅、ニッケル、パラジウムのいずれかの中間層上、またはそれらの中間層からなる積層構造上に金表層を形成することを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、シアン化金化合物を用いた置換金めっき液および置換金めっき方法に関する。
電子機器の電子部品に用いられる実装基板の接合部パッドには、通常金めっき層が形成されている。金は、銀、銅の次に高い電気導電率を有し、熱圧着による接合性などの物理的性質に優れると共に、耐酸化性や耐薬品性などの化学的性質にも優れる。そのため、金が高価であるにも関わらず、実装基板の接合部パッドに使用され続けている。このような実装基板のパターンは、電源リードに対する制約があり、また、めっき皮膜の形成が困難である独立したパターンがあることから、無電解金めっき法が多く採用されている。
置換金めっきは、無電解金めっき法の一部として古くから知られており、金イオンの溶液中に金よりもイオン化傾向が卑な金属が存在すると、卑な金属の表面が溶液中に溶け出し、溶液中の金イオンが金金属として析出する原理を利用する技術である。
しかし置換金めっきは、金イオンが下地金属と置換して金金属が析出するという反応機構上、厚付け困難であり、過度に浸漬時間を延長させると膜厚ばらつきが大きくなると共に、下地金属であるニッケル中間層の腐食が拡張するという欠点があった。このため無電解金めっきの処理方法では、置換型と自己触媒型(還元型)の二段処理を行うか、あるいは、液管理が困難ながらも、置換・自己触媒併用型(還元併用型)の一段処理を行う必要があった。
近年、電子機器の高機能化や多機能化が進展し、電子部品に用いられる実装基板の高密度化が進み、接合部パッドの微細化により電源リードの形成が更に困難になり、無電解金めっき法の必要性が更に高まっている。しかしながら置換金めっきは、上述したように、厚付け困難であり、置換型と自己触媒型の二段処理、または置換・自己触媒併用型の一段処理に取って代わられていた。ところが、生産拠点が日本国内からアジアの新興国に移行するのに伴って、ランニングコストの低減が求められ、作業性などについても重視され、置換金めっきプロセスが改めて見直されるようになってきた。
実装基板の接合部パッドに用いられる置換金めっきプロセスには、次の3種類の方法が知られている。すなわち、(1)銅上に直接置換金めっき皮膜を形成する直接置換金(Direct Immersion Gold:DIG)法、(2)下地無電解ニッケルめっき皮膜上に、置換金めっき皮膜を形成する無電解ニッケル/置換金(Electroless Nickel Immersion Gold:ENIG)法、および(3)下地無電解ニッケルめっき皮膜と置換金めっき皮膜の間に無電解パラジウムめっき皮膜を設ける無電解ニッケル/無電解パラジウム/置換金(Electroless Nickel Electroless Palladium Immersion Gold:ENEPIG)法である。
このうちENEPIG法では、ニッケルめっき皮膜は、銅回路が半田に浸食されないためのバリア膜として使用され、パラジウムめっき皮膜は、ニッケルめっき皮膜の金めっき皮膜への拡散防止のためのバリア膜として使用される。そして、電気抵抗が低く、半田濡れ性が良好な金めっき皮膜が最終仕上げに適用される。したがって、ニッケル、パラジウムからなる下地金属のめっき皮膜と金めっき皮膜とによって、半田付けやワイヤーボンディングなどの接合特性の優れた接合部を形成できる利点がある。
例えば、特許文献1(特開2012−46792号公報)には「導電性金属からなる導体層上に、ニッケル層、パラジウム層、金層を順次積層してなる接合部を形成するための置換金めっき液であって、置換金めっき液は、シアン化金塩、錯化剤、銅化合物を含有するものであり、置換金めっき液中の錯化剤と銅化合物とのモル比が錯化剤/銅イオン=1.0〜500の範囲であり、錯化剤と銅化合物とから形成される化合物のpH4〜6における安定度定数が8.5以上であることを特徴とする置換金めっき液」(特許請求の範囲、請求項1)が開示されている。この置換金めっきは、「接合部を形成する部分が大小様々な面積のパッドを有する基板であっても、各パッドに形成した接合部の金層膜厚のバラツキが抑制でき、均一な厚みの金めっきの被膜を実現できる置換金めっき処理技術を提供する」(0009段落)ものである。
このENEPIG法において、置換金めっきの様々な膜厚仕様に適用させるため、金の膜厚を高めることが要求される。しかし、金の析出膜厚を高めようとして処理時間を延長させたり、液温を上昇させたりすると、金の膜厚ばらつきが大きくなるという新たな欠点が露呈した。これは、貴なパラジウム金属の方が上層にあり、卑なニッケル金属の方が下層に存在するため、腐食が不安定になる傾向が生じるためである。さらに、微細な接合部パッドになればなるほど、下層のニッケル中間層の異常腐食が進行して、半田接合やワイヤーボンディング接合を低下させるという深刻な課題へと繋がっていくことがわかった。
特開2012−46792号公報
本発明は、置換金めっきにおける上記の課題に鑑みなされたものであり、析出速度が速く、かつ、実装基板の接合部パッドの面積の差異に伴う膜厚ばらつきが小さい置換金めっき液および置換金めっき方法を提供することを目的とする。特に、従来ENEPIG法において、パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造の上層のパラジウム中間層の腐食よりも下層のニッケル中間層の腐食比率が高いことを改善した、積層構造における下層のニッケル中間層の腐食が少ない置換金めっき液および置換金めっき方法を提供することを目的とする。
シアン系置換金めっき液における局部電池作用は、一般的に金>パラジウム>ニッケルの順で貴な金属であることが知られている。本発明者らが研究したところ、卑な金属である中間めっき層の腐食が溶液中のpHに大きく依存することがわかった。そして、本発明者らは、中性〜アルカリ性の溶液中で安定なシアン化金化合物を酸性側で不安定な化合物とすることによって卑な金属の中間めっき層の腐食を抑制するとともに析出速度を向上させ、かつ、実装基板の接合部パッドの面積の差異に伴う膜厚ばらつきを小さくすることに成功した。
特に、銅または銅合金パッド上の中間めっき層がパラジウム層とニッケル層の積層構造である場合、シアン系置換金めっき液における局部電池作用は、pHが中性領域では金≒パラジウム>ニッケルの傾向にあるが、他方、pHが弱酸性領域では金>パラジウム>ニッケルの傾向になることがわかった。したがって、シアン系置換金めっき液を弱酸性領域とすることにより上層のパラジウム中間層の腐食比率を高くすることができ、それにより、ニッケル中間層の腐食の抑制、析出速度の向上、面積の差異に伴う膜厚ばらつきの低減が可能となる。
本発明の置換金めっき液は、シアン化金化合物およびタリウム化合物を含むシアン系置換金めっき液において、pHが2.0〜4.4であること、および水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤を含有することを特徴とする。
本発明の置換金めっき方法は、シアン化金化合物およびタリウム化合物を含む置換金めっき液であって、pHが2.0〜4.4であり、水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤を含有するシアン系置換金めっき液を用いて、銅、ニッケル、パラジウムのいずれかの中間層上、またはそれらの中間層からなる積層構造上に金表層を形成することを特徴とする。特に、本発明の置換金めっき方法は、上記シアン系置換金めっき液を用いて、銅金属上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、更に無電解パラジウムめっき皮膜を形成した中間層からなる積層構造上に金表層を形成することを特徴とする。
本発明のシアン化金化合物およびタリウム化合物を含むシアン系置換金めっき液または置換金めっき方法において、上記めっき液のpHを2.0〜4.4とし、水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤を含有することとしたのは、シアン化金化合物のシアンイオンと金イオンとの錯体の結合力を弱め、かつ、穏やかな還元作用を有するキレート剤の析出機構によって全面均一な金金属皮膜を析出させるためである。
本発明のシアン系置換金めっき液または置換金めっき方法において、金イオンは、一般的に0.1〜10g/Lを用いることができる。実用的な上限値は5g/Lである。金地金の滞留を避けるためである。金イオン濃度の下限値未満では、置換速度が遅くなり十分な置換めっき層を形成しにくくなる。また、10g/Lの上限値は、高価な金地金が被めっき物に付着して水洗槽へ汲み出される(ドラッグアウト)などの無駄なコストを省くためである。実用的な観点からは、金イオンの濃度の上限値は、5g/Lが好ましく、3g/Lが特に好ましい。また、下限値は、析出皮膜の置換速度を速くするため0.5g/Lが好ましく、0.8g/Lが特に好ましい。
本発明のシアン系置換金めっき液または置換金めっき方法において、タリウム化合物を含有させる。タリウムイオンが存在すると、金イオンが金金属として析出する平衡電位よりも貴な電位領域で下地金属上に析出するというアンダーポテンシャル析出現象が起き、金めっき液の置換反応を促進することが知られているが、本発明に係るpHが2.0〜4.4の領域でも有効に作用する。タリウムイオンは、一般的なシアン系置換金めっき液において用いられるタリウム化合物の濃度範囲である0.1〜100mg/Lで用いることができる。
本発明のシアン系置換金めっき液または置換金めっき方法において、タリウム化合物の実質的な上限値はタリウムイオンとして80mg/Lである。タリウム化合物は、少量で金めっき液の置換反応を促進することができるが、タリウム化合物をタリウムイオンとして5mg/L以上加えても置換反応の促進効果はタリウムイオンの濃度に比例して向上するわけではない。タリウム化合物は、様々な化合物として添加することができるが、硫酸タリウム、酢酸タリウム、硝酸タリウム、ギ酸タリウムなどの水溶性タリウム塩が望ましい。
本発明のシアン系置換金めっき液または置換金めっき方法において、pHの下限値を2.0としたのは、2.0未満ではシアン化金化合物のシアンイオンと金イオンとの錯体の結合力が弱くなりすぎて、置換金めっき液中で金金属が析出してしまい高価な金地金のロスが高くなるためである。また、pHの上限値を4.4としたのは、4.4以上ではシアン化金化合物のシアンイオンと金イオンとの錯体の結合力が強すぎて、金金属が析出しにくくなって、パラジウム金属よりも卑なニッケル金属の腐食が不安定になり、金皮膜の実装基板の接合部パッドの面積の差異での厚さがばらつくためである。好ましい上限値は4.0であり、更に好ましくは3.8であり、最も好ましくは3.6である。また、好ましい下限値は2.2であり、更に好ましくは2.4であり、最も好ましくは2.6である。
本発明のシアン系置換金めっき液または置換金めっき方法において、水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤を金金属の析出作用を穏やかにするために含有させる。水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤の含有量は0.1〜100g/Lである。水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤の所定量を金イオンと共存させることによって、実装基板の接合部パッドの面積の差異の膜厚ばらつきを抑制させることができる。下限値未満では、タリウムイオンを錯形成させることができず膜厚ばらつきが大きくなる。また、上限値を超えると、膜厚ばらつきに対する効果が頭打ちとなる。
水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤としては、DHEG(Dihydroxyethyl Glycine)、HIDA(Hydroxyethyl Imino Diacetic Acid)、HEDTA(Hydroxyethyl Ethylene Diamine Triacetic Acid)、DPTA−OH(1,3−Diamino−2−hydroxypropane Tetraacetic Acid)などが挙げられる。その中で最も有効なものはHEDTAである。
本発明のシアン系置換金めっき液または置換金めっき方法においては、更にpH緩衝剤を添加することができる。pH緩衝剤を添加することにより、置換金めっき作業中のpH2.0〜4.4の範囲をより安定的に保持することができ、pHの範囲を2.0〜4.4の間で安定的に保持することによって、ENEPIG法であってもパラジウム金属の腐食が促進して、結果的に卑なニッケル金属の腐食が抑制できる。
具体的なpH緩衝剤としては、リン酸、グリシン、シアノ酢酸、マロン酸、フタル酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸、およびそれらの塩の少なくとも1種以上が挙げられる。この中では、酢酸、酢酸塩、ギ酸またはギ酸塩が好ましく、最も有効なものは酢酸または酢酸塩である。これらの群から選択される少なくとも1種以上を合計で0.1〜100g/L含むことが好ましい。
本発明のシアン系置換金めっき液または置換金めっき方法においては、腐食抑制剤を更に添加することができる。腐食抑制剤を添加する理由は、pH緩衝剤と同様、置換金めっき作業中の卑な銅金属やニッケル金属の腐食をより抑制するためである。腐食抑制剤としては、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜20000)が好ましい。置換金めっき作業中のpH2.0〜4.4を安定的に保持するからである。また、アミド硫酸またはアミド硫酸塩も同様の効果を発揮することがわかった。これらの化合物を好ましくは1種もしくは2種以上合計で0.1〜100g/L含むことができる。
本発明のシアン系置換金めっき液または置換金めっき方法において、めっき液のpHを調整するには、希硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸、あるいは水酸化アルカリを用いることができる。また液温は、高温になればなるほど金の析出速度は速くなるが、蒸発ロスも激しくなる。一般的には60〜90℃の範囲でめっき作業が行われる。
本発明のシアン系置換金めっき液によれば、これまでよりも金金属の析出速度が速くなり、しかも、実装基板の接合部パッドの面積の差異に伴う膜厚ばらつきが小さい析出皮膜を形成させる効果がある。さらに、本発明はパラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造における下層のニッケル中間層の腐食が少ない置換金めっきの析出皮膜を形成させる効果がある。
また、本発明のシアン系置換金めっき方法によれば、中間層の腐食を抑制するとともに、置換金めっきの析出速度が速い置換金めっき層を形成させる効果がある。さらに、本発明のシアン系置換金めっき方法によれば、実装基板の接合部パッドの面積の差異に伴う膜厚ばらつきを小さくさせる効果がある。特に、本発明のシアン系置換金めっき方法によれば、パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造上に金表層を形成させる場合、下層のニッケル中間層の腐食を低減させる効果がある。
図1は本発明の実施例に係るパラジウムめっき皮膜表面の走査型電子顕微鏡写真である。 図2は従来例に係るパラジウムめっき皮膜表面の走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明に係るシアン系置換金めっき液および置換金めっき方法の実施の形態を更に詳しく説明する。本発明の被めっき物としては、従来の置換金めっき方法と同様に、特に制限はない。すなわち、各種金属材料、またプラスチックやセラミックなどの絶縁基材上に形成された銅などの金属皮膜(電気的に独立した回路を含む)の表面に用いることができる。
本発明の置換金めっきを施す前に、従来の置換金めっき方法の場合と同様に、周知の前処理工程で行うことができる。例えば、基材の脱脂、ソフトエッチング、硫酸活性、パラジウム触媒付与などを行うことができる。また必要に応じて、前処理が施された各種金属材料、またプラスチックやセラミックなどの絶縁基材上に形成された銅などの接合部パッドの表面にニッケルめっき皮膜、パラジウムめっき皮膜などの中間層を成膜することができる。本発明の置換金めっき方法においては、銅、ニッケルまたはパラジウムからなる中間層上に金表層を形成することができる。
本発明に係るシアン系置換金めっきの条件は、従来と大きな違いはない。めっき速度を向上させる観点から、液温はできるだけ高い方が好ましい。好ましくは80℃以上であり、より好ましくは85℃以上である。めっき時間は一般的に5〜30分程度である。また、通常のENEPIG法ではニッケル中間層が0.08〜8μmの膜厚で形成され、パラジウム中間層は0.03〜0.3μmの膜厚で形成される。好ましい置換金めっき皮膜の膜厚は0.03〜0.3μmである。
本発明の置換金めっき液によって金皮膜を形成した後、熱処理を行うことができる。熱処理は、周知の置換金めっき方法の後処理工程で行うことができる。例えば、バッチ式の熱処理炉、開放型のトンネル炉、雰囲気をコントロールできるオートクレーブ炉などを用いることができる。熱処理を施すと、膨れのない置換金めっき皮膜を安定して得ることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、下記実施例に本発明が限定されるものではないのは勿論である。
(実施例1〜15)
テストピースは、ガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂製の実装基板(30mm×20mm×厚さ1mm)を使用して、次のように行った。なお、この実装基板の表面には、独立した銅パッド(0.4mm×0.4mm□,0.8mm×0.8mm□,3.0mm×3.0mm□)と銅回路(100μm幅)で接続された銅パッド(0.4mm×0.4mm□,0.8mm×0.8mm□,3.0mm×3.0mm□)が形成されている。
酸性脱脂(日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース株式会社(以下「EEJA」と略す)製・イートレックス15、45℃、5分)、ソフトエッチング(三菱ガス化学株式会社製・NPE−300、25℃、1分)、硫酸活性(10%硫酸、25℃、1分)、パラジウム触媒付与(EEJA製・レクトロレスAC2、25℃、1分)、無電解ニッケルめっき(EEJA製・レクトロレスNP7600、85℃、27分、Ni5μm)、無電解パラジウムめっき(EEJA製・レクトロレスPd2000S、52℃、10分、Pd0.1μm)を行った。
次に、表1に示す実施例1〜15のシアン系置換金めっき液組成と条件で、この実装基板のパラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造上に置換金めっきを行った。
これらの6種類の銅パッドに形成した実施例1〜15の置換金めっき皮膜の膜厚を蛍光X線膜厚計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製・SFT−9550)で測定した。この測定結果から実施例1〜15の平均膜厚と膜厚ばらつきを算出した。算出した平均膜厚と膜厚ばらつきの結果を表2の実施例1〜15に示す。
なお「液安定性」について、置換金めっき終了後の置換金めっき液を目視で観察して、金沈殿物と容器内壁への金析出がないものを丸印(〇)で、金沈殿物と容器内壁への金析出が観察されたものをバツ印(×)で評価した。
次に、置換金めっきされた実施例1〜15の実装基板を金剥離剤(EEJA製・ゴールドストリッパー・コンセントレイトN、25℃、30秒)を用いて置換金めっき層のみを剥離した。その後、走査型電子顕微鏡(株式会社・日立ハイテクノロジーズ製・S−4700、20kV、×10000)を用いて実施例1〜15の下地金属(パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造)の腐食状況を確認した。
具体例として図1、2を示す。
図1は、実施例2の置換金めっき層のみを剥離して、下地金属の表面を露呈させたものである。パラジウムめっき皮膜に形成した細かな粒界(0.5μm×0.5μm)と下層のニッケルめっき皮膜に形成した略四角形の大きな粒界(5μm×5μm)が観察される。置換金めっきは、液中の金イオンと金よりも卑な下地金属との電位差によって進行するので、これらの粒界模様は下地金属が置換反応によって腐食された痕跡を示すものである。パラジウムめっき皮膜にも、細かな腐食パターンが観察されることから、実施例2の置換金めっき液では、パラジウムめっき皮膜が全面で比較的均一に置換されたことが示唆される。パラジウムめっき皮膜が腐食された分だけ相対的にニッケルめっき皮膜の腐食が少なくなるため、ニッケルめっき皮膜に形成した略四角形の大きな粒界は、これまでの置換金めっき液から得られたものよりも、不明確で薄くなっていた。
図2は、比較例2の置換金めっき層のみを剥離し、下地金属の表面を露呈させたものである。ニッケルめっき皮膜に形成した略四角形の大きな粒界(5μm×5μm)だけが観察される。パラジウムめっき皮膜には、図1のような細かな粒界は観察されず、液中の金イオンとパラジウムめっき皮膜との置換反応が起きていないことが示唆される。このパラジウムめっき皮膜をピンセットで突くと、パラジウムめっき皮膜が割れて下層のニッケルめっき皮膜が露呈した。露呈したニッケルめっき皮膜は、略四角形の大きな粒界が激しく腐食されて、大きな空洞が形成していた。すなわち、比較例2の置換金めっき液では、ニッケルめっき皮膜の一部分、略四角形の大きな粒界だけで置換反応が起きていたことが示唆される。
実施例1〜15の置換金めっき皮膜は、いずれもニッケル中間層がパラジウム中間層よりも優先的に腐食されるという顕著なニッケル優先腐食は観察されなかった。このことを表2中に「Ni腐食性」として丸印(〇)で示す。なお、後述する表4中にニッケル優先腐食が観察されたものをバツ印(×)で示す。
表2から明らかなように、本発明の実施例1〜15のシアン系置換金めっき液によれば、析出速度が速く、かつ、実装基板の接合パッドの面積の差異があっても膜厚ばらつきが小さい析出皮膜を得られたことがわかる。また、本発明の実施例1〜15のシアン系置換金めっき液によれば、パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造における下層のニッケル中間層の腐食が極めて少ない置換金めっきの析出皮膜を形成することができたことがわかる。
(比較例1〜5)
実施例1と同様にして、表3に示す液組成と条件で比較例1〜5の置換金めっきを行った。すなわち、実施例1と同様のテストピースを使用して前処理を行い、パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造を形成した後、表3に示す比較例1〜5のシアン系置換金めっき液組成と条件で置換金めっきを行った。
ここで、比較例1の置換金めっき液は、タリウム化合物を含まないものである。また、比較例2の置換金めっき液は、水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤を含有しないものである。また、比較例3の置換金めっき液は、水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤の代わりに還元剤としてアスコルビン酸を用いたものである。また、比較例4の置換金めっき液は、pHが下限値の2.0を下回っている。また、比較例5の置換金めっき液は、pHが上限値の4.4を上回っている。
その後、実施例1と同様にして、比較例1〜5の置換金めっきの平均膜厚と膜厚ばらつきを算出した。その結果を表4に示す。併せて、「液安定性」および「Ni腐食性」を測定し、その結果、良好なものを丸印(〇)、不良なものをバツ印(×)で示す。
表4から明らかなように、比較例1〜5のシアン系置換金めっき液では、めっき液が安定しないこと、析出速度が遅いこと、実装基板の接合パッドの面積の差異があると膜厚ばらつきが大きいこと、あるいは、パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造における下層のニッケル中間層の腐食が大きいことがわかる。すなわち、タリウム化合物を含まない比較例1の置換金めっきでは、浸漬時間を60分としても平均膜厚が0.06μmと非常に薄い。しかも、膜厚ばらつきが22.6と大きく、極端に薄い膜が存在するので、実装基板・接合部パッドには不適である。
また、水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤を含有しない比較例2の置換金めっき液は、めっき終了後の容器壁面に金金属が析出し、容器が変色していた。また、パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造における下層のニッケル中間層の腐食が激しく、独立した銅パッド上のパラジウム中間層が一部剥離していた。
また、アスコルビン酸を含有した比較例3の置換金めっき液は、著しく液安定性が悪くなっていた。
また、pHが下限値を下回る比較例4の置換金めっき液も液安定性が悪くなっている。さらに、ポリエチレングルコール無添加のため下層のニッケル中間層の腐食が拡張していた。
また、pHが上限値を超える比較例5の置換金めっき液は、膜厚ばらつきが極めて大きくなった。また、パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造における下層のニッケル中間層の腐食が激しく、独立した銅パッド上のパラジウム中間層が一部剥離していた。
以上の実施例および比較例から明らかなとおり、本発明のシアン系置換金めっき液を使用すると、めっき終了後の金沈殿物と容器内壁への金析出がなく、めっき液が安定している。また、金金属の析出速度が速く、ENEPIG法などにおける実装基板の接合部パッドの面積の差異の膜厚ばらつきを小さくすることができる。特に、本発明のシアン系置換金めっき方法によれば、下層のニッケル中間層を激しく腐食させることなく、パラジウム中間層/ニッケル中間層の積層構造上に金表層を形成することができる。
本発明の製造方法により製造されたシアン系置換金めっき液は、金属、プラスチック、セラミックなどの被めっき物にスポットめっきや全面めっきなどの置換金めっきを行うことができる。その結果、電極、電気・電子部材、半導体部材などの用途に利用することができる。

Claims (8)

  1. シアン化金化合物およびタリウム化合物を含むシアン系置換金めっき液において、pHが2.0〜4.4であること、および水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤を含有することを特徴とする置換金めっき液。
  2. 前記のタリウム化合物がタリウムイオンとして0.1〜100mg/L、並びに、水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤が0.1〜100g/Lであることを特徴とする請求項1に記載の置換金めっき液。
  3. 前記の水酸基を有するアミノカルボン酸系キレート剤が、HEDTAであることを特徴とする請求項1または2に記載の置換金めっき液。
  4. 前記のpHが2.2〜4.0であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の置換金めっき液。
  5. 腐食抑制剤として、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜20000)、アミド硫酸またはアミド硫酸塩の少なくとも1種以上を更に含み、その濃度がそれぞれ0.1〜100g/Lであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の置換金めっき液。
  6. pH緩衝剤として、リン酸、グリシン、シアノ酢酸、マロン酸、フタル酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸、およびそれらの塩の少なくとも1種以上を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の置換金めっき液。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の置換金めっき液を用いて、銅、ニッケル、パラジウムのいずれかの中間層上、またはそれらの中間層からなる積層構造上に金表層を形成することを特徴とする置換金めっき方法。
  8. 前記積層構造は、銅金属上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成し、更に無電解パラジウムめっき皮膜を形成した中間層の積層構造であることを特徴とする請求項7に記載の置換金めっき方法。

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