JP2010018728A - インク組成物、インクジェット記録方法、及び印刷物 - Google Patents

インク組成物、インクジェット記録方法、及び印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】活性放射線の照射に対して感度が高く、硬化性に優れ、吐出安定性にも優れると共に、耐ブロッキング性に優れた画像を形成しうるインクジェット用インク組成物を提供すること。
【解決手段】(A)フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、及び長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造、並びにラジカル重合性基を側鎖に有するポリマーと、(B)下記一般式(i)で表される増感色素と、(C)前記(A)のポリマーとは異なるラジカル重合性化合物と、(D)ラジカル重合開始剤と、を含有するインクジェット用インク組成物(一般式(i)中、Xは、O、S、又はNRを表し、Rは、水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは、0、又は1を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を示す。)。
Figure 2010018728

【選択図】なし

Description

本発明は、主としてインクジェット記録に好適なインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び、該インクジェット記録方法により得られた印刷物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型及び溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。例えば、インクジェット方式は、安価な装置で実施可能であり、且つ、必要とされる画像部のみにインクを射出して被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェット方式によれば、普通紙のみならずプラスチックシート、金属板など非吸水性の被記録媒体にも印字可能であるが、印字する際の高速化及び高画質化が重要な課題となっており、印字後の液滴の乾燥、硬化に要する時間が、印刷物の生産性や印字画像の鮮鋭度に大きく影響する性質を有している。
インクジェット方式の一つとして、放射線の照射により、硬化可能なインクジェット用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、インク射出後直ちに又は一定の時間後に放射線照射し、インク液滴を硬化させることで、印字の生産性が向上し、鮮鋭な画像を形成することができる。
紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット用インクの高感度化を達成することにより、放射線に対し高い硬化性が付与され、インクジェット記録の生産性向上、消費電力低減、放射線発生器への負荷軽減による高寿命化、不充分硬化に基づく低分子物質の揮発発生の防止など、多くの利益が生じる。また、高感度化は、特に形成された画像の強度を向上させる点で重要である。
このような放射線、例えば、紫外線による硬化型インクジェット方式は、比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い被記録媒体への記録ができる点で、近年注目されつつあり、ラジカル重合を利用した紫外線硬化型インク組成物が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献5参照。)。
また、硬化感度が高く、良好な画質の画像を与えるインク組成物として、フッ素基含有ポリマー、長鎖アルキル基含有ポリマー、及び脂環基含有ポリマーからなる群より選択される少なくとも一つの疎水性ポリマーを含むインク組成物が知られている(例えば、特許文献6参照。)。
しかしながら、これらのインク組成物では、形成された画像のベトツキや、低分子量成分が画像表面より滲出する現象(所謂、なき出し)などが生じ、耐ブッロキング性が不十分であるといった問題を有していた。また、なき出しを抑えるために、多官能のモノマーを多く用いると、粘度が高くなり吐出性に懸念が出る、また、形成される硬化膜が脆くなるなどの問題が生じる。
一方、紫外線硬化型インク組成物においては、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ミヒラーケトン、アントラキノン、アクリジン、フェナジン、ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン等が光重合開始剤として一般的に用いられてきた(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、これらの光重合開始剤を用いた場合、組成物の硬化の感応度が低いため、画像形成における像露光に長時間を要した。このため細密な画像を形成する場合には、操作にわずかな振動があると良好な画質の画像が再現されず、更に露光の光源のエネルギー放射量を増大しなければならないために、それに伴う多大な発熱の放射を考慮する必要があった。
一般に、放射線硬化型の組成物において、放射線に対する感度を高める方法として、種々の重合開始系を使用することが開示されている(非特許文献1、特許文献7〜特許文献9)。しかし、走査露光に十分な感度を満たした重合開始系をインクにおいて採用した例はない。
以上のことから、放射線に対して高感度で硬化し、且つ、耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができるインク組成物が切望されている。
特開昭63−235382号公報 特開平3−216379号公報 特開平5−214280号公報 特公平6−21256号公報 特公平6−62905号公報 特開2006−182970号公報 ブルース M.モンロー(Bruce M.Monroe)ら著,ケミカル レビュー(Chemical Reviews),第93巻,(1993年),p.435−448. 米国特許第4134813号明細書 特開平1−253731号公報 特開平6−308727号公報
本発明の目的は、活性放射線の照射に対して感度が高く、硬化性に優れ、吐出安定性にも優れると共に、耐ブロッキング性に優れた画像を形成しうるインクジェット用インク組成物、該インクジェット用インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び該インクジェット記録方法から得られた印刷物を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定のラジカル重合性ポリマーと特定の増感色素とを併用することにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明のインク組成物を完成するに至った。
即ち、本発明のインクジェット用インク組成物は、(A)フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、及び長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造、並びにラジカル重合性基を側鎖に有するポリマーと、(B)下記一般式(i)で表される増感色素と、(C)前記(A)のポリマーとは異なるラジカル重合性化合物と、(D)ラジカル重合開始剤と、を含有することを特徴とする。
Figure 2010018728
上記一般式(i)中、Xは、O、S、又はNRを表し、Rは、水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは、0、又は1を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を示す。R、R、R、及びRは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。R又はRと、R又はRと、が互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
本発明のインクジェット用インク組成物において、(E)着色剤を更に含有することが好ましい態様の1つである。
また、本発明においては、(A)のポリマーが、主鎖構造がラジカル連鎖重合により合成されるポリマーであることが好ましい態様の1つであり、また、(A)のポリマーが、主鎖構造にウレタン構造、又はウレア構造を繰り返し単位として含むポリマーであることも好ましい態様の1つである。
本発明のインクジェット記録方法は、(1)被記録媒体上に、本発明のインク組成物を吐出する工程、及び、(2)吐出されたインク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。
本発明の印刷物は、本発明のインクジェット記録方法によって記録されたものである。
本発明のインクジェット用インク組成物の作用については、以下のように推測される。
本発明においては、少ない添加量で効率よく硬化する増感色素と、低分子成分の泣き出しを抑制する(A)のポリマーと、を併用することによって、露光後、非硬化成分の泣き出しが極めて少なく、表面の架橋密度が十分に高い硬化物が得られる。その結果、高感度で、硬化性に優れ、また、柔軟性に優れる硬化物を形成しうるインクジェット用インク組成物となる。更に、増感色素の溶解性が良好であるため、ノズル詰まりを起こし難く、また、(A)のポリマーの添加により、吐出に必要なノズルプレートに対する濡れ性をも改善することができるため、本発明のインクジェット用インク組成物は安定した吐出性を実現することができると考えられる。
本発明によれば、活性放射線の照射に対して感度が高く、硬化性に優れ、吐出安定性にも優れると共に、耐ブロッキング性に優れた画像を形成しうるインクジェット用インク組成物、該インクジェット用インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び該インクジェット記録方法から得られた印刷物を提供することができる。
〔インクジェット用インク組成物〕
本発明のインクジェット用インク組成物は、(A)フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、及び長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造、並びにラジカル重合性基を側鎖に有するポリマーと、(B)一般式(i)で表される増感色素と、(C)前記(A)のポリマーとは異なるラジカル重合性化合物と、(D)ラジカル重合開始剤と、を含有することを特徴とする。
以下、本発明のインクジェット用インク組成物(以下、単に「インク組成物」と称する場合がある。)を構成する必須の成分について説明する。
<(A)フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、及び長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造と、ラジカル重合性基と、を側鎖に有するポリマー>
本発明のインク組成物は、(A)フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、及び長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造と、ラジカル重合性基と、を側鎖に有するポリマー(以下、適宜「表面偏析ポリマー」と称する。)を含有することを特徴とする。
本発明における表面偏析ポリマーは、1)フッ素置換炭化水素基、2)シロキサン骨格、及び3)長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造を側鎖に含むポリマーである。
以下、1)〜3)の部分構造について説明する。
[1)フッ素置換炭化水素基]
本発明における表面偏析ポリマー中のフッ素置換炭化水素基とは、少なくとも1つのフッ素原子により置換された炭化水素基であればよく、例えば、アルキル基やアルキレン基における少なくとも一つの水素原子をフッ素原子に置換したフルオロアルキル基、フルオロアルキレン基が挙げられ、アルキル基、アルキレン基のすべての水素をフッ素に置換したパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基がより好ましく、パーフルオロアルキル基が更に好ましい。
アルキル基としては、炭素数3〜12が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜8が更に好ましい。
アルキレン基としては、炭素数2〜12が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜8が更に好ましい。
本発明におけるフッ素置換炭化水素基の具体的な態様について説明する。
表面偏析ポリマーが有する好ましいフッ素置換炭化水素基として、下記(A)又は(B)に示されるものが挙げられる。
(A)テロメリゼーション法又はオリゴメリゼーション法により製造されたフルオロ脂肪族化合物から誘導される置換基(以下、適宜、「フルオロ脂肪族基」と称する。)
(B)下記(一般式I)で表される置換基
Figure 2010018728
上記(一般式I)中、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を、Xは共有結合又は2価の連結基(有機基)を、mは0以上の整数を、nは1以上の整数を表す。
なお、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素上の官能基(即ち、隣り合う炭素にそれぞれ結合しているR同士やR同士)は結合して脂肪族環を形成してもよい。
この(一般式I)で表される置換基は、*の部分でポリマー主鎖に連結される。
(A)テロメリゼーション法又はオリゴメリゼーション法により製造されたフルオロ脂肪族化合物から誘導される置換基
本発明におけるフッ素置換炭化水素基は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれる置換基(フルオロ脂肪族基)であることが好ましい。
このようなフルオロ脂肪族基の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath, American Chemical Society 1995)の747〜752ページに記載されている。
テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である。
具体例として、下記合成例1を示す。
Figure 2010018728
得られた、末端ヨウ素化テロマーは、通常、例えば、下記合成例2のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、更に所望のモノマー構造へと変換され、本発明における表面偏析ポリマーのような側鎖にフルオロ脂肪族基を有するポリマーの製造に使用される。
Figure 2010018728
本発明において、上記テロマー法によって合成されるフルオロ脂肪族化合物としては、下記一般式[TM−1]で表されるフルオロ脂肪族化合物が好ましい。
このようなフルオロ脂肪族化合物をそのままの状態で、又は、所望のモノマー構造へと変換されたものを用いることで、本発明における表面偏析ポリマーにフッ素置換炭化水素基に導入することができる。
Figure 2010018728
上記一般式[TM−1]中、Tは下記(T群)から選択される1種の基、Zは下記(Z群)から選択される1種の基、nは0から20の整数を表す。
この一般式[TM−1]で表されるフルオロ脂肪族化合物は、Z中に二重結合などの重合性基を有する場合、本発明における表面偏析ポリマーを合成する際の共重合成分として用いることができる。
Figure 2010018728
Figure 2010018728
なお、上記一般式[TM−1]中、Zで表される基が、下記(Z’群)から選択される1種の基である場合、分子末端にアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する構造となる。このため、ビニル重合により簡便に、一般式[TM−1]で表されるフルオロ脂肪族化合物から、本発明における表面偏析ポリマーが得られるため、特に好ましい。
Figure 2010018728
本発明における表面偏析ポリマーを合成する際に好適に用いられる、前記テロマー法により製造された化合物の具体例(前記一般式[TM−1]で表されるフルオロ脂肪族化合物を主成分とする市販品)としては、例えば、ダイキン化成品販売株式会社で販売されている、フッ素系化学製品A−1110,A−1210,A−1310,A−1420,A−1620,A−1820,A−2020,A−1260,A−1460,A−1660,A−1860,A−1435,A−1635,A−1835,A−1473,A−1637,A−1837,A−1514,A−3420,A−3620,A−3820,A−4020,A−3260,A−3460,A−3660,A−3860,A−3637,A−3837,A−5210,A−5410,A−5610,A−5810,A−7110,A−7210,A−7310,A−9211,C−1100,C−1200,C−1300,C−1400,C−1500,C−1600,C−1700,C−1800,C−1900,C−2000,C−5200,C−5400,C−5600,C−5800,C−5208,C−5408,C−5608,C−6008,C−8200,C−8300,C−8500,C−9211,C−8208,C−8308,C−8508,C−9216,E−1430,E−1630,E−1830,E−2030,E−3430,E−3630,E−3830,E−4030,E−5244,E−5444,E−5644,E−5844,F−1420,F−1620,F−1820,F−2020、I−1200、I−1300,I−1400,I−1600,I−1700,I−1800,I−2000,I−1420,I−1620,I−1820,I−2020,I−3200,I−3400,I−3600,I−3800,I−4000,I−3620,I−3820,I−4020,I−5200,I−5400,I−5600,I−8208,I−8207,I−8407,I−8607,M−1110,M−1210,M−1420,M−1620,M−1820,M−2020,M−3420,M−3620,M−3820,M−4020,M−3433,M−3633,M−3833,M−4033,M−5210,M−5410,M−5610,M−5810,M−6010,M−7210,M−7310,R−1110,R−1210,R−1420,R−1620,R−1820,R−2020,R−1433,R−1633,R−1833,R−3420,R−3620,R−3820,R−4020,R−3433,R−5210,R−5410,R−5610,R−5810,6010,R−7210,R−7310,U−1310,U−1710や、また、日本メクトロン株式会社にて製造される、CHEMINOX FA、FA−M,FAAC、FAAC−M,FAMAC、FAMAC−M等が挙げられる。
前記テロマー法により製造されたフルオロ脂肪族化合物は、当業者間で公知の方法により、本発明における表面偏析ポリマーのような、側鎖にフルオロ脂肪族基を有するポリマーを容易に合成することができる。
本発明においては、オリゴメリゼーション法(オリゴマー法)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から誘導される置換基も好ましい。
オリゴメリゼーション法とは、テトラフルオロエチレンをフッ化カリウムやフッ化セシウムなどを触媒として、ジグライム等の極性溶媒中でカチオン重合してオリゴマーを製造する方法である。具体例として、下記合成例3を示す。
オリゴマー法によって得られるフルオロ脂肪族化合物は、前述のテロマー法による化合物と同様、カチオン重合により得られるオリゴマー中の重合性基(不飽和結合)等を利用し、必要に応じて、適切な化学修飾を経て、該フルオロ脂肪族化合物から誘導される置換基(フッ素含有炭化水素基)を側鎖に有するポリマーを合成することができる。
Figure 2010018728
(B)(一般式I)で表される置換基
本発明における表面偏析ポリマーは、インク表面への偏在性の観点から、下記(一般式I)で表される置換基を有することが好ましい。
Figure 2010018728
上記(一般式I)中、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を、*はポリマー鎖への連結部位を、Xは共有結合又は2価の連結基を、mは0以上の整数を、nは1以上の整数を表す。
なお、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素上の官能基(即ち、隣り合う炭素にそれぞれ結合しているR同士やR同士)は結合して脂肪族環を形成してもよい。
なお、上記(一般式I)で表される置換基の中でも、(一般式I)における「n」が1〜10であるものが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2、又は3であることが特に好ましい。
すなわち、本発明における表面偏析ポリマーとしては、ポリマー主鎖に結合する側鎖部分の構造が、下記(一般式IB)で表される構造であり、特に、n=2、3であることが、極めて良好な性能を発現するため、好ましい。
Figure 2010018728

上記(一般式IB)中、R、R、X、m、及びnは、いずれも(一般式I)におけるR、R、X、m、及びnと同義である。
(一般式I)及び(一般式IB)においてR及びRで表される炭素数1〜4個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、好ましくは、水素原子、又はメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
(一般式I)及び(一般式IB)において、Xが共有結合である場合は、ポリマー主鎖と、R及びRが結合している炭素原子と、が直接連結していることを意味する。
また、Xが2価の連結基である場合には、その連結基としては、−O−、−S−、−N(R)−、−CO−等が挙げられる。これらの中でも−O−がより好ましい。
ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、好ましくは、水素原子、メチル基である。
(一般式I)及び(一般式IB)において、mは0以上の整数を表し、2〜8の整数が好ましく、2が特に好ましい。また、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素上の官能基(即ち、隣り合う炭素にそれぞれ結合しているR同士やR同士)は結合して脂肪族環を形成してもよい。
(一般式I)及び(一般式IB)において、nは1以上の整数を表し、1〜10の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましく、2、又は3であることが特に好ましい。
(一般式I)において、*はポリマー主鎖との連結部位を表すが、当該ポリマー主鎖の具体的な形態としては、以下のような例が挙げられる。
例えば、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、スチリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド縮合樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、無水マレイン酸/α−オレフィン樹脂、α−ヘテロ置換メタクリル樹脂などを用いることができる。その中でも、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、スチリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が有用であり、特にアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が有用である。
本発明における1)フッ素置換炭化水素基を有する表面偏析ポリマーは、例えば、前述の(A)フルオロ脂肪族基を有するモノマーや、(B)前記(一般式I)で表される置換基を有するモノマー(即ち、フッ素置換炭化水素基を有するモノマー)を適宜選択して用い、縮重合又は付加重合、開環重合等の、当業者にとって公知の方法で容易に得ることができる。また、更に必要に応じてこれらのモノマーを混合してもよい。
(フッ素置換炭化水素基を有するモノマー)
本発明では、上述のように、フッ素置換炭化水素基を有するモノマー(以下、フッ素置換炭化水素基含有モノマーと称する。)を用いることで、表面偏析ポリマーを得ることが好ましい。
このフッ素置換炭化水素基含有モノマーとしては、下記(一般式II)で表されるモノマーが好ましいものとして挙げられる。
Figure 2010018728
(一般式II)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基、又は置換基を有してもよいエチル基を表す。また、R、R、X、m、及びnはいずれも、(一般式I)におけるR、R、X、m、及びnと同義であり、好ましい例も同様である。
なお、(一般式II)においてRで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
以下、本発明に用いられる前記(一般式II)で表されるモノマーの具体例を示す。
Figure 2010018728
Figure 2010018728
Figure 2010018728
Figure 2010018728
本発明における表面偏析ポリマーの合成に用いるモノマーとしては、上記(一般式II)で表されるモノマーの中でも、(一般式II)における「n」が1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2、又は3であることが特に好ましい。
[2)シロキサン骨格]
本発明における表面偏析ポリマーに含まれるシロキサン骨格とは、「−Si−O−Si−」を有していれば、特に制限はない。
本発明において、シロキサン骨格を有する表面偏析ポリマーとしては、インク組成物の吐出安定性を上げ、インク組成物を塗膜としたときの表面偏析性を高くする観点から、下記構造式(A)で表される化合物(以下、「特定シロキサン化合物」ともいう)を重合してなるポリマーであることが好ましい。
構造式(A)中、Rはシロキサン結合のSi原子とX又はYとの連結基である。
Figure 2010018728
前記構造式(A)中、Rは、水酸基、アミン基、ハロゲン原子などの置換基を有してよい炭素数が2〜6の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、又は、下記構造式(B)で表される2価の連結基を示す。
Figure 2010018728
上記構造式(B)中、Rは、水素原子、又はメチル基を表し、nは、1〜50の整数を表わす。ここで、Rは構造式(B)中に2つ以上存在するが、それぞれ異なっていてもよく、また、同じであってもよい。
前記構造式(A)中、x、x、及びxは、これらの合計が1〜100を満たす整数である。
また、yは、1〜30の整数である。
前記構造式(A)中、Xは単結合、又は下記構造式(C)で表わされる2価の基である。
Figure 2010018728
前記構造式(C)中、Rは、水酸基、アミン基、ハロゲン原子などの置換基を有してよい炭素数が1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキレン基を表し、Z、及びZは、酸素原子、硫黄原子、又は−NR−を表わし、Z、Zは、それぞれ異なっていてもよく、また、同じであってもよい。Rは、水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
前記構造式(C)中、Zは、前記構造式(A)におけるRに結合する。
前記構造式(A)中、Yは、下記構造式(D)〜下記構造式(F)で表される1価の基を表す。
Figure 2010018728
前記構造式(D)〜(F)中、Rは、水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状或いは分枝鎖状のアルキル基を表わす。
は、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Rは、炭素数1〜6の直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基を表す。
前記構造式(A)中、Zは下記構造式(G)で表される1価の基を表す。
Figure 2010018728
上記構造式(G)中、Rは炭素数1〜4の無置換のアルキル基を表し、yは1〜100の整数を表し、好ましくは1〜50の整数、より好ましくは1〜20の整数である。
[3)長鎖アルキル基]
本発明における表面偏析ポリマーに含まれる3)長鎖アルキル基とは、下記一般式(1)で表される構造単位において−C2n+1で示される換基を指す。この長鎖アルキル基は、下記一般式(1)で表される構造単位のように、ポリマー主鎖を構成するYに連結した状態でポリマーに導入されることが好ましい。
Figure 2010018728
上記一般式(1)中、nは6〜40の整数を表し、10〜30の整数が好ましく、中でも、12〜20の整数である場合、表面偏析性の観点で特に好ましい。
Yは、ポリマー主鎖を構成し、且つ、長鎖アルキル基と連結する3価の連結基を表す。
このような一般式(1)で表される構造単位として好ましいものを、下記一般式(1−2)に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010018728
上記一般式(1−2)中、nは6〜40の整数を表す。Wは2価の連結基を表し、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基を表す。
一般式(1−2)で表される構造単位は、長鎖アルキル基を複数有していてもよく、その場合、Z、又はZの位置に連結基Wを介して長鎖アルキル基が結合する態様や、連結基Wが分岐構造を有し、その先端に別の長鎖アルキル基が連結している態様をとることができる。
一般式(1−2)におけるWとしては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐、鎖状又は環状のアルキレン基、炭素数2〜20の直鎖又は分岐、鎖状又は環状のアルケニレン基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)基、−OC(=O)−、−OC(=O)Ar−、−OC(=O)O−、−OC(=O)OAr−、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−SONR−、−SONAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシを含む)、−OAr−アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−C(=O)Ar−、−C(=O)−、−SOO−、−SOOAr−、−OSO−、−OSOAr−、−NRSO−、−NArSO−、−NRC(=O)−、−NArC(=O)−、−NRC(=O)O−、−NArC(=O)O−、−OC(=O)NR−、−OC(=O)NAr−、−NAr−、−NR−、−NRR’−、−NRAr−、−NArAr’−、−S−、−SAr−、−ArS−、ヘテロ環基(ヘテロ原子としては、例えば、窒素、酸素及びイオウ等を少なくとも1個以上含み、3員ないし12員環の単環、縮合環)、−OC(=S)−、−OC(=S)Ar−、−C(=S)O−、−C(=S)OAr−、−C(=S)OAr−、−C(=O)S−、−C(=O)SAr−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)NR−、−ArC(=O)NAr−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)S−、−ArC(=S)O−、−ArO−、−ArNR−等が挙げられる。
なお、上記R、R’は、それぞれ独立に、水素原子、直鎖又は分岐のアルキル基、鎖状又は環状のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、鎖状又は環状のアルケニル基、直鎖又は分岐のアルキニル基、鎖状又は環状のアルキニル基を表し、Ar、Ar’は、それぞれ独立に、アリール基を表す。
このような連結基の中でも、Wとしては、炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)基、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシを含む)、−OAr−(アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−C(=O)−、−C(=O)Ar−、−S−、−SAr−、−ArS−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArO−、−ArNR−等が好ましく、炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)基、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシを含む)、−OAr−(アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−SAr−、−ArS−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArO−、−ArNR−等がより好ましい。
また、本発明において、上記Wで表される連結基としては、ここで挙げた連結基を2種類以上組み合わせたものであってもよい。
一般式(1−2)中、Z、Z、及びZとしては、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖又は分岐、鎖状又は環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘプタフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル等)、炭素数2〜20の直鎖又は分岐、鎖状又は環状のアルケニル基(例えばビニル、1−メチルビニル、シクロヘキセン−1−イル等)、炭素数2〜20のアルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル等)、炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリル等)、炭素数1〜20のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、テトラデカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、2−メトキシエトキシカルボニルオキシ基等)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基等)、炭素数1〜20のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ等)、炭素数1〜20のカルボンアミド基(例えば、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、ベンツアミド等)、炭素数1〜20のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ドデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド等)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メシルカルバモイル等)、炭素数0〜20のスルファモイル基(例えば、N−ブチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)スルファモイル等)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、オクチルオキシ、t−オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシ、ポリアルキレンオキシ等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、4−メトキシフェノキシ、ナフトキシ等)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル等)、
炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等)、炭素数1〜20のN−アシルスルファモイル基(例えば、N−テトラデカノイルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル等)、炭素数1〜20のN−スルファモイルカルバモイル基(例えば、N−メタンスルホニルカルバモイル基等)、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクチルスルホニル、2−メトキシエチルスルホニル、2−ヘキシルデシルスルホニル等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、4−フェニルスルホニルフェニルスルホニル等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ等)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、ナフトキシカルボニルアミノ等)、炭素数0〜20のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、アニリノ、モルホリノ等)、炭素数3〜20のアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ基、ジメチルベンジルアンモニオ基等)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル、オクタンスルフィニル等)、炭素数6〜20のアリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル、4−クロロフェニルスルフィニル、p−トルエンスルフィニル等)、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ等)、炭素数6〜20のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、炭素数1〜20のウレイド基(例えば、3−メチルウレイド、3,3−ジメチルウレイド、1,3−ジフェニルウレイド等)、炭素数2〜20のヘテロ環基(ヘテロ原子としては例えば、窒素、酸素及びイオウ等を少なくとも1個以上含み、3ないし12員環の単環、縮合環で、例えば、2−フリル、2−ピラニル、2−ピリジル、2−チエニル、2−イミダゾリル、モルホリノ、2−キノリル、2−ベンツイミダゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル等)、炭素数1〜20のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル等)、炭素数0〜20のスルファモイルアミノ基(例えば、N−ブチルスルファモイルアミノ、N−フェニルスルファモイルアミノ等)、炭素数3〜50のシリル基(例えば、トリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、トリフェニルシリル等)、アゾ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)が挙げられる。
また、上記Z〜Zが、水素原子、ハロゲン原子などのように更に置換基を有することができないもの以外の場合、これらは更に置換基を有していてもよく、その置換基の例としては上記具体例として挙げた如き置換基が挙げられる。
上記Z〜Zとしては、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖又は分岐、鎖状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のカルボンアミド基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数0〜20のアミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、炭素数1〜20の直鎖又は分岐、鎖状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数0〜20のアミノ基、シアノ基、ハロゲン原子がより好ましい。
上記一般式(1−2)で表される構造単位は、インク表面への偏析性の観点から、更に下記一般式(1−3)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2010018728
上記一般式(1−3)中、nは、6〜40の整数を表し、Rは、水素原子、又はメチル基を表す。
Wは、前記一般式(1−2)におけるWと同義である。
以下に、一般式(1−3)で表される構造単位において、Wで表される2価の置換基として、インク表面への偏析性の観点から特に好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010018728
は前記一般式(1−2)におけるZと同義である。
以下に、一般式(1−3)で表される構造単位において、Zとして、インク組成物中の安定溶解性の観点から特に好ましい具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010018728
ここで、本発明における表面偏析ポリマーを構成する長鎖アルキル基を有する構造単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010018728
Figure 2010018728
本発明における、1)フッ素置換炭化水素基、2)シロキサン骨格、及び3)長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造の表面偏析ポリマー中の含有量は、それぞれ3質量%〜60質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜50質量%であり、更に好ましくは5質量%〜40質量%である。
上記範囲とすることで、表面偏析ポリマーをインク組成物内にて効率的に表面偏析させることができる。
また、1)フッ素置換炭化水素基、2)シロキサン骨格、及び3)長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造を2以上含有する場合の特定部位の総含有量は、表面偏析ポリマーに対して、3質量%〜60質量%であり、より好ましくは3質量%〜50質量%であり、更に好ましくは5質量%〜40質量%である。
本発明におけるインク組成物の全固形分における、1)フッ素置換炭化水素基、2)シロキサン骨格、及び3)長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造の含有量は、0.1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜15質量%であり、更に好ましくは1質量%〜10質量%である。上記範囲とすることで、表面硬化性及びブロッキング抑制に優れ、かつ、吐出可能な表面張力(22mN/m〜28mN/m)と適度な粘度が得られる。
[ラジカル重合性基]
本発明における表面偏析ポリマーはラジカル重合性基を側鎖に有する。
表面偏析ポリマーがラジカル重合性基を含有することで、インク組成物の硬化性が向上し、表面べたつきが抑制され、ブロッキング性が改善する。
ラジカル重合性基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基が挙げられる。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基の例としては、アクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基等の不飽和カルボン酸エステル基、及びスチレン基等のラジカル重合性基が挙げられる。中でも、メタクリル酸エステル基、アクリル酸エステル基が好ましい。
ラジカル重合性基の含有量は、表面偏析ポリマー中に、5mol%〜90mol%であることが好ましく、より好ましくは、5mol%〜85mol%、更に好ましくは、10mol%〜80mol%である。
ラジカル重合性基を表面偏析ポリマーに導入する方法としては、ラジカル重合性基の二重結合を保護基を用いて反応を封止したモノマーを用い、このモノマーを共重合させ、保護基を取り除いてラジカル重合性基(二重結合)とする方法や、ラジカル重合性基を有する低分子化合物を表面偏析ポリマーに高分子反応で導入する方法が挙げられる。
本発明における表面偏析ポリマーは、1)フッ素置換炭化水素基、2)シロキサン骨格、及び3)長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造や、ラジカル重合性基以外の構造を有する共重合成分(他の共重合成分)を含んでいてもよい。他の共重合成分は、表面偏析ポリマーにおいて、インク組成物に対する溶解性向上と、ポリマーTgの制御によるブロッキング性改善の観点から、用いることが好ましい。
他の共重合成分は、ラジカル重合性モノマーに由来するものであれば特に制限はないが、共重合性能と、生成ポリマーのインク組成物に対する溶解性の観点から、不飽和二重結合を有するモノマー、中でも、アクリレート、又はメタクリレートが好ましい。表面偏析ポリマー中の他の共重合成分の好ましい含有量は、0mol%〜70mol%であり、より好ましくは0mol%〜50mol%であり、最も好ましくは0mol%〜30mol%である。
ここで、本発明のインク組成物に含有される表面偏析ポリマーの主鎖構造としての好ましい態様は、メタクリル樹脂又はアクリル樹脂である。
また、表面偏析ポリマーの主鎖構造が、ラジカル連鎖重合により合成されることが好まし態様の1つであり、また、主鎖構造にウレタン構造、又はウレア構造を繰り返し単位として含むポリマーであることも好ましい態様の1つである。
表面偏析ポリマーの重量平均分子量は、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは10,000〜80,000である。上記範囲とすることで、適度な粘度が得られ、またハンドリング性、ブロッキング抑制の観点から良好である。
以下に、本発明における表面偏析ポリマーの好ましい具体例(a−1〜a−22)を挙げる。なお、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2010018728
Figure 2010018728
Figure 2010018728
Figure 2010018728
Figure 2010018728
Figure 2010018728
Figure 2010018728
Figure 2010018728
本発明のインク組成物に含有される表面偏析ポリマーの含有量は、インク組成物全固形分中、0.2質量%〜5質量%が好ましく、0.2質量%〜3質量%がより好ましく、0.2質量%〜1.5質量%が更に好ましい。
<(B)一般式(i)で表される増感色素>
本発明のインク組成物は、重合開始剤の活性光線照射による分解を促進させるために増感色素を含有するが、その増感色素として、以下に詳述する一般式(i)で表される増感色素(以下、「特定増感色素」と称する。)を必須成分として含有する。
一般に、増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じ、これにより重合開始剤の化学変化、即ち、分解、ラジカル、酸或いは塩基等の活性種の生成を促進させ、ここで発生した活性種が後述する重合性化合物の重合、硬化反応を生起、促進させるものである。
増感色素は、インク組成物に使用される重合開始剤に開始種を発生させる活性放射線の波長に応じた化合物を使用すればよいが、一般的なインク組成物の硬化反応に使用されることを考慮すれば、好ましい増感色素の例としては、350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
本発明のインク組成物は、下記一般式(i)で表される増感色素(特定増感色素)を含有することを要する。
Figure 2010018728
上記一般式(i)中、Xは、O、S、又はNRを表し、Rは、水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは、0、又は1を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を示す。R、R、R、及びRは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。R又はRと、R又はRと、が互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
一般式(i)において、Xとしては、O、又はSであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
ここで、nが0の場合、(CR)は存在せず、Xと、R及びRと結合した炭素原子と、が直接結合して、Xを含む5員のヘテロ環を構成することになる。
、R、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を表す。
、R、R、R、R、R、R、及びRが1価の置換基を表す場合の、1価の置換基としては、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基などが挙げられ、中でも、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子である。
なお、一般式(i)におけるR、R、R、R、R、R、R、及びRが1価の置換基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものがより好ましい。
同様に、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが好ましく挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
、R、R、及びRは、それぞれ隣接する2つが互いに連結、例えば、縮合、して環を形成していてもよい。
これらが環を形成する場合の環構造としては、5〜6員環の脂肪族環、芳香族環などが挙げられ、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。更にこれらの環構造は、前記一般式(i)において、R〜Rが1価の置換基を表す場合に例示した置換基を更に有していてもよい。形成された環構造が複素環である場合のヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。
n=1の場合、R又はRと、R又はRと、は互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。形成される脂肪族環は、3〜6員環が好ましく、更に好ましくは5員環、若しくは6員環である。
より好適に用いることのできる増感色素としては、下記一般式(iA)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2010018728
上記一般式(iA)において、Xは、O、又はSを表す。nは、0、又は1を表す。R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A、及びR8Aは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。R1A、R2A、R3A、及びR4Aは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5A又はR6Aと、R7A又はR8Aと、が互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
更に好適に用いることのできる増感色素としては、下記一般式(iB)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2010018728
前記式(iB)において、Xは、O、又はSを表す。R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B、及びR8Bは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。また、R1B、R2B、R3B、及びR4Bは、それぞれ隣接する2つが互いに連結(縮合)して環を形成していてもよい。R5B又はR6Bと、R7B又はR8Bと、が互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
更に好適に用いることのできる増感色素としては、下記一般式(iC)で示される増感色素が挙げられる。
Figure 2010018728
上記一般式(iC)において、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、及びR8Cは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基、又はスルホ基を表す。
1C、R2C、R3C、及びR4Cは、それぞれ隣接する2つが互いに縮合して5〜6員環の脂肪族環、又は芳香族環を形成していてもよく、これらの環は、炭素原子以外の元素を含む複素環であってもよく、また、形成された環同士が更に組み合わさって2核環、例えば、縮合環を形成していてもよい。更にこれらの環構造は、前記一般式(i)において、R、R、R、R、R、R、R、及びRが1価の置換基を表す場合に例示した各置換基を更に有していてもよい。環構造が複素環の場合、ヘテロ原子の例としては、N、O、及びSを挙げることができる。R5C又はR6Cと、R7C又はR8Cと、が互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。
また、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、及びR8Cの少なくとも一つはハロゲン原子であることが好ましい。ハロゲン原子の好ましい置換位置としては、R1C、R2C、R3C、R4Cがあげられ、R2Cが最も好ましい。好ましいハロゲン原子の数としては好ましくは一つ、又は二つ、更に好ましくは一つである。
更に、R2Cは水素以外の置換基であることが好ましく、中でも、アルキル基、ハロゲン原子、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、特に、アルキル基、ハロゲン原子が好ましく、その場合、光源とのマッチングがよく高感度である。
加えて、R7C及びR8Cのいずれかは水素以外の置換基であるほうが好ましく、両方とも水素以外の置換基であることが更に好ましい。好ましい置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が挙げられ、中でも、アルキル基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。
1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、及びR8Cのいずれかがアルキル基である場合、そのアルキル基としては、炭素数1〜10個のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数が1〜4個のものがより好ましい。
1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、及びR8Cのいずれかがハロゲン原子である場合、そのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、及びR8Cのいずれかがアシルオキシ基である場合、そのアシルオキシ基としては炭素数2〜10個の脂肪族アシルオキシ基が好ましく、炭素数が2〜5個の脂肪族アシルオキシ基がより好ましい。
1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C、及びR8Cのいずれかがアルコキシカルボニル基である場合、そのアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜10個の脂肪族アルコキシカルボニル基が好ましく、炭素数が2〜5個のアルコキシカルボニル基がより好ましい。
本発明に好適に用いることのできる、特定増感色素の具体例〔例示化合物(I−1)〜(I−133)〕を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010018728
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なお、本発明に係る特定増感色素は、例えば、特開2004−189695公報、「Tetrahedron」第49巻,p939(1993年)、「Journal of Organic Chemistry」 p893(1945年)、及び、「Journal of Organic Chemistry」 p4939(1965年)などに記載の公知の方法によって合成することができる。
本発明のインク組成物における特定増感色素の含有量は、インク組成物に対して固形分で、0.05質量%〜30質量%程度が好ましく、0.1質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.2質量%〜10質量%であることがより好ましい。
なお、この特定増感色素は、可視光領域における吸収が殆どないため、効果を発現しうる量を添加してもインク組成物の色相に影響を与える懸念がないという利点をも有するものである。
含有量について、前述のラジカル重合開始剤との関連において述べれば、特定重合開始剤:特定増感色素の質量比で200:1〜1:200、好ましくは、50:1〜1:50、より好ましくは、20:1〜1:5の量で含まれることが好適である。
[その他の増感色素]
本発明においては、前記した特定増感色素に加え、公知の増感色素を本発明の効果を損なわない限りにおいて併用することができる。その他の増感色素は、特定増感色素に対して、特定増感色素:他の増感色素の質量比で1:5〜100:1、好ましくは、1:1〜100:1、より好ましくは、2:1〜100:1の量で添加することが可能である。
併用しうる公知の増感色素の例としては、ベンゾフェノン、チオキサントン(特に、イソプロピルチオキサントン)、アントラキノン、3−アシルクマリン誘導体、ターフェニル、スチリルケトン、3−(アロイルメチレン)チアゾリン、ショウノウキノン、エオシン、ローダミン、エリスロシンなどが挙げられる。
併用可能な増感色素の更なる例は、下記のとおりである。
(1)チオキサントン
チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジ−エチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、1−シアノ−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、3,4−ジ−〔2−(2−メトキシエトキシ)エトキシカルボニル〕チオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)チオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチルチオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、n−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、n−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)チオキサントン−3,4−ジカルボキシイミド、1−フェノキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシチオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、チオキサントン−2−ポリエチレングリコールエステル、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサントン−2−イルオキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド;
(2)ベンゾフェノン
ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−(4−メチルチオフェニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾアート、4−(2−ヒドロキシエチルチオ)ベンゾフェノン、4−(4−トリルチオ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N,N−トリメチルベンゼンメタンアミニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパンアミニウムクロリド一水和物、4−(13−アクリロイル−1,4,7,10,13−ペンタオキサトリデシル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−〔2−(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ〕エチルベンゼンメタンアミニウムクロリド;
(3)3−アシルクマリン
3−ベンゾイルクマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(プロポキシ)クマリン、3−ベンゾイル−6,8−ジクロロクマリン、3−ベンゾイル−6−クロロクマリン、3,3’−カルボニルビス〔5,7−ジ(プロポキシ)クマリン〕、3,3’−カルボニルビス(7−メトキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−イソブチロイルクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジメトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジエトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジブトキシクマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(メトキシエトキシ)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジ(アリルオキシ)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−イソブチロイル−7−ジメチルアミノクマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、5,7−ジメトキシ−3−(1−ナフトイル)クマリン、3−ベンゾイルベンゾ〔f〕クマリン、7−ジエチルアミノ−3−チエノイルクマリン、3−(4−シアノベンゾイル)−5,7−ジメトキシクマリン;
(4)3−(アロイルメチレン)チアゾリン
3−メチル−2−ベンゾイルメチレン−β−ナフトチアゾリン、3−メチル−2−ベンゾイルメチレンベンゾチアゾリン、3−エチル−2−プロピオニルメチレン−β−ナフトチアゾリン;
(5)アントラセン
9,10−ジメトキシ−アントラセン、9,10−ジエトキシ−アントラセン、9,10−ジメトキシ−2−エチル−アントラセン、
(6)他のカルボニル化合物
アセトフェノン、3−メトキシアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン、ベンジル、2−アセチルナフタレン、2−ナフトアルデヒド、9,10−ナフトラキノン、9−フルオレノン、ジベンゾスベロン、キサントン、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、α−(パラ−ジメチルアミノベンジリデン)ケトン、例えば、2−(4−ジメチルアミノベンジリデン)インダン−1−オン又は3−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−インダン−5−イルプロペノン、3−フェニルチオフタルイミド、N−メチル−3,5−ジ(エチルチオ)フタルイミド。
<(C)ラジカル重合性化合物>
本発明のインク組成物は、前述の(A)表面偏析ポリマーとは異なるラジカル重合性化合物(以下、単に「ラジカル重合性化合物」と称する。)を含有する。
このラジカル重合性化合物としては、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であり、前述の(A)表面偏析ポリマーとは異なる構造を有するものであればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー、及びポリマーを用いることができる。
また、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物材料が知られており、これらも本発明のインク組成物に適用することができる。
更に、ラジカル重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を用いることも好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特に、ジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明のインク組成物の全固形分中、ラジカル重合性化合物の含有量は、50質量%〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは55質量%〜90質量%であり、更に好ましくは、60質量%〜85質量%である。上記範囲とすることで硬化性と色再現性が良好な塗膜が得られる。
更に塗膜の柔軟性を向上させるために、全ラジカル重合性化合物中の単官能モノマーの含有量は、60質量%〜100質量%が好ましく、70質量%〜100質量%がより好ましく、80質量%〜100質量%が更に好ましい。
<(D)ラジカル重合開始剤>
本発明のインク組成物は、(D)ラジカル重合開始剤を含有する。
本発明においては、以下に詳述するα−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される重合開始剤を含有することが好ましく、更に、この重合開始剤とその他の公知の重合開始剤とを併用することもできる。
[α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される重合開始剤]
以下、α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される重合開始剤(以下、特定重合開始剤と称する。)について詳細に説明する。
本発明に好適に使用される重合開始剤は、α−アミノケトン類及びアシルフォスフィンオキシド類からなる群より選択される光重合開始剤である。
特定重合開始剤であるα−アミノケトン類は、以下の一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2010018728
上記一般式(1)中、Arは、−SR13、或いは−N(R7E)(R8E)で置換されているフェニル基であり、ここで、R13は水素原子又は、アルキル基を表す。
1DとR2Dはそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基である。R1DとR2Dは互いに結合して炭素数2〜9のアルキレン基を構成してもよい。
3DとR4Dはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ置換された炭素数2〜4のアルキル基、又は、炭素数3〜5のアルケニル基を表す。ここで、R3DとR4Dとは互いに結合して炭素数3〜7のアルキレン基を形成してもよく、そのアルキレン基は、アルキレン鎖中に、−O−或いは−N(R12)−を含むものであってもよく、ここでR12は、炭素数1〜4のアルキル基を表す。
7EとR8Eはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ置換された炭素数2〜4のアルキル基、又は、炭素数3〜5のアルケニル基を表す。ここで、R7EとR8Eとは互いに結合して炭素数3〜7のアルキレン基を形成してもよく、そのアルキレン基は、アルキレン鎖中に、−O−或いは−N(R12)−を含むものであってもよい。ここで、R12は前記したものと同義である。
前記α−アミノケトン類に包含される化合物の例としては、2−メチル−1−フェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(ヘキシル)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−エチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。また、チバガイギー社製のイルガキュアシリーズ、例えば、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379等の如き市販品としても入手可能であり、これらもα−アミノケトン類に包含される化合物であり、本発明に好適に使用しうる。
また、アシルフォスフィンオキシド類に包含される化合物は、下記一般式(2)、又は一般式(3)で表される化合物である。
Figure 2010018728
上記一般式(2)中、R5D及びR6Dは、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、又は複素環基を表し、R7Dは、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
前記R5D、R6D又はR7Dで表される脂肪族基は、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基が特に好ましい。また、前記脂肪族基は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。また、鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルキル基の場合と同様である。また、前記アルキル基は、置換基を有するアルキル基、無置換のアルキル基のいずれであってもよい。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
前記置換アルキル基の置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエトキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、
炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンとしては、後述のM等が挙げられる。
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルケニル基は、置換基を有する置換アルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであってもよく、置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルケニル基の場合と同様である。前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、該アルキニル基は、置換基を有する置換アルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであってもよく、置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルキニル基の場合と同様である。置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好ましい。また、該アラルキル基は、置換基を有する置換アラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであってもよく、置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアラルキル基の場合と同様である。置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記R5D、R6D又はR7Dで表される芳香族基としては、例えば、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素原子数としては、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。置換アリール基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記R5D又はR6Dで表される脂肪族オキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、フェノキシエトキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
前記R5D又はR6Dで表される芳香族オキシ基としては、炭素数6〜30のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基、メチルフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、オクチルオキシフェニルオキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
前記R5D、R6D又はR7Dで表される複素環基としては、N、O又はS原子を含む複素環基が好ましく、例えば、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピロリル基等が挙げられる。
Figure 2010018728
前記一般式(3)中のR8D及びR10Dは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、又は複素環基を表し、R9Dは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又は複素環基を表す。前記R8D、R9D又はR10Dで表される、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記一般式(2)における場合と同様の置換基が挙げられる。
前記一般式(3)におけるアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、及びアリールオキシ基としては、前記一般式(2)における場合と同義である。
前記一般式(2)又は一般式(3)で表されるアシルフォスフィンオキシド類としては、例えば、特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
具体的なアシルフォスフィンオキシド類の例としては、以下に示す化合物〔例示化合物(P−1)〜(P−26)〕が挙げられるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 2010018728
Figure 2010018728
Figure 2010018728
なお、前記例示化合物中、例えば、(P−2)[2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド]は、Darocur TPO(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製)の商品名で入手可能であり、(P−19)[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド]は、Irgacure 819(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製)の商品名で入手可能である。
本発明のインク組成物における前記特定重合開始剤の含有量は、固形分換算で、0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.2〜20質量%の範囲であることがより好ましい。
[他の重合開始剤]
本発明のインク組成物は、ラジカル重合開始剤として、上記の特定重合開始剤以外に、他の光重合開始剤を併用して用いてもよい。
他の光重合開始剤としては、公知の化合物が使用できるが、本発明で使用し得る好ましいものとしては、(A)芳香族ケトン類、(B)アシルホスフィンオキシド化合物、(C)芳香族オニウム塩化合物、(D)有機過酸化物、(E)チオ化合物、(F)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(G)ケトオキシムエステル化合物、(H)ボレート化合物、(I)アジニウム化合物、(J)メタロセン化合物、(K)活性エステル化合物、(L)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(M)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
本発明において他の光重合開始剤は単独で用いてもよいし、併用してもよい。効果の観点からは、2種以上の他の光重合開始剤を併用することが好ましい。
本発明に用いる他の光重合開始剤として、具体的には、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、4、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))等が挙げられる。更に、これら以外の分子開裂型開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用してもよい。更に、水素引き抜き型光開始剤である、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
本発明のインク組成物におけるラジカル重合開始剤の含有量は、前述のラジカル重合性化合物の総含有量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜35質量部が好ましく、より好ましくは0.1質量部〜30質量部、更に好ましくは0.5質量部〜30質量部である。
なお、ここに記載のラジカル重合開始剤の含有量とは、特定重合開始剤及び併用しうる他の重合開始剤を含むラジカル重合開始剤の総含有量を意味する。
<(E)着色剤>
本発明のインク組成物は、種々の色相を有する(E)着色剤を含有してもよい。
本発明に用いることのできる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の任意の公知の着色剤から選択して使用することができる。本発明のインク組成物又はインクジェット用インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しないことが好ましい。これは、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないためである。
[顔料]
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー120の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤或いはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青或いはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Noveon社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1質量部〜50質量部添加することが好ましい。
本発明のインク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒でもよいが、本発明のインク組成物が適用されるインク組成物は、放射線硬化型のインクであり、インク組成物を被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。
顔料の平均粒径は、0.02〜0.9μmにするのが好ましく、0.05〜0.8μmとするのが更に好ましく、より好ましくは、0.06〜0.6μmの範囲である。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、本発明のインク組成物をインクジェット記録に適用した場合、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
[染料]
本発明に用いることのできる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
本発明に用いることのできる染料は、インク組成物に必要量溶解させるために染料母核に対して油溶化基を導入することも好ましい。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基及びこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
前記油溶性染料としては、融点が200℃以下のものが好ましく、融点が150℃以下であるものがより好ましく、融点が100℃以下であるものが更に好ましい。融点が低い油溶性染料を用いることにより、インク組成物中での色素の結晶析出が抑制され、光硬化生成物の保存安定性が良くなる。
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が貴である(高い)ことが望ましい。このため、本発明で用いる油溶性染料として、酸化電位が1.0V(vs SCE)以上であるものが好ましく用いられる。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vsSCE)以上のものがより好ましく、1.15V(vs SCE)以上のものが特に好ましい。
イエロー色の染料としては、特開2004−250483号公報の記載の一般式(Y−I)で表される構造の化合物が好ましい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。なお、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
マゼンタ色の染料としては、特開2002−114930号公報に記載の一般式(3)、(4)で表される構造の化合物が好ましく、具体例としては、特開2002−114930号公報の段落[0054]〜[0073]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。なお、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
シアン色の染料としては、特開2001−181547号公報に記載の式(I)〜(IV)で表される染料、特開2002−121414号公報の段落番号[0063]から[0078]に記載されている一般式(IV−1)〜(IV−4)で表される染料が好ましいものとして挙げられ、具体例として特開2001−181547号公報の段落番号[0052]から[0066]、特開2002−121414号公報の段落番号[0079]から[0081]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。なお、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
−酸化電位−
本発明における染料の酸化電位の値(Eox)は、当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著“New Instrumental Methods in Electrochemistry”(1954年,Interscience Publishers社刊)や、A.J.Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年、John Wiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10−2〜1×10−6モル/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィー装置により、作用極として炭素(GC)を、対極として回転白金電極を用いて酸化側(貴側)に掃引したときの酸化波を直線で近似して、この直線と残余電流・電位直線との交点と、直線と飽和電流直線との交点(又はピーク電位値を通る縦軸に平行な直線との交点)と、で作られる線分の中間電位値をSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。また、用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
これらの着色剤はインク組成物中、固形分換算で1質量%〜30質量%添加されることが好ましく、2質量%〜25質量%がより好ましい。
本発明のインク組成物には、前記の各成分に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、物性向上などの目的で、他の成分を併用することができる。
以下、これら任意の成分について以下に説明する。
<共増感剤>
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することもできる。本発明において共増感剤は、増感色素の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
共増感剤の例としては、アミン類、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Science」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
共増感剤の別の例としては、チオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また、共増感剤の別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特開平8−65779号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
<紫外線吸収剤>
本発明のインク組成物には、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5質量%〜15質量%であることが好ましい。
<酸化防止剤>
本発明のインク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
<褪色防止剤>
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。
有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。
また、金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
<導電性塩類>
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
<溶剤>
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲である。
<高分子化合物>
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、前記(A)表面変性ポリマー以外の各種高分子化合物を添加することができる。
高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
なお、界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。
有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
<その他の成分>
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
[インク組成物の好ましい物性]
本発明のインク組成物をインクジェット記録に適用する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40℃〜80℃、好ましくは25℃〜30℃)において、粘度が、好ましくは7mPa・s〜30mPa・sであり、より好ましくは7mPa・s〜20mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25℃〜30℃)における粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35mPa・s〜200mPa・sである。
本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20mN/m〜30mN/m、より好ましくは23mN/m〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録に好適に用いられる。インクジェット記録に適用する場合には、本発明のインク組成物をインクジェット記録装置により被記録媒体に射出し、その後、射出されたインク組成物に放射線を照射して硬化して記録を行う。
このインク組成物により得られた印刷物は、画像部が紫外線などの放射線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インク組成物による画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
<インクジェット記録方法、及び印刷物>
本発明のインク組成物が好ましく適用されるインクジェット記録方法(本発明のインクジェット記録方法)について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、上記した本発明のインク組成物を、被記録媒体(支持体、記録材料等)上にインクジェット記録装置により吐出する工程、及び、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程、を含むことを特徴とする。硬化したインク組成物により、被記録媒体上に画像が形成される。
本発明のインクジェット記録方法に適用しる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料或いは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
更に、本発明に適用しうる被記録材料としては、平版印刷版の支持体が挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法に適用される活性放射線としては、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外光線、電子線などが挙げられる。活性放射線のピーク波長は、200nm〜600nmであることが好ましく、300nm〜450nmであることがより好ましく、350nm〜420nmであることが更に好ましい。また、活性放射線の出力は、2,000mJ/cm以下であることが好ましく、より好ましくは、10mJ/cm〜2,000mJ/cmであり、更に好ましくは、20mJ/cm〜1,000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜800mJ/cmである。
特に、本発明のインクジェット記録方法では、放射線照射が、発光波長ピークが350nm〜420nmであり、かつ、前記被記録媒体表面での最高照度が10mW/cm〜2,000mW/cmとなる紫外線を発生する発光ダイオードから照射されることが好ましい。本発明のインク組成物は、発光ダイオードの発する光のような、低露光量の光でも高感度で硬化する。
本発明のインクジェット記録方法においては、前述の本発明のインク組成物を用いており且つ活性放射線を照射して該インク組成物を硬化しているため、耐擦過性に優れ、更に表面のべとつきが抑制された画像を形成することができる。なお、活性放射線の照射は、全色を吐出した後まとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
また、本発明の印刷物は、上記のインクジェット記録方法(本発明のインクジェット記録方法)によって、本発明のインク組成物により画像が形成されたものである。
そのため、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像を有する印刷物となる。
また、本発明のインク組成物は、前記したように、一般的な印刷物の画像形成に好適に用いられる他、支持体等の被記録媒体に画像を形成した後に加工を施す態様においても好適に用いることができる。
今日において、成形加工が施された加飾シート等の印刷物は、様々な用途で使用されている。例えば、電化製品等に使用されるメンブレンスイッチ表面シートは、薄プラスチックシート(膜圧約100μmのPET、ポリカーボネート、ポリスチレン等)にイメージ(画像)が形成された後、スイッチ部分(クリック部分)にクリック感を出す目的で、エンボス加工が施される。またその他、印刷物をマット調に仕上げたり、デザイン上立体感を出すため、画像を形成した後の印刷物にエンボス加工を施す例が多く見られる。
また、飲料水、茶やジュースなどの飲料商品の自動販売機が広く普及しており、これらの自動販売機には、販売される商品を示すダミー展示物が展示されている。これらのダミー展示物としては、まず透明性の熱可塑性樹脂シートに加飾印刷を施した(画像を形成した)平らな支持体を作製し、その後に実物大の飲料商品容器の半割の形にまで深絞り加工して立ち上がりの高い成形品(場合によっては25mm以上の深絞り)を作り、その背面より照明を与えることによって商品イメージを強くアピールするように作製されている。
これらのような加飾された熱可塑性樹脂シートの深絞り成形品を作製するための加工方法としては、真空成形や圧空成形或いは真空圧空成形が最も好適である。真空成形は原理的に、平坦な支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却するものであり、圧空成形は金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却するものである。また、真空圧空成形は、前記減圧及び加圧を同時に行うものである。
これらの加工が施される印刷物に用いられるインクの性能としては、得られた画像(印刷物)がひび割れや剥離等を起こしにくく、硬化膜の耐衝撃性、柔軟性、基材密着性に富むものが求められている。これに対し、本発明のインク組成物は、特定化合物を有していることから、表面を効率よく硬化することができるため衝撃に強く、更に、バルクを柔軟な膜(粘弾性が低い軟らかい膜)にしても表面の硬化性(粘弾性が高いべとつきが無い膜)を確保することができるため、画像形成後に上記加工が施される用途において、特に良好な効果を発揮することができる。
なお、本発明のインク組成物の用途としては、上記の中でも特に真空成型用が好ましい。
以下実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例における形態に限定されるものではない。なお、以下の実施例は各色のUVインクジェット用のインクに係るものである。また、以下の説明においては、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インク組成物を得た。
(シアン色インク組成物)
・フェノキシエチルアクリレート 25.0部
・N−ビニルカプロラクタム 32.0部
・FA−512A 13.4部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Irgalite Blue GLVO 3.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3(ISP Europe社製ビニルエーテル)
8.0部
・Darocur TPO 8.5部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Irgacure 907〔特定重合開始剤〕 4.0部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・表面偏析ポリマー(a−1) 1.0部
・特定増感色素(I−1) 4.0部
〔実施例2〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、マゼンタ色のUVインクジェット用インク組成物を得た。
(マゼンタ色インク組成物)
・フェノキシエチルアクリレート 25.0部
・N−ビニルカプロラクタム 32.0部
・FA−512A 13.4部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Cinquasia Mazenta RT−355 D
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料) 3.6部
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 8.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル)
・Darocur TPO 8.5部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Irgacure 907〔特定重合開始剤〕 4.0部
(Ciba Specialty Chemicals社製光開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・表面偏析ポリマー(a−2) 1.0部
・特定増感色素(I−2) 4.0部
〔実施例3〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、イエロー色のUVインクジェット用インク組成物を得た。
(イエロー色インク組成物)
・フェノキシエチルアクリレート 25.0部
・N−ビニルカプロラクタム 36.0部
・FA−512A 13.4部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Cromophtal Yellow LA 3.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 4.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル)
・Darocur TPO 8.5部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Irgacure 907〔特定重合開始剤〕 4.0部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・表面偏析特定ポリマー(a−3) 1.0部
・特定増感色素(I−4) 4.0部
〔実施例4〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、黒色のUVインクジェット用インク組成物を得た。
(黒色インク組成物)
・フェノキシエチルアクリレート 25.0部
・N−ビニルカプロラクタム 36.0部
・FA−512A 13.4部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・Microlith Black C−K 2.6部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 5.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル)
・Darocur TPO 8.5部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Irgacure 907〔特定重合開始剤〕 4.0部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・特定ポリマー(a−13) 1.0部
・特定増感色素(I−14) 4.0部
〔実施例5〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、白色のUVインクジェット用インク組成物を得た。
(白色インク組成物)
・フェノキシエチルアクリレート 20.0部
・N−ビニルカプロラクタム 32.0部
・FA−512A 10.0部
・Solsperse 32000(Noveon社製分散剤) 0.4部
・MICROLITH WHITE R−A 15.0部
(Ciba Specialty Chemicals社製顔料)
・Genorad 16(Rahn社製安定剤) 0.05部
・Rapi−Cure DVE−3 5.0部
(ISP Europe社製ビニルエーテル)
・Darocur TPO 8.5部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Irgacure 907〔特定重合開始剤〕 4.0部
(Ciba Specialty Chemicals社製光重合開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製消泡剤) 0.05部
・表面偏析ポリマー(a−14) 1.0部
・特定増感色素(I−15) 4.0部
〔実施例6〜実施例8〕
実施例5の白色のUVインクジェット用インク組成物中の表面偏析ポリマー(a−14)及び特定増感色素(I−15)を、下記表1記載の表面偏析ポリマー及び特定増感色素にそれぞれ代えた以外は、実施例5と同様にして、白色のUVインクジェット用インク組成物を作製した。
〔比較例1〜比較例3〕
実施例5の白色のUVインクジェット用インク組成物中の表面偏析ポリマー(a−14)及び/又は特定増感色素(I−15)を、下記表1記載のように変更する、又は、未添加とした以外は、実施例5と同様にして、白色のUVインクジェット用インク組成物を作製した。
〔評価〕
<インクジェット画像記録>
まず、調製されたインク組成物を絶対ろ過精度2μmのフィルターにてろ過した。
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8pl〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
上記のインクジェット記録装置を用い、ろ過後のインク組成物を、環境温度25℃にて射出し、UV−LEDは、日亜化学製NCCU033を用い紫外線を照射した。前記LEDは1チップから波長365nmの紫外光を出力するものであって、約500mAの電流を通電することにより、チップから約100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、被記録媒体表面で0.3W/cmのパワーが得られる。インク組成物の打滴後露光されるまでの時間、及び露光時間は被記録媒体の搬送速度及びヘッドとLEDの搬送方向の距離により変更可能である。本実施例では着弾後、約0.2秒後に露光される。
UV−LEDと被記録媒体との距離及び被記録媒体の搬送速度の設定に応じて、被記録媒体上の露光エネルギーを0.01J/cm〜15J/cmの間で調整することができる。なお、照射時間は、紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなるまでとした。また、被記録媒体としては、軟質塩化ビニルシートを用いた。
この条件で、インク組成物の露光感度、及び吐出安定性、また、インク組成物を用いて形成した画像のブロッキング感度、延伸率、耐擦過性、及び被記録媒体に対する密着性を下記の方法で評価した。
(露光感度の測定)
上記のインクジェット記録方法を適用して得られた、紫外線照射後のベタ画像面において、粘着感の無くなる露光エネルギー量(mJ/cm)を露光感度と定義した。数値が小さいものほど高感度であることを表す。
露光感度の許容範囲は750mJ/cm以下であり、より好ましくは350mJ/cm以下である。
(吐出安定性の評価)
前述のようにして得られたインク組成物(ろ過後のもの)のヘッドノズルでの吐出安定性を以下のようにして評価した。
即ち、下記の条件でピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置により、60分の連続吐出におけるノズルロス個数を測定した。
−条件−
・チャンネル数:318/ヘッド
・駆動周波数:4.8kHz/dot
・インク滴:7滴、42pl
・温度:45℃
実験は、PET基板上にインク組成物を吐出した後、露光(露光量:1,000mW/cm)を行う方法を用い、その際のノズルロス数(ノズルが詰まってしまった数)を数えた。
−評価基準−
○:ノズルロス数が0以上5個未満
△:ノズルロス数が5個以上10個未満
×:ノズルロス数が10個以上
(ブロッキング感度評価)
前記のインクジェット記録方法を適用して得られた、紫外線照射後の画像上に、PET(サイズ:縦横共に画像形成した軟質塩化ビニルシートと同サイズ、重さ:2g/枚)を500枚重ね載せ、一日放置し、PETへの転写を目視評価した。転写が無い場合を○、転写がある場合を×とし、転写が無くなるまでに要した露光エネルギー量(mJ/cm)をブロッキング感度と定義した。
ブロッキング感度の許容範囲は12,000mJ/cm以下であり、より好ましくは6,000mJ/cm以下である。
(耐擦過性評価)
軟質塩化ビニルシートに、720×720dpiの解像度でベタ画像を印字したサンプルを消しゴム(ホシヤ製K−50 Plastic Eraser Keep)で擦り、消しゴムへの転写を評価した。評価基準は下記のとおりである。
−評価基準−
○:転写がない
×:転写がある
(延伸率評価)
積算露光量:12,000mJ/cm、照度:2140mW/cmとし、支持体を 軟質塩化ビニルシートの代わりにFassonPE(Fasson社製ポリエチレンフイルム:膜厚100um)を用いる以外は、露光感度評価と同様にして、硬化膜を作成した。得られた硬化膜を軸長5cm×幅2.5cmにカットし、引っ張り試験機(島津製作所社製、オートグラフAGS-J)を用いて、速度30cm/minで延伸させ、硬化膜が破断する伸び率を測定した。初期長から2倍の長さまで伸びた状態を伸び率100%と定義した。
延伸率の許容範囲は200%以上であり、より好ましくは300%以上である。
(密着性の評価)
表面未処理のポリプロピレン基板に720×720dpiの解像度でベタ画像を印字したサンプルを用いて、クロスハッチテストにより評価した。この試験は、0〜5の6段階で評価し、0が最もよく、1が実用上問題ないレベルと評価する。
−評価基準−
○:0の範囲
△:1の範囲
×:2〜5の範囲
実施例及び比較例のインク組成物中の表面偏析ポリマー及び特定増感色素、並びに、該インク組成物の評価結果を下記表1に示す。
Figure 2010018728
表1に明らかなように、実施例のインク組成物は、露光感度が高く、インクジェット記録装置に適用した際の吐出安定性にも優れることが分かる。また、実施例のインク組成物を硬化して得られた画像は、ブロッキング感度が高く、耐擦過性、延伸性、被記録媒体への密着性にも優れることが分かる。

Claims (6)

  1. (A)フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、及び長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造、並びにラジカル重合性基を側鎖に有するポリマーと、
    (B)下記一般式(i)で表される増感色素と、
    (C)前記(A)のポリマーとは異なるラジカル重合性化合物と、
    (D)ラジカル重合開始剤と、
    を含有するインクジェット用インク組成物。
    Figure 2010018728

    (一般式(i)中、Xは、O、S、又はNRを表し、Rは、水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは、0、又は1を表す。R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の置換基を示す。R、R、R、及びRは、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。R又はRと、R又はRと、が互いに連結して脂肪族環を形成してもよいが、芳香族環を形成することはない。)
  2. (E)着色剤を更に含有する請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
  3. 前記(A)のポリマーが、主鎖構造がラジカル連鎖重合により合成されるポリマーである請求項1又は請求項2に記載のインクジェット用インク組成物
  4. 前記(A)のポリマーが、主鎖構造にウレタン構造、又はウレア構造を繰り返し単位として含むポリマーである請求項1又は請求項2に記載のインクジェット用インク組成物。
  5. (1)被記録媒体上に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物を吐出する工程、及び、
    (2)吐出されたインクジェット用インク組成物に活性放射線を照射して、該インク組成物を硬化する工程、
    を含むインクジェット記録方法。
  6. 請求項5に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
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