JP2010001437A - インク組成物、インクジェット記録方法、および印刷物 - Google Patents

インク組成物、インクジェット記録方法、および印刷物 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化感度が良好で、耐擦過性、ブロッキング性に優れ、表面のべとつきが抑制され、表面硬化性が向上した画像を形成しうるインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、および印刷物を提供すること。
【解決手段】(A)チオール基と、側鎖に(i)フッ素置換炭化水素基、(ii)シロキサン骨格、および(iii)長鎖アルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造と、を含むポリマー、(B)光重合開始剤、および(C)重合性化合物を含有するインク組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用として好適に用いられるインク組成物、インクジェット記録方法、およびこれを用いた印刷物に関する。
画像データ信号に基づき、紙などの被記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、昇華型および溶融型熱転写方式、インクジェット方式などがある。中でも、インクジェット方式は、安価な装置で実施可能であり、且つ、必要とされる画像部のみにインクを射出して被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。更に、騒音が少なく、画像記録方式として優れている。
インクジェット方式によれば、普通紙のみならずプラスチックシート、金属板など非吸水性の被記録媒体にも印字可能であるが、印字する際の高速化および高画質化が重要な課題となっており、印字後の液滴の乾燥、硬化に要する時間が、印刷物の生産性や印字画像の鮮鋭度に大きく影響する性質を有している。
インクジェット方式の一つとして、放射線の照射により、硬化可能なインクジェット記録用インクを用いた記録方式がある。この方法によれば、インク射出後直ちにまたは一定の時間後に放射線照射し、インク液滴を硬化させることで、印字の生産性が向上し、鮮鋭な画像を形成することができる。
紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット記録用インクの高感度化を達成することにより、放射線に対し高い硬化性が付与され、インクジェット記録の生産性向上、消費電力低減、放射線発生器への負荷軽減による高寿命化、不充分硬化に基づく低分子物質の揮発発生の防止など、多くの利益が生じる。また、高感度化は、特にインクジェット記録用インクにより形成された画像の強度を向上させ、特に、平版印刷版の形成に応用した場合、画像部の硬化強度が高まることになり、高耐刷性が得られることになる。
このような放射線、例えば、紫外線による硬化型インクジェット方式は、比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い被記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、被記録媒体への密着性に優れ、紫外線硬化時の収縮率が小さいカチオン重合型インク組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。但し、これらカチオン重合型インクは、経時で発生した酸に基づく反応により、保存時の安定性が充分ではなく、実用化には大きな障害となっていた。このため、保存安定性を改良する試みとして、塩基性化合物や熱塩基発生剤を添加する技術が提案されている(例えば、特許文献2〜4参照)が、塩基性化合物が露光により発生した酸の機能を阻害するためにインクの硬化感度が低下するという新たな問題が発生することがわかった。
また、インク組成物の高感度化と保存安定性の両立を目的として、特定構造を有するチオール化合物を含有する光重合開始剤組成物が提案されている(例えば、特許文献5参照)。しかし、高感度化を達成するためには、当該チオール化合物を多量に添加しないとならないが、当該チオール化合物を多量に添加すると、感光性組成物による膜の柔軟性が低下し、高感度化と膜の柔軟性の両立が困難であることがわかった。
したがって保存安定性が良好で、高感度で硬化し、かつ柔軟な膜を形成しうるインク組成物が望まれている。
特開平9−183928号公報 特開2003−312121号公報 特開2003−341217号公報 特開2004−91558号公報 特開2004−149755号公報
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の目的は、硬化感度が良好で、耐擦過性、ブロッキング性に優れ、表面のべとつきが抑制され、表面硬化性が向上した画像を形成しうるインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、および印刷物を提供することにある。
前記目的を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1>(A)チオール基と、側鎖に(i)フッ素置換炭化水素基、(ii)シロキサン骨格、および(iii)長鎖アルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造と、を含むポリマー、(B)光重合開始剤、および(C)重合性化合物を含有するインク組成物。
<2>前記(A)ポリマーの主鎖に、前記チオール基を有する前記<1>に記載のインク組成物。
<3>前記(A)ポリマーの側鎖に、前記チオール基を有する前記<1>に記載のインク組成物。
<4>インクジェット記録用である前記<1>〜<3>のいずれかに記載のインク組成物。
<5>被記録媒体上に、前記<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程と、を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
<6>前記<5>に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
本発明によれば、硬化感度が良好で、耐擦過性、ブロッキング性に優れ、表面のべとつきが抑制され、表面硬化性が向上した画像を形成しうるインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、および印刷物を提供することができる。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
本発明のインク組成物は、チオール基と、フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、および長鎖アルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造と、を含むポリマーを含有する。
フッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、および長鎖アルキル基からなる群より選択される部分構造は、表面配向性基として作用することにより、(A)ポリマーが組成物の表面に偏析し、表面エネルギーを下げる効果を有する。
さらに(A)ポリマーは、連鎖移動機構を有するチオール基を有する。このチオール基がポリマー中に複数存在することで(多官能)、(A)ポリマーは、連鎖移動作用を有するとともに、多官能なチオール基が架橋性基の役割を果たし、インク組成物表面の架橋密度を高くすることができ、小量の添加であっても膜表面の硬化性が効果的に向上する。
従って、該(A)ポリマーにより、多量に添加しなくても膜の表面が充分に硬化し、且つ、その硬化膜表面の表面エネルギーが低いために、このような部分構造を有するポリマーが表面に偏析する本発明のインク組成物を用いたインク画像表面は、これらがあいまって耐擦過性、耐ブロッキング性に優れたものとなるとともに、通常の多官能モノマーを大量に添加した場合に比べ、内部の架橋密度が低くなることから、膜の硬化性と柔軟性、耐擦過性とが両立するものと考えられる。
なお本発明のインク組成物をインクジェット用インクとして用いた場合には、(A)ポリマーに存在するフッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、および長鎖アルキル基から選択される部分構造が表面配向性基として作用することにより、これらは組成物の表面に偏析し、インク液滴の表面張力を吐出に適正な範囲に調整でき、インクの吐出性が改良されるものと考えられる。このため、本発明のインク組成物は、インクジェット用インクに特に好適である。
〔インク組成物〕
本発明のインク組成物は、(A)チオール基と、側鎖に(i)フッ素置換炭化水素基、ii)シロキサン骨格、および(iii)長鎖アルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造(以下、それぞれ特定部位(i)、(ii)、(iii)と称する場合がある。)と、を含むポリマー(以下、適宜特定ポリマーと称する場合がある。)、(B)光重合開始剤、および(C)重合性化合物を含有することを特徴とする。
本発明のインク組成物は、放射線の照射により硬化が可能なインク組成物である。ここで、本発明で言う「放射線」とは、その照射により組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度および装置の入手容易性の観点からは、紫外線および電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、本発明のインク組成物としては、放射線として、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物であることが好ましい。なお、本発明のインク組成物は、上記特定ポリマーを含有することから、高感度であり、露光光源として、発光ダイオードのような低露光量の光源によっても十分硬化するため、このような用途に適用すると本発明の効果が著しいといえる。
また、本発明のインク組成物は、前記放射線により硬化して画像を形成するため着色剤を含有することが好ましい。
以下、本発明のインク組成物に含有される各成分について、詳細に説明する。
まず、本発明の特徴的な成分である(A)特定ポリマーについて述べる。
本発明に係る(A)特定ポリマーは、チオール基と、側鎖に(i)フッ素置換炭化水素基、ii)シロキサン骨格、および(iii)長鎖アルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造と、を含む。
以下、各成分について説明する。
<(A)特定ポリマー>
−チオール基−
本発明に係る(A)特定ポリマーは、チオール基を有する。
(A)特定ポリマーは、ポリマーの主鎖にチオール基を有していてもよいし、ポリマーの側鎖にチオール基を有していてもよい。
(A)特定ポリマーの主鎖にチオール基を有する場合とは、主鎖の末端にチオール基を有するものであり、より好ましくは、下記式で表される構造を有する化合物である。
Figure 2010001437
式中、Lはそれぞれは独立に、置換基を有していてもよい2価の連結基を表わす。R、R、R、およびRは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。なおRとR、RとRがそれぞれ互いに連結することにより、複数のヘテロ原子を含んでもよい炭素数3〜8の環構造を形成してもよい。Xはそれぞれ独立に、ポリマー主鎖に直接連結する直鎖、または2〜12の分岐構造をもつ連結基を表わす。mおよびnは1以上12以下の整数である。
また、チオール基の置換位置やチオール基の量などの合成上の観点から、(A)特定ポリマーの側鎖にチオール基を有するのが、好ましい態様である。
(A)特定ポリマーの側鎖にチオール基を有する場合のチオール基としては、特に制限はないが、1級チオール、2級チオール、3級チオール、ヘテロ環に結合している2級/3級チオール等が挙げられる。なかでも反応性、安定性の観点から、2級チオールまたは3級チオールが好ましく、2級チオールがより好ましい。
チオール基の数としては、主鎖にある場合、単官能、多官能いずれでもよいが、硬化感度の観点から、(A)ポリマー1分子中に、1〜12であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、4〜12であることが更に好ましい。
またチオール基の数としては、側鎖にある場合、モノマーの繰り返し単位に対して、数平均で20mol%以上80mol%以下であることが好ましく、30mol%以上80mol%以下であることがより好ましく、60mol%以上80mol%以下であることが最も好ましい。
また(A)特定ポリマーの側鎖にチオール基を有する場合は、下記構造式で表されるチオール基含有基を有する化合物であることがより好ましい。
Figure 2010001437
上記構造式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1〜6のアルキル基を表す。なおRとRが連結する事により、複数のヘテロ原子を含んでもよい炭素数3〜8の環構造を形成してもよい。Lはポリマー主鎖に結合する2価の連結基を表す。
およびRで表される炭素数1〜6のアルキル基は、より好ましくは炭素数1〜4であり、更に好ましくは炭素数1〜2である。これらのアルキル基は、可能な場合は更に置換基を有していてもよい。アルキル基に導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アルキルフェニル基等が挙げられる。
Lで表される2価の連結基としては、炭素原子数1〜12のアルキレン基、アルキレンオキシ基、アルキルフェニレン基、チオエーテル基、エステル基、チオエステル基、フェニレン基、等、或いは、これらが複数結合してなる連結基が挙げられる。なかでもエステル結合を有するアルキレン基好ましい。
上記構造式において、各置換基の好ましい組み合わせは、Rが水素原子であり、Rがメチル基またはエチル基であり、Lがエステル基を含む炭素数6以下のアルキレン基またはアルキルフェニレン基である。RとRが環構造をとる場合シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、ピリジン、ベンゾイミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、キノキサリン、トリアジン、ナフタレン、イミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、などが好ましい。
(A)特定ポリマーの主鎖にチオール基を導入する方法としては、末端にハロゲン原子を持つポリマーを多官能チオール化合物と反応させる方法が挙げられる。
(A)特定ポリマーの側鎖にチオール基を導入する方法としては、反応性の官能基を側鎖をもつポリマーに高分子反応により導入する方法や、保護基によってチオール基を保護したモノマーを共重合したのち、脱保護する方法が挙げられる。
(A)特定ポリマーにおけるチオール基の含有量は、5モル%〜80モル%が好ましく、より好ましくは20モル%〜80モル%であり、更に好ましくは30モル%〜80モル%である。上記範囲とすることで、インク組成物の硬化性および膜の柔軟性が良好となる。
ポリマー中のチオール基の含有量は、ヨウ素による酸化の後、過剰のヨウ素を標準チオ硫酸ナトリウム液による滴定等の方法で測定できる。
特定ポリマーの好ましい分子量は、粘度と硬化性の観点から、3000〜100000であり、より好ましい分子量は10000〜80000であり、最も好ましくは15000〜80000である。
−(i)フッ素置換炭化水素基−
本発明に係る特定ポリマーにおける特定部位としてのフッ素置換炭化水素基とは、側鎖に少なくとも1つのフッ素を含有する炭化水素基であればよく、例えば、アルキル基やアルキレン基における少なくとも一つの水素原子をフッ素原子に置換したフルオロアルキル基、フルオロアルキレン基が挙げられ、アルキル基、アルキレン基のすべての水素をフッ素に置換したパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基がより好ましく、パーフルオロアルキル基が更に好ましい。
アルキル基としては、炭素数3〜12が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜8が更に好ましい。
アルキレン基としては、炭素数2〜12が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜8が更に好ましい。
本発明におけるフッ素置換炭化水素基の具体的な態様について説明する。
(A)特定ポリマーが有する好ましいフッ素置換炭化水素基として、下記(a)または(b)に示すものが挙げられる。
(a)テロメリゼーション法またはオリゴメリゼーション法により製造されたフルオロ脂肪族化合物から誘導される置換基(フルオロ脂肪族基ともいう)
(b)下記(一般式I)で表される構成を有する置換基
Figure 2010001437
(一般式I)中、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基を、Xは共有結合または2価の連結基(有機基)を、mは0以上の整数を、nは1以上の整数を表す。尚、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素上の官能基(即ち、隣り合う炭素にそれぞれ結合しているR同士やR同士)は結合して脂肪族環を形成してもよい。
この(一般式I)で表される置換基は、*の部分でポリマーの主鎖に連結される。
(a)テロメリゼーション法またはオリゴメリゼーション法により製造されたフルオロ脂肪族化合物から誘導される置換基
本発明におけるこのような(i)置換基は、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)またはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれる基であることが好ましい。上記フルオロ脂肪族化合物の製造法に関しては、例えば、「フッ素化合物の合成と機能」(監修:石川延男、発行:株式会社シーエムシー、1987)の117〜118ページや、「Chemistry of Organic Fluorine Compounds II」(Monograph 187,Ed by Milos Hudlicky and Attila E.Pavlath,American Chemical Society 1995)の747〜752ページに記載されている。
テロメリゼーション法とは、ヨウ化物等の連鎖移動常数の大きいアルキルハライドをテローゲンとして、テトラフルオロエチレン等のフッ素含有ビニル化合物のラジカル重合を行い、テロマーを合成する方法である。具体例として、下記合成例1を示す。
Figure 2010001437
得られた、末端ヨウ素化テロマーは、通常、例えば下記合成例2のごとき適切な末端化学修飾を施され、フルオロ脂肪族化合物へと導かれる。これらの化合物は必要に応じ、さらに所望のモノマー構造へと変換され、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの製造に使用される。
Figure 2010001437
上記テロマー法によって合成されるモノマーとしては、下記一般式[TM−1]で表されるモノマーが好ましく、このようなモノマーを本発明の特定ポリマーに導入することができる。
Figure 2010001437
上記一般式[TM−1]中、Tは下記(T群)から選択される1種の基、Zは下記(Z群)から選択される1種の基、nは0から20の整数を表し、Zにおける二重結合により本発明の特定ポリマーに共重合することができる。
Figure 2010001437
Figure 2010001437
尚、上記一般式[TM−1]中、Zで表される基が、下記(Z’群)から選択される1種の基である化合物は、分子末端のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するため、ビニル重合により簡便に前述のフルオロ脂肪族化合物から誘導される基を側鎖に有するポリマー(即ち本発明におけるフッ素系ポリマー)を得ることができる為、特に好ましい。
Figure 2010001437
本発明における特定ポリマーの側鎖に導かれる化合物として好適な、上記テロマー法により製造された化合物の具体例(上記一般式[TM−1]で表されるモノマーを主成分とする化合物)としては、例えば、ダイキン化成品販売株式会社で販売されている、フッ素系化学製品A−1110,A−1210,A−1310,A−1420,A−1620,A−1820,A−2020,A−1260,A−1460,A−1660,A−1860,A−1435,A−1635,A−1835,A−1473,A−1637,A−1837,A−1514,A−3420,A−3620,A−3820,A−4020,A−3260,A−3460,A−3660,A−3860,A−3637,A−3837,A−5210,A−5410,A−5610,A−5810,A−7110,A−7210,A−7310,A−9211,C−1100,C−1200,C−1300,C−1400,C−1500,C−1600,C−1700,C−1800,C−1900,C−2000,C−5200,C−5400,C−5600,C−5800,C−5208,C−5408,C−5608,C−6008,C−8200,C−8300,C−8500,C−9211,C−8208,C−8308,C−8508,C−9216,E−1430,E−1630,E−1830,E−2030,E−3430,E−3630,E−3830,E−4030,E−5244,E−5444,E−5644,E−5844,F−1420,F−1620,F−1820,F−2020、I−1200、I−1300,I−1400,I−1600,I−1700,I−1800,I−2000,I−1420,I−1620,I−1820,I−2020,I−3200,I−3400,I−3600,I−3800,I−4000,I−3620,I−3820,I−4020,I−5200,I−5400,I−5600,I−8208,I−8207,I−8407,I−8607,M−1110,M−1210,M−1420,M−1620,M−1820,M−2020,M−3420,M−3620,M−3820,M−4020,M−3433,M−3633,M−3833,M−4033,M−5210,M−5410,M−5610,M−5810,M−6010,M−7210,M−7310,R−1110,R−1210,R−1420,R−1620,R−1820,R−2020,R−1433,R−1633,R−1833,R−3420,R−3620,R−3820,R−4020,R−3433,R−5210,R−5410,R−5610,R−5810,6010,R−7210,R−7310,U−1310,U−1710や、また、日本メクトロン株式会社にて製造される、CHEMINOX FA、FA−M,FAAC、FAAC−M,FAMAC、FAMAC−M等が挙げられる。
上記テロマー法により製造された化合物は、当業者間で公知の方法により、側鎖にフルオロ脂肪族基を有するポリマーへと容易に導くことができる。
本発明においては、オリゴメリゼーション法(オリゴマー法)により製造されたフルオロ脂肪族化合物も好ましい。オリゴメリゼーション法とはテトラフルオロエチレンをフッ化カリウムやフッ化セシウムなどを触媒として、ジグライム等の極性溶媒中でカチオン重合してオリゴマーを製造する方法である。具体例として、下記合成例3を示す。オリゴマー法によって得られるフルオロ脂肪族化合物は、先述のテロマー法による化合物と同様、重合により得られるオリゴマー中の反応性基(不飽和結合)等を利用し、適切な化学修飾を経て、フルオロ脂肪族化合物から誘導される基を側鎖に有するポリマー(即ち本発明におけるフッ素系ポリマー)に導くことができる。
Figure 2010001437
(b)(一般式I)で表される構成を有する置換基
本発明においては、インク表面への偏在性の観点から、下記(一般式I)の構成を有する重合性基を有することが好ましい。
Figure 2010001437
(一般式I)中、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基を、*は高分子鎖への連結部位を、Xは共有結合または2価の連結基(有機基)を、mは0以上の整数を、nは1以上の整数を表す。尚、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素上の官能基(即ち、隣り合う炭素にそれぞれ結合しているR同士やR同士)は結合して脂肪族環を形成してもよい。
なお、上記(一般式I)で表される構成を有する本発明におけるフッ素系特定置換基i−1)の中でも、(一般式I)における「n」が1〜10であるものが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2,3であることが特に好ましい。
すなわち、本発明におけるフッ素系ポリマーとしては、高分子鎖に結合する側鎖部分の構造が下記(一般式IB)で表される構造であり、特に、n=2,3であることが極めて良好な性能と安全性を両立することを見出した。
Figure 2010001437
((一般式IB)中、RおよびR、X、m、nはいずれも(一般式I)におけるRおよびR、X、m、nと同義である)
(一般式I)および(一般式IB)においてRおよびRで表される炭素数1〜4個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、RおよびRとして好ましくは水素原子、メチル基であり、より好ましくは水素原子である。
(一般式I)および(一般式IB)において、Xで表される共有結合とは、即ちポリマー主鎖と直接結合する場合を表す。また、2価の連結基(有機基)としては、−O−、−S−、−N(R)−、−CO−等が挙げられる。これらの中でも−O−がより好ましい。
また、上記Rは水素原子または炭素数1〜4個のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、Rとして好ましくは水素原子、メチル基である。
mは0以上の整数を表し、2〜8の整数が好ましく、m=2が特に好ましい。また、mが2以上の場合、互いに隣接する炭素上の官能基は結合して脂肪族環を形成してもよい。
nは1以上の整数を表し、1〜10の整数が好ましい。ここでnは、特に1〜4が好ましく、さらに本発明におけるフッ素系ポリマー中、nが2、3であることが好ましい。
(一般式I)において、*は高分子鎖との連結部位を表すが、当該高分子鎖としては、以下のような例が挙げられる。
具体的な形態としては、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、スチリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド縮合樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、無水マレイン酸/α−オレフィン樹脂、α−ヘテロ置換メタクリル樹脂などを用いることができる。その中でも、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、スチリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が有用であり、特にアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂が有用である。
本発明における(i)フッ素置換炭化水素基を有する特定ポリマーは、例えば、前記(a)フルオロ脂肪族基を有するモノマーや(b)前記(一般式I)で表される構成を有する置換基を有するモノマーを適宜選択し、縮重合または付加重合、開環重合等の、当業者にとって公知の方法で容易に得ることができる。また、更に必要に応じてこれらのモノマーを混合するか重合後のポリマーを混合することにより製造できる。
(重合性基を有するフッ素基含有モノマー)
本発明では、前記(a)または(b)に記載の置換基、および、重合性基を有するモノマーを用いて、本発明の特定ポリマーに共重合することができる。
前記(a)または(b)に記載の置換基、および、重合性基を有する好ましいモノマーとしては下記(一般式II)で表されるモノマーが挙げられる。
Figure 2010001437
(一般式II)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいメチル基または置換基を有してもよいエチル基を表す。また、RおよびR、X、m、nはいずれも(一般式IB)におけるRおよびR、X、m、nと同義である。
尚、(一般式II)においてRで表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
次いで、本発明に用いられる前記(一般式II)で表されるモノマーの具体例を以下に示す。
Figure 2010001437
Figure 2010001437
Figure 2010001437
Figure 2010001437
本発明における特定ポリマー(フッ素系ポリマー)の製造に用いるモノマーとしては、上記(一般式II)で表されるモノマーの中でも、(一般式II)における「n」が1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、2,3であることが特に好ましい。
−(ii)シロキサン骨格−
本発明のインク組成物に含有される特定ポリマーにおける特定部位である(ii)シロキサン骨格は、分子内にシロキサン骨格を有するものであれば、特に制限なく用いることができる。
シロキサン骨格としては、インク組成物の吐出安定性を上げ、インク組成物を塗膜としたときの表面偏析性を高くする観点から、下記構造式(A)で表される化合物(以下、「特定シロキサン化合物」ともいう)が重合したポリシロキサンであることが好ましい。構造式(A)中、Rはシロキサン結合のSi原子との連結基として導入される。
Figure 2010001437
前記構造式(A)中、Rは、炭素数が2〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、または下記構造式(B)で表される2価の連結基を示す。
Figure 2010001437
前記構造式(B)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、nは、1〜50の整数を表わす。
前記構造式(A)中、x、xおよびxは、それぞれ、x、xおよびxの合計が1〜100となる整数である。yは、1〜10の整数である。
前記構造式(A)中、Xはなくてもよく、ある場合は、下記構造式Cで表わされる二価の基である。
Figure 2010001437
前記構造式(C)中、Zは、酸素原子、硫黄原子またはNRを表わし、Rは、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
前記構造式(C)中、Zは、前記構造式(A)におけるRに結合する。
前記構造式(C)中、Rは、脂肪族または脂環族ジイソシアナート構造を含む炭素数6〜10の2価の基を表す。
前記構造式(A)中、Yは、下記構造式(D)〜下記構造式(F)で表される1価の基を表す。
Figure 2010001437
Figure 2010001437
Figure 2010001437
前記構造式(D)〜(F)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表わし、Rは、直鎖状または分枝鎖状の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Rは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基を表わす。
前記構造式(A)中、Zは下記の構造で表される1価の基を表す。
Figure 2010001437
上記構造中、zは3〜100の整数を表し、好ましくは5〜50、より好ましくは7〜20の整数である。
−(iii)長鎖アルキル基−
本発明のインク組成物に含有される特定ポリマーにおける特定部位である(iii)長鎖アルキル基とは、下記一般式(1)における−C2n+1で表される置換基であり、一般式(I)に示される形式でポリマーに導入されることが好ましい。
Figure 2010001437
式(1)中、nは6〜40の整数を表し、10〜30が好ましく、12〜20が表面偏析性の観点でより好ましい。
Yは3価の連結基を表し、この連結基を介してポリマー側鎖に長鎖アルキル基が結合しうる。
このような一般式(1)で表される構造単位として好ましいものを下記一般式(1−2)に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010001437
一般式(1−2)中、n=6〜40の整数を表す。Wは2価の連結基を表し、Z、Z、Zはそれぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。
また、このような長鎖アルキル基を構造単位中に複数有していてもよく、その場合、Z、又は、Zの位置に連結基Wを介して長鎖アルキル基が結合する態様や、連結基Wが分岐構造を有し、その先端に別の長鎖アルキル基が連結している態様をとることができる。
上記Wとしては、炭素数1〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキレン、炭素数2〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルケニレン、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)、−OC(=O)−、−OC(=O)Ar−、−OC(=O)O−、−OC(=O)OAr−、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−SONR−、−SONAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ)、−OAr−アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−C(=O)Ar−、−C(=O)−、−SOO−、−SOOAr−、−OSO−、−OSOAr−、−NRSO−、−NArSO−、−NRC(=O)−、−NArC(=O)−、−NRC(=O)O−、−NArC(=O)O−、−OC(=O)NR−、−OC(=O)NAr−、−NAr−、−NR−、−N+RR’−、−N+RAr−、−N+ArAr’−、−S−、−SAr−、−ArS−、ヘテロ環基(ヘテロ原子としては例えば、窒素、酸素およびイオウ等を少なくとも1個以上含み、3ないし12員環の単環、縮合環)、−OC(=S)−、−OC(=S)Ar−、−C(=S)O−、−C(=S)OAr−、−C(=S)OAr−、−C(=O)S−、−C(=O)SAr−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)NR−、−ArC(=O)NAr−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)S−、−ArC(=S)O−、−ArO−、−ArNR−等が挙げられる。
なお、上記R、R’は、水素原子、直鎖または分岐のアルキル基、鎖状または環状のアルキル基、直鎖または分岐のアルケニル基、鎖状または環状のアルケニル基、直鎖または分岐のアルキニル基、鎖状または環状のアルキニル基を表し、Ar、Ar’はアリール基を表す。
このような連結基の中でも炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ)、−OAr−(アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−C(=O)−、−C(=O)Ar−、−S−、−SAr−、−ArS−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArO−、−ArNR−等が好ましく、炭素数6〜20のアリーレン(単環、複素環)、−C(=O)NR−、−C(=O)NAr−、−O−(アルキレンオキシ、ポリアルキレンオキシ)、−OAr−(アリーレンオキシ、ポリアリーレンオキシ)、−C(=O)O−、−C(=O)O−Ar−、−SAr−、−ArS−、−ArC(=O)−、−ArC(=O)O−、−ArC(=O)O−、−ArO−、−ArNR−等がより好ましい。
また、本発明において、上記Wで表される連結基としては、ここで挙げた連結基を2種類以上組み合わせたものであってもよい。
一般式(1−2)中、Z、Z、Zとしてはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘプタフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ドデシル等)、炭素数2〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルケニル基(例えばビニル、1−メチルビニル、シクロヘキセン−1−イル等)、炭素数2〜20のアルキニル基(例えば、エチニル、1−プロピニル等)、炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、アントリル等)、炭素数1〜20のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、テトラデカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、2−メトキシエトキシカルボニルオキシ基など)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ基など)、炭素数1〜20のカルバモイルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ等)、炭素数1〜20のカルボンアミド基(例えば、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N−メチルホルムアミド、ベンツアミド等)、炭素数1〜20のスルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ドデカンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド等)、炭素数1〜20のカルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N−メシルカルバモイル等)、炭素数0〜20のスルファモイル基(例えば、N−ブチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)スルファモイル等)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、オクチルオキシ、t−オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシ、ポリアルキレンオキシ等)、炭素数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、4−メトキシフェノキシ、ナフトキシ等)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル等)、
炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等)、炭素数1〜20のN−アシルスルファモイル基(例えば、N−テトラデカノイルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル等)、炭素数1〜20のN−スルファモイルカルバモイル基(例えばN−メタンスルホニルカルバモイル基など)、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクチルスルホニル、2−メトキシエチルスルホニル、2−ヘキシルデシルスルホニル等)、炭素数6〜20のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、4−フェニルスルホニルフェニルスルホニル等)、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基(例えば、エトキシカルボニルアミノ等)、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ、ナフトキシカルボニルアミノ等)、炭素数0〜20のアミノ基(例えばアミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、アニリノ、モルホリノ等)、炭素数3〜20のアンモニオ基(例えば、トリメチルアンモニオ基、ジメチルベンジルアンモニオ基など)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基(例えば、メタンスルフィニル、オクタンスルフィニル等)、炭素数6〜20のアリールスルフィニル基(例えば、ベンゼンスルフィニル、4−クロロフェニルスルフィニル、p−トルエンスルフィニル等)、炭素数1〜20のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、シクロヘキシルチオ等)、炭素数6〜20のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等)、炭素数1〜20のウレイド基(例えば、3−メチルウレイド、3,3−ジメチルウレイド、1,3−ジフェニルウレイド等)、炭素数2〜20のヘテロ環基(ヘテロ原子としては例えば、窒素、酸素およびイオウ等を少なくとも1個以上含み、3ないし12員環の単環、縮合環で、例えば、2−フリル、2−ピラニル、2−ピリジル、2−チエニル、2−イミダゾリル、モルホリノ、2−キノリル、2−ベンツイミダゾリル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル等)、炭素数1〜20のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル等)、炭素数0〜20のスルファモイルアミノ基(例えば、N−ブチルスルファモイルアミノ、N−フェニルスルファモイルアミノ等)、炭素数3〜50のシリル基(例えば、トリメチルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、トリフェニルシリル等)、アゾ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)が挙げられる。
また、上記Z〜Zが水素原子、またはハロゲン原子以外の場合、これらはさらに置換基を有していてもよく、その置換基の例としては上記具体例として挙げた如き置換基が挙げられる。
上記Z〜Zとしては、水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のカルボンアミド基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数0〜20のアミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、炭素数1〜20の直鎖または分岐、鎖状または環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数0〜20のアミノ基、シアノ基、ハロゲン原子がより好ましい。
上記一般式(1−2)で表される構造単位は、インク表面への偏析性の観点から、さらに下記一般式(1−3)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 2010001437
一般式(1−3)中、n=6〜40の整数を表し、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
Wは上記一般式(1−2)で挙げたものと同義である。以下に、このようなWで表される2価の置換基として、インク表面への偏析性の観点から特に好ましい具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010001437
は上記一般式(1−2)で挙げたものと同義である。以下に、このようなZで表される1価の有機基として、インク組成物中の安定溶解性の観点から特に好ましい具体例を挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010001437
ここで、本発明における長鎖アルキル基を有する構造単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010001437
Figure 2010001437
本発明における、(i)フッ素置換炭化水素基、(ii)シロキサン骨格および(iii)長鎖アルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造(特定部位)の特定ポリマー中の含有量は、それぞれ3質量%〜50質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜40質量%であり、更に好ましくは5質量%〜30質量%である。上記範囲とすることで、特定部位を有する該ポリマーをインク組成物内にて効率的に表面偏析させることができる。
−重合性基−
前記(A)特定ポリマーは、さらに、重合性基を含有してもよい。重合性基を含有することで、インク組成物の硬化性がより向上し、表面のべたつきがより抑制され、ブロッキング性が更に改善する。
前記(A)特定ポリマーに含まれる重合性基は、ラジカル重合性基がよい。
前記(A)特定ポリマーの末端に導入される重合性基の数としては、好ましくは2つ以上であり、より好ましくは4以上、更に好ましくは8以上である。
ラジカル重合性基としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基が挙げられ、ポリマー側鎖にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する置換基であればどのようなものでもよい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性基の例としては、アクリル酸エステル基、メタクリル酸エステル基、イタコン酸エステル基、クロトン酸エステル基、イソクロトン酸エステル基、マレイン酸エステル基等の不飽和カルボン酸エステル基、およびスチレン基等のラジカル重合性基が挙げられる。中でも、メタクリル酸エステル基、アクリル酸エステル基が好ましい。
ラジカル重合性基を特定ポリマーに導入する方法としては、ラジカル重合性基の二重結合を保護基を用いて反応を封止し、共重合させ、保護基を取り除いて二重結合とする方法や、ラジカル重合性基を有する低分子化合物を特定ポリマーに高分子反応で導入する方法が挙げられる。
前記(A)特定ポリマー中、重合性基を有する構造単位の含有率は、ブロッキング抑制性能と柔軟性維持の観点から、好ましくは5mol%〜90mol%であり、より好ましくは10mol%〜60mol%であり、更に好ましくは15mol%〜60mol%である。
本発明のインク組成物に含有される(A)特定ポリマーの主鎖構造としての好ましい態様は、メタクリル樹脂またはアクリル樹脂である。
以下に、チオール基と、側鎖にフッ素置換炭化水素基、シロキサン骨格、および長鎖アルキル基から選択される少なくとも1つの部分構造と、を有する本発明の(A)特定ポリマーの具体例を挙げる。尚、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2010001437
Figure 2010001437
本発明における(A)特定ポリマーの重量平均分子量は、吐出性と感度、粘度の観点から、3000〜100,000であり、好ましくは5,000〜80,000であり、より好ましくは10,000〜70,000である。
本発明のインク組成物には、前記(A)特定ポリマーを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明のインク組成物に含有される(A)特定ポリマーの含有量は、インク組成物全固形分中、0.2〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましく、0.2〜1.5質量%が更に好ましい。
上記範囲とすることで、表面硬化性およびブロッキング抑制に優れ、かつ、吐出可能な表面張力(22mN/m〜28mN/m)と適度な粘度が得られる。
<(B)光重合開始剤>
本発明のインク組成物は、(B)光重合開始剤を含有する。
(B)光重合開始剤としては、公知の重合開始剤を、併用する重合性化合物の種類、インク組成物の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。
本発明のインク組成物に使用する(B)光重合開始剤は、外部エネルギー(光)を吸収して重合開始種を生成する化合物である。光には、活性放射線、すなわち、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。
(B)光重合開始剤は公知の化合物が使用できるが、本発明で使用し得る好ましい(B)光開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。
本発明において(B)光重合開始剤は単独で用いてもよいし、併用してもよい。効果の観点からは、2種以上の(B)光開始剤を併用することが好ましい。
本発明に用いる(B)光重合開始剤としては具体的には例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、4、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、1,2−オクタンジオン、1−(4−(フェニルチオ)−2,2−(O−ベンゾイルオキシム))等が挙げられる。さらに、これら以外の分子開裂型開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用してもよい。さらに、水素引き抜き型光開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
本発明における(B)光重合開始剤の含有量は、本発明のインク組成物の全固形分に対して、1質量%〜50質量%の範囲が好ましく、2質量%〜40質量%の範囲がより好ましく、5質量%〜35質量%の範囲が更に好ましい。
<(C)重合性化合物>
本発明のインク組成物は、(C)重合性化合物を含有する。(C)重合性化合物は、ラジカル重合性化合物である。
本発明に適用しうるラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。好ましくは2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、トリデシルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のアクリル酸誘導体;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体;その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体、が挙げられる。更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
これらのアクリレート類及びメタクリレート類の中でも、硬化性と硬化後の膜物性の観点から、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート等のエーテル酸素原子を有するアルコールのアクリレートが好ましいものとして挙げられる。また、同様の理由から、脂環構造を有するアルコールのアクリレートも好ましく、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート等のビシクロ環構造又はトリシクロ環構造を有するアクリレートが好ましいものの具体例として挙げられ、中でも、脂環構造内に二重結合を有する、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートが特に好ましいものとして挙げられる。
また、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号、特表2004−514014公報等の各公報に記載されている光重合性組成物に用いられる光硬化型の重合性化合物が知られており、これらも本発明のインク組成物に適用することができる
更に、ラジカル重合性化合物としては、ビニルエーテル化合物を用いることが好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、Rapi−Cure DVE−3、Rapi−Cure DVE−2(いずれも、ISP Europe製)、等の市販品を用いることもできる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、接着性、表面硬度の観点から、ジビニルエーテル化合物、トリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
また、他の重合性化合物としては、(メタ)アクリル系モノマー或いはプレポリマー、エポキシ系モノマー或いはプレポリマー、ウレタン系モノマー或いはプレポリマー等の(メタ)アクリル酸エステル(以下、適宜、アクリレート化合物と称する。)を用いてもよく下記に示す化合物が化合物例として挙げられる。
即ち、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートトリレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ラクトン変性可撓性アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラクトン変性アクリレート、等が挙げられる。
これらのアクリレート化合物は、UV硬化型インクに用いられてきた重合性化合物として、皮膚刺激性や感作性(かぶれ易さ)が小さく、比較的低粘度で安定したインク吐出性が得られ、重合感度、被記録媒体との接着性が良好であるため好ましい。
ここで他の重合性化合物として列挙されているモノマーは、低分子量であっても感作性が小さいものであり、かつ、反応性が高く、粘度が低く、記録媒体への接着性に優れる。
感度、滲み、被記録媒体との接着性をより改善するためには、他の重合性化合物成分として、モノアクリレートと、分子量400以上、好ましくは500以上の多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーを併用することが好ましい態様である。
特に、PETフィルムやPPフィルムといった柔軟な被記録媒体への記録に使用するインク組成物においては、上記化合物群の中から選ばれるモノアクリレート、前述の特定ヘテロ環式化合物から選択される1種と、他の重合性化合物から選択される多官能アクリレートモノマー又は多官能アクリレートオリゴマーとの併用は、膜に可撓性を持たせて接着性を高めつつ、膜強度を高められるため好ましい。
更に、単官能、二官能、三官能以上の多官能モノマーの少なくとも3種の重合性化合物を併用する態様が、安全性を維持しつつ、更に、感度、滲み、被記録媒体との接着性をより改善することができるという観点から、好ましい態様として挙げられる。
モノアクリレートとしてはステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミスチルアクリレート、イソステアリルアクリレートが感度も高く、低収縮性でカールの発生を防止できるとともに、滲み防止、印刷物の臭気、照射装置のコストダウンの点で好ましい。
モノアクリレートと併用しうるオリゴマーとしては、エポキシアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましい。
なお、メタクリレートは、皮膚低刺激性がアクリレートより良好である。
上記化合物の中でもアルコキシアクリレートを70質量%以下の量で使用し、残部をアクリレートとする場合、良好な感度、滲み特性、臭気特性を有するため好ましい。
また、本発明に用いるラジカル重合性化合物として、硬化速度、硬化後の柔軟性および被記録媒体への密着性の観点から、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物が好ましく、窒素原子を含有する(メタ)アクリレート、または、N−ビニルラクタム類から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明に使用しうる、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物としては、「分子内にアミド基又はラクタム環を有し、該アミド基又はラクタム環が有する窒素原子がビニル基により置換された構造を有するN−ビニルアミド類」、「分子内にアミド基を有する化合物」、及び「分子内に3級アミン構造を有する(メタ)アクリレート」より選択される化合物が挙げられる。
分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物としては、硬化後における硬化膜の物性、硬化膜と被記録媒体との密着性の観点から、アミド基又はラクタム環が有する窒素原子がビニル基により置換された構造を有するN−ビニルアミド類であることが好ましい。N−ビニルアミド類の中でも、安全性や入手性の観点からは、ラクタム環が有する窒素原子がビニル基により置換された構造を有するN−ビニルラクタム類がより好ましい。
分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物が、N−ビニルラクタム類である場合、該N−ビニルラクタム類が、有するラクタム環の員数は、化合物の安定性、インク組成物への溶解性、入手性等の観点から、5〜7であることが好ましくい。このようなN−ビニルラクタム類として具体的には、5員環構造を有するN−ビニルピロリドン、又は7員環構造を有するN−ビニルカプロラクタムが好ましく、N−ビニルカプロラクタムが特に好ましい。
また、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物として用いうるN−ビニルアミド類の他の例としては、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、等が挙げられる。
一方、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物として用いうる、分子内に3級アミン構造を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−メタクリルオキシピペリジン(日立化成工業製のFA−711MM)、アミン変性アクリレート類(例えば、Sartomer社製のCN2100、CN501、CN550、CN551など)が好ましいものとして挙げられる。
また、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物として用いうる、分子内にアミド基を有する化合物としては、例えば、4−アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド、ジイソプロピルアクリルアミド、等が挙げられる。
本発明のインク組成物における、分子内に窒素原子と重合性不飽和結合を有する化合物の含有量は、硬化速度、硬化膜と被記録媒体との密着性、及び、硬化後における硬化膜の膜物性の観点から、インク組成物全体の質量に対して、1質量%〜35質量%の範囲であることが好ましく、3質量%〜30質量%の範囲がより好ましく、5質量%〜26質量%の範囲が更に好ましい。
本発明のインク組成物におけるラジカル重合性化合物は、硬化速度、硬化膜の被記録媒体への密着性、及び、硬化後の膜物性の観点から、インク組成物全固形分中、60質量%〜90質量%の範囲であることが好ましく、65質量%〜90質量%の範囲がより好ましく、70質量%〜85質量%の範囲が更に好ましい。また、塗膜の柔軟性を維持するため多官能モノマーの添加量は、インク組成物全固形分中0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。
<着色剤>
本発明のインク組成物は、着色剤を添加することで、可視画像を形成することができる。例えば、平版印刷版の画像部領域を形成する場合などには、必ずしも添加する必要はないが、得られた平版印刷版の検版性の観点からは着色剤を用いることも好ましい。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の色材、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。染料としては、水溶性染料及び油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
(顔料)
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青あるいはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCOPb(OH)、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインク組成物は、放射線硬化型のインクであり、インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、重合性化合物を用い、なかでも、最も粘度が低いラジカル重合性化合物を選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
顔料の平均粒径は、0.02〜0.4μmにするのが好ましく、0.02〜0.1μmとするのがさらに好ましく、より好ましくは、0.02〜0.07μmの範囲である。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
(染料)
本発明に用いる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
本発明に用いる染料は、インク組成物に必要量溶解させるために上記記載の染料母核に対して油溶化基を導入することも好ましい。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基及びこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
前記油溶性染料としては、融点が200℃以下のものが好ましく、融点が150℃以下であるものがより好ましく、融点が100℃以下であるものが更に好ましい。融点が低い油溶性染料を用いることにより、インク組成物中での色素の結晶析出が抑制され、インク組成物の保存安定性が良くなる。
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が貴である(高い)ことが望ましい。このため、本発明で用いる油溶性染料として、酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であるものが好ましく用いられる。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)以上のものがより好ましく、1.15V(vs SCE)以上のものが特に好ましい。
イエロー色の染料としては、特開2004−250483号公報の記載の一般式(Y−I)で表される構造の化合物が好ましい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
マゼンタ色の染料としては、特開2002−114930号公報に記載の一般式(3)、(4)で表される構造の化合物が好ましく、具体例としては、特開2002−114930号公報の段落[0054]〜[0073]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
シアン色の染料としては、特開2001−181547号公報に記載の式(I)〜(IV)で表される染料、特開2002−121414号公報の段落番号[0063]から[0078]に記載されている一般式(IV−1)〜(IV−4)で表される染料が好ましいものとして挙げられ、具体例として特開2001−181547号公報の段落番号[0052]から[0066]、特開2002−121414号公報の段落番号[0079]から[0081]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
(酸化電位)
本発明における染料の酸化電位の値(Eox)は、当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著”New Instrumental Methods in Electrochemistry”(1954年, Interscience Publishers社刊)や、A.J.Bard他著”Electrochemical Methods”(1980年、John Wiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著”電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10−2〜1×10−6モル/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィー装置により、作用極として炭素(GC)を、対極として回転白金電極を用いて酸化側(貴側)に掃引したときの酸化波を直線で近似して、この直線と残余電流・電位直線との交点と、直線と飽和電流直線との交点(又はピーク電位値を通る縦軸に平行な直線との交点)とで作られる線分の中間電位値をSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。また、用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。用いることができる支持電解質や溶媒については藤嶋昭他著”電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)101〜118ページに記載がある。
着色剤はインク組成物中、固形分換算で1質量%〜20質量%添加されることが好ましく、2質量%〜10質量%がより好ましい。
着色剤の含有量を1質量%以上であると色濃度が足らないことがなく、20質量%以下であると硬化性が低下しない傾向となり好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5質量%〜15質量%程度である。
<増感剤>
本発明のインク組成物には、感光波長の長波長化の目的で、必要に応じ、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、光酸発生剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものであれば、何れでもよい。
<酸化防止剤>
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1質量%〜8質量%程度である。
<褪色防止剤>
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1質量%〜8質量%程度である。
<導電性塩類>
本発明のインク組成物には、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
<溶剤>
本発明のインク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜3質量%の範囲である。
<高分子化合物>
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、前記特定ポリマーとは異なる各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。さらに、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
<界面活性剤>
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明のインク組成物は、射出性を考慮し、射出時の温度において、インク粘度が7〜30mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは7〜20mPa・sであり、上記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。なお、25〜30℃でのインク粘度は、35〜500mPa・s、好ましくは35〜200mPa・sである。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を防ぎ、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となり、更にインク液滴着弾時のドット滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。25〜30℃におけるインク粘度が35mPa・s未満では、滲み防止効果が小さく、逆に500mPa・sより大きいと、インク液のデリバリーに問題が生じる。
本発明のインク組成物の構成成分として好ましい組合せは、各構成成分の好ましい例の組合せがより好ましい。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20mN/m〜30mN/m、更に好ましくは23mN/m〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
このようにして調製された本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インクとして用いられる。インクジェット記録用インクとして用いる場合には、インク組成物をインクジェットプリンターにより被記録媒体に射出し、その後、射出されたインク組成物に放射線を照射して硬化して記録を行う。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が紫外線などの放射線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
(インク組成物の好ましい態様)
本発明のインク組成物をインクジェット記録用インクとして使用する場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40℃〜80℃、好ましくは25℃〜30℃)において、粘度が、好ましくは7mPa・s〜30mPa・sであり、より好ましくは7mPa・s〜20mPa・sである。例えば、本発明のインク組成物の室温(25℃〜30℃)における粘度は、好ましくは35〜500mPa・s、より好ましくは35mPa・s〜200mPa・sである。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20mN/m〜30mN/m、より好ましくは23mN/m〜28mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲みおよび浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで30mN/m以下が好ましい。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録用インクとして好適に用いられる。インクジェット記録用インクとして用いる場合には、インク組成物をインクジェットプリンターにより被記録媒体に射出し、その後、射出されたインク組成物に放射線を照射して硬化して記録を行う。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が紫外線などの放射線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
〔インクジェット記録方法〕
次に、本発明に好適に採用され得るインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置について、以下説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、被記録媒体上に、上記した本発明のインク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、吐出されたインク組成物に、活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程とを含むことを特徴とする。
インクジェット記録方法においては、上記インク組成物を40℃〜80℃に加熱して、インク組成物の粘度を7mPa・s〜30mPa・sに下げた後、射出することが好ましく、この方法を用いることにより高い射出安定性を実現することができる。一般に、放射線硬化型インク組成物では、概して水性インクより粘度が高いため、インク射出時の温度変動による粘度変動幅が大きい。このインク組成物の粘度変動は、そのまま液滴サイズ、液滴射出速度に対して大きな影響を与え、これにより画質劣化を引き起こすため、インク射出時のインク組成物温度はできるだけ一定に保つことが必要である。インク組成物温度の制御幅は設定温度±5℃とすることが好ましく、より好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
インクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが一つの特徴であり、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
次に、放射線の照射条件について述べる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
また本発明では、インク組成物を一定温度に加温するとともに、着弾から照射までの時間を0.01秒〜0.5秒とすることが望ましく、好ましくは0.01秒〜0.3秒、更に好ましくは0.01秒〜0.15秒後に放射線を照射することにある。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインク組成物が浸透する前に露光することができる為、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができる。上記説明したインクジェット記録方法と本発明のインク組成物とを併せて用いることにより、大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35MP・s〜500MP・sのインク組成物を用いると大きな効果を得ることが出来る。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加及び臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。また、照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光する方が、硬化促進の観点で好ましい。
本発明に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて被記録媒体へ記録することができる。
(被記録媒体)
本発明のインク組成物を適用しうる被記録媒体としては、特に制限はなく、通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料あるいは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他、被記録媒体材料として使用しうるプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが挙げられる。また、金属類や、ガラス類も被記録媒体として使用可能である。
本発明のインク組成物は、硬化時の熱収縮が少なく、基材(被記録媒体)との密着性に優れるため、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいフィルム、例えば、熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムなどにおいても、高精細な画像を形成しうるという利点を有する。
〔印刷物〕
本発明の印刷物は、上記のインクジェット記録方法(本発明のインクジェット記録方法)によって、本発明のインク組成物により画像が形成されたものである。
そのため、耐擦過性に優れ、表面のべとつきが抑制された画像を有する印刷物となる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
《(A)特定ポリマーa−1の合成方法》
・2−ブタノン 202g
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート 46.9g
・FM−0711 40.0g
(信越化学社製、シリコーンメタクリレート)
・V−601(和光純薬社製、光開始剤) 1.38g
上記化合物をDean−stark装置を付けた500ml三つ口フラスコに仕込み、80度で4時間反応させた。その後V−601を1.38g添加し、さらに4時間反応させた。大量の水中へ注ぎ、アセトン溶解し水への再沈精製を2度行った。減圧乾燥後、トルエン150g、ポリマー中の水酸基に対して1.2当量の2−メルカプトイソブタン酸(52g)、0.02当量のp−トルエンスルホン酸・1水和物(1.7g)を添加し、140度で2時間反応させ、p−トルエンスルホン酸・1水和物(1.7g)を追加し、さらに6時間反応させた。その後p−トルエンスルホン酸・1水和物(1.7g)を追加し、さらに2時間反応させた後、放冷し、大量の水中へ注ぎ再沈を行った。さらにアセトンに溶解し再沈精製を2回行い、室温で減圧乾燥することで(A)特定ポリマー(化合物a−1) 118gを得た。
(A)特定ポリマー(a−2)〜(a−7)の合成方法について
《(A)特定ポリマー(a−2)の合成方法》
特定ポリマー(a−1)の合成方法におけるFM−0711(40.0g)をTM−0701(16.9g)に置き換え、重合した以外は、上記合成方法と同様にして、特定ポリマー(a−2) 92gを得た。
《(A)特定ポリマー(a−3)の合成方法》
特定ポリマー(a−1)の合成方法におけるFM−0711(40.0g)をM−1620(ダイキン工業社製)(17.3g)に置き換えた以外は、上記合成方法と同様にして、特定ポリマー(a−3) 90gを得た。
《(A)特定ポリマー(a−4)の合成方法》
M−1620(ダイキン工業社製)(17.3g)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(17.3g)、FA−513M(日立化成社製)(31.4g)を用いて重合を行った以外は、特定ポリマー(a−1)の合成方法と同様にして、特定ポリマー(a−4) 94gを得た。
《(A)特定ポリマー(a−5)の合成方法》
ステアリルメタクリレート(27.1g)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(41.6g)を用いて重合を行った以外は、特定ポリマー(a−1)の合成方法と同様にして、特定ポリマー(a−5) 91gを得た。
《(A)特定ポリマー(a−6)の合成方法》
ドデシルメタクリレート(20.4g)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(26.0g)、イソボルニルメタクリレート(26.7g)を用いて重合を行った以外は、特定ポリマー(a−1)の合成方法と同様にして、特定ポリマー(a−6) 84.1gを得た。
《(A)特定ポリマー(a−7)の合成方法》
FM−0711(40.0g)、クロロメチルスチレン(54.9g)、を用いて重合を行い、2−メルカプトイソブタン酸、p−トルエンスルホン酸・1水和物の代わりに1,3,4−チアジアゾールー2,5−ジチオール 54g、DBU(1、8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕−7−ウンデセン) 54gを使用した以外は、特定ポリマー(a−1)の合成方法と同様にして、特定ポリマー(a−7) 91gを得た。
《(A)特定ポリマー(a−8)の合成方法》
・MEK(メチルエチルケトン) 23g
・FM−0711 10.0g
・MMA(メチルメタクリレート) 90.0g
・Cu(I)Br 0.29g
・α、α’−ジブロモ−p−キシレン 0.26g
・1,1,4,7,7−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)
0.35g
を仕込み、窒素気流下で16時間反応させ末端にBr基を持つポリマーを得た。大量の水/メタノール=5/5中へ注ぎ、アセトン溶解、水/メタノール=5/5で再沈を2回行った後、室温で一晩減圧乾燥した。THF(テトラヒドロフラン)にポリマー15gを5wt%となるように溶解し、ペンタエリトリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオナート)を0.23g、DBU 0.5gを添加し、室温で24時間反応させた後、水へ再沈精製したのち減圧乾燥し、特定ポリマー(a−8) 70gを得た。
(実施例1)
《インク組成物の調製》
下記成分を混合したものを、目開き2μmのフィルターで濾過することにより実施例1のインク組成物を得た。なお、このインク組成物のインクの吐出温度(45℃)での粘度は、10mPa・sであった。
・フェノキシエチルアクリレート 36質量部
・Actilane 421
(Akcros社製、アクリレートモノマー) 2.0質量部
・n−ビニルカプロラクタム 32質量部
・Solsperse 32000(Noveon社製、分散剤)0.4質量部
・Cinquasia Mazenta RT−355D 3.6質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製、顔料)
・Genorad 16(Rahn社製、安定剤) 0.05質量部
・Rapi−Cure DVE−3
(ISP Europe社製、ビニルエーテル) 8.0質量部
・Lucirin TPO(BASF社製、光重合開始剤) 8.5質量部
・ベンゾフェノン(光重合開始剤) 4.0質量部
・Irgacure 184 4.0質量部
(Ciba Specialty Chemicals社製、光重合開始剤)
・Byk 307(BYK Chemie社製、消泡剤) 0.05質量部
・特定ポリマーa−1(前記合成例で得た化合物) 0.9質量部
《実施例2〜8および比較例1のインク組成物の調製》
実施例1のインク組成物の調製工程において、(A)特定ポリマー(a−1)を、下記表1に示すポリマーに代え、またはポリマーを用いなかった他は、実施例1と同様にして、実施例2〜8および比較例1のインク組成物を調製した。
《インクジェット画像記録》
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱および加温を行った。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に70℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8pl〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度100mW/cmに集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度および射出周波数を調整した。また、露光時間を可変とし、露光エネルギーを照射した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
次に放射線の照射条件について述べる。基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO99/54415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明においては、これらの照射方法を用いることが可能である。
照射する放射線としては、特に制限なく、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含する活性放射線であるが、特に波長230nm〜420nmの紫外線が好ましい。光源としては、有極または無極の水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯の他、同波長領域の発光ダイオード(UV−LED)を用いることができる。UV−LEDを使用する場合、発光チップのエネルギーパワーにより、複数個を直線状または3次元状に並べ、マルチ・アレーとして使用される。
メディアとの距離及び搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01J/cm〜15J/cmの間で調整することができる。照射時間は、紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなるまでとした。また、被記録媒体としては、軟質塩化ビニルシートを用いた。
この条件で、インクの転写感度、吐出安定性、延伸率、及びインクを用いて形成した画像のブロッキング感度、耐擦過性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1中の各評価項目の測定・評価方法は以下の通りである。
(転写感度の測定)
紫外線照射後の画像面において、粘着感の無くなる露光エネルギー量(mJ/cm)を感度と定義した。数値が小さいものほど高感度であることを表す。
転写感度の許容範囲はラジカル系インクでは750mJ/cm以下であり、350mJ/cm以下であることが好ましい。
(ブロッキング感度評価)
紫外線照射後の形成した画像上に、PET(サイズ:縦横共に画像形成した軟質塩化ビニルシートと同サイズ、重さ:2g/枚)を500枚重ね載せ、一日放置し、PETへの転写を目視評価した。転写が無い場合を○、転写がある場合を×で評価。
ブロッキング感度の許容範囲はラジカル系インクでは12000mJ/cm以下であり、6000mJ/cm以下であることが好ましい。
(耐擦過性評価)
軟質塩化ビニルシートを消しゴム(ホシヤ製K−50 Plastic Eraser Keep)で擦り、消しゴムへの転写を評価した。評価基準は下記のとおりである。
−評価基準−
○ 転写が無い
× 転写がある
(延伸率評価)
積算露光量12000mJ/cm、照度 2140mW/cmとし、支持体をFassonPE(Fasson社製ポリエチレンフイルム:膜厚100um)を用いる以外は、タックフリ感度と同様にして、硬化膜を作成した。得られた硬化膜を軸長5cm×幅2.5cmにカットし、引っ張り試験機(島津社製)を用いて、速度30cm/minで延伸させ、硬化膜が破断する伸び率を測定した。初期長から2倍の長さまで伸びた状態を伸び率100%と定義した。ラジカル系インクでの延伸率の許容範囲は200%以上であり、300%以上であることが好ましい。
(吐出安定性の評価)
インクのヘッドノズルでの吐出安定性を評価するために、下記の条件でピエゾ型インクジェットノズルを有する市販のインクジェット記録装置により60分連続吐出におけるノズルロス個数の評価を行った。
実験は、PET基板上にインク組成物を吐出して露光(露光量:1000mW/cm)を行った場合のノズルロス数(ノズルが詰まってしまった数)を数えた。ノズルロスが0〜5個の場合○、ノズルロスが5〜10個を△、10以上を×とした。
チャンネル数:318/ヘッド
駆動周波数:4.8kHz/dot
インク滴:7滴、42pl
温度:45℃
Figure 2010001437
表1から、実施例1〜8の(A)特定ポリマーを含有するインク組成物はいずれも、高感度で硬化し、ブロッキング性および耐擦過性に優れていることがわかる。
対して、(A)特定ポリマーを含有しない比較例1は極めて感度が悪く、ブロッキング感度、耐擦過性にも劣っていることがわかる。

Claims (6)

  1. (A)チオール基と、側鎖に(i)フッ素置換炭化水素基、(ii)シロキサン骨格、および(iii)長鎖アルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの部分構造と、を含むポリマー、(B)光重合開始剤、および(C)重合性化合物を含有するインク組成物。
  2. 前記(A)ポリマーの主鎖に、前記チオール基を有する請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記(A)ポリマーの側鎖に、前記チオール基を有する請求項1に記載のインク組成物。
  4. インクジェット記録用である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインク組成物。
  5. 被記録媒体上に、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物をインクジェット記録装置により吐出する工程と、
    吐出されたインク組成物に活性放射線を照射してインク組成物を硬化する工程と、
    を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 請求項5に記載のインクジェット記録方法によって記録された印刷物。
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