JP2010018718A - 水性インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
(a)下記一般式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体と、
(b)着色剤と、
(c)水
を含有することを特徴とする水性インキ組成物。
(化1)
Z−{O−[(AO)a−(EO)b]−R}2 (I)
(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。aおよびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【選択図】なし
Description
しかしながら、水性筆記具の場合、その水分が蒸発すると、例えば筆記具の先端においてインク中の溶解物や混合物が濃縮、析出、乾燥固化して目詰まり、インキの粘度上昇を引き起こし、再筆記時に支障が生じる問題があった。そこで乾燥抑制剤として、エチレングリコールやグリセリンのような多価アルコールなどの水溶性高沸点有機溶剤が用いられている。しかしながら、前記水溶性高沸点有機溶剤は一般に高い粘度を有する化合物である。一方、筆記具などに用いるインキは、ペン先やオリフィス等毛細管を通過して吐出するものである。したがって、インキに対し前記水溶性有機溶剤を使用できる量には限度があり、その限度内の使用量では充分に蒸発した水分を補うことができなかった。
(化2)
Z−{O−[(AO)a−(EO)b]−R}2 (I)
(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。aおよびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
(a)ブロック型アルキレンオキシド誘導体
本発明にかかる水性インキ組成物は、下記一般式(I)で示される特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシド−ダイマージオールエーテルを含むものである。
Z−{O−[(AO)a−(EO)b]−R}2 (I)
式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基である。AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、例として、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシt−ブチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、さらに好ましくはオキシブチレン基である。これらの付加形態はブロック状である。
また、オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基の付加形態はブロック状である。ランダム状であると、かすれのなさに劣る。付加順序はダイマージオールに対して、AO、EOの順で結合しているのが好ましい。
本発明に用いられるダイマージオールの原料となるダイマー酸は、例えば、不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルを重合することによって得られる二量体である。具体的にはオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸又はこれらの低級アルコールのエステルをディールス・アルダー反応のような熱重合により反応させる方法又はその他の反応方法によって合成できる。生成したダイマー酸中に本発明の効果を損なわない範囲であれば未反応の脂肪酸が残っていても構わない。
ダイマージオールは、動物油脂由来及び植物油脂由来のものが流通している。本発明ではいずれも使用できるが、植物油脂由来のものがより好ましい。このようなダイマージオールとしては、コグニス・ジャパン社製Sovermol 908、ユニケマ社製PRIPOL 2033、東亞合成(株)製ぺスポールHP−1000などが例示できる。
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略であり、以下、このように略して記載することがある。また、上記POE、POP、POBの付加モル数は、それぞれ分子中の総付加モル数であり、すなわち、2×a,2×bの値として表記している。
本発明に用いる着色剤としては特に限定されず、従来水性顔料インキ組成物に用いられている無機系、有機系顔料、および染料の中から任意のものを1種又は2種以上を使用することができる。具体的には無機系顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、金属粉等、有機系顔料としては、不溶性アゾ系顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、ジオキサジン系顔料等、また染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等が挙げられる。
本発明にかかる水性インキ組成物においては、溶剤として主に水が用いられる。用いる水は特に限定されず、具体的には精製水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
上記インキ組成物中の水の配合量は、通常水性インキ組成物全量に対し、25〜90質量%である。25質量%未満では配合による効果の発現が十分ではない場合があり、90質量%を越えると他の成分の配合量が減少し、それゆえ効果が低下する場合がある。
本体からキャップを外して温度;24℃、湿度;50%の環境下で、筆記可能な時間を測定した。評価基準は以下の通りである。
◎…60時間以上。
○…48〜60時間未満。
△…24〜48時間未満。
×…24時間以下。
本体からキャップを外して温度;24℃、湿度;50%の環境下で、24時間後にパネラー10名が手書き筆記し、その筆記感を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎…パネラー8名以上が、かすれのない書き味と認めた。
○…パネラー6名以上8名未満が、かすれのない書き味と認めた。
△…パネラー3名以上6名未満が、かすれなのない書き味と認めた。
×…パネラー3名未満が、かすれのない書き味と認めた。
筆記直後に筆跡を1分間水に浸漬したときのインキのにじみ出しおよび筆記紙の汚れの有無を観察する。
◎…インキにじみ出しおよび筆記紙汚れ無し。
○…インキにじみ出しわずかに有り、筆記紙汚れ無し。
△…インキにじみ出し多い、筆記紙汚れ有り。
×…筆記線がほとんど残らない
<アルキレンオキシド誘導体の合成例>
POB(18モル)POE(41モル)ジメチルダイマージオールエーテル(表1 化合物1)
Z−{O−[(AO)a−(EO)b]−R}2
(Z;炭素数36のダイマージオール(リノール酸由来)残基、AO;オキシブチレン基、2×a=18、2×b=41、R=メチル基、EO/(AO+EO)=58.2質量%)
ダイマージオール270g(0.50モル、商品名:コグニス・ジャパン(株)製Sovermol 908、リノール酸由来のダイマージオール)と水酸化カリウム6.0gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃にて触媒を完全に溶解させた。引き続き、120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて、滴下装置よりブチレンオキシド650gを滴下させ、3時間撹拌した。続いて120℃、0.2〜0.5MPa(ゲージ圧)にて滴下装置よりオキシエチレン905gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム100gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル60gを温度80〜130℃、0.3MPa(ゲージ圧)にて圧入し6時間反応させた。その後オートクレーブより反応物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を100℃で1時間処理することで除去した。さらに処理後生成した塩を除去するためにろ過を行い、化合物1を得た。
なお、組成物に配合する(a)アルキレンオキシド誘導体は、上記表1に示したものを用いた。
そこで本発明者らは、乾燥抑制成分としてアルキレンオキシド誘導体を水性インキ組成物に配合することに着目し、該アルキレンオキシド誘導体の好適条件の検討を引き続き実施した。
上記表3より明らかなように、特定構造のブロック型アルキレンオキシド/エチレンオキシドダイマージオールエーテル(化合物1〜5)を配合した場合、(1)〜(3)のいずれの評価においても従来技術と比較して優れた結果であった。
これに対して表4に示されるように、オキシエチレン基のみあるいはオキシブチレン基のみの化合物(比較化合物1、2)を用いた比較例1、2ではいずれの評価においても満足のいくものが得られなかった。特にオキシブチレン基のみの場合はペン先乾燥抑制効果の点で劣っていた。
両末端が水素の化合物(比較化合物3)を用いた比較例3ではいずれの評価においても満足できる結果が得られず、両末端が炭素数6の炭化水素基の化合物(比較化合物4)を用いた比較例4では特にペン先乾燥抑制効果の点で著しく劣っていた。
また、アルキレンオキシド/エチレンオキシドの結合形態がランダム型の化合物(比較化合物5)を用いた比較例5、ダイマージオール部分を有さないアルキレンオキシド/エチレンオキシド誘導体(比較化合物6)を用いた比較例6では、かすれのなさの点において満足の得られるものではなかった。
以上のことから、前記一般式(I)で示される、特定構造を有するアルキレンオキシド誘導体が、本発明の優れた効果を発揮できることが確認された。
これに対し、ブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量が0.5質量%である場合は(実施例6)、配合による効果が十分に発揮されず、また30質量%であると(実施例11)、かすれのなさおよびにじみの両方が劣るものとなった。以上の結果より、本発明にかかるブロック型アルキレンオキシド誘導体の配合量は1〜20質量%が好ましく、3〜10質量%が特に好ましいことが確認された。
Claims (4)
- (a)下記一般式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体と、
(b)着色剤と、
(c)水
を含有することを特徴とする水性インキ組成物。
(化1)
Z−{O−[(AO)a−(EO)b]−R}2 (I)
(式中、Zは、ダイマージオールから水酸基を除いた残基、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、これらの付加形態はブロック状である。aおよびbは、各々前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦2×a≦150、1≦2×b≦150であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は10〜99質量%である。Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。) - 前記式(I)で示されるブロック型アルキレンオキシド誘導体において、AOがオキシブチレン基であることを特徴とする請求項1に記載の水性インキ組成物。
- 請求項1又は2に記載の水性インキ組成物において、一般式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体のZが炭素数24〜48のダイマージオール残基であることを特徴とする水性インキ組成物。
- 前記(a)アルキレンオキシド誘導体の配合量が1〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜3に記載の水性インキ組成物。
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