JP2010017984A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電体層の破壊を防止して、耐久性を向上した圧電素子を有する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子300とを具備し、該圧電素子300が、第1電極60と、該第1電極60上に形成された圧電体層70と、該圧電体層70の前記第1電極60とは反対側に形成された第2電極80とで構成されており、前記第1電極60が、酸化イリジウムを主成分とする拡散防止層64を有すると共に、該拡散防止層64には、厚さ方向に貫通して酸化イリジウム以外の材料が充填された応力緩和孔64aが設けられている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに第1電極、圧電体層及び第2電極を有する圧電素子に関する。
液体噴射ヘッド等に用いられる圧電素子は、電気機械変換機能を呈する圧電材料からなる誘電体膜を2つの電極で挟んだ素子であり、誘電体膜は、例えば、結晶化した圧電性セラミックスにより構成されている。
このような圧電素子は、基板(流路形成基板)の一方面側に下電極膜をスパッタリング法により形成した後、下電極膜上に圧電体層をゾル−ゲル法又はMOD法等により形成すると共に、圧電体層上に上電極膜をスパッタリング法により形成し、その後、圧電体層及び上電極膜をパターニングすることで圧電素子を形成している。
そして、圧電素子の下電極膜として、酸化イリジウムからなる拡散防止層を有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−173604号公報
しかしながら、酸化イリジウムからなる拡散防止層は、イリジウムをスパッタリングにより形成後、熱酸化することで形成することができるものの、イリジウムが酸化する際に体積が約2.3倍に膨張してしまうため、圧電体層を焼成して結晶化した後に、圧電体層に拡散防止層が大きな応力を付与してしまい、圧電体層の耐久性が低下して破壊が生じてしまうという問題がある。
また、酸化イリジウムを直接スパッタリングにより形成することはできるものの、酸化物のスパッタリングを安定的に連続して行うのは困難であり、厚さや密度などの所望の特性の酸化物を得ることができないと共に、高コストになってしまうという問題がある。
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドに用いられる圧電素子に限定されず、他の液体を噴射する液体噴射ヘッドに用いられる圧電素子においても存在し、且つ液体噴射ヘッド以外のデバイスに用いられる圧電素子にも存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、圧電体層の破壊を防止して、耐久性を向上した圧電素子を有する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子とを具備し、該圧電素子が、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極とで構成されており、前記第1電極が、酸化イリジウムを主成分とする拡散防止層を有すると共に、該拡散防止層には、厚さ方向に貫通して酸化イリジウム以外の材料が充填された応力緩和孔が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、拡散防止層を形成する際にイリジウムを酸化させて形成しても、応力緩和孔によって酸化による体積膨張の応力を緩和させることができる。これにより、拡散防止層の応力が他の積層膜に加わるのを低減させて、層間剥離や圧電体層の破壊、耐久性の低下などを防止することができる。
ここで、前記拡散防止層が、前記第1電極の前記圧電体層側に設けられ、前記拡散防止層と前記圧電体層との間には、酸化チタンを主成分とする結晶種層が設けられており、且つ前記第1電極の内部には、酸化チタンを主成分とする酸化チタン領域を有し、前記結晶種層と前記酸化チタン領域とが前記応力緩和孔を介して連続して設けられていることが好ましい。これによれば、圧電体層の第1電極側の余分なチタンを酸化チタン領域側に容易に排出でき、厚さ方向で圧電特性が均一化された圧電体層を形成することができる。
また、前記第1電極は、白金を主成分とする白金層をさらに有することが好ましい。これによれば、圧電体層を焼成した際にも第1電極の導電性を低下させることなく、第1電極の導電性を確保することができる。
また、前記圧電体層は、鉛を含む材料を用いるのが好ましく、チタン酸ジルコン酸鉛を用いるのが好適である。このような材料を用いることで、圧電特性に優れた圧電素子を有する液体噴射ヘッドを実現できる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる態様では、液体噴射特性及び耐久性に優れた液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を具備し、前記第1電極が、酸化イリジウムを主成分とする拡散防止層を有すると共に、該拡散防止層には、厚さ方向に貫通して酸化イリジウム以外の材料が充填された応力緩和孔が設けられていることを特徴とする圧電素子にある。
かかる態様では、拡散防止層を形成する際にイリジウムを酸化させて形成しても、応力緩和孔によって酸化による体積膨張の応力を緩和させることができる。これにより、拡散防止層の応力が他の積層膜に加わるのを低減させて、層間剥離や圧電体層の破壊、耐久性の低下などを防止することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図であり、図3は、インクジェット式記録ヘッドの要部を拡大した断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。
なお、本実施形態では、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられていることになる。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼等からなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は、第1電極60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料、特に圧電材料の中でもペロブスカイト構造を有し、金属としてPb、Zr、及びTiを含む強誘電体材料からなる。圧電体層70としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O)等を用いることができる。
圧電体層70の厚さについては、製造工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く形成する。例えば、本実施形態では、圧電体層70を1〜2μm前後の厚さで形成した。
また、第1電極60は、酸化イリジウム(IrO)を主成分とする拡散防止層64を有する。本実施形態では、図3に示すように、第1電極60は、流路形成基板10側から、酸化チタンを主成分とする密着層61と、密着層61上に設けられた白金(Pt)を主成分とする白金層62と、白金層62上に設けられて酸化チタンを(TiO)主成分とする酸化チタン領域である酸化チタン層63と、酸化チタン層63上に設けられて酸化イリジウム(IrO)を主成分とする拡散防止層64とを含む構成となっている。白金層62は、圧電体前駆体膜を焼成して圧電体層70を形成する際に、高温の熱処理においても導電性を喪失しない材料として選定される。また、拡散防止層64は、圧電体層70を形成する際の高温の熱処理により圧電体層70を構成する成分が第1電極60中に拡散することを防止するためのものである。
また、第1電極60と圧電体層70との間には、酸化チタン(TiO)を主成分とする結晶種層65が設けられている。
そして、拡散防止層64には、厚さ方向に貫通する応力緩和孔64aが、所定の間隔で複数個設けられており、拡散防止層64の両側(圧電体層70側及び流路形成基板10側)に設けられた酸化チタン層63と結晶種層65とが応力緩和孔を介して連続して設けられている。
この拡散防止層64の応力緩和孔64aは、詳しくは後述する圧電体層70を焼成により結晶化させた際に、圧電体層70の成分、特に鉛が、拡散防止層64によって第1電極60側(特に第1電極60の下地)に拡散するのを防止する程度の大きさ及び数で適宜形成する。詳しくは、圧電体層70を焼成すると、圧電体層70の成分のほとんどは拡散防止層64で第1電極60の下地側に拡散するのを防止できるものの、一部の成分は応力緩和孔64aを介して第1電極60内(拡散防止層64よりも流路形成基板10側)に拡散してしまう。そして、問題となるのは、圧電体層70の成分が第1電極60を通過して、その下地である絶縁体膜55、弾性膜50及び流路形成基板10等に拡散することであり、応力緩和孔64aは、圧電体層70の成分が第1電極60中に拡散するものの、拡散した成分が第1電極60の下地側まで達しない程度の大きさ及び数で形成するのが好ましい。このような応力緩和孔64aの大きさは、本実施形態では、数nm〜数十nm程度が好適である。
なお、第1電極60を構成する各層61〜64と、結晶種層65とは、後述する製造プロセスで成膜後、圧電体前駆体膜を焼成して圧電体層70を結晶化して形成する際に、同時に加熱処理されて形成されたものである。すなわち、本実施形態では、第1電極60及び結晶種層65は、詳しくは後述する図5(a)に示すように、圧電体層70を形成する前に、絶縁体膜55上に設けられたチタン(Ti)からなるチタン層66と、チタン層66上に白金(Pt)からなる白金層67と、白金層67上にイリジウム(Ir)からなるイリジウム層68とを順次積層した後、チタンからなる結晶種層69を形成し、その後、圧電体層70を焼成により結晶化させた際に、第1電極も同時に加熱処理されることにより、密着層61、白金層62、酸化チタン層63、拡散防止層64からなる第1電極60と、酸化チタンからなる結晶種層65とが形成される。
すなわち、拡散防止層64は、圧電体層70を焼成した際に同時に加熱処理されて熱酸化により形成されたものである。そして、拡散防止層64に応力緩和孔64aを設けることによって、拡散防止層64が熱酸化によって形成された際に、熱酸化による膨張によってその内部応力が応力緩和孔64aによって緩和される。すなわち、圧電体層70の焼成前に形成したイリジウムからなるイリジウム層68は、圧電体層70の焼成時に同時に加熱されて酸化した際にその体積が約2.3倍に膨張して拡散防止層64となる。このとき、拡散防止層64の下地となる白金層62等や拡散防止層64の上に設けられた圧電体層70などの積層膜に与える応力が巨大となり、積層膜、特に圧電体層70が破壊されてしまう。しかしながら、拡散防止層64に応力緩和孔64aを設けることで、拡散防止層64が酸化した際の応力を応力緩和孔64aによって緩和させて、拡散防止層64の応力が他の積層膜に与える影響を低減させることができる。これにより、第1電極60の層間剥離や、圧電体層70と第1電極60との剥離を防止することができると共に、圧電体層70の結晶成長への影響を低減して、優れた圧電体層70を得ることができる。また、拡散防止層64の圧電体層70への応力の影響が低減されるため、圧電体層70自体の破壊の防止や耐久性の向上を図ることもできる。
なお、結晶種層65は、圧電体層70を焼成する前に、チタンとして設けることも酸化チタンとして設けることも可能である。圧電体層70を焼成前に形成するチタンからなる結晶種層69は、その膜密度(Ti密度)ができるだけ高い方が好ましく、少なくとも4.5g/cm以上であることが望ましい。結晶種層69の膜密度が高いほど時間経過に伴い表面に形成される酸化層の厚さは薄く抑えられ、圧電体層70の結晶が良好に成長するからである。なお、結晶種層69の膜密度は、厚さに関係なく成膜条件によって決まる。さらに、結晶種層69は非晶質であることが好ましい。具体的には、結晶種層69のX線回折強度、特に、(002)面のX線回折強度(XRD強度)が実質的に零となっていることが好ましい。このように結晶種層69が非晶質であると、結晶種層69の膜密度が高まり表層に形成される結晶種層65の厚みが薄く抑えられ、その結果、圧電体層70の結晶をさらに良好に成長させることができるからである。
また、圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。また、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバ部31のみをリザーバとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路120が固定されている。この駆動回路120としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路120とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線121を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、比較的硬質の材料で形成されている。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部のインク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路120からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4〜図9を参照して説明する。なお、図4〜図9は、本発明の実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生室の長手方向の断面図である。
まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハであり流路形成基板10が複数一体的に形成される流路形成基板用ウェハ110の表面に弾性膜50を構成する酸化膜51を形成する。この酸化膜51の形成方法は、特に限定されないが、例えば、流路形成基板用ウェハ110を拡散炉等で熱酸化することにより二酸化シリコン(SiO)からなる酸化膜51を形成すればよい。
そして、図4(b)に示すように、弾性膜50(酸化膜51)上に、弾性膜50とは異なる材料の酸化膜、本実施形態では、酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。この絶縁体膜55の形成方法は、特に限定されないが、例えば、弾性膜50(酸化膜51)上に、ジルコニウム(Zr)層を形成した後、例えば500〜1200℃の拡散炉で熱酸化して酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成すればよい。
次いで、図5(a)に示すように、絶縁体膜55上にチタン層66、白金層67、イリジウム層68及び結晶種層69を順次積層する。
具体的には、絶縁体膜55上に厚さが10〜50nmのチタン(Ti)からなるチタン層66を形成する。本実施形態では、チタン層66として厚さ20nmのチタン(Ti)を設けた。このように第1電極の最下層にチタン層66を設けることによって、絶縁体膜55と第1電極60との密着力を高めることができる。なお、チタン層66は、後の工程で加熱されることにより、第1電極60を構成する密着層61と、酸化チタン層63とになる。
次いで、チタン層66上に白金(Pt)からなり、厚さが50〜500nmの白金層67を形成する。この白金層67は、後の工程で圧電体層70を加熱焼成して形成した際に同時に加熱されることで白金層62となる。白金層67(白金層62)は、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ない材料として選定されたものであり、その厚さも第1電極60の所望の導電性に基づいて選定される。
なお、白金層67の形成はスパッタリング法などにより形成することができる。そして、本実施形態では、白金層67をスパッタリング法で形成する際に、不活性ガス(例えば、アルゴンガス)の濃度を調整することで、アルゴン(Ar)による結晶欠陥が発生し、白金層67内に、絶縁体膜55と白金層67との間に存在する酸化チタン(チタン層66が酸化したもの)が拡散される。このように白金層67内に酸化チタンを拡散させておくことで、後の工程で、圧電体層70を加熱焼成した際に、白金層67内に含まれる酸化チタンの拡散が促進され、イリジウム層68に応力緩和孔64aを形成することができる。
次いで、白金層67上にイリジウム(Ir)からなるイリジウム層68を形成する。イリジウム層68は、後の工程で圧電体層70を加熱焼成して形成した際に、圧電体層70の成分が第1電極60側、特に第1電極60の下地である絶縁体膜55、弾性膜50及び流路形成基板10(流路形成基板用ウェハ110)に拡散するのを防止するためのものである。本実施形態では、イリジウム層68を厚さが10nmとなるように形成した。
なお、イリジウム層68は、後の工程で圧電体層70を加熱焼成して形成した際に、同時に加熱されることで、酸化イリジウム(IrOx)を主成分とする拡散防止層64となるものである。
次いで、イリジウム層68上にチタンからなる結晶種層69を形成する。なお、結晶種層69は非晶質であることが好ましい。具体的には、結晶種層69のX線回折強度、特に、(002)面のX線回折強度(XRD強度)が実質的に零となっていることが好ましい。このように結晶種層69が非晶質であると、結晶種層69の膜密度が高まり表層に形成される酸化層の厚みが薄く抑えられ、その結果、圧電体層70の結晶をさらに良好に成長させることができるからである。
このように第1電極60の上に結晶種層69を設けることにより、後の工程で第1電極60上に結晶種層69を介して圧電体層70を形成する際に、圧電体層70の優先配向方位を(100)または(111)に制御することができ、電気機械変換素子として好適な圧電体層70を得ることができる。なお、結晶種層69は、圧電体層70が結晶化する際に、結晶化を促進させるシードとして機能し、圧電体層70の焼成後にはその一部が圧電体層70内に拡散すると共に、第1電極60上に熱酸化されて一部が残留するもの(結晶種層65)である。また、本実施形態では、結晶種層69として、チタン(Ti)を用いるようにしたが、結晶種層69は、後の工程で圧電体層70を形成する際に、圧電体層70の結晶の核となるものであれば、特にこれに限定されず、例えば、結晶種層69として、酸化チタン(TiO)を用いてもよい。
なお、このような第1電極60となる各層66〜68及び結晶種層69は、例えば、DCマグネトロンスパッタリング法などのスパッタリング法やCVD法(化学蒸着法)等によって形成することができる。
次に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。ここで、本実施形態では、有機金属化合物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。なお、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法やスパッタリング法等を用いてもよい。
圧電体層70の具体的な形成手順としては、まず、図5(b)に示すように、結晶種層69上にPZT前駆体膜である圧電体前駆体膜71を成膜する。すなわち、第1電極60が形成された流路形成基板10上に有機金属化合物を含むゾル(溶液)を塗布する(塗布工程)。次いで、この圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。例えば、本実施形態では、圧電体前駆体膜71を150〜170℃で8〜30分間保持することで乾燥することができる。次に、乾燥した圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。例えば、本実施形態では、圧電体前駆体膜71を300〜400℃程度の温度に加熱して約10〜30分保持することで脱脂した。なお、ここでいう脱脂とは、圧電体前駆体膜71に含まれる有機成分を、例えば、NO、CO、HO等として離脱させることである。
次に、図5(c)に示すように、圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜72を形成する(焼成工程)。この焼成工程では、圧電体前駆体膜71を650〜800℃に加熱するのが好ましく、本実施形態では、上記温度領域で5〜30分間加熱を行って圧電体前駆体膜71を焼成して圧電体膜72を形成した。また、焼成工程では、昇温レートを15℃/sec以下とするのが好ましい。これにより優れた特性の圧電体膜72を得ることができる。
なお、このような乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、ホットプレートや、赤外線ランプの照射により加熱するRTP(Rapid Thermal Processing)装置などを用いることができる。
また、圧電体前駆体膜71を加熱焼成して圧電体膜72を形成する焼成工程を行うことで、第1電極60も同時に加熱される。このとき、チタン層66は、その一部が第1電極60の最下層、すなわち、白金層62と絶縁体膜55との界面に残留して密着層61となる。また、チタン層66の一部は、白金層67内に拡散して白金(Pt)を主成分とする白金層62を形成すると共に、白金層62と拡散防止層64との界面に酸化チタン層63として形成される。
また、イリジウム層68は、上述のように、白金層62内に拡散した酸化チタン(チタン層66が酸化したもの)が、圧電体層70側に移動することによって突き破られ、応力緩和孔64aが形成される。また、イリジウム層68は加熱されることで酸化イリジウム(IrO)からなる拡散防止層64となる。なお、応力緩和孔64aは、イリジウム層68が完全に酸化イリジウムとなる前にイリジウム層68の段階で形成される。
ここで、イリジウム(Ir)は、PZTの結晶成長が始まってから酸化される。すなわち、PZTが生成される始まりの状態では、第1電極のイリジウム層68は、酸化イリジウム(IrO)ではなく、イリジウム(Ir)となっている。すなわち、PZTが結晶化した後に(圧電体前駆体膜71が結晶化して圧電体膜72になった後に)、イリジウム層68は、酸化イリジウムを主成分とする拡散防止層64となっているため、イリジウムが酸化イリジウムとなる体積膨張による応力の影響は、結晶化した圧電体膜72に大きな影響を与えるものである。
このため、イリジウム層68(拡散防止層64)に応力緩和孔64aを設けることで、イリジウム層68が酸化した際の体積膨張によって、その応力を応力緩和孔64aで吸収させることができ、第1電極60の他の層や圧電体膜72に酸化による応力の影響が及ぼすのを低減することができる。これにより、拡散防止層64の体積膨張によって、密着層61に与える応力を低減して、第1電極60の層間剥離や、第1電極60と絶縁体膜55との密着力の低下を防止することができると共に、圧電体膜72に与える応力を低減して、2層目以降の圧電体膜72の結晶成長を阻害することや、圧電体層70の破壊の防止及び圧電体層70の耐久性の向上を図ることができる。
なお、結晶種層69は、一部が圧電体膜72に拡散し、且つ第1電極60と圧電体膜72との界面に二酸化チタン(TiO)として残留して結晶種層65となる。そして、結晶種層65は、拡散防止層64の応力緩和孔64aを介して酸化チタン層63と連続して形成される。すなわち、酸化チタン層63と結晶種層65とは、拡散防止層64の応力緩和孔64aを介して連続して設けられている。
このように、酸化チタン層63と結晶種層65とを拡散防止層64に設けられた応力緩和孔64aを介して連続させることで、結晶種層65(69)側の余分なチタン(Ti)が、応力緩和孔64aを介して酸化チタン層63側に排出される。したがって、圧電体層70の結晶種層65側のチタンとジルコニウムとの比率におけるチタンの濃度の高い領域が形成されるのを低減できる。
ここで、チタンとジルコニウムとの比率におけるチタン濃度の高い圧電体層70は、圧電性能が低くなる。特に、チタンとジルコニウムとの比率(Ti/Zr)が0.5から大きくずれた圧電体層70は圧電性能が低くなる。そして、圧電体層70を所望の配向で結晶化させるためには、結晶種となるチタンが必要である。以上のことから、圧電体層70を結晶化させる際に配向を制御するために用いたチタンは、圧電体層70の配向後には不要となるものであるが、通常、この不要となったチタンを圧電体層70から排出させることはできない。
しかしながら、本発明では、拡散防止層64に応力緩和孔64aを設けることで、結晶種層65(69)側の余分なチタンを、応力緩和孔64aを介して拡散防止層64の圧電体層70とは反対側の酸化チタン層63に排出することができるため、配向を制御して結晶化した圧電体層70の第1電極60側のチタン濃度を低くすることができる。したがって、厚さ方向に亘って圧電特性に優れた圧電体層70を形成することができる。
次に、図6(a)に示すように、第1電極60上に1層目の圧電体膜72を形成した段階で、第1電極60及び1層目の圧電体膜72をそれらの側面が傾斜するように同時にパターニングする。なお、第1電極60及び1層目の圧電体膜72のパターニングは、例えば、イオンミリング等のドライエッチングにより行うことができる。
ここで、例えば、第1電極60となる各層66〜68の上に結晶種層69を形成した後に、これら各層66〜69をパターニングしてから1層目の圧電体膜72を形成する場合、フォト工程・イオンミリング・アッシングして各層66〜69をパターニングするために結晶種層69が変質してしまい、変質した結晶種層69上に圧電体膜72を形成しても当該圧電体膜72の結晶性が良好なものではなくなり、2層目以降の圧電体膜72も1層目の圧電体膜72の結晶状態に影響して結晶成長するため、良好な結晶性を有する圧電体層70を形成することができない。
それに比べ、1層目の圧電体膜72を形成した後に第1電極60及び結晶種層65を圧電体膜72と同時にパターニングすれば、1層目の圧電体膜72は結晶種層65に比べて2層目以降の圧電体膜72を良好に結晶成長させる種(シード)としても性質が強く、たとえパターニングで表層に極薄い変質層が形成されていても2層目以降の圧電体膜72の結晶成長に大きな影響を与えない。
次に、図6(b)に示すように、1層目の圧電体膜72と第1電極60とをパターニングした後は、上述した塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程からなる圧電体膜形成工程を複数回繰り返すことにより複数層の圧電体膜72からなる圧電体層70を形成する。このとき、上述のように、第1電極60の拡散防止層64が1層目の圧電体膜72に与える応力を低減させているため、2層目以降の圧電体膜72を良好に結晶成長させて結晶性に優れた圧電体層70を形成することができる。
次に、図7(a)に示すように、圧電体層70上に亘って、例えば、イリジウム(Ir)からなる第2電極80を形成した後、図7(b)に示すように、圧電体層70及び第2電極80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。圧電体層70及び第2電極80のパターニングとしては、例えば、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングが挙げられる。
次に、リード電極90を形成する。具体的には、図7(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を形成後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して各圧電素子300毎にパターニングすることで形成される。
次に、図8(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接着剤35を介して接合する。
次に、図8(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みに薄くする。
次いで、図9(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110にマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。そして、図9(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110をマスク膜52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。
その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1とする。
以上説明したように、本実施形態では、まず、流路形成基板10(流路形成基板用ウェハ110)上に第1電極60となるチタン層66、白金層67及びイリジウム層68と、結晶種層69とを形成する。そして、白金層67をスパッタリング法により形成する際に不活性ガスの濃度を高めることによって、白金層67内にチタン層66の成分を拡散させる。そして、結晶種層69上に圧電体層を加熱焼成して結晶化して形成することで、チタン層66の成分をイリジウム層68の反対側(圧電体層70側)に移動させることで、イリジウム層68に応力緩和孔64aを形成している。
このようにイリジウム層68に応力緩和孔64aを形成して、熱酸化することで酸化イリジウムからなる拡散防止層64を形成することで、イリジウム層68が拡散防止層64となった際の体積膨張が生じても、その応力を応力緩和孔64aによって緩和させることができる。これにより、第1電極60内の層間剥離や、第1電極60と絶縁体膜55との密着力の低下を防止することができる。また、拡散防止層64による応力の影響を低減することができるため、圧電体層70を良好な結晶性で形成することができると共に、圧電素子300を繰り返し駆動した際に、圧電体層70の破壊が生じるのを防止して、耐久性を向上することができる。
また、拡散防止層64に応力緩和孔64aが設けられていることで、拡散防止層64上の余分なチタンを応力緩和孔64aを介して拡散防止層64の下の酸化チタン層63側に移動させることができ、圧電体層70の結晶種層65側のチタンとジルコニウムとの比率におけるチタンの濃度の高い領域が形成されるのを低減できる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、拡散防止層64に応力緩和孔64aを形成する方法として、白金層62中に拡散した酸化チタンを用いるようにしたが特にこれに限定されない。例えば、拡散防止層64となるイリジウム層68を形成する際に、例えば、フォトリソグラフィ法等により、予め応力緩和孔64aを形成するようにしてもよい。
また、例えば、上述した実施形態1では、流路形成基板10として、シリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、結晶面方位が(100)面、(110)面等のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態1では、拡散防止層64の圧電体層70とは反対側の一方面の全面に亘って酸化チタン領域である酸化チタン層63を設けるようにしたが、酸化チタン領域は、拡散防止層64の全面に亘って設けられていない、すなわち、部分的に点在するようにしてもよい。このような酸化チタン領域が層状に存在するか部分的に点在するかは、密着層61(チタン層66)の厚さや熱処理温度などによって変わるものである。
また、これらインクジェット式記録ヘッドIは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図10は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
図10に示すインクジェット式記録装置IIにおいて、インクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
なお、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載される圧電素子に限られず、他の装置に搭載される圧電素子にも適用することができる。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 15 連通路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板(結晶基板)、 31 リザーバ部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 第1電極、 61 密着層、 62、67 白金層、 63 酸化チタン層、 64 拡散防止層、 64a 応力緩和孔、 65、69 結晶種層、 66 チタン層、 68 イリジウム層、 70 圧電体層、 72 圧電体膜、 80 第2電極、 90 リード電極、 100 リザーバ、 120 駆動回路、 300 圧電素子

Claims (6)

  1. 液体を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室と、該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子とを具備し、
    該圧電素子が、第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極とで構成されており、
    前記第1電極が、酸化イリジウムを主成分とする拡散防止層を有すると共に、該拡散防止層には、厚さ方向に貫通して酸化イリジウム以外の材料が充填された応力緩和孔が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記拡散防止層が、前記第1電極の前記圧電体層側に設けられ、前記拡散防止層と前記圧電体層との間には、酸化チタンを主成分とする結晶種層が設けられており、且つ前記第1電極の内部には、酸化チタンを主成分とする酸化チタン領域を有し、前記結晶種層と前記酸化チタン領域とが前記応力緩和孔を介して連続して設けられていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記第1電極は、白金を主成分とする白金層をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記圧電体層は、鉛を含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  6. 第1電極と、該第1電極上に形成された圧電体層と、該圧電体層の前記第1電極とは反対側に形成された第2電極と、を具備し、
    前記第1電極が、酸化イリジウムを主成分とする拡散防止層を有すると共に、該拡散防止層には、厚さ方向に貫通して酸化イリジウム以外の材料が充填された応力緩和孔が設けられていることを特徴とする圧電素子。
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JP2011142143A (ja) * 2010-01-05 2011-07-21 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドの製造方法、圧電素子の製造方法、液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び圧電素子

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