JP2009535046A - P15ヘアピン構造及びその使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘアピンDNA構造と、植物中で転写後の遺伝子サイレンシング(PTGS)を起こさせるためのその使用方法を提供する。
【解決手段】配列番号3及び配列番号3のアンチセンス配列などのヌクレオチド配列を有し、細胞中で転写されたときに、遺伝子的に組換えられたTGB−3ウイルス配列が、二重鎖の自己相補的なRNA分子を生成できる遺伝子的に組換えられたTGB−3ウイルス配列。
【選択図】図2

Description

本発明は、ヘアピンDNA構造と、植物中で転写後の遺伝子サイレンシング(PTGS)を起こさせるためのその使用方法に関し、より詳細にはビート壊疽性葉脈黄化ウイルス(BNYVV)のようなウイルスに対する抵抗や耐性が増大した植物を得る目的のサトウダイコンに関する。本発明は更に、例えばBNYVVやその子孫に対して増大した抵抗を示す遺伝子組換え細胞及び植物に関する。
興味深い分野は、植物に、ウイルスに対する抵抗又は耐性を与えることである。穀物の収穫の多くがウイルス感染により失われることがある。
叢根病と呼ばれるサトウダイコンの広く広まったウイルス性疾患は、ビート壊疽性葉脈黄化ウイルス(BNYVV)であるフロウイルス(非特許文献1及び2)によって起こり、これは土壌病原菌であるポリミクサ・ベーテ(Polymyxa Betae)によりサトウダイコンの根に伝染する(非特許文献3)。
この疾患は、サトウダイコンが農業として生育される欧州、米国及び日本、そして場合によっては東欧の幾つかの国まで広がり、広い農地に影響を与える(非特許文献4及び5)。
1986年から、多数の報告や刊行物が、特定の感染性ウイルスに対する高レベル耐性を与え、あるいは多数の関連ウイルスに対し幅広い範囲の型の耐性を与える、植物中で発現する単離されたウイルス性のヌクレオチド配列の使用を記述している(非特許文献6,7及び8)。じゃがいも、スカッシュ、かぼちゃ又はトマトのような多くの栽培種において、文献に見られる遺伝子工学に基づく多くのウイルス耐性戦略の1つは、植物調節要素のコントロール下で、対象ウイルスの外殻蛋白質をエンコードするウイルス性ヌクレオチド配列の使用である(非特許文献9)。
しかし外殻蛋白質が仲介する耐性でも、遺伝子組換え植物の耐性レベルの発現は、RNA共抑制又は蛋白質配列の生成で始動する蛋白質仲介耐性のような異なった機構に起因する。
一般に、ウイルス配列は、与えられた種に成功裏に適用できる、組織培養又は細胞培養法の制約に従う、アグロバクテリウムが仲介する形質変換システム又は直接遺伝子導入法を使用して、植物種の好適な細胞又は組織培養で形質変換できる。植物全体が再生し、トランス遺伝子が特性化される。
サトウダイコンは、その種における実際的な遺伝子工学の用途の広がりを限定する、細胞培養では扱いにくい種として知られているが、現在では、植物全体を成功裏に形質変換しかつ再生させたことに関する多くのレポートが知られている(38)。サトウダイコンゲノム中のBNYW外殻蛋白質配列を形質変換し発現させることによりBNYWへの耐性を生じさせる数例も刊行されているが(非特許文献11及び特許文献1)、これらは遺伝子組換えのサトウダイコンの全体のデータは殆ど開示していない(非特許文献12)。特にBNYW外殻蛋白質配列をエンコードする遺伝子で形質変換された遺伝子組換えサトウダイコンによる感染条件で観察される実際の抵抗のレベルに関するデータは殆ど提示されていない(非特許文献13及び非特許文献14)。
サトウダイコン形質変換法、及び該形質変換法で得られた遺伝子組換えサトウダイコン内に抵抗源としてBNYW外殻蛋白質配列を発現させるための使用を含む完全な技術のパッケージが特許文献2に開示されている(特許文献1)。
公知文献からは、外殻蛋白質媒介抵抗機構が、ウイルス複製と拡散機構を完全に抑制することにより、サトウダイコンにBNYW感染への全免疫を付与する能力を与えると結論付けられない。感染初期において、ウイルスの広がりを十分に阻止する抵抗機構を特定することは、遺伝子組換え抵抗力を育成することは成功の主要な基準である。更にこのような抵抗力は、利用できる抵抗力の機構を多様化する。
病気は、多数の国又は地域で、多くの局地的環境又は農業関係の因子の組み合わせに依存する速度で広がることが示されているので、産業上の利用が増えているサトウダイコンの現在及び将来の品種に関する長期間安定した抵抗性戦略を単独又は組み合わせで与える遺伝子的抵抗力の多様化及び改良に対する大きな興味が存在する。
ビートえそ性葉脈黄化ウイルス(BNYVV)のゲノムは、5種のプラスセンスRNAから成り、そのうちの2種(RNA1及び2)は全ての植物の感染に必須な機能をエンコードし、他の3種(RNA3,4及び5)はサトウダイコン(Beta vulgaris)の根の、ベクターが媒介する感染に関連する。BNYWの細胞から細胞への動きは、トリプル遺伝子ブロック(TGB)として知られ、ウイルス蛋白質P42, P13 and P15をエンコードする3種の連続する、RNA2上で僅かにオーバーラップするウイルス遺伝子により支配される(遺伝子生成物は、キロダインで計算された代謝速度で指定される)。
以下の説明では、TGB遺伝子及び対応する蛋白質を、TGB-I, TGB-2, TGB-3又はそれらのエンコードされたウイルス蛋白質数P42, P13 and P15で特定する。TGBの対を成す他方は、フロウイルス、及びポテックスー、カルラー及びホルデリウイルス中に存在する(非特許文献15,18,19,20、21及び22)。表1は、TGB−3配列を有するウイルス、それらのウイルスのTGB−3の分子量及び宿主及び参考文献を示す。
BNYW−RNA3から誘導される「レプリコン」として知られるウイルス性RNA複製種からP15の独立発現は、細胞から細胞への動きを阻害することによりBNYW感染が抑制することは前述した(非特許文献16)。
TGB−3核酸配列を有するウイルスを、植物細胞又は植物に導入するためには、該植物中で活性な1又は2以上の調節塩基配列に結合したTGB−3核酸配列を有する核酸構成物を組み入れることである(特許文献2)。
遺伝子導入植物中の野生型TGB−3ウイルス配列は、該ウイルスの感染を阻止するが、前記野生型配列の存在は、形質変換された植物又は植物細胞の農業的な性質への悪影響を誘発することがある。本発明は、本発明で開示する(遺伝子的に組換えられた)突然変異したTGB−3ウイルス配列が、BNYAA/抵抗性(サトウ)ダイコンの遺伝子工学に非常に有用であることの発見にある。
国際特許公開公報第WO91/13159号 国際特許公開公報第WO98/07875号 T.タマダ及びT.ババ、Annals of the Phytopathological Society of Japan 39, pp. 325-332 (1973) M.クスザラ及びC.プッツ、 Annals of Phytopathology 9, pp. 435-446 (1977) B.ケスキン、Archiv fur Mikrobiology 49, pp. 348-374 (1964)。 M.J.C.アッシャー、Rhizomania In The sugar beet crop, ed. D. A. Cooke and R. K. Scott, Chapman & Hall, London, pp. 312-338 (1993)。 M.リチャードーモラー、Rhizomanie In Institut francais de Ia betterave industrielle . Compte-rendu des travaux effectues en 1994, ITB, Paris pp. 225-229 (1995) A. P.パウエルら、Science 232, pp. 738-743 (1986) J.H.フリッチェン及びR.N.ビーキー、Ann. Rev. Microbiol . 47, pp. 739-763 (1993) T.M.A.ウィルソン、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, pp. 3134-3141 (1993) D.ゴンサルベス及びJ.L.スライトムSeminars in Virology 4, pp. 397-405 (1993) K.ダルインら、Biotechnology 10, pp. 309-314 (1992) J.カレンホフら、Plant Cell Reports 9, pp. 224-228 (1990) U.エラーズら、Theoretical and Applied Genetic 81, pp. 777-782 (1991) J.クラウスら、Field performance of transgenic sugar beet plants expresing BNYW coat protein plants, Fourth International Congress of Plant Molecular Biology, Int. Soc . for Plant Molecular Biology, Amsterdam (1994) E.マイスら、Proceedings of the Third International Symposium on the Biosafety Results of Field Tests of Genetically Modified Plants and Microorganisms, Monterey, pp. 129-139 (1994) ギルマーら、Virology 189, pp. 40-47 (1992) グレイカステン−グロスハウスら、MoI. Plant-Microbe Interact. 10, pp. 240-246 (1997) ボゾバーら、J. Gen. Virol. 67, pp. 1689-1700 (1986) リチャーズ及びタラーダ、Annu. Revendication. Phytopathol . 30, pp. 291-313 (1992) ボゾバーら、 J. Gen. Virol. 68, pp. 615-626 (1987) ヘルツォークら、J. Gen. Virol. 18, pp. 3147-3155 (1994) スコットら、J. Gen. Virol. 75, pp. 3561-3568 (1994) コーニン及びA.ドリ、Crit.Revendication. Biochem. and MoI. Biol. 28, pp. 375-430 (1993) ツッカー及びスティーグラー、Acids Res. 9, pp. 133-148 (1981) ヒギンス、Encyclopedia of Life Sciences, pp. 1-10 (2001) ラスカら、Biology of the Cell 96, pp. 579-594 (2004) タマダら、Proceeding of the 3rd symposium of the International Working Group on Plant Viruses with Fungal Vectors, American Society of Sugar Beet Technologists, Denver: p. 49 (1996)
本発明の目的は、植物細胞を遺伝子的に組換え又は形質変換することにより、植物、より具体的にはサトウダイコンに、例えばBNYWウイルス抵抗、好ましくは最高のBNYWウイルス耐性のようなウイルス抵抗を付与する信頼できる方法及び手段を提供することである。
本発明の他の目的は、このようにして得られ、BNYWのような植物ウイルスに対して高い耐性又は抵抗を示す植物中で再生された、遺伝子的に組換え又は形質変換した植物細胞を提供することである。
本発明の更に他の目的は、このような組換え又は形質変換された植物又は植物細胞から得られる、BNYW抵抗性子孫のような抵抗性のある子孫、種及び他の再生できる器官や構造を提供することである。
細胞から細胞へ移動するTGB−3野生配列の機能は、少なくとも部分的に宿主植物の成分(プラスモデスムの要素であることが好ましい)とウイルス由来の成分(細胞から細胞へ移動する他のウイルス蛋白質であることが好ましい)間の相互作用を行うことを含むと考えられる。TGB−3野生型配列のドメイン(宿主成分と相互作用を行うと推定される)とTGB−3野生型配列のドメイン(ウイルス成分と相互作用を行うと推定される)のいずれかが乱れると、細胞から細胞への移動が抑制される。
更に、TGB−3野生型配列中のこのような特定の突然変異は、遺伝子組換え植物中での突然変異種の生産を可能にし、これは依然としてウイルス成分とは相互作用を行うが、宿主成分とは行わないと考えられる。これらの突然変異種は、ウイルス感染初期に生産されるTGB−3野生型配列のウイルス成分のサイトへ結合することを争い、隣接する細胞へのウイルスの移動を禁止することにより感染を中断させるのかもしれない。
前記配列中の少なくとも1個のアミノ酸を他の異なったアミノ酸で置換することは望ましく、その領域に、生来の構成である蛋白質の表面に通常存在する親水性アミノ酸が豊富に存在するようにする。
点突然変異は、1又は2以上のアミノ酸を1又は2以上の異なったアミノ酸中に置換できることが好ましい。
添付した表1には、TGB−3野生型ウイルス配列、対応するTGB−3ペプチドの分子量、それらの宿主及び文献を記載してある。BNYWの特定の野生型P15ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列も既に述べられている(非特許文献17、野生型配列が本文献に含まれている)。
前記点突然変異は、当業者に公知である。
点突然変異を含む前記突然変異種の有する、レプリコンからトランスに発現したウイルス突然変異種(正常に機能しないTGB−3配列を有する突然変異種、好ましくは正常に機能しないP15遺伝子を有するBNYVV突然変異種)を細胞間移動させることの能力をテストした。これらの突然変異種は、このような移動を促進できなかった。そしてTGB−3配列、好ましくはP15遺伝子の形態の突然変異種がレプリコンから発現したときに、共培養した野生型TGB−3ウイルス、好ましくは野生型BNYVVで共培養したウイルスの感染を抑止する能力をテストした。
本発明者らは、本発明による遺伝子組換え方法(好ましくは点突然変異)が組換えTGB−3ウイルス配列(好ましくは組換えBNYW−P15配列)を得るために使用できることを予期せずに発見した。この方法は、植物又は植物細胞のゲノムに組み込まれると、悪影響を生じさせることなく、ウイルス感染を阻止できる。本発明の第1の態様は、それに関する。
「植物又は植物細胞へのウイルス感染を阻止できる」ということの意味は、組換えTGB−3ウイルス配列により形質変換された植物又は植物細胞により、前記ウイルス感染に対する高度の耐性が得られる可能性を得られることで、特に植物中へのウイルスの増殖及び分散機構を迅速かつ完全に阻止することを確実にする可能性で、好ましくは前記BNYW感染を受けやすい飼料ビート、スイス・チャード及びテ−ブル・ビートを含むサトウダイコン植物(ベータ・ブルガリス)にBNYWウイルスの増殖及び分散機構を阻止する可能性である。
前記耐性又は抵抗性は当業者により種々の方法で測定できる。
TGB−3野生型ウイルス配列での遺伝子組換えは、ウイルスの細胞間移動の機構に含まれる前記野生型ウイルス配列の部分での点突然変異であることが好ましい。
本発明は、前記(組換え及び選択)方法により得られた(再生された)組換えTGB−3ウイルスのヌクレオチド及びアミノ酸配列にも関し、より詳細には前記方法により得られた(再生された)BNYW P15 組換えヌクレオチド及びアミノ酸配列に関する。
前記BNYW P15ヌクレオチド及びアミノ酸配列は、次のヌクレオチド配列又は対応するアミノ酸配列から成る群から選択されることが好ましい。
Figure 2009535046
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以下の説明では、種々の組換えBNYW TGB−3配列を、配列番号1に対応するBNP15-Ala1、配列番号3に対応するBNP15-Ala4及び配列番号5に対応するBNP15-Asp9で特定される「P15突然変異体」と呼ぶ。
配列番号1、配列番号3及び配列番号5のヌクレオチド及び対応数するアミノ酸配列は、既に非特許文献17に開示されている野生型P15ヌクレオチド及びアミノ酸配列の配列である配列番号7と比較できる。
本発明は、植物又は植物細胞中で活性な1又は2以上の調節塩基配列に結合できる前記組換えヌクレオチド配列又はそのフラグメントを含むベクターに関する。当該ベクターは、植物又は植物細胞中で活性な前記調節塩基配列を既に含むプラスミドであることが好ましい。ベクターは、植物のゲノム(この場合、組換えBNYW TGB−3配列又はそのフラグメント)に組み入れられたヌクレオチド配列のみから成る、カセットヌクレオチド配列であることもでき、これは依然として他の原核生物の又はプラスミドのヌクレオチド配列(欧州特許第1174513号参照)を実質的に含まない配列の効果的な発現を得るために十分な1又は2以上のプロモータ、末端ヌクレオチド配列及び調節塩基配列を付随している。
本発明は、TGB−3配列、好ましくは表1に記載された1種のウイルス、より好ましくはBNYWウイルスを含んで成るウイルスに対する抵抗力を付与する方法にも関連し、当該方法は、次のステップを含んで成る。
−本発明方法で遺伝子組換えされた核酸配列、又はこのような組換え配列のフラグメントを含んで成り、植物又は植物細胞中で活性な1又は2以上の調節塩基配列にリンクされた核酸構成体を作製し、
−該植物細胞を前記核酸構成体で形質変換し、かつ
−必要であれば、形質変換された植物細胞から遺伝子組換え植物を再生する。
該方法は、サトウダイコン植物又はサトウダイコン細胞に、BNYW抵抗性を付与するために使用することが好ましい。該方法は、次のステップを含んで成る。
−本発明方法で得られる組換え核酸配列を含んで成る、又はこのような組換え配列を含んで成るフラグメントを含んで成る核酸構成体を作製し、好ましくは植物に活性な1又は2以上の調節塩基配列にリンクされかつ配列番号1、配列番号3及び配列番号5から成る群から選択される核酸配列を含んで成る核酸構成体を作製し、
―サトウダイコン植物を、前記核酸構成体で形質変換し、かつ
−必要であれば、形質変換されたサトウダイコン植物細胞から形質変換されたサトウダイコン植物を再生する。
本発明は、TGB−3配列を含んで成るウイルスによる感染に抵抗性を有する、得られた(再生された)形質変換植物又は形質変換植物細胞にも関連し、好ましくは表1に記載された1種のウイルスであり、より好ましくはBNYWウイルスである。前記植物又は植物細胞は、該植物又は植物細胞に活性な1又は2以上の調節塩基配列にリンクされたTGB−3組換え核酸配列を有する核酸構成体を含んで成る。
前記組換え核酸配列は、植物又は植物細胞に活性な1又は2以上の調節塩基配列にリンクされた配列番号1、配列番号3及び配列番号5から成る群から選択されることが好ましい。
細胞は、植物に対して活性なプロモータ配列及び末端配列を含んで成る気孔細胞及び調節塩基配列である。該プロモータ配列は、本来存在するものであっても、外来的なプロモータ配列から得られるものでも良く、35Sカリフラワーモザイクウイルスプロモータ、及びポリユビキチン・シロイヌナズナ・プロモータ成る群から選択されることが好ましい。
前記プロモータ配列は、主として特にサトウダイコンのような植物の根組織中で活性である、ペロスポニア・アンデルソニーからのパープロモータ又はヘモグロビン遺伝子のような根に特異的なプロモータである。
本発明の他の態様は、形質変換植物の果実、茎、根、塊茎及び種のような形質変換植物組織に、あるいは形質変換植物又は植物細胞から得られる再生可能な構造(角質、芽及び胚から成る群から選択されることが好ましい)に関連する。
本発明で使用する植物形質変換、組織培養及び再生の技術は、当業者に周知である。このような技術のうち好ましいものは、国際公開第WO95/101778, WO91/13159(ヨーロッパ特許出願EP-B-0517833に対応)、WO98/07875に開示され、本明細書でこれらを引用する。孔辺細胞のプロトプラストは、サトウダイコンの形質変換に好ましい組織である。
これらの技術は、本発明による形質変換サトウダイコン植物及び植物細胞の作製に好ましく使用される。
本発明の突然変異又は遺伝子組換えTGB−3(P15)配列(配列番号1、3,5)で形質変換されたサトウダイコンの中に、バイオアッセイでBNYWに強く明らかな抵抗性を示す植物が発見され、これらの発見は現場試験で確認された。強いBNYW抵抗性は、特に配列番号3で形質変換された植物で見られた。
突然変異P15蛋白質の生産は、発現の誘因になると考えられる。ウエスタンブロット分析により、配列番号3で形質変換された高度に抵抗性を有する植物中での突然変異P15蛋白質の発現は、大きく減少したが、依然として存在することが示された。これは得られたサイレンシング機構では各P15mRNAを分解するには不十分であることを示している。
PTGSによるサイレンシングが行われていないP15過剰生産した形質変換植物で生産されたP15の量を、PTGS機構が活性な抵抗性植物で生産したP15の量と比較した。
植物成分のより詳細な特性化によると、BNYW TGB−3(P15)WT配列のセンス及びアンチセンスの両螺旋構造に相補的な小さいRNA分子の存在が示された。これらのセンス及びアンチセンスの小さいRNAの存在は、転写後の遺伝子のサイレンシング(PTGS)で付与される抵抗性機構に関連していることは否定できないと考えられる。
BNYWウイルスに感染した抵抗性植物のノーザンブロット分析により、感染しやすいコントロールと比較して、BNYW RNAの不存在が確認された。抵抗性植物中で生じる小さいP15RNA分子の高度な相同依存性配列特異性に起因して、これらの転写体は、全RNA2の分解プロセスを活性化する。
これらの植物では、遺伝子的構成体自身で開始されることなく、PTGS機構が生じ、恐らくこれらの挿入体の再配置から生じる。
本発明者らは、センス及びアンチセンスオリエンテーション中の本発明の突然変異TGB−3(p15)配列を有するヘアピン構成体又はそのフラグメントは、効果的にPTGSを誘起し、例えばBNYWであるRNA2の分解をターゲットにすることを予期せずに発見した。特に配列番号3のTGB−3突然変異配列(例えば翻訳を抑止するため更に組換えが行割れていても良い)及びそのフラグメントや一部が、高度の再生条件下でPTGSを開始するために非常に有効であることが証明された。
本発明の他の態様は、これらの二重鎖自己相補RNA分子、核酸構成体、特に植物細胞で発現するためのDNA構成体又はヌクレオチド配列、ベクター又は発現カセット、及びそれらに基づく方法及び使用に関する。
本発明は、TGB−3移動蛋白質の発現を変化させる核酸構成体、特にDNA構成体を提供する。前記核酸構成体は、細胞中で、例えば(組換え)配列番号1、3又は5、又は(組換え)配列番号1、3又は5のフラグメント又は一部を有する突然変異BNYW TGB−3のセンスフラグメントを「発現」させられる第1のDNA配列と、前記細胞中で、(組換え)配列番号1、3又は5、又は(前記組換え)配列番号1、3又は5のフラグメント又は一部を有する前記突然変異BNYW TGB−3のアンチセンス配列を「発現」させられる第2のDNA配列を含んで成る。「発現」とは、基本的に「転写」又は「(m)RNAフラグメントの生成」を意味する(次段参照)。転写の次には「翻訳」が続く。翻訳が抑止されることが好ましい。「(組換え)」とは、問題となっている配列が更に組換えされて、例えば翻訳が抑止されることを意味する。例えば「配列番号3」という用語は、配列番号自体だけでなく、配列番号10のような「組換え」配列番号3配列も意味する。
本発明で提供されるのは、(組換え)配列番号3又はそのフラグメントの配列を含んで成り、更に前記(組換え)配列番号3のアンチセンス配列、又は前記(組換え)配列番号3フラグメントのアンチセンス配列を含んで成る遺伝子組換えTGB−3ウイルス配列であり、細胞中で転写されると、前記TGB−3ウイルス配列は、二重鎖自己相補的RNA分子を形成できる。例えば、(a)配列番号3及び配列番号3のアンチセンス配列を含んで成るヌクレオチド配列、(b)配列番号3のフラグメント及び該配列番号3のフラグメントのアンチセンス配列を含んで成るヌクレオチド配列、(c)組換え配列番号3及び該組換え配列番号3のアンチセンス配列を含んで成るヌクレオチド配列、及び(d)組換え配列番号3のフラグメント及び該組換え配列番号3フラグメントのアンチセンス配列を含んで成るヌクレオチド配列から成る群から選択される遺伝子組換えTGB−3ウイルス配列が提供され、細胞中で転写されると、前記遺伝子組換えTGB−3ウイルス配列は、二重鎖自己相補的RNA分子を形成できる。
センス及びアンチセンス配列は、単一核酸配列、単一DNA螺旋又は分子中に含まれることが好ましい。しかし2種の異なった核酸配列、DNA螺旋又は分子中に含まれていても良く、これらは塩基対、又はこれにより二重鎖自己相補RNA分子を形成できる。
転写されると、本発明の遺伝子組換えTGB−3ウイルス配列は、
1)少なくとも約10の連続ヌクレオチド(nt)、好ましくは少なくとも15又は20、より好ましくは少なくとも50,100,150,200,300,350、あるいは更に好ましくは約400の連続ヌクレオチド(nt)で、これらはp15 BNWT WT配列(配列番号7)の少なくとも一部と約75から約100%の配列同一性を有するセンスヌクレオチド配列(例えば(組替え)配列番号3又はそのフラグメントである)、及び
2)このセンスヌクレオチド配列に対して十分相補的であるアンチセンスヌクレオチド配列を含んで成るヌクレオチド配列又は核酸配列を有するRNA分子を生成する。
発現した(転写されたが翻訳されていない)RNA分子は、十分な量で発現(転写)したときは、センス及びアンチセンスヌクレオチド配列間の塩基対形成による二重鎖RNAステムを有する人工的なヘアピンRNA構造のような、二重鎖自己相補的RNA分子を形成できる。「十分な量」とは、PTGS,好ましくは完全な遺伝子サイレンシングを起こさせるために十分な量を意味する。
本発明の自己相補的ヘアピン構成体は、突然変異(BNYW)p15ヘアピン構成体としても参照される。
センス及びアンチセンスヌクレオチド配列は互いに相補的であることが好ましい。相補領域におけるセンス及びアンチセンスRNAフラグメント間のミスマッチは約50%未満であることが望ましく、約30%未満のミスマッチであることがより望ましく、約20%未満のミスマッチであることが好ましく、約10%未満のミスマッチであることがより好ましく、約5,4,3,2又は1%未満のミスマッチであることが更に好ましい。
センスヌクレオチド配列又はDNA配列の全長は、少なくとも約10nt、15ntであることが好ましく、少なくとも約20nt、25ntであることがより好ましく、少なくとも約50ntであることが望ましく、少なくとも約100ntであることがより好ましく、特に少なくとも約150ntであり、より特定すれば少なくとも約200nt、250nt、300ntであり、更に特定すれば少なくとも約350nt又は400ntである。
センスヌクレオチド配列の全長が長くなるほど、全センスヌクレオチド配列(この場合、特に配列番号3又はそのフラグメントに対応する配列)と対象遺伝子中の対応配列(この場合例えばBNYW P15 WT配列)間の配列同一性に関する要求の厳格さは少なくなる。好ましくは、センスヌクレオチド配列は、その全長に亘って、BNYW P15 WT配列に対して少なくとも約75%、特に少なくとも約80%、更に少なくとも約85%、更に少なくとも約90%、更に少なくとも約95%、更に少なくとも約99%あるいはそれ以上(100%未満が好ましい)の配列同一性を有するべきである。好ましい突然変異TGB−3配列、p15ala4(配列番号3)は、WTp15と比較して3個の突然変異塩基を有し、これは99.24%の類似性又は配列同一性に対応する。本発明の他の好ましい配列である配列番号10は、WTp15と比較して5個の突然変異塩基を有し、これは98.74%の類似性又は配列同一性に対応する(図8参照)。
センスヌクレオチド配列は、常に、対象核酸(この場合は、BNYW WT P15配列)の対応する部分に対して、100%の配列同一性を有する、約10の連続したヌクレオチド、特に約20のnt、更に約50のnt、更には約100のnt、特に約150ntを含むことが好ましい。配列同一性の計算及び対応するセンスヌクレオチド配列のデザインのためには、特に短いセンスヌクレオチド配列の場合、ギャップ数を最小にすることが好ましい。
組換えセンスTGB−3配列は、WT(野生型)P15配列と比較して、次の組換えを含むことが好ましい。WT P15遺伝子は、核酸位置3で突然変異を受け、GがCで置換され、他の具体的な置換は、核酸位置158で突然変異を受け、AがCで置換され、更に他の具体的な置換は、位置160及び161の突然変異で、AGがGCで置換されている。又付加的な突然変異が位置397で起こり、TがCで置換される(配列番号10、図8参照)。このような位置3での組換えは翻訳開始を抑止し、位置397での組換えは、翻訳停止信号を発生させない。本発明の他の好ましい組換えセンスTGB−3配列は、WTp15遺伝子と比較して、次の組換えを含む配列番号3である。核酸位置158における突然変異で、AがCで置換されている。更に具体的な置換として、位置160及び161の突然変異があり、AGがGCで置換されている。
アンチセンスヌクレオチド配列の長さは、ほぼセンスヌクレオチド配列の長さで決定され、センスヌクレオチド配列の長さに対応することが好ましい。しかしセンスヌクレオチド配列と、長さが約10%から約50%、好ましくは約10%から約15%異なったアンチセンス配列を使用することも可能である。
同様に、アンチセンス領域のヌクレオチド配列は、センス領域のヌクレオチド配列によりほぼ決定され、センス領域のヌクレオチド配列の相補体と同一であることが好ましい。しかし特にアンチセンス領域が長くなると、センスヌクレオチド配列の相補体に対して配列同一性が小さいアンチセンス配列、好ましくはセンス領域のヌクレオチド配列の相補体に対して少なくとも約75%の配列同一性、より好ましくは少なくとも約80%の配列同一性、特に好ましくは少なくとも約85%の配列同一性、更に好ましくは少なくとも約90%の配列同一性、更に好ましくは少なくとも約95%の配列同一性を有するアンチセンス配列を使用することが可能になる。
それにもかかわらず、アンチセンスヌクレオチド配列は、センスヌクレオチド配列の対応部分の相補体に100%の配列同一性を有する約10又は約15の連続ヌクレオチド(nt)、好ましくは約20nt、より好ましくは約50nt、更に好ましくは約100nt、より好ましくは150ntの配列を常に含むことが好ましい。センスヌクレオチド配列の相補体に対し100%の配列同一性を有する連続ヌクレオチドの長さは、センスヌクレオチド配列自身より長くなれないことは明らかである。再度いうと、ギャップ数は、特に短いアンチセンス配列について、最小化すべきである。アンチセンス配列は、対象配列の相補体に対して約75%から100%の配列同一性を有することも好ましい。
本発明のヌクレオチド配列又はDNA構成体中のセンス及びアンチセンスヌクレオチド配列の順序は重要でないと考えられる。
本発明の組換えTGB−3ウイルス配列中のセンス及びアンチセンス配列は、好ましくはイントロンであるリンカー又はスペーサーヌクレオチドで分離されていることが好ましい。このイントロンは植物イントロンであることが好ましく、サトウダイコンイントロンであることがより好ましい。高度に転写された遺伝子の使用が好ましく、高度に転写されたサトウダイコン遺伝子の使用が更に好ましい。好ましい高度に転写された遺伝子は、リボゾ−ムRNA遺伝子である(非特許文献24及び25)。
本発明の遺伝子組換えTGB−3配列中のセンスTGB−3フラグメントは、(組換え)配列番号1、3又は5、又はそれらの部分又はフラグメントを含んで成ることが好ましい。例えば本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列は、(組替え)配列番号1,3又は5の少なくともnt100からnt399、nt150からnt399又はnt163からnt399を含んでいても良い。
本発明の遺伝子組替えTGB−3配列中のセンスTGBフラグメントは、(組替え)配列番号3又はその部分又はフラグメントであることが最も好ましい。例えば本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列は、(組替え)配列番号3の少なくともnt100からnt399、nt150からnt399又はnt163からnt399を含むことができる。本発明のセンスTGB−3フラグメントは、(組替え)配列番号3又はその部分(フラグメント)、例えば(組替え)配列番号3の少なくともnt100からnt399、nt150からnt399又はnt163からnt399から成っていることが更に好ましい。
本発明の遺伝子組替えTGB−3配列中のセンスTGB−3フラグメントは、更に突然変異を受けて、翻訳抑止の目的で、少なくとも1つの翻訳停止コドンを含むことが好都合である。本発明の遺伝子組替えTGB−3配列中の前記センスTGB−3フラグメントの翻訳停止コドンは、壊されることが好都合である。翻訳開始コドンは翻訳開始を抑制するために組替えられても良い。配列番号3のATG開始コドンは、例えばATCに組替えられ、TAA停止コドンはCAAに組替えられた(図8参照)。この特別な配列は、「組替え」配列番号3とされる。当業者は、他の多くの可能性を考慮できるであろう。
本発明の好ましい構成体は、本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列中のセンスTGB−3フラグメントが配列番号10を含んで成るDNA構成体又はヌクレオチド配列である。より好ましいのは、本発明の遺伝子組替えTGB−3配列中のセンスTGB−3フラグメントが配列番号10から成るDNA構成体である。
本発明の好ましい遺伝子組替えTGB−3配列は、配列番号9又は13を含んで成る。より好ましいのは、配列番号9又は13から成る遺伝子組替えTGB−3配列である。
本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列は、根で活性なプロモータ、好ましくは異種(heterologous)プロモータにリンクしていることが好都合である。植物の根組織で活性な好ましいプロモータ配列はペロスポニア・アンデルソニーからのパープロモータ及びヘモグロビン遺伝子である。最も好ましいのは、サトウダイコン植物の根で活性なサトウダイコン特異性のプロモータである。転写ターミネーション及び/又はポリアデニレーション又は他の調節塩基配列(例えば転写を促進する配列)に含まれるDNA領域は、本発明のDNA構成体にリンクしていても良い。
本発明は、更に1又は2以上の調節塩基配列にリンクされた、本発明の遺伝子組替えTGB−3配列を含んで成る、ベクター、特に発現ベクター又は発現カセットに関する。
本発明は、本発明の遺伝子組替えTGB−3配列、又は本発明のベクター又は発現カセットにより発現された二重鎖自己相補的RNA分子に関する。
本発明の他の態様は、本発明の遺伝子組替えTGB−3配列及び/又は本発明のベクター及び/又は本発明のRNA分子で形質変換された宿主細胞に関する。宿主細胞は、植物細胞であることが好ましく、ビート細胞であることがより好ましく、サトウダイコン細胞であることが最も好ましい。
本発明は更に、そのゲノムに、DNA構成体及び/又は本発明のベクターを含んで成り、及び/又はその細胞に、本発明のRNA分子を含んで成る、形質変換された植物、より好ましくは形質変換されたビート植物、最も好ましくはサトウダイコン植物に関する。
本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列を含んで成るDNA構成体、及び/又は同じ物を含んで成るベクターを使用して植物細胞及び/又は植物組織のような植物材質を形質変換することが好ましい。本発明の組替えTGB−3配列を(植物)細胞のゲノムに安定して組み入れることが好ましい。それはエピゾームの形態で存在していても良い。
このように、本発明は、本発明のDNA構成体及び/又はベクター及び/又はRNA分子を含んで成る形質変換され又は遺伝子組替えされた植物細胞に関する。BNYW抵抗性又は耐性を付与するために、本発明のRNA分子自身を使用することも可能である(下記参照)。
本発明の他の態様は、遺伝子導入植物に関し、好ましくは宿主細胞から再生されたサトウダイコン植物、好ましくは本発明のDNA構成体、ベクター及び/又はRNA分子で形質変換され更にTGB−3移動蛋白質の変化した発現を示す植物細胞である。(BNYW) TGB- 3 (pl5)分子の発現は、コントロール(形質変換しない、又は本発明のp15ヘアピン構成体で形質変換しない)と比較して大きく減少することが好ましい。
BNYWp15の発現が(強く)減少する例を示す。本発明によるp15ヘアピンRNA分子の存在下のBNYWp15の発現は、それが存在しない場合より低くならなければならず、これは、本発明のp15ヘアピンRNA分子又はそれをエンコードする遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列が存在しない場合の発現の約25%のみであることが好ましく、約10%のみであることがより好ましく、約5%のみであることが更に好ましい。
BNYWp15の発現が、最早それが検出できないレベルにまで減少することが好都合である。p15蛋白質の存在は、p15抗体を使用するウエスタンブロット分析により検出できる。その代わりに、この蛋白質のレベルは、周知のマスースペクトルにより決定できる。p15蛋白質又はその部分が生成しないことが最も好ましく、これはその全てのmRNAが分解したか、少なくとも不活性化したことを意味する。ウイルスからのp15WT遺伝子発現は、本発明の方法や手段により形質変換された植物細胞や植物中で起こらないことが好都合である。
本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列、DNA構成体、ベクター又はRNA分子で形質変換された植物又は植物細胞中で、ウイルス複製が起こらないことが好都合である。
本発明の他の態様は、本発明の形質変換植物の子孫に関し、これは、少なくともその細胞の一部のゲノム中に、本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列及び/又はベクターを含んで成り、及び/又はその細胞の少なくとも一部に本発明のRNA分子を含んで成る。この材質(組替えウイルス配列、ベクター及び/又はRNA分子)は実質的に全ての植物細胞中に存在することが好ましい。本発明の形質変換植物の子孫は、(BNYW)TGB−3移動蛋白質の変わられた発現を示すことが好都合である。同じ理論が、表1に挙げた各ウイルスに適用できるが、ここで述べたP15配列は、BNYWウイルスのみをターゲットにする。子孫の例は、果実、茎、根、塊茎及び種のような組織である。
本発明の他の態様は、好ましくは本発明による形質変換されたサトウダイコン植物である、形質変換された植物の種に関する。
本発明は、本発明の形質変換植物から得られる、角質、芽又は胚のような(植物に関する)再生可能な構造に関する。
この子孫、種、再生可能な構造等は、その細胞の少なくとも一部、好ましくはその細胞の実質的に全てにおけるゲノム中で、遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列及び/又は本発明のベクター及び/又は本発明のRNA分子を含んで成ることが好都合である。これらの植物材質は、BNYW抵抗性植物又は植物材質中で再生されると好都合である。
本発明の他の態様は、植物から再生できる、このような種や植物的に再生できる構造の使用方法に関し、これは、例えばBNYWに対する抵抗性があるか、及び/又はBNYWに対して十分に大きな耐性を示すサトウダイコン植物であることが好ましい。
本発明の他の態様は、RNA2全て、特に植物又は植物細胞中の(BNYW)TGB−3移動蛋白質の発現を変える方法に関し、該方法は、
−好ましくはサトウダイコン植物である植物の細胞中に、遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列(DNA構成体)及び/又は同じ物を含んで成るベクターを導入して形質変換された植物細胞を得ることを含んで成り、
二重鎖RNA分子を形成できるRNA分子の前記植物細胞中での発現が、前記植物又は植物細胞中のRNA2の全て、及び特に(BNYW)TGB−3移動蛋白質の発現を変え、更に前記植物又は植物細胞中の同じRNA上に位置する他のウイルス蛋白質の発現を変えられれば好都合である。
本発明の他の態様は、植物又は植物細胞における全RNA2、又は(BNYW)TGB−3移動蛋白質の転写後の遺伝子サイレンシングを起こすための方法に関し、該方法は、
−植物、好ましくはサトウダイコン植物の細胞中に、遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列(DNA構成体)及び/又は本発明の同じ成分を含んで成るベクターを導入して形質変換された植物細胞を得ることを含んで成り、二重鎖RNA分子を形成できるRNA分子の前記植物細胞中での発現が、転写後の遺伝子サイレンシングの機構を開始する。
前述の本発明方法では、RNA2全てが分解することが好ましい。
本発明の更に他の態様は、植物又は植物細胞を、表1に列挙された植物ウイルス、例えばBNYWに対して抵抗性又はより以上の耐性を有するようにするための方法に関し、該方法は、好ましくはサトウダイコンである植物の細胞中に、遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列(DNA構成体)及び/又は本発明の同じ成分を含んで成るベクターを導入して形質変換された植物細胞を得ることを含んで成り、二重鎖RNA分子を形成できるRNA分子の前記植物細胞中での発現が、例えばBNYWである植物ウイルスに対する前記植物の抵抗性及び/又は耐性増加の要因となる。
本発明の更に他の態様は、植物又は植物細胞中で非常に大きな抵抗性(高レベルの免疫)を付与する方法に関し、該方法は、好ましくはサトウダイコンである植物の細胞中に、遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列(DNA構成体)及び/又は本発明の同じ成分を含んで成るベクターを導入して形質変換された植物細胞を得ることを含んで成り、二重鎖RNA分子を形成できるRNA分子の前記植物細胞中での発現が、少なくとも一部の、好ましくは実質的に全ての細胞中で、本発明のDNA構成体及び/又はベクターを含んで成る植物中で、非常に大きな抵抗性(高レベルの免疫)を付与できる。
本発明の更に他の態様は、植物中で、ウイルス(好ましくはBNYWのような表1記載のもの)の拡散を(非常に強く)減少させるか阻止する方法に関し、該方法は、好ましくはサトウダイコンである植物の細胞中に、遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列(DNA構成体)及び/又は本発明の同じ成分を含んで成るベクターを導入して形質変換された植物細胞を得ることを含んで成り、二重鎖RNA分子を形成できるRNA分子の前記植物細胞中での発現が、このように形質変換した植物又は植物細胞内のウイルスの拡散を減少又は阻止できる。ウイルスの拡散は、ウイルス繁殖(全ての又はある種の細胞のタイプ)、植物全体に亘るウイルスの移送(例えば長距離移送や細胞間移動を阻止する)を減少/阻止し、又はウイルスのある種の細胞 (血管の柔組織(parenchyma))で、師管細胞でない) への拡散のみを制限することにより、減少/阻止できる。ウイルスの拡散は、本発明によるp15ヘアピン構成体で形質変換された植物の根の中で、OD405値で0.2以下となるように減少/阻止すると好都合である。この値は最大0.1であるとより好都合である。このOD405値は、最大0.05、最大0.01、あるいはゼロに近づく(検出限界未満)ことが最も好都合である。
その代わりに、BNYW TGB−3移動蛋白質の発現を変え、TGB−3移動蛋白質の転写後遺伝子サイレンシングを起こし、植物又は植物細胞をBNYWに抵抗性又はより大きな耐性を有するようにする目的で、又は植物又は植物細胞中で十分に大きな抵抗性を与える目的で、又は植物中でウイルスが拡散するのを阻止し又は減少させる目的で、本発明のRNA分子を、植物細胞に導入しても良い。
本発明方法は、更に形質変換植物細胞から遺伝子導入植物を再生するステップを含んでいても良い。
本発明方法は、好適な構成体を作製し、それを使用して植物(細胞)を形質変換し、上記効果の1つに達するステップを含んでいても良い(段落39参照)。
本発明で形質変換された植物は、天然産のもの(周知の)のウイルスに対する耐性/抵抗性(周知のリザー(Rizor)、ホリー(Holly)又はベータ、マリチナ(maritima)亜種、 マリチ・アクセション(accession) WB42抵抗性源)と比較して、より高レベルのBNYWへの抵抗性を与えることが発見された。
本発明の遺伝子組替えTGB−3配列による植物の形質変換、好ましくはヘアピン構造を形成できる形質変換は、根システムを通してウイルスの拡散を阻止し及び/又は大きく減少させられると考えられる。これによりウイルスが、長距離トランスロケーションシステムに到達することが防止されることが好都合である。本発明の植物形質変換が、表層におけるウイルス繁殖を防止し及び/又は大きく減少できると好都合である。本発明方法は、好都合なことにウイルスが土壌中で感染力を維持する能力を減少させることができる。
本発明の病原菌由来抵抗性は、天然産に存在するものと異なると考えられる。病原菌由来抵抗性は、天然の抵抗性機構と組み合わせると好都合である。
異なった抵抗性源(天然及び病原体由来)の組み合わせは、地下茎抵抗性種に大きな安定性を与え、かつ1又は2以上の病原型(少なくとも1つの病原型)に長期間抵抗性の確保を補助できることが好都合である。
図1は、91bpのイントロン配列(太線及び下線、配列番号11)が介在する、センス突然変異p15ヌクレオチド配列(配列番号10、太線及び下線のWTと比較して組替えられている)及びアンチセンスp15ヌクレオチド配列(太線でイタリック体、配列番号12)を有する本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列を示す(図1a及びb、配列番号9)。図1bのいくつかのヌクレオチドはイタリックで示してある(二重下線)。これらはp15にもイントロンにも属さないが、制限サイトを囲むクローニングのための残部として存在する。配列番号9を含んで成る構成体は、hp15構成体2としても参照される。
図2は、550bpのイントロン配列(太線及び下線、配列番号14)が介在する、センス突然変異p15ヌクレオチド配列及びアンチセンスp15ヌクレオチド配列(太線でイタリック体)を有する本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列を示す(図2a及びb、配列番号13)。図2bのいくつかのヌクレオチドはイタリックで示してある(二重下線)。これらはp15にもイントロンにも属さないが、制限サイトを囲むクローニングのための残部として存在する。センス及びアンチセンスp15ヌクレオチド配列は、図1Bのものと同一である。配列番号13を含んで成る構成体は、hp15構成体3としても参照される。
図3は、WTp15配列(配列番号7及び8)を示す。
図4は、ペチュニア(petunia)のチャルコン・シンサーゼ(Chalcone Synthase) A遺伝子の遺伝子配列が介在し、BNp15−ala遺伝子がセンス及びアンチセンス方向に導入されたpFGC5941ベクターの概略図である。CaMV35Sプロモータ:CaMVのプロモータ35S。OCS3:オクトピン・シンターゼ(mannopine synthase)遺伝子のポリアデニレーション信号。MAS3:マンノピン・シンターゼ(octopine synthase)遺伝子のポリアデニレーション信号。BAR:バスタ・ヘルビシド・レジスタンス(Basta herbicide resistance)遺伝子。Km:カナマイシン・レジスタンス(Kanamycine resistance)遺伝子。RB,LB:左右のt−DNAボーダー。
図5は、550nt(図5A、pS140、構成体3)及び91nt(図5B、pS140、構成体3)が介在し、BNp15−ala遺伝子がセンス及びアンチセンス方向に導入されたpS140及びpS142ベクターのそれぞれの概略図である。CaMV35Sプロモータ:CaMVのプロモータ35S。NOS3’:ノパリン・シンターゼ・シンターゼ・ターミネーター(nopaline synthase terminator)。KAN:カンマイシン・レジスタンス遺伝子。RB,LB:左右のt−DNAボーダー。
図6は、構成体1(ペチュ・リイア(petu.riia)・イントロン)で得られたPTGSデータの統計分析である。各ヒストグラムは、感染した葉の組織障害の数(Y)とサイズ(−Y)を表している。「/」は損傷がなかった。「v」はウイルスStl234。「tp」はバッファ。「hp」はヘアピン。Y軸は、1.10、20、30、100。Y軸は4。X軸は左から右に、v、v+MAバッファ、v+hpGF,v+hp15。
図7は、構成体1、2及び3で得られたPTGSデータの統計分析である。各ヒストグラムは、感染した葉の損傷の数(Y)とサイズ(−Y)を表している。「/」は損傷がなかった。「v」はv±:ru.sST1234。「tp」はバッファ。「hp」はヘアピン。「−hp15」は構成体1。「pS140」は構成体3。「pS142」は構成体2。Y軸は、1.10、20、30、40。Y軸は4。X軸は左から右に、v、v+MAバッファ、―v+hpGF,v+hp15(構成体1)、.v + pS140 (構成体 3 ) ;v+ pS142 (構成体2)。
図8は、配列番号7で表されるWTp15BNYW配列と同等の配列番号10における差異を強調した図である。
図9は、BNYW感染した土壌で成長した植物の根のウイルスの存在確認手段としてのELISAテストの結果を示す。バイオテストRz2007−001A。THPR:PEG情報。
図10は、BNYW感染した土壌で成長した植物の根のウイルスの存在確認手段としてのELISAテストの結果を示す。バイオテストRz2007−001A。THPR:PEG情報。AgHP:アグロバクテリウム(Agrohacterlum)情報。
図11は、PEG直接遺伝子形質変換実験で使用するpS138ベクターを表す。
図12は、アグロバクテリウムが仲介する形質変換のために使用するpS143ベクターを表す。
本発明の態様では、センス及びアンチセンス組替えTGB−3ヌクレオチド配列は1つの分子に含まれることが好ましく、つまりセンス突然変異TGB−3RNAフラグメント及びアンチセンス突然変異TGB−3RNAフラグメントが単一のRNA分子に含まれることが好ましいことを意味する。本発明のRNA分子は折りたたまれて、二重鎖ヘアピンRNA分子を構成すると好都合である。
本明細書で使用する「ヘアピンRNA」は、任意の自己強化二重鎖RNA分子を意味する。最も簡単な例では、ヘアピンRNAは、単一鎖RNAループで接続された強化RNA鎖で形成された二重鎖から成り、「パン−ハンドルRNA」とも呼ばれる。しかし「ヘアピンRNA」という用語は、自己強化二重鎖RNA配列だけでなく、内部突起やロープを含むより複雑な二次RNA構造にも及ぶ。具体的な二次構造は、RNA分子の自由エネルギーにより決定され、FOLDRNAのような適切なソフトウエアを使用して異なった状況に関して予測できる(非特許文献23)。
その代わりに、センス及びアンチセンス組替えTGB−3ヌクレオチド配列は、同時及び/又は連続的に、そして好ましくは第1及び第2のヌクレオチド配列の提供の間に長い時間が経過しないようにして植物細胞に供給される、2個の別個の分子又はヌクレオチド配列に存在していても良く、これにより、転写されたときに、塩基対形成により二重鎖RNA分子が生成できる。
本発明のDNA配列は、本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列及び/又はおなじ構成のベクターとともに、転写されている植物細胞のゲノム中に安定して取り入れられることが好ましい。
その代わりに、本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列を含んで成る導入遺伝子は、エピソームや自己複製ベクターに存在しても良い。自己複製ベクターの例は、ウイルス、特にジェミニウイルスである。
本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列は、直接プラスミドゲノム中に形質変換されても良い。プラスミド形質変換技術は、米国特許明細書第5,451,513、5,545,817及び 5,545,818号、国際特許公開公報第WO 95/16783号、及びマクブライドらの(1994) Proc.Natl. Acad. Sci. USA 91: 7301-7305頁に開示されている。葉緑体形質変換の基本技術は、例えばバイオリスティック又は原形質形質変換(例えば塩化カルシウム又はPEGで行われる形質変換)を使用して、適切な対象組織中へ、対象とするヌクレオチド配列とともに、選択できるマーカーを配置したクローン化プラスミドDNAの領域を導入することを含む。1から1.5kbの配置領域は、プラスミドゲノムとの均一系再結合を容易にし、従ってプラストーム(葉緑体ゲノム)の特定の領域の置換又は組替えを可能にする。
植物の形質変換及び再生方法は周知である。例えばTiプラスミドベクターは、直接DNA取り入れ、リポソーム、エレクトロポレーション、
微小注入及び微小発射に利用されている。更にアグロバクテリウム族のバクテリアを植物細胞の形質変換に利用できる。
植物の形質変換に利用される多くの形質変換ベクターが当業者に周知であり、本発明のDNA又はヌクレオチド構成体(遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列を含んで成る)をそのようなベクターに関連させて使用できる。ベクター選択は、好ましい形質変換技術に応じて行う。
形質変換で汎用される選択マーカーは、カナマイシン及び関連する抗体に抵抗性を与えるnptil遺伝子(メッシング及びビーラ、 Gene 19: 259-268 (1982)及びベバンら、Nature '304: 184-187 (1983))、ヘルビシド・ホスフィノスリシン(herbicide phosphinothricin)に抵抗性を与えるバー遺伝子(ホワイトら、Nucl. Acids Res. 18: 1062 (1990)及びスペンサーら、Theor. Appl. Genet 79: 625-631 (1990) )、抗体ハイグロマイシン(hygromycin)に抵抗性を与えるhph遺伝子(ブロチンガー及びディッゲルマン、 MoI Cell Biol 4: 2929-2931)、メタトレキセート(methatrexate)に抵抗性を与えるdhfr遺伝子(ブレーら、EMBO J. 2 (7) : 1099-1104 (1983))、グリホセート(glyphosate)に抵抗性を与えるEPSPS遺伝子(米国特許明細書第4,940,935 及び5,188,642号)、ジェンタマイシン(gentamycin)への抵抗性をエンコードするaac(秉och')遺伝子(国際特許公開公報第WO94/01560号)、又は周知のpat及び imi遺伝子を含む。
アグロバクテリウム・チューメファシアン(tumefaciens)を使用する植物細胞の形質変換又は遺伝子組替えに多くのベクターを利用できる。これらのベクターは多くの場合少なくとも1個のT−DNAボーダー配列を有し、pBIN19のようなベクターを含む (ベバン、Nucl. Acids Res. (1984))。アグロバクテリウム形質変換に適したベクターは、バイナリベクターpCIB200及びpCIB2001と、バイナリベクターpCIBlO及びそれらのハイグロマイシン選択誘導体を含む(例えば米国特許明細書第5,639,949号参照)。植物の形質変換にアグロバクテリウム・チューメファシアンを使用する利点は、他の技術と比較して、コピー数が少なく、最小の再配置ですむことである。
アグロバクテリウム・チューメファシアンを使用しない形質変換は、選ばれた形質変換ベクター中のT−DNA配列のための要件を使用せず、従って、これらの配列を欠くベクターを、前述のT−DNA配列を含むベクターに加えて利用する。アグロバクテリウムに依存しない形質変換技術は、直接遺伝子トランスファーによる形質変換、粒子衝突、 原形質取り入れ (例えばPEG及びエレクトロポレーション) , 花粉を利用する形質変換、植物RNAウイルスを利用する形質変換、微小注入、傷ついた及び/又は酵素分解された胚芽状組織の形質変換、及び/又は熟していない胚、リポソームを利用する形質変換等を含む。ベクターの選択は、形質変換している種や使用する選択マーカーに大きく依存する。アグロバクテリウムを使用しない形質変換に適したベクターは、pCIB3064, pSOG19, and pSOG35を含む(米国特許明細書第5,639,949号参照)。
発現システムの成分は、例えばセンス及びアンチセンスRNAフラグメントの発現可能性を高めるために組替えても良い。
本明細書で使用する「発現カセット」は、ターミネーション信号にリンクした対象ヌクレオチド配列にリンクしたプロモータを含んで成る、好適な宿主細胞中で特別のヌクレオチド配列の直接発現が可能なDNA配列を意味する。
この場合は本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列である、対象ヌクレオチド配列を含んで成る発現カセットは、キメラでも良く、これは少なくともその成分の1つが、他の少なくとも1つの成分に対して異種であることを意味する。発現カセットは天然産でも良いが、異種発現に有用な組替え形態で得られている。しかし通常は、発現カセットは、宿主に対して異種で、つまり発現カセットの特定のDNA配列は宿主細胞中に天然に存在せず、形質変換により、宿主細胞中に又は宿主細胞の祖先に導入されなければならない。
発現カセットは、トランス遺伝子の発現(及び可能であれば翻訳)に必要とする又は選択された任意の他の配列を含んでいても良い。このような配列は、限定されるものではないが、例えば転写ターミネータ、イントロンのような発現を促進する非本質的な配列、ウイルス配列、及び特定の細胞小器官及び細胞のコンパートメントへの遺伝子生成物のターゲット化を意図する配列を含む。これらの発現カセットは、前述の植物形質変換ベクターに容易に移すことができる。次に具体的な発現カセットの種々の成分を記載する。
「調節要素」は、ヌクレオチド配列の発現を起こす際に存在する配列を意味する。調節要素は、通常対象とするヌクレオチド配列にリンクされたプロモータとターミネーション信号を含んで成る。これは、好適な又は対象とするヌクレオチド配列の翻訳に必要な配列まで含むことがある。この場合、存在し得る翻訳開始及び/又は停止コドンを組替えることにより、遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列のセンスヌクレオチド配列の翻訳を禁止することが好ましい(後述)。
ヌクレオチド配列の発現は、宿主細胞が特定の外部刺激に曝されたときにのみ、転写を開始する構造性プロモータ又は誘発性プロモータるコントロール下に置くことができる。植物のような多細胞有機体の場合、プロモータは特定の組織又は器官又は成長の段階に特異的であっても良い。
本発明のセンス及び/又はアンチセンスヌクレオチド配列にリンクされたプロモータは、形質変換する細胞の特有なプロモータであっても良い。その代わりに、プロモータは、例えば組織特異的なプロモータ、発達する調節プロモータ、構造性プロモータ又は誘発プロモータのような異種プロモータであっても良い。適切なプロモータは当業者に周知である。本発明では、根組織で活性な又は主にそこで活性な(他の組織での発現が望ましくない場合)強い異種プロモータが好ましい。
種々の転写ターミネータは、発現カセットで使用できる。これらは、トランス遺伝子を超える転写の終止及びその正確なポリアデニレーションに有効である。好適な転写ターミネータは植物中で機能することが知られている、CaMV 35Sターミネータ、 tm/ターミネータ、オパリン・シンターゼ(opaline synthase)ターミネータ及びpea rbcS E9 ターミネータ等を含む。
多数の配列が、転写ユニット内の遺伝子発現を促進することが発見され、これらの配列は本発明の遺伝子組替えTGB−3配列と関連して使用され、トランス遺伝子の植物での発現可能性を増加させる。例えばマイザ・アデル(maize Adhl)遺伝子のイントロンのような種々のイントロン配列が発現を促進することが示されている。更にウイルスから誘導される非翻訳リーダー配列も発現を促進することが知られている。
少なくとも1つの「植物発現」プロモータが、センスヌクレオチド配列及び/又はアンチセンスヌクレオチド配列にリンクされていることが好ましい(上記参照)。本発明の遺伝子組替えTGB−3配列中のセンス及びアンチセンスヌクレオチド配列は、同じプロモータのコントロール下にあることが好ましい。
本明細書で使用する「植物発現プロモータ」は、植物細胞中で転写をコントロール(開始)できるDNA配列を意味する。これは植物由来の任意のプロモータを含むが、例えばCaMV35S、 地下にあるクローバウイルスプロモータNo 4又はNo 7、又はT- DNA遺伝子プロモータのような植物細胞又は組織で転写を行うことのできる植物非由来のプロモータも含む。
本発明の遺伝子組替えセンス及びアンチセンスTGB−3ヌクレオチド配列が単一のヌクレオチド配列又はDNA鎖に含まれるか否かに応じて、プロモータの選択と配置に関するオプションを記載する。
本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列中のセンス及びアンチセンスヌクレオチド配列は、特に両者が単一のヌクレオチド配列に含まれる場合は、単一のプロモータのコントロール下にあることが好ましい。しかしこれらは異なったプロモータ(例えば2つの配列に与えられる場合)のコントロール下にあっても良い。即ち、センスDNA配列が第1のプロモータにリンクされ、アンチセンスDNA配列が第2のプロモータにリンクされている場合である。当該第1及び第2のプロモータは、同じプロモータでも異なるプロモータでも良い。前記プロモータは、プロモータの各サイドでDNA配列の転写を開始できる、分枝又は双方向性プロモータであっても良い。
センスRNAフラグメント及びアンチセンスRNAフラグメントが、2つのRNA分子として場合する場合は、センスDNA配列及びアンチセンスDNA配列は、例えば双方向性プロモータにリンクしても良い。その代わりに、センスDNA配列が第1のプロモータにリンクし、アンチセンスDNA配列が第2のプロモータにリンクしていても良い。第1のプロモータ及び第2のプロモータは、同じプロモータでも、異なったプロモータでも良い。
アンチセンス配列は、DNA分子(この場合2本の鎖を有するDNA分子)中のセンス組替えTGB−3配列の相補DNA鎖であっても良いこの場合、前記センス又は前記アンチセンスDNA配列にリンクしたプロモータがあっても良く、前記プロモータと前記アンチセンスDNA配列間に第1のサイト特異的な再結合サイト、及び前記センス又は前記アンチセンスDNA配列の3´末端に第2のサイト特異的な再結合サイトがあり、前記第1及び第2のサイト特異的な再結合サイトは、サイト特異的なリコンビナーゼの存在下で、前記第1及び第2のサイト特異的な再結合サイト間の前記第1又は第2のDNA配列を逆にできる。この逆転の結果、前記第1のプロモータは、前記アンチセンス(又はセンス、当初どちらのDNA配列がプロモータにリンクしていたかによる)DNA配列を発現できるようになる。植物細胞は、更に前記サイト特異的な再結合サイトを認識できるサイト特異的なリコンビナーゼを有することが好ましい。
本発明のDNA構成体又は配列は、センス及びアンチセンス組替えTGB−3ウイルス配列は別にして、センス及びアンチセンスRNAフラグメントをエンコードするDNA配列間に、リンカー又はスペーサヌクレオチド配列を更に有することが好都合である。
特にセンス及びアンチセンスヌクレオチド配列が10ヌクレオチドより大きくかつセンス及び/又はアンチセンスヌクレオチド配列の一部をループを形成するために使用して、センス及びアンチセンスヌクレオチド配列間の塩基対形成及び二重鎖RNA形成を可能にする場合に、スペーサ配列が存在しなくても、RNA分子は依然として二重鎖RNAを形成できる。これらのパラメータが、センス及びアンチセンスヌクレオチド配列を有するRNA領域の二重鎖RNAを形成する能力を邪魔しない限りは、スペーサ領域と連携する長さ限界も配列の要件もないと期待できる。好ましい態様では、スペーサ領域は、5から約1000bp間で変化する。
好ましい態様では、センス及びアンチセンス領域により形成されるヘアピンRNA及びもし好適ならばスペーサ領域は、人工的なヘアピンRNAである。「人工的なヘアピンRNA」又は「人工的なステムーループRNA構造」は、このようなヘアピンRNAが天然に産出しないことを意味する。
好ましいスペーサ又はリンカーヌクレオチド配列は、好ましくはセンス方向にあるイントロン配列で、対象核酸、BNYW pl5又はBNYVY RNA2の発現を減少させる効率を向上させる。効率向上は、植物の頻度の増加として表すことができ、ここではサイレンシングが起こるか、BNYW pl5又はRNA2発現の減少レベルが増加する。
好ましいイントロンヌクレオチド配列は、推定リボゾームRNA遺伝子又は高度に転写された植物遺伝子のような植物遺伝子から誘導される。これらのイントロンは、任意の植物遺伝子から誘導され、好ましくは例えばペチュニア遺伝子であるジコチルドナス(dicotyledonous)植物遺伝子、最も好ましくはサトウダイコン遺伝子から誘導される。これらの(植物)イントロンの一部のみ、例えばスプライシング信号を含む少なくともボーダーのみを使用することが可能である(下記参照)。これらのイントロンの全部又は一部は、本発明の文脈から「イントロンフラグメント」又は「イントロン配列」として参照される。
このようなイントロンヌクレオチド配列の好ましい長さは、約5から約1000bpで、好ましくは約50から約600bp、より好ましくは約90から約550bpである。好ましいイントロン配列は、配列番号11又は14を含んで成り、より好ましくは配列番号11又は14から成る。
イントロン処理は、適切な5’及び3’スプライス接合配列に応じて行われ、少なくともこれらはイントロン配列が維持されるべきである。これらの接合のためのコンセンサス配列は、動物及び植物の両mRNAから誘導されるが、数種のヌクレオチドのみが不変としてして知られている。
以下に述べる両ビートイントロン(配列番号11及び14)は、高度に適していることが、更に短い配列は、長い配列より僅かに良好な性能が見い出された。
例えばヘアピン構造を生成できかつキメラ遺伝子の転写で生成するセンス及びアンチセンスヌクレオチド配列を含んで成るRNA分子は、直接植物細胞中に導入できる。このようなRNA分子は例えば次のようにして生成できる。
−対象とする拡散のヌクレオチド配列の少なくとも一部と75%から100%の配列同一性を有する少なくとも10個の連続ヌクレオチド配列のセンスヌクレオチド配列と、少なくとも10個の連続ヌクレオチド、好ましくは少なくとも約15nt、20nt、より好ましくは少なくとも50nt、更に好ましくは少なくとも約100nt、特に好ましくは少なくとも約150nt、より一層好ましくは少なくとも約200nt、250nt、300nt、更に好ましくは少なくとも350nt又は400ntを含み、更に前記センスヌクレオチド配列の前記少なくとも約10個の連続ヌクレオチドの相補体と約75から約100%の配列同一性を有するアンチセンスヌクレオチド配列を含んで成るヌクレオチド配列を有するRNA分子中に転写できるDNA領域をクローニングして、これにより、RNAが、T7−ポリメラーゼ特異的プロモータに限定されない、インビトロの転写反応中でDNA依存RNAポリメラーゼによる認識のために適したプロモータのコントロール下で、例えばヘアピンRNA構造を形成させる、センス及びアンチセンスヌクレオチド配列の領域間の塩基対形成により二重鎖RNAを生成できる前記クローニングを行い、
−特に好適なDNA依存性RNAポリメラーゼ、及びRNA分子を生成するために必要な試薬を加えることによりインビトロの転写反応を行わせ、
−RNA分子を単離する。
インビトロの転写反応及びインビトロRNA生成のための他の方法は周知で、そのためのキットが販売されている。植物細胞に直接RNAを導入する方法も当業者に容易が利用でき、エレクトロポレーションや 微小注入を含むがこれに限定されない。
本発明は、その細胞の少なくとも一部、好ましくはその細胞の実質的に全てのゲノム中に、本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列及び/又は同じ構成のベクターを含んで成るBNYW抵抗性又は耐性植物を提供する。前記植物は、転写されると、PTGSを開始し、それによりBNYW RNA2を破壊するRNA分子を生成する。 その細胞の少なくとも一部、好ましくはその細胞の実質的全てに、上記効果を達成する本発明のRNA分子を含んで成るBNYW抵抗性又は耐性の植物も提供される。
「植物」は、成長の任意の段階における任意の植物又は植物の一部を意味し、これには切り株、細胞又は組織培養菌及び種も含まれる。本発明に関連して使用される用語「植物組織」は、植物全体、植物細胞、植物器官、植物の種、原形質、カルス、細胞培養及び構造的及び/又は機能的ユニット中に組織される植物細胞の任意の群を含む。後者は(植物的)再生可能な構造としても参照され、植物全体として再生されることを意味する。
得られた形質変換植物、植物組織及び植物材質は、従来の栽培及び植物繁殖又は再生法で使用でき、これにより同じ特性(ウイルス抵抗性又は耐性)を有するより形質変換された植物を生成させあるいは本発明のDNA構成体を、同じ又は関連する植物種の他の種類のものに導入できる。
本明細書では、「ウイルス抵抗性又は耐性」とは、抵抗性又は耐性のある細胞又は植物が、1又は2以上のウイルスの感染を受けないか、感受性細胞又は植物と比較して感染性が低いかのいずれかであることを意味する。本件の場合は、BNYW感染に対する抵抗性、好ましくは極度の抵抗性が期待される。例えば抵抗性又は耐性は、例えばBNYW感染であるウイルス感染の通常の症状がないか減少していること、あるいは細胞中のウイルスの蓄積又は複製が防止され又は減少すること、又は例えばウイルスの細胞間の移動を防止又は減少できることを意味する。
本発明は、細胞中、好ましくは植物細胞又は植物中で、ウイルス(BNYW)p15RNA2遺伝子の発現を、制御、つまり変化させ、好ましくは十分に減少させ、又は完全に抑止する方法に関する。PTGSは、RNA2上に位置する各遺伝子の発現を抑止する。
共通の利用できる方法は予見性に欠けることが見い出された。本発明方法は、これらの問題点を軽減し、植物中のウイルス抵抗性の再現可能でより有効な制御法を提供する。
本発明を、以下の実施例により、更に詳細に説明する。
これらの実施例は例示のために提示するもので、特に指定がない限り、限定することを意図しない。
BNYW及びBNYW P15用に提示した原理は、表1に挙げたウイルスにも同様に適用できる。
[実施例]
[実施例1]
[BNYW抵抗性トランス遺伝子の植物の特性化]
蛋白質BNP15-Ala4(配列番号3でエンコードする)を発現させる3種のトランス遺伝子の植物のベータ・ブルガリス(Beta vulgaris)の系列を作製した。3系列のうち2系列がBNYWに対する抵抗性を有していた。
P15蛋白質発現は、抵抗性系列中より感受性系列中の方がかなり高いことが見い出された。siRNAは検出されたが、BNYW抵抗性系列の植物中のみであった(表2)。
従ってBNYW抵抗性はPGTSにより与えられる。この仮説を更にテストするために、各系列の1枚の葉をウイルス接種で感染させた(Stras1234はRNA1、 RNA2 、RNA3及びRNA4を与える)。 このように感染させた抵抗性植物の葉には、組織障害が生じないか僅かに生じたのみであった。これに対し感受性植物の葉では、多数の組織障害が生じた。P15特異性のsiRNA分子は、BNYW抵抗性系列中で検出されたが、依然として感受性植物では検出されなかった。
P15遺伝子配列中又は転写ターミネータの配列中では変化は検出されなかった。
[実施例2]
[P15ヘアピン構成体]
(組替え)P15配列を生じさせるPTGSの機能性を調べるために、ペチュニアイントロン又はサトウダイコンイントロンが介在する、センス及びアンチセンス方向の遺伝子組替えP15遺伝子(例えば(組替え)配列番号3)を含むバイナリアグロバクテリウムを構築した。
次に3種のhp15構成体(図4及び5参照)で得られた結果を示す。構成体1中のイントロン配列はペチュニアから誘導し(図4参照)、構成体2及び3中のイントロン配列はサトウダイコンから誘導する。構成体2及び3は、イントロンの長さのみが異なる。pS140ベクターの場合は550ntで、pS142ベクターの場合は91ntのみ(それぞれ図5A及び5B).
本発明のDNA構成体の作製、及びこれらの構成体のアグロバクテリウム・チューメファシアン(例えば(無害化)GV3101株)を周知方法及び技術に従って行った。p15センス及びアンチセンスフラグメント及びイントロンを、末端に特異的制限サイトを含むPCRで作製した。ベクターのバックボーンと混合すると、フラグメントの末端のこれらの特異的サイトの適合性に基づいて、フラグメントの1つの再結合/挿入が可能であった。フラグメント1の右の制限サイトは、フラグメント2の左の制限サイトと同じであった。
前記構成体のそれぞれについて、(第1の400ntの)GFP配列(遺伝子組替えp15配列の代わり)を含むヘアピン相同器官を作製し、コントロール(hpGFとして参照されるヘアピンコントロール)として使用した。更にMAバッファ(10mM塩化マグネシウム、200μMmアセトシリンゴン(acetosyringon)を処理用コントロールとした。
[実施例3]
[実験プロトコル]
テトラゴニア・エクスペンサ(Tetragonia expensa)、ベータ・マクロカルパ(Beta macrocarpa)及びベータ・ブルガリス(Beta vulgaris)の葉状物質(BNYW人工葉接種を保持する植物)をBNYW(RNA1及びRNA2を提供するStras 1234又はStras 12)に浸透(infiltration)させ感染させた。プロトコルについては後述を参照。構成体については前述を参照。
ヘアピン構成体を具有するアグロバクテリウム・チューメファシアンを28℃で一晩培養する。遠心分離(5000gで15レイン)及びアセトシリンゴン(200μM)及び1に調整されたOD600nmを含む10mMのMgCl2バッファ中に再懸濁させることにより、細胞をペレット化する。細胞懸濁物を浸透前に3時間、室温で保持する。
アグロバクテリウム溶液を、苗の葉(例えばベータ・マクロカルパ、ベータ・ブルガリス、テトラゴニア・エクスペンサ、ニコチナ・ベンサミナ(Nicotiana benthamina)、チェノポディウム・キノア(Chenopodium quinoa))に注入することにより、農的浸透を、4段階で行う。2mlの針のないシリンジを、針で傷ついた葉の上面に押し付ける。コチロドン(cotyledons)を除く各葉は浸透される。
農的浸透の4日後に、前もってカーボランダム粉で処理した葉を、10〜25μLの接種溶液(1μgのウイルスRNA(Stras1234又はStras12), マカロイド(macaloid)0.04%、リン酸カルシウム)バッファ50 mM、pH 7.5)で擦ることによる機械的接種で感染させた。
ベータ・マクロカルパ 10μL接種溶液/葉
ベータ・ブルガリス 25μL接種溶液/葉
テトラゴニア・エクスペンサ 25μL接種溶液/葉
ニコチナ・ベンサミナ 20μL接種溶液/葉
ベータ・マクロカルパ、ベータ・ブルガリス、テトラゴニア・エクスペンサ及びニコチナ・ベンサミナの葉を、上記のように処理し、その中に10から13dpiのリゾマニア・シンプトン(Rhizomania symptoms)の存在が確認された(接種後の日)。
[実施例4]
[BNYWの繁殖に対するhp15mRNA発現の効果]
A.ペチュニアイントロンを有する構成体
次の実施例は、本発明のhp15構成体を使用してサトウダイコン中で得られた結果を記載するものである。
構成体1(図4)で得られた結果を図6に纏める。hpGF構成体を発現する懸濁液で農的浸透されたベータ・ブルガリスの葉、及びMAバッファで浸透された葉に黄色クロロティック(chlorotic) 病変が観察された。これらの病変は、浸透及び接種されていない葉で観察されたものに類似していた。
hp15構成体(構成体1)を発現する懸濁液で農的浸透された植物の葉では、このような病変は存在しなかった。損傷が観察されたとしても、それらは非常に小さく、葉の浸透が最適でなかったゾーンに対応すると考えられる。
これらの予備的な結果は、hp15構成体が、ベータ・ブルガリスでPTGSを起こすことに適し、BNYW抵抗性を与えられることを示している。
B.サトウダイコンイントロンを有する構成体
上記実験を、イントロンの長さのみが異なる構成体2及び3を使用して、更に多数のサトウダイコンを使用して行った。
MAバッファで又はhpGF相同器官を発現するアグロバクテリウム・チューメファシアン懸濁液で感染させた全ての葉は、直径約3〜4mmの多数の損傷を示すことが見い出された。hp15(構成体2又は3)で農的浸透された植物の葉は、損傷が全然なく、あるいは最大直径約1mmの非常に少数の損傷が生じた。図7に示した結果から、構成体2(91ntのサトウダイコンイントロンを有する)がBNYWに対するより良好な保護を与えると考えられる。
C.P−タイプ単離体による感染に対する保護
フランスのピチビエ周辺で見い出されるPタイプのBNYWは、5個のプラスーセンスRNAから成っている。この損傷は、サトウダイコンを高度に発病させる。p26蛋白質の発現は、リゾマニア・シンプトンを悪化させると信じられている(非特許文献26)。
上記結果(項目Bで述べた)は、ウイルス接種としてPタイプBNYWを使用した場合にも繰り返された。
hp15構成体を発現させるアグロバクテリウム・チューメファシアン懸濁液で農的浸透された植物の葉では損傷が観察されなかった。
従って、ヘアピン構成体の中間体によるPTGSの誘起は、ウイルス感染に対する、特にBNYWに対する良好な抵抗性源であると考えられる。最も働きの強い単離体に対しても、植物抵抗性が得られた。
hp15構成体が発現(植物中)すると、酵素ダイサー(Dicer)により認識されかつ約21〜23ntのピース(siRNA)に切断されるdsRNAを形成する。P15特異的なsiRNAは、RISC(RNAで誘起されるサイレンシングコンプレックス)コンプレックスを生成し、これは次いでRNA相同器官、RNA2及びある種のBNYWサブゲノムRNA種をターゲットにし、これらの分解を引き起こす。そのため、ウイルスは1つの細胞から他の細胞に最早移動することができない。
[実施例5]
[本発明のhp15構成体は、皮質細胞中のウイルス繁殖を阻止する]
BNYW(A,B,Pタイプ)の存在及び拡散を、天然の抵抗性源での感受性2倍体サトウダイコン育成ライン4D6834(「4D」)(ホーリー1−4アクセッション(「Ho」)及びベータ・ブルガリssp.マリチナWB42(「Bm」))、及び本発明で形質変換したサトウダイコンで調べた。
血管組織では、ウイルス被覆蛋白質が、師管シーブ要素及び血管の柔組織内で観察された。これらの観察は、師管を通る長距離移動を支持している。例えばウイルス感染及び免疫検出に関する詳細なプロトコルついては、ドウセ(Doucet)の博士論文を参照。
「Ho」のような天然の抵抗性源は、部分的に抵抗性があることのみが証明された。「Ho」の抵抗性は、例えば ウイルスの高濃度存在下では消えてしまった。
本発明の抵抗性植物及び「Bm」遺伝子型は、ウイルス拡散に同じ限界を示した。しかし両者間の重要な相違は、「Bm」は依然として皮質細胞中でウイルスを繁殖させられることである。従ってウイルスは、依然としてP. betae(菌ベクター)に接近でき、表皮組織を優先的に感染させると思われる。ウイルス繁殖そして結果的に感染ポテンシャルの維持が可能になり、感染し易い種より程度が低いとはいえ、感染数が維持される。本発明の抵抗性遺伝子型の利点は、表皮組織でのウイルス繁殖を阻止する能力にある。「Bm」と比較して、土壌中の感染力を維持するウイルスの能力を減少させる。
[実施例6]
[総括的な結論]
前記実施例から、本発明の病原菌誘導のhp15抵抗性は、非常に強力なBNYW単離体に対しても高度に効果的であると結論付けることができる。
本発明のhp15構成体は、病原菌誘導の植物抵抗性を成功裏に生じさせた。テストしたhp15構成体は全てが、PTGSを通してRNA2の分解を生じさせた。
hpGF相同器官はPTGS機構(目視観察)を生じさせなかった。この場合、BNYW RNA2の分解は起こらなかった(ノーザンブロット分析)。
前記結果は、完全な長さのp15配列を含むhp15構成体の関する。 しかし正の結果は、p15コード配列のフラグメント(一部又は部分)を、センス及びアンチセンス方向で好適なベクター中にクローンした際にも得られた。例えばP15 BNYW遺伝子を3分の2含む構成体も、siRNA(小さいインターフェアRNA)によりターゲットとした。
このことは、本発明の遺伝子組替えBNYW TGB−3配列又はその一部又はフラグメントが、PTGSを起こすために非常に適していて、その結果、BNYW抵抗性植物を生成することを示している。
最大の成功を得るために、次の基準で、形質変換植物を選択することが好ましい。単一の構成体を与える形質変換体を選択し、植物のBNYW感染に対する抵抗性を分析する。高レベルの小さいRNAを生成する植物は、非常に高くかつ強いレベルの抵抗性を示す。欧州特許第1174513号に記載された原理に基づくアグロバクテリウム形質変換及び/又は植物形質変換は形質変換技術として好ましく、これはこれらあの技術が再配列を最小にするからである。
[実施例7]
[感染土壌中で生育した形質変換植物のELSAスクリーニング]
構成体:ベクターpS138(図11)をPEG直接遺伝子形質変換用に使用し、ベクターpS143(図12)をアグロバクテリウムで生じる形質変換用に使用した。両プラスミドは、図1A及び1Bに示すように、短いイントロン配列(91bp)を有するP15−4(BNP15−Ala4)ヘアピン構成体を含む。該構成体では、P15−4センス配列は配列番号3に対応し、P14−4アンチセンス配列は配列番号12に対応し、イントロンは配列番号11に対応する。
PEG形質変換:PEG形質変換を、欧州特許公開第WO95/10178号公報に記載された方法に従ってサトウダイコンガード細胞原形質体に対して行った。原形質体及びカルス選択を、0.2nMイマザモックス(imazamox)に行った。新芽及び植物は0.2nMイマザモックスについて選択した。PEG形質変換植物は、THPRxxx とラベルした。
アグロバクテリウムによる形質変換:アグロバクテリウムによる形質変換用の出発物質は、土壌PGIB媒体で培養したアルギン酸塩ディスクから得られるサトウダイコンガード細胞原形質体誘導カルスから成っていた(欧州特許公開第WO95/10178号公報に記載)。
アグロバクテリウム株(HAT8000)を、25mg/Lのストレプトマイシンと2mg/Lのテトラサイクリンで補完されたLB媒体中で一晩成長させた。形質変換の前に、バクテリアの培地を、4000rpmで15分間遠心分離し、ペレットを、100μMのアセトシリンゴンで補完されたPGo媒体中に再懸濁させ、OD550 1.0の接種密度を得た。
接種のために、バクテリアの懸濁液を、得られるガード細胞誘導カルスを含むアルギン酸塩を有するペトリ皿中に注ぐ。10分後、共培養媒体(100μMアセトシリンゴン及び0.9%シープラク・アラゴス(Seaplaque agarose)で補完されたPGIB媒体、pH5.8)上に位置させる前に、アルギン酸塩を除去し、濾紙上で乾燥させる。媒体を、27℃の暗所で1から2日培養し、その後、個々のカルスを、125mg/Lのセフォタクシン(cefotaxime)、0.2nMのイマザモックス及び0.8%のアラゴース(pH5.8)で補完した選択媒体に移す。2週間後、成長しているカルスを、0.2nMのイマザモックスで補完し、25℃の明所で培養したPBN媒体へ移す。得られる新芽及び植物を、20nMのイマザモックスに関して選択した。アグロバクテリウム形質変換植物を「AgHPxxx」とラベルした。
ELISAスクリーニング:ELISAスクリーニングのために、1又は2のヘアピン構成体を含む形質変換体のみを使用した。次いで、インビトロで、植物を根組織に移した。6から8週間後に、良好に成長した根システムを有するインビトロ根形質変換体を土壌/砂の混合物に移した。この混合物は、フランスのピチビエ地方で集めたBNYWパトタイプPを含むポリミキサ・ベータ(Polymyxa betae)が寄生していた。
18〜19℃及び70%の相対湿度で、4週間培養した後、根から砂及び土壌を洗い流し、根の株をELISAテストのために使用した。根のかけらを濾紙上で乾燥させ、秤量し、マイクロ管に移し、それをー60℃で一晩凍結させ、次いで2〜3日間凍結乾燥を行った。凍結乾燥後、サンプルを粉砕した(30rpm/分で、2x1分)。抽出バッファの対応する量を、各管に加えた。粉末が再懸濁するまで管を振り、3000rpmで10分間遠心分離した。この上澄み150μLをアッセイのために使用した。
各植物の根のウイルス含有量を、ネオゲン社(www.neogen.com) .のウイルスの外皮蛋白質に対して育成された抗体を使用する三重抗体サンドイッチ酵素結合免疫吸着法(TAS−ELISA)により分析した。抵抗性植物のカットオフ値は、OD405 値で0.2であった。
結果:ELISA値が小さいほど、分析した植物の根システムに存在するウイルスの量が小さくなった。異なった2種類のバイオテスト (Rz2007-001A及びRz2007-002A) の結果を図9及び10に纏めた。次のサトウダイコンを正及び負のコントロールとした。4D6834、感受性コントロール。DKI8、市販の育種素材から誘導した抵抗性コントロール。TMOC1867及び MOX63MSF1、pl5-ALA4構成体(センス構成体でヘアピン構成体でない)で形質変換した植物。
MOX63MSF1植物では、小さいRNAフラグメントが検出された。これらの植物では、このようにして、遺伝子構成体自身による開始を経ずに、より可能性があるのは、挿入体の再配置によりPTGS機構が生じる。これは、多分これらの植物で観察される高い抵抗性レベルで説明できる。
本発明によるp15ヘアピン構成体で形質変換された29のうち全部で20系列がリゾマニア抵抗性を示すことが証明された。次の形質変換いる通常のみが感受性があると見出された。THPR82, THPR90, AgHP150, AgHP155, THPR12, THPR15, THPR53 , THPR239 and THPR270.
上記データは、本発明の病原菌誘導のhp15抵抗性が非常に強いBNYW単離体にさえも非常に有効であることを再度確認している。高レベルの免疫は、例えばバイオテストRZ2007-002Aの次の形質変換植物系列で観察された。THPR26、THPR118、THPR222及びTHPR289。高レベル免疫を有する植物は、0.05未満のOD405 値を有することが好ましく、0.01未満あるいはほぼゼロであることがより好ましい。
Figure 2009535046
(表2)
遺伝子組換え植物のR15特異性siRNAのP15蛋白質発現の検出。R:BNYVVに抵抗性のある植物系列。S:BNYVVにかなった植物系列。+:弱い検出。++:強い検出。−:検出なし。
Figure 2009535046

図1は、91 bpのイントロン配列が介在する、センス突然変異p15ヌクレオチド配列及びアンチセンスp15ヌクレオチド配列を有する本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列を示す。 図2は、550bpのイントロン配列が介在する、センス突然変異p15ヌクレオチド配列及びアンチセンスp15ヌクレオチド配列を有する本発明の遺伝子組替えTGB−3ウイルス配列を示す。 図3は、WTp15配列を示す。 図4は、ペチュニアのチャルコン・シンサーゼ A遺伝子の遺伝子配列が介在し、BNp15−ala遺伝子がセンス及びアンチセンス方向に導入されたpFGC5941ベクターの概略図である。 図5は、550nt及び91ntが介在し、BNp15−ala遺伝子がセンス及びアンチセンス方向に導入されたpS140及びpS142ベクターのそれぞれの概略図である。 図6は、構成体1で得られたPTGSデータの統計分析である。 図7は、構成体1、2及び3で得られたPTGSデータの統計分析である。 図8は、配列番号7で表されるWTp15BNYW配列と同等の配列番号10における差異を強調した図である。 図9は、BNYW感染した土壌で成長した植物の根のウイルスの存在確認手段としてのELISAテストの結果を示す。 図10は、BNYW感染した土壌で成長した植物の根のウイルスの存在確認手段としてのELISAテストの結果を示す。 図11は、PEG直接遺伝子形質変換実験で使用するpS138ベクターを表す。 図12は、アグロバクテリウムが仲介する形質変換のために使用するpS143ベクターを表す。

Claims (37)

  1. a)配列番号3及び配列番号3のアンチセンス配列を含んで成るヌクレオチド配列、
    b)配列番号3のフラグメント及び配列番号3の該フラグメントのアンチセンス配列を含んで成るヌクレオチド配列、
    c)組換えられた配列番号3及び該組換えられた配列番号3のアンチセンス配列を含んで成るヌクレオチド配列、及び
    d)組換えられた配列番号3のフラグメント及び該組換えられた配列番号3のフラグメントのアンチセンス配列を含んで成るヌクレオチド配列、
    から成る群から選択される配列を含んで成る遺伝子的に組換えられたTGB−3ウイルス配列であって、
    細胞中で転写されたときに、前記遺伝子的に組換えられたTGB−3ウイルス配列が、二重鎖の自己相補的なRNA分子を生成できることを特徴とする遺伝子的に組換えられたTGB−3ウイルス配列。
  2. センス及びアンチセンス配列が、1つの核酸配列に含まれる請求項1記載のTGB−3ウイルス配列。
  3. センス及びアンチセンス配列間に配置されたイントロンフラグメントを更に含んで成り、細胞中で転写されたときに、前記TGB−3ウイルス配列が、ヘアピンRNA分子を形成できる請求項1又は2に記載のTGB−3ウイルス配列。
  4. イントロンフラグメントが、植物遺伝子から誘導される請求項3に記載のTGB−3ウイルス配列。
  5. 植物遺伝子が、ビート遺伝子である請求項4記載のTGB−3ウイルス配列。
  6. イントロンフラグメントが、高度に転写された遺伝子である請求項3に記載のTGB−3ウイルス配列。
  7. 高度に転写された遺伝子が、リボゾームRNA遺伝子である請求項6に記載のTGB−3ウイルス配列。
  8. 高度に転写された遺伝子が、高度に転写されたサトウダイコン遺伝子である請求項6に記載のTGB−3ウイルス配列。
  9. 前記組換えられた配列番号3配列中で、配列番号3配列の翻訳開始及び/又は停止コドンが組換えられて、翻訳を阻害するようにした請求項1〜8までのいずれか1項に記載のTGB−3ウイルス配列。
  10. 配列番号9又は配列番号13を含んで成る請求項1〜9までのいずれか1項に記載のTGB−3ウイルス配列。
  11. 配列番号9又は配列番号13から成る請求項1〜10までのいずれか1項に記載のTGB−3ウイルス配列。
  12. 請求項1〜11までのいずれか1項に記載の遺伝子的に組換えられたTGB−3ウイルス配列を含んで成ることを特徴とするベクター。
  13. 植物細胞中で活性な1又は2以上の調節塩基配列に結合した請求項12に記載のベクター。
  14. 請求項12又は13のベクターにより発現した二本鎖の自己相補的RNA分子。
  15. 植物又は植物細胞中で活性な1又は2以上の調節塩基配列にリンクされた、請求項1から11までのいずれか1項に記載の遺伝子的に修飾したTGB−3ウイルス配列を含んで成る核酸構成物を生産する工程、及び
    該核酸構成体で植物細胞を形質変換し、これにより植物又は植物細胞中のウイルスに対する抵抗力を与えることを含んで成る植物又は植物細胞中のウイルスに抵抗性を付与する工程を含んで成る方法。
  16. ウイルスが、リンゴステムピッティングウイルス、ブリーベリースコーチウイルス、ジャガイモMウイルス、ホワイトクローバーモザイクウイルス、シンビディウムモザイクウイルス、オオムギ班葉モザイクウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、ピーナッツクランプウイルス、ビートソイルボーンウイルス及びBNYWウイルスから成る群から選択される請求項15に記載の方法。
  17. 植物又は植物細胞における全RNA2、又はTGB−3移動蛋白質の転写後の遺伝子サイレンシングを起こすための方法であって、
    植物又は植物細胞中で活性な1又は2以上の調節塩基配列にリンクされた、請求項1から11までのいずれか1項に記載の遺伝子的に修飾したTGB−3ウイルス配列を含んで成る核酸構成物を生産する工程、及び
    該核酸構成物で植物細胞を形質変換し、これにより二重鎖RNA分子を形成できるRNA分子の前記植物細胞中での発現が、転写後の遺伝子サイレンシングの機構を起こさせる工程を含んで成る方法。
  18. 植物細胞が、気孔細胞である請求項17に記載の方法。
  19. 植物が、リンゴ、ブルーベリー、ジャガイモ、クローバー、蘭、ピーナッツ及びサトウダイコンから成る群から選択される請求項17又は18に記載の方法。
  20. 形質変換された植物細胞から遺伝子導入植物を再生するようにした請求項17から19までのいずれか1項に記載の方法。
  21. 調節塩基配列が、植物中で活性なプロモータ配列又は終了配列を含んで成る請求項17から20までのいずれか1項に記載の方法。
  22. プロモータ配列が、構造性配列又は外来配列である請求項21に記載の方法。
  23. プロモータ配列が、35Sカリフラワーモザイクウイルスプロモータ、及びポリユビキチン・シロイヌナズナ・プロモータ(polyubiquitin Arabidopsis thaliana promoter)から成る群から選択される請求項21に記載の方法。
  24. プロモータ配列が、植物の根組織中で活性なプロモータである請求項21に記載の方法。
  25. プロモータ配列が、サトウダイコンの根組織中で活性なプロモータである請求項24に記載の方法。
  26. 植物の根組織中で活性な前記プロモータが、ペロスポニア・アンデルソニー(Persponia andersonii)からのヘモグロビン遺伝子のパープロモータ(par promoter)である請求項24に記載の方法。
  27. 植物又は植物細胞中で活性な1又は2以上の調節塩基配列にリンクされた、請求項1から11までのいずれか1項に記載の遺伝子的に修飾したTGB−3ウイルス配列を有する核酸構成物を含んで成り、更に請求項12又は13に記載のベクター、又は請求項14に記載の二重鎖の自己相補的なRNA分子を含んで成るウイルス抵抗性の遺伝子組換え植物又は遺伝子組換え植物細胞。
  28. ウイルスが、リンゴステムピッティングウイルス、ブリーベリースコーチウイルス、ジャガイモMウイルス、ホワイトクローバーモザイクウイルス、シンビディウムモザイクウイルス、ジャガイモXウイルス、オオムギ班葉モザイクウイルス、ジャガイモモップトップウイルス、ピーナッツクランプウイルス、ビートソイルボーンウイルス及びBNYWウイルスから成る群から選択される請求項27に記載の遺伝子組換え植物又は遺伝子組換え植物細胞。
  29. 植物が、リンゴ、ブルーベリー、ジャガイモ、クローバー、蘭、ピーナッツ及びサトウダイコンから成る群から選択される請求項27又は28に記載の遺伝子組換え植物又は遺伝子組換え植物細胞。
  30. 調節塩基配列が、植物中で活性なプロモータ配列又は終了配列を含んで成る請求項27から29までのいずれか1項に記載の遺伝子組換え植物又は遺伝子組換え植物細胞。
  31. プロモータが、植物の根組織中で活性である請求項30に記載の遺伝子組換え植物。
  32. 前記プロモータが、ペロスポニア・アンデルソニー(Persponia andersonii)からのヘモグロビン遺伝子のパープロモータ(par promoter)である請求項30又は31に記載の遺伝子組換え植物。
  33. 前記遺伝子組換え植物がサトウダイコンで、遺伝子組換え植物細胞がサトウダイコン細胞である請求項27から32までのいずれか1項に記載の遺伝子組換え植物又は遺伝子組換え植物細胞。
  34. 調節塩基配列が、構成的配列又は外来配列である請求項27から33までのいずれか1項に記載の遺伝子組換え植物又は遺伝子組換え植物細胞。
  35. プロモータが、35Sカリフラワーモザイクウイルスプロモータ、及びポリユビキチン・シロイヌナズナ・プロモータから成る群から選択される請求項27から34までのいずれか1項に記載の遺伝子組換え植物又は遺伝子組換え植物細胞。
  36. 前記組織が、果実、茎、根、塊茎及び種から成る群から選択される請求項27から35までのいずれか1項に記載の遺伝子組換え植物細胞から誘導される遺伝子組換え植物組織。
  37. 再生可能な構造が、角質、芽又は胚から選択される請求項27から35までのいずれか1項に記載の遺伝子組換え植物細胞から得られる遺伝子組換え再生可能構造。
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