JP2009274928A - 分割式ヒーターならびにこれを用いた単結晶引上げ装置および引上げ方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】円筒形状をなす分割式ヒーター、ならびにこのヒーターを用いたCZ法による単結晶引上げ装置および引上げ方法を提供する。
【解決手段】(1)ルツボ内に供給される原料を加熱し、溶融状態に保持するための円筒形状のヒーター(発熱体)1であって、ヒーターが円周方向に分割されており、当該分割された個々の分割片のうちの背の高い分割片1aと低い分割片1bとが交互に配置され、かつ背の低い分割片の上方に、背の高い分割片の上部が延出している分割式ヒーターである。(2)ルツボの外側に同心円状に配置され、ルツボ内に供給される原料を加熱して溶融状態に保持するためのヒーターとして、前記の分割式ヒーターが組み込まれている引上げ装置であり、この引上げ装置を用いれば、ルツボの上部と下部の加熱状態を制御して、ルツボ上部の変形の防止、ルツボ内に供給された原料の速やかな溶融が可能である。
【選択図】図4
【解決手段】(1)ルツボ内に供給される原料を加熱し、溶融状態に保持するための円筒形状のヒーター(発熱体)1であって、ヒーターが円周方向に分割されており、当該分割された個々の分割片のうちの背の高い分割片1aと低い分割片1bとが交互に配置され、かつ背の低い分割片の上方に、背の高い分割片の上部が延出している分割式ヒーターである。(2)ルツボの外側に同心円状に配置され、ルツボ内に供給される原料を加熱して溶融状態に保持するためのヒーターとして、前記の分割式ヒーターが組み込まれている引上げ装置であり、この引上げ装置を用いれば、ルツボの上部と下部の加熱状態を制御して、ルツボ上部の変形の防止、ルツボ内に供給された原料の速やかな溶融が可能である。
【選択図】図4
Description
本発明は、ルツボ内に供給される原料を加熱して溶融状態に保持する際に使用する円筒形状をなす分割式ヒーター、ならびにこの分割式ヒーターが組み込まれた単結晶引上げ装置およびこの引上げ装置を用いる単結晶引上げ方法に関する。
抵抗式の加熱炉(電気抵抗加熱装置ともいう)は、燃焼式の加熱炉に比べて操作、保守が簡単で、被処理物を高温度に加熱することができ、且つその温度を高精度で調節できることから、多くの工業分野で広く使用されている。
ルツボ内に供給された原料(例えば、半導体用シリコン原料)をルツボの外側から加熱する円筒形状の抵抗式加熱炉を例にとると、この加熱炉の主要部は、発熱体としての円筒形状のヒーターと、その外周近傍に取り付けられている同じく円筒形状の断熱材およびこの断熱材をヒーターの高温から保護するための断熱材保護円筒とから構成されている。ヒーターの材質としては、カーボン(炭素)が使用されている。
図1は、この円筒形状の加熱炉に用いられているヒーター(発熱体)の概略形状を例示する図で、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。図1に示すように、ヒーター1は円筒形状をなし、ルツボ2の外側に概ね同心円状に配設される。ヒーター1の外周近傍には断熱材3およびこの断熱材3を保護するための断熱材保護円筒4が取り付けられる。なお、図示していないが、ヒーター1の下部にはこのヒーター1を支持するとともにこれに通電するための電極が設置されている。
ヒーターはカーボン製であり、カーボン粉を型に入れ、静水圧をかけて固めるCIP(Cold Isostatic Pressing)法によりブロック状の素材を作り、この素材から削り出すことにより一体ものとして作製される。断熱材としては、一般に軽量で断熱効果の大きいフェルト材が用いられ、この断熱材を保護するため、断熱材のヒーターと向き合う面にカーボンや、CCM(Carbon Composite material)からなる断熱材保護円筒が配設される。
このように構成された抵抗式加熱炉は、例えばチョクラルスキー法(以下、「CZ法」と記す)により単結晶を育成し引き上げるシリコン単結晶の引上げ装置において、結晶引上げ用ルツボ内に供給された原料を加熱し、溶融状態に保持するために同装置内に組み込まれ、使用されている。
図2は、CZ法によるシリコン単結晶の引き上げ方法を実施するのに適した従来の引上げ装置の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。図2に示すように、この引上げ装置はルツボ5内に供給される原料(例えば、塊状、粒状の多結晶シリコン)を加熱し、溶融状態に保持するためのヒーター1がルツボ5の外側に概ね同心円状に配設され、その外周近傍には断熱材3およびこの断熱材3を保護するための断熱材保護円筒4が取り付けられている。さらに、この例では、引上げられる単結晶を囲繞し、ルツボ5内のシリコン溶融液7の表面からの放熱を遮蔽するための熱遮蔽板8が取り付けられている。
ルツボ5は二重構造で、有底円筒状をなす石英製の内層保持容器(以下、「石英ルツボ」という)5aと、その石英ルツボ5aの外側を保持すべく適合された同じく有底円筒状の黒鉛製の外層保持容器(以下、「黒鉛ルツボ」という)5bとから構成されており、回転および昇降が可能な支持軸6の上端部に固定されている。
溶融液7が充填された前記ルツボ5の中心軸上には、支持軸6と同一軸上で逆方向または同方向に所定の速度で回転する引上げワイヤー8が配設されており、その下端には種結晶9が保持されている。
このように構成された引上げ装置を用いてシリコン単結晶の引き上げを行う際には、ルツボ5内に所定量の半導体用シリコン原料(一般的には、塊状または粒状の多結晶シリコンを用いる)を投入し、減圧下の不活性ガス(通常はAr)雰囲気中でこの原料をルツボ5の周囲に配設したヒーター1により加熱、溶融した後、形成された溶融液7の表面近傍に引上げワイヤー8の下端に保持された種結晶9を浸漬する。続いて、ルツボ5および引上げワイヤー8を回転させつつワイヤー8を引き上げ、種結晶9の下端面に単結晶10を成長させる。
引き上げに際しては、その速度を調節して種結晶9の下端面に成長させる単結晶10の直径を減少させ、ネック部(絞り部)を形成するネッキングプロセス(工程)を経た後、引上げ速度を低下させ、結晶径を徐々に増大させて肩部を形成し、定径部の引き上げに移行する。定径部が所定長さに達した後、結晶径を徐々に減少させ、最先端部を溶融液7から引き離すことにより1回の引き上げが終了する。
このシリコン単結晶引上げの溶解工程において、ルツボ5内に供給される原料をヒーター1により加熱し、溶融する際、円筒形状をなすヒーター1全体が同じように発熱するので、原料が入っていないルツボ上部も原料が入っているルツボ下部と同様に加熱される。そのため、石英ルツボ5aの上部が変形し(以下、単に「ルツボ上部の変形」という)、内側に倒れ込むことがある。その場合は、倒れ込んだルツボ5aの上部が熱遮蔽板8と接触し、単結晶の引き上げが続行できなくなる。
また、ルツボ5内に供給された半導体用シリコン原料(塊状、粒状の多結晶シリコン)を加熱、溶融する際、一般に、原料の溶融はルツボ5内で均一には進行せず、特に、ルツボが大型になると原料は均一に溶解しにくくなる。
図3は、結晶引上げ用ルツボ内に供給された原料の溶解過程を模式的に示す図である。同図に示すように、石英ルツボ5a内に供給された塊状および粒状の原料11は(図3(a))、ルツボ5aの外側に同心円状に配設されているヒーター(図示せず)により加熱され、溶融する。溶融の過程で、シリコン溶融液7の比重は固相のそれより大きいので、未溶融の塊状、粒状の原料11は溶融液面近傍に浮かんだ状態となる(図3(b))。追加チャージが実施される場合(図3(c))、供給された原料11は一旦は(b)に示したような未溶融状態で溶融液面の近傍に浮かび、その後加熱されて溶融する(図3(d))。
塊状の原料を用いず、粒状または微粉状の多結晶シリコンのみを使用すれば、原料の溶融をより速やかに行えるが、塊状の原料を使用する場合も少なくない。
一方、近年の半導体デバイスの高集積化、低コスト化及び生産性の向上に対応して、ウェーハも大口径化が要求されてきており、大口径のシリコン単結晶の製造に対する要請が極めて大きい。
大口径のシリコン単結晶を製造するには、結晶引上げ用ルツボを大型化しなければならず、単結晶引上げ装置に組み込まれる加熱炉のヒーターも大型化する必要がある。そのため、このヒーターを一体ものとして削り出せる大型のカーボン製のブロック状素材(以下、「カーボン素材」という)が必要となるが、CIP法で製造できるブロック状の素材の大きさには限度があり、それによってシリコン単結晶の大口径化が制約される。
シリコン単結晶の大口径化はこれまでも逐次行われてきており、そのために必要となるヒーターの大型化については、CIP法により製造されるカーボン素材を大型化することにより行われてきた。しかし、従来、ヒーターの形状その他ヒーター側に改善を施してシリコン単結晶の大口径化に対処しようという試みはなされていなかった。
特開2007−261846号公報
本発明はこのような状況に鑑みなされたもので、シリコン単結晶引き上げの溶解工程におけるルツボ上部の変形(内側への倒れ込み)と、それに起因する単結晶引き上げの中断を回避し、また、ルツボ5内に供給された半導体用シリコン原料(塊状、粒状の多結晶シリコン)を効率よく、速やかに溶融することができ、さらには、大口径のシリコン単結晶を製造することができる円筒形状の分割式ヒーター、ならびにこの分割式ヒーターを用いたCZ法による単結晶引上げ装置とそれによる引上げ方法の提供を目的としている。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、ヒーターの形状を改善することとし、円筒形状の一体もののヒーターをその円筒の周方向に分割して、分割式のヒーターとすることを試みた。分割された各部分(以下、分割された個々の部分を「分割片」という)は、使用時に円筒形状に組み込まれ、円筒形状のヒーターとして使用に供されるので、円筒形状の一体もののヒーターの代わりにこのような分割式ヒーターを用いることとすれば、CIP法により製造したカーボン素材から大きな分割片を削り出して円筒形状に組み込むことにより、大型のヒーターを作製することが可能となる。
なお、前掲の特許文献1には、長手方向に少なくとも2分割されたマルチヒーターを使用したシリコン単結晶の製造方法が記載されているが、この方法は、単結晶の引上げ速度と、ルツボおよび当該単結晶の回転速度と、前記マルチヒーターにおける上段ヒーターの出力に対する下段ヒーターの出力の比とを調整することにより、単結晶の側面の温度勾配、固液界面の高さ、および単結晶の長手方向の酸素濃度を制御して無欠陥のシリコン単結晶を安定して高速で製造する方法であり、ヒーターを分割する目的が、本発明におけるヒーター分割の目的と異なる上に、分割の方向も全く相違している。
前記のヒーターの分割に加え、ヒーターに付帯する断熱材およびこの断熱材を保護するための断熱材保護円筒についても円周方向に分割することとすれば、これら断熱材等の取り付け、取り外しなど、取り扱い(ハンドリング)が容易になる。
また、前記原料の溶解工程において、ルツボ上部が変形し、内側へ倒れ込むのを防止するためには、ルツボ上部の加熱を緩やかに行うことが有効である。さらに、ルツボ内に供給された半導体用シリコン原料(塊状、粒状の多結晶シリコン)を効率よく、速やかに溶融するためには、ルツボの下部を強く加熱して、ルツボ内の溶融液面近傍における塊状、粒状の原料の残存をなくし、もしくは少なくすることが効果的であると考えられる。
そこで、本発明者らは、円筒形状のヒーターをその円筒の周方向に分割するとともに、各分割片の形状に工夫を凝らし、ルツボの上部と下部の加熱状態を調節することが可能な分割式ヒーターを考案した。
CZ法によるシリコン単結晶の引上げ装置として前記の分割式ヒーターを組み込んだ引上げ装置を用いれば、ルツボの上部と下部の加熱状態を調節することが可能となるので、ルツボ上部の内側への倒れ込みを防止することができ、ルツボ内に供給された塊状または粒状の原料の効率的な溶融が可能となる。さらに、ヒーターを大型化して大口径のシリコン単結晶を製造することもできる。
本発明はこのような着想および検討結果に基づきなされたもので、その要旨は、下記(1)の分割式ヒーター、ならびにこの分割式ヒーターを備える下記(2)の単結晶引上げ装置、およびこの引上げ装置を用いる下記(3)の単結晶引上げ方法にある。
(1)ルツボ内に供給される原料を加熱し、溶融状態に保持するための円筒形状のヒーターであって、前記ヒーターが円周方向に分割されており、当該分割された個々の分割片のうちの背の高い分割片と低い分割片とが交互に配置され、かつ背の低い分割片の上方に、背の高い分割片の上部が延出していることを特徴とする分割式ヒーター。
ここで、「ヒーター」とは、前記のように、円筒形状の抵抗式加熱炉の主要部構成部材の一つである発熱体を指す。なお、加熱炉の主要部構成部材とは、発熱体(ヒーター)、その外周近傍に取り付けられている断熱材および断熱材保護円筒をいう。「円周方向に分割されている」とは、円筒形状のヒーターがその円筒の周方向に分割されていることをいう(後に示す図4参照)。
また、「背の高い分割片」とは、各分割片を組み込んで円筒形状のヒーターとしたときに、分割片の上端がヒーターの最高部に達する分割片であり、「背の低い分割片」とは、その上端が最高部まで達しない分割片である。
前記(1)の分割式ヒーターにおいて、ヒーターに付帯する断熱材および断熱材保護円筒が円周方向に分割されていることとする実施形態を採ることができる。
(2)ルツボの外側に同心円状に配置され、ルツボ内に供給される原料を加熱して溶融状態に保持するためのヒーターを備え、前記ルツボ内の溶融液からCZ法により単結晶を育成する単結晶引上げ装置であって、当該ヒーターが前記(1)に記載される分割式ヒーター(前記実施形態を含む)であることを特徴とする単結晶引上げ装置。
(3)前記(2)に記載される単結晶引上げ装置を用いる単結晶引上げ方法であって、当該引上げ装置に組み込まれている分割式ヒーターによりルツボの上部と下部の加熱状態を制御して、ルツボ上部の変形を防ぐとともにルツボ内に供給される原料の溶解を速やかに行うことを特徴とする単結晶引上げ方法。
本発明の分割式ヒーターは円筒形状をなし、円周方向に分割されており、さらにルツボの上部と下部の加熱状態を調節できるように構成されている。この分割式ヒーターが組み込まれた本発明の単結晶引上げ装置を用い、本発明の引上げ方法によれば、ルツボ上部の変形(内側への倒れ込み)を防止することができ、ルツボ内に供給された塊状または粒状の原料の効率的な溶融が可能となる。
また、大きな分割片を削り出すことによりヒーターを大型化することができ、大型の石英ルツボを使用してシリコン溶融液を保持することが可能となるので、大口径のシリコン単結晶を製造することができる。
本発明の分割式ヒーターは、ルツボ内に供給される原料を加熱し、溶融状態に保持するための円筒形状のヒーターであって、前記ヒーターが円周方向に分割されており、当該分割された個々の分割片のうちの背の高い分割片と低い分割片とが交互に配置され、かつ背の低い分割片の上方に、背の高い分割片の上部が延出していることを特徴とするヒーターである。
図4は、本発明の分割式ヒーターの概略形状を模式的に例示する図で、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視立面図である。前記図1に例示したヒーターと同様に、ルツボ内に供給された原料(例えば、半導体用シリコン原料)を加熱する円筒形状の加熱炉の主要部構成部材として用いられるヒーターである。
図4(a)に示すように、ヒーター1は円周方向に分割されており、(b)に示すように、分割された個々の分割片のうちの背の高い分割片1aと低い分割片1bとが交互に配置され、かつ背の低い分割片1bの上方に、背の高い分割片1aの上部が延び出している。図4(b)において、薄く塗りつぶした部分が延出部である。なお、図示していないが、各分割片1a、1bにはそれぞれ分割片を支持するとともにこれに通電するための電極(正極と負極)が取り付けられており、それぞれの分割片1a、1bの出力を調節できるように構成されている。
ヒーターの形状をこのように背の高い分割片1aと背の低い分割片1bとを組み合わせた形状とするのは、ルツボの上部と下部の加熱状態を調節できるようにするためである。例えば、分割片1aは、各分割片を組み込んで円筒形状のヒーターとしたときに、その上端がヒーターの最高部に達する背の高い分割片であり、かつその上部が背の低い分割片1bの上方に延び出しているので、分割片1aの出力を高めることにより発熱量を増大させ、ルツボの上部を強く加熱することができる。また、背の低い分割片1bの出力を高めることにより、ルツボの下部の加熱状態を強めることが可能になる。
分割片1a、1bを交互に配置するのは、分割片1a、または分割片1bによる加熱の効果がルツボ内の局部に偏するのを避けて、できるだけルツボ内全体に及ぶようにするためである。
また、ヒーターが分割式なので、大型ヒーターを作製するのに好適である。すなわち、円筒形状の分割式ヒーターを作製する際には、CIP法により製造したカーボン素材から各分割片を削り出し、使用時にこれらの分割片を円筒形状に組み込んで円筒形状のヒーターとするので、大きな分割片を削り出すことによりヒーターを大型化することができる。これによって、現状のCIP装置により、大口径のシリコン単結晶を製造するために必要な大型ヒーターの作製が可能となる。
また、同じ大きさのヒーターを作製する場合であれば、ヒーターを分割することにより、削り出すカーボン素材の大きさを分割片に合わせて小さくすることができるので、削り出す素材量を少なくして加工ロスを減少させることができる。ヒーターが大型化すれば加工ロスが多くなるので、ヒーターの分割による加工ロスの低減効果はヒーターが大型化するほど増大する。
ヒーターを分割する際、前掲の特許文献1に記載されるように長手方向ではなく円周方向に分割するのは、一つの分割片を削り出すカーボン素材の大きさ(容積)を格段に小さくすることができるからである。
前記図4に例示した分割ヒーターは、背の高い分割片1aと背の低い分割片1bとがそれぞれ8個で、16分割されているが、分割片の数はこれに限定されない。しかし、分割片1a、1bが周方向に交互に配置されているので、分割片の数を少なくし過ぎるとそれぞれの加熱の効果が周方向の一部に限定されることとなり、一方、分割片の数が多いと加熱の効果をルツボ内全体に及ぼすことができるが、ヒーターの製造コストが増大する。したがって、分割片の数と分割片1a、1bそれぞれの加熱効果との関係を経験的に把握した上で、加熱の目的、コスト等を勘案して、分割片の数を定めるのが望ましい。
本発明の分割式ヒーターにおいては、ヒーターに付帯する断熱材および断熱材保護円筒も円周方向に分割されていることとする実施形態を採ることが望ましい。
前記本発明の分割式ヒーターは、発熱体であるヒーターが分割され、ヒーターに付帯する断熱材および断熱材保護円筒については何ら規定されていない。これら断熱材等を、仮に分割せず、円筒形状のまま使用に供した場合、断熱材等が大型のものであれば、その取り付け、取り外しなど、取り扱い(ハンドリング)が大がかりになることもあるが、断熱材および断熱材保護円筒も円周方向に分割されていれば、そのハンドリングが容易になる。ヒーターが大型化するほど断熱材等も大型になるので、前記の断熱材等を分割する効果は大きくなる。
本発明の単結晶引上げ装置は、ルツボの外側に同心円状に配置され、ルツボ内に供給される原料を加熱して溶融状態に保持するためのヒーターを備え、前記ルツボ内の溶融液からCZ法により単結晶を育成する単結晶引上げ装置であって、当該ヒーターが本発明の分割式ヒーター(前記の実施形態を含む)であることを特徴とする引上げ装置である。なお、ここで、単結晶引上げ装置に組み込まれている本発明の「分割式ヒーター」はこのヒーターに付帯する断熱材および断熱材保護円筒も含むものである。ヒーターの使用時には断熱材等の配置が欠かせないからである。
図5は、本発明の単結晶引上げ装置の要部構成例を模式的に示す縦断面図である。図5に示すように、この引上げ装置は、基本的な構成は前記図2に示した単結晶引上げ装置と異なるところはないが、ルツボ内に供給される原料(例えば、半導体用のシリコン原料)を加熱して溶融状態に保持するためのヒーター1は前記図4に例示した本発明の分割式ヒーターであり、その外周近傍には断熱材3およびこの断熱材3を保護するための断熱材保護円筒4が取り付けられている。
図5のルツボ5内に付記した破線は単結晶引き上げ開始前のシリコン溶融液の液面レベルLsを表す。円周方向に分割されているヒーター1の個々の分割片のうちの背の低い分割片1bの上面が、この液面レベルLsの近傍に位置するようにヒーター1が配置されている。
本発明の単結晶引上げ方法は、この本発明の単結晶引上げ装置を用い、それに組み込まれている分割式ヒーターによりルツボの上部と下部の加熱状態を制御して、ルツボ上部の変形(内側への倒れ込み)を防ぐとともにルツボ内に供給される原料の溶解を効率的に行うことを特徴とする引上げ方法である。ここで、「ルツボの上部」とは、前記の単結晶引き上げ開始前のシリコン溶融液の液面レベルLsの近傍よりも上の部分を、また、「ルツボの下部」とは、それよりも下の部分をいう。
前記ルツボの上部と下部の加熱状態の制御は、ヒーター1を構成する分割片1a、1bの出力を調節してそれぞれの発熱量を変化させることにより行う。
通常は、原料溶解工程で、分割片1aの出力を下げ、ルツボの上部(前記の液面レベルLsの近傍よりも上の部分)の加熱を緩やかに行ってルツボ上部の変形を抑えるとともに、分割片1bの出力を上げ、ルツボの下部(前記の液面レベルLsの近傍よりも下の部分)の加熱を強めて原料を溶解する。前記分割片1bの出力を上げるに際しては、原料の溶解を速やかに行い、特にルツボ内の溶融液面近傍における塊状、粒状の原料の残存をなくし、または少なくできるように、分割片1aの出力低下による発熱量の減少を充分に上回る発熱量が得られるような出力とすることが望ましい。
また、単結晶引上げ工程では、ヒーター1の周方向でシリコン溶融液の温度に差を生じさせず均一に維持できるように分割片1aの出力を上げるとともに、分割片1bの出力を下げて、分割片1a、1bの出力を同一もしくは同程度とする。引上げ工程では、石英ルツボ5aの上部は内外面とも既に充分昇温されているので、分割片1aの出力を上げてもルツボ5a上部が変形して内側へ倒れ込むようなことはない。
本発明の単結晶引上げ装置には、このようにルツボの上部と下部の加熱状態を制御することが可能な本発明の分割式ヒーター(前記の実施形態を含む)が組み込まれており、この装置を用いる本発明の引上げ方法によれば、原料の溶解工程において、ルツボの上部が変形して内側へ倒れ込むのを防止し、それに起因する単結晶引き上げ続行ができなくなるという事態を回避できるとともに、ルツボの下部を強く加熱して、原料の溶解を効率よく、速やかに行うことができる。
さらに、ルツボが分割されていて、前述のように、大型のヒーターを作製することができるので、大口径のシリコン単結晶を製造することができる。例えば、直径が36〜44インチの大型の石英ルツボを使用し、供給される半導体用のシリコン原料を加熱して溶融状態に保持することが可能であり、直径が450mmの大口径のシリコン単結晶を製造することができる。
また、本発明の単結晶引上げ装置では、1回の引き上げが終了する毎に、ルツボや装置を構成するヒーター、断熱材、その他の部材が取り外され、配管等を含めて、清掃ならびに必要な補修等が行われ、続いて、次の単結晶引き上げに備え、各部材の組み込みが行われるが、ヒーター、さらには、前記望ましい実施形態によれば、断熱材等も分割されているので、前記各構成部材の取り外しや組み込み等を容易に行えるという利点もある。
本発明の分割式ヒーターは、円筒形状をなす一体もののヒーターがその円筒の周方向に分割されているヒーターであり、さらにルツボの上部と下部の加熱状態を制御できるように構成されている。この分割式ヒーターを用いた本発明の単結晶引上げ装置および引上げ方法によれば、ルツボの上部の変形を防止することができ、ルツボ内に供給された塊状または粒状の原料の効率的で速やかな溶融が可能となる。また、ヒーターを大型化することにより大口径のシリコン単結晶を製造することができる。
したがって、本発明の分割式ヒーターならびにこのヒーターを用いた本発明の単結晶引上げ装置および引上げ方法は、半導体デバイス製造分野において、特に大口径のシリコン単結晶の製造に有効に利用することができる。
1:ヒーター、 2:ルツボ、 3:断熱材、4:断熱材保護円筒、
5:ルツボ、 5a:石英ルツボ、 5b:黒鉛ルツボ、
6:支持軸、 7:溶融液、 8:引上げワイヤー、
9:種結晶、 10:単結晶 11:原料
5:ルツボ、 5a:石英ルツボ、 5b:黒鉛ルツボ、
6:支持軸、 7:溶融液、 8:引上げワイヤー、
9:種結晶、 10:単結晶 11:原料
Claims (4)
- ルツボ内に供給される原料を加熱し、溶融状態に保持するための円筒形状のヒーターであって、
前記ヒーターが円周方向に分割されており、当該分割された個々の分割片のうちの背の高い分割片と低い分割片とが交互に配置され、かつ背の低い分割片の上方に、背の高い分割片の上部が延出していることを特徴とする分割式ヒーター。 - 前記ヒーターに付帯する断熱材および断熱材保護円筒が円周方向に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の分割式ヒーター。
- ルツボの外側に同心円状に配置され、ルツボ内に供給される原料を加熱して溶融状態に保持するためのヒーターを備え、前記ルツボ内の溶融液からチョクラルスキー法により単結晶を育成する単結晶引上げ装置であって、
前記ヒーターが請求項1または2に記載される分割式ヒーターであることを特徴とする単結晶引上げ装置。 - 請求項3に記載される単結晶引上げ装置を用いる単結晶引上げ方法であって、
当該引上げ装置に組み込まれている分割式ヒーターによりルツボの上部と下部の加熱状態を制御して、ルツボ上部の変形を防ぐとともにルツボ内に供給される原料の溶解を効率的に行うことを特徴とする単結晶引上げ方法。
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