JP2009262524A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で安価な紫外線照射装置を用い、長期にわたって高画質な画像を形成し、環境温度に依存せずに高い膜強度を有する印刷物を作製可能なインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】被記録媒体搬送手段と、紫外線により硬化可能なインク組成物を吐出し、画像を形成するインクジェットヘッドと、前記被記録媒体に吐出したインク組成物に紫外線を照射し、硬化させる紫外線照射手段とを有する紫外線硬化型インクジェット記録装置であって、前記紫外線照射手段における紫外線発生光源が、内部にゲッターを有するアパーチャー型の熱陰極蛍光管であり、前記インク組成物がオキシラン化合物およびオキセタン化合物並びに光カチオン重合開始剤を含むことを特徴とするもの。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関し、より具体的には、紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化可能なインクを用いる紫外線硬化型インクジェット記録装置に関するものである。
インクジェット記録装置は小型で安価な装置で、かつ、必要とされる画像部のみにインク液滴を吐出させて、被記録媒体に直接画像を形成するため、インクを効率よく使用でき、ランニングコストが安い等の理由から多くのプリンタに用いられている。
特に、活性エネルギー線照射により硬化可能な活性エネルギー線硬化型インクを用いるインクジェット記録装置は、非吸収性記録媒体への記録が可能であること、速乾性,環境への対応性等の種々の利点がある。
しかし、活性エネルギー線発生用の光源として高圧水銀ランプやメタルハライドランプを用いた従来のインクジェット記録装置では、水銀ランプやメタルハライドランプが相当の大きさを有し、また、高価であることから、インクジェット記録装置全体が大型化し、コストアップするという問題があった。
一方、活性エネルギー線発生光源として熱陰極管,冷陰極管,LED,レーザダイオード等の小型光源を利用した場合は照度が低く、また、単一のピーク波長の紫外線しか照射することができないため、光源が発光するピーク波長に対して感度が低いインクは硬化しづらく、形成される画像の画質が悪くなるという問題があった。
特許文献1には、発光波長ピークの異なる複数の紫外線光源を有する紫外線照射装置を用いて、オキセタン化合物を含有するインクを硬化するインクジェットプリンタが提案されている。このプリンタでは、光源には熱陰極管,冷陰極管,LED,半導体レーザのいずれか一つを用いており、個々の光源は低照度であるが発光波長のピークの異なる複数の光源を組み合わせることで、個々のインクの感度に合った波長を照射し、低照度で効率的に硬化し、インクの種類に関係なく、良好な画像を形成できることが記載されている。
しかしながら、この方法では、複数の光源を使用するため、紫外線照射装置の小型化、およびキャリッジ方式に適用する場合におけるキャリッジの軽量化は困難である。また、複数の光源を使用することで、低コスト化の妨げにもなる。さらに、ここに記載されているオキセタン化合物を含有するインクの感度は低く、発光波長のピークの異なる複数の光源を組み合わせても、上述の熱陰極管,冷陰極管,LED,半導体レーザ等の低照度の光源ではインクを十分に硬化することはできないという問題があった。
ところで、特許文献2には、蛍光ランプを用い蛍光ランプの管壁温度を一定温度範囲内に制御する温度制御機構を設け、管内部の水銀蒸気圧を適正な領域に抑えることにより、変換効率の高い、高効率の紫外線照射装置が開示されている。
また、特許文献3には、上述の特許文献2に開示されている蛍光ランプを適用したインクジェット画像形成方法が記載されている。しかしながら、特許文献3に記載のオキセタン化合物を含有するインクの感度は低く、またインクの感度に対する蛍光ランプの出力も十分ではないため、十分な硬化が行われず、高画質の画像を形成できないという問題は残る。
また、紫外線硬化型インクにおいて比較的硬化感度の高いカチオン重合開始剤およびカチオン重合性モノマーを含有するカチオン重合系インク組成物は、低照度で硬化される場合、その膜強度は環境温度に依存し、環境温度が高いと強い膜強度を示し、環境温度が低いと膜強度が低下するという問題もあった。
また、上記の問題とは別に、この種の画像記録装置において一般的に用いられている光照射装置として、蛍光灯等の熱陰極管(熱陰極放電ランプとも呼ばれる、以下、蛍光灯で代表させる)では、高出力を得るために放電電流を増加させると、一般的に陰極付近の温度が上昇して、蛍光灯管内の部品から不純物,ガス等が放出され、これらが蛍光灯管内において蛍光体,陰極等に吸着して、蛍光灯の発光光量(強度)を部分的に低下させ、また、蛍光灯を短寿命化させるという問題がある。
このような問題に対しては、例えば特許文献4に示されているように、蛍光灯の放電電極である陰極の周囲に、ゲッターと呼ばれるガスや不純物の吸着材を配置するという方法が有効である。このような機能を有するゲッターを陰極の周囲に配置することにより、蛍光灯管内におけるガスや不純物の蛍光体,陰極等への吸着を防止し、光強度分布の不均一化を予防しつつ、蛍光灯の長寿命化を実現することが可能である。
ただし、蛍光灯の放電電極の周囲にゲッターを配置する際には、その化学反応を起こさせるために、ゲッターの種類にもよるが数百度程度までの加熱が必要である。そのため、ゲッターは、熱を得るために陰極の近傍に装着したり、その付近を外部から加熱するのが一般的である。しかし、高出力を得るために放電電流を増加させると、陰極付近の温度は1000度以上の高温となり、ゲッターやこれを吸着・保持している保持部材が蒸発し、この蒸気が熱陰極蛍光管の内壁に付着して早期黒化が引き起こされるという問題が発生する。
特開2004−188864号公報 特開平5−305259号公報 特開2004−82452号公報 特開2002−245966号公報
上述の問題に対しては、本出願人が別途出願している、蛍光灯のバルブ内の少なくとも1つの電極の近傍にゲッターを装着した熱陰極蛍光管を用いる光照射装置において、上記熱陰極蛍光管に装着したゲッターを上記バルブの外部から冷却する冷却機構を設けた光照射装置が好適に用い得る。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、前記従来技術に基づく問題点を解消した、小型で安価な紫外線照射装置を用い、長期にわたって高画質な画像を形成し、環境温度に依存せずに高い膜強度を有する印刷物を作製可能なインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るインクジェット記録装置は、被記録媒体搬送手段と、紫外線により硬化可能なインク組成物を吐出し、画像を形成するインクジェットヘッドと、前記被記録媒体に吐出したインク組成物に紫外線を照射し、硬化させる紫外線照射手段とを有する紫外線硬化型インクジェット記録装置であって、前記紫外線照射手段における紫外線発生光源が、内部にゲッターを有するアパーチャー型の熱陰極蛍光管であり、前記インク組成物がオキシラン化合物およびオキセタン化合物並びに光カチオン重合開始剤を含むことを特徴とする。
本発明に係るインクジェット記録装置においては、前記アパーチャー型の熱陰極蛍光管は、バルブと、このバルブの内壁に積層され被記録媒体側に開口が形成された反射膜と、この反射膜および前記バルブの内壁に積層され被記録媒体側に開口が形成された蛍光体膜とを有し、前記反射膜および前記蛍光体膜の開口の開口角のうちの小さい方Aが、30°≦A≦90°を満たすことが好ましい。
本発明に係るインクジェット記録装置においては、上記熱陰極蛍光管のバルブ内の少なくとも1つの電極の近傍に装着したゲッターを上記バルブの外部から冷却する冷却機構を有することを特徴とする。この冷却機構は、ファンを用いる空冷方式によるものであるか、ヒートパイプ方式によるものであるか、もしくは、上記ファンを用いる空冷方式によるものとヒートパイプ方式によるものとの両者を併用するものであることが好ましい。
ここで、前記インク組成物中のオキシラン化合物とオキセタン化合物の含有比は、オキシラン化合物:オキセタン化合物が90:10〜10:90、好ましくは70:30〜30:70、より好ましくは1:1であるのがよい。
上記オキシラン化合物とオキセタン化合物の含有比を1:1に近づけるに従って、インク組成物の紫外線硬化性が向上する。
本発明においては、紫外線照射用光源として小型で安価な熱陰極蛍光管を用い、この熱陰極蛍光管をアパーチャー型とすることにより高出力化し、さらに熱陰極蛍光管内部にガス吸着ゲッターを装着することにより高出力を長期間保つ紫外線照射装置を実現した。
さらに、本発明においては、インク組成物にオキシラン化合物およびオキセタン化合物並びに光カチオン重合開始剤を含有することによりインクの高感度化を達成した。
上述の紫外線照射装置とこの高感度化したインク組成物とを組み合わせて用いることにより、本発明によれば、小型で安価な紫外線照射装置を用い、長期にわたって高画質な画像を形成し、環境温度に依存せずに高い膜強度を有する印刷物を作製可能なインクジェット記録装置を実現できるという顕著な効果を奏する。
さらに具体的には、本発明に係る紫外線照射装置、並びにこれを用いるインクジェット記録装置においては、高出力を得るために紫外線照射装置の放電電流を増加させても、長期間安定した光強度分布を維持しつつ、蛍光灯の長寿命化を実現することが可能になる。
以下、図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係るインクジェット記録装置の一例の概略構成を示す正面図であり、図2(A)は、図1に示すインクジェット記録装置の紫外線照射ユニットの蛍光ランプの一例の概略構成を示す長手方向の断面図であり、図2(B)は、図2(A)に示す蛍光ランプのB−B線断面図である。
なお、以下の各実施形態において、活性光線(活性エネルギー線ともいう)の照射によって硬化する活性光線硬化型インク(活性エネルギー線硬化型インクともいう)のうち紫外線硬化型インクを使用する活性光線硬化型インクジェット記録装置を例に説明するが、本発明は、これに限定されることはなく、各種活性光線硬化型インクを用いるインクジェット記録装置に適用することができる。ここで、本発明においては、活性光線として、紫外線、可視光等が例示される。
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、被記録媒体Pを搬送する搬送部12と、被記録媒体Pに下塗り液を塗布する下塗部13と、被記録媒体Pに塗布された下塗り液を半硬化させる下塗り液半硬化部14と、被記録媒体P上に画像を記録する画像記録部16と、被記録媒体P上に記録された画像を定着させる画像定着部18と、画像記録部16のインク液滴の吐出を制御する制御部20とを有する。
また、インクジェット記録装置10の制御部20には、入力装置22が接続されている。入力装置22としては、スキャナ等の画像読取装置や、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置等の画像データを送信する種々の装置を用いることができる。また、入力装置22と制御部20との接続方法は、有線,無線を問わず種々の接続方法を用いることができる。
搬送部12は、供給ロール30と、搬送ロール32,搬送ロール対34と、回収ロール36とを有し、被記録媒体Pを供給し、搬送し、回収する。
供給ロール30は、ロール状に巻きつけられている連続紙状の被記録媒体Pを有し、被記録媒体Pを供給する。
搬送ロール32は、被記録媒体Pの搬送方向において、供給ロール30の下流側に配置され、供給ロール30から送り出された被記録媒体Pを搬送方向下流側に搬送する。
搬送ロール対34は一対のロール対であり、被記録媒体Pの搬送経路において、搬送ロール32の下流側に配置され、搬送ロール32を通過した被記録媒体Pを挟持して、搬送方向下流側に搬送する。
回収ロール36は、被記録媒体Pの搬送経路の最下流に配置されている。回収ロール36は、供給ロール30から供給され、さらに搬送ロール32,搬送ロール対34により搬送されて後述する下塗部13,下塗り液半硬化部14,画像記録部16,画像定着部18に対向する位置を通過した被記録媒体Pを巻き取る。
ここで、搬送ロール32,搬送ロール対34および回収ロール36は、図示しない駆動部と接続され、この駆動部により回転される。
ここで、搬送ロール32は、鉛直方向において、供給ロール30よりも上側で、かつ、水平方向において、供給ロール30よりも回収ロール36から離れた位置に配置されている。また、搬送ロール32,搬送ロール対34および回収ロール36は、水平方向に直線状に配置されている。
搬送部12は、このように構成されており、供給ロール30から引き出した被記録媒体Pを、鉛直方向に対して回収ロール36から離れる側に所定角度傾斜させつつ上方、つまり斜め上方向に搬送し、その後、搬送ロール32で搬送方向を変えて、搬送ロール32通過後は、水平方向に回収ロール36に向けて搬送させる。
つまり、被記録媒体Pは、供給ロール30から引き出された後、画像が記録される側の面を下向きにして斜め上方向に移動され、搬送ロール32を通過した後は、画像が記録される面を上向きにして水平方向に移動される。
下塗部13は、供給ロール30と搬送ロール32との間に、つまり、被記録媒体Pの搬送方向において、供給ロール30の下流側、かつ、搬送ロール32の上流側に配置されている。
下塗部13は、被記録媒体Pに下塗り液を塗布する塗布ロール60と、塗布ロール60を回転させる駆動部62と、塗布ロール60に下塗り液を供給する貯留皿64と、塗布ロール60に付着する下塗り液の量を調整する掻き取りロール66と、掻き取りロール66を回転させる掻き取りロール駆動部67(以下単に「駆動部67」という)と、塗布ロール60に対して被記録媒体Pが所定位置となるように被記録媒体Pを支持する位置決め部68とを有する。
塗布ロール60は、被記録媒体Pの搬送経路において供給ロール30と搬送ロール32との間に配置され、供給ロール30と搬送ロール32との間を搬送される被記録媒体Pの下側に向いている面(被記録媒体Pの画像が形成される側の面)に当接している。
塗布ロール60は、被記録媒体Pの幅よりも長いロールであり、かつ、その表面(外周面)に一定間隔毎に、つまり、均等に凹部が形成されている、いわゆるグラビアロールである。ここで、塗布ロール60に形成する凹部の形状は特に限定されず、丸,矩形,多角形,星型等の種々の形状とすることができる。また、凹部は、塗布ロールの全周に溝状に形成してもよい。なお、塗布ロール表面に保持される下塗り液の量を一定とすることができるため、塗布ロールは、表面に一定間隔毎に凹部を形成した形状とすることが好ましいが、これに限定されず、凹部を形成していないロールも用いることができる。
駆動部62は、モータ,モータの回転を塗布ロール60に伝えるギア等で構成される駆動機構であり、塗布ロール60を回転させる。なお、駆動部62は、本実施形態に限定されず、プーリー駆動,ベルト駆動,ダイレクト駆動等の塗布ロール60を回転させる種々の駆動機構を用いることができる。
駆動部62は、図1に矢印で示すように、塗布ロール60を接触位置における被記録媒体Pの搬送方向とは逆の方向に回転させる(図1中、時計周り)。
貯留皿64は、上面が開放された皿形状を有し、その内部には、下塗り液が貯留されている。貯留皿64は、塗布ロール60の下側に、塗布ロール60に近接して配置されており、塗布ロール60の一部を貯留されている下塗り液に浸漬させている。また、貯留皿64には、必要に応じて図示しない供給タンクから下塗り液が供給される。
掻き取りロール66は、軸方向の長さが塗布ロール60と略同じ長さのロールであり、塗布ロール60の表面に当接して、回転自在な状態で配置されている。より具体的には、掻き取りロール66は、塗布ロール60の回転方向において、貯留皿64の下流側で、かつ、被記録媒体Pの上流側に配置されている。
掻き取りロール66は、貯留皿64に浸漬して塗布ロール60に付着した下塗り液のうち必要以上に付着した下塗り液を掻き落とし、塗布ロール60に付着した下塗り液の付着量を一定量にする。本実施形態では、掻き取りロール66は、塗布ロール60の表面に形成されている凹部に保持された下塗り液を除いて、塗布ロール60の他の部分に付着した下塗り液を掻き落とし、塗布ロール60の被記録媒体Pと接触する部分に保持されている下塗り液を、実質的に凹部に保持されている下塗り液のみとする。
塗布ロール60の表面に付着した余分な下塗り液(余剰液)を掻き取り、塗布ロール60の表面に付着した下塗り液を一定量とすることで、被記録媒体上に下塗り層をより均一に形成することができる。
駆動部67は、図1に矢印で示すように、塗布ロール60とつれまわる方向、つまり、塗布ロール60との接触位置における表面の移動方向が塗布ロール60の移動方向と同一となる方向(図1中、反時計周り)に掻き取りロール66を回転させる。ここで、駆動部67としては、駆動部62と同様にギア駆動,プーリー駆動,ベルト駆動,ダイレクト駆動等のロールを回転させる種々の駆動機構を用いることができる。駆動部67により、掻き取りロール66を、塗布ロール60とつれまわる方向に回転させることで、掻き取りロール66および塗布ロール60の磨耗を防止でき、掻き取りロール66および塗布ロール60の交換頻度を少なくすることができ、装置としての耐久性を高くすることができる。
なお、装置の耐久性を高くできるため、塗布ロール60に付着した余剰液は、本実施形態のように掻き取りロールでかきとることが好ましいが、これに限定されず、例えば、ブレードを用い、ブレードを塗布ロール60に当接させて、余剰液をかきとる方法も用いることができる。
位置決め部68は、位置決めロール70および72を有し、塗布ロール60と接触する位置の被記録媒体Pが所定の位置となるように被記録媒体Pを支持する。
位置決めロール70および72は、それぞれ被記録媒体Pを介して塗布ロール60とは反対側に、被記録媒体Pの搬送方向において塗布ロール60を挟むように、塗布ロール60の上流側と下流側にそれぞれ配置され、被記録媒体Pの画像が形成される面(下塗り液が塗布される面)とは反対側の面から、被記録媒体Pを支持する。
なお、下塗部13の塗布ロール60,位置決めロール70および72は、互いの位置を固定する位置決め機構を設けることが好ましい。位置決め機構を設けることで、塗布ロール60,位置決めロール70および72の互いの位置関係にずれが生じることを防止できる。
なお、位置決め機構としては、塗布ロール60,位置決めロール70および72のそれぞれ支持する部材同士を接触させる構成であればよく、例えば、各部材の軸受け同士を接触させる機構,軸受けを固定する固定部材同士を接触させる機構を用いることができる。
下塗部13は、以上のように構成されており、駆動部62が、塗布ロール60を被記録媒体Pの搬送方向とは逆方向に回転させる。回転している塗布ロール60の表面は、貯留皿64に貯留された下塗り液に浸漬される。さらに、塗布ロール60が回転することで、塗布ロール60の下塗り液に浸漬された部分は、その後、掻き取りロール66と当接し、表面に保持する下塗り液の量を一定量とされた後、被記録媒体Pと接触し、被記録媒体P上に下塗り液を塗布する。このように、塗布ロール60を被記録媒体Pの搬送方向とは逆回転させて、被記録媒体Pに下塗り液を塗布することで、平滑化され、かつ、ムラのない良好な塗布面状の下塗り液の層(以下「下塗り層」ともいう)を被記録媒体P上に形成する。また、被記録媒体Pと接触した塗布ロール60は、さらに回転し、再び貯留皿64に浸漬される。
次に、下塗り液半硬化部14について説明する。
下塗り液半硬化部14は、紫外線照射ユニットで構成され、被記録媒体Pに対向して配置されている。
紫外線照射ユニットは、紫外線を発光する蛍光ランプと、蛍光ランプを囲うように配置され、被記録媒体P側に開口が形成された蛍光ランプから射出された光を反射するハウジングと、ハウジング内に配置され、蛍光ランプに送風し、蛍光ランプを冷却する冷却機構とを有し、被記録媒体Pに向けて紫外線を照射する。この紫外線照射ユニットについては、後ほど画像硬化部で詳細に説明する。
下塗り液半硬化部14は、対向する位置を通過する、表面に下塗り液が塗布された被記録媒体Pの幅方向の全域に紫外線を照射し、被記録媒体Pの表面に塗布された下塗り液を半硬化状態にする。ここで、下塗り液の半硬化については後ほど詳細に説明する。
次に、被記録媒体上にインク液滴を吐出させ画像を記録する画像記録部16および画像記録部16で被記録媒体上に形成された画像を硬化させ、被記録媒体上に定着する画像定着部18について説明する。
画像記録部16は、フルライン方式の記録ヘッドユニット46と、インクタンク50とを有する。
記録ヘッドユニット46は、記録ヘッド48X,48Y,48C,48M,48K(以下、これらの5つの記録ヘッドをまとめて示す場合には、単に「各記録ヘッド48」ともいう)を有する。
なお、記録ヘッドユニット46としては、フルライン方式以外のもの、具体的にはシャトルスキャン方式のもの等も用いることができることは言うまでもない。
各記録ヘッド48は、被記録媒体Pの搬送方向の上流から下流に向かって、記録ヘッド48X,記録ヘッド48Y,記録ヘッド48C,記録ヘッド48M,記録ヘッド48Kの順に配置されている。また、各記録ヘッド48は、それぞれのインク吐出部の先端が被記録媒体Pの搬送経路に対向して、つまり、搬送部12により搬送経路上を搬送される被記録媒体Pに対向して(以下、単に「被記録媒体Pに対向して」ともいう)配置されている。
各記録ヘッド48は、被記録媒体Pの搬送方向に対して直交する方向、つまり、被記録媒体Pの幅方向の全域に一定間隔で多数の吐出口(ノズル,インク吐出部)が配置されたフルライン型であり、かつ、ピエゾ型のインクジェットヘッドであり、後述する制御部20およびインクタンク50に接続されている。各記録ヘッド48は、制御部20によりインク液滴の吐出量、吐出タイミングが制御される。また、記録ヘッド48X,48Y,48C,48M,48Kは、それぞれ特色(X),イエロー(Y),シアン(C),マゼンダ(M),ブラック(K)のインクを吐出する。
搬送部12により被記録媒体Pを搬送しつつ、各記録ヘッド48から特色(X),イエロー(Y),シアン(C),マゼンダ(M),ブラック(K)のそれぞれの色インクを被記録媒体Pに向けて吐出することにより被記録媒体P上にカラー画像を形成することができる。
本実施形態では、記録ヘッドをピエゾ素子(圧電素子)方式としたが、これに限定されず、ピエゾ方式に代えて、ヒーターなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式の記録ヘッドを適用することも可能である。
ここで、記録ヘッド48Xから吐出させる特色インクとしては、白,橙,紫,緑等の種々のインクを用いることができる。なお、記録ヘッド48Xから吐出させるインクは、1色に限定されず、複数色としてもよい。また、各記録ヘッド48の配置順序は、本実施形態に限定されず種々の配置順序とすることができる。
なお、本実施形態の記録ヘッドから吐出されるインクは、紫外線硬化型インクである。
インクタンク50は、各記録ヘッド48に対応して設けられている。各インクタンク50は、記録ヘッドに対応して各色のインクが貯蔵しており、貯蔵しているインクを対応している各記録ヘッド48に供給する。
また、被記録媒体の画像が形成されない面側の各記録ヘッド48に対向する位置には、板状のプラテン56が配置されている。
プラテン56は、各記録ヘッドに対向する位置を搬送される被記録媒体Pを、画像が形成されない面側、つまり、被記録媒体Pの記録ヘッドユニット46が配置されている面とは反対側の面から支持する。これにより被記録媒体Pと各記録ヘッドとの距離を一定にすることができ、被記録媒体P上に高画質な画像を形成することができる。
なお、プラテン56の形状は、平板に限定されず、記録ヘッド側に凸の曲面形状としてもよい。この場合、各記録ヘッド48は、プラテンとの距離が一定となるように配置される。
次に、画像定着部18は、複数の紫外線照射ユニット52と、最終硬化用紫外線照射ユニット54とで構成され、記録ヘッドユニット46により被記録媒体P上に形成された画像に紫外線を照射し、画像(つまり、インク)を複数の紫外線照射ユニット52で半硬化させ、最終硬化用紫外線照射ユニット54で硬化させ、画像を定着させる。
複数の紫外線照射ユニット52は、被記録媒体Pの搬送経路において、それぞれ記録ヘッド48X,48Y,48C,48Mの下流側に配置されている。さらに、最終露光用紫外線照射ユニット54は、被記録媒体Pの搬送経路において、記録ヘッド48Kの下流側に配置されている。つまり最終露光用紫外線照射ユニット54は、被記録媒体Pの搬送経路において、最も下流側に配置されている記録ヘッドの下流側に配置されている。
つまり、各記録ヘッドと各紫外線照射ユニット52,最終露光用紫外線照射ユニット54とは、図1に示すように、搬送経路の上流から下流に向けて、記録ヘッド48X,紫外線照射ユニット52,記録ヘッド48Y,紫外線照射ユニット52,記録ヘッド48C,紫外線照射ユニット52,記録ヘッド48M,紫外線照射ユニット52,記録ヘッド48K,最終硬化用紫外線照射ユニット54の順に配置されている。
ここで、紫外線照射ユニット52と、最終硬化用紫外線照射ユニット54とは、装置の大きさ,紫外線を照射する対象および硬化させる程度が異なるものである。具体的には、紫外線照射ユニット52は、各記録ヘッドにより形成された画像を半硬化させ、最終露光用紫外線ユニット54は、他の紫外線照射ユニットよりも強度の強い光を照射し、被記録媒体P上に塗布された下塗り液および各種インクの画像を確実に硬化させる点が異なるのみで、装置構成は、基本的に紫外線照射ユニット52と同様であるので、代表して紫外線照射ユニット52を用いて説明する。
また、各紫外線照射ユニット52は、同様の構成であるので、以下、図1,図2(A)及び(B)を用いて、1つの紫外線照射ユニット52について説明する。
紫外線照射ユニット52は、紫外線を発光する蛍光ランプ80と、蛍光ランプ80を囲うように配置され、被記録媒体P側に開口が形成されたハウジング82と、ハウジング82内に配置され、蛍光ランプ80に送風し、蛍光ランプ80を冷却する冷却機構84と、を有し、被記録媒体Pの搬送経路に対向して配置されている。
蛍光ランプ80は、紫外線を射出する線状光源であり、被記録媒体Pの搬送方向に直交する方向が軸方向(つまり延在する方向)となるように配置されている。また、蛍光ランプ80は、被記録媒体Pの幅方向の長さよりも長く、被記録媒体Pの幅方向の全域に渡って配置されている。
図2(A)及び(B)に示すように、蛍光ランプ80は、バルブ86と、電極88と、保護膜90と、反射膜91,蛍光体膜92とを有する。
バルブ86は、ソーダガラスまたは石英ガラス(殺菌ガラス)等を材料として作製された管状部材(もしくは円筒部材)である。ここで、バルブ86としては、長さ500mm〜800mmの長さの管が例示される。また、バルブ86の管径としては、Φ15.5mm,20mm,25.5mm,28mm,32mm,38mm等が例示される。
図2(B)に示すように、電極88は、フィラメント状の陰極88aとそれを囲む形状を有する陽極88bとからなり、バルブ86で形成される空間内に露出し、バルブ86の両端部に配置されている。また、ここでは、陽極88bの表面に、ゲッター89が蒸着により装着されている。
また、バルブ86とバルブ86の両端部に配置された電極88により、バルブ86内部は真空密閉され、内部には、水銀等が封入されている。
保護膜90は、バルブ86の内壁面に積層されており、反射膜91,蛍光体膜92を保持している。蛍光体膜92は、280〜400nmの紫外線を発光する蛍光体で形成されている。
このように、蛍光ランプ80は、外側から中心に向けて、バルブ86,保護膜90,反射膜91,蛍光体膜92が積層されて構成されている。
また、図2(B)に示すように、反射膜91および蛍光体膜92は、被記録媒体P側(図2(B)中、下側)にそれぞれ開口94,96が形成されている。
ここで、反射膜91および蛍光体膜92は、反射膜91および蛍光体膜92の開口の開口角をγとしたとき、開口角γが、30°≦α≦90°を満たす形状である。ここで、開口角とは、蛍光ランプ80の断面(長手方向に直交する面)おいて、断面の中心(つまり、円周上に形成された反射膜90または蛍光体膜92の中心)と一方の開口の端部を結んだ線分と、断面の中心と開口の他方の端部とを結んだ線分とのなす角である。
なお、この反射膜91および蛍光体膜92の形成角度は、上述のように完全に一致しているものに限らず、例えば図2(C)に示すように、反射膜91の開口の開口角αが、蛍光体膜92の開口の開口角βより大きいものも、好適に用い得る。
この場合、開口角αおよび開口角βが、β<α、60°≦α≦150°かつ30°≦β≦90°を満たす形状であることが好ましい。
蛍光ランプ80は、以上のように構成されており、電極88(のフィラメント:陰極88a)に電流を流し、予熱すると、高温になったエミッタ(フィラメントに塗布されている)から電子が放出され、バルブ86の内部に封入されている水銀原子と衝突し、水銀は紫外線を発生する。その後、発生した紫外線が蛍光体膜92に当たると、各波長に発光する。その後、発光した光は、直接または反射膜91により反射され、開口94から被記録媒体Pに向けて射出される。
本実施形態の蛍光ランプ80では、陽極88bの表面に、ゲッター89が蒸着により装着されている。前述のように、このゲッター89は、出力を向上させるために通電される電流を増した場合、陰極88aの温度が1000度以上となる場合があり、従来は、ゲッター89自体、並びにこれを装着している部材が蒸発して、バルブ86の内面などに付着するという問題があったが、本実施形態の蛍光ランプ80では、電極88の近傍(ここでは、電極88の上方の近傍)に空冷用の小型ファン(紫外線照射ユニット52の冷却機構84)を配置して対処している。
すなわち、本実施形態の蛍光ランプ80では、図2(A)に示すように、蛍光ランプ80の両端のそれぞれの電極88の上方の近傍に、小型ファン84を配置して、これを適宜の回転数で回転させることにより、電極88で発生する熱を発散させるように構成している。このような構成とすることにより、電極88で発生する熱を発散させて、電極88の温度上昇を抑制することができるので、電極88の温度を、ゲッター89並びにこれを装着している部材が蒸発しない範囲内に低く抑えることが可能になり、蒸発した材料がバルブ86の内面などに付着してバルブ86の内面を黒化させるという問題を解消する。
本実施形態の蛍光ランプ80では、バルブ86の電極88の近傍を冷却するために空冷用の小型ファンを配置して対処しているが、冷却方式はこれに限定されるものではなく、これ以外にも、例えば、図3に示すように、バルブ86の両電極88の周りに、バルブ86の外壁に沿ってヒートパイプ95を配置して、ゲッター並びにこれを装着している部材を冷却するような構成も、好適に用い得る。ここで、ヒートパイプ95としては、必要な容量(冷却容量)を有するものであれば種々の媒体を用いるものが適宜用い得る。
図1に戻って、紫外線照射ユニット52の全体構成の説明を続ける。
紫外線照射ユニット52のハウジング82は、直方体の箱型形状であり、蛍光ランプ80の周囲を囲うように配置されている。また、ハウジング82は、被記録媒体P側の面が開放されている。つまり、ハウジング82の記録媒体側の面は、開口状態となっており、蛍光ランプ80から射出された光は、ハウジング82の開口を通過して、被記録媒体Pを照射する。
冷却機構84は、前述のような冷却ファン,ブロア等の送風機であり、ハウジング82内の蛍光ランプ80の被記録媒体側とは反対側(つまり、図1中の蛍光ランプ80の上側)に配置されている。冷却機構84は、蛍光ランプ80に向けて風を送ることで、蛍光ランプ80を冷却する。
冷却機構84は、さらに、蛍光ランプ80の温度を検出する温度センサを有し、風量、風を送る時間を調整し、冷却量(送風量,送風時間等)を調整することで、蛍光ランプ80の温度を一定温度に保持する。
なお、ハウジング82には、冷却機構84が蛍光ランプ80に送る空気を吸気するための開口を上部または側面に形成することが好ましい。
紫外線照射ユニット52は、基本的に以上のように構成されている。
次に、制御部20は、記録ヘッドユニット46の各記録ヘッド48と接続しており、入力装置22から送られた画像データを描画信号とし、各記録ヘッド48のインク吐出/非吐出を制御し、被記録媒体P上が画像を形成させる。
インクジェット記録装置10は基本的に以上のように構成されている。
ここで、下塗り液の半硬化およびインクの半硬化について説明する。
本発明において、「下塗り液の半硬化」とは、部分的な硬化(partially cured; partial curing)を意味し、下塗り液が部分的に硬化しているが完全に硬化していない状態をいう。なお、被記録媒体(基材)P上に塗布された下塗り液が半硬化している場合、硬化の程度は不均一であってもよく、下塗り液は深さ方向に硬化が進んでいることが好ましい。ここで、本実施形態において、半硬化させる下塗り液は、下塗り層を形成している下塗り液である。
例えば、空気中または部分的に不活性ガスで置換した空気中で、ラジカル重合性の下塗り液を硬化させると、酸素のラジカル重合抑制作用のために、下塗り液の表面においてラジカル重合が阻害される傾向がある。この結果、半硬化は不均一となり、下塗り液の内部でより硬化が進行し、表面の硬化が遅れる傾向となる。
本発明において、ラジカル光重合性の下塗り液を、ラジカル重合抑制的な酸素の共存下で使用して、部分的に光硬化することで、下塗り液の硬化度は外部よりも内部の方が高くすることができる。
また、湿気を有する空気中で、カチオン重合性の下塗り液を硬化させる場合にも、水分のカチオン重合阻害作用があるために、下塗り液の内部でより硬化が進行し、表面の硬化が遅れる傾向となる。
このカチオン重合性の下塗り液を、カチオン重合阻害作用がある湿度条件下で使用して、部分的に光硬化することでも、下塗り液の硬化度は外部よりも内部の方が高くすることができる。
このように、下塗り液を半硬化させ、半硬化の状態の下塗り液上にインク液を打滴させると、得られる印刷物の品質に好ましい技術的効果を得ることができる。また、その作用機構を印刷物の断面観察により確認できる。
以下、下塗り液(つまり、下塗り液で被記録媒体上に形成された下塗り層)の半硬化について、詳細に説明する。なお、以下では、被記録媒体P上に設けられた、厚さが約5μmの厚さの半硬化状態の下塗り液上に約12pLのインク液(つまり、インク液滴)を打滴した場合の高濃度部分を一例として説明する。
図8は、半硬化された下塗り液上にインク液を打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図であり、図9(A)及び(B)は、それぞれ未硬化状態の下塗り液上にインク液を打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図であり、図9(C)は、所望の半硬化状態よりも硬化が進んだ状態から完全に硬化された状態の下塗り液上にインク液を打滴し、ベタを形成した被記録媒体の一例を示す模式的断面図である。
本発明によれば、下塗り液は半硬化されることで、被記録媒体P側の硬化度が表面層の硬化度よりも高くなる。この場合には、3つの特徴が観察される。すなわち、図8に示すように半硬化された下塗り液Uにインク液dを打滴すると、(1)インク液dの一部は、下塗り液Uの表面に出ている、(2)インク液dの一部は下塗り液Uに潜り込んでいる、かつ、(3)インク液dの下側と被記録媒体Pの間には下塗り液が存在する。
このように、下塗り液にインク液を打滴した時、下塗り液とインク液とが上記の(1)、(2)および(3)の状態を満たす場合には、下塗り液が半硬化状態であると言える。
下塗り液を半硬化させること、つまり、上記の(1)、(2)および(3)を満たすように下塗り液を硬化させることで、高密度に打液されたインク液(つまり、インク液滴)が相互に繋がってインク液の膜層(つまり、インク液膜、インク層)を形成し、均一で高い色濃度を与える。
これに対して、未硬化状態の下塗り液にインク液を打滴した場合は、図9(A)に示すようにインク液dの全部が下塗り液Uに潜り込むか、および/または、図9(B)に示すようにインク液dの下層には下塗り液Uが存在しない状態となる。
この場合は、高密度にインク液を付与しても、液滴同士が独立するため、色濃度が低下する原因となる。
また、完全に硬化した下塗り液にインク液を打滴した場合は、図9(C)に示すように、インク液dは下塗り液Uに潜り込まない状態となる。
この場合は、打滴干渉が発生し、均一なインク液の膜層が形成できず、色再現性を高くすることができない(つまり、色再現性の低下を招く)。
ここで、高密度にインク液の液滴を付与した場合に液滴同士が独立することなく、均一なインク液の膜層を形成する観点、および、打滴干渉の発生を抑制する観点から、単位面積当たりの下塗り液(つまり、下塗り層)の未硬化部の量は、単位面積当たりに付与するインク液の最大液滴量よりも少ないことが好ましく、十分に少ないことがより好ましい。すなわち、下塗り液層の未硬化部の単位面積当たりの重量M(M(下塗り液)ともいう。)と単位面積当たりに吐出するインク液の最大重量m(m(インク液)ともいう)との関係は、(m/30)<M<mを満たすことが好ましく、(m/20)<M<(m/3)を満たすことがさらに好ましく、(m/10)<M<(m/5)を満たすことが特に好ましい。ここで、単位面積当たりに吐出するインク液の最大重量とは、1色当たりの最大重量である。
(m/30)<Mとすることで打滴干渉の発生を防止でき、さらに、ドットサイズ再現性を高くすることができる。また、M<mとすることで、インク液の液層を均一に形成でき、濃度の低下を防止できる。
ここで、単位面積当たりの下塗り液の未硬化部の重量は、転写試験により求めるものである。具体的には、半硬化過程の終了後(例えば、活性エネルギー線の照射後)であってインク液滴を打滴する前に、普通紙などの浸透媒体を半硬化状態の下塗り液に押し当てて、浸透媒体に転写した下塗り液の量を重量測定によって測定し、測定した値を下塗り液の未硬化部の重量と定義するものである。
例えば、インク液の最大吐出量を、600×600dpiの打滴密度で、1画素当たり12ピコリットルとすると、単位面積当たりに吐出するインク液の最大重量mは、7.37×10−4g/cmとなる(なお、インク液の密度は、約1.1g/cmとする)。従って、この場合は、下塗り液の単位面積当たりの未硬化部の重量Mを、2.46×10−5g/cmより大きく7.37×10−4g/cm未満とすることが好ましく、3.69×10−5g/cmより大きく2.46×10−4g/cm未満とすることがさらに好ましく、7.37×10−5g/cmより大きく1.47×10−4g/cmとすることが特に好ましい。
次に、本発明において、「インクの半硬化」とは、下塗り液の場合と同様に、部分的な硬化(partially cured; partial curing)を意味し、インク液(つまり、インク、着色液)が部分的に硬化しているが完全に硬化していない状態をいう。なお、下塗り液上に吐出されたインク液が半硬化している場合、硬化の程度は不均一であってもよく、インク液は深さ方向に硬化が進んでいることが好ましい。ここで、本実施形態において、半硬化させるインク液は、下塗り層または被記録媒体に着弾しインク層を形成するインク液滴である。
インク液を半硬化させ、半硬化の状態のインク液上にこれとは色相の異なるインク液を打滴させると、得られる印刷物の品質に好ましい技術的効果を得ることができる。また、その作用機構を印刷物の断面観察により確認できる。
以下、インク液(つまり、被記録媒体または下塗り層上に着弾させたインク液滴、または着弾させたインク液滴により形成したインク層)の半硬化について説明する。
図10は、半硬化されたインク液d上にインク液dを打滴した被記録媒体を示す模式的断面図であり、図11(A)及び(B)は、それぞれ未硬化状態のインク液d上にインク液dを打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図であり、図11(C)は、完全に硬化させた状態のインク液上にインク液を打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図である。
インク液dを打滴した後に、インク液dの上にインク液dを打滴して2次色を形成する時は、半硬化状態のインク液d上にインク液dを付与することが好ましい。
ここで、インク液dの半硬化状態とは、上述した下塗り液の半硬化状態と同様であり、図10に示すように、インク液d上にインク液dを打滴した場合に、(1)インク液dの一部がインク液dの表面に出ており、(2)インク液dの一部がインク液dに潜り込み、かつ、(3)インク液dの下層にはインク液dが存在する状態である。
このようにインク液を半硬化させることで、インク液dの硬化膜(着色膜A)およびインク液dの硬化膜(着色膜B)を好適に積層させることができ、良好な色再現が可能となる。
これに対して、未硬化状態のインク液d上にインク液dを打滴した場合は、図11(A)に示すようにインク液dの全部がインク液dに潜り込むか、および/または、図11(B)に示すようにインク液dの下層にはインク液dが存在しない状態となる。この場合は、高密度にインク液d液滴を付与しても、液滴同士が独立するため、2次色の彩度低下の原因となる。
また、完全に硬化したインク液d上にインク液dを打滴した場合は、図11(C)で示すようにインク液dはインク液dに潜り込まない状態となる。この場合は、打滴干渉の発生の原因となり、均一なインク液の膜層が形成できず、色再現性の低下を招く。
ここで、高密度にインク液dの液滴を付与した場合に液滴同士が独立することなく、均一なインク液dの膜層を形成する観点、および、打滴干渉の発生を抑制する観点から、単位面積当たりのインク液dの未硬化部の量は、単位面積当たりに付与するインク液dの最大液滴量よりも少ないことが好ましく、十分に少ないことがより好ましい。すなわち、インク液d層の未硬化部の単位面積当たりの重量Mda(M(インク液A)ともいう)と単位面積当たりに吐出するインク液の最大重量mdb(m(インク液B)ともいう)との関係は、(mdb/30)<Mda<mdbを満たすことが好ましく、(m(db/20)<Mda<(mdb/3)を満たすことがさらに好ましく、(mdb/10)<Mda<(mdb/5)を満たすことが特に好ましい。
(mdb/30)<Mdaとすることで打滴干渉の発生を防止でき、さらに、ドットサイズ再現性を高くすることができる。また、Mda<mdbとすることで、インク液dの膜層を均一に形成ができ、濃度の低下を防止できる。
ここで、単位面積当たりのインク液dの未硬化部の重量は、上述した下塗り液の場合と同様に、転写試験により求めるものである。具体的には、半硬化過程の終了後(例えば、活性エネルギー線の照射後)であってインク液dの液滴を打滴する前に、普通紙などの浸透媒体を半硬化状態のインク液d層に押し当てて、浸透媒体に転写したインク液dの量を重量測定によって測定し、測定した値をインク液の未硬化部の重量と定義するものである。
例えば、インク液dの最大吐出量を、600×600dpiの打滴密度で、1画素当たり12ピコリットルとすると、単位面積当たりに吐出するインク液dの最大重量mdbは、7.37×10−4g/cmとなる(なお、インク液dの密度は、約1.1g/cmとする)。従って、この場合は、インク液d層の単位面積当たりの未硬化部の重量Mdaを、2.46×10−5g/cmより大きく7.37×10−4g/cm未満とすることが好ましく、3.69×10−5g/cmより大きく2.46×10−4g/cm未満とすることがさらに好ましく、7.37×10−5g/cmより大きく1.47×10−4g/cm未満とすることが特に好ましい。
前記下塗り液および/またはインク液の半硬化状態を活性エネルギー線の照射や加熱によって開始する重合性化合物の重合反応によって実現する場合は、印刷物の擦過性を向上させる観点から、非重合率(つまり、A(重合後)/A(重合前))は、0.2以上0.9以下であることが好ましく、0.3以上0.9以下であることがより好ましく、0.5以上0.9以下であることが特に好ましい。
ここで、A(重合前)は、重合反応前の重合性基による赤外吸収ピークの吸光度であり、A(重合後)は、重合反応後の重合性基による赤外吸収ピークの吸光度である。
例えば、下塗り液および/またはインク液の含有する重合性化合物がアクリレートモノマーもしくはメタクリレートモノマーである場合は、810cm−1付近に重合性基(アクリレート基、メタクリレート基)に基づく吸収ピークが観測でき、該ピークの吸光度で、前記非重合率を定義することが好ましい。また、重合性化合物がオキセタン化合物である場合は、986cm−1付近に重合性基(オキセタン環)に基づく吸収ピークが観測でき、該ピークの吸収光度で、前記非重合率を定義することが好ましい。重合性化合物がエポキシ化合物である場合は、750cm−1付近に重合性基(エポキシ基)に基づく吸収ピークが観測でき、該ピークの吸収光度で、前記非重合率を定義することが好ましい。
また、赤外吸収スペクトルを測定する手段としては、市販の赤外分光光度計を用いることができ、透過型および反射型のいずれでも良く、サンプルの形態で適宜選択することが好ましい。例えば、BIO−RAD社製赤外分光光度計FTS−6000を用いて測定することができる。
また、エチレン性不飽和化合物または環状エーテルに基づく硬化反応の場合には、非重合率をエチレン性不飽和基または環状エーテル基の反応率により定量的に測定することができる。
また、下塗り液および/またはインク液を半硬化させる方法としては、(1)酸性ポリマーに対して、塩基性化合物を付与する、または塩基性ポリマーに対して、酸性化合物、金属化合物を付与するなど、いわゆる凝集現象を用いる方法、(2)下塗り液および/またはインク液を予め高粘度に調製し、これに低沸点有機溶媒を添加することによって低粘化しておき、低沸点有機溶媒を蒸発させて元の高粘度に戻す方法、(3)高粘度に調製した下塗り液および/またはインク液を加熱しておき、冷却することによって元の高粘度に戻す方法、(4)下塗り液および/またはインク液に活性エネルギー線または熱を与えて硬化反応を起こさせる方法など、既知の増粘方法が挙げられる。中でも(4)下塗り液および/またはインク液に活性エネルギー線または熱を与えて硬化反応を起こさせる方法が好ましい。
なお、活性エネルギー線または熱を与えて半硬化反応を起こさせる方法とは、被記録媒体に付与された下塗り液および/またはインク液の表面における重合性化合物の重合反応を不充分に行なう方法である。前記下塗り液および/またはインク液の表面においてはその内部と比べて空気中の酸素の影響で重合反応が阻害され易い。したがって活性エネルギー線または熱の付与条件を制御することにより、下塗り液および/またはインク液の半硬化反応を起こさせることができる。
下塗り液および/またはインク液の半硬化に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、活性エネルギー線によりエネルギーを付与する場合には、一般には1〜500mJ/cm程度が好ましい。また、加熱によりエネルギーを付与する場合は、被記録媒体の表面温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で0.1〜1秒間加熱することが好ましい。
活性光や加熱などの活性エネルギー線または熱の付与により、重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されると共に、活性種の増加や温度上昇により、活性種に起因する重合性または架橋性材料の重合もしくは架橋による硬化反応が促進される。
また、増粘(粘度上昇)も、活性光の照射、または加熱によって好適に行なうことができる。
次に、インクジェット記録装置10の作用、つまり、被記録媒体Pへの記録動作を説明することで、本発明の光照射装置およびそれを用いたインクジェット記録装置についてより詳細に説明する。
図12(A)〜(D)は、それぞれ被記録媒体上に画像を形成する工程を模式的に示す工程図である。
まず、供給ロール30から送り出された被記録媒体Pは、搬送ロール32および搬送ロール対34の回転、あるいは供給ロール30および回収ロール36の回転により所定方向(図1中、Y方向)に搬送される。ここで、本実施形態の被記録媒体Pは、上述したように、一定以上の長さの連続紙であり、被記録媒体Pが切れ目なく搬送される。
供給ロール30から引き出された被記録媒体Pは、図12(A)に示すように、下塗部13の塗布ロール60と接触し、表面に下塗り液が塗布され、下塗り層Uが形成される。ここで、塗布ロール60は、駆動部62により被記録媒体Pの搬送方向と逆方向に回転させられている。
下塗り液が塗布され、下塗り層Uが形成された被記録媒体Pは、搬送部12の搬送ロール32および搬送ロール対34によりさらに搬送され、下塗り液半硬化部14に対向する位置を通過する。
図12(B)に示すように、下塗り液半硬化部14は、対向する位置を通過する下塗り液が塗布された被記録媒体Pに紫外線を照射し、被記録媒体P上の下塗り層Uを半硬化させる。
下塗り液を半硬化した被記録媒体Pは、搬送部12の搬送ロール32および搬送ロール対34によりさらに搬送され、記録ヘッド48Xに対向する位置を通過する。
記録ヘッド48Xは、吐出口からインク液滴を吐出させ、搬送部12により搬送され対向する位置を通過する被記録媒体P上に画像を形成する。
具体的には、記録ヘッド48Xは、被記録媒体P上に第1のインク液滴d1を吐出させる。記録ヘッド48Xから吐出された第1のインク液滴d1は、図12(C)に示すように、下塗り層Uの表面に着弾する。ここで、下塗り層Uは、半硬化状態であり、表面が硬化していないため、インク液滴d1となじみやすい。
また、図12(D)に示すように、先に打滴した第1のインク液滴d1の着弾位置近傍に、第2のインク液滴d2を打滴する。この時も、下塗り層Uは、半硬化状態であり、表面が硬化していないため、インク液滴d2となじみやすい。
このように、インク液滴d1とインク液滴d2とを被記録媒体P上の近傍に着弾させた場合は、インク液滴d1とインク液滴d2とを合一しようとする力が働くが、下塗り層Uが半硬化されており、粘度が高くなっているため、インク液滴間の合一に対する抵抗力となることにより被記録媒体Pに着弾したインク液滴同士の干渉が抑制される。
このように記録ヘッド48Xから制御部20による制御に応じて、複数のインク液滴を吐出し、被記録媒体P上に着弾させることにより画像を形成する。
記録ヘッド48Xにより画像が形成された被記録媒体Pは、搬送部12によりさらに搬送され、記録ヘッド48Xの下流に配置された紫外線照射ユニット52に対向する位置を通過する。
紫外線照射ユニット52は、対向する位置を通過する被記録媒体Pに紫外線を照射し、記録ヘッド48Xにより被記録媒体P上に形成された画像を半硬化、つまり、被記録媒体上に着弾したインク液滴を半硬化させる。
ここで、紫外線照射ユニット52には、図2(A)及び(B)に示したように、蛍光ランプ80の両端のそれぞれの電極88の上方の近傍に小型ファン84を配置して、これを適宜の回転数で回転させることにより、電極88で発生する熱を発散させるように構成している。このような構成とすることにより、電極88で発生する熱を空冷・発散させて、電極88の温度を、ゲッター89並びにこれを装着している部材が蒸発しない範囲内に低く抑えて、蒸発した材料がバルブ86の内面などに付着してバルブ86の内面を黒化させるという問題を解消している。
また、冷却機構84により、蛍光ランプ80の温度も一定に保持することで、蛍光ランプ80から射出される光の射出量が温度によって変化することを防止でき、射出される光の量を一定にすることができる。これにより、安定して一定の光量でインクおよび/または下塗液を半硬化または硬化させることができる。
ここで、冷却機構84は、蛍光ランプ80の表面、具体的には被記録媒体P側とは反対側の表面の温度を、30度以上60度以下とし、かつ変動を5度以内とすることが好ましい。温度を上記範囲内に保持することで、蛍光ランプ80から射出される光量を一定とし、かつ高出力とすることができる。
その後、被記録媒体Pは、さらに搬送され、記録ヘッド48Y、紫外線照射ユニット52、記録ヘッド48C、紫外線照射ユニット52、記録ヘッド48M、紫外線照射ユニット52、記録ヘッド48Kの順に対向する位置を通過する。被記録媒体Pは、各色の記録ヘッドおよび紫外線照射ユニットに対向する位置を通過する毎に、記録ヘッド48Xおよび紫外線照射ユニット52に対向する位置を通過した場合と同様にして、画像が形成され、形成された画像が半硬化される。
被記録媒体Pは、記録ヘッド48Kにより画像が形成された後に、最終硬化用紫外線照射ユニット54に対向する位置を通過する。
最終硬化用紫外線照射ユニット54は、他の紫外線照射ユニットよりも強度の強い紫外線を被記録媒体P上に照射し、記録ヘッド48Kにより記録された画像を含む各種ヘッドで形成された被記録媒体P上の画像および下塗り液を硬化させる。
このようにして被記録媒体P上にカラー画像が形成される。
カラー画像が形成された被記録媒体Pは、搬送ロール32および搬送ロール対34、あるいは供給ロール30および回収ロール36によりさらに搬送され、回収ロール36により巻き取られる。
インクジェット記録装置10は、このようにして被記録媒体P上に画像を形成する。
また、被記録媒体P上に下塗り層を形成することで、被記録媒体上に着弾したインク液滴が被記録媒体にしみ込み、画像ににじみが生じることを防止でき、高画質な画像を形成することが可能となる。また、インク液滴との密着性が低い、つまり、着弾したインク液滴をはじいてしまう被記録媒体も用いることが可能となり、種々の被記録媒体への画像記録が可能となる。また、塗布ロール60を用い、さらに塗布ロール60を被記録媒体Pの搬送方向とは逆方向に回転させて、被記録媒体P上に下塗り液を塗布することで、塗布ロール60が被記録媒体Pに下塗り液を塗布した後、塗布ロール60が被記録媒体Pと離れるときに被記録媒体P上に塗布した下塗り液の表面を乱すことを防止でき、被記録媒体P上に面状が改善された下塗り層Uを形成することができる。
さらに、本実施形態のように、下塗り液半硬化部により下塗り層を半硬化させることで、インク液滴が互いに重なり部分を有して被記録媒体上に着弾しても、下塗り液とインク液滴の相互作用により、これら隣接したインク液滴間の合一を抑えることができる。
つまり、被記録媒体上に半硬化した下塗り液の層を形成することにより、記録ヘッドから吐出されたインク液滴が被記録媒体上に近接して着弾した場合、例えば、単一色のインク液滴が重なり部分を有して被記録媒体上に着弾した場合や、色違いのインク液滴が重なり部分を有して被記録媒体上に着弾した場合もインク液滴が移動することを防止できる。
これにより、画像のにじみ、画像中の細線などの線幅の不均一および着色面の色ムラの発生を効果的に防止することができ、均一幅で先鋭なライン形成が可能であり、反転文字など打滴密度の高いインクジェット画像の記録を細線等の微細像を再現性よく記録することができる。つまり、被記録媒体により高画質な画像を形成することが可能となる。
また、本実施形態のように、各記録ヘッド間に、紫外線照射ユニットを配置し、各記録ヘッドにより被記録媒体上に着弾させたインク液滴つまり画像を半硬化させることで、近接した位置に着弾した、異なる色のインク液滴が重なることや、着弾したインク液滴が移動することを防止できる。
また、被記録媒体の搬送経路において、最下流側に配置された記録ヘッドに対応する紫外線照射ユニットを最終硬化用紫外線照射ユニットとし、他の紫外線照射ユニットよりも強い強度の紫外線を射出させることで、被記録媒体上に形成された画像を確実に硬化させることができる。
なお、装置をより小型化、省エネ化、安価にできるため、本実施形態では、最終露光用紫外線ユニット54も紫外線照射ユニット52と同様の構成としたが、最終露光用紫外線照射ユニット54には、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等、種々の紫外線光源を用いるもできる。
ここで、最終露光用紫外線照射ユニット54には、メタルハライドランプ,高圧水銀ランプを用いることも好ましい。つまり、インクジェット記録装置は、下塗り液および/またはインクを半硬化させる紫外線照射ユニットとしては、蛍光ランプ80を備える紫外線照射ユニットを用い、最終露光用紫外線照射ユニット54には、メタルハライドランプ,高圧水銀ランプ等を用いた構成とすることも好ましい。
最終露光用紫外線照射ユニット54にメタルハライドランプ,高圧水銀ランプ等を用いることで、装置は大型化するが、被記録媒体上の下塗り液およびインクにより強い光を照射することができ、より確実に下塗り液およびインクを完全に硬化させることができる。
また、記録ヘッドのノズル詰まりを防止でき、印刷物を高速で作成することができ、好適に半硬化することができ、かつ、装置をより小型化、省エネ化、安価にできるため下塗り液および/またはインクを半硬化させる紫外線照射ユニットの全てに蛍光ランプ80を備える紫外線照射ユニットとすることが好ましいが、本発明はこれに限定されず、上記効果は低くなるが、少なくとも1つを蛍光ランプ80を備える紫外線照射ユニットとし、他の紫外線照射ユニットをメタルハライドランプ,高圧水銀ランプ等で構成してもよい。
ここで、蛍光ランプ80は、蛍光ランプ80の照射面と被記録媒体Pとの最短距離hが、0.5mm以上1.5mm以下となる位置に配置することが好ましい。蛍光ランプ80を上記範囲を満たす位置に配置することで、効率よく被記録媒体Pに光を照射することができる。
さらに、ハウジング82は、上記hが0.5mm≦h<1.0mmの場合は、ハウジング82と被記録媒体Pとの最短距離Hが、H=hとなる位置に配置し、上記hが1.0mm≦hの場合は、H=1.0mmとなる位置に配置することが好ましい。
ハウジング82を上記範囲を満たす位置に配置することで、蛍光ランプ80から射出され、被記録媒体P以外の部分を照射する光の量を低減することができる。
また、紫外線照射ユニットは、記録ヘッドにより被記録媒体上にインク液滴が着弾された後、数百ミリ秒から5秒の間に紫外線を照射し、被記録媒体に着弾したインク液滴を半硬化させることが好ましい。
インク液滴の着弾後、数百ミリ秒から5秒の間にインク液滴を半硬化させることで、被記録媒体上のインク液滴の形状が崩れることを防止でき、高画質な画像を形成することができる。
また、下塗り液は、粘度を10mPa・s以上500mPa・s以下とすることが好ましく、50mPa・s以上300mPa・s以下とすることがより好ましい。
下塗り液の粘度を、10mPa・s以上、より好ましくは、50mPa・s以上とすることで、上述したように、被記録媒体として、液体が付着しにくい被記録媒体にも下塗り液を塗布することが可能となる。
また、下塗り液の粘度を、500mPa・s以下、より好ましくは、300mPa・s以下とすることで、被記録媒体P上に形成する下塗り層の表面粗さをより確実に小さくすることができる。
以下、具体的実施例とともにインクジェット記録装置10をより詳細に説明する。
本実施例では、蛍光ランプ80の電極の近傍に装着されたゲッターを有する光照射装置を用いるに当たって、蛍光ランプ80の両端のそれぞれの電極88の上方の近傍に、小型ファン84を配置して、これを適宜の回転数で回転させることにより、電極88で発生する熱を発散させるように構成している。このような構成とすることにより、電極88で発生する熱を発散させて、電極88の温度上昇を抑制することができるので、電極88の温度を、ゲッター89並びにこれを装着している部材が蒸発しない範囲内に低く抑えることが可能になり、蒸発した材料がバルブ86の内面などに付着してバルブ86の内面を黒化させるという問題を解消する。
ここで、蛍光ランプ80として、バルブには、直径32mmの直線状の管を用い、蛍光体膜には、中心波長が365nmの光を発光する発光体を用いた。
また、蛍光ランプ80は、蛍光ランプの照射面と被記録媒体Pとの最短距離hが1mmとなる位置に配置し、ハウジング82は、ハウジング82と被記録媒体Pとの最短距離Hが1mmとなる位置に配置した。また、記録ヘッドとしては、600dpiのインクジェットヘッドを用いた。
上述の、蛍光ランプ80の構成をより詳細に説明すると、以下の通りである。
ガラスバルブ:ソーダ石灰ガラス(紫外域に吸収を持たない)
保護膜:アルミナ
蛍光体:SrB,Eu2+
封入ガス:アルゴン
ゲッター:Zr-Co-Rare Earths(サエスゲッター製St787)
なお、ここでは、ゲッターの装着は、陽極の一部を切り取り、陽極にリボン型ゲッターを溶接した。
ゲッターの装着方式としては、これ以外にも、陽極の少なくとも一部の外面にリボン型ゲッターを重ねて溶接する方式、陰極および陽極に接しない状態でリボン型ゲッターを耐熱性の高い金属部品に溶接し、電極から0.1〜30mm離した位置に装着する方式等が適用できる。要は、活性化に必要な熱を得るために電極から30mm以内の位置に装着するようにすればよい。
また、蛍光ランプ80の型としては、先に図2(A)及び(B)に示したような完全な円形状の蛍光体膜92を有さず、保護膜90と蛍光体膜92との間に透過率10%以下の反射膜を持ち、ランプ軸に平行な方向に長辺を持つ長方形型の反射膜と、蛍光体膜92の塗られていない開口面を持つ、アパーチャー型の熱陰極蛍光管を用いることも可能である。この場合には、上記開口面に対応する特定の方向に対する照射効率が向上する。
図2(A)及び(B)に示した蛍光ランプ80では、図中に符号88+89で示すように、陽極88bにリボン型ゲッター89を溶接したものを用いている。
また、両端の電極88の近傍の上方に小型ファン84を配置して、これを適宜の回転数で回転させることにより、電極88で発生する熱を発散させるように構成している。このような構成とすることにより、電極88で発生する熱を発散させて、電極88の温度上昇を抑制することができるので、電極88の温度を、ゲッター89並びにこれを装着している部材が蒸発しない範囲内に低く抑えることが可能になり、蒸発した材料がバルブ86の内面などに付着してバルブ86の内面を黒化させるという問題は発生しない。
これについて具体的な実験結果を、図4〜図7を用いて説明する。
図4は、上述の、陽極88bにリボン型ゲッター89を溶接した蛍光ランプ80の初期の幅方向における発光強度分布を示すグラフである。図から明らかなように、蛍光ランプ80の幅方向における発光強度分布は、きわめて均一性が高い。これは、図5に示した発光ダイオード(LED)の場合と比較すると、より明確になる。発光ダイオード(LED)の場合には、個体差があることにより、蛍光ランプ80のような、高度の均一性を得ることは困難である。
また、図6は、図4に示した蛍光ランプ80を、ゲッター89を装着した電極88近傍へのゲッター冷却用ファン84なしで、所定のエージングを行った後における蛍光ランプ80の幅方向における発光強度分布を示すグラフである。図6と図4のグラフを比較すると、電極88へのゲッター冷却用ファン84の配置なしで、所定のエージングを行った場合(図6)には、端部(つまり、電極近傍)における発光強度の明確な低下(特に、図6中の右側)が認められる。
これに対して、ゲッター89を装着した電極88近傍へゲッター冷却用ファン84を配置したものでは、所定のエージングを行った後における蛍光ランプ80の幅方向における発光強度分布は、図7に示すグラフのようになる。図7と図4のグラフを比較すると、ゲッター89を装着した電極88近傍にゲッター冷却用ファン84の配置したものでは、所定のエージングを行った場合でも、端部(つまり、電極近傍)における発光強度の低下はほとんど認められない。すなわち、ゲッター89を装着した電極88近傍にゲッター冷却用ファン84を配置したことにより、ゲッターやこれを吸着・保持している保持部材の蒸発に起因する、蛍光ランプ80の発光強度の低下が略完全に防止されている。
なお、ゲッター89を装着した電極88近傍へゲッター冷却手段を配置することによる蛍光ランプ80の発光強度の低下防止効果は、上述のような電極88近傍へゲッター冷却用ファン84を配置したもの以外にも、先に図3に示したような、ゲッター89を装着した電極88近傍へのゲッター冷却用ヒートポンプ94を配置するという方式によっても、略同様に得ることが可能である。
本発明のインクジェット記録装置の特徴とするところは、前述の通り、紫外線照射手段における紫外線発生光源として、内部にゲッターを有するアパーチャー型の熱陰極蛍光管を用いること、並びにインク組成物として、オキシラン化合物およびオキセタン化合物並びに光カチオン重合開始剤を含むものを用いるようにした点にある。
以下に、本発明のインクジェット記録装置に好適に用い得るインク組成物に含有するオキシラン化合物およびオキセタン化合物並びに光カチオン重合開始剤の例を挙げる。
最初に、インク組成物中のオキシラン化合物とオキセタン化合物の含有比について説明する。本発明においては、インク組成物中のオキシラン化合物:オキセタン化合物の含有比が90:10〜10:90、好ましくは70:30〜30:70、より好ましくは1:1であるのがよい。
オキシラン化合物とオキセタン化合物の含有比を1:1に近づけるに従って、インク組成物の紫外線硬化性が向上する。
また、着色剤は、前処理液(下塗り液)または後処理液(UVニス,トップコート剤)とともに使用する場合には含有しないが、画像形成用のインク使用する場合には含有するのがよい。
以下に、本発明に好適に使用するインクについて詳細に説明する。
(1)インク組成物
以下の説明において、インク組成物(以下、単に「インク」ともいう)は、(A)オキシラン化合物および/または(B)オキセタン化合物並びに(C)光酸発生剤を含む。
なお、本発明のインクジェット記録装置を用いる画像形成方法に好適に用い得る(A)オキシラン化合物および/または(B)オキセタン化合物並びに(C)光酸発生剤を含有するインク組成物を「本発明のインク組成物」または「本発明のインク」ともいうこととする。
本発明のインク組成物は、(D)着色剤、および(E)分散剤を含有することが好ましく、また、(F)界面活性剤を含有することが好ましい。その他の成分として、増感剤、共増感剤等を含むことが好ましい。
なお、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りのない限り、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくてもよいことを意味する。例えば「アルキル基」とは、置換または無置換のアルキル基を意味する。
また、本発明において特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りのない限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても無置換でもよい。例えば「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でもよい。
(A)オキシラン化合物
本発明において、オキシラン化合物とは、分子内に1個以上のオキシラン環を有する化合物である。本発明において、オキシラン化合物は一種単独で使用することができ、また2種以上のオキシラン化合物を併用することもできる。
(A)オキシラン化合物としては分子内にオキシラン環を1個有する単官能オキシラン化合物および分子内にオキシラン環を2個以上有する多官能オキシラン化合物のいずれを使用することもできるが、多官能オキシラン化合物を使用することが好ましい。多官能オキシラン化合物を使用することにより、硬化性に優れるインク組成物が得られるので好ましい。
単官能オキシラン化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
多官能オキシラン化合物としては、多官能芳香族オキシラン化合物、多官能脂環式オキシラン化合物、多官能脂肪族オキシラン化合物などが挙げられる。
芳香族オキシラン化合物としては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
多官能脂環式オキシラン化合物としては、少なくとも2個のシクロへキセン環またはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。また、シクロヘキサジエン環またはシクロペンタジエン環等のシクロアルカジエン環を有する化合物をエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンジオキサイド、シクロペンテンジオキサイド含有化合物も例示できる。
多官能脂肪族オキシラン化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明に用いることのできる多官能オキシラン化合物を詳しく例示する。
例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,13−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
(B)オキセタン化合物
本発明に使用できるオキセタン化合物は、少なくとも1つのオキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載される如き、公知のオキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録媒体との高い密着性を得ることができるので好ましい。
分子内に1〜2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(1)〜(3)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2009262524
a1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基を表す。分子内に2つのRa1が存在する場合、それらは同じであっても異なるものであってもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
a2は、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数2〜6個のアルケニル基、芳香環を有する基、炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、アルケニル基としては、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等が挙げられ、芳香環を有する基としては、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。アルキルカルボニル基としては、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等が、アルキコキシカルボニル基としては、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が、N−アルキルカルバモイル基としては、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等が挙げられる。また、Ra2は置換基を有していても良く、置換基としては、1〜6のアルキル基、フッ素原子が挙げられる。
a3は、線状または分枝状アルキレン基、線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、線状または分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、または、以下に示す基を表す。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられ、ポリ(アルキレンオキシ)基としては、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等が挙げられる。不飽和炭化水素基としては、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
Figure 2009262524
a3が上記多価基である場合、Ra4は、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基を表す。
a5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、または、C(CH32を表す。 Ra6は、炭素数1〜4個のアルキル基、または、アリール基を表し、nは0〜2,000の整数である。Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、または、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基であり、mは0〜100の整数である。
Figure 2009262524
式(1)で表される化合物として、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(OXT−101:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(OXT−212:東亞合成(株)製)、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン(OXT−211:東亞合成(株)製)が挙げられる。式(2)で表される化合物としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(OXT−121:東亞合成(株)製)が挙げられる。また、式(3)で表される化合物としては、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(OXT−221:東亞合成(株)製)が挙げられる。
分子内に3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009262524
式(4)において、Ra1は、前記式(1)におけるのと同義である。また、多価連結基であるRa9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基または下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3または4である。
Figure 2009262524
上記Aにおいて、Ra10はメチル基、エチル基またはプロピル基を表す。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
また、本発明に好適に用いることのできるオキセタン化合物の別の態様として、側鎖にオキセタン環を有する下記式(5)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009262524
式(5)において、Ra1およびRa8は前記式におけるのと同義である。Ra11はメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
このようなオキセタン環を有する化合物については、前記特開2003−341217号公報、段落番号0021ないし0084に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に用いることができる。
特開2004−91556号公報に記載されたオキセタン化合物も本発明に使用することができる。段落番号0022ないし0058に詳細に記載されている。
インク組成物中の(A)オキシラン化合物および(B)オキセタン化合物の総量は、インク組成物の全量に対し、60〜95重量%が好ましく、より好ましくは70〜90重量%、更に好ましくは70〜85重量%の範囲である。
(A)オキシラン化合物、および、(B)オキセタン化合物の総量が上記範囲内であると、硬化速度が速く、硬化後の膜強度も上がるので好ましい。
(C)光酸発生剤
本発明に用いることのできる好ましい光酸発生剤(以下、カチオン重合開始剤ともいう。)としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
本発明に用いることのできる光酸発生剤は、活性放射線の照射により酸を発生する化合物であることが好ましい。本発明に用いることができる光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている光(400〜200nmの紫外線、遠紫外線、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線またはイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
このような光酸発生剤としては、活性放射線の照射により分解して酸を発生する、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などのオニウム塩化合物、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等のスルホネート化合物などを挙げることができる。
これらの中でも、光酸発生剤としてオニウム塩を使用することが好ましい。
また、その他の本発明に用いられる活性放射線の照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal etal,Polymer,21,423(1980)等に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同Re 27,992号、特開平3−140140号等に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker etal,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen etal,The,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号等に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、同第339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号等に記載のヨードニウム塩、
J.V.Crivello etal,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello etal.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello etal,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello etal,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第3,902,114号、同4,933,377号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号、特開平7−28237号、同8−27102号等に記載のスルホニウム塩、
J.V.Crivello etal,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello etal,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)等に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen etal,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)等に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号等に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier et al,J.Rad.Curing,13(4),26(1986)、T.P.Gill et al,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1986)、特開平2−161445号等に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、
S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichmanis etal,J.Pholymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu etal,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit etal,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973)、D.H.R.Barton etal,J.Chem.Soc.,3571(1965)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker etal,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman etal,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan etal,Macormolecules,21,2001(1988)、P.M.Collins etal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase etal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,Solid State Sci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihan etal,Macromolcules,21,2001(1988)、欧州特許第0,290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号等に記載のO−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、
M.TUNOOKA etal,Polymer Preprints Japan,35(8)、G.Berner etal,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijs etal,Coating Technol.,55(697),45(1983),Akzo、H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0,199,672号、同84515号、同044,115号、同第618,564号、同0,101,122号、米国特許第4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平3−140109号等に記載のイミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号、特開平2−71270号等に記載のジスルホン化合物、特開平3−103854号、同3−103856号、同4−210960号等に記載のジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
また、これらの光により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖または側鎖に導入した化合物、たとえば、M.E.Woodhouse et al,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappas et al,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo etal,Makromol.Chem.,Rapid Commun.,9,625(1988)、Y.Yamada etal,Makromol.Chem.,152,153,163(1972)、J.V.Crivello et al,J.PolymerSci.,Polymer Chem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。たとえば、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
更に、V.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad etal,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton et al,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
本発明に用いることができる光酸発生剤として好ましい化合物として、下記式(b1)、(b2)、(b3)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009262524
式(b1)において、R201、R202およびR203は、各々独立に有機基を表す。
-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4 -、PF6 -、SbF6 -や以下に示す基などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
Figure 2009262524
好ましい有機アニオンとしては下式に示す有機アニオンが挙げられる。
Figure 2009262524
Rc1は、有機基を表す。
Rc1における有機基として炭素数1−30のものが挙げられ、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rd1は、水素原子、アルキル基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5は、各々独立に、有機基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5の有機基として、好ましくはRc1における好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。
Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。
Rc3とRc4が結合して形成される基としてはアルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基である。
Rc1、Rc3〜Rc5の有機基として、最も好ましくは1位がフッ素原子またはフルオロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフルオロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子またはフルオロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
201、R202およびR203としての有機基の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202およびR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(b1−1)、(b1−2)、(b1−3)における対応する基を挙げることができる。
なお、式(b1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、式(b1)で表される化合物のR201〜R203のうち少なくともひとつが、式(b1)で表される他の化合物におけるR201〜R203の少なくともひとつと直接、または、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(b1)成分として、以下に説明する化合物(b1−1)、(b1−2)、および(b1−3)を挙げることができる。
化合物(b1−1)は、上記式(b1)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖または分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうち、いずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(b1−2)について説明する。
化合物(b1−2)は、式(b1)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、より好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖または分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができ、直鎖、分岐2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができ、環状2−オキソアルキル基がより好ましい。
201〜R203の直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基としては、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(b1−3)とは、以下の式(b1−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
Figure 2009262524
式(b1−3)において、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子を表す。
6cおよびR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。
xおよびRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、またはビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、およびRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成してもよい。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、式(b1)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは炭素数1〜20個、より好ましくは炭素数1〜12個の直鎖および分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖または分岐プロピル基、直鎖または分岐ブチル基、直鎖または分岐ペンチル基)を挙げることができる。
1c〜R7cのシクロアルキル基として、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖および分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖または分岐プロポキシ基、直鎖または分岐ブトキシ基、直鎖または分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、およびRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖状若しくは分岐状アルキル基、シクロアルキル基または直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1cからR5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、溶剤溶解性がより向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制されるので好ましい。
xおよびRyとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。
xおよびRyは、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることが好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
x、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基、シクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基、シクロアルキル基である。
式(b2)、(b3)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基またはシクロアルキル基を表す。X-は、非求核性アニオンを表し、式(b1)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
204〜R207としてのアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖または分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
また、R204とR205、R206とR207が結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R204
205、R206とR207が結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
なお、式(b2)または(b3)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、式(b2)で表される化合物のR204またはR205が、式(b2)で表される他の化合物におけるR204またはR205と直接、または、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
使用してもよい活性光線または放射線の照射により酸を発生する化合物として、更に、下記式(b4)、(b5)、(b6)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009262524
式(b4)〜(b6)中、Ar3およびAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
206、R207およびR208は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはシアノ基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表す。
Ar3およびAr4、R206〜R208並びにAは置換基を有していても良く、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
なお、式(b4)〜(b6)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、式(b6)で表される化合物のR206〜R208のうち少なくともひとつが、式(b6)で表される他の化合物におけるR206〜R208の少なくともひとつと直接、または、連結基を介して結合した構造を有する化合物であってもよい。
前記光酸発生剤のなかでも好ましいものとしては、式(b1)〜(b3)で表される化合物を挙げることができる。
本発明に用いることのできる光酸発生剤の好ましい化合物例〔(b−1)〜(b−96)〕を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009262524
Figure 2009262524
Figure 2009262524
Figure 2009262524
Figure 2009262524
Figure 2009262524
Figure 2009262524
Figure 2009262524
Figure 2009262524
Figure 2009262524
また、特開2002−122994号公報、段落番号〔0029〕〜〔0030〕に記載のオキサゾール誘導体、s−トリアジン誘導体なども好適に用いられる。
特開2002−122994号公報、段落番号〔0037〕〜〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も本発明に好適に使用しうる。
光酸発生剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
インク組成物中の光酸発生剤の含有量は、インク組成物の0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜7重量%である。
光酸発生剤の添加量が0.1重量%以上であると、インク組成物を硬化させることができ、20重量%以下であると硬化度が均一となるので好ましい。
また、本発明において、インク組成物に後述する増感剤を用いる場合、重合開始剤の総使用量は、増感剤に対して、重合開始剤:増感剤の重量比で、好ましくは200:1〜1:200、より好ましくは50:1〜1:50、更に好ましくは20:1〜1:5の範囲である。
(D)着色剤
本発明に用いることができる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料および油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。本発明において、インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、活性エネルギー線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
<顔料>
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機または無機顔料が使用できる。
赤或いはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42、43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、
青またはシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、
緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120、137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、
黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、
白色顔料としては、PigmentWhite 6,18,21
などが目的に応じて使用できる。
<油溶性染料>
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の重量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
本発明に適用可能な前記油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料或いはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29および34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93および162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132および218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67および70;C.I.ソルベント・グリーン 3および7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2;等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
また、着色剤として油溶性染料を使用する際、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色剤を併用することもできる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224および237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119および163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356および362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365および368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1および9;等が挙げられる。
本発明に使用することができる着色剤は、インク組成物またはインクジェット記録用インク組成物に添加された後、適度に当該インク内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
着色剤は、インク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤または本発明に使用するラジカル重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、ラジカル重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
これらの着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種または2種以上を適宜選択して用いればよい。
なお、インク組成物中において固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができるので好ましい。
本発明において、インク組成物中における着色剤の含有量は色、および使用目的により適宜選択されるが、一般的には、インク組成物全体の重量に対し、0.01〜30重量%であることが好ましい。
(E)分散剤
着色剤の分散を行う際に分散剤を添加することが好ましい。分散剤としては、その種類に特に制限はないが、好ましくは高分子分散剤を用いることが好ましい。高分子分散剤としては、DisperBYK−101、DisperBYK−102、DisperBYK−103、DisperBYK−106、DisperBYK−111、DisperBYK−161、DisperBYK−162、DisperBYK−163、DisperBYK−164、DisperBYK−166、DisperBYK−167、DisperBYK−168、DisperBYK−170、DisperBYK−171、DisperBYK−174、DisperBYK−182(以上BYKケミー社製)、EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(以上エフカアディティブ社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ製)等の高分子分散剤;ソルスパース(Solsperse)3000,5000,9000,12000,13240,13940,17000,24000,26000,28000,32000,36000,39000,41000,71000などの各種ソルスパース分散剤、(アビシア社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)製)およびイソネットS−20(三洋化成(株)製)楠本化成社製「ディスパロン KS−860,873SN,874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」が挙げられる。
また、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745(エフカ社製))、ソルスパース5000,12000、ソルスパース22000(アビシア社製)等の顔料誘導体もあわせて使用することができる。
本発明において、インク組成物中における分散剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、一般的には、インク組成物全体の重量に対し、0.01〜5重量%であることが好ましい。
(F)界面活性剤
本発明において、インク組成物には、長時間安定した吐出性を付与するため、界面活性剤を添加することが好ましい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)および固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
本発明において、インク組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、一般的には、インク組成物全体の重量に対し、0.0001〜1重量%であることが好ましい。
(他の成分)
本発明において、インク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、増感剤、共増感剤、その他の重合性化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等が挙げられる。
<増感剤>
本発明において、特定の活性エネルギー線を吸収して上記重合開始剤の分解を促進させるためにインク組成物に増感剤を添加してもよい。増感剤は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸或いは塩基を生成する。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、アントラセン、9,10−ジアルコキシアントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
以下に本発明に好ましく使用できる増感剤を示す。
Figure 2009262524
また、好ましい増感剤の例としては、下記式(IX)〜(XIII)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009262524
式(IX)中、A1は硫黄原子またはNR50を表し、R50はアルキル基またはアリール基を表し、L2は隣接するA1および隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R51、R52は互いに結合して、色素の酸性核を形成してもよい。Wは酸素原子または硫黄原子を表す。
Figure 2009262524
式(X)中、Ar1およびAr2はそれぞれ独立にアリール基を表し、−L3−による結合を介して連結している。ここでL3は−O−または−S−を表す。また、Wは式(IX)に示したものと同義である。
Figure 2009262524
式(XI)中、A2は硫黄原子またはNR59を表し、L4は隣接するA2および炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R53、R54、R55、R56、R57およびR58はそれぞれ独立に一価の非金属原子団の基を表し、R59はアルキル基またはアリール基を表す。
Figure 2009262524
式(XII)中、A3、A4はそれぞれ独立に−S−、−NR62−または−NR63−を表し、R62、R63はそれぞれ独立に置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアリール基を表し、L5、L6はそれぞれ独立に、隣接するA3、A4および隣接炭素原子と共同して色素の塩基性核を形成する非金属原子団を表し、R60、R61はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団であるかまたは互いに結合して脂肪族性または芳香族性の環を形成することができる。
Figure 2009262524
式(XIII)中、R66は置換基を有してもよい芳香族環またはヘテロ環を表し、A5は酸素原子、硫黄原子または=NR67を表す。R64、R65およびR67はそれぞれ独立に水素原子または一価の非金属原子団を表し、R67とR64、およびR65とR67はそれぞれ互いに脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。
式(IX)〜(XIII)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示す(E−1)〜(E−20)が挙げられる。
なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)および水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
Figure 2009262524
Figure 2009262524
本発明において、インク組成物中における増感剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、一般的には、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜4重量%であることが好ましい。
<共増感剤>
本発明において、インク組成物は、共増感剤を含有することも好ましい。本発明において共増感剤は、増感剤の活性エネルギー線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
共増感剤の別の例としては、チオールおよびスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
本発明において、インク組成物中における共増感剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、一般的には、インク組成物全体の重量に対し、0.05〜4重量%であることが好ましい。
<その他の重合性化合物>
本発明において、インク組成物には、必要に応じその他の重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を併用することもできる。ラジカル重合性化合物を併用する場合には、重合開始剤としてラジカル重合開始剤も併用することが好ましい。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。また、単官能化合物よりも官能基を2つ以上持つ多官能化合物の方が好ましい。更に好ましくは多官能化合物を2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマーおよびポリマーを用いることができる。
<ラジカル重合開始剤>
本発明に用いることのできる好ましいラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、および、(l)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(l)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。本発明におけるラジカル重合開始剤は単独または2種以上の併用によって好適に用いられる。
<紫外線吸収剤>
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、インク組成物に退色防止の観点から、紫外線吸収剤を添加することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15重量%であることが好ましい。
<酸化防止剤>
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
<褪色防止剤>
本発明において、インク組成物には、各種の有機系および金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式および化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
<導電性塩類>
本発明において、インク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
<溶剤>
本発明において、インク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
本発明において、インク組成物に用いることができる溶剤としては、重合性粒子の内部構造に樹脂を用いている場合、その樹脂の溶解度パラメータの値(SP値)と用いる溶剤の溶解度パラメータの値との差が、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
<高分子化合物>
本発明において、インク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子化合物の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、または「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが例示できる。
(インク物性)
本発明においては、吐出性を考慮し、25℃における粘度が40mPa・s以下であるインク組成物を使用する。好ましくは、5mPa・s〜40mPa・s、更に好ましくは、7mPa・s〜30mPa・sである。また吐出温度(例えば、25〜80℃、好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、より好ましくは3〜13mPa・sである。本発明において、インク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明において、インク組成物の25℃における表面張力は、20〜35mN/mであることが好ましい。より好ましくは23〜33mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲みおよび浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで35mN/m以下が好ましい。
(2)画像形成方法
上記インク組成物は、例えば、被記録媒体上に前記インク組成物をインクジェットノズルから吐出する吐出工程と、前記被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化工程とを含み、前記インクジェットノズルの吐出部のテーパー角が18°以上60°以下であることを特徴とする画像形成方法に使用される。
この画像形成方法では、オキシラン化合物および/またはオキセタン化合物並びに光酸発生剤を含むインク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射し、インクを硬化して画像を形成する。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置としては、例えば、インク供給系、温度センサー、活性エネルギー線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、本発明のインク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、1〜100pl、好ましくは、3〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4000×4000dpi、好ましくは、400×400〜1600×1600dpi、より好ましくは、720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動することができる。
上述したように、本発明のインク組成物のように放射線硬化型インクは、吐出されるインクを一定温度にすることが望ましいことから、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱および加温を行うことができる。温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンクおよびインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
上記のインクジェット記録装置を用いて、本発明のインク組成物の吐出は、インク組成物を、好ましくは25〜80℃、好ましくは25〜50℃に加熱して、インク組成物の粘度を、3〜15mPa・s、好ましくは3〜13mPa・sに下げた後に行うことが好ましい。特に、本発明のインク組成物として、25℃におけるインク粘度が50mPa・s以下であるものを用いると、良好に吐出が行えるので好ましい。この方法を用いることにより、高い吐出安定性を実現することができる。
本発明のインク組成物のような放射線硬化型インク組成物は、概して通常インクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化および液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、設定温度の±5℃、好ましくは設定温度の±2℃、より好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
また、吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射して、該インク組成物を硬化する工程について説明する。
被記録媒体上に吐出されたインク組成物は、活性エネルギー線を照射することによって硬化する。これは、本発明のインク組成物に含まれる重合開始剤が活性エネルギー線の照射により分解して、ラジカル、酸、塩基などの開始種を発生し、その開始種の機能にラジカル重合性化合物の重合反応が、生起、促進されるためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感剤が存在すると、系中の増感剤が活性エネルギー線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性エネルギー線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光または赤外光などが使用され得る。活性エネルギー線のピーク波長は、増感剤の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることが更に好ましい。
また、本発明のインク組成物の、重合開始系は、低出力の活性エネルギー線であっても十分な感度を有するものである。従って、露光面照度が、10〜4,000mW/cm2、好ましくは、20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。
本発明のインク組成物は、このような活性エネルギー線に、例えば、0.01〜120秒、好ましくは、0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性エネルギー線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性江エネルギー線の照射は、インク着弾後、一定時間(例えば、0.01〜0.5秒、好ましくは、0.01〜0.3秒、より好ましくは、0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、被記録媒体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止するこが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、その結果として臭気を低減することができるので好ましい。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な被記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
このようにして、本発明インク組成物は、活性エネルギー線の照射により高感度で硬化することで、被記録媒体表面に画像を形成することができる。
以下、前述のようなインクジェット記録装置を用いて行う画像形成方法において、上述のオキシラン化合物および/またはオキセタン化合物並びに光酸発生剤を含むインク組成物をインクジェット記録用として被記録媒体(支持体、記録材料等)上に吐出し、被記録媒体上に吐出されたインク組成物に活性エネルギー線を照射し、インクを硬化して画像を形成する実施例を説明する。
表1は、先に説明した各種のインクジェット記録装置における紫外線発生光源の種類、使用するインク組成物並びに開始剤の種類による画像形成時の特性の変化状況を、膜強度に着目してまとめたものである。ここでは、インクジェット記録装置としては本実施形態の装置を用い、紫外線発生光源として本実施形態のゲッターを有するアパーチャー型の熱陰極蛍光管を用いた場合(実施例1〜9)、一般的な従来技術であるメタルハライドランプを用いた場合(比較例1〜12)、特許文献4に記載の熱陰極管光源を用いた場合(比較例13から24)を比較する。
なお、特許文献4に記載の熱陰極管光源を用いた装置とは、陰極の周囲にゲッターを配置して、蛍光灯管内におけるガスや不純物の蛍光体,陰極等への吸着を防止し、光強度分布の不均一化を予防するようにした光源ランプを用いる装置である。
また、上記実施例並びに比較例においては、インク組成物を調製する際に用いるモノマーの種類が異なるものであり、その少尉については、表2に示してあるとおりである。
Figure 2009262524

Figure 2009262524
Figure 2009262524


Figure 2009262524
なお、ここで用いた膜強度の測定は、テープ密着性評価を行った結果を採用している。
テープ密着性評価:ここでの測定方法であるが、4〜6μm程度のインク膜をインクジェットにより吐設して、各装置で硬化した後、画像を形成した印刷物の表面側からセロハンテープを貼り付け、これを剥がす際の被記録媒体に対する密着性で判断した。評価は、YMCK4色のインクで行い、4色ともテープに移らなかったもののみを◎、これよりも劣るが実用上問題がないものを○、少なくも1色以上のインクがテープへ10%未満の移りがあったものは△、少なくも1色以上のインクがテープへ10%以上の移りがあったものは×と評価している。
表1から明らかなように、比較例1〜12のメタルハライドランプを用いたものは、十分な膜強度は得られるもののインクジェット記録装置全体が大型化し、装置のコストが高くなるという点で重大な欠点があり、実用的ではない。
また、比較例13〜24の特許文献4に記載の熱陰極管光源を用いたものは、十分な膜強度が得られないもので、これも実用にはならない。
また、本発明のゲッターを有するアパーチャー型の熱陰極蛍光管を用いた場合(実施例1〜9)では、インク組成物を調製する際に用いるモノマーの種類により膜強度に大きな差が出ることが示されており、本発明の特徴的構成である、オキシラン化合物およびオキセタン化合物オキセタン化合物を含むインク組成物を用いる場合は、他の構成による場合に比較して、明確な効果を示している。
この結果から、本発明の効果は明らかである。
以下に、インク組成物の調製方法に関する実施例を示す。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
<シアン顔料分散物P−1の調製>
・PB15:3 30重量部
(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・トリエチレングリコールジビニルエーテル 28重量部
(DVE−3;BASF製)
・BYK168(ビックケミー社製) 42重量部
以上の成分を混合し、スターラーで1時間攪拌した。攪拌後の混合物をアイガーミルにて分散し、シアン顔料分散物P−1を得た。
ここで、分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間1時間とした。
<シアンインク組成物C−1の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、シアンインク組成物C−1を調製した。シアンインク組成物C−1の表面張力は27mN/mであった。
・上記のシアン顔料分散物P−1 0.75重量部
・ジプロピレングリコールジアクリレート(重合性化合物) 11.25重量部
(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)
・下記重合開始剤Irg907 1.5重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・下記増感剤ダロキュアITX 0.75重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・下記共増感剤ダロキュアEDB 0.75重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
Figure 2009262524
Figure 2009262524
Figure 2009262524
<マゼンタ顔料分散物P−2、イエロー顔料分散物P−3、ブラック顔料分散物P−4の調製>
マゼンタ顔料分散物P−2の調製はP−1の調製において、顔料をPB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)からPV19(CINQUASIA MAGENTA RT−355D;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)に変更した以外はP−1と同様に行った。
イエロー顔料分散物P−3の調製は、P−1の調製において、顔料をPB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)からPY120(NOVOPERM YELLOW H2G;クラリアント社製)に変更した以外はP−1と同様に行った。
ブラック顔料分散物P−4の調製はP−1の調製において、顔料をPB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)からカーボンブラック(SPECIAL BLACK 250;デグサ社製)に変更し、分散剤をソルスパース5000(ゼネカ(株)製)に変更した以外はP−1と同様に行った。
<マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクの調製>
〔マゼンタインク組成物M−1の調製〕
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、マゼンタインク組成物M−1を調製した。マゼンタインク組成物M−1の表面張力は27mN/mであった。
・上記のマゼンタ顔料分散物P−2 1.95重量部
・ジプロピレングリコールジアクリレート(重合性化合物) 10.05重量部
(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)
・上記重合開始剤Irg907 1.5重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・上記増感剤ダロキュアITX 0.75重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・上記共増感剤ダロキュアEDB 0.75重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
<イエローインク組成物Y−1の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、イエローインク組成物Y−1を調製した。イエローインク組成物Y−1の表面張力は27mN/mであった。
・上記のイエロー顔料分散物P−3 1.95重量部
・ジプロピレングリコールジアクリレート(重合性化合物) 10.05重量部
(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)
・上記重合開始剤Irg907 1.5重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・上記増感剤ダロキュアITX 0.75重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・上記増感剤ダロキュアEDB 0.75重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
<ブラックインク組成物K−1の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、ブラックインク組成物K−1を調製した。ブラックインク組成物K−1の表面張力は27mN/mであった。
・上記のブラック顔料分散物P−4 0.75重量部
・ジプロピレングリコールジアクリレート(重合性化合物) 11.25重量部
(DPGDA;ダイセル・サイテック(株)製)
・上記重合開始剤Irg907 1.5重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・上記増感剤ダロキュアITX 0.75重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・上記共増感剤ダロキュアEDB 0.75重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
なお、上記実施形態は、本発明の一例を示したものであり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更や改良を行ってもよいことはいうまでもない。
本発明に係るインクジェット記録装置の一例の概略構成を示す正面図である。 本発明に係るインクジェット記録装置に用いた光照射装置(紫外線照射ユニット)の一例の概略構成を示す図であり、(A)は、蛍光ランプの一例の概略構成を示す長手方向の断面図であり、(B)及び(C)は、(A)に示す蛍光ランプのB−B線断面図である。 本発明に係るインクジェット記録装置に用いた光照射装置の他の一例の概略構成を示す図であり、蛍光ランプの長手方向の断面図である。 蛍光ランプの幅方向発光強度分布(初期)を示すグラフである。 LEDの幅方向発光強度分布を示すグラフである。 蛍光ランプの幅方向発光強度分布(ゲッター冷却なし)を示すグラフである。 蛍光ランプの幅方向発光強度分布(ゲッター冷却あり)を示すグラフである。 半硬化された下塗り液上にインク液を打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ未硬化状態の下塗り液上にインク液を打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図であり、(C)は、完全に硬化させた状態の下塗り液上にインク液を打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図である。 半硬化されたインク液上にインク液を打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図である。 (A)及び(B)は、それぞれ未硬化状態のインク液上にインク液を打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図であり、(C)は、完全に硬化させた状態のインク液上にインク液を打滴した被記録媒体の一例を示す模式的断面図である。 (A)〜(D)は、被記録媒体上に画像を形成する工程を模式的に示す工程図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置
12 搬送部
13 下塗部
14 下塗り液半硬化部
16 画像記録部
18 画像定着部
20 制御部
22 入力装置
30 供給ロール
32 搬送ロール
34 搬送ロール対
36 回収ロール
46 記録ヘッドユニット
48X,48Y,48C,48M,48K 記録ヘッド
50 インクタンク
52,54 紫外線照射ユニット
56 プラテン
60 塗布ロール
62 駆動部
64 貯留皿
66 掻き取りロール
67 (掻き取りロール)駆動部
68 位置決め部
70,72 位置決めロール
80 蛍光ランプ
82 ハウジング
84 冷却機構(ファン)
86 バルブ
88 電極
88a 陰極
88b 陽極
89 ゲッター
90 保護膜
91 反射膜
92 蛍光体膜
94,96 開口
95 ヒートパイプ

Claims (7)

  1. 被記録媒体搬送手段と、
    紫外線により硬化可能なインク組成物を吐出し、画像を形成するインクジェットヘッドと、
    前記被記録媒体に吐出したインク組成物に紫外線を照射し、硬化させる紫外線照射手段とを有する紫外線硬化型インクジェット記録装置であって、
    前記紫外線照射手段における紫外線発生光源が、内部にゲッターを有するアパーチャー型の熱陰極蛍光管であり、
    前記インク組成物がオキシラン化合物およびオキセタン化合物並びに光カチオン重合開始剤を含むことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記アパーチャー型の熱陰極蛍光管は、バルブと、このバルブの内壁に積層され被記録媒体側に開口が形成された反射膜と、この反射膜および前記バルブの内壁に積層され被記録媒体側に開口が形成された蛍光体膜とを有し、前記反射膜および前記蛍光体膜の開口の開口角のうちの小さい方Aが、30°≦A≦90°を満たす請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記熱陰極蛍光管のバルブ内の少なくとも1つの電極の近傍に装着したゲッターを上記バルブの外部から冷却する冷却機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記冷却機構が、ファンを用いる空冷方式によるものである請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記冷却機構が、ヒートパイプ方式によるものである請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記冷却機構が、ファンを用いる空冷方式によるものと、ヒートパイプ方式によるものとの両者を併用するものである請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記インク組成物中に含まれるオキシラン化合物およびオキセタン化合物の含有比が、オキシラン化合物:オキセタン化合物が90:10〜10:90である、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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