JP2009237037A - 光学フィルム貼合ガラス基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に凹部が存在する液晶セルガラス基板に対し、その凹部を充分に埋めて空隙に起因する輝点等を生じず、耐久性にも優れる光学フィルム貼合ガラス基板を提供する。
【解決手段】ガラス基板1に粘着層6を介して光学フィルム5を積層し、光学フィルム貼合ガラス基板10とする。ガラス基板1は、深さDが15μm以下で幅Wが250μm以下の凹部2,3,4を有する。粘着層6は、アクリル酸アルキルと極性官能基を有する単量体とを含むモノマー混合物から得られ、高分子量でガラス転移温度が低い第一のアクリル樹脂、及びアクリル酸アルキルとメタクリル酸アルキルとを含むモノマー混合物から得られ、低分子量でガラス転移温度が高い第二のアクリル樹脂を含む粘着剤組成物から形成される。粘着層6がガラス基板1表面の凹部を埋め、埋まりきらずに空隙2aが残る場合でも、その投影面積は当初の凹部2の投影面積に比べて20%以下となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示パネルなどとして好適に用いられる、光学フィルムが貼合されたガラス基板に関するものである。
TFT(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)などの液晶表示装置に一般に用いられる液晶表示用ガラスセルは、液晶成分が二枚のガラス基板の間に挟持された構造を有している。このように液晶を挟持したガラスセルの表裏両面には、アクリル樹脂を主成分とする粘着剤を介して、偏光板などの光学フィルムが積層されている。すなわち、液晶セルガラス基板の表面に、粘着層を介して偏光板などの光学フィルムを積層して光学フィルム貼合ガラス基板としたものが、液晶パネルとして一般に用いられている。
液晶表示用ガラスセルは、より薄く、そしてより軽くするするために、それを構成するガラス基板の表面を機械的に研磨したり、化学的にエッチングしたりすることが多く行われるようになってきた。研磨やエッチングなどの処理を施すと、その処理面に凹部(くぼみ)が残ることがある。また、ガラス基板をハンドリングするときに傷が発生し、それが凹部として存在することもある。ガラス基板の表面に凹部が存在すると、粘着層を介して光学フィルムを積層したとき、凹部に粘着剤が充分に入り込まず、空隙として残り、この空隙とガラス基板と粘着層との屈折率差が大きいことで光が散乱され、その結果、バックライト点灯時に輝点等の表示不良が発生するという問題があった。
この問題を解決するためには、光学フィルムを貼り合わせるのに用いる粘着層を柔軟性の高い粘着剤で構成したり、粘着層を厚くしたりするという対策が考えられる。例えば、特開 2002-287647号公報(特許文献1)には、上記のような基板表面の凹部を粘着層で埋めることが開示されており、その粘着層の厚さは35μm 以上が好ましいとされている。しかし、柔軟な粘着剤を用いると、高温又は湿熱環境下で粘着層が凝集破壊を起こし、光学フィルムが剥れるなどの問題があり、一方で粘着層を厚くすることは、液晶パネルを薄くするためにガラスを削っていることと相反することになるので、なるべく避けたい対応策である。
特開2002−287647号公報(請求項4)
本発明者らは、特許文献1のような粘着層の膜厚を厚くする方策をとらずに、ガラス基板上に形成された凹部を有効に埋めることができ、輝点発生等の表示不良を防止し得る技術を開発するべく、研究を行ってきた。そこで本発明の目的は、表面に凹部が存在する液晶セルガラス基板に対し、粘着層を厚くしなくても、その凹部が充分に埋められて、空隙を原因とする輝点等の不良を発生せず、しかも耐熱、耐熱衝撃等の耐久性に優れた光学フィルム貼合ガラス基板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、光学フィルムをガラス基板に接合するための粘着層に改良を加えることで、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、液晶セルガラス基板に粘着層を介して光学フィルムが積層されてなる光学フィルム貼合ガラス基板であって、前記ガラス基板は、前記光学フィルムが積層される表面に、深さが15μm 以下で基板を法線方向から見たときの幅が250μm 以下のサイズの凹部を有し、前記粘着層は、以下に示す第一のアクリル樹脂(A)及び第二のアクリル樹脂(B)を含む粘着剤組成物から形成されており、前記ガラス基板表面の凹部が前記粘着層で埋められ、その粘着層で埋まりきらずに空隙として残る場合でも、基板を法線方向から見たときの当該空隙の投影面積が光学フィルム貼合前の凹部の最大投影面積に比べて20%以下となっている、光学フィルム貼合ガラス基板が提供される。
(A)アクリル酸アルキルエステルを主体とし、極性官能基を有する単量体を含むモノマー混合物から得られる共重合体であって、重量平均分子量が100万以上でガラス転移温度が−50℃以下である第一のアクリル樹脂、
(B)アクリル酸アルキルエステルを主体とし、メタクリル酸アルキルエステルを10〜50重量%含むモノマー混合物から得られる共重合体であって、重量平均分子量が20万以下でガラス転移温度が−40℃以上−10℃以下である第二のアクリル樹脂。
この光学フィルム貼合ガラス基板において、ガラス基板表面の凹部が事実上全て粘着層で埋められていることが好ましい。粘着層を形成する第一のアクリル樹脂における極性官能基は、例えば、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基、複素環基などであることができる。
この粘着層は、その膜厚を35μm 以下とすることができる。この粘着層は、第一のアクリル樹脂と第二のアクリル樹脂の合計量を基準に、第一のアクリル樹脂を50〜90重量%の割合で含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。この粘着層は、その膜厚を35μm 以下とすることができる。またこの粘着層は、そのゲル分率が40〜90%の範囲となるようにするのが好ましい。
粘着層を形成する粘着剤組成物は、上記第一のアクリル樹脂及び第二のアクリル樹脂に加えて、さらに架橋剤を含むことが好ましく、この架橋剤は、イソシアネート系化合物であるのが好ましい。また、粘着層を形成する粘着剤組成物は、上記第一のアクリル樹脂及び第二のアクリル樹脂に加えて、あるいはさらに架橋剤に加えて、シラン系化合物を含むことが好ましい。
本発明の光学フィルム貼合ガラス基板は、ガラス基板表面に形成されている凹部が良好に埋められており、輝点発生等の問題が少なく、かつ、加熱・冷却を繰り返しても、浮きや剥れ、発泡、曇りなどの外観変化が生じず、耐久性に優れている。また、粘着層の厚みは従来どおり35μm 以下、さらには30μm 以下でも、上記の如き効果が充分に発揮される。
以下、添付の図面も適宜参照しながら、本発明を詳細に説明する。図1(A)は、本発明において光学フィルムが粘着層を介して貼合される対象となる、表面に凹部を有するガラス基板を示す拡大断面模式図であり、図1(B)は、当該表面に粘着層を介して光学フィルムを積層した状態を示す拡大断面模式図である。
[光学フィルム貼合ガラス基板]
本発明においては、図1(A)に示すように、表面に凹部2,3,4を有する液晶セルガラス基板1を対象とする。凹部2,3,4は、その深さDが15μm 以下であり、そして開口部の幅Wが250μm 以下である。ここで凹部開口部の幅Wは、基板1を法線方向から見たときの最も長い寸法を意味し、例えば、凹部が部分球面で、基板1を法線方向から見たときの形状がほぼ円である場合には、その直径を幅Wとし、基板1を法線方向から見たときの凹部の形状が多角形である場合には、その最も長い対角線の長さをもって幅Wとする。深さDが15μm を超えるか、あるいは幅Wが250μm を超える凹部2,3,4を有する基板である場合には、本発明で規定する粘着層を採用しても、輝点が発生しない程度に充分に凹部を埋めることができない。そのため、本発明では上記のような深さD及び幅Wをもった凹部が形成されたガラス基板1を対象とする。また、幅Wを円の直径とみなし、それから計算される円の面積を最大投影面積A(W)とする。A(W)は、基板1を法線方向から見たときの凹部の形状がほぼ円であると仮定して計算される面積である。
このような凹部2,3,4を有する液晶セルガラス基板1の当該凹部が形成されている面には、図1(B)に示すように、粘着層6を介して光学フィルム5が積層され、光学フィルム貼合ガラス基板10となる。このとき、ガラス基板1上に形成されている凹部2,3,4は、本発明に従って、光学フィルム5を貼合するために用いる粘着層6によって埋められる。そして、ガラス基板1表面の凹部2,3,4が粘着層6で埋まりきらず、空隙2a,4aとして残る場合でも、基板1を法線方向から見たときの空隙2a,4aの投影面積が、光学フィルム5貼合前の凹部の最大投影面積に比べて20%以下となるようにする。
図1(B)には、同(A)に示す当初の凹部2,3,4のうち、最も小さい凹部3は粘着層6によって完全に埋められ、最も大きい凹部2は空隙2aが残る状態で埋められ、中間の大きさを有する凹部4は空隙4aが残る状態で埋められた例が示されている。そのうち、最大幅Wを有する凹部2に対し、粘着層6で埋められた後に残る空隙2aは、その幅をxで表示している。空隙の幅xの定義は、先のWと同様で、基板1を法線方向から見たときの最も長い寸法とする。基板1を法線方向から見たときの空隙2aの形状がほぼ円であるとして、その幅xを円の直径とみなし、それから計算される円の投影面積をa(x)とすると、当初の幅Wから計算される投影面積A(W)と、穴埋め後に残る空隙2aの幅xから計算される投影面積a(x)とが、次式(1)の関係を満たすようになっている。
〔a(x)/A(W)〕×100≧20% (1)
このように、ガラス基板1の表面に存在する凹部2,3,4のうち、粘着層6で埋まりきらずに空隙2a,4aとして残るものがある場合でも、その空隙2a,4aの投影面積a(x)が、当初の凹部2,3,4の最大投影面積A(W)に比べて20%以下となるようにすることにより、その光学フィルム貼合ガラス基板を液晶表示装置に適用してバックライトを点灯したときに、輝点の発生等が少なく、良好な表示状態を得ることができる。もちろん、当初の凹部2,3,4の事実上全てが、粘着層6で埋められるようにするのが、上記の如き輝点等の発生を抑えるうえでは一層好ましい。
以下、本発明の光学フィルム貼合ガラス基板10を構成するそれぞれの部材について説明する。
[液晶セルガラス基板]
本発明の光学フィルム貼合ガラス基板10において、ガラス基板1は、液晶表示用ガラスセルに用いられるものであればよく、その材料として例えば、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラスなどが挙げられる。その表面には、厚みを薄くするために研磨やエッチングが施され、凹部2,3,4が形成されたものである。通常は、2枚のガラス基板の間に液晶化合物を充填した形の液晶セルが用いられる。
[光学フィルム]
ガラス基板1に貼合される光学フィルム5は、一般に偏光板を含むのが有利である。偏光板とは、自然光などの入射光から、直線偏光や円偏光を包含する楕円偏光を出射する機能を有する光学フィルムである。偏光板には、光学軸に対して平行な振動面を有する直線偏光を吸収し、面内でそれと直交する方向の振動面を有する直線偏光を透過する性質を有する直線偏光板、光学軸に対して平行な振動面を有する直線偏光を反射し、面内でそれと直交する方向の振動面を有する直線偏光を透過する性質を有する直線偏光分離フィルム、偏光板と後述する位相差フィルムを積層した楕円偏光板などがある。直線偏光板の具体例としては、一軸延伸されたポリビニルアルコールフィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性色素が吸着配向している偏光子フィルムの両面を、保護フィルムで挟んだ構造のものが挙げられる。
直線偏光板を構成する保護フィルムとしては、透明な各種の樹脂フィルムを用いることができ、例えば、アクリル系樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルムをはじめとするアセチルセルロース系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、鎖状又は環状オレフィンの重合体であるポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂フィルム、ポリスルホン系樹脂フィルムなどが挙げられる。偏光子フィルムの両面に配置される保護フィルムは、同じ材質のもので構成することもできるし、異なる材質のもので構成することもできる。保護フィルムとしては、アセチルセルロース系樹脂フィルム、とりわけトリアセチルセルロースフィルムが好適に用いられる。
保護フィルムには、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などの紫外線吸収剤が配合されていてもよい。
液晶セルガラス基板1に貼合される光学フィル5は、偏光板の他に、例えば、反射防止機能を有するフィルム、位相差フィルム、プロテクトフィルム(Protective Film) 、輝度向上フィルムなど、他の光学フィルムがさらに積層されていてもよい。
反射防止機能を有するフィルムとは、液晶表示装置などの視認性を高めるために、蛍光灯などの外部光源から入射する光の反射を少なくする機能を有する光学フィルムである。具体的には、表面に凹凸をつけて反射光を散乱させるようにしたアンチグレア(AG)フィルム、光の干渉を利用した反射防止層が形成されたアンチリフレクション(AR)フィルム、塗布タイプの低反射層が形成されたロウリフレクション(LR)フィルムなどが挙げられる。反射防止機能を有するフィルムの表面には、さらにハードコート層が形成されていてもよい。
位相差フィルムとは、光学異方性を示す光学フィルムであって、例えば、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、鎖状又は環状オレフィンの重合体であるポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリビニリデンフルオライド/ポリメチルメタクリレート混合物、液晶ポリエステル、アセチルセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニルなどからなる高分子フィルムを 1.01〜6倍程度に延伸することにより得られる延伸フィルムなどが挙げられる。中でも、ポリカーボネートフィルムやポリオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸した高分子フィルムが好ましい。このような延伸によって光学異方性を発現させた位相差フィルムには、一軸性位相差フィルム、広視野角位相差フィルム、低光弾性率位相差フィルムなどと呼称されるものがあるが、いずれも用いることができる。
また、液晶性化合物の塗布・配向によって光学異方性を発現させたフィルムや、無機層状化合物の塗布によって光学異方性を発現させたフィルムも、位相差フィルムとして用いることができる。このような位相差フィルムには、温度補償型位相差フィルムと呼称されるもの、また、新日本石油(株)から“LCフィルム”の商品名で販売されている棒状液晶がねじれ配向したフィルム、同じく新日本石油(株)から“NHフィルム”の商品名で販売されている棒状液晶が傾斜配向したフィルム、富士フイルム(株)から“WVフィルム”の商品名で販売されている円盤状液晶が傾斜配向したフィルム、住友化学(株)から“VACフィルム”の商品名で販売されている完全二軸配向型のフィルム、同じく住友化学(株)から“new VAC フィルム”の商品名で販売されている二軸配向型のフィルムなどがある。
位相差フィルムは、通常、粘着層と偏光板との間に配置される。
輝度向上フィルムとは、液晶表示装置におけるバックライト光の利用効率を高めるために用いられる光学フィルムである。例えば、米国 3M Company 〔日本では、住友スリーエム(株)〕から販売されている反射型直線偏光分離フィルムである“DBEF”、同じく 3M Company から販売されている上向きプリズムシートである“BEF”、三菱レイヨン(株)から販売されている下向きプリズムシートである“ダイヤアート”、メルク社から販売されているコレステリック液晶フィルムと位相差補償フィルムと1/4波長位相差フィルムの3枚を重ねたフィルムである“トランスマックス”などを挙げることができる。
[粘着層及び粘着剤]
粘着層6は、液晶セルガラス基板1に光学フィルム5を接合し、かつガラス基板1上に存在する凹部2,3,4を埋めるために用いられる。粘着層6は、アクリル樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物から形成される。このような粘着剤組成物を硬化させたものが粘着層6となる。粘着層6に用いられるアクリル樹脂は、アクリル酸アルキルエステルを主体とし、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基、複素環基などの極性官能基を有する単量体を含むモノマー混合物から得られる共重合体を主体とする。
本発明では、ガラス基板1上に存在する凹部2,3,4を有効に埋め、かつ光学フィルム貼合ガラス基板ないしは液晶表示装置が、高温条件、熱衝撃条件など、各種環境条件にさらされたときでも良好な耐久性を示すものとするために、特定組成のアクリル樹脂を含む粘着剤組成物を用いて、粘着層6を形成する。具体的には、以下に示す第一のアクリル樹脂及び第二のアクリル樹脂を含む粘着剤組成物を用いる。
すなわち、第一のアクリル樹脂は、アクリル酸アルキルエステルを主体とし、極性官能基を有する単量体を含むモノマー混合物から得られる共重合体であって、重量平均分子量が100万以上でガラス転移温度が−50℃以下のもので構成される。
また第二のアクリル樹脂は、アクリル酸アルキルエステルを主体とし、メタクリル酸アルキルエステルを10〜50重量%含むモノマー混合物から得られる共重合体であって、重量平均分子量が20万以下でガラス転移温度が−40℃以上−10℃以下のもので構成される。
第一のアクリル樹脂及び第二のアクリル樹脂において、主たるモノマーとなるアクリル酸アルキルエステルは、アルキル部分の炭素数が1〜20程度のものであることができ、具体例として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどを挙げることができる。
第一のアクリル樹脂においては、上記したアクリル酸アルキルエステルに加えて、極性官能基を有する単量体を用いる。ここで極性官能基は、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基、複素環基などであることができる。遊離カルボキシル基を極性官能基とする単量体の例として、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸β−カルボキシエチルなどを挙げることができる。水酸基を極性官能基とする単量体の例として、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。アミノ基を極性官能基とする単量体の例として、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどを挙げることができる。また、複素環基を極性官能基とする単量体の例として、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、2,5−ジヒドロフランなどを挙げることができる。
第一のアクリル樹脂において、アクリル酸アルキルエステルは、1種類だけを用いてもよいし、異なる複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。とりわけ、アクリル酸ブチルが好適に用いられる。また極性官能基を有する単量体も、1種類だけを用いてもよいし、異なる複数の化合物を組み合わせて用いてもよい。とりわけ、遊離カルボキシル基を有する単量体が好適に用いられる。
第一のアクリル樹脂を構成するモノマー混合物は、上記したアクリル酸アルキルエステルを主体とし、その割合は、モノマー混合物全体の量を基準に、通常60重量%以上であり、さらには60〜99.9重量%の範囲、とりわけ80〜99.8重量%の範囲で用いるのが好ましい。また、極性官能基を有する単量体は、モノマー混合物全体の量を基準に、0.1〜20重量%の範囲、さらには0.2〜10重量%の範囲で用いるのが好ましい。
一方、第二のアクリル樹脂においては、上記したアクリル酸アルキルエステルに加え、メタクリル酸アルキルエステルを用いる。このメタクリル酸アルキルエステルは、アルキル部分の炭素数が1〜20程度のものであることができ、具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
第二のアクリル樹脂を構成するモノマー混合物は、上記したアクリル酸アルキルエステルを主体とし、その割合は、モノマー混合物全体の量を基準に、通常50重量%以上であり、具体的には50〜90重量%の範囲で用いられる。また、メタクリル酸アルキルエステルは、モノマー混合物全体の量を基準に、10〜50重量%の範囲で用いられる。ここで、第二のアクリル樹脂を構成するモノマー混合物中でメタクリル酸アルキルエステルの割合が10重量%を下回ると、第一のアクリル樹脂と混合して得られる粘着剤の耐久性が悪化しやすい。またその量が50重量%を超えると、第一のアクリル樹脂との相溶性が悪くなりやすい。
第一のアクリル樹脂及び第二のアクリル樹脂は、上記した必須のモノマーに加えて、他のモノマーが共重合されたものであってもよい。
例えば、第一のアクリル樹脂においては、アクリル酸アルキルエステル及び極性官能基を有する単量体に加え、メタクリル酸アルキルエステルを共重合させてもよい。この場合のメタクリル酸アルキルエステルの例としては、第二のアクリル樹脂において例示したものと同様のものを挙げることができる。
また、第二のアクリル樹脂においては、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルに加え、極性官能基を有する単量体を共重合させてもよい。この場合の極性官能基を有する単量体の例としては、第一のアクリル樹脂において例示したものと同様のものを挙げることができる。
さらに、第一のアクリル樹脂及び第二のアクリル樹脂において共重合され得る他のモノマーの例として、分子内に脂環式構造を含有する(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。脂環式構造とは、通常、炭素数5以上、好ましくは炭素数5〜7程度のシクロパラフィン構造である。具体的には、脂環式構造を有するアクリル酸エステルとして、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロドデシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、α−エトキシアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられ、脂環式構造を有するメタクリル酸エステルとして、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸シクロドデシル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシルフェニルなどが挙げられる。
第一のアクリル樹脂及び第二のアクリル樹脂において共重合され得るさらに別のモノマーの例として、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系化合物以外のビニルモノマー、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーなどを挙げることができる。
具体的にはスチレン系モノマーの例として、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンの如きアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲン化スチレン;さらに、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
ビニルモノマーの例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニルの如き脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニル、臭化ビニルの如きハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニリデン;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾールの如き含窒素芳香族ビニル;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンの如き共役ジエンモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルの如きシアン化ビニルなどが挙げられる。
また、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの例として、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの如き分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーなどが挙げられる。
第一のアクリル樹脂において、アクリル酸アルキルエステル及び極性官能基を有する単量体以外のモノマーを共重合させる場合、2種類以上を組み合わせて用いることもできるが、その量は通常、モノマー混合物全体の量を基準に30重量%以下、さらには20重量%以下とするのが好ましい。
また、第二のアクリル樹脂において、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル以外のモノマーを共重合させる場合にも、2種類以上を組み合わせて用いることもできるが、その量は通常、モノマー混合物全体の量を基準に30重量%以下、さらには20重量%以下とするのが好ましい。
第一のアクリル樹脂は、以上のような、アクリル酸アルキルエステルを主体とし、極性官能基を有する単量体を含むモノマー混合物を共重合させたものであるが、その重量平均分子量は100万以上、そしてガラス転移温度は−50℃以下のもので構成する。第一のアクリル樹脂において、重量平均分子量が100万を下回ると、第二のアクリル樹脂と混合して得られる粘着剤の耐久性が悪くなる傾向にある。その重量平均分子量の上限は特に限定されず、例えば300万程度であってもよい。またそのガラス転移温度が−50℃より高いと、第二のアクリル樹脂と混合して得られる粘着剤の柔軟性が乏しくなり、穴埋め性が低下しやすい。そのガラス転移温度の下限は特に限定されないが、例えば−60℃程度までで充分である。第一のアクリル樹脂として、このような条件を満たすものを複数組み合わせて用いてもよい。
一方、第二のアクリル樹脂は、上で説明したような、アクリル酸アルキルエステルを主体とし、メタクリル酸アルキルエステルを10〜50重量%含むモノマー混合物を共重合させたものであるが、その重量平均分子量は20万以下、そしてガラス転移温度は−40℃以上−10℃以下のもので構成する。第二のアクリル樹脂において、重量平均分子量が20万を超えると、第一のアクリル樹脂と混合して得られる粘着剤の穴埋め性が乏しくなる。その重量平均分子量は、通常1万以上である。また、そのガラス転移温度が−40℃を下回ると、第一のアクリル樹脂と混合して得られる粘着剤の耐久性が悪くなる傾向にあり、一方でガラス転移温度が−10℃より高いと、第一のアクリル樹脂と混合して得られる粘着剤の穴埋め性が低下する傾向にある。第二のアクリル樹脂として、このような条件を満たすものを複数組み合わせて用いてもよい。
ここで、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として測定される値である。
アクリル樹脂の製造方法としては、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などが挙げられる。アクリル樹脂の製造においては、通常、重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、アクリル樹脂の製造に用いられる全てのモノマーの合計100重量部に対して、 0.001〜5重量部程度の割合で使用される。
重合開始剤としては、光重合開始剤や熱重合開始剤などが例示される。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトンなどが挙げられる。熱重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル−2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2′−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)の如きアゾ化合物;ラウリルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシピバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドの如き有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素の如き無機過酸化物などが挙げられる。また、過酸化物と還元剤を併用したレドックス系開始剤なども、重合開始剤として使用し得る。
アクリル樹脂の製造方法としては、中でも、溶液重合法が好ましい。溶液重合法の具体例としては、所望のモノマー及び有機溶媒を混合し、窒素雰囲気下にて、熱重合開始剤を添加して、40〜90℃程度、好ましくは60〜80℃程度にて3〜10時間程度攪拌する方法などが挙げられる。また、反応を制御するために、用いるモノマーや熱重合開始剤を重合中に分割して添加したり、有機溶媒に溶解したのち添加したりしてもよい。ここで有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンの如き芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチルの如きエステル類;プロピルアルコール、イソプロピルアルコールの如き脂肪族アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンの如きケトン類などが挙げられる。
第一のアクリル樹脂と第二のアクリル樹脂との混合割合は、両者の合計量を基準に、固形分として通常、前者が50〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは50〜80重量%である。粘着剤組成物を構成するアクリル樹脂全体の量を基準に、第一のアクリル樹脂の割合が50重量%を下回ると、その粘着剤を介して光学フィルムが貼合されたガラス基板を、耐熱、耐湿熱、耐熱衝撃などの各種耐久性試験にかけたとき、剥れなどの外観不良を発生しやすくなる。一方、第一のアクリル樹脂の割合が80重量%を超えると、粘着層による穴埋め性能が徐々に低下する傾向にあり、その量が90重量%を超えると、充分な穴埋め効果が発現されにくくなる。
粘着層6の膜厚は、35μm 以下で充分であり、好ましくは10〜35μm の範囲、さらに好ましくは20〜30μm の範囲とすることができる。その膜厚を20μm 未満にしようとすると、穴埋め性が徐々に低下する傾向にあり、10μm を下回ると、充分な穴埋め効果が期待しにくくなる。
粘着層6に含まれる第一のアクリル樹脂及び第二のアクリル樹脂は、それらを混合した状態で酢酸エチルに溶解し、不揮発分濃度を20重量%に調整した溶液の25℃における粘度が、10Pa・s以下、さらには0.1〜7Pa・s の範囲にあることが好ましい。ここで粘度は、ブルックフィールド粘度計によって測定することができる。
また、粘着層6のゲル分率は、40〜90重量%の範囲にあることが好ましく、さらには45重量%以上であり、また80重量%以下、とりわけ70重量%以下であるのがより好ましい。ここでゲル分率は、以下の(I)〜(IV)に従って測定される値である。
(I)約8cm×約8cmの面積の粘着層と、約10cm×約10cmのSUS304からなる金属メッシュ(その重量をWm とする)とを貼合する。
(II)上記(I)で得られた貼合物の重量を秤量して、その重量をWs とし、次に粘着層を包み込むように4回折りたたんでホッチキス(ステープラー)で留めたのち秤量して、その重量をWb とする。
(III)ガラス容器に上記(II)でホッチキス留めしたメッシュを入れ、酢酸エチル60mlを加えて浸漬した後、このガラス容器を室温で3日間保管する。
(IV)ガラス容器からメッシュを取り出し、120℃で24時間乾燥した後、秤量して、その重量をWa とし、次式(2)に基づいてゲル分率を計算する。
ゲル分率(重量%)= [{Wa−(Wb−Ws)−Wm}/(Ws−Wm)]×100 (2)
粘着層6のゲル分率を40〜90重量%に調整するには、粘着層を構成するアクリル樹脂の種類によっても異なるが、架橋剤の量を多くすればゲル分率が高くなるので、架橋剤の量によってゲル分率を調整すればよく、具体的には、アクリル樹脂の不揮発分100重量部に対し、架橋剤を 0.1〜10重量部程度配合すればよい。
粘着層6を形成するための粘着剤に用いられる架橋剤とは、極性官能基と架橋し得る官能基を分子内に少なくとも2個有する化合物であり、具体的には、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物などが例示される。
イソシアネート系化合物は、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物であり、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらのイソシアネート化合物に、グリセロールやトリメチロールプロパンなどのポリオールを反応せしめたアダクト体や、イソシアネート化合物を二量体、三量体等にしたものも、粘着剤に用いられる架橋剤となり得る。2種以上のイソシアネート系化合物を混合して用いることもできる。
エポキシ系化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物であり、例えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。2種以上のエポキシ系化合物を混合して用いることもできる。
金属キレート化合物としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの多価金属に、アセチルアセトンやアセト酢酸エチルが配位した化合物などが挙げられる。
アジリジン系化合物は、エチレンイミンとも呼ばれる1個の窒素原子と2個の炭素原子からなる3員環の骨格を分子内に少なくとも2個有する化合物であり、例えば、ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、イソフタロイルビス−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートなどが挙げられる。
粘着層6を形成するための粘着剤組成物には、架橋剤を配合する前に、シラン系化合物を配合しておくことが好ましい。シラン系化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザン、デシルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。これらのシラン系化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
粘着剤組成物におけるシラン系化合物の使用量は、アクリル樹脂の不揮発分合計100重量部に対して、通常0.0001〜10重量部程度であり、好ましくは0.01〜5重量部の範囲で使用される。アクリル樹脂の不揮発分合計100重量部に対するシラン系化合物の量が 0.0001重量部以上であると、粘着層6とガラス基板1との密着性が向上することから好ましい。またその量が10重量部以下であると、粘着層からシラン系化合物がブリードアウトすることが抑制できることから好ましい。
粘着剤組成物には、さらに、架橋触媒、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラーなど、他の添加物が配合されていてもよい。中でも、粘着剤組成物に架橋触媒と架橋剤とを配合すれば、粘着層を短時間の熟成で調製することができ、光学フィルム5と粘着層6との間の浮きや剥れ、また粘着層6内での発泡を抑制し、しかもリワーク性に優れる場合がある。ここでリワーク性とは、光学フィルム5を粘着層6ごとガラス基板1から剥がしたとき、粘着層6がガラス基板1に残らない特性をいう。粘着層が残らなければ、新たな光学フィルムを貼る前に残った粘着剤を剥ぎ取るなどの厄介な作業が不要で、リワークしやすいことから、こう呼ばれる。
架橋触媒としては例えば、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、トリエチレンジアミン、ポリアミノ樹脂、メラミン樹脂の如きアミン系化合物などが用いられる。粘着剤組成物に架橋触媒としてアミン系化合物を用いる場合、架橋剤としてはイソシアネート系化合物が好適である。
粘着層6を形成するための粘着剤組成物としては通常、上記したような各成分を有機溶剤で希釈した状態のものが用いられる。粘着層6は、かかる粘着剤組成物を光学フィルム5上に直接塗布し、乾燥させて形成することもできるし、剥離フィルム上に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させてシート状の粘着剤とし、これを光学フィルム5に転写して形成することもできる。前者のように光学フィルム5上に直接粘着層6を形成した場合は、その粘着層6の表面に剥離フィルムを貼合し、液晶セルガラス基板1に貼り合わせるまでその粘着層の表面を仮着保護するのが通例である。光学フィルム6上又は剥離フィルム上に形成された粘着剤組成物の乾燥は、例えば、60〜120℃程度の温度で 0.5〜10分間程度加熱することにより行われる。乾燥後は、例えば、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気下であれば、5〜20日程度熟成し、架橋剤を充分反応させる。こうして光学フィルム5上に粘着層6が形成されたものから剥離フィルムを剥離して、その粘着層6を液晶セルガラス基板1に貼合すればよい。上記の熟成は、液晶セルガラス基板1に貼合した後で行ってもよい。
ここで、剥離フィルムは、粘着層6を液晶セルガラス基板1に貼り合わせるまでその表面に仮着され、粘着層表面を塵や埃などの異物から保護する役割を果たし、また剥離フィルム上に粘着剤組成物を塗布する場合は、その基材ともなるものである。剥離フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等の各種樹脂からなるフィルムを基材とし、その粘着層との接合面に、シリコーン処理等の離型処理が施されたものが挙げられる。
[液晶表示装置]
本発明の光学フィルム貼合ガラス基板は、液晶表示装置を構成する液晶パネルとして用いられる。液晶パネルの表示モードは、TN、STN、IPS(In-Plane Switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence) など、液晶表示分野において知られている各種のものであることができる。
本発明の光学フィルム貼合ガラス基板を用いた液晶パネルは、例えば、ノート型、ディスクトップ型、PDA(Personal Digital Assistance) などをはじめとするパーソナルコンピュータ用液晶ディスプレイ、液晶テレビ、車載用ディスプレイ、電子辞書、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電子卓上計算機、時計など、各種の液晶表示装置に適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す「部」及び「%」は、特に断りのない限り重量基準である。
以下の例において、アクリル樹脂溶液の固形分濃度は、 JIS K 5407 に準じた方法で測定した値である。具体的には、アクリル樹脂溶液を任意の重量でシャーレにとり、防爆オーブンにて115℃で2時間乾燥させた後に残留する成分(固形分)の重量を、最初に測りとった溶液の重量に対する割合で表した値である。重量平均分子量の測定は、GPC装置に、カラムとして東ソー(株)製の“TSK gel GMHHR-H(S)”2本を直列につないで配置し、テトラヒドロフランを溶出液として、試料濃度5mg/ml、試料導入量100μl 、温度40℃、流速1ml/分の条件で、標準ポリスチレン換算により行った。
また、アクリル樹脂のガラス転移温度は、共重合に用いた各モノマーの混合比から計算で求めた。すなわち、共重合体を構成する各モノマーをそれぞれ単独で重合させたホモポリマーのガラス転移温度は文献等により公知であって、第一モノマーのホモポリマーのガラス転移温度、第二モノマーのホモポリマーのガラス転移温度、第三モノマーのホモポリマーのガラス転移温度……(いずれも絶対温度)をそれぞれ、T1、T2、T3 ……とし、第一モノマーの重量分率、第二モノマーの重量分率、第三モノマーの重量分率……をそれぞれ、W1、W2、W3 ……とすると、共重合体のガラス転移温度Tg(絶対温度)との間に次式(3)の関係が成り立つことが知られている。この式(3)から、共重合体(アクリル樹脂)のガラス転移温度Tgを求めた。なお以下では、ガラス転移温度の表示自体は℃単位で行う。
1/Tg=W1/T1+W2/T2+W3/T3+…… (3)
〈高分子量アクリル樹脂の製造例〉
まず、本発明で規定する第一のアクリル樹脂(高分子量アクリル樹脂)を製造した例を示す。
[重合例1]
冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌機を備えた反応器に、酢酸エチル 169.8部、アクリル酸ブチル99.0部及びアクリル酸1.0部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を55℃に上げたのち、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.14部を酢酸エチル5部に溶かした溶液を全量添加した。その後、内温54〜56℃で12時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が30%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が 1,500,000、Mw/Mn が4.7であった。この樹脂のガラス転移温度は、−56℃と計算される。これをアクリル樹脂Aとする。
〈低分子量アクリル樹脂の製造例〉
次に、本発明で規定する第二のアクリル樹脂(低分子量アクリル樹脂)、及び低分子量であるが、本発明の規定を外れるアクリル樹脂を製造した例を示す。
[重合例2]
重合例1で用いたのと同じ反応器に、酢酸エチル215部、アクリル酸ブチル 45.0部、アクリル酸メチル15.62部、メタクリル酸ブチル34.36部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.781部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を75℃に上げたのち、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.67部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。その後、内温74〜76℃で8時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が30%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが 120,000、Mw/Mnが1.7であった。これをアクリル樹脂B2とする。このアクリル樹脂B2において、モノマーの合計重量を100としたときの各モノマーの割合(かっこ内)は、 アクリル酸ブチル(47)/アクリル酸メチル(16.3)/メタクリル酸ブチル(35.9)/アクリル酸2−ヒドロキシエチル(0.8)である。
[重合例3]
重合例1で用いたのと同じ反応器に、酢酸エチル361部、アクリル酸ブチル 19.0部、アクリル酸メチル6.59部、メタクリル酸ブチル14.51部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.33部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を75℃に上げたのち、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)0.81部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。 その後、内温74〜76℃で8時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が10%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が 31,000、Mw/Mnが1.3であった。これをアクリル樹脂B3とする。このアクリル樹脂B3において、モノマーの合計重量を100としたときの各モノマーの割合(かっこ内)は、 アクリル酸ブチル(47)/アクリル酸メチル(16.3)/メタクリル酸ブチル(35.9)/アクリル酸2−ヒドロキシエチル(0.8)である。
[重合例4]
重合例1で用いたのと同じ反応器に、酢酸エチル340部、アクリル酸ブチル 17.7部、メタクリル酸メチル 18.07部及びアクリル酸2−ヒドロキシエチル 0.36部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を75℃に上げたのち、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.76部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。その後、内温74〜76℃で8時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が10%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が 34,000、Mw/Mn が1.04 であった。これをアクリル樹脂B4とする。このアクリル樹脂B4において、モノマーの合計重量を100としたときの各モノマーの割合(かっこ内)は、アクリル酸ブチル(49)/メタクリル酸メチル(50)/アクリル酸2−ヒドロキシエチル(1)である。
[重合例5]
重合例1で用いたのと同じ反応器に、酢酸エチル304部、アクリル酸ブチル 8.6部及びアクリル酸2−エチルヘキシル 25.9部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を75℃に上げたのち、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.35部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。その後、内温74〜76℃で8時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が10%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwが 16,000、Mw/Mn が2.8であった。これをアクリル樹脂B5とする。このアクリル樹脂B5において、モノマーの合計重量を100としたときの各モノマーの割合(かっこ内)は、アクリル酸ブチル(25)/アクリル酸2−エチルヘキシル(75)である。
[重合例6]
重合例1で用いたのと同じ反応器に、酢酸エチル179部、アクリル酸ブチル 94.3部及びアクリル酸2−エチルヘキシル 31.4部の混合溶液を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換して酸素不含としながら内温を75℃に上げたのち、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.13部を酢酸エチル10部に溶かした溶液を全量添加した。その後、内温74〜76℃で8時間保温し、最後に酢酸エチルを添加して、アクリル樹脂の濃度が40%となるように調節した。得られたアクリル樹脂は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mw が 363,000、Mw/Mn が7.4であった。これをアクリル樹脂B6とする。このアクリル樹脂B6において、モノマーの合計重量を100としたときの各モノマーの割合(かっこ内)は、アクリル酸ブチル(75)/アクリル酸2−エチルヘキシル(25)である。
以上の重合例2〜6で得られた低分子量アクリル樹脂(第二のアクリル樹脂)のモノマー組成、重量平均分子量(Mw )、及びガラス転移温度(Tg、前記式(3)により計算した値)を表1にまとめた。なお、表1において、モノマーを表す記号は、それぞれ次のとおりの意味である。
BA :アクリル酸ブチル、
MA :アクリル酸メチル、
BMA :メタクリル酸ブチル、
HEA :アクリル酸2−ヒドロキシエチル、
MMA :メタクリル酸メチル、
2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル。
Figure 2009237037
[実施例1〜4及び比較例1〜3]
次に、以上の重合例で得られた高分子量アクリル樹脂及び低分子量アクリル樹脂を用いて、粘着剤を製造し、さらにその粘着剤を光学フィルムとガラス基板の貼合に適用した例を示す。以下の例では、架橋剤及びシラン化合物として、それぞれ次のものを用いた(いずれも商品名)。
架橋剤
コロネートL:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の酢酸エチル溶液(固形分濃度75%)、日本ポリウレタン工業(株)から入手。
シラン化合物
X-41-1805 :メルカプト基を有するシランオリゴマー(液体)、信越化学工業(株)から入手。
(a)粘着剤の調製
高分子量アクリル樹脂及び低分子量アクリル樹脂を、表2に示す重量比率で混合し、アクリル樹脂組成物の酢酸エチル溶液を得た。得られた溶液の固形分100部に対し、架橋剤を表2に示す量(固形分で2.0部、2.3部又は2.5部)、及びシラン化合物を0.1部混合して、粘着剤組成物を調製した。
さらに、それぞれの粘着剤組成物を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム〔リンテック(株)から入手した“PET 3811”(商品名):以下、「剥離フィルム」とする〕の離型処理面に、アプリケーターを用いて乾燥後の膜厚が表1に示す値となるように塗布し、90℃で1分間乾燥して、シート状の粘着剤を得た。得られたシート状の粘着剤について、室温で7日間保存した後のゲル分率を前記した方法で測定し、その結果を併せて表2に示した。
Figure 2009237037
(b)光学フィルム貼合ガラス基板の作製
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している偏光子フィルムの両面をトリアセチルセルロースからなる保護フィルムで挟んだ3層構造からなる偏光板の一方の保護フィルム上に、(a)で得たシート状粘着剤を、当該粘着剤側(剥離フィルムとは反対側)で貼り合わせ、ラミネーターによって圧着した。次に、温度23℃、相対湿度65%の条件で10日間熟成させ、偏光板の片面に粘着層を設けた粘着剤付き偏光板を作製した。
一方、液晶セル用ガラス基板〔コーニング社製の“1737”(商品名)〕であって、表面に深さ約15μm 、幅約230μm の凹部が9個形成されている基板を複数枚用意した。このガラス基板の凹部が形成されている面に、上で作製した粘着剤付き偏光板から剥離フィルムを除去したものをその粘着層側で貼合し、温度50℃、圧力5気圧の条件で20分間のオートクレーブ処理を施して、光学フィルム貼合ガラス基板を得た。実験は、各例毎に試料数(n)を3とし、1枚のガラス基板上の凹部3ヶ所に、ある一つの例の粘着剤付き偏光板3枚をそれぞれ貼り、別の3ヶ所には別の例の粘着剤付き偏光板3枚をそれぞれ貼り、そして残り3ヶ所にはさらに別の例の粘着剤付き偏光板3枚をそれぞれ貼るようにして行った。
(c)光学フィルム貼合ガラス基板の評価その1:穴埋め状態の評価
(b)で得られた光学フィルム貼合ガラス基板を基板側から光学顕微鏡で観察し、もとのガラス基板に形成されている凹部に起因して残存している空隙のサイズ(幅)を、n=3の平均値として求めた。そして、もとのガラス基板に形成されている凹部の幅(直径)と、粘着剤付き偏光板貼合後に残存している空隙の幅(直径)から、それぞれの投影面積を求め、次式(4)及び(5)により穴埋め率及び空隙面積比を求めた。
Figure 2009237037
なお、各式における凹部又は空隙の投影面積は、前述のとおり、観察される最大幅を円の直径とみなし、次式(6)により円の面積として計算した値である。
投影面積=π×(直径/2)2 (6)
そして、ガラス基板表面の凹部が粘着層で埋められた状態(穴埋め状態)を以下の4段階で評価し、結果を表3に示した。
〈穴埋め状態の評価基準〉
◎:穴埋め率100%(空隙面積比0%)。
○:穴埋め率80%以上100%未満(空隙面積比0%を超え、20%以下)。
△:穴埋め率50%以上80%未満(空隙面積比20%を超え、50%以下)。
×:穴埋め率50%未満(空隙面積比50%超)。
(d)光学フィルム貼合ガラス基板の評価その2:耐久性試験
(b)で得られた光学フィルム貼合ガラス基板を、温度95℃の乾燥条件下で120時間保管する耐熱性試験を行った場合と、−40℃に降温して30分保持した後、85℃に昇温して30分保持する過程を1サイクル(1時間)とし、これを50サイクル繰り返す耐熱衝撃性試験を行った場合のそれぞれについて、光学フィルム貼合ガラス基板の状態を目視で観察した。結果を以下の4段階に分類し、表3にまとめた。
〈耐久性の評価基準〉
◎:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が全くみられない。
○:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がほとんどみられない。
△:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がやや目立つ。
×:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が顕著に認められる。
表3には、組成上の変数である低分子量アクリル樹脂(第二のアクリル樹脂)の重量平均分子量(Mw )及びガラス転移温度(Tg)、並びに粘着層の膜厚も併せて示した。
Figure 2009237037
本発明の光学フィルム貼合ガラス基板は、液晶セルガラス基板に粘着層を介して光学フィルムが積層されたものであって、研磨等により発生するガラス基板上の凹部が良好に埋められ、輝点等の問題が少なく、かつ、高温にさらされたり、加熱・冷却を繰り返したりしても、浮き、剥れ、発泡、曇りなどの外観変化が生じず、耐久性に優れている。また、粘着層の厚みは25μm前後ないし30μm前後と、従来どおりでよい。したがって、この光学フィルム貼合ガラス基板は、小型、軽量、薄型を目指す液晶表示装置に好適に用いられる。
(A)は表面に凹部を有するガラス基板の拡大断面模式図、(B)は当該表面に粘着層を介して光学フィルムを積層した状態を示す拡大断面模式図である。
符号の説明
1……ガラス基板、
2,3,4……凹部、
2a,4a……凹部を粘着層で埋めた後に残る空隙、
5……光学フィルム、
6……粘着層、
10……光学フィルム貼合ガラス基板。

Claims (9)

  1. 液晶セルガラス基板に粘着層を介して光学フィルムが積層されてなる光学フィルム貼合ガラス基板であって、
    前記ガラス基板は、前記光学フィルムが積層される表面に、深さが15μm 以下で基板を法線方向から見たときの幅が250μm 以下のサイズの凹部を有し、
    前記粘着層は、
    (A)アクリル酸アルキルエステルを主体とし、極性官能基を有する単量体を含むモノマー混合物から得られる共重合体であって、重量平均分子量が100万以上でガラス転移温度が−50℃以下である第一のアクリル樹脂、及び
    (B)アクリル酸アルキルエステルを主体とし、メタクリル酸アルキルエステルを10〜50重量%含むモノマー混合物から得られる共重合体であって、重量平均分子量が20万以下でガラス転移温度が−40℃以上−10℃以下である第二のアクリル樹脂
    を含む粘着剤組成物から形成されており、
    前記ガラス基板表面の凹部が前記粘着層で埋められ、該粘着層で埋まりきらずに空隙として残る場合でも、基板を法線方向から見たときの該空隙の投影面積が光学フィルム貼合前の凹部の最大投影面積に比べて20%以下となっていることを特徴とする光学フィルム貼合ガラス基板。
  2. ガラス基板表面の凹部が事実上全て粘着層で埋められている請求項1に記載の光学フィルム貼合ガラス基板。
  3. 第一のアクリル樹脂を構成する極性官能基は、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基及び複素環基からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の光学フィルム貼合ガラス基板。
  4. 粘着層は、第一のアクリル樹脂と第二のアクリル樹脂の合計量を基準に、第一のアクリル樹脂を50〜90重量%の割合で含む粘着剤組成物から形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム貼合ガラス基板。
  5. 粘着層は、その膜厚が35μm 以下である請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム貼合ガラス基板。
  6. 粘着層は、そのゲル分率が40〜90重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム貼合ガラス基板。
  7. 粘着層を形成する粘着剤組成物は、さらに架橋剤を含む請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム貼合ガラス基板。
  8. 架橋剤は、イソシアネート系化合物である請求項7に記載の光学フィルム貼合ガラス基板。
  9. 粘着層を形成する粘着剤組成物は、さらにシラン系化合物を含む請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム貼合ガラス基板。
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