JP2009230131A - 偏光フィルムの製造方法、偏光板および光学積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温条件下においても光学耐久性に優れた偏光フィルムの製造方法を提供することであり、またこの偏光フィルムを用いてなる偏光板および光学積層体を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系フィルムを、二色性色素により染色処理し、その後ホウ酸により架橋処理する偏光フィルムを製造する方法であって、架橋処理がホウ酸水溶液中で、ホウ酸水溶液のpHを4以下に調整して行われる。偏光板は、上述の方法で得られた偏光フィルムに保護フィルムを貼合して製造される。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリビニルアルコール系フィルムを、二色性色素により染色処理し、その後ホウ酸により架橋処理する偏光フィルムを製造する方法であって、架橋処理がホウ酸水溶液中で、ホウ酸水溶液のpHを4以下に調整して行われる。偏光板は、上述の方法で得られた偏光フィルムに保護フィルムを貼合して製造される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高温条件下、特に乾熱条件下の光学耐久性に優れた偏光フィルムの製造方法、この方法で得られる偏光フィルムを用いた偏光板、さらに該偏光板を用いた光学積層体に関する。
偏光フィルムとしては、従来から、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性色素を吸着配向させたものが用いられている。すなわち、ヨウ素を二色性色素とするヨウ素系偏光フィルムや、二色性染料を二色性色素とする染料系偏光フィルムなどが知られている。これらの偏光フィルムの少なくとも片面、好ましくは両面に、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介してトリアセチルセルロース等の保護フィルムを貼合して、偏光板とされる。
偏光フィルムの製造方法として、例えば特許文献1には、ポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して膨潤させた後(膨潤処理)、前記二色性色素で染色し(染色処理)、これを延伸し(延伸処理)、ついでヨウ素をフィルムに定着させるためにポリビニルアルコール系フィルムを、架橋処理槽においてホウ酸処理(すなわち架橋による耐水化処理)し、水洗した後、乾燥する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の偏光フィルムでは、高温条件下、特に乾熱条件下でその光学耐久性が低下するという問題があった。
本発明の主たる課題は、高温条件下においても光学耐久性に優れた偏光フィルムの製造方法を提供することであり、またこの偏光フィルムを用いてなる偏光板および光学積層体を提供することである。
本発明の主たる課題は、高温条件下においても光学耐久性に優れた偏光フィルムの製造方法を提供することであり、またこの偏光フィルムを用いてなる偏光板および光学積層体を提供することである。
本発明は以下の記載に関係する。
(1)ポリビニルアルコール系フィルムを、二色性色素により染色処理し、その後ホウ酸により架橋処理する偏光フィルムを製造する方法であって、架橋処理がホウ酸水溶液中で、ホウ酸水溶液のpHを4以下に調整して行われる方法。
(2)架橋処理におけるホウ酸水溶液中のホウ酸の濃度が水100重量部に対して4重量部以上6重量部以下である(1)に記載の方法。
(3)ホウ酸水溶液を連続的または断続的に活性炭処理しながら架橋処理が行われる(1)または(2)に記載の方法。
(4)架橋処理が処理槽中で行われ、活性炭処理が、ホウ酸水溶液の一部を処理槽から抜き出し、抜き出したホウ酸含有水溶液の一部または全部を活性炭に接触させ、該活性炭接触液を含むホウ酸水溶液を処理槽に戻すことにより行われる(3)に記載の方法。
(5)架橋処理におけるホウ酸水溶液のpHの調整が、酸の添加により行われる(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)添加される酸が無機酸である(5)に記載の方法。
(7)無機酸が硫酸または塩酸である(6)に記載の方法。
(1)ポリビニルアルコール系フィルムを、二色性色素により染色処理し、その後ホウ酸により架橋処理する偏光フィルムを製造する方法であって、架橋処理がホウ酸水溶液中で、ホウ酸水溶液のpHを4以下に調整して行われる方法。
(2)架橋処理におけるホウ酸水溶液中のホウ酸の濃度が水100重量部に対して4重量部以上6重量部以下である(1)に記載の方法。
(3)ホウ酸水溶液を連続的または断続的に活性炭処理しながら架橋処理が行われる(1)または(2)に記載の方法。
(4)架橋処理が処理槽中で行われ、活性炭処理が、ホウ酸水溶液の一部を処理槽から抜き出し、抜き出したホウ酸含有水溶液の一部または全部を活性炭に接触させ、該活性炭接触液を含むホウ酸水溶液を処理槽に戻すことにより行われる(3)に記載の方法。
(5)架橋処理におけるホウ酸水溶液のpHの調整が、酸の添加により行われる(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)添加される酸が無機酸である(5)に記載の方法。
(7)無機酸が硫酸または塩酸である(6)に記載の方法。
(8)ポリビニルアルコール系フィルムを二色性色素により染色処理し、その後pHを4以下に調整したホウ酸水溶液により架橋処理することにより得られる偏光フィルムと、該偏光フィルムに貼合された保護フィルムからなる偏光板。
(9)保護フィルムが、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角改良フィルムおよび半透過反射フィルムから選ばれるいずれかの機能を備えるフィルムである(8)に記載の偏光板。
(9)保護フィルムが、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角改良フィルムおよび半透過反射フィルムから選ばれるいずれかの機能を備えるフィルムである(8)に記載の偏光板。
(10)ポリビニルアルコール系フィルムを二色性色素により染色処理し、その後pHを4以下に調整したホウ酸水溶液により架橋処理することにより得られる偏光フィルムに、保護フィルムを貼合してなる偏光板と、該偏光板に貼合された位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角改良フィルムおよび半透過反射フィルムから選ばれる少なくとも1種のフィルムからなる光学積層体。
本発明によれば、高温条件下、特に乾熱条件下で光学耐久性に優れた偏光フィルムが得られるという効果がある。
また、得られた偏光フィルムを用いて得られる偏光板や光学積層体を液晶表示装置に使用することによって、薄型で高品位の液晶表示装置が得られる。
また、得られた偏光フィルムを用いて得られる偏光板や光学積層体を液晶表示装置に使用することによって、薄型で高品位の液晶表示装置が得られる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
この実施形態にかかる偏光板は、偏光フィルムの原反フィルムとして有用なポリビニルアルコール系フィルムなどのフィルムを、膨潤処理、二色性色素による染色処理、架橋処理槽内におけるホウ酸による架橋処理、水洗処理および乾燥処理して偏光フィルムを作製する工程と、その後前記工程により得られる偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤を用いて保護フィルムを貼合する工程とによって製造される。
この実施形態にかかる偏光板は、偏光フィルムの原反フィルムとして有用なポリビニルアルコール系フィルムなどのフィルムを、膨潤処理、二色性色素による染色処理、架橋処理槽内におけるホウ酸による架橋処理、水洗処理および乾燥処理して偏光フィルムを作製する工程と、その後前記工程により得られる偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤を用いて保護フィルムを貼合する工程とによって製造される。
本発明におけるポリビニルアルコール系フィルムを形成するポリビニルアルコール系樹脂の例は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化した樹脂を含む。ケン化度としては、通常85モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは99モル%〜100モル%である。ポリ酢酸ビニル系樹脂の例は、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルや、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体を含む。酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体の例は、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを含む。共重合可能な他の単量体の例は、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などを含む。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000〜10000、好ましくは1500〜5000程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂は変性された樹脂も含み、該変性樹脂の例は、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどを含む。通常、偏光フィルム製造の開始材料として、厚さが20μm〜100μm、好ましくは30μm〜80μmのポリビニルアルコール系樹脂フィルムの未延伸フィルムを用いることができる。工業的には、フィルムの幅は1500mm〜4000mmが実用的である。この未延伸フィルムを、膨潤処理、延伸処理、染色処理、ホウ酸処理、水洗処理し、最後に乾燥して得られるポリビニルアルコール系偏光フィルムの厚みは、例えば約5〜50μm程度である。
膨潤処理は、フィルム表面の異物除去、フィルム中の可塑剤除去、次処理での易染色性の付与、フィルムの可塑化などの目的で、未延伸の原反フィルムを水に浸漬することにより行われる。処理条件はこれらの目的が達成できる範囲で、かつ原反フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。例えば10℃〜50℃、好ましくは20℃〜40℃の水に、未延伸の原反フィルムを浸漬することにより行われる。フィルムの浸漬時間は、30秒〜300秒、更に好ましくは60秒〜240秒程度である。
膨潤処理において、フィルムが幅方向に膨潤してフィルムにシワが入るなどの問題が生じやすいので、エキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバー、テンタークリップなど公知の拡幅装置でフィルムのシワを取りつつフィルムを水浴中で搬送することが好ましい。水浴中のフィルム搬送を安定化させる目的で、水浴中での水流を水中シャワーで制御したり、EPC装置(Edge Position Controle装置:フィルムの端部を検出し、フィルムの蛇行を防止する装置)などを併用したりすることも有用である。膨潤処理では、フィルムの走行方向にもフィルムが膨潤拡大するので、搬送方向のフィルムのたるみを無くすために、例えば水浴前後の搬送ロールの速度をコントロールするなどの手段を講ずることが好ましい。また、使用する膨潤処理のための水としては、純水の他、ホウ酸(特開平10−153709号公報に記載)、塩化物(特開平06−281816号公報に記載)、無機酸、無機塩、水溶性有機溶媒、アルコール類などを0.01重量%〜10重量%の範囲で含む水溶液も使用可能であるが、水が好ましい。
膨潤処理後、ポリビニルアルコール系フィルムを湿式延伸処理する。この延伸処理では、水100重量部に対し、通常ホウ酸0.01〜2重量部を含む水溶液中でフィルムを1.1倍以上3倍未満の延伸倍率で一軸延伸する。この湿式延伸処理での延伸倍率が上記範囲を外れる場合は染色ムラを低減できなかったり、最終の偏光フィルムの光学特性が十分でなくなったりする。また、湿式延伸処理は1つのホウ酸水溶液浴中で行うだけでなく、複数の浴を用いた複数段階で連続的に行ってもよいが、その場合でも積算延伸倍率1.1倍以上3倍未満の範囲であるようにするのがよい。
延伸方法としては、例えばホウ酸水溶液浴の前後に設けたニップロールの周速に差をつけてフィルムを延伸するロール間延伸法が好適に採用されるが、これに限定されるものではなく、従来から知られている各種延伸法が採用可能である。
この湿式延伸処理で使用されるホウ酸水溶液は、水100重量部に対し通常ホウ酸0.01〜2重量部を含む水溶液であるが、このようなホウ酸水溶液を使用することにより、シワが入りにくいという利点もある。また、湿式延伸処理で使用されるホウ酸水溶液の温度は10℃〜40℃であるのが好ましい。ホウ酸水溶液の温度を10℃より低い温度に保持するためには、温度制御に大規模な冷却設備が必要となるので不経済であり、40℃を超えると原反フィルムが溶解するおそれがある。
延伸処理後、フィルムの染色処理が行われる。通常の二色性色素による染色処理は、フィルムに二色性色素を吸着、配向させるなどの目的で、フィルムを二色性色素の水溶液中で浸漬することにより行われる。処理条件はこれらの目的が達成できる範囲で、かつ基材フィルムの極端な溶解、失透などの不具合が生じない範囲で決定される。二色性色素としてヨウ素を用いる場合、延伸処理したフィルムに、例えば10℃〜45℃、好ましくは20℃〜35℃の温度で、かつ重量比でヨウ素/KI/水=0.003〜0.2/0.1〜10/100の濃度の水溶液で30〜600秒、好ましくは60〜300秒、浸漬処理が施される。ヨウ化カリウムに代えて、他のヨウ化物、例えばヨウ化亜鉛などを用いてもよい。また他のヨウ化物をヨウ化カリウムと併用しても良い。また、ヨウ化物以外の化合物、例えばホウ酸、塩化亜鉛、塩化コバルトなどを共存させてもよい。ホウ酸を添加する場合、染色処理用水溶液はヨウ素を含む点で後述する架橋処理用水溶液と区別される。ホウ酸を含む場合でも、水100重量部に対し、ヨウ素を0.003重量部以上含んでいる水溶液であれば染色処理用の二色性色素の水溶液とすることができる。
二色性色素として水溶性二色性染料を用いる場合、延伸処理したフィルムに、例えば20℃〜80℃、好ましくは30℃〜70℃の温度で、かつ重量比で二色性染料/水=0.001〜0.1/100の濃度の水溶液で30〜600秒、好ましくは60〜300秒浸漬処理が施される。使用する二色性染料の水溶液は、染色助剤などを含有していてもよく、例えば硫酸ナトリウムなどの無機塩、界面活性剤などを含有していてもよい。それぞれの二色性染料は単独で、あるいは別の1種以上と組み合わせて用いることもできる。
また、膨潤処理と同様に、エキスパンダーロール、スパイラルロール、クラウンロール、クロスガイダー、ベンドバーなどを、二色性色素の水溶液浴中および/または浴出入り口に設置することもできる。
染色処理後、ホウ酸水溶液による架橋処理が行われる。具体的には、水100重量部に対して通常ホウ酸を6重量部以下、好ましくは4〜6重量部含有する架橋処理槽中の水溶液に、染色処理したポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われる。二色性色素がヨウ素の場合、ヨウ化物を15重量部以下、好ましくは、15〜7重量部含有させるのがよい。ヨウ化物としてはヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。
染色処理後、ホウ酸水溶液による架橋処理が行われる。具体的には、水100重量部に対して通常ホウ酸を6重量部以下、好ましくは4〜6重量部含有する架橋処理槽中の水溶液に、染色処理したポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われる。二色性色素がヨウ素の場合、ヨウ化物を15重量部以下、好ましくは、15〜7重量部含有させるのがよい。ヨウ化物としてはヨウ化カリウム、ヨウ化亜鉛などが挙げられる。
この架橋処理は、架橋による耐水化や色相調整(青味がかるのを防止する等)等のために実施される。架橋による耐水化が主目的の場合には、必要に応じて、ホウ酸と共に、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどの架橋剤を併用してもよい。
架橋処理において、ホウ酸水溶液を比較的長期間使用する場合には、偏光フィルムの偏光度低下が生じる場合がある。これを防止するために、使用するホウ酸水溶液の少なくとも一部を活性炭と接触させる処理を行うことが好ましい。
活性炭処理は、ヨウ素を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルムの架橋処理の間、連続的または断続的に行うのが好ましい。活性炭処理を行いながら架橋処理を行うには、例えば、架橋処理槽からポンプなどを用いてホウ酸含有水溶液の一部を抜き出し、これを活性炭充填塔に通した後、架橋槽に戻せばよい。架橋処理を複数の架橋処理槽を用いて複数回に分けて実施することができ、その場合、各々の処理槽または各々の抜き出したホウ酸水溶液タンク中で、該水溶液の活性炭処理を行うことが好ましい。その際、活性炭中の灰分の溶出により架橋処理槽内のホウ酸水溶液のpHが上昇する場合がある。架橋処理槽内のホウ酸水溶液のpHの上昇は、得られる偏光フィルムの高温条件下における光学耐久性を低下させることとなる。
そこで、架橋処理槽内のホウ酸水溶液のpHをpHメータ等で監視し、pHを4以下、好ましくはpH3.5以下に維持するように調整すればよい。
架橋処理において、ホウ酸の濃度は前記した如く水100重量部に対し通常6重量部以下とされるので、架橋処理槽中のホウ酸水溶液のpHの調整は、ホウ酸以外の酸の添加により行うことが好ましい。添加する酸の例は、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、過塩素酸などの無機酸や、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸等を含む。好ましくは硫酸及び塩酸である。
なお、この架橋処理は、その主な目的によって、ホウ酸およびヨウ化物の濃度、処理浴の温度を適宜変更して行なうことができるが、通常は下記の条件で実施される。
なお、この架橋処理は、その主な目的によって、ホウ酸およびヨウ化物の濃度、処理浴の温度を適宜変更して行なうことができるが、通常は下記の条件で実施される。
原反フィルムを膨潤、染色、架橋処理をする場合で、架橋処理が架橋による耐水化を主目的としている時は、水100重量部に対してホウ酸を通常約3〜6重量部、ヨウ化物を通常約1〜20重量部含有するホウ酸水溶液が使用され、処理温度は、通常50℃〜70℃、好ましくは55℃〜65℃で、浸漬時間は、通常30〜600秒程度、好ましくは60〜420秒、より好ましくは90〜300秒で行われる。
耐水化を主目的とする架橋処理後、色相調整を主目的とする架橋処理を行っても良い。例えば二色性染料がヨウ素の場合、この目的のためには、水100重量部に対してホウ酸を通常約1〜5重量部、ヨウ化物を通常約3〜30重量部含有するホウ酸水溶液を使用し、処理温度は、通常10℃〜45℃で、浸漬時間は、通常3〜300秒程度、好ましくは10〜240秒で行われる。
色相調整を主目的とする架橋処理は、耐水化を主目的とする架橋処理に比べて、通常、低いホウ酸濃度、高いヨウ化物濃度、低い温度で行なわれる。
架橋処理は複数回に分けて行っても良く、2〜5回に分けて行われることも多い。この場合、使用する各架橋処理槽の水溶液組成、温度は同じであっても、異なっていてもよい。上記耐水化を主目的とする架橋処理、色相調整を主目的とする架橋処理をそれぞれ複数に分けて行っても良い。各回それぞれの架橋処理槽内のホウ酸水溶液のpHを4以下に調整することが必要である。
架橋処理は複数回に分けて行っても良く、2〜5回に分けて行われることも多い。この場合、使用する各架橋処理槽の水溶液組成、温度は同じであっても、異なっていてもよい。上記耐水化を主目的とする架橋処理、色相調整を主目的とする架橋処理をそれぞれ複数に分けて行っても良い。各回それぞれの架橋処理槽内のホウ酸水溶液のpHを4以下に調整することが必要である。
架橋処理においても、染色処理と同様にフィルムの延伸を行ってもよい。延伸を行う場合、原反フィルム(未延伸フィルム)に対する最終的な積算延伸倍率は、通常約4.5〜7倍、好ましくは5〜6.5倍である。
架橋処理後、水洗処理される。水洗処理は、例えば、架橋処理したポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬、水をシャワーとして噴霧、あるいは浸漬と噴霧を併用することによって行われる。水洗処理における水の温度は、通常2〜40℃程度であり、浸漬時間は通常2〜120秒程度である。水洗後の乾燥は、例えば、乾燥炉中で、約40〜100℃で、約60〜600秒行われる。
このようにして製造された偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムを接着剤で貼合して偏光板が得られる。
このようにして製造された偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムを接着剤で貼合して偏光板が得られる。
偏光フィルムの片面または両面に積層される保護フィルムは、両面に積層される場合、その目的に応じて同じ種類でも異なる種類でもよい。異なる種類の保護フィルムを使用する場合、保護フィルムの一方の例は、非晶性ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、ポリサルホン系樹脂フィルム、脂環式ポリイミド系樹脂フィルムなどの透湿度の低い樹脂フィルムなどを含む。非晶性ポリオレフィン系樹脂フィルムの例は、ドイツのティコナ(Ticona)社製の「トパス」(商標登録)、ジェイエスアール(株)社製の「アートン」(商標登録)、日本ゼオン(株)社製の「ゼオノア(ZEONOR)」や「ゼオネックス(ZEONEX)」(いずれも商標登録)、三井化学(株)社製の「アペル」(商標登録)などを含む。
保護フィルムの他方の例は、これらのフィルムのほか、トリアセチルセルロースフィルムやジアセチルセルロースフィルムなどのセルロースアセテート系樹脂フィルムを含む。
トリアセチルセルロースフィルムの例は、富士写真フィルム(株)社製の「フジタックTD80」、「フジタックTD80UF」及び「フジタックTD80UZ」、コニカ(株)社製の「KC8UX2M」及び「KC8UY」などを含む。
トリアセチルセルロースフィルムの例は、富士写真フィルム(株)社製の「フジタックTD80」、「フジタックTD80UF」及び「フジタックTD80UZ」、コニカ(株)社製の「KC8UX2M」及び「KC8UY」などを含む。
保護フィルムへの接着剤の塗工方法は特に限定されないが、例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。また、保護フィルムは、偏光フィルムへの貼合に先立って、貼合面に、ケン化処理、コロナ処理、プライマー処理、アンカーコーティング処理などの易接着処理が施されてもよい。また、保護フィルムの偏光フィルムへの貼合面と反対側の表面には、ハードコート層、反射防止層、防眩層などの各種処理層を有していてもよい。
保護フィルムの厚みは薄いものが好ましいが、薄すぎると、強度が低下し、加工性に劣るものとなり、一方、厚すぎると、透明性が低下したり、積層後に必要な養生時間が長くなったりするなどの問題が生じる。従って、保護フィルムの適当な厚みは、例えば5〜200μm程度であり、好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜100μmである。
接着剤と偏光フィルムとの接着性を向上させるために、偏光フィルムに、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射、プライマー塗布処理、ケン化処理などの表面処理を施してもよい。
保護フィルムには、アンチグレア処理、アンチリフレクション処理、ハードコート処理、帯電防止処理、防汚処理などの表面処理が単独或いは組み合わせて施されていても良い。また、保護フィルムおよび/又は保護フィルムの表面処理層はベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物などの紫外線吸収剤や、フェニルホスフェート系化合物、フタル酸エステル化合物などの可塑剤を含有していても良い。かかる保護フィルムは、偏光フィルムの片面に貼合されてもよいし、両面に貼合されてもよい。
偏光フィルムと保護フィルムとは、水溶媒系接着剤、有機溶媒系接着剤、ホットメルト系接着剤、UV硬化系接着剤、無溶剤系接着剤などの接着剤を用いて積層される。水溶媒系接着剤の例は、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などを含み、有機溶媒系接着剤の例は、二液型ウレタン系接着剤などを含み、UV硬化系接着剤の例は、水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などの分子内に芳香環を含まないエポキシ樹脂接着剤などを含み、無溶剤系接着剤の例は、一液型ウレタン系接着剤などを含む。偏光フィルムとの接着面がケン化処理などで親水化処理されたアセチルセルロース系フィルムを保護フィルムとして用いる場合、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液が接着剤として好適に用いられる。
接着剤として用いるポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。この接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物などを添加して用いても良い。また、接着剤として用いる分子内に芳香環を含まないエポキシ樹脂接着剤は、重合開始剤、例えば活性エネルギー線照射で重合させるための光カチオン重合開始剤、加熱によって重合させるための熱カチオン重合開始剤、さらに他の添加剤(増感剤など)を添加して用いても良い。
偏光フィルムと保護フィルムとを貼合する方法は特に限定されるものではなく、例えば偏光フィルム又は保護フィルムの表面に接着剤を均一に塗布し、塗布面にもう一方のフィルムを重ねてロール等により貼合し、乾燥する方法などが挙げられる。
接着剤は、調製後、通常15〜40℃の温度下で塗布され、貼合温度は、通常15〜30℃程度の範囲である。貼合後は乾燥処理を行って、接着剤中に含まれる水などの溶剤を除去する。この際の乾燥温度は、通常30〜85℃、好ましくは40〜80℃の範囲である。その後、15〜85℃、好ましくは20〜50℃、より好ましくは35〜45℃の温度環境下で、通常1〜90日間程度養生して接着剤を硬化させてもよい。この養生期間が長いと生産性が悪くなるため、養生期間は、好ましくは1〜30日間程度、さらに好ましくは1〜7日間である。かくして、接着剤層を介して偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムが貼合された偏光板が得られる。
本発明においては、保護フィルムに、位相差フィルム機能、輝度向上フィルム機能、反射フィルム機能、半透過反射フィルム機能、拡散フィルム機能、光学補償フィルム機能など、光学的機能を持たせることもできる。この場合、例えば保護フィルムの表面に、位相差フィルム、輝度向上フィルム、反射フィルム、半透過反射フィルム、拡散フィルム、光学補償フィルムなどの光学機能性フィルムを積層することにより、このような機能を持たせることができる。そのほか、保護フィルム自体にこのような機能を付与することもできる。また、輝度向上フィルム機能を持った拡散フィルムなどのように複数の機能を保護フィルム自体に持たせてもよい。
例えば、上記の保護フィルムに、特許第2841377号公報、特許第3094113号公報などに記載の延伸処理を施したり、特許第3168850号公報などに記載された処理を施したりすることにより、位相差フィルムとしての機能を付与することができる。
また、上記の保護フィルムに、特開2002−169025号公報や特開2003−29030号公報に記載されるような方法で微細孔を形成することにより、また選択反射の中心波長が異なる2層以上のコレステリック液晶層を重畳することにより、輝度向上フィルム機能を付与することができる。上記の保護フィルムに蒸着やスパッタリングなどで金属薄膜を形成することにより、反射フィルム機能又は半透過反射フィルム機能を付与することができる。上記の保護フィルムに微粒子を含む樹脂溶液をコーティングすることにより、拡散フィルム機能を付与することができる。また、上記の保護フィルムにディスコティック液晶性化合物などの液晶性化合物をコーティングして配向させることにより、光学補償フィルム機能を付与することができる。また、適当な接着剤を用いて、商品名:DBEF(スリーエム(株)製)などの輝度向上フィルム、商品名:WVフィルム(富士写真フィルム(株)製)などの視野角改良フィルム、商品名:スミカライト(商標登録)(住友化学(株) 製)などの位相差フィルム、などの市販の光学機能性フィルムを偏光フィルムに直接貼合しても良い。
また、少なくとも片面に保護フィルムを貼合した前記偏光板と、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角改良フィルムおよび半透過反射板から選ばれる少なくとも1種とを貼合することによって、光学積層体を製造することができる。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(クラレビニロンVF−PS#7500、重合度2400、ケン化度99.9モル%以上)を純水に、フィルムが弛まないように緊張状態を保ったままおよそ60秒間浸漬し、フィルムを十分に膨潤させた。次に、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水が重量比で0.04/1.5/100の水溶液に98秒間フィルムを浸漬して染色した。次に、ホウ酸5.0重量部およびヨウ化カリウム12重量部を含有した温度54.5℃の水溶液(pH約3.85)に対して、硫酸を用いてpHを約2.5に調整した後、この水溶液中で約55秒間、染色したフィルムを延伸して(延伸倍率1.89倍)、ホウ酸を吸着、架橋させた後、純水で洗浄し、乾燥させて偏光フィルムを得た。ついで、この偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、保護フィルム(表面にケン化処理を施したトリアセチルセルロースフィルム(厚み80μm)を両面に貼合して偏光板とした。
ホウ酸5.0重量部およびヨウ化カリウム12重量部を含有した水溶液(pH約3.85)に対して、濃硫酸溶液を用いてpHを約3.5に調整した以外は、実施例1と同様にして、ホウ酸を吸着、架橋させた偏光フィルムを得た。ついで、この偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、実施例1と同じ保護フィルムを両面に貼合して偏光板とした。
ホウ酸5.0重量部およびヨウ化カリウム12重量部を含有した水溶液(pH約3.85)に対して、濃塩酸を用いてpHを約3.5に調整する以外は、実施例1と同様にして、ホウ酸を吸着、架橋させた偏光フィルムを得る。ついで、この偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、実施例1と同じ保護フィルムを両面に貼合することにより偏光板が得られる。
[比較例]
ホウ酸5.0重量部およびヨウ化カリウム12重量部を含有した水溶液(pH約3.85)に対して、水酸化カリウムを用いてpHを約4.5にした以外は、実施例1および2と同様にして偏光フィルムを得た。ついで、この偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、実施例1と同じ保護フィルムを両面に貼合して偏光板とした。
ホウ酸5.0重量部およびヨウ化カリウム12重量部を含有した水溶液(pH約3.85)に対して、水酸化カリウムを用いてpHを約4.5にした以外は、実施例1および2と同様にして偏光フィルムを得た。ついで、この偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤を塗布し、実施例1と同じ保護フィルムを両面に貼合して偏光板とした。
実施例1、2および比較例で得られた偏光板の初期光学性能および乾熱条件(100℃、3時間)での光学耐久性を評価した。光学性能は、(株)日本分光社製の紫外可視分光光度計V7100に偏光板をセットして、透過方向と吸収方向との各偏光板の紫外可視スペクトルを測定した。各偏光板の貼合品の中央部における初期特性(単体透過率、直交色相(直交a、直交b))を、JIS−Z8729Jに準拠して算出した。また、耐久試験では、大きさ40×40mm、厚み11mmのソーダガラスに各偏光板を貼合し、100℃のオーブン内で3時間処理を行なった。光学耐久性の評価指標として耐久試験前後の直交色相(直交a、直交b)の変化量直交△Eを、下記式から求めた。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1および実施例2における偏光板の変化量(直交△E)はそれぞれ0.33および0.27であり、比較例における偏光板の変化量(直交△E1.31)に比し、その値が有意に減少していることが分かる。その結果、実施例1および実施例2では、偏光フィルムの架橋処理においてホウ酸以外の酸を添加して架橋槽内のpHを下げることによって、耐久試験前後での偏光板の直交色相の変化を大幅に緩和することができる。これにより、高温条件下で光学耐久性に優れた偏光フィルムが得られることがわかる。
Claims (10)
- ポリビニルアルコール系フィルムを、二色性色素により染色処理し、その後ホウ酸により架橋処理する偏光フィルムを製造する方法であって、架橋処理がホウ酸水溶液中で、ホウ酸水溶液のpHを4以下に調整して行われる方法。
- 架橋処理におけるホウ酸水溶液中のホウ酸の濃度が水100重量部に対して4重量部以上6重量部以下である請求項1に記載の方法。
- ホウ酸水溶液を連続的または断続的に活性炭処理しながら架橋処理が行われる請求項1に記載の方法。
- 架橋処理が処理槽中で行われ、活性炭処理が、ホウ酸水溶液の一部を処理槽から抜き出し、抜き出したホウ酸含有水溶液の一部または全部を活性炭に接触させ、該活性炭接触液を含むホウ酸水溶液を処理槽に戻すことにより行われる請求項3に記載の方法。
- 架橋処理におけるホウ酸水溶液のpHの調整が、酸の添加により行われる請求項1に記載の方法。
- 添加される酸が無機酸である請求項5に記載の方法。
- 無機酸が硫酸または塩酸である請求項6に記載の方法。
- ポリビニルアルコール系フィルムを二色性色素により染色処理し、その後pHを4以下に調整したホウ酸水溶液により架橋処理することにより得られる偏光フィルムと、
該偏光フィルムに貼合された保護フィルムからなる偏光板。 - 保護フィルムが、位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角改良フィルムおよび半透過反射フィルムから選ばれるいずれかの機能を備えるフィルムである請求項8に記載の偏光板。
- ポリビニルアルコール系フィルムを二色性色素により染色処理し、その後pHを4以下に調整したホウ酸水溶液により架橋処理することにより得られる偏光フィルムに、保護フィルムを貼合してなる偏光板と、
該偏光板に貼合された位相差フィルム、輝度向上フィルム、視野角改良フィルムおよび半透過反射フィルムから選ばれる少なくとも1種のフィルムからなる光学積層体。
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