JP2009228150A - 制振機能を有する繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維化における膠着がなく制振性能と伸縮性能とを兼ね備えた合成繊維を提供する。
【解決手段】特定の分子量を有するビニル芳香族モノマーからなるブロック(A)とイソプレンもしくはイソプレン−ブタジエン混合物からなるブロック(B)より構成されるブロック共重合体からなる熱可塑性ポリマーと、エチレン単位を5〜15モル%含有する変性ポリビニルアルコール系重合体とからなる熱可塑性ポリマーとからなり、250℃におけるブロック共重合体の溶融粘度が変性ポリビニルアルコール系重合体の溶融粘度より280ポイズ以上高く、且つ、繊維断面の周長の50%以上が変性ポリビニルアルコール系重合体となるように配置されてなる複合繊維を熱水中で処理し、複合繊維を構成する変性ポリビニルアルコール系重合体を溶解除去する繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、制振性能及び伸縮性能に優れた繊維に関する。
近年、生活様式の変化に伴い、静かさに対する要求が注目されるようになり、より優れた制振材が必要になってきた。繊維材料としても壁、床材、カーペット用下材など色々な利用法が期待されている。しかし、従来の繊維材料は特許文献1に記載されているように、合成繊維を長さ、幅方向に配列、重畳積層しその配列比率を規定するものや、特許文献2に記載されているように、ポリエチレンテレフタレート繊維を未延伸のまま不織布とし、その後熱収縮させ緻密な構造とするものなど、制振材料として期待できるものはあるが、構成繊維自体が制振性能を有するものでないためその効果は十分でなかった。素材自体が制振性能を有するものとしてはゴムのような物質が考えられるが、これを従来の合成繊維と同様に紡糸しても繊維同志の膠着が激しく単独での紡糸は実質的に不可能であった。一方、合成繊維にカサ高さや伸縮性を付与するために収縮特性のことなる異種のポリマーを貼合わせ構造とした潜在捲縮性の繊維が知られており、例えば、金属塩スルフォネート基を有する構成単位を数モル%共重合したエチレンテレフタレート主体の共重合ポリエステルとポリエチレンテレフタレートとが偏心的に接合され、熱処理によって50個/25mm以上の三次元捲縮を発現する伸縮性に優れたポリエステル系の複合繊維が提案されている(例えば特許文献3、4)。しかしながら、繊維化における膠着がなく制振性能と伸縮性能とを兼ね備えた実用性の高い合成繊維は未だ開発されていないのが現状である。
特公昭55−42175号公報 特開昭60−199958号公報 特開昭62−78214号公報 特開平1−61511号公報
そこで、本発明者らは、繊維素材自体が優れた制振性能を有しながら繊維として良好な潜在捲縮能をも備えたものについて鋭意検討した結果、特定のスチレン−イソプレン系ブロック共重合体を一成分とし、変性ポリビニルアルコール系重合体を他成分とし、両者の溶融粘度の関係を特定化し、さらに繊維の周長における変性ポリビニルアルコール系重合体の占有率を特定化した複合繊維を熱水中で処理して、変性ポリビニルアルコール系重合体を溶解除去させた繊維が、常温付近における優れた制振性能と潜在捲縮性能を示すことを見出だして本発明に到達した。
すなわち、本発明は、2種の熱可塑性ポリマーが繊維軸方向に並列的あるいは偏心的に密着している複合繊維において、一方の熱可塑性ポリマーはビニル芳香族モノマーからなる数平均分子量2500〜40000のブロック(A)とイソプレンもしくはイソプレン−ブタジエン混合物からなり、数平均分子量が10000〜200000で3,4結合および1,2結合含有量が40%以上で、0℃以上にtanδの主分散のピークを有するブロック(B)より構成される数平均分子量が30000〜300000のブロック共重合体からなり、他方はエチレン単位を5〜15モル%含有し、ケン化度が90〜99.99%である変性ポリビニルアルコール系重合体であり、250℃におけるブロック共重合体の溶融粘度が変性ポリビニルアルコール系重合体の溶融粘度より280ポイズ以上高く、且つ、繊維断面の周長の50%以上が変性ポリビニルアルコール系重合体となるように配置されてなる複合繊維を熱水中で処理し、複合繊維を構成する変性ポリビニルアルコール系重合体を溶解除去することを特徴とする繊維である。
本発明の繊維は上記複合繊維を用いて製造することで繊維化時の膠着が抑えられ、良好な紡糸性が得られる。また上記変性ポリビニルアルコール系重合体は、繊維化を容易にするだけでなく、熱水によって容易に溶解除去され、ブロック共重合体を主体とする本発明の繊維とすることができる。こうして得られる本発明の繊維は、繊維本来の強度と、ポリマー本来の高い伸縮性、制振性を兼ね備えている。
本発明の複合繊維の一成分に用いられるブロック共重合体のブロック(A)は、芳香族ビニルモノマー、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等のモノマーの重合反応により形成されるブロックであり、最も好ましいのはスチレンである。ビニル芳香族ブロック(A)の数平均分子量は2500〜40000の範囲であるが、分子量が2500未満では、ブロック共重合体の制振性能が低下し、分子量が40000を越えるとブロック共重合体の溶融粘度が高くなり過ぎ、紡糸調子が悪くなる。また、ビニル芳香族ブロック(A)のブロック共重合体中での割合は、5重量%〜50重量%の範囲のものが好ましく用いられる。この割合が5重量%未満の場合、ブロック共重合体の機械的性質が不充分となり、逆に50重量%を越えると粘度が著しく高くなるため紡糸調子が悪くなり、巻取が不能となるか、仮に、巻き取れたとしても制振性能が低下するので好ましくない。
また、ブロック共重合体のブロック(B)はイソプレン、またはイソプレン−ブタジエンを併用したモノマーから構成されているのが好ましい。これ以外のモノマーを使用した場合、例えば、ブタジエン単独の場合、1,2結合含有量を増やしても制振性能を発現する温度は0℃未満であり、実際に使用される温度での機能は得られず、実用上の意義は少ない。これに対し、イソプレンの場合、本発明の3,4結合および1,2結合含有量(以下これらを総称してビニル結合含有量ということがある。)を特定量とすることによって、概ね0℃から50℃前後までの実用的な温度範囲で制振性能を発揮することが可能であり、実用上極めて有意義である。イソプレン−ブタジエンを併用する場合、イソプレンの割合が40%以上であれば0℃以上で制振性能を発揮する。併用する場合のブロック(B)の形態としてはランダム、ブロックまたはテーパードのいずれでも良い。ブロック共重合のブロック(B)は3,4結合および1,2結合含有量が40%以上のもの(100%でも良い)が用いられる。ビニル結合含有量が40%より少ない場合は、通常の使用温度領域で十分な制振性能が得られないので好ましくない。また、ブロック共重合体の粘弾性測定により得られるtanδ(損失正接)の主分散のピークの温度が0℃以上であることが必要である。0℃よりも低い温度にしかピークがない場合にも通常の温度領域で十分な制振性能が得られない。また、ブロック(B)の数平均分子量は10000〜200000の範囲のものが用いられる。分子量が上記範囲より小さい場合には、弾性的性質を損ない好ましくない。逆に、大きすぎる場合にはブロック共重合体の溶融粘度が高くなり、紡糸不調の原因となる。
本発明において、上記ブロック共重合体の数平均分子量は30000〜300000の範囲にあることが必要である。分子量が30000未満では芯成分自体の強度、伸度等の機械的性質が低下し、繊維自体の性質を低下させてしまうので好ましくない。また、300000を越えると粘度が上昇し紡糸が不調となり性能も低下する。好ましくは80000〜250000の範囲がよい。また、ブロック共重合体のブロック形態はA(BA)、(AB)で示される。ここでAは芳香族ビニルモノマーからなるブロック、Bはイソプレンまたはイソプレン−ブタジエンからなるブロックを示し、nは1以上の整数である。このうち、A−B−Aの形態のものが最も好ましく用いられる。
このようなブロック共重合体は公知の種々の方法で製造することが可能である。例えば、まず、(イ)アルキルリチウム化合物を開始剤として芳香族ビニル化合物、イソプレンまたはイソプレン−ブタジエンを逐次重合体させる方法、(ロ)芳香族ビニル化合物、次いで、イソプレンまたはイソプレン−ブタジエンを重合し、これをカップリング剤によりカップリングする方法、あるいは(ハ)ジリチウム化合物を開始剤としてイソプレンまたはイソプレン−ブタジエン、次いで芳香族ビニル化合物を逐次重合させる方法等が挙げられる。アルキルリチウム化合物の例としてはアルキル残基の炭素原子数が1〜10のアルキル化合物が挙げられるが、特にメチルリチウム、エチルリチウム、ペンチルリチウム、ブチルリチウムが好ましい。カップリング剤としてはジクロロメタン、ジブロムメタン、ジクロロエタン、ジブロムエタン、ジブロムベンゼン等が用いられる。ジリチウム化合物の例としてはナフタレンジリチウム、ジリチオヘキシルベンゼン等があげられる。使用量は求める分子量により決定されるものであるが、重合に用いられる全モノマー100重量部に対し、概ね開始剤0.01〜0.2重量部、カップリング剤0.04〜0.8重量部程度の範囲で用いられる。
イソプレンまたはイソプレン−ブタジエン部分のミクロ構造としてビニル構造を40%以上、かつ、0℃以上にtanδの主分散のピークを持つようにするためにはイソプレンまたはイソプレン−ブタジエンの重合の際に共触媒としてルイス塩基が用いられる。ルイス塩基の例としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類、トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルモルフォリン等のアミン系化合物等があげられる。これらのルイス塩基の使用量は重合触媒のリチウムのモル数に対し概ね0.1〜1000倍の範囲で用いられる。重合の際には制御を容易にするために溶媒を使用するのが好ましい。溶媒としては重合触媒に対し不活性な有機溶媒が使用される。特に、炭素数が6から12の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましく用いられる。その例としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン等があげられる。重合はいずれの重合法による場合も、0〜80℃の温度範囲で0.5〜50時間の範囲で行われる。
得られたブロック共重合体を必要に応じて水添反応に付すことにより、イソプレンまたはイソプレン−ブタジエンからなるブロック中の炭素−炭素二重結合の一部または全部が水添される。水添反応は、反応および触媒に対して不活性な溶媒に溶解した状態で、公知の水添触媒により分子状態の水素を反応させる方法が好ましく用いられる。使用される触媒としては、ラネーニッケル、あるいはPt,Pd,Ru,Rh,Ni等の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の単体に担持させたもの等の不均一触媒または遷移金属とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物等の組合わせからなるチーグラー系の触媒等が用いられる。反応は、水素圧が常圧ないし200Kg/cm、反応温度が常温ないし250℃、反応時間が0.1〜100時間の範囲で行われる。反応後のブロック共重合体は、反応液をメタノール等により凝固させた後、加熱あるいは減圧乾燥させるか、反応液を沸騰水中に注ぎ溶剤を共沸させ除去した後、加熱あるいは減圧乾燥をすることにより得られる。水添率は要求される物性のレベルにより決定されるが、耐熱性および耐候性を重視する場合、50%以上、好ましくは70%以上に水添するのがよい。
本発明の複合繊維における他方の成分に用いられる変性ポリビニルアルコール系重合体(以下、単にPVAと略すことがある)はエチレン単位を5〜15モル%含有している。複合繊維の製糸性、水に対する溶解安定性からは8〜12モル%のエチレン単位を含有していることが望ましい。
また、PVAのケン化度は90〜99.99%でなければならず、92〜99.98%が好ましく、93〜99.97%がより好ましく、94〜99.96%が特に好ましい。ケン化度が90%未満の場合には、PVAの熱安定性が悪く熱分解やゲル化によって満足な溶融紡糸を行うことができない。一方、ケン化度99.99%よりも大きいPVAは安定に製造することができず、繊維化も安定にできない。
本発明の複合繊維製造時における両成分の重量比は8/2〜2/8であることが好ましい。この範囲外では複合繊維の紡糸、延伸等の工程性が悪化しやすく、しかも所望の性能を発現させることが困難な場合がある。従って、7/3〜3/7が好ましい。また、本発明においては、紡糸温度条件付近において、例えば250℃において上記ブロック共重合体の溶融粘度がPVAの溶融粘度よりも280ポイズ以上高くなるような両成分の組み合わせが重要である。溶融粘度差が殆どない場合やその大小関係が逆転するような場合においては紡糸時、巻取時に繊維同志の膠着が目立つので好ましくない。また、上記の溶融粘度差が大きい方が潜在捲縮能を高める目的からも好ましいが、あまりその差が大きくなると紡糸時のニーイングが激しくなり安定した紡糸が困難となるので、好ましくは1500ポイズ以下の溶融粘度差に抑えることが望まれる。さらに、本発明においては、繊維の周長の50%以上、好ましくは55%以上がPVAで占められていることが必要である。50%未満であると繊維化における繊維同士の膠着が著しくなるので好ましくない。このようなコントロールは両成分の重量比率および溶融粘度差に大きく左右されるものであり慎重に断面設計をしなければならない。しかし、ブロック共重合体とPVAが夫々有する溶融粘度は紡糸性および繊維物性の面から設定に限界があり、その結果、実質的には周長の75%以上をPVAで占めるような複合繊維を得ることは困難な場合が多い。また、必要に応じて、紡糸油剤にシリコン系油剤を付与してブロック共重合体を被覆したり、ブロック共重合体にセラミックスや金属酸化物等の無機微粒子を添加することによって該共重合体の表面に微細な凹凸を形成し繊維間における重合体同士の接触部分を減少させて紡糸してもよい。
本発明の複合繊維製造時は、従来公知のサイドバイサイド型または芯鞘型複合繊維の製造装置を使用し上記のような点に留意して製造することが可能であり、紡糸原糸は延伸、熱固定することによって製造することができ、長短両繊維の製法に適用可能である。また、後述する伸縮性の発現を考慮すると、芯鞘型複合繊維では偏芯させることが好ましい。さらに、断面は円形以外の各種異型断面であってもよく、繊維表面に露出しているブロック共重合体同志が膠着を生じないように設計された異形断面であってもよい。また、本発明の複合繊維には、必要に応じて各種添加剤を配合してもよく、例えば、金属粉末、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の金属酸化物、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機粒子や酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐熱剤、蛍光増白剤、着色剤、抗菌剤、芳香剤等を含有していてもよい。
本発明の繊維は、複合繊維製造時にそれだけでもある程度の伸縮性を有しているが、該繊維またはそれからなる製品に対して熱処理を施すことにより該繊維の潜在捲縮が顕在化され一段と優れた伸縮特性を発揮できるものである。潜在捲縮を顕在化させる手段としては特に限定されないが100℃以上、特に130℃以上の熱処理によって35個/25mm以上、特に45個/25mm以上の微細な立体捲縮を発現させることが可能である。そして、該繊維が有する制振特性、伸縮特性、弾性回復性を活かして種々の用途展開が可能であり、短繊維や長繊維として織物、編物、不織布等の布帛を構成し、カーテン、壁装材、床材、天井材などの内装インテリア材、車両等の内装材、また、該繊維を詰綿として用いて堅綿等の詰物製品としても好適である。
本発明の繊維は、複合繊維製造後に複合繊維を熱水中で処理し、複合繊維を構成する変性ポリビニルアルコール系重合体を溶解除去しなければならない。複合繊維としてでもある程度の制振性は得られるが、複合繊維を構成する変性ポリビニルアルコール系重合体を溶解除去してブロック共重合体単独にすることにより、制振性が向上する。
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、数平均分子量はGPC法により求め、ミクロ結合はNMRスペクトルを測定し、4.8ppm、5.8ppmの3,4結合、1,2結合のピークと5.3ppmの1,4結合のピークの比から、3,4結合、1,2結合の含有率を算出し、tanδのピーク温度は、レオバイブロン(オリエンティック社製)により粘弾性スペクトルを測定することにより求めた。また、捲縮数の測定は、JISL−1015−7−12−1の方法により測定した。
(参考例)
乾燥し窒素で置換された耐圧反応器で、溶媒としてシクロヘキサン、重合触媒としてn−ブチルモノマー、イソプレンモノマー、スチレンモノマーの順に添加し重合した。得られたA−B−A型共重合体をシクロヘキサン中で、水添触媒として行い、表1に示す分子特性を有するブロック共重合体(I)(II)(III)を得た。
Figure 2009228150
実施例1〜3
参考例で得られたポリマー(I,II,III)をそれぞれ一成分とし、エチレン単位10モル%、ケン化度99%のPVA(250℃における溶融粘度=850ポイズ)をもう一方の成分として、両成分の重量比率をブロック共重合体/PVA=60/40で複合紡糸(紡糸温度250℃、巻取速度800m/分)し、常法に従って乾熱延伸を行い、単繊維繊度8デニール繊維長64mmのサイドバイサイド型複合繊維を得た。該複合繊維の繊維断面の周長におけるPVAの占有率および140℃×3分間の熱処理後のスパイラル捲縮数を表2に示した。次に、スパイラル捲縮を発現させる前の複合繊維を80重量%と単繊維繊度3デニール繊維長51mmのポリエステル系熱融着繊維20重量%とを混綿した後、カーディングしウェブを積層した後150℃×1分熱風処理しマットを作成した。そのマットを90℃の熱水中に60分間浸漬させて、PVAを溶解除去した。PVA溶解除去後のマットの厚さは2mmであり目付は約0.2kg/mであった。作成したマットの25℃におけるtanδを測定し、制振性能を評価した結果を表2に示した。実施例1〜3においては、いずれも工程性に問題なく、良好な制振性能が得られた。
実施例4
PVAのケン化度を95%に変更する以外は、実施例1と同様に繊維化を行い、マット作成、PVA溶解除去を実施した。得られたマットの制振性能を評価した結果、良好であった。
実施例5,6
PVAのエチレン含有量を8モル%及び12モル%に変更する以外は、実施例1と同様に実施した。いずれも工程性に問題なく、良好な制振性能が得られた。
実施例7,8
ブロック共重合体とPVAの複合比率を65/35及び55/45に変更する以外は、実施例1と同様に実施した。いずれも工程性は良好で、制振性能にも優れていた。
実施例9
複合繊維の断面形状を偏芯芯鞘型に変更する以外は、実施例1と同様に実施した。工程性、制振性能とも良好であった。
実施例10,11
ブロック共重合体とPVAの複合比率を55/45に変更する以外は、実施例2及び実施例3と同様に実施した。いずれも工程性は良好で、制振性能にも優れていた。
実施例12
複合繊維の断面形状を偏芯芯鞘型に変更する以外は、実施例3と同様に実施した。工程性、制振性能とも良好であった
比較例1,2
ブロック共重合体中のブロックAの分子量を2000、及び40500と変更する以外は実施例1と同様に実施した。比較例1では、繊維化は問題なかったものの制振性能が不良であった。比較例2では、溶融粘度が高いため、紡糸不可能であった。
比較例3,4
ブロック共重合体中のブロックBの分子量を9000、及び205000と変更する以外は実施例1と同様に実施した。比較例3では、繊維化は可能であったが、制振性能が不良であった。比較例4では、溶融粘度が高いため、紡糸不可能であった。
比較例5
ブロック共重合体中のブロックBのビニル結合量を35と変更する以外は実施例1と同様に実施した。繊維化は良好であったが、制振性能に乏しいものしか得られなかった。
比較例6,7
ブロック共重合体の分子量をそれぞれ27000、305000とする以外は実施例1と同様に繊維化を行った。比較例6では糸自身の強力が無いため断糸が頻発して紡糸不可能であった。比較例7では溶融粘度が高いため、紡糸不可能であった。
比較例8,9
PVAのエチレン含有量をそれぞれ3モル%、17モル%と変更する以外は実施例1と同様に実施した。比較例8ではPVAの熱安定性が悪いため、紡糸時にポリマーの劣化が生じて紡糸不可能となった。比較例9ではPVAの熱水溶解性が低く、部分的にしか溶解しなかったため、使用できる製品とならなかった。
比較例10
PVAのケン化度を87%と変更する以外は実施例1と同様に実施した。PVAの熱安定性が悪いため、紡糸時にポリマーの劣化が生じて紡糸不可能となった。
比較例11
溶融粘度を上げたPVAを用いてブロック共重合体との溶融粘度差を250ポイズと変更する以外は実施例1と同様に紡糸を行った結果、繊維同士の膠着が多発して繊維化不可能であった。
比較例12
ブロック共重合体とPVAの複合比率を90/10に変更することで繊維断面の周長を38%とする以外は、実施例1と同様に実施した結果、紡糸時に繊維同士の膠着が多発して繊維化不可能であった。
Figure 2009228150
その結果、本発明の繊維は、従来にはない優れた制振性能と伸縮性能を兼ね備えたものであることが分かった。

Claims (1)

  1. 2種の熱可塑性ポリマーが繊維軸方向に並列あるいは芯鞘構造を形成している複合繊維において、一方の熱可塑性ポリマーはビニル芳香族モノマーからなる数平均分子量2500〜40000のブロック(A)とイソプレンもしくはイソプレン−ブタジエン混合物からなり、数平均分子量が10000〜200000で3,4結合および1,2結合含有量が40%以上で、0℃以上にtanδの主分散のピークを有するブロック(B)より構成される数平均分子量が30000〜300000のブロック共重合体からなり、他方はエチレン単位を5〜15モル%含有し、ケン化度が90〜99.99%である変性ポリビニルアルコール系重合体であり、250℃における前記ブロック共重合体の溶融粘度が前記変性ポリビニルアルコール系重合体の溶融粘度より280ポイズ以上高く、且つ、繊維断面の周長の50%以上が変性ポリビニルアルコール系重合体となるように配置されてなる複合繊維を熱水中で処理し、複合繊維を構成する変性ポリビニルアルコール系重合体を溶解除去することを特徴とする繊維。
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