JP2006336125A - 嵩高性を有する芯鞘複合繊維とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非石油系原料であり、生分解性を有するポリ乳酸系樹脂を繊維の構成成分に用いることで環境負荷が少なく、かつ、高強度で耐摩耗性と耐久性に優れ、カーマットやカーペット用として好適な嵩高性を有する芯鞘複合繊維とその製造方法を提供する。
【解決手段】 単フィラメントの断面が、芯部分はポリ乳酸系樹脂を主成分とし、鞘部分はポリアミドからなる芯鞘構造を有するマルチフィラメントであって、各単フィラメントがランダム方向に屈曲、あるいは互いに絡み合い、ループやタルミを有し、かつマルチフィラメントの捲縮率が5〜25%である嵩高性を有する芯鞘複合繊維。
【選択図】 なし

Description

本発明は、繊維の構成成分にポリ乳酸系樹脂を用いた、カーマットやカーペット用として好適な嵩高性を有する芯鞘複合繊維とその製造方法に関するものである。
従来より、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維を、加熱流体を用いて嵩高加工し、捲縮を付与した嵩高性合成繊維は、カーマットやカーペット分野で幅広く利用され、様々な技術が開発されてきた。例えば、特許文献1には、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性合成繊維の交絡嵩高糸が、特許文献2には、ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性合成繊維のマルチローバル捲縮糸が記載されており、また、特許文献3には、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性合成繊維の顕在捲縮糸の製造方法が、特許文献4には、合成繊維のベロア調捲縮加工糸の製造方法が記載されている。
しかしながら、これらのポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等の合成繊維は自然環境下でほとんど分解せず、また石油資源から製造するため環境負荷、ゴミ問題の観点から環境対応材料への代替えが求められている。
このため、特許文献5では、自然環境下で微生物等の作用によって水や二酸化炭素へ分解される生分解性繊維としてポリ乳酸繊維が、特許文献6では、生分解性の短繊維が提案されている。また、特許文献7では、ポリ乳酸を主成分とする嵩高捲縮糸が提案されている。
これらの繊維を使用すれば、使用後の廃棄処理においても環境性に優れた製品を提供することができる。
特開昭62−177251号公報 特開平9−310240号公報 特開昭58−109640号公報 特開昭63−182432号公報 特開平11−293517号公報 特開平11−293518号公報 特開2002−105752号広報
しかしながら、カーマットやカーペット等の用途では耐摩耗性や耐久性が必要となるため、ポリ乳酸繊維100%使いでは繊維の脱落や車中での脆化等の問題が発生し、実用上問題があった。
本発明は、上記のような現状に鑑み、非石油系原料であり、生分解性を有するポリ乳酸系樹脂を繊維の構成成分に用いることで環境負荷が少なく、かつ、高強度で耐摩耗性と耐久性に優れ、カーマットやカーペット用として好適な嵩高性を有する芯鞘複合繊維とその製造方法を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の構成を有するものである。
(1)単フィラメントの断面が、芯部分はポリ乳酸系樹脂を主成分とし、鞘部分はポリアミドからなる芯鞘構造を有するマルチフィラメントであって、各単フィラメントがランダム方向に屈曲、あるいは互いに絡み合い、ループやタルミを有し、かつマルチフィラメントの捲縮率が5〜25%であることを特徴とする嵩高性を有する芯鞘複合繊維。
(2)ポリアミドがナイロン6である上記(1)記載の嵩高性を有する芯鞘複合繊維。
(3)単フィラメントの断面が、芯部分はポリ乳酸系樹脂を主成分とし、鞘部分はポリアミドからなる芯鞘構造を有する未延伸マルチフィラメントを2.5〜5.0倍に延伸した後、加熱流体噴射ノズルへ供給し、引き続いて、放射状に配列した羽根板によって取り囲まれた圧縮室に温度130〜280℃の加熱流体とともにオーバーフィードの状態で押し込み、各単フィラメントをランダム方向に屈曲、あるいは互いに絡み合わせ、各単フィラメントにループやタルミを形成し、捲縮を付与した後、通気性を有する衝突壁に衝突させ、冷却して捲き取ることを特徴とする嵩高性を有する芯鞘複合繊維の製造方法。
(4)ポリアミドがナイロン6である上記(3)記載の嵩高性を有する芯鞘複合繊維の製造方法。
本発明の嵩高性を有する芯鞘複合繊維は、単フィラメントの芯部分が植物由来のポリ乳酸で構成されているので環境負荷が少なく、また、単フィラメントの鞘部分がポリアミドで構成されているので高強度で耐摩耗性と耐久性に優れ、カーマットやカーペット用として好適な繊維であり、この繊維を用いれば、使用上の物性等においても現状使用されているものと遜色のないカーペットを作製することが可能となる。
また、本発明の嵩高性を有する芯鞘複合繊維の製造方法によれば、上記の利点を有する芯鞘複合繊維を安定して容易に製造することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の嵩高性を有する芯鞘複合繊維(以下、単に芯鞘複合繊維と称することがある。)は、単フィラメントの断面が、芯部分はポリ乳酸系樹脂を主成分とし、鞘部分はポリアミドからなる芯鞘構造を有するマルチフィラメントである。
本発明において、単フィラメント断面の芯部分を形成するポリ乳酸系樹脂とは、ポリ乳酸、ポリ乳酸を主体とする共重合物又はそれらの混合物をいう。
本発明で用いるポリ乳酸とは、モノマーの乳酸を重合することによって得られる高分子化合物である。乳酸にはL体とD体の光学異性体があり、D体のみ、L体のみ、あるいはD体とL体が各々50モル%で形成されたステレオコンプレックス等がある。L体を主体とする場合、融点の低下を防ぐためL体の比率が94モル%以上のものが好ましい。L体の比率が94モル%より小さいと低融点のポリマーとなり、繊維としては好ましくない場合がある。また、本発明で用いるポリ乳酸の数平均分子量(Mn)は、繊維としての必要強力を出すために7万以上が好ましい。
本発明において、ポリ乳酸は、D体及びL体を含めて乳酸100%からなるホモポリマーに限定されず、繊維としての性能と環境負荷性を損なわない範囲での、他の脂肪族ポリエステルの原料であるモノマー類との共重合体も含まれ、また繊維としての性能を損なわない範囲で、乳酸ホモポリマーと他の脂肪族ポリエステル類又はその他の重合体とのブレンド物も含まれる。
生分解性脂肪族ポリエステルとしては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンスベレート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンセバケート、ポリエチレンデカメチレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリテトラメチレンサクシネート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート等の合成脂肪族ポリエステル、ポリ−ε−カプロラクトンやポリ−β−プロピオラクトンのようなポリ−ω−ヒドロキシアルカノエートからなる合成脂肪族ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸のようなポリ−α−オキシ酸等が挙げられる。また、共重合又はブレンドする他の成分としては、溶融紡糸可能なポリマーとして、芳香族ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系ポリマー等が挙げられる。
さらに、各種の添加剤、紫外線吸収剤、制電剤、顔料、酸化チタン、二酸化珪素等を添加したものでもよい。
次に、本発明において、単フィラメント断面の鞘部分を形成するポリアミドとしては、公知のものを任意に使用することができる。例えば、ナイロン6,ナイロン66,これらを構成する単量体を使用して得られる共重合体,又はこれらの混合物を使用することができるが、ナイロン6を使用するのが好ましい。これは、ナイロン6の融点が、ポリ乳酸の融点と最も近く、かつナイロン6が熱的安定性に優れているからである。なお、使用するポリアミドは、その相対粘度(96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で測定)が2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。
本発明において、単フィラメントにおける芯成分(ポリ乳酸系樹脂)と鞘部分(ポリアミド)との芯鞘比率は、環境負荷低減を図るために断面積比率で90/10〜50/50が好ましい。鞘成分が50%を超えると石油由来部分が半分以上となり、素材としての価値が低くなる。また、鞘成分が10%未満になると耐摩耗性等の物性が悪くなり、カーマットやカーペット用の嵩高捲縮糸として不向きなものとなる。
また、本発明の芯鞘複合繊維は、嵩高性を有するものである。嵩高性は、各単フィラメントがランダム方向に屈曲、あるいは2本以上の単フィラメントが互いに絡み合い、ループやタルミを有する構造を有することにより発現される。
嵩高性の度合いは捲縮率によって表すことができるが、本発明の芯鞘複合繊維の捲縮率は5〜25%、特に10〜22%であることが好ましい。捲縮率が5%未満になると、カーペットへ適用した時、十分な嵩高性を発揮することができない。また、捲縮率が25%を超えると、カーペットにした場合、品位が悪く、商品としての価値が低下する。なお、本発明でいう捲縮率とは、顕在捲縮と潜在捲縮の和であり、次式により算出するものである。
捲縮率(%)=〔(A−B)/A〕×100
A:繊維を沸水中で30分間処理した後、繊度(dtex)/11.1gの荷重を吊るした時の試料長
B:繊維を沸水中で30分間処理した後、繊度(dtex)×1.82mgの荷重を吊るした時の試料長
本発明の芯鞘複合繊維は、繊度、フィラメント数は特に限定されるものではないが、カーマットやカーペット用としては、繊度は500〜2500dtex、フィラメント数は20〜150本が好ましい。また、単フィラメントの断面は、丸断面、Y型やT型等の異型断面、中空部を有する断面形状等のいずれでもよい。
次に、本発明の芯鞘複合繊維の製造方法について説明する。
まず、それぞれ芯部用と鞘部用のエクストルーダーで、芯部用についてはポリ乳酸系樹脂の融点より40℃以上高く、280℃より低い紡糸温度で、鞘部用は、ポリアミドが例えばナイロン6の場合は240〜280℃の紡糸温度で混練・溶融し、一定孔径のノズルから押し出して芯鞘複合紡糸を行う。芯部の紡糸温度が(ポリ乳酸樹脂の融点+40)℃未満になると、ポリマー内に未溶融物が発生して糸切れが起こり、製糸性に問題が生じることがある。また、紡糸温度が280℃を超えると、ポリマーの熱分解や熱劣化などによって芯部のポリ乳酸系樹脂の溶融ポリマー粘度が低下し、繊維の品質が低下することがある。
紡糸された繊維は冷風で冷却固化されるが、冷風の温度は特に限定されるものではない。このとき、紡糸油剤を公知のローラ法又はスリットノズル法で付与する。ここでいう紡糸油剤とは、繊維に平滑性や帯電防止性を付与するものであり、鉱物油、有機酸、エーテル類等を含む公知のものが挙げられる。紡糸油剤の付与量は特に限定されものではないが、繊維質量に対し0.5〜1.0質量%とすることが好ましい。
次に、繊維はワインダーに捲き取られ、未延伸マルチフィラメントを得る。捲取速度は、500〜1500m/分の範囲が好ましい。
このとき、未延伸マルチフィラメントの配向度は、最大延伸倍率(110℃)が2.5〜5.0となる程度が好ましく、さらに好ましくは3.0〜4.5である。なお、本発明でいう最大延伸倍率(110℃)とは、直径10mmの加熱ローラ(温度110℃)と直径10mmの延伸ローラ(常温)の2個のローラ間で、未延伸マルチフィラメントを速度50m/分で延伸したとき、マルチフィラメントが切断するときの倍率をいう。
未延伸マルチフィラメントの最大延伸倍率が5.0を超える場合、ポリ乳酸の配向度が低く、強度が弱いため、わずかな張力変動で糸切れが発生することがある。一方、最大延伸倍率(110℃)が2.5より小さい場合、次工程で糸切れが発生しやすくなることがある。
次に、得られた未延伸マルチフィラメントに、下記の条件で延伸処理を実施する。まず、未延伸マルチフィラメントを予熱ローラに供給し、続いて予熱ローラと加熱ローラとの間で2.5〜5.0倍に延伸する。このとき、予熱ローラの温度は70〜(芯部のポリ乳酸系樹脂の融点−20)℃、さらには75〜(芯部のポリ乳酸系樹脂の融点−20)℃が好ましい。予熱ローラ温度が70℃より低いとフィラメント切れが発生することがあり、(芯部のポリ乳酸系樹脂の融点−20)℃を超えるとローラ上での糸揺れが激しくなり、操業上の問題が発生することがある。また、加熱ローラの温度は90℃〜芯部のポリ乳酸系樹脂の融点、さらには100℃〜芯部のポリ乳酸系樹脂の融点が好ましい。加熱ローラ温度がこの範囲から外れると、フィラメント切れが発生することがある。
引き続き、延伸されたマルチフィラメントを、嵩高加工処理機の加熱流体噴射処理ノズルへ供給し、続いて、放射状に配列した羽根板によって取り囲まれた圧縮室に加熱流体とともにオーバーフィードの状態で押し込み、各単フィラメントをランダム方向に屈曲、あるいは互いに絡み合わせ、各単フィラメントにループやタルミを形成し、マルチフィラメントに捲縮を付与した後、通気性を有する衝突壁に衝突させ、冷却して目的とする芯鞘複合繊維を捲き取る。
ここでいう加熱流体とは、高温に加熱された圧縮空気をいい、加熱流体の温度は130〜280℃、好ましくは140〜270℃とする。加熱流体の温度が280℃を超えると、フィラメント切れや融着が発生する。また、130℃より低いと、繊維に十分な捲縮を付与することができない。加熱流体の圧力は加熱流体の温度によって決定されるが、加熱流体の温度が130〜280℃の場合、0.5〜0.8MPaとすることが好ましい。
また、前記したように、加熱流体処理の際、マルチフィラメントを圧縮室に加熱流体とともにオーバーフィードの状態で押し込むために、マルチフィラメントは、オーバーフィード状態で加熱流体噴射処理ノズルに供給される。そのオーバーフィード率は、得ようとする繊維の捲縮率や加熱流体の温度、加熱流体の圧力によって決定されるが、本発明においては、オーバーフィード率を15〜35%、さらには20〜30%とすることが好ましい。オーバーフィード率が35%を超えると、マルチフィラメントが冷却ドラム上に巻き付き、操業上問題を生じることがある。また、オーバーフィード率が15%より低いと、十分な捲縮率が得られないばかりか、糸切れを発生することがある。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例における芯鞘複合繊維とカーペットの性能評価は、次の方法で行った。
(1)耐摩耗性
JIS L−1023に準じて行った。すなわち、試料片を回転摩耗(摩耗回数5000回)する前後の質量(mg)を測定し、その減少率(%)を算出して次の3段階で評価した。
○:減少率が0.3%未満のもの
△:減少率が0.3〜0.5%のもの
×:減少率が0.5%を超えるもの
(2)耐久性
試料(繊維)を、温度60℃、湿度90%中の恒温湿機内で10日間放置した後の引張強度を測定し、次式により強度保持率(%)を求め、下記のように評価した。
強度保持率(%)=(10日後の引張強度/初期引張強度)×100
◎:強度保持率が90%以上
○:強度保持率が60〜90%未満
△:強度保持率が40〜60%未満
×:強度保持率が40未満
(3)圧縮率、圧縮弾性率
JISL−1022に準じて評価した。
(4)相対粘度
フェノールと四塩化エタンの等質量混合物を溶媒として、濃度0.5g/dl、温度20℃で測定した。(ウベローデ型粘度管使用)
(実施例1)
数平均分子量(Mn)が97000、相対粘度2.07、L体%の比率98.8モル%のポリ乳酸チップを、水分率0.01質量%に調整した後、エクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度235℃で溶融し、スリット巾0.25mm、1辺の長さ0.6mmのY字型断面形状の紡糸孔を15個有する芯鞘型紡糸口金より吐出量37.4g/分で芯側に吐出し、鞘側はナイロン6チップをエクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度250℃で溶融し、吐出量37.4g/分で吐出した芯鞘型繊維を、冷却装置より冷却風を吹き付けて冷却、固化させ、オイリングローラで油剤を付与した後、速度900m/分で巻き取り、1600dtex/15fのY字型断面形状の芯鞘複合未延伸マルチフィラメントを得た。この未延伸マルチフィラメントの最大延伸倍率(110℃)は、3.78であった。
この未延伸マルチフィラメントを4本引き揃え、温度90℃の予熱ローラと温度110℃の加熱ローラ間で、速度1200m/分で3.7倍に延伸した後、加熱流体噴射処理ノズルに供給し、温度190℃、圧力0.65Mpaの加熱流体とともに放射状に配列した18枚の羽根板によって取り囲まれた圧縮室にオーバーフィード率24%で押し込んだ。
引き続きこのマルチフィラメントを連接する冷却ドラム上の通気性を有する衝突壁に衝突させて冷却した後、ワインダーに巻き取り、芯部分がポリ乳酸樹脂、鞘部分がナイロン6の芯鞘複合繊維(1100dtex/60f)を得た。この時の芯鞘比率は断面積比率で1:1であった。また、得られた繊維の強度は、2.0cN/dtexであった。
次いで、得られた1100dtex/60fの芯鞘複合繊維2本を、フォルクマン社製ダイレクトケブラー撚糸機を用いて、上撚200T/M、下撚200T/Mの諸撚糸とし、スペルバ社製スチームセット機で撚り止めを120℃×1分間の条件で行った。得られた諸撚加工糸をチーズ染色機を用いて酸性染料で染色し、得られた染色糸をタフティング機を用いて、スパンボンド基布に1/8ゲージ、パイル長10mm、パイル目付1200g/mの規格でタフトした後、裏面にゴム張り仕上げを行って、カットパイルカーペットを得た。
(比較例1)
数平均分子量(Mn)が97000、相対粘度2.07、L体%の比率98.8モル%のポリ乳酸チップを、水分率0.01質量%に調整した後、エクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度235℃で溶融し、スリット巾0.25mm、1辺の長さ0.6mmのY字型断面形状の紡糸孔を15個有する紡糸口金より吐出量74.8g/分で吐出した。冷却装置より冷却風を吹き付けて繊維を冷却、固化させ、オイリングローラで油剤を付与した後、速度900m/分で巻き取り、1600dtex/15fのY字型断面形状の生分解性未延伸マルチフィラメントを得た。この未延伸マルチフィラメントの最大延伸倍率(110℃)は、3.92であった。
この未延伸マルチフィラメントを4本引き揃え、温度90℃の予熱ローラと温度90℃の加熱ローラ間で、速度1200m/分で3.7倍に延伸した後、加熱流体噴射処理ノズルに供給し、温度145℃、圧力0.65Mpaの加熱流体とともに放射状に配列した18枚の羽根板によって取り囲まれた圧縮室にオーバーフィード率24%で押し込んだ
引き続き、このマルチフィラメントを連接する冷却ドラム上の通気性を有する衝突壁に衝突させて冷却した後、ワインダーに巻き取り、ポリ乳酸100%繊維(1100dtex/60f)を得た。得られた繊維の強度は、1.8cN/dtexであった。
次いで、撚り止め条件を110℃×1分間に、染料を分散染料に変更した以外は実施例1と同様にして加工を行い、比較用カットパイルカーペットを得た。
(比較例2)
ナイロン6チップをエクストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度260℃で溶融し、スリット巾0.25mm、1辺の長さ0.6mmのY字型断面形状の紡糸孔を15個有する紡糸口金より吐出量74.8g/分で吐出した。冷却装置より冷却風を吹き付けて繊維を冷却、固化させ、オイリングローラで油剤を付与した後、速度900m/分で巻き取り、1600dtex/15fのY字型断面形状のナイロン6未延伸マルチフィラメントを得た。この未延伸マルチフィラメントの最大延伸倍率(110℃)は、3.95であった。
この未延伸マルチフィラメントを4本引き揃え、温度90℃の予熱ローラと温度130℃の加熱ローラ間で、速度1200m/分で3.7倍に延伸した後、加熱流体噴射処理ノズルに供給し、温度235℃、圧力0.65Mpaの加熱流体とともに放射状に配列した18枚の羽根板によって取り囲まれた圧縮室にオーバーフィード率24%で押し込んだ。引き続き、このマルチフィラメントを連接する冷却ドラム上の通気性を有する衝突壁に衝突させて冷却した後、ワインダーに巻き取り、ナイロン6100%繊維(1100dtex/60f)を得た。得られた繊維の強度は、2.4cN/dtexであった。
次いで、撚り止め条件を130℃×1分間に変更した以外は実施例1と同様にして加工を行い、比較用カットパイルカーペットを得た。
実施例1と比較例1〜2で得られた繊維とカットパイルカーペットの評価結果を、表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1のカーペットは、鞘成分としてナイロン6を使用した複合繊維を用いているので、ポリ乳酸使いの繊維を用いた比較例1のカーペットより圧縮率、圧縮弾性率、耐摩耗性、耐久性の全てにおいて優れており、ナイロン6使いの比較例2のカーペットとほぼ同等の優れた性能を有している。また、実施例1のカーペットを形成する複合繊維は、生分解性を有するポリ乳酸が芯成分を構成しているので、比較例2のカーペットより環境負荷が少ないものである。

Claims (4)

  1. 単フィラメントの断面が、芯部分はポリ乳酸系樹脂を主成分とし、鞘部分はポリアミドからなる芯鞘構造を有するマルチフィラメントであって、各単フィラメントがランダム方向に屈曲、あるいは互いに絡み合い、ループやタルミを有し、かつマルチフィラメントの捲縮率が5〜25%であることを特徴とする嵩高性を有する芯鞘複合繊維。
  2. ポリアミドがナイロン6である請求項1記載の嵩高性を有する芯鞘複合繊維。
  3. 単フィラメントの断面が、芯部分はポリ乳酸系樹脂を主成分とし、鞘部分はポリアミドからなる芯鞘構造を有する未延伸マルチフィラメントを2.5〜5.0倍に延伸した後、加熱流体噴射ノズルへ供給し、引き続いて、放射状に配列した羽根板によって取り囲まれた圧縮室に温度130〜280℃の加熱流体とともにオーバーフィードの状態で押し込み、各単フィラメントをランダム方向に屈曲、あるいは互いに絡み合わせ、各単フィラメントにループやタルミを形成し、捲縮を付与した後、通気性を有する衝突壁に衝突させ、冷却して捲き取ることを特徴とする嵩高性を有する芯鞘複合繊維の製造方法。
  4. ポリアミドがナイロン6である請求項3記載の嵩高性を有する芯鞘複合繊維の製造方法。
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