JP2009222956A - 電子写真用フルカラートナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも結着樹脂、顔料、および顔料分散剤からなるトナー用原料を混合、混練および粉砕分級する電子写真用トナー製造方法であって、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用い、少なくとも顔料および顔料分散剤を混合する第1混合工程と、第1混合より得られる原料とその他の原料とを混合する第2混合工程と、オープンロール型混練機で混練する工程を有し、前記顔料分散剤が脂肪酸エステルであることを特徴とするフルカラー用トナー製造方法。
【選択図】なし
Description
トナーは、結着樹脂中に着色剤を分散させたものであり、結着樹脂としては、たとえば、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などの、適度な検電性と結着性とを備える各種合成樹脂が使用され、着色剤としてはカーボンブラック、有機系着色剤、無機系着色剤などが使用される。現像した画像は紙上に転写後、定着され画像が形成される。
近年、電子写真方式を用いたハードコピーの技術は、モノクロコピーからフルカラーコピーへ変遷してきている。フルカラーコピーが普及するにつれその用途も煩雑且つ多様化してきており、画質についても写真画像などより高品位のものが要求されている。高画質化を達成するためのトナーに要求される特性を満たすべく、トナーの小粒径化、或いは色再現領域の広いトナーの要望が高まってきている。高画質に向けては、トナーを小粒径化すると共に紙上に付着するトナー量は低減する必要があり、低減したトナーで従来同様の発色性能を示すためには、トナーに含有される顔料量を増量する必要がある。顔料を増量した上で従来と同様の発色性を示すためには、顔料の分散状態を向上する必要が生じる。一方、色再現性の向上に対しても、顔料の分散性が低下すると分光特性における反射領域の反射率が低下するために、彩度が低下する。また、二次色においても透過特性が低下するために色再現性が低下する。すなわちカラートナーの高画質化、幅広い色再現性に対し、含有する顔料の分散性向上技術の要求は高まっている。
また、顔料の表面処理剤としては、古くは特許文献2(特開昭58−108256号公報)などで開示されるようなロジン処理などが一般的に用いられている。また、特許文献3(特開平2−52362号公報)には、アミン変性のポリエステルを顔料表面処理剤として用いることにより顔料分散性が向上するとの技術について開示されている。しかしながら、本方法ではマスターバッチの工法と同様の工程が必要となるため、消費エネルギーの増大化などの課題を有している。
(1).少なくとも結着樹脂、顔料、および顔料分散剤からなるトナー用原料を混合、混練および粉砕分級する電子写真用トナー製造方法であって、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用い、少なくとも顔料および顔料分散剤を混合する第1混合工程と、第1混合より得られる原料とその他の原料とを混合する第2混合工程と、オープンロール型混練機で混練する工程を有し、前記顔料分散剤が脂肪酸エステルであることを特徴とするフルカラー用トナー製造方法。
(2).前記顔料分散剤の融点が前記結着樹脂の軟化点より低いことを特徴とする前記第(1)に記載のフルカラー用トナー製造方法。
(3).前記顔料分散剤の融点が70℃〜105℃であることを特徴とする前記第(1)又は(2)に記載のフルカラー用トナー製造方法。
(4).前記顔料分散剤の添加量が前記結着樹脂100重量部に対し0.5〜5重量部であることを特徴とする前記第(1)乃至(3)のいずれかに記載のフルカラー用トナー製造方法。
(5).前記顔料分散剤の酸価が5から30mgKOH/gであることを特徴とする前記第(1)乃至(4)のいずれかに記載のフルカラー用トナー製造方法。
(6).前記顔料分散剤の体積平均粒子径が5〜20μmであることを特徴とする前記第(1)乃至(5)のいずれかに記載のフルカラー用トナー製造方法。
(7).前記結着樹脂の酸価が5から30mgKOH/gであることを特徴とする前記第(1)乃至(6)のいずれかに記載のフルカラー用トナー製造方法。
(8).マゼンタ色用トナーの顔料がC.I.ピグメントレッド122で示される顔料であることを特徴とする前記第(1)乃至(7)のいずれかに記載のフルカラー用マゼンタトナーの製造方法。
(9).シアン色用トナーの顔料がC.I.ピグメントブルー15で示される顔料であることを特徴とする前記第(1)乃至(7)のいずれかに記載のフルカラー用シアントナーの製造方法。
(10).イエロー色用トナーの顔料がC.I.ピグメントイエロー74で示される顔料であることを特徴とする前記第(1)乃至(7)のいずれかに記載のフルカラー用イエロートナーの製造方法。
第1混合(工程)において、顔料と顔料分散剤を混合するのは、予め顔料と顔料分散剤とを混合することにより顔料と分散剤とを物理的に吸着することができるためである。即ち、結着樹脂中の顔料近傍には分散剤が存在することができる。この状態で混錬を行なうと、混練初期に顔料表面において分散剤が溶融しコーティングされ顔料と分散剤がぬれた状態を形成することができ、この濡れにより、顔料を凝集させている表面自由エネルギーが低下し、低いせん弾力でも分散が可能となり、同一のせん弾力であればより分散性が向上するためである。また、結着樹脂としてポリエステルは透明性が高く濁りがないため、フルカラートナーにおいて彩度や色再現性の低下が少ないため、好誼に用いられている。本発明で、顔料分散剤として脂肪酸エステルを用いるのは、理由は定かではないがエステル基を有していると顔料とのぬれ性が向上し、さらにカルボン酸を有しているため、結着樹脂のカルボン酸と相溶するために効果的に分散することが可能である。また、本発明でオープンロール型混練機を用いるのは、本混練機はトナー混練時の発熱を外部に放熱しながら混練することができるため、比較的低温で混練することができる。低温で混練することにより高弾性状態で混練することが可能であるため、原料に強いせん弾力を付与することができる。
本発明のトナーの製造方法は、原料の混合、溶融混練、冷却、粗砕、粉砕、分級および外添からなる。原料の混合機は原料を撹拌できるものであれば良く、限定されるものではないが、好ましくは高回転数が可能でありジャケットによる冷却が可能であるものがよく、例えばヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)などが上げられる。また、溶融混練機としては、オープンロール型混練機を用いる。本発明で用いるオープンロール型混練機としては、互いに近接して配設された2本のロールを少なくとも1組有する混練機が好ましく、生産効率と設備の簡素化の観点から連続式2本オープンロール型混練機がより好ましい。
また、多価カルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロへキサンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アルキルコハク酸(例えば、n−オクチルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸)等の2塩基性カルボン酸、それらの酸無水物及びアルキルエステルをあげることができる。
マゼンタトナーの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10又はC.I.ディスパーズレッド15等を用いることができる。特に、色相の点からC.I.ピグメントレッド122のキナクリドン系顔料が好ましい。
これら顔料の添加量は各色、顔料の粒子径や選択されるポリエステル樹脂の分子量、粘度特性、軟下点などにより異なるが、所望の色相や彩度、着色度などにより適宜決定される。本発明においては、3から20重量部、好ましくは5から15重量部添加され、顔料の着色力から各色の添加量は異なっても良い。
併用されるワックスは、天然ワックスとして、動物由来の蜜蝋、鯨蝋、セラック蝋、植物由来のカルナバ蝋、木蝋、米糠蝋(ライスワックス)、キャンデリラワックス、石油由来のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、鉱物由来のモンタンワックス、オゾケライトなどがあり、また合成ワックスとしては、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、油脂系合成ワック(エステル、ケトン類、アミド)、水素化ワックスなどがあるが、低温領域における染み出し効果を発揮するために、DSC示差走査熱量分析計(以下、DSCと略す)による吸熱ピークが80〜110℃であるものが好ましい。特に種類を限定されるものではないが、好ましくは、合成することによって得られる炭化水素系合成ワックス、或いは、石油系のワックスがよい。炭化水素系合成ワックスは次の2種類に大別される。1種類目はフィッシャー・トロプシュ(Fischer−Tropsch)ワックスと呼ばれているもので、一酸化炭素と水素を反応させることにより、生成することができる。他の一種はポリエチレンワックスと呼ばれているもので、エチレンの重合やポリエチレンの熱分解により生成することができる。
電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部である。なお、カラー用トナーとしては、無色の第4級アンモニウム塩又はアルキルサリチル酸の金属塩が好ましいが、必須ではない。
表1に示す顔料、顔料分散剤、および結着樹脂とボントロンE−84(オリエント化学製)2重量部および、HNP−9(日本精蝋製)2重量部を表1に示す条件にて混合したものを、連続型オープンロール混練機(MOS160−560;三井鉱山製)にて混練したのち、粉砕、分級して平均粒径7μmのトナーを得た。
さらに、外添剤として、疎水性シリカ(RX200 日本アエロジル製)1.5重量部を外添したものを、評価用トナーとして作成した。
(高温高湿下での長期ランニング試験)
上記で得られたトナーと60μmのフェライトキャリアとを、トナー濃度4%の割合で20分間撹拌混合し、二成分現像剤を得た。本二成分現像剤を温度35℃、湿度80%環境下で(株)リコー社製複写機(Imagio Neo C355)にて原稿濃度5%の50000枚の耐刷試験を行なった。形成された1枚目および50000枚目の定着画像の画像濃度をマクベス社製の反射濃度計(小数点以下3桁測定できるように改造)により測定した。未使用紙と定着画像の白紙部の濃度差を測定し、濃度差が0.01以下の場合◎、0.01から0.02の場合は○、0.02から0.03の場合は△、0.03より大きい場合を×として判断した。
上記帯電評価で作製した現像剤を当社フルカラー複写機(imagio Neo C600)で、カラー用の上質紙(タイプ6000 70W)に紙上の付着量が0.4mg/cm2となるように調整し、本サンプルを当社フルカラー複写機(imagio Neo C600)の定着機を、定着温度を自由に設定できるように改造した外部定着機にて170℃で定着した。本定着サンプルを分光光度計(UV3100 島津製作所製)にて分光反射特性を測定した。このとき反射特性の反射領域の立ち上がり、反射率とその波長および吸収と反射の差を確認し、色相と彩度について確認した。色相と彩度が良好なものを◎、比較的良いものを○、やや劣るものを△、悪いものを×とした。
また、画像濃度が1.5以上の場合◎、1.40以上1.50未満の場合○、1.30以上1.40未満の場合△、1.30未満の場合を×とした。評価結果を表2に示す。
実施例14は顔料分散剤の融点が樹脂の融点より高いため、やや顔料分散性が低下しトナーの着色力や色相は低下したが実使用上問題のないレベルであった。
実施例15はやはり顔料分散剤の融点が高いためやはり実施例14同様分散性が低下し、トナーの着色力や色相は低下したが実使用上問題のないレベルであった。
実施例16は逆に顔料分散剤の融点が低いため高温高湿下における影響が大きく地かぶりなどが発生したが実使用上問題のないレベルであった。
実施例17、19、23については顔料分散剤の添加量が低い、酸価が低いあるいは樹脂の酸価が低いなどの理由のため顔料分散性が低くなり、色相や着色力はやや低下したが実使用上問題のないレベルであった。
一方、実施例18、20、24は、上記とは逆の理由で顔料の分散性は向上し良好な色相は得られるが、高温高湿環境下での帯電低下が生じ、地かぶりが生じたが実使用上問題のないレベルであった。
実施例21、22はともに分散剤の粒子径により、混合時に十分に分散できず、顔料、分散剤ともに分散が不十分であったため、色相、着色力共にやや低く、および高温高湿下におけるランニング特性も思わしい結果が得られなかったが実使用上問題のないレベルであった。実施例25〜27は色材が異なるため、良好な分散性は得られるが、色相はやや悪く、実施例25は彩度がやや低く、実施例26および27はそれぞれマゼンタおよびイエローの色相とは大きく異なるものであったが実使用上問題のないレベルであった。
一方、比較例1〜3のトナーは顔料分散性が悪いため、着色度も低く色相も悪いトナーとなった。
Claims (10)
- 少なくとも結着樹脂、顔料、および顔料分散剤からなるトナー用原料を混合、混練および粉砕分級する電子写真用トナー製造方法であって、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用い、少なくとも顔料および顔料分散剤を混合する第1混合工程と、第1混合より得られる原料とその他の原料とを混合する第2混合工程と、オープンロール型混練機で混練する工程を有し、前記顔料分散剤が脂肪酸エステルであることを特徴とするフルカラー用トナー製造方法。
- 前記顔料分散剤の融点が前記結着樹脂の軟化点より低いことを特徴とする請求項1に記載のフルカラー用トナー製造方法。
- 前記顔料分散剤の融点が70℃〜105℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフルカラー用トナー製造方法。
- 前記顔料分散剤の添加量が前記結着樹脂100重量部に対し0.5〜5重量部であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフルカラー用トナー製造方法。
- 前記顔料分散剤の酸価が5から30mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のフルカラー用トナー製造方法。
- 前記顔料分散剤の体積平均粒子径が5〜20μmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のフルカラー用トナー製造方法。
- 前記結着樹脂の酸価が5から30mgKOH/gであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のフルカラー用トナー製造方法。
- マゼンタ色用トナーの顔料がC.I.ピグメントレッド122で示される顔料であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のフルカラー用マゼンタトナーの製造方法。
- シアン色用トナーの顔料がC.I.ピグメントブルー15で示される顔料であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のフルカラー用シアントナーの製造方法。
- イエロー色用トナーの顔料がC.I.ピグメントイエロー74で示される顔料であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のフルカラー用イエロートナーの製造方法。
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